説明

(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの代謝産物

(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの代謝産物、およびその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの哺乳類代謝産物である化合物、そのような代謝産物を含む医薬組成物、ならびに炎症性および中枢神経系障害、ならびにいくつかの他の障害の治療および予防におけるそのような代謝産物の使用に関する。本発明の医薬代謝産物は、サブスタンスP受容体拮抗薬である。また、本発明は、そのようなサブスタンスP受容体拮抗薬の合成において使用される新規中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
サブスタンスPは、タキキニンファミリーのペプチドに属する天然に存在するウンデカペプチドであり、タキキニンは、平滑筋組織に対するその速やかな刺激作用ゆえに付けられた名前である。より具体的には、サブスタンスPは、哺乳類において産生され(初めは腸から単離された)、米国特許第4,680,283号においてD.F.Veber他によって説明されている特徴的なアミノ酸配列を有する薬理学的に活性な神経ペプチドである。多くの疾患の病態生理学におけるサブスタンスPおよび他のタキキニンの広範な関与は、当技術分野において十分に立証されてきた。例えば、サブスタンスPは、疼痛または片頭痛の伝達(B.E.B.Sandberg他、Journal of Medicinal Chemistry、25、1009(1982)を参照)、ならびに不安症および統合失調症などの中枢神経系障害、喘息および関節リウマチなどの呼吸器および炎症性疾患、結合組織炎などのリウマチ性疾患、ならびに潰瘍性大腸炎およびクローン病などの胃腸障害および胃腸管の疾患(D.Regoli(「Trends in Cluster Headache」、F.Sicuteri他編、Elsevier Scientific Publishers、Amsterdam)、pp.85〜95(1987)を参照)に関与していることが最近になって明らかにされている。
【0003】
最近、上記に列挙した様々な障害および疾患をより効率的に治療するため、サブスタンスPおよび他のタキキニンペプチドに対する拮抗薬を提供するいくつかの試みが行われている。これまで記載されてきたわずかなそのような拮抗薬は、一般的にペプチド様の性質であるため、代謝の観点からすると、疾患の治療において実用的な治療薬としての役割を果たすには不安定すぎる。一方、本発明の非ペプチド拮抗薬は、この欠点を有することなく、代謝の観点からしても、上記で言及した薬剤に比べはるかに安定である。
【0004】
サブスタンスP受容体拮抗薬としての活性を示すキヌクリジン誘導体および関連化合物。サブスタンスP拮抗薬として有用であるピペリジン誘導体および関連複素環窒素含有化合物。
【0005】
上述の特許および特許出願はすべて、参照により全体として本明細書に組み込まれるものとする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施において、本発明は、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、そのラセミ−ジアステレオマー混合物および光学異性体、そのプロドラッグ、ならびに薬学的に許容できるその塩または溶媒和物に関する。
【0007】
別の実施において、本発明は、式Iを有する(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、そのラセミ−ジアステレオマー混合物もしくは光学異性体、そのプロドラッグ、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物に関する。
【0008】
別の実施において、本発明は、式Iを有する(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、またはその医薬組成物、そのラセミ−ジアステレオマー混合物および光学異性体、そのプロドラッグ、ならびに薬学的に許容できるその塩または溶媒和物を用いる過剰のサブスタンスPに伴う疾患状態を治療する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一実施において、限定されるものではなく、本発明は、式(I)を有する(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの単離および精製された代謝産物およびその類縁体、ならびに薬学的に許容できるその塩および溶媒和物に関する。
【0010】
【化1】

【0011】
本発明の化合物は、式Iの代謝産物、またはそれらの類縁体、または薬学的に許容できるそれらの塩または溶媒和物と定義される。本発明の化合物には、それらのラセミ−ジアステレオマー混合物もしくは光学異性体、またはそれらのプロドラッグが含まれる。本発明の好ましい化合物は、以下の式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物である。
【0012】
(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンを製造する方法は、米国特許第5,744,480号および第5,773,450号に記載されており、これらの内容は、参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0013】
他に指示がない限り、
「ハロゲン」および「ハロ」などには、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
【0014】
「アルコキシ」および「アルコキシカルボニル」などの任意の用語、または−O−(C〜C)アルキル、−O−(C〜C)アルキル、もしくは−(C〜C)アルキル−C(O)−Rなどの任意の置換基中に現れるアルキルを含む「アルキル」には、直鎖または分岐部分を有する飽和一価炭化水素基が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0015】
「シクロアルキル」には、アルキルが上記で定義した通りである非芳香族の飽和環式アルキル部分が含まれる。シクロアルキルは、同一でも異なっていてもよく、上記で定義した通りである1個または複数の「環系置換基」で置換されていてもよい。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル;ならびに、それぞれ2個または3個の環からなる非芳香族の飽和炭素環式基であり、前記環が、少なくとも1個の炭素原子を共有するビシクロアルキルおよびトリシクロアルキル基が含まれるが、これらに限定されるものではない。本発明のため、他に指示がない限り、ビシクロアルキル基には、スピロ基および縮合環基が含まれる。ビシクロアルキル基の例には、ビシクロ−[3.1.0]−ヘキシル、ビシクロ−2.2.1]−ヘプタ−1−イル、ノルボルニル、スピロ[4,5]デシル、スピロ[4,4]ノニル、スピロ[4,3]オクチル、およびスピロ[4,2]ヘプチルが含まれるが、これらに限定されるものではない。トリシクロアルキル基の例は、アダマンタニルである。また、シクロアルキル基には、1個または複数のオキソ部分で置換されている基が含まれる。オキソ部分のあるそのような基の例は、オキソシクロペンチルおよびオキソシクロヘキシルである。
【0016】
「アリール」は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、およびフルオレニル;ならびに少なくとも1個の環が芳香族である縮合環基などの、1個の水素の除去により芳香族炭化水素から誘導される有機基が含まれる単環式および多環式基を指す。アリール基は、同一でも異なっていてもよく、上記で定義した通りである1個または複数の「環系置換基」で置換されていてもよい。また、本発明のアリール基には、1個または複数のオキソ部分で置換されている環系が含まれてよい。
【0017】
「アルコキシ」は、アルキルが上記で定義されている−O−アルキル基を指す。
【0018】
「オキソ」は、=Oである。
【0019】
「ヘテロシクロアルキル」は、各々がO、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を含む非芳香族の環式基を指す。ヘテロシクロアルキルは、1個または複数の「環系置換基」で置換されていてもよい。本明細書で使用する用語「1個または複数の置換基」には、1から利用可能な結合部位の数に基づいて可能な置換基の最大数までが含まれる。
【0020】
「治療すること」「治療」および類似用語は、障害または状態の進行を逆転、軽減、または抑制することを指す。また、本明細書で使用する「治療」および「治療すること」ならびに類似用語は、本発明に従い、未治療の対照集団と比較した哺乳類において、または治療前の同一哺乳類において疾患もしくは状態の確率もしくは発生率もしくは出現を減少させることを指す。また、「治療」または「治療すること」には、疾患または状態の発現を遅延または予防することが含まれる。また、本明細書で使用する「治療」または「治療すること」は、疾患または状態の再発を予防することを包含する。また、「治療」または障害もしくは状態の「治療」は、障害または状態の1個または複数の症状を治療すること(本明細書で使用する)を包含する。
【0021】
「Gluc.」は、グルクロニド置換基を指す。グルクロン酸は、代謝産物または親化合物上の酸またはアルコールまたはフェノール部分と反応し、「グルクロニド」を形成する。グルクロン酸は、グルクロン酸抱合の第2相結合反応から代謝産物に移動される置換基である。
【0022】
「対象」は、哺乳類を含み、ヒトを含む動物である。
【0023】
「哺乳類」は、ヒト、イヌ、およびネコを含むがこれらに限定されない、「哺乳類」綱の任意のメンバーを指す。
【0024】
「単離および精製された」には、当業者により理解されているように、本発明の目的にとって十分に実質的に純粋で単離されていることが含まれる。
【0025】
本発明には、当業者により理解されているように、1個または複数の原子が、天然に通常見いだされる原子量または質量数と異なる原子量または質量数のうちの1つによって置き換えられていることを除いては本発明の式(I)〜(XXIV)の代謝産物および他の代謝産物と同一である同位体標識した代謝産物が含まれる。
【0026】
