説明

露光装置、露光方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】露光不良の発生を抑制できる露光装置を提供する。
【解決手段】露光装置は、液体を介して露光光で基板を露光する。露光装置は、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板を保持する第1保持部15と、第1保持部15の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面が対向可能なスケール部材Tと、を有し、所定面内を移動可能な基板ステージ2Pと、所定面内を移動するスケール部材Tの表面が対向可能な位置に配置され、スケール部材Tの表面の異物を除去可能な除去部材を有する除去装置と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、露光方法、デバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、電子デバイス等のマイクロデバイスの製造工程において、露光光で基板を露光する露光装置が使用される。露光装置は、基板を保持して移動可能な基板ステージを備え、その基板ステージの位置計測を実行しながら、基板を露光光で露光する。下記特許文献には、スケール部材を用いて基板ステージの位置計測を実行する技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0227309号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0288121号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばスケール部材に異物が存在すると、その異物により基板ステージの位置計測を精確に実行できなくなる可能性がある。その結果、露光不良が発生したり、不良デバイスが発生したりする可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、露光不良の発生を抑制できる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。また本発明の態様は、不良デバイスの発生を抑制できるデバイス製造方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板を保持する第1保持部と、第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面が対向可能なスケール部材と、を有し、所定面内を移動可能な基板ステージと、所定面内を移動するスケール部材の表面が対向可能な位置に配置され、スケール部材の表面の異物を除去可能な除去部材を有する除去装置と、を備える露光装置が提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の露光装置を用いて基板を露光することと、 露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0008】
本発明の第3の態様に従えば、液体を介して露光光で基板を露光する露光方法であって、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板ステージの第1保持部に保持された基板及び基板の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材の少なくとも一方との間に液体で液浸空間を形成することと、基板ステージを所定面内で移動しながら、液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、基板ステージを所定面内で移動しながら、スケール部材の表面が対向可能な位置に配置される除去部材で、スケール部材の異物を除去することと、を含む露光方法が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様に従えば、第3の態様の露光方法を用いて基板を露光することと、 露光された基板を現像することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【0010】
本発明の第5の態様に従えば、コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板ステージの第1保持部に保持された基板及び基板の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材の少なくとも一方との間に液体で液浸空間を形成することと、基板ステージを所定面内で移動しながら、液浸空間の液体を介して基板を露光することと、基板ステージを所定面内で移動しながら、スケール部材の表面が対向可能な位置に配置される除去部材で、スケール部材の異物を除去することと、を実行させるプログラムが提供される。
【0011】
本発明の第6の態様に従えば、第5の態様のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の態様によれば、露光不良の発生を抑制できる。また本発明の態様によれば、不良デバイスの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る基板ステージ及び計測ステージの一例を示す平面図である。
【図3】第1実施形態に係る除去システムの一例を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る除去装置の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る除去装置の一例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る露光方法の一例を説明するための図である。
【図8】第1実施形態に係る露光方法の一例を説明するための図である。
【図9】第1実施形態に係る露光方法の一例を説明するための図である。
【図10】第1実施形態に係る露光方法の一例を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係る露光方法の一例を説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る除去装置の一例を示す図である。
【図13】第2実施形態に係る除去装置の一例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る除去装置の一例を示す図である。
【図15】スケール部材の一例を示す図である。
【図16】デバイスの製造工程の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、そのXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0015】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。本実施形態の露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態においては、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。液浸空間とは、液体で満たされた部分(空間、領域)をいう。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態においては、液体LQとして、水(純水)を用いる。
【0016】
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、及び欧州特許出願公開第1713113号明細書等に開示されているような、基板ステージ2Pと計測ステージ2Cとを備えた露光装置である。
【0017】
図1は、本実施形態に係る露光装置EXの一例を示す概略構成図である。図2は、本実施形態に係る基板ステージ2P及び計測ステージ2Cの一例を示す平面図である。
【0018】
図1及び図2において、露光装置EXは、マスクMを保持して移動可能なマスクステージ1と、基板Pを保持して移動可能な基板ステージ2Pと、基板Pを保持せずに、露光光ELを計測する計測器(計測部材)を搭載して移動可能な計測ステージ2Cと、マスクMを露光光ELで照明する照明系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する投影光学系PLと、基板Pに照射される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように基板Pとの間で液体LQを保持して液浸空間LSを形成する液浸部材3と、露光装置EX全体の動作を制御する制御装置4と、制御装置4に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する記憶装置5とを備えている。記憶装置5は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置5には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
【0019】
また、本実施形態の露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているような、基板ステージ2Pが有するスケール部材Tを用いてその基板ステージ2Pの位置を計測するエンコーダシステム6を備えている。
【0020】
また、本実施形態の露光装置EXは、基板Pの表面の位置を検出する第1検出システム7と、基板Pの位置を検出する第2検出システム8と、マスクステージ1、基板ステージ2P、及び計測ステージ2Cの位置を計測する干渉計システム9とを備えている。
【0021】
また、本実施形態において、露光装置EXは、スケール部材Tの表面の異物を除去可能な除去システム10を備えている。本実施形態において、除去システム10は、複数の除去装置10A、10B、10Cを有する。
【0022】
また、本実施形態において、露光装置EXは、基板Pを搬送する搬送システム11を備えている。搬送システム11は、基板ステージ2Pに基板Pを搬入する処理、及び基板ステージ2Pから基板Pを搬出する処理を実行可能である。
【0023】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。マスクMは、例えばガラス板等の透明板と、その透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する透過型マスクを含む。なお、マスクMとして、反射型マスクを用いることもできる。
【0024】
基板Pは、デバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、その基材上に形成された感光膜とを含む。感光膜は、感光材(フォトレジスト)の膜である。また、基板Pが、感光膜に加えて別の膜を含んでもよい。例えば、基板Pが、反射防止膜を含んでもよいし、感光膜を保護する保護膜(トップコート膜)を含んでもよい。
