説明

電気的に作動するデバイス及びそのデバイスにおけるドーパントの形成を制御する方法

電気的に作動するデバイスが、第1の電極、第2の電極並びに当該第1及び第2の電極間に堆積させた活性領域を備えている。当該デバイスは、i)第1の電極と活性領域との界面、又はii)第2の電極と活性領域との界面、又はiii)活性領域と第1及び第2の電極のそれぞれとの各界面で局在化された、少なくとも1つのドーパント導入剤又はドーパントをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概括的には、電気的に活性の(電気的に作動する)デバイス、及びそのような電気的に活性のデバイスにおけるドーパントの形成を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可逆的に切換え可能であり、ON−OFFコンダクタンス比が約10であるナノメートルスケールのクロスワイヤスイッチングデバイス(crossed-wire switching device)は、従前より報告されている。そのようなデバイスは、クロスバー回路を構成するために使用され、超高密度の非揮発性メモリの生成のための有望な道筋を提供するものである。ラッチ(論理回路のため及び論理とメモリとのやりとりのための重要な構成要素である)は、クロスワイヤスイッチの直列接続から製造される。スイッチのクロスバーアレイから全体が構成されている又はスイッチ及びトランジスタからなるハイブリッド構造としての新しい論理ファミリーも記述されてきた。これらの新しい論理ファミリーは、CMOS回路の演算効率を劇的に増大させる潜在的可能性を有している。
【0003】
本開示の態様の特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び図面を参照することで明らかになる。それらの詳細な説明及び図面においては、同様の参照番号は、おそらく一致はしないが同様又は類似の構成要素に対応する。簡潔にするために、既に説明した機能を有する参照番号は、次の図面と関連させて説明している場合もあればそうでない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1A】2つの異なるクロスワイヤを接続する、電気的に作動するソリッドステートスイッチ(半導体化スイッチ)の態様の斜視図である。
【図1B】クロスバーとしても知られる、図1Aのスイッチのアレイを示す斜視図である。
【図2】図2A〜2Cは、電気的に作動するデバイスの一態様を形成するための方法の一態様を示す概略図であり、図2A及び2D〜2Fは、電気的に作動するデバイスの一態様を形成する方法の別の態様を示す概略図であり、図2A及び2G〜2Iは、電気的に作動するデバイスの一態様を形成する方法のさらに別の態様を示す概略図である。
【図3】電気的に作動するデバイスの別の態様の概略図である。
【図4】電気的に作動するデバイスのさらに別の態様の概略図である。
【図5】図5A〜5Cは、電気的に作動するデバイスの別の態様を形成する方法の別の態様を示す概略図である。
【図6】デバイスの一態様のI−Vループを描いたグラフであり、挿入図は、同じデバイスの初期状態I−V曲線を表している。
【図7A】アニールを受けていないデバイス及びアニールを受けたデバイスのI−V曲線を比較したグラフである。
【図7B】アニールを受けていないデバイス(グラフの上に概略的に示す)についてのX線光電子分光法(XPS)の深さプロファイルである。
【図7C】アニールを受けたデバイス(グラフの上に概略的に示す)についてのX線光電子分光法(XPS)の深さプロファイルである。
【発明の概要】
【0005】
ここに開示のデバイスの態様は、2つのワイヤ間に配置された活性領域を有する。金属電極と半導体活性領域との間のコンタクト領域は、ショットキーバリアに類似する。いくつかの例では、活性領域とそれと接触させて導入されたドーパント導入剤若しくはドーパント開始剤(dopant initiator)との間の化学的な反応が、所望の濃度の局在化されたドーパントを形成する。当該濃度は、所望の界面特性(例えば、ショットキーバリアの高さ及び/又は幅)及びひいては所望の電気的特性が得られるように調整することができる。別の例では、ドーパント自体が、活性領域に隣接して局在化されている。そのようなドーパントも、所望の界面特性及びひいては所望の電気的特性が得られるように調整することができる。
【0006】
ここで用いる限り、「ドーパント導入剤」と言う用語は、一般に、活性領域と化学的に反応してドーパントを形成することのできる種を指し、「ドーパント」という用語は、一般に、デバイスの電気的特性を変えることができる種を指す。いくつかの例では、ドーパントは、帯電した活性/移動性のドーパントであり、別の例では、ドーパントは非帯電のドーパントである。活性領域中で電気的に活性/移動性の帯電したドーパントには、例えば、二酸化チタン中の酸素空孔がある。他の帯電したドーパントは、活性領域中での電気的な活性/移動性がより小さく、それは例えば、二酸化チタン中の炭素アニオン又は窒素アニオンである。
【0007】
この局在化したドーパントは、(活性領域と反応するドーパント導入剤から)形成されるか又は物理的に拡散させ、その場合、(例えばチャネルを形成する)活性領域の内部に、又は(例えば活性領域と電極との界面での連続的な層若しくは非連続的なクラスターを形成する)活性領域の上部及び/又は底部表面に存在するようにする。いずれの例でも、ドーパントは、デバイス内のスイッチイングセンターのためのシードとして機能する。
【0008】
移動性のドーパントは、電界下でドリフトし、界面特性を変化させる。非帯電のドーパント及び電気的移動性がより小さなドーパントは、一般に、電界下ではドリフトしないが、活性領域と電極との界面に留まる。これらの非帯電の又は移動性がより小さいドーパントは、界面特性を調整するために(デバイス動作中にそれらを変化させることとは対照的)使用される。具体的には、ここに開示のデバイスは、製造の際、所望の電気的特性が得られるように調整することができる。
【0009】
デバイスの歩留まりは、比較的高く(例えば、約90%〜約100%)、このことは、少なくとも1つにはデバイスの信頼性があるということが理由で、有利である。いくつかの態様では、ここに開示のデバイスは、酸化又は還元反応のような可逆的なプロセスを介して複数回その状態を変化させることができるという意味で、再構成可能(reconfigurable)である。言い換えれば、ここに開示のデバイスは、ランダムアクセスメモリ(RAM)におけるメモリビットのように、複数回開閉することができる。別の態様では、ここに開示のデバイスは、酸化又は還元反応のような不可逆的なプロセスを介してその状態を1度変化させることができるという意味で、単独で構成可能であるそのようなスイッチは、例えば、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)をベースとすることができる。
【0010】
以下に別途特定されていなければ、次の定義を適用する。
【0011】
「接合」に対して用いられる「自己整列」という語は、2つのワイヤ間にスイッチ及び/又は他の電気的接続を形成する接合が生じることを意味し、接合を生成させるのは交差の動作であるから、どちらかが被覆又は機能化されていてよい2つのワイヤがどこで互いに交差するかは関係ない。
【0012】
ミクロンスケール寸法とは、1マイクロメートル〜数マイクロメートルのサイズの範囲の寸法を指す。サブミクロンスケール寸法とは、1マイクロメートル〜0.04マイクロメートルの範囲の寸法を指す。ナノメートルスケール寸法とは、0.1ナノメートル〜50ナノメートル(0.05マイクロメートル)の範囲の寸法を指す。
【0013】
