説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】液晶装置における表示領域の外側の遮光性を向上させる。
【解決手段】遮光膜54は、TFTアレイ基板10上において、画像表示領域10aの外側に延びる周辺領域のうち額縁遮光膜53が形成された額縁領域の外側に形成されている。データ線駆動回路101及び引き回し配線90は、遮光膜54に覆われている。引回配線90は、外部回接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、及び上下導通端子106等とを電気的に接続している。遮光膜54は、額縁遮光膜53によって遮光しきれなかった入射光、及び当該遮光膜53及び額縁遮光膜54によってTFTアレイ基板1側に反射された反射光を額縁領域の外側で遮光できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶パネル等の電気光学装置、及び該電気光学装置を具備してなる液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置の一例である液晶装置では、例えば、画素電極や画素スイッチング用素子が形成される素子基板と、対向電極が形成される対向基板とが所定の隙間を介して、例えば紫外線硬化樹脂等のシール材によって貼り合わされ、これらの基板間に液晶が封入される。例えば、液晶装置を、液晶プロジェクタにおけるライトバルブとして用いる場合、ライトバルブの表面にごみや埃等(以下、単に「粉塵」という。)が付着すると、映写幕上にその粉塵の像もまた投影されてしまうことで、画像の品質を低下させる可能性がある。このため、液晶装置を構成する基板の外側表面に防塵用基板が設けられることが多い。
【0003】
また、対向基板には、液晶装置における表示領域の額縁(即ち、表示の外枠)を規定する額縁遮光膜が設けられるのが一般的である。加えて、防塵用基板には、額縁遮光膜の外側から素子基板に入射する光を遮るために、額縁遮光膜の外側に額縁遮光膜とは別の遮光膜が形成されることもある(特許文献1参照。)。このような遮光膜は、額縁遮光膜の外側において素子基板の表面或いはその内部に形成された端子、配線及び各種回路等のパターンの像が映写幕上に投影されることを防止するために設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−295683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、額縁遮光膜によって反射された光が、素子基板側で反射され、当該反射された光が防塵用基板に設けられた遮光膜によって再度反射された場合、再度反射された光によって、素子基板に設けられた回路部或いは端子等のパターンの像が映写幕に投影されてしまい、液晶プロジェクタ等の表示品位を低下させてしまう問題点がある。加えて、特許文献1に開示されているように、防塵用基板に遮光膜を設けた場合、液晶パネル等の電気光学装置、及び液晶プロジェクタ等の電子機器の製造コストを増大させてしまう問題点もある。
【0006】
よって、本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、製造コストを増大させることなく、表示領域の外側の遮光性を向上させることが可能な電気光学装置、及びこれを備えた電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、素子基板上の表示領域を構成する複数の画素部と、前記素子基板上において、前記画素部の一部及び前記素子基板上に形成された配線のうち少なくとも一つを構成する遮光性導電膜と同層に形成されており、前記表示領域の外側に位置する周辺領域に重なる遮光膜とを備える。
【0008】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置によれば、素子基板及び対向基板間には、例えば液晶等の電気光学物質が挟持されている。素子基板上の表示領域は、マトリクス状に配置された複数の画素部によって構成されている。このような画素部は、例えばTFT等の半導体素子を含んでおり、表示領域に延びる配線に電気的に接続されている。尚、素子基板は、例えばガラス基板或いは石英基板等の透明基板及びこの透明基板上に絶縁膜を含む多層構造が形成されたものであってもよい。
【0009】
遮光性導電膜は、例えば、画素部の一部であるTFT等の素子の一部、及び当該TFT等の素子に電気的に接続された配線のうち少なくとも一つを構成している。
【0010】
遮光膜は、遮光性導電膜と同層に、例えば遮光性導電膜を形成する工程と同一工程によって、形成されている。このような遮光膜は、素子基板上において、表示領域の外側に延びる周辺領域に重なるように形成されている。
【0011】
したがって、遮光膜は、素子基板上における周辺領域に入射する光を遮ることができ、電気光学装置の表示品位を高めることが可能である。このような遮光膜によれば、周辺領域において、素子基板の表面、或いは内部に設けられた端子等のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。より具体的には、遮光膜によれば、例えば防塵用基板に設けられた遮光膜によって反射された反射光が周辺領域に入射した場合でも、当該反射光が周辺領域から素子基板に入射することを低減でき、上述したパターンの像が映写膜に投影されることを低減することが可能である。
【0012】
加えて、遮光膜は、画素部の一部及び電気的に接続された配線のうち少なくとも一つを構成する遮光導電膜と同層に形成されているため、別途防塵用基板に遮光膜を形成する場合に比べて、工程数を増大させることなく形成可能である。特に、遮光性導電膜を形成する工程と同一工程によって当該遮光性導電膜と同一膜として形成されることによって、一の工程で遮光性導電膜及び遮光膜の2つの膜を形成でき、別途防塵用基板に遮光膜を形成する場合に比べて電気光学装置の製造に要するコストを低減できる。
【0013】
よって、本発明の第1の発明に係る電気光学装置によれば、電気光学装置の表示品位を高めることができると共に、当該電気光学装置の製造に要するコストを低減することが可能である。
【0014】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の一の態様では、前記素子基板に対向配置された対向基板と、前記対向基板に設けられており、前記画素部が有する画素電極と対向配置された対向電極とを備え、前記遮光膜の電位は、前記対向電極の電位と同電位であってもよい。
【0015】
この態様では、例えば定電位とされる対向電極の対向電極電位と遮光膜の電位とを同電位に維持することによって、電気光学装置の表示品位を高めることが可能である。より具体的には、遮光膜は、例えば対向電極に定電位を供給する電源、或いは複数の対向電極に定電位を供給するための固定電位線に電気的に接続されている。対向電極と同電位とされる遮光膜によれば、対向基板に設けられた配線等に遮光膜が接触している場合でも、電気光学装置の動作時に、液晶等の電気光学物質に印加される電圧に直流成分が加わることを低減でき、画素部が備える画素電極及び対向電極間の電位差に応じて液晶等の所定の配向制御がなされる。このような配向制御によって表示領域に所定の画像が表示可能となる。
【0016】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記遮光膜は、前記対向電極に電気的に接続されていてもよい。
【0017】
この態様によれば、対向電極及び画素部を電気的に接続する上下導通端子を設けることなく、遮光膜を介して対向電極及び画素部を相互に電気的に接続可能である。この態様によれば、電気光学装置に上下導通端子を形成する工程が不要となり、電気光学装置の製造コストを低減できる。
【0018】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記素子基板上において前記周辺領域のうち前記遮光膜が形成された領域より外側に形成されており、前記遮光膜と電気的に接続された入力端子を備え、前記遮光膜は、前記遮光性導電膜と電気的に接続されていてもよい。
【0019】
この態様によれば、入力端子、遮光膜、及び遮光性導電膜が電気的に接続されていることになり、入力端子を介して装置外部から画素部又は配線に電位を供給可能である。
