説明

駆動力配分制御装置

【課題】障害物回避支援装置を備えた車両において回避性能を向上させることができる駆動力配分制御装置を提供する。
【解決手段】車両は、駆動力配分制御装置1と電動パワーステアリング装置2を備える。駆動力配分制御装置1は、前後輪の駆動力配分を行う前後輪駆動力配分制御部21と、後輪の左右輪の駆動力配分を異ならせることによりヨーモーメントを制御する後輪左右駆動力配分制御部22と、アクチュエータ制御部23と、制御ゲイン算出部24とを備える。電動パワーステアリング装置2は、車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操作を支援する回避操作支援制御部42を備える。電動パワーステアリング装置2の回避操作支援制御部42が、障害物との接触を回避する操舵操作を支援する制御を行っているときには、後輪左右駆動力配分制御部22におけるヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右輪の駆動力配分を異ならせることによりヨーモーメントを制御する駆動力配分制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、運動性能を向上させるため、走行状況に応じて各輪の駆動力を配分する駆動力配分制御装置を備えるものがある。この駆動力配分制御装置では、例えば、左右輪の駆動力配分を異ならせることによりヨーモーメントを制御することができ、旋回外側の後輪(すなわち、後輪外輪)の駆動力の配分を増やすことにより、内向きのヨーモーメントを発生させて、旋回性能を向上させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、車両操舵時の運転者の操舵力を軽減する車両用電動パワーステアリング装置には、通常操舵時には操舵トルクに応じて操舵アシスト量を制御し、障害物検知装置により車両前方の障害物を検知したときには回避操作を支援する方向へ前記操舵アシスト量を補正する回避支援手段を備えるものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−302024号公報
【特許文献2】特開2007−39017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記電動パワーステアリング装置を備えた車両によれば、障害物との接触を回避し易くなる。
しかしながら、障害物との接触回避操作は緊急を要する場合もあり、さらなる回避性能の向上が望まれている。
【0005】
そこで、この発明は、障害物回避支援装置を備えた車両において回避性能を向上させることができる駆動力配分制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る駆動力配分制御装置では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
請求項1に係る発明は、左右輪の駆動力配分を異ならせることによりヨーモーメントを制御する左右駆動力配分制御部(例えば、後述する実施例における後輪左右駆動力配分制御部22)を備える駆動力配分制御装置(例えば、後述する実施例における駆動力配分制御装置1)において、車両前方の障害物を検知し該障害物との接触を回避する操作を支援する障害物回避支援装置(例えば、後述する実施例における回避操作支援制御部42)が作動しているときには、ヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも高めることを特徴とする駆動力配分制御装置である。
このように構成することにより、前記障害物回避支援装置が回避操作支援をしているときに、ヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも高めるので、通常時よりも大きなヨーモーメントを得ることができる。なお、この出願において通常時とは、障害物回避支援装置が障害物との接触を回避する操舵操作を支援していないときであって、回避操作支援作動を終了してから所定時間が経過したときをいう。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した発明において、前後輪の駆動力配分を行う前後輪駆動力配分制御部(例えば、後述する実施例における前後輪駆動力配分制御部21)を備え、前記左右駆動力配分制御部が駆動力配分を行う左右輪は後輪であり、前記障害物回避支援装置が回避操作支援をしているときには、前記前後輪駆動力配分制御部は前輪への駆動力配分量を低減することを特徴とする。