ミクロンスケール及びサブミクロンスケールワイヤは、0.04〜10マイクロメートルの寸法を有する幅若しくは直径、数ナノメートルからマイクロメートルの範囲であってよい高さ、並びにいくらかの(some)マイクロメートル以上の長さを有するロッド又はリボン形状の導体又は半導体を指す。クロスバーは、スイッチのアレイであって、1組の平行なワイヤの各ワイヤが、第1の組と交わる第2の組みの平行なワイヤのすべての部材と接続している(通常、2組のワイヤが互いに直交するが、これは必要条件ではない)ものである。
【0014】
ここで用いる限り、デバイスの機能寸法は、ナノメートル(典型的には、50nm未満)で測定されるが、横方向の寸法は、ナノメートル、サブミクロン又はミクロンであってよい。
【0015】
図面を参照して議論する態様において、移動性のドーパント図示する。この図示は例示を目的としており、ここに開示の任意の態様が、上述のように、電気的な移動可能性のより小さいドーパント又は非帯電のドーパントと共に製造されていてよいことを理解されたい
図1A及び1Bを参照すると、公知の電気的に作動するソリッドステートスイッチ10及び公知のクロスバーアレイ100が示されている。図1Aでは、2つの異なる交差したワイヤ又は電極12、14が、その間にスイッチ接合部16を有している。スイッチ接合部16は、第1の活性領域16a及び第2の活性領域16bを含む。一態様では、第1の活性領域16aは、格子間物質、空孔若しくは不十分物として電子ドナーでドープできる、電気的に半導性であり且つ弱いイオン性の導体である材料(さらに以下に述べる)である。別の態様では、第1の活性領域16aの材料は、名目上電気的に絶縁性であり且つ弱イオン性の導体である。第2の活性領域16bは、ドーピング種のソース及びシンクとして機能する材料である。図1Aに示すように、スイッチ接合部16は、非共有性の結合界面として分子層16cも備えていてよく、ここで、分子層16cは、スイッチング可能であってよい又は可能でなくともよい分子を含む。1つの又は両方のワイヤ12、14は、金属又は半導体材料であってよい。いくつかの例では、両ワイヤ12、14は金属である。
【0016】
クロスバーアレイ100は、図1Aに示すように、電気的に作動する複数のソリッドステートスイッチ10を含んで形成されていてもよい。図1Bに示すように、ほぼ平行なワイヤ12の第1の層18には、ほぼ平行なワイヤ14の第2の層20が載置されている。第2の層20の配向は、第1の層18のワイヤ12に対してほぼ垂直になっている。しかし、層18、20間の配向角度は様々であってよい。ワイヤ12、14の2つの層18、20は、格子若しくはクロスバーを形成する。第2の層20の各ワイヤ14は、第1の層18の全てのワイヤ12の上に載置されており、第1の層18の各ワイヤ12と、2つのワイヤ12、14間の最も密な接触に相当するワイヤ交差部で密な接触をする。スイッチ接合部16は、ワイヤ12、14間に配置されて図示されている。そのような3つのスイッチ接合部16を図示するが、スイッチ接合部16が、ワイヤ12とワイヤ14との各交差部で形成されていることを理解されたい。そのようなクロスバー100は、用途に応じて、ミクロンスケールワイヤ、サブミクロンスケールワイヤ又はナノスケールワイヤから製造することができる。
【0017】
図面中の個々のワイヤ12、14は、正方形又は長方形の断面図を有するものとして示されているが、ワイヤは、円形、楕円形又はより複雑な断面を有していてもよい。ワイヤは、多くの異なる幅若しくは直径及びアスペクト比若しくは離心率を有していてもよい。「ナノワイヤクロスバー(nanowire crossbar)」という語は、ナノワイヤに加えて、サブミクロスケールワイヤ、ミクロスケールワイヤ又はより大きな寸法のワイヤの1つ以上の層を有するクロスバーを指してよい。
【0018】
知られているように、そのようなスイッチは、メモリのためのベースとして(例えば、情報のビット、つまり1又は0の格納)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array)に類似の論理回路における構成ビットのためのクロスポイントメモリにおける閉じた又は開いたスイッチとして、又はワイヤードロジック(結線論理)プログラマブルロジックアレイ(Programmable Logic Array)のためのベースとして使用することができる。これらのスイッチも、広範な他の用途においても使用が見出されている。
【0019】
図2A〜2Iに、電気的に作動するデバイスの一態様1000を形成する方法の様々な態様を示す。このデバイス1000は、図2C、2F及び2Iに示す。そのような装置1000は、図1Aに示すデバイス10と同様に機能する。ここに開示の電気的に作動するデバイス1000は、マイクロ又はナノスケールで形成されていてよく、広範な電子回路における構成要素として使用することができることを理解されたい。デバイス1000は、より大きなクロスバーアレイにおける2つのワイヤであってよい2つの異なるワイヤ、例えば図1A〜1Bに示す交差するワイヤの対を含んでいてよいし、又はワイヤに沿って電流を流す又は阻止するための単一のワイヤの多数のセグメント(隣接するセグメント間に活性領域を有する)を含んでいてよい。ここに開示のデバイス1000は、上述のように、メモリ、スイッチ、並びに論理回路及び機能のベースとして使用することができる。
【0020】
図2C、2F及び21に示すように、このデバイスの態様1000は、2つのワイヤ/電極12、14、それらの間の活性領域22、並びに活性領域22の一部分と拡散されたドーパント導入剤26との化学的な反応から形成される移動性のドーパントを含む(例えば、図2B、2D及び2Hに図示)。いくつかの例では、ここに記載の移動性のドーパント24は、活性領域22の前記一部分と拡散されたドーパント導入剤26(又は堆積されたドーパント導入剤26’、図5C〜5Aを参照されたい)との化学的な反応の結果形成される層中に含まれていてよいことを理解されたい。
【0021】
図2Aでは、1つの電極12は、基体30上に構築されたドーパント導入剤層28上に構築される。基体30は、任意の望ましい材料であってよく、非限定的に半導体材料を含む。具体的な基体30材料の非限定的な例は、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム又はこれらに類するものを含む。
【0022】
ドーパント導入剤層28は、基体30上に構築され、その中に少なくとも1つのドーパント導入剤26を含む。一般に、ドーパント導入剤26は、活性領域22の部分との化学的な反応によって、活性領域22のための所望のドーパント(例えば、移動性のドーパント24)を形成するように選択される。ドーパント導入剤26と活性領域22の一部分との化学的な反応(以下にさらに説明する)が移動性のドーパント24を形成するので、ドーパント導入剤26の濃度及びドーパント導入剤26のために選択される材料は、活性領域22のために使用される材料、活性領域22の厚み、並びに形成される移動性のドーパント24の所望の種類及び量に少なくとも部分的に依存する。適切なドーパント導入剤26の非限定的な例は、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニオブ、タンタル、マンガン、バナジウム、ジルコニウム、又はハフニウムを含む。1つの非限定的な例では、活性領域22が二酸化チタンから形成されている場合には、選択されるドーパント導入剤26は、二酸化チタン中で空孔を生じさせるチタン(移動性のドーパント24の一例)であってよい。
【0023】
図2に一連に示す態様では、ドーパント導入剤層28が基体30上に構築される。しかし、ドーパント導入剤層28は他の電極14上にも構築することができることを理解されたい。この態様は、図3を参照して例示及び説明する。
【0024】
