説明

音声通知システム,音声定位制御装置および音声定位制御方法

【課題】運転者が対象物との距離感や移動感を感じ易くする。
【解決手段】通知音声に関する音声信号を出力する音声信号出力部15と、この音声信号出力部15から出力された音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成部11と、音声信号出力部15から出力された音声信号と、残響音信号生成部11によって生成された残響音信号とをミキシングするミキシング部12と、ミキシング部12によってミキシングされた音声信号および残響音信号を通知音声として出力する出力部30と、ミキシング部12における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更可能なミキシング比率制御部14とをそなえる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両等の移動体に搭載され、対象物に関する通知音声を出力することにより、運転者に対する運転支援を行なう音声通知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の移動体において、搭載されたカーナビゲーションシステムやクリアランスソナーからの通知音声に方向感や移動感を付加することにより、運転者の運転支援を行なう手法が開発されている。
例えば、下記特許文献1には、ガイド音声に時間差と音量差とを付加することにより、運転者が、交差点での曲がる方向や距離感を感覚的に認知,判断できるようにしたナビゲーション装置が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、運転者に目標となる交差点までの距離感を的確に把握させて、その交差点での右,左折等のタイミングを適切にとることができるようにするために、車両の現在位置と交差点との距離が縮まっていくに従ってその出力の発生間隔を次第に短くしたり、例えば、「左へ曲がって下さい」から「そろそろ左へ曲がって下さい」に変更するように、音声出力の内容を変更する車両走行案内装置が開示されている。
【0004】
さらに、下記特許文献3には、進路誘導のための指示音声を運転者の方向感覚、距離感覚に即した状態で運転者に聴取させ、指示内容の認知を容易かつ確実に行なわせるために、指示音声が当該相対角度方向から運転者に聴取されるように制御を行なうことによって、スピーカから出力される指示音声の音像定位が、ステアリング操作に応じて刻々と変化する相対角度方向に応じて順次移動してゆき、運転者に指示内容を適切に伝えるボイスナビゲーション装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−30525号公報
【特許文献2】特開平6−147909号公報
【特許文献3】特開平7−57190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の運転支援手法においては、音像との距離一定(定点)である場合についての制御であり、例えば、対象物が遠い位置から近い位置に近寄ってくる場合に、運転者がその対象物の移動感(距離感)を感覚的に取得できるものではなく、距離感を感じ難いという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、運転者が対象物との距離感や移動感を感じ易くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このため、本発明の音声通知システム(請求項1)は、対象物に関する通知音声を出力する音声通知システムであって、該通知音声に関する音声信号を出力する音声信号出力部と、該音声信号出力部から出力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成部と、該音声信号出力部から出力された該音声信号と、該残響音信号生成部によって生成された該残響音信号とをミキシングするミキシング部と、該ミキシング部によってミキシングされた該音声信号および該残響音信号を通知音声として出力する出力部と、該ミキシング部における該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更可能なミキシング比率制御部とをそなえることを特徴としている。
【0007】
なお、該残響音信号における特定の周波数域を減衰可能な減衰部をそなえてもよく(請求項2)、該ミキシング比率制御部が、該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させてもよい(請求項3)。
また、該ミキシング比率制御部が、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させてもよく(請求項4)、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させてもよい(請求項5)。
【0008】
さらに、該対象物との距離を検出可能な検出部をそなえ、該検出部が前記対象物との距離の変化を検出した場合に、該ミキシング比率制御部が、前記ミキシング部における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始してもよい(請求項6)。
また、本発明の音声定位制御装置(請求項7)は、対象物に関する通知音声の定位制御を行なう音声定位制御装置であって、該通知音声に関する音声信号を入力する音声信号入力部と、該音声信号入力部に入力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成部と、該音声信号入力部から入力された該音声信号と、該残響音信号生成部によって生成された該残響音信号とをミキシングするミキシング部と、該ミキシング部における該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更可能なミキシング比率制御部とをそなえることを特徴としている。
【0009】
なお、該残響音信号における中域の周波数域を減衰可能な減衰部をそなえてもよく(請求項8)、該ミキシング比率制御部が、該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させてもよい(請求項9)。
また、該ミキシング比率制御部が、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させてもよく(請求項10)、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させてもよい(請求項11)。
【0010】
さらに、該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を、該対象物との距離に応じて直線的に変化させてもよく(請求項12)、該対象物との距離に応じて対数関数的に変化させてもよく(請求項13)、該対象物との距離に応じて指数関数的に変化させてもよい(請求項14)。
また、本発明の音声定位制御方法(請求項15)は、対象物に関する通知音声の定位制御を行なう音声定位制御方法であって、該通知音声に関する音声信号を入力する音声信号入力ステップと、該音声信号入力ステップにおいて入力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成ステップと、該音声信号入力ステップにおいて入力された該音声信号と、該残響音信号生成ステップにおいて生成された該残響音信号とをミキシングするミキシングステップと、該ミキシングステップにおける該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更するミキシング比率制御ステップとをそなえることを特徴としている。
【0011】
なお、該残響音信号における中域の周波数域を減衰可能な減衰ステップをそなえてもよく(請求項16)、該ミキシング比率制御ステップにおいて、該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させてもよい(請求項17)。
また、該ミキシング比率制御ステップにおいて、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させてもよく(請求項18)、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させてもよい(請求項19)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の少なくともいずれか1つの効果ないし利点が得られる。
(1)音声信号に基づいて残響音信号を生成し、音声信号と生成された残響音信号とをミキシングして出力することにより、音声信号に距離感を容易に付与することができ、音声通知を受ける者に距離感を感じさせることができる(請求項1,7,15)。
(2)音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更させることにより、音声信号に付与する距離感を変更することができ、これにより、音声通知を受ける者が、対象物との距離の変化をより明確に感知することができる(請求項1,7,15)。