【0020】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記遮光膜は、前記周辺領域のうち前記表示領域を規定する額縁領域において、前記表示領域を囲うように形成されていてもよい。
【0021】
この態様によれば、遮光膜によって表示領域を規定できるため、別途額縁遮光膜を設ける必要がない。したがって、額縁遮光膜を設けない分、電気光学装置の製造コストを低減できる。
【0022】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記対向基板に設けられており、且つ前記表示領域を規定する額縁遮光膜とを備え、前記遮光膜は、前記周辺領域のうち前記額縁遮光膜が形成された額縁領域の外側に形成されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、額縁遮光膜に遮光しきれなかった入射光、及び当該遮光膜で反射された光が再度額縁遮光膜によって反射されることによって額縁領域の外側に照射された場合でも、当該光を遮光できる。したがって、周辺領域のうち額縁領域の外側から素子基板に入射する光を遮ることができ、端子等のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。
【0024】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記画素の一部は、前記画素部に供給された画像信号を保持する保持容量が有する一対の電極のうち一方の電極であってもよい。
【0025】
この態様によれば、素子基板に作り込まれた保持容量が有する一対の電極の一方の電極、容量配線、又はデータ線と同一膜として遮光膜が形成されている。このような電極、容量配線、及びデータ線は、電気光学装置を動作させるために必須となる回路に含まれる要素である。したがって、これら要素と同一膜として遮光膜を形成することによって、これら要素とは別の工程によって遮光膜を形成する必要がない、したがって、工程数を増大させることなく、電気光学装置の表示品位を高めることが可能となる。
【0026】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、
前記配線は、前記画素部に供給された画像信号を保持する保持容量が有する一対の電極のうち一方の電極に電気的に接続された容量配線、又は前記画像信号を供給するデータ線であってもよい。
【0027】
この態様によれば、素子基板上における配線のレイアウトを簡便な構成にできる。
【0028】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記遮光性導電膜は、前記素子基板上で互いに異なる層に形成された複数の金属膜のうち最上層に形成された一の金属膜であり、前記遮光膜は、前記一の金属膜と同一膜であってもよい。
【0029】
この態様によれば、一の金属膜の下層側に形成された部分に照射される光を遮ることが可能である。したがって、素子基板に形成された各種配線及び素子等のうち一の金属膜の下層側に形成された配線等が映写幕に投影されることを確実に防止できる。尚、この態様における“金属膜”とは、単層或いは多層構造を有する金属膜のみに限定されず、金属膜、及び当該金属膜に積層された窒化物或いは酸化物からなる遮光性を有する膜を含む多層膜も意味する。
【0030】
この態様では、前記周辺領域において、前記複数の金属膜のうち前記一の金属膜の下層側に形成された他の金属膜と同層に形成された金属膜を含む周辺回路部を備えていてもよい。
【0031】
この態様によれば、例えばデータ線駆動回路等の周辺回路部の一部として他の金属膜と同層に形成された金属膜を共用でき、且つ一の金属膜と同一膜とされる遮光膜によって、データ線駆動回路等に含まれるトランジスタに生じる光リーク電流を低減できる。
【0032】
本発明の第1の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記周辺領域において、前記一の金属膜の下層側に形成された半導体膜と同層に形成された半導体膜を含む周辺回路部を備えていてもよい。
【0033】
この態様によれば、一の金属膜の下層側に形成された半導体膜と同層に形成された半導体膜を含むデータ線駆動回路等の周辺回路部を遮光膜によって遮光できる。したがって、データ線駆動回路等の一部を構成するトランジスタに生じる光リーク電流を低減できる。
【0034】
本発明の第2の発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、素子基板上の表示領域を構成する複数の画素部と、前記素子基板上において、前記表示領域の外枠を規定する額縁遮光膜であるとともに、所定の電位が供給される配線でもある遮光膜とを備えている。
【0035】
本発明の第2の発明に係る電気光学装置によれば、本発明の第1の発明に係る電気光学装置と同様に、電気光学装置の表示品位を高めることができると共に、素子基板上に配線を形成する工程とは別の工程によって遮光膜を形成する必要がない、したがって、電気光学装置の製造コストを低減できる。
【0036】
本発明の第1及び第2の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記遮光膜は、光反射防止膜を含んでいてもよい。
【0037】
この態様によれば、例えば金属膜のみによって遮光膜を形成する場合に比べて、遮光膜によって反射される反射光を低減できる。したがって、遮光膜によって反射された反射光に起因して素子基板に入射する光を低減できる。
【0038】
本発明の第1及び第2の発明に係る電気光学装置の他の態様では、前記遮光膜のOD値は、4以上であってもよい。
【0039】
この態様によれば、遮光膜によって反射される反射光を十分に低減でき、素子基板に入射する光を低減できる。
【0040】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を備えている。
【0041】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品位の表示が可能な、液晶プロジェクタ等の投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
【0042】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II´線断面図である。
【図3】第1実施形態に係る電気光学装置の画像表示領域に形成された画素部における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図4】第1実施形態に係る電気光学装置の積層構造のうち下層部分を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る電気光学装置の積層構造のうち上層部分を示す図である。
【図6】図4及び図5を重ね合わせた拡大図である。
【図7】図4及び図5の夫々におけるVII−VII´線断面図である。
【図8】第1実施形態に係る電気光学装置の一変形例に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図9】図8のIX−IX´線断面図である。
【図10】第1実施形態に係る電気光学装置の他の変形例に係る液晶装置の構成を示す平面図である。
【図11】図10のXI−XI´線断面図である。
【図12】第2実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図である。
【図13】第2実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を表す部分平面図(その1)である。
【図14】第2実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を表す部分平面図(その2)である。
【図15】図13及び図14のXV−XV´線断面図である。
【図16】第3実施形態に係る電気光学装置の構成を示す平面図である。
【図17】本発明に係る電子機器の一実施形態に係る液晶プロジェクタの構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
