説明

非接触物体検査

物体のエリアのトポグラフィを、物体上に投影されたパターンの位相の解析を介して検査する非接触方法である。その方法は、第1のパースペクティブから獲得された、光学的パターンが投影される物体の第1の画像を取得するステップと、第2のパースペクティブから獲得された、光学的パターンが投影される物体の第2の画像を取得するステップであって、第2の画像内の物体上に当たるときの光学的パターンは、第1の画像内の光学的パターンとは異なる、ステップとを含む。その方法は、第1の画像内に映し出された光学的パターンの少なくとも1つの領域の位相に関する位相データに基づいて、物体の少なくとも1つの領域のトポグラフィを記述するデータを決定するステップをさらに含む。第2の画像内に映し出された物体の対応する領域から獲得した位相データは、第1の画像から獲得した位相データまたはトポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために使用される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触物体検査のための方法および装置に関し、詳細には、物体の表面に投影されたパターンの解析を介した物体の検査のための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体上の光学的パターンの位相解析を介して表面のトポグラフィ(topography)を測定するための、非接触光学測定システムが知られている。非接触光学測定システムは、一般に、構造化された光パターンを物体上に投影するプロジェクタと、物体上の構造化された光パターンを記録する、例えば撮像するカメラとを備える。物体はパターンに歪みを引き起こし、カメラによって撮像されたこの歪みから、物体に関するトポグラフィデータを計算することができる。そのようなシステムの具体的な例が、例えば、特許文献1に説明されている。
【0003】
そのようなシステムを用いる場合、投影されるパターンのどの部分が、物体のどの部分に当たっているのかを決定することが困難なことがあり(反復パターンの場合はとりわけそうである)、結果として、物体の絶対位置を、すなわち、物体とカメラの間の距離を決定することが困難なことがある。この問題は、2π曖昧性問題として、構造化光解析の分野において一般に知られている。
【0004】
この問題を克服する知られた方法は、マーカフィーチャ(marker feature)を投影して、パターン内の一意的な点を識別することを含む。マーカフィーチャが当たる物体の点とカメラの間の距離が、カメラのセンサ上のマーカフィーチャの位置から決定できるように、システムを較正することができる。これは、その後、マーカフィーチャが当たる面の残りのアブソリュートディメンション(absolute dimension)を決定するための基準点として使用することができる。しかし、複雑な物体の場合、マーカフィーチャが、対象とする面上に当たらないことがあり、および/または異なる未知の相対高さを有する複数の面が存在することがある。
【0005】
他の知られた解決策は、既知の疑似ランダム変動を見せるパターンが様々な点の一意識別を可能にする、一連の異なるパターンを投影すること、または(例えば、特許文献1に説明されるように)写真測量技法を使用して、物体上の少なくとも1つの点の絶対位置を確立することを含む。しかし、物体および/または視点によっては、写真測量測定に適した点を識別することが可能でないことがある。例えば、広がった滑らかな面の場合、2つ以上のパースペクティブ(perspective)から、境界が見えないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際特許出願第PCT/GB2008/002759号(国際公開第2009/024757号パンフレット)
【特許文献2】EP0402440
【特許文献3】米国特許第6100984号明細書
【特許文献4】国際公開第0151887号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】P. Carre, [Installation et utilisation du comparateur photoelectrique et interferential du Bureau International des Poids et esures],Metrologia 2,13〜23 (1966)
【非特許文献2】J. R. Parker, [Algorithms for image processing and computer vision],Wiley Computer Publishing (1997)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、物体を検査するための方法を提供し、方法は、光学的パターンが投影された物体の画像を取得するステップと、画像から物体のトポグラフィを記述するデータを決定するステップとを含み、あらゆる2π曖昧性が、第2のパースペクティブから取得された物体の第2の画像を使用して解決され、第2の画像上では、物体上に当たるときの光学的パターンが、第1の画像の光学的パターンとは異なる。
【0009】
本発明の一態様によれば、物体のエリアのトポグラフィを、物体上に投影されたパターンの位相の解析を介して検査する非接触方法が提供され、方法は、i)第1のパースペクティブから獲得する、光学的パターンが投影された物体の第1の画像を取得するステップと、ii)第2のパースペクティブから獲得する、光学的パターンが投影された物体の第2の画像を取得するステップであって、第2の画像内の物体上に当たるときの光学的パターンは、第1の画像内の光学的パターンは異なる、ステップと、iii)第1の画像内に映し出された光学的パターンの少なくともある領域の位相に関する位相データに基づいて、物体の少なくともある領域のトポグラフィを記述するデータを決定するステップであって、第2の画像内に映し出された物体の対応する領域から獲得した位相データが、第1の画像から獲得した位相データまたはトポグラフィデータにおけるあらゆる曖昧性を解決するために使用される、ステップとを含む。
【0010】
したがって、本発明は、異なるパースペクティブから獲得した物体の画像を解析することによって、物体トポグラフィデータを獲得することを可能にし、画像内では、光学的パターンが物体上に投影されている。あらゆる2π曖昧性が、異なるパースペクティブから獲得した第2の画像を使用して、全領域にわたって解決される。
【0011】
領域に関する1つまたは複数の個別のフィーチャ点の絶対高さを識別するために、写真測量法が使用され、その後、この絶対高さデータは、領域トポグラフィデータを生成する際に使用される(例えば、特許文献1参照。)。対照的に、本発明の方法では、単一のプロセスにおいて、全領域にわたる絶対トポグラフィ(高さ)データが生成され、すなわち、個別のフィーチャ点を別々に識別し、測定する必要がない。
【0012】
あらゆる曖昧性を解決するために、領域についての第1の画像から導出したデータを、少なくとも1つの領域についての第2の画像から導出したデータと比較して、相関する、例えば一致する領域データを識別することができる。特に、方法は、第1の画像および第2の画像から導出した、特定の領域データ内の、データを反復的に比較して、推定によってあらゆる曖昧性を解決するステップを含むことができる。したがって、正しいトポグラフィデータを、反復比較プロセスを介して推定することができる。比較するデータは、以下でより詳細に説明するように、画像から獲得した位相データに、特にアンラップト位相データ(unwrapped phase data)に直接的または間接的に関係することができる。任意選択的に、比較するデータは、位相データから導出したトポグラフィデータを含むことができる。
【0013】
したがって、方法は、画像からのデータの領域、例えば位相データの領域を使用して、あらゆる2π曖昧性を解決するステップを含む。理解されるように、データの領域は、点データとは区別されるべきである。例えば、任意のそのような領域は、画像センサ上において実質的に2つの次元に拡がるエリアを含むことができる。例えば、これは、高さおよび幅の少なくとも一方において、少なくとも10ピクセルのオーダで、好ましくは、高さおよび幅の少なくとも一方において、少なくとも100ピクセルのオーダで、1組の相互に隣接するピクセルを含むことができる。これは、画像の高さまたは幅の少なくとも1%とすることができる。したがって、2Dエリアは、画像の総面積の少なくとも0.01%を占めることができる。任意選択的に、2Dエリアは、画像の総面積の少なくとも0.1%を、好ましくは、少なくとも1%を占めることができる。理解されるように、2Dエリアは、例えば少なくとも10%など、1%よりもはるかに大きくすることができ、総画像面積の全体までの任意の値とすることさえできる。
【0014】
物体上に当たるときの光学的パターンは、第2の画像では、異なる光学的パターンが投影された結果として、第1の画像とは異なることができる。すなわち、物体上に投影される光学的パターンは、第1の画像と第2の画像では、異なることができる。
【0015】
したがって、光学的パターンの適切なプロジェクタは、プロジェクタによって投影される光学的パターンを変更できるように構成することができる。これは、第2の画像内の物体上に当たるときの光学的パターンを変更するために役立つことができるばかりでなく、これは、以下で詳細に説明するように、表面における光学的パターンの位相を複数の画像の間で変化させた、与えられたパースペクティブから獲得する複数の画像を獲得するときにも役立つことができる。例えば、そのようなプロジェクタは、プロセッサデバイスから入力される画像を投影するように構成されたデジタル光プロジェクタを含むことができ、プロジェクタは、可動回折格子を備える。
【0016】
任意選択的に、物体上に当たるときの光学的パターンは、光学的パターンのプロジェクタと物体の相対的な位置および向きの少なくとも一方が、第1の画像と第2の画像とで異なるために、異なることができる。この場合、投影される光学的パターンは、第1の画像と第2の画像の両方で同じとすることができるが、異なる位置および/または向きから投影される。(しかし、理解されるように、物体上に投影される光学的パターンは、異なる位置および/または向きから投影される場合であっても、第1の画像と第2の画像とで異なることができる)。第1の画像と第2の画像についての、プロジェクタおよび物体の位置および/または向きの相違は、異なる位置および/または向きを有する複数のプロジェクタを使用することによって達成することができる。
