説明

電子部品搭載用基材とその製造方法

【課題】銅の過剰溶解を効果的に回避しつつ、スズメッキ処理に係る製造コストの低減と製造効率の向上を図ることが可能な電子部品搭載用基材とその製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品搭載用基材1において、リード本体20に複合メッキ層23を積層するとともに、これを部分的に覆うようにソルダーレジスト層30を形成する。複合メッキ層23を構成するスズ銅合金メッキ層21とスズメッキ層22を、一度のメッキ処理で形成された前駆スズメッキ層21Xを加熱処理することで形成する。これにより、ソルダーレジスト層30の形成後のメッキ処理を省略し、製造効率を向上させ、リード本体20の銅の過剰溶解を回避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムに精密なリードを形成してなる電子部品搭載用基材に関し、特に製造工程の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集積回路(IC)や大規模集積回路(LSI)等の半導体装置は、テープキャリアパッケージ(TCP、Tape Carrier Package)に代表される電子部品搭載用基材に対し、半導体素子がワイヤボンディングで実装され、樹脂封止されて製造される。
TCPは、例えば正面図(図6)に示すように、フレキシブルなテープ状の樹脂フィルム10の片面に、銅箔をパターニングしたリード本体を有するリード層25が配設され、当該リード層の所定部分がソルダーレジスト層30で被覆された構成を持つ(特許文献1)。当該TCPには、所定のICやLSI素子がマウント部Mに実装される。
【0003】
ここで図3及び4は、特許文献1に開示されたTCPの製造工程例(図6のC-C’線断面に基づく)を示す。
まず金属箔(銅箔)20Xの全面に一度目のスズメッキ処理を施し、その後加熱処理を施してメッキ層を熱変性させることによりスズ銅合金メッキ層200Xを形成する(図3(a)、(b))。その後、スズ銅合金メッキ層200Xの底面を樹脂フィルム10に熱圧着する(図3(c))。そしてフォトレジスト4を利用したパターンエッチングにより、エッチングギャップ24を形成してリード本体20を形成する(図3(d)、(e))。その後、不要になったフォトレジスト4を剥離する(図4 (a))。
【0004】
次に、スズ銅合金メッキ層200Xを施したリード本体20の所定部分をソルダーレジスト材料で被覆し、これを硬化させてソルダーレジスト層30を形成する(図4(b))。続いて二度目のスズメッキ処理を施し、ソルダーレジスト層30から露出していたスズ銅合金メッキ層200Xの上にスズメッキ層22Xを積層させる(図4(c))。その後の最終的な加熱処理により、スズ銅合金メッキ層200X及びスズメッキ層22Xは、それぞれの膜厚が0.2μm以上、0.15μm以上0.80μm以下の範囲で形成される。この方法によれば、スズ銅合金メッキ層200Xの存在により、スズメッキ層22Xの下に貴金属メッキを設けなくても比較的に安価にスズのホイスカ(微細な髭状結晶)の発生を抑制できる。また、ソルダーレジスト層30の直下のリード部分にはスズ銅合金メッキ層200Xが存在するので、ソルダーレジスト層30がリード本体20の銅と直接接触する構成が回避され、二度目のスズメッキ処理中にソルダーレジスト層30直下の銅成分が溶解する、いわゆる銅の過剰溶融の問題を抑制することができるとされている。
【0005】
ここで図5は、銅の過剰溶融の過程を説明するための模式図である。当図に示すように、銅箔20Xの表面にはハンダで実装部品と接続するため、テトラフルオロホウ素イオンの存在下で予めスズメッキ層が施されるが、このメッキ工程において、加熱雰囲気によりソルダーレジスト層30の端部301Xが熱収縮等の理由でめくれ上がる。そして、当該めくれ上がったソルダーレジスト層30及び、銅箔20X表面との間隙500と、これ以外の銅箔20Xの表面領域との間で、スズ(Sn)イオン及び銅(Cu)イオンのイオン化傾向の違いに伴う局所電池が発生しうる。局所電池が発生すると、銅箔20Xの表面に溶出したCuイオンによる浸蝕領域201Xが発生し、その周りにスズの部分堆積層220Xが堆積する。このような浸蝕領域201Xの存在は、TCPの機械的強度を低下させるほか、均一な厚みでメッキ加工が施せない問題の原因となりうる。
【0006】
【特許文献1】特開2003−234380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の電子部品搭載用基材については以下の課題がある。
