高絶縁破壊電圧を有する半導体装置
半導体装置、例えば、pn接合(101)を有するダイオード(200)がこのpn接合の近傍に、そして、これを跨ぐこともある絶縁材料の電界形成領域(201)を有する。電界形成領域(201)は好ましくは高誘電率を有し、容量性電圧結合領域(204,205)を介してpn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧に結合される。pn接合(101)間に逆電圧が印加され且つ装置が非道通時に、電界形成領域(201)が存在しない場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超えて延びる電界形成領域の一部分に容量性電界が存在し、電界形成領域内の電界が拡張された電界を誘起し、この拡張された電界は対応して拡張されたpn接合空乏領域(208,209)までとされ、装置の逆絶縁破壊電圧を増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置であって、pn接合と、このpn接合領域の近傍に位置し、半導体装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
添付図面の図1Aは既知の単純な半導体pn接合ダイオード装置100を示す。整流接合101がp型領域102とn型領域103との間に形成され、領域102及び103は、各々、同じ導電型でさらに高濃度にドープされたp+及びn+領域106、107を介して、装置金属電極104及び105に接続されている。ダイオードの逆絶縁破壊電圧は許容最大電界(半導体シリコンで約0.2MV/cm)に強く関係している。従って、絶縁破壊電圧はpn接合101のいずれかの側への、空乏領域の端部108,109内の電圧の等線図(equilines)の分布、即ち、pn接合の両側のドーピングレベルに依って変わる空乏領域の程度に依って変わる。
【0003】
図1Aに示された単純なダイオード内において起こるドーピングレベルと絶縁破壊電圧との直接的な関係はRESURFメカニズムとして良く知られているものを用いた様々な既知の構造により回避することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RESURFメカニズム構造を開示している文書の一例がUS−A−4,754,310(弊社整理番号PHB32740)であり、その内容がこの参照により開示に含まれる。この米国特許の例では整流ダイオード、電界効果型トランジスタ、そして、バイポーラトランジスタを含む電力素子が開示されている。単純な整流ダイオードの場合は添付図面の図1Bに概略的に示されているものに等しい構造である。図1Bに示されているダイオード100Bは交互にp型領域とn型領域とを有し、電界と空乏領域の端部108B,109Bとが同じ逆電圧でpn接合のいずれかの側へ相当な距離拡張される。これにより絶縁破壊電圧が高くなる。電界効果型トランジスタの場合、このトランジスタのオン抵抗と絶縁破壊電圧とのトレードオフの関係が、添付図面の図1Bに示されている交互のp型領域とn型領域と同様な態様で、ある導電型の複数第一領域が反対の導電型の複数第二領域と互いに挟まれる領域としてドレインドリフト領域を設けることにより解消される。これら態様の主なる問題は交互のp型及びn型領域内のP及びNドーピングのバランスが非常に良くなければならないということである。
【0005】
WO−A−01/59847(弊社整理番号PHNL000066)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願が、縦型高電圧絶縁ゲート電界効果型装置の場合の絶縁破壊電圧とオン抵抗との間のトレードオフを改善する他の方法を提供している。複数電界形成領域が、ドレインドリフト領域を介して、装置の本体領域からドレイン領域に延在している。これら電界形成領域は半絶縁又は抵抗性領域であり、ドレインドリフト領域内の空乏領域をドレイン領域に向かって拡張させて装置の逆絶縁破壊電圧を上げるために、装置が非導通状態で電圧が装置の主電極間に加えられたときにソース領域からの電流リーク経路をもたらす。抵抗性経路に沿って小リーク電流が流れるとこれら抵抗性経路に沿って線形的な電位降下が生じる。そこで、これら経路に沿って、従って、近傍ドレインドリフト領域内に、ほぼ一定な垂直電界が発生し、その結果、電界形成領域が無い場合に不定電界となるときより絶縁破壊電圧が大きくなる。米国特許4,754,310の発明においては、装置に必要な絶縁破壊電圧を得るために、ドレインドリフト領域のドーピング濃度を高め、従って、従来装置と比べて装置のオン抵抗を小さくすることができる。
【0006】
WO−A−03/015178(弊社整理番号PHNL010570)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願が、第一濃度にドープされた第一導電型の半導体材料の高濃度にドープされたコレクタ領域を含むコレクタと、第一導電型の半導体材料のエミッタ領域と、エミッタ領域とコレクタとの間に第一導電型と反対の第二導電型の半導体材料のベース領域と、ここでコレクタがさらに高濃度にドープされたコレクタ領域とベース領域との間に延在する低濃度にドープされたドリフト領域を含み、ドリフト領域は第一導電型で第一濃度より低い第二濃度でドープされ、さらにドリフト領域近傍に延在するトレンチと、電圧ブロック動作モードでドリフト領域のキャリアの空乏化を制御するためのドリフト領域から絶縁されたトレンチ内にゲートとを備えるバイポーラトランジスタ構造を開示している。コレクタのドリフト領域は、このドリフト領域のキャリアが空乏化するように、コレクタの高濃度にドープされた領域より低濃度とされている。トレンチ内にゲートを用いることにより、ドリフト領域が高濃度にドープされていても、そうでない場合に比べて空乏化が可能となる。これにより、従来構造に比べてカットオフ周波数及び絶縁破壊電圧が高い製品が可能となる。好都合なことには、この構造は対向する第一、第二面を有する半導体本体上の縦型構造とすることができる。エミッタ領域が第一面に、そして、コレクタ領域が第二面に接続されてもよい。トレンチが、ほぼ第一面に垂直に、エミッタ及びベース領域を介してドリフト領域へと拡張されてもよい。代わりの実施形態では例えば絶縁埋め込み層をゲートとして用いて横型構造とすることができる。ゲートは半絶縁材料でもよく、この構造は、さらに、ドリフト領域とベース領域との境界近傍のゲート端部に第一ゲート接続部と、ドリフト領域と高濃度にドープされたコレクタ領域との境界に第二ゲート接続部とを備えることができる。これにより、ゲートに沿って均一な電界が加えられ、それによって、ドリフト領域に均一な電界が加えられて、低電圧での絶縁破壊を最小限に抑えることができる。この均一な電界は、ドリフト領域内でのドーピング・プロファイルを複雑にせずに達成できる。
【0007】
WO−A−03/043089(弊社整理番号PHNL020937)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願は、ソース領域とドレイン領域とドレインドリフト領域とを備えた電界効果型トランジスタ半導体装置であって、ドリフト領域近傍に電界形成領域を有し、使用時、ソース及びドレイン領域間に逆電圧が加えられ且つ装置が非導通時に、電界形成領域に、そして、近傍ドリフト領域にほぼ一定な電界が発生するような態様とされ、電界形成領域が第一キャパシタ電極領域と第二キャパシタ電極領域と間のキャパシタ誘電体領域として機能するように調整され、第一及び第二キャパシタ電極領域が誘電体領域の各端部近傍に在り且つ異なる電子エネルギバリアを有することを特徴とする電界効果型トランジスタ半導体装置という発明に関する。
【0008】
電界がほぼ一定ということは、電界形成領域内、従って、近傍ドリフト領域内の最大電界が所定電圧下において電界形成領域が無い場合に比べて低下し、その結果、装置の絶縁破壊電圧が比較的高くなることを意味する。
【0009】
WO−A−03/043089による装置においては、使用時、ソース及びドレイン領域間に電圧が加えられ且つ装置が非導通時に、電界形成領域を抵抗性領域ではなくキャパシタ誘電体領域として機能させるのは第一及び第二キャパシタ電極間の異なる電子エネルギバリアであり、電界形成領域には空間電荷が実質的に無く、電界形成領域では、ドリフト領域を伴う第一キャパシタ電極領域と第二キャパシタ電極領域と間の空間電荷が電荷平衡を保っている。これは、即ち、ドレインドリフト領域の電荷に加えて第一キャパシタ電極領域の電荷が第二キャパシタ電極領域の電荷を補償している。その発明において、電界形成領域にほぼ一定な電界を容量的に発生させるのは、電界形成領域を介して加えられるリーク電流ではなく、印加電圧であり、これはWO−A−01/59847に開示されている態様により与えられる。US−A−4,754,310の態様におけるドリフト領域長さに沿った二つの背反する導電型領域間に正確な電荷平衡をもたらす上での問題がWO−A−03/043089の態様では起こらない。
【0010】
WO−A−03/043089では、電界形成領域は真性半導体材料、又は、ドリフト領域より低濃度にドープされた外因性半導体材料、又は、例えば、酸素ドープ多結晶シリコンと窒素ドープ多結晶シリコンとのいずれか一つを備える半絶縁材料として記載されている。第一キャパシタ電極領域はある導電型の半導体領域で、第二キャパシタ電極領域は第一キャパシタ電極領域と反対の導電型の半導体領域でもよい。この場合、第一及び第二キャパシタ電極領域の異なる電子エネルギバリアがこれら二半導体導電型の異なる仕事関数によりもたされる。これとは別に、第一キャパシタ電極領域が半導体領域で、第二キャパシタ電極領域がショットキーバリア領域でもよい。この場合、第一キャパシタ電極半導体領域の仕事関数は、第二キャパシタ電極ショットキーバリア領域のショットキー電子エネルギバリアとは異なる電子エネルギバリアである。ここに明示された両方の場合において、第一キャパシタ電極領域半導体領域はドレイン領域と導電型が同じである。トランジスタは絶縁ゲート電界効果型トランジスタであってもよい。これは、縦型トランジスタでもよく、それはトレンチ・ゲート・トランジスタでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、半導体装置であって、pn接合と該pn接合近傍に位置して前記装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含み、前記電界形成領域は絶縁材料であり使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた第一及び第二容量性電圧結合領域に結合され、前記電界形成領域の材料及び容量結合は前記pn接合間に逆電圧が印加され且つ前記装置が非道通時に、前記電界形成領域が存在しない場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超える前記電界形成領域の一部分に容量性電界が存在するものであり、前記電界形成領域内の電界は拡張された電界を含み、該拡張された電界はこれに対応して前記半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までとされる半導体装置が提供される。
【0012】
この発明の上記限定において「使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた容量性電圧結合領域」の意味は記載及びそれに続く図示された例の説明から明らかとなる。それでも、簡潔な説明として、電界形成領域はpn接合を形成する同じp及びn半導体領域のみに直接結合されてもよく、又は、電界形成領域は一側においてp領域近傍のp+領域且つ又は他側においてn領域近傍のn+領域に結合されてもよく、又は、電界形成領域は一側においてp+及びp両領域且つ又は他側においてn+及びn両領域に結合されてもよく、又は、電界形成領域は一又は両側においてこの目的のために設けられ又は半導体装置の主又は制御電極である(例えば金属又は高濃度ドープポリシリコン)導電性領域電極に結合されてもよく、又は、電界形成領域は上記のそのような領域の組み合わせに結合されてもよい。