【0017】
第1の画像内に映し出された光学的パターンのプロジェクタと、第2の画像内に映し出された光学的パターンのプロジェクタは、少なくとも1つのプロジェクタを備える共通の光学的パターンプロジェクタユニットによって提供することができる。方法は、第1の画像と第2の画像の間で、物体と光学的パターンプロジェクタユニットを相対的に移動させるステップを含むことができる。特に、方法は、物体に対して光学的パターンプロジェクタユニットを移動させるステップを含むことができる。第1の画像および第2の画像内の物体上に投影された光学的パターンは、同じプロジェクタによって投影することができる。したがって、光学的パターンプロジェクタユニットは、単一のプロジェクタを備えることができる。
【0018】
したがって、第1の画像が獲得される点における、物体と光学的パターンのプロジェクタの相対的な位置および相対的な向きの少なくとも一方は、第2の画像が獲得される点における、物体と光学的パターンのプロジェクタのそれとは異なることができる。これは、例えば、(以下でより詳細に説明するように)第1の画像と第2の画像が、光学的パターンプロジェクタと一定の空間的関係にある同じ撮像デバイスによって獲得される場合である。
【0019】
本発明とともに使用されるプロジェクタは、単一の固定された光学的パターンを有することが好ましいことがある。これは、しばしば、プロジェクタの設計を簡略化して、そのようなプロジェクタを、光学的パターンの変更を容易にするプロジェクタよりも、安価に、軽量に、および/またはコンパクトにすることができる。例えば、プロジェクタは、プロジェクタによって投影される光学的パターンを変更できないように、固定された回折格子、または2つの固定された相互にコヒーレントな光源を備えることができる。表面における光学的パターンの位相を複数の(例えば第1の)画像の間で変化させた、複数の画像を与えられたパースペクティブから獲得する必要がある実施形態の場合、これは、複数の(第1の)画像の各々の間で、物体とプロジェクタを相対的に移動させることによって達成することができる。そのような方法のさらなる詳細は、例えば、特許文献1においてより詳細に説明されており、その文献の内容は、この言及により本明細書に組み込まれる。
【0020】
少なくとも第1の画像と第2の画像は、少なくとも1つの適切な撮像デバイスによって獲得することができる。適切な撮像デバイスは、少なくとも1つの画像センサを備えることができる。例えば、適切な撮像デバイスは、CCD(電荷結合素子)またはCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの、光EMR(電磁放射)感知検出器を備えることができる。適切な撮像デバイスは、光が像平面で焦点を結ぶように光学的に構成することができる。理解されるように、像平面は、画像センサによって定義することができる。例えば、適切な撮像デバイスは、光EMRが像平面で焦点を結ぶように構成された、少なくとも1つの光学コンポーネントを備えることができる。任意選択的に、少なくとも1つの光学コンポーネントは、レンズを備えることができる。
【0021】
第1の画像と少なくとも第2の画像は、少なくとも1つの画像センサを備える共通の撮像デバイスによって獲得することができる。方法は、撮像デバイスを第1のパースペクティブから第2のパースペクティブに移動させるステップを含むことができる。この場合、第1の画像と第2の画像は、同じ画像センサによって獲得することができる。したがって、撮像デバイスは、単一の画像センサを備えることができる。
【0022】
光学的パターンプロジェクタユニットと撮像デバイスは、互いに対して一定の空間的関係にあることができる。光学的パターンプロジェクタユニットと撮像デバイスユニットは、単一のプローブとして提供することができる。
【0023】
互いに一定の空間的関係にある光学的固定パターンプロジェクタと撮像デバイスを提供することで、表面のより正確な表現を提供するために一緒に平均を取ることができる、同じ表面の複数の等価な測定値が得られることが分かった。特に、画像の位相対高さ分解能(phase to height resolution)は、実質的に同じである。したがって、方法は、平均されたトポグラフィデータの組を提供するために、第1の画像と少なくとも第2の画像から獲得したトポグラフィデータを平均するステップをさらに含むことができる。
【0024】
したがって、特定の一実施形態では、方法は、プローブが、プローブを介して光学的パターンが投影された物体の第1の画像を取得するステップを含むことができる。その場合、方法は、プローブを移動させるステップと、その後、プローブが、プローブを介して光学的パターンが投影された物体の第2の画像を取得するステップを含むことができる。上の説明に合わせて、プローブは、少なくとも1つの画像センサと、少なくとも1つのプロジェクタとを備えることができる。好ましくは、プローブは、単一の画像センサを備える。好ましくは、プローブは、単一のプロジェクタを備える。好ましくは、プロジェクタは、固定されたパターンを投影し、すなわち、プロジェクタは、固定パターンプロジェクタとすることができる。光学的パターンプロジェクタユニットと撮像デバイスは、例えばCMM(座標測定器)などの、座標位置決め装置上に取り付けることができる。それらが単一のプローブとして提供される実施形態では、好ましくは、プローブは、例えばCMMなどの、座標位置決め装置上に取り付けることができる。
【0025】
ステップiii)は、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定するステップと、その後、第2の画像から獲得したデータに基づいて、どのデータの組が物体の少なくともある領域を最も正確に表すかを選択するステップとを含むことができる。任意選択的に、データの組が識別されると、高さ情報を使用して、第1の画像と少なくとも第2の画像のいずれかから、物体を表すトポグラフィデータを生成することができる。任意選択的に、ステップiii)は、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定するステップと、その後、第2の画像から獲得したデータに基づいて、使用すべきデータの組を選択するステップとを含むことができる。したがって、本発明は、曖昧性を利用して、画像の一方から、異なる可能なトポグラフィに関する多くの異なるデータの組を決定することができるが、その後、他方の画像に基づいて、それらのうちのどれを、例えば、物体の少なくともある領域のトポグラフィを表すものとして選択すべきかを決定する。例えば、これは、データの組を第2の画像データから獲得したデータと照合することによって行うことができる。したがって、(複数の)特定のマーカフィーチャを必要とすることなく、または写真測量技法を使用することなく、曖昧性を解決することができる。選択されると、データの組は、様々な後続プロセスにおいて使用することができる。例えば、データの組は、物体の少なくともある領域を測定するために、および/または物体の少なくともある領域のサイズ、形、位置、向きのうちの少なくとも1つをチェックするために使用することができる。理解されるように、決定される異なるデータの組の数は、撮像デバイスの視野角および被写界深度とプロジェクタの視野角および被写界深度の間のオーバラップの体積、ならびに縞模様の間隔幅から推定することができる(例えば、それらのファクタとすることができる)。
【0026】
理解されるように、本文書における「第1の画像」および「第2の画像」などの用語の使用は、異なるパースペクティブから獲得した異なる画像を区別するために使用され、画像を獲得できた順序を暗示するためには使用されない。したがって、特定の実施形態に応じて、第1の画像は、第2の画像よりも先に、後に、または第2の画像と同時にさえ獲得することができる。理解されるように、第1の画像および第2の画像は、方法の一環として獲得することが、例えばキャプチャすることができる。任意選択的に、画像は、本発明の方法に先立って、カメラなどの撮像デバイスを介して獲得しておくことができる。したがって、この場合、方法は、例えばメモリデバイスまたは他のソースから、画像を取り出すステップを含むことができる。
【0027】
さらに、理解されるように、また以下でより詳細に説明するように、第1の画像を取得するステップは、第1のパースペクティブから獲得する、複数の第1の画像を取得するステップを含むことができ、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組は、複数の第1の画像の少なくとも1つの内に映し出された光学的パターンに基づいて決定することができる。また、第2の画像を取得するステップは、第2のパースペクティブから獲得する、複数の第2の画像を取得するステップを含むことができ、使用すべきデータの組を選択するステップは、複数の第2の画像の少なくとも1つに基づくことができる。
【0028】
理解されるように、方法は、少なくとも第3のパースペクティブから獲得する、物体の少なくとも第3の画像を取得するステップを含むことができる。その場合、ステップiii)は、第2の画像と第3の画像の少なくとも一方に基づいて、少なくとも1つのデータの組を選択するステップを含むことができる。異なるパースペクティブからの3つ以上の画像を使用することで、より大きな冗長性が提供され、実際のトポグラフィのより正確な決定を可能にすることができる。少なくとも第3の画像は、光学的パターンが投影された物体の画像を含むことができる。
【0029】
好ましくは、光学的パターンは、2つの次元に拡がる。好ましくは、光学的パターンは、実質的に周期的な光学的パターンである。理解されるように、光学的パターンは、一定の有限な距離をおいて反復するパターンとすることができる。反復間の最小距離を、パターンの周期とすることができる。好ましくは、光学的パターンは、少なくとも1つの次元において周期的である。任意選択的に、光学的パターンは、少なくとも2つの次元において周期的である。少なくとも2つの次元は、互いに直交することができる。
【0030】
好ましくは、少なくとも第1の画像内に映し出される光学的パターンは、物体のあるエリアにわたって投影される。好ましくは、パターンは、本発明の方法を使用して、あるエリアにわたる物体の複数の点の測定を容易にするように、物体のそのエリアにわたって拡がる。
【0031】
本発明とともに使用するのに適した光学的パターンは、様々な色、陰影、および/または色調の、同心円のパターン、線のパターンを含む。色、陰影、および/または色調は、2つ以上の異なる値の間で交替することができる。任意選択的に、色、陰影、および/または色調は、複数の個々の値の間で変化することができる。好ましくは、色、陰影、および/または色調は、光学的パターンにわたって連続的に変化する。好ましくは、周期的な光学的パターンは、縞模様パターンである。例えば、周期的な光学的パターンは、1組の正弦波の干渉縞である。