【0013】
(3)残響音信号における中域の周波数域を減衰させることにより、音声信号に対して簡単に且つ効果的に距離感を付加させることができ利便性が高い(請求項2,8,16)。
(4)対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させることにより、対象物との距離の変化を表現することができ、例えば、対象物との距離が近くなるに従って、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させることにより、音声通知を受ける者に、対象物との距離が近くなっていることを感知させることができる(請求項3,4,9,10,17,18)。
【0014】
(5)音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させる前に、一旦、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させることにより、変化(減少)させることができるミキシング比率の幅が大きくなるので、距離感の変化を明確に表現することができ、音声通知を受ける者に、対象物との距離の変化を感知させ易くすることができる(請求項5,11,19)。
【0015】
(6)対象物との距離の変化を検出した場合に、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始することにより、対象物との距離の変化に伴って出力される音声信号に距離感を容易に付加することができる(請求項6)。
(7)記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を、対象物との距離に応じて直線的に変化させることにより、残響音信号をデクリメントを繰り返し行なうだけで実現することができ、制御が簡単である(請求項12)。
【0016】
(8)音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を、対象物との距離に応じて対数関数的に変化させることにより、人間の距離感覚により近く距離感を表現することができる(請求項13)。
(9)音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を、対象物との距離に応じて指数関数的に変化させることにより、残響がすぐに減少せずに残っているので、運転者が距離感を感じやすい(請求項14)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の一実施形態としての音声通知システムの構成を模式的に示す図である。
本発明の一実施形態としての音声通知システム100は、対象物に関する通知音声を出力するものであって、例えば、車両等の移動体において、ナビゲーション装置20(図2参照)から運転者(聴取者,使用者)に対して行なわれる音声通知を出力するものである。以下、本音声通知システム100が車両に搭載され、車両の運転者に対して音声通知を行なう例について説明する。以下、本実施形態においては、運転者が、後述するナビゲーション装置20やヘッドユニット40の使用者であり且つ聴取者である場合について説明する。
【0018】
本音声通知システム100は、図1に示すように、音声信号出力部15,検出部22,残響音信号生成部11,ミキシング部12,減衰部13,ミキシング比率制御部14および出力部30をそなえて構成されている。
音声信号出力部15は、対象物に関する音声信号を出力するものであって、運転者に対して通知される通知音声の信号(音声信号)を出力するものであり、例えば、後述するナビゲーション装置20のナビ音声信号出力部21やヘッドユニット40の音楽再生出力部41(いずれも図2参照)により実現される。
【0019】
そして、この音声信号出力部15から出力された音声信号は、残響音信号生成部11に入力されるようになっている。
残響音信号生成部11は、音声信号出力部15から入力された音声信号に基づいて残響音信号を生成するものであり、ミキシング部12は、音声信号出力部15から出力された音声信号と、残響音信号生成部11によって生成された残響音信号とをミキシングするものである。
【0020】
減衰部13は、残響音信号における中域の周波数域を減衰するものであり、ミキシング比率制御部14は、ミキシング部12における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更するものであって、例えば、対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させるようになっている。
また、ミキシング比率制御部14は、後述する検出部22が対象物との距離の変化を検出した場合に、ミキシング部12における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始するようになっている。
【0021】
そして、これらの残響音信号生成部11,ミキシング部12,減衰部13およびミキシング比率制御部14は、例えば、アンプ110に搭載されるDSP(Digital Signal Processor)10(図2参照)によって実現される。なお、これらの残響音信号生成部11,ミキシング部12,減衰部13およびミキシング比率制御部14の各具体的な構成や機能についての詳細は後述する。
【0022】
出力部30は、ミキシング部12によってミキシングされた音声信号および残響音信号を通知音声として出力するものであり、例えば、後述するスピーカ31(図2参照)によって実現される。
検出部22は、対象物との距離を検出するものであって、例えば、後述するナビゲーション装置20がこの検出部22として機能するようになっている。
【0023】
図2は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のハードウェア構成の例を示す図である。本音声通知システム100は、図2に示すように、ナビゲーション装置20,ヘッドユニット40,アンプ110およびスピーカ31a,31b,31c,31dをそなえて構成されている。
ナビゲーション装置20は、例えば、自動車等の移動体に搭載され、運転者によって設定された目的地までの経路演算を行ない、この経路演算結果に基づいて目的地までの経路誘導を行なうものであって、地図とともに自車両の現在位置を表示装置(図示省略)に表示させたり、運転者に対して、行き先として設定された地点(目標地点)や、建物や施設,交差点等の目印となりうるもの(目標物;以下、これらの目標地点や目標物を対象物という)との位置関係や、自車両の進行方向等を通知(案内)するものである。
【0024】
ナビゲーション装置20は、図2に示すように、ナビ音声信号出力部21,検出部22,音声定位制御信号出力部23,ナビ音声ミュート信号出力部24およびナビ地図表示情報出力部25をそなえて構成されている。
ナビ音声信号出力部21は、運転者に対して通知される通知音声の信号(音声信号)を出力するものであり、運転者に対して、対象物との位置関係や、自車両の進行方向等を案内(音声通知)する音声であって、例えば、「間もなく右側に○○があります」等のように、対象物と自車両との位置関係を示すメッセージを出力するようになっている。そして、このナビ音声信号出力部21は、前述した音声信号出力部15として機能するようになっている。
【0025】
また、このナビ音声信号出力部21から出力された音声信号は、後述するアンプ110の受信部101に入力されるようになっている。
ナビ音声ミュート信号出力部24は、ナビ音声を消音(ミュート)もしくは減音させるための制御信号(ナビ音声ミュート信号)を出力するものであって、スピーカ31から出力されるナビ音声を消音もしくは減音したい場合に、ナビ音声ミュート信号を出力するようになっている。なお、このナビ音声ミュート信号出力部24から出力されたナビ音声ミュート信号は、後述するアンプ110のマイコン105に入力されるようになっている。
【0026】
ナビ地図表示情報出力部25は、ヘッドユニット40のモニタ(図示省略)にナビゲーション用の地図を表示させるための情報(ナビ地図表示情報は制御信号)を出力するものであり、このナビ地図表示情報出力部25から出力されたナビ地図表示情報は、後述するヘッドユニット40に入力されるようになっている。
音声定位制御信号出力部23は、ナビ音声信号出力部21から出力される音声信号に移動感や距離感を付加するための制御信号(音声定位制御信号;図5参照)を出力するものである。
【0027】
ここで、距離感とは、音像との距離を示す感覚であって、本実施形態においては、音像との相対的な距離の変化を感じる(知覚する)ことを表す。又、移動感とは、音像(音像(音声)定位位置,音源)の移動を示す感覚であって、本実施形態においては、運転者に対する距離の変化を伴わずに音像が移動することを感じる(知覚する)ことを表す。
そして、本実施形態においては、音声に対して、上述した距離感や移動感の少なくともいずれかを付加する制御を行なうことを音声定位制御という。
【0028】