<第1実施形態>
<1−1:電気光学装置の全体構成>
先ず、図1及び図2を参照しながら、本実施形態に係る電気光学装置の一例である液晶装置の全体構成を説明する。図1は、本実施形態に係る液晶装置の構成を示す平面図であり、図2は、図1のII−II´線断面図である。本実施形態に係る液晶装置1は、TFTアレイ基板10上において、後に詳細に説明する画素部72の一部及び画素部72に電気的に接続された配線と同層に形成された、本発明の第1の発明に係る「遮光膜」の一例である遮光膜54を備えている点に特徴を有している。
【0045】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置1では、本発明の第1の発明に係る「素子基板」の一例であるTFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、本発明の第1の発明に係る「表示領域」の一例である画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。TFTアレイ基板10の下面には、ガラス等の透明材料で構成された防塵用基板120bが配置されており、対向基板20の上面には、防塵用基板120bと同様の材料で構成された防塵用基板120aが配置されている。
【0046】
TFTアレイ基板10上における画像表示領域10aには、後に詳細に説明するようにマトリクス状に配置された複数の画素部72が形成されている。このような画素部72は、例えばスイッチング素子としてのTFT等の半導体素子を含んでおり、画像表示領域10aに延びる走査線及びデータ線に電気的に接続されている。尚、TFTアレイ基板10は、例えばガラス基板或いは石英基板等の透明基板及びこの透明基板上に絶縁膜を含む多層構造が形成された基板である。対向基板20も、TFTアレイ基板10と同様にガラス基板等の透明基板、及び当該透明基板上に形成された多層構造を有している。
【0047】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域のうち画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。TFTアレイ基板10上において、額縁遮光膜53が形成された額縁領域に重なる領域にサンプリング回路7及び走査線駆動回路104が形成されている。したがって、サンプリング回路7及び走査線駆動回路104は、額縁遮光膜53によって遮光されている。
【0048】
画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、本発明の「入力端子」の一例である外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に延びる額縁領域に重なるように、サンプリング回路7が設けられている。走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に延びる額縁領域に設けられている。TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これら上下導通端子106により、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0049】
図1及び図2において、遮光膜54は、TFTアレイ基板10上において、画像表示領域10aの外側に延びる周辺領域のうち額縁遮光膜53が形成された額縁領域の外側に形成されている。データ線駆動回路101及び引回配線90は、遮光膜54に覆われている。引回配線90は、外部回接続端子102と、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104、上下導通端子106等とを電気的に接続している。尚、図2において、遮光膜54及びデータ線駆動回路101は、不図示の絶縁膜によって相互に電気的に絶縁されている。このような絶縁膜は、後述する各変形例及び各実施形態でも同様に設けられている。
【0050】
遮光膜54は、額縁遮光膜53によって遮光しきれなかった入射光、及び遮光膜54で反射された光が額縁遮光膜53によって反射され、額縁領域の外側からTFTアレイ基板10に入射する当該反射光を遮る。したがって、画像表示領域10aの周辺領域において、TFTアレイ基板10に作り込まれた回路部、素子、配線或いは端子等のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。例えば、データ線駆動回路101及び引回配線90に照射される光が遮光膜54によって遮られるため、データ線駆動回路101及び引回配線90のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。
【0051】
加えて、遮光膜54は、防塵用基板120aに遮光膜が設けられている場合に、防塵用基板120aに設けられた遮光膜によって反射された反射光が周辺領域に入射したとしても、当該反射光が周辺領域からTFTアレイ基板10に入射することを低減でき、上述したパターンの像が映写膜に投影されることを低減することが可能である。
【0052】
遮光膜54は、画像表示領域10aに設けられた画素部の一部及び当該画素部に電気的に接続された配線を含むTFTアレイ基板上に形成された配線のうち少なくとも一方を構成する遮光導電膜と同層に形成されているため、別途防塵用基板に遮光膜を形成する場合に比べて、簡便に形成可能である。特に、このような遮光性導電膜を形成する工程と同一工程によって当該遮光性導電膜と同一膜として遮光膜54は形成されているため、一の工程で遮光性導電膜及び遮光膜54の2つの膜を形成でき、別途防塵用基板120aに遮光膜を形成する場合に比べて液晶装置1の製造に要するコストを低減できる。
【0053】
遮光膜54は、遮光性を有する金属膜からなる単層或いは複数の金属膜が相互に積層された多層構造を有する膜であってもよいし、当該金属膜に加えて光反射防止膜を含んでいてもよい。遮光膜54が光反射膜防止膜を含んでいる場合には、金属膜のみによって遮光膜54が形成されている場合に比べて、遮光膜54によって反射される反射光を低減できる。したがって、遮光膜によって反射された反射光のうちTFTアレイ基板10に入射する迷光の割合を低減できる。特に、遮光膜54によって反射される反射光を実践的に十分に低減するためには、遮光膜54のOD(Optical Density)値を4以上にしておくほうが好ましい。
【0054】
遮光膜54及び対向電極21は、対向電極電位線99及び上下導通端子106を介して相互に電気的に接続されている。上下導通端子106は、外部接続端子102のうち対向電極電位(LCCOM)を供給する電源に電気的に接続された外部接続端子102に対向電極電位線99を介して電気的に接続されている。したがって、遮光膜54及び対向電極21の夫々の電位は同電位である。よって額縁領域にある液晶(遮光膜54と対向電極との間にあり、表示に寄与しない液晶分子)は常に電圧無印加状態であり、画像表示領域10a(特に額縁に沿った領域)の液晶に余分な電圧が印加されることがないので、表示に悪影響を及ぼすことがない。
【0055】
また、額縁の液晶に直流成分が印加されることがないので、液晶が劣化することがない。何故なら、額縁領域の液晶が劣化すると、画像表示領域10aの液晶にも劣化が伝播してしまうからである。
【0056】
図2において、TFTアレイ基板10上には、液晶を配向制御するための駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9aが設けられている。他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、画像表示領域10aにおける各画素の開口領域、即ち画素において実質的に光が透過する領域を規定する不図示の遮光膜が形成されている。対向基板20におけるTFTアレイ基板10に臨む側の面には、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成されている。配向膜16及び22の夫々は、TFTアレイ基板10及び対向基板20の夫々に形成されている。
【0057】