【0013】
この発明の装置においては、前記半導体pn接合近傍の前記電界形成領域は前記pn接合を跨ぎ又はこのpn接合のp側及びn側の一つのみに隣接していてもよい。前記電界形成領域は前記pn接合の横方向拡張部分の一側のみ又は両側に隣接していてもよい。前記電界形成領域は前記pn接合を有する前記半導体領域の直近でもよく又はパッシベーションの裏打ちとしてSiO2等の絶縁領域が介在してもよい。前記p領域及びn領域は一定な又は非均一な例えば段階的ドーピングのいずれでもよく、オン状態ドリフト領域として使用される場合はいずれの領域も非均一ドーピングが好ましい。
【0014】
以下に記載されるこの発明の各例では、上記のUS−A−4,754,310並びに公開された国際特許出願WO−A−01/59847、WO−A−03/015178、そして、WO−A−03/043089に開示された各種の態様で逆絶縁破壊電圧増加が達成される。
【0015】
この発明のさらに詳細な記載及び各例の説明が添付図面を参照して与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここで、添付図面の図2を参照すると、この発明の簡単な構成のpn接合ダイオード装置200が示されている。図1Aに示された既知のダイオード装置100と同様に、ダイオード装置200は、p型領域102とn型領域103との間に形成された整流接合101を有し、領域102及び103は、各々、同じ導電型でさらに高濃度にドープされたp+及びn+領域106,107を介して、装置金属電極104及び105に接続されている。ダイオード装置200は、さらに、pn接合101の横方向に延びた部分の両側近傍で且つpn接合のp側102及びn側103を跨ぐ絶縁誘電体材料の電界形成領域201を有する。各絶縁誘電体領域201が第一及び第二の容量性電圧結合領域204及び205に結合され、これら容量性電圧結合領域は導電材料で、即ち、それらは金属で、ダイオード装置200の主金属電極104及び105と一体化されている。従って、第一及び第二の容量性電圧結合領域204及び205は電極104及び105を介してpn接合101に加えられるのと実質的に同一電圧で使用されるような態様とされる。各電界形成領域201の材料及び容量結合は、逆電圧がpn接合101に加えられ且つ装置200が非導電状態の時に、容量性電界が各電界形成領域201の一部分に存在し、これは、図1Aに破線端部108,109で示されているように、電界形成領域201が無い場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超えるような材料及び容量結合とされる。電界形成領域201内のこの電界が電界の拡張を誘起し、この電界の拡張はそれに対応して半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までであり、これにより装置200の逆絶縁破壊電圧が増加する。逆絶縁破壊電圧下でのpn接合空乏領域端部の誘起拡張部分が図2に破線208,209で示されている。図2に示されるように、各絶縁誘電体領域201は、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域204、205に結合されるのに加えて、pn接合101の両側のp+、p、n、そしてn+領域に結合される。これとは別に、各誘電体領域201に対して、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域の少なくとも一つが、pn接合101を形成するp及びn領域102,103の一つを備えることもでき、又は、各誘電体領域201に対して、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域の少なくとも一つが、同じ導電型のより高濃度にドープされた半導体領域とpn接合を形成する近傍p及びn半導体領域、即ち、p+領域106又はn+領域107の一つを備えることもできる。例えば、誘電体領域201がp及びn領域102,103のみに結合され、又は、誘電体領域201がp+領域106又はn+領域107のみに結合されてもよい。
【0017】
pn接合空乏領域の拡張の程度とその結果のダイオード装置逆絶縁破壊電圧の増加量の程度とは半導体材料のドーピングレベルに応じたものとなる。pn接合のp側及びn側は同じドーピングレベルでもよい。さもなければ、p側とn側とではドーピングレベルが異なっても良く、その差が大きい場合は、主に、より低濃度にドープされた側により空乏層幅が決まる。絶縁破壊電圧の増加の程度は、さらに、半導体材料と電界形成誘電体材料との相対幅に応じたものとなる。半導体pn接合の絶縁破壊電圧の増加は半導体材料と絶縁電界形成領域材料との誘電率差に関係する。この発明の装置の(各)電界形成領域として用いられるのに適切な誘電体材料であるTa2O5の誘電率が大凡22であるのに対して、例えば、シリコン半導体材料の誘電率は約11.7乃至11.9である。さらに、絶縁/誘電体材料の絶縁破壊電界強度はこの発明の装置構造の形態に生じる電界に十分耐えるものであり、それはTa2O5で3−5MV/cmである。半導体装置に用いられる標準的な誘電体である例えば二酸化シリコンSiO2や窒化シリコンSi3N4もこの発明の装置の(各)電界形成領域として用いられてもよい。SiO2は誘電率が3.9で、絶縁破壊強度は12−15MV/cmである。Si3N4の誘電率は7−9で、絶縁破壊強度は10−11MV/cmであり、半導体シリコンの絶縁破壊電界強度である0.2MV/cmよりはるかに高い。
【0018】
ここで、図3A及び3Bを参照すると、各々、図2及び図1Aに示されたダイオード装置における逆絶縁破壊電圧での電圧等線図を描いたシミュレーションによるグラフが示されている。図3A及び3Bでは、縦軸においてpn接合が4.0ミクロンで、p+領域が0.0から0.2,p領域が0.2から4.0,n領域が4.0から8.0,そして、n+領域が8.0から8.2である。図2の装置の縦方向高さは図3Aにおいては実際に必要な高さより高くされており、縦軸においては、2.5ミクロンから5.5ミクロンの全高が影響を説明するのに十分と思われる。図3A及び3B両方の装置では、半導体シリコンのドーピングレベルがp及びn領域で1E17と同じである。図1Aの装置の絶縁破壊電圧をシミュレーションしたものが図3Bに示され、21.4ボルトである。図3Aに示される図2の装置の半導体シリコンの幅は、これはpn接合の横幅であって0.4ミクロンであり、酸化タンタル、Ta2O5である二つの電界形成絶縁誘電体領域201の各々の幅も0.4ミクロンである。シミュレーションしたものが図3Aに示されている図2の装置の絶縁破壊電圧は21.4ボルトから36ボルトに増加している。
【0019】
図3A及び3Bの電圧等線図は次のことを明瞭に示している:(a)電界形成領域(図3Bに示される端部108,109)が無い状態で存在するpn接合空乏領域の限界、(b)限界108,109(図3B)を超えて延在する各電界形成領域201(図3A)の一部分内に存在する容量性電界、そして、(c)半導体領域内に対応して拡張されたpn接合空乏領域(端部208,209)まで拡張された電界を含む電界形成領域201内の容量性電界の影響。
【0020】
図3Aに示された図2の装置への影響を幾らか説明すると次の通りである。各電界形成領域に対して、2次元キャパシタが存在し、一つのプレートがp領域に、そして、他のプレートがn領域に在る(さらに正確には、キャパシタ・プレートが分配され、電圧が高くなるほどプレート間距離が大きくなる)。キャパシタ・プレート周りの電圧分配及び電場線はキャパシタ・プレート周りの材料(形態及びそれらの誘電率)に応じたものとなる。簡単な例は平板キャパシタで、絶縁誘電体がプレート間に挿入され、両プレートの電荷が同じとすると両プレートで電圧が低下する。半導体ダイオードに対して同種の挙動が現れ、接合に平行に絶縁誘電体を導入し、両側の電荷が同じとすると、ダイオードに加わる電圧が低下する。ここで、当初の点まで印加電圧を高めることができる。この動作のために、空乏層にさらなる電荷、即ち、より厚い空乏層が必要となる。その結果、同じ逆バイアスで接合部での電界が小さくなる。これは絶縁破壊電圧が高くなるという結果になる。
【0021】
図2の装置の変形例では、接合部が上昇し(完全にpをnで置き換え)、誘電体領域201が存在しないと絶縁破壊電圧は15ボルトとなり、二つの誘電体領域201が存在すると(この場合も0.4ミクロン幅の半導体シリコン及び0.4ミクロン幅の誘電体領域201を有する)、絶縁破壊電圧は28ボルトとなる。この変形例の結果、容量結合がさらに強くなり、従って、空乏層の広がりが低濃度にド−プされたn部分内でより強くなる。この低濃度にド−プされた部分内で空乏層が広がるので、より強い結合で影響を強めたいこの容量結合により、この低濃度にド−プされた部分内で空乏層をより簡単に広げることができる。これは電圧をp+側からn+側に近づけることにより達成できる。従って、n領域は抵抗率が高く高電圧を維持する一つの材料である。そこで、これはMOSFETにも用いることができる。
【0022】
添付図面の図4は、半導体領域/誘電体領域幅(ミクロン)に対して絶縁破壊電圧(ボルト)をプロットしたもので図2のダイオードをシミュレーションした結果の概要を示す。曲線41及び42は両側及び片側接合においてp及びnドーピングレベルが共に5E16である場合の結果を示し、即ち、図2に示されたpn接合の両側近傍に誘電体が在る場合とこの接合の片側近傍のみに誘電体が在る場合との両者がこの発明の範疇に入るものとすることができる。曲線43及び44は同様に両側及び片側接合においてp及びnドーピングレベルが1E17である場合の結果を示している。
【0023】
これらの結果により以下の実施態様が提案される。ダイオード接合を横切るようにトレンチをエッチングし、好ましくは高誘電率の絶縁材料(例えば、誘電率>20のTa2O5)でこれらトレンチを満たし、シリコンのパッシベーションのためにSiO2で裏打ちする(上記結果/曲線では2nmであった)。臨界電界を形成するために、延いては、高絶縁破壊電圧とするために過剰電荷(即ち、より広い空乏領域)が必要となる。エッチングはストライプ状に行うことができるが、六角形又は四角形のメッシュ状に行う方がさらに良いかもしれず、これは、電圧の広がりがより強いからであり、これは、同電圧下で、さらに高い電荷、従って、さらに広い空乏層が必要となるからである。このメッシュ状、即ち、セル状の配置がより高い面積/体積比をもたらし、高kで覆われたより大きい面積がより強い容量結合を与え、従って、空乏層がより広がり(RESURFがより良くなり)、且つ、絶縁破壊電圧がより高くなる。
【0024】
この発明においては、半導体ダイオード装置に関連して記載された上記コンセプトは、順方向電圧降下、即ち、オン抵抗と絶縁破壊電圧との間により良いトレードオフを与えるバイポーラ接合トランジスタやMOSFET等の逆バイアス接合を有する他の如何なる装置にも適用できる。例えば、MOS装置では、ドレイン拡張部分のドーピングレベルが高ければ高いほどオン抵抗にとっては良いが、要求される絶縁破壊電圧がドーピングレベルを制限してしまう。pn接合近傍且つ場合によってはこれを跨ぐ電界形成領域に、好ましくは、高誘電率の絶縁材料を用いることにより、この制限が緩やかになる。この近傍電界形成領域は例えばトレンチ内で縦方向、しかし、例えば接合終端部では横方向となってもよい。さらに、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)装置においても、上部又は底部において電界形成誘電体層で酸化層を置き換える、又は、酸化層と電界形成誘電体層とのサンドイッチとすることにより上記メカニズムを用いることができる。電界形成誘電体で酸化物を完全に置き換えたこの態様が添付図面の図5に示されており、ここでは、層51はシリコン基板で、層52は埋め込み高k誘電体電界形成領域で、層53はpn接合101を有するSOI半導体シリコン領域で、層54は上部高k誘電体電界形成領域で、層55は電界プレートである。逆絶縁破壊電圧下でのpn接合空乏領域の誘起された拡張端部が破線508,509で示されている。