図3〜図5は本発明の一実施形態としての音声通知システム100における車室内における音声定位制御手法を説明するための図であり、図3は車室における音声定位位置を示す図、図4は音声定位位置と制御IDとの関係を示す図、図5は音声定位制御信号の例を示す図である。
図3に示す例においては、車室における音声定位位置を符号A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,Mを用いてそれぞれ示しており、本音声通知システム100においては、運転者に、これらの音声定位位置A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,Mから音声が聞こえる(音像が位置する)ように、もしくはこれらの音声定位位置A、B、C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M間で音像が移動して聞こえるように、移動感(距離感)制御を行なうようになっている。
【0029】
具体的には、図4に示すように、複数(図4に示す例では30個)の制御IDを用意するとともに、これらの制御IDに対して、音声定位位置A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,のいずれかを対応付けたり(制御ID1〜13参照)、音声定位位置間における音像の移動(制御ID16〜29参照)を対応付け、これらの制御ID1〜30のいずれかを選択することにより、その制御IDに対応するいずれかの音声定位位置もしくはその移動が選択されるようになっている。
【0030】
例えば、音声定位位置Aから通知音声が聞こえるように通知音声を出力する場合には、制御ID1に基づいて音声定位制御(移動感制御)を行ない、又、通知音声の音像が音声定位位置Cから音声定位位置Bに移動しているように聞こえるよう通知音声を出力する場合には、制御ID16に基づいて音声定位制御を行なう。なお、図4に示す例においては、制御ID14,15,30には音声定位位置は割当てられていない。
【0031】
また、通知音声の音像が音声定位位置Kから音声定位位置Dに移動しているように聞こえるように通知音声を出力する場合には、制御ID27に基づいて音声定位制御(移動感制御)を行なうのであるが、更にこの際、通知音声の音像が音声定位位置Kから音声定位位置Dに向かって近づいているように聞こえるよう、音声定位制御(距離感制御)が行なわれる。
【0032】
音声定位制御信号出力部23が出力する音声定位制御信号は、例えば、図5に示すように、DLE,STX,オペレーションコード(OPコード),制御ID,移動TYPE,SPEED,LENGTH,ATT,PRIORITY,DLE,EXTおよびSUM等の情報をそなえたフレームとして構成されている。
なお、この図5に示す例は、RS−232C制御信号として生成された音声定位制御信号を示すものであり、ナビゲーション装置20とアンプ110とがRS232Cで接続されている場合に用いられる。又、RS−232C制御信号は、RS−232Cの制御仕様に基づいて作成される制御信号であり、DLE(Data Link Escape;伝送制御拡張),STX(start of text;テキスト開始),ETX(End Of Text;テキスト終了)およびSUM(チェックサム)は、RS−232Cの制御仕様に基づく制御コード(伝送制御キャラクタ)である。
【0033】
OPコードは、そのRS−232C制御信号によって実行されるオペレーション(制御)の種類を示す識別情報(コード)であり、音声定位制御を行なう場合には音声定位制御を示す情報が設定(格納)されるようになっている。なお、ナビゲーション装置20から出力されるRS−232C制御信号によって実行されるオペレーションとしては、他に、例えばボリューム制御等がある。
【0034】
制御IDは、図4に示したような音声定位位置にかかる制御IDを指定する情報であり、移動TYPEは、音像が移動する場合における制御タイプを指定する情報である。
この移動TYPEは、例えば、予めプログラミングされた一定速度で音像を移動させる場合に“1”を、後述するSPEEDの速度情報に基づいて音像を移動させる場合に“2”を、後述するLENGTHの発話文節の長さを分割可能な範囲で等分割して音像を移動させる場合に“3”をそれぞれ設定することにより、音像が移動する場合における制御タイプがそれぞれ指定されるようになっている。
【0035】
SPEEDは、音像の移動速度を指定するものであり、上述した移動TYPEに“2”が設定されている場合(移動TYPE=2)に、用いられるようになっている。このSPEEDには、例えば、音像を移動させる速度(例えば、0.1〜0.5[m/sec])を10倍した値(例えば、1〜5)が格納されるようになっている。
LENGTHは、発話文節の長さ、正確には、発話時間(0.1〜0.5[m/sec])が設定されるものであり、上述した移動TYPEに“3”が設定されている場合(移動TYPE=3)に、等分割して音像を移動させるようになっている。又、このLENGTHは必ず設定されるようになっている。ただし、分割可能な範囲は5[sec]までとし、それ以上の場合には上述した移動TYPEを“1”に変更(移動TYPE=1)するようになっている。
【0036】
このLENGTHには、例えば、発話時間(例えば、0.1〜15[sec])を10倍した値(例えば、1〜150)が格納されるようになっている。
ATTは、割り込み音声再生時の音楽の音量(Music音量)のアッテネート量を指定するものであって、例えば、アッテネート量(例えば、1〜20[dB])が格納されるようになっている。又、アッテネート(減衰)無しの場合には“0”を格納するようになっている。
【0037】
PRIORITYは、割り込み音声再生時の優先順位を指定するものであって、割り込み音声が多重となった場合に、優先度(Priority)の高いものを優先して再生させるための情報であって、例えば、優先度の高低に合わせて5段階で1(優先度低)〜5(優先度高)が格納されるようになっている。
このような音声定位制御信号が、ナビゲーション装置20の音声定位制御信号出力部23から出力され、DSP10のアンプ110に入力されるようになっている。
【0038】
スピーカ31a,31b,31c,31d(出力部30)は、ナビゲーション装置20から出力されるナビ音声信号やヘッドユニット40から出力され、アンプ110によって増幅等の加工が行なわれた音声信号を出力するものであって、スピーカ31aは車室前方左側(FL)に、スピーカ31bは車室前方右側(FR)に、スピーカ31cは車室後方左側(RL)に、スピーカ31dは車室後方右側(RR)に、それぞれ配置されている。
【0039】
なお、以下、スピーカを示す符号としては、複数のスピーカのうち1つを特定する必要があるときには符号31a〜31dを用いるが、任意のスピーカを指すときには符号31を用いる。又、以下、スピーカ31aをSP1,スピーカ31bをSP2,スピーカ31cをSP3,スピーカ31dをSP4とそれぞれいう場合がある。
ヘッドユニット40は、例えば、モニタ(表示装置)をそなえたDVDプレーヤや、CD,MD等の各種プレーヤ等の運転者が操作を行なうオーディオ機器として構成されている。このヘッドユニット40には、ナビ地図表示情報出力部25から出力されるナビ地図表示情報が入力されるようになっており、上述したモニタにナビ地図が表示されるようになっている。
【0040】
また、ヘッドユニット40は、音楽再生出力部41と音量調節部42とをそなえて構成されている。音楽再生出力部41は、DVDやCD,MD,ラジオ等の音声信号(音楽再生信号)を再生・出力するものであり、上述した音声信号出力部15としても機能するようになっている。又、音量調節部42は、出力される音声信号の音量をコントロールするための制御信号を出力するものである。
【0041】
D/A(Digital/Analog)コンバータ103は、DSP10によって加工・生成された音声信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換するものである。パワーアンプ104は、D/Aコンバータ103によって変換された音声信号のアナログ信号をスピーカ31から出力するために増幅(電力増幅)するものである。
マイコン105は、受信部101やDSP10,D/Aコンバータ103の制御を行なうものであって、ナビゲーション装置20の音声定位制御信号出力部23およびナビ音声ミュート信号出力24や、ヘッドユニット40の音量調節部42から入力される各種信号に従って、受信部101(DIR101c)やDSP105,D/Aコンバータ103に対して設定信号(制御信号)を送信するようになっている。
【0042】
アンプ110は、ナビゲーション装置20から出力されるナビ音声信号やヘッドユニット40から出力される音声信号を増幅・変換し、スピーカ31によって再生可能な状態にするものであって、図2に示すように、受信部101,DSP10,D/Aコンバータ103およびパワーアンプ104をそなえて構成されている。
受信部101は、ナビゲーション装置20のナビ音声信号出力部21から出力されたナビゲーション音声やヘッドユニット40の音楽再生出力部41から出力される種々の音声が入力される(受信する)ものであって、図6に示すように、A/D(Analog/Digital)コンバータ101a,101bおよびDIR(Digital Interface Receiver)101cをそなえて構成されている。
