説明

電気自動車

【課題】アクセルオフに伴って車両に制動力を付与するときに、バッテリが所定蓄電割合を超えて充電される状態が継続するのを抑制する。
【解決手段】アクセルオフに伴って車両に制動力を付与するとき、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上となると共に蓄電割合SOCの時間変化率kが値0を超えているときには(S100)、要求トルクTr*からモータ駆動トルクTmref(正の値)を減じたものをブレーキトルクTb*に設定して、設定したブレーキトルクTb*(制動力)が電気自動車に付与されるように油圧ブレーキ装置を制御し(S110)、その後、トルク指令Tm*にモータ駆動トルクTmrefを設定すると共に設定したトルク指令Tm*でモータが駆動するようインバータやバッテリの電圧を昇圧する昇圧コンバータを制御する(S120)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車に関し、詳しくは、走行用の動力を入出力する電動機と、電動機と電力のやりとりが可能なバッテリと、車両に制動力を付与するブレーキ装置と、を備える電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気自動車としては、走行用の動力を出力するEVモータと、EVモータと電力のやりとりを行なうバッテリとが搭載された車両において、車両が減速中にEVモータを回生運転することによりバッテリを充電するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車では、バッテリ残量が所定の判定値以上のときにはEVモータが回生制御されないようEVモータを制御することにより、バッテリ残量が所定残量を超えて充電されるのを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−369305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の電気自動車では、EVモータが回生制御されないようEVモータを制御している場合でも、実際にはEVモータが回生制御されてバッテリが充電される場合がある。例えば、EVモータでバッテリを充電する電力が値0になるようEVモータを制御する場合には、電流センサの誤差などにより実際にはEVモータが回生制御されてしまい、バッテリが充電される場合がある。このようにバッテリ残量が所定の判定値以上であるにも拘わらずバッテリが充電されると、バッテリの劣化が促進されてしまう。
【0005】
本発明の電気自動車は、アクセルオフに伴って車両に制動力を付与するときに、バッテリが所定蓄電割合を超えて充電される状態が継続するのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電気自動車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の電気自動車は、
走行用の動力を入出力する電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能なバッテリと、車両に制動力を付与するブレーキ装置と、を備える電気自動車において、
アクセルオフのとき、前記バッテリの全容量に対する蓄電されている容量の割合である蓄電割合が予め定められた所定割合未満であるときには前記ブレーキ装置による制動力を用いずに前記電動機の回生駆動による制動力を用いて車両に要求される要求制動力が車両に付与されるよう前記電動機と前記ブレーキ装置とを制御し、前記蓄電割合が前記所定割合以上であるときには前記電動機の力行駆動による電力の消費を伴って前記ブレーキ装置による制動力を用いて前記要求制動力が車両に付与されるよう前記電動機と前記ブレーキ装置とを制御する制御手段、
を備えることを特徴とする。
【0008】
この本発明の電気自動車では、アクセルオフのとき、バッテリの全容量に対する蓄電されている容量の割合である蓄電割合が予め定められた所定割合未満であるときにはブレーキ装置による制動力を用いずに電動機の回生駆動による制動力を用いて車両に要求される要求制動力が車両に付与されるよう電動機とブレーキ装置とを制御する。これにより、電動機の回生駆動による制動力を用いて車両に制動力を付与することができる。そして、蓄電割合が所定割合以上であるときには電動機の力行駆動による電力の消費を伴ってブレーキ装置による制動力を用いて要求制動力が車両に付与されるよう電動機とブレーキ装置とを制御する。これにより、アクセルオフに伴って車両に制動力を付与しながら、バッテリが所定割合以上に充電される状態が継続するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【図2】モータ32やインバータ34を中心とした電機駆動系の構成図である。
【図3】電子制御ユニット50により実行される高SOC充電時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【図4】蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ時間変化率kが値0を超えたときにおける蓄電割合SOC,ブレーキトルクTb*の絶対値(図中ブレーキトルク|Tb*|),トルク指令Tm*の時間変化の一例を示す説明図である。
【図5】変形例の高SOC充電時制御ルーチンの一例を示す説明図である。
