説明

電源ユニットおよび画像形成装置

【課題】 当該電源ユニットを収納したケーシングの蓋を開けることなく内部観察をすることができ、また、ケーシング蓋を開いた場合においても、部品の破損や発火事故、および感電事故が防止できる電源ユニット、および該電源ユニットを使用した画像形成装置を提供する。
【解決手段】 開閉可能な蓋を備えたケーシングに収納してなる電源ユニットであって、前記蓋(ケーシング蓋412)またはケーシング(411)に、内部視認用の窓(412a)を設けた構成としてある。このようにすれば、窓412aを介して電源ユニット400の内部を、一目で視認(確認)することが可能となり、例えば、故障時にサービス従事者がケーシング蓋412を開けること無く、故障対策を速やかに判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源ユニットおよび画像形成装置に関し、特に、当該電源ユニットを収納したケーシングの蓋を開かずに内部観察をすることができ、また、ケーシング蓋を開いた場合においても、部品の破損や発火事故、および感電事故を防止した電源ユニット、および該電源ユニットを使用した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた複写機、プリンター、ファクシミリ装置は、普通紙やOHP等の記録媒体上に、画像を形成する画像形成工程を有する。画像形成工程においては、高速性、画像品質及びコスト等の面で優れている電子写真方式が広く採用されている。
【0003】
電子写真方式では、紙やOHP等の記録媒体上に未定着トナー像を形成する工程と、熱と圧力でトナー像を固定する定着工程とがある。定着工程では、高速性、安全性等の面からヒートローラ方式を用いた定着装置が現在最も多く採用されている。
【0004】
ヒートローラ方式とは、ハロゲンヒータなどの発熱部材により加熱される加熱ローラ(定着ローラ)と、これに対向配置される加圧ローラとを圧接してニップ部と呼ばれる相互圧接部を形成し、両ローラ間にシートを通過させて加熱する方式である。
【0005】
加熱ローラでは、主に鉄やアルミなどの金属ローラを使用しており熱容量が大きい。このため、使用可能温度である約180°C前後まで昇温するには、数分から十数分の長い立上時間が必要であるという欠点があった。
【0006】
そこで、複写機などの機器では使用者がプリントを行わない待機時にも、加熱ローラに電力を供給して温度を使用可能温度よりやや低い予熱温度に保ち、すぐに使用可能温度まで立ち上がるようにし、使用者が定着ローラの温度上昇を待つ時間を減らしている。この方法では、機器を使用していない待機時にもエネルギーが消費される。なお、この待機時消費エネルギーは、機器の消費エネルギーの約7〜8割に昇るという調査結果がある。
【0007】
一方、近年、環境保護意識の高まりから各国で省エネ規制が制定されている。省電力化を図る上では、割合の大きい待機時消費エネルギーを削減すると効果が大きいため、未使用時には電力供給をゼロにすることが望ましい。
【0008】
従来の構成で待機時の電力をゼロにすると、再使用時には定着ローラの昇温時間がかかるので待ち時間が長くなり、使用者の使い勝手が悪化してしまう。このため、速やかに加熱ローラ温度を上昇させる構成が必要とされている。
【0009】
加熱ローラの昇温時間を短くするためには、単位時間の投入エネルギー、すなわち定格電力を大きくすると良い。実際に、プリント速度の速い高速機には、電源電圧を200Vにして対応している機種もある。
しかし、日本国内の一般的なオフィスでは、電源は100V、15Aが一般的で1500Wが上限であり、200Vに対応させるには、設置場所の電源関連に特別な工事を施す必要があり、一般的な解決法とはいえない。
【0010】
これに対して、充電可能な補助電源として二次電池を使用する提案がある(例えば、特許文献1)。この特許文献1では、装置のスタンバイ状態において補助電源である二次電池を充電し、装置のウオームアップ時に主電源のほかに二次電池を用いることにより、大電力を供給できるようにしている。この二次電池としては、鉛蓄電池及びカドニカ電池が代表的である。
【0011】
しかし、二次電池は充放電を何回も繰り返すと、電池が劣化して容量が低下していき、大電流で放電するほど寿命が短くなるという性質を持つ。一般的に大電流で長寿命とされているカドニカ電池でも、充放電の繰り返し回数は約500〜1000回程度であり、一日に20回の充放電を繰り返すと一ヶ月程度で電池の寿命が来てしまうことになる。
