説明

電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法

【課題】適正な部品認識条件を容易に設定することを可能とする電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電子部品実装装置における部品認識条件としての照明条件の適否判定評価において、照明条件に起因する位置認識誤差の発生傾向と関連付けて設定される特定の移動パターン(ノズル回転パターン)にしたがって部品をノズル軸廻りに回動させる部品移動工程において同一の照明条件にて部品撮像および部品位置認識を複数回実行し、初回の部品位置認識において取得された部品の認識中心が部品回転移動後の部品位置認識において取得された認識中心と一致するか否かを検出する。これにより、回転移動後にあるべき位置に部品があるか否かを判断して、照明条件の適否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に搭載する電子部品実装装置において、部品認識に適用される部品認識条件の適否を評価する電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する電子部品実装装置においては、搭載ヘッドに保持された状態の電子部品を撮像して位置認識した部品認識結果に基づいて、部品搭載時の位置補正が行われる。この部品認識精度を確保するためには、電子部品をカメラで撮像して画像に取り込む際の照明条件や取り込まれた画像を認識処理する際に用いられる処理パラメータなどの部品認識条件を、対象とする電子部品の種類に応じて正しく設定する必要がある。このため電子部品実装装置には、設定された部品認識条件のデータ入力を行った後、これらのデータを確認する機能を備えたものが用いられる場合がある(例えば特許文献1参照)。この特許文献例では、撮像された電子部品の画像と入力されたデータによって生成された画像を同一画面に重ねて表示させることにより、データの正否を目視により確認するようにしている。
【特許文献1】特開平10−135700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
位置認識のための画像処理においては、取得された画像に対してパターンマッチングなどの画像処理手法を適用することにより、対象とする電子部品の中心点など部品位置を代表する代表点を検出することにより行われる。パターンマッチングでは認識画像における明度差などによって認識対象物の位置が特定されるため、同一品種の認識対象を撮像した場合であっても、照明条件が異なる場合には取得された認識画像の画像情報は異なったものとなり、同一の位置認識結果が得られない。このため、照明条件など部品認識処理に際して必要とされる認識条件は、対象とする電子部品毎に正しい認識結果を与える適正な条件に設定する必要がある。
【0004】
しかしながら、上述の特許文献例を含め、従来技術においては部品認識そのものは正常に行われていても、認識により求められた位置情報が正しいものであるか否かを正しく判定することは困難で、部品認識条件の評価は専ら作業者の経験や勘に依存していた。このため部品認識条件の設定に際して手間と時間を要するとともに、作業者の技量の個人差によって位置認識精度にばらつきが避けられず、適正な部品認識条件を容易に設定することが可能な方策が望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、適正な部品認識条件を容易に設定することを可能とする電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法は、搭載ヘッドに保持された状態の電子部品の位置を光学的な位置認識手段によって認識した後この電子部品を基板に移送搭載する電子部品実装装置において、前記認識に適用される部品認識条件の適否を評価する電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法であって、前記部品認識条件に起因する位置認識誤差の発生傾向と関連付けて設定される特定の移動パターンにしたがって前記電子部品を移動させる部品移動工程と、この部品移動工程において同一の前記部品認識条件にて電子部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得する認識工程と、前
記複数の部品認識結果を比較することにより前記部品認識条件の適否を判定する適否判定工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子部品を部品認識条件に起因する位置認識誤差を反映させる特定の移動パターンにしたがって移動させて、同一の部品認識条件にて電子部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得し、取得された複数の部品認識結果を比較して部品認識条件の適否を判定することにより、適正な部品認識条件を容易に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識機能の構成を示すブロック図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識用の照明装置の構成説明図