説明

電磁弁制御装置

【課題】電磁弁で発生する発熱量の増加を抑制しつつ、作動状態から不必要に非作動状態になった電磁弁を速やかに作動状態に復帰させることができる電磁弁制御装置を提供する
【解決手段】ECUは、作動状態にある電磁弁の電磁コイルに対して保持電流Ihldを供給し、電磁弁の作動状態を維持させる。この状態で外部からの外乱によって電磁弁が不必要に作動状態から非作動状態に切り替った又は切り替りつつある場合には、電磁コイルにおける電流値IRが変動する(第3タイミングt3)。この際、ECUは、電磁コイルにおける電流値IRの変動から電磁弁が不必要に作動状態から非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定し、電磁コイルに対して作動電流Istを供給させ、その後、電磁コイルに対して保持電流Ihldを供給させる(第4タイミングt4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる電磁弁を制御する電磁弁制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁コイルが通電された場合に非作動状態から作動状態に切替えられる電磁弁(「二位置型の切替弁」ともいう。)を制御する電磁弁制御装置として、例えば特許文献1に記載の電磁弁制御装置が提案されている。この特許文献1に記載の電磁弁制御装置は、車輪に制動力を付与すべく駆動する制動装置に設けられた電磁弁を制御するための装置である。
【0003】
上記電磁弁制御装置は、非作動状態にある電磁弁を作動させる場合、該電磁弁を作動させるために必要な初期作動電流を電磁弁の電磁コイルに供給させ、電磁弁を非作動状態から作動状態に切替える。その後、上記電磁弁制御装置は、作動状態にある電磁弁の電磁コイルに対して、電磁弁の作動状態を維持させるために必要であって且つ初期作動電流よりも低電流の保持電流を供給させ、電磁弁の作動状態を維持させる。このように電磁弁の電磁コイルへの給電態様を制御することにより、作動状態にある電磁弁の電磁コイルに初期作動電流が供給され続ける場合に比して、該電磁コイルで発生する発熱量が減少するようになっていた。
【特許文献1】特開2006−17181号公報(請求項1、図1,図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁弁の作動状態を維持するための電磁力(以下、「保持力」という。)は、電磁コイルに供給される電流の大きさに比例する。そのため、例えば車両の走行時に発生する振動、即ち外乱によって電磁弁に対して上記保持力よりも大きな力が加わった場合には、電磁弁が作動状態から非作動状態に不必要に切り替ってしまうことがある。ところが、保持電流は、電磁弁を作動状態にすることが可能な初期作動電流よりも低電流に設定されている。したがって、不必要に非作動状態になった電磁弁の電磁コイルに対して保持電流が供給されても、電磁弁を作動状態に復帰させることができないおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電磁弁で発生する発熱量の増加を抑制しつつ、作動状態から不必要に非作動状態になった電磁弁を速やかに作動状態に復帰させることができる電磁弁制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、電磁弁制御装置にかかる請求項1に記載の発明は、車両に設けられ、且つ電磁コイル(52、63)に初期作動電流(Ist)が供給された場合に非作動状態から作動状態に切り替る電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して、前記初期作動電流(Ist)が供給された後、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の作動状態を維持するために必要な大きさであって且つ前記初期作動電流(Ist)よりも低電流の保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御する電磁弁制御装置において、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の状態を判定するための状態判定手段(16)と、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に維持させる場合において、前記状態判定手段(16)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定されたときには、前記電磁コイル(52、63)に対して前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態にするために必要な電流の最低値以上の作動必要電流(Ist)が供給され、その後、前記電磁コイル(52、63)に対して前記保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御する電流制御手段(16,76)と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、電磁コイルに保持電流が供給される電磁弁が外乱などによって不必要に非作動状態に切り替った又は切り替りつつある場合には、電磁弁の電磁コイルに対して作動必要電流が供給され、電磁弁が作動状態に速やかに復帰する。その後、電磁弁の電磁コイルには、作動必要電流よりも低電流の保持電流が供給されるため、電磁弁での発熱量の増加が抑制される。