液晶層50は、画素電極9a及び対向電極21間の電位差、即ち液晶に印加される印加電圧に応じて配向状態が制御され、画像表示領域10aに所定の画像が表示される。尚、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路、検査用パターン等が形成されていてもよい。
【0058】
<1−2:画素部の電気的な接続構成及び動作原理>
次に、図3を参照しながら、TFTアレイ基板10上における画像表示領域10aに形成された画素部72の電気的な接続構成及び動作原理を説明する。図3は、液晶装置1の画像表示領域10aに形成された画素部72における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0059】
図3において、液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素部72には、それぞれ、画素電極9aと、この画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0060】
TFT30のゲートに走査線11aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0061】
画素電極9aを介して電気光学物質の一例である液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶50は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置1からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0062】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に保持容量70が付加されている。保持容量70の一方の電極は、画素電極9aと並列してTFT30のドレインに接続され、他方の電極は、定電位となるように、固定電位が供給される容量配線400に接続されている。
【0063】
<1−3:画素部の具体的な構成>
次に、図4乃至図7を参照しながら、液晶装置1の画素部の具体的な構成を説明する。図4乃至図6は、TFTアレイ基板10上の画素部に係る部分構成を表す平面図である。図4及び図5は、夫々、後述する積層構造のうち下層部分(図4)と上層部分(図5)に相当する。図6は、積層構造を拡大した平面図であり、図4及び図5を重ね合わせたようになっている。図7は、図4及び図5を重ね合わせた場合のVII−VII´線断面図である。尚、図7においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0064】
図4乃至図7では、上述した画素部72の各回路要素が、パターン化され、積層された導電膜としてTFTアレイ基板10上に構築されている。各回路要素は、下から順に、走査線11aを含む第1層、TFT30等を含む第2層、データ線6a等を含む第3層、保持容量70等を含む第4層、画素電極9a等を含む第5層からなる。また、第1層−第2層間には下地絶縁膜12、第2層−第3層間には第1層間絶縁膜41、第3層−第4層間には第2層間絶縁膜42、第4層−第5層間には第3層間絶縁膜43がそれぞれ設けられ、前述の各要素間が短絡することを防止している。尚、このうち、第1層から第3層が下層部分として図4に示され、第4層から第5層が上層部分として図5に示されている。
【0065】
(第1層の構成―走査線等―)
第1層は、走査線11aで構成されている。走査線11aは、図4のX方向に沿って延びる本線部と、データ線6aが延在する図4のY方向に延びる突出部とからなる形状にパターニングされている。走査線11aは、例えば導電性ポリシリコンからなり、その他にもチタン(Ti)、クロム(Cr)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド又はこれらの積層体等により形成することができる。本実施形態では特に、走査線11aは、TFT30の下層側に、チャネル領域1aに対向する領域を含むように配置された導電膜である。このため、TFTアレイ基板10における裏面反射や、液晶装置をライトバルブとして用いて複板式のプロジェクタを構築した場合に、他の液晶装置から発せられプリズム等の合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光についても、走査線11aによりチャネル領域1aを下層側から遮光できる。
【0066】
(第2層の構成―TFT等―)
第2層は、TFT30で構成されている。TFT30は、例えばLDD(Lightly Doped Drain)構造とされ、ゲート電極3a、半導体層1a、ゲート電極3aと半導体層1aを絶縁するゲート絶縁膜を含んだ絶縁膜2を備えている。ゲート電極3aは、例えば導電性ポリシリコンで形成される。半導体層1aは、例えばポリシリコンからなり、チャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eからなる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。
【0067】
TFT30のゲート電極3aは、その一部分3bにおいて、下地絶縁膜12に形成されたコンタクトホール12cvを介して走査線11aに電気的に接続されている。下地絶縁膜12は、例えばシリコン酸化膜等からなり、第1層と第2層の層間絶縁機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることで、基板表面の研磨による荒れや汚れ等が惹き起こすTFT30の素子特性の変化を防止する機能を有している。尚、本実施形態に係るTFT30は、トップゲート型であるが、ボトムゲート型であってもかまわない。
【0068】
(第3層の構成―データ線等―)
第3層は、データ線6a及び中継層600で構成されている。
【0069】
データ線6aは、下から順にアルミニウム、窒化チタン、窒化シリコンの3層膜として形成されている。データ線6aは、TFT30のチャネル領域1a´を部分的に覆うように形成されている。このため、チャネル領域1a´に近接配置可能なデータ線6aによって、上層側からの入射光に対して、TFT30のチャネル領域1a´を遮光できる。また、データ線6aは、第1層間絶縁膜41を貫通するコンタクトホール81を介して、TFT30の高濃度ソース領域1dと電気的に接続されている。
【0070】
中継層600は、データ線6aと同一膜として形成されている。中継層600とデータ線6aとは、図4に示したように、夫々が分断されるように形成されている。また、中継層600は、第1層間絶縁膜41を貫通するコンタクトホール83を介して、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されている。
【0071】
第1層間絶縁膜41は、例えばNSG(ノンシリケートガラス)によって形成されている。その他、第1層間絶縁膜41には、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。
【0072】
(第4層の構成―保持容量等―)
第4層は、保持容量70で構成されている。保持容量70は、容量電極300と下部電極71とが誘電体膜75を介して対向配置された構成となっている。容量電極300及び下部電極71が、本発明の第1の発明に係る「一対の電極」の一例である。容量電極300の延在部は、第2層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール84を介して、中継層600と電気的に接続されている。
【0073】
容量電極300及び下部電極71は、例えば、Al、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の金属のうちの少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、ナイトライドこれらを積層したものからなる。このため、データ線6a上に層間絶縁膜42を介して近接配置可能な保持容量70によって、上層側からの入射光に対してTFT30のチャネル領域1a´を、より一層確実に遮光できる。
【0074】