【0025】
この発明の範疇のすべての装置において、電界形成絶縁材料の誘電率が高いほど絶縁破壊電圧への有益な効果が高くなる。即ち、電界形成絶縁/誘電材料のk値が高いほど、半導体pn接合近傍の領域内の電界形成材料の電界の電圧等線図の拡張が大きくなり、従って、最大電界が小さくなり(電界がさらに緩やかになり)、そして、これに対応して誘起された半導体材料内の電界及びpn接合空乏領域の拡張が大きくなり、従って、pn接合の逆絶縁破壊電圧が大きくなる。電界形成材料のk値が大きくなるほどこの材料の領域が薄くなって半導体pn接合の絶縁破壊電圧を増加させることができる。酸化タンタルTa2O5(k値が約22)が電界形成領域の材料として好ましい。二酸化シリコンSiO2(k値が約4)や窒化シリコンSi3N4(k値が約8)等のシリコン半導体技術でよく知られている他の絶縁材料もこの発明の装置の電界形成領域として用いることができるが、この領域は、近傍pn半導体接合での絶縁破壊電圧と同様な増加を達成するには、Ta2O5よりかなり厚くなければいけないであろう。誘電体電界形成領域は如何なる電流も通さないので、電界形成領域/層は薄くkが高いほど効果が高まり、これは、装置領域に、結果としてさらに小さくなった装置オン抵抗を有するさらに並列なダイオード/トランジスタセルが形成されるからである。この発明の電界形成領域として用いることができ、そして、窒化シリコン窒化よりk値が高い他の誘電材料は、例えば、酸化アルミニウムAl2O3(K=4.5−8.4)、チタン酸ストロンチウムSiTiO3、チタン酸バリウムBaTiO3(K=12−15)である。さらにk値が高い材料の例としてはCoTiO3(K=40)がある。SiO2よりk値が高く、特に、Si3N4よりk値が高い誘電材料は、この発明の電界形成領域として用いるのに好ましい。
【0026】
添付図面の図6は、この発明のプラナーゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置60の一部の断面を示している。装置60は、上部にn−ドレインドリフト領域11が在るn+基板ドレイン領域14を有するシリコン半導体本体を備える。絶縁ゲート構造Gは半導体本体上部表面に設けられたゲート誘電体層30とゲート導電層31とから成る。絶縁ゲート構造Gは、上面から見ると、ドレインドリフト領域11と共にpn接合34を形成し、そして、n+ソース領域33を含むp型本体領域32から成るソースセルから各々が形成される複数開口を有する規則的なメッシュ又はグリッドを形成している。図6は、二ソースセルの各々の半分を示しており、一つのセルはゲート構造Gの示された断面の各側面にある。絶縁領域35がゲート構造G上部に設けられている。すべてのソース領域33のコンタクトをとるソースメタライゼーション36が絶縁領域35上部の半導体表面に設けられておりソース電極Sを形成している。絶縁ゲート構造Gに対する電気的接続が絶縁領域35を介した開口により施される。メタライゼーション層16がドレイン領域14とコンタクトが取られドレイン電極Dを形成している。電界形成領域61が,これらはTa2O5でも良いが、各々が、p本体32とn−ドレインドリフト領域11との間のpn接合34近傍にあり、そして、各々が、n+ドレイン領域と一体化されている第一容量性電圧結合領域62と、第二容量性電圧結合領域であって、好ましくは、高濃度にドープされたポリシリコン、又は、これら二領域と同電位である装置のp本体領域32とソース領域33とに近い金属(ソースメタライゼーション36の拡張部でもよい)から成る第二容量性電圧結合領域63との間に容量結合されている。第二容量性電圧結合領域63はp本体領域32又はソース領域33自体であってもよい。金属又は高濃度にドープされたポリシリコンの第二容量性電圧結合領域63が、これは、nドレインドリフト領域11内で空乏化が強いため好ましいが、(図示されない)薄い絶縁層により半導体シリコンから分離されると好ましい。図6Aは図6の装置の一部を拡大したもので、Ta2O5電界形成領域を設けることの効果を説明するものである。図6Aは電界形成領域61内とpn接合34領域内の近傍半導体領域の、装置の逆絶縁破壊電圧(ソースからドレイン)での、電圧等線図を示している。装置の絶縁破壊電圧を増加させるpn接合領域内での電界形成は空乏領域までに制限される。破線68は、pn接合空乏領域の拡張端部を示しており、この空乏領域は一部のみがドレインドリフト領域11を介して拡張している。これは、上記議論した図3Aのダイオードにおける空乏領域の拡張に対応する。上記議論したWO01/59847文書の例では、電界形成はドレインドリフト領域全体に渡って拡張し、さらに、電界形成半絶縁導体領域がn+ドレイン領域とコンタクトが取られる部位までpn接合から離れている。
【0027】
この発明の態様の効果は電界形成領域が絶縁性であり、容量的に結合され、そして、空乏領域のみを形成し、そして、空乏領域からはるか外側の空乏層を含む半導体材料内には電界を「形成」しないことである。WO−A−01/59847及びWO−A−03/043089における態様では、電界形成領域として半絶縁材料を用いるが、電界の拡張は半絶縁層の長さ全体に渡り、これが、元の空乏領域からはるか外側のpn接合を有する半導体内の空乏層の拡張を誘起し、この空乏層の拡張が装置の要求される絶縁破壊電圧に必要される以上にその容量を高めることになる。この発明の容量結合された絶縁電界形成領域により、拡張が自然に制限され、何故ならば、逆バイアスに適用される「フィードバック」が起きるように空乏層電荷の増加が拡張を決定する。WO−A−01/59847の態様に存在する(寄生)過剰電流リークを避け、空乏領域に対する電界形成を制限するのが絶縁電界形成領域の使用目的である。WO−A−01/59849は、この半絶縁特性を確保するために窒化シリコンの処理及び組成を必要とするであろう半絶縁層のための窒化シリコンの使用可能性について述べていることに留意されたい。もし、窒化シリコンがこの発明の電界形成材料として用いられると、その処理及び組成はその絶縁特性を確保するものではなくなるであろう。何故ならば、絶縁電界形成領域の効果は空乏層が存在する半導体シリコンの一部に限られるからであり、電界形成領域の始まり及び終了の正確な位置はWO−A−01/59847の態様より明瞭でないからである。従って、図6に示される装置においては、電界形成領域11はpn接合34のp側のみに近いが、電界形成領域11は、第二容量性電圧結合領域である金属ソース電極36,Sまで拡張し、従って、pn接合を跨ぐものでもよい。この場合、電界形成領域11は、半導体領域(これはp本体でありnドレインドリフト領域)内の逆バイアスpn接合の両側における電圧とは電圧が少し異なる容量性電圧結合領域に結合されるであろう。従って、この効果はそれ程大きくないが満足するものとなろう。絶縁層が第二の容量性電圧結合金属コンタクトと半導体領域との間に設けられてもよい。この発明の範疇における他の装置では、例えば図2に見られるダイオードでは、絶縁電界形成領域を、これは電流を通さないので、二金属キャパシタ電極間に接続することができる。
【0028】
WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置の例では、電界形成領域は真性半導体材料として、又は、ドリフト領域より低濃度にドープされた外因性 半導体材料として、又は、半絶縁材料として記載され、そして、電界形成領域端部近傍の第一及び第二キャパシタ電極領域が異なる電子エネルギバリアを有する。これに対して、この発明の電界効果型トランジスタでは、電界形成材料は絶縁材料であり、絶縁電界形成領域両端部の容量性電圧結合領域は異なる電子エネルギバリアを有しても良いが有する必要もなく、そして、重要なことは、電界形成領域の一部内の電界が(図6Aに示されるように)電界の拡張を誘起し、これはp本体−ドリフト領域接合近傍の空乏領域までに制限され、そして、ドリフト領域全体には及ばず、即ち、容量性電界形成は、装置内で電圧降下が生じる空乏層幅までに制限される。
【0029】
添付図面の図7は、この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置70の一部における断面を示している。半導体本体はp型本体領域32内にn+ソース領域33を有し、p型本体領域32はn−ドレインドリフト領域11と共にn+ドレイン領域14上にpn接合34を形成している。トレンチゲート・ゲート構造Gは、半導体本体上面からソース領域33及びpn接合34を超えてドレインドリフト領域11内に達するトレンチ75を備える。ゲート構造Gは、ゲート導電材料31とトレンチ75近傍の半導体本体との間においてトレンチ75内に設けられた絶縁層76を備える。上部絶縁層35がゲート導電材料31上部に設けられている。図6を参照して説明されたのと同様に、二ソースセルの各々の半分が図7に示され、一つのセルがトレンチゲート構造Gの示された部分の各側面にある。電界形成絶縁誘電体領域71は、これらは例えばTa2O5でもよいが、各々が、p本体32とn−ドレインドリフト領域11との間のpn接合34の近傍で且つこれを跨ぎ、そして、各々が、n+ドレイン領域14と一体化されている第一容量性電圧結合領域72と金属ソース電極36と一体化されている第二容量性電圧結合領域73との間に容量結合されている。WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置の例では、電界形成領域はp本体とn−ドレインドリフト領域との間の接合を跨いでいない。図7Aは装置のソース・ドレイン間絶縁破壊電圧における電圧等線図を、破線により、電界形成領域71の一部の非均一電界として、さらに、pn接合34両端の近傍半導体領域内の誘起された拡張空乏領域77,78内の非均一電界として示している。図6と同様に、拡張空乏領域の端部78が部分的にのみドレインドリフト領域11内へ延びている。
【0030】
一般的な事項として、WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置はすべて基本的に電界形成領域のための絶縁誘電体を置き換えることによりこの発明の範疇内で変形可能である。添付図面の図6及び7を参照して記載された装置は主にそのような置き換えによる変形例である。
【0031】
この発明による変形例となるWO−A−03/043089に記載されている横型絶縁ゲート電界効果型装置の例の断面図及び平面図が添付図面の図8A及び8Bに各々示されている。n+ソース領域33,n+ドレイン領域14,そして、n−ドレインドリフト領域11が装置の主表面下に設けられている。ゲート誘電体層30及びゲート導電層31を有するプラナー絶縁ゲートが主表面上に設けられている。p本体チャネル形成領域32も主表面下に設けられている。電界形成絶縁誘電体領域81が,これはTa2O5でも良いが、p本体32とnドレインドリフト領域11との間のpn接合の近傍即ち近くにあり且つ薄い絶縁SiO2領域82によりドレインドリフト領域11から分離されている主表面上に設けられている。電界形成領域81のための第一容量性電圧結合領域84がドレイン電極16により形成されている。ソースメタライゼーション電極36がソース領域33とコンタクトが取られ、ゲート導電層31を覆う絶縁層83上まで延び、誘電体電界形成領域81の一端近傍で電界形成領域81のための第二容量性電圧結合領域85を与えるp+領域とコンタクトが取られる。ソース電極36が直接電界形成領域81とコンタクトが取られることによりp+領域は省略できる。装置80は基板87上の埋め込み酸化層86を含む絶縁基板(SOI)プロセス構造上にシリコン層を用いて形成されたものとして示されている。