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において認識対象となる電子部品の部品認識パラメータの説明図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識の認識誤差発生傾向の説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を示すフロー図、図7,図8は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法の動作説明図、図9は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を示すフロー図、図10は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における照明条件の自動設定処理方法を示すフロー図である。
【0009】
まず図1,図2を参照して、電子部品実装装置の構成を説明する。図1において基台1の中央にはX方向(基板搬送方向)に搬送路2が配設されている。搬送路2は上流側から搬入された基板3を搬送し実装ステージに位置決めする。搬送路2の両側方には、部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並設されている。テープフィーダ5は、電子部品(以下、単に「部品」と略記する。)を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、以下に説明する搭載ヘッドの吸着ノズルによる部品吸着位置に部品を供給する。
【0010】
基台1上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A、6B上には2台のX軸テーブル7A,7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7Bには、それぞれ搭載ヘッド8および搭載ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ9が装着されている。
【0011】
Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより搭載ヘッド8は水平移動し、それぞれの部品供給部4から部品を吸着ノズル12によってピックアップし、搬送路2に位置決めされた基板3上に実装する。Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bは、搭載ヘッド8を移動させるヘッド移動機構となっている。そしてヘッド移動機構によって搭載ヘッド8とともに基板3上に移動した基板認識カメラ9は、基板3を撮像して認識する。
【0012】
図2に示すように、搭載ヘッド8は複数の単位搭載ヘッド8aを備えた多連型ヘッドであり、各単位移載ヘッド8aには部品13を吸着して保持する吸着ノズル12が装着されている。Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bは、それぞれX軸駆動部14、Y軸駆動部15によって駆動される。単位搭載ヘッド8aはそれぞれ吸着ノズル12を昇降させるノズル昇降機構、吸着ノズル12を軸廻りに回転さ
せるノズル回転機構を備えており、ノズル昇降機構、ノズル回転機構はそれぞれZ軸駆動部16、Θ軸駆動部17によって駆動される。制御部18によってX軸駆動部14、Y軸駆動部15、Z軸駆動部16、Θ軸駆動部17を制御することにより、部品供給部4から部品13を取り出して基板3に実装する部品実装動作が実行される。
【0013】
部品供給部4から搬送路2に至る経路には、部品撮像部10およびノズル保持部11が配設されている。図2に示すように、部品撮像部10は部品認識カメラ22および照明部23を備えている。部品供給部4から部品を取り出した搭載ヘッド8が搬送路2の実装ステージに位置決めされた基板3へ移動する際に、吸着ノズル12に保持された部品13を部品撮像部10の上方でX方向に移動させることにより、部品認識カメラ22は部品13の画像を取得する。ノズル保持部11は、複数種類の吸着ノズル12を所定姿勢で収納し、搭載ヘッド8がノズル保持部11にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、搭載ヘッド8において対象とする部品の種類に応じてノズル交換が行われる。
【0014】
部品因子器カメラ22は認識処理部21に接続されており、部品認識カメラ22によって取得された画像データを認識処理部21によって認識処理することにより、搭載ヘッド8に保持された状態の部品13が認識され、この認識結果は制御部18に伝達される。部品撮像部10および認識処理部21は、部品13を認識する部品認識部を構成する。部品認識カメラ22による撮像に際しては、照明部23を点灯して部品を下方から照明する。照明部23は光源制御部19によって制御され、さらに光源制御部19は制御部18によって制御される。記憶部20には照明条件データが記憶されており、光源制御部19が照明部23を制御する際には、制御部18が記憶部20から読み出した聡明条件データに従って、以下に説明する照明ユニット23aを制御する。
【0015】