【図6】変形例の高SOC充電時制御ルーチンにおける蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ充放電電流IBが値0未満になったときの蓄電割合SOC,充放電電流IB,ブレーキトルクTb*の絶対値(図中ブレーキトルク|Tb*|),トルク指令Tm*の時間変化の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例としての電気自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電気自動車20は、図示するように、例えば同期発電電動機として構成されて駆動輪26a,26bにデファレンシャルギヤ24を介して接続された駆動軸22に動力を入出力可能なモータ32と、モータ32を駆動するためのインバータ34と、リチウムイオン二次電池として構成されたバッテリ36と、インバータ34が接続された電力ライン(以下、高電圧系電力ラインという)42とバッテリ36が接続された電力ライン(以下、電池電圧系電力ラインという)44とに接続されて高電圧系電力ライン42の電圧VHを電池電圧系電力ライン44の電圧VL以上かつ最大許容電圧VHmax以下の範囲内で調節すると共に高電圧系電力ライン42と電池電圧系電力ライン44との間で電力のやりとりを行なう昇圧コンバータ40と、ブレーキペダル65の踏み込みに応じて油圧を発生させるハイドロブースタ92と駆動輪26a,26b,従動輪27a,27bに取り付けられたブレーキホイールシリンダ28a,28b,29a,29bへの油圧を調整するブレーキアクチュエータ94とを有する油圧ブレーキ装置90と、イグニッションスイッチ60からのイグニッション信号やシフトレバー61のポジションを検出するシフトポジションセンサ62からのシフトポジション,アクセルペダル63の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル65の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ66からのブレーキポジションBP,車速センサ68からの車速Vを入力すると共にインバータ34や昇圧コンバータ40,ブレーキアクチュエータ94とを制御する電子制御ユニット50と、を備える。ここで、最大許容電圧VHmaxは、後述のコンデンサ46の耐圧以下の電圧として予め定められたものを用いることができる。なお、電子制御ユニット50は、バッテリ36を管理するために、図示しない電流センサにより検出された充放電電流IB(バッテリ36を充電する方向の電流が負の値)の積算値に基づいてバッテリ36の全容量に対する蓄電されている容量の割合である蓄電割合SOCを演算したり、ある一定時間毎にその時間における蓄電割合SOCの時間変化率kを演算している。さらに、電子制御ユニット50は、運転者がブレーキペダル65を踏み込んだときに駆動輪29a,29bや従動輪27a,27bのいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル63を踏み込んだときに駆動輪26a,26bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。
【0012】
昇圧コンバータ40は、図2に示すように、2つのトランジスタT1,T2とトランジスタT1,T2に逆方向に並列接続された2つのダイオードD1,D2とリアクトルLとから構成されている。2つのトランジスタT1,T2は、それぞれ高電圧系電力ライン42の正極母線と高電圧系電力ライン42および電池電圧系電力ライン44の負極母線とに接続されており、2つのトランジスタT1,T2の接続点にリアクトルLが接続されている。また、リアクトルLに接続された電池電圧系電力ラインの44の正極母線と高電圧系電力ライン42および電池電圧系電力ライン44の負極母線とにはそれぞれバッテリ36の正極端子と負極端子とが接続されている。したがって、トランジスタT1,T2をオンオフ制御することにより、電池電圧系電力ライン44の電力を昇圧して高電圧系電力ライン42に供給したり、高電圧系電力ライン42の電力を降圧して電池電圧系電力ライン44に供給したりすることができる。高電圧系電力ライン42の正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ46が接続されており、電池電圧系電力ライン44の正極母線と負極母線とには平滑用のコンデンサ48が接続されている。
【0013】
こうして構成された実施例の電気自動車20では、基本的には、電子制御ユニット50によって実行される以下に説明する通常の駆動制御によって走行する。電子制御ユニット50では、まず、アクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度Accと車速センサ68からの車速Vとに応じて駆動軸22に出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*をモータ32から出力すべきトルク指令Tm*として設定し、設定したトルク指令Tm*と回転数Nmとからなる動作点でモータ32を駆動するのに必要な電圧を高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*として設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34のスイッチング素子をスイッチング制御すると共に高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧コンバータ40のトランジスタT1,T2をスイッチング制御する。実施例の電気自動車20は、こうした制御により、要求トルクTr*により走行することができる。
【0014】
また、実施例の電気自動車20では、ブレーキペダル65が踏み込まれたときには、電子制御ユニット50により以下に説明するブレーキ制御が実行される。電子制御ユニット50では、ブレーキペダル65が踏み込まれたときには、ブレーキペダル65の踏み込み力(ブレーキ踏力)に対して油圧ブレーキにより車両に付与すべき制動力を図示しないマップから導出し、導出した制動力が付与されるように、ブレーキアクチュエータ94を制御することにより各ブレーキホイールシリンダ28a,28b,29a,29bの油圧を調節する。実施例の電気自動車20では、こうした制御により、ブレーキ踏力に応じた制動力を車両に付与することができる。
【0015】