ドーパント導入剤層28は、例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシー、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積(ALD)のような任意の適切な技術によって基体30上に構築することができる。ドーパント導入剤層28の厚みは、隣接する電極12、14を通って拡散するドーパント導入剤26の量、並びにデバイス1000の所望のスイッチング特性に少なくとも部分的に依存する。1つの非限定的な例としては、ドーパント導入剤層28の厚みは約5ナノメートルである。別の非限定的な例では、厚みは、約5ナノメートル〜約30ナノメートルである。厚みは所望に応じて様々なものであってよいことを理解されたい。一般に、層28が厚くなるほど、拡散のために利用可能なドーパント導入剤26は多くなり、拡散するドーパント導入剤26が多いほど、デバイス抵抗は小さくなる。同様に、層28が薄くなるほど、拡散のために利用可能なドーパント導入剤26は少なくなり、拡散するドーパント導入剤が少なくなるほど、デバイス抵抗は大きくなる。
【0025】
底部電極12は、ドーパント導入剤層28上に(且ついくつかの例では、基体30上に)、フォトリソグラフィ又は電子ビームリソグラフィのような従来の技術を用いて、或いはインプリントリソグラフィのような進歩した技術によって構築することができる。一態様では、底部電極12の厚みは、約5nm〜約30nmである。厚みは、少なくとも、所望の拡散特性及びドーパント導入剤層28の厚みに少なくとも部分的に依存して、変更可能である。底部電極12は任意の適切な導電材料、例えば金、白金、タングステン、銅等であってよい。
【0026】
図2B及び2Cを参照すると、方法の一態様は、活性領域22の電極12(図2Bに図示)上への熱堆積及び他方の電極14の活性領域22(図2Cに図示)上への構築を含む。
【0027】
ここに開示の態様では、活性領域22は、ドーパントとして作用するイオンを輸送及びホストすることができ、それにより、デバイス1000を通る電子の流れが制御される。デバイス1000の動作の基本モードは、デバイス1000を横切って電界(活性領域22中のイオンの移動を可能にするためのある閾値を超え得るドリフト電界)を印加することであり、その大きさは、移動性のドーパント24を活性領域22内でイオン輸送によって輸送するのに十分なものである。移動性のドーパント24は、一般に、低導電性(つまり、ドープされていない半導体又は絶縁体、つまりスイッチOFF構造)から高導電性(より高い導電性を提供するようドープされた、つまりスイッチON構造)へ、或いは高導電性から低導電性へ(スイッチONからスイッチOFFへ)、活性領域22の導電性を変化させるイオン種である。具体的には、電界下でのドーパントプロファイルの再構成が、接合部16の電気的輸送挙動を変化させる。
【0028】
活性領域22は、電気的に半導性又は名目上電気的に絶縁性であり且つ弱イオン性の導体である材料の薄膜(例えば、500nm以下)であってもよい。弱イオン性の導体という定義は、デバイス1000が設計される用途に依存することを理解されたい。種についての格子中の移動度及び拡散係数は、「アインシュタインの関係式」により互いに正比例する。よって、イオン化された種の格子中での移動度が極めて高い場合には、拡散係数も高い。一般に、デバイス1000を、用途に応じて1秒の分数から複数年であってよい時間にわたり、ON又はOFFの特定の状態に維持することが望ましい。よって、そのようなデバイス1000のための拡散係数は、一態様では、安定性の所望のレベルを保証するのに十分に低く、それにより、デバイス1000の状態を電圧パルスによって意図的に設定することによってではなくイオン化種の拡散によってデバイス1000がONからOFFへ又はその反対に不注意で切り換えられることが回避される。したがって、「弱イオン性の導体」は、イオン移動度及びひいては拡散係数が、デバイス1000のON又はOFF状態の安定性を所望の条件下で必要な時間にわたり保証するのに十分小さい(例えば、デバイス1000は、移動性のドーパント24の拡散によって状態が変化しない)ものである。
【0029】
具体的には、活性領域22材料及びドーパント導入剤26(移動性のドーパント24を形成するもの)を、活性領域22内へ又は当該領域22からの移動性のドーパント24のドリフトが可能であってもそれが容易すぎない程度に選択される。これは、一般に、デバイス1000が、合理的に長い時間のために設定されるいかなる状態にも維持されることを保証する。このことは、デバイス1000が非揮発性(つまり、ドリフト電界が除去された後もその状態を保持する)であることにも寄与する。いくつかの例では、デバイス1000は2端末デバイスである。つまり、高いバイアスをかけることにより、デバイス1000により電子電流及びイオン電流の流れを生じ、一方、低いバイアスでは、デバイス1000をその抵抗状態で保持させるイオン電流の流れは無視できる。
【0030】
活性領域22の適切な材料の非限定的な例は、ケイ素、遷移金属、希土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物、硫化物、セレン化物、窒化物、リン化物、ヒ化物、塩化物及び臭化物を含む。他の適切な材料の例は、さらに以下にも述べる。
【0031】
特に図2Bを参照すると、活性領域22の熱堆積は、活性領域22のための材料を電極12上に堆積させる際に、電極12及びドーパント導入剤層28を熱に曝すことによって達成することができる。適切な堆積技術は、従来の物理的及び化学的な技術を含み、それは、クヌーセンセル、るつぼ(crucible)からの電子ビーム(つまりeビーム)、ターゲットからのスパッタリング、電子ビーム蒸着、化学蒸着(CVD)、分子線エピタキシ、原子層堆積、又は反応性の前駆体からの化学的な蒸着若しくはビーム成長様々な他の形態を含む。適切な堆積又は成長条件、例えば速度及び温度は、望ましい化学組成及び活性領域22のために望ましい局所的な原子構造を達成するために選択することができる。
【0032】
熱堆積プロセスの際の温度は、ドーパント導入剤層28中でドーパント導入剤26のいくらか又は全てが、隣接する電極12を通ってその表面へと拡散するのに十分なものである。温度を調節することによって、拡散の動的挙動を制御することができ、ドーパント導入剤26の所望の拡散が達成され得る。温度及びそのような温度に曝す時間は、少なくともある程度は、拡散すべきドーパント導入剤26及び層12、28の厚みにも依存する。一例では、温度範囲は約200℃〜約450℃である。
【0033】
図2に示す一連の態様では、ドーパント導入剤26の拡散は、電極12中の結晶粒界を通ってなされる。具体的には、所望の拡散を達成するために電極12の結晶粒界を選択することができる。
【0034】
少なくともいくらかのドーパント導入剤26が層28から拡散するので、得られるデバイス1000中の層28は、一般に、拡散前の層28より薄い。
【0035】
拡散されたドーパント導入剤26は、電極12上に構築された活性領域22の一部分(例えば数ナノメートル以下)と反応する。この化学的な反応は、残りの活性領域22と電極12との間の界面で、移動性のドーパント24をその中に有する層を形成するとと理解されたい。拡散は一般に、電極12の他の箇所においてよりも電極粒界の箇所において大きいので、その中に移動性のドーパント24を有する層は、非均一であるか又は非連続となり得る。化学的な反応から得られるドーパント24の非限定的な例は、格子間物質、空孔又は他の帯電した不純物を含む。そのような移動性のドーパント24は、正又は負に帯電している。1つの非限定的な例では、チタン(例えば、ドーパント導入剤26)が、白金電極12を通って拡散し、二酸化チタン(例えば、活性領域22)と反応する。この化学的な反応によって、金属酸化物(つまり、活性領域22)の一部分が還元し、その結果、残りの二酸化チタン活性領域22と白金電極12との界面においてTiO2−x層が形成される。このTiO2−x層は、結晶構造中に酸素原子の小さな欠陥、並びに失われた酸素原子が、正に帯電した空孔又は移動性のドーパント24となり得るサイトを有している。