【0012】
このため、電池交換の手間がかかり電池代などのランニングコストも非常に高くつく事になってしまう。さらに、鉛蓄電池では液体の硫酸を使用するなどオフィス用機器としては好ましくないなど、実用上は実現が困難であった。
【0013】
この二次電池を用いた場合の問題点を解決するため、電気二重層キャパシタなどの大容量キャパシタを補助電源として用いた技術が提案されている(例えば、特許文献2)。大容量コンデンサは、充放電の繰り返し回数が10000回以上でほぼ無制限であり、充電特性の劣化がほとんどなく定期的なメンテナンスが不要である。
【0014】
また、電気二重層キャパシタでは数十から数百アンペアの大電流を流すことが可能であるため、短時間での電力供給が可能である。このような大容量キャパシタを補助電源として用いると、定着器の立ち上がりの数秒から数十秒の短時間に商用電源の電力の限界を超える電力を供給することができるため、立ち上がり時間の短い定着器を信頼性と耐久性が高く実現することができる。
【0015】
【特許文献1】特開平10-282821号公報
【特許文献2】特開2002-278355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ところで、前述のように、大容量キャパシタを補助電源として用いた場合であっても、この補助電源が故障を起こすことが考えられる。故障の場合には、補助電源を交換する必要があるのか、その場合での修理が可能であるのかの判断を速やかに行わなければならない。
【0017】
しかしながら、補助電源が頑丈なケーシングに収納され、そのケーシングが特殊な締結用治具によって締結されている場合には、ケーシングを開くのが容易でないので、前述の速やかな判断をすることができない。
また、ケーシングに収納された補助電源からは、画像形成装置本体に給電するための配線がなされているが、この配線に、工具や人体が触れてしまうことにより、部品の破損や発火事故、および扱う補助電源の仕様によっては感電事故が発生するおそれがある。
【0018】
本発明は上記の問題を解決すべくなされたものであり、当該電源ユニットを収納したケーシングの蓋を開かずに内部観察をすることができ、また、ケーシング蓋を開いた場合においても、部品の破損や発火事故、および感電事故を防止した電源ユニット、および該電源ユニットを使用した画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的を達成するために請求項1記載の発明は、開閉可能な蓋を備えたケーシングに収納してなる電源ユニットであって、
前記蓋(図2のケーシング蓋412)またはケーシング(図3のケーシング411)に、内部視認用の窓(412a)を設けた構成としてある。
【0020】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の電源ユニット(400)において、
当該電源ユニットは、少なくとも充放電可能な補助電源(図3〜図5の大容量キャパシタ421)と充電器(431)と充放電の切り替えを行う充放電切替手段(充放電切替器432)とを、前記ケーシングに収納してなる構成としてある。
【0021】
請求項1または請求項2の構成を図示すると、例えば図2に示すようになる。このようにすれば、窓412aを介して電源ユニット400の内部を、一目で視認(確認)することが可能となり、例えば、故障時にサービス従事者がケーシング蓋412を開けること無く、故障対策を速やかに判断できる。
【0022】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の電源ユニットにおいて、
前記内部視認用の窓に、内部視認可能な窓部材(例えば、透明なガラス)を取り付けた構成としてある。
【0023】
このようにすれば、窓部材(例えば、透明ガラス)を設けたので、大きな窓412aとすることができ、電源ユニット内部の広い範囲を視認できる。
【0024】
また、請求項4記載の発明は、請求項1または請求項2記載の電源ユニットにおいて、前記内部視認用の窓は、貫通孔(図示省略)である構成としてある。
この場合は、例えばサービス従事者の指やサービス工具(例えば、ドライバー)が入らないような小さな貫通孔とすれば、感電や発火を防止することができ、また透明ガラス等の窓部材が不要となるので、コストダウンに寄与する。