【0025】
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明領域IRは、照明系ILから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を、均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びFレーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においては、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
【0026】
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材12のガイド面12G上を移動可能である。本実施形態において、ガイド面12GとXY平面とは実質的に平行である。マスクステージ1は、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。平面モータは、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材12に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、マスクステージ1は、駆動システムの作動により、ガイド面12G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、マスクステージ1を移動させる駆動システムは、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システムが、リニアモータを含んでもよい。
【0027】
投影光学系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影領域PRは、投影光学系PLから射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。投影光学系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。本実施形態の投影光学系PLは、その投影倍率が例えば1/4、1/5、又は1/8等の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態においては、投影光学系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。また、投影光学系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれであってもよい。また、投影光学系PLは、倒立像と正立像とのいずれを形成してもよい。
【0028】
投影光学系PLは、投影光学系PLの像面に向けて露光光ELが射出される射出面12を有する。投影光学系PLの複数の光学素子のうち、投影光学系PLの像面に最も近い終端光学素子13が、射出面12を有する。投影領域PRは、射出面12から射出される露光光ELが照射可能な位置を含む。本実施形態において、射出面12は、−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、−Z方向を向いている射出面12は、凸面であってもよいし、凹面であってもよい。終端光学素子13の光軸は、Z軸と平行である。本実施形態において、射出面12から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。
【0029】
基板ステージ2Pは、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材14のガイド面14G上を移動可能である。本実施形態において、ガイド面14GとXY平面とは実質的に平行である。計測ステージ2Cは、計測器(計測部材)を搭載した状態で、投影領域PRを含むベース部材14のガイド面14G上を移動可能である。基板ステージ2P及び計測ステージ2Cは、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。平面モータは、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cのそれぞれに配置された可動子と、ベース部材14に配置された固定子とを有する。本実施形態においては、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cのそれぞれは、駆動システムの作動により、ガイド面14G上において、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、基板ステージ2P及び計測ステージ2Cを移動させる駆動システムは、平面モータでなくてもよい。例えば、駆動システムが、リニアモータを含んでもよい。
【0030】
干渉計システム9は、マスクステージ1に配置された計測ミラーを用いてそのマスクステージ1の位置を計測するレーザ干渉計ユニット9Aと、基板ステージ2Pに配置された計測ミラー及び計測ステージ2Cに配置された計測ミラーを用いてその基板ステージ2P及び計測ステージ2Cの位置を計測するレーザ干渉計ユニット9Bとを有する。レーザ干渉計ユニット9A、9Bの計測結果は、制御装置4に出力される。
【0031】
基板ステージ2Pは、基板Pをリリース可能に保持する第1保持部15を有する。また、本実施形態において、基板ステージ2Pは、第1保持部15の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面12が対向可能なスケール部材Tを有する。本実施形態において、スケール部材Tは、プレート状の部材である。基板ステージ2が移動することによって、スケール部材Tも移動する。例えば基板ステージ2がガイド面14Gに沿ってXY平面内を移動するとき、スケール部材Tも移動する。
【0032】
本実施形態において、基板ステージ2Pは、第1保持部15の周囲の少なくとも一部に配置され、スケール部材Tをリリース可能に保持する第2保持部16を有する。第2保持部16に保持されるスケール部材Tは、第1保持部15に保持される基板Pの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、スケール部材Tは、開口THを有する。開口THの内側に基板Pが配置される。本実施形態において、スケール部材Tは、基板Pの周囲に配置される。
【0033】
本実施形態において、基板Pの表面(上面)は、実質的に平坦である。スケール部材Tの表面(上面)は、実質的に平坦である。本実施形態において、第1保持部15は、基板Pの表面(上面)とXY平面とが実質的に平行となるように、基板Pの裏面(下面)を保持する。第2保持部16は、スケール部材Tの表面(上面)とXY平面とが実質的に平行となるように、スケール部材Tの裏面(下面)を保持する。
【0034】
本実施形態において、第1保持部15に保持された基板Pの表面(上面)と、第2保持部16に保持されたスケール部材Tの表面(上面)とは、実質的に同一平面内に配置される(面一である)。
【0035】
なお、第1保持部15に保持された基板Pの表面(上面)と第2保持部16に保持されたスケール部材Tの表面(上面)とが同一平面内に配置されてなくてもよいし、基板Pの表面の少なくとも一部及びスケール部材Tの表面の少なくとも一部の一方又は両方がXY平面と非平行でもよい。
【0036】
なお、例えばスケール部材Tの表面(上面)の少なくとも一部が平坦でなくてもよい。例えば、スケール部材Tの表面(上面)の少なくとも一部が曲面を含んでもよい。
【0037】
以下の説明において、基板ステージ2P(第2保持部16)に保持されたスケール部材Tの表面(上面)を適宜、上面17、と称する。上面17は、第1保持部15に保持された基板Pの表面の周囲に配置される。スケール部材Tの上面17は、射出面12と対向可能である。
【0038】
なお、本実施形態においては、スケール部材Tは、基板ステージ2Pからリリース可能であるが、リリース可能でなくてもよい。その場合、第2保持部16は省略可能である。
【0039】
本実施形態において、スケール部材Tは、Y軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測するためのYスケール26、27と、X軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測するためのXスケール28、29とを含む。Yスケール26は、開口TH(第1保持部15の中心)に対して−X側に配置される。Yスケール27は、開口THに対して+X側に配置される。Xスケール28は、開口THに対して−Y側に配置される。Xスケール29は、開口THに対して+Y側に配置される。
【0040】
Yスケール26、27のそれぞれは、X軸方向に長く、Y軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)を含む。すなわち、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。Xスケール28、29のそれぞれは、Y軸方向に長く、X軸方向に所定ピッチで配置された複数の格子(格子線)を含む。すなわち、Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする一次元格子を含む。
【0041】
本実施形態において、格子は、回折格子である。すなわち、本実施形態において、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする回折格子を有する。Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする回折格子を有する。また、本実施形態においては、Yスケール26、27は、Y軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。Xスケール28、29は、X軸方向を周期方向とする反射型格子(反射回折格子)が形成された反射型スケールである。
【0042】
本実施形態において、搬送システム11は、基板ステージ2Pに基板Pを搬入(ロード)する第1搬送部材11Aと、基板ステージ2Pから基板Pを搬出(アンロード)する第2搬送部材11Bとを有する。第1搬送部材11Aは、例えば露光前の基板Pを基板ステージ2Pの第1保持部15に搬入する。第2搬送部材11Bは、例えば露光後の基板Pを基板ステージ2Pの第1保持部15から搬出する。
【0043】
本実施形態において、基板ステージ2Pは、少なくとも一部が射出面12と対向する位置EPと、射出面12と対向しない位置CP1と、射出面12と対向しない位置CP2との間を移動可能である。
【0044】
本実施形態においては、位置EPに配置された物体に、射出面12から射出された露光光ELが照射可能である。本実施形態においては、位置CP1において、露光前の基板Pを第1保持部15に搬入する処理が実行される。位置CP2において、第1保持部15から露光後の基板Pを搬出する処理が実行される。