【0032】
添付図面の図9はこの発明のバイポーラトランジスタ90の概略を示している。両側に電界形成誘電体/絶縁領域95が設けられた構造内にn+エミッタ領域91,p+ベース領域92,nコレクタドリフト領域93,そして、n+コレクタ領域94が埋め込まれ,逆電圧下で、ベース・コレクタ接合において電界/空乏領域を拡張させ、且つ、逆絶縁破壊電圧を増加させる。
【0033】
一般的に事項として、WO−A−03/015178に開示されているすべてのバイポーラトランジスタ構造は、基本的にWO−A−03/015178でゲート領域と称されている半絶縁電界形成領域を絶縁/誘電材料で置き換えることによりこの発明の範疇内で変形可能である。この例の断面図が添付図面の図10に示されており、これはWO−A−03/015178の図3に示された構造の変形例である。
【0034】
図10のバイポーラトランジスタ90では、縦型構造が、複数のメサ901を有するn+コレクタ基板94を有し、各メサ901は、nコレクタドリフト領域93,薄いp型ベース層92,エミッタ・ベース空間電荷領域96,そして、エミッタ領域91から成る。各メサ901は、トレンチ902により囲まれ、これは、任意であるが、薄いパッシベーションSiO2絶縁層903によりメサから分離されてもよく、そして、メサ901内のpnベース92コレクタ93接合を跨ぐ電界形成領域95として,好ましくはkが高い絶縁/誘電材料を含む。各電界形成領域95のための第一容量性電圧結合領域がn+コレクタ領域94と一体化して形成され、各電界形成領域95のための第二容量性電圧結合領域97が誘電体95上の金属コンタクトにより形成されている。これとは別に、第二容量性電圧結合領域コンタクトがベース又はエミッタに接続されてもよい。
【0035】
添付図面の図11はこの発明のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造110の他例を示している。酸化物基板114上に示され、pn接合111を形成する半導体p及びn領域112、113は単純なダイオード装置であるが、電界効果型トランジスタの本体及びドレインドリフト領域、又は、バイポーラトランジスタのベース及びコレクタドリフト領域等のドリフト領域を組み込むものとしても考えられる。好ましくはkが高い絶縁誘電体電界形成領域の二部分115,116がp及びn半導体領域の上部及び後部に設けられている。図11に示される構造では、この構造の左側及び右側への(図示されない)コンタクトにより、電圧を半導体領域112,113、そして、電界形成領域115,116に印加することができる。これとは別に、電圧印加のためのコンタクトがp及びn領域112,113に対してのみ取られ、これが、電界形成領域115,116のために必要な第一及び第二容量性電圧結合領域を与えるものとすることができる。p及びn半導体領域の後部並びに上部における高k電界形成領域の存在により、この発明の容量性電界形成が電荷の三次元(非線形)分布を伴うこともできることが説明される。逆絶縁破壊電圧下で拡張されたpn接合空乏領域の端部が破線117、118,そして、119により示されている。
【0036】
添付図面の図12は、pn接合の終端、これは、p領域123とn領域124との間に示されているpn接合122が表面横方向でスムースな曲線で終端する点であり、絶縁破壊電圧を増加させるために、絶縁/誘電体(好ましくは、高kの)電界形成領域121がこの発明において用いられた構造を示している。この発明においては表面横方向上部の電界形成領域121により表面横方向上部に形成されたpn接合122の空乏領域の曲率半径が大きくなり(点線125で示された空乏領域が破線126まで拡張され)、従って、pn接合の絶縁破壊電圧が増加する。pn接合に加えられた当該逆電圧がコンタクトA及びB、又は、A及びCに加えられる。高k電界形成領域121はp及びn領域123、124に接触しているので(示されているように直接、又は、薄い絶縁物を介して)、これは自然に、pn接合122に加えられたのと同電圧に容量的に結合される。コンタクトA及びBの場合、p及びn領域123、124のみが電界形成領域121のための第一及び第二の容量性電圧結合領域として機能する。そのような終端は、これは図12に見られるようにこの発明の恩恵であるが、プラナー半導体装置のほとんどすべてのpn接合近傍にて生じる。従って、プラナー装置におけるそのような接合は、図12に見られるような単純なダイオードか、又は、例えば、ベース・コレクタ接合となりうる。
【0037】
この開示を読むことにより他の各種の変形及び変更が当業者にとって明らかとなる。そのような変形及び変更はこの技術分野ですでに知られている同等物及び他の特徴を含むことができ、そして、ここに開示された特徴の代わりに又は加えて用いることができる。
【0038】
特許請求の範囲はある特定の特徴の組み合わせとして編成されているが、この発明の範疇は、ここに明瞭に又は暗に記載された如何なる新規な特徴又は新規な特徴の組み合わせ、又は、それから派生する特徴を、いかなる請求項に規定されたこの発明に関係するかしないに関わらず、又は、この発明が解決する如何なる又はすべての技術的課題を軽減するかしないに関わらず含むものである。
【0039】
各実施形態のコンテクストにて記載された特徴は組み合わされて単一の実施形態としてもよい。これとは逆に、簡潔さのために単一の実施形態のコンテクストにて記載された特徴は別々に又は如何なる適切な組み合わせとされてもよい。そのような特徴及び又はそのような特徴の組み合せに対して新規な請求項が、この出願の継続中に、又は、これから派生するいかなるさらなる出願の継続中においても作成されうることを出願人はここに告知するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】上述の如く記載された既知の半導体装置の概略断面図である。
【図1B】上述の如く記載された既知の半導体装置の概略断面図である。
【図2】この発明の半導体ダイオード装置の概略断面図である。
【図3A】図2に示されるダイオード装置の絶縁破壊における電圧の等線図を説明するグラフである。
【図3B】図1Aに示されるダイオード装置の絶縁破壊における電圧の等線図を説明するグラフである。
【図4】図2のダイオードのシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
【図5】この発明の電界形成層を組み込んだシリコン・オン・インシュレータ構造を示す図である。
【図6】この発明のプレーナー・ゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図6A】この発明のプレーナー・ゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図7】この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図7A】この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図8A】この発明の横型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ装置の断面図である。
【図8B】この発明の横型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ装置の平面図である。
【図9】この発明のバイポーラトランジスタの概略を示す図である。
【図10】この発明のバイポーラトランジスタの断面図である。
【図11】この発明のシリコン・オン・インシュレータ構造の概略斜視図である。
【図12】この発明のpn接合終端構造の概略断面図である。
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置であって、pn接合と、このpn接合領域の近傍に位置し、半導体装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
添付図面の図1Aは既知の単純な半導体pn接合ダイオード装置100を示す。整流接合101がp型領域102とn型領域103との間に形成され、領域102及び103は、各々、同じ導電型でさらに高濃度にドープされたp+及びn+領域106、107を介して、装置金属電極104及び105に接続されている。ダイオードの逆絶縁破壊電圧は許容最大電界(半導体シリコンで約0.2MV/cm)に強く関係している。従って、絶縁破壊電圧はpn接合101のいずれかの側への、空乏領域の端部108,109内の電圧の等線図(equilines)の分布、即ち、pn接合の両側のドーピングレベルに依って変わる空乏領域の程度に依って変わる。
【0003】
図1Aに示された単純なダイオード内において起こるドーピングレベルと絶縁破壊電圧との直接的な関係はRESURFメカニズムとして良く知られているものを用いた様々な既知の構造により回避することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RESURFメカニズム構造を開示している文書の一例がUS−A−4,754,310(弊社整理番号PHB32740)であり、その内容がこの参照により開示に含まれる。この米国特許の例では整流ダイオード、電界効果型トランジスタ、そして、バイポーラトランジスタを含む電力素子が開示されている。単純な整流ダイオードの場合は添付図面の図1Bに概略的に示されているものに等しい構造である。図1Bに示されているダイオード100Bは交互にp型領域とn型領域とを有し、電界と空乏領域の端部108B,109Bとが同じ逆電圧でpn接合のいずれかの側へ相当な距離拡張される。これにより絶縁破壊電圧が高くなる。電界効果型トランジスタの場合、このトランジスタのオン抵抗と絶縁破壊電圧とのトレードオフの関係が、添付図面の図1Bに示されている交互のp型領域とn型領域と同様な態様で、ある導電型の複数第一領域が反対の導電型の複数第二領域と互いに挟まれる領域としてドレインドリフト領域を設けることにより解消される。これら態様の主なる問題は交互のp型及びn型領域内のP及びNドーピングのバランスが非常に良くなければならないということである。
【0005】
WO−A−01/59847(弊社整理番号PHNL000066)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願が、縦型高電圧絶縁ゲート電界効果型装置の場合の絶縁破壊電圧とオン抵抗との間のトレードオフを改善する他の方法を提供している。複数電界形成領域が、ドレインドリフト領域を介して、装置の本体領域からドレイン領域に延在している。これら電界形成領域は半絶縁又は抵抗性領域であり、ドレインドリフト領域内の空乏領域をドレイン領域に向かって拡張させて装置の逆絶縁破壊電圧を上げるために、装置が非導通状態で電圧が装置の主電極間に加えられたときにソース領域からの電流リーク経路をもたらす。抵抗性経路に沿って小リーク電流が流れるとこれら抵抗性経路に沿って線形的な電位降下が生じる。そこで、これら経路に沿って、従って、近傍ドレインドリフト領域内に、ほぼ一定な垂直電界が発生し、その結果、電界形成領域が無い場合に不定電界となるときより絶縁破壊電圧が大きくなる。米国特許4,754,310の発明においては、装置に必要な絶縁破壊電圧を得るために、ドレインドリフト領域のドーピング濃度を高め、従って、従来装置と比べて装置のオン抵抗を小さくすることができる。
【0006】