(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジン代謝産物と1種または複数の追加化合物の組合せの「併用投与」は、それらの成分を、組成物または同じ単位剤形の一部として一緒に投与できることを意味する。「併用投与」には、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジン代謝産物および1種または複数の追加化合物を別々に、しかし、同じ治療用処置プログラムまたは投与計画の一部として投与することも含まれる。成分は、必ずしも基本的に同時に投与する必要はないが、そうであることが望ましい場合には同時に投与することができる。したがって、「併用投与」には、例えば、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジン代謝産物および追加化合物を別々の用量または剤形として、同時に投与することが含まれる。「併用投与」には、異なる時間および任意の順序による別々の投与も含まれる。例えば、適切な場合には、患者は、治療のうちの1個または複数の成分を朝に、他の成分のうちの1個または複数を夜に摂取することができる。
【0027】
本発明の化合物の「溶媒和物」も本明細書に企図されている。「溶媒和物」は、1種または複数の溶媒分子との本発明の化合物の物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合を含む様々な程度のイオンおよび共有結合を含む。場合によっては、例えば、1個または複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子中に取り込まれている場合には、溶媒和物を単離することができるはずである。「溶媒和物」は、溶液相および単離可能な溶媒和物の双方を包含する。適当な溶媒和物の非限定的例には、エタノレート、メタノレートなどが含まれる。「水和物」は、溶媒分子がHOである溶媒和物である。
【0028】
用語「プロドラッグ」は、in vivoで変換され、本発明の代謝産物を生じる化合物である。変換は、血液中の加水分解によるなどの様々な機構により起きることがある。プロドラッグの使用についての良質な考察は、T.HiguchiおよびW.Stella、「Pro−drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S. Symposium SeriesのVol.14により、およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987中に提供される。
【0029】
例えば、本発明の代謝産物がカルボン酸官能基を含む場合、プロドラッグは、(C〜C)アルキル、(C〜C12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−((C〜C))アルキルアミノ(C〜C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C〜C)アルキルなどの基による酸性基の水素原子の置き換えによって形成されるエステルを含むことができる。
【0030】
同様に、本発明の代謝産物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシルα−アミノアシル(各αアミノアシル基は、天然に存在するL−アミノ酸から独立して選択される)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C〜C)アルキル)、またはグリコシル(ヘミアセタール型炭水化物のヒドロキシル基の除去により生じる基)などの基によるアルコール基の水素原子の置き換えによって形成することができる。
【0031】
本発明の化合物がアミン官能基を含む場合、プロドラッグは、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRX1−カルボニル(RおよびRX1は各々独立して、((C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであるか、あるいは、R−カルボニルは、天然α−アミノアシルまたは天然α−アミノアシル−天然α−アミノアシルである)、−C(OH)C(O)OY(Yは、H、(C〜C)アルキルまたはベンジルである)、−C(OYX0)Y(YX0は、(C〜C)アルキルであり、YX1は、((C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキルまたはモノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキルである)、−C(YX2)YX3(YX2は、Hまたはメチルであり、YX3は、モノ−N−もしくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イルまたはピロリジン−1−イルである)などの基によるアミン基における水素原子の置き換えによって形成することができる。
【0032】
本明細書で使用する用語「有効量」は、特定の疾患および病的状態を治療することができる本発明の方法の1種または複数の化合物の量を意味する。本発明に従って投与される化合物の具体的投与量は、例えば、投与される化合物、投与の経路、対象の状態、および治療されている病的状態の重症度を含む症例を取り囲む特定の環境によって決定されることは言うまでもない。
【0033】
本明細書で使用する「薬物依存」は、ある薬物に対する異常な渇望もしくは欲求、または中毒を意味する。一般に、そのような薬物は、経口、非経口、経鼻または吸入を含む様々な投与手段のいずれかによって罹患者に投与される。本発明の方法により治療可能な薬物依存の例は、アルコール、ニコチン、コカイン、ヘロイン、フェノバルビタール、およびベンゾジアゼピン(例えば、バリウム(商標))への依存である。本明細書で使用する「薬物依存を治療すること」は、そのような依存を低減または軽減することを意味する。
【0034】
別の実施において、本発明は、式(II)を有する単離および精製された化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩および溶媒和物に関し、
【0035】
【化2】

式中、X、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、O−Gluc、−C(=O)OH、OH、−OSOOH、(C〜C10)アルコキシおよび(C〜C10)アルキルから各々独立して選択され、前記(C〜C10)アルコキシおよび(C〜C10)アルキルは、1〜3個のハロ原子で各々置換されていてもよく、
は、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ベンズヒドリル、およびO−Glucからなる群から選択される基であり、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチル、およびフェニル(C〜C)アルキル−によって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記フェニル(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのフェニル部分は、ハロ、ニトロ、O−gluc、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)−アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)−アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)−アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)−アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルから独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、フェニルまたは(C〜C)アルキルであるか、あるいは
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜7個の炭素原子を有する飽和炭素環を形成し、前記炭素原子のうちの1つは、酸素、窒素またはイオウによって置き換えられていてもよく、
qは、1〜5の整数であり、
環1は、1または2個のオキソ基で置換されていてよいが、
ただし、Xが、−OCHの場合、Xは、−OCFではなく、Xが、−OCHの場合、Xは、−OCFではない。
【0036】
この実施の好ましい実施形態において、XおよびXは各々、同一でも異なっていてもよく、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシであり、Rは、アリールであり、Rは、Hであり、qは、2である。
【0037】
この実施の別の好ましい実施形態において、XおよびXは各々、同一でも異なっていてもよく、−OCFであり、Rは、フェニルであり、Rは、Hであり、qは、2である。
【0038】
別の実施において、本発明は、式IIIを有する単離および精製された化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩および溶媒和物に関し、
【0039】
【化3】

式中、X、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、ハロ、水素、ニトロ、O−Gluc、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、−O−SO−OH、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、フェニル、シアノ、アミノ、(C〜C)−アルキルアミノ、ジ−(C〜C)アルキルアミノ、−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択され、