【0045】
以下の説明において、位置EPを適宜、露光位置EP、と称する。また、以下の説明において、位置CP1を適宜、第1基板交換位置CP1、と称し、位置CP2を適宜、第2基板交換位置CP2、と称する。
【0046】
本実施形態において、第1、第2基板交換位置CP1、CP2は、露光位置EPに対して+Y側の位置である。本実施形態において、第1基板交換位置CP1は、第2基板交換位置CP2に対して−X側の位置である。
【0047】
第1保持部15に基板Pを搬入するとき、制御装置4は、基板ステージ2Pを第1基板交換位置CP1に移動する。制御装置4は、第1搬送部材11Aを用いて、第1基板交換位置CP1に配置された基板ステージ2Pの第1保持部15に、基板Pを搬入する。
【0048】
第1保持部15から基板Pを搬出するとき、制御装置4は、基板ステージ2Pを第2基板交換位置CP2に移動する。制御装置4は、第2搬送部材11Bを用いて、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ2Pの第1保持部15から、基板Pを搬出する。
【0049】
図3は、エンコーダシステム6、第1検出システム7、第2検出システム8、及び除去システム10の一例を示す平面図である。
【0050】
第1検出システム7は、例えば米国特許第5448332号明細書等に開示されているような、所謂、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含む。第1検出システム7は、検出光を射出する照射装置7Aと、検出光を受光可能な受光装置7Bとを有する。第1検出システム7は、照射装置7Aから射出される検出光を検出領域AFに照射して、その検出領域AFに配置された物体の表面(被検面)の位置を検出する。物体の表面に照射された照射装置7Aからの検出光は、その物体の表面で反射する。物体の表面で反射した検出光の少なくとも一部は、受光装置7Bに受光される。第1検出システム7は、受光装置7Bの受光結果に基づいて、例えばZ軸、θX、及びθY方向に関する物体の表面の位置を検出する。
【0051】
本実施形態において、第1検出システム7の検出領域AFは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。第1検出システム7は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、物体の表面の位置を検出する。換言すれば、第1検出システム7は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される物体の表面の位置を検出する。
【0052】
本実施形態においては、第1検出システム7は、例えば第1保持部15に保持された基板Pの表面の位置、及びスケール部材Tの上面17の位置を検出可能である。なお、第1検出システム7が、計測ステージ2Cの表面(上面)の位置を検出してもよい。
【0053】
第2検出システム8は、例えば米国特許5493403号明細書に開示されているような、基板Pの感光膜を感光させないブロードバンドな検出光を対象マークに照射し、その対象マークで反射した検出光により受光面に結像された対象マークの像と指標の像とをCCD等の撮像素子を用いて撮像し、それらの撮像信号を画像処理することで対象マークの位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式のアライメント装置を含む。本実施形態において、第2検出システム8は、複数のアライメント装置8A〜8Eを含む。本実施形態において、複数のアライメント装置8A〜8Eは、X軸方向に配置される。
【0054】
アライメント装置8Aは、検出光を検出領域ALAに照射して、その検出領域ALAに配置された対象マークの位置を検出する。対象マークに照射された検出光は、その対象マークで反射する。対象マークで反射した検出光に基づく対象マークの像は、撮像素子で撮像される。アライメント装置8Aは、撮像素子の撮像結果に基づいて、例えば例えばZ軸、θX、及びθY方向に関する対象マークの位置を検出する。同様に、アライメント装置8B〜8Eのそれぞれは、検出領域ALB〜ALEに検出光を照射して、検出領域ALB〜ALBのそれぞれに配置された対象マークの位置を検出する。
【0055】
本実施形態において、第2検出システム8の検出領域ALA〜ALEは、X軸方向に配置される。また、検出領域ALA〜ALEは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。第2検出システム8は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、対象マークの位置を検出する。換言すれば、第2検出システム8は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される対象マークの位置を検出する。
【0056】
また、本実施形態において、第2検出システム8は、第1検出システム7よりも+Y側に配置される。本実施形態において、検出領域ALA〜ALEは、検出領域AFよりも+Y側に配置される。換言すれば、検出領域ALA〜ALEは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と検出領域AFとの間に配置される。
【0057】
本実施形態においては、第2検出システム8は、例えば第1保持部15に保持された基板Pのアライメントマークの位置を検出可能である。なお、第2検出システム8が、例えば計測ステージ2Cに配置されたマークの位置を検出してもよい。
【0058】
エンコーダシステム6は、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているような、計測光を射出する照射装置及び計測光を受光する受光装置を有し、スケール部材Tが有する格子(スケール、格子線)に照射装置からの計測光を照射し、その格子を介した計測光を受光装置で受光して、その格子の位置を計測するエンコーダヘッド60を有する。
【0059】
本実施形態において、エンコーダシステム6は、エンコーダヘッド60を複数有する。エンコーダシステム6は、X軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド60を含み、終端光学素子13(液浸部材3)の−X側に配置されるリニアエンコーダ6Aと、Y軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド60を含み、終端光学素子13(液浸部材3)の−Y側に配置されるリニアエンコーダ6Bと、X軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド60を含み、終端光学素子13(液浸部材3)の+X側に配置されるリニアエンコーダ6Cと、Y軸方向に配置された複数のエンコーダヘッド60を含み、終端光学素子13(液浸部材3)の+Y側に配置されるリニアエンコーダ6Dとを有する。
【0060】
本実施形態において、リニアエンコーダ6A、6Cは、Yスケール26、27を用いて、Y軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測する。リニアエンコーダ6B、6Dは、Xスケール28、29を用いて、X軸方向に関する基板ステージ2Pの位置を計測する。
【0061】
リニアエンコーダ6A〜6D(エンコーダヘッド60)は、スケール部材Tの上面17が対向可能な位置に配置される。スケール部材Tは、リニアエンコーダ6A〜6Dのエンコーダヘッド60と対向する位置に移動可能である。エンコーダヘッド60は、照射装置から射出される計測光を計測領域に照射して、その計測領域に配置されたスケール部材Tの格子を検出する。スケール部材Tに照射された照射装置からの計測光の少なくとも一部は、そのスケール部材Tで反射する。スケール部材Tで反射した計測光の少なくとも一部は、受光装置に受光される。エンコーダシステム6は、リニアエンコーダ6A〜6Dのそれぞれが有する複数のエンコーダヘッド60の受光装置の受光結果に基づいて、例えばX軸、Y軸、及びθZ方向に関するスケール部材T(基板ステージ2P)の位置を計測する。
【0062】
本実施形態において、リニアエンコーダ6Dの少なくとも一部は、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置される。リニアエンコーダ6Dは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間において、基板ステージ2Pの位置を計測する。換言すれば、リニアエンコーダ6Dは、第1、第2基板交換位置CP1、CP2と露光位置EPとの間に配置されるスケール部材(基板ステージ2P)の位置を計測する。
【0063】
本実施形態において、リニアエンコーダ6A〜6Cは、検出領域AFよりも−Y側に配置される。すなわち、本実施形態において、リニアエンコーダ6A〜6Cは、検出領域AF及び検出領域ALA〜ALEよりも、第1、第2基板交換位置CP1、CP2から離れている。
【0064】
除去システム10は、複数の除去装置10A、10B、10Cを有する。本実施形態において、除去装置10A〜10Cの少なくとも一部は、露光位置EPと第1、第2基板交換位置CP1、CP2との間に配置される。
【0065】
除去装置10Aは、リニアエンコーダ6Dに対して+X側に配置されている。除去装置10Bは、リニアエンコーダ6Dに対して−X側に配置されている。除去装置10Aと除去装置10Bとは、X軸方向に配置されている。除去装置10Cは、除去装置10A、10Bよりも+Y側に配置されている。換言すれば、除去装置10Cは、除去装置10A、10Bよりも、第1、第2基板交換位置CP1、CP2に近い位置に配置されている。本実施形態においては、X軸方向に関して、除去装置10Cは、除去装置10Aと除去装置10Bとの間に配置されている。
【0066】
除去装置10A〜10Cのそれぞれは、XY平面内を移動するスケール部材Tの上面17が対向可能な位置に配置され、スケール部材Tの上面17の異物を除去可能な除去部材20を有する。除去部材20の少なくとも一部は、露光位置EPと第1基板交換位置CP1との間に配置される。除去部材20の少なくとも一部は、露光位置EPと第2基板交換位置CP2との間に配置される。
【0067】
本実施形態においては、除去システム10が有する複数の除去部材20のうち、少なくとも2つの除去部材20が、スケール部材Tの上面17と同時に対向するように配置される。図3に示すように、本実施形態においては、基板ステージ2PがXY平面内において所定位置に配置されたとき、除去装置10Aの除去部材20と除去装置10Bの除去部材20と除去装置10Cの除去部材20とは、スケール部材Tの上面17と同時に対向可能である。
【0068】
また、図3に示す例では、除去装置10Aの除去部材20が第1保持部15の中心(開口TH)に対して+X側のスケール部材Tの上面17の一部の領域と対向し、除去装置10Bの除去部材20が第1保持部15の中心に対して−X側のスケール部材Tの上面17の一部の領域と対向する。