次に、実施例の電気自動車20の動作、特に、アクセルペダルがオフされてアクセルペダルポジションセンサ64からのアクセル開度が0%であるときに、要求トルクTr*が値0より小さく車両に制動力を付与する制動トルクになるアクセルオフ制動時の動作について説明する。まず、電子制御ユニット50では、バッテリ36の蓄電割合SOCとバッテリ36が満充電であるときの蓄電割合SOCより若干低い蓄電割合である所定割合SOCref(例えば、80%など)とを比較する。蓄電割合SOCが所定割合SOCref未満であるときには、バッテリ36を充電しても差し支えないと判断して、要求トルクTr*をモータ32から出力すべきトルク指令Tm*として設定し、設定したトルク指令Tm*と回転数Nmとから通常の駆動制御と同様の処理で高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*として設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34を制御すると共に高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧コンバータ40を制御する。今、要求トルクTr*が制動トルクである場合を考えているから、モータ32は回生駆動されて、車両には制動力を付与することになる。なお、このとき、電子制御ユニット50は、ブレーキペダル65が踏み込まれていないときには、油圧ブレーキ装置90による制動力が駆動輪26a,26b,従動輪27a,27bに付与されないよう各ブレーキホイールシリンダ28a,28b,29a,29bの油圧を制御する。こうした制御により、油圧ブレーキ装置90による制動力を用いずにモータ32の回生駆動による制動力により車両に制動力を付与することができる。
【0016】
蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であるときには、これ以上バッテリ36を充電すべきではないと判断して、トルク指令Tm*に値0を設定すると共に設定したトルク指令Tm*と回転数Nmとを用いて通常の駆動制御と同様の処理で高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*として設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34を制御すると共に高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧コンバータ40を制御する。このように、モータ32からトルクが出力されないようモータ32を制御することにより、バッテリ36が充電されるのを抑制することができる。
【0017】
蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上となってモータ32からのトルクが値0になるようモータ32の制御を開始すると、電子制御ユニット50では、以下に説明する高SOC充電時制御が実行される。図3は、電子制御ユニット50により所定時間毎に繰り返し実行される高SOC時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。まず、電子制御ユニット50は、時間変化率kが値0を超えているか否かを調べる処理を実行し(ステップS100)、時間変化率kが値0を超えていないとき、すなわち、バッテリ36の蓄電割合SOCが上昇していないときには、継続してモータ32からのトルクが値0になるようモータ32を制御しても差し支えないと判断して、トルク指令Tm*に値0を設定すると共に設定したトルク指令Tm*と回転数Nmとを用いて通常の駆動制御と同様の処理で高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*として設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34を制御すると共に高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧コンバータ40を制御して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。このように、モータ32からトルクが出力されないようモータ32を制御することにより、バッテリ36が充電されるのを抑制することができる。
【0018】
蓄電割合SOCの時間変化率kが値0を超えているとき(ステップS100)、すなわち、モータ32からトルクが値0になるようモータ32を制御しているにも拘わらず、何らかの要因、例えば、モータ32を制御する際にモータ32の相電流を検出する電流センサなど誤差によって実際にはモータ32が回生駆動されているときには、要求トルクTr*からアクセルオフ時にモータ32を力行駆動する際にモータ32から出力すべきモータ駆動トルクTmref(正の値)を減じたものをブレーキトルクTb*に設定して、設定したブレーキトルクTb*(制動力)が電気自動車20に付与されるようにブレーキアクチュエータ94を制御し(ステップS110)、その後、トルク指令Tm*にモータ駆動トルクTmrefを設定すると共に設定したトルク指令Tm*と回転数Nmとを用いて通常の駆動制御と同様の処理で高電圧系電力ライン42の目標電圧VH*として設定し、設定したトルク指令Tm*でモータ32が駆動されるようインバータ34を制御すると共に高電圧系電力ライン42の電圧VHが目標電圧VH*となるよう昇圧コンバータ40を制御して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。ステップS110,S120の処理では、モータ駆動トルクTmrefを時間の経過と共に大きくなっていくトルクであるものとした。こうした制御により、モータ32を力行駆動してモータ32で電力が消費しながら油圧ブレーキ装置90による制動力を用いて要求トルクTr*を車両に付与することができる。なお、ステップS110,S120の処理において、油圧ブレーキ装置90を制御した後にモータ32を制御するのは、油圧ブレーキ装置90の制御の応答性がモータ32に比して悪いためである。
【0019】
蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ時間変化率kが値0を超えたときにおける蓄電割合SOC,ブレーキトルクTb*の絶対値(図中ブレーキトルク|Tb*|),トルク指令Tm*の時間変化の一例を図4に示す。蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ時間変化率kが値0を超えていると、図示するように、モータ32が力行駆動されてモータ32で電力が消費されて蓄電割合SOCが減少に転じる。このように、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ時間変化率kが値0を超えているときには、モータ32を力行駆動することにより蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上の状態が継続してバッテリ36が劣化するのを抑制することができる。