【0032】
光学的パターンは、赤外線から紫外線の範囲内にあることができる。好ましくは、光学的パターンは、可視の光学的パターンである。理解されるように、本発明の方法などの方法において使用する光学的パターンは、一般に、構造化された光パターンとも呼ばれる。
【0033】
理解されるように、物体の少なくともある領域のトポグラフィ(例えばトポグラフィデータ)は、物体のその領域の形状とサイズの少なくとも一方を含むことができる。理解されるように、形状は、物体の少なくとも1つの領域の表面形状を含むことができる。好ましくは、トポグラフィは、物体のその領域の少なくとも形状とサイズを含む。トポグラフィは、位置、向き、および質感のうちの少なくとも1つなど、物体のその領域に関する他の情報も含むことができる。高さデータは、トポグラフィデータの一例である。すなわち、少なくともある領域のトポグラフィは、例えば、撮像デバイス、特に撮像デバイスの結像面など、何らかの既知の基準に対する高さを記述するデータを含むことができる。
【0034】
ステップiii)は、複数の異なるデータの組のどれが、第2の画像から取得したデータと最も良く一致するかを決定するステップを含むことができる。ステップiii)は、複数の異なるデータの組のどれが、第2の画像から取得した物体の領域に関するデータと最も良く一致するかを決定するステップを含むことができる。
【0035】
データの組は、物体の領域のトポグラフィを直接的に記述することができる。例えば、データの組は、物体の少なくとも1つの領域にわたる、撮像デバイスに対する物体の表面の高さを表すデータを含むことができる。データの組は、物体の少なくとも1つの領域にわたる、物体の表面の勾配を表すデータを含むことができる。任意選択的に、データの組は、トポグラフィを決定できるデータを含むことができる。例えば、データの組は、映し出された光学的パターンに関するデータを含むことができる。例えば、データの組は、映し出された光学的パターンを記述するデータを含むことができる。特に、データの組は、映し出された光学的パターンの変化または変形を記述するデータを含むことができる。例えば、データの組は、映し出された光学的パターンの位相に関するデータを含むことができる。
【0036】
ステップiii)は、異なるデータの組の少なくともいくつかについて、データの組がそれについて獲得された物体の領域に対応する第2の画像の部分を決定するステップを含むことができる。これは、第2の画像の選択部分を使用することを必要とする必要があるだけなので、方法の効率性を改善することができる。
【0037】
データの組がそれについて獲得された物体の領域に対応する第2の画像の部分を決定するステップは、第1のパースペクティブと第2のパースペクティブについての知識に基づいて決定することができる。パースペクティブは、画像を獲得するデバイスの位置および/または向きを報告する測定機器から知ることができる。例えば、画像が、例えばCMM(座標測定器)などの座標位置決め装置上に取り付けられた撮像デバイスによって獲得される実施形態では、パースペクティブは、機械の測定センサから決定することができる。任意選択的に、パースペクティブは、写真測量技法または他の画像ベースの技法から、互いに対して推定することができる。
【0038】
ステップiii)は、複数の異なるデータの組のどれが、第2の画像から獲得したデータの形式と最も良く一致するかを決定するステップを含むことができる。したがって、第2の画像から獲得したデータと最も良く一致すると見なされたデータの組は、第2の画像から獲得したデータと同じではないが、同じように変化した値を有するデータの組とすることができる。すなわち、それらの絶対値は、実質的に一定のある量だけ互いに異なることができる。
【0039】
方法は、第2の画像内に映し出された光学的パターンに基づいて、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定するステップと、その後、第2の画像に基づいた異なる可能なデータの組を、第1の画像に基づいたそれらと比較して、最も密接に一致するデータの組を識別するステップとを含むことができる。
【0040】
任意選択的に、方法は、第1の画像に基づいた異なる可能なトポグラフィに関するデータの組の少なくともいくつかについて、第2の画像から獲得されることが予期できるデータを予測するステップと、予測データを、第2の画像から実際に獲得したデータと比較するステップとを含む。第2の画像から獲得したデータを最も正確に表す予測データをもたらす、第1の画像から獲得したデータの組を選択することができる。これは、データの組が、物体の領域の実際のトポグラフィを反映する可能性が高いトポグラフィに関連することの、良好な指標とすることができる。この手法は、第2の画像に基づいて、異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定する必要性を回避することができる。特に、これは、ただ1つのデータの組しか第2の画像から獲得する必要がないことを意味することができる。
【0041】
したがって、方法は、異なるデータの組の少なくともいくつかについて、それらから、第2のパースペクティブから獲得したときにそうであるべき、物体の領域に関するデータを推定するステップを含むことができる。その後、推定データは、第2の画像から実際に獲得した物体の領域に関するデータと比較することができる。データは、第1のパースペクティブと第2のパースペクティブについての知識から推定することができる。
【0042】
第2の画像から獲得するデータは、物体のトポグラフィを直接的に記述するデータを含むことができる。例えば、データは、物体の少なくとも1つの領域にわたる、撮像デバイスに対する物体の表面の高さを表すデータを含むことができる。データは、物体の少なくとも1つの領域にわたる、物体の表面の勾配を表すデータを含むことができる。任意選択的に、データは、トポグラフィを決定できるデータを含むことができる。任意選択的に、第2の画像から獲得したデータは、第2のパースペクティブから映し出された光学的パターンに関することができる。例えば、データは、第2のパースペクティブから映し出された光学的パターンの歪みに関することができる。特に、データは、第2のパースペクティブから映し出された光学的パターンの位相に関することができる。同様に、推定データは、予期されるトポグラフィデータを、または例えば、第2の画像からの獲得が予期される光学的パターンなど、トポグラフィを決定できる予期されるデータ(例えば、それは光学的パターンの予期される歪みに、または位相にさえ関することができる)を直接的に記述することができる。
【0043】
特定の一実施形態では、方法は、第1の画像と第2の画像の各々から獲得した位相マップ(phase map)情報を比較するステップを含むことができる。理解されるように、位相マップは、画像内の複数のピクセルについての、物体の表面に投影されたパターンの位相を含むデータマップである。したがって、方法は、第1の画像から複数の異なる可能な位相マップ(その各々は異なる可能なトポグラフィをもたらす)を獲得するステップと、第2の画像を使用して、どの位相マップが最も正確であるかを決定するステップとを含むことができる。
【0044】
特に、ステップiii)は、a)第1の画像から少なくとも1つの位相マップを計算するステップを含むことができる。これは、少なくとも1つのラップト位相マップ(wrapped phase map)を計算するステップを含むことができる。方法は、複数の異なる可能なアンラップト位相マップ(unwrapped phase map)を決定するステップを含むことができる。これは、少なくとも1つのラップト位相マップをアンラップすることによって行うことができる。方法は、b)少なくとも1つの位相マップから、物体の少なくともその領域についての可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を計算するステップをさらに含むことができる。ステップi)は、同じ第1のパースペクティブから実質的に獲得する、複数の第1の画像を取得するステップを含むことができ、複数の画像の間で、表面における光学的パターンの位相を変化させる。この場合、知られた位相ステッピングアルゴリズムを使用して、複数の画像から、少なくとも1つの位相マップを計算することができる。例えば、少なくとも1つの位相マップは、例えば、非特許文献1に説明されているようなカレアルゴリズム(Carre algorithm)を使用して計算することができる。
【0045】
ステップiii)は、第2の画像から位相マップを計算するステップをさらに含むことができる。これは、アンラップト位相マップを含むことができる。アンラップト位相は、第2の画像のラップト位相マップから生成することができる。ステップiii)は、ステップb)において決定された複数の異なるデータの組の少なくともいくつかについて、それらから、第2のパースペクティブについての対応する位相マップデータを推定するステップと、計算されたどの位相マップデータが、第2の画像の位相マップの対応する領域の形に最も密接に一致するかを識別するステップとをさらに含むことができる。第2の画像から獲得した位相マップの絶対値は、あるファクタ(例えば2πラジアン)を単位として誤っていることがあるが、これは、位相マップの形に影響せず、そのため、第1の画像から獲得した正しい位相マップの確実な決定を依然として行うことができる。ステップii)は、同じ第2のパースペクティブから実質的に獲得する、複数の第2の画像を取得するステップを含むことができ、複数の画像の間で、表面における光学的パターンの位相を変化させる。この場合、知られた位相ステッピングアルゴリズムを使用して、複数の第2の画像から、少なくとも1つの位相マップを計算することができる。例えば、少なくとも1つの位相マップは、カレアルゴリズムを使用して計算することができる。
【0046】