Mは、−C(=O)−R、−C(=O)−O−R、−(C〜C)アルキル−C(=O)−R、−(C〜C)アルキル−C(=O)−OR、および−(C〜C)アルキル−NRからなる群から選択され、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、(C〜C)アリール、ベンズヒドリルからなる群から各々独立して選択され、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチルによって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記アリール(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのアリール部分は、ハロ、ニトロ、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)−アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)−アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、(C〜C)アリール、ベンズヒドリルからなる群から各々独立して選択され、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチルによって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記アリール(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのアリール部分は、ハロ、ニトロ、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)−アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
この実施の一実施形態において、Xは、水素または1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシであり、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、水素、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシからなる群から独立して選択され、Mは、−C(=O)−R、−C(=O)−O−R、および−(C〜C)アルキル−NRからなる群から選択され、Rは、Hまたは(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキルであり、RおよびRは各々、同一でも異なっていてもよく、Hまたは(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキルである。
【0041】
この実施の別の実施形態において、Xは、Hまたは−OCHであり、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、水素、−OCH、−OCF、およびヒドロキシからなる群から独立して選択される。
【0042】
別の実施において、本発明は、式IVを有する単離および精製された化合物、ならびに薬学的に許容できるその塩および溶媒和物に関し、
【0043】
【化4】

式中、Rは、アミンまたはオキソである。
【0044】
上記の式II、IIIおよびIVの単離および精製された代謝産物は、
2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−ベンゼン−1,4−ジオールまたはそのグルクロニド抱合体、
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシフェノール、
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオン、
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはその硫酸抱合体もしくはグルクロニド抱合体、
2−ヒドロキシメチル−4−トリフルオロメトキシフェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンまたはそのグルクロニド抱合体、
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オンまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−ヒドロキシフェノール−ピペリジン−2−オンまたはそのグルクロニド抱合体、
6−トリフルオロメトキシ−4H−ベンゾ(1,3)オキサジン−2−オールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
5−トリフルオロメトキシサリチル酸、
2−フェニル−3−アミノ−ピペリジン、
2−フェニル−3−オキソ−ピペリジン、
2−メトキシ−N−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−5−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド、
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−41トリフルオロメトキシ−フェノール、
2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンおよび
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オン
からなる群から選択されることが好ましい。
【0045】
また、本発明は、薬学的に許容できる式Iの化合物の代謝産物、またはそれらの類縁体の酸付加塩および塩基塩に関する。薬学的に許容できる本発明の上述の塩基化合物の酸付加塩を調製するのに使用される酸は、非毒性の酸付加塩、すなわち、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))などの薬理学的に許容できる陰イオンを含む塩を形成する酸である。
【0046】
式Iの化合物は、光学中心を有するため、様々な鏡像異性立体配置で存在することがある。本発明には、式Iのそのような化合物のすべての鏡像異性体、ジアステレオマー、ならびに他の立体異性体および光学異性体、ならびにそれらのラセミおよび他の混合物が含まれる。例えば、式Iの化合物には、(R)および(S)鏡像異性体ならびにシスおよびトランス異性体が含まれる。本発明には、式Iの化合物のすべての放射性標識体がさらに含まれる。好ましい放射性標識化合物は、放射性標識が、H、13C、14C、18F、123Iおよび125Iから選択される化合物である。そのような放射性標識化合物は、代謝薬物動態試験、マスバランス、薬物代謝産物の定量および定性分析において、ならびに動物およびヒトにおける結合アッセイにおいて研究および診断ツールとして有用である。
【0047】
別の実施において、本発明は、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの代謝的運命を評価するためのアッセイに関し、前記アッセイは、式(I)の代謝産物またはその類縁体、好ましくは式II、IIIまたはIVの代謝産物を個々に、またはそれらの任意の組合せで含む。
【0048】
別の実施において、本発明は、哺乳類においてサブスタンスPの効果に拮抗するための医薬組成物であって、サブスタンスPに拮抗する量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0049】
別の実施において、本発明は、その受容体部位における過剰なサブスタンスPの効果に伴う状態を哺乳類において治療するための医薬組成物であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0050】
別の実施において、本発明は、その受容体部位における過剰なサブスタンスPの効果に伴う状態を哺乳類において治療するための医薬組成物であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0051】
別の実施において、本発明は、炎症性疾患(例えば、関節炎、乾癬、喘息または炎症性腸疾患);不安症;嘔吐;うつ病性障害;大腸炎;精神病;疼痛;胃食道逆流疾患;湿疹もしくは鼻炎などのアレルギー;慢性閉塞性気道疾患;ツタウルシなどの過敏性障害;狭心症、片頭痛およびレイノー病などの血管攣縮性疾患;強皮症および好酸球性肝蛭症などの線維化性およびコラーゲン疾患;肩手症候群などの反射性交感神経性ジストロフィー;アルコール症などの中毒障害;ストレス関連の身体疾患;末梢神経障害;神経痛;アルツハイマー病、AIDS関連の認知症、糖尿病性神経障害または多発性硬化症などの神経病理学的障害;全身性エリテマトーデスなどの免疫促進または抑制に関連する障害;ならびに結合組織炎などのリウマチ性疾患、好ましくは嘔吐および大うつ病、気分変調性障害もしくは特定不能のうつ病性障害などのうつ病性障害からなる群から選択される状態を哺乳類において治療するための医薬組成物であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0052】
別の実施において、本発明は、炎症性疾患(例えば、関節炎、乾癬、喘息または炎症性腸疾患);不安症;嘔吐;うつ病性障害;大腸炎;精神病;疼痛;胃食道逆流疾患;湿疹もしくは鼻炎などのアレルギー;慢性閉塞性気道疾患;ツタウルシなどの過敏性障害;狭心症、片頭痛およびレイノー病などの血管攣縮性疾患;強皮症および好酸球性肝蛭症などの線維化性およびコラーゲン疾患;肩手症候群などの反射性交感神経性ジストロフィー;アルコール症などの中毒障害;ストレス関連の身体疾患;末梢神経障害;神経痛;アルツハイマー病、AIDS関連の認知症、糖尿病性神経障害または多発性硬化症などの神経病理学的障害;全身性エリテマトーデスなどの免疫促進または抑制に関連する障害;ならびに結合組織炎などのリウマチ性疾患、好ましくは嘔吐および大うつ病、気分変調性障害もしくは特定不能のうつ病性障害などのうつ病性障害からなる群から選択される状態を哺乳類において治療するための医薬組成物であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0053】
別の実施において、本発明は、その治療または予防が、サブスタンスP仲介性神経伝達の減少により達成または促進される哺乳類における状態を治療するための医薬組成物であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0054】
別の実施において、本発明は、その治療または予防が、サブスタンスP仲介性神経伝達の減少により達成または促進される哺乳類における状態を治療するための医薬組成物であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物に関する。
【0055】
別の実施において、本発明は、哺乳類においてサブスタンスPの効果に拮抗する方法であって、サブスタンスPに拮抗する量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含む方法に関する。