【0025】
また、請求項5記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電源ユニットにおいて、
前記ケーシング(図4の411)に、前記蓋(ケーシング蓋412)の開閉に連動して接点がオン・オフするスイッチ(インターロックスイッチ442)を取り付け、前記蓋を開いた場合には、前記補助電源(大容量キャパシタ421)と充放電切替手段(充放電切替器432)との間を電気的に切断するようにした構成としてある。
【0026】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の電源ユニットにおいて、少なくとも前記補助電源と、該補助電源から前記充放電切替手段までの配線と、前記スイッチとを、遮蔽した構成としてある。
【0027】
請求項5または請求項6の構成とすれば、故障時に、例えばサービス従事者がケーシング蓋412を開いた場合でも、大容量キャパシタ421からは電力供給がされないので、工具等の接触により部品の破損や発火、およびサービス従事者が感電することがない。従って、サービス従事者は、安心して故障修理等の作業に集中できる。
【0028】
また、請求項7記載の発明は、請求項2〜請求項6のいずれかに記載の電源ユニットにおいて、前記補助電源は、キャパシタである構成としてある。
【0029】
このようにすれば、電気二重層キャパシタなどのキャパシタは、充放電の繰り返し回数が10000回以上でほぼ無制限であり、充電特性の劣化がほとんどなく定期的なメンテナンスが不要である。
また、電気二重層キャパシタでは、数十から数百アンペアの大電流を流すことが可能であるため、短時間での電力供給が可能である。
【0030】
また、請求項8記載の発明は、定着装置が、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電源ユニットを、電源の少なくとも一部とする構成としてある。
以上の構成を図示すると、例えば図5に示すようになる。このようにすれば、定着装置を短時間のうちに転写可能温度に上昇させることができ、しかも電源ユニットの定期的なメンテナンスが不要となる。
【0031】
また、請求項9記載の発明は、画像形成装置が、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電源ユニットを、電源の少なくとも一部とする構成としてある。
以上の構成を図示すると、例えば図1に示すようになる。このようにすれば、画像形成装置の定着装置を短時間のうちに転写可能温度に上昇させることができ、しかも電源ユニットの定期的なメンテナンスが不要となる。
【発明の効果】
【0032】
請求項1および請求項2記載の発明によれば、内部視認用の窓を介して電源ユニットの内部を、一目で視認(確認)することが可能となり、例えば、故障時にサービス従事者が蓋を開けること無く、故障対策を速やかに判断できる。
請求項3記載の発明によれば、内部視認用の窓に窓部材(例えば、透明ガラス)を設けたので、大きな窓とすることができ、電源ユニット内部の広い範囲を視認できる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、例えばサービス従事者の指やサービス工具(例えば、ドライバー)が入らないような小さな貫通孔とすれば、工具等の接触により部品の破損や発火、およびサービス従事者が感電することがない。また、透明ガラス等の窓部材が不要となるので、コストダウンに寄与する。
【0034】
請求項5または請求項6記載の発明によれば、故障時に、サービス従事者等がケーシング蓋を開いた場合でも、補助電源からは電力供給がされないので、工具等の接触により部品の破損や発火、およびサービス従事者が感電することがない。従って、サービス従事者は、安心して故障修理等の作業に集中できる。
【0035】
請求項7記載の発明によれば、電気二重層キャパシタなどのキャパシタは、充放電の繰り返し回数が10000回以上でほぼ無制限であり、充電特性の劣化がほとんどなく定期的なメンテナンスが不要である。また、電気二重層キャパシタでは数十から数百アンペアの大電流を流すことが可能であるため、短時間での電力供給が可能である。
【0036】