理解されるように、ステップi)、ii)、およびiii)は、適切な回路の制御下で実行することができる。適切な回路は、プロセッサを含むことができる。適切なプロセッサは、デジタルプロセッサおよび/またはアナログプロセッサを含む。プロセッサは、単一のプロセッサユニット、または互いに協力する複数の異なるプロセッサユニットを含むことができる。それらは、実質的に同一場所に配置すること、または異なる物理的筐体内に互いに離して配置することができる。各ステップは、共通のプロセッサユニットまたは別個のプロセッサユニットの制御下で実行することができる。特に、ステップiii)は、ステップi)およびステップii)を実行するためのプロセッサユニットとは別個のプロセッサユニットによって実行することができる。そのようなプロセッサユニットは、上で言及した方法だけに専用することができる。例えば、プロセッサユニットは、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を含むことができる。任意選択的に、プロセッサユニットは、多目的プロセッサを含むことができる。例えば、ステップi)からステップiii)のいずれか、またはすべては、少なくとも1つの汎用プロセッサ上で動作するソフトウェアの制御下で実行することができる。例えば、ステップi)からステップiii)のいずれか、またはすべては、汎用PC(パーソナルコンピュータ)上で動作するソフトウェアによって実行することができる。
【0047】
したがって、上で説明したように、また以下でも詳細に説明するように、i)第1のパースペクティブから獲得する、光学的パターンが投影された物体の第1の画像を取得するステップと、ii)第2のパースペクティブから獲得する、物体の第2の画像を取得するステップと、iii)第1の画像内に映し出された光学的パターンに基づいて、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定し、その後、第2の画像から獲得したデータに基づいて、使用すべきデータの組を選択するステップとを含む、物体を検査する方法が提供される。
【0048】
本発明の第2の態様によれば、検査する物体上に光学的パターンを投影するための少なくとも1つのプロジェクタと、第1のパースペクティブと少なくとも第2のパースペクティブから、光学的パターンが投影された物体の第1の画像と少なくとも第2の画像を獲得するための少なくとも1つの撮像デバイスと、第1の画像内に映し出された光学的パターンに基づいて、物体の少なくともある領域のトポグラフィを決定するように構成された解析器であって、第2の画像内に映し出された物体の対応する領域から獲得した位相データが、第1の画像から獲得した位相データまたはトポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために使用され、第2の画像内の物体上に当たるときの光学的パターンは、第1の画像内の光学的パターンとは異なる、解析器とを備える、物体の非接触検査のための装置が提供される。
【0049】
したがって、上で説明したように、また以下でも詳細に説明するように、検査する物体上に光学的パターンを投影するための少なくとも1つのプロジェクタと、第1のパースペクティブと少なくとも第2のパースペクティブから、少なくとも第1の画像において光学的パターンが投影された物体の第1の画像と少なくとも第2の画像を獲得するための少なくとも1つの撮像デバイスと、第1の画像内に映し出された光学的パターンに基づいて、物体の少なくともある領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定し、第2の画像に基づいて、データの組を選択するように構成された解析器とを備える、物体の非接触検査のための装置が提供される。
【0050】
本発明の一実施形態が、今から、以下の図を参照して、もっぱら例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による非接触方法を介して物体を測定するためのプローブが取り付けられた座標測定器の概略等角図である。
【図2】図1に示されたプローブのコンポーネントの概略図である。
【図3】図2に示されたプローブの撮像デバイスとプロジェクタの位置関係の概略図である。
【図4】図2に示されたプロジェクタの概略図である。
【図5】図1に示された装置の高レベル動作を示すフローチャートである。
【図6】パースペクティブごとに画像の組をキャプチャする方法を示す図である。
【図7】画像を解析する方法を示す図である。
【図8】最も正確なトポグラフィデータの組を選択する方法を示す図である。
【図9】プローブによって2つの異なるパースペクティブから獲得された、図1に示される物体の様々な画像を示す図である。
【図10】物体上の縞模様の位置が各画像において異なる、1組の縞模様シフト画像を示す図である。
【図11】第1のパースペクティブについての複数のラップト位相マップを示す図である。
【図12(a)】第1のパースペクティブについての可能なアンラップト位相マップを示す図である。
【図12(b)】第1のパースペクティブから獲得した画像の特定の領域についての1組の可能なアンラップト位相マップを示す図である。
【図13】各トポグラフィデータの組が図12(b)に示された複数の可能なアンラップト位相マップの1つから獲得される、異なるトポグラフィデータの組を示す図である。
【図14】図14(a)〜図14(e)は、図13に示された異なるトポグラフィデータの組から計算した予測アンラップト位相マップの、第2のパースペクティブから獲得した画像についてのアンラップト位相マップへのオーバラップを示す図である。
【図15】可能なアンラップト位相マップの範囲とプロジェクタ/カメラセットアップの間の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1を参照すると、本発明による測定プローブ4が取り付けられた、CMM(座標測定器)2が示されている。
【0053】
CMM 2は、フレーム12を支持する基台10を備え、フレーム12が、今度はクイル(quill)14を保持する。3つの相互に直交する軸X、Y、Zに沿ってクイル14を移動させるために、モータ(図示されず)が提供される。クイル14は、連接ヘッド16を保持する。ヘッド16は、クイル14に取り付けられた基部20と、中間部22と、プローブ保持部24とを有する。基部20は、第1の回転軸18を軸にして、中間部22を回転させるための第1のモータ(図示されず)を備える。中間部22は、第1の回転軸と実質的に直交する第2の回転軸を軸にして、プローブ保持部24を回転させるための第2のモータ(図示されず)を備える。示されてはいないが、連接ヘッド16の可動部分の間に、ベアリングを備えることもできる。さらに、示されてはいないが、基台10上に配置されたワークピースに対する測定プローブ4の位置を決定できるように、基台10、フレーム12、クイル14、および連接ヘッド16の相対的な位置を測定するための測定エンコーダを備えることができる。
【0054】
プローブ4は、プローブ保持部24に(例えばキネマティックマウント(kinematic mount)を使用して)着脱可能に取り付けられる。プローブ4は、プローブ4とプローブ保持部24上または内に備えられた対応する磁石(図示されず)を使用することによって、プローブ保持部24によって保持することができる。
【0055】
ヘッド16は、クイル14に対して自由度2でプローブ4を動かすことを可能にする。ヘッド16によって提供される自由度2と、CMM 2の平行移動の3つの直線軸(X、Y、Z)の組み合わせが、自由度5でプローブ4を動かすことを可能にする。
【0056】
CMM 2の動作を制御するためのCMMコントローラ27と、プローブ4の動作を制御するためのプローブコントローラ29と、プローブ4から獲得した画像を解析するための画像アナライザ31とを備える、コントローラ26も提供される。コントローラ26は、専用の電子制御システムとすることができ、および/またはパーソナルコンピュータを含むことができる。また、CMMコントローラ27、プローブコントローラ29、および画像アナライザ31は、図1に示されるように同じ物理ユニットの部分である必要はなく、例えば、別々の物理デバイスによって提供することができる。
【0057】
図1は、CMM 2のトップレベル記述を提供するに過ぎないことに留意されたい。そのような装置のより完全な説明は、別のところで見つけることができ、例えば、この言及によってその内容の全体が本明細書に組み込まれる特許文献2を参照されたい。
【0058】
ここで図2を参照すると、プローブ4は、処理ユニット42の制御下で、縞模様パターンを物体28上に投影するためのプロジェクタ40と、処理ユニット42の制御下で、縞模様パターンが投影された物体28の画像を獲得するための撮像デバイス44とを備える。理解されるように、撮像デバイス44は、物体28の画像をキャプチャするのに適した光学部品およびセンサを備える。説明する実施形態では、撮像デバイスは、画像センサを、特に像平面62を定義するCCDを備える。撮像デバイス44は、光が像平面62で焦点を結ぶようにするレンズ(図示されず)も備える。
【0059】
処理ユニット42は、処理ユニット42がコントローラユニット26内のプローブコントローラ29および画像アナライザ31と通信ライン46を介して通信できるように、それらに接続される。理解されるように、通信ライン46は、有線または無線の通信ラインとすることができる。プローブ4は、処理ユニット42によって使用される画像データなどのデータを一時的に記憶するための、RAM(ランダムアクセスメモリ)デバイス48も備える。
【0060】
理解されるように、プローブ4は、必ずしも処理ユニット42および/またはRAM 48を含む必要はない。例えば、すべての処理およびデータ記憶は、例えば、コントローラ26、またはプローブ4とコントローラ26の間に接続された中間デバイスなど、プローブ4に接続されたデバイスによって行うことができる。
【0061】
図3に示されるように、プロジェクタ40の像平面60と撮像デバイス44の像平面62は、プロジェクタ40の光軸61と撮像デバイスの光軸63が基準面64において交差するように、互いに対してある角度をなして配置される。使用の際、プローブ4は、物体の表面に投影される縞模様を、撮像デバイス44によって明瞭に撮像できるように配置される。
【0062】
図4を参照すると、プロジェクタ40は、コヒーレントな光源を生成するためのレーザダイオード50と、レーザダイオード50から発せられる光を平行にするコリメータ52と、1組の正弦波の干渉縞を生成するための回折格子54と、干渉縞が基準面64において焦点を結ぶようにするためのレンズアセンブリ56とを備える。理解されるように、他のタイプのプロジェクタも、本発明とともに使用するのに適している。例えば、プロジェクタは、光源と、プロジェクタから発せられる光をあるパターンで選択的に遮断し、透過させるためのマスクとを備えることができる。
【0063】
