説明

駐車場内案内装置

【課題】運転者の駐車スキルに応じて駐車方向を加味した適切な駐車枠を案内することができる駐車場内案内装置の提供。
【解決手段】本発明による駐車場内案内装置1は、運転者の駐車スキルに関する情報を記憶するスキル情報記憶手段と、駐車場の駐車枠に関する駐車枠情報を記憶する駐車場情報記憶手段と、運転者に特定の駐車枠を案内する案内手段とを備え、前記案内手段は、前記各記憶手段内のデータに基づいて、運転者の駐車スキルが所定レベルより低い場合には、複数の駐車枠のうちから、前進による駐車が可能な駐車枠を優先的に案内することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に駐車場内の適切な駐車位置を案内する駐車場内案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駐車場情報の空きマス位置、要運転習熟度、通路情報を参照してユーザの運転習熟度に適合した空きマスを目的マスとして、入口または現在地から目的マスまでの最適な経路を決定し、最適経路に従い、目的マスまでの経路案内を行う経路案内手段とを備えた駐車場内経路案内システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この駐車場内経路案内システムでは、ユーザにより予め手動設定された運転習熟度に基づいて、運転習熟度が低いユーザに対しては、隣の駐車枠が空いている駐車枠のような、駐車しやすい駐車枠に誘導する。また、駐車場出口から近い駐車枠や、店舗から近い駐車枠を優先的に案内する点が開示されている。
【特許文献1】特開2007−285733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、駐車場内の状況や構造によっては、前進により前向きに駐車した方が、後進により後向きに駐車するよりも、駐車スキルが低い運転者にとって駐車しやすい場合がある。
【0004】
そこで、本発明は、運転者の駐車スキルに応じて駐車方向を加味した適切な駐車枠を案内することができる駐車場内案内装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明は、運転者の駐車スキルに関する情報を記憶するスキル情報記憶手段と、
駐車場の駐車枠に関する駐車枠情報を記憶する駐車場情報記憶手段と、
運転者に特定の駐車枠を案内する案内手段とを備え、
前記案内手段は、前記各記憶手段内のデータに基づいて、運転者の駐車スキルが所定レベルより低い場合には、複数の駐車枠のうちから、前進による駐車が可能な駐車枠を優先的に案内することを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係るにおいて、
前記駐車枠情報は、駐車場の複数の駐車枠の位置情報、及び、該複数の駐車枠について前進による駐車が可能な駐車枠であるか否かを表す情報を含むことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1又は2の発明に係るにおいて、
駐車場の複数の駐車枠の空き状況を表す情報を取得する手段を更に備え、
前記案内手段は、複数の駐車枠のうちから、空き状態であり且つ前進による駐車が可能な駐車枠を優先的に案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転者の駐車スキルに応じて駐車方向を加味した適切な駐車枠を案内することができる駐車場内案内装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明による駐車場内案内装置1の一実施例の主要構成を示す図である。本実施例の駐車場内案内装置1は、車両に搭載され、電子制御ユニット12(以下、「駐車場内案内ECU12」と称す)を中心に構成されている。駐車場内案内ECU12は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0011】
駐車場内案内ECU12には、DVD、CD−ROM等の記録媒体上に地図データを保有する地図データベース22が接続されている。地図データベース22は、例えばナビゲーション装置で用いられるものと共用であってよい。地図データベース22には、所与の地図データが格納されている。地図データには、駐車場情報が含まれる。駐車場情報は、駐車場自体の位置情報、駐車場内における各駐車枠(駐車スペース)の位置情報、各駐車枠のサイズ(駐車可能な車両サイズ)、各駐車枠に対する駐車方法等に関する情報を含む。駐車枠に対する駐車方法に関する情報は、前進による駐車が可能な駐車枠であるか否かを表す情報を含む。駐車枠に対する駐車方法に関する情報は、縦列駐車や車庫入れ駐車を表す情報を含んでよい。尚、かかる駐車場情報は、必ずしも地図データ内に組み込まれる必要はなく、別の態様で他の記憶手段に記憶されていてもよい。
【0012】
駐車場内案内ECU12には、地図表示や経路案内表示を映像により出力する液晶ディスプレイ等の表示装置24が接続されている。表示装置24は、車室内の適切な場所に設けられ、例えばインストルメントパネルの中央部に設けられてもよいし、メーター内に設けられてもよい。
【0013】