図3に示すように、部品撮像部10に設けられた照明部23は、平面視して井桁状に配置された4つの照明ユニット23a(図3(b)参照)を備えており、吸着ノズル12に保持された部品13に対して、LEDによって発光された照明光を斜め下方から照射する。撮像対象の部品13が反射照明によって画像を取得する種類の部品である場合には、部品13に照射された照明光の反射光を部品認識カメラ22が受光することにより、部品13を明像として撮像する。また撮像対象の部品13が透過照明によって画像を取得する種類の部品である場合には、反射板12aに照射された照明光の反射光を部品認識カメラ22が受光することにより、部品13のシルエットを暗像として撮像する。
【0016】
各照明ユニット23aは、図3(a)に示すように、上下方向に3段に配列されたLED24a(上段照明)、LED24b(中段照明)、LED24c(下段照明)を備えており、光源制御部19によって照明部23を制御する際には、記憶部20に記憶された照明条件に従って、各照明ユニット23a毎に、さらにはLED24a、24b、24c毎に、異なる照明値によってLEDを発光させることができるようになっている。
【0017】
次に図4を参照して、部品13を画像認識する際に用いられる部品認識パラメータについて説明する。部品認識パラメータは、各部品種類毎に作成されるものであり、部品種別毎の特性を考慮して必須項目が入力される。図4に示す例では、抵抗部品など接続用電極としての端子が両端部に形成された矩形端子型部品の例を示している。
【0018】
部品の形状・寸法を示すデータとしては、部品の外形寸法(幅W、長さL)を示す部品寸法、端子の幅方向寸法a、長さ方向寸法bを示す電極寸法、さらに該当する場合には、部品に設けられたリードの外形や本数を示すデータが入力される。これらの形状・寸法を示すデータは、部品をパターンマッチングによって認識する場合の参照パターンを自動生成する際に用いられる。
【0019】
そして部品認識パラメータには、認識用画像を取得する撮像条件が規定されている。本実施の形態に示す例では、部品認識カメラ22によって画像を取得する際の視野の大きさ(例えば大視野、中視野、小視野)を対象とする部品の種類に応じて選択できるようにしているほか、画像取得の際の照明条件を任意に設定することができるようになっている。ここでは、照明ユニット23aを構成する上段、中段、下段のLED24a、24b、24cの明るさを規定する照明値c、d、eを任意に設定することができるようになっている。
【0020】
次に図5を参照して、部品撮像部10によって取得した画像に基づいて部品13の位置認識を行う際の認識誤差発生傾向について説明する。図5において、矢印(1)、(2)、(3)、(4)は、照明部23の各照明ユニット23aによって照射される照明光を示しており、部品認識カメラ22による部品13の画像取得時には、部品13にはこのような4方向から照明光が照射される。画像認識のための画像取得においては、撮像対象に対してあらゆる方向から満遍なく照明光が照射されることが望ましいが、実際の画像認識装置においてはこのような理想的な照明状態を実現することが難しく、本実施の形態に示すように4方向から照明光を照射する方式が採用される場合が多い。
【0021】
このような構成の照明を採用する場合において、照明部23を構成する多数のLEDからの照明光が部品13に対して全て均一に照射される保証はなく、全体としてみた場合に特定方向についての照射光が強く、あるいは特定方向について照射光が弱い場合が存在しうる。この結果、このような照明条件下で取得された画像を認識処理して得られる位置認識結果は、実際の部品の正しい位置を示さず、照明光の不均一に起因して特定方向にずれる傾向を示す。図5に示す例では、画像認識によって求められた部品13の認識中心13*cが、実際の部品中心13cから矢印(1)側に位置ずれして検出された例を示している。
【0022】
このような位置ずれは、照明光の不均一度合いによって、また対象となる部品の画像取得方法の種類(反射照明による明像取得、透過照明による暗像取得)など多くの要因によって種々異なる態様を示すが、同一の照明条件下において部品認識を行った場合には、位置ずれ傾向、すなわち位置認識誤差の発生傾向はほぼ同一となることが知られている。そして上述の照明条件を設定した後に実際に画像認識の試行を行った場合において、画像認識そのものが実行不可能で認識結果が得られない認識エラーとなった場合には部品認識パラメータとしての照明条件の設定が不適切であったということが容易に判明するものの、認識エラーとならずに何らかの位置認識結果が得られた場合には、この認識結果が実際の部品の正しい位置を表す適正な認識結果であるか否かを判断する手段がなかった。
【0023】
そこで本実施の形態においては、特定の部品を対象として新たに部品認識パラメータを設定した場合の評価方法として、図6のフローに示す方法によって部品認識パラメータとしての照明条件の適否を判定するようにしている。ここでは前述の部品認識条件は、搭載ヘッドに保持された状態の部品を撮像する際の照明条件に限定されている。なお図7は適正な照明条件下でこの評価方法を実行した場合の認識結果を、また図8は図5に示すような認識誤差発生傾向を示す照明条件下でこの評価方法を実行した場合の認識結果を、それぞれ認識視野30内の画像によって示している。
【0024】