加えて、図5に示すように、容量電極300は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、下部電極71よりも小さい領域に形成されている。即ち、下部電極71の縁付近において、誘電体膜75を介して対向する側に容量電極300が形成されていないので、縁付近における製造不良でショートが生じる可能性や、電界集中により欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0075】
図5に示すように、誘電体膜75は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て画素毎の開口領域の間隙に位置する非開口領域に形成されている。即ち、誘電体膜75は、開口領域に殆ど形成されていない。よって、誘電体膜75が、仮に不透明な膜であっても、開口領域における透過率を低下させないで済む。従って、誘電体膜75は、透過率を考慮せず、誘電率が高いシリコン窒化膜等から形成されている。このため更に、誘電体膜75は、水分や湿気を防ぐための膜としても機能させることが可能となり、耐水性、耐湿性を高めることも可能となる。尚、誘電体膜としては、シリコン窒化膜の他、例えば、酸化ハフニュウム(HfO2)、アルミナ(Al23)、酸化タンタル(Ta25)等の単層膜又は多層膜を用いてもよい。
【0076】
(第5層の構成―画素電極等―)
第4層の全面には第3層間絶縁膜43が形成され、更にその上に、第5層として画素電極9aが形成されている。第3層間絶縁膜43は、例えばNSGによって形成されている。その他、第3層間絶縁膜43には、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。第3層間絶縁膜43の表面は、第2層間絶縁膜42と同様にCMP等の平坦化処理がなされている。
【0077】
画素電極9a(図5中、破線9a´で輪郭が示されている)は、縦横に区画配列された画素領域の各々に配置され、その境界にデータ線6a及び走査線11aが格子状に配列するように形成されている(図4及び図5参照)。また、画素電極9aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性膜からなる。
【0078】
画素電極9aは、層間絶縁膜43を貫通するコンタクトホール85を介して、容量電極300の延在部と電気的に接続されている(図7参照)。よって、画素電極9aの直下の導電膜である容量電極300の電位は、画素電位となっている。従って、液晶装置の動作時に、画素電極9aとその下層の導電膜との間の寄生容量により、画素電位が悪影響を受けることはない。
【0079】
更に上述したように、容量電極300の延在部及び中継層600と、中継層600及びTFT30の高濃度ドレイン領域1eとは、夫々コンタクトホール84及び83を介して、電気的に接続されている。即ち、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとは、中継層600及び容量電極300の延在部を中継して中継接続されている。従って、画素電極及びドレイン間の層間距離が長くて一つのコンタクトホールで両者間を接続するのが困難となる事態を回避できる。しかも、積層構造及び製造工程の複雑化を招かない。画素電極9aの上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。以上が、TFTアレイ基板10側の画素部の構成である。
【0080】
他方、対向基板20には、その対向面の全面に対向電極21が設けられており、更にその上(図7では対向電極21の下側)に配向膜22が設けられている。対向電極21は、画素電極9aと同様、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。尚、対向基板20と対向電極21の間には、TFT30における光リーク電流の発生等を防止するため、少なくともTFT30と正対する領域を覆うように遮光膜23が設けられている。
【0081】
このように構成されたTFTアレイ基板10と対向基板20の間には、液晶層50が設けられている。液晶層50は、基板10及び20の周縁部をシール材により封止して形成した空間に液晶を封入して形成される。液晶層50は、画素電極9aと対向電極21との間に電界が印加されていない状態において、ラビング処理等の配向処理が施された配向膜16及び配向膜22によって、所定の配向状態をとるようになっている。
【0082】
以上に説明した画素部の構成は、図4及び図5に示すように、各画素部に共通である。前述の画像表示領域10a(図1参照)には、かかる画素部が周期的に形成されていることになる。他方、このような液晶装置1では、画像表示領域10aの周囲に位置する周辺領域に、図1及び図2を参照して説明したように、走査線駆動回路104及びデータ線駆動回路101等の駆動回路が形成されている。
【0083】
このような画素部72を有する液晶装置1において、容量電極300、下部電極71及びデータ線6aが、本発明の第1の発明に係る「複数の金属膜」の一例である。容量電極300、下部電極71及びデータ線6aは、TFTアレイ基板10上において互いに異なる層に形成されており、容量電極300、下部電極71及びデータ線6aのうち最上層に形成された容量電極300が、本発明の第1の発明に係る「一の金属膜」の一例である。本実施形態では、容量電極300が、本発明の第1の発明に係る「遮光性導電膜」の一例として選択されている。
【0084】
図1乃至図2に示した遮光膜54は、TFTアレイ基板10上において、容量電極300と同層に同一膜として形成されている。したがって、遮光膜54によれば、画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域において、下部電極71及びデータ線6aの夫々と同層に同一膜として形成された金属膜で構成された配線或いは当該金属膜を含む各種素子に照射される光を遮ることが可能である。したがって、遮光膜54は、これら配線或いは各種素子のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。
【0085】
遮光膜54は、TFTアレイ基板10上に形成された複数の金属膜のうち最上層に形成された容量電極300と同層に形成されていなくてもよく、例えば、画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域において、下部電極71或いはデータ線6aと同層に同一膜として形成されていてもよいし、図3に示した容量配線400と同層に形成された同一膜であってもよい。遮光膜54が、複数の金属膜のうち最上層に形成された金属膜より下層側に形成された金属膜と同層に形成された膜であっても、周辺領域に設けられた配線或いは各種素子等のパターンの像が映写幕に投影されることを低減する効果は相応に得られる。
【0086】
加えて、遮光膜54は、不図示の配線を介して上下導通端子106に電気的に接続されているため、固定電位を供給する電源に電気的に接続された外部接続端子102を介して固定電位が供給されている。したがって、遮光膜54が下部電極71と同層に形成されている場合、下部電極71及び遮光膜54を電気的に接続しておくことにより、固定電位を供給する配線として遮光膜54を共用し、下部電極71に固定電位を供給することも可能である。
【0087】
液晶装置1は、TFTアレイ基板10上において、下部電極71及びデータ線6aと同層に同一膜として形成された金属膜を画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域に有している。このような金属膜は、図1及び図2に示した本発明の第1の発明に係る「周辺回路部」の夫々一例であるデータ線駆動回路101或いはサンプリング回路7の構成要素として、データ線駆動回路101或いはサンプリング回路7に含まれている。
【0088】
したがって、液晶装置1によれば、下部電極71或いはデータ線6aのように、遮光膜54と同層に形成されていない金属膜と同層に形成された金属膜を利用して周辺領域に配線或いは各種素子、又は端子等を形成することができ、液晶装置1の表示品位の向上を可能としつつ、同一工程によって画素部及び周辺回路部を形成できる。このような液晶装置1によれば、製造工程を簡便化することによって、表示品位を向上させつつ、液晶装置1の製造コストを低減できる。加えて、図2に示した防塵用基板120aに遮光膜を形成しなくても、上述した周辺領域においてTFTアレイ基板10を遮光できる。したがって、防塵用基板120aに遮光膜を形成する工程をなくすことができ、液晶装置1の製造に要する製造コストを低減できる。