請求項8または請求項9に記載の発明によれば、画像形成装置や定着装置を短時間のうちに定着可能温度に上昇させることができ、しかも電源ユニットの定期的なメンテナンスが不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の「電源ユニットおよび画像形成装置」を図示の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の側断面図、図2は、同画像形成装置を構成する電源ユニットの斜視図、図3は、同電源ユニットを構成するケーシング蓋を開いた状態の斜視図、図4は、同ケーシング蓋を開いた状態の電源ユニットを示す図であって、(A)はA−Aに沿う断面図、(B)は正面図である。
【0038】
図1に示すように、画像形成装置GKは、装置本体100と、操作パネル200と、ADF(自動原稿給送装置)300と、補助電源としての電源ユニット400を収納する電源ユニット収納箱400Aとを備えてなる。
【0039】
装置本体100は、原稿走査部110と、画像形成処理部120と、給紙バンク140とを備えてなる。
原稿走査部110は、ADF300により自動搬送される原稿(図示省略)を読み取る光学装置111を備えてなる。301は、ADF300の原稿排紙台である。
【0040】
画像形成処理部120は、静電潜像を形成する感光体ドラム121と、感光体ドラム121を帯電させる帯電装置122と、前記光学装置111で読み取った原稿を、光学的手段により感光体ドラム121に書き込む書き込み装置123と、感光体ドラム上の静電潜像をトナーにより現像する現像装置124と、現像された感光体ドラム上の顕像を用紙に転写する転写装置125とを備える。
【0041】
更に、画像形成処理部120は、転写終了後の感光体ドラム121をクリーニングするクリーニング装置126と、給紙バンク140から搬送されてきた用紙を転写装置125に送り込むレジストローラ127と、用紙に転写された原稿画像を定着する定着装置128と、用紙の表裏両面に転写するように用紙を反転させる両面反転装置131と、転写済みの用紙を外部に排出するか、両面反転装置131へ搬送するかを切り換える搬送切換部132とを備える。
【0042】
給紙バンク140は、A4等の消費量の多い用紙を蓄積しておく第1の給紙カセットグループ144と、A3等の比較的消費量の少ない用紙を蓄積しておく第2の給紙カセットグループ145とを備えてなる。
141は、最上位の用紙を送り出す繰り出しローラ、142は、用紙を上方に送る給送ローラ、143は、用紙が重なった場合に、用紙を給紙カセット側に送り戻す分離ローラである。
【0043】
操作パネル200は、複写モードやシートサイズ等の選択、およびトラブル状態等をはじめとして各種メッセージの表示部、さらには開始スイッチ等が設けられている。
電源ユニット収納箱400Aの内部には、電源ユニット400が収納されている。
【0044】
次に、図2〜図4を参照しながら電源ユニット400を説明する。
図2〜図4に示すように、電源ユニット400は、縦長長方形のケーシング411と、ケーシング411を覆う縦長長方形のケーシング蓋412とにより収納手段が構成されている。
【0045】
電源ユニット400は、特殊な締結用治具(図示省略)により締結される。「特殊な」(一般には、単体で市販されていない)としたのは、特定のサービス従事者以外の者が、ケーシング蓋412を開くことが出来ないようにするためである。次に説明する大容量キャパシタ421が大電力を供給可能なので、正規の取り扱いをしないと、部品の破損や発火事故、および扱う大容量キャパシタの仕様によっては感電事故等のおそれがあるからである。
【0046】
ケーシング蓋412に内部確認用の窓412aを設ける。窓を構成する窓部材としては、内部の温度上昇や発火等を考慮した、耐熱性・難燃性の高い透明性のある部材(ガラスや樹脂)が好ましい。なお、本実施形態では、ケーシング蓋412に窓412aを形成した場合を示したが、ケーシング411(図3参照)に内部確認用の窓(図示省略)を設けてもよい。
【0047】
また、窓412aの大きさは、電源ユニット400の内部の要所(例えば、大容量キャパシタ、配線等)を確認(視認)できればよい。
また、前述のガラス等の窓部材を使用せず、単に確認用の穴(貫通孔、図示省略)としてもよい。但し、この穴を形成した場合には、作業者の指や作業工具が入り込んだりせず、且つ吸気ファン413と排気ファン414による内部気流(図3の矢印参照)の流れを妨げないことが必要である。
【0048】
ケーシング411の一方の側壁には吸気ファン413が取り付けられ、他方の側壁には排気ファン414が取り付けられている。415(図2参照)は、電源ユニット400を、例えば両手で掴み上げる把手部材である。