駐車場内案内ECU12には、GPS受信機28が接続されている。GPS受信機28は、GPSアンテナ(図示せず)を介して、衛星からの電波を受信して、車両の位置や速度を測位し、その測位結果を車両位置情報として駐車場内案内ECU12に供給する。尚、測位方法は、単独測位や相対測位(干渉測位を含む。)等の如何なる方法であってもよい。この際、測位結果は、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサ(図示せず)の出力や、ビーコン受信機及びFM多重受信機(図示せず)を介して受信される各種情報に基づいて補正されてよい。駐車場内案内ECU12は、周知のマップマッチング技術を用いて、演算した現在の車両位置に対応する表示装置24上の地図表示の道路位置に、現在位置マークを重畳表示させ、また、現在の車両位置の変化に応じて現在位置マークの位置を更新させていく。
【0014】
駐車場内案内ECU12には、ユーザインターフェース30が接続されている。ユーザは、ユーザインターフェース30を介して、各種情報(例えば後述のユーザ情報)を設定したり、指示を入力する。ユーザインターフェース30は、リモコンや、表示装置24上に設けられてもよいタッチスイッチ等であってよい。また、ユーザインターフェース30は、音声入力装置により構成されてもよい。
【0015】
駐車場内案内ECU12には、ユーザ情報が記憶されるユーザ情報データベース32が接続される。尚、複数のユーザが存在する場合には、ユーザ情報はユーザ毎に別々に管理される。ユーザ情報データベース32に記憶されるユーザ情報は、ユーザの駐車スキルを直接的若しくは間接的に表すスキル情報である。スキル情報は、例えば高、標準、低といった具合に、2段階以上のレベルでユーザの駐車スキルを直接的に表す情報であってもよい。かかるスキル情報は、ユーザインターフェース30を介してユーザにより設定されてもよい。この場合、スキル情報は、典型的には、例えば各種の初期設定時のような初期段階に設定され、その後、適宜変更されてもよい。或いは、スキル情報は、ユーザの駐車スキルを間接的に表す情報であってもよい。例えば、過去の駐車時の切り返しの回数、過去の駐車した駐車枠の特性、過去の駐車方向(前進による駐車か後進による駐車か)といった駐車履歴データであってもよい。或いは、スキル情報は、実駐車時の操作態様や走行態様に基づいて駐車場内案内ECU12により判断されるユーザの駐車スキルに基づいて生成されてもよい。
【0016】
ユーザ情報データベース32に記憶されるユーザ情報は、上述のスキル情報の他、ユーザの嗜好を直接的若しくは間接的に表す嗜好情報や、車両の基本情報(例えば3ナンバーや、5ナンバーのような、ナンバープレートの分類や、長さ4.7m、幅1.8m、高さ1.5mといったような、車両の寸法情報)を含んでよい。嗜好情報は、例えば駐車枠の広さに関する嗜好(広いほうがよい/狭くてもよい)、前進による駐車に関する嗜好(前進による駐車を希望/前進による駐車でなくてもよい)、転回スペースに関する嗜好(広いほうがよい/狭くてもよい)、降車後の出入口や階段等へのアクセス性に関する嗜好(近いほうがよい/遠くてもよい)のような各種情報を含む。嗜好情報は、上記のカッコ内のいずれかがユーザインターフェース30を介してユーザにより選択されることで設定されてもよい。この場合、嗜好情報は、典型的には、例えば各種の初期設定時のような初期段階に設定され、その後、適宜変更されてもよい。
【0017】
図2は、本実施例の駐車場内案内ECU12により実行される主要処理の一例を示すフローチャートである。尚、図2に示す処理は、駐車場情報が地図データベース22内に記憶されている駐車場に車両が進入した際に起動される。車両が駐車場に進入したことは、例えばGPS受信機28により車両位置情報と、地図データベース22内の地図データ(駐車場位置情報)に基づいて検出されてもよい。
【0018】
ステップ100では、駐車場内案内ECU12は、車両が進入した駐車場に関する駐車場情報を、地図データベース22から取得する。尚、かかる駐車場情報は、車両が進入した駐車場に設置される路側装置との通信により取得されてもよい。また、駐車場内案内ECU12は、車両が進入した駐車場の各駐車枠の現在の空き状況を表す情報を、例えば同様の路側装置又は外部センターから通信を介して取得する。
【0019】
ステップ102では、駐車場内案内ECU12は、運転者を特定し、特定した運転者に係るユーザ情報を、ユーザ情報データベース32から取得する。運転者の特定(認証)は、キー等から発信される固有のIDのような運転者情報や、指紋等の生体情報からなる生体情報に基づいて実現されてもよい。
【0020】
ステップ104では、駐車場内案内ECU12は、上記ステップ102で取得したユーザ情報に含まれるスキル情報に基づいて、運転者の駐車スキルを判断する。
【0021】
ステップ106では、駐車場内案内ECU12は、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも高いか否かを判定する。例えば、スキル情報がユーザにより手動設定される情報である場合においては、スキル情報が運転者の駐車スキルが“高”又は“標準”であることを表す場合には、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも高いと判定し、スキル情報が運転者の駐車スキルが“低”であることを表す場合には、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも低いと判定することとしてもよい。また、スキル情報が上述の過去の駐車履歴データを含む場合においては、当該過去の駐車履歴データに基づいて、前進による駐車の回数が多く所定回数以上である場合や、1回の駐車あたりの切り返し回数が多く所定回数以上である場合等には、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも低いと判定することとしてもよい。或いは、運転者の嗜好情報を考慮して、運転者が前進による駐車が希望されている場合には、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも低いと判定することとしてもよい。