【0089】
また、遮光膜54によれば、データ線駆動回路101或いはサンプリング回路7に含まれるTFT等のトランジスタに光が照射されることを低減でき、当該トランジスタに生じる光リーク電流を低減することも可能である。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る電気光学装置によれば、電気光学装置の表示品位を高めることができると共に、当該電気光学装置の製造に要するコストを低減することが可能である。
【0091】
(変形例1)
次に、図8及び図9を参照しながら、本実施形態に係る電気光学装置の一変形例を説明する。尚、以下で説明する各変形例及び実施形態に係る液晶装置では、液晶装置1と共通する部分に共通の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。図8は、本例に係る液晶装置1Aの構成を示す平面図であり、図9は、図8のIX−IX´線断面図である。
【0092】
図8において、本例に係る液晶装置1Aは、画像表示領域10aを規定する額縁領域に形成された遮光膜54aを備えており、遮光膜54aの外側に配置されたシール材52によってTFTアレイ基板10及び対向基板20が相互に接着されている。遮光膜54aは、上述した遮光膜54と同様に、容量電極300、下部電極71或いはデータ線6aの何れか一つの金属膜と同層に同一膜として形成されている。画像表示領域10aの周辺領域に形成されたデータ線駆動回路101等の映写幕への写り込みをより効果的に低減するためには、遮光膜54aは容量電極300と同層に同一膜として形成されているほうが好ましい。
【0093】
また、図8に示すように、遮光膜54aは、走査線駆動回路104、データ線駆動回路101及びサンプリング回路7を覆うように形成されているため、これら各回路のパターンの像が映写幕に写り込むことを低減できる。
【0094】
図8及び図9に示すように、遮光膜54aは、シール材52に重ならないように形成されている。したがって、シール材52として紫外線硬化樹脂を用いた場合、TFTアレイ基板10及び対向基板20を相互に重ね合わせた状態でシール材52に照射された紫外線が遮光膜54aによって遮られることがなく、TFTアレイ基板10に遮光膜54aが形成された状態で、TFTアレイ基板10及び対向基板20相互を接着することが可能である。加えて、遮光膜54aによって画像表示領域10aを規定できるため、別途額縁遮光膜を設ける必要がなく、電気光学装置の製造コストを低減できる。
【0095】
(変形例2)
次に、図10及び図11を参照しながら、本実施形態に係る電気光学装置の他の変形例を説明する。図10は、本例に係る液晶装置1Bの構成を示す平面図であり、図11は、図10のXI−XI´線断面図である。
【0096】
図10及び図11に示すように、本例に係る液晶装置1Bは、画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域において、対向基板20に遮光膜が形成されておらず、TFTアレイ基板10側でシール材52に重なる遮光膜54bを有している点に特徴を有している。
【0097】
図10及び図11において、遮光膜54bは、TFTアレイ基板10及び対向基板20が相互に重なる領域のうち画素電極9aが配列された画像表示量領域10aの外側全体に延在されており、且つシール材52の下側に延在されている。遮光膜54bは、TFTアレイ基板10に形成されたデータ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104、及び引回配線90を覆っている。したがって、液晶装置1Bによれば、画像表示領域10aの周辺領域において、外部回路接続端子102を除いたデータ線駆動回路101等の回路部及び引回配線90全体が遮光膜54bによって覆われているため、周辺領域において対向基板20側に遮光膜を設けなくても、TFTアレイ基板10に入射する光を低減でき、データ線駆動回路101等が映写幕に写り込むことを低減することが可能である。さらに、本変形例によれば、図1における対向電極電位線99を遮光膜54aが兼ねており、配線数を削減することが可能である。
【0098】
<第2実施形態>
次に、図12乃至図15を参照しながら、本発明の第2の発明に係る電気光学装置の実施形態を説明する。尚、本実施形態に係る電気光学装置は、画素部の構成が第1実施形態に係る電気光学装置と異なるため、特に、当該画素部の構成を詳細に説明する。図12は、本実施形態に係る電気光学装置の一例である液晶装置1Cの平面図である。図13及び図14は、本実施形態に係る電気光学装置の具体的な構成を表す部分平面図である。図15は、図13及び図14のXV−XV´線断面図である。
【0099】
<2−1:電気光学装置の全体構成>
図12において、液晶装置1Cは、図1に示した遮光膜54と同様に画像表示領域10aの周辺に延びる周辺領域に重なる遮光膜54cを備えている。遮光膜54cは、後述するように、TFTアレイ基板10上に形成された容量配線400と同層に同一膜として形成された遮光性導電膜であり、画像表示領域10aから周辺領域に渡って延在されている。したがって、遮光膜54cによれば、第1実施形態で説明した遮光膜54、54a及び54bと同様に、画像表示領域10aの周辺領域においてTFTアレイ基板10に入射する光を遮光でき、当該周辺領域に形成された配線及び各種素子、並びに回路部をパターンの像が映写幕に写り込むことを低減できる。
【0100】
<2−2:画素部の具体的な構成>
図13乃至図15において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に形成されている。本実施形態に係る電気光学装置が備える回路要素は画素電極9aを駆動するために設けられ、ここでは、TFTアレイ基板10の直上から画素電極9aの直下までの範囲内に積層された、走査線11aから第4層間絶縁膜44までを指している(図15参照)。画素電極9a(図中、破線9a´で輪郭が示されている)は縦横に区画配列された画素領域の各々に配置され、その境界にデータ線6a及び走査線11aが格子状に配列するように形成されている(図13及び図14参照)。
【0101】
各回路要素を構成するパターニングされた導電膜は、下から順に走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを含む第2層、保持容量70の固定電位側容量電極を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、本発明の「遮光性導電膜」の一例である容量配線400等を含む第5層からなる。また、第1層−第2層間には下地絶縁膜12、第2層−第3層間には第1層間絶縁膜41、第3層−第4層間には第2層間絶縁膜42、第4層−第5層間には第3層間絶縁膜43、第5層と画素電極9aの間には第4層間絶縁膜44が夫々設けられ、前述の各要素間が短絡することを防止している。尚、このうち、第1層から第3層が下層部分として図13に示され、第4層、第5層及び画素電極9aが上層部分として図14に示されている。
【0102】
(第1層の構成−走査線等−)
第1層は、走査線11aで構成される。走査線11aは、図13のX方向に沿って延びる本線部と、データ線6a或いは容量配線400が延在する図13のY方向に延びる突出部とからなる形状にパターニングされている。このような走査線11aは、例えば導電性ポリシリコンからなり、その他にもTi、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド又はこれらの積層体等により形成することができる。
【0103】
(第2層の構成−TFT等−)
第2層は、TFT30及び中継電極719で構成されている。TFT30は、例えばLDD(Lightly Doped Drain)構造とされ、ゲート電極3a、半導体層1a、ゲート電極3aと半導体層1aを絶縁するゲート絶縁膜を含んだ絶縁膜2を備えている。ゲート電極3aは、例えば導電性ポリシリコンで形成される。半導体層1aは、チャネル領域1a´、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eからなる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成する自己整合型であってもよい。また、中継電極719は、例えばゲート電極3aと同一膜として形成される。