ケーシング411には、ほぼ半分には大容量キャパシタ収納部420が形成され、他のほぼ半分には電気部品収納部430が形成されている。
【0049】
大容量キャパシタ収納部420には、大容量キャパシタ421を取り付けて支持する取付け支持枠422が取り付けられている。そして、取付け支持枠422の右方(図3において)には通気路423が形成され、吸気ファン413から吸引された空気(冷気)が矢印方向に通り抜けるようになっている(後述)。大容量キャパシタ421の集合体を、キャパシタユニット421Aと呼ぶ。
【0050】
大容量キャパシタ421は、例えば2000F程度の静電容量を有しており、数秒から数十秒の電力供給には十分な容量を備えている。また、前述のように、大容量キャパシタを用いた補助電源では数分程度の急速な充電が可能であるため、同一時間内で二次電池と比較したときに、補助電源を用いた加熱の回数が増える。
電気部品収納部430には、後述する充電器431,充放電切替器432,制御基板433,温度検知センサー434等が収納されている。
【0051】
次に、図4(A),(B)および図5、図6(A)〜(D)を参照しながらインターロックスイッチの取り付け、および作用を説明する。インターロックスイッチとは、例えば、ケーシング蓋412を開いた場合でも、サービス従事者が手や工具等で、容易に触れない位置に設置してある電気的スイッチをいう。
【0052】
図5は、本実施形態の定着装置および電源ユニットの電気的接続を示すブロック図、図6は、本実施形態のケーシング蓋の開閉に連動して接点がオン・オフする状況を示す図であって、(A)および(B)は片切り接点を使用した場合の図、(C)および(D)は両切り接点を使用した場合の図である。
【0053】
図4(A),(B)、図5、図6(A)〜(D)に示すように、取付け支持枠422に細長い挿入穴441が形成されている。この挿入穴441の奥には、インターロックスイッチ442が取付け支持枠422に固定されている。即ち、インターロックスイッチ442は遮蔽されているので、挿入穴441以外から接触することができない。442aは、インターロックスイッチ442のアクチュエータである。
【0054】
インターロックスイッチ442は、第1のオン・オフ接点442bを備えている(図6(A),(B)参照)。
インターロックスイッチ442は、取付け支持枠422の内部に固定されていて、挿入穴441はサービス従事者の指よりも細いので、サービス従事者が作業中に、誤ってインターロックスイッチ442に接触するのを防止できる。
【0055】
また、常時通電部である大容量キャパシタ421の端子部(図示せず)と、配線基板424と、インターロックスイッチ442と配線基板424を結ぶハーネス445は、取付け支持枠422で覆われており、取付け支持枠422の外部からは、容易に触れない構造となっている。
【0056】
ケーシング蓋412の内面であって、前記挿入穴441に対向した位置には、縦長の押下片443が取り付けられている。
ケーシング蓋412が閉じられると、押下片443が挿入穴441に挿入され、押下片443がアクチュエータ442aを押し込み(図4(A)参照)、第1のオン・オフ接点442bをオンにする(図6(A)参照)。
【0057】
逆に、ケーシング蓋412を開いた場合は、押下片443がアクチュエータ442aから離れ、第1のオン・オフ接点442bは、オフになる(図6(B)参照)。
符号424は、大容量キャパシタ421を並列接続するための配線基板、符号425は、吸気ファン413や排気ファン414を取り付ける取付ブラケット、符号426は、取付ブラケット425をケーシング411に固定する取付ネジである。
【0058】
次に、定着装置128および電源ユニット400の電気的接続および作用を説明する。
図5、図6(A)〜(D)に示すように、商用電源(AC100V)が充電器431に接続可能になっている(後述)。充電器431は、交流(AC)を整流して大容量キャパシタ421を充電する。
【0059】
充電器421は、充放電切替器432と制御基板433に接続されている。充放電切替器432は、充電器431で整流された直流を、大容量キャパシタ421へ給電するか、或いは大容量キャパシタ421から定着装置128へ電力供給するかの切り替えを行う。
制御基板433には、大容量キャパシタ421の近傍に配置された温度検知センサー434と吸気ファン413とが接続され、さらに充放電切替器432に接続されている。