説明する実施形態では、プロジェクタ40によって投影される周期的な光学的パターンは、1組の正弦波の干渉縞である。しかし、理解されるように、例えば、異なる色または色調を有する1組の平行線(例えば、黒線と白線の交替、または平行な赤線と青線と緑線)、1組の同心円などの、あるいは点、四角形もしくは他の長方形、または不規則な形状のパターンのことすらある、他の形の構造化された光を投影することもできる。さらに、説明する実施形態では、プロジェクタ40は、1つの光学的パターンだけを投影することができる。すなわち、投影可能な光学的パターンは、固定されている。したがって、以下でより詳細に説明するように、物体上に当たるときの光学的パターンは、獲得する第1の画像と第2の画像の間におけるプロジェクタの移動のみが理由で、第1の画像と第2の画像について異なる。
【0064】
図5から図14を参照して、プローブ4の動作を今から説明する。
【0065】
最初に図5を参照すると、動作は、操作者がCMM 2をオンにしたときに、ステップ100において開始する。ステップ102において、システムは初期化される。これは、プローブ4を連接ヘッド16に装着すること、測定する物体28を基台10上に配置すること、CMM 2に対する連接ヘッド16の位置が分かるように、CMMのエンコーダをホーム位置または基準位置に送ることを含み、またCMM 2に対するプローブ4の基準点の位置が分かるように、CMM 2およびプローブ4を較正することも含む。初期化ステップ102の少なくとも一部は、コントローラ26の制御下で実行することができる。
【0066】
初期化および適切な較正が行われると、制御はステップ104に移り、この時点で、物体28の1組の画像が、コントローラ26内のCMMコントローラ27およびプローブコントローラ29の制御下で、プローブ4によって獲得される。このステップは、複数の画像の組が獲得されるように、複数回実行され、各組は、物体28の異なるパースペクティブまたは視点に対応する。説明する例では、2つの異なるパースペクティブに対応する2組の画像が獲得される。1組の画像を獲得するプロセスは、図6に関して以下でより詳細に説明する。以下でより詳細に説明するように、ラップト位相マップを獲得する特定の方法に応じて、パースペクティブごとに1組の画像を獲得することは必須ではない。各パースペクティブにおいてただ1つの画像を獲得することによって、本発明を実施することが可能である。
【0067】
画像のすべてが獲得されると、ステップ106において、コントローラ26内の画像アナライザ31によって、画像が解析される。画像アナライザ31は、3D(「3次元」)測定空間内における物体28の少なくとも一部の形状を記述する、CMM 2に対する1組の3D座標を、画像から計算する。画像を解析する方法は、図7を参照して、以下でより詳細に説明する。その後、ステップ108において、3D座標が、3D点群(point cloud)として出力される。理解されるように、3D点群は、後で使用するために、メモリデバイス上に記憶することができる。3D点群データは、物体の形状および寸法を決定し、それを所定の閾値データと比較して、物体28が所定の許容誤差内で作成されたかどうかを評価するために使用することができる。任意選択的に、3D点群は、物体28のビジュアル3Dモデルをユーザに提供する、グラフィカルユーザインタフェース上に表示することができる。
【0068】
動作は、システムがオフにされたときに、ステップ110において終了する。あるいは、ステップ104からステップ108を反復することによって、後続の動作を開始することができる。例えば、ユーザは、同じ物体28について複数組の測定データを獲得すること、または異なる物体について測定データを獲得することを望むことがある。
【0069】
ここで図6を参照すると、あるパースペクティブについての画像の組をキャプチャするプロセス104が、今から説明される。プロセスは、ステップ200において開始し、この時点で、プローブ4は、第1のパースペクティブに移動される。説明する実施形態では、クイル14を動かすためにCMM 2のモータを制御するジョイスティック(図示されず)をコントロールすることで、ユーザはプローブ4を移動させることができる。理解されるように、測定動作中にプローブ4が自動的に所定のパースペクティブまで移動するように、第1の(および後続の)パースペクティブを事前に決定し、CMMコントローラ27にロードすることができる。さらに、異なる位置決め装置上で、ユーザは、プローブ4をパースペクティブまで物理的にドラッグすることができ、位置決め装置は、例えば、装置の可動部上に取り付けられたエンコーダを介して、プローブ4の位置を監視する。
【0070】
プローブ4が第1のパースペクティブに位置付けられると、ステップ202において、初期化画像が獲得される。これは、プローブコントローラ29が、プローブ4の処理ユニット42に信号を送り、それによって、処理ユニット42に、画像をキャプチャするように撮像デバイス44を操作させることを含む。
【0071】
初期化画像は、画像アナライザ31に送り返され、ステップ204において、画像品質プロパティについて画像が解析される。これは、例えば、光の平均強度および画像のコントラストを決定し、それらを所定の閾値レベルと比較して、画像品質が測定プロセスを実行するのに十分であるかどうかを判定することを含むことができる。例えば、画像が暗すぎる場合、投影された縞模様パターンの明るさを増すために、および/または撮像デバイス44の露光時間または利得を調整するために、撮像デバイス44またはプロジェクタ40のプロパティを変更することができる。説明する実施形態では、物体28についての測定データを獲得するために、後続のプロセスでは、初期化画像は使用されず、そのため、画像の解像度など、初期化画像のある側面は、以下で説明するような測定画像のものほど高い必要はない。しかし、理解されるように、望む場合は、「画像解析」プロセス中に、初期化画像を使用して、測定データを獲得することができる。さらに、代替実施形態では、パースペクティブ位置における光量を測定するために、撮像デバイスとは別個の、フォトダイオードなどの光センサを、プローブ内に備えることができ、フォトダイオードの出力は、プロジェクタ40および/または撮像デバイス44をセットアップするために使用される。
【0072】
理解されるように、初期化画像を獲得するステップ202と、プローブパラメータをセットアップするステップ204は、任意選択的である。例えば、プローブ4は、動作に先立ってセットアップすることができ、および/またはプローブ4は、別の方法でセットアップすることができる。例えば、ユーザは、動作前または動作中に、手動でプローブを構成することによって、プローブをセットアップすることができる。
【0073】
プロジェクタ40および撮像デバイス44がセットアップされると、ステップ206において、第1の測定画像が獲得される。測定画像が意味するものは、以下でより詳細に説明する「画像解析」プロセス106において使用される画像である。第1の測定画像の獲得は、プローブコントローラ29が、プローブ4の処理ユニット42に信号を送り、それによって、その後、処理ユニット42に、物体28上に縞模様パターンを投影するようにプロジェクタ40を操作させることと、撮像デバイス44が、縞模様パターンをその上に有する物体28の画像を同時にキャプチャすることとを含む。
【0074】
第1の測定画像は、画像アナライザ31に送り返され、ステップ208において、第1の測定画像が、やはり画像品質プロパティについて解析される。画像品質が、以下で説明する「画像解析」プロセス106における使用に十分である場合、制御はステップ210に移り、そうでない場合は、制御はステップ204に戻る。理解されるように、画像品質をチェックするステップ208は、任意選択的であり、画像品質は「画像解析」プロセス106における使用に十分であると仮定することができる。
【0075】
ステップ210において、位相シフト画像が、現在のパースペクティブについて獲得される。位相シフト画像は、実質的に同じパースペクティブからの、しかし画像ごとに縞模様の位置が僅かに異なる、物体の複数の画像である。
【0076】
位相シフト画像を獲得する多くの知られた方法が存在する。例えば、コンピュータ制御の液晶システムを使用して、写真を獲得する間に発せられる縞模様パターンの間隔幅および位相を変化させる、プロジェクタが開示されている(例えば、特許文献3参照。)。物体上に投影される縞模様の位置を、ひいては物体の表面における縞模様の位相を変化させるために操作できる内部屈折器を備える縞模様プロジェクタを有する構造化光解析システムが開示されるとともに、物体を移動させて、物体上の縞模様を位置付け直すことも開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、物体の実質的に同じパースペクティブビューを依然として維持しながら、物体に対してプロジェクタを移動させて、物体上に投影される縞模様の位置の変化を縞模様の間隔幅の分数単位で引き起こすことを含む、位相シフト画像を獲得するための方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。そのような方法は、投影される縞模様をプロジェクタが変更する必要がないので、現在説明中の実施形態のプローブ4とともに使用するのに特に適している。特許文献1の全内容は、この言及により本明細書に組み込まれる。
【0077】
以下でより詳細に説明するように、位相シフト画像は、与えられたパースペクティブについての1つの画像の少なくとも部分について、映し出された縞模様パターンの位相を記述する位相マップを生成する際に使用される。理解されるように、これを行うためには、1組の位相シフト画像を獲得する必要はない。例えば、位相マップは、縞模様パターンのただ1つの画像に対してフーリエ変換を実行することによって獲得することができる。したがって、使用する方法に応じて、位相シフト画像を獲得するステップ210は、任意選択的である。
【0078】
位相シフト画像が獲得されると、その後、ステップ212において、画像のすべてが、解析のために画像アナライザ31に送り返される。理解されるように、各画像が獲得されたときにプローブ4があった位置および向きに関するデータは、以下でより詳細に説明するように、CMM 2に対する物体28の3D座標を獲得できるように、各画像とともに画像アナライザ31に提供される。その後、プロセスは、ステップ214において終了する。
【0079】
上で説明したように、パースペクティブごとに画像の組をキャプチャするプロセス104は、複数の異なるパースペクティブのために複数回反復される。説明するこの例では、パースペクティブごとに画像の組をキャプチャするプロセスは、第1のパースペクティブと第2のパースペクティブのために2回実行される。プローブ4は、上で説明したように、ユーザまたはコントローラ26の制御下で、各パースペクティブに移動される。