【0056】
別の実施において、本発明は、その受容体部位における過剰のサブスタンスPの効果に伴う状態を哺乳類において治療する方法であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0057】
別の実施において、本発明は、その受容体部位における過剰のサブスタンスPの効果に伴う状態を哺乳類において治療する方法であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0058】
別の実施において、本発明は、炎症性疾患(例えば、関節炎、乾癬、喘息または炎症性腸疾患);不安症;嘔吐;うつ病性障害;大腸炎;精神病;疼痛;胃食道逆流疾患;湿疹もしくは鼻炎などのアレルギー;慢性閉塞性気道疾患;ツタウルシなどの過敏性障害;狭心症、片頭痛およびレイノー病などの血管攣縮性疾患;強皮症および好酸球性肝蛭症などの線維化性およびコラーゲン疾患;肩手症候群などの反射性交感神経性ジストロフィー;アルコール症などの中毒障害;ストレス関連の身体疾患;末梢神経障害;神経痛;アルツハイマー病、AIDS関連の認知症、糖尿病性神経障害または多発性硬化症などの神経病理学的障害;全身性エリテマトーデスなどの免疫促進または抑制に関連する障害;ならびに結合組織炎などのリウマチ性疾患、好ましくは嘔吐および大うつ病、気分変調性障害もしくは特定不能のうつ病性障害などのうつ病性障害からなる群から選択される状態を哺乳類において治療する方法であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0059】
別の実施において、本発明は、炎症性疾患(例えば、関節炎、乾癬、喘息または炎症性腸疾患);不安症;嘔吐;うつ病性障害;大腸炎;精神病;疼痛;胃食道逆流疾患;湿疹もしくは鼻炎などのアレルギー;慢性閉塞性気道疾患;ツタウルシなどの過敏性障害;狭心症、片頭痛およびレイノー病などの血管攣縮性疾患;強皮症および好酸球性肝蛭症などの線維化性およびコラーゲン疾患;肩手症候群などの反射性交感神経性ジストロフィー;アルコール症などの中毒障害;ストレス関連の身体疾患;末梢神経障害;神経痛;アルツハイマー病、AIDS関連の認知症、糖尿病性神経障害または多発性硬化症などの神経病理学的障害;全身性エリテマトーデスなどの免疫促進または抑制に関連する障害;ならびに結合組織炎などのリウマチ性疾患、好ましくは嘔吐および大うつ病、気分変調性障害もしくは特定不能のうつ病性障害などのうつ病性障害からなる群から選択される状態を哺乳類において治療する方法であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0060】
別の実施において、本発明は、その治療または予防が、サブスタンスP仲介性神経伝達の減少により達成または促進される哺乳類における状態を治療する方法であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0061】
別の実施において、本発明は、その治療または予防が、サブスタンスP仲介性神経伝達の減少により達成または促進される哺乳類における状態を治療する方法であって、前記状態を治療するのに有効な量の式Iの化合物の単離および精製された代謝産物、またはその類縁体、好ましくは式II、IIIもしくはIVの化合物、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法に関する。
【0062】
有利には、式Iの代謝産物、またはそれらの類縁体を、1種または複数の他の治療薬と併せて使用することができる。当然のことながら、本発明は、他の治療薬と併せた、一般式Iの代謝産物、もしくはその類縁体、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用を包含する。
【0063】
化学者には当然のことながら、本発明の特定の化合物は、特定の立体化学的、互変異性、または幾何学的立体配置をとることがある1個または複数の原子を含み、立体異性体、互変異性体、位置および立体配置異性体を生じる。そのようなすべての異性体およびそれらの混合物は、本発明に含まれる。本発明の化合物の水和物および溶媒和物も含まれる。
【0064】
本発明には、1個または複数の原子が、天然において通常見いだされる原子量または質量数と異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられているという事実を除いて、本発明によって包含される他の化合物はあるが、式I〜XXIVに示される化合物と同一である同位体標識化合物も含まれる。本発明の化合物に組み入れることができる同位体の例には、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素および塩素の同位体が含まれる。
【0065】
上述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する本発明の化合物、それらのプロドラッグ、ならびに薬学的に許容できる前記化合物または前記プロドラッグの塩は、本発明の範囲内にある。本発明の特定の同位体標識化合物、例えば、Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み入れられている化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイに有用である。トリチウム化、すなわちH、および炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの調製の容易さおよび検出性のため特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHなどのより重い同位体による置換は、より高い代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加または用量所要量の低減による特定の治療上の利点を提供することがあるため、一部の環境において好ましいことがある。一般的に、本発明の同位体標識化合物およびそれらのプロドラッグは、下記に例示される手順または当技術分野において知られている手順を行うことにより調製することができる。本発明の14C標識化合物は、米国特許第5,552,412号に概説および例示されている方法により、非同位体標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を用いることによって調製することができる。
【0066】
実質的に純粋な形態または知られている組成の混合物である本発明の化合物は、in vitroまたはin vivoの代謝研究のための分析標準品として、または新たな化学物質の化学合成または生合成のための中間体として使用することができる。化合物は、固体として、または溶液で単離することができる。
【0067】
本発明の治療の方法において、ある代謝産物を、錠剤中などで対象に直接投与することができ、またはその代謝産物を、代謝を介して対象の体内で生じさせることによって投与することができる。例えば、投与後に、代謝を介して対象の体内で望ましい代謝産物が生成する量の(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジン(ヒトに30mgの遊離塩基を単回経口投与)を対象に投与することにより、本発明の代謝産物を効率的に投与し、疾患または状態を治療することができる。さらに、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの投与経路および用量を要望通りに変え、代謝産物の望ましいin vivo濃度および産生速度を得ることができる。
【0068】
薬学的に許容できる本発明の代謝産物の酸付加塩は、化合物それ自体から、またはそのエステルのいずれかから形成されてよく、製薬化学において使用されることが多い薬学的に許容できる塩が含まれる。例えば、塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸およびトルエンスルホン酸などの試剤を含むスルホン酸、硫酸、硝酸、リン酸、酒石酸、ピロ硫酸、メタリン酸、コハク酸、ギ酸、フタル酸、乳酸などの無機または有機酸と、最も好ましくは塩酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、酢酸およびプロピオン酸と形成することができる。
【0069】
上述のように、本発明の代謝産物は、薬学的に許容できる塩の形態で投与することができる。塩は、上記に記載してきたように、本発明の代謝産物を、塩基性の場合には適当な酸と反応させることにより、有機化学においてよくあるように好都合に形成される。塩は、適度な温度にて高収率で瞬時に形成され、合成の最終ステップとしての適当な酸性洗浄液から代謝産物を単に単離することにより調製されることが多い。塩を形成する酸は、アルカノール、ケトンまたはエステルなどの適切な有機溶媒、または水性有機溶媒に溶かされる。一方、本発明の代謝産物が遊離塩基形態であることが望ましい場合、通常の実施に従い、塩基性の最終洗浄ステップから単離される。塩酸塩を調製するために好ましい技法は、適当な溶媒に遊離塩基を溶かし、モレキュラーシーブ上で溶液を完全に乾燥し、それに塩化水素ガスを通気することである。
【0070】
薬剤として使用される場合、ヒトに投与される本発明の化合物の投与量は、かなり広く変化し、主治医の判断に左右される。注目すべきは、その塩形成部分がかなりの分子量を有するラウリル酸塩などの塩の形態で投与される場合、代謝産物の投与量を調整することが必要な場合がある。有効な投与は、約5mg/日〜約1500mg/日、好ましくは30mg/日であってよい。その日の様々な時間に薬物の1日投与量を少しずつ投与することが実際的であることが多いのは言うまでもない。しかしながら、ある症例において、投与される化合物の量は、活性成分の溶解性、使用される製剤および投与経路などの要素に左右されるはずである。
【0071】
本発明の代謝産物の投与経路は、重要ではない。代謝産物を消化管から吸収することができるが、ある場合において望ましい場合、代謝産物を、経皮的に、または直腸による吸収のための坐剤として投与することができる。錠剤、チュアブル錠剤、カプセル剤、液剤、非経口液剤、トローチ剤、坐剤および懸濁剤を含む通常のタイプの組成物すべてを使用することができる。組成物は、単一の錠剤もしくはカプセルまたは好都合な容積の液体であってよい用量単位中に1日投与量、または1日投与量の好都合な分画を含有するように製剤化される。
【0072】