【0043】
図6は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のアンプ110のハードウェア構成を模式的に示す図であり、アンプ110における電子部品(digital part)の構成を示している。
A/Dコンバータ101a,101bにはアナログ信号として形成された音声信号が入力されるようになっており、A/Dコンバータ101a,101bは、これらの入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換(A/D変換)するようになっている。又、DIR101cには、デジタル信号として形成された音声信号が入力されるようになっており、このDIR101cは、例えば、光信号(Optical Input)として形成されたオーディオ信号を受信して復調し、下流側のDSP10において処理可能なデジタル信号を生成するようになっている。
【0044】
そして、ナビゲーション装置20のナビ音声信号出力部21やヘッドユニット40の音楽再生出力部41から出力される音声信号が、アナログ信号である場合にはA/Dコンバータ101a,101bに入力され、デジタル信号である場合にはDIR101cに入力されるようになっている。
なお、図6に示す例においては、A/Dコンバータ101aにはヘッドユニット40の音楽再生出力部41から出力される音声信号(analog input)が入力されるとともに、A/Dコンバータ101bには、ナビゲーション装置20のナビ音声信号出力部21から出力されるナビ音声の音声信号(analog input)が入力され、DIR101cには、その他の光信号(optical input)が入力されるようになっている。
【0045】
また、図6に示す例においては、受信部101がA/Dコンバータ101a,10bおよびDIR101cをそなえて構成されているが、これに限定されるものではなく、入力される音声信号がデジタル信号もしくはアナログ信号である場合には、これらの音声信号に合わせてA/Dコンバータ101a,101bもしくはDIR101bのいずれか一方のみをそなえてもよく、又、A/D101a,101bのうちいずれか1つをそなえ、音楽再生出力部41から出力される音声信号とナビ音声信号出力部21から出力される音声信号とでA/D101a,101bのうちいずれかを共用してもよい。
【0046】
また、アンプ110は、図6に示すように、電子ボリューム制御部(E−VOL)501,502,D/A(Digital/Analog)コンバータ103a,103b(103),LAN I/F(LAN Interface)107およびPC I/F IC106をそなえて構成されており、前述したA/Dコンバータ101a,DIR101c,D/Aコンバータ103aおよびE−VOL501が一つのICチップ(コーデック;Codec)として構成されている。
【0047】
さらに、E−VOL502およびD/Aコンバータ103bが一のICチップ(D/A)として構成されており、又、A/Dコンバータ101が一つのICチップ(A/D)として構成されている。
なお、図6中においては、細線矢印はaudio data lineを示していて、音声データが送信されるようになっており、又、太線矢印はcontrol data lineを示していて、制御信号が送信されるようになっている。
【0048】
DSP10は、入力された音声信号(デジタル信号)に対して種々の処理を行なうものであって、本音声通知システム100においては、音声信号をスピーカ31から出力するための種々の制御を行なう他、入力された音声信号に対して、上述した距離感や移動感の少なくともいずれかを付加する音声定位制御を行なう音声定位制御装置として機能するようになっている。
【0049】
図7は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のアンプ110にそなえられるDSP10の機能ブロック図、図8はそのアンプ110にそなえられるDSP10による距離感制御手法を説明するための図である。
DSP10は、図7に示すように、インプットATT部(Input ATT)111,ラウドネスコントロール部(Loudness Control)112,イコライザ(Equalizer)113,119,124,レベルコントロール部(Level Control)114,120,125,ボリュームコントロール部(Volume Control)115,121,ミキシング部(Mixing)116,ディレイ管理部(Delay Manager)117,122およびリバーブ(Reverb)123をそなえて構成されている。
【0050】
インプットATT部111は、ヘッドルームを確保するために入力信号のレベルを落すアッテネータであり、必要に応じて、入力されたL(Light),R(Right)それぞれの音楽の音声信号のレベルを落すようになっている。
ラウドネスコントロール部112は、入力された音声信号の周波数特性を補正するものであって、これにより、音声信号が小音量の場合に、低域や広域の周波数帯域が人間の耳に聞こえ難くなることを解消するものである。
【0051】
ミキシング部118,116は、それぞれ音声信号を各チャンネル(ch)に最適に分配するものである。又、図7に示す例においては、ミキシング部118は、ラウドネスコントロール部112によって補正されたL,Rの各音声信号を合成するようになっている。
リバーブ123は、残響音(初期反射音を含む)を生成するものであり、図7に示す例においては、ナビゲーション装置20のナビ音声信号出力部21から出力された音声信号に基づいて残響音を生成するようになっている。なお、このリバーブ123による残響音の生成手法の詳細については後述する。
【0052】
イコライザ113,119,124は、それぞれ音声信号を所望の周波数特性に変更(補正)するものである。図7に示す例においては、イコライザ113は、5バンドの音声信号の周波数特性を並行して補正可能な5バンド・パラメトリック・イコライザ(5 Bands Parametric Equalizer)として構成され、ラウドネスコントロール部112により補正された音声信号の周波数特性を補正するようになっている。
【0053】
また、イコライザ119,124は、それぞれ3バンドの音声信号の周波数特性を並行して補正可能な3バンド・パラメトリック・イコライザ(3 Bands Parametric Equalizer)として構成され、イコライザ119は、ミキシング部118によって合成された音声信号の周波数特性を補正するようになっており、イコライザ124は、リバーブ123によって生成された残響音の周波数特性を補正するようになっている。
【0054】
レベルコントロール部114,120,125は、音声信号(通知音声)のレベル変更を行なうものであり、レベルコントロール部114はイコライザ113によって周波数特性を変更された音声信号のレベルを変更するようになっており、レベルコントロール部120はイコライザ119によって周波数特性を変更された音声信号のレベルを、又、レベルコントロール部125は、イコライザ124によって周波数特性を変更された音声信号のレベルを変更するようになっている。
【0055】
ボリュームコントロール部115,121は、音声信号の音量調整を行なうものであって、ボリュームコントロール部115はレベルコントロール部114によってレベル調整が行なわれた音声信号の音量調整を行なうようになっており、ボリュームコントロール部121はレベルコントロール部120によってレベル調整が行なわれた音声信号の音量調整を行なうようになっている。
【0056】
ミキシング部116は、ボリュームコントロール部115から出力された音声信号とディレイ管理部117から出力された音声信号とを混合し、各チャンネルに最適に分配するものである。
ディレイ管理部117,122,126は、各スピーカから聴取者(運転者)までの距離が均等になるように補正するものであって、再生タイミングを調整するようになっており、ディレイ管理部117はミキシング部116から出力された音声信号を、ディレイ管理部126はレベルコントロール部125から出力された音声信号を、ディレイ管理部122はボリュームコントロール部121から出力された音声信号をそれぞれ制御するようになっている。
【0057】
そして、ディレイ管理部117,122から出力された音声信号はアンプD/Aコンバータに入力されるようになっており、これらの信号が最終的に、パワーアンプ104を介してスピーカ31から出力されるようになっている。
なお、図7に示す例においては、ディレイ管理部117から出力される音声信号のうち一部は、他のチャンネルの音声信号と混合されて(例えば、FL-HiとFL-Lo,FR-HiとFR-Lo)、スピーカ31a〜31dから出力されるようになっている。又、ディレイ管理部122から出力される音声信号は、最終的に図示しないウーファー(Woofer)から出力されるようになっている。
【0058】