【0080】
上記のステップ中に獲得される画像のタイプの例が、図9および図10に示されている。特に、図9の行Aは、2つのパースペクティブの両方において、縞模様がその上に投影されていない物体28の絵図を示している。行Bは、第1のパースペクティブと第2のパースペクティブの各々について、パースペクティブごとに画像の組をキャプチャするプロセス104のステップ206において、撮像デバイス44によって獲得した画像1000を示している。それらの画像1000の背後には、第1のパースペクティブと第2のパースペクティブの各々について、ステップ300およびステップ302の実行中に獲得される、縞模様シフト画像1002、1004、1006が概略的に示されている。図10(a)から図10(d)は、第1のパースペクティブについて獲得した縞模様シフト画像1000〜1006の例を示している。
【0081】
画像を解析するためのプロセス106が、図7を参照して今から説明される。プロセスは、ステップ400において開始し、少なくとも1つのラップト位相マップが、第1のパースペクティブについて計算される。理解されるように、ラップト位相マップは、あるパースペクティブの画像の組のうちの測定画像の1つにおける複数のピクセルについての、物体の表面に投影された縞模様の位相を含むマップであり、位相角は、360度(すなわち2πラジアン。理解されるように、360度への言及と2πラジアンへの言及は交換可能である)の範囲内に拘束される。図11(a)は、第1のパースペクティブについて計算された、ラップト位相マップの図である。
【0082】
ラップト位相マップを計算するための多くの知られた方法が存在する。これらは、物体上の縞模様のただ1つの画像に対してフーリエ変換を実行すること、または知られた位相シフトアルゴリズムを使用して、各ピクセルにおけるラップト位相を計算することを含む。例えば、非特許文献1に説明されているようなカレアルゴリズムなど、適切な位相シフトアルゴリズムを使用して、ラップト位相、位相シフト、および変調振幅を計算することができる。
【0083】
ステップ402において、解析すべき画像の領域が識別される。物体および所望の結果に応じて、領域は画像の全体を含むことができる。例えば、画像が、実質的に平坦な、または形状が滑らかに変化する、物体の一部だけからなる場合がそうであろう。任意選択的に、画像の一部だけを解析するのが望ましいことがある。例えば、物体の特定の領域だけに関心がある場合がそうであろう。例えば、物体が複数の面を含み、それらを個々に解析すべき場合もそうであろう。以下で説明する実施形態は、後者の状況を扱い、特に、物体28の中段上面37に対応する、領域37についてのトポグラフィデータを識別し、決定することに関する。
【0084】
異なる面を個々に解析すべき場合、これは、それらの面が画像内のどこにあるかを識別することを含むことができる。これを行う1つの方法は、映し出された縞模様パターン内に不連続性を探すことを含むことができる。その理由は、はっきりしたフィーチャは縞模様パターンにステップ変化を引き起こすからである。これが今度は、ラップト位相マップに不連続性をもたらす。これが図11(a)に示されており、物体のエッジに沿って位相のステップ変化が存在することが見てとれる(例えば、ポイント34のエッジ上の位相のステップ変化を見られたい)。
【0085】
しかし、不連続性は、位相マップのラップという性質が原因でも存在する。例えば、隣接ピクセルは、例えば、0度と360度に近い位相値をそれぞれ有することがある。その場合、それらのピクセルの間にあたかも大きな位相の飛躍が存在するように見え、これが不連続性として識別される。しかし、位相の飛躍は、測定する物体の表面の不連続性に起因するのではなく、位相が元に戻った結果として、引き起こされたに過ぎない。これの一例を、図11(a)のポイント36に見ることができ、そこでは、位相値が、360度から0度に飛躍している(それぞれ暗いピクセルと明るいピクセルによって示されている)。隣接ピクセルの位相値は、ラップト位相マップが原因で、ポイント36において著しく飛躍する。
【0086】
したがって、どの不連続性が物体のフィーチャによって引き起こされ、どれが位相マップのラップという性質によって引き起こされたのかを判定することが有利なことがある。これを達成する1つの方法は、物体のエッジが画像内のどこにあるかを識別するために、および/またはどの不連続性が物体によって引き起こされた不連続性であるかを識別するために、キャニーエッジ検出(Canny edge detection)(例えば、非特許文献2参照。)などの画像処理技法を使用することとすることができる。したがって、この場合、ただ1つのラップト位相マップが必要とされる。別の方法(例えば、特許文献1参照。)は、異なる順序でそのパースペクティブについての位相シフト画像の各々を使用して、複数のラップト位相マップを獲得することを含む。その後、ラップト位相マップを比較して、共通の不連続性を識別し、それによって、物体のエッジを指摘することができる。図11(b)から図11(d)は、図11(a)のラップト位相マップを生成するのに使用されたのと同じであるが、順序が異なる、4つの画像を使用して生成された、ラップト位相マップを示している。見て分かるように、図11(a)のポイント36における不連続性は、他のラップト位相マップには存在せず、そのため、「偽の」不連続性として安全に廃棄することができる。したがって、本当の不連続性のすべてが識別されると、その後は、ラップト位相マップを多くの領域に分割することが可能である。
【0087】
次のステージは、識別された領域において、ラップト位相マップをアンラップして、その領域についてのアンラップト位相マップを生成することを含む。これは、位相計算アルゴリズムに起因して見出された不連続性を除去するために必要とされる、選択した個々のピクセルのラップト位相に360度の整数倍を加算または減算することを含む。しかし、理解されるように、正しいアンラップト位相マップの獲得は、少なくとも1つの点におけるアンラップト位相マップの正しい値を知ること、または(少なくとも1つの点について正しい位相が計算できるように)少なくとも1つの点についてカメラと物体の間の絶対距離を知ることを必要とする。360度の加算または減算を開始すべき場所が決定されるように、これを知る必要がある。それが分からない場合、アンラップト位相マップは、2πラジアン(すなわち360度)の任意の倍数だけ正しくないことがある。説明するプロセスのこのステージでは、正しい絶対位相も、絶対距離も分からない。したがって、例示的な方法は、すべての可能なアンラップト位相マップを計算することを含み、アンラップト位相マップの1つは、正しいものであるが、その他は、2πのある倍数だけ正しくない。
【0088】
図12(a)を参照すると、第1のパースペクティブにおいて獲得された画像についての1つの可能なアンラップト位相マップが示されている。図12(a)のアンラップト位相マップは、各領域について、ラップト位相マップ上の特定の与えられた位相値を表す領域内の点を開始点として取得することによって(例えば、位相が360°から0°位相を表す0°に変化する線、例えば、図11(a)の領域37の左側の最初の白線全体)、各関領域について順々に計算され、その後、位相が0°に戻るたびに、位相がラップされるのを避けるために、適切な点において、360°のある倍数が、各ピクセルにおける位相値に加算される。図12(a)に示されるアンラップト位相マップでは、物体28の中段上面37、物体28の上面39についてだけでなく、物体28が置かれた面についても、アンラップト位相が計算される。図12(b)のデータの組i)は、図12(a)に示される中段上面領域37について計算されたアンラップト位相マップを示している。
【0089】
方法は、特定の関心領域について、他の可能なアンラップト位相マップのすべてを計算するステップをさらに含む。これらは、単に第1のアンラップト位相マップ内のデータに360°の倍数を加算(または減算)することによって生成される。したがって、図12(b)に示されるデータの組ii)からiv)は、このようにして生成された、領域37についての他の可能なアンラップト位相マップを示している。プロセスのこのステージでは分からないが、本発明の方法の説明のために、アンラップト位相マップii)が、正しいアンラップト位相マップであるとする。
【0090】
理解されるように、可能なアンラップト位相マップの数は、縞模様投影プローブの測定体積の大きさと、投影される縞模様の間隔幅とによって制限される。光学システムが動作できる体積は、光学システムの視野角をその光学システムの被写界深度にわたって投影することによって、境界が定まると考えることができる。プローブは、2つの光学システムを組み合わせて、測定値を生成する。したがって、測定体積の大きさは、カメラの視野角および被写界深度と、プロジェクタの視野角および被写界深度がオーバラップする体積から、推定することができる。
【0091】
例えば、図15では、全位相範囲は、−1440度から1080度までであり、そのため、どのアンラップト位相値についても、最大で8個(=(1080−−1440)/360+1)の可能なアンラップト位相値が存在する。この範囲外のアンラップト位相はいずれも、カメラおよびプロジェクタの測定体積の外部の3D点に対応する。
【0092】
したがって、可能なアンラップト位相マップの数は、縞模様投影プローブの測定体積と、投影される縞模様の間隔幅とによって制限される。
【0093】
ステップ404は、ステップ402において生成された各アンラップト位相マップについてトポグラフィデータの組を生成することを含む。説明する方法では、これは、アンラップト位相マップを、識別された領域についての高さマップに変換することを含む。ピクセルについての位相は、物体の表面までの距離に依存する。したがって、所定のマッピングテーブルおよび手順を使用して、各ピクセルの位相値を高さ値に直接的にマッピングすることによって、その位相マップから領域についての高さマップを生成することが可能である。したがって、生成されるトポグラフィデータは、アンラップト位相マップに依存する。3D空間内のトポグラフィデータの計算された位置が、アンラップト位相マップに依存するばかりでなく、トポグラフィデータによって記述される物体の形(例えば形状)も、アンラップト位相マップに依存する。
【0094】
