電気光学装置及び電子機器
【課題】電気光学装置において、画像の周囲に光漏れに起因する像が現れるということを極力防止等することで、画質を高める。
【解決手段】TFTアレイ基板(10)上に、データ線、走査線、TFT及び画素電極を備えている。前記基板は、TFT及び画素電極の形成領域として規定される画像表示領域(10a)と、該画像表示領域の周辺を規定する周辺領域とを有する。画像表示領域上には、画素電極における電位を所定期間保持する蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に接続される容量配線(400)とを備え、前記画像表示領域及び前記周辺領域間を画する額縁領域(53)上には、容量配線と同一膜として形成され、且つ、当該額縁領域の少なくとも一部に形成された額縁パターン(406)を備えている。この額縁パターンは、外部回路接続端子(102Q)に接続された配線(404)とも同一膜として形成されている。
【解決手段】TFTアレイ基板(10)上に、データ線、走査線、TFT及び画素電極を備えている。前記基板は、TFT及び画素電極の形成領域として規定される画像表示領域(10a)と、該画像表示領域の周辺を規定する周辺領域とを有する。画像表示領域上には、画素電極における電位を所定期間保持する蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に接続される容量配線(400)とを備え、前記画像表示領域及び前記周辺領域間を画する額縁領域(53)上には、容量配線と同一膜として形成され、且つ、当該額縁領域の少なくとも一部に形成された額縁パターン(406)を備えている。この額縁パターンは、外部回路接続端子(102Q)に接続された配線(404)とも同一膜として形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro-Luminescence)表示装置等の電気光学装置の技術分野に属する。また、本発明は、このような電気光学装置を具備してなる電子機器の技術分野にも属する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に、マトリクス状に配列された画素電極及び該電極の各々に接続された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、「TFT」という。)、該TFTの各々に接続され、行及び列方向それぞれに平行に設けられたデータ線及び走査線等を備えることで、いわゆるアクティブマトリクス駆動が可能な電気光学装置が知られている。
【0003】
このような電気光学装置では、上記に加えて、前記基板に対向配置される対向基板を備えるとともに、該対向基板上に、画素電極に対向する対向電極等を備え、更には、画素電極及び対向電極間に挟持される液晶層等を備えることで、画像表示が可能となる。すなわち、液晶層内の液晶分子は、画素電極及び対向電極間に設定された所定の電位差によって、その配向状態が適当に変更され、これにより、当該液晶層を透過する光の透過率が変化することによって画像の表示が可能になるのである。
【0004】
また、前述の電気光学装置における前記基板は、走査線、データ線及び画素電極等が設けられる画像表示領域と、走査線駆動回路、データ線駆動回路、これら回路に所定信号を供給するための外部回路接続端子等が設けられる周辺領域とを有する。このような電気光学装置の一典型例としては、例えば特許文献1に記載されているものを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−223832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における電気光学装置においては、次のような問題点がある。すなわち、前記の周辺領域においては、通常、基板及び対向基板を接着するためのシール材が設けられる。このシール材としては、取り扱いが容易であること、比較的強力な接着力が得られること等から、光硬化性樹脂が好ましく用いられている。この場合、シール材を硬化するためには、基板及び対向基板間に挟まれて存在する当該シール材に対して光を照射する必要がある。他方、画像表示領域及び周辺領域には、前述した走査線及びデータ線と走査線駆動回路及びデータ線駆動回路とを接続するための配線や、データ線に画像信号を好適に供給するためのサンプリング回路、該画像信号それ自体を供給する画像信号線等各種の配線が形成される必要がある。これらによると、周辺領域上の所定の領域においては、前記シール材と前記各種の配線等が併せて形成される必要があることになるが、当該領域では、シール材硬化のために、所定の隙間を設けておく等によって光の通り道を確保しておくことが行われる。
【0007】
しかしながら、これによると、完成後の電気光学装置を実地に使用している際に、光の通り道として設けられた前記の所定の隙間等を介して光が漏れてしまうという問題が生じることになる。すなわち、当該電気光学装置を、例えば液晶プロジェクタ等の投射型表示装置のライトバルブとして用いる場合においては、このライトバルブに対して光を投射するとともに、該ライトバルブを通り抜けた光をスクリーン上に拡大投射することで、画像表示を行うことになるが、前記所定の隙間等が存在すると、ライトバルブの通り抜けた光に、該隙間から漏れ出た光が混入してしまうのである。このような場合、スクリーン上の画像の周囲には、前記各種の配線等のパターンの像が映り込むなどの事態が生じ、画像の品質を貶める結果となってしまう。
【0008】
また、従来の電気光学装置においては、画像表示領域に、画素電極における電位保持特性を高めるために蓄積容量が形成される場合がある。この蓄積容量を構成する一方の電極(以下、「容量電極」ということがある。)は、一定の電位に維持することが好ましいため、周辺領域に形成される外部回路接続端子に接続されることが行われている。しかしながら、この場合、両者間をコンタクトホールを介して接続する態様が採用されると、該コンタクトホールに起因する高抵抗化がもたらされるおそれが大きいこと、また、コンタクトホール毎に特性が異なるという事態が生じ得ること等から、容量電極、或いはこれから延びる配線の時定数が大きくなり、結果、画像上にクロストークを発生させる等という不具合が生じることがあったのである。なお、前記の配線が、画像表示領域を横切るように形成されている場合には、いわゆる横クロストークとして観察されることになる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像の周囲に光漏れに起因する像が現れるということを極力防止し、或いは容量電極に所定電位を好適に供給することによって、高品質な画像を表示することの可能な電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような電気光学装置を具備する電子機器を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極及び前記スイッチング素子の形成領域として規定される画像表示領域と、該画像表示領域の周辺を規定する周辺領域とを有し、前記画像表示領域上に、前記画素電極における電位を所定期間保持する蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域と前記周辺領域とを画する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンとを備えている。
【0011】
また、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路からの配線とを有し、前記画像表示領域上に、前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電気光学装置は、前記配線は、前記データ線駆動回路により制御されるサンまた、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線とを有し、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記引き出し配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路とを有し、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、前記サンプリング回路内における隣接するスイッチング素子の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0014】
本発明の電気光学装置によれば、スイッチング素子の一例たる薄膜トランジスタに対し走査線を通じて走査信号が供給されることで、そのON・OFFが制御される。他方、画素電極に対しては、データ線を通じて画像信号が供給されることで、前記薄膜トランジスタのON・OFFに応じて、画素電極に当該画像信号の印加・非印加が行われる。これにより、本発明に係る電気光学装置は、いわゆるアクティブマトリクス駆動が可能とされている。また、本発明においては、画素電極における電位の所定期間保持する蓄積容量が形成されていることにより、該画素電極の電位保持特性が向上されている。
【0015】
そして、本発明では特に、前記基板は、画像表示領域及び周辺領域を有し、このうちの前者には前記の画素電極、スイッチング素子、蓄積容量及び第1配線が形成されている。更に、本発明では、周辺領域又は画像表示領域及び周辺領域間を画する額縁領域の少なくとも一部に、前記第1配線と同一膜として形成された額縁パターンを備えている。ここで額縁領域とは、例えば、画像表示領域が矩形状である場合には、この矩形状の周囲を所定の幅でもって縁取った領域として規定される。したがって、この場合における額縁領域は、平面視して、ロの字状を有することになる。また、周辺領域は、画像表示領域の中心から見て、このロの字状となる額縁領域の外縁から以遠の領域として規定されることになる。また、「同一膜として形成」されているとは、当該電気光学装置の製造工程において、額縁パターン及び第1配線の前駆膜が同一の機会に成膜され、且つ、この前駆膜に対して同時に所定のパターニング処理(例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング工程等)が実施されることを意味する。
【0016】
そして、前記額縁パターンは、前記のような額縁領域の少なくとも一部に形成されている。これにより、額縁領域を透過しようとする光は、額縁パターンによって、その進行が遮られることになる。したがって、本発明によれば、額縁パターンが形成されている領域に対応する分、背景技術で説明したような光漏れが生じることを未然に防止することが可能となり、もって、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことを防止することが可能となるから、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0017】
なお、本発明において、額縁パターンは、画像表示領域に形成される第1配線と電気的に接続されているように形成されてもよいし、又は両者間はパターニング上分断されるように形成されてもよい。
【0018】
また、本発明において、第1配線が容量電極に所定電位を供給する役割を果たすための構成としては、例えば、該第1配線が、容量電極に接続又は延設されるような構成を採用するとよい。ここに、「容量電極に接続」されるとは、例えば、容量電極及び第1配線が基板上に構築される積層構造中別々の層に形成されている場合において、両者間にコンタクトホールを介することで、これらを電気的に接続する等という場合を含む。他方、第1配線が、「容量電極に・・・延設」されるとは、例えば、該容量電極と平面的に連続する形状を有するパターン(即ち、このパターンにおいては、該パターンが形作られる平面内において第1配線と呼べる部分と容量電極と呼べる部分の双方を含むことになる。)が同一層に形成される等という場合を含む。
【0019】
さらに、念のため、本発明にいう「額縁パターン」は、額縁領域上に形成されているがゆえに、その名が与えられているというにとどまり、該額縁パターンが、額縁のような形状を有しているということを必ずしも意味しない(額縁パターンが、「額縁領域の少なくとも一部」に形成されているということは、そのような趣旨を含む。)。また、このような額縁パターンは、額縁領域を越えて、周辺領域上に至るように形成されてもよい。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、前記基板及び前記対向基板を接着するシール材とを更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記シール材が形成されるシール領域の少なくとも一部に形成されている。
【0021】
この態様によれば、基板及び対向基板が、例えば光硬化性樹脂等からなるシール材により接着されている。この場合、額縁領域が、仮に前記のようなロの字状を有するものとすると、シール材が形成されるシール領域は、該額縁領域のロの字状の全部若しくは一部を含み又は含まずに該額縁領域の外縁以遠に位置し、且つ、該ロの字状よりも若干大きいロの字状を有するものと想定することができる(したがって、このシール領域の少なくとも一部は、前記周辺領域に含まれる領域である。)。
【0022】
本態様によれば、このように、額縁領域以遠においても、前記額縁パターンが形成されていることにより、シール領域を透過しようとする光もまた、額縁パターンによって、その進行が遮られることになる。したがって、本発明によれば、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことをより効果的に防止することが可能となるから、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成される対向電極とを更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記対向電極と電気的に接続されている接続部分を有する。
【0024】
この態様によれば、額縁パターンは、対向電極と電気的に接続された接続部分を有する、すなわち対向電極及び額縁パターンは電気的に接続された状態となり、両者は常に同電位にあることになる。これによると、額縁パターンは、前述した光漏れ防止の機能と対向電極への電位供給機能という二つの機能を同時に果たすことになり、その分、装置構成の簡略化が図れることになる。
【0025】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記額縁パターンは、前記第1配線と電気的に接続するように形成されている。
【0026】
この態様によれば、額縁パターン及び第1配線は、常に同電位にあることになる。これによると、額縁パターンは、前述した光漏れ防止の機能と第1配線への電位供給機能という二つの機能を同時に果たすことになり、その分、装置構成の簡略化が図れることになる。ちなみに、額縁パターンと第1配線とは、上述のように同一膜として形成されていることから、両者を「電気的に接続するように形成」するとは、典型的には、額縁遮光膜及び第1配線に共通の前駆膜において両者を分断することなくパターニング処理する場合(すなわち、この場合においては、平面的に連続するパターン上、額縁パターンといえる部分と第1配線といえる部分の双方が存在する。)が想定されることになる。
【0027】
また、本態様に併せて、前述した額縁パターン及び対向電極間の電気的接続が図られた態様を併せもてば、額縁パターン、対向電極及び第1配線の三者は、常に同電位にあることになる。これによると、装置構成の簡略化はより好適に達成されることになるのは言うまでもない。
【0028】
接続部分を備える態様では、前記接続部分は、前記対向基板のコーナー部に対応して設けられているように構成してもよい。
【0029】
このような構成によれば、例えば、画像表示領域が矩形状である場合には、該画像表示領域の四隅に対応するように、或いは該画像表示領域を縁取る額縁領域、或いはそれ以遠のシール領域の四隅に対応するように、接続部分を配置するなどということが可能となる。この場合、額縁パターン及び対向電極間の電気的接続を好適に図りつつ、画像表示を妨げないという作用効果が得られる。
【0030】
なお、本態様にいう「コーナー部」とは、対向基板自体の四隅の部分を含むのは勿論、これら各隅から一定の平面的な広がり(例えば、当該隅の部分を中心とした同心円的な広がり)を有する部分をも含む概念である。また、接続部分が「コーナー部に対応して設けられている」ということには、該接続部分が前記したような四隅全部に設けられている場合の他、画像表示領域の三隅以下に対応するように設けられているなどという場合も含む。
【0031】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記額縁パターンは、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成されている。
【0032】
この態様によれば、額縁パターンが、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成されていることから、原理上は、額縁領域、或いはシール領域を透過する光を完全に遮断することも可能である。したがって、前記した光漏れの作用はより効果的に発揮されることになり、もってより高品質な画像を表示することが可能となる。
【0033】
また、この態様において、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成された額縁パターンに、前記した対向電極との「接続部分」が存在する場合にあっては、この額縁パターンと対向電極との電気的接続をより確実になすことができる。というのも、額縁パターンは、そのあらゆる部分が電気的に接続されている(換言すれば、間断なきパターンとして形成されている)こと、また、前記接続部分は、上述の例のように、画像表示領域の四隅、即ち額縁パターン、或いはシール領域の四隅に対応するように複数形成可能であることから、たとえ額縁パターンの一部、或いは接続部分のいずれかが何らかの事情により電気的に導通不能となった場合であっても、他の部分によって電気的導通を滞りなく実現することが可能だからである(言い換えれば、額縁パターン、或いは該額縁パターン上の接続部分について冗長的な構造がとられているということができる。)。これにより、このような態様においては、対向電極の電位を極めて安定に維持することが可能となり、該対向電極及び画素電極間に挟持される電気光学物質の一例たる液晶分子の配向状態の調整を好適に行うことができるから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0034】
他方、前述した額縁パターンが対向電極と電気的に接続されている接続部分を有する態様では、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の三辺に沿って連続して形成された第1のパターンと、残る一辺に沿って形成されるとともに前記第1のパターンと分断して形成された第2のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第1のパターン上に存在するようにしてもよい。
【0035】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の三辺に沿って連続して形成された第1のパターンを含み、且つ、前記接続部分はこの第1のパターン上に存在するから、前述の画像表示領域の周囲すべてを囲むように額縁パターンが形成されている態様と同様、額縁パターン及び対向電極間の電気的接続をより確実になすことができ、対向電極の電位を極めて安定に維持することが可能となる。
【0036】
また、本態様においては、この第1のパターンに加えて、前記矩形状の残る一辺に沿って形成されるとともに前記第1のパターンと分断して形成された第2のパターンを含むことから、次のような作用効果が得られる。すなわち、この第2のパターンの形成される領域が、例えばデータ線駆動回路が形成される領域に対応する場合においては、当該データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路に引き回される画像信号線と、対向基板上の対向電極との間で容量カップリングが発生するおそれがある。この容量カップリングが発生すると、一方に対する通電によって、他方における電位に変動を与えてしまうため、所望どおりの画像の表示が困難となることになる。しかるに、本態様によれば、当該領域には、前記の第2のパターンが形成されていることから、画像信号線及び対向電極間には該第2のパターンが存在することになり、前記の容量カップリングの発生を抑制することができるのである。したがって、本態様によれば、所望どおりの画像を好適に表示することができる。
【0037】
なお、このような作用効果は、前述した、額縁パターンを画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成する態様においても、全く同様に享受できることは言うまでもない。
【0038】
また、本態様にいう「第1のパターン」及び「第2のパターン」、更には以下に後述する態様にいう「第3のパターン」ないし「第6のパターン」という用語は、単に、それぞれが個別の概念で規定される半導体プロセス上のパターンであるということを表しているに過ぎない(換言すれば、「A」乃至「F」というのは、単なる「名前」に過ぎない。)
。
【0039】
あるいは、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の対向する二辺に沿って形成された第3のパターンと、残る二辺に沿って形成されるとともに前記第3のパターンと分断して形成された第4のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第3のパターン上に存在するようにしてもよい。
【0040】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の対向する二辺に沿って形成された第3のパターンを含み、且つ、前記接続部分はこの第3のパターン上に存在する。この第3のパターンは、前記の定義上、分断して形成される二本の直線状の配線が含まれることが一般的に想定される。この態様によれば、当該二本の直線状の配線それぞれには、前記接続部分が少なくとも二個存在し得る。したがって、対向電極及び額縁パターン間の電気的接続をより確実になすことができる。
【0041】
また、本態様においては、この第3のパターンに加えて、前記矩形状の残る二辺に沿って形成されるとともに、前記第3のパターンと分断して形成された第4のパターンを含む。これにより、前記の第2のパターンと同様に、第4のパターンの形成される領域が、例えばデータ線駆動回路が形成される領域に対応する場合においては、画像信号線及び対向電極間の容量カップリングの発生を防止することができる。
【0042】
さらには、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成された第5のパターンと、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記第5のパターンと分断して形成された第6のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第5のパターン及び前記第6のパターンの少なくとも一方の上に存在するようにしてもよい。
【0043】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成された第5のパターンを含み、且つ、該第5のパターン上に前記接続部分が存在し得る。したがって、典型的には、接続部分は、この第5のパターン上に三個存在することが考えられる。
【0044】
また、本態様においては、この第5のパターンに加えて、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記第5のパターンと分断して形成された第6のパターンを含み、且つ、該第6のパターン上に前記接続部分が存在し得る。したがって、典型的には、接続部分は、この第6のパターン上に一個存在することが考えられる。