【0069】
また、図3に示す例では、除去装置10Aの除去部材20が第1保持部15の中心(開口TH)に対して−Y側のスケール部材Tの上面17の一部の領域と対向し、除去装置10Bの除去部材20が第1保持部15の中心に対して−Y側のスケール部材Tの上面17の一部の領域と対向し、除去装置10Cの除去部材20が第1保持部15の中心に対して+Y側のスケール部材Tの上面17の一部の領域と対向する。
【0070】
なお、上述の所定位置は、例えば基板ステージ2P(基板P)の少なくとも一部が検出領域ALA〜ALEの少なくとも一部に配置される位置を含む。なお、上述の所定位置が、例えば基板ステージ2P(基板P)の少なくとも一部が検出領域AFに配置される位置を含んでもよい。なお、上述の所定位置が、例えば露光位置EPと第1基板交換位置CP1との間の位置を含んでもよいし、露光位置EPと第2基板交換位置CP2との間の位置を含んでもよい。なお、上述の所定位置が、例えば露光位置EPを含んでもよい。
【0071】
図4及び図5は、本実施形態に係る除去装置10Aの一例を示す図である。図4及び図5に示すように、除去装置10Aは、スケール部材Tの上面17が対向可能な位置に配置される除去部材20を有する。除去部材20は、スケール部材Tの上方に配置される。
【0072】
本実施形態において、除去部材20は、スケール部材Tの異物を吸引する吸引口21を有する。また、本実施形態において、除去部材20は、スケール部材Tの異物を捕捉するトラップ部材22を有する。
【0073】
本実施形態において、除去部材20は、スケール部材Tの上面17が対向可能な下面23を有する。トラップ部材22は、下面23から下方に突出する。すなわち、本実施形態において、トラップ部材22は、下面23に配置され、下方に突出する凸部である。本実施形態において、トラップ部材22は、下面23のほぼ中央に配置される。
【0074】
吸引口21は、トラップ部材22の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、吸引口21は、下面23に配置される。下面23は、吸引口21の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、吸引口21は、トラップ部材22の周囲に複数配置される。なお、吸引口21が、トラップ部材22を囲む環状でもよい。
【0075】
本実施形態において、除去装置10Aは、スケール部材Tの上面17から上方に突出するようにそのスケール部材Tの上面17に存在する異物を除去可能である。本実施形態において、除去部材20は、スケール部材Tに接触しないで、スケール部材Tの上面17の異物に接触するように配置される。図4及び図5に示す例では、除去部材20は、スケール部材Tに接触しないで、下面23から下方に突出するトラップ部材22がスケール部材Tの上面17の異物に接触するように配置される。
【0076】
例えば、図4に示すように、スケール部材Tの上面17に異物が存在する場合、制御装置4は、スケール部材Tの上面17の異物とトラップ部材22とが接触するように、トラップ部材22とスケール部材Tの上面17とが所定の間隙を介して対向された状態で、基板ステージ2PをXY平面内で移動させる。これにより、図5に示すように、異物がトラップ部材22に捕捉される。
【0077】
除去装置10Aは、トラップ22で捕捉された異物を吸引口21から吸引する。本実施形態において、除去部材20は、吸引口21に通じる内部空間24を有する。内部空間24は、例えば真空システムを含む吸引装置25と接続される。制御装置4は、吸引装置25を作動することにより、吸引口21から異物を吸引することができる。これにより、スケール部材Tの異物がスケール部材Tから除去される。
【0078】
本実施形態において、除去装置10B、10Cは、除去装置10Aと同様の構成である。除去装置10B、10Cの説明は省略する。
【0079】
なお、除去装置10A〜10Cのそれぞれが、除去部材20を1つずつ有してもよいし、複数有してもよい。
【0080】
図6は、本実施形態に係る液浸部材3の一例を示す側断面図である。液浸部材3は、露光光ELの光路の少なくとも一部が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成可能である。本実施形態において、液浸部材3は、投影光学系PLの終端光学素子13の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材3は、環状の部材である。液浸部材3の一部は、終端光学素子13の周囲に配置され、液浸部材3の一部は、射出面12から射出される露光光ELの光路の周囲に配置される。
【0081】
液浸空間LSは、射出面12から射出される露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。射出面12から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。射出面12は、露光光ELの進行方向(−Z方向)を向く。本実施形態において、射出面12は、XY平面とほぼ平行な平面である。なお、射出面12がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
【0082】
液浸部材3は、少なくとも一部が−Z方向を向く下面30を有する。本実施形態において、射出面12及び下面30は、射出面12から射出される露光光ELが照射可能な位置(投影領域PR、露光位置EP)に配置される物体との間で液体LQを保持することができる。液浸空間LSは、射出面12及び下面30の少なくとも一部と投影領域PRに配置される物体との間に保持された液体LQによって形成される。液浸空間LSは、射出面12と、露光位置EPに配置される物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように形成される。液浸部材3は、終端光学素子13と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように物体との間で液体LQを保持可能である。
【0083】
本実施形態において、露光位置EPに配置可能な物体は、投影光学系PLの像面側(終端光学素子13の射出面12側)で露光位置EPに対して移動可能な物体を含む。その物体は、終端光学素子13及び液浸部材3に対して移動可能である。その物体は、射出面12及び下面30の少なくとも一方と対向可能な上面(表面)を有する。物体の上面は、射出面12との間に液浸空間LSを形成可能である。本実施形態において、物体の上面は、射出面12及び下面30の少なくとも一部との間に液浸空間LSを形成可能である。一方側の射出面12及び下面30と、他方側の物体の上面(表面)との間に液体LQが保持されることによって、終端光学素子13と物体との間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSが形成される。
【0084】
本実施形態において、その物体は、基板ステージ2P(スケール部材T)、基板ステージ2Pに保持された基板P、及び計測ステージ2Cの少なくとも一つを含む。例えば、基板ステージ2P(スケール部材T)の上面17、及び基板ステージ2Pに保持されている基板Pの表面(上面)は、−Z方向を向く終端光学素子13の射出面12、及び−Z方向を向く液浸部材3の下面30と対向可能である。もちろん、露光位置EPに配置可能な物体は、基板ステージ2P(スケール部材T)、基板ステージ2Pに保持された基板P、及び計測ステージ2Cの少なくとも一つに限られない。また、それら物体は、除去装置10A〜10Cの少なくとも一部と対向可能である。
【0085】
本実施形態においては、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。基板Pの露光時において、液浸部材3は、終端光学素子13と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように基板Pとの間で液体LQを保持可能である。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材3の下面30と基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。
【0086】
なお、図6は、露光位置EP(終端光学素子13及び液浸部材3と対向する位置)に基板P及びスケール部材Tが配置されている状態を示す。図6において、液浸空間LSは、終端光学素子13及び液浸部材3と、基板P及びスケール部材Tとの間に形成されている。
【0087】
図6に示すように、液浸部材3は、少なくとも一部が終端光学素子13と基板P(物体)との間に配置されるプレート部31と、少なくとも一部が終端光学素子13の周囲に配置される本体部32とを含む。プレート部31は、射出面12と対向する位置に孔(開口)3Kを有する。射出面12から射出された露光光ELは、孔3Kを通過して、基板Pに照射可能である。
【0088】
また、液浸部材3は、液体LQを供給可能な供給口33と、液体LQを回収可能な回収口34とを有する。供給口33は、例えば基板Pの露光時において液体LQを供給する。回収口34は、例えば基板Pの露光時において液体LQを回収する。
【0089】
供給口33は、射出面12から射出される露光光ELの光路の近傍において、その光路に面するように配置されている。本実施形態において、供給口33は、プレート部31の上面と射出面12との間の空間に液体LQを供給する。供給口33から供給された液体LQは、プレート部31の上面と射出面12との間の空間を流れた後、孔3Kを介して、基板P(物体)上に供給される。
【0090】
供給口33は、流路33Rを介して、液体供給装置と接続されている。液体供給装置は、清浄で温度調整された液体LQを送出可能である。流路33Rは、液浸部材3の内部に形成された供給流路、及びその供給流路と液体供給装置とを接続する供給管で形成される流路を含む。液体供給装置から送出された液体LQは、流路33Rを介して供給口33に供給される。少なくとも基板Pの露光において、供給口33は、液体LQを供給する。
【0091】
回収口34は、液浸部材3の下面30と対向する物体上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口34は、露光光ELが通過する孔3Kの下端の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態においては、回収口34は、プレート部31の下面の周囲の少なくとも一部に配置される。回収口34は、物体の表面と対向する液浸部材3の所定位置に配置されている。少なくとも基板Pの露光において、回収口34に基板Pが対向する。基板Pの露光において、回収口34は、基板P上の液体LQを回収する。
【0092】