したがって、電磁弁で発生する発熱量の増加を抑制しつつ、作動状態から不必要に非作動状態になった電磁弁を速やかに作動状態に復帰させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁弁制御装置において、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)を検出する電流値検出手段(16,77)をさらに備え、前記状態判定手段(16)は、前記電流値検出手段(16,77)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)の変動が検出された場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定することを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、電磁弁が作動状態であることを維持する際、電磁弁の省電力化や発熱抑制などを目的とし、電磁弁の電磁コイルには、初期作動電流よりも低電流の保持電流が供給される。このような状態で、電磁コイルに保持電流が供給される電磁弁の電磁コイルにおける電流値の変動が検出された場合に、電磁弁が不必要に非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定される。そのため、電磁弁の弁体の位置を直接検出するためのセンサなどを電磁弁に設ける必要がない分、電磁弁の大型化が抑制される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電磁弁制御装置において、前記状態判定手段(16)は、前記電流値検出手段(16,77)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)の変動が検出された場合において、該電流値(IR)が変動した際の最大値(Imax)と前記保持電流(Ihld)との差分(Isub)が予め設定された差分閾値(KIsub)以上であるときに、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定することを要旨とする。
【0011】
一般に、電磁弁の電磁コイルにおける電流値には、ノイズ等に起因した誤差成分などが含まれることがある。そこで、本発明では、電流値が変動した際の最大値と保持電流との差分が差分閾値以上である場合に、電磁弁が不必要に非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定される。そのため、電磁弁が作動状態に維持されているにも関わらず、電流値に含まれる誤差成分などに起因して電磁弁が不必要に非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると誤判定されることが抑制される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の電磁弁制御装置において、前記電流制御手段(16,76)は、前記状態判定手段(16)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定された場合には、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に復帰させるために必要な時間として予め設定された所定時間(T2)以上の間、前記作動必要電流(Ist)が供給され、その後、前記保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御することを要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、電磁弁が不必要に非作動状態に切り替った又は切り替りつつある場合、電磁弁の電磁コイルには、所定時間以上の間、作動必要電流が供給され続ける。そのため、作動必要電流を電磁コイルに供給することにより、電磁弁を作動状態に確実に復帰させることが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の電磁弁制御装置において、車両のイグニッションスイッチ(IGSW)がオンである場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態から非作動状態に切り替えるか否かを判定する切替判定手段(17)をさらに備え、前記電流制御手段(16,76)は、前記イグニッションスイッチ(IGSW)がオンになった場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して前記初期作動電流(Ist)を供給させて前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を非作動状態から作動状態に切替え、その後、前記切替判定手段(17)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に維持する旨が判定された場合、該電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が作動状態に維持されるように前記電磁コイル(52、63)に対する給電態様を制御することを要旨とする。
【0015】
上記構成によれば、イグニッションスイッチがオンである間は、電磁弁を作動状態から非作動状態への切替え要求がない限り、電磁弁が作動状態に維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を、車両に搭載される制動装置に設けられる電磁弁の電磁弁制御装置に具体化した一実施形態を図1〜図7に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施形態における制動装置11は、複数(本実施形態では4つ)の車輪FL,FR,RL,RRを有する車両に搭載されている。こうした制動装置11は、運転手がブレーキペダル12を踏込み操作を行った際の踏力を検出可能な踏力検出装置13と、車輪FL,FR,RL,RR毎に設けられたホイールシリンダ14a,14b,14c,14d内のホイールシリンダ圧を調整可能な液圧調整装置(図1では二点鎖線で示す。)15とを備えている。また、制動装置11には、液圧調整装置15を制御するための電子制御装置(以下、「ECU」という。)16が設けられている。