【0036】
移動性のドーパント24の形成後、上部電極14を、活性領域22上に堆積させる(図2Cに示す)。上部電極14は、底部電極12と同じ又は異なる材料であってよく、底部電極12を構築するために使用されるものと同じ又は異なる技術によって構築することができる。1つの例では、上部電極14は、電子ビーム蒸着装置によって蒸着させる。上部電極の厚みは、一般に、約5ナノメートル〜数百ナノメートルであってもよい。
【0037】
図2C、2F及び2Iに示す態様では、金属接点(つまり、上部電極14)と活性領域22との間の電位差により、この界面においてトンネルバリアが形成される。このトンネルバリアは、電極12、14間の電流をブロックし、これにより、デバイスはOFF状態となる。OFF状態では、デバイス1000中の1つの界面は、移動性のドーパント24を含んでおり、オーミック様の接触であって、別の界面は、移動性のドーパント24があるとしてもほとんど含まず、非オーミック様の接触である。トンネルバリアは、移動性のドーパント24のドリフトに対するしきい値電界を超える電圧がデバイス1000に印加されるまで、接合部16を横切る電子輸送を制限する。OFF状態では、活性領域22は、本質的に真性である。つまり、格子中には極めて少ないドーパント24しかない。そのような例では、界面接触が接合部16の電子輸送を支配する。
【0038】
適切な電圧を印加すると、移動性のドーパント24は、非オーミック界面に向かってドリフトし、それにより、活性領域22を横切る局在化されたコンダクタンスチャネル(conductance channels)を生成する。これにより、電子的なトンネルバリアが非オーミック界面で短絡し、デバイスをONにする。逆の電界は、移動性のドーパント24をオーミック界面へと押し戻し、電子トンネルバリアが活性領域22と上部電極14との間の界面で保持される。その初期状態のデバイス1000の整流配向が、デバイス1000の極性の切り換えを決定すると理解されたい。具体的には、これらの例で、デバイス1000の極性は、その初期状態でのデバイス1000の整流配向を交番させることにより変更させることができる。
【0039】
1つの非限定的な例では、その初期状態でのデバイス1000は強く整流されている。具体的には、正に帯電した移動性のドーパント24、例えばTiO2−x層中の酸素空孔は、イオン化種のドリフトのためのしきい値電界を超える負のバイアス電圧を接合部16を横切って印加することによって、活性領域22内へと駆動される。電極12と活性領域22との間の界面に形成された層(例えば、TiO2−x層)は、比較的高い濃度の空孔(移動性のドーパント24)を含み、よって、適度に良好な導体となっている。電圧を電極12に印加すると、酸素空孔(移動性のドーパント24)が活性領域22内に駆動される(還元される)。電極12と活性領域22との界面の導電性に対する作用は、比較的小さく、それというのは、この領域から押し出される空孔は少数であるが、活性領域22の導電性は、空孔がないもの又はいくつかあるという状態から出発するので、劇的に増加する(スイッチON)ことになるからである。
【0040】
活性領域22のドーピングレベルが、抵抗が本質的にゼロに低下するほど大きくならない限り、デバイス1000に印加される電圧の極性を保持することによって、移動性のドーパント24のドリフトを保持し、それを活性領域22から排出することができる。上記した例では、デバイス1000は、電極12上で電圧の極性を正の電圧へと反転させることによって、OFF状態から再び切り換えられる。
【0041】
活性領域22のドーピングは、電圧(イオンドリフトのための任意のエネルギーバリアを超える)及び時間(システムを電圧でより長時間保持するほど、より多くのドーパントが蓄積する)の両方の関数、又は電流の積分であると理解されたい。
【0042】
上記のスイッチング機構は、ここに記載のデバイス1000、1000’(図3に示す)、1000’’(図4に示す)の動作の仕方を示す一態様ではあるが、スイッチング機構は異なっていてよいことを理解されたい。上述のように、可能なスイッチング機構の別の非限定的な例は、デバイス1000、1000’、1000’’がON状態にある場合に、底部及び上部電極12、14を橋架けする導電性フィラメントを形成する移動性のドーパント24を有する。この橋架けは、電界又はジュール熱の適用によって破壊され得、それにより、デバイス1000はOFF状態へスイッチングされる。図2D〜2Fを参照すると、デバイス1000を形成するための別の態様が示されている。移動性のドーパント24の形成は、活性領域22の堆積の前に、ドーパント導入剤層28及び電極12をアニールすることによって導入される。アニール温度(前述の熱堆積温度と同様)は、ドーパント導入剤層28中のドーパント導入剤26のいくつかの又は全てが隣接する電極12を通ってその表面へと拡散するのに十分なものである(図2Dに示す)。温度及びそのような温度に曝す時間は、拡散するドーパント導入剤26の量及び層12、28の厚みにも少なくとも部分的に依存する。1つの例では、温度は約200℃〜約450℃である。
【0043】
アニール後、図2Eに示すように、活性領域22のための材料を、拡散されたドーパント導入剤26上及び電極12の露出した任意の表面に堆積させる。活性領域22のための堆積の技術及び材料は、上述の通りである。構築の際には、拡散されたドーパント導入剤26と接触している活性領域22の一部は、それと反応し、残りの活性領域22と電極12との間の界面で、移動性のドーパント24を含む層を形成する。次に、上部電極14を、図2Fに示すように、活性領域22上に構築することができる。
【0044】
図2G〜2Iに、デバイス1000を形成するさらに別の方法の態様を示す。この態様では、活性領域22が電極12(図2G)上に堆積され、次に、構造が、アニールに曝され、それにより、ドーパント導入剤26の電極12の表面への拡散が導入される(図2H)。拡散されたドーパント導入剤26は、活性領域22の一部と反応し、それにより移動性のドーパント24が形成される。次に、上部電極14を、図2Iに示すように、活性領域22上に構築することができる。
【0045】
図3に、別のデバイスの態様1000’を示す。このデバイス1000’は、図2C、2F及び2Iに示したデバイス1000と同様のものであるが、次の点が異なる。すなわち、ドーパント導入剤層28が上部電極14上に構築されていて、よって、移動性のドーパント24が上部電極14と活性領域22との間の境界で形成されるが、底部電極12と活性領域22との間の境界は非導電性に保たれ、よって、デバイス1000’がOFF状態にある場合にはトンネルバリアを形成する。この態様では、デバイス1000’をON及びOFF状態の間でスイッチングするために印加される電圧の極性も、その初期状態でのデバイス1000’の整流配向によって決定される。図3に示すデバイス1000’を形成するためには、電極12を基体30上に構築し、活性領域22を電極12上に構築し、上部電極14を活性領域22上に構築し、そして、ドーパント導入剤層28を電極14上に構築する。構造は、電極14を通るドーパント導入剤26(図3には図示せず)の拡散を導入するようにアニールされる。拡散されたドーパント導入剤26は、電極14に隣接する活性領域22の一部と反応し、それにより、移動性のドーパント24を含む層が形成される。このアニール温度は、以下に述べるように選択される。
【0046】