【0045】
以上により、本態様によれば、前述した額縁パターン及び対向電極間の電気的接続の確実性、或いは画像信号線及び対向電極間の容量カップリングの発生抑止等の作用効果が略同様に得られる。
【0046】
なお、本態様に係る額縁パターンの態様、或いは前述した額縁パターンに関する各種の態様は、額縁パターンの形成態様のバリエーションを増加させる意義を有することは言うまでもない。これにより、外部回路接続端子から、データ線駆動回路、走査線駆動回路、或いは前記接続部分へ引き回す各種配線の配置(ないしはパターニング)を、より容易になすこと等も可能となる。
【0047】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記周辺領域上に、前記基板の辺縁部に沿って形成された外部回路接続端子と、該外部回路接続端子に延設された第2配線とを更に備え、該第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されている。
【0048】
この態様によれば、周辺領域には外部回路接続端子及び第2配線が形成されており、このうちの第2配線の少なくとも一部が、第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されている。ここで「同一膜として形成されている」とは、額縁パターン及び第1配線に関して既に述べたとおりの意義を有する。これによれば、第2配線の少なくとも一部及び第1配線は、データ線、走査線及び画素電極等が構成する積層構造中同一の層に形成されることになり、また、両者は同一の材料から構成されることとなる。ちなみに、本発明においては第1配線と額縁パターンとが同一膜として形成されることから、本態様によれば結局、第1配線、額縁パターン及び第2配線のいずれもが同一膜として形成されるということになる。
【0049】
これによれば、第一に、外部回路接続端子、第2配線及び第1配線を、同一層に形成することが可能となるから、これら各要素間における電気抵抗値を低下せしめることができる。
【0050】
ちなみに、従来においては、前述のような各要素は別々の層に形成されることが行われており、これにより、該各要素間の電気的接続にはコンタクトホール等が利用されることがあった。しかしながら、コンタクトホールを利用してしまうと、該コンタクトホールに起因する高抵抗化がもたらされるおそれが大きいこと、また、コンタクトホール毎に特性が異なるという事態が生じ得ること等から、容量電極、或いはこれから延びる配線の時定数が大きくなり、結果、画像上にクロストークを発生させる等という不具合が生じることがあったのである。なお、前記の配線が、画像表示領域を横切るように形成されている場合には、いわゆる横クロストークとして観察されることになる。
【0051】
しかるに、本態様においては、既に述べたように、外部回路接続端子、第2配線及び第1配線を同一層に形成することが可能であるから、上述のような不具合を被らなくて済むのである。
【0052】
また第二に、本態様と、前記した額縁パターンに接続部分を有する態様、或いは画像表示領域の周囲すべてを囲むように額縁パターンが形成される態様、更には前記の第1のパターン、第2のパターン、第3のパターン、第4のパターン、第5のパターン及び第6のパターンを含む額縁パターンを備えた態様とを併せもった電気光学装置(以下、当該電気光学装置の態様を「併用態様」という。)に関しては特に、次のような特有の作用効果を奏することになる。すなわち、この併用態様に係る電気光学装置では、額縁パターンには、これと対向電極との間の接続部分が存在しているから、該額縁パターンは、前記の光漏れ防止の作用効果等に併せて、対向電極に所定の電位を供給する配線としての機能も有している。ここで、この併用態様では、この額縁パターンとともに、第2配線、第1配線もまた、同一膜として形成されているから、これら各要素及び外部回路接続端子間の電気抵抗値は低下せしめることが可能となっているのである。
【0053】
このようなことから、前記併用態様においては、外部回路接続端子から、第2配線、そして額縁パターンに至るまでの電気抵抗値は低く抑えられることになるから、該額縁パターンの電位は安定した状態を維持することが可能となり、もって対向電極の電位も安定した状態に維持することが可能となるのである。さらに、額縁パターンには、第1配線が電気的に接続され得るから、該第1配線の電位、ひいてはこれに接続又は延設される容量電極の電位もまた、安定した状態に維持することが可能となる。
【0054】
このように、併用態様によれば、額縁パターン、第2配線及び第1配線が同一膜且つ電気的に接続された状態で形成され、且つ、該額縁パターンに前記接続部分が存在することから、本態様に係る作用効果(低抵抗化)、及び接続部分を有することによる作用効果(対向電極に対する電位供給機能)の双方について、これをより効果的に享受することが可能となるのである。
【0055】
この態様では、前記第1配線は、前記データ線の上に第1の層間絶縁膜を介して形成されているようにしてもよい。
【0056】
このような構成によれば、基板上に構築される走査線、データ線、画素電極及び外部回路接続端子等からなる積層構造を好適に構成することが可能となる。
【0057】
すなわち、まず、外部回路接続端子は、外部に曝される電極を備えなければならないことから、前記の積層構造中、比較的上層に形成されることが好ましい。
さもなければ、積層構造の最上層部分から前記電極に通ずるような比較的深いコンタクトホール等を開孔しなければならないからである。他方、本態様によれば、第1配線は、データ線の上に形成されていることから、該第1配線と同一膜として形成され、外部回路接続端子に接続又は延設される第2配線もまた、データ線の上に形成されることになる。したがって、第2配線は、前記の積層構造中、比較的上層に形成されることになる。
【0058】
以上により、本態様では、外部回路接続端子を比較的上層に形成するとしても、これに接続又は延設される第2配線もまた比較的上層に形成されることにより、両者間の電気的接続を無理なく実現することが可能となる。このように、本態様によれば、前記の積層構造を好適に形成することが可能となるのである。
【0059】
或いは、前記第1配線は、前記画素電極を含む層の直下の層に形成されているようにしてもよい。
【0060】
このような構成によれば、外部回路接続端子及び第2配線間の電気的接続を更に無理なく実現することが可能である。すなわち、画素電極が電気光学物質に対向する必要があることからすると、第1配線が画素電極を含む層の直下の層に形成されているということは、該第1配線が、電気光学物質の層からみて、画素電極との間に一層の絶縁膜を挟むのみで形成されているという場合が典型的には想定されることになる。そして、この場合、第1配線と同一膜として形成される第2配線もまた、画素電極を含む層の直下の層に形成されていることになるから、該第2配線の上には、通常、前記絶縁膜が存在するのみということになる。これは、周辺領域においては、画素電極の直下に形成される絶縁膜の表面が、外部に曝されることとなるのが通常だからである。
【0061】
したがって、本態様によれば、外部回路接続端子を構成する電極を外部に曝すことは極めて容易となる。また、第2配線との電気的な接続は、前記の電極から該第2配線を延設することによればよい。
【0062】
このように、本態様によれば、外部回路接続端子及び第2配線間の電気的接続を無理なく実現することが可能となるのである。
【0063】
また、第2配線を備える電気光学装置の他の態様では、前記第1配線及び前記額縁パターンは電気的に接続されて形成されておらず、且つ、前記第2配線の第1部分及び前記第1配線が電気的に接続され、前記第2配線の第2部分及び前記額縁パターンが電気的に接続されており、前記第1部分は前記外部回路接続端子の第1部分に、前記第2部分は前記外部回路接続端子の第2部分にそれぞれ接続されているようにしてもよい。
【0064】
このような構成によれば、額縁パターン及び第1配線のそれぞれを異なる電位に維持することができる。この場合、第1配線が容量電極に所定電位を供給するためのものであることに注意するとともに、額縁パターンに対向電極が接続されているという前提を置けば、額縁パターン及び第1配線のそれぞれを異なる電位に維持することができるということは、容量電極及び対向電極のそれぞれを異なる電位に維持することができるということに同義になる。これは、外部回路接続端子の第1部分にある電位を供給すれば、当該第1部分が、第2配線の第1部分、第1配線及び容量電極に接続されていることから、容量電極は当該電位に維持される一方、外部回路接続端子の第2部分に前記ある電位とは異なる電位を供給すれば、当該第2部分が、第2配線の第2部分、額縁パターン及び対向電極に接続されていることから、対向電極は当該電位に維持されることとなるからである。これをまとめれば、以下の表1のようになる。なお、これら各概念を具体化したものについては、後に説明する発明の実施の形態において、〔第5実施形態〕として説明されている。
【0065】
【表1】
【0066】
これにより、本態様によれば、当該電気光学装置内で発生する各種の電気作用を好適に調整すること等ができる。
【0067】
本発明の電気光学装置の他の態様では、第1配線は、遮光性材料から構成されている。
【0068】
この態様によれば、第1配線は容量電極に接続又は延設される配線であって画像表示領域内に形成されるものであるから、画像表示領域内において、当該第1配線が形成されている領域に対応した遮光を実現することができる。これにより、前記スイッチング素子の一例たる薄膜トランジスタを構成する半導体層(活性層)に、みだりに光が入射するという事態を未然に防止することが可能となるから、該半導体層における光リーク電流の発生を抑制することができ、したがって、画像上にフリッカ等が発生することを未然に防止することが可能となる。
【0069】
また、本態様によれば、該第1配線と同一膜として形成される第2配線もまた、遮光性材料から構成されることになる。したがって、周辺領域上に形成されるスイッチング素子としての薄膜トランジスタについても、前記と同様な作用効果を得ることができ、もって、当該薄膜トランジスタの正確な動作を期することができる。
【0070】
そしてさらに、本態様によれば、前記第1配線と同一膜として形成される額縁パターンもまた、遮光性材料から構成されることになる。したがって、前記の光漏れ防止の作用効果は、より効果的に享受されることになる。
【0071】
なお、本態様にいう「遮光性材料」としては、例えば、光反射率が比較的大きいAl(アルミニウム)等を含むほか、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等も含む。
【0072】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1配線は、相異なる材料からなる積層構造を有する。
【0073】
この態様によれば、例えば、第1配線の下層にアルミニウムからなる層、その上層に窒化チタンからなる層等といった二層構造として構成される。この場合、下層のアルミニウム層によれば、高い電気伝導性能及び光反射率が比較的高いことによる遮光性能を享受することができると同時に、上層の窒化チタン層によれば、第1配線上に形成される層間絶縁膜等の前駆膜をパターニング処理する際、或いは該層間絶縁膜等にコンタクトホールを形成する際に、いわゆる突き抜けの発生を防止する機能を享受すること(即ち、該窒化チタンからなる層は、いわゆるエッチストップとして機能する)が可能となる。
【0074】
このように、本態様によれば、第1配線が「積層構造」を有するものとして構成されることにより、該第1配線に、容量電極に電位を供給するという機能を担わせるのに加えて、新たな機能を付与することが可能であり、その高機能化を図ることができる。
【0075】
なお、本態様にいう「積層構造」としては、上述の他、種々の構成を採用することが可能であることは言うまでもない。
【0076】
また、本態様によれば、第1配線と同一膜として形成される第2配線及び額縁パターンもまた、相異なる材料からなる積層構造を有することになるが、この積層構造を構成する各材料の選択は、該第2配線及び該額縁パターンの担う機能(即ち、外部回路接続端子と走査線駆動回路及びデータ線駆動回路の接続(第2配線)や、第2配線から第1配線への電位供給の橋渡し(額縁パターン)等)に考慮した上で、新たな機能を付与するという観点から行うとよい。なお、低抵抗材料の一例たるアルミニウムを含む前記の二層構造は、このような観点からも好ましいということが言える。
【0077】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成された遮光膜を更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記遮光膜と重なるように形成されている。
【0078】
この態様によれば、例えば、対向基板から基板へ向けて光を投射する場合において、額縁領域では、まず、前記遮光膜による遮光が行われ、続いて、額縁パターンによる遮光が行われる。このように、本態様によれば、二重の遮光が実現されることにより、前述した光漏れ防止の作用効果は、より効果的に奏されることになる。
【0079】
この態様では、前記遮光膜は、前記対向基板の辺縁部に沿うように形成された額縁遮光膜を含むようにしてもよい。
【0080】
このような構成によれば、遮光膜が額縁遮光膜を含むことから、前述の二重の遮光は、よりよく実現されることになる。
【0081】
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述の本発明の電気光学装置(ただし、その各種態様を含む。)を具備してなる。
【0082】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことが未然に防止されることにより、高品質な画像が表示可能な、プロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0083】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
【図4】データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であって、下層部分(図6における符号70(蓄積容量)までの下層の部分)に係る構成のみを示すものである。
【図5】データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であって、上層部分(図6における符号70(蓄積容量)を越えて上層の部分)に係る構成のみを示すものである。
【図6】図4及び図5を重ね合わせた場合のA−A’断面図である。
【図7】図6に示す積層構造に対応する断面図であって、(a)は図2における符号Zを付した円内部分の拡大図、(b)は図2における符号Sを付した円内部分の拡大図である。
【図8】図1と同趣旨の図であって、特に額縁パターン及び容量配線等の構成を説明するため両要素の配置関係を明瞭に図示するものである。
【図9】図8と同趣旨の図であって、本発明の第2実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図10】図9に示す符号D付近を拡大し且つ当該部分における回路構成等を併せて示す説明図である。
【図11】図10と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものを示すものである。
【図12】図8と同趣旨の図であって、本発明の第3実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図13】図8と同趣旨の図であって、本発明の第4実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図14】図8と同趣旨の図であって、本発明の第5実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図15】本発明の各実施形態に係る投射型液晶装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0086】
〔第1実施形態〕
〔電気光学装置の全体構成〕
まず、本発明の電気光学装置に係る第1実施形態の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0087】
図1及び図2において、第1実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0088】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、第1実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0089】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。なお、第1実施形態においては、前記の画像表示領域10aの周辺を規定する周辺領域が存在する。言い換えれば、第1実施形態においては特に、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
【0090】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。このうちデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、外部回路接続端子102と配線404を介して接続されている。
【0091】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。この上下導通材106は、銀粉等の導電性粒子が固められた構成等からなる。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0092】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0093】
以上のような全体構成を有する第1実施形態の電気光学装置においては、上述した各種要素のうち、配線404、上下導通材106等に関する具体的構成について特徴があるが、その点については、図7等を参照しながら後に詳述する。
【0094】
なお、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0095】
〔画素部における構成〕
以下では、本発明の第1実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図3から図7を参照して説明する。ここに図3は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路であり、図4及び図5は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。なお、図4及び図5は、それぞれ、後述する積層構造のうち下層部分(図4)と上層部分(図5)とを分かって図示している。
【0096】
また、図6は、図4及び図5を重ね合わせた場合のA−A’断面図であり、図7(a)及び図7(b)は、それぞれ、図2における符号Zを付した円内部分の拡大図及び図1における上下導通材106が存在する部分に関する断面図であって、いずれも図6に示す積層構造に対応する断面図である。なお、図6及び図7においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0097】
(画素部の回路構成)
図3において、第1実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0098】
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0099】
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0100】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
【0101】
〔画素部の具体的構成〕
以下では、上記データ線6a、走査線11a及びゲート電極3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、具体的の構成について、図4乃至図7を参照して説明する。
【0102】
まず、図4及び図5において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており(点線部により輪郭が示されている)、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線11aが設けられている。データ線6aは、後述するようにアルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線11aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線11aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するゲート電極3aにコンタクトホール12cvを介して電気的に接続されており、該ゲート電極3aは該走査線11aに含まれる形となっている。
【0103】
すなわち、ゲート電極3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a’に、走査線11aに含まれるゲート電極3aが対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。これによりTFT30(ゲート電極を除く。)は、ゲート電極3aと走査線11aとの間に存在するような形態となっている。
【0104】
次に、電気光学装置は、図4及び図5のA−A’線断面図たる図6に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFTアレイ基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20とを備えている。
【0105】
TFTアレイ基板10の側には、図6に示すように、前記の画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20の側には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
【0106】
このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、前述のシール材52(図1及び図2参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。
【0107】
一方、TFTアレイ基板10上には、前記の画素電極9a及び配向膜16の他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図6に示すように、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを含むTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、本発明にいう「第1配線」の一例たる容量配線400等を含む第5層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層(最上層)からなる。
【0108】
また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42、43及び44には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。なお、前述のうち第1層から第3層までが、下層部分として図4に図示されており、第4層から第6層までが上層部分として図5に図示されている。
【0109】
(積層構造・第1層の構成−走査線等−)