通常、組成物のすべては、製薬化学において通常である方法に従って調製され、かつ/または本明細書に例示されている反応などのin vivoまたはin vitro代謝反応から単離される。親化合物、(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンは、米国特許第5,773,450号に概説および/または例示されている手順により調製される。代謝産物は、直接合成するか、あるいは実施例に記載の反応などのin vitroまたはin vivoの酵素または代謝反応によって作製することができる。
【0073】
製剤化の方法は、当技術分野においてよく知られており、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、第19版(1995)に開示されている。本発明内で使用するための医薬組成物は、滅菌した非発熱性の液状液剤もしくは懸濁剤、コーティングされたカプセル剤、坐剤、凍結乾燥散剤、経皮パッチ剤の形態、または当技術分野において知られている他の形態であってよい。
【0074】
カプセル剤は、代謝産物を適当な希釈剤と混ぜ、適量の混合物をカプセルに充填することにより調製される。通常の希釈剤には、様々な種類のデンプン、粉末セルロース、特に結晶性および微結晶性セルロース、フルクトース、マンニトールおよびスクロースなどの糖、穀粉および類似の食用粉末などの不活性な粉末物質が含まれる。
【0075】
錠剤は、直接圧縮により、湿式造粒により、または乾式造粒により調製される。通常、それらの製剤は、希釈剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤ならびに代謝産物を組み入れる。典型的な希釈剤には、例えば、様々なタイプのデンプン、ラクトース、マンニトール、カオリン、リン酸または硫酸カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩および粉末糖が含まれる。粉末セルロース誘導体も有用である。典型的な錠剤結合剤は、デンプン、ゼラチンならびにラクトース、フルクトース、グルコースなどの糖などの物質である。アカシア、アルギン酸塩、メチルセルロース、ポリビニルピロリジンなどを含む天然および合成ガムも好都合である。ポリエチレングリコール、エチルセルロースおよびワックスも、結合剤としての役割を果たすことができる。
【0076】
錠剤およびパンチがダイ中に固着するのを防ぐため、錠剤製剤化において滑沢剤を使用することができる。滑沢剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよびカルシウム、ステアリン酸ならびに水素化植物油などの滑りやすい固体から選択される。
【0077】
錠剤崩壊剤は、錠剤が濡れた場合に、代謝産物を放出するために錠剤の崩壊を容易にする物質である。それらには、デンプン、粘土、セルロース、アルギンおよびガム、より詳細には、コーンスターチおよびジャガイモデンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、木材セルロース、粉末天然海綿、陽イオン交換樹脂、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプおよびカルボキシメチルセルロースが含まれ、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを同様に使用することができる。
【0078】
錠剤は、香料および封止剤としての糖で、または錠剤の溶解特性を修正するために塗膜形成性保護剤でコーティングされることが多い。また、代謝産物を、当技術分野において今では十分に確立しているように、製剤化において大量のマンニトールなどのおいしい味のする物質を用いることにより、チュアブル錠剤として製剤化することができる。
【0079】
本発明の代謝産物が坐剤として投与される場合には、典型的な基剤を使用することができる。カカオ脂は、伝統的な坐剤基剤であり、ワックスの添加により修飾し、その融点をわずかに上昇させることができる。特に、様々な分子量のポリエチレングリコールを含む水混和性の坐剤基剤が広く用いられている。
【0080】
代謝産物の効果は、適切な製剤化により遅延または延長することができる。例えば、代謝産物のゆっくりと溶けるペレットを調製し、錠剤またはカプセルに組み入れることができる。この技法は、いくつかの異なる溶解速度のペレットを製造し、ペレットの混合物をカプセルに充填することにより改良することができる。錠剤またはカプセル剤を、予測可能な期間、溶解に抵抗する塗膜でコーティングすることができる。しかも、非経口調製物を、血清中でのみゆっくりと分散させる油状または乳化ビヒクルに代謝産物を溶解または懸濁することにより、長時間作用性にすることができる。
【0081】
サブスタンスP拮抗薬としての本発明の化合物の活性は、オートラジオグラフィーによってタキキニン受容体を可視化するための放射性リガンドを用い、ウシ尾状核組織においてその受容体部位におけるサブスタンスPの結合を阻害するそれらの能力により決定することができる。本明細書に記載の化合物のサブスタンスPに拮抗する活性は、the Journal of Biological Chemistry、Vol.258、p.5158(1983)で報告されているように、M.A.Cascieri他により記載されている標準的アッセイ手順を用いることにより評価することができる。基本的に、この方法は、前記摘出ウシ組織において、それらの受容体部位における放射性標識サブスタンスPリガンドの量を50%減少させるのに必要な個々の化合物の濃度を決定し、それにより、試験される各化合物について特徴的なIC50値を得るものである。
【0082】
この手順において、ウシ尾状核組織を、−70℃フリーザーから取り出し、7.7のpHを有する氷冷した50倍量(w./v.)の50mM Tris(すなわち、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールであるトリメタミン(trimethamine))塩酸塩緩衝液中でホモジナイズする。ホモジネートを、30,000×Gにて20分間遠心分離する。ペレットを、50倍量のTris緩衝液に再懸濁し、再ホモジナイズし、次いで、30,000×Gにてさらに20分間遠心分離する。次いで、ペレットを、2mMの塩化カルシウム、2mMの塩化マグネシウム、40g/mlのバシトラシン、4μg/mlのロイペプチン、2μgのキモスタチンおよび200g/mlのウシ血清アルブミンを含有する40倍量の氷冷した50mM Tris緩衝液(pH7.7)に再懸濁する。このステップは、組織調製物の製造を完結させる。
【0083】
次いで、放射性リガンド結合手順を、以下の方法で、すなわち、1μMの濃度にした試験化合物100μlの添加と、続く0.5mMの最終濃度にした放射性リガンド100μlの添加、次いで、最後の上述のように製造した組織調製物800μlの添加により反応を開始させることによって行う。したがって、最終容量は1.0mlであり、次に、反応混合物をボルテックスし、室温(約20℃)にて20分間インキュベートする。次いで、セルハーベスターを用いてチューブを濾過し、ガラス繊維フィルター(Whatman GF/B)を、50mMのTris緩衝液(pH7.7)で4回洗浄する。フィルターは、濾過手順に先立って、前もって2時間予浸させておいた。次いで、放射能を、53%の計数効率にてBetaカウンター中で決定し、標準的な統計的方法を用いることによりIC50値を計算する。
【0084】
様々な精神病性障害を管理するための神経遮断薬としての本発明の化合物の抗精神病活性は、主に、モルモットにおけるサブスタンスP誘発性またはサブスタンスP作動薬誘発性運動過剰を抑制するそれらの能力についての研究により決定される。この研究は、まず、対照化合物または本発明の適切な試験化合物をモルモットに投与し、次いで、カニューレを介する脳内投与によりサブスタンスPまたはサブスタンスP作動薬をモルモットに注射し、その後、前記刺激物に対する個々の自発運動応答を測定することにより行われる。
【0085】
本発明の組成物は、1種または複数の薬学的に許容できる担体を用い、従来の方法で製剤化することができる。すなわち、本発明の活性化合物は、経口、口腔、鼻腔内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)もしくは直腸投与用に、または吸入または吹送による投与に適している形態で製剤化することができる。
【0086】
経口投与の場合、医薬組成物は、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容できる賦形剤と一緒に従来の手段によって調製される、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当技術分野においてよく知られている方法によりコーティングすることができる。経口投与のための液状調製物は、例えば、液剤、シロップ剤もしくは懸濁剤の形態をとるか、あるいは使用前の水または他の適当なビヒクルによる構成のために乾燥製品として提供することができる。そのような液状調製物は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油状エステルまたはエチルアルコール)、および保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤と一緒に従来の手段によって調製することができる。
【0087】
口腔投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとることができる。
【0088】
本発明の化合物は、従来のカテーテル処置技法または注入を用いることを含む注射による非経口投与用に製剤化することができる。注射用の製剤は、追加の保存剤と一緒に、単位剤形で、例えば、アンプルまたはマルチドーズ容器中に提供することができる。組成物は、油状または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤のような形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤化物質を含有することができる。あるいは、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル、例えば、滅菌したパイロジェンフリーの水による再構成用の粉末形態であってよい。
【0089】
また、本発明の化合物は、坐剤または保留浣腸剤などの、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する直腸組成物に製剤化することができる。
【0090】