【0018】
踏力検出装置13には、ブレーキペダル12の移動量(即ち、ストローク量)に応じた液圧を発生させるマスタシリンダ17と、ブレーキペダル12の踏込み操作に応じてマスタシリンダ17内にブレーキ液を供給したり、マスタシリンダ17内の余剰なブレーキ液を回収して貯留したりするリザーバタンク18とが設けられている。また、マスタシリンダ17の第1出力ポート17a及び第2出力ポート17bには、前輪用のホイールシリンダ14a,14bに接続される連通流路19,20がそれぞれ接続されている。
【0019】
また、踏力検出装置13には、運転手によるブレーキペダル12の踏込み操作に応じた大きさの移動をブレーキペダル12に発生させるストロークシミュレータ21が設けられている。このストロークシミュレータ21は、接続流路22を介して連通流路19に接続されており、ストロークシミュレータ21内には、第1出力ポート17aから連通流路19内に圧送されたブレーキ液のうち少なくとも一部が流入するようになっている。また、接続流路22には、ストロークシミュレータ21内へのブレーキ液の流入具合を調整するための常閉型の電磁弁23(「ストロークシミュレータカット弁」ともいう。)が設けられている。なお、本実施形態の踏力検出装置13には、ブレーキペダル12の移動量を検出するためのペダルストロークセンサSE1が設けられ、該ペダルストロークセンサSE1からは、ブレーキペダル12の移動量に応じた電気信号がECU16に出力される。
【0020】
液圧調整装置15には、各連通流路19,20上に配置される常開型の電磁弁25,26(「マスタシリンダカット弁」ともいう。)が設けられている。そして、各電磁弁25,26が開き状態であって且つ上記電磁弁23が閉じ状態である場合、マスタシリンダ17からは、ブレーキペダル12の移動量に応じた液圧のブレーキ液が前輪用の各ホイールシリンダ14a,14b内に流入する。その結果、前輪FL,FRには、ホイールシリンダ14a,14b内のホイールシリンダ圧に応じた制動力がそれぞれ付与される。
【0021】
また、液圧調整装置15には、全てのホイールシリンダ14a〜14d内にマスタシリンダ17内の液圧と同程度のホイールシリンダ圧を発生させることが可能な液圧供給機構27が設けられている。この液圧供給機構27は、電動モータ28、ポンプ29及びアキュムレータ30を備えている。ポンプ29は、電動モータ28の回転駆動に基づき、リザーバタンク18側から吸入したブレーキ液をホイールシリンダ14a〜14d側に吐出する。アキュムレータ30は、ポンプ29の吐出側に連通しており、ポンプ29から吐出されるブレーキ液を一定の液圧に保持した状態で貯留し、必要に応じて各ホイールシリンダ14a〜14d側に供給する。なお、ポンプ29の吸入側及び吐出側を連通するポンプ連通流路31上には、リリーフ弁32が設けられている。
【0022】
また、液圧調整装置15には、液圧供給機構27からのブレーキ液をホイールシリンダ14a〜14d内に流入させたり、該ホイールシリンダ14a〜14d内のブレーキ液をリザーバタンク18側に流出させたりするための液圧調整流路33,34,35,36が車輪FL,FR,RL,RR毎に設けられている。前輪用の液圧調整流路33,34は、上記連通流路19,20にそれぞれ連通している。そして、前輪用の液圧調整流路33,34上には、液圧供給機構27からホイールシリンダ14a,14b内にブレーキ液を流入させる際に作動する常閉型の電磁弁37,38と、ホイールシリンダ14a,14b内からブレーキ液をリザーバタンク18側に流出させる際に作動する常閉型の電磁弁39,40とがそれぞれ設けられている。また、後輪用の液圧調整流路35,36上には、液圧供給機構27からホイールシリンダ14c,14d内にブレーキ液を流入させる際に作動する常閉型の電磁弁41,42と、ホイールシリンダ14c,14d内からリザーバタンク18側へのブレーキ液の流出を抑制させる際に作動する常開型の電磁弁43,44とがそれぞれ設けられている。なお、各電磁弁37〜44は、比例電磁弁である。
【0023】
さらに、液圧調整装置15には、連通流路19,20に接続され、且つマスタシリンダ17内の液圧を検出するためのマスタ圧検出センサSE2,SE3とが設けられ、該各マスタ圧検出センサSE2,SE3は、マスタシリンダ17内の液圧に応じた電気信号をECU16にそれぞれ出力する。また、液圧調整装置15には、液圧供給機構27から吐出されるブレーキ液の液圧を検出するための吐出圧検出センサSE4が設けられ、該吐出圧検出センサSE4は、液圧供給機構27から吐出されるブレーキ液の液圧に応じた電気信号をECU16に出力する。さらに、液圧調整装置15には、ホイールシリンダ14a〜14d内のホイールシリンダ圧を検出するためのホイール圧検出センサSE5,SE6,SE7,SE8が設けられ、該各ホイール圧検出センサSE5〜SE8は、ホイールシリンダ14a〜14d内のホイールシリンダ圧に応じた電気信号をECU16にそれぞれ出力する。
【0024】
なお、本実施形態の制動装置11は、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ技術によって車輪FL,FR,RL,RRに対して制動力が付与可能な装置である。すなわち、ペダルストロークセンサSE1により検出されたブレーキペダル12の移動量に応じてポンプ29及びアキュムレータ30から各ホイールシリンダ14a〜14d内に供給される液圧(ホイールシリンダ圧)は、ECU16による各電磁弁37,38,41,42の開度制御などによってそれぞれ調整される。このとき、上述したストロークシミュレータカット弁である電磁弁23は開き状態(作動状態)とされると共に、マスタシリンダカット弁である電磁弁25,26は閉じ状態(作動状態)とされる。したがって、本実施形態では、ECU16が、イグニッションスイッチIGSWがオンである場合に、電磁弁23,25,26を作動状態から非作動状態に切り替えるか否かを判定する切替判定手段としても機能するようになっている。なお、ECU16は、運転手ブレーキペダル12の踏込み操作によってマスタシリンダ17内に発生したマスタシリンダ圧に相当するホイールシリンダ14a,14b内に供給する際に、各電磁弁23,25,26を作動状態から非作動状態に切り替える。