第一に、特許文献1の技術では、銅とソルダーレジスト層の間にスズ銅合金メッキ層を設けることで、銅の過剰溶解を或程度防止することができるが、合金成分として含まれる銅がメッキ槽中のスズ成分と接触しうる。従って、従来技術では完全に銅の溶解を防ぐことは困難であり、リード線の断線等の問題発生を防いで信頼性を向上させる解決策が求められている。
【0008】
第二に製造コストの問題がある。特許文献1の技術では、ソルダーレジスト層を設ける前にスズメッキ処理を行うが、ソルダーレジスト層を設ける下地領域(本来メッキが不要な領域)にまでスズメッキを形成するため、メッキ面積が比較的広い。従って、メッキ材料にかかる製造コストの低減が課題となる。
第三に、製造工程の効率の問題がある。特許文献1の技術では、ソルダーレジスト層を設ける前後にそれぞれスズメッキ処理を行うため、リードタイムの増加により製造プロセスが増大する。これは製造効率を向上させる観点から改善すべき課題である。
【0009】
これらの課題は、微細リードのさらなる微細化が求められている電子部品搭載用基材の現状において、いっそう顕著化するおそれがあり、未だ解決すべき余地が残されている。
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであって、銅の過剰溶解を効果的に回避しつつ、スズメッキ処理に係る製造コストの低減と製造効率の向上を図ることが可能なTCP等の電子部品搭載用基材とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、樹脂フィルム表面に対し、リード層と、当該リード層を上から一部被覆するようにソルダーレジスト層とが順次配設されてなる電子部品搭載用基材であって、前記リード層は銅を含むリード本体を備え、樹脂フィルムとの対向面を除き、少なくともソルダーレジスト層に被覆されていないリード層の部分では、前記リード本体表面に前駆スズメッキ層由来の複合メッキ層が積層され、当該複合メッキ層は、リード本体との界面側に形成されたスズ銅合金メッキ層と、当該スズ銅合金メッキ層の上に配設されたスズメッキ層とで構成され、スズ銅合金メッキ層は、前駆スズメッキ層の一部が熱変性してなるとともに、前記スズメッキ層は前駆スズメッキ層が部分的に残存した構成とした。
【0011】
ここでリード本体は、樹脂フィルム表面に直接密着して積層することもできる。
また、前記樹脂フィルムは、ポリイミドを主成分とする樹脂フィルムを用いることもできる。
さらに前記スズメッキ層の厚みは0.15μm以上0.8μm以下の範囲とすることもでき、前記スズ銅合金メッキ層の厚みは0.05μm以上0.70μm以下の範囲とすることもできる。また、前記リード本体の厚みは、9μm以上35μm以下の範囲とすることもできる。
【0012】
また本発明は、樹脂フィルムに金属箔を貼着する貼着工程と、貼着工程後に前記樹脂フィルム上の金属箔をメッキ処理して前駆スズメッキ層を形成するメッキ工程と、メッキ工程後に前記金属箔をフォトレジスト法によりパターニングしてリードを形成する配線形成工程と、前記リードの一部領域にソルダーレジスト材料を塗布するとともに、当該塗布したソルダーレジスト材料を硬化させるソルダーレジスト層形成工程とを経る電子部品搭載用基材の製造方法であって、配線形成工程では、フォトレジスト材料を加熱硬化させるとともに、前記金属箔との界面部分の前駆スズメッキ層を熱変性させてスズ銅合金メッキ層を形成させ、当該スズ銅合金メッキ層に変性した部分以外の前駆スズメッキ層部分をスズメッキ層として残存させるものとした。
【0013】
ここで前記メッキ工程では、無電解メッキ法又は電解メッキ法により前駆スズメッキ層を形成することもできる。
【発明の効果】
【0014】
以上の構成を有する本発明の電子部品搭載用基材では、リード本体の表面に複合メッキ層とスズメッキ層の積層構造からなる複合メッキ層が形成されるが、当該複合メッキ層は、前駆スズメッキ層が一部熱変性されて形成されたものである。従ってその製造工程では、スズメッキ層を形成するために、二度目のメッキ処理を別途施す必要がない。従って、ソルダーレジスト層を形成した後にスズメッキ処理を行う必要は全くないため、ソルダーレジスト層をスズメッキ槽へ浸漬することで発生しうる銅の過剰溶解の問題を根本的に解消することができる。これにより、浸蝕領域の発生を防いで高い平坦性を持つスズメッキ層が形成され、非常に高品質なTCPを実現できる。
【0015】
また、本発明ではメッキ処理が前駆メッキ層の形成時における一度で済むため、製造コストの低減、及び製造工程の簡略化が図れ、製造効率の向上が期待できる。
また、メッキ処理で発生する廃液量も比較的少量で済み、環境問題にも対応するメリットがある。