鼻腔内投与または吸入による投与の場合、本発明の化合物は、患者によって圧搾または排出されるポンプスプレー容器からの溶液もしくは懸濁液の形態で、または適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを用いた加圧式容器またはネブライザーからのエアゾールスプレーとして好都合に送達される。加圧エアゾールの場合、用量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することによって決定することができる。加圧式容器またはネブライザーは、活性化合物の溶液または懸濁液を含有することができる。本発明の化合物とラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末ミックスを含有するインヘイラーまたはインサフレーターで使用するためのカプセル剤およびカートリッジ(例えば、ゼラチン製)を製剤化することができる。
【0091】
上記で言及されている状態(例えば、うつ病)の治療のために平均的な成人したヒトに経口、非経口または口腔投与するための本発明の化合物の推定投与量は、単位投与量当たり化合物0.1〜200mgであり、例えば、1日当たり1〜4回投与される。
【0092】
平均的な成人したヒトにおける上記で言及されている状態(例えば、片頭痛)を治療するためのエアゾール製剤は、エアゾールの各定量すなわち「パフ」が、本発明の化合物20μg〜1000μgを含有するように構成されることが好ましい。エアゾールによる全1日投与量は、100μg〜10mgの範囲内とする。投与は、1日数回、例えば、2、3、4または8回であってよく、例えば、毎回1、2または3ドーズが投与される。
【0093】
注目すべきことに、本発明の化合物は、これまでに示した経路のいずれかにより、単独か、あるいは薬剤として許容できる担体と組み合わせて投与することができ、そのような投与は、単一の剤形と複数の剤形双方で行うことができる。より詳細には、本発明の化合物または本発明の化合物と他の化合物の組合せは、多種多様な異なる剤形で投与することができ、すなわち、錠剤、カプセル剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、ハードキャンディー剤、散剤、スプレー剤、水性懸濁液、注射用液剤、エリキシール剤、シロップ剤などの形態で様々な薬学的に許容できる不活性な担体と組み合わせることができる。そのような担体には、固形の希釈剤または充填剤、滅菌した水性媒質および様々な非毒性有機溶媒などが含まれる。さらに、そのような経口医薬製剤は、そのような目的で一般に用いられるタイプの様々な物質により適当に甘くし、かつ/または味をつけることができる。一般に、本発明の化合物は、全組成物の約0.5重量%〜約90重量%の濃度レベルでそのような剤形中に存在する。
【0094】
上記で言及されている状態の治療のために平均的な成人したヒトに経口、非経口、直腸または口腔投与するための組合せ製剤における本発明の活性化合物の推定1日投与量は、単位投与量当たり化合物約0.01mg〜約2000mg、好ましくは約0.1mg〜約200mgであり、例えば、1日当たり1〜4回投与される。
【0095】
平均的な成人したヒトにおける上記で言及されている状態を治療するためのエアゾール組合せ製剤は、エアゾールの各定量すなわち「パフ」が、本発明の化合物約0.01μg〜約100mg、好ましくはそのような化合物約1μg〜約10mgを含有するように構成されることが好ましい。投与は、1日数回、例えば、2、3、4または8回であってよく、例えば、毎回1、2または3ドーズが投与される。
【0096】
本明細書に引用されているすべての参考文献および特許は、参照により組み込まれるものとする。
【0097】
以下のスキームおよび実施例において、下記の用語は、下記の一般的意味を有することが意図されている。
℃:セ氏温度
d:二重線(スペクトルの)
EtOAc:酢酸エチル
mg:ミリグラム
Hz:ヘルツ
J:結合定数(NMRにおいて)
L:リットル
mMまたはmmol:ミリモル
MHz:メガヘルツ
m/e 質量電荷比(質量分析法において)
NMR:核磁気共鳴
ppm:百万分率
rtまたはRT:室温
s:一重線(NMR)
t:三重線(NMR)
μg:マイクログラム
【0098】
下記のスキームおよび実施例は、本発明の説明として提供されるもので、それらは、決して本発明の範囲を制約するものではない。
【実施例】
【0099】
(実施例1)
(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの単離
材料および方法
6名の健常な男性ヒト対象(4名はCYP2D6の迅速代謝者(EM)であり、2名は、CYP2D6の代謝欠損者(PM)である)に、[14C]−(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジン(Lot# 49800−59−3、比放射能1.22mCi/mmol、放射性純度>99%)100Ciを含有する単回30mg(遊離塩基)経口投与量の(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンを投与した。血液試料を、下記の時点、すなわち投与後1、4、8、12、および24時間目にレッドトップチューブ(保存剤および抗凝血剤および血清分離剤なし)中に集めた。血液試料を4℃にて遠心分離し、血清をきれいなチューブに移した。
【0100】
血清試料からの代謝産物の抽出
a)血清試料を、ヒト対象ごとに別々にプールし(各サンプリング時間から3ml、合計15ml)、各プールからの1.5mLのアリコートを、アセトニトリル5mLで抽出した。混合物を、5分間ボルテックス混合し、3500rpmにて5分間遠心分離し、沈殿したタンパク質を除去した。上清を合わせ、少量の上清をカウントした。放射能の約96%(全対照の平均)が上清中に回収された。上清を、室温にてターボバップで窒素中蒸発させた。残渣を、移動相で再構成し、各対象について100Lのアリコートを、プロファイリングおよび代謝産物同定のためにHPLCシステムに注入した。
b).試料容量に従い、尿試料をプールした。尿試料約2〜5mLを、室温にてターボバップで窒素中蒸発させ、10mM酢酸アンモニウム(pH4.0)/メタノール/ジメチルスルホキシド(1.5:1.5:1)200ul中で再構成した。100μLのアリコートを、プロファイリングのためにさらに精製することなくHPLC−Arcシステムに注入した。約80mLの尿プールを、室温にてターボバップで乾燥し、次いで、10mM酢酸アンモニウム(pH4.0)/メタノール/ジメチルスルホキシド(1.5:1.5:1)600μl中で再構成した。80μLのアリコートを、代謝産物同定のためにHPLC−MS/MSシステムに注入した。
c).試料重量に従い、糞便試料をプールした。代謝産物プロファイリングの場合、各試料プール約1gをアセトニトリル/HO(6:1 v/v)7mLで2回抽出し、両抽出液の100μLアリコートをカウントし、回収率を決定した。放射能の約88.2%が上清中に回収された。上清を、室温にてターボバップで窒素中蒸発させ、残渣を、10mM酢酸アンモニウム(pH5.0)/メタノール/ジメチルスルホキシド(1.5:1.5:1)500μLで再構成した。100μLのアリコートを、プロファイリングのためにHPLC−Arcシステムに注入した。代謝産物同定の場合、各試料プール10gをアセトニトリル/HO(5:1 v/v)30mLで2回抽出した。上清を合わせ、室温にてTurbovapで乾燥させた。乾燥させた残渣を水5mLに溶かし、ヘキサン15mLで2回抽出した。ヘキサン層を除き、水層を酢酸エチル15mlでさらに2回抽出した。抽出液を合わせ、室温にてターボバップで乾燥し、残渣を、10mM酢酸アンモニウム(pH5.0)/メタノール/ジメチルスルホキシド(1.5:1.5:1)360μLで再構成した。90μLのアリコートを、代謝産物同定のためにHPLC−MS/MSシステムに注入した。
【0101】
血清中の代謝産物のプロファイリングおよび定量的評価
−RAM検出器を用い、HPLCカラム上で分離された個々のピークにおける放射能を測定することにより、各代謝産物を定量化することができた。−RAMは、cpmで統一された関心領域を含むプリントアウト、これらの関心領域における放射性標識材料のパーセンテージ、およびラジオクロマトグラムを提供した。−RAMは、MS検出後のHPLCカラム溶出液にTru−Countシンチレーションカクテル4mL/minを添加し、均一な液体シンチレーション計数モードで操作した。
【0102】
ヒト肝S9抽出物における5−トリフルオロメトキシサリチル酸の生成の定性的評価
ヒト肝S9画分(HL−1123)を用い、5−トリフルオロメトキシサリチル酸の生成を調べた。[14C]−(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの溶液(約27M)を、100mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.4、および補因子溶液(9mM MgCl2、0.54mM NADP、6.2mM DL−イソクエン酸、および0.5U/mlイソクエン酸デヒドロゲナーゼ)の存在下、総容量10mlでHL−1123(37mg/mlS9タンパク質)と共にインキュベートした。反応は、S9抽出物の添加によって開始させ、インキュベーションを、37℃にて振盪水浴中で行った。反応混合物は、1、15および24時間目にモニターし、ACN(5mL)の添加により停止させた。混合物を、5分間ボルテックス混合し、3500rpmにて5分間遠心分離し、沈殿したタンパク質を除去した。上清を、室温にてターボバップで窒素中蒸発させた。残渣を、移動相で再構成し、各反応について100Lのアリコートを、プロファイリングのためにHPLCシステムに注入した。
【0103】
以下に記載の10mM NHOAc(pH5)/ACN HPLCシステムを用い、15および24時間の肝S9インキュベーション混合物から5−トリフルオロメトキシサリチル酸代謝産物を単離および精製した。精製されたHPLC分画(27〜30分)を窒素気流中で乾燥し、使用するまで−20℃にて保存した。
【0104】
上述の方法を用い、下記の化合物を単離した。
2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−ベンゼン−1,4−ジオールのグルクロニド抱合体 m/z 479
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシフェノール m/z 208