図8は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のDSP10における移動感制御を行なうためのパラメータの例を示す図である。
DSP10においては、移動感制御は、図8に示すように、スピーカ31毎にレベルの情報(Level;Gain)を付加することにより行なわれる。ここで、レベルとは、例えば、音の大きさを示す値や、オリジナル(制御前)の音声信号に対する音の大きさの比率等を示す値が用いられ、DSP10のレベルコントロール部114,120,125は、このレベルの値に基づいて制御を行なうようになっている。
【0059】
図9は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のDSP10(リバーブ123)における残響音の生成(距離感制御)を実現するための構成を模式的に示す図である。
DSP10は、この図9に示すように、FIRフィルタ1101,加算器1102,1103,ミキシング比率変更回路1104およびIIRフィルタ1105をそなえて構成されている。
【0060】
FIR(Finite Impulse Response)フィルタ1101は、入力された音声信号に畳み込み処理(convolution)を行なうことにより、入力された音声信号の残響音(リバーブサウンド)を生成するものであり、前述した残響音信号生成部11として機能するものである。なお、このFIRフィルタ1101を用いて残響音を生成する手法は既知の技術であって、例えば、加算器1106をそなえ、固有のディレイタイム(ヤマビコの間隔)と、フィードバック量を持ち、ディレイ成分(ヤマビコ成分)を生成する要素(ディレイタップ)をこの加算器1106を使って各々組み合わせることにより、残響音が生成されるようになっている。
【0061】
IIRフィルタ1105は、残響音信号における特定の周波数域を減衰させる周波数特性補正用イコライザ(EQ;equalizer)であって、FIRフィルタ1101におけるタップデータの中域の周波数帯域を減衰させる(落す)補正(距離感EQ中域調整)を行なうことにより、残響音信号における特定の周波数域を減衰させるようになっている。すなわち、このIIRフィルタ1105は、前述した減衰部13として機能するようになっている。
【0062】
例えば、このIIRフィルタ1105は、人間の可聴域(例えば、おおよそ20〜20000Hz)のうち、その中域(例えば、約500Hz〜4000Hz)の周波数帯域を減衰させることにより、スピーカ31から出力される音声を運転者が聞きやすい音質に変換するようになっている。一般に、音声において中域の周波数帯域が強い場合には、聴取者にとってキンキンして耳障りな音に感じられるのである。
【0063】
なお、IIRフィルタ1105の構成は、既知の種々のIIRフィルタ1105により減衰させる周波数帯域は、上述の約500Hz〜4000Hzに限定されるものではなく、車室内特性や、スピーカ31やDSP10の特性,音声信号の特性等に合わせて種々変形して実施することができ、又、車両の移動速度や対象物との距離の変化速度等に合わせて種々変形してもよい。
【0064】
加算器1102,1103は、複数の信号を重ね合わせて(加算して)一の信号を生成加算するものであり、加算器1102は、A/Dコンバータ101a等から入力された音声信号とIIRフィルタ1105から出力された音声信号とを加算するものである。
また、加算器1103は、A/Dコンバータ101a等から入力された音声信号と、ミキシング比率変更回路1104から出力される残響音信号とを加算(ミキシング,重ね合わせ)するものであって、前述したミキシング部12として機能するようになっている。
【0065】
ミキシング比率変更回路1104は、加算器1103における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更するものであり、前述したミキシング制御部14として機能するものであって、対象物との距離に応じて音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更するようになっている。
ミキシング比率変更回路1104は、例えば、対象物との距離が近くなる場合において、FIRフィルタ1101(加算器1106)から出力された残響音を、時間(もしくは対象物との距離)に応じて減衰させるように制御を行なうようになっており、これにより、音声信号に距離感を付加するようになっている。
【0066】
図10〜図12はそれぞれ本発明の一実施形態としての音声通知システム100におけるDSP10のミキシング比率変更回路1104による残響音信号のミキシング比率の変更手法を説明するための図であり、図10は残響音信号の比率をリニア特性で減衰させる例を示す図、図11は残響音信号の比率を対数特性で減衰させる例を示す図、図12は残響音信号の比率を指数特性で減衰させる例を示す図である。
【0067】
ミキシング比率変更回路1104は、対象物との距離に応じて、これらの図10〜図12に示すような、リニア特性,対数特性および指数特性のうち、いずれかの特性で残響音信号の比率を減衰させるようになっている。
なお、図10〜図12に示す例においては、本音声通知システム100が搭載された車両が等速移動もしくはほぼ等速移動している場合を示しており、車両と対象物との距離が時間(経過時間)(t)に対して比例もしくはほぼ比例する場合について示している。従って、例えば、図10に示すように、時間(t)に応じて残響音信号の比率(残響量)を変化(減少)させることは、対象物との距離に応じて残響音信号の比率を変化させることと同義であるといえる。
【0068】
そして、例えば、ミキシング比率変更回路1104が、図10に示すような、時間(t)に応じてリニア特性で(直線的に)残響音信号の比率(残響量)を変化(減少)させる場合には、DSP10は残響音信号をデクリメントを繰り返し行なうだけで実現することができ、制御が簡単であるという利点がある。又、ミキシング比率変更回路1104が、図11に示すような、時間(t)に対して対数特性で残響音信号の比率(残響量)を減少させる場合には、人間の距離感覚により近く距離感を表現することができる。一般に、実際に人間が感じることができる距離感覚においては、残響量は対数特性で変化する傾向があるからである。又、図12に示すような、時間(t)に対して指数特性で残響音信号の比率(残響量)を減少させる場合には、残響がすぐに減少せず(落ちず)に残っているので、運転者が距離感を感じやすいという利点がある。
【0069】
なお、ミキシング比率変更回路1104による残響音信号の比率の変化(減少)のさせ方(例えば、図10〜図12に示す各特性でのグラフの傾き)は、車室内特性や、スピーカ31やDSP10の特性、音声信号の特性等に合わせて種々変形して実施することができる。
また、ミキシング比率変更回路1104は、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させる前に、一旦、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させる(移動感強調)制御も行なうこともできるようになっている。このように、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させる前に、一旦、残響音信号のミキシング比率を増大させることにより、減少可能な残響音の幅(減少量,減少率)を大きくすることができ、距離感の表現を明確にすることができる。
【0070】
なお、このミキシング比率変更回路1104において、残響音を変化させるための具体的手法については、既知の種々の手法を用いることができる。
また、ミキシング比率変更回路1104は、例えば、ナビゲーション装置20(検出部22)が、対象物との距離が予め設定された所定値以下となったことを検出した場合や、対象物との距離の変化を検出した場合等に、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始するようになっている。
【0071】
また、本音声通知システム100においては、上述の如き距離感(移動感)制御を行なうか否かの他、距離感制御を行なうに際して、どの特性(リニア特性,対数特性および指数特性)で残響音の比率を変化させるか(距離感モード)、距離感強調を行なうか否か、距離感EQ中域調整を行なうか否かのそれぞれについて、運転者が予め任意に設定することができるようになっている。
【0072】
図13は本発明の一実施形態としての音声通知システム100における距離感制御に関する設定画面の例を示す図である。
本音声通知システム100においては、例えば、マイコン105等が、ヘッドユニット40のモニタ(図示省略)に、この図13に示すような設定画面(メニュー)401を表示させるようになっており、この設定画面401において、ユーザがタッチパネル等の図示しない入力装置を介して、距離感制御に関する各種設定を行なうことができるようになっている。
【0073】
この図13に示す例においては、距離感制御について、行なう(ON)もしくは行なわない(OFF)を選択的に設定できるようになっており、又、距離感モードとして、リニア特性,対数特性および指数特性のうち、いずれか1つを選択的に設定することができるようになっている。