まず、搭載ヘッド8の部品保持手段である吸着ノズル12によって対象となる部品13を吸着保持する(ST1)。ここでは、図4に示す矩形端子型の部品13を対象としている。次いで搭載ヘッド8を部品撮像部10へ移動させ(ST2)、吸着ノズル12に保持された部品13を、照明部23によって適否判定対象の所定の照明条件で照明した状態で、部品認識カメラ22によって撮像する(ST3)。
【0025】
次いで撮像結果を認識処理部21によって認識処理して部品13の中心位置を求める部品位置認識を実行する(ST4)。これにより、図7(a)に示すように、認識結果を示す認識中心13*cが求められる。このとき、図7(a)に示す例では適正な照明条件で撮像が行われていることから、認識中心13*cは部品13の実際の部品中心13cと一致した位置に求められる。なお、ここで位置の一致とは、対象とする2位置の位置誤差が予め定められた許容範囲内にあることをいう。
【0026】
次に2回目の撮像のための部品移動を行う。すなわち、図7(b)に示すように、吸着ノズル12をノズル軸心12c廻りに90°だけ反時計方向に回転させることにより部品13を特定点であるノズル軸心12cを中心に回動させる(ST5)。そして(ST3)、(ST4)と同様に、部品撮像(ST6)、部品位置認識を行う(ST7)。そしてあるべき位置に部品ありか否かを判断する。すなわち、(ST4)にて求められた認識中心13*cを90°だけ反時計回りに回転させた位置が、(ST7)にて求められた認識中心13*cと一致するか否かを判断する(ST8)。
【0027】
ここで図7に示す例においては、適正な照明条件下で撮像された画像に基づいて部品位置認識が行われていることから、求められた認識中心13*cは実際の部品中心13c(すなわち部品回転移動前の認識中心13*c)と一致して、あるべき位置に部品ありと判断される。次いで予め設定された所定回数(ここでは吸着ノズル12の1回転に相当する4回)の認識完了か否かが判断される(ST9)。そして未完了であれば(ST5)に戻って同様の処理が反復実行される。すなわち、図7(c)、(d)に示すように、吸着ノズル12をさらに90°づつ回転させて、同様に認識中心13*cを求め、同様にあるべき位置に部品ありか否かを判断する。次いで図7(d)に示す部品位置認識を完了した後、(ST9)においてあるべき位置に部品ありと判断されたならば、照明条件適正を報知して(ST11)、照明条件適否判定処理を終了する。
【0028】
これに対し図8に示す例においては、図5に示すような認識誤差発生傾向を示す照明条件にて撮像が行われることから、部品位置認識によって求められた認識中心13*cは、図8(a)に示すように、実際の部品13の中心とは一致せず、特定方向に偏った位置ずれを示す。そしてこの位置ずれのため、(ST4)において最初に求められた認識中心13*cを90°回転させた位置と、(ST7)にて新たに求められた認識中心13*cとは、図8(b)に示すように一致せず、したがって(ST8)においてあるべき位置に部品無しと判断される。これにより、照明条件が不良である旨のエラー報知がなされ(ST10)、照明条件適否判定処理を終了する。
【0029】
なおこの後に図8(c)、(d)に示すように吸着ノズル12をさらに90°づつ回転させて部品位置認識を行ってもよいが、いずれの場合においても求められた認識中心13*cは特定方向に偏っていることから、同様にあるべき位置に部品無しと判断される。したがって、図8(b)において一度あるべき位置に部品無しと判断されれば、直ちに照明条件が不良である旨のエラー報知を行って差し支えない。
【0030】
なお上述フローにおいて複数の撮像を行う度に実行される部品移動における移動パターンは、部品13を保持する部品保持手段としての吸着ノズル12をノズル軸廻りに回転させてこの部品をノズル中心12cを中心に回動させる回転パターンとなっている。この移動パターンは、部品認識条件に起因する位置認識誤差の発生傾向と関連付けて設定されるものであり、本実施の形態においては、図5に示すように、認識位置が特定方向に位置ずれするような位置認識誤差が想定される場合を対象として回転パターンが採用されている。このような回転パターンを採用することにより、吸着ノズル12を水平方向に移動させることなく、容易に照明条件の適否判断を行うことができる。
【0031】
すなわち上述の部品実装装置における部品認識条件の評価方法は、部品認識条件に起因する位置認識誤差の発生傾向と関連付けて設定される特定の移動パターンにしたがって部品を移動させる部品移動工程と、この部品移動工程において同一の部品認識条件にて部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得する認識工程と、複数の部品認識結果を比較することにより、部品認識条件としての照明条件の適否を判定する適否判定工程とを含む形態となっている。
【0032】
なお、撮像視野30内において認識対象の部品が広い範囲を占有し、且つ撮像視野30内における位置によって照明状態にばらつきが存在するような場合には、吸着ノズル12を水平移動させて、部品を撮像視野30内の異なる位置にて撮像するような移動パターンを採用してもよい。これにより、撮像視野30内における照明状態の位置依存性に起因する位置認識誤差の発生傾向を評価することができる。さらには、吸着ノズル12の水平移動と軸廻りの回転とを組み合わせた移動パターンを設定してもよい。この移動パターンによれば、照明状態の位置依存性と照明方向における不均一性の双方を反映した位置認識誤差の発生傾向を評価することができる。