なお、複合メッキ層の表面には前駆スズメッキ層由来のスズメッキ層が配設される。従って、スズ材料の良好なハンダ付け性が発揮されるほか、当該スズメッキ層の一部領域に積層されるソルダーレジスト層との密着性も良好に保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の各実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
尚、当然ながら本発明はこれらの実施形式に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
<実施の形態1>
1.電子部品搭載用基材の構成
図1は、本発明の一適用例である電子部品搭載用基材1(以下、単に「基材」と言う。)の構成を示す模式的な断面図である。図1(a)は基材1の全体図であり、図1(b)は図1(a)中のA部分の部分拡大図である。なお、基材1の全体形状は前述の正面図(図6)とほぼ共通している。
【0017】
図1(a)に示される基材1は、いわゆるTCPであって、樹脂フィルム10上にリード層25及びソルダーレジスト層30が順次積層されてなる。
樹脂フィルム10は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド樹脂等からなる帯状のフィルム材料であって、その表面にパンチング加工により所定のデバイスホールやパーフォレーションとなる加工部11が形成されている。
【0018】
リード層25は、リード本体20と、これに積層された複合メッキ層23で構成される。
リード本体20は、9〜35μm程度の厚みを有する銅又は銅合金の金属箔20Xを、エッチング加工したものである(図2)。各リード本体20の間隙はエッチングギャップ24となる。なお、エッチングパターンはいずれの形状であってもよい。ここで、銅材料と樹脂フィルムとは熱膨張率がほぼ近似するが、リード本体20はボトム面Bにおいて直に樹脂フィルム10と密着されているので、メッキ層が介在する場合に比べ、両者の密着性を向上させることができる。
【0019】
複合メッキ層23は、本発明の主たる特徴部分であって、図1(b)に示すようにエッチングギャップ24に臨む表面以外のリード本体20の表面に対し、スズ銅合金メッキ層21とスズメッキ層22とが同順に積層されてなる。
スズ銅合金メッキ層21は、リードとの界面に沿って、厚さ0.05μm以上0.70μm以下の範囲で形成されている。
【0020】
スズメッキ層22は、厚さ0.15μm以上0.8μm以下の範囲で形成することが望ましい。0.15μm以下の厚みでは、図6のようにマウント部MへのICチップ等の実装工程においてインナーリードのボンディングが困難となる。一方、0.8μm以上の厚みでは、ボンディング時にメッキダレを生じ、ファインピッチであるインナーリード部分の短絡の原因となる。当該スズメッキ層22を利用することで、優れたボンディング性能を得ることができる。具体的には、チップボンディングの際に金を用いたハンダ付けを行う場合には、ボンディング領域にスズー金の共晶合金が形成され、ファインピッチであっても良好な接続信頼性でのボンディングが期待できる。
【0021】
ソルダーレジスト層30は、10μm以上40μm以下の範囲の厚みを有するウレタン系やポリイミド系の樹脂材料からなり、図1及び図6のように、樹脂フィルム10上において、リード層25及びエッチングギャップ24を部分的に被覆するように設けられる。これにより各リード層25の絶縁性を確保し、各リード層25のいずれかに外部より導電性異物が接触してショートするのを防止する。なお、ソルダーレジスト層30の直下には、当該レジスト材料と親和性が優れるスズメッキ層22が存在するため、両者の高度な密着性が発揮される。
【0022】
ここで本実施の形態1の基材1では、複合メッキ層23を構成するスズ銅合金メッキ層21とスズメッキ層22が、一度のメッキ処理で形成された前駆スズメッキ層21X(図2を参照)をもとに、その後の加熱処理でそれぞれ最終形成された点に特徴を有する。このため、基材1の製造時にはソルダーレジスト層30の形成後に、スズメッキ層22を形成する目的で、前駆スズメッキ層21Xの形成時とは別にメッキ処理を行う必要がない。
【0023】
よって、当該ソルダーレジスト層30直下の複合メッキ層23では、銅の過剰溶解は全く生じておらず、浸蝕領域201Xも形成されないことから、極めて均一な平坦性を持つ良好なメッキ表面が形成されている。この構成により、ソルダーレジスト層30と平滑な複合メッキ層23とは高い密着性で積層されており、優れた絶縁信頼性を発揮できるほか、リード本体20Xの断線といった信頼性の低下も防止することが可能となっている。
【0024】
<実施の形態2>