【0025】
次に、電磁弁23の構成について、図2に基づき説明する。
図2に示すように、電磁弁23は、図示しないバルブボディに固定される略円筒状のスリーブ50と、該スリーブ50の一端(図2では上端)に設けられる固定子51と、スリーブ50の一端部及び固定子51を包囲する電磁コイル52とを備えている。スリーブ50の側壁には、該スリーブ50内の他端側(図2では下端側)に形成される液室53と連通流路19(即ち、マスタシリンダ17)とを連通させる第1ポート54が形成されている。また、スリーブ50内において第1ポート54よりも他端側には、弁孔55を有する弁座部材56が嵌着されており、弁孔55を介して液室53から流出したブレーキ液は、ストロークシミュレータ21内に流入する。また、スリーブ50内には、固定子51及び弁座部材56との間を移動可能な可動子57が設けられており、該可動子57の他端には、弁座部材56に着座した際に弁孔55を閉塞可能な弁体部58が形成されている。なお、可動子57は、該可動子57と固定子51との間に配置されるスプリング59によって弁座部材56側に付勢されている。
【0026】
こうした電磁弁23は、その電磁コイル52が非通電状態である場合には可動子57の弁体部58がスプリング59の付勢力によって弁座部材56に着座するため、閉じ状態になる。一方、電磁コイル52が通電されて該電磁コイル52で発生した電磁力(即ち、可動子57を固定子51側に移動させる力)がスプリング59の付勢力よりも大きい場合には、可動子57が付勢力に抗して固定子51側に移動し、可動子57の弁体部58が弁座部材56から離間する。すなわち、電磁弁23が開き状態となり、接続流路22内においてマスタシリンダ17側とストロークシミュレータ21との間でのブレーキ液の流動が許容される。すなわち、電磁弁23は、その電磁コイル52への給電態様に応じて、非作動位置(弁座部材56に着座した位置)と作動位置(弁座部材56から離間した位置)との二位置間で弁体部58が移動可能な二位置型の切替弁である。なお、本実施形態の電磁弁23は、車両のイグニッションスイッチIGSW(図1参照)が「オン」であって且つ液圧供給機構27が正常である場合には開き状態に設定される一方、イグニッションスイッチIGSWが「オン」であっても液圧供給機構27が異常であると判定された場合には閉じ状態に設定される。
【0027】
次に、電磁弁25,26について、図3に基づき説明する。
図3に示すように、電磁弁25,26は、図示しないバルブボディに固定されるスリーブ状の固定子60と、該固定子60の一端(図3では上端)に固定される有底筒状のケーシング61と、該ケーシング61内において図3における上下方向に摺動可能な可動コア62とをそれぞれ備えている。また、電磁弁25,26には、固定子60の一端部及びケーシング61を包囲する電磁コイル63がそれぞれ設けられている。
【0028】
固定子60内の他端側(図3では下端側)には、液室64がそれぞれ形成されると共に、固定子60の側壁には、液室64と前輪用のホイールシリンダ14a,14b側とを連通させるための第2ポート65がそれぞれ形成されている。また、固定子60の他端には、液室64を閉塞する弁座部材66がそれぞれ嵌着されており、該弁座部材66には、液室64内をマスタシリンダ17側に連通させるための弁孔67がそれぞれ形成されている。また、固定子60内には、可動コア62と連動する柱状の可動子68がそれぞれ収容されており、該可動子68の他端には、弁座部材66に着座した際に弁孔67を閉塞可能な弁体部69がそれぞれ形成されている。なお、可動子68は、該可動子68と弁座部材66との間に配置されるスプリング70によって弁座部材56から離間する方向にそれぞれ付勢されている。
【0029】
こうした電磁弁25,26は、それらの電磁コイル63が非通電状態である場合には可動子68の弁体部69がスプリング70の付勢力によって弁座部材66から離間するため、それぞれ開き状態になる。一方、電磁コイル63が通電されて該電磁コイル63で発生した電磁力(即ち、可動子68を弁座部材66側に移動させる力)がスプリング70の付勢力よりも大きい場合には、可動子68が付勢力に抗して弁座部材66側に移動し、可動子68の弁体部69が弁座部材66にそれぞれ着座する。その結果、電磁弁25,26がそれぞれ閉じ状態となり、連通流路19,20内においてマスタシリンダ17側と前輪用のホイールシリンダ14a,14bとの間でのブレーキ液の流動がそれぞれ規制される。すなわち、電磁弁25,26は、その電磁コイル52への給電態様に応じて、非作動位置(弁座部材66から離間した位置)と作動位置(弁座部材66に着座した位置)との二位置間で弁体部69が移動可能な二位置型の切替弁である。なお、本実施形態の各電磁弁25,26は、車両のイグニッションスイッチIGSWがオンであって且つ液圧供給機構27が正常である場合には閉じ状態にそれぞれ設定される一方、イグニッションスイッチIGSWがオンであっても液圧供給機構27が異常であると判定された場合には開き状態にそれぞれ設定される。
【0030】
次に、本実施形態のECU16について説明する。
ECU16は、図示しないCPU、ROM及びRAMなどを有するデジタルコンピュータを備えている。ECU16のROMには、各種制御処理(後述する作動状態維持処理など)及び各種閾値(後述する作動必要時間、所定時間、差分閾値など)などが予め記憶されている。また、ECU16のRAMには、車両のイグニッションスイッチIGSWがオンである間、適宜書き換えられる各種の情報(後述する指示電流、電磁コイル52,63における電流値、作動フラグなど)などがそれぞれ記憶される。