WO−A−03/015178(弊社整理番号PHNL010570)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願が、第一濃度にドープされた第一導電型の半導体材料の高濃度にドープされたコレクタ領域を含むコレクタと、第一導電型の半導体材料のエミッタ領域と、エミッタ領域とコレクタとの間に第一導電型と反対の第二導電型の半導体材料のベース領域と、ここでコレクタがさらに高濃度にドープされたコレクタ領域とベース領域との間に延在する低濃度にドープされたドリフト領域を含み、ドリフト領域は第一導電型で第一濃度より低い第二濃度でドープされ、さらにドリフト領域近傍に延在するトレンチと、電圧ブロック動作モードでドリフト領域のキャリアの空乏化を制御するためのドリフト領域から絶縁されたトレンチ内にゲートとを備えるバイポーラトランジスタ構造を開示している。コレクタのドリフト領域は、このドリフト領域のキャリアが空乏化するように、コレクタの高濃度にドープされた領域より低濃度とされている。トレンチ内にゲートを用いることにより、ドリフト領域が高濃度にドープされていても、そうでない場合に比べて空乏化が可能となる。これにより、従来構造に比べてカットオフ周波数及び絶縁破壊電圧が高い製品が可能となる。好都合なことには、この構造は対向する第一、第二面を有する半導体本体上の縦型構造とすることができる。エミッタ領域が第一面に、そして、コレクタ領域が第二面に接続されてもよい。トレンチが、ほぼ第一面に垂直に、エミッタ及びベース領域を介してドリフト領域へと拡張されてもよい。代わりの実施形態では例えば絶縁埋め込み層をゲートとして用いて横型構造とすることができる。ゲートは半絶縁材料でもよく、この構造は、さらに、ドリフト領域とベース領域との境界近傍のゲート端部に第一ゲート接続部と、ドリフト領域と高濃度にドープされたコレクタ領域との境界に第二ゲート接続部とを備えることができる。これにより、ゲートに沿って均一な電界が加えられ、それによって、ドリフト領域に均一な電界が加えられて、低電圧での絶縁破壊を最小限に抑えることができる。この均一な電界は、ドリフト領域内でのドーピング・プロファイルを複雑にせずに達成できる。
【0007】
WO−A−03/043089(弊社整理番号PHNL020937)として発行され、その内容がこの参照により開示に含まれる、国際特許出願は、ソース領域とドレイン領域とドレインドリフト領域とを備えた電界効果型トランジスタ半導体装置であって、ドリフト領域近傍に電界形成領域を有し、使用時、ソース及びドレイン領域間に逆電圧が加えられ且つ装置が非導通時に、電界形成領域に、そして、近傍ドリフト領域にほぼ一定な電界が発生するような態様とされ、電界形成領域が第一キャパシタ電極領域と第二キャパシタ電極領域と間のキャパシタ誘電体領域として機能するように調整され、第一及び第二キャパシタ電極領域が誘電体領域の各端部近傍に在り且つ異なる電子エネルギバリアを有することを特徴とする電界効果型トランジスタ半導体装置という発明に関する。
【0008】
電界がほぼ一定ということは、電界形成領域内、従って、近傍ドリフト領域内の最大電界が所定電圧下において電界形成領域が無い場合に比べて低下し、その結果、装置の絶縁破壊電圧が比較的高くなることを意味する。
【0009】
WO−A−03/043089による装置においては、使用時、ソース及びドレイン領域間に電圧が加えられ且つ装置が非導通時に、電界形成領域を抵抗性領域ではなくキャパシタ誘電体領域として機能させるのは第一及び第二キャパシタ電極間の異なる電子エネルギバリアであり、電界形成領域には空間電荷が実質的に無く、電界形成領域では、ドリフト領域を伴う第一キャパシタ電極領域と第二キャパシタ電極領域と間の空間電荷が電荷平衡を保っている。これは、即ち、ドレインドリフト領域の電荷に加えて第一キャパシタ電極領域の電荷が第二キャパシタ電極領域の電荷を補償している。その発明において、電界形成領域にほぼ一定な電界を容量的に発生させるのは、電界形成領域を介して加えられるリーク電流ではなく、印加電圧であり、これはWO−A−01/59847に開示されている態様により与えられる。US−A−4,754,310の態様におけるドリフト領域長さに沿った二つの背反する導電型領域間に正確な電荷平衡をもたらす上での問題がWO−A−03/043089の態様では起こらない。
【0010】
WO−A−03/043089では、電界形成領域は真性半導体材料、又は、ドリフト領域より低濃度にドープされた外因性半導体材料、又は、例えば、酸素ドープ多結晶シリコンと窒素ドープ多結晶シリコンとのいずれか一つを備える半絶縁材料として記載されている。第一キャパシタ電極領域はある導電型の半導体領域で、第二キャパシタ電極領域は第一キャパシタ電極領域と反対の導電型の半導体領域でもよい。この場合、第一及び第二キャパシタ電極領域の異なる電子エネルギバリアがこれら二半導体導電型の異なる仕事関数によりもたされる。これとは別に、第一キャパシタ電極領域が半導体領域で、第二キャパシタ電極領域がショットキーバリア領域でもよい。この場合、第一キャパシタ電極半導体領域の仕事関数は、第二キャパシタ電極ショットキーバリア領域のショットキー電子エネルギバリアとは異なる電子エネルギバリアである。ここに明示された両方の場合において、第一キャパシタ電極領域半導体領域はドレイン領域と導電型が同じである。トランジスタは絶縁ゲート電界効果型トランジスタであってもよい。これは、縦型トランジスタでもよく、それはトレンチ・ゲート・トランジスタでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明によれば、半導体装置であって、pn接合と該pn接合近傍に位置して前記装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含み、前記電界形成領域は絶縁材料であり使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた第一及び第二容量性電圧結合領域に結合され、前記電界形成領域の材料及び容量結合は前記pn接合間に逆電圧が印加され且つ前記装置が非道通時に、前記電界形成領域が存在しない場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超える前記電界形成領域の一部分に容量性電界が存在するものであり、前記電界形成領域内の電界は拡張された電界を含み、該拡張された電界はこれに対応して前記半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までとされる半導体装置が提供される。
【0012】
この発明の上記限定において「使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた容量性電圧結合領域」の意味は記載及びそれに続く図示された例の説明から明らかとなる。それでも、簡潔な説明として、電界形成領域はpn接合を形成する同じp及びn半導体領域のみに直接結合されてもよく、又は、電界形成領域は一側においてp領域近傍のp+領域且つ又は他側においてn領域近傍のn+領域に結合されてもよく、又は、電界形成領域は一側においてp+及びp両領域且つ又は他側においてn+及びn両領域に結合されてもよく、又は、電界形成領域は一又は両側においてこの目的のために設けられ又は半導体装置の主又は制御電極である(例えば金属又は高濃度ドープポリシリコン)導電性領域電極に結合されてもよく、又は、電界形成領域は上記のそのような領域の組み合わせに結合されてもよい。
【0013】
この発明の装置においては、前記半導体pn接合近傍の前記電界形成領域は前記pn接合を跨ぎ又はこのpn接合のp側及びn側の一つのみに隣接していてもよい。前記電界形成領域は前記pn接合の横方向拡張部分の一側のみ又は両側に隣接していてもよい。前記電界形成領域は前記pn接合を有する前記半導体領域の直近でもよく又はパッシベーションの裏打ちとしてSiO2等の絶縁領域が介在してもよい。前記p領域及びn領域は一定な又は非均一な例えば段階的ドーピングのいずれでもよく、オン状態ドリフト領域として使用される場合はいずれの領域も非均一ドーピングが好ましい。
【0014】
以下に記載されるこの発明の各例では、上記のUS−A−4,754,310並びに公開された国際特許出願WO−A−01/59847、WO−A−03/015178、そして、WO−A−03/043089に開示された各種の態様で逆絶縁破壊電圧増加が達成される。
【0015】
この発明のさらに詳細な記載及び各例の説明が添付図面を参照して与えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ここで、添付図面の図2を参照すると、この発明の簡単な構成のpn接合ダイオード装置200が示されている。図1Aに示された既知のダイオード装置100と同様に、ダイオード装置200は、p型領域102とn型領域103との間に形成された整流接合101を有し、領域102及び103は、各々、同じ導電型でさらに高濃度にドープされたp+及びn+領域106,107を介して、装置金属電極104及び105に接続されている。ダイオード装置200は、さらに、pn接合101の横方向に延びた部分の両側近傍で且つpn接合のp側102及びn側103を跨ぐ絶縁誘電体材料の電界形成領域201を有する。各絶縁誘電体領域201が第一及び第二の容量性電圧結合領域204及び205に結合され、これら容量性電圧結合領域は導電材料で、即ち、それらは金属で、ダイオード装置200の主金属電極104及び105と一体化されている。従って、第一及び第二の容量性電圧結合領域204及び205は電極104及び105を介してpn接合101に加えられるのと実質的に同一電圧で使用されるような態様とされる。各電界形成領域201の材料及び容量結合は、逆電圧がpn接合101に加えられ且つ装置200が非導電状態の時に、容量性電界が各電界形成領域201の一部分に存在し、これは、図1Aに破線端部108,109で示されているように、電界形成領域201が無い場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超えるような材料及び容量結合とされる。電界形成領域201内のこの電界が電界の拡張を誘起し、この電界の拡張はそれに対応して半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までであり、これにより装置200の逆絶縁破壊電圧が増加する。逆絶縁破壊電圧下でのpn接合空乏領域端部の誘起拡張部分が図2に破線208,209で示されている。図2に示されるように、各絶縁誘電体領域201は、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域204、205に結合されるのに加えて、pn接合101の両側のp+、p、n、そしてn+領域に結合される。これとは別に、各誘電体領域201に対して、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域の少なくとも一つが、pn接合101を形成するp及びn領域102,103の一つを備えることもでき、又は、各誘電体領域201に対して、第一及び第二の金属キャパシタ電極領域の少なくとも一つが、同じ導電型のより高濃度にドープされた半導体領域とpn接合を形成する近傍p及びn半導体領域、即ち、p+領域106又はn+領域107の一つを備えることもできる。例えば、誘電体領域201がp及びn領域102,103のみに結合され、又は、誘電体領域201がp+領域106又はn+領域107のみに結合されてもよい。
【0017】
pn接合空乏領域の拡張の程度とその結果のダイオード装置逆絶縁破壊電圧の増加量の程度とは半導体材料のドーピングレベルに応じたものとなる。pn接合のp側及びn側は同じドーピングレベルでもよい。さもなければ、p側とn側とではドーピングレベルが異なっても良く、その差が大きい場合は、主に、より低濃度にドープされた側により空乏層幅が決まる。絶縁破壊電圧の増加の程度は、さらに、半導体材料と電界形成誘電体材料との相対幅に応じたものとなる。半導体pn接合の絶縁破壊電圧の増加は半導体材料と絶縁電界形成領域材料との誘電率差に関係する。この発明の装置の(各)電界形成領域として用いられるのに適切な誘電体材料であるTa2O5の誘電率が大凡22であるのに対して、例えば、シリコン半導体材料の誘電率は約11.7乃至11.9である。さらに、絶縁/誘電体材料の絶縁破壊電界強度はこの発明の装置構造の形態に生じる電界に十分耐えるものであり、それはTa2O5で3−5MV/cmである。半導体装置に用いられる標準的な誘電体である例えば二酸化シリコンSiO2や窒化シリコンSi3N4もこの発明の装置の(各)電界形成領域として用いられてもよい。SiO2は誘電率が3.9で、絶縁破壊強度は12−15MV/cmである。Si3N4の誘電率は7−9で、絶縁破壊強度は10−11MV/cmであり、半導体シリコンの絶縁破壊電界強度である0.2MV/cmよりはるかに高い。