まず、第1層には、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは導電性ポリシリコン等からなる走査線11aが設けられている。この走査線11aは、平面的にみて、図4のX方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされている。より詳しく見ると、ストライプ状の走査線11aは、図4のX方向に沿うように延びる本線部と、データ線6a或いは容量配線400が延在する図4のY方向に延びる突出部とを備えている。なお、隣接する走査線11aから延びる突出部は相互に接続されることはなく、したがって、該走査線11aは1本1本分断された形となっている。
【0110】
(積層構造・第2層の構成−TFT等−)
次に、第2層として、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、図6に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したゲート電極3a、例えばポリシリコン膜からなりゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、ゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0111】
また、第1実施形態では、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。この中継電極719は、平面的に見て、図4に示すように、各画素電極9aのX方向に延びる一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719とゲート電極3aとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
【0112】
(積層構造・第1層及び第2層間の構成−下地絶縁膜−)
図6に示すように、以上説明した走査線11aの上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、走査線11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
【0113】
この下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる半導体層1aのチャネル長の方向に沿った溝状のコンタクトホール12cvが掘られており、このコンタクトホール12cvに対応して、その上方に積層されるゲート電極3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる。また、このコンタクトホール12cv全体を埋めるようにして、ゲート電極3aが形成されていることにより、該ゲート電極3aには、これと一体的に形成された側壁部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、図4によく示されているように、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。
【0114】
また、この側壁部3bは、図4に示すように、前記のコンタクトホール12cvを埋めるように形成されているとともに、その下端が前記の走査線11aと接するようにされている。ここで走査線11aは、上述のようにストライプ状に形成されていることから、ある行に存在するゲート電極3a及び走査線11aは、当該行に着目する限り、常に同電位となる。
【0115】
(積層構造・第3層の構成−蓄積容量等−)
さて、図6に示すように、前述の第2層に続けて第3層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての下部電極71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。また、第1実施形態に係る蓄積容量70は、図4の平面図を見るとわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため(換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されているため)、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、これにより、より明るい画像を表示することが可能となる。
【0116】
ここで、上記画素電位側容量電極としての電極が下部電極71とは逆に蓄積容量70の上部に設けられる構成でもよい。この場合、当然のことながら固定電位側容量電極としての容量電極300は蓄積容量70の下部に設けられることとなる。好適な例としては、画素電位側容量電極がTFT30の高濃度ドレイン領域1eの延長された高濃度ドレイン領域1eと同一膜であり、固定電位側容量電極としての容量電極300は、TFT30よりさらに下方にあり、TFT30に下方から侵入する入射光を遮光するための遮光層と同一層であってもよい。この場合の後述する容量配線400は、固定電位側容量電極としての容量電極300と同一層の膜であることが構造が簡単になり好ましいが、これに限定するものではない。
【0117】
より詳細には、下部電極71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、下部電極71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。また、この下部電極71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。ちなみに、ここにいう中継接続は、前記の中継電極719を介して行われている。
【0118】
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。第1実施形態において、容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされた容量配線400(後述する。)と電気的接続が図られることによりなされている。ここでは、容量電極300を固定電位とするための接続において、容量配線400を中継しているが、例えば容量配線400を容量電極300と同一膜として延長して形成してもよい。かかる構成により、容量配線400を別層として必要とせず、接続抵抗による配線抵抗増大もなくなり、容量配線400としての層を別に設ける必要も無いためプロセスも簡単になる。
【0119】
また、容量電極300は、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは好ましくはタングステンシリサイドからなる。
【0120】
これにより、容量電極300は、TFT30に上側から入射しようとする光を遮る機能を有している。
【0121】
誘電体膜75は、図6に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。
【0122】
第1実施形態において、この誘電体膜75は、図6に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有するものとなっている。上層の窒化シリコン膜75bは画素電位側容量電極の下部電極71より少し大きなサイズにパターニングされ、遮光領域(非開口領域)内で収まるように形成されている。
【0123】
(積層構造、第2層及び第3層間の構成−第1層間絶縁膜−)
以上説明したTFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下には、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0124】
そして、この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dと後述するデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が、後記第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。さらに、この第1層間絶縁膜41には、蓄積容量70を構成する画素電位側容量電極としての下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41には、中継電極719と後述する第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール882が、後記第2層間絶縁膜を貫通しつつ開孔されている。
【0125】
(積層構造・第4層の構成−データ線等−)
さて、前述の第3層に続けて第4層には、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、図6に示すように、下層より順に、アルミニウムからなる層(図6における符号41A参照)、窒化チタンからなる層(図6における符号41TN参照)、窒化シリコン膜からなる層(図6における符号401参照)の三層構造を有する膜として形成されている。窒化シリコン膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターニングされている。
【0126】
また、この第4層には、データ線6aと同一膜として、容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、図5に示すように、平面的に見ると、データ線6aと連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。例えば図5中最左方に位置するデータ線6aに着目すると、その直右方に略四辺形状を有する容量配線用中継層6a1、更にその右方に容量配線用中継層6a1よりも若干大きめの面積をもつ略四辺形状を有する第2中継電極6a2が形成されている。
【0127】
(積層構造・第3層及び第4層間の構成−第2層間絶縁膜−)
以上説明した蓄積容量70の上、かつ、データ線6aの下には、例えばNSG、PSG,BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法によって形成された第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続する、前記のコンタクトホール81が開孔されているとともに、前記容量配線用中継層6a1と蓄積容量70の上部電極たる容量電極300とを電気的に接続するコンタクトホール801が開孔されている。さらに、第2層間絶縁膜42には、第2中継電極6a2と中継電極719とを電気的に接続するための、前記のコンタクトホール882が形成されている。
【0128】
(積層構造・第5層の構成−容量配線等−)
さて、前述の第4層に続けて第5層には、容量配線400が形成されている。この容量配線400は、平面的にみると、図5に示すように、図中X方向及びY方向それぞれに延在するように、格子状に形成されている。該容量配線400のうち図中Y方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、図中X方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。
【0129】
さらには、図5中、XY方向それぞれに延在する容量配線400の交差部分の隅部においては、該隅部を埋めるようにして、略三角形状の部分が設けられている。容量配線400に、この略三角形状の部分が設けられていることにより、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。すなわち、半導体層1aに対して、斜め上から進入しようとする光は、この三角形状の部分で反射又は吸収されることになり半導体層1aには至らないことになる。したがって、光リーク電流の発生を抑制的にし、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。
【0130】
この容量配線400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、対向電極電位や、駆動回路やその他周辺回路の定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている(後の配線404に関する説明参照)。
【0131】
このように、データ線6aの全体を覆うように形成されているとともに、固定電位とされた容量配線400の存在によれば、該データ線6a及び画素電極9a間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能となる。すなわち、データ線6aへの通電に応じて、画素電極9aの電位が変動するという事態を未然に回避することが可能となり、画像上に該データ線6aに沿った表示ムラ等を発生させる可能性を低減することができる。第1実施形態においては特に、容量配線400は格子状に形成されているから、走査線11aが延在する部分についても無用な容量カップリングが生じないように、これを抑制することが可能となっている。
【0132】
また、第5層には、このような容量配線400と同一膜として、第3中継電極402が形成されている。この第3中継電極402は、後述のコンタクトホール804及び89を介して、第2中継電極6a2及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これら容量配線400及び第3中継電極402間は、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
【0133】
他方、上述の容量配線400及び第3中継電極402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の二層構造を有している。このように容量配線400及び第3中継電極402は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、且つ、光吸収性能に比較的優れた窒化チタンを含むことから、該容量配線400及び該第3中継層402は遮光層として機能し得る。すなわち、これらによれば、TFT30の半導体層1aに対する入射光(図6参照)の進行を、その上側でさえぎることが可能である。
【0134】
そして、第1実施形態においては特に、画像表示領域10a以外の領域に、図7(a)及び図7(b)に示すように、上述の容量配線400に延設された引き回し配線、より詳しくは、配線404(本発明にいう「第2配線」の一例に該当する。)及び額縁パターン406からなる引き回し配線が形成されている。以下では、この引き回し配線の構成について、前述までに触れた各図及び図8を参照しながら説明する。ここに図8は、図1と同趣旨の図であって、特に配線404及び額縁パターン406からなる引き回し配線と容量配線400との配置関係を明瞭に図示するための図である。なお、図8においては、前記の目的のため、特に配線404の縮尺、或いは額縁パターン406の縮尺、平面形状及び配列ピッチ等について適宜視認可能なように変更を加えており、また、図1等に示された要素のうちの幾つか(例えば、図1のデータ線駆動回路101、或いは図5の第3中継電極402等)の図示が適宜省略されている。
【0135】
まず、周辺領域には、図7(a)及び図8に示すように、容量配線400に額縁パターン406を介して延設された配線404が形成されている。すなわち、この配線404は、第3層間絶縁膜43上で、容量配線400及び第3中継電極402(以下、「容量配線400等」ということがある。)と同一膜として形成されている。これにより、配線404は、前述の容量配線400及び第3中継電極402と同様に、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層という二層構造を有している。
【0136】
この配線404の一部は、図1及び図2を参照して説明した外部回路接続端子102Qを構成する。具体的には、配線404上に形成された第4層間絶縁膜44に、該配線404へ通ずるコンタクトホール44H1が形成されることにより、該配線404の上面が外部へ露出することによって、外部回路接続端子102Qが形成されるようになっている。
【0137】
なお、この際、コンタクトホール44H1の開口時、配線404の上層の窒化チタンからなる膜を取り除いてもよい。これにより、該配線404と外部回路とを電気的に接続する際、該外部回路は、下層のアルミニウムからなる膜と直接接続されることになるため、接続面で低抵抗化を実現できる。また、配線404の上層の窒化チタンからなる膜を残存させたままであると、当該外部回路接続端子102Qを介して当該電気光学装置の検査を実施する際に、該窒化チタンからなる膜が硬質の膜であるため、検査端子が滑り検査しにくいという不具合の生じることが懸念されるが、該窒化チタンからなる膜を取り除けば、そのような不具合を被らなくて済む。
【0138】
ちなみに、図7(a)に示すような配線404は、図1に示す外部回路接続端子102のすべてについて同様に形成されているが、それらのうち容量配線400に延設されているもの、即ち該容量配線400と電気的な連絡が図られているものは、当該それらのうちの一部である。すなわち、図8又は図1に示すように、外部回路接続端子102のうち、特定の外部回路接続端子102Qに対応する配線404のみが容量配線400と延設されて形成されるようになっており、残りの外部回路接続端子102に対応する配線404については、容量配線400等と同一膜として形成されているものの、両者は、パターニング上分断されるように形成されている。
【0139】
他方、第1実施形態においては更に、図7(b)及び図8に示すように、前記の容量配線400等、更には上述した配線404に延設された額縁パターン406が形成されている。すなわち、この額縁パターン406は、第3層間絶縁膜43上で、容量配線400等及び額縁パターン406と同一膜として形成されている。これにより、額縁パターン406もまた、前述の容量配線400等と同様に、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層という二層構造を有している。
【0140】
額縁パターン406は、図8に示すように、平面視して画像表示領域10aと周辺領域とを画する額縁領域(即ち、額縁遮光膜53の形成領域に対応する領域)及び該額縁領域の周囲のシール材52の形成領域を埋めるように、或いは画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されており、全体として略ロの字状を有している。この額縁パターン406は、図8中下方に示すように、前記の特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404に延設されているから、額縁パターン406及び特定の外部回路接続端子102Qは、相互に電気的に接続されている。また、額縁パターン406は容量配線400に延設されていることにより、該容量配線400及び特定の外部回路接続端子102Qもまた、相互に電気的に接続されている。以上により、結局、特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404、額縁パターン406及び容量配線400は、常に同電位になる。
【0141】
また、額縁パターン406の一部は、図7(b)に示すように、コンタクトホール44H2によって外部に曝された後、上下導通材106を含むシール材52が充填されることにより、額縁パターン406及び対向電極21間にも電気的接続が実現されるようになっている(なお、額縁パターン406上、上下導通材106と接触する部分を、接続部分406Cということとする。)。この接続部分406Cは、図1を参照して説明したように上下導通材106が対向基板20の四つのコーナー部に配置されていることに応じて、当該四つのコーナー部に設けられることになる。
【0142】
以上により、第1実施形態においては、特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404、額縁パターン406、容量配線400及び対向電極21は、常に同じ電位となることになる。
【0143】
なお、コンタクトホール44H2の開口時には、額縁パターン406の上層の窒化チタンからなる膜を取り除いてもよい。これにより、上下導通材106は、該額縁パターン406の下層のアルミニウムからなる膜と直接接続されることになるため、接続面で低抵抗化を実現できる。また、窒化チタンからなる膜が存在すると、該窒化チタンからなる膜は硬質の膜であるため、上下導通材106が埋め込まれるようにならず、接触面積が小さくなって抵抗値が大きくなるという不具合の生じることが懸念されるが、該窒化チタンからなる膜を取り除けば、そのような不具合を被らなくて済む。
【0144】
なお、図7においては、画像表示領域に形成される走査線11aと同一膜として、段差調整膜11aPが形成され、また、ゲート電極3a及び中継電極719と同一膜として、段差調整膜3aPが形成されている。これら段差調整膜11aP及び3aPの存在により、画像表示領域と周辺領域とにおける積層構造の全体の高さをほぼ同一とする等の調整を行うことができる。
【0145】
(積層構造・第4層及び第5層間の構成−第3層間絶縁膜−)
図6に示すように、データ線6aの上、かつ、容量配線400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくは、TEOSガスを用いたプラズマCVD法で形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、前記の容量配線400と容量配線用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803、及び、第3中継電極402と第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
【0146】
(積層構造・第6層並びに第5層及び第6層間の構成−画素電極等−)
最後に、第6層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第4層間絶縁膜44が形成されている。この第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び前記の第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。画素電極9aとTFT30との間は、このコンタクトホール89及び第3中継層402並びに前述したコンタクトホール804、第2中継層6a2、コンタクトホール882、中継電極719、コンタクトホール881、下部電極71及びコンタクトホール83を介して、電気的に接続されることとなる。
【0147】
また、第1実施形態では、第4層間絶縁膜44の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子等による段差に起因する液晶層50の配向不良を低減する。ただし、このように第4層間絶縁膜44に平坦化処理を施すのに代えて、又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42及び第3層間絶縁膜43のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより、平坦化処理を行ってもよい。
【0148】
〔当該電気光学装置の作用効果〕
以上のような構成となる第1実施形態の電気光学装置によれば、特に第5層の構成として説明した配線404及び額縁パターン406からなる引き回し配線が形成されていることから、次のような作用効果が奏されることになる。
【0149】
まず第一に、第1実施形態においては、額縁パターン406が額縁領域及びシール領域に形成されていることにより、この額縁パターン406が形成されている領域においては、図7(b)の矢印L1に示すように、光漏れが生じることを未然に防止することが可能であるから、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことを防止することが可能となる。したがって、第1実施形態によれば、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0150】