【0031】
次に、電磁弁23,25,26を作動させるための作動回路について、図4に基づき説明する。なお、電磁弁23,25,26用の各作動回路は、ほぼ同一構成である。そのため、本明細書では、電磁弁23用の作動回路のみを説明し、他の電磁弁25,26用の作動回路の説明は、省略するものとする。
【0032】
図4に示すように、電磁弁23用の作動回路75は、電磁弁23の電磁コイル52に供給する電流の大きさを調整するための電流調整器76を備え、該電流調整器76は、ECU16からの制御指令(後述する指示電流)に応じた大きさの電流を電磁弁23の電磁コイル52に供給させる。したがって、本実施形態では、ECU16及び電流調整器76により、電磁弁に対する給電態様を制御する電流制御手段が構成される。また、作動回路75において電磁弁23の電磁コイル52と電流調整器76との間には、電磁コイル52における電流値IR(図6参照)を検出するための電流検出器77が設けられており、該電流検出器77からは、電磁弁23の電磁コイル52における電流値IRに応じた電気信号がECU16に出力される。なお、通常時では、電流検出器77は、電流調整器76によって調整された電流の大きさを電流値として検出する。したがって、本実施形態では、ECU16及び電流検出器77により、電流値検出手段が構成される。また、ECU16及び作動回路75により、電磁弁制御装置が構成される。
【0033】
次に、本実施形態のECU16が実行する各種制御処理のうち、電磁弁23,25,26の作動状態を維持するための作動状態維持処理ルーチンについて、図5に示すフローチャートと、図6及び図7に示すタイミングチャートとに基づき説明する。なお、「作動状態」とは、常閉型の電磁弁23が開き状態になったことを示すと共に、常開型の電磁弁25,26が閉じ状態になったことを示している。一方、「非作動状態」とは、常閉型の電磁弁23が閉じ状態であることを示すと共に、常開型の電磁弁25,26が開き状態であることを示している。
【0034】
さて、ECU16は、車両のイグニッションスイッチIGSWが「オン」である間、予め設定された所定周期毎(本実施形態では5msec.(ミリ秒)毎)に作動状態維持処理ルーチンを実行する。この作動状態維持処理ルーチンにおいて、ECU16は、イグニッションスイッチIGSWが「オン」になったことを契機に電磁弁23,25,26が作動状態に設定されたか否かを示す作動フラグFLG1が「オフ」であるか否かを判定する(ステップS10)。この作動フラグFLG1は、電磁弁23,25,26が作動状態であるはずの場合には「オン」にセットされる一方、電磁弁23,25,26が作動状態に未だなっていない場合には「オフ」にセットされる。
【0035】
ステップS10の判定結果が否定判定(FLG1=「オン」)である場合、ECU16は、その処理を後述するステップS14に移行する。一方、ステップS10の判定結果が肯定判定(FLG1=「オフ」)である場合、ECU16は、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に対する指示電流を初期作動電流としての作動電流Istに設定する(ステップS11)。なお、作動電流Istは、電磁弁23,25,26の弁体部58,69をスプリング59,70の付勢力に抗して移動させるために最低限度必要な最低限電流Ind以上の値(本実施形態では最低限電流Indよりも大きな値)に設定されている(図6(a)(b)参照)。
【0036】
ここで、指示電流とは、図6(a)(b)のタイミングチャートに示すように、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に供給する電流の目標値を示している。こうした指示電流(=作動電流Ist)が設定されると、電磁コイル52,63における実際の電流値(以下、単に「電流値」という。)IRが次第に大きくなる。そして、第1タイミングt1が経過すると、電流値IRが最低限電流Ind以上となり、電磁弁23,25,26において非作動位置にあった弁体部58,69が作動位置に移動し始める。その後、電流値IRは、作動電流Istと略同一値になると、その大きさが維持される。
【0037】
図5のフローチャートに戻り、ECU16は、ステップS11が実行されてからの経過時間が予め設定された作動必要時間T1を経過したか否かを判定する(ステップS12)。この作動必要時間T1は、電磁コイル52,63に作動電流Istを供給し、非作動状態にあった電磁弁23,25,26を作動状態に切替えるために必要な時間であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS12の判定結果が否定判定である場合、ECU16は、作動必要時間T1を経過するまでステップS12の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS12の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、電磁弁23,25,26の弁体部58,69が作動位置に移動したと判断し、作動フラグFLG1を「オン」にセットし(ステップS13)、その処理を次のステップS14に移行する。
【0038】
ステップS14において、ECU16は、指示電流を、電磁弁23,25,26の作動状態を維持させるために必要な大きさの電流であって且つ最低限電流Indよりも低電流の保持電流Ihldに設定する。すると、図6(a)(b)のタイミングチャートに示すように、電流値IRが保持電流Ihldまで低くなる(第2タイミングt2)。このように電磁コイル52,63における電流値IRが低下しても、電磁弁23,25,26の作動状態は維持される。
【0039】