【0018】
ここで、図3A及び3Bを参照すると、各々、図2及び図1Aに示されたダイオード装置における逆絶縁破壊電圧での電圧等線図を描いたシミュレーションによるグラフが示されている。図3A及び3Bでは、縦軸においてpn接合が4.0ミクロンで、p+領域が0.0から0.2,p領域が0.2から4.0,n領域が4.0から8.0,そして、n+領域が8.0から8.2である。図2の装置の縦方向高さは図3Aにおいては実際に必要な高さより高くされており、縦軸においては、2.5ミクロンから5.5ミクロンの全高が影響を説明するのに十分と思われる。図3A及び3B両方の装置では、半導体シリコンのドーピングレベルがp及びn領域で1E17と同じである。図1Aの装置の絶縁破壊電圧をシミュレーションしたものが図3Bに示され、21.4ボルトである。図3Aに示される図2の装置の半導体シリコンの幅は、これはpn接合の横幅であって0.4ミクロンであり、酸化タンタル、Ta2O5である二つの電界形成絶縁誘電体領域201の各々の幅も0.4ミクロンである。シミュレーションしたものが図3Aに示されている図2の装置の絶縁破壊電圧は21.4ボルトから36ボルトに増加している。
【0019】
図3A及び3Bの電圧等線図は次のことを明瞭に示している:(a)電界形成領域(図3Bに示される端部108,109)が無い状態で存在するpn接合空乏領域の限界、(b)限界108,109(図3B)を超えて延在する各電界形成領域201(図3A)の一部分内に存在する容量性電界、そして、(c)半導体領域内に対応して拡張されたpn接合空乏領域(端部208,209)まで拡張された電界を含む電界形成領域201内の容量性電界の影響。
【0020】
図3Aに示された図2の装置への影響を幾らか説明すると次の通りである。各電界形成領域に対して、2次元キャパシタが存在し、一つのプレートがp領域に、そして、他のプレートがn領域に在る(さらに正確には、キャパシタ・プレートが分配され、電圧が高くなるほどプレート間距離が大きくなる)。キャパシタ・プレート周りの電圧分配及び電場線はキャパシタ・プレート周りの材料(形態及びそれらの誘電率)に応じたものとなる。簡単な例は平板キャパシタで、絶縁誘電体がプレート間に挿入され、両プレートの電荷が同じとすると両プレートで電圧が低下する。半導体ダイオードに対して同種の挙動が現れ、接合に平行に絶縁誘電体を導入し、両側の電荷が同じとすると、ダイオードに加わる電圧が低下する。ここで、当初の点まで印加電圧を高めることができる。この動作のために、空乏層にさらなる電荷、即ち、より厚い空乏層が必要となる。その結果、同じ逆バイアスで接合部での電界が小さくなる。これは絶縁破壊電圧が高くなるという結果になる。
【0021】
図2の装置の変形例では、接合部が上昇し(完全にpをnで置き換え)、誘電体領域201が存在しないと絶縁破壊電圧は15ボルトとなり、二つの誘電体領域201が存在すると(この場合も0.4ミクロン幅の半導体シリコン及び0.4ミクロン幅の誘電体領域201を有する)、絶縁破壊電圧は28ボルトとなる。この変形例の結果、容量結合がさらに強くなり、従って、空乏層の広がりが低濃度にド−プされたn部分内でより強くなる。この低濃度にド−プされた部分内で空乏層が広がるので、より強い結合で影響を強めたいこの容量結合により、この低濃度にド−プされた部分内で空乏層をより簡単に広げることができる。これは電圧をp+側からn+側に近づけることにより達成できる。従って、n領域は抵抗率が高く高電圧を維持する一つの材料である。そこで、これはMOSFETにも用いることができる。
【0022】
添付図面の図4は、半導体領域/誘電体領域幅(ミクロン)に対して絶縁破壊電圧(ボルト)をプロットしたもので図2のダイオードをシミュレーションした結果の概要を示す。曲線41及び42は両側及び片側接合においてp及びnドーピングレベルが共に5E16である場合の結果を示し、即ち、図2に示されたpn接合の両側近傍に誘電体が在る場合とこの接合の片側近傍のみに誘電体が在る場合との両者がこの発明の範疇に入るものとすることができる。曲線43及び44は同様に両側及び片側接合においてp及びnドーピングレベルが1E17である場合の結果を示している。
【0023】
これらの結果により以下の実施態様が提案される。ダイオード接合を横切るようにトレンチをエッチングし、好ましくは高誘電率の絶縁材料(例えば、誘電率>20のTa2O5)でこれらトレンチを満たし、シリコンのパッシベーションのためにSiO2で裏打ちする(上記結果/曲線では2nmであった)。臨界電界を形成するために、延いては、高絶縁破壊電圧とするために過剰電荷(即ち、より広い空乏領域)が必要となる。エッチングはストライプ状に行うことができるが、六角形又は四角形のメッシュ状に行う方がさらに良いかもしれず、これは、電圧の広がりがより強いからであり、これは、同電圧下で、さらに高い電荷、従って、さらに広い空乏層が必要となるからである。このメッシュ状、即ち、セル状の配置がより高い面積/体積比をもたらし、高kで覆われたより大きい面積がより強い容量結合を与え、従って、空乏層がより広がり(RESURFがより良くなり)、且つ、絶縁破壊電圧がより高くなる。
【0024】
この発明においては、半導体ダイオード装置に関連して記載された上記コンセプトは、順方向電圧降下、即ち、オン抵抗と絶縁破壊電圧との間により良いトレードオフを与えるバイポーラ接合トランジスタやMOSFET等の逆バイアス接合を有する他の如何なる装置にも適用できる。例えば、MOS装置では、ドレイン拡張部分のドーピングレベルが高ければ高いほどオン抵抗にとっては良いが、要求される絶縁破壊電圧がドーピングレベルを制限してしまう。pn接合近傍且つ場合によってはこれを跨ぐ電界形成領域に、好ましくは、高誘電率の絶縁材料を用いることにより、この制限が緩やかになる。この近傍電界形成領域は例えばトレンチ内で縦方向、しかし、例えば接合終端部では横方向となってもよい。さらに、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)装置においても、上部又は底部において電界形成誘電体層で酸化層を置き換える、又は、酸化層と電界形成誘電体層とのサンドイッチとすることにより上記メカニズムを用いることができる。電界形成誘電体で酸化物を完全に置き換えたこの態様が添付図面の図5に示されており、ここでは、層51はシリコン基板で、層52は埋め込み高k誘電体電界形成領域で、層53はpn接合101を有するSOI半導体シリコン領域で、層54は上部高k誘電体電界形成領域で、層55は電界プレートである。逆絶縁破壊電圧下でのpn接合空乏領域の誘起された拡張端部が破線508,509で示されている。
【0025】
この発明の範疇のすべての装置において、電界形成絶縁材料の誘電率が高いほど絶縁破壊電圧への有益な効果が高くなる。即ち、電界形成絶縁/誘電材料のk値が高いほど、半導体pn接合近傍の領域内の電界形成材料の電界の電圧等線図の拡張が大きくなり、従って、最大電界が小さくなり(電界がさらに緩やかになり)、そして、これに対応して誘起された半導体材料内の電界及びpn接合空乏領域の拡張が大きくなり、従って、pn接合の逆絶縁破壊電圧が大きくなる。電界形成材料のk値が大きくなるほどこの材料の領域が薄くなって半導体pn接合の絶縁破壊電圧を増加させることができる。酸化タンタルTa2O5(k値が約22)が電界形成領域の材料として好ましい。二酸化シリコンSiO2(k値が約4)や窒化シリコンSi3N4(k値が約8)等のシリコン半導体技術でよく知られている他の絶縁材料もこの発明の装置の電界形成領域として用いることができるが、この領域は、近傍pn半導体接合での絶縁破壊電圧と同様な増加を達成するには、Ta2O5よりかなり厚くなければいけないであろう。誘電体電界形成領域は如何なる電流も通さないので、電界形成領域/層は薄くkが高いほど効果が高まり、これは、装置領域に、結果としてさらに小さくなった装置オン抵抗を有するさらに並列なダイオード/トランジスタセルが形成されるからである。この発明の電界形成領域として用いることができ、そして、窒化シリコン窒化よりk値が高い他の誘電材料は、例えば、酸化アルミニウムAl2O3(K=4.5−8.4)、チタン酸ストロンチウムSiTiO3、チタン酸バリウムBaTiO3(K=12−15)である。さらにk値が高い材料の例としてはCoTiO3(K=40)がある。SiO2よりk値が高く、特に、Si3N4よりk値が高い誘電材料は、この発明の電界形成領域として用いるのに好ましい。
【0026】
添付図面の図6は、この発明のプラナーゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置60の一部の断面を示している。装置60は、上部にn−ドレインドリフト領域11が在るn+基板ドレイン領域14を有するシリコン半導体本体を備える。絶縁ゲート構造Gは半導体本体上部表面に設けられたゲート誘電体層30とゲート導電層31とから成る。絶縁ゲート構造Gは、上面から見ると、ドレインドリフト領域11と共にpn接合34を形成し、そして、n+ソース領域33を含むp型本体領域32から成るソースセルから各々が形成される複数開口を有する規則的なメッシュ又はグリッドを形成している。図6は、二ソースセルの各々の半分を示しており、一つのセルはゲート構造Gの示された断面の各側面にある。絶縁領域35がゲート構造G上部に設けられている。すべてのソース領域33のコンタクトをとるソースメタライゼーション36が絶縁領域35上部の半導体表面に設けられておりソース電極Sを形成している。絶縁ゲート構造Gに対する電気的接続が絶縁領域35を介した開口により施される。メタライゼーション層16がドレイン領域14とコンタクトが取られドレイン電極Dを形成している。電界形成領域61が,これらはTa2O5でも良いが、各々が、p本体32とn−ドレインドリフト領域11との間のpn接合34近傍にあり、そして、各々が、n+ドレイン領域と一体化されている第一容量性電圧結合領域62と、第二容量性電圧結合領域であって、好ましくは、高濃度にドープされたポリシリコン、又は、これら二領域と同電位である装置のp本体領域32とソース領域33とに近い金属(ソースメタライゼーション36の拡張部でもよい)から成る第二容量性電圧結合領域63との間に容量結合されている。第二容量性電圧結合領域63はp本体領域32又はソース領域33自体であってもよい。金属又は高濃度にドープされたポリシリコンの第二容量性電圧結合領域63が、これは、nドレインドリフト領域11内で空乏化が強いため好ましいが、(図示されない)薄い絶縁層により半導体シリコンから分離されると好ましい。図6Aは図6の装置の一部を拡大したもので、Ta2O5電界形成領域を設けることの効果を説明するものである。図6Aは電界形成領域61内とpn接合34領域内の近傍半導体領域の、装置の逆絶縁破壊電圧(ソースからドレイン)での、電圧等線図を示している。装置の絶縁破壊電圧を増加させるpn接合領域内での電界形成は空乏領域までに制限される。破線68は、pn接合空乏領域の拡張端部を示しており、この空乏領域は一部のみがドレインドリフト領域11を介して拡張している。これは、上記議論した図3Aのダイオードにおける空乏領域の拡張に対応する。上記議論したWO01/59847文書の例では、電界形成はドレインドリフト領域全体に渡って拡張し、さらに、電界形成半絶縁導体領域がn+ドレイン領域とコンタクトが取られる部位までpn接合から離れている。