図4に、さらに別のデバイスの態様1000’’を示す。ドーパント導入剤層28、28’を、第1及び第2の(底部及び上部)電極12、14のそれぞれに隣接して構築することができる。拡散は、概括的には、アニールによって導入され、移動性のドーパント24、24’をその中に有する層は、底部電極12と活性領域22との境界及び上部電極14と活性領域22との間の境界でそれぞれ形成される。2つの層28、28’中のドーパント導入剤26(図4に図示せず)は、形成される所望の移動性のドーパント24、24’に依存して、同じであっても異なっていてもよいことを理解されたい。
【0047】
図2A〜2I、図3及び4を参照して説明した態様は、移動性のドーパント24を利用するものであるが、そのような態様では、帯電しているがより小さい移動可能性を有するドーパント又は帯電していないドーパントも使用できることを理解されたい。帯電しているが移動性の小さいドーパントの形成は、帯電した移動性のドーパント24の形成と同様である、つまり、活性領域と適切なドーパント導入剤との化学的な反応によって起こる。しかし、帯電していないドーパントを使用する場合には、化学的な反応は起こることはない。そのような例では、帯電していないドーパント(例えば、金、白金、パラジウム、ルテニウム又はそれらに類するもの)の層を、ドーパント導入剤層28の代わりに使用することができることを理解されたい。拡散を達成する前述の任意の方法を使用して、少なくともいくつかの帯電していないドーパントを、所望の電極12、14を通って電極12、14と活性領域22と界面へと移動させることができる。この態様では、拡散された非帯電ドーパントは、活性領域22と化学的に反応するのではなく、ドーパントとして界面に存在する。
【0048】
図2A〜2I、図3及び4に示す様々な態様では、ドーパント導入剤26の拡散を、様々な技術によって制御できることを理解されたい。そのような制御は、移動性の(又は別の)ドーパント24の位置及び濃度に対しても制御可能であり、それにより、界面及びデバイスの特性を調整することができる。1つ以上の以下の条件を変更することにより、拡散は様々なものとなり得、よって、形成された移動性のドーパント24の量を増加又は減少させることができる。拡散は、以下の1つ以上を調節することによって変更することができる。つまり、拡散がそこを通って起こる電極12、14の厚みの調節、拡散がそこを通って起こる電極12、14の粒度の調節、拡散が達成される温度の調節、拡散が達成される時間長さの調節、又はドーパント導入剤層28の厚み(及びひいてはドーパント導入剤26の濃度)の調節。非限定的な例としては、拡散は、拡散がそこを通って起こる電極12、14の結晶粒界を増大させること及びドーパント導入剤層28の厚みを増大させることによって、増大させることができる。
【0049】
図5A〜5Cに、デバイス1000を形成する方法のさらに別の態様を示す。図5Aに示すように、電極12を基体30上に構築する。電極12は、任意の所望の材料を形成することができ、前もって、任意の適切な技術によって構築することができる。
【0050】
図5Bに示すこの態様では、ドーパント導入剤26’を、電極12の表面上に直接的に堆積する。このような堆積は、スパッタリング、電子ビーム蒸着、分子線エピタキシ、化学蒸着(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって達成することができる。一態様では、堆積されたドーパント導入剤26’は、薄層層を形成し、その薄層は、例えば、3ナノメートル厚未満である。ドーパント導入剤26’の比較的薄い層が望ましく、それにより、活性領域22の一部のみが反応し、それにより、その中に移動性のドーパント24を有する層が形成される。
【0051】
次に、活性領域22のための材料が、図5Cに示すように、堆積されたドーパント導入剤26’上に及び電極12の露出した任意の表面上に堆積される。活性領域22のための任意の材料の堆積のための技術は、上述の通りである。構築の際、堆積されたドーパント導入剤26’と接触している活性領域22の一部は、それと反応し、それにより、その中に移動性のドーパント24を組み込んでいる層が、残りの活性領域22と電極12との界面で形成される。次に、上部電極14を、図5Cに示すように、活性領域22上に構築することができる。
【0052】
図5A〜5Cを参照して説明した態様は移動性のドーパント24を利用するものであるが、帯電しているが移動性がより小さいドーパント又は非帯電ドーパントもこの態様で使用することができることを理解されたい。帯電し且つより移動性の小さいドーパントが、移動性のドーパント24と同様に形成される。しかし、非帯電ドーパントを使用する場合、化学的な反応は起こらない。そのような例では、非帯電ドーパント(例えば、金、白金、パラジウム、ルテニウム又はそれらに類するもの)を、ドーパント導入剤26の代わりに堆積させることができる。この態様では、非帯電ドーパントは、化学的に活性領域22と反応せず、ドーパントとして界面に存在する。
【0053】
図5Cのデバイス1000は、図2C、2F〜2Iに示すものと類似であり、それらのデバイスと同様、いくつかの例で、上部電極14と活性領域22と境界は、非導電性であり、デバイス1000がOFF状態である時にトンネルバリアを形成する。繰り返しになるが、その初期状態でのデバイス1000の整流配向は、初期状態における移動性のドーパント24プロファイルによって決定され、当該プロファイルは、ドーパント導入剤26が拡散していく場所(底部又は上部の境界)によって決定される。したがって、デバイス1000を切り換えるために印加される電圧の極性は、移動性のドーパント24がここに開示の様々な態様の1つのを使用して形成される手法によって決定される。
【0054】
ここに開示の任意の態様では、活性領域22のための材料及びドーパント導入剤26(及びひいては移動性のドーパント24)の選択は、所望のデバイス1000、1000’の特性を達成することに寄与する。そのような材料の幾つかの例は、上述した通りである。しかし、特性の所望の組合せを示す広範な材料、つまり、移動性のドーパント24がドリフトにより活性領域22への導入及び活性領域22からの排出を可能にする電気的半導性又は絶縁性及び弱イオン性の導体があることを理解されたい。いくつかの例では、活性領域22で使用される金属酸化物のエリンガム図を、ドーパント導入剤26、26’を選択するために使用することができる。
【0055】
一般に、半導体を電気的にドープすることができる移動性のドーパント24に関連する、弱イオン性の導体でもある任意の半導体性材料(活性領域22を形成する)は、ここに開示の態様においても機能する。言い換えれば、活性領域22のための考えられるスイッチ化合物(switch compound)は、結合に著しいイオン性の寄与をもたらす半導性化合物である。非限定的な例では、活性領域22は、非ドープで且つ化学量論的な、よって良好な絶縁体の材料であって、移動性のドーパント24は、同じ又は関連する母材の層中に含まれる大きな濃度のアニオン又はカチオン空孔となっている。基本的に、その中に移動性のドーパント24を有する層は導電性が高く、よって、ドーピング濃度の変化は、この層の導電性に対しては比較的小さな作用を有する。しかし、活性領域22は本質的に内在するので、少量の移動性のドーパント24であっても、この領域22の導電性に極めて劇的な作用を有する。
【0056】
上述のように、一態様では、活性領域22のための材料は、遷移金属及び希土類金属の酸化物、硫化物、セレン化物、窒化物、リン化物、ヒ化物、塩化物及び臭化物から選択され、多くの場合、化合物中にアルカリ土類が存在する。さらに、様々な、同様の化合物の互いの合金があり、これらは、互いに相溶性である場合、広範な組成物を提供する。混合された化合物があり、そのうちには、いくつかの数の電気的に陰性の元素と組み合わされた2、3又はより多くの異なる金属原子がある。そのような場合、形成された移動性のドーパント24は、アニオン空孔又は異なる原子価の元素であってよい。
【0057】