特に、第1実施形態に係る額縁パターン406は、画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されているから、原理上は、額縁領域、或いはシール領域を透過する光を完全に遮断することも可能である。また、額縁パターン406は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層(いずれも本発明にいう「遮光性材料」の一例に該当する。)という二層構造を有していることから、前記の光遮蔽作用は、より確実に発揮される。さらに、額縁パターン406は、図8から明らかなように、画像表示領域10aに重ならないように形成されているから、該額縁パターン406が、画像表示領域10aを透過する光の邪魔になるようなことがない。つまり、画像は所望どおり表示することが可能である。なお、シール材52が光硬化性樹脂等からなる場合においては、その硬化の際に必要となる光照射は、図7(b)の上方から、即ち対向基板20側から行うようにすればよい。
【0151】
また、これに関連して、第1実施形態においては、対向基板20上に、額縁遮光膜53が形成されていることにより、図7(b)の矢印L2に示すような遮光も実現されることになる。この場合、仮に、額縁遮光膜53を透過する光があったとしても、その光は、次に控える額縁パターン406によって反射又は吸収されることになる。このように、第1実施形態によれば、いわば二重の遮光を実現することができる。
【0152】
また第二に、第1実施形態に係る額縁パターン406は、上下導通材106を介して対向電極21と電気的接続が図られているとともに、容量配線400とも電気的接続が図られていることから、該額縁パターン406は、前述した光漏れ防止作用の機能に併せて、対向電極21への電位供給、及び容量配線400、ひいては容量電極300への電位供給(この電位供給は、コンタクトホール801及び803並びに容量配線用中継層6a1を介して行われる。図6参照)の機能をももっている。これによって、装置構成の簡略化が実現されることになる。
【0153】
これに関連して、上下導通材106の配置箇所は、図8及び図1に示すように、画像表示領域10aの四隅に対応するようにされているから、額縁パターン406及び対向電極21間の電気的接続を好適に実現しつつも、このことが画像表示の妨げになるようなことがない。加えて、額縁パターン406は、画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されているから、該額縁パターン406と対向電極21との電気的接続をより確実になすことができる。これは、額縁パターン406のあらゆる部分が電気的に接続されている(換言すれば、間断なきパターンとして形成されている)こと、また、接続部分406Cは、画像表示領域10aの四隅、即ち額縁パターン406の四隅に対応するように複数形成されていることから、たとえ額縁パターン406の一部、或いは四つの上下導通材106のいずれかが何らかの事情により電気的に導通不能となった場合であっても、他の部分によって電気的導通を滞りなく実現することが可能だからである。
【0154】
以上のことにより、第1実施形態によれば、対向電極21の電位を極めて安定に維持することが可能となり、該対向電極21及び画素電極9a間に挟持される液晶層50内の液晶分子の配向状態の調整を好適に行うことができるから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0155】
なお、第1実施形態においては、図8に示したように、額縁パターン406に接続される外部回路接続端子102Qは、図中左右に二つ設けられるようになっているが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図中左及び右のいずれか一方にのみ、額縁パターン406に接続される外部回路接続端子102Qが設けられるような形態を採用してもよい。
【0156】
他方、第1実施形態においては、前記のように対向電極21及び容量配線400への電位供給機能を有する額縁パターン406は、配線404の一部、即ち特定の外部回路接続端子102Qと接続された配線404と同一膜として、且つ、電気的に接続されるように形成されていることから、これら各要素が、例えば別々の層に形成され且つコンタクトホール等によって電気的な接続が図られているというような場合に比べて、該各要素間の電気抵抗値を低下せしめることができる。したがって、対向電極21への安定した電位の供給が実現されるのに加えて、容量配線400等の高抵抗化を起因とするクロストークの発生等を防止することができる。
【0157】
これに関連して、第1実施形態においては、配線404及び容量配線400は、データ線6aの上に、第3層間絶縁膜43を介して形成されている。これにより、配線404及び容量配線400を同一膜として形成するということと、外部回路接続端子102は外部に曝されなければならないという要請、更には配線404及び外部回路接続端子102間で電気的連絡を図らなければならないという要請とを比較的容易に達成することが可能となる(図7(a)参照)。また、第1実施形態では特に、配線404及び容量配線400は、共に画素電極9aを含む第6層の直下、即ち該画素電極9aとの間に第4層間絶縁膜44のみを介して形成されていることから、前述の作用効果はより効果的に奏されることになる。
【0158】
すなわち、このような構成により、外部回路接続端子102を構成するためのコンタクトホール44H1は、図7(a)に示すように第4層間絶縁膜44についてのみ形成すればよいから、その深度は比較的浅く、該コンタクトホール44H1の形成は比較的容易となるのである。
【0159】
〔第2実施形態〕
以下では、本発明の第2の実施形態について、図9乃至図11を参照しながら説明する。ここに図9は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図9においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。また、図10及び図11は、図9に示す符号D付近を拡大し且つ当該部分における回路構成等を併せて示す説明図である。なお、第2実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第2実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0160】
図9においては、額縁パターン461A及び461Bからなる額縁パターン461が形成されている。このうち額縁パターン461Aは、本発明にいう「第1のパターン」の一例に該当し、図9に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの三辺(図中上辺並びに左辺及び右辺)に沿って連続して形成されている。また、額縁パターン461Bは、本発明にいう「第2のパターン」の一例に該当し、画像表示領域10aの残る一辺(図中下辺)に沿って形成されるとともに前記の額縁パターン461Aと分断して形成されている(図中符号461G参照。)。そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン461A上に存在する。
【0161】
このような形態によれば、前述の第1実施形態と同様、額縁パターン461A及びその上の四つの上下導通材106について冗長的な構造がとられていることにより、額縁パターン461及び対向電極21間の電気的接続をより確実になすことができ、対向電極21の電位を極めて安定に維持することが可能となる。また、額縁パターン461A及び461Bの存在によって、光漏れ防止の作用効果が得られることも、前述の第1実施形態と同様である。
【0162】
また、第2実施形態においては特に、額縁パターン461Bによって次のような作用効果が得られる。すなわち、第2実施形態では、額縁パターン461Bは、図9において図示が省略されているデータ線駆動回路101(図1参照)が形成される領域に対応して形成されている。
【0163】
このデータ線駆動回路101付近の構成は、図10に示すようになっている。
すなわち、データ線駆動回路101から引き出された制御線114は、サンプリング回路118を構成するスイッチング素子202のゲートに接続されている。
【0164】
他方、スイッチング素子202のソースには、引き出し配線116を介して画像信号線115が接続されており、そのドレインにはデータ線6aが接続されている。これにより、データ線駆動回路101によってスイッチング素子202のON・OFFが制御されることで、画像信号線115からデータ線6aへの画像信号の供給の有無が制御されるようになっている。
【0165】
しかしながら、このような構成を備えているデータ線駆動回路101付近の構成では、前記の引き出し配線116と、対向基板20上の対向電極21との間で容量カップリングが発生するおそれがあるのである。この容量カップリングが発生すると、一方に対する通電によって、他方における電位に変動を与えてしまうため、所望どおりの画像の表示が困難となることになる。
【0166】
しかるに、第2実施形態によれば、当該領域には、図10に示すように、前記の額縁パターン461Bが形成されていることから、画像信号線115及び対向電極21間には該額縁パターン461Bが存在することになり、前記の容量カップリングの発生を抑制することができるのである。したがって、第2実施形態によれば、所望どおりの画像を好適に表示することができる。ちなみに、このような作用をより効果的に得るためには、額縁パターン461Bを固定電位に維持しておくことが好ましい。そのためには、例えば該額縁パターン461Bを、図9において図示されない容量配線400(図8参照)に接続しておくようにしておくとよい。
【0167】
なお、このような作用効果は、前述した第1実施形態のように、額縁パターン406を画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成する態様においても、同様に享受できる。
【0168】
また、上記第2実施形態においては、額縁パターン461Bが、サンプリング回路118及び該サンプリング回路118から延びる引き出し配線116をほぼ全部覆うように形成されているが、本発明は、このような形態に限定されない。
【0169】
例えば、図11に示すように、短冊状に分断された額縁パターン461BBを形成するようにしてもよい。ちなみに、このような構成を採用する場合においては、図10とは異なり、これら短冊状の額縁パターン461BBを固定電位に維持する必要はなく、フローティング(浮遊電位)にしておいてよい。
【0170】
〔第3実施形態〕
以下では、本発明の第3の実施形態について、図12を参照しながら説明する。ここに図12は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図12においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。なお、第3実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第3実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0171】
図12においては、額縁パターン462C及び462Dからなる額縁パターン462が形成されている。このうち額縁パターン462Cは、本発明にいう「第3のパターン」の一例に該当し、図12に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの対応する二辺(図中左辺及び右辺)に沿って形成されている。また、額縁パターン462Dは、本発明にいう「第4のパターン」の一例に該当し、画像表示領域10aの残る二辺(図中上辺及び下辺)に沿って形成されるとともに前記の額縁パターン462Cと分断して形成されている(図中符号462G参照)。
【0172】
そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン462C上に存在する。
【0173】
このような形態によれば、図12中、画像表示領域10aの左辺及び右辺に沿って、二本の直線状パターンとして形成された額縁パターン462Cには、それぞれ、上下導通材106が二個ずつ存在している。したがって、この点に関しては、第1実施形態と同様、冗長的な構造がとられているということができるから、額縁パターン462及び対向電極21間の電気的接続をより確実になすことができる。
【0174】
また、額縁パターン462Dによれば、前記第2実施形態の額縁パターン461Bと同様に、引き出し配線116及び対向電極21間における容量カップリングの発生を極力防止することができる。
【0175】
むろん、額縁パターン462C及び462Dの存在によって、光漏れ防止の作用効果が得られることも、前述の第1実施形態と同様である。
【0176】
〔第4実施形態〕
以下では、本発明の第4の実施形態について、図13を参照しながら説明する。ここに図13は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図13においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。なお、第4実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第4実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0177】
図13においては、額縁パターン463E及び463Fからなる額縁パターン463が形成されている。このうち額縁パターン463Eは、本発明にいう「第5のパターン」の一例に該当し、図13に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成されている。また、額縁パターン463Fは、本発明にいう「第6のパターン」の一例に該当し、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記額縁パターン463Eと分断して形成されている(図中符号463G参照)。そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン463E及び463Fのいずれの上にも存在する。
【0178】
このような形態によれば、前記第1から第3実施形態と略同様な作用効果、すなわち額縁パターン463及び対向電極21間の電気的接続の確実性、或いは引き出し配線116及び対向電極21間の容量カップリングの発生抑止、更には、光漏れ防止等の作用効果が略同様に得られることが明白である。
【0179】
〔第5実施形態〕
以下では、本発明の第5の実施形態について、図14を参照しながら説明する。ここに図14は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様等が異なるものである。なお、第5実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第5実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0180】
まず、図14においては、上記第4実施形態と略同様なパターン形状を有する額縁パターン464が形成されている。すなわち、額縁パターン464は、画像表示領域10aの一つの角部を除いて連続に形成された額縁パターン464E及び前記一つの角部に対応する部分に形成された額縁パターン464Fからなる。
【0181】
また、これらの額縁パターン464E及び464Fには、それぞれ、三つ及び一つの上下導通材106が形成されていること、該上下導通材106に電位を供給するための配線404が形成されていること、及び該配線404の一部は特定の外部回路接続端子102Qに接続されていることも、上記第4実施形態と同様である。ただし、第5実施形態に係る配線404は特に、本発明にいう「第2配線の第1部分」の一例に該当し、特定の外部回路接続端子102Qは、本発明にいう「外部回路接続端子の第1部分」の一例に該当する。
【0182】
そして、第5実施形態において、この額縁パターン464E及び464Fは、容量配線と電気的に接続されていない。すなわち、額縁パターン464と容量配線400’とは、同一膜として形成されてはいるものの、パターニング上分断されるように形成されているのである(図中符号46G参照)。そして、このように額縁パターン464から電位の供給を受けることのできない容量配線400’には、配線408が延設されるようになっている。この配線408は、本発明にいう「第2配線の第2部分」の一例に該当し、額縁パターン464E及び464Fを分ける間隙464G間を抜けて、特定の外部回路接続端子102R(本発明にいう「外部回路接続端子の第2部分」の一例に該当する。)に接続されている。
【0183】
以上をまとめると、第5実施形態では、配線404、額縁パターン464、配線408及び容量配線400’は、すべて同一膜として形成されているが(第3中継電極402を勿論含む。)、配線404と額縁パターン464との間、及び、配線408と容量配線400’との間のそれぞれについては電気的接続が図られているものの、前者及び後者間には電気的な連絡がなされていないのである。
【0184】
このような形態によれば、対向電極21と、容量配線400’ひいては容量電極300とに与える電位を異ならせることができる。すなわち、対向電極21は、上下導通材106を介して額縁パターン464、配線404、特定の外部回路接続端子102Qに接続されているから、該外部回路接続端子102Qに対向電極21用の電位を供給すれば、対向電極21を当該電位に維持することができる。一方、容量配線400’、ひいてはこれに電気的に接続されている容量電極300(図6参照)は、配線408、特定の外部回路接続端子102Rに接続されているから、該外部回路接続端子102Rに、前記対向電極21用の電位とは異なる容量電極300用の電位を供給すれば、該容量電極300を当該電位に維持することができるのである。このように、第5実施形態によれば、対向電極21及び容量電極300それぞれを異なる電位に維持することができることから、当該電気光学装置内で発生する各種の電気作用を好適に調整すること等ができる。
【0185】
なお、第5実施形態においても、上記第1から第4実施形態と同様に、額縁パターン464及び対向電極21間の確実な電気的接続の確保、或いは画像信号線115及び対向電極21間の容量カップリング発生の抑制、更には光漏れ防止等が可能であることに変わりない。
【0186】
なお、上記第2から第4実施形態においては、額縁パターン461、462及び463には、上下導通材106及び対向電極21並びに容量配線400が電気的に接続されていることから、特定の外部回路接続端子102Qには、対向電極21及び容量配線400或いは容量電極300に共通の電位を供給する必要がある。ただし、本発明は、このような形態に限定されない。すなわち、第5実施形態として述べたように、上記第2から第4実施形態においても、額縁パターン461、462及び463を構成する間隙461G、462G及び463Gを利用して、容量配線400或いは容量電極300用の電位を、対向電極21用の電位とは別個に供給するようにしてもよい。
【0187】
また、上記第1から第5実施形態においては、特定の外部回路接続端子102Q又は102Rに供給される電位を、走査線駆動回路104に供給される低電位側の定電位として利用してもよい。これによると、対向電極21、容量電極300の電位は、当該定電位と同じになる。或いはまた、上述のような構成に代えて、外部回路接続端子102Q又は102Rに供給される電位を、データ線駆動回路101に供給される定電位として使用しても構わない。
【0188】
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図15は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0189】
図15において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際、特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0190】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0191】
10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、3a…走査線、6a…データ線、30…TFT、9a…画素電極、70…蓄積容量、300…容量電極、400…容量配線(第1配線)、406,461,462,463,464…額縁パターン、404,408…配線(第2配線)、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、102…外部回路接続端子、106…上下導通材、20…対向基板、21…対向電極、53…額縁遮光膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro-Luminescence)表示装置等の電気光学装置の技術分野に属する。また、本発明は、このような電気光学装置を具備してなる電子機器の技術分野にも属する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に、マトリクス状に配列された画素電極及び該電極の各々に接続された薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下適宜、「TFT」という。)、該TFTの各々に接続され、行及び列方向それぞれに平行に設けられたデータ線及び走査線等を備えることで、いわゆるアクティブマトリクス駆動が可能な電気光学装置が知られている。
【0003】
このような電気光学装置では、上記に加えて、前記基板に対向配置される対向基板を備えるとともに、該対向基板上に、画素電極に対向する対向電極等を備え、更には、画素電極及び対向電極間に挟持される液晶層等を備えることで、画像表示が可能となる。すなわち、液晶層内の液晶分子は、画素電極及び対向電極間に設定された所定の電位差によって、その配向状態が適当に変更され、これにより、当該液晶層を透過する光の透過率が変化することによって画像の表示が可能になるのである。
【0004】
また、前述の電気光学装置における前記基板は、走査線、データ線及び画素電極等が設けられる画像表示領域と、走査線駆動回路、データ線駆動回路、これら回路に所定信号を供給するための外部回路接続端子等が設けられる周辺領域とを有する。このような電気光学装置の一典型例としては、例えば特許文献1に記載されているものを挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−223832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来における電気光学装置においては、次のような問題点がある。すなわち、前記の周辺領域においては、通常、基板及び対向基板を接着するためのシール材が設けられる。このシール材としては、取り扱いが容易であること、比較的強力な接着力が得られること等から、光硬化性樹脂が好ましく用いられている。この場合、シール材を硬化するためには、基板及び対向基板間に挟まれて存在する当該シール材に対して光を照射する必要がある。他方、画像表示領域及び周辺領域には、前述した走査線及びデータ線と走査線駆動回路及びデータ線駆動回路とを接続するための配線や、データ線に画像信号を好適に供給するためのサンプリング回路、該画像信号それ自体を供給する画像信号線等各種の配線が形成される必要がある。これらによると、周辺領域上の所定の領域においては、前記シール材と前記各種の配線等が併せて形成される必要があることになるが、当該領域では、シール材硬化のために、所定の隙間を設けておく等によって光の通り道を確保しておくことが行われる。
【0007】
しかしながら、これによると、完成後の電気光学装置を実地に使用している際に、光の通り道として設けられた前記の所定の隙間等を介して光が漏れてしまうという問題が生じることになる。すなわち、当該電気光学装置を、例えば液晶プロジェクタ等の投射型表示装置のライトバルブとして用いる場合においては、このライトバルブに対して光を投射するとともに、該ライトバルブを通り抜けた光をスクリーン上に拡大投射することで、画像表示を行うことになるが、前記所定の隙間等が存在すると、ライトバルブの通り抜けた光に、該隙間から漏れ出た光が混入してしまうのである。このような場合、スクリーン上の画像の周囲には、前記各種の配線等のパターンの像が映り込むなどの事態が生じ、画像の品質を貶める結果となってしまう。