したがって、ステップ404の後、特定の領域について計算された、多くの異なる可能なトポグラフィデータの組が存在する。図13のデータの組i)からiv)は、それぞれ、図12(b)に示された異なるアンラップト位相マップi)からiv)の各々についての、物体の中段上面領域37について獲得されたトポグラフィデータの組を示している。したがって、データの組ii)は、物体の中段上面領域37の実際のトポグラフィの最も正確な表現である可能性が高く、そのため、以降の使用のために選択される。以下の説明は、本発明の方法を使用して、これがどのように確立されるかについて説明する。
【0095】
ステップ406は、それらの異なる可能なトポグラフィデータの組のうちのどれを選択すべきかを、第2のパースペクティブから獲得した画像を使用することによって決定することを含む。これを行う際に必要とされるステップが、図8に関連して、今からより詳細に説明される。
【0096】
方法は、ステップ500において開始し、この時点で、アンラップト位相マップが、第2の画像から獲得される。理解されるように、これは、上で説明した方法のいずれかを使用して、ラップト位相マップを生成することと、その後、位相計算アルゴリズムに起因して見出された不連続性を除去するために必要とされる、360度(すなわち2πラジアン)の整数倍の加算(または減算)を個々のピクセルのラップト位相に施すことによって、それをアンラップすることを含む。図14(a)は、第2のパースペクティブについてのアンラップト位相マップの一例である。第1のパースペクティブについての位相マップのアンラップと同様に、正しい絶対位相は分からない。したがって、やはり、生成できる複数の可能な位相マップが存在し、そのうちの1つだけが正しい。それにも係わらず、第2のパースペクティブについては、アンラップト位相マップを1つ生成する必要があるだけであり、今説明している実施形態の目的にとっては、2πラジアン(すなわち360度)のある倍数だけ正しくないかどうかは問題ではない。その理由は、以下で説明するように、予測アンラップト位相の形を、第2のパースペクティブについてのアンラップト位相マップのそれと比較することによって、正しいトポグラフィデータが選択されるからである。アンラップト位相マップの形は、2π誤差によって影響されず、絶対値が、影響されるだけである。
【0097】
次のステップ502は、ステップ404において獲得したトポグラフィデータの組の1つの取得することと、選択したトポグラフィデータの組が正しいアンラップト位相マップから生成されたと仮定して、そのトポグラフィデータの組について、第2のパースペクティブのアンラップト位相マップにおける、対応するアンラップト位相およびアンラップト位相の位置を予測することとを含む。これは、各パースペクティブにおけるカメラの位置および向きについての知識に基づいて、行うことができる。その後、ステップ506において、予測アンラップト位相マップの形が、決定された位置における実際のアンラップト位相マップの形と比較され、それらの形がどれだけ密接に一致しているかを決定する。これが、異なる計算されたトポグラフィデータの組の各々について反復される。(正しくないアンラップト位相マップに同じく基づいた)正しくないトポグラフィデータから生成された予測アンラップト位相マップの形は、第2の画像から獲得した中段上面37に対応する実際のアンラップト位相マップの部分と一致しないばかりでなく、予測アンラップト位相マップがそれと比較される、第2の画像から実際に獲得したアンラップト位相マップの対応する部分の予測位置も誤っている。したがって、最も正確なトポグラフィデータから獲得した(すなわち、第1の画像の正しいアンラップト位相マップから獲得した)予測アンラップト位相マップだけが、中段上面領域37に実際に対応する、第2の画像から獲得したアンラップト位相マップの部分と比較される。
【0098】
このプロセスは、図14(b)から図14(e)に概略的に示されており、与えられたトポグラフィデータの組についての(黒で示された)予測アンラップトデータが、その予測位置において、第2のパースペクティブにおいて獲得された画像から生成された実際のアンラップト位相マップ上に重ねられている。図14(b)から図14(e)に示された予測アンラップト位相マップi)からiv)は、図13に示されたトポグラフィデータの組i)からiv)にそれぞれ対応する。見て分かるように、予測アンラップト位相マップii)の予測位置は、中段上面37を表す、第2の画像の部分と実際に一致する。しかし、他の予測位相マップi)、iii)、iv)の予測位置は、中段上面に完全には対応しない、第2の画像から獲得したアンラップト位相マップ内の点に対応する。さらに、予測アンラップト位相マップii)は、第2の画像のその部分において、第2の画像のアンラップト位相に密接に一致する形を有する唯一の位相マップである。したがって、図14(b)のデータの組ii)が、予測データの組i)からiv)のすべてのなかで、最も密接な一致を提供する。
【0099】
その後、ステップ508において、第2の画像のアンラップト位相マップのものと最も密接に一致する形を有する、「予測」アンラップト位相マップに関連するトポグラフィデータの組が、物体の領域の実際のトポグラフィを最も正確に表すトポグラフィデータであるとして選択される。説明する例では、これは、図13のデータの組ii)である。上で説明したように、このトポグラフィデータは、3D点群として出力される。理解されるように、すでに生成されたデータの組を単に選択する代わりに、このプロセスによって導出された絶対高さ情報に基づいて、新たなデータの組を生成することができる。新たなデータの組は、第1の画像、第2の画像から、またはプロセスで使用される物体の他の任意の画像からさえも生成することができる。さらに、ステップ508における方法はまた、任意選択的に、第2の画像(および/またはプロセスで使用される他の任意の画像)から、領域についてのトポグラフィデータを計算することと、その後、平均されたトポグラフィデータの組を獲得するために、両方の画像から獲得したトポグラフィデータを一緒に平均することとを含むことができ、平均されたトポグラフィデータの組は、一方の画像だけから獲得したデータよりも、領域の実際のトポグラフィを正確に表すことができる。
【0100】
上で説明した実施形態は、光学的な縞模様パターンを使用する。しかし、必ずしもそうである必要はない。例えば、光学的パターンは、1組の線またはスポットを含むことができる。これらの場合、トポグラフィデータが獲得される位相マップを生成する代わりに、特定の線(または点)が投影された物体上の点の3D位置を、画像内でその線(またはスポット)が検出された位置から計算することができるように、システムを較正することができる。しかし、特に同一の線(またはスポット)が反復するパターンの場合、与えられた位置にどの特定の線(またはスポット)が映し出されているかが分からないことがある。しかし、有限の数の線(またはスポット)しか投影されないので、検討される各点の可能な3D位置は、有限の数しか存在しない。その場合、画像の1つに映し出された光学的パターンから、多くの異なる可能なトポグラフィを計算することが可能である。その場合、方法は、それらのトポグラフィの各々について、第2の画像についてのパターンの位置および形を推定することと、それらを第2の画像内に映し出された光学的パターンと比較することと、最良の一致をもたらす光学的パターンがそれから推定されたトポグラフィを選択することとを含むことができる。
【0101】
上で説明した方法では、ただ2つのパースペクティブから画像を獲得して使用した。しかし、例えば、検討されるエリアが小さい場合、または位相アンラッピングに先立つエッジ検出処理によって検出されなかったステップをエリアが含む場合など、曖昧な結果が獲得されることもあり得る。エリアが小さい場合、予測位相マップの形は、第2の画像のアンラップト位相マップ内の2つ以上の予測エリアと密接に一致することがある。エリアが未検出のステップを含む場合、予測アンラップト位相マップの形は、第2の画像のアンラップト位相マップ内のどの予測エリアの形とも密接に一致しない。どちらの場合も、曖昧性は、1つまたは複数のさらなるパースペクティブからの画像を同様の方法で解析することによって解決することができる。したがって、少なくとも3つのパースペクティブから、光学的パターンが投影された物体の画像を獲得するために、図5のステップ104を3回以上実行することが可能であり、またどれが選択すべきデータの組であるかを決定するために、ステップ406が、獲得した他の画像の各々を用いて、図8の方法を反復することを含むことが可能である。
【0102】
すべての可能な悪化データセット(degenerate dataset)の計算を使用する、上で説明した方法は、物体の表面を最も良く記述するトポグラフィデータを計算するための必ずしも唯一の方法ではない。すべての悪化データセットを計算する代わりに、知られた最適化技法を使用して、各パースペクティブについて、2πの倍数の任意に選択した値から開始して、複数のパースペクティブからトポグラフィデータを計算することができる。最小化される関数が、異なるパースペクティブから生成したトポグラフィデータの相違の尺度となる。関数は、例えば、異なるパースペクティブの間で生じる最も近い点の間のRMS距離とすることができ、あるいは関数は、異なるパースペクティブからの点に合致する表面の間の距離および角度の尺度とすることができ、または複数のパースペクティブからの検討中の領域についての形状の距離もしくは絶対位相の距離に関する他の任意の適切な関数とすることができる。そのような関数は、一般に、非線形で、離散的で、複数の極小値を有することができる。可能な最適化技法は、分岐限定法または切除平面法などの、整数計画法、複数の異なる開始点を有し、解空間の離散性を考慮するために分岐限定法と組み合わされる、例えば勾配降下法などの、非線形最適化アルゴリズム、およびシミュレーテッドアニーリングまたは量子アニーリングなどの、メタヒューリスティクス手法または確率的方法を含む。そのような最適化技法は、多くの可能な解が利用可能である場合に、すなわちプローブの測定体積が大きく、縞模様の間隔幅が小さく、および/または多くのパースペクティブが使用され、2π調整値の多くの可能な組み合わせがもたらされる場合に、上で詳細に説明したようにすべての可能な異なる2π調整値をチェックするよりも好ましくなるだけのことが多い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体のエリアのトポグラフィを、前記物体上に投影されたパターンの位相の解析を介して検査する非接触方法であって、
i)第1のパースペクティブから獲得された、光学的パターンが投影される前記物体の第1の画像を取得するステップと、
ii)第2のパースペクティブから獲得された、光学的パターンが投影される前記物体の第2の画像を取得するステップであって、前記第2の画像内の前記物体上に当たるときの前記光学的パターンは、前記第1の画像内の前記光学的パターンとは異なる、ステップと、