本実施の形態2では、実施の形態1の基材1の製造方法を例示する。図2(a)〜(e)は、本実施の形態2の製造プロセスを段階的に示す図である。当図に従い各プロセスを説明する。
まず、ポリエチレンテレフタレートやポリイミド樹脂フィルムなどからなるフレキシブルなテープ材料を用いて樹脂フィルム10を用意する。そして、パンチング等により打抜加工することにより、デバイスホールやパーフォレーションとなる加工部11を形成する(図6を参照)。
【0025】
続いて、この当該フィルム10の片面に、金属箔として厚さ9μm以上35μm以下程度の銅箔20Xを熱圧着により貼着する(図2(a))。
次に、無電解メッキ法又は電解メッキ法を用い、樹脂フィルム10上で露出している銅箔20Xの表面全体を被覆するように、前駆スズメッキ層21Xを形成する(図2(b))。
【0026】
なお「前駆スズメッキ層」21Xは、後に複合メッキ層23の元となる構成層であるため、便宜的に「前駆」と称している。
続いて、フォトエッチング法を実施するために、スズメッキ層21X上にノボラック樹脂やフェノールノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン(PHS)からなる感光性のフォトレジスト材料を塗布する。その後、約90℃で1時間程度加熱処理を行う。これによりフォトレジスト層4を形成する(図2(c))。
【0027】
ここで当該加熱処理においては、フォトレジスト4の硬化を促すと共に前駆スズメッキ層21Xの加熱処理を同時平行して行う。これにより前駆スズメッキ層21Xでは、銅箔1との界面付近の部分において、銅箔1中の銅成分との相互作用により熱変性し、スズ銅合金メッキ層21が形成される。
一方、スズ銅合金メッキ層21より外側に位置する前駆スズメッキ層21Xの部分は、スズメッキ層22として、そのまま残存する。加熱処理の条件設定により、スズメッキ層22の厚みが最終的に0.15μm以上0.8μm以下の範囲になるように調節する。
【0028】
以上で複合メッキ層23が形成される。
なお、前記加熱処理を窒素雰囲気で行うことにより、スズメッキ層22の表面に酸化皮膜が形成されるのを防止できる。そのため純度の高いスズメッキ層22 が得られ、配線抵抗の低下を防ぐとともに、良好なハンダ特性を得ることができる。
このように本実施の形態2では、複合メッキ層23の2層構造をメッキ処理ではなく加熱処理で構成するため、メッキ処理は前駆スズメッキ層21Xの形成時の1回のみで済む。このため、製造工程の簡略化が期待できる。
【0029】
また本実施の形態2では、フォトレジスト4の加熱処理をスズ銅合金メッキ層21の形成に合理的に利用しているので、スズ銅合金メッキ層21の形成のみを目的とした加熱処理を別途設ける必要がない。
従って、フォトレジスト4の硬化と複合メッキ層23の形成に関する工程時間を短縮でき、従来に比べて製造効率が飛躍的に向上される。また、前駆スズメッキ層21Xの形成後に発生しうるウイスカーを、前記加熱処理でフォトレジスト4の硬化と同時に抑制することも望める。
【0030】
具体的な効果としては、前駆スズメッキ層21Xを形成した後、これを加熱してスズ銅合金メッキ層21を形成する場合は120℃前後で2時間程度の加熱処理が必要とされているが、本実施の形態2の加熱処理では、約90℃で1時間程度の条件で実施することができる。
また、このような条件であっても、ウイスカーが発生するまでの時間を3日程度に延ばすことができ、十分な効果が奏される。
【0031】
なお、ここではフォトレジスト4の加熱処理とスズ銅合金メッキ層21の形成を同時に行う製造工程について例示したが、製造時間の短縮等がそれほど問題にならない場合には、フォトレジストと合金の形成についての加熱処理を、別途それぞれ行うことも可能である。
また、フォトレジスト材料塗布及び硬化処理と、前駆スズメッキ層21Xの加熱処理とは同一の製造ラインで処理することが望ましい。このようにすれば、従来のスズメッキ層から合金メッキ層へ変化させる加熱(キュア)条件には満たないが、当該工程後にソルダーレジストの硬化のための加熱(キュア)処理がなされるため、それまでの一時的なスズのホイスカの発生を抑制するには非常に効果的である。
【0032】
次にフォトリソグラフィー技術を用い、フォトレジスト層4に露光処理及び現像処理を行い、その後銅箔20Xのエッチングを行った後にレジスト剥離を行うことによって、微細なリード層25が形成される(図2(d))。
続いて、前記形成した複合メッキ層23の一部領域を覆うように、樹脂フィルム10の表面に対してウレタン系やポリイミド系からなるソルダーレジスト材料を塗布する。
【0033】
その後、所定の温度条件で加熱処理を行い、材料を硬化させてソルダーレジスト層30を形成する(図2(e))。