【0008】
また、従来の電気光学装置においては、画像表示領域に、画素電極における電位保持特性を高めるために蓄積容量が形成される場合がある。この蓄積容量を構成する一方の電極(以下、「容量電極」ということがある。)は、一定の電位に維持することが好ましいため、周辺領域に形成される外部回路接続端子に接続されることが行われている。しかしながら、この場合、両者間をコンタクトホールを介して接続する態様が採用されると、該コンタクトホールに起因する高抵抗化がもたらされるおそれが大きいこと、また、コンタクトホール毎に特性が異なるという事態が生じ得ること等から、容量電極、或いはこれから延びる配線の時定数が大きくなり、結果、画像上にクロストークを発生させる等という不具合が生じることがあったのである。なお、前記の配線が、画像表示領域を横切るように形成されている場合には、いわゆる横クロストークとして観察されることになる。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像の周囲に光漏れに起因する像が現れるということを極力防止し、或いは容量電極に所定電位を好適に供給することによって、高品質な画像を表示することの可能な電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような電気光学装置を具備する電子機器を提供することをも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するため、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極及び前記スイッチング素子の形成領域として規定される画像表示領域と、該画像表示領域の周辺を規定する周辺領域とを有し、前記画像表示領域上に、前記画素電極における電位を所定期間保持する蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域と前記周辺領域とを画する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンとを備えている。
【0011】
また、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路からの配線とを有し、前記画像表示領域上に、前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電気光学装置は、前記配線は、前記データ線駆動回路により制御されるサンまた、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線とを有し、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記引き出し配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電気光学装置は、基板上に、一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路とを有し、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、前記額縁パターンの少なくとも一部は、前記サンプリング回路内における隣接するスイッチング素子の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする。
【0014】
本発明の電気光学装置によれば、スイッチング素子の一例たる薄膜トランジスタに対し走査線を通じて走査信号が供給されることで、そのON・OFFが制御される。他方、画素電極に対しては、データ線を通じて画像信号が供給されることで、前記薄膜トランジスタのON・OFFに応じて、画素電極に当該画像信号の印加・非印加が行われる。これにより、本発明に係る電気光学装置は、いわゆるアクティブマトリクス駆動が可能とされている。また、本発明においては、画素電極における電位の所定期間保持する蓄積容量が形成されていることにより、該画素電極の電位保持特性が向上されている。
【0015】
そして、本発明では特に、前記基板は、画像表示領域及び周辺領域を有し、このうちの前者には前記の画素電極、スイッチング素子、蓄積容量及び第1配線が形成されている。更に、本発明では、周辺領域又は画像表示領域及び周辺領域間を画する額縁領域の少なくとも一部に、前記第1配線と同一膜として形成された額縁パターンを備えている。ここで額縁領域とは、例えば、画像表示領域が矩形状である場合には、この矩形状の周囲を所定の幅でもって縁取った領域として規定される。したがって、この場合における額縁領域は、平面視して、ロの字状を有することになる。また、周辺領域は、画像表示領域の中心から見て、このロの字状となる額縁領域の外縁から以遠の領域として規定されることになる。また、「同一膜として形成」されているとは、当該電気光学装置の製造工程において、額縁パターン及び第1配線の前駆膜が同一の機会に成膜され、且つ、この前駆膜に対して同時に所定のパターニング処理(例えば、フォトリソグラフィ及びエッチング工程等)が実施されることを意味する。
【0016】
そして、前記額縁パターンは、前記のような額縁領域の少なくとも一部に形成されている。これにより、額縁領域を透過しようとする光は、額縁パターンによって、その進行が遮られることになる。したがって、本発明によれば、額縁パターンが形成されている領域に対応する分、背景技術で説明したような光漏れが生じることを未然に防止することが可能となり、もって、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことを防止することが可能となるから、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0017】
なお、本発明において、額縁パターンは、画像表示領域に形成される第1配線と電気的に接続されているように形成されてもよいし、又は両者間はパターニング上分断されるように形成されてもよい。
【0018】
また、本発明において、第1配線が容量電極に所定電位を供給する役割を果たすための構成としては、例えば、該第1配線が、容量電極に接続又は延設されるような構成を採用するとよい。ここに、「容量電極に接続」されるとは、例えば、容量電極及び第1配線が基板上に構築される積層構造中別々の層に形成されている場合において、両者間にコンタクトホールを介することで、これらを電気的に接続する等という場合を含む。他方、第1配線が、「容量電極に・・・延設」されるとは、例えば、該容量電極と平面的に連続する形状を有するパターン(即ち、このパターンにおいては、該パターンが形作られる平面内において第1配線と呼べる部分と容量電極と呼べる部分の双方を含むことになる。)が同一層に形成される等という場合を含む。
【0019】
さらに、念のため、本発明にいう「額縁パターン」は、額縁領域上に形成されているがゆえに、その名が与えられているというにとどまり、該額縁パターンが、額縁のような形状を有しているということを必ずしも意味しない(額縁パターンが、「額縁領域の少なくとも一部」に形成されているということは、そのような趣旨を含む。)。また、このような額縁パターンは、額縁領域を越えて、周辺領域上に至るように形成されてもよい。
【0020】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、前記基板及び前記対向基板を接着するシール材とを更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記シール材が形成されるシール領域の少なくとも一部に形成されている。
【0021】
この態様によれば、基板及び対向基板が、例えば光硬化性樹脂等からなるシール材により接着されている。この場合、額縁領域が、仮に前記のようなロの字状を有するものとすると、シール材が形成されるシール領域は、該額縁領域のロの字状の全部若しくは一部を含み又は含まずに該額縁領域の外縁以遠に位置し、且つ、該ロの字状よりも若干大きいロの字状を有するものと想定することができる(したがって、このシール領域の少なくとも一部は、前記周辺領域に含まれる領域である。)。
【0022】
本態様によれば、このように、額縁領域以遠においても、前記額縁パターンが形成されていることにより、シール領域を透過しようとする光もまた、額縁パターンによって、その進行が遮られることになる。したがって、本発明によれば、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことをより効果的に防止することが可能となるから、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0023】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成される対向電極とを更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記対向電極と電気的に接続されている接続部分を有する。
【0024】
この態様によれば、額縁パターンは、対向電極と電気的に接続された接続部分を有する、すなわち対向電極及び額縁パターンは電気的に接続された状態となり、両者は常に同電位にあることになる。これによると、額縁パターンは、前述した光漏れ防止の機能と対向電極への電位供給機能という二つの機能を同時に果たすことになり、その分、装置構成の簡略化が図れることになる。
【0025】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記額縁パターンは、前記第1配線と電気的に接続するように形成されている。
【0026】
この態様によれば、額縁パターン及び第1配線は、常に同電位にあることになる。これによると、額縁パターンは、前述した光漏れ防止の機能と第1配線への電位供給機能という二つの機能を同時に果たすことになり、その分、装置構成の簡略化が図れることになる。ちなみに、額縁パターンと第1配線とは、上述のように同一膜として形成されていることから、両者を「電気的に接続するように形成」するとは、典型的には、額縁遮光膜及び第1配線に共通の前駆膜において両者を分断することなくパターニング処理する場合(すなわち、この場合においては、平面的に連続するパターン上、額縁パターンといえる部分と第1配線といえる部分の双方が存在する。)が想定されることになる。
【0027】
また、本態様に併せて、前述した額縁パターン及び対向電極間の電気的接続が図られた態様を併せもてば、額縁パターン、対向電極及び第1配線の三者は、常に同電位にあることになる。これによると、装置構成の簡略化はより好適に達成されることになるのは言うまでもない。
【0028】
接続部分を備える態様では、前記接続部分は、前記対向基板のコーナー部に対応して設けられているように構成してもよい。
【0029】
このような構成によれば、例えば、画像表示領域が矩形状である場合には、該画像表示領域の四隅に対応するように、或いは該画像表示領域を縁取る額縁領域、或いはそれ以遠のシール領域の四隅に対応するように、接続部分を配置するなどということが可能となる。この場合、額縁パターン及び対向電極間の電気的接続を好適に図りつつ、画像表示を妨げないという作用効果が得られる。
【0030】
なお、本態様にいう「コーナー部」とは、対向基板自体の四隅の部分を含むのは勿論、これら各隅から一定の平面的な広がり(例えば、当該隅の部分を中心とした同心円的な広がり)を有する部分をも含む概念である。また、接続部分が「コーナー部に対応して設けられている」ということには、該接続部分が前記したような四隅全部に設けられている場合の他、画像表示領域の三隅以下に対応するように設けられているなどという場合も含む。
【0031】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記額縁パターンは、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成されている。
【0032】
この態様によれば、額縁パターンが、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成されていることから、原理上は、額縁領域、或いはシール領域を透過する光を完全に遮断することも可能である。したがって、前記した光漏れの作用はより効果的に発揮されることになり、もってより高品質な画像を表示することが可能となる。
【0033】
また、この態様において、前記画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成された額縁パターンに、前記した対向電極との「接続部分」が存在する場合にあっては、この額縁パターンと対向電極との電気的接続をより確実になすことができる。というのも、額縁パターンは、そのあらゆる部分が電気的に接続されている(換言すれば、間断なきパターンとして形成されている)こと、また、前記接続部分は、上述の例のように、画像表示領域の四隅、即ち額縁パターン、或いはシール領域の四隅に対応するように複数形成可能であることから、たとえ額縁パターンの一部、或いは接続部分のいずれかが何らかの事情により電気的に導通不能となった場合であっても、他の部分によって電気的導通を滞りなく実現することが可能だからである(言い換えれば、額縁パターン、或いは該額縁パターン上の接続部分について冗長的な構造がとられているということができる。)。これにより、このような態様においては、対向電極の電位を極めて安定に維持することが可能となり、該対向電極及び画素電極間に挟持される電気光学物質の一例たる液晶分子の配向状態の調整を好適に行うことができるから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0034】
他方、前述した額縁パターンが対向電極と電気的に接続されている接続部分を有する態様では、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の三辺に沿って連続して形成された第1のパターンと、残る一辺に沿って形成されるとともに前記第1のパターンと分断して形成された第2のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第1のパターン上に存在するようにしてもよい。
【0035】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の三辺に沿って連続して形成された第1のパターンを含み、且つ、前記接続部分はこの第1のパターン上に存在するから、前述の画像表示領域の周囲すべてを囲むように額縁パターンが形成されている態様と同様、額縁パターン及び対向電極間の電気的接続をより確実になすことができ、対向電極の電位を極めて安定に維持することが可能となる。
【0036】
また、本態様においては、この第1のパターンに加えて、前記矩形状の残る一辺に沿って形成されるとともに前記第1のパターンと分断して形成された第2のパターンを含むことから、次のような作用効果が得られる。すなわち、この第2のパターンの形成される領域が、例えばデータ線駆動回路が形成される領域に対応する場合においては、当該データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路に引き回される画像信号線と、対向基板上の対向電極との間で容量カップリングが発生するおそれがある。この容量カップリングが発生すると、一方に対する通電によって、他方における電位に変動を与えてしまうため、所望どおりの画像の表示が困難となることになる。しかるに、本態様によれば、当該領域には、前記の第2のパターンが形成されていることから、画像信号線及び対向電極間には該第2のパターンが存在することになり、前記の容量カップリングの発生を抑制することができるのである。したがって、本態様によれば、所望どおりの画像を好適に表示することができる。
【0037】
なお、このような作用効果は、前述した、額縁パターンを画像表示領域の周囲すべてを囲むように形成する態様においても、全く同様に享受できることは言うまでもない。
【0038】
また、本態様にいう「第1のパターン」及び「第2のパターン」、更には以下に後述する態様にいう「第3のパターン」ないし「第6のパターン」という用語は、単に、それぞれが個別の概念で規定される半導体プロセス上のパターンであるということを表しているに過ぎない(換言すれば、「A」乃至「F」というのは、単なる「名前」に過ぎない。)
。
【0039】
あるいは、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の対向する二辺に沿って形成された第3のパターンと、残る二辺に沿って形成されるとともに前記第3のパターンと分断して形成された第4のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第3のパターン上に存在するようにしてもよい。
【0040】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の対向する二辺に沿って形成された第3のパターンを含み、且つ、前記接続部分はこの第3のパターン上に存在する。この第3のパターンは、前記の定義上、分断して形成される二本の直線状の配線が含まれることが一般的に想定される。この態様によれば、当該二本の直線状の配線それぞれには、前記接続部分が少なくとも二個存在し得る。したがって、対向電極及び額縁パターン間の電気的接続をより確実になすことができる。
【0041】
また、本態様においては、この第3のパターンに加えて、前記矩形状の残る二辺に沿って形成されるとともに、前記第3のパターンと分断して形成された第4のパターンを含む。これにより、前記の第2のパターンと同様に、第4のパターンの形成される領域が、例えばデータ線駆動回路が形成される領域に対応する場合においては、画像信号線及び対向電極間の容量カップリングの発生を防止することができる。
【0042】
さらには、前記画像表示領域は平面視して矩形状を有し、前記額縁パターンは、前記矩形状の一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成された第5のパターンと、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記第5のパターンと分断して形成された第6のパターンとを含み、前記接続部分は、前記第5のパターン及び前記第6のパターンの少なくとも一方の上に存在するようにしてもよい。
【0043】
このような構成によれば、まず、額縁パターンが矩形状を有する画像表示領域の一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成された第5のパターンを含み、且つ、該第5のパターン上に前記接続部分が存在し得る。したがって、典型的には、接続部分は、この第5のパターン上に三個存在することが考えられる。
【0044】
また、本態様においては、この第5のパターンに加えて、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記第5のパターンと分断して形成された第6のパターンを含み、且つ、該第6のパターン上に前記接続部分が存在し得る。したがって、典型的には、接続部分は、この第6のパターン上に一個存在することが考えられる。
【0045】
以上により、本態様によれば、前述した額縁パターン及び対向電極間の電気的接続の確実性、或いは画像信号線及び対向電極間の容量カップリングの発生抑止等の作用効果が略同様に得られる。
【0046】
なお、本態様に係る額縁パターンの態様、或いは前述した額縁パターンに関する各種の態様は、額縁パターンの形成態様のバリエーションを増加させる意義を有することは言うまでもない。これにより、外部回路接続端子から、データ線駆動回路、走査線駆動回路、或いは前記接続部分へ引き回す各種配線の配置(ないしはパターニング)を、より容易になすこと等も可能となる。
【0047】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記周辺領域上に、前記基板の辺縁部に沿って形成された外部回路接続端子と、該外部回路接続端子に延設された第2配線とを更に備え、該第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されている。
【0048】
この態様によれば、周辺領域には外部回路接続端子及び第2配線が形成されており、このうちの第2配線の少なくとも一部が、第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されている。ここで「同一膜として形成されている」とは、額縁パターン及び第1配線に関して既に述べたとおりの意義を有する。これによれば、第2配線の少なくとも一部及び第1配線は、データ線、走査線及び画素電極等が構成する積層構造中同一の層に形成されることになり、また、両者は同一の材料から構成されることとなる。ちなみに、本発明においては第1配線と額縁パターンとが同一膜として形成されることから、本態様によれば結局、第1配線、額縁パターン及び第2配線のいずれもが同一膜として形成されるということになる。
【0049】
これによれば、第一に、外部回路接続端子、第2配線及び第1配線を、同一層に形成することが可能となるから、これら各要素間における電気抵抗値を低下せしめることができる。
【0050】
ちなみに、従来においては、前述のような各要素は別々の層に形成されることが行われており、これにより、該各要素間の電気的接続にはコンタクトホール等が利用されることがあった。しかしながら、コンタクトホールを利用してしまうと、該コンタクトホールに起因する高抵抗化がもたらされるおそれが大きいこと、また、コンタクトホール毎に特性が異なるという事態が生じ得ること等から、容量電極、或いはこれから延びる配線の時定数が大きくなり、結果、画像上にクロストークを発生させる等という不具合が生じることがあったのである。なお、前記の配線が、画像表示領域を横切るように形成されている場合には、いわゆる横クロストークとして観察されることになる。
【0051】
しかるに、本態様においては、既に述べたように、外部回路接続端子、第2配線及び第1配線を同一層に形成することが可能であるから、上述のような不具合を被らなくて済むのである。
【0052】
また第二に、本態様と、前記した額縁パターンに接続部分を有する態様、或いは画像表示領域の周囲すべてを囲むように額縁パターンが形成される態様、更には前記の第1のパターン、第2のパターン、第3のパターン、第4のパターン、第5のパターン及び第6のパターンを含む額縁パターンを備えた態様とを併せもった電気光学装置(以下、当該電気光学装置の態様を「併用態様」という。)に関しては特に、次のような特有の作用効果を奏することになる。すなわち、この併用態様に係る電気光学装置では、額縁パターンには、これと対向電極との間の接続部分が存在しているから、該額縁パターンは、前記の光漏れ防止の作用効果等に併せて、対向電極に所定の電位を供給する配線としての機能も有している。ここで、この併用態様では、この額縁パターンとともに、第2配線、第1配線もまた、同一膜として形成されているから、これら各要素及び外部回路接続端子間の電気抵抗値は低下せしめることが可能となっているのである。
【0053】
このようなことから、前記併用態様においては、外部回路接続端子から、第2配線、そして額縁パターンに至るまでの電気抵抗値は低く抑えられることになるから、該額縁パターンの電位は安定した状態を維持することが可能となり、もって対向電極の電位も安定した状態に維持することが可能となるのである。さらに、額縁パターンには、第1配線が電気的に接続され得るから、該第1配線の電位、ひいてはこれに接続又は延設される容量電極の電位もまた、安定した状態に維持することが可能となる。
【0054】
このように、併用態様によれば、額縁パターン、第2配線及び第1配線が同一膜且つ電気的に接続された状態で形成され、且つ、該額縁パターンに前記接続部分が存在することから、本態様に係る作用効果(低抵抗化)、及び接続部分を有することによる作用効果(対向電極に対する電位供給機能)の双方について、これをより効果的に享受することが可能となるのである。