また、距離感強調についても、行なう(ON)もしくは行なわない(OFF)を選択的に設定でき、更に、距離感EQ中域調整についても、行なう(ON)もしくは行なわない(OFF)を選択的に設定できるようになっている。なお、距離感モード,距離感強調および距離感EQ中域調整については、距離感制御を行なう場合にのみ、設定することができるようになっている。
【0074】
そして、このような設定画面401において設定された情報は、図示しないメモリ等に格納され、アンプ110は、この設定に基づいて距離感制御を行なうようになっている。
図14は本発明の一実施形態としての音声通知システム100のDSP10における距離感制御を行なうためのパラメータの例を示す図である。
DSP10においては、距離感制御は、図14に示すように、直接音(DSP10に入力される音声信号)のMIXレベルの情報(Level;Gain)と、この直接音に付加する残響音のMIXレベルの情報とにより行なわれる。ここで、MIXレベル(ミキシング比率)とは、例えば、音の(残響音)大きさを示す値や、直接音(制御前)の音声信号に対する音(残響音)の大きさの比率等を示す値が用いられ、DSP10のレベルコントロール部114,120,125は、このレベルの値に基づいて、音声信号に付加する残響音のレベルを設定し、距離感制御を行なうようになっている。
【0075】
例えば、DSP10は、図14に示すようなパラメータ値に基づいて音声信号に付加する残響音のレベル決定し、残響音を生成する。そして、その後、この対象物との距離が近くなるに従って、この生成された残響音のレベルを所定の手法で小さくするのである。
また、例えば、残響音を小さくする過程における種々のレベル残響音を生成するためのパラメータを、ナビゲーション装置20やヘッドユニット40において逐次生成し、アンプ110に送信して、アンプ110においてこのパラメータ値に従って残響音を逐次生成してもよい。
【0076】
上述の如く構成された本発明の一実施形態としての音声通知システム100における距離感制御手法を、図15に示すフローチャート(ステップA10〜A130)に従って説明する。
アンプ110においては、先ず、設定画面401において距離感制御の設定がONであるかOFFであるかを確認し(ステップA10)、OFFが設定されている場合には(ステップA10のOFFルート参照)、距離感制御をOFFにして(ステップA90)、処理を終了する。一方、ONが設定されている場合には(ステップA10のONルート参照)、距離感制御機能を有効(ON)に設定する(ステップA20)。
【0077】
そして、アンプ110は、設定画面401において距離感強調の設定がONであるかOFFであるかを確認し(ステップA30)、ONが設定されている場合には(ステップA30のONルート参照)、距離感強調を有効(ON)にして(ステップA50)、ミキシング比率変更回路1104に、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させる前に、一旦、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させる(移動感強調)制御も行なわせるよう設定する。その後、アンプ110は、設定画面401において距離感EQ中域調整の設定がONであるかOFFであるかの確認を行なう(ステップA60)。
【0078】
一方、距離感強調の設定にOFFが設定されている場合には(ステップA30のOFFルート参照)、距離感強調を無効(OFF)にして(ステップA40)、ステップA60に移行する。又、距離感EQ中域調整の設定がONに設定されている場合には(ステップA60のONルート参照)、距離感EQ中域調整を有効(ON)にして(ステップA80)、IIRフィルタ1105に、FIRフィルタ1101におけるタップデータの中域の周波数帯域を減衰させる補正(距離感EQ中域調整)を行なわせるよう設定を行ない、その後、移動感モードの設定を確認する(ステップA100)。
【0079】
また、距離感EQ中域調整の設定にOFFが設定されている場合には(ステップA60のNOルート参照)、距離感EQ中域調整を無効(OFF)にして(ステップA70)、ステップA100に移行する。
さらに、アンプ110は、設定画面401において、距離感モードを確認し(ステップA100)、距離感モードとしてリニア制御が設定されている場合には(ステップA100の“リニア制御”ルート参照)、ミキシング比率変更回路1104が、残響音信号の比率をリニア特性で減衰させるよう設定し(ステップA110)処理を終了する。又、距離感モードとして対数制御が設定されている場合には(ステップA100の“対数制御”ルート参照)、ミキシング比率変更回路1104が、残響音信号の比率を対数特性で減衰させるよう設定し(ステップA120)処理を終了し、距離感モードとして指数制御が設定されている場合には(ステップA100の“指数制御”ルート参照)、ミキシング比率変更回路1104が、残響音信号の比率を指数特性で減衰させるよう設定し(ステップA130)処理を終了する。
【0080】
なお、各ステップA20,A40,A50,A70,A80,A90,A110,A120,A130において設定された情報は、図示しないメモリ等に格納され、アンプ110は、これらの設定に基づいて、残響音の生成を行なったり、生成した残響音に対して一時的な増幅や減衰(ミキシング比率の変更),距離感EQ中域調整等の制御を行なうことにより、距離感制御を行なう。
【0081】
このように、本発明の一実施形態としての音声通知システム100によれば、FIRフィルタ1101が、A/Dコンバータ101a等から入力された音声信号の残響音を生成し、加算器1103が、A/Dコンバータ101a等から入力された音声信号と、ミキシング比率変更回路1104から出力される残響音信号とを重ね合わせることにより、音声信号に残響音を付加して距離感を付与することができ、距離感制御を容易に行なうことができ、これにより、音声通知を受ける者が、対象物との距離の変化をより明確に感知することができる。
【0082】
そして、ミキシング比率変更回路1104が、対象物との距離に応じて音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変更することにより、対象物との距離の変化(距離感)を表現することができ、例えば、対象物との距離が近くなる場合において、FIRフィルタ1101(加算器1106)から出力された残響音を、時間(もしくは対象物との距離)に応じて減衰させるように制御を行なうことにより、音声通知を受ける者に、対象物との距離が近くなっていることを感知させることができ、対象物が近づいてくるような距離感を容易且つ確実に表現することができる。
【0083】
また、ミキシング比率変更回路1104により、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させる前に、一旦、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させることにより、変化(減少)させることができるミキシング比率の幅を大きくして、距離感の変化を明確に表現することができ、音声通知を受ける者に、対象物との距離の変化を感知させ易くすることができる。
【0084】
また、残響音信号生成部11としてFIRフィルタ1101を用いることにより、残響音を容易に生成することができる。
さらに、減衰部13(IIRフィルタ1105)により、残響音信号における中域の周波数域を減衰させることにより、音声信号に対して簡単に且つ効果的に距離感を付加させることができ利便性が高い。
【0085】
また、減衰部13として周波数特性補正用イコライザを用いることにより、残響音信号における中域の周波数域を減衰させることができ、この周波数特性補正用イコライザとしてIIRフィルタ1105を使用することにより、本音声通知システム100を容易かつ安価に実現することができる。
さらに、ナビゲーション装置20等が対象物との距離の変化を検出した場合に、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始することにより、対象物との距離の変化に伴って出力される音声信号に距離感を容易に付加することができる。
【0086】
そして、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、上述した実施形態においては、図2に示すように、音声通知システム100が、ナビゲーション装置20,ヘッドユニット40およびアンプ110との3つの部分に分けて構成されているが、これに限定されるものではなく、これらの3つの部分のすべて(一体機)、もしくはこれらの3つの部分のうち少なくともいずれか2つを一体に構成してもよい。
【0087】
また、上述した実施形態においては、DSP10において、FIRフィルタ1101を用いて残響音を生成しているが、これに限定されるものではなく、種々の手法を用いて残響音を生成してもよい。
さらに、上述した実施形態においては、DSP10において、周波数特性補正用イコライザとしてIIRフィルタ1105を用いているが、これに限定されるものではなく、種々のアナログ回路フィルタやFIRフィルタ等、種々変形して実施することができる。