【0033】
図9に示す例は、図6と同様目的の照明条件適否判定処理において、複数の部品13を対象として認識実行を反復して得られた複数の部品位置認識結果に基づいて、照明条件の適否を判定するようにしたものである。図9において、(ST21)〜(ST24)は、図6に示す(ST1)〜(ST4)と同様である。図9に示す例おいては、(ST24)にて求められた部品位置認識結果を、記憶部20に記憶する(ST25)。そして吸着ノズル12を回転させて部品13を回動させ(ST27)、同様の部品撮像と部品位置認識を所定回数反復して実行する。
【0034】
そして(ST26)にて所定回数の位置認識完了が判断されたならば、次の部品13を対象として同様の部品撮像および部品位置認識を実行する。なおここで部品位置認識結果とは、第1回目の部品位置認識においては求められた認識中心13*cの位置であり、第2回目以降の部品位置認識においては、ノズル回転後において求められた認識中心13*cと、当初の認識中心13*cに基づいて推測される部品のあるべき位置との位置誤差をいう。そして(ST28)にて所定数の部品13について認識完了であると判断されたならば、記憶された部品位置認識結果を記憶部から読み出す(ST29)。次いでそれぞれの部品位置認識結果を比較することにより、部品位置認識結果の位置誤差に許容範囲を超えたものがあるか否かを判断する(ST30)。
【0035】
すなわち、複数の部品を対象として複数回の部品位置認識を実行した結果、位置誤差が予め設定された許容範囲を超えていなければ照明条件適正を報知し(ST31)、許容範囲を超えたものがあれば、照明条件不良と判断してエラー報知する(ST32)。このとき位置誤差を統計処理して誤差値の分布を求め、これらの分布に基づいて統計的に許容範囲を定めるようにしてもよい。すなわちここに示す例においては、複数の部品を対象とした複数の部品認識結果を統計処理した結果に基づいて、前述の適否判定工程を実行するようにしている。
【0036】
さらに図10は、同様の照明条件適否判定処理を異なる種類の照明条件について反復して実行することにより、適正な照明条件を自動的に設定する方法を示したものである。この自動設定処理を実行するに際しては、予め複数の照明条件を規定する照明条件データを記憶部20に記憶させておくことが必要である。自動設定処理が開始されると、記憶された照明条件のうち最も汎用的な照明条件(初期条件)を最初の照明条件に設定する(ST41)。次いで図6に示す例と同様に搭載ヘッド8の吸着ノズル12によって対象となる部品13を吸着保持して部品撮像部10へ移動させる。次いで照明部23を設定された照明条件で作動させた状態で、吸着ノズル12に保持された部品13を部品認識カメラ22
によって撮像する(ST42)。次いで撮像結果を認識処理部21によって認識処理して、部品13の中心位置を求める部品位置認識を実行する(ST43)。
【0037】
次に2回目の撮像を行う。すなわち図6の例と同様に吸着ノズル12をノズル軸心12c廻りに90°だけ反時計方向に回転させ、部品13を回動させる(ST44)。そして(ST42)、(ST43)と同様に、部品撮像(ST45)、部品位置認識を行う(ST46)。そして同様にあるべき位置に部品ありか否かを判断する(ST47)。ここでYESならば、予め設定された所定回数(ここでは吸着ノズル12の1回転に相当する4回)の認識完了か否かが判断され(ST48)、未完了であれば(ST44)に戻って同様の処理が反復実行される。
【0038】
すなわち吸着ノズル12をさらに90°づつ回転させて、同様に部品中心13cを求め、あるべき位置に部品ありか否かを判断する。この複数回数の認識においていずれもあるべき位置に部品ありと判断されたならば、当該照明条件は適正であると判断して、実際に使用される照明条件として設定し(ST52)、照明条件自動設定処理を終了する。また(ST47)にてあるべき位置に部品がないと判断されたならば、照明条件を変更して再度認識試行を行う。
【0039】
すなわち(ST49)にて所定回数の照明条件を変更済みであるか否かを確認しながら、予め定められた順序に従って照明条件を記憶部20から順次読み出して、光源制御部19が制御を実行する際に用いる照明条件を変更する(ST50)。そして(ST42)に戻って、これ以降の処理を同様に実行し、(ST47)、(ST48)の条件を満たす場合には、この照明条件を(ST52)にて実際の照明条件として設定する。そして(ST47)の条件を満たさずに(ST49)にて全ての照明条件について変更されたことが確認された場合には、適正照明条件無しと判断してエラー報知する(ST51)。
【0040】
すなわち上述の照明条件自動設定処理においては、照明条件を規定する照明条件データを複数記憶させておき、適否判定工程において不適であると判定されたならば、複数の照明条件データにしたがって照明条件を順次変更することにより、適正の照明条件を得るようにしている。
【0041】