【0027】
この発明の態様の効果は電界形成領域が絶縁性であり、容量的に結合され、そして、空乏領域のみを形成し、そして、空乏領域からはるか外側の空乏層を含む半導体材料内には電界を「形成」しないことである。WO−A−01/59847及びWO−A−03/043089における態様では、電界形成領域として半絶縁材料を用いるが、電界の拡張は半絶縁層の長さ全体に渡り、これが、元の空乏領域からはるか外側のpn接合を有する半導体内の空乏層の拡張を誘起し、この空乏層の拡張が装置の要求される絶縁破壊電圧に必要される以上にその容量を高めることになる。この発明の容量結合された絶縁電界形成領域により、拡張が自然に制限され、何故ならば、逆バイアスに適用される「フィードバック」が起きるように空乏層電荷の増加が拡張を決定する。WO−A−01/59847の態様に存在する(寄生)過剰電流リークを避け、空乏領域に対する電界形成を制限するのが絶縁電界形成領域の使用目的である。WO−A−01/59849は、この半絶縁特性を確保するために窒化シリコンの処理及び組成を必要とするであろう半絶縁層のための窒化シリコンの使用可能性について述べていることに留意されたい。もし、窒化シリコンがこの発明の電界形成材料として用いられると、その処理及び組成はその絶縁特性を確保するものではなくなるであろう。何故ならば、絶縁電界形成領域の効果は空乏層が存在する半導体シリコンの一部に限られるからであり、電界形成領域の始まり及び終了の正確な位置はWO−A−01/59847の態様より明瞭でないからである。従って、図6に示される装置においては、電界形成領域11はpn接合34のp側のみに近いが、電界形成領域11は、第二容量性電圧結合領域である金属ソース電極36,Sまで拡張し、従って、pn接合を跨ぐものでもよい。この場合、電界形成領域11は、半導体領域(これはp本体でありnドレインドリフト領域)内の逆バイアスpn接合の両側における電圧とは電圧が少し異なる容量性電圧結合領域に結合されるであろう。従って、この効果はそれ程大きくないが満足するものとなろう。絶縁層が第二の容量性電圧結合金属コンタクトと半導体領域との間に設けられてもよい。この発明の範疇における他の装置では、例えば図2に見られるダイオードでは、絶縁電界形成領域を、これは電流を通さないので、二金属キャパシタ電極間に接続することができる。
【0028】
WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置の例では、電界形成領域は真性半導体材料として、又は、ドリフト領域より低濃度にドープされた外因性 半導体材料として、又は、半絶縁材料として記載され、そして、電界形成領域端部近傍の第一及び第二キャパシタ電極領域が異なる電子エネルギバリアを有する。これに対して、この発明の電界効果型トランジスタでは、電界形成材料は絶縁材料であり、絶縁電界形成領域両端部の容量性電圧結合領域は異なる電子エネルギバリアを有しても良いが有する必要もなく、そして、重要なことは、電界形成領域の一部内の電界が(図6Aに示されるように)電界の拡張を誘起し、これはp本体−ドリフト領域接合近傍の空乏領域までに制限され、そして、ドリフト領域全体には及ばず、即ち、容量性電界形成は、装置内で電圧降下が生じる空乏層幅までに制限される。
【0029】
添付図面の図7は、この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置70の一部における断面を示している。半導体本体はp型本体領域32内にn+ソース領域33を有し、p型本体領域32はn−ドレインドリフト領域11と共にn+ドレイン領域14上にpn接合34を形成している。トレンチゲート・ゲート構造Gは、半導体本体上面からソース領域33及びpn接合34を超えてドレインドリフト領域11内に達するトレンチ75を備える。ゲート構造Gは、ゲート導電材料31とトレンチ75近傍の半導体本体との間においてトレンチ75内に設けられた絶縁層76を備える。上部絶縁層35がゲート導電材料31上部に設けられている。図6を参照して説明されたのと同様に、二ソースセルの各々の半分が図7に示され、一つのセルがトレンチゲート構造Gの示された部分の各側面にある。電界形成絶縁誘電体領域71は、これらは例えばTa2O5でもよいが、各々が、p本体32とn−ドレインドリフト領域11との間のpn接合34の近傍で且つこれを跨ぎ、そして、各々が、n+ドレイン領域14と一体化されている第一容量性電圧結合領域72と金属ソース電極36と一体化されている第二容量性電圧結合領域73との間に容量結合されている。WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置の例では、電界形成領域はp本体とn−ドレインドリフト領域との間の接合を跨いでいない。図7Aは装置のソース・ドレイン間絶縁破壊電圧における電圧等線図を、破線により、電界形成領域71の一部の非均一電界として、さらに、pn接合34両端の近傍半導体領域内の誘起された拡張空乏領域77,78内の非均一電界として示している。図6と同様に、拡張空乏領域の端部78が部分的にのみドレインドリフト領域11内へ延びている。
【0030】
一般的な事項として、WO−A−03/043089に記載されている電界効果型装置はすべて基本的に電界形成領域のための絶縁誘電体を置き換えることによりこの発明の範疇内で変形可能である。添付図面の図6及び7を参照して記載された装置は主にそのような置き換えによる変形例である。
【0031】
この発明による変形例となるWO−A−03/043089に記載されている横型絶縁ゲート電界効果型装置の例の断面図及び平面図が添付図面の図8A及び8Bに各々示されている。n+ソース領域33,n+ドレイン領域14,そして、n−ドレインドリフト領域11が装置の主表面下に設けられている。ゲート誘電体層30及びゲート導電層31を有するプラナー絶縁ゲートが主表面上に設けられている。p本体チャネル形成領域32も主表面下に設けられている。電界形成絶縁誘電体領域81が,これはTa2O5でも良いが、p本体32とnドレインドリフト領域11との間のpn接合の近傍即ち近くにあり且つ薄い絶縁SiO2領域82によりドレインドリフト領域11から分離されている主表面上に設けられている。電界形成領域81のための第一容量性電圧結合領域84がドレイン電極16により形成されている。ソースメタライゼーション電極36がソース領域33とコンタクトが取られ、ゲート導電層31を覆う絶縁層83上まで延び、誘電体電界形成領域81の一端近傍で電界形成領域81のための第二容量性電圧結合領域85を与えるp+領域とコンタクトが取られる。ソース電極36が直接電界形成領域81とコンタクトが取られることによりp+領域は省略できる。装置80は基板87上の埋め込み酸化層86を含む絶縁基板(SOI)プロセス構造上にシリコン層を用いて形成されたものとして示されている。
【0032】
添付図面の図9はこの発明のバイポーラトランジスタ90の概略を示している。両側に電界形成誘電体/絶縁領域95が設けられた構造内にn+エミッタ領域91,p+ベース領域92,nコレクタドリフト領域93,そして、n+コレクタ領域94が埋め込まれ,逆電圧下で、ベース・コレクタ接合において電界/空乏領域を拡張させ、且つ、逆絶縁破壊電圧を増加させる。
【0033】
一般的に事項として、WO−A−03/015178に開示されているすべてのバイポーラトランジスタ構造は、基本的にWO−A−03/015178でゲート領域と称されている半絶縁電界形成領域を絶縁/誘電材料で置き換えることによりこの発明の範疇内で変形可能である。この例の断面図が添付図面の図10に示されており、これはWO−A−03/015178の図3に示された構造の変形例である。
【0034】
図10のバイポーラトランジスタ90では、縦型構造が、複数のメサ901を有するn+コレクタ基板94を有し、各メサ901は、nコレクタドリフト領域93,薄いp型ベース層92,エミッタ・ベース空間電荷領域96,そして、エミッタ領域91から成る。各メサ901は、トレンチ902により囲まれ、これは、任意であるが、薄いパッシベーションSiO2絶縁層903によりメサから分離されてもよく、そして、メサ901内のpnベース92コレクタ93接合を跨ぐ電界形成領域95として,好ましくはkが高い絶縁/誘電材料を含む。各電界形成領域95のための第一容量性電圧結合領域がn+コレクタ領域94と一体化して形成され、各電界形成領域95のための第二容量性電圧結合領域97が誘電体95上の金属コンタクトにより形成されている。これとは別に、第二容量性電圧結合領域コンタクトがベース又はエミッタに接続されてもよい。
【0035】
添付図面の図11はこの発明のシリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造110の他例を示している。酸化物基板114上に示され、pn接合111を形成する半導体p及びn領域112、113は単純なダイオード装置であるが、電界効果型トランジスタの本体及びドレインドリフト領域、又は、バイポーラトランジスタのベース及びコレクタドリフト領域等のドリフト領域を組み込むものとしても考えられる。好ましくはkが高い絶縁誘電体電界形成領域の二部分115,116がp及びn半導体領域の上部及び後部に設けられている。図11に示される構造では、この構造の左側及び右側への(図示されない)コンタクトにより、電圧を半導体領域112,113、そして、電界形成領域115,116に印加することができる。これとは別に、電圧印加のためのコンタクトがp及びn領域112,113に対してのみ取られ、これが、電界形成領域115,116のために必要な第一及び第二容量性電圧結合領域を与えるものとすることができる。p及びn半導体領域の後部並びに上部における高k電界形成領域の存在により、この発明の容量性電界形成が電荷の三次元(非線形)分布を伴うこともできることが説明される。逆絶縁破壊電圧下で拡張されたpn接合空乏領域の端部が破線117、118,そして、119により示されている。
【0036】
添付図面の図12は、pn接合の終端、これは、p領域123とn領域124との間に示されているpn接合122が表面横方向でスムースな曲線で終端する点であり、絶縁破壊電圧を増加させるために、絶縁/誘電体(好ましくは、高kの)電界形成領域121がこの発明において用いられた構造を示している。この発明においては表面横方向上部の電界形成領域121により表面横方向上部に形成されたpn接合122の空乏領域の曲率半径が大きくなり(点線125で示された空乏領域が破線126まで拡張され)、従って、pn接合の絶縁破壊電圧が増加する。pn接合に加えられた当該逆電圧がコンタクトA及びB、又は、A及びCに加えられる。高k電界形成領域121はp及びn領域123、124に接触しているので(示されているように直接、又は、薄い絶縁物を介して)、これは自然に、pn接合122に加えられたのと同電圧に容量的に結合される。コンタクトA及びBの場合、p及びn領域123、124のみが電界形成領域121のための第一及び第二の容量性電圧結合領域として機能する。そのような終端は、これは図12に見られるようにこの発明の恩恵であるが、プラナー半導体装置のほとんどすべてのpn接合近傍にて生じる。従って、プラナー装置におけるそのような接合は、図12に見られるような単純なダイオードか、又は、例えば、ベース・コレクタ接合となりうる。
【0037】
この開示を読むことにより他の各種の変形及び変更が当業者にとって明らかとなる。そのような変形及び変更はこの技術分野ですでに知られている同等物及び他の特徴を含むことができ、そして、ここに開示された特徴の代わりに又は加えて用いることができる。
【0038】
特許請求の範囲はある特定の特徴の組み合わせとして編成されているが、この発明の範疇は、ここに明瞭に又は暗に記載された如何なる新規な特徴又は新規な特徴の組み合わせ、又は、それから派生する特徴を、いかなる請求項に規定されたこの発明に関係するかしないに関わらず、又は、この発明が解決する如何なる又はすべての技術的課題を軽減するかしないに関わらず含むものである。