【0088】
また、上述した実施形態においては、対象物との距離が近くなる場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、対象物が遠ざかる場合にも残響音の制御を行なってもよい。このように、対象物との距離が遠くなる場合においては、ミキシング比率変更回路1104(ミキシング比率制御部14)は、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を、リニア特性,対数特性もしくは指数特性のいずれかの特性で増加させることが望ましい。
【0089】
さらに、上述した実施形態においては、ナビゲーション装置20(検出部22)が、対象物との距離が予め設定された所定値以下となったことを検出した場合や、対象物との距離の変化を検出した場合等に、ミキシング比率制御部14が音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更(距離感制御)を開始するようになっているが、これに限定されるものではなく、例えば、車両に対向車や障害物を検出するセンサ(クリアランスソナー)をそなえ、このセンサが対向車や障害物を検出した際に距離感制御を開始してもよい。なお、この場合、センサが検出部22として機能するとともに、対向車や障害物が対象物に相当するのである。
【0090】
図16は本発明の一実施形態としての音声通知システム100の変形例において用いられるクリアランスソナーの接続位置を説明するための図であり、カーナビゲーションシステムのハードウェア構成例を模式的に示している。
この図16に示すカーナビゲーションシステム60は、オーディオ・ビジュアル一体機601,ラジオダイバーアンテナ(ANT)602,ステアリングスイッチ(SW)603,ECU605,AUX606,TVダイバーアンテナ(ANT)607,DVDプレーヤ608,リアディスプレイ609,RSE ECU(Rear Seat Entertainment Electronic Control Unit)610,CDCH611,MDCH612,ナビECU613,周辺監視ECU614,VICS615,前側方カメラ616,バックアイカメラ617,クリアランスソナー(クリソナ)618,TVチューナ619およびスピーカ31をそなえて構成されており、その周辺監視ECU614に、クリアランスソナー618が接続されるようになっている。
【0091】
なお、この図16に示す例においては、専用線を細い実線で、車内LANを太い実線で、小信号割り込みを破線でそれぞれ表している。
そして、このクリアランスソナー618により障害物や対向車等の対象物を検知するとともに、その対象物との距離を検知するのである。
また、上述した実施形態においては、ミキシング比率制御部14が、対象物との距離に応じて音声信号に対する残響音信号のミキシング比率(MIXレベル)を変化させることを示したが、この残響音信号のミキシング比率の変化のさせ方、すなわち、残響音の付加の仕方は種々変形して実施することができる。
【0092】
図17は本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける残響音信号のミキシング比率の変化のさせ方の例を示す図であり、対象物からの距離(遠,中,近)に対してMIXレベルをそれぞれ対応付けて構成した、3種類のパターン例(A,B,C)を表している。
この図17において、パターンAは、報知タイミングで対象物からの距離が遠い(遠距離;遠)場合には残響音信号のMIXレベルを1.5に、対象物からの距離が中距離(中)の場合には残響音信号のMIXレベルを1.2に、対象物からの距離が近い(近距離;近)場合には残響音信号のMIXレベルを1.0に、それぞれ設定する例を示している。
【0093】
また、パターンBは、対象物の報知のたびに残響音を徐々に減衰させる例を示すものであって、対象物からの距離にかかわらず、対象物の報知のたびに残響音信号のMIXレベルを1.5から1.0まで徐々に減衰させる例を示している。
さらに、パターンCは、最初に付加する残響音の付加量から付加量を徐々に減らし、次に近くなったときの報知においては、前回の報知で減衰させた後の付加量を付加し、その付加量からさらに減衰させる例を示している。すなわち、このパターンCにおいては、対象物からの距離が遠い場合には残響音信号のMIXレベルを1.5から1.3まで徐々に減衰させ、対象物からの距離が中距離の場合には残響音信号のMIXレベルを1.3から1.1まで徐々に減衰させ、更に、対象物からの距離が近い場合には残響音信号のMIXレベルを1.1から1.0まで徐々に減衰させるようになっている。
【0094】
また、この際、残響音信号のMIXレベルは、例えば、図10〜図12に示したいずれかの特性で減衰させることが望ましく、又、これらの図10〜図12に示した以外の特性で減衰させてもよい。
なお、これらのパターンA,B,Cにおいて、対象物からの距離の“遠”,“中”,“近”は、例えば、予め設定した閾値S1,S2と対象物からの距離とを比較することにより決定することができ、対象物からの距離が閾値S1よりも大きい場合には“遠”、対象物からの距離が閾値S2よりも小さい場合には“近”、閾値S1以下且つ閾値S2以上の場合には“中”とすることができる。又、閾値S1,S2の値は、車両の速度や対象物等に応じて種々変形して実施することができる。
【0095】
そして、ミキシング比率制御部14は、この図17に示すパターンA,B,Cのいずれの手法を用いて残響音信号のミキシング比率を変化させてもよい。
また、ミキシング比率制御部14における残響音の付加の仕方は、図17に示した手法に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0096】
例えば、MIXレベルは、図17に示された値に限定されることなく、種々変形して実施することができる。又、図17に示す例においては、対象物からの距離を“遠”,“中”“近”の3種類で区分しているが、これに限定されるものではなく、例えば、2種類もしくは4種類以上に区分してもよく、又、関数等を用いて対象物からの距離に応じてMIXレベルを算出してもよく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0097】
また、上述したパターンCにおいては、前の報知音における残響音の最大値よりも小さい値となるように、その次の報知音の残響音量やMIXレベルを決定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
カーナビゲーションシステムにおけるナビ音声の音声信号の他、車両感覚やETC(Electronic Toll Collection)レーンまでの距離等、種々の音声信号に対して距離感を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態としての音声通知システムの構成を模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態としての音声通知システムのハードウェア構成の例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける車室内における音声定位制御手法を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける車室内における音声定位制御手法を説明するための図である。
【図5】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける車室内における音声定位制御手法を説明するための図である。
【図6】本発明の一実施形態としての音声通知システムのアンプのハードウェア構成を模式的に示す図である。
【図7】本発明の一実施形態としての音声通知システムのアンプにそなえられるDSPの機能ブロック図
【図8】本発明の一実施形態としての音声通知システムのアンプにそなえられるDSPによる距離感制御手法を説明するための図である。
【図9】本発明の一実施形態としての音声通知システムのDSPにおける残響音の生成(距離感制御)を実現するための構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおけるDSPのミキシング比率変更回路による残響音信号のミキシング比率の変更手法を説明するための図である。
【図11】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおけるDSPのミキシング比率変更回路による残響音信号のミキシング比率の変更手法を説明するための図である。
【図12】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおけるDSPのミキシング比率変更回路による残響音信号のミキシング比率の変更手法を説明するための図である。