本実施形態において、本体部32は、基板P(物体)に面する開口3Pを有する。開口3Pは、プレート部31の下面の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材3は、開口3Pに配置された多孔部材36を有する。本実施形態において、多孔部材36は、複数の孔(openingsあるいはpores)を含むプレート状の部材である。なお、開口3Pに、網目状に多数の小さい孔が形成された多孔部材であるメッシュフィルタが配置されてもよい。
【0093】
本実施形態において、多孔部材36は、基板P(物体)が対向可能な下面と、下面の反対方向を向く上面と、上面と下面とを結ぶ複数の孔とを有する。多孔部材36の下面は、プレート部31の下面の周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、液浸部材3の下面30の少なくとも一部は、プレート部31の下面及び多孔部材36の下面を含む。
【0094】
本実施形態において、回収口34は、多孔部材36の孔を含む。本実施形態において、基板P(物体)上の液体LQは、多孔部材36の孔(回収口34)を介して回収される。なお、多孔部材36が配置されなくてもよい。
【0095】
回収口34は、流路34Rを介して、液体回収装置と接続される。液体回収装置は、回収口34を真空システムに接続可能であり、回収口34を介して液体LQを吸引可能である。流路34Rは、液浸部材3の内部に形成された回収流路、及びその回収流路と液体回収装置とを接続する回収管で形成される流路を含む。回収口34から回収された液体LQは、流路34Rを介して、液体回収装置に回収される。
【0096】
本実施形態において、制御装置4は、供給口33からの液体LQの供給動作と並行して、回収口34からの液体LQの回収動作を実行することによって、一方側の終端光学素子13及び液浸部材3と、他方側の物体との間に液体LQで液浸空間LSを形成可能である。
【0097】
なお、液浸部材3として、例えば米国特許出願公開第2007/0132976号明細書、欧州特許出願公開第1768170号明細書に開示されているような液浸部材(ノズル部材)を用いることができる。
【0098】
次に、上述の構成を有する露光装置EXの動作の一例について説明する。なお、以下の説明において、除去システム10を用いて異物を除去する処理(異物除去処理)を適宜、クリーニング処理、と称する。
【0099】
図6に示すように、終端光学素子13及び液浸部材3と、第1保持部15に保持された基板P及び第2保持部16に保持されたスケール部材Tの少なくとも一方との間に、液体LQで液浸空間LSが形成される。液浸空間LSが形成された後、制御装置4は、基板Pの露光処理を開始する。なお、基板Pの露光処理が開始される前の所定のタイミングにおいて、例えば露光光ELの計測等、所定の計測処理が実行されてもよい。
【0100】
基板Pの露光処理を実行するとき、制御装置4は、終端光学素子13及び液浸部材3と基板Pとを対向させ、終端光学素子13と基板Pとの間の露光光ELの光路が液体LQで満たされるように液浸空間LSを形成する。制御装置4は、照明系ILから露光光ELを射出し、マスクMを露光光ELで照明する。マスクMからの露光光ELは、投影光学系PL及び液体LQを介して基板Pに照射される。これにより、基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して射出面13からの露光光ELで露光され、マスクMのパターンの像が基板Pに投影される。
【0101】
本実施形態の露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態においては、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。
【0102】
本実施形態においては、基板Pに露光対象領域であるショット領域がマトリクス状に複数配置される。例えば基板Pの第1ショット領域を露光するために、制御装置4は、基板P(第1ショット領域)を投影光学系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動するとともに、その基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動しつつ、投影光学系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して第1ショット領域に露光光ELを照射する。これにより、マスクMのパターンの像が基板Pの第1ショット領域に投影され、その第1ショット領域が射出面12から射出された露光光ELで露光される。
【0103】
第1ショット領域の露光が終了した後、制御装置4は、次の第2ショット領域の露光を開始するために、液浸空間LSが形成されている状態で、基板PをXY平面内における所定方向(例えばX軸方向、あるいはXY平面内においてX軸方向に対して傾斜する方向等)に移動し、第2ショット領域を露光開始位置に移動する。その後、制御装置4は、第2ショット領域の露光を開始する。
【0104】
制御装置4は、投影領域PRに対してショット領域をY軸方向に移動しながらそのショット領域を露光する動作と、そのショット領域の露光が終了した後、次のショット領域を露光開始位置に移動するための動作とを繰り返しながら、基板Pの複数のショット領域を順次露光する。
【0105】
このように、本実施形態においては、制御装置4は、基板ステージ2PをXY平面内で移動しながら、液浸空間LSの液体LQを介して基板Pの複数のショット領域を順次露光する。
【0106】
基板Pの露光の少なくとも一部において、基板ステージ2Pの位置は、エンコーダシステム6によって計測される。制御装置4は、エンコーダシステム6の計測結果に基づいて、基板ステージ2Pの位置を制御する。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、基板ステージ2Pは、終端光学素子13及び液浸部材3と第1保持部15に保持される基板P及び第2保持部16に保持されるスケール部材Tの少なくとも一方に液体LQで液浸空間LSが形成された状態で、XY平面内を移動する。基板Pの露光の少なくとも一部において、液浸空間LSの液体LQは、スケール部材Tに接触する。
【0107】
基板Pの露光処理が終了した後、制御装置4は、基板ステージ2Pを露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動する。すなわち、制御装置4は、第1保持部15から露光後の基板Pを搬出するために、基板ステージ2PをXY平面内で移動して、第2基板交換位置CP2に配置する動作を開始する。
【0108】
なお、本実施形態において、基板ステージ2Pが露光位置EPから離れるとき、露光位置EPには計測ステージ2Cが配置され、終端光学素子13及び液浸部材3と計測ステージ2Cとの間に液浸空間LSが形成される。基板ステージ2Pが露光位置EPから離れるとき、例えば米国特許出願公開第2006/0023186号明細書、米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているように、制御装置4は、基板ステージ2Pの上面17と計測ステージ2Cの上面17とを接近又は接触させた状態で、終端光学素子13及び液浸部材3と基板ステージ2P及び計測ステージ2Cの少なくとも一方とを対向させつつ、終端光学素子13及び液浸部材3に対して、基板ステージ2P及び計測ステージ2CをXY平面内において移動させる。これにより、液体LQの漏出が抑制されつつ、液浸空間LSが終端光学素子13及び液浸部材3と基板ステージ2Pとの間に形成される状態から、終端光学素子13及び液浸部材3と計測ステージ2Cとの間に形成される状態へ変化する。また、制御装置4は、液浸空間LSが、終端光学素子13及び液浸部材3と計測ステージ2Cとの間に形成される状態から、終端光学素子13及び液浸部材3と基板ステージ2Pとの間に形成される状態へ変化させることもできる。
【0109】
以下の説明において、基板ステージ2Pの上面17と計測ステージ2Cの上面とを接近又は接触させた状態で、終端光学素子13及び液浸部材3に対して、基板ステージ2Pと計測ステージ2CとをXY平面内において同期移動させる動作を適宜、スクラム移動動作、と称する。
【0110】
本実施形態においては、スクラム移動動作において、例えば図3に示すように、基板ステージ2Pの上面17の−Y側の辺と、計測ステージ2Cの上面の+Y側の辺とが接近又は接触する。
【0111】
図7は、基板ステージ2Pが露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動している状態の一例を示す。本実施形態においては、除去システム10は、露光後の基板Pを保持した基板ステージ2Pが露光位置EPから第2基板交換位置CP2に移動するときに、スケール部材Tの上面17の異物を除去する。
【0112】
すなわち、制御装置4は、露光後の基板Pを第1保持部15から搬出する前に、スケール部材Tの異物を除去する処理を実行する。
【0113】
図7に示すように、基板ステージ2Pが露光位置EPから第2基板交換位置CP2へ移動するとき、上面17の一部の領域に除去装置10Aの除去部材20が対向し、スケール部材Tの上面17の一部の領域に除去部材10Cの除去部材20が対向する。図7に示す例では、第1保持部15の中心に対して−Y側の上面17の一部の領域に、除去装置10Aの除去部材20が対向し、第1保持部15の中心に対して+Y側の上面17の一部の領域に、除去装置10Cの除去部材20が対向する。除去装置10Aの除去部材20と除去装置10Cの除去部材20とは、上面17に同時に対向する。
【0114】
制御装置4は、基板ステージ2PをXY平面内で移動しながら、上面17が対向可能な位置に配置されている除去装置10A、10Cの除去部材20で、スケール部材Tの異物を除去する。図4及び図5を参照して説明したように、スケール部材Tの異物は、除去部材20の吸引口21から吸引される。これにより、スケール部材Tから異物が除去される。
【0115】
以下の説明において、基板ステージ2Pが露光位置EPから第2基板交換位置CP2に移動するときにスケール部材Tの異物を除去する処理を適宜、第1クリーニング処理、と称する。
【0116】
第1クリーニング処理が終了した後、第2基板交換位置CP2に配置された基板ステージ2Pの第1保持部15から、第2搬送部材11Bによって、露光後の基板Pが搬出される。
【0117】
露光後の基板Pを第1保持部15から搬出する処理が終了した後、制御装置4は、基板ステージ2Pを第2基板交換位置CP2から第1基板交換位置CP1へ移動する。すなわち、制御装置4は、露光前の基板Pを第1保持部15に搬入するために、基板ステージ2PをXY平面内で移動して、第1基板交換位置CP1に配置する。第1基板交換位置CP1に配置された基板ステージ2Pの第1保持部15に、第1搬送部材11Aによって、露光前の基板Pが搬入される。
【0118】
露光前の基板Pを第1保持部15に搬入する処理が終了した後、制御装置4は、基板ステージ2Pを第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動する。すなわち、制御装置4は、第1保持部15に保持された露光前の基板Pを露光するために、基板ステージ2PをXY平面内で移動して、露光位置EPに配置する動作を開始する。