【0039】
各実施形態のコンテクストにて記載された特徴は組み合わされて単一の実施形態としてもよい。これとは逆に、簡潔さのために単一の実施形態のコンテクストにて記載された特徴は別々に又は如何なる適切な組み合わせとされてもよい。そのような特徴及び又はそのような特徴の組み合せに対して新規な請求項が、この出願の継続中に、又は、これから派生するいかなるさらなる出願の継続中においても作成されうることを出願人はここに告知するものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1A】上述の如く記載された既知の半導体装置の概略断面図である。
【図1B】上述の如く記載された既知の半導体装置の概略断面図である。
【図2】この発明の半導体ダイオード装置の概略断面図である。
【図3A】図2に示されるダイオード装置の絶縁破壊における電圧の等線図を説明するグラフである。
【図3B】図1Aに示されるダイオード装置の絶縁破壊における電圧の等線図を説明するグラフである。
【図4】図2のダイオードのシミュレーション結果をプロットしたグラフである。
【図5】この発明の電界形成層を組み込んだシリコン・オン・インシュレータ構造を示す図である。
【図6】この発明のプレーナー・ゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図6A】この発明のプレーナー・ゲート縦型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図7】この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図7A】この発明の縦型トレンチ・ゲート絶縁ゲート電界効果型トランジスタ半導体装置の一部における概略断面図である。
【図8A】この発明の横型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ装置の断面図である。
【図8B】この発明の横型絶縁ゲート電界効果型トランジスタ装置の平面図である。
【図9】この発明のバイポーラトランジスタの概略を示す図である。
【図10】この発明のバイポーラトランジスタの断面図である。
【図11】この発明のシリコン・オン・インシュレータ構造の概略斜視図である。
【図12】この発明のpn接合終端構造の概略断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、pn接合と該pn接合近傍に位置して前記装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含み、前記電界形成領域は絶縁材料であり使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた第一及び第二容量性電圧結合領域に結合され、前記電界形成領域の材料及び容量結合は、前記pn接合間に逆電圧が印加され且つ前記装置が非道通時に、前記電界形成領域が存在しない場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超える前記電界形成領域の一部分に容量性電界が存在するものであり、前記電界形成領域内の電界は拡張された電界を含み、該拡張された電界はこれに対応して前記半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までとされる半導体装置。
【請求項2】
前記電界形成領域絶縁材料は二酸化シリコンより誘電率が高い請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電界形成領域絶縁材料は窒化シリコンより誘電率が高い請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電界形成絶縁材料は酸化タンタルTa2O5である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記絶縁電界形成領域は前記pn接合のp側及びn側の一つのみに隣接している請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記絶縁電界形成領域は前記pn接合のp側及びn側の両側に隣接している請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記pn接合の横方向の一側のみに隣接しているそのような絶縁電界形成領域がある請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記pn接合の横方向の両側に隣接しているそのような絶縁電界形成領域がある請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは前記pn接合を形成するp及びn半導体領域の一つを備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは前記pn接合を形成するp及びn半導体領域の一つと同導電型で且つ隣接するより高濃度にドープされた半導体領域を備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは導電材料領域を備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記導電材料領域は前記装置の主電極と一体化されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記容量的に結合された絶縁電界形成領域は絶縁領域により前記pn接合を有する前記半導体領域から分離されている請求項1乃至12いずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置はダイオード装置で前記pn接合は前記ダイオード装置の整流接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置はバイポーラトランジスタで前記pn接合は前記装置のベース領域とコレクタドリフト領域との接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は電界効果型トランジスタで前記pn接合は前記装置のチャネル形成領域とドレインドリフト領域との接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ドリフト領域は不均一にドープされている請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記拡張されたpn接合空乏領域は前記ドリフト領域を介して部分的にのみ延びる請求項15乃至17いずれか一項に記載の装置。
【請求項1】
半導体装置であって、pn接合と該pn接合近傍に位置して前記装置の逆絶縁破壊電圧を高める電界形成領域とを有する半導体領域を含み、前記電界形成領域は絶縁材料であり使用時に前記pn接合に印加されるのとほぼ同じ電圧が印加されるように設けられた第一及び第二容量性電圧結合領域に結合され、前記電界形成領域の材料及び容量結合は、前記pn接合間に逆電圧が印加され且つ前記装置が非道通時に、前記電界形成領域が存在しない場合に存在しうるpn接合空乏領域の限界を超える前記電界形成領域の一部分に容量性電界が存在するものであり、前記電界形成領域内の電界は拡張された電界を含み、該拡張された電界はこれに対応して前記半導体領域内に拡張されたpn接合空乏領域までとされる半導体装置。
【請求項2】
前記電界形成領域絶縁材料は二酸化シリコンより誘電率が高い請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電界形成領域絶縁材料は窒化シリコンより誘電率が高い請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記電界形成絶縁材料は酸化タンタルTa2O5である請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記絶縁電界形成領域は前記pn接合のp側及びn側の一つのみに隣接している請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記絶縁電界形成領域は前記pn接合のp側及びn側の両側に隣接している請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記pn接合の横方向の一側のみに隣接しているそのような絶縁電界形成領域がある請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記pn接合の横方向の両側に隣接しているそのような絶縁電界形成領域がある請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは前記pn接合を形成するp及びn半導体領域の一つを備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは前記pn接合を形成するp及びn半導体領域の一つと同導電型で且つ隣接するより高濃度にドープされた半導体領域を備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第一及び第二容量性電圧結合領域の少なくとも一つは導電材料領域を備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記導電材料領域は前記装置の主電極と一体化されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記容量的に結合された絶縁電界形成領域は絶縁領域により前記pn接合を有する前記半導体領域から分離されている請求項1乃至12いずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置はダイオード装置で前記pn接合は前記ダイオード装置の整流接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置はバイポーラトランジスタで前記pn接合は前記装置のベース領域とコレクタドリフト領域との接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置は電界効果型トランジスタで前記pn接合は前記装置のチャネル形成領域とドレインドリフト領域との接合である請求項1乃至13いずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ドリフト領域は不均一にドープされている請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
前記拡張されたpn接合空乏領域は前記ドリフト領域を介して部分的にのみ延びる請求項15乃至17いずれか一項に記載の装置。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2007−503128(P2007−503128A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530639(P2006−530639)
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001527
【国際公開番号】WO2004/102670
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001527
【国際公開番号】WO2004/102670
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】
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