【0055】
この態様では、前記第1配線は、前記データ線の上に第1の層間絶縁膜を介して形成されているようにしてもよい。
【0056】
このような構成によれば、基板上に構築される走査線、データ線、画素電極及び外部回路接続端子等からなる積層構造を好適に構成することが可能となる。
【0057】
すなわち、まず、外部回路接続端子は、外部に曝される電極を備えなければならないことから、前記の積層構造中、比較的上層に形成されることが好ましい。
さもなければ、積層構造の最上層部分から前記電極に通ずるような比較的深いコンタクトホール等を開孔しなければならないからである。他方、本態様によれば、第1配線は、データ線の上に形成されていることから、該第1配線と同一膜として形成され、外部回路接続端子に接続又は延設される第2配線もまた、データ線の上に形成されることになる。したがって、第2配線は、前記の積層構造中、比較的上層に形成されることになる。
【0058】
以上により、本態様では、外部回路接続端子を比較的上層に形成するとしても、これに接続又は延設される第2配線もまた比較的上層に形成されることにより、両者間の電気的接続を無理なく実現することが可能となる。このように、本態様によれば、前記の積層構造を好適に形成することが可能となるのである。
【0059】
或いは、前記第1配線は、前記画素電極を含む層の直下の層に形成されているようにしてもよい。
【0060】
このような構成によれば、外部回路接続端子及び第2配線間の電気的接続を更に無理なく実現することが可能である。すなわち、画素電極が電気光学物質に対向する必要があることからすると、第1配線が画素電極を含む層の直下の層に形成されているということは、該第1配線が、電気光学物質の層からみて、画素電極との間に一層の絶縁膜を挟むのみで形成されているという場合が典型的には想定されることになる。そして、この場合、第1配線と同一膜として形成される第2配線もまた、画素電極を含む層の直下の層に形成されていることになるから、該第2配線の上には、通常、前記絶縁膜が存在するのみということになる。これは、周辺領域においては、画素電極の直下に形成される絶縁膜の表面が、外部に曝されることとなるのが通常だからである。
【0061】
したがって、本態様によれば、外部回路接続端子を構成する電極を外部に曝すことは極めて容易となる。また、第2配線との電気的な接続は、前記の電極から該第2配線を延設することによればよい。
【0062】
このように、本態様によれば、外部回路接続端子及び第2配線間の電気的接続を無理なく実現することが可能となるのである。
【0063】
また、第2配線を備える電気光学装置の他の態様では、前記第1配線及び前記額縁パターンは電気的に接続されて形成されておらず、且つ、前記第2配線の第1部分及び前記第1配線が電気的に接続され、前記第2配線の第2部分及び前記額縁パターンが電気的に接続されており、前記第1部分は前記外部回路接続端子の第1部分に、前記第2部分は前記外部回路接続端子の第2部分にそれぞれ接続されているようにしてもよい。
【0064】
このような構成によれば、額縁パターン及び第1配線のそれぞれを異なる電位に維持することができる。この場合、第1配線が容量電極に所定電位を供給するためのものであることに注意するとともに、額縁パターンに対向電極が接続されているという前提を置けば、額縁パターン及び第1配線のそれぞれを異なる電位に維持することができるということは、容量電極及び対向電極のそれぞれを異なる電位に維持することができるということに同義になる。これは、外部回路接続端子の第1部分にある電位を供給すれば、当該第1部分が、第2配線の第1部分、第1配線及び容量電極に接続されていることから、容量電極は当該電位に維持される一方、外部回路接続端子の第2部分に前記ある電位とは異なる電位を供給すれば、当該第2部分が、第2配線の第2部分、額縁パターン及び対向電極に接続されていることから、対向電極は当該電位に維持されることとなるからである。これをまとめれば、以下の表1のようになる。なお、これら各概念を具体化したものについては、後に説明する発明の実施の形態において、〔第5実施形態〕として説明されている。
【0065】
【表1】
【0066】
これにより、本態様によれば、当該電気光学装置内で発生する各種の電気作用を好適に調整すること等ができる。
【0067】
本発明の電気光学装置の他の態様では、第1配線は、遮光性材料から構成されている。
【0068】
この態様によれば、第1配線は容量電極に接続又は延設される配線であって画像表示領域内に形成されるものであるから、画像表示領域内において、当該第1配線が形成されている領域に対応した遮光を実現することができる。これにより、前記スイッチング素子の一例たる薄膜トランジスタを構成する半導体層(活性層)に、みだりに光が入射するという事態を未然に防止することが可能となるから、該半導体層における光リーク電流の発生を抑制することができ、したがって、画像上にフリッカ等が発生することを未然に防止することが可能となる。
【0069】
また、本態様によれば、該第1配線と同一膜として形成される第2配線もまた、遮光性材料から構成されることになる。したがって、周辺領域上に形成されるスイッチング素子としての薄膜トランジスタについても、前記と同様な作用効果を得ることができ、もって、当該薄膜トランジスタの正確な動作を期することができる。
【0070】
そしてさらに、本態様によれば、前記第1配線と同一膜として形成される額縁パターンもまた、遮光性材料から構成されることになる。したがって、前記の光漏れ防止の作用効果は、より効果的に享受されることになる。
【0071】
なお、本態様にいう「遮光性材料」としては、例えば、光反射率が比較的大きいAl(アルミニウム)等を含むほか、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等も含む。
【0072】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1配線は、相異なる材料からなる積層構造を有する。
【0073】
この態様によれば、例えば、第1配線の下層にアルミニウムからなる層、その上層に窒化チタンからなる層等といった二層構造として構成される。この場合、下層のアルミニウム層によれば、高い電気伝導性能及び光反射率が比較的高いことによる遮光性能を享受することができると同時に、上層の窒化チタン層によれば、第1配線上に形成される層間絶縁膜等の前駆膜をパターニング処理する際、或いは該層間絶縁膜等にコンタクトホールを形成する際に、いわゆる突き抜けの発生を防止する機能を享受すること(即ち、該窒化チタンからなる層は、いわゆるエッチストップとして機能する)が可能となる。
【0074】
このように、本態様によれば、第1配線が「積層構造」を有するものとして構成されることにより、該第1配線に、容量電極に電位を供給するという機能を担わせるのに加えて、新たな機能を付与することが可能であり、その高機能化を図ることができる。
【0075】
なお、本態様にいう「積層構造」としては、上述の他、種々の構成を採用することが可能であることは言うまでもない。
【0076】
また、本態様によれば、第1配線と同一膜として形成される第2配線及び額縁パターンもまた、相異なる材料からなる積層構造を有することになるが、この積層構造を構成する各材料の選択は、該第2配線及び該額縁パターンの担う機能(即ち、外部回路接続端子と走査線駆動回路及びデータ線駆動回路の接続(第2配線)や、第2配線から第1配線への電位供給の橋渡し(額縁パターン)等)に考慮した上で、新たな機能を付与するという観点から行うとよい。なお、低抵抗材料の一例たるアルミニウムを含む前記の二層構造は、このような観点からも好ましいということが言える。
【0077】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成された遮光膜を更に備えてなり、前記額縁パターンは、前記遮光膜と重なるように形成されている。
【0078】
この態様によれば、例えば、対向基板から基板へ向けて光を投射する場合において、額縁領域では、まず、前記遮光膜による遮光が行われ、続いて、額縁パターンによる遮光が行われる。このように、本態様によれば、二重の遮光が実現されることにより、前述した光漏れ防止の作用効果は、より効果的に奏されることになる。
【0079】
この態様では、前記遮光膜は、前記対向基板の辺縁部に沿うように形成された額縁遮光膜を含むようにしてもよい。
【0080】
このような構成によれば、遮光膜が額縁遮光膜を含むことから、前述の二重の遮光は、よりよく実現されることになる。
【0081】
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述の本発明の電気光学装置(ただし、その各種態様を含む。)を具備してなる。
【0082】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことが未然に防止されることにより、高品質な画像が表示可能な、プロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0083】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図である。
【図2】図1のH−H’断面図である。
【図3】電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
【図4】データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であって、下層部分(図6における符号70(蓄積容量)までの下層の部分)に係る構成のみを示すものである。
【図5】データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であって、上層部分(図6における符号70(蓄積容量)を越えて上層の部分)に係る構成のみを示すものである。
【図6】図4及び図5を重ね合わせた場合のA−A’断面図である。
【図7】図6に示す積層構造に対応する断面図であって、(a)は図2における符号Zを付した円内部分の拡大図、(b)は図2における符号Sを付した円内部分の拡大図である。
【図8】図1と同趣旨の図であって、特に額縁パターン及び容量配線等の構成を説明するため両要素の配置関係を明瞭に図示するものである。
【図9】図8と同趣旨の図であって、本発明の第2実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図10】図9に示す符号D付近を拡大し且つ当該部分における回路構成等を併せて示す説明図である。
【図11】図10と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものを示すものである。
【図12】図8と同趣旨の図であって、本発明の第3実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図13】図8と同趣旨の図であって、本発明の第4実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図14】図8と同趣旨の図であって、本発明の第5実施形態の電気光学装置に係る額縁パターンの態様を示すものである。
【図15】本発明の各実施形態に係る投射型液晶装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
【0086】
〔第1実施形態〕
〔電気光学装置の全体構成〕
まず、本発明の電気光学装置に係る第1実施形態の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに、図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た電気光学装置の平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。ここでは、電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0087】
図1及び図2において、第1実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0088】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。即ち、第1実施形態の電気光学装置は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適している。
【0089】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。なお、第1実施形態においては、前記の画像表示領域10aの周辺を規定する周辺領域が存在する。言い換えれば、第1実施形態においては特に、TFTアレイ基板10の中心から見て、この額縁遮光膜53より以遠が周辺領域として規定されている。
【0090】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間をつなぐため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ、前記額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。このうちデータ線駆動回路101及び走査線駆動回路104は、外部回路接続端子102と配線404を介して接続されている。
【0091】
また、対向基板20の4つのコーナー部には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。この上下導通材106は、銀粉等の導電性粒子が固められた構成等からなる。他方、TFTアレイ基板10にはこれらのコーナー部に対向する領域において上下導通端子が設けられている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0092】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21の他、格子状又はストライプ状の遮光膜23、更には最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0093】
以上のような全体構成を有する第1実施形態の電気光学装置においては、上述した各種要素のうち、配線404、上下導通材106等に関する具体的構成について特徴があるが、その点については、図7等を参照しながら後に詳述する。
【0094】
なお、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0095】
〔画素部における構成〕
以下では、本発明の第1実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図3から図7を参照して説明する。ここに図3は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路であり、図4及び図5は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。なお、図4及び図5は、それぞれ、後述する積層構造のうち下層部分(図4)と上層部分(図5)とを分かって図示している。
【0096】
また、図6は、図4及び図5を重ね合わせた場合のA−A’断面図であり、図7(a)及び図7(b)は、それぞれ、図2における符号Zを付した円内部分の拡大図及び図1における上下導通材106が存在する部分に関する断面図であって、いずれも図6に示す積層構造に対応する断面図である。なお、図6及び図7においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0097】
(画素部の回路構成)
図3において、第1実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0098】
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0099】
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0100】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
【0101】
〔画素部の具体的構成〕
以下では、上記データ線6a、走査線11a及びゲート電極3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、具体的の構成について、図4乃至図7を参照して説明する。
【0102】
まず、図4及び図5において、画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており(点線部により輪郭が示されている)、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線11aが設けられている。データ線6aは、後述するようにアルミニウム膜等を含む積層構造からなり、走査線11aは、例えば導電性のポリシリコン膜等からなる。また、走査線11aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a’に対向するゲート電極3aにコンタクトホール12cvを介して電気的に接続されており、該ゲート電極3aは該走査線11aに含まれる形となっている。
【0103】
すなわち、ゲート電極3aとデータ線6aとの交差する箇所にはそれぞれ、チャネル領域1a’に、走査線11aに含まれるゲート電極3aが対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。これによりTFT30(ゲート電極を除く。)は、ゲート電極3aと走査線11aとの間に存在するような形態となっている。
【0104】
次に、電気光学装置は、図4及び図5のA−A’線断面図たる図6に示すように、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなるTFTアレイ基板10と、これに対向配置される、例えばガラス基板や石英基板からなる対向基板20とを備えている。
【0105】
TFTアレイ基板10の側には、図6に示すように、前記の画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20の側には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。
【0106】
このように対向配置されたTFTアレイ基板10及び対向基板20間には、前述のシール材52(図1及び図2参照)により囲まれた空間に液晶等の電気光学物質が封入され、液晶層50が形成される。液晶層50は、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で配向膜16及び22により所定の配向状態をとる。
【0107】
一方、TFTアレイ基板10上には、前記の画素電極9a及び配向膜16の他、これらを含む各種の構成が積層構造をなして備えられている。この積層構造は、図6に示すように、下から順に、走査線11aを含む第1層、ゲート電極3aを含むTFT30等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、本発明にいう「第1配線」の一例たる容量配線400等を含む第5層、前記の画素電極9a及び配向膜16等を含む第6層(最上層)からなる。
【0108】
また、第1層及び第2層間には下地絶縁膜12が、第2層及び第3層間には第1層間絶縁膜41が、第3層及び第4層間には第2層間絶縁膜42が、第4層及び第5層間には第3層間絶縁膜43が、第5層及び第6層間には第4層間絶縁膜44が、それぞれ設けられており、前述の各要素間が短絡することを防止している。また、これら各種の絶縁膜12、41、42、43及び44には、例えば、TFT30の半導体層1a中の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール等もまた設けられている。以下では、これらの各要素について、下から順に説明を行う。なお、前述のうち第1層から第3層までが、下層部分として図4に図示されており、第4層から第6層までが上層部分として図5に図示されている。
【0109】
(積層構造・第1層の構成−走査線等−)
まず、第1層には、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは導電性ポリシリコン等からなる走査線11aが設けられている。この走査線11aは、平面的にみて、図4のX方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされている。より詳しく見ると、ストライプ状の走査線11aは、図4のX方向に沿うように延びる本線部と、データ線6a或いは容量配線400が延在する図4のY方向に延びる突出部とを備えている。なお、隣接する走査線11aから延びる突出部は相互に接続されることはなく、したがって、該走査線11aは1本1本分断された形となっている。
【0110】
(積層構造・第2層の構成−TFT等−)
次に、第2層として、ゲート電極3aを含むTFT30が設けられている。TFT30は、図6に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したゲート電極3a、例えばポリシリコン膜からなりゲート電極3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、ゲート電極3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0111】
また、第1実施形態では、この第2層に、上述のゲート電極3aと同一膜として中継電極719が形成されている。この中継電極719は、平面的に見て、図4に示すように、各画素電極9aのX方向に延びる一辺の略中央に位置するように、島状に形成されている。中継電極719とゲート電極3aとは同一膜として形成されているから、後者が例えば導電性ポリシリコン膜等からなる場合においては、前者もまた、導電性ポリシリコン膜等からなる。
【0112】
(積層構造・第1層及び第2層間の構成−下地絶縁膜−)
図6に示すように、以上説明した走査線11aの上、かつ、TFT30の下には、例えばシリコン酸化膜等からなる下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、走査線11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
【0113】
この下地絶縁膜12には、平面的にみて半導体層1aの両脇に、後述するデータ線6aに沿って延びる半導体層1aのチャネル長の方向に沿った溝状のコンタクトホール12cvが掘られており、このコンタクトホール12cvに対応して、その上方に積層されるゲート電極3aは下側に凹状に形成された部分を含んでいる。また、このコンタクトホール12cv全体を埋めるようにして、ゲート電極3aが形成されていることにより、該ゲート電極3aには、これと一体的に形成された側壁部3bが延設されるようになっている。これにより、TFT30の半導体層1aは、図4によく示されているように、平面的にみて側方から覆われるようになっており、少なくともこの部分からの光の入射が抑制されるようになっている。
【0114】
また、この側壁部3bは、図4に示すように、前記のコンタクトホール12cvを埋めるように形成されているとともに、その下端が前記の走査線11aと接するようにされている。ここで走査線11aは、上述のようにストライプ状に形成されていることから、ある行に存在するゲート電極3a及び走査線11aは、当該行に着目する限り、常に同電位となる。
【0115】
(積層構造・第3層の構成−蓄積容量等−)
さて、図6に示すように、前述の第2層に続けて第3層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての下部電極71と、固定電位側容量電極としての容量電極300とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。また、第1実施形態に係る蓄積容量70は、図4の平面図を見るとわかるように、画素電極9aの形成領域にほぼ対応する光透過領域には至らないように形成されているため(換言すれば、遮光領域内に収まるように形成されているため)、電気光学装置全体の画素開口率は比較的大きく維持され、これにより、より明るい画像を表示することが可能となる。