このように構成することにより、前記障害物回避支援装置が回避操作支援をした場合に、前輪への駆動力配分量が低減するので、後輪への駆動力配分量が大きくなり、さらに大きなヨーモーメントを得ることができる。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載した発明において、前記障害物回避支援装置が回避操作支援を終了した直後から所定の時間の間は、前記ヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも低下させ、その後、通常時のゲインに戻すことを特徴とする。
このように構成することにより、回避操作支援後の車両挙動の収束を早めることができる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、障害物回避支援装置が作動している間、車両を旋回し易くすることができるので、障害物に対する回避性能が向上する。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、さらに大きなヨーモーメントを得ることができるので、障害物に対する回避性能がさらに向上する。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、障害物回避支援装置の作動終了後の車両挙動の収束を早めることができるので、回避後の車両挙動の安定化性能が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に係る駆動力配分制御装置の実施例を図1から図3の図面を参照して説明する。
この実施例における車両は四輪駆動車両であり、図1の構成図に示すように、駆動力配分制御装置1と電動パワーステアリング装置2を備えている。換言すると、この実施例における駆動力配分制御装置1は、電動パワーステアリング装置2を備えた車両に搭載されている。
初めに、電動パワーステアリング装置2について説明する。電動パワーステアリング装置2は、操舵アシストトルクを発生させる電動アシストモータ(以下、アシストモータと略す)51と、アシストモータ51を駆動するモータ駆動回路52と、電動パワーステアリング制御装置(以下、EPS制御装置と略す)40と、を備えて構成されている。
【0013】
EPS制御装置40には、車両前方の障害物を検知するレーダ11と、ステアリングシャフトに印加される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ12と、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ13と、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ14と、操舵角を検出する操舵角センサ15とから、それぞれ検出値に応じた出力信号が入力される。
【0014】
レーダ11は、車体前方に向けてミリ波等の電磁波を発信し、その反射波に基づいて障害物を検知し、障害物と自車との相対距離、障害物と自車との相対速度、障害物と自車とのオフセット距離、および障害物の横幅を検出する。なお、障害物と自車とのオフセット距離とは、障害物の中心と自車の中心の車幅方向のずれ量を言う。
【0015】
EPS制御装置40は、EPS基本制御部41と、回避操作支援制御部(障害物回避支援装置)42とを備えている。
EPS基本制御部41は、車輪速センサ13により検出された各車輪の回転速度に基づいて算出される車両の速度(車速)と、操舵トルクセンサ12により検出された操舵トルクとに基づいて、アシストモータ51のEPS基本制御量EPS_VALUEを算出する。EPS基本制御量EPS_VALUEの算出方法は公知の電動パワーステアリング装置と同じであるので詳細説明は省略するが、概略、操舵トルクが大きくなるにしたがってEPS基本制御量EPS_VALUEが大きくなり、車速が大きくなるにしたがってEPS基本制御量EPS_VALUEが小さくなるように設定される。
【0016】
回避操作支援制御部42は、レーダ11が検知した車両前方の障害物との接触を回避するために操舵操作を支援する必要があるか否かを判定し、必要があると判定した場合に、回避支援のための制御補正量EPS_HOSEI_VALUEを算出する。
詳述すると、回避操作支援制御部42は、各種センサの検出値等に基づいて算出した自車の予測進路と、レーダ11の検出結果(障害物と自車との相対距離および相対速度、オフセット距離、および障害物の横幅)とに基づいて、予測進路上に障害物が存在するか否かを判定する。そして、予測進路上に障害物が存在すると判定した場合には、自車が障害物との接触を回避するために必要な回避運動量(横移動量)を算出し、この回避運動量に応じて制御補正量EPS_HOSEI_VALUEを算出する。