元素Ti、Zr及びHfを含む活性領域22のための材料は、特に有用であり、それというのは、3つの全ての金属の第1の酸化状態が+4、つまりSiと同じであるため、Si集積回路技術との互換性若しくは適合性があり得るからである。詳細には、これらの元素は、Siの意図しないドーピングを生成しない。これらの化合物は、それぞれチタニア、ジルコニア及びハフニアとしても知られており、それぞれの様々なポリタイプに特定の他の名称でも知られている。さらに別の態様は、これらの3つの酸化物の、対での又は3つ全てが同時に存在する合金(例えばTiZrHf[式中x+y+z=1])を含む。関連する組の化合物は、チタン酸塩、ジルコン酸塩、ハフニウム酸塩を含み、これらは、特定の例、SrTiO[式中、Srは二価の元素ストロンチウムである]で代表される。そのような様々な化合物があり、Ca、Ba及び他の二価の元素(例えば、Mg、Zn、Cd)が、Srで置き換えられ、Zr及びHfはTiで置き換えられていてよい。これらの化合物は、ABO化合物として表すことができ、ここで、Aは、少なくとも1つの二価元素であり、Bは、Ti、Zr及びHfの少なくとも1つであり、ペロブスカイト構造を有していてよい。
【0058】
これらの様々な化合物の合金、例えばCaSrBaTiZrHf[式中、a+b+c=1であり、x+y+z=1である]も利用することができる。両者とも個々に且つより複雑な化合物として使用できる異なる原子価を有する遷移金属及び希土類金属の他の広範な酸化物もある。個々の場合には、移動性のドーパント24は、酸素空孔又は異原子価(例えば異なる原子価)の元素であってよい。
【0059】
活性領域22に適切な化合物のさらに別の態様は、遷移金属の硫化物及びセレン化物を含み、これは、いくらかのイオン性結合の性質、本質的に上述の酸化物のS及びSeアナログ(類似物)も有している。活性領域22に適した化合物のさらに別の態様は、半導体性窒化物、例えばAIN、GaN、ScN、YN、LaN、希土類窒化物及びそれらの化合物の合金、並びにより複雑な混合金属窒化物を含む。またさらに、活性領域22に適した化合物の態様は、様々な遷移金属及び希土類金属、例えばSc、Y、La等の半導体性ハロゲン化物(例えばCuCl、CuBr及びAgCl)又はリン化物及びヒ化物を含む。この段落で以下に記載する各例では、アニオン空孔又は異原子価元素が、移動性のドーパント24として形成されていてよい。
【0060】
さらに、上記例から選択された異なる材料又は化合物の副層(副次的な下層)を含み得ることを理解されたい。
【0061】
ここに開示の態様で利用されるドーパントは、水素、アルカリ、アルカリ土類カチオン、遷移金属カチオン、希土類カチオン、酸素アニオン又は空孔、カルコゲナイドアニオン又は空孔、窒素アニオン又は空孔、ニクタイドアニオン又は空孔、或いはハロゲン化物アニオン又は空孔であってよい。上述のように、そのような帯電したドーパントは、活性領域22の部分とドーパント導入剤26、26’との化学的な反応によって形成される。またやはり上述のように、そのような非帯電のドーパントは、活性領域22と化学的に反応してその形成を導入することなく、拡散又は堆積されていてよい。移動性のドーパントアニオンの特定の非限定的な例は、炭素アニオン、硫黄アニオン、又はリンアニオンを含み、移動性のドーパントカチオンの特定の非限定的な例は、アルミニウムカチオン、ニオブカチオン、銅カチオン及び銀カチオンを含む。
【0062】
活性領域22、ドーパント導入剤26、26’及び結果として得られるドーパントをそこに含み層の組合せの特定の例を、以下の表に示す。ここに記載の教示に基づいて、当業者が、教示の利益を提供する材料の他の組合せを発展させることができることは明かである。
【0063】
【表1】

【0064】
本開示の態様をさらに示すために、実施例を以下に示す。この実施例は、例示を目的として提示するものであり、開示の態様の範囲を限定するものとして解釈されるべきものではないことを理解されたい。
【実施例】
【0065】
ここに記載の1つの方法に基づきデバイスを形成した。チタンドーパント導入剤層及び第1の白金電極を、室温(RT)での蒸着により、Si/SiO(100nm)基体上に堆積させた。チタンドーパント導入剤層の厚みは5nmであり、その上に構築させた第1の白金電極の厚みは15nmであった。TiO層(40nm)を、1.5mTorrのAr中でTiO(ルチル)ターゲットからのスパッタ堆積によって、第1の白金電極上に構築した。スパッタ堆積中、基体を、約270℃まで加熱した。次に、TiO層を構築した後、第2の白金電極(30nm)をeビーム蒸着装置によって蒸着させた。上部及び底部電極を、金属シャドーマスクを用いて骨形状の構造にパターニングし、5×5μmの面積で交差点接合(crossing point junction)を生成した。
【0066】
このデバイスの接合の全てを、標準4点プローブ法によって測定した。その際、底部電極は常に接地していた。200のスイッチングI−Vループを記録した。簡単に説明するために、そのようなループを図6ではグレーで示す。400番目のスイッチングループ(図6で黒太字で図示)の後、接合は、さらにスイッチ可能であり、約1000のON/OFF導電比を保持していた。
【0067】
初期状態I−V曲線(図6の左側に挿入)は、強く整流されている。この整流配向は、第1の白金電極とTiO層との(TiO2−x層を含む)界面がオーミック様であり、一方、(TiO層の未反応部分を含む)界面はオーミック性であり且つ電子輸送を制御することからよって生じたと確信される。この整流配向は、図6に示すデバイスのスイッチング極性を決定し、その場合、ONの切り換えは負電圧によって達成され、OFFの切り換えは正電圧によって達成される。
【0068】
以下に説明する結果は、チタンドーパント導入剤層が第1の白金Pt電極を通って拡散し、TiO層と反応して、その中に酸素空孔を有するTiO2−Xを形成し、それにより、オーミック様のコンタクトを生成することを示す。
【0069】
また、スイッチング極性に加えて、デバイス歩留まりは、チタンドーパント導入剤層にも依存すると考えられる。いくつかの結果は、1nm厚のチタンドーパント導入剤層を有するデバイスは、5nm厚のチタンドーパント導入剤層を有するデバイスについての結果と比較した場合少なくとも、所望のスイッチ可能なデバイス歩留まりをもたらさないことを示している。より厚いチタンドーパント導入剤層は、チタン15nmの第1の白金電極の結晶粒界を通って拡散し、TiO層と反応し、それにより、酸素空孔を生成し、スイッチングセンターの局所的なシードを形成するのにのに十分なチタンを提供すると考えられる。
【0070】
図7A〜7Cはさらに、チタンドーパント導入剤層中のチタンが拡散して、TiO層の一部と反応するという概念の根拠となる。図6A〜6Cで示されたデータを得るために使用されるデバイスは、以下の層、すなわち、Si/SiO/Ti(5nm)/Pt電極(30nm)/TiO(15nm)/Pt電極(20nm)を含む。デバイスをRT(室温)で製造し、TiO層を、Arプラス10%Oガス混合物中のTi金属ターゲットからの反応性スパッタリングによって堆積させた。製造直後のデバイスのI−V曲線は、図6Aに示すように、ある程度対称的である。これらの結果は、2つの境界がほとんど同一であり、チタンドーパント導入剤層は接合に著しく影響を与えることはない、ということを示唆している。これとは対照的に、250℃、空気中での24時間のアニール後、I−V曲線は、より整流性となり、整流配向は、底部境界がオーミック様となったことを示している(図7Aを参照)。
【0071】
アニールの結果は、X線光電子分光法(XPS)深さプロファイルを比較することによって、図6B及び6Cに見出すことができる。製造直後の接合(図7B)における、チタンドーパント導入剤層についてのこの明確なプロファイルピーク(SiOと底部Pt層との間約5nm)は、アニール接合(図7C)においてほとんど消失している。図7Cのグラフにおいて概略的に上に示したように、チタンドーパント導入剤層は、白金電極を通って部分的に拡散し、底部電極/TiO層境界に近い空孔を形成し、結果として、オーミック様の底部境界コンタクトが得られる。