【0116】
ここで、上記画素電位側容量電極としての電極が下部電極71とは逆に蓄積容量70の上部に設けられる構成でもよい。この場合、当然のことながら固定電位側容量電極としての容量電極300は蓄積容量70の下部に設けられることとなる。好適な例としては、画素電位側容量電極がTFT30の高濃度ドレイン領域1eの延長された高濃度ドレイン領域1eと同一膜であり、固定電位側容量電極としての容量電極300は、TFT30よりさらに下方にあり、TFT30に下方から侵入する入射光を遮光するための遮光層と同一層であってもよい。この場合の後述する容量配線400は、固定電位側容量電極としての容量電極300と同一層の膜であることが構造が簡単になり好ましいが、これに限定するものではない。
【0117】
より詳細には、下部電極71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、下部電極71は、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。また、この下部電極71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。ちなみに、ここにいう中継接続は、前記の中継電極719を介して行われている。
【0118】
容量電極300は、蓄積容量70の固定電位側容量電極として機能する。第1実施形態において、容量電極300を固定電位とするためには、固定電位とされた容量配線400(後述する。)と電気的接続が図られることによりなされている。ここでは、容量電極300を固定電位とするための接続において、容量配線400を中継しているが、例えば容量配線400を容量電極300と同一膜として延長して形成してもよい。かかる構成により、容量配線400を別層として必要とせず、接続抵抗による配線抵抗増大もなくなり、容量配線400としての層を別に設ける必要も無いためプロセスも簡単になる。
【0119】
また、容量電極300は、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの、或いは好ましくはタングステンシリサイドからなる。
【0120】
これにより、容量電極300は、TFT30に上側から入射しようとする光を遮る機能を有している。
【0121】
誘電体膜75は、図6に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。
【0122】
第1実施形態において、この誘電体膜75は、図6に示すように、下層に酸化シリコン膜75a、上層に窒化シリコン膜75bというように二層構造を有するものとなっている。上層の窒化シリコン膜75bは画素電位側容量電極の下部電極71より少し大きなサイズにパターニングされ、遮光領域(非開口領域)内で収まるように形成されている。
【0123】
(積層構造、第2層及び第3層間の構成−第1層間絶縁膜−)
以上説明したTFT30ないしゲート電極3a及び中継電極719の上、かつ、蓄積容量70の下には、例えば、NSG(ノンシリケートガラス)、PSG(リンシリケートガラス)、BSG(ボロンシリケートガラス)、BPSG(ボロンリンシリケートガラス)等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第1層間絶縁膜41が形成されている。
【0124】
そして、この第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ソース領域1dと後述するデータ線6aとを電気的に接続するコンタクトホール81が、後記第2層間絶縁膜42を貫通しつつ開孔されている。また、第1層間絶縁膜41には、TFT30の高濃度ドレイン領域1eと蓄積容量70を構成する下部電極71とを電気的に接続するコンタクトホール83が開孔されている。さらに、この第1層間絶縁膜41には、蓄積容量70を構成する画素電位側容量電極としての下部電極71と中継電極719とを電気的に接続するためのコンタクトホール881が開孔されている。更に加えて、第1層間絶縁膜41には、中継電極719と後述する第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール882が、後記第2層間絶縁膜を貫通しつつ開孔されている。
【0125】
(積層構造・第4層の構成−データ線等−)
さて、前述の第3層に続けて第4層には、データ線6aが設けられている。このデータ線6aは、図6に示すように、下層より順に、アルミニウムからなる層(図6における符号41A参照)、窒化チタンからなる層(図6における符号41TN参照)、窒化シリコン膜からなる層(図6における符号401参照)の三層構造を有する膜として形成されている。窒化シリコン膜は、その下層のアルミニウム層と窒化チタン層を覆うように少し大きなサイズにパターニングされている。
【0126】
また、この第4層には、データ線6aと同一膜として、容量配線用中継層6a1及び第2中継電極6a2が形成されている。これらは、図5に示すように、平面的に見ると、データ線6aと連続した平面形状を有するように形成されているのではなく、各者間はパターニング上分断されるように形成されている。例えば図5中最左方に位置するデータ線6aに着目すると、その直右方に略四辺形状を有する容量配線用中継層6a1、更にその右方に容量配線用中継層6a1よりも若干大きめの面積をもつ略四辺形状を有する第2中継電極6a2が形成されている。
【0127】
(積層構造・第3層及び第4層間の構成−第2層間絶縁膜−)
以上説明した蓄積容量70の上、かつ、データ線6aの下には、例えばNSG、PSG,BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはTEOSガスを用いたプラズマCVD法によって形成された第2層間絶縁膜42が形成されている。この第2層間絶縁膜42には、TFT30の高濃度ソース領域1dとデータ線6aとを電気的に接続する、前記のコンタクトホール81が開孔されているとともに、前記容量配線用中継層6a1と蓄積容量70の上部電極たる容量電極300とを電気的に接続するコンタクトホール801が開孔されている。さらに、第2層間絶縁膜42には、第2中継電極6a2と中継電極719とを電気的に接続するための、前記のコンタクトホール882が形成されている。
【0128】
(積層構造・第5層の構成−容量配線等−)
さて、前述の第4層に続けて第5層には、容量配線400が形成されている。この容量配線400は、平面的にみると、図5に示すように、図中X方向及びY方向それぞれに延在するように、格子状に形成されている。該容量配線400のうち図中Y方向に延在する部分については特に、データ線6aを覆うように、且つ、該データ線6aよりも幅広に形成されている。また、図中X方向に延在する部分については、後述の第3中継電極402を形成する領域を確保するために、各画素電極9aの一辺の中央付近に切り欠き部を有している。
【0129】
さらには、図5中、XY方向それぞれに延在する容量配線400の交差部分の隅部においては、該隅部を埋めるようにして、略三角形状の部分が設けられている。容量配線400に、この略三角形状の部分が設けられていることにより、TFT30の半導体層1aに対する光の遮蔽を効果的に行うことができる。すなわち、半導体層1aに対して、斜め上から進入しようとする光は、この三角形状の部分で反射又は吸収されることになり半導体層1aには至らないことになる。したがって、光リーク電流の発生を抑制的にし、フリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となる。
【0130】
この容量配線400は、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、対向電極電位や、駆動回路やその他周辺回路の定電位源と電気的に接続されることで、固定電位とされている(後の配線404に関する説明参照)。
【0131】
このように、データ線6aの全体を覆うように形成されているとともに、固定電位とされた容量配線400の存在によれば、該データ線6a及び画素電極9a間に生じる容量カップリングの影響を排除することが可能となる。すなわち、データ線6aへの通電に応じて、画素電極9aの電位が変動するという事態を未然に回避することが可能となり、画像上に該データ線6aに沿った表示ムラ等を発生させる可能性を低減することができる。第1実施形態においては特に、容量配線400は格子状に形成されているから、走査線11aが延在する部分についても無用な容量カップリングが生じないように、これを抑制することが可能となっている。
【0132】
また、第5層には、このような容量配線400と同一膜として、第3中継電極402が形成されている。この第3中継電極402は、後述のコンタクトホール804及び89を介して、第2中継電極6a2及び画素電極9a間の電気的接続を中継する機能を有する。なお、これら容量配線400及び第3中継電極402間は、平面形状的に連続して形成されているのではなく、両者間はパターニング上分断されるように形成されている。
【0133】
他方、上述の容量配線400及び第3中継電極402は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層の二層構造を有している。このように容量配線400及び第3中継電極402は、光反射性能に比較的優れたアルミニウムを含み、且つ、光吸収性能に比較的優れた窒化チタンを含むことから、該容量配線400及び該第3中継層402は遮光層として機能し得る。すなわち、これらによれば、TFT30の半導体層1aに対する入射光(図6参照)の進行を、その上側でさえぎることが可能である。
【0134】
そして、第1実施形態においては特に、画像表示領域10a以外の領域に、図7(a)及び図7(b)に示すように、上述の容量配線400に延設された引き回し配線、より詳しくは、配線404(本発明にいう「第2配線」の一例に該当する。)及び額縁パターン406からなる引き回し配線が形成されている。以下では、この引き回し配線の構成について、前述までに触れた各図及び図8を参照しながら説明する。ここに図8は、図1と同趣旨の図であって、特に配線404及び額縁パターン406からなる引き回し配線と容量配線400との配置関係を明瞭に図示するための図である。なお、図8においては、前記の目的のため、特に配線404の縮尺、或いは額縁パターン406の縮尺、平面形状及び配列ピッチ等について適宜視認可能なように変更を加えており、また、図1等に示された要素のうちの幾つか(例えば、図1のデータ線駆動回路101、或いは図5の第3中継電極402等)の図示が適宜省略されている。
【0135】
まず、周辺領域には、図7(a)及び図8に示すように、容量配線400に額縁パターン406を介して延設された配線404が形成されている。すなわち、この配線404は、第3層間絶縁膜43上で、容量配線400及び第3中継電極402(以下、「容量配線400等」ということがある。)と同一膜として形成されている。これにより、配線404は、前述の容量配線400及び第3中継電極402と同様に、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層という二層構造を有している。
【0136】
この配線404の一部は、図1及び図2を参照して説明した外部回路接続端子102Qを構成する。具体的には、配線404上に形成された第4層間絶縁膜44に、該配線404へ通ずるコンタクトホール44H1が形成されることにより、該配線404の上面が外部へ露出することによって、外部回路接続端子102Qが形成されるようになっている。
【0137】
なお、この際、コンタクトホール44H1の開口時、配線404の上層の窒化チタンからなる膜を取り除いてもよい。これにより、該配線404と外部回路とを電気的に接続する際、該外部回路は、下層のアルミニウムからなる膜と直接接続されることになるため、接続面で低抵抗化を実現できる。また、配線404の上層の窒化チタンからなる膜を残存させたままであると、当該外部回路接続端子102Qを介して当該電気光学装置の検査を実施する際に、該窒化チタンからなる膜が硬質の膜であるため、検査端子が滑り検査しにくいという不具合の生じることが懸念されるが、該窒化チタンからなる膜を取り除けば、そのような不具合を被らなくて済む。
【0138】
ちなみに、図7(a)に示すような配線404は、図1に示す外部回路接続端子102のすべてについて同様に形成されているが、それらのうち容量配線400に延設されているもの、即ち該容量配線400と電気的な連絡が図られているものは、当該それらのうちの一部である。すなわち、図8又は図1に示すように、外部回路接続端子102のうち、特定の外部回路接続端子102Qに対応する配線404のみが容量配線400と延設されて形成されるようになっており、残りの外部回路接続端子102に対応する配線404については、容量配線400等と同一膜として形成されているものの、両者は、パターニング上分断されるように形成されている。
【0139】
他方、第1実施形態においては更に、図7(b)及び図8に示すように、前記の容量配線400等、更には上述した配線404に延設された額縁パターン406が形成されている。すなわち、この額縁パターン406は、第3層間絶縁膜43上で、容量配線400等及び額縁パターン406と同一膜として形成されている。これにより、額縁パターン406もまた、前述の容量配線400等と同様に、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層という二層構造を有している。
【0140】
額縁パターン406は、図8に示すように、平面視して画像表示領域10aと周辺領域とを画する額縁領域(即ち、額縁遮光膜53の形成領域に対応する領域)及び該額縁領域の周囲のシール材52の形成領域を埋めるように、或いは画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されており、全体として略ロの字状を有している。この額縁パターン406は、図8中下方に示すように、前記の特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404に延設されているから、額縁パターン406及び特定の外部回路接続端子102Qは、相互に電気的に接続されている。また、額縁パターン406は容量配線400に延設されていることにより、該容量配線400及び特定の外部回路接続端子102Qもまた、相互に電気的に接続されている。以上により、結局、特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404、額縁パターン406及び容量配線400は、常に同電位になる。
【0141】
また、額縁パターン406の一部は、図7(b)に示すように、コンタクトホール44H2によって外部に曝された後、上下導通材106を含むシール材52が充填されることにより、額縁パターン406及び対向電極21間にも電気的接続が実現されるようになっている(なお、額縁パターン406上、上下導通材106と接触する部分を、接続部分406Cということとする。)。この接続部分406Cは、図1を参照して説明したように上下導通材106が対向基板20の四つのコーナー部に配置されていることに応じて、当該四つのコーナー部に設けられることになる。
【0142】
以上により、第1実施形態においては、特定の外部回路接続端子102Qに接続された配線404、額縁パターン406、容量配線400及び対向電極21は、常に同じ電位となることになる。
【0143】
なお、コンタクトホール44H2の開口時には、額縁パターン406の上層の窒化チタンからなる膜を取り除いてもよい。これにより、上下導通材106は、該額縁パターン406の下層のアルミニウムからなる膜と直接接続されることになるため、接続面で低抵抗化を実現できる。また、窒化チタンからなる膜が存在すると、該窒化チタンからなる膜は硬質の膜であるため、上下導通材106が埋め込まれるようにならず、接触面積が小さくなって抵抗値が大きくなるという不具合の生じることが懸念されるが、該窒化チタンからなる膜を取り除けば、そのような不具合を被らなくて済む。
【0144】
なお、図7においては、画像表示領域に形成される走査線11aと同一膜として、段差調整膜11aPが形成され、また、ゲート電極3a及び中継電極719と同一膜として、段差調整膜3aPが形成されている。これら段差調整膜11aP及び3aPの存在により、画像表示領域と周辺領域とにおける積層構造の全体の高さをほぼ同一とする等の調整を行うことができる。
【0145】
(積層構造・第4層及び第5層間の構成−第3層間絶縁膜−)
図6に示すように、データ線6aの上、かつ、容量配線400の下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくは、TEOSガスを用いたプラズマCVD法で形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。この第3層間絶縁膜43には、前記の容量配線400と容量配線用中継層6a1とを電気的に接続するためのコンタクトホール803、及び、第3中継電極402と第2中継電極6a2とを電気的に接続するためのコンタクトホール804がそれぞれ開孔されている。
【0146】
(積層構造・第6層並びに第5層及び第6層間の構成−画素電極等−)
最後に、第6層には、上述したように画素電極9aがマトリクス状に形成され、該画素電極9a上に配向膜16が形成されている。そして、この画素電極9a下には、NSG、PSG、BSG、BPSG等のシリケートガラス膜、窒化シリコン膜や酸化シリコン膜等、あるいは好ましくはNSGからなる第4層間絶縁膜44が形成されている。この第4層間絶縁膜44には、画素電極9a及び前記の第3中継電極402間を電気的に接続するためのコンタクトホール89が開孔されている。画素電極9aとTFT30との間は、このコンタクトホール89及び第3中継層402並びに前述したコンタクトホール804、第2中継層6a2、コンタクトホール882、中継電極719、コンタクトホール881、下部電極71及びコンタクトホール83を介して、電気的に接続されることとなる。
【0147】
また、第1実施形態では、第4層間絶縁膜44の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子等による段差に起因する液晶層50の配向不良を低減する。ただし、このように第4層間絶縁膜44に平坦化処理を施すのに代えて、又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41、第2層間絶縁膜42及び第3層間絶縁膜43のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより、平坦化処理を行ってもよい。
【0148】
〔当該電気光学装置の作用効果〕
以上のような構成となる第1実施形態の電気光学装置によれば、特に第5層の構成として説明した配線404及び額縁パターン406からなる引き回し配線が形成されていることから、次のような作用効果が奏されることになる。
【0149】
まず第一に、第1実施形態においては、額縁パターン406が額縁領域及びシール領域に形成されていることにより、この額縁パターン406が形成されている領域においては、図7(b)の矢印L1に示すように、光漏れが生じることを未然に防止することが可能であるから、画像の周囲に各種の配線等のパターンの像が映り込むなどといったことを防止することが可能となる。したがって、第1実施形態によれば、より品質の高い画像を表示することが可能となる。
【0150】
特に、第1実施形態に係る額縁パターン406は、画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されているから、原理上は、額縁領域、或いはシール領域を透過する光を完全に遮断することも可能である。また、額縁パターン406は、下層にアルミニウムからなる層、上層に窒化チタンからなる層(いずれも本発明にいう「遮光性材料」の一例に該当する。)という二層構造を有していることから、前記の光遮蔽作用は、より確実に発揮される。さらに、額縁パターン406は、図8から明らかなように、画像表示領域10aに重ならないように形成されているから、該額縁パターン406が、画像表示領域10aを透過する光の邪魔になるようなことがない。つまり、画像は所望どおり表示することが可能である。なお、シール材52が光硬化性樹脂等からなる場合においては、その硬化の際に必要となる光照射は、図7(b)の上方から、即ち対向基板20側から行うようにすればよい。
【0151】
また、これに関連して、第1実施形態においては、対向基板20上に、額縁遮光膜53が形成されていることにより、図7(b)の矢印L2に示すような遮光も実現されることになる。この場合、仮に、額縁遮光膜53を透過する光があったとしても、その光は、次に控える額縁パターン406によって反射又は吸収されることになる。このように、第1実施形態によれば、いわば二重の遮光を実現することができる。
【0152】
また第二に、第1実施形態に係る額縁パターン406は、上下導通材106を介して対向電極21と電気的接続が図られているとともに、容量配線400とも電気的接続が図られていることから、該額縁パターン406は、前述した光漏れ防止作用の機能に併せて、対向電極21への電位供給、及び容量配線400、ひいては容量電極300への電位供給(この電位供給は、コンタクトホール801及び803並びに容量配線用中継層6a1を介して行われる。図6参照)の機能をももっている。これによって、装置構成の簡略化が実現されることになる。
【0153】
これに関連して、上下導通材106の配置箇所は、図8及び図1に示すように、画像表示領域10aの四隅に対応するようにされているから、額縁パターン406及び対向電極21間の電気的接続を好適に実現しつつも、このことが画像表示の妨げになるようなことがない。加えて、額縁パターン406は、画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成されているから、該額縁パターン406と対向電極21との電気的接続をより確実になすことができる。これは、額縁パターン406のあらゆる部分が電気的に接続されている(換言すれば、間断なきパターンとして形成されている)こと、また、接続部分406Cは、画像表示領域10aの四隅、即ち額縁パターン406の四隅に対応するように複数形成されていることから、たとえ額縁パターン406の一部、或いは四つの上下導通材106のいずれかが何らかの事情により電気的に導通不能となった場合であっても、他の部分によって電気的導通を滞りなく実現することが可能だからである。
【0154】
以上のことにより、第1実施形態によれば、対向電極21の電位を極めて安定に維持することが可能となり、該対向電極21及び画素電極9a間に挟持される液晶層50内の液晶分子の配向状態の調整を好適に行うことができるから、より高品質な画像を表示することが可能となる。
【0155】
なお、第1実施形態においては、図8に示したように、額縁パターン406に接続される外部回路接続端子102Qは、図中左右に二つ設けられるようになっているが、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、図中左及び右のいずれか一方にのみ、額縁パターン406に接続される外部回路接続端子102Qが設けられるような形態を採用してもよい。
【0156】
他方、第1実施形態においては、前記のように対向電極21及び容量配線400への電位供給機能を有する額縁パターン406は、配線404の一部、即ち特定の外部回路接続端子102Qと接続された配線404と同一膜として、且つ、電気的に接続されるように形成されていることから、これら各要素が、例えば別々の層に形成され且つコンタクトホール等によって電気的な接続が図られているというような場合に比べて、該各要素間の電気抵抗値を低下せしめることができる。したがって、対向電極21への安定した電位の供給が実現されるのに加えて、容量配線400等の高抵抗化を起因とするクロストークの発生等を防止することができる。