図5のフローチャートに戻り、ECU16は、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63における電流値IRを検出し(ステップS15)、該電流値IRから保持電流Ihldを減算して電流差分値Isubを求める(ステップS16)。すなわち、図6(a)(b)のタイミングチャートに示すように、指示電流を保持電流Ihldに設定すると、電磁コイル52,63における電流値IRは、保持電流Ihldと同程度であるはずである。ところが、車両に加わった振動、即ち外乱に基づく力が電磁弁23,25,26に伝達されると、電磁弁23,25,26の弁体部58,69が作動位置から非作動位置に向けて不必要に移動してしまうことがある(第3タイミングt3)。このように弁体部58,69が電磁コイル52,63による電磁力に抗して移動した場合、図7に示すように、該電磁コイル52,63では逆起電力が発生し、電磁コイル52,63における電流値IRに瞬間的な変動(例えば、「30msec.」間での電流値IRの変動)が発生する。そこで、本実施形態では、外乱に起因した電流値IRの瞬間的な変動を検出し、電磁弁23,25,26が非作動状態に不必要に切り替ったか否かが判断される。
【0040】
図5のフローチャートに戻り、ECU16は、ステップS16にて演算した電流差分値Isubが予め設定された差分閾値KIsub(例えば「0.3A (アンペア)」)以上であるか否かを判定する(ステップS17)。この差分閾値KIsubは、電磁弁23,25,26の状態変化(即ち、作動状態から非作動状態への変化)を伴わない程度の電流値IRの小さな変動(例えば、ノイズ成分(変動幅が略「0.05A」)や電流値IRの検出誤差)を検出しないための足切り値であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。すなわち、電流値IRが変動した際の最大値Imax(図7参照)と保持電流Ihld(図7参照)との差分である電流差分値Isub(一例として「0.38A 」)が差分閾値KIsub以上である場合に、電磁弁23,25,26が非作動状態に不必要に切り替ったと判断される。この点で、本実施形態では、ECU16が、状態判定手段としても機能する。
【0041】
図5のフローチャートに戻り、ステップS17の判定結果が否定判定(Isub<KIsub)である場合、ECU16は、電磁弁23,25,26の作動状態が維持されていると判定し、作動状態維持処理ルーチンを一旦終了する。一方、ステップS17の判定結果が肯定判定(Isub≧KIsub)である場合、ECU16は、電磁弁23,25,26が非作動状態に不必要に切り替ったと判定し、オフ検出信号(図6(c)参照)を作動回路75に出力して指示電流を作動必要電流としての作動電流Istに設定する(ステップS18)。すると、図6(a)(b)(c)のタイミングチャートに示すように、電磁コイル52,63のおける電流値IRは、次第に大きくなる。そして、電流値IRは、第3タイミングt3から所定時間T2が経過するまでには、作動電流Istと略同等の大きさになる。その結果、電磁弁23,25,26は、非作動状態になっても直ぐに作動状態に復帰する。
【0042】
図5のフローチャートに戻り、ECU16は、ステップS18が実行されてからの経過時間が予め設定された所定時間T2を経過したか否かを判定する(ステップS19)。この所定時間T2は、電磁コイル52,63に保持電流Ihldが供給される場合に、該電磁コイル52,63に対して作動電流Istを供給することにより電磁弁23,25,26を作動状態に復帰させることができる程度の時間であって、実験やシミュレーションなどによって予め設定される。ステップS19の判定結果が否定判定である場合、ECU16は、所定時間T2が経過するまで、ステップS19の判定処理を繰り返し実行する。一方、ステップS19の判定結果が肯定判定である場合、ECU16は、指示電流を保持電流Ihldに再設定し(ステップS20)、作動状態維持処理ルーチンを一旦終了する。
【0043】
すなわち、図6(a)(b)のタイミングチャートに示すように、電磁弁23,25,26が作動状態に復帰した場合(第4タイミングt4)には、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63における電流値IRは、保持電流Ihldと略同等になる。その結果、電磁弁23,25,26での消費電力の抑制を図りつつ、電磁弁23,25,26の作動状態が維持される。
【0044】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)電磁コイル52,63に保持電流Ihldが供給される電磁弁23,25,26が外乱などによって不必要に非作動状態に切り替った場合には、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に対して作動電流Istが供給され、結果として、電磁弁23,25,26が作動状態に速やかに復帰する。その後、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63には、作動電流Istよりも低電流の保持電流Ihldが供給されるため、電磁弁23,25,26での発熱量の増加が抑制される。したがって、電磁弁23,25,26で発生する発熱量の増加を抑制しつつ、作動状態から不必要に非作動状態になった電磁弁23,25,26を速やかに作動状態に復帰させることができる。
【0045】
(2)また、本実施形態では、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に印加する電圧ではなく、電磁コイル52,63に供給する電流値IRを調整して電磁弁23,25,26の作動を制御している。そのため、電磁弁23,25,26での消費電力の低電力化を図るためには、電磁コイル52,63への印加電圧を制御する場合と異なり、電磁コイル52,63を低抵抗化させることになる。すなわち、電磁コイル52,63の巻き数が少なくなり、結果として、電磁弁23,25,26の小型化に貢献できる。