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオン m/z 409
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシ−フェノールの硫酸抱合体 m/z 305
2−ヒドロキシメチル−4−トリフルオロメトキシフェノールのグルクロニド抱合体 m/z 385
ヒドロキシ2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールのグルクロニド抱合体 m/z 735
ヒドロキシ2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンのグルクロニド抱合体 m/z 573
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オンのグルクロニド抱合体 m/z 557
ヒドロキシ2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールのグルクロニド抱合体 m/z 559
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールのグルクロニド抱合体 m/z 543
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−ヒドロキシフェノール−ピペリジン−2−オンのグルクロニド抱合体 m/z 410
6−トリフルオロメトキシ−4H−ベンゾ(1,3)オキサジン−2−オールのグルクロニド抱合体 m/z 395
ヒドロキシ2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールのグルクロニド抱合体 m/z 559
5−トリフルオロメトキシサリチル酸 m/z 221
2−フェニル−3−アミノ−ピペリジン m/z 177
2−フェニル−3−オキソ−ピペリジン m/z 176
2−メトキシ−N−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−5−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド m/z 397
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノール m/z 383
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−41トリフルオロメトキシ−フェノール m/z 367
2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミン m/z 381
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オン m/z 381
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オン m/z 395
【0105】
(実施例2)
5−トリフルオロメトキシサリチル酸の化学合成
A.2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸の合成
2−ブロモ−1−メトキシ−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼン(1.0g、3.69mmol)の無水エーテル(50mL)溶液に、窒素雰囲気中、−78℃にて、5分かけてn−BuLi(0.738mL、1.85mmol、2.5Mヘキサン溶液)を、磁気的に撹拌しながら加えた。15分後、無水一酸化炭素を、反応混合物に10分間通気した。反応混合物を室温まで温めた。エーテル溶液を、5%水酸化ナトリウム水溶液(3×50mL)で洗浄した。合わせた水溶液を、1N塩酸溶液(pH2)で酸性化し、次いで、エーテル(3×200mL)で抽出した。合わせたエーテル溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮すると、2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸約0.26gが得られた。
【0106】
B.2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸(5−トリフルオロメトキシサリチル酸)の合成
2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸(23.6mg、0.1mmol)の無水塩化メチレン(0.9mL)溶液に、0℃にて三臭化ホウ素(0.100mL、1M塩化メチレン溶液)を加えた。反応を16時間続けた。溶液を、1N塩酸溶液を用いて酸性(pH=0)とし、酢酸エチル(3×3ml)で抽出した。酢酸エチル溶液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過して濃縮すると、2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸(5−トリフルオロメトキシサリチル酸)約11mgが得られた。
【0107】
核磁気共鳴
核磁気共鳴実験は、400MHz(1H)にて行った。典型的な1Dプロトン実験は、スペクトル領域0〜8または0〜13百万分率(ppm)にわたって行った。
【0108】
結果
5−トリフルオロメトキシサリチル酸
5−トリフルオロメトキシサリチル酸は、10mM酢酸アンモニウム(pH5.0)/ACN HPLCシステムで約28.5分の保持時間を有し、イオン化効率は低かった。5−トリフルオロメトキシサリチル酸は、すべてのEMおよびPM対象において検出され、EMおよびPM対象についてそれぞれ、総放射能の約56%および29%を占めた。
【0109】
HPLC精製された分画の陰イオンESIマススペクトルの全イオン流(TIC)レスポンスは、m/z221に脱プロトン化分子イオン[M−H]−を示した。5−トリフルオロメトキシサリチル酸のCIDマススペクトルは、m/z221に脱プロトン化分子イオンを有し、5−トリフルオロメトキシサリチル酸が、窒素原子がゼロまたは偶数である切断生成物であることを示唆した。
【0110】
2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸
共鳴は、−COOHに対応する13.03ppm(broad、s、1H)、−OCH3に対応する3.81ppm(s、3H)、3個の置換基を含む環系と一致する7.55〜7.49(m、2H)および7.2ppm(d、1H、J=8.7Hz)、ならびに、それぞれDMSO(部分的に重水素化された)およびHOに対応する2.47ppm(m)および3.32ppm(broad、s)で観察された。上記のデータに基づき、2−ブロモ−1−メトキシ−4−トリフルオロメトキシ−ベンゼンのカルボキシル化生成物は、2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸として同定された。
【0111】
5−トリフルオロメトキシサリチル酸
共鳴は、−OCH(出発材料2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−安息香酸由来の不純物)に対応する3.81ppm(s、3H)、それぞれDMSO(部分的に重水素化された)およびEtOAcに対応する2.47ppm(m)および1.95ppm(s)、ならびに3個の置換基を含む環系と一致する7.64ppm(d、1H、J=2.9Hz)、7.53〜7.50(dd、1H、J=9.1、2.9Hz)、および7.05ppm(d、1H、J=9.1Hz)で観察された。
【0112】
本説明および特許請求の範囲の読解に基づき、本明細書に記載の組成物および方法に対する特定の変更形態は、当業者にとって明らかなはずである。本明細書に添付される特許請求の範囲は、これらの変更形態を包含することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物の単離および精製された代謝産物、もしくはその類縁体、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物。
【化1】

【請求項2】
式(II)を有する単離および精製された化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物
【化2】

[式中、X、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、O−Gluc、−C(=O)OH、OH、−OSOOH、(C〜C10)アルコキシおよび(C〜C10)アルキルから各々独立して選択され、前記(C〜C10)アルコキシおよび(C〜C10)アルキルは各々、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよく、
は、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、ベンズヒドリル、およびO−Glucからなる群から選択される基であり、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチル、およびフェニル(C〜C)アルキル−によって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記フェニル(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのフェニル部分は、ハロ、ニトロ、O−gluc、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)−アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルから独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
は、水素、フェニルまたは(C〜C)アルキルであるか、あるいは
およびRは、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜7個の炭素原子を有する飽和炭素環を形成し、前記炭素原子のうちの1つは、酸素、窒素またはイオウによって置き換えられていてもよく、
qは、1〜5の整数であり、
環1は、1または2個のオキソ基で置換されていてよいが、
ただし、Xが、−OCHの場合、Xは、−OCFではなく、Xが、−OCHの場合、Xは、−OCFではない]。
【請求項3】
およびXが各々、同一でも異なっていてもよく、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシであり、