【0157】
これに関連して、第1実施形態においては、配線404及び容量配線400は、データ線6aの上に、第3層間絶縁膜43を介して形成されている。これにより、配線404及び容量配線400を同一膜として形成するということと、外部回路接続端子102は外部に曝されなければならないという要請、更には配線404及び外部回路接続端子102間で電気的連絡を図らなければならないという要請とを比較的容易に達成することが可能となる(図7(a)参照)。また、第1実施形態では特に、配線404及び容量配線400は、共に画素電極9aを含む第6層の直下、即ち該画素電極9aとの間に第4層間絶縁膜44のみを介して形成されていることから、前述の作用効果はより効果的に奏されることになる。
【0158】
すなわち、このような構成により、外部回路接続端子102を構成するためのコンタクトホール44H1は、図7(a)に示すように第4層間絶縁膜44についてのみ形成すればよいから、その深度は比較的浅く、該コンタクトホール44H1の形成は比較的容易となるのである。
【0159】
〔第2実施形態〕
以下では、本発明の第2の実施形態について、図9乃至図11を参照しながら説明する。ここに図9は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図9においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。また、図10及び図11は、図9に示す符号D付近を拡大し且つ当該部分における回路構成等を併せて示す説明図である。なお、第2実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第2実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0160】
図9においては、額縁パターン461A及び461Bからなる額縁パターン461が形成されている。このうち額縁パターン461Aは、本発明にいう「第1のパターン」の一例に該当し、図9に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの三辺(図中上辺並びに左辺及び右辺)に沿って連続して形成されている。また、額縁パターン461Bは、本発明にいう「第2のパターン」の一例に該当し、画像表示領域10aの残る一辺(図中下辺)に沿って形成されるとともに前記の額縁パターン461Aと分断して形成されている(図中符号461G参照。)。そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン461A上に存在する。
【0161】
このような形態によれば、前述の第1実施形態と同様、額縁パターン461A及びその上の四つの上下導通材106について冗長的な構造がとられていることにより、額縁パターン461及び対向電極21間の電気的接続をより確実になすことができ、対向電極21の電位を極めて安定に維持することが可能となる。また、額縁パターン461A及び461Bの存在によって、光漏れ防止の作用効果が得られることも、前述の第1実施形態と同様である。
【0162】
また、第2実施形態においては特に、額縁パターン461Bによって次のような作用効果が得られる。すなわち、第2実施形態では、額縁パターン461Bは、図9において図示が省略されているデータ線駆動回路101(図1参照)が形成される領域に対応して形成されている。
【0163】
このデータ線駆動回路101付近の構成は、図10に示すようになっている。
すなわち、データ線駆動回路101から引き出された制御線114は、サンプリング回路118を構成するスイッチング素子202のゲートに接続されている。
【0164】
他方、スイッチング素子202のソースには、引き出し配線116を介して画像信号線115が接続されており、そのドレインにはデータ線6aが接続されている。これにより、データ線駆動回路101によってスイッチング素子202のON・OFFが制御されることで、画像信号線115からデータ線6aへの画像信号の供給の有無が制御されるようになっている。
【0165】
しかしながら、このような構成を備えているデータ線駆動回路101付近の構成では、前記の引き出し配線116と、対向基板20上の対向電極21との間で容量カップリングが発生するおそれがあるのである。この容量カップリングが発生すると、一方に対する通電によって、他方における電位に変動を与えてしまうため、所望どおりの画像の表示が困難となることになる。
【0166】
しかるに、第2実施形態によれば、当該領域には、図10に示すように、前記の額縁パターン461Bが形成されていることから、画像信号線115及び対向電極21間には該額縁パターン461Bが存在することになり、前記の容量カップリングの発生を抑制することができるのである。したがって、第2実施形態によれば、所望どおりの画像を好適に表示することができる。ちなみに、このような作用をより効果的に得るためには、額縁パターン461Bを固定電位に維持しておくことが好ましい。そのためには、例えば該額縁パターン461Bを、図9において図示されない容量配線400(図8参照)に接続しておくようにしておくとよい。
【0167】
なお、このような作用効果は、前述した第1実施形態のように、額縁パターン406を画像表示領域10aの周囲すべてを囲むように形成する態様においても、同様に享受できる。
【0168】
また、上記第2実施形態においては、額縁パターン461Bが、サンプリング回路118及び該サンプリング回路118から延びる引き出し配線116をほぼ全部覆うように形成されているが、本発明は、このような形態に限定されない。
【0169】
例えば、図11に示すように、短冊状に分断された額縁パターン461BBを形成するようにしてもよい。ちなみに、このような構成を採用する場合においては、図10とは異なり、これら短冊状の額縁パターン461BBを固定電位に維持する必要はなく、フローティング(浮遊電位)にしておいてよい。
【0170】
〔第3実施形態〕
以下では、本発明の第3の実施形態について、図12を参照しながら説明する。ここに図12は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図12においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。なお、第3実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第3実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0171】
図12においては、額縁パターン462C及び462Dからなる額縁パターン462が形成されている。このうち額縁パターン462Cは、本発明にいう「第3のパターン」の一例に該当し、図12に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの対応する二辺(図中左辺及び右辺)に沿って形成されている。また、額縁パターン462Dは、本発明にいう「第4のパターン」の一例に該当し、画像表示領域10aの残る二辺(図中上辺及び下辺)に沿って形成されるとともに前記の額縁パターン462Cと分断して形成されている(図中符号462G参照)。
【0172】
そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン462C上に存在する。
【0173】
このような形態によれば、図12中、画像表示領域10aの左辺及び右辺に沿って、二本の直線状パターンとして形成された額縁パターン462Cには、それぞれ、上下導通材106が二個ずつ存在している。したがって、この点に関しては、第1実施形態と同様、冗長的な構造がとられているということができるから、額縁パターン462及び対向電極21間の電気的接続をより確実になすことができる。
【0174】
また、額縁パターン462Dによれば、前記第2実施形態の額縁パターン461Bと同様に、引き出し配線116及び対向電極21間における容量カップリングの発生を極力防止することができる。
【0175】
むろん、額縁パターン462C及び462Dの存在によって、光漏れ防止の作用効果が得られることも、前述の第1実施形態と同様である。
【0176】
〔第4実施形態〕
以下では、本発明の第4の実施形態について、図13を参照しながら説明する。ここに図13は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様が異なるものである。ただし、図13においては、図8とは異なり、容量配線400についての図示も省略している。なお、第4実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第4実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0177】
図13においては、額縁パターン463E及び463Fからなる額縁パターン463が形成されている。このうち額縁パターン463Eは、本発明にいう「第5のパターン」の一例に該当し、図13に示すように、矩形状を有する画像表示領域10aの一つの角部に対応する部分を除いて連続して形成されている。また、額縁パターン463Fは、本発明にいう「第6のパターン」の一例に該当し、前記一つの角部に対応する部分に形成されるとともに前記額縁パターン463Eと分断して形成されている(図中符号463G参照)。そして、上下導通材106は、これらのうち額縁パターン463E及び463Fのいずれの上にも存在する。
【0178】
このような形態によれば、前記第1から第3実施形態と略同様な作用効果、すなわち額縁パターン463及び対向電極21間の電気的接続の確実性、或いは引き出し配線116及び対向電極21間の容量カップリングの発生抑止、更には、光漏れ防止等の作用効果が略同様に得られることが明白である。
【0179】
〔第5実施形態〕
以下では、本発明の第5の実施形態について、図14を参照しながら説明する。ここに図14は、図8と同趣旨の図であって、額縁パターンの形成態様等が異なるものである。なお、第5実施形態では、前述した第1実施形態の電気光学装置の全体構成、画素部の構成等の殆どの部分については全く同様である。したがって、以下では、第1実施形態と同様な部分についての説明は省略し、主に、第5実施形態に特徴的な構成についてのみ説明を加えることとする。
【0180】
まず、図14においては、上記第4実施形態と略同様なパターン形状を有する額縁パターン464が形成されている。すなわち、額縁パターン464は、画像表示領域10aの一つの角部を除いて連続に形成された額縁パターン464E及び前記一つの角部に対応する部分に形成された額縁パターン464Fからなる。
【0181】
また、これらの額縁パターン464E及び464Fには、それぞれ、三つ及び一つの上下導通材106が形成されていること、該上下導通材106に電位を供給するための配線404が形成されていること、及び該配線404の一部は特定の外部回路接続端子102Qに接続されていることも、上記第4実施形態と同様である。ただし、第5実施形態に係る配線404は特に、本発明にいう「第2配線の第1部分」の一例に該当し、特定の外部回路接続端子102Qは、本発明にいう「外部回路接続端子の第1部分」の一例に該当する。
【0182】
そして、第5実施形態において、この額縁パターン464E及び464Fは、容量配線と電気的に接続されていない。すなわち、額縁パターン464と容量配線400’とは、同一膜として形成されてはいるものの、パターニング上分断されるように形成されているのである(図中符号46G参照)。そして、このように額縁パターン464から電位の供給を受けることのできない容量配線400’には、配線408が延設されるようになっている。この配線408は、本発明にいう「第2配線の第2部分」の一例に該当し、額縁パターン464E及び464Fを分ける間隙464G間を抜けて、特定の外部回路接続端子102R(本発明にいう「外部回路接続端子の第2部分」の一例に該当する。)に接続されている。
【0183】
以上をまとめると、第5実施形態では、配線404、額縁パターン464、配線408及び容量配線400’は、すべて同一膜として形成されているが(第3中継電極402を勿論含む。)、配線404と額縁パターン464との間、及び、配線408と容量配線400’との間のそれぞれについては電気的接続が図られているものの、前者及び後者間には電気的な連絡がなされていないのである。
【0184】
このような形態によれば、対向電極21と、容量配線400’ひいては容量電極300とに与える電位を異ならせることができる。すなわち、対向電極21は、上下導通材106を介して額縁パターン464、配線404、特定の外部回路接続端子102Qに接続されているから、該外部回路接続端子102Qに対向電極21用の電位を供給すれば、対向電極21を当該電位に維持することができる。一方、容量配線400’、ひいてはこれに電気的に接続されている容量電極300(図6参照)は、配線408、特定の外部回路接続端子102Rに接続されているから、該外部回路接続端子102Rに、前記対向電極21用の電位とは異なる容量電極300用の電位を供給すれば、該容量電極300を当該電位に維持することができるのである。このように、第5実施形態によれば、対向電極21及び容量電極300それぞれを異なる電位に維持することができることから、当該電気光学装置内で発生する各種の電気作用を好適に調整すること等ができる。
【0185】
なお、第5実施形態においても、上記第1から第4実施形態と同様に、額縁パターン464及び対向電極21間の確実な電気的接続の確保、或いは画像信号線115及び対向電極21間の容量カップリング発生の抑制、更には光漏れ防止等が可能であることに変わりない。
【0186】
なお、上記第2から第4実施形態においては、額縁パターン461、462及び463には、上下導通材106及び対向電極21並びに容量配線400が電気的に接続されていることから、特定の外部回路接続端子102Qには、対向電極21及び容量配線400或いは容量電極300に共通の電位を供給する必要がある。ただし、本発明は、このような形態に限定されない。すなわち、第5実施形態として述べたように、上記第2から第4実施形態においても、額縁パターン461、462及び463を構成する間隙461G、462G及び463Gを利用して、容量配線400或いは容量電極300用の電位を、対向電極21用の電位とは別個に供給するようにしてもよい。
【0187】
また、上記第1から第5実施形態においては、特定の外部回路接続端子102Q又は102Rに供給される電位を、走査線駆動回路104に供給される低電位側の定電位として利用してもよい。これによると、対向電極21、容量電極300の電位は、当該定電位と同じになる。或いはまた、上述のような構成に代えて、外部回路接続端子102Q又は102Rに供給される電位を、データ線駆動回路101に供給される定電位として使用しても構わない。
【0188】
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図15は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
【0189】
図15において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際、特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0190】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0191】
10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、3a…走査線、6a…データ線、30…TFT、9a…画素電極、70…蓄積容量、300…容量電極、400…容量配線(第1配線)、406,461,462,463,464…額縁パターン、404,408…配線(第2配線)、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、102…外部回路接続端子、106…上下導通材、20…対向基板、21…対向電極、53…額縁遮光膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路からの配線とを有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記配線は、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記画像表示領域の周辺に、
前記基板の辺縁部に沿って形成された外部回路接続端子と、該外部回路接続端子に延設された第2配線とを更に備え、
該第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1配線は、前記データ線の上に層間絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1配線は、前記画素電極を含む層の直下の層に形成されていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1配線は、遮光性材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1配線は、相異なる材料からなる積層構造を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成された遮光膜を更に備えてなり、
前記額縁パターンは、前記遮光膜と重なるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記遮光膜は、前記対向基板の辺縁部に沿うように形成された額縁遮光膜を含むことを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線とを有し、
前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記引き出し配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路とを有し、
前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、前記サンプリング回路内における隣接するスイッチング素子の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成し、前記所定電位と異なる電位が供給される額縁パターンとを備え、
前記第1配線が延設された第2配線は、前記額縁パターンの間隙を抜けて設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくともデータ線駆動回路側の辺の領域は、浮遊電位として分断されて形成され、
前記額縁パターンの少なくとも走査線駆動回路側の辺の領域は、前記所定電位として形成されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路からの配線とを有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記配線は、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線であることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記画像表示領域の周辺に、
前記基板の辺縁部に沿って形成された外部回路接続端子と、該外部回路接続端子に延設された第2配線とを更に備え、
該第2配線の少なくとも一部は、前記第1配線と同一膜として、且つ、該第1配線と電気的に接続されて形成されていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1配線は、前記データ線の上に層間絶縁膜を介して形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記第1配線は、前記画素電極を含む層の直下の層に形成されていることを特徴とする請求項3又は4のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記第1配線は、遮光性材料から構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項7】
前記第1配線は、相異なる材料からなる積層構造を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記基板に対向配置される対向基板と、該対向基板上に形成された遮光膜を更に備えてなり、
前記額縁パターンは、前記遮光膜と重なるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項9】
前記遮光膜は、前記対向基板の辺縁部に沿うように形成された額縁遮光膜を含むことを特徴とする請求項8に記載の電気光学装置。
【請求項10】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路から延びる引き出し配線とを有し、
前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、隣接する前記引き出し配線の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域の周辺には、データ線駆動回路と、前記データ線駆動回路により制御されるサンプリング回路とを有し、
前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくとも一部は、前記サンプリング回路内における隣接するスイッチング素子の間隙に平面的に重なるように短冊状に分断されて形成され、浮遊電位とされることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、
前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成し、前記所定電位と異なる電位が供給される額縁パターンとを備え、
前記第1配線が延設された第2配線は、前記額縁パターンの間隙を抜けて設けられていることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
基板上に、
一定の方向に延びるデータ線及び該データ線に交差する方向に延びる走査線と、
前記走査線により走査信号が供給されるスイッチング素子と、前記データ線により前記スイッチング素子を介して画像信号が供給される画素電極とを備えてなり、
前記基板は、前記画素電極の形成領域として規定される画像表示領域を有し、
前記画像表示領域上に、
前記画素電極における電位を保持するための蓄積容量と、
該蓄積容量を構成する容量電極に所定電位を供給する第1配線とを備え、
前記第1配線と同一膜として形成され、前記画像表示領域の周辺に位置する額縁領域の少なくとも一部を構成する額縁パターンを備え、
前記額縁パターンの少なくともデータ線駆動回路側の辺の領域は、浮遊電位として分断されて形成され、
前記額縁パターンの少なくとも走査線駆動回路側の辺の領域は、前記所定電位として形成されることを特徴とする電気光学装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−93787(P2012−93787A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−16275(P2012−16275)
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−108872(P2009−108872)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月30日(2012.1.30)
【分割の表示】特願2009−108872(P2009−108872)の分割
【原出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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