【0104】
TFT30のゲート電極3aは、下地絶縁膜12に形成されたコンタクトホール12cvを介して走査線11aに電気的に接続されている。下地絶縁膜12は、例えばシリコン酸化膜等からなり、第1層と第2層の層間絶縁機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることで、基板表面の研磨による荒れや汚れ等が惹き起こすTFT30の素子特性の変化を防止する機能を有している。
【0105】
(第3層の構成−保持容量等−)
第3層は、保持容量70で構成されている。保持容量70は、容量電極300と下部電極71とが誘電体層75を介して対向配置された構成となっている。このうち、容量電極300は、容量配線400に電気的に接続されている。下部電極71は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aの夫々に電気的に接続されている。
【0106】
下部電極71と高濃度ドレイン領域1eとは、第1層間絶縁膜41に開孔されたコンタクトホール83を介して接続されている。また、下部電極71と画素電極9aとは、コンタクトホール881、882、804、及び中継電極719、第2中継電極6a2、第3中継電極402により各層を中継し、コンタクトホール89において電気的に接続されている。
【0107】
このような下部電極71には、例えば導電性のポリシリコンが用いられ、誘電体層には酸化シリコンが用いられる。容量電極300は、例えばアルミニウム等の金属膜を含む単層構造或いは多層構造を有している。尚、容量電極300は、金属膜に窒化チタンを積層した二層構造となっていてもよい。また、容量電極300は、導電性ポリシリコンで構成されていてもよい。
【0108】
第1層間絶縁膜41は、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)によって形成されている。その他、第1層間絶縁膜41には、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等を用いることができる。
【0109】
尚、この場合の保持容量70は、図13の平面図からわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する画素領域に至らないように(遮光領域内に収まるように)形成されているので、画素の開口率が比較的大きく維持されている。
【0110】
(第4層の構成−データ線等−)
第4層は、データ線6aで構成されている。データ線6aは、アルミニウム等の金属膜を含む単層構造、或いは多層構造を有している。また、データ線6aは、下から順にアルミニウム、窒化チタン、窒化シリコンの三層膜として形成されていてもよい。窒化シリコン層は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターニングされている。第4層には、データ線6aと同一膜として、容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、図14に示したように、夫々が分断されるように形成されている。データ線6a、容量電極300、及び後述する容量配線400が、本発明の第1の発明に係る「複数の金属膜」の一例を構成している。
【0111】
データ線6aは、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール81を介して、TFT30の高濃度ソース領域1dと電気的に接続されている。
【0112】
容量配線用中継層6a1は、第2層間絶縁膜42に開孔されたコンタクトホール801を介して容量電極300と電気的に接続され、容量電極300と容量配線400との間を中継している。容量配線用中継層6a2は、前述したように、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42を貫通するコンタクトホール882を介して中継電極719に電気的に接続されている。このような層間絶縁膜42は、例えばNSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス、窒化シリコンや酸化シリコン等によって形成することができる。
【0113】
(第5層の構成−容量配線等−)
第5層は、本発明の第1の発明に係る「遮光性導電膜」の一例として選択された容量配線400及び第3中継電極402により構成されている。容量配線400は、データ線6a、容量電極300、及び容量配線400のうちTFTアレイ基板10上において最上層に形成された導電膜である。容量配線400は、TFTアレイ基板10上において画像表示領域10aから画像表示領域10aの周辺領域まで延設され、定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている。容量配線400は、図14に示すように、X方向、Y方向に延在する格子状に形成され、X方向に延在する部分には、第3中継電極402の形成領域を確保するために切り欠きが設けられている。容量配線400は、その下層のデータ線6a、走査線11a、TFT30等を覆うように、これら回路要素の構造よりも幅広に形成されている。これにより、各回路要素は遮光され、入射光を反射させて投射画像における画素の輪郭がぼやける等の悪影響が防止されている。
【0114】
更に、容量配線400のX方向延在部分とY方向延在部分とが丁度交差する角部は、略三角形の庇部がわずかに突き出すような形状となっている。この庇部により、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。即ち、半導体層1aに対して斜め上方から進入する光を、庇部が反射又は吸収することにより、TFT30における光リーク電流の発生を抑制し、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。
【0115】
容量配線400は、第3層間絶縁膜43に開孔されたコンタクトホール803を介して、容量配線用中継層6a1と電気的に接続されている。第4層には、容量配線400と同一膜として、第3中継電極402が形成されている。第3中継電極402は、前述のように、コンタクトホール804及びコンタクトホール89を介して、第2中継電極6a2−画素電極9a間を中継している。尚、これら容量配線400及び第3中継電極402は、例えばアルミニウム、窒化チタンを積層した二層構造となっている。
【0116】
第4層の上には、全面に第4層間絶縁膜44が形成されている。第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。コンタクトホール89は、画素電極9aと、画素電極9aの下層側に形成された第3中継電極402とを電気的に接続している。
【0117】
以上のように画素部が構成された液晶装置1Cでは、遮光膜54cが、画像表示領域10aの周辺領域においてTFTアレイ基板10に入射する光を遮光する。したがって、データ線駆動回路101のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。
【0118】
第1実施形態における変形例1及び2で説明した遮光膜54a及び54bと同様のレイアウトパターンで遮光膜54cを形成しておくことによって、サンプリング回路7及び走査線駆動回路104に照射される光も遮光でき、これら回路部のパターンの像が映写幕に投影されることを低減できる。尚、遮光膜54cは、当該遮光膜54cによって反射された反射光を低減するために、反射防止膜を有しているほうが好ましい。また、同様の理由により、遮光膜54cのOD値は4以上であるほうが好ましい。
【0119】
液晶装置1Cによれば、TFTアレイ基板10上の画像表示領域10aの周辺領域において、容量配線400の下層側に形成されたゲート電極3a、或いは下部電極71等の半導体層と同層に形成された半導体層をデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104、或いはサンプリング回路7等の周辺回路部の一部として共用することが可能である。したがって、画素部を構成する工程と、データ線駆動回路101等の周辺回路部を形成する工程とを共用でき、液晶装置1Cを製造する工程を簡便化できる。