iii)前記第1の画像内に映し出された前記光学的パターンの少なくとも1つの領域の位相に関する位相データに基づいて、前記物体の少なくとも1つの領域のトポグラフィを記述するデータを決定するステップであって、前記第2の画像内に映し出された前記物体の対応する領域から獲得した位相データが、前記第1の画像から獲得した前記位相データまたは前記トポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために使用される、ステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップi)における、前記物体と前記光学的パターンのプロジェクタとの相対的な位置および相対的な向きの少なくとも一方は、ステップii)における、前記物体と前記光学的パターンのプロジェクタとのそれとは異なることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップi)において映し出された前記光学的パターンの前記プロジェクタと、ステップii)において映し出された前記光学的パターンの前記プロジェクタは、少なくとも1つのプロジェクタを備える共通の光学的パターンプロジェクタユニットによって提供され、前記方法が、ステップi)とステップii)の間に、前記物体と前記光学的パターンプロジェクタを相対的に移動させるステップをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記物体に対して前記光学的パターンプロジェクタユニットを移動させるステップを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップii)において映し出された前記光学的パターンの前記プロジェクタは、ステップi)において映し出された前記光学的パターンの前記プロジェクタであることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
ステップi)およびステップii)において前記物体上に投影された前記光学的パターンは、同じであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の画像と少なくとも第2の画像は、少なくとも1つの画像センサを備える共通の撮像デバイスによって獲得され、前記方法が、前記第1のパースペクティブから前記第2のパースペクティブに前記撮像デバイスを移動させるステップを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記光学的パターンプロジェクタユニットおよび前記撮像デバイスは、互いに対して一定の空間的関係にあることを特徴とする請求項3および7に記載の方法。
【請求項9】
前記光学的パターンプロジェクタユニットおよび前記撮像デバイスは、座標位置決め装置上に取り付けられることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学的パターンプロジェクタユニットおよび前記撮像デバイスは、単一のプローブとして提供されることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記領域についての前記第1の画像からのデータを、少なくとも1つの領域についての前記第2の画像から導出したデータと比較して、前記位相データまたは前記トポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために、相関する領域データを識別するステップを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記第1の画像および前記第2の画像から導出したデータを反復的に比較して、前記位相データまたは前記トポグラフィデータのあらゆる曖昧性を推定によって解決するステップを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップiii)は、前記物体の少なくとも1つの領域の異なる可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を決定するステップを含むことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ステップiii)は、前記位相データまたは前記トポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために、前記第2の画像から獲得したデータに基づいて、どのデータの組が前記物体を最も正確に表すかを識別するステップを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の画像から獲得したデータに基づいて、使用すべきデータの組を選択するステップを含むことを特徴とする請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
ステップiii)は、前記複数の異なるデータの組のどれが、前記第2の画像から獲得したデータと最も一致するかを決定するステップを含むことを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
ステップiii)は、前記複数の異なるデータの組のどれが、前記第2の画像から獲得した前記物体の前記領域に関するデータと最も一致するかを決定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ステップiii)は、前記第1のパースペクティブおよび前記第2のパースペクティブについての知識に基づいて、前記異なるデータの組の少なくともいくつかについて、前記データの組がそれについて獲得された前記物体の前記領域に対応する前記第2の画像の部分を決定するステップを含むことを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ステップiii)は、前記複数の異なるデータの組のどれが、前記第2の画像から獲得した前記データの形式と最も一致するかを決定するステップを含むことを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記異なるデータの組の少なくともいくつかについて、それらから、前記第2のパースペクティブから獲得したときにそうあるべき、前記物体の前記領域に関するデータを推定するステップと、
前記推定したデータを、前記第2の画像から実際に獲得した前記物体の前記領域に関するデータと比較するステップと
を含むことを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記推定したデータは、前記第2の画像から獲得されることが予期される光学的パターンに関することを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記推定したデータと前記実際のデータは、前記光学的パターンの歪みに関することを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記推定したデータと前記実際のデータは、前記光学的パターンの位相に関することを特徴とする請求項20から21のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
ステップiii)は、
a)前記第1の画像から少なくとも1つの位相マップを計算するステップと、
b)前記少なくとも1つの位相マップから、前記物体の少なくとも前記領域についての可能なトポグラフィに関する複数の異なるデータの組を計算するステップと
を含むことを特徴とする請求項1から23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ステップi)は、同じ第1のパースペクティブから実質的に獲得された、複数の第1の画像を取得するステップを含み、ステップa)は、前記複数の画像から前記少なくとも1つの位相マップを計算するステップを含むことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップiii)は、
x)前記第2の画像から位相マップを計算するステップと、
y)ステップb)において決定された前記複数の異なるデータの組の少なくともいくつかについて、それらから、前記第2のパースペクティブについての対応する位相マップデータを推定するステップと、
z)計算されたどの位相マップデータが、前記第2の画像の位相マップの対応する領域の形に最も一致するかを識別するステップと
をさらに含むことを特徴とする請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
ステップii)は、同じ第2のパースペクティブから実質的に獲得された、複数の第2の画像を取得するステップを含み、ステップx)は、前記複数の画像から前記少なくとも1つの位相マップを計算するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
物体の非接触検査のための装置であって、
検査される前記物体上に光学的パターンを投影するための少なくとも1つのプロジェクタと、
第1のパースペクティブと少なくとも第2のパースペクティブから、前記光学的パターンが投影される前記物体の第1の画像と少なくとも第2の画像を獲得するための少なくとも1つの撮像デバイスと、
前記第1の画像内に映し出された前記光学的パターンに基づいて、前記物体の少なくとも1つの領域のトポグラフィを決定するように構成された解析器であって、前記第2の画像内に映し出された前記物体の対応する領域から獲得した位相データが、前記第1の画像から獲得した前記位相データまたは前記トポグラフィデータのあらゆる曖昧性を解決するために使用され、前記第2の画像内の前記物体上に当たるときの前記光学的パターンは、前記第1の画像内の前記光学的パターンとは異なる、解析器と
を備えることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2013−504752(P2013−504752A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528441(P2012−528441)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001675
【国際公開番号】WO2011/030090
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】