以上の手順を経ることにより、基材1が完成される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の電子部品搭載用基材は、IC、LSI、VLSI等を搭載するフレキシブル基板であるTCPへの用途が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1に係る電子部品搭載用基材の構成を示す図である。
【図2】実施の形態2に係る電子部品搭載用基材の製造プロセスを示す図である。
【図3】従来の電子部品搭載用基材の製造プロセスを示す図である。
【図4】従来の電子部品搭載用基材の製造プロセスを示す図である。
【図5】銅の過剰溶解のプロセスを説明するための図である。
【図6】従来のTCPの構成を示す正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 電子部品搭載用基材
4 フォトレジスト
10 樹脂フィルム
11 加工部
20X 銅箔(金属箔)
20 リード本体
21X 前駆スズメッキ層
21、200X 銅スズ合金メッキ層
22 スズメッキ層
23 複合メッキ層
24 エッチングギャップ
25 リード層
30 フォトレジスト
201X 浸蝕領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルム表面に対し、リード層と、当該リード層を上から一部被覆するようにソルダーレジスト層とが配設されてなる電子部品搭載用基材であって、
前記リード層は銅を含むリード本体を備え、
樹脂フィルムとの対向面を除き、少なくともソルダーレジスト層に被覆されていないリード層の部分では、前記リード本体表面に前駆スズメッキ層由来の複合メッキ層が積層され、
当該複合メッキ層は、リード本体との界面側に形成されたスズ銅合金メッキ層と、当該スズ銅合金メッキ層の上に配設されたスズメッキ層とで構成され、
スズ銅合金メッキ層は、前駆スズメッキ層の一部が熱変性してなるとともに、
前記スズメッキ層は前駆スズメッキ層が部分的に残存したものである
ことを特徴とする電子部品搭載用基材。
【請求項2】
リード本体が樹脂フィルム表面に直接密着して積層されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品搭載用基材。
【請求項3】
前記樹脂フィルムは、ポリイミドを主成分とする樹脂フィルムである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品搭載用基材。
【請求項4】
前記スズメッキ層の厚みは0.15μm以上0.8μm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子部品搭載用基材。
【請求項5】
前記スズ銅合金メッキ層の厚みは0.05μm以上0.70μm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子部品搭載用基材。
【請求項6】
前記リード本体の厚みは、9μm以上35μm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子部品搭載用基材。
【請求項7】
樹脂フィルムに金属箔を貼着する貼着工程と、貼着工程後に前記樹脂フィルム上の金属箔をメッキ処理して前駆スズメッキ層を形成するメッキ工程と、メッキ工程後に前記金属箔をフォトレジスト法によりパターニングしてリードを形成する配線形成工程と、前記リードの一部領域にソルダーレジスト材料を塗布するとともに、当該塗布したソルダーレジスト材料を硬化させるソルダーレジスト層形成工程とを経る電子部品搭載用基材の製造方法であって、
配線形成工程では、フォトレジスト材料を加熱硬化させるとともに、前記金属箔との界面部分の前駆スズメッキ層を熱変性させてスズ銅合金メッキ層を形成させ、
当該スズ銅合金メッキ層に変性した部分以外の前駆スズメッキ層部分をスズメッキ層として残存させる
ことを特徴とする電子部品搭載用基材の製造方法。
【請求項8】
前記メッキ工程では、無電解メッキ法又は電解メッキ法により前駆スズメッキ層を形成する
ことを特徴とする前記請求項7に記載の電子部品搭載用基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−198932(P2008−198932A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34992(P2007−34992)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】