が、アリールであり、
が、Hであり、
qが、2である
請求項2に記載の単離および精製された化合物。
【請求項4】
およびXが各々、同一でも異なっていてもよく、−OCFであり、
が、フェニルであり、
が、Hであり、
qが、2である
請求項3に記載の単離および精製された化合物。
【請求項5】
式(III)を有する単離および精製された化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物
【化3】

[式中、X、XおよびXは、同一でも異なっていてもよく、ハロ、水素、ニトロ、O−Gluc、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、−O−SO−OH、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、フェニル、シアノ、アミノ、(C〜C)−アルキルアミノ、ジ−(C〜C)アルキルアミノ、−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、ヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択され、
Mは、−C(=O)−R、−C(=O)−O−R、−(C〜C)アルキル−C(=O)−R、−(C〜C)アルキル−C(=O)−OR、および−(C〜C)アルキル−NRからなる群から選択され、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、(C〜C)アリール、ベンズヒドリルからなる群から各々独立して選択され、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチルによって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記アリール(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのアリール部分は、ハロ、ニトロ、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキル、−NHC(=O)Hおよび−NHC(=O)−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよく、
およびRは、同一でも異なっていてもよく、H、(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)ヘテロシクロアルキル、アリール、(C〜C)アリール、ベンズヒドリルからなる群から各々独立して選択され、前記ベンズヒドリルのフェニル部分のうちの1つは、ナフチルによって置き換えられていてもよく、前記アリール基ならびに前記アリール(C〜C)アルキル−およびベンズヒドリルのアリール部分は、ハロ、ニトロ、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルキル、1〜3個のハロ原子で置換されていてもよい(C〜C10)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキルアミノ、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−、(C〜C)アルキル−O−C(=O)−(C〜C)アルキル、(C〜C)アルキル−C(=O)−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−O−、(C〜C)アルキル−C(=O)−、(C〜C)アルキル−C(=O)−(C〜C)アルキル−ジ−(C〜C)アルキルアミノ、−C(=O)NH−(C〜C)アルキル、(C〜C)−アルキル−C(=O)−NH−(C〜C)アルキルからなる群から独立して選択される1個または複数の置換基で置換されていてもよい]。
【請求項6】
が、水素または1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシであり、
およびXが、同一でも異なっていてもよく、水素、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい(C〜C)アルコキシ、およびヒドロキシからなる群から独立して選択され、
Mが、−C(=O)−R、−C(=O)−O−R、および−(C〜C)アルキル−NRからなる群から選択され、
が、Hまたは(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキルであり、
およびRが各々、同一でも異なっていてもよく、Hまたは(C〜C)直鎖もしくは分岐アルキルである
請求項5に記載の単離および精製された化合物。
【請求項7】
が、HまたはOCHであり、
およびXが、同一でも異なっていてもよく、水素、−OCH、−OCF、およびヒドロキシからなる群から各々独立して選択される
請求項6に記載の単離および精製された化合物。
【請求項8】
式IVを有する単離および精製された化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、そのラセミ−ジアステレオマー混合物もしくは光学異性体、またはそのプロドラッグ
【化4】

[式中、Rは、アミンまたはオキソである]。
【請求項9】
2−[(2−フェニル−ピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−ベンゼン−1,4−ジオールまたはそのグルクロニド抱合体、
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシフェノール、
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2,4−ジオン、
2−アミノメチル−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはその硫酸抱合体もしくはグルクロニド抱合体、
2−ヒドロキシメチル−4−トリフルオロメトキシフェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンまたはそのグルクロニド抱合体、
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オンまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
5−(2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−ヒドロキシフェノール−ピペリジン−2−オンまたはそのグルクロニド抱合体、
6−トリフルオロメトキシ−4H−ベンゾ(1,3)オキサジン−2−オールまたはそのグルクロニド抱合体、
ヒドロキシ2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−4−トリフルオロメトキシ−フェノールまたはそのグルクロニド抱合体、
5−トリフルオロメトキシサリチル酸、
2−フェニル−3−アミノ−ピペリジン、
2−フェニル−3−オキソ−ピペリジン、
2−メトキシ−N−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−5−トリフルオロメトキシ−ベンズアミド、
2−[(2−フェニルピペリジン−3−イルアミノ)−メチル]−41トリフルオロメトキシ−フェノール、
2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジル−(2−フェニル−ピペリジン−3−イル)−アミンおよび
5−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)−6−フェニル−ピペリジン−2−オン
からなる群から選択される請求項1に記載の単離および精製された代謝産物。
【請求項10】
請求項1に記載の単離および精製された代謝産物を含む(+)−(2S,3S)−3−(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)−2−フェニル−ピペリジンの体内動態を評価するためのアッセイ。
【請求項11】
炎症性疾患、不安症、嘔吐、うつ病性障害、大腸炎、精神病、疼痛、胃食道逆流疾患、アレルギー、慢性閉塞性気道疾患、過敏性障害、血管攣縮性疾患、線維化性およびコラーゲン疾患、反射性交感神経性ジストロフィー、中毒障害、ストレス関連の身体疾患、末梢神経障害、神経痛、神経病理学的障害、免疫促進または抑制に関連する障害、およびリウマチ性疾患からなる群から選択される状態を哺乳類において治療するための医薬組成物であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の請求項1に記載の化合物の単離および精製された代謝産物、もしくはその類縁体、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
炎症性疾患、不安症、嘔吐、うつ病性障害、大腸炎、精神病、疼痛、胃食道逆流疾患、アレルギー、慢性閉塞性気道疾患、過敏性障害、血管攣縮性疾患、線維化性およびコラーゲン疾患、反射性交感神経性ジストロフィー、中毒障害、ストレス関連の身体疾患、末梢神経障害、神経痛、神経病理学的障害、免疫促進または抑制に関連する障害、およびリウマチ性疾患からなる群から選択される病態を哺乳類において治療する方法であって、その受容体部位におけるサブスタンスPの効果に拮抗するのに有効な量の請求項1に記載の化合物の単離および精製された代謝産物、もしくはその類縁体、または薬学的に許容できるそれらの塩もしくは溶媒和物を前記哺乳類に投与することを含み、前記哺乳類は、前記治療を必要としている方法。
【請求項13】
前記状態または障害が、嘔吐または大うつ病、気分変調性障害もしくは特定不能のうつ病性障害から選択されるうつ病性障害である、請求項11に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2008−500382(P2008−500382A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517476(P2007−517476)
【出願日】平成17年5月9日(2005.5.9)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001295
【国際公開番号】WO2005/113503
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】