【0119】
図8は、基板ステージ2Pが第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動している状態の一例を示す。本実施形態においては、除去システム10は、第1基板交換位置CP1において露光前の基板Pを保持した基板ステージ2Pが露光位置EPに移動するときに、スケール部材Tの上面17の異物を除去する。
【0120】
すなわち、制御装置4は、露光前の基板Pが第1保持部15に保持された後、その基板Pの露光が開始される前に、スケール部材Tの異物を除去する処理を実行する。
【0121】
図8に示すように、基板ステージ2Pが第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ移動するとき、上面17の一部の領域に除去装置10Bの除去部材20が対向し、上面17の一部の領域に除去部材10Cの除去部材20が対向する。図8に示す例では、第1保持部15の中心に対して−Y側の上面17の一部の領域に、除去装置10Bの除去部材20が対向し、第1保持部15の中心に対して+Y側の上面17の一部の領域に、除去装置10Cの除去部材20が対向する。除去装置10Bの除去部材20と除去装置10Cの除去部材20とは、上面17に同時に対向する。
【0122】
制御装置4は、基板ステージ2PをXY平面内で移動しながら、上面17が対向可能な位置に配置されている除去装置10B、10Cの除去部材20で、スケール部材Tの異物を除去することができる。図4及び図5を参照して説明したように、スケール部材Tの異物は、除去部材20の吸引口21から吸引される。これにより、スケール部材Tから異物が除去される。
【0123】
以下の説明において、基板ステージ2Pが第1基板交換位置CP1から露光位置EPに移動するときにスケール部材Tの異物を除去する処理を適宜、第2クリーニング処理、と称する。
【0124】
第2クリーニング処理が終了した後、スケール部材Tの上面17の少なくとも一部の領域は、エンコーダヘッド60と対向する位置に配置される。換言すれば、除去システム10は、エンコーダシステム6のエンコーダヘッド60による計測処理が開始される前に、そのスケール部材Tの表面の異物除去処理(クリーニング処理)を実行する。これにより、エンコーダシステム6は、スケール部材Tの格子を精度良く計測できる。
【0125】
本実施形態においては、基板ステージ2Pが第1基板交換位置CP1から露光位置EPに移動するときに、第1、第2検出システム7、8を用いる検出処理が実行される。すなわち、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書に開示されているように、露光前の基板Pが第1保持部15に保持された後、その基板Pの露光が開始される前に、第2検出システム8が基板Pのアライメントマークを検出し、第1検出システム7が基板Pの表面の位置を検出する。第2検出システム8が基板Pのアライメントマークを検出することによって、XY平面内における基板Pの複数のショット領域のそれぞれの位置が検出される。
【0126】
本実施形態において、除去システム10は、第1、第2検出システム7、8の検出処理の少なくとも一部と並行して、スケール部材Tの異物を除去する。本実施形態において、除去システム10は、第1検出システム7の検出処理の少なくとも一部及び第2検出システム8の検出処理の少なくとも一部の一方又は両方と並行して、スケール部材Tの異物を除去することができる。
【0127】
本実施形態において、第2クリーニング処理は、第1検出システム7の検出処理の少なくとも一部及び第2検出システム8の検出処理の少なくとも一部の一方又は両方と並行してスケール部材Tの異物を除去する第3クリーニング処理と、第1,第2検出システム7、8の検出処理と並行しないでスケール部材Tの異物を除去する第4クリーニング処理とを含む。
【0128】
第1、第2検出システム7、8によって基板Pの位置を検出するとき、基板Pを保持した基板ステージ2Pは、例えば図9に示す位置から図10に示す位置に移動する。第1,第2検出システム7、8は、基板ステージ2Pが図9に示す位置から図10に示す位置に移動するときに、基板Pの位置を検出することができる。なお、図9、図10において、第1、第2検出システム7、8の図示を省略している。
【0129】
例えば、図9に示す状態においては、上面17の一部の領域に除去装置10Aの除去部材20が対向し、上面17の一部の領域に除去部材10Bの除去部材20が対向する。図9に示す例では、第1保持部15の中心に対して+X側の上面17の一部の領域に、除去装置10Aの除去部材20が対向し、第1保持部15の中心に対して−X側の上面17一部の領域に、除去装置10Bの除去部材20が対向する。除去装置10Aの除去部材20と除去装置10Bの除去部材20とは、上面17に同時に対向する。
【0130】
図9に示す状態から図10に示す状態に変化するように基板ステージ2Pを−Y方向へ移動することによって、Yスケール27が配置されている上面17の一部の領域が除去装置10Aによってクリーニングされ、Yスケール26が配置されている上面17の一部の領域が除去装置10Bによってクリーニングされる。また、図9に示す状態においては、Yスケール27は、Yリニアエンコーダ6Cのエンコーダヘッド60と対向しない。また、図9に示す状態においては、Yスケール26は、Yリニアエンコーダ6Aのエンコーダヘッド60と対向しない。換言すれば、図9に示す状態においては、Yリニアエンコーダ6A、6CによるYスケール26、27の計測処理が開始されていない。
【0131】
このように、本実施形態においては、除去装置10A、10Bは、Yリニアエンコーダ6A、6CによるYスケール26、27の計測処理が開始される前に、Yスケール26、27の異物除去処理(クリーニング処理)を実行する。除去装置10A、10Bにより異物除去処理(クリーニング処理)が実行されたYスケール26、27が、Yリニアエンコーダ6A、6Cのエンコーダヘッド60と対向する位置に配置される。Yリニアエンコーダ6A、6Cは、Yスケール26、27の計測処理を開始する。
【0132】
なお、第3(第2)クリーニング処理において、Xスケール28、29が配置された上面17の一部の領域のクリーニング処理が実行されてもよい。
【0133】
スクラム移動動作が実行され、基板ステージ2Pが露光位置EPに配置された後、その基板ステージ2Pの第1保持部15に保持されている基板Pの露光が開始される。
【0134】
例えば図11に示すように、本実施形態においては、基板ステージ2Pが露光位置EPに配置されている状態において、上面17の少なくとも一部の領域は、除去装置10A、10Bの除去部材20と対向可能である。本実施形態において、除去システム10は、基板ステージ2Pに保持される基板Pの露光中に、除去装置10A、10Bの除去部材20を用いて、スケール部材Tの異物を除去することができる。
【0135】
以下の説明において、基板ステージ2Pに保持される基板Pの露光中に、スケール部材Tの異物を除去する処理を適宜、第5クリーニング処理、と称する。
【0136】
基板Pの露光が終了した後、制御装置4は、露光後の基板Pを保持した基板ステージ2Pを第2基板交換位置CP2に移動する。制御装置4は、上述の処理を繰り返して、複数の基板Pを順次露光する。
【0137】
本実施形態において、異物は、液体LQ(液体LQの滴)を含む。例えば、基板Pの露光の少なくとも一部において、液浸空間LSの液体LQの一部が、スケール部材Tの上面17に飛散する可能性がある。また、液浸空間LSがスケール部材Tの上面17と終端光学素子13及び液浸部材3との間に形成された場合、その液浸空間LSの液体LQの一部がスケール部材Tの上面17に残留する可能性がある。
【0138】
本実施形態においては、露光直後に実行される第1クリーニング処理において、スケール部材Tの上面17の異物を除去することができる。
【0139】
また、本実施形態においては、露光直前に実行される第2クリーニング処理(第3、第4クリーニング処理)において、スケール部材Tの上面17の異物を除去することができる。
【0140】
なお、異物が、固体でもよい。例えば、基板Pから放出された感光膜の一部がスケール部材Tの上面17に付着した場合、除去部材20は、その上面17に存在する感光膜を除去してもよい。また、例えば空中を浮遊する異物がスケール部材Tの上面17に付着した場合、除去部材20は、その上面17に存在する異物を除去してもよい。
【0141】
以上説明したように、本実施形態によれば、スケール部材Tの上面17の異物を除去する除去システム10が設けられているので、スケール部材Tの上面17をクリーニングできる。そのため、エンコーダシステム6は、スケール部材Tを用いて、基板ステージ2Pの位置計測を精確に実行できる。したがって、露光不良の発生、及び不良デバイスの発生を抑制することができる。
【0142】
本実施形態においては、除去部材20の少なくとも一部は、終端光学素子13及び液浸部材3と離れた位置に配置されており、除去システム10は、露光位置EPとは異なる位置(射出面12と対向しない位置)に配置されたスケール部材Tの上面17の異物除去処理を実行可能である。換言すれば、除去システム10は、露光位置EPとは異なる位置で、スケール部材Tのクリーニング処理を実行可能である。また、除去システム10は、基板ステージ2P(スケール部材T)の上面17と終端光学素子13及び液浸部材3との間に液浸空間LSが形成されていない状態で、スケール部材Tの上面17の異物除去処理を実行可能である。したがって、上面17の異物は良好に除去される。
【0143】
また、本実施形態においては、露光直後に第1クリーニング処理が実行されるため、例えば露光中にスケール部材Tに異物が付着しても、その異物を直ちに除去することができる。
【0144】
また、本実施形態においては、露光直前に第2クリーニング処理(第3、第4クリーニング処理)が実行されるため、エンコーダシステム6は、基板Pの露光において、スケール部材Tを精度良く計測できる。
【0145】
また、本実施形態においては、露光中に第5クリーニング処理が実行されるため、エンコーダシステム6は、基板Pの露光において、スケール部材Tを精度良く計測できる。
【0146】
上述したように、本実施形態において、第2検出システム8は、撮像素子を含み、上面17と対向可能である。すなわち、上面17は、検出領域ALA〜ALEの少なくとも一部に配置可能である。第2検出システム8は、上面17の異物を検出可能である。制御装置4は、第2検出システム8でスケール部材Tの異物(例えば異物の位置、大きさ)を検出し、その検出結果に基づいて、その異物が存在する上面17の一部の領域が除去部材20と対向する位置に配置されるように、基板ステージ2Pを移動させてもよい。
【0147】