【0017】
また、回避操作支援制御部42は、障害物との接触を回避するために操舵操作を支援しているとき(以下、回避操作支援作動中と称す)には、回避支援フラグXHK_F=1を駆動力配分制御装置1へ出力し、障害物との接触を回避するために操舵操作を支援していないとき(以下、回避操作支援非作動中と称す)には、回避支援フラグXHK_F=0を駆動力配分制御装置1へ出力する。
【0018】
そして、EPS制御装置40は、EPS基本制御量EPS_VALUEに制御補正量EPS_HOSEI_VALUEを加算して、アシストモータ51の目標電流Ioを求め、この目標電流Ioをモータ駆動回路52へ出力する。
モータ駆動回路52では、アシストモータ51の実電流が前記目標電流Ioと一致するように、フィードバック制御が行われる。
【0019】
次に、駆動力配分制御装置1を説明する。駆動力配分制御装置1は、駆動力配分制御部20と、駆動力配分アクチュエータ30とを備えて構成されている。駆動力配分制御部20は、前後輪駆動力配分制御部21と、後輪左右駆動力配分制御部(左右駆動力配分制御部)22と、アクチュエータ制御部23と、制御ゲイン算出部24と、を備えて構成されている。
【0020】
駆動力配分制御部20には、車輪速センサ13、ヨーレートセンサ14、操舵角センサ15、車両の左右方向加速度(以下、横加速度という)を検出する横加速度センサ16、車両の前後方向加速度(以下、前後加速度という)を検出する前後加速度センサ17等から、それぞれ検出値に応じた出力信号が入力されるとともに、推定駆動トルク値が入力される。なお、推定駆動トルクは、エンジン回転数、エンジンシリンダ吸入空気量、トルクコンバータの出力シャフトの回転数、変速機のシフトポジション等に基づいて算出される。
【0021】
前後輪駆動力配分制御部21と後輪左右駆動力配分制御部22は、車輪速センサ13により検出された各車輪の回転速度に基づいて算出される車速と、ヨーレートセンサ14により検出されたヨーレートと、操舵角センサ15により検出された操舵角と、横加速度センサ16により検出された横加速度と、前後加速度センサ17により検出された前後加速度等の情報に基づいて車両の走行状態を検出し、検出された走行状態に応じて最適な駆動力配分となるように、前後輪の駆動力配分と、後輪の左右駆動力配分を行う。
【0022】
例えば、車両が発進あるいは急加速の走行状態であることが検出された場合には、この走行状態のときには荷重が後に移動することから、前後輪駆動力配分制御部21は後輪への駆動力の配分を増やし、駆動性能を向上させる。また、車両がクルーズ走行状態であることが検出された場合には、前後輪駆動力配分制御部21は、直進安定性を向上させるために、後輪への駆動力の配分を減らす。このように、前後輪駆動力配分制御部21は車両の走行状態に応じて前輪と後輪の駆動力配分を算出し、算出された駆動力配分に応じて算出した前輪の駆動トルク(前輪駆動トルク)F_VALUEを出力する。
【0023】
また、車両が旋回中であることが検出された場合には、後輪左右駆動力配分制御部22は、旋回内側の後輪(以下、後輪内輪という)よりも旋回外側の後輪(以下、後輪外輪という)の駆動力の配分を増やし、内向きのヨーモーメントを発生させることで、旋回性能を向上させる。このように、後輪左右駆動力配分制御部22は車両の走行状態に応じて後輪の内外輪の駆動力配分を算出し、内輪の駆動トルクに対する外輪の駆動トルクの増大量(以下、後輪外輪駆動トルク増大量という)R_VALUEを出力する。この実施例において、後輪外輪駆動トルク増大量R_VALUEは車両のヨーモーメントを制御するヨーモーメント制御量ということができる。
【0024】
制御ゲイン算出部24は、EPS制御装置40の回避操作支援制御部42から入力した回避支援フラグXHK_Fに基づいて、前輪駆動力ゲインF_GAINおよび後輪駆動力ゲインR_GAINを算出する。前輪駆動力ゲインF_GAINおよび後輪駆動力ゲインR_GAINの算出方法については後で詳述する。
そして、前後輪駆動力配分制御部21で算出された前輪駆動トルクF_VALUEに、制御ゲイン算出部24で算出された前輪駆動力ゲインF_GAINを乗じ、その積が前輪駆動力としてアクチュエータ制御部23に入力されるとともに、後輪左右駆動力配分制御部22で算出された後輪外輪駆動トルク増大量R_VALUEに制御ゲイン算出部24で算出された後輪駆動力ゲインR_GAINを乗じ、その積が後輪外輪駆動トルク増大量としてアクチュエータ制御部23に入力される。