【0060】
温度検知センサー434が、大容量キャパシタ421が所定温度になったことを検知すると、制御基板433は、吸気ファン413および排気ファン414(図5では図示省略)を回転駆動させる制御を行い、内部通風(図3の矢印参照)により、電源ユニット400内の他の電気部品(充電器431,制御基板433の実装部品等)を冷却する。
【0061】
前述の他の電気部品を冷却する理由は、次のとおりである。すなわち、大容量キャパシタ421に大電流が流れると発熱体となり、また充電中に前記他の電気部品も発熱する。他の電気部品の発熱を放置すると、大容量キャパシタ421を熱で劣化させるおそれがあるので、他の電気部品の発熱が大容量キャパシタ421に伝わらないように、他の電気部品を冷却する必要がある。
【0062】
また、通常は、ケーシング蓋412が閉じられていて、第1のオン・オフ接点442bはオン状態となっている(図6(A)参照)。この状態で、装置本体100の制御部(図示省略)が、大容量キャパシタ421の充電不足を検出すると、商用電源から充電器431と充放電切替器432を介して直流が大容量キャパシタ421に供給され、充電される。
【0063】
また、装置本体100の制御部は、操作パネル200のコピー開始キー(図示省略)の押下検出後、大容量キャパシタ421が十分に充電されていると、制御基板433に対して切り替え指示信号を送信する。すると、制御基板433は、充放電切替器432を電気化学キャパシタ421側から第2の発熱体128bへと切り替え、第2の発熱体128bに電力供給して定着可能温度まで加熱する。
【0064】
また、前記装置本体100の制御部は、図示省略の定着リレーを作動させて、定着リレーの接点435をオンにして、第1の発熱体128aへの給電を開始し、発熱を開始する。第1,第2の発熱体128a,128bとしては、例えば、ハロゲンヒータが好適である。
【0065】
なお、前述の説明において、インターロックスイッチ442として「片切り接点」の場合を説明したが(図6(A),(B)参照)、インターロックスイッチ442としては、「両切り接点」を用いても良いことは勿論である(図6(C),(D)参照)。
【0066】
また、図5に示した電気系統の制御全体は、装置本体100の制御部が行う。例えば、コピー枚数が多くなると第1の発熱体128aの発熱だけでは、所定の定着温度を下回る場合がある。この場合には、装置本体100の制御部が制御基板433に指示を出し、充放電切替器432を放電側に切り替え、第1の発熱体128aの発熱に加えて、第2の発熱体128bを大容量キャパシタ421の電力により発熱させる。このようにすれば、定着装置128の定着温度を、所定温度に維持することができる。
【0067】
<先行技術調査>
(1)画像形成装置の構成部材に「窓」を形成したものとして特開平10−186760号公報がある。この場合は、定着装置等を備えた画像形成部100に表示窓8を形成している(図5参照)。しかし、この先行技術は、画像形成部100における用紙のジャム処理を速く行うことを目的とし、本願の目的(電源ユニットの内部確認)とは相違する。
【0068】
(2)画像形成装置の「インターロックスイッチ」を設けたものとして特開2002−23438号公報がある。この場合は、メモリカード(図8の33)等の増設機器の着脱作業の際に、装置本体が通電中であると、インタフェース部(30)が電気的に破損するのを、防止することを目的としている。その為に、ドア16(図3,図4参照)を開けばオフとなるインターロックスイッチ35を設けている。即ち、先行技術は電気部品を備えたインタフェース部の保護が目的であるのに対し、本願はサービス従事者等の安全確保および発火防止を目的とする。
【0069】
本実施形態では、画像形成装置用の電源ユニットの場合を説明したが、その他の電気機器の電源ユニットにも本発明を適用可能なのは、勿論である。
また、本実施形態では、補助電源として電気二重層キャパシタ等の大容量キャパシタの場合を説明したが、補助電源として大容量の電解コンデンサを用いた場合にも、同様のことが言える。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施形態の画像形成装置の側断面図である。
【図2】同実施形態における、電源ユニットの斜視図である。
【図3】同電源ユニットを構成するケーシング蓋を開いた状態の斜視図である。