【0020】
以上説明した実施例の電気自動車20によれば、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であるときには、モータ32が力行駆動されてモータ32で電力が消費しながら油圧ブレーキ装置90による制動力を用いて要求トルクTr*が車両に付与するようモータ32と油圧ブレーキ装置90を制御するから、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上の状態が継続してバッテリ36が劣化するのを抑制することができる。
【0021】
実施例の電気自動車20では、ステップS100の処理で、蓄電割合SOCの時間変化率kが値0より大きいか否かを調べるものとしたが、図5の変形例の高SOC充電時制御ルーチンに例示するように、バッテリ36を管理するために電流センサにより検出された充放電電流IBが値0より小さいか否か、即ち、バッテリ36が充電されているか否かを調べるものとしてもよい(ステップS100B)。この場合において蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であり且つ充放電電流IBが値0未満になったときの蓄電割合SOC,充放電電流IB,ブレーキトルクTb*の絶対値(図中ブレーキトルク|Tb*|),トルク指令Tm*の時間変化の一例を図6に示す。
【0022】
実施例の電気自動車20では、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であるときにはモータ32からの電力が値0になるようモータ32を制御し、こうしてモータ32を制御している最中に時間変化率kが値0を超えているときにはモータ32が力行駆動されてモータ32で電力が消費しながら油圧ブレーキ装置90による制動力を用いて要求トルクTr*が車両に付与するようモータ32と油圧ブレーキ装置90を制御するものとしたが、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上であるときには、直ちにモータ32を力行駆動してモータ32で電力を消費しながら油圧ブレーキ装置90による制動力を用いて要求トルクTr*が車両に付与するようモータ32と油圧ブレーキ装置90を制御するものとしてもよい。
【0023】
実施例では、走行用の動力源としてモータを搭載する電気自動車に適用するものとしたが、走行用の動力源としてのエンジンとモータとを搭載したハイブリッド自動車に適用するものとしても構わない。
【0024】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、モータ32が「電動機」に相当し、バッテリ36が「バッテリ」に相当し、油圧ブレーキ装置90が「ブレーキ装置」に相当し、蓄電割合SOCが所定割合SOCref未満であるときには、モータ32の回生駆動による制動力を用いて要求トルクTr*が車両に付与するようモータ32と油圧ブレーキ装置90とを制御し、蓄電割合SOCが所定割合SOCref以上のときには、モータ32を力行駆動してモータ32で電力が消費しながら油圧ブレーキ装置90による制動力を用いて要求トルクTr*が車両に付与するようモータ32と油圧ブレーキ装置90とを制御する電子制御ユニット50が「制御手段」に相当する。
【0025】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0026】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、電気自動車の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 電気自動車、22 駆動軸、24 デファレンシャルギヤ、26 バッテリ、26a,26b 駆動輪、27a,27b 従動輪、28a,28b,29a,29b ブレーキホイールシリンダ、32 モータ、32a 回転位置検出センサ、34 インバータ、36 バッテリ、40 昇圧コンバータ、42 高電圧系電力ライン、44 電池電圧系電力ライン、46,48 コンデンサ、50 電子制御ユニット、52 CPU、54 ROM、56 RAM、60 イグニッションスイッチ、61 シフトレバー、62 シフトポジションセンサ、63 アクセルペダル、64 アクセルペダルポジションセンサ、65 ブレーキペダル、66 ブレーキペダルポジションセンサ、68 車速センサ、90 油圧ブレーキ装置、92 ハイドロブースタ、94 ブレーキアクチュエータ、D1,D2 ダイオード、L リアクトル、T1,T2 トランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の動力を入出力する電動機と、前記電動機と電力のやりとりが可能なバッテリと、車両に制動力を付与するブレーキ装置と、を備える電気自動車において、
アクセルオフのとき、前記バッテリの全容量に対する蓄電されている容量の割合である蓄電割合が予め定められた所定割合未満であるときには前記ブレーキ装置による制動力を用いずに前記電動機の回生駆動による制動力を用いて車両に要求される要求制動力が車両に付与されるよう前記電動機と前記ブレーキ装置とを制御し、前記蓄電割合が前記所定割合以上であるときには前記電動機の力行駆動による電力の消費を伴って前記ブレーキ装置による制動力を用いて前記要求制動力が車両に付与されるよう前記電動機と前記ブレーキ装置とを制御する制御手段、
を備えることを特徴とする電気自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−114998(P2012−114998A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260214(P2010−260214)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】