【0025】
駆動力配分アクチュエータ30は、前後輪の駆動力配分を行うクラッチ等を作動するアクチュエータと、後輪の左右駆動力配分を行うクラッチ等を作動するアクチュエータからなる。
アクチュエータ制御部23は、ゲイン調整後の前輪駆動トルクと、ゲイン調整後の後輪外輪駆動トルク増大量とに基づいて、駆動力配分アクチュエータ30の前記各アクチュエータの制御量を算出し、駆動力配分アクチュエータ30へ出力して、駆動力配分アクチュエータ30の前記各アクチュエータを制御する。これにより、車両の各輪には、車両の走行状態に最適な前後輪の駆動力配分および後輪左右駆動力配分で駆動力が伝達される。
【0026】
次に、制御ゲイン算出部24において実行される制御ゲイン算出処理を、図2のフローチャートに従って説明する。なお、図2のフローチャートに示す制御ゲイン算出処理ルーチンは一定時間毎に繰り返し実行される。
まず、ステップS101において、回避操作支援制御部42から入力される回避支援フラグXHK_Fに基づいて、回避操作支援非作動中か否かを判定する。つまり、回避支援フラグXHK_F=0が入力されているときには、回避操作支援制御部42は回避操作支援を実行していないので、ステップS101において肯定判定され、回避支援フラグXHK_F=1が入力されているときには、回避操作支援制御部42は回避操作支援を実行しているので、ステップS101において否定判定される。
【0027】
ステップS101における判定結果が「NO」(作動中)である場合には、ステップS102に進み、前輪駆動力ゲインF_GAINを通常値(1.0)よりも低い値(例えば0.5)に設定するとともに、後輪駆動力ゲインR_GAINを通常値(1.0)よりも高い値(例えば1.5)に設定し、リターンする。
【0028】
ステップS101における判定結果が「YES」(非作動中)である場合には、ステップS103に進み、前回このルーチンを実行したときは回避支援フラグXHK_F=1であったか否かを判定する。すなわち、今回実行するルーチンが、回避操作支援作動から回避操作支援非作動に切り替わった後の最初に実行するルーチンか否かを判定する。
【0029】
ステップS103における判定結果が「YES」(切り替わり後の最初のルーチン)である場合には、ステップS104に進み、ゲイン調整タイマのタイマ値Tを初期値T0に設定する(T=T0)。なお、初期値T0は正の整数とする。
一方、ステップS103における判定結果が「NO」(切り替わり後の最初のルーチンでない)である場合には、ステップS105に進み、タイマ値Tを1つ減算する(T=T−1)。
そして、ステップS104あるいはステップS105からステップS106に進み、タイマ値Tが0以下か否かを判定する。
【0030】
ステップS106における判定結果が「NO」(T>0)である場合には、ステップS107に進み、前輪駆動力ゲインF_GAINを通常値である1.0に戻すとともに、後輪駆動力ゲインR_GAINを通常値(1.0)よりも低い値(例えば0)に設定し、リターンする。なお、後輪駆動力ゲインR_GAINを「0」に設定すると、後輪外輪駆動トルク増大量が0になるので、後輪の内外輪の駆動力配分は50:50のニュートラルの状態となり、後輪内外輪には同一の駆動トルクが伝達されることになる。
【0031】
一方、ステップS106における判定結果が「YES」(T≦0)である場合には、ステップS108に進み、前輪駆動力ゲインF_GAINを通常値である1.0に設定するとともに、後輪駆動力ゲインR_GAINを通常値である1.0に設定し、リターンする。このときの後輪駆動力ゲインR_GAIN=1.0が通常時の後輪駆動力ゲインR_GAINの値である。
【0032】
つまり、回避操作支援作動から回避操作支援非作動に切り替わったときには、前輪駆動力ゲインF_GAINは切り替わり直後から通常値の1.0に戻るが、後輪駆動力ゲインR_GAINは切り替わって直ぐに通常値の1.0に戻るのではなく、切り替わってから所定時間の間(タイマ初期値×ルーチンの周期)は通常値よりも低い値とし、前記所定時間が経過したときに通常値の1.0に戻すようにしている。なお、前記所定時間は適宜に設定可能であるが、例えば、0.1〜1.0秒に設定するのが好ましい。
【0033】
このように構成された駆動力配分制御装置1によれば、回避操作支援作動中は、後輪駆動力ゲインR_GAINを通常時よりも高くするので、通常時よりも大きなヨーモーメントを得ることができ、車両を旋回し易くすることができる。したがって、障害物に対する回避性能が向上する。