上記説明したように、本発明の電子部品実装装置における部品認識条件の評価においては、電子部品を部品認識条件に起因する位置認識誤差を反映させる特定の移動パターンにしたがって移動させて、同一の部品認識条件にて電子部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得し、取得された複数の部品認識結果を比較して部品認識条件の適否を判定するようにしたものである。これにより、従来は作業者の経験や勘に依存していた部品認識条件の適否判断を容易に行うことができ、さらにこの適否判定を予め準備された複数の照明条件について自動的に実行させることにより、適正な部品認識条件を容易に設定することが可能となる。
【0042】
本発明によれば、電子部品を部品認識条件に起因する位置認識誤差を反映させる特定の移動パターンにしたがって移動させて、同一の部品認識条件にて電子部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得し、取得された複数の部品認識結果を比較して部品認識条件の適否を判定することにより、適正な部品認識条件を容易に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法は、適正な部品認識条件を容易に設定することができるという効果を有し、部品供給部から取り出した部品を光学的に認識して基板に実装する電子部品実装装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識機能の構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識用の照明装置の構成説明図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において認識対象となる部品の部品認識パラメータの説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における画像認識の認識誤差発生傾向の説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を示すフロー図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法の動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法の動作説明図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法を示すフロー図
【図10】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における照明条件の自動設定処理方法を示すフロー図
【符号の説明】
【0045】
3 基板
8 搭載ヘッド
10 部品撮像部
12 吸着ノズル
13 部品
22 部品認識カメラ
23 照明部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載ヘッドに保持された状態の電子部品の位置を光学的な位置認識手段によって認識した後この電子部品を基板に移送搭載する電子部品実装装置において、前記認識に適用される部品認識条件の適否を評価する電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法であって、
前記部品認識条件に起因する位置認識誤差の発生傾向と関連付けて設定される特定の移動パターンにしたがって前記電子部品を移動させる部品移動工程と、この部品移動工程において同一の前記部品認識条件にて電子部品を複数回認識して複数の部品認識結果を取得する認識工程と、前記複数の部品認識結果を比較することにより前記部品認識条件の適否を判定する適否判定工程とを含むことを特徴とする電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法。
【請求項2】
前記部品認識条件は、前記搭載ヘッドに保持された状態の電子部品を撮像する際の照明条件を含むことを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法。
【請求項3】
前記特定の移動パターンは、前記電子部品を保持する部品保持手段を軸廻りに回転させてこの電子部品を特定点を中心に回動させる回転パターンであることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法。
【請求項4】
複数の電子部品を対象とした複数の部品認識結果を統計処理した結果に基づいて、前記適否判定工程を実行することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法。
【請求項5】
前記照明条件を規定する照明条件データを複数記憶させておき、前記適否判定工程において不適であると判定されたならば、前記複数の照明条件データにしたがって照明条件を順次変更することにより、適正の照明条件を得ることを特徴とする請求項2記載の電子部品実装装置における部品認識条件の評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−173660(P2007−173660A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371461(P2005−371461)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】