また、上述したように、本実施形態において、第1検出システム7は、斜入射方式の多点フォーカス・レベリング検出システムを含み、上面17は、検出領域AFに配置可能である。第1検出システム7は、上面17に検出光を照射することによって、その上面17の異物を検出可能である。制御装置4は、第1検出システム7でスケール部材Tの異物を検出し、その検出結果に基づいて、その異物が存在する上面17の一部の領域が除去部材20と対向する位置に配置されるように、基板ステージ2Pを移動させてもよい。
【0148】
なお、第1、第2検出システム7、8とは異なる、上面17の異物を検出可能な検出装置を設け、その検出装置で上面17の異物を検出してもよい。制御装置4は、その検出装置の検出結果に基づいて、異物除去処理を実行するために、基板ステージ2Pを移動させてもよい。
【0149】
なお、制御装置4は、検出装置(第1、第2検出システム7、8)で上面17の異物の有無を検出し、その検出結果に基づいて、上面17に異物が存在しないと判断した場合、除去システム10による異物除去処理を実行せずに、例えば基板交換処理(基板Pの搬入処理及び搬出処理)、及び露光処理を実行するようにしてもよい。また、制御装置4は、検出装置(第1、第2検出システム7、8)で上面17の異物の有無を検出し、その検出結果に基づいて、基板ステージ2Pの移動を制御してもよい。例えば、制御装置4は、検出装置の検出結果に基づいて、スケール部材Tに異物が存在しないと判断した場合における基板ステージ2Pの移動条件と、存在すると判断した場合における基板ステージ2Pの移動条件とを異ならせてもよい。例えば、制御装置4は、スケール部材Tに異物が存在すると判断した場合(除去システム10による異物除去処理が必要と判断した場合)、基板ステージ2Pを第1の移動速度で移動させたり、第1の移動経路(移動軌跡)で移動させたりしてもよい。一方、制御装置4は、スケール部材Tに異物が存在しないと判断した場合(除去システム10による異物除去処理が不要と判断した場合)、基板ステージ2Pを第2の移動速度で移動したり、第2の移動経路(移動軌跡)で移動したりしてもよい。例えば、制御装置4は、スケール部材Tに異物が存在すると判断した場合(除去システム10による異物除去処理が必要と判断した場合)、上面17の異物が除去部材20の下方を通過するように基板ステージ2Pの移動経路を調整したり、上面17の異物が除去部材20で除去されやすいように基板ステージ2Pの移動速度を低減したりしてもよい。一方、制御装置4は、スケール部材Tに異物が存在しないと判断した場合(除去システム10による異物除去処理が不要と判断した場合)、例えば第1基板交換位置CP1から露光位置EPへ基板ステージ2Pを移動するときに移動速度を高めたり、最短の移動経路を辿るようにしたりしてもよい。
【0150】
なお、本実施形態においては、除去部材20は、トラップ部材22で捕捉された異物を吸引口21から吸引することとしたが、トラップ部材22で異物を捕捉することなく、吸引口21から吸引してもよい。
【0151】
なお、本実施形態において、除去部材20は、吸引口21及びトラップ部材22を有することとしたが、吸引口21が無くてもよい。例えばトラップ部材22で異物を捕捉することによっても、スケール部材Tから異物を除去することができる。
【0152】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0153】
図12及び図13は、第2実施形態に係る除去部材20Bの一例を示す図である。本実施形態において、除去部材20Bは、多孔部材40を含む。多孔部材40は、スケール部材Tの上面17の異物を捕捉することができる。
【0154】
多孔部材40は、複数の孔を有する。多孔部材40は、例えば真空システムを含む吸引装置41と接続される。制御装置4は、吸引装置41を作動することにより、多孔部材40の孔から異物(例えば液体LQ)を吸引することができる。本実施形態においては、多孔部材40の孔が、上面17の異物を吸引する吸引口として機能する。
【0155】
除去部材20Bは、スケール部材Tに接触しないで、スケール部材Tの上面17の異物に接触するように配置される。図12及び図13に示す例では、除去部材20Bは、スケール部材Tに接触しないで、多孔部材40がスケール部材Tの上面17の異物に接触するように配置される。
【0156】
例えば、図12に示すように、スケール部材Tの上面17に異物が存在する場合、制御装置4は、スケール部材Tの上面17の異物と多孔部材40とが接触するように、多孔部材40とスケール部材Tの上面17とが所定の間隙を介して対向された状態で、基板ステージ2PをXY平面内で移動させる。これにより、図13に示すように、異物が多孔部材40に捕捉される。
【0157】
制御装置4は、多孔部材40で捕捉された異物を多孔部材40の孔から吸引する。制御装置4は、吸引装置41を作動して、多孔部材40の孔から異物を吸引することができる。これにより、スケール部材Tの異物がスケール部材Tから除去される。
【0158】
なお、本実施形態においては、多孔部材40で捕捉された異物を多孔部材40の孔から吸引することとしたが、吸引しなくてもよい。例えば多孔部材40で異物を捕捉することによっても、スケール部材Tから異物を除去することができる。
【0159】
なお、図14に示すように、除去部材20Cがチューブ部材42を含んでもよい。チューブ部材42は、吸引装置43に接続されている。チューブ部材42の先端(下端)に配置された吸引口44からスケール部材Tの異物を吸引してもよい。
【0160】
なお、上述の第1、第2実施形態において、除去システムが、例えば気体を吹き出す給気口を有してもよい。例えば、給気口から吹き出された気体で、スケール部材Tの異物を吹き飛ばすことによって、そのスケール部材Tから異物を除去してもよい。
【0161】
なお、上述の第1、第2実施形態においては、スケール部材Tの格子が、一次元格子であることとしたが、例えば図15に示すスケール部材T2の格子のように、二次元格子でもよい。図15に示す例では、第1保持部15の中心に対して+X側のスケール部材T2の上面の一部の領域、及び−X側のスケール部材T2の上面の一部の領域に、二次元格子が配置される。
【0162】
なお、上述の各実施形態においては、除去システム10がスケール部材T(T2)の異物を除去することとしたが、例えば基板ステージが、米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、カバー部材(格子を有しない部材)をリリース可能に保持するカバー部材保持部を有する場合、そのカバー部材の異物を除去してもよい。
【0163】
なお、上述の各実施形態において、除去システム10が、計測ステージ2Cの上面の異物を除去してもよい。
【0164】
なお、上述したように、制御装置4は、CPU等を含むコンピュータシステムを含む。また、制御装置4は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。記憶装置5は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。記憶装置5には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされ、露光装置EXを制御するためのプログラムが記憶されている。
【0165】
なお、制御装置4に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。また、液晶表示ディスプレイ等の表示装置が設けられていてもよい。
【0166】
記憶装置5に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)4が読み取り可能である。記憶装置5には、制御装置4に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。
【0167】
記憶装置5に記録されているプログラムは、上述の実施形態に従って、制御装置4に、露光光ELが射出される射出面12を有する終端光学素子13と、基板ステージ2Pの第1保持部15に保持された基板P及び基板Pの周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材Tの少なくとも一方との間に液体LQで液浸空間LSを形成することと、基板ステージ2PをXY平面内で移動しながら、液浸空間LSの液体LQを介して基板Pを露光することと、基板ステージ2PをXY平面内で移動しながら、スケール部材Tの上面17が対向可能な位置に配置される除去部材20で、スケール部材Tの異物を除去することと、を実行させてもよい。
【0168】
記憶装置5に記憶されているプログラムが制御装置4に読み込まれることにより、基板ステージ2P、計測ステージ2C、液浸部材3、及び除去システム10等、露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光等、各種の処理を実行する。
【0169】
なお、上述の各実施形態においては、投影光学系PLの終端光学素子13の射出側(像面側)の光路が液体LQで満たされているが、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、終端光学素子13の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系PLを採用することができる。
【0170】
なお、上述の各実施形態においては、液体LQとして水を用いているが、水以外の液体であってもよい。液体LQとしては、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影光学系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)などの膜に対して安定なものが好ましい。例えば、液体LQとして、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等を用いることも可能である。また、液体LQとして、種々の流体、例えば、超臨界流体を用いることも可能である。
【0171】
なお、上述の各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0172】
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
【0173】
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
【0174】
また、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0175】
また、上述の各実施形態において、露光装置EXが、米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置でもよい。その場合、終端光学素子12との間で液浸空間LSを形成可能な物体は、複数の基板ステージの少なくとも一つを含む。除去システム10は、それら複数の基板ステージのうち少なくとも一つの基板ステージの上面の異物を除去することができる。
【0176】