また、回避操作支援作動中は、前輪駆動力ゲインF_GAINを通常時よりも低くするので、後輪への駆動力配分量が大きくなる。これにより、さらに大きなヨーモーメントを得ることができるので、車両をさらに旋回し易くすることができ、障害物に対する回避性能がさらに向上する。
【0034】
このように制御する結果、回避操作支援作動が終了した直後は車両がオーバーステア気味になっていることが予測される。そこで、この実施例の駆動力配分制御装置1では、回避操作支援作動から回避操作支援非作動に切り替わったときには、切り替わり直後に後輪駆動力ゲインR_GAINを通常値の1.0に戻さず、切り替わってから所定時間の間は通常値よりも低い値に保持することで後輪外輪駆動トルク増大量を通常よりも低減し(実施例ではR_GAIN=0とすることで後輪内外輪駆動力を同一にし)、前記所定時間が経過したときに通常値の1.0に戻すようにすることにより、回避操作支援作動終了後の車両挙動の収束を早めるようにする。これにより、回避後の車両挙動の安定化性能が向上する。
【0035】
次に、図3のフローチャートに従って、駆動力配分制御装置1の駆動力配分アクチュエータ30の制御手順と電動パワーステアリング装置2のアシストモータ51の制御手順を説明する。
まず、ステップS201において、障害物に対する回避操作支援が必要か否か判断する。
次に、ステップS202に進み、駆動力配分制御装置1において駆動力配分(前後輪駆動力配分および後輪左右駆動力配分)を算出する。
次に、ステップS203に進み、駆動力配分制御装置1の制御ゲイン(前輪駆動力ゲインF_GAINおよび後輪駆動力ゲインR_GAIN)を算出する。
次に、ステップS204に進み、ステップS202で算出した駆動力配分とステップS203で算出した制御ゲインに基づいて、駆動力配分アクチュエータ30を制御する。
次に、ステップS205に進み、電動パワーステアリング装置2のアシストモータ51の制御量(目標電流Io)を算出する。
次に、ステップS206に進み、アシストモータ51を制御する。
【0036】
〔他の実施例〕
なお、この発明は前述した実施例に限られるものではない。
例えば、通常値よりも高くしたときの後輪駆動力ゲインR_GAINの値は1.5に限るものではなく、また、通常値よりも低くしたときの後輪駆動力ゲインR_GAINの値は0に限るものではなく、それぞれ適宜の値に設定可能である。
また、通常値よりも低くしたときの前輪駆動力ゲインF_GAINの値は0.5に限るものではなく、適宜の値に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明に係る駆動力配分制御装置を備えた車両の実施例における構成図である。
【図2】実施例における制御ゲイン算出処理を示すフローチャートである。
【図3】実施例における駆動力配分制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
1 駆動力配分制御装置
2 電動パワーステアリング装置
21 前後輪駆動力配分制御部
22 後輪左右駆動力配分制御部(左右駆動力配分制御部)
23 制御ゲイン算出部
42 回避操作支援制御部(障害物回避支援装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右輪の駆動力配分を異ならせることによりヨーモーメントを制御する左右駆動力配分制御部を備える駆動力配分制御装置において、
車両前方の障害物を検知し、該障害物との接触を回避する操作を支援する障害物回避支援装置が作動しているときには、ヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも高めることを特徴とする駆動力配分制御装置。
【請求項2】
前後輪の駆動力配分を行う前後輪駆動力配分制御部を備え、前記左右駆動力配分制御部が駆動力配分を行う左右輪は後輪であり、前記障害物回避支援装置が回避操作支援をしているときには、前記前後輪駆動力配分制御部は前輪への駆動力配分量を低減することを特徴とする請求項1に記載の駆動力配分制御装置。
【請求項3】
前記障害物回避支援装置が回避操作支援を終了した直後から所定の時間の間は、前記ヨーモーメント制御量のゲインを通常時よりも低下させ、その後、通常時のゲインに戻すことを特徴とする請求項1に記載の駆動力配分制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−52523(P2010−52523A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218128(P2008−218128)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】