【0046】
(3)電磁弁23,25,26が作動状態に維持される場合において、該電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63における電流値IRの変動が検出されたときには、電磁弁23,25,26が不必要に非作動状態に切り替ったと判定される。そのため、電磁弁23,25,26の弁体部58,69の位置を直接検出するためのセンサなどを電磁弁23,25,26に設ける必要がない分、電磁弁23,25,26の大型化を抑制できる。
【0047】
(4)また、本実施形態では電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63における電流値IRに含まれるノイズ等に起因した誤差成分などを考慮して差分閾値KIsubが設定されている。そのため、電磁弁23,25,26が作動状態に維持されるにも関わらず、電流値IRに含まれる誤差成分などに起因して電磁弁23,25,26が不必要に作動状態に切り替ったと誤判定されることを抑制できる。
【0048】
(5)電磁弁23,25,26が不必要に非作動状態に切り替った場合、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63には、所定時間T2の間、作動電流Istが供給され続ける。具体的には、所定時間T2の間、指示電流が作動電流Istに設定される。そのため、電磁弁23,25,26を作動状態に確実に復帰させることができる。
【0049】
(6)本実施形態では、イグニッションスイッチIGSWが「オン」である間、各電磁弁23,25,26を作動状態から非作動状態に切り替える旨の制御指令(例えば、上述したブレーキ・バイ・ワイヤ技術を用いないでマスタシリンダ17のマスタシリンダ圧に応じた制動力を前輪FL,FRに付与させる場合などに発せられる制御指令)がない限り、電磁弁23,25,26が作動状態に維持される。そのため、制動装置11は、運転手によるブレーキペダル12の踏込み操作に応じた制動力を、ポンプ29及びアキュムレータ30から供給される液圧に基づいて各車輪FL,FR,RL,RRに付与できる。
【0050】
なお、実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・実施形態において、所定時間T2を、電磁弁23,25,26を作動状態に復帰させることが可能な時間であれば、任意の時間(例えば作動必要時間T1と同程度の時間)に設定してもよい。ただし、所定時間T2は、電磁弁23,25,26での発熱量や消費電力を抑制させることを考慮すると、可能な限り短時間であることが望ましい。
【0051】
・実施形態において、電磁コイル52,63における電流値IRの変動を検出した場合、変動した際の電流値IRの最大値Imaxと最小値との差分を算出し、該算出結果に基づき電磁弁23,25,26が作動状態ではなくなったと判断するようにしてもよい。
【0052】
・実施形態において、作動必要電流は、最低限電流Ind以上の大きさであれば任意の大きさの電流であってもよい。
・実施形態において、電磁弁37〜44の作動状態を維持させる際には、電磁弁23,25,26と同様の給電態様を行ってもよい。
【0053】
・実施形態において、電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に対する給電態様は、電磁弁23,25,26毎に制御してもよい。また、各電磁弁23,25,26のうち少なくとも1つの電磁弁(例えば電磁弁23)が作動状態ではなくなったと判定された場合には、各電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に対して作動電流Istを供給するようにしてもよい。
【0054】
・実施形態において、電磁弁23は、マスタシリンダ17側(上流側)とストロークシミュレータ21側(下流側)との差圧を、該電磁弁23にて発生する電磁力に応じた値に設定可能な比例電磁弁であってもよい。この場合、作動状態にあった電磁弁23が非作動状態に切り替りつつある場合に、電磁コイル52に作動必要電流が供給されることになる。また、電磁弁23が比例電磁弁である場合には、作動必要電流及び保持電流Ihldを、電磁弁23の上流側と下流側との差圧に応じた適切な値に設定することが望ましい。
【0055】
・実施形態において、電磁弁23,25,26の弁体部58,69の位置を検出するためのセンサを設け、該センサによる検出結果に基づき電磁弁23,25,26の電磁コイル52,63に対する給電態様を制御してもよい。
【0056】
・電磁弁制御装置を、車両に設けられる電磁弁であれば、制動装置11以外の電磁弁に対する給電態様を制御する装置に具体化してもよい。例えば、車両の内燃機関への燃料を供給するために使用される電磁弁を制御する電磁弁制御装置に具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態における制動装置のブロック図。
【図2】常閉型の電磁弁の概略断面図。
【図3】常開型の電磁弁の概略断面図。
【図4】電磁弁用の作動回路を示すブロック図。
【図5】作動状態維持処理ルーチンを示すフローチャート。
【図6】(a)は作動電流の変化を示すタイミングチャート、(b)は電磁コイルにおける電流値の変化を示すタイミングチャート、(c)はオフ検出信号が出力されるタイミングを示すタイミングチャート。
【図7】外乱などに基づき電磁コイルにおける電流値が変動した様子を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0058】