【図4】同ケーシング蓋を開いた状態の電源ユニットを示す図であって、(A)はA−Aに沿う断面図、(B)は正面図である。
【図5】同実施形態における、定着装置および電源ユニットの電気的接続を示すブロック図である。
【図6】同実施形態における、ケーシング蓋の開閉に連動して接点がオン・オフする状況を示す図であって、(A)および(B)は片切り接点を使用した場合の図、(C)および(D)は両切り接点を使用した場合の図である。
【符号の説明】
【0071】
GK 画像形成装置
100 画像形成装置の本体
110 原稿走査部
111 光学装置
120 画像形成処理部
121 感光体ドラム
122 帯電装置
123 書き込み装置
124 現像装置
125 転写装置
126 クリーニング装置
127 レジストローラ
128 定着装置
128a 第1の発熱体
128b 第2の発熱体
131 両面反転装置
132 搬送切換部
140 給紙バンク
141 繰り出しローラ
142 分離ローラ
143 給送ローラ
144 第1の給紙カセットグループ
145 第2の給紙カセットグループ
200 操作パネル
300 ADF
301 原稿排紙台
400 電源ユニット
400A 電源ユニット収納箱
411 ケーシング
412 ケーシング蓋
412a 内部確認用の窓
413 吸気ファン
414 排気ファン
415 把手部材
420 大容量キャパシタ収納部
421 大容量キャパシタ
421A キャパシタユニット
422 取付け支持枠
423 通気路
424 配線基板
425 取付ブラケット
426 取付ネジ
430 電気部品収納部
431 充電器
432 充放電切替器
433 制御基板
434 温度検知センサー
435 定着リレーの接点
441 挿入穴
442 インターロックスイッチ
442a アクチュエータ
442b 第1のオン・オフ接点
442c 第2のオン・オフ接点
443 押下片
445 ハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な蓋を備えたケーシングに収納してなる電源ユニットであって、
前記蓋またはケーシングに、内部視認用の窓を設けたことを特徴とする電源ユニット。
【請求項2】
請求項1記載の電源ユニットにおいて、
当該電源ユニットは、少なくとも充放電可能な補助電源と充電器と充放電の切り替えを行う充放電切替手段とを、前記ケーシングに収納してなることを特徴とする電源ユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の電源ユニットにおいて、
前記内部視認用の窓に、内部視認可能な窓部材を取り付けたことを特徴とする電源ユニット。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載の電源ユニットにおいて、
前記内部視認用の窓は、貫通孔であることを特徴とする電源ユニット。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電源ユニットにおいて、
前記ケーシングに、前記蓋の開閉に連動して接点がオン・オフするスイッチを取り付け、前記蓋を開いた場合には、前記補助電源と充放電切替手段との間を電気的に切断するようにしたことを特徴とする電源ユニット。
【請求項6】
請求項5記載の電源ユニットにおいて、
少なくとも前記補助電源と、該補助電源から前記充放電切替手段までの配線と、前記スイッチとを、遮蔽したことを特徴とする電源ユニット。
【請求項7】
請求項2〜請求項6のいずれかに記載の電源ユニットにおいて、
前記補助電源は、キャパシタであることを特徴とする電源ユニット。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電源ユニットを、電源の少なくとも一部とすることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電源ユニットを、電源の少なくとも一部とすることを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−17776(P2006−17776A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192665(P2004−192665)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】