【0072】
項目1:第1の電極、
第2の電極、
第1の電極と第2の電極との間に堆積させた活性領域、及び
i)前記第1の電極と前記活性領域との界面、又はii)前記第2の電極と前記活性領域との界面、又はiii)前記活性領域と前記第1及び第2の電極のそれぞれとの界面で局所化された少なくとも1つのドーパント導入剤又はドーパント
を備えている、電気的に作動するデバイス。
【0073】
項目2:少なくとも前記ドーパント導入剤が前記界面で局在化され、前記ドーパント導入剤が、前記活性領域の一部と化学的に反応して、i)ドーパントを前記境界で、又はii)ドーパントを前記活性領域内で形成するように構成されている、項目1に記載された電気的に作動するデバイス。
【0074】
項目3:ドーパントが、帯電した空孔、アニオン又はカチオンから選択された移動性のドーパントである、項目2で記載された電気的に作動するデバイス。
【0075】
項目4:ドーパントが、前記界面で局在化された非連続的なクラスターである、項目2又は3に記載された電気的に作動するデバイス。
【0076】
項目5:前記ドーパントが、前記活性領域で形成されたチャネルである、項目2から4のいずれか1つに記載された電気的に作動するデバイス。
【0077】
項目6:i)前記活性領域と反対の表面で前記第1の電極に隣接して、又はii)前記活性領域の反対側の表面で前記第2の電極に隣接して、又はiii)前記活性領域と反対側の表面で第1及び第2の電極にそれぞれ隣接して構築されたドーパント導入剤層、並びに
i)前記第1の電極、又はii)前記第2の電極、又はiii)前記第1及び第2の電極の結晶粒界に存在する、前記ドーパント導入剤層から拡散された少なくともいくつかのドーパント導入剤をさらに含む、項目1〜5のいずれか1項に記載された電気的に作動するデバイス。
【0078】
項目7:少なくとも前記ドーパント導入剤が界面で局在化されており、前記ドーパント導入剤が前記活性領域の一部と化学的に反応し、ドーパントを前記界面で、又はii)ドーパントを前記活性領域内で形成するよう構成されている、項目6で記載された電気的に作動するデバイス。
【0079】
項目8:前記ドーパントが、前記界面で局在化された非連続的なクラスターであるか、又は前記ドーパントが、前記活性領域内で形成されたチャネルである、項目7又は8に記載された電気的に作動するデバイス。
【0080】
項目9:前記ドーパントが、正に帯電しているか又は負に帯電している、項目1〜9のいずれか1つに記載された電気的に作動するデバイス。
【0081】
項目10:前記ドーパント導入剤が、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ニオブ、タンタル、マンガン、バナジウム、ジルコニウム又はハフニウムから選択される、項目1〜9のいずれか1つに記載された電気的に作動するデバイス。
【0082】
項目11:前記ドーパントが前記界面で局在化されており、当該ドーパントが非帯電ドーパントであり、前記デバイスが、
i)前記活性領域とは反対側の表面で前記第1の電極に隣接して、又はii)前記活性領域とは反対側の表面で前記第2の電極に隣接して、又はiii)前記活性領域とは反対側の表面で前記第1及び第2の電極にそれぞれ隣接して構築された非帯電ドーパントの層、並びに
前記非帯電ドーパント層から拡散され、i)前記第1の電極、又はii)前記第2の電極、又はiii)前記第1及び第2の電極の結晶粒界に存在する、少なくともいくつかの非帯電ドーパントをさらに備えている、項目1で記載された電気的に作動するデバイス。
【0083】
項目12:前記活性領域が、ケイ素、遷移金属、希土類金属又はアルカリ土類の酸化物、スルフィド、セレン化物、窒化物、リン化物、ヒ化物、塩化物及び臭化物からなる群から選択される、項目1〜11のいずれか1つに記載された電気的に作動するデバイス。
【0084】
項目13:電極を提供し、
i)非帯電ドーパントを、前記電極とそれに隣接する活性領域との界面へ拡散させ、又はii)ドーパント導入剤を、前記電極に隣接する活性領域の一部と化学的に反応させて、i)前記活性領域と前記電極との界面で又はii)前記活性領域内でドーパントを形成させることを含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載された電気的に作動するデバイスを形成する方法。
【0085】
項目14:前記電極の第1の表面上に、ドーパント導入剤の層を構築することをさらに含み、前記非帯電ドーパントを拡散させること又は前記ドーパント導入剤を反応させることが、
前記ドーパント導入剤層及び前記少なくとも1つの電極をアニールし、それにより、少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤を、前記少なくとも1つの電極の反対側の第2の表面へ前記ドーパント導入剤層内で拡散させること、並びに
前記少なくとも1つの電極の前記第2の表面上に活性領域を堆積させ、それにより、前記活性領域の一部分が、前記第2の表面上で、少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤と反応することにより達成され、
前記アニールが、堆積前、堆積中又は堆積後に行われる、項目13に記載された方法。
【0086】
項目15:前記電極の第1の表面上でドーパント導入剤層を構築することをさらに含み、
前記非帯電ドーパントを拡散させること又は前記ドーパント導入剤を反応させることが、前記少なくとも1つの電極の反対側の第2の表面上に前記活性領域を熱堆積させ、それにより、前記ドーパント導入剤層内の少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤が、前記少なくとも1つの電極の前記第2の表面に拡散し、前記活性領域の前記一部分と反応することによって達成される、項目13に記載された方法。
【0087】
項目16:前記非帯電ドーパントを拡散させること又は前記ドーパント導入剤を反応させることが、
前記ドーパント導入剤の薄層を前記電極の表面上に堆積させ、
前記活性領域を薄いドーパント導入剤層上に堆積させ、それにより、前記活性領域の前記一部分が、前記薄いドーパント導入剤層内の前記ドーパント導入剤と反応することによって達成される、項目13に記載された方法。
【0088】
項目17:前記活性領域に隣接し且つ前記電極とは反対側の他の電極を構築することをさらに含む、項目13〜16のいずれか1項に記載された方法。
【0089】
項目18:電気的に作動するデバイスにおけるドーパントの形成を制御する方法であって、
ドーパント導入剤又は非帯電ドーパントの規定濃度を選択し、
規定量の前記ドーパント導入剤又は前記非帯電ドーパントを、拡散又は堆積によって、電極と当該電極に隣接する活性領域との界面で局在化させることを含み、
前記ドーパント導入剤が、前記活性領域の一部分と反応してドーパントを形成するか、又は前記非帯電ドーパントが前記ドーパントとなる、方法。
【0090】
項目19:前記局在化させることが、前記電極に隣接するドーパント導入剤層からの前記ドーパント導入剤の拡散により、又は前記電極に隣接する非帯電ドーパント層からの前記非帯電ドーパントの拡散により達成され、
当該方法が、
前記電極の厚みを調節すること、
前記電極の粒度を調節すること、
前記拡散を行う温度を調節すること、
前記拡散を行う時間の長さを調節すること、又は
前記ドーパント導入剤層又は前記非帯電ドーパント層の厚みを調節すること
の少なくとも1つによって、前記拡散を制御することをさらに含む、項目18に記載された方法。
【0091】
項目20:前記拡散によって、前記界面で規定の特性を構成することをさらに含む、項目18又は19に記載された方法。