16…電磁弁制御装置、状態判定手段、電流制御手段、電流値検出手段、切替判定手段としてのECU、23,25,26,37〜44…電磁弁、52,63…電磁コイル、75…電磁弁制御装置としての作動回路、76…電流制御手段としての電流調整器、77…電流値検出手段としての電流検出器、IGSW…イグニッションスイッチ、Ihld…保持電流、Imax…最大値、IR…電流値、Ist…初期作動電流、作動必要電流としての作動電流、Isub…電流差分値、KIsub…差分閾値,T2…所定時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられ、且つ電磁コイル(52、63)に初期作動電流(Ist)が供給された場合に非作動状態から作動状態に切り替る電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して、前記初期作動電流(Ist)が供給された後、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の作動状態を維持するために必要な大きさであって且つ前記初期作動電流(Ist)よりも低電流の保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御する電磁弁制御装置において、
前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の状態を判定するための状態判定手段(16)と、
前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に維持させる場合において、前記状態判定手段(16)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定されたときには、前記電磁コイル(52、63)に対して前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態にするために必要な電流の最低値以上の作動必要電流(Ist)が供給され、その後、前記電磁コイル(52、63)に対して前記保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御する電流制御手段(16,76)と、
を備えた電磁弁制御装置。
【請求項2】
前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)を検出する電流値検出手段(16,77)をさらに備え、
前記状態判定手段(16)は、前記電流値検出手段(16,77)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)の変動が検出された場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定する請求項1に記載の電磁弁制御装置。
【請求項3】
前記状態判定手段(16)は、前記電流値検出手段(16,77)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)における電流値(IR)の変動が検出された場合において、該電流値(IR)が変動した際の最大値(Imax)と前記保持電流(Ihld)との差分(Isub)が予め設定された差分閾値(KIsub)以上であるときに、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定する請求項2に記載の電磁弁制御装置。
【請求項4】
前記電流制御手段(16,76)は、前記状態判定手段(16)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が非作動状態に切り替った又は切り替りつつあると判定された場合には、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に復帰させるために必要な時間として予め設定された所定時間(T2)以上の間、前記作動必要電流(Ist)が供給され、その後、前記保持電流(Ihld)が供給されるように給電態様を制御する請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の電磁弁制御装置。
【請求項5】
車両のイグニッションスイッチ(IGSW)がオンである場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態から非作動状態に切り替えるか否かを判定する切替判定手段(17)をさらに備え、
前記電流制御手段(16,76)は、前記イグニッションスイッチ(IGSW)がオンになった場合に、前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)の電磁コイル(52、63)に対して前記初期作動電流(Ist)を供給させて前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を非作動状態から作動状態に切替え、その後、前記切替判定手段(17)によって前記電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)を作動状態に維持する旨が判定された場合、該電磁弁(23、25、26、37、38、39、40、41、42、43、44)が作動状態に維持されるように前記電磁コイル(52、63)に対する給電態様を制御する請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の電磁弁制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−38169(P2010−38169A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−197871(P2008−197871)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】