なお、上述の各実施形態において、露光装置EXが、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置でもよい。
【0177】
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0178】
なお、上述の各実施形態においては、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いて各ステージの位置を計測することとしたが、エンコーダシステムがなくてもよい。
【0179】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしても良い。
【0180】
上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射することができる。
【0181】
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板P上に形成することによって、基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0182】
上述の実施形態の露光装置EXは、各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0183】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図16に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、上述の実施形態に従って、マスクのパターンからの露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む基板処理(露光処理)を含む基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。異物除処理(クリーニング処理)は、例えば基板処理ステップ204において実行される。
【0184】
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した露光装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0185】
2P…基板ステージ、2C…計測ステージ、3…液浸部材、4…制御装置、6…エンコーダシステム、7…第1検出システム、8…第2検出システム、10…除去システム、10A、10B、10C…除去装置、12…射出面、13…終端光学素子、20…除去部材、21…吸引口、22…トラップ部材、40…多孔部材、EL…露光光、EX…露光装置、LQ…液体、LS…液浸空間、P…基板、T…スケール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を介して露光光で基板を露光する露光装置であって、
前記露光光が射出される射出面を有する光学部材と、
前記基板を保持する第1保持部と、前記第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置され、前記射出面が対向可能なスケール部材と、を有し、所定面内を移動可能な基板ステージと、
前記所定面内を移動する前記スケール部材の表面が対向可能な位置に配置され、前記スケール部材の表面の異物を除去可能な除去部材を有する除去装置と、を備える露光装置。
【請求項2】
前記除去部材は、前記スケール部材に接触しないで、前記スケール部材の表面の異物に接触するように配置される請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記除去部材は、前記スケール部材の前記異物を吸引する吸引口を有する請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記除去部材は、前記スケール部材の前記異物を捕捉するトラップ部材を含み、
前記除去装置は、前記トラップ部材で捕捉された前記異物を前記吸引口から吸引する請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記吸引口は、前記トラップ部材の周囲の少なくとも一部に配置される請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記トラップ部材は、多孔部材を含み、
前記吸引口は、前記多孔部材の孔を含む請求項4に記載の露光装置。
【請求項7】
前記除去部材は、前記スケール部材の前記異物を捕捉するトラップ部材を含む請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項8】
前記トラップ部材は、多孔部材を含む請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記スケール部材の表面の異物と前記トラップ部材とが接触するように、前記トラップ部材と前記スケール部材の表面とが所定の間隙を介して対向された状態で、前記基板ステージを前記所定面内で移動させる制御装置を備える請求項4〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記スケール部材の表面の異物を検出する検出装置を備え、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記基板ステージを移動させる請求項9に記載の露光装置。
【請求項11】
前記除去装置は、前記除去部材を複数備え、
少なくとも2つの前記除去部材が、前記スケール部材の表面と同時に対向するように配置される請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項12】
前記除去装置は、前記第1保持部の中心に対して一側の前記スケール部材の第1領域と対向する第1除去部材と、他側の前記スケール部材の第2領域と対向する第2除去部材とを含む請求項11に記載の露光装置。
【請求項13】
前記基板ステージは、少なくとも一部が前記射出面と対向する第1位置と、前記射出面と対向しない第2位置との間を移動可能であり、
前記除去部材の少なくとも一部は、前記第1位置と前記第2位置との間に配置される請求項1〜12のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項14】
前記第2位置は、前記第1保持部から露光後の基板を搬出する動作及び露光前の前記基板を前記第1保持部に搬入する動作の少なくとも一方が実行される基板交換位置を含む請求項13に記載の露光装置。
【請求項15】
前記除去装置は、前記第2位置において露光前の基板を保持した前記基板ステージが前記第1位置に移動するときに、前記異物を除去する請求項14に記載の露光装置。
【請求項16】
前記除去装置は、露光後の基板を保持した前記基板ステージが前記第1位置から前記第2位置に移動するときに、前記異物を除去する請求項14に記載の露光装置。
【請求項17】
前記基板の位置を検出する第2検出装置を備え、
前記除去装置は、前記第2検出装置の検出処理の少なくとも一部と並行して、前記異物を除去する請求項1〜16のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項18】
前記除去装置は、前記基板ステージに保持される前記基板の露光中に、前記異物を除去する請求項1〜17のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項19】
前記スケール部材を用いて前記基板ステージの位置を計測する計測装置を備え、
前記除去装置は、前記計測装置の計測処理が開始される前に、前記異物を除去する請求項1〜18のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項20】
前記基板ステージは、前記光学部材と前記第1保持部に保持される前記基板及び前記スケール部材の少なくとも一方に前記液体で液浸空間が形成された状態で前記所定面内を移動する請求項1〜19にいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項21】
前記異物は、液体を含む請求項1〜20のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項22】
前記第1保持部の周囲の少なくとも一部に配置され、前記スケール部材をリリース可能に保持する第2保持部を備える請求項1〜21のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか一項に記載の露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項24】
液体を介して露光光で基板を露光する露光方法であって、
前記露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板ステージの第1保持部に保持された前記基板及び前記基板の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材の少なくとも一方との間に前記液体で液浸空間を形成することと、
前記基板ステージを所定面内で移動しながら、前記液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板ステージを前記所定面内で移動しながら、前記スケール部材の表面が対向可能な位置に配置される除去部材で、前記スケール部材の異物を除去することと、を含む露光方法。
【請求項25】
露光前の基板を前記第1保持部に搬入することを含み、
露光前の前記基板が前記第1保持部に保持された後、前記基板の露光が開始される前に、前記異物が除去される請求項24に記載の露光方法。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の露光方法を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項27】
コンピュータに、液体を介して露光光で基板を露光する露光装置の制御を実行させるプログラムであって、
前記露光光が射出される射出面を有する光学部材と、基板ステージの第1保持部に保持された前記基板及び前記基板の周囲の少なくとも一部に配置されるスケール部材の少なくとも一方との間に前記液体で液浸空間を形成することと、
前記基板ステージを所定面内で移動しながら、前記液浸空間の液体を介して前記基板を露光することと、
前記基板ステージを前記所定面内で移動しながら、前記スケール部材の表面が対向可能な位置に配置される除去部材で、前記スケール部材の異物を除去することと、を実行させるプログラム。
【請求項28】
請求項27に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−204376(P2012−204376A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64647(P2011−64647)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】