【0092】
以上、いくつかの態様を詳細に説明したが、当該開示の態様を変更できることは当業者には明かであろう。よって、上記の記載は、限定的なものではなく、例示的なものと認識されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、
第2の電極、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に堆積させた活性領域、並びに
i)前記第1の電極と前記活性領域との界面、又はii)前記第2の電極と前記活性領域との界面、又はiii)前記活性領域と第1及び第2の電極のそれぞれとの界面で局在化された、少なくとも1つのドーパント導入剤又はドーパントを備えている、電気的に作動するデバイス。
【請求項2】
少なくとも前記ドーパント導入剤が前記界面で局在化されており、前記ドーパント導入剤が、前記活性領域の一部分と化学的に反応して、i)ドーパントを前記界面で、又はii)ドーパントを活性領域内で形成するように構成されている、請求項1に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項3】
前記ドーパントが、帯電した空孔、アニオン又はカチオンから選択される移動性のドーパントである、請求項2に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項4】
前記ドーパントが、前記界面で局在化された非連続のクラスターである、請求項2に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項5】
前記ドーパントが、前記活性領域内に形成されたチャネル内にある、請求項2に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項6】
i)前記活性領域と反対側の表面で第1の電極に隣接して、又はii)前記活性領域と反対側の表面で第2の電極に隣接して、又はiii)前記活性領域と反対側の表面で前記第1及び第2の電極それぞれに隣接して構築されたドーパント導入剤層、並びに
前記ドーパント導入剤層から拡散された、i)前記第1の電極、又はii)前記第2の電極、又はiii)前記第1及び第2の電極の結晶粒界内に存在する少なくともいくつかのドーパント導入剤
をさらに備えている、請求項1に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項7】
少なくとも前記ドーパント導入剤が前記界面で局在化されており、前記ドーパント導入剤が、前記活性領域の一部分と反応して、i)ドーパントを前記界面で、又はii)ドーパントを前記活性領域内で形成するように構成されている、請求項6に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項8】
前記ドーパントが、前記界面で局在化された非連続のクラスターであるか、又は前記ドーパントが、前記活性領域内に形成されたチャネル内にある、請求項7に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項9】
前記ドーパントが前記界面において局在化されており、前記ドーパントが非帯電ドーパントであり、前記デバイスが、
i)前記活性領域と反対側の表面で前記第1の電極に隣接して、又はii)前記活性領域と反対側の表面で前記第2の電極に隣接して、又はiii)前記活性領域と反対側の表面で前記第1及び第2の電極それぞれに隣接して構築されている非帯電ドーパントの層、並びに
前記非帯電ドーパント層から拡散された、i)前記第1の電極、又はii)前記第2の電極、又はii)前記第1及び第2の電極の結晶粒界に存在する、少なくともいくつかの前記非帯電ドーパントをさらに備えている、請求項1に記載の電気的に作動するデバイス。
【請求項10】
電気的に作動するデバイスを形成する方法であって、
電極を提供し、
i)非帯電ドーパントを、前記電極とそれに隣接する活性領域との界面へと拡散させるか、又はii)ドーパント導入剤を、前記電極に隣接する活性領域の一部分と反応させて、ドーパントをi)前記活性領域と前記電極との境界で又はii)前記活性領域内で形成することを含む、方法。
【請求項11】
前記電極の第1の表面上にドーパント導入剤の層を構築することをさらに含み、
前記非帯電ドーパントを拡散させること又は前記ドーパント導入剤を反応させることを、
前記ドーパント導入剤層及び前記少なくとも1つの電極をアニールし、それにより、前記ドーパント導入剤層内の少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤を、前記少なくとも1つの電極の反対側の第2の表面へと拡散させ、
前記活性領域を、前記少なくとも1つの電極の第2の表面上に堆積させ、それにより、前記活性領域の前記一部分が、少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤と前記第2の表面で反応することを含み、
前記アニールが、堆積前、堆積中又は堆積後に行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電極の第1の表面上にドーパント導入剤層を構築することをさらに含み、
前記非帯電ドーパントを拡散させること又は前記ドーパント導入剤を反応させることを、前記少なくとも1つの電極の反対側の第2の表面上に活性領域を熱堆積させることによって達成し、それにより、前記ドーパント導入剤層内の少なくともいくつかの前記ドーパント導入剤が、前記少なくとも1つの電極の第2の表面へ拡散し、前記活性領域の一部分と反応する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
電気的に作動するデバイスにおけるドーパントの形成を制御する方法であって、
ドーパント導入剤又は非帯電ドーパントの規定濃度を選択し、
規定量のドーパント導入剤又は非帯電ドーパントを、拡散又は堆積によって、電極と当該電極に隣接する活性領域との界面で局在化し、前記ドーパント導入剤が、前記活性領域の一部分と反応してドーパントを形成するか、又は前記非帯電ドーパントが前記ドーパントである、方法。
【請求項14】
前記局在化が、前記電極に隣接する前記ドーパント導入剤層からの前記ドーパント導入剤の拡散によって、又は前記電極に隣接する前記非帯電ドーパント層からの前記非帯電ドーパントの拡散によって行われ、
前記電極の厚みの調節、
前記電極の粒度の調節、
前記拡散を行う温度の調節、
前記拡散を行う時間の長さの調節、又は
前記ドーパント導入剤層又は前記非帯電ドーパント層の厚みの調節
の少なくとも1つによって拡散を制御することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記拡散を制御することによって前記界面で規定の特性を構成することをさらに含む、請求項14に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2012−507856(P2012−507856A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534468(P2011−534468)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2008/081567
【国際公開番号】WO2010/050937
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511076424)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (155)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
【Fターム(参考)】