【0120】
<第3実施形態>
次に、図16を参照しながら、本発明の第2の発明に係る電気光学装置の一例である液晶装置1Dを説明する。図16は、本実施形態に係る液晶装置1Dの構成を示す平面図である。
【0121】
図16において、液晶装置1Dは、図10に示した液晶装置1Bと比べて上下導通端子106が設けられておらず、対向電極電位を供給する外部回路接続端子102に電気的に接続された遮光膜54dが上下導通端子並びに共通電極電位線を兼ねている点に特徴を有している。
【0122】
遮光膜54dは、第1実施形態における容量電極300と同層に形成されており、TFTアレイ基板10及び対向基板20が相互に接着された状態で、対向基板20側に形成された対向電極と接触し、当該対向電極と電気的に接続されている。したがって、TFTアレイ基板10及び対向基板20が遮光膜54dを介して電気的に接続されており、遮光膜54dがTFTアレイ基板10における対向電極電位線として共用されている。
【0123】
液晶装置1Dによれば、画像表示領域10aの周辺領域からTFTアレイ基板10の回路部に対して光が入射することが低減できると共に、TFTアレイ基板10上に形成される配線数も低減できる。加えて、TFTアレイ基板10及び対向基板20を電気的に接続する上下導通端子が不要となるため、当該上下導通端子を形成する工程をなくすことができ、液晶装置1Dの製造プロセスを簡略化できる。加えて、第1実施形態に係る液晶装置と同様に画像表示領域10aの周辺領域からTFTアレイ基板10に入射する光を遮光でき、TFTアレイ基板10における周辺領域に形成された回路部等が映写幕に投影されることを低減できる。
【0124】
(電子機器)
次に、上述した液晶装置を各種電子機器に適用する場合について説明する。
【0125】
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図17は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。図17に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0126】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等の構成を有しており、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0127】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0128】
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0129】
このようなプロジェクタ1100によれば、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに形成されたデータ線駆動回路等のパターンの像が映写幕に写り込むことが低減されているため、高品位の画像表示が可能である。
【符号の説明】
【0130】
1、1A、1B、1C、1D・・・液晶装置、10・・・TFTアレイ基板、20・・・対向基板、72・・・画素部、53・・・額縁遮光膜、54、54a、54b、54c、54d・・・遮光膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板上の表示領域を構成する複数の画素部と、
前記素子基板上において、前記画素部の一部及び前記素子基板上に形成された配線のうち少なくとも一つを構成する遮光性導電膜と同層に形成されており、前記表示領域の外側に位置する周辺領域に重なる遮光膜と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記素子基板に対向配置された対向基板と、
前記対向基板に設けられており、前記画素部が有する画素電極と対向配置された対向電極とを備え、
前記遮光膜の電位は、前記対向電極の電位と同電位であること
を特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記遮光膜は、前記対向電極に電気的に接続されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記素子基板上において前記周辺領域のうち前記遮光膜が形成された領域より外側に形成されており、前記遮光膜と電気的に接続された入力端子を備え、
前記遮光膜は、前記遮光性導電膜と電気的に接続されていること
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記遮光膜は、前記周辺領域のうち前記表示領域を規定する額縁領域において、前記表示領域を囲うように形成されていること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記対向基板に設けられており、且つ前記表示領域を規定する額縁遮光膜とを備え、
前記遮光膜は、前記周辺領域のうち前記額縁遮光膜が形成された額縁領域の外側に形成されていること
を特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記画素の一部は、前記画素部に供給された画像信号を保持する保持容量が有する一対の電極のうち一方の電極であること
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記配線は、前記画素部に供給された画像信号を保持する保持容量が有する一対の電極のうち一方の電極に電気的に接続された容量配線、又は前記画像信号を供給するデータ線であること
を特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記遮光性導電膜は、前記素子基板上で互いに異なる層に形成された複数の金属膜のうち最上層に形成された一の金属膜であり、
前記遮光膜は、前記一の金属膜と同一膜であること
を特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項10】
前記周辺領域において、前記複数の金属膜のうち前記一の金属膜の下層側に形成された他の金属膜と同層に形成された金属膜を含む周辺回路部を備えたこと
を特徴とする請求項9に記載の電気光学装置。
【請求項11】
前記周辺領域において、前記一の金属膜の下層側に形成された半導体膜と同層に形成された半導体膜を含む周辺回路部を備えたこと
を特徴とする請求項8の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項12】
素子基板上の表示領域を構成する複数の画素部と、
前記素子基板上において、前記表示領域の外枠を規定する額縁遮光膜であるとともに、所定の電位が供給される配線でもある遮光膜と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
前記遮光膜は、光反射防止膜を含んでいること
を特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項14】
前記遮光膜のOD値は、4以上であること
を特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載の電気光学装置。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の電気光学装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−128443(P2012−128443A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23876(P2012−23876)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2006−173916(P2006−173916)の分割
【原出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】