【0022】
本ステップ106において、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも高いと判定された場合には、ステップ108に進み、運転者の駐車スキルが所定の基準レベルよりも低いと判定された場合には、ステップ110に進む。
【0023】
ステップ108では、駐車場内案内ECU12は、運転者の駐車スキルを特段考慮することなく、駐車場内の空き駐車枠を案内する。例えば、駐車場内の地図(各駐車枠を示す地図)を表示装置24上に表示する。このとき、駐車場内案内ECU12は、当該地図内の空き駐車枠の全てをそれぞれに対して区別せずに、表示装置24上に表示する。但し、駐車場内案内ECU12は、運転者の嗜好情報を考慮して、駐車場内の空き駐車枠の中から、運転者の嗜好にあった特定の空き駐車枠(複数も可)を、他の空き駐車枠と区別する態様で表示することとしてもよい。
【0024】
ステップ110では、駐車場内案内ECU12は、運転者の駐車スキルが低いことを考慮して、上記ステップ100で取得した駐車場情報に基づいて、前進による駐車が可能な駐車枠(複数も可)を特定し、当該特定した駐車枠を、他の駐車枠と区別する態様で表示装置24上に表示する。即ち、駐車場内案内ECU12は、前進による駐車が可能な駐車枠を、他の駐車枠と区別して表示装置24上に表示することで、前進による駐車が可能な駐車枠の位置が、運転者に直ぐに分かるようにする。例えば、図3に模式的に示すように、前進による駐車が可能な駐車枠を、青や緑で塗りつぶして表示すると共に、前進による駐車が不能な駐車枠を、白抜きで表示することとしてもよい。その他、前進による駐車が可能な駐車枠は、点滅させたり、輝度を高めるなど他の方法で強調されてもよい。また、このように推奨駐車位置として強調表示される駐車枠は、好ましくは、前進による駐車が可能な駐車枠(複数も可)であって、且つ、現在空き状態の駐車枠とされる。この場合、前進による駐車が可能な駐車枠であって、且つ、現在空き状態の駐車枠が、他の空き駐車枠と区別した態様で表示装置24上に表示される。また、推奨駐車位置として強調表示される駐車枠は、同様に、他の条件が付されてもよい。例えば、他の条件としては、車両のサイズに適合する駐車枠であることや、運転者の嗜好にあった駐車枠であること等を含んでよい。
【0025】
尚、本ステップ110において、前進による駐車が可能な駐車枠(又は前進による駐車が可能な空き駐車枠)が存在しない場合には、上記のステップ108と同様の方法で表示が出力されることとしてよい。但し、この場合、前進による駐車が可能な駐車枠(又は前進による駐車が可能な空き駐車枠)が存在しない旨の情報が別途出力されてもよい。
【0026】
以上説明した本実施例の駐車場内案内装置1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0027】
本実施例によれば、上述の如く、運転者の駐車スキルを考慮して、運転者の駐車スキルが基準レベルよりも低い場合には、前進による駐車が可能な駐車枠が優先的に案内されるので、運転者の駐車スキルに応じた適切な駐車枠を案内することができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による駐車場内案内装置1の一実施例の主要構成を示す図である。
【図2】本実施例の駐車場内案内ECU12により実行される主要処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】表示装置24上の案内表示の一例を示す図であり、丸で囲まれた矢印表示は自車位置を表す。
【符号の説明】
【0030】
1 駐車場内案内装置
12 駐車場内案内ECU12
22 地図データベース
24 表示装置
28 GPS受信機
30 ユーザインターフェース
32 ユーザ情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の駐車スキルに関する情報を記憶するスキル情報記憶手段と、
駐車場の駐車枠に関する駐車枠情報を記憶する駐車場情報記憶手段と、
運転者に特定の駐車枠を案内する案内手段とを備え、
前記案内手段は、前記各記憶手段内のデータに基づいて、運転者の駐車スキルが所定レベルより低い場合には、複数の駐車枠のうちから、前進による駐車が可能な駐車枠を優先的に案内することを特徴とする、駐車場内案内装置。
【請求項2】
前記駐車枠情報は、駐車場の複数の駐車枠の位置情報、及び、該複数の駐車枠について前進による駐車が可能な駐車枠であるか否かを表す情報を含む、請求項1に記載の駐車場内案内装置。
【請求項3】
駐車場の複数の駐車枠の空き状況を表す情報を取得する手段を更に備え、
前記案内手段は、複数の駐車枠のうちから、空き状態であり且つ前進による駐車が可能な駐車枠を優先的に案内する、請求項1又は2に記載の駐車場内案内装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192365(P2009−192365A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33148(P2008−33148)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】