【図13】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける距離感制御に関する設定画面の例を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態としての音声通知システムのDSPにおける距離感制御を行なうためのパラメータの例を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける距離感制御手法を説明するためのフローチャートである。
【図16】本発明の一実施形態としての音声通知システムの変形例において用いられるクリアランスソナーの接続位置を説明するための図である。
【図17】本発明の一実施形態としての音声通知システムにおける残響音信号のミキシング比率の変化のさせ方の例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10 DSP(音声定位制御装置)
11 残響音信号生成部
12 ミキシング部
13 減衰部
14 ミキシング比率制御部
15 音声信号出力部
20 ナビゲーション装置
21 音声信号出力部
22 検出部
23 音声定位制御信号出力部
24 ナビ音声ミュート信号出力部
25 ナビ地図情報出力部
30 出力部
31,31a,31b,31c,31d スピーカ(出力部)
40 ヘッドユニット
41 音楽再生出力部
42 音量調節部
60 カーナビゲーションシステム
100 音声通知システム
101 受信部
101a,101b A/Dコンバータ(受信部)
101c DIR(受信部)
103,103a,103b D/Aコンバータ
104 パワーアンプ
105 マイコン
106 PC I/F
107 LAN I/F
110 アンプ
111 インプットATT部
112 ラウドネスコントロール部
113,119,124 イコライザ
114,120,125 レベルコントロール部
115,121 ボリュームコントロール部
116 ミキシング部
117,122 ディレイ管理部
123 リバーブ
401 設定画面
501,502 E−VOL
601 オーディオ・ビジュアル一体機
602 ラジオダイバーアンテナ
603 ステアリングスイッチ
605 ECU
606 AUX
607 TVダイバーアンテナ
608 DVDプレーヤ
609 リアディスプレイ
610 RSE ECU
611 CDCH
612 MDCH
613 ナビECU
614 周辺監視ECU
615 VICS
616 前側方カメラ
617 バックアイカメラ
618 クリアランスソナー
619 TVチューナ
1101 FIRフィルタ
1102,1103 加算器
1104 ミキシング比率変更回路
1105 IIRフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に関する通知音声を出力する音声通知システムであって、
該通知音声に関する音声信号を出力する音声信号出力部と、
該音声信号出力部から出力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成部と、
該音声信号出力部から出力された該音声信号と、該残響音信号生成部によって生成された該残響音信号とをミキシングするミキシング部と、
該ミキシング部によってミキシングされた該音声信号および該残響音信号を通知音声として出力する出力部と、
該ミキシング部における該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更可能なミキシング比率制御部とをそなえることを特徴とする、音声通知システム。
【請求項2】
該残響音信号における特定の周波数域を減衰可能な減衰部をそなえることを特徴とする、請求項1記載の音声通知システム。
【請求項3】
該ミキシング比率制御部が、
該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の音声通知システム。
【請求項4】
該ミキシング比率制御部が、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させることを特徴とする、請求項3記載の音声通知システム。
【請求項5】
該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させることを特徴とする、請求項4記載の音声通知システム。
【請求項6】
該対象物との距離を検出可能な検出部をそなえ、
該検出部が前記対象物との距離の変化を検出した場合に、該ミキシング比率制御部が、前記ミキシング部における音声信号に対する残響音信号のミキシング比率の変更を開始することを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の音声通知システム。
【請求項7】
対象物に関する通知音声の定位制御を行なう音声定位制御装置であって、
該通知音声に関する音声信号を入力する音声信号入力部と、
該音声信号入力部に入力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成部と、
該音声信号入力部から入力された該音声信号と、該残響音信号生成部によって生成された該残響音信号とをミキシングするミキシング部と、
該ミキシング部における該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更可能なミキシング比率制御部とをそなえることを特徴とする、音声定位制御装置。
【請求項8】
該残響音信号における中域の周波数域を減衰可能な減衰部をそなえることを特徴とする、請求項7記載の音声定位制御装置。
【請求項9】
該ミキシング比率制御部が、
該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させることを特徴とする、請求項7又は請求項8記載の音声定位制御装置。
【請求項10】
該ミキシング比率制御部が、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させることを特徴とする、請求項9記載の音声定位制御装置。
【請求項11】
該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させることを特徴とする、請求項10記載の音声定位制御装置。
【請求項12】
該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を、該対象物との距離に応じて直線的に変化させることを特徴とする、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の音声定位制御装置。
【請求項13】
該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を、該対象物との距離に応じて対数関数的に変化させることを特徴とする、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の音声定位制御装置。
【請求項14】
該ミキシング比率制御部が、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を、該対象物との距離に応じて指数関数的に変化させることを特徴とする、請求項7〜請求項11のいずれか1項に記載の音声定位制御装置。
【請求項15】
対象物に関する通知音声の定位制御を行なう音声定位制御方法であって、
該通知音声に関する音声信号を入力する音声信号入力ステップと、
該音声信号入力ステップにおいて入力された該音声信号に基づいて残響音信号を生成する残響音信号生成ステップと、
該音声信号入力ステップにおいて入力された該音声信号と、該残響音信号生成ステップにおいて生成された該残響音信号とをミキシングするミキシングステップと、
該ミキシングステップにおける該音声信号に対する該残響音信号のミキシング比率を変更するミキシング比率制御ステップとをそなえることを特徴とする、音声定位制御方法。
【請求項16】
該残響音信号における中域の周波数域を減衰可能な減衰ステップをそなえることを特徴とする、請求項15記載の音声定位制御方法。
【請求項17】
該ミキシング比率制御ステップにおいて、該対象物との距離に応じて、音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を変化させることを特徴とする、請求項15又は請求項16記載の音声定位制御方法。
【請求項18】
該ミキシング比率制御ステップにおいて、対象物との距離が近くなるに従って、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を減少させることを特徴とする、請求項17記載の音声定位制御方法。
【請求項19】
該ミキシング比率制御ステップにおいて、前記音声信号に対する残響音信号の該ミキシング比率を減少させる前に、一旦、前記音声信号に対する残響音信号のミキシング比率を増大させることを特徴とする、請求項18記載の音声定位制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−131164(P2008−131164A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311567(P2006−311567)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】