説明

(Ga、Al、In、B)Nのレーザダイオードにおいて選択的エッチングを達成するための構造および方法

1つ以上のAl含有エッチング停止層を有する(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードを製造するステップを含む、(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る構造および方法。エッチング停止層は、素子における1つ以上のエッチングされた層のエッチング深さを制御するために使用される層であり、エッチングされた層は、素子内にエッチング停止層と他の層との間に選択的にエッチングされた層を備える。エッチング停止層は、(Ga、Al、In、B)Nのn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接する。最後に、エッチング停止層は、電子遮断層としても機能するか、またはしなくてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、Robert M.Farrell、Daniel A.Haeger、Po Shan Hsu、Umesh K.Mishra、Steven P.DenBaars、James S.Speck、およびShuji Nakamuraによる米国仮特許出願第61/235,284号(名称「STRUCTURE AND METHOD FOR ACHIEVING SELECTIVE ETCHING IN (Ga,Al,In,B)N LASER DIODES」、2009年8月19日出願、代理人整理番号30794.320−US−P1(2009−795−1))の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、この出願は、本明細書に参照により援用される。
【0002】
本願は、Robert M.Farrell、Matthew T.Hardy、Hiroaki Ohta、Steven P.DenBaars、James S. Speck、およびShuji Nakamuraによる同時係属の同一人に譲渡された米国実用特許出願第12/833,607号(名称「STRUCTURE FOR IMPROVING THE MIRROR FACET CLEAVING YIELD OF (Ga,Al,In,B)N LASER DIODES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2010年7月9日出願、代理人整理番号30794.319−US−U1(2009−762−2))に関連し、この出願は、Robert M.Farrell、Matthew T.Hardy、Hiroaki Ohta、Steven P.DenBaars、James S.Speck、およびShuji Nakamuraによる同時係属の同一人に譲渡された米国仮特許出願第61/224,368号(名称「STRUCTURE FOR IMPROVING THE MIRROR FACET CLEAVING YIELD OF (Ga,Al,In,B)N LASER DIODES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、2009年7月9日出願、代理人整理番号30794.319−US−P1 (2009−762−1))の米国特許法第119条第(e)項の利益を主張し、これらの出願の両方は、本明細書に参照により援用される。
【0003】
(1.発明の分野)
本発明は、半導体材料、方法、および素子、より詳細には、(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオード(LD)の製造に関し、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得、それによって、向上した製造可能性および高性能を有する(Ga、Al、In、B)NのLDを可能にする構造および方法が記載される。
【背景技術】
【0004】
(2.関連技術の記述)
(注:本願は、明細書の全体を通して示されるように、角括弧内の1つ以上の参照番号、例えば[参考文献x]によって多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号による順序で示されるこれらの異なる刊行物の一覧は、以下の「参考文献」という表題の項に見出すことができる。これらの刊行物のそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。GaNおよび(Ga、Al、In、B)Nの合金の有用性が、可視および紫外線の光電子素子ならびに高出力電子素子の製造に対して確立されている。現在の最先端(Ga、Al、In、B)N薄膜、ヘテロ構造、および素子は、[0001]c−軸に沿って成長させられる。そのような膜の全分極は、自発および圧電分極寄与から成り、その両方とも、ウルツ鉱(Ga、Al、In、B)N結晶構造の単極性[0001]c−軸から生じる。(Ga、Al、In、B)Nヘテロ構造が疑似形態的に成長させられると、分極断絶が、結晶内の表面および界面において形成される。これらの断絶は、表面および界面におけるキャリアの蓄積または枯渇につながり、次に、電場を引き起こす。これらの分極誘発電場の整合は、(Ga、Al、In、B)N薄膜およびヘテロ構造の典型的[0001]成長方向と一致するため、これらの電場は、(Ga、Al、In、B)N素子のエネルギー帯を「傾動」させる効果を有する。
【0005】
c−平面(Ga、Al、In、B)N量子井戸では、「傾動された」エネルギー帯は、電子および正孔波動関数を空間的に分離する。この空間電荷分離は、放射遷移の振動子強度を低減させ、放出波長を赤方偏移させる。これらの効果は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の現れであって、(Ga、Al、In、B)N量子井戸(QW)について徹底的に分析されている[参考文献1、2(非特許文献1、2)]。加えて、大規模分極誘発電場は、ドーパントおよび注入されたキャリアによって部分的に遮蔽することができ[参考文献3(非特許文献3)]、放出特性を正確に設計することを困難にする。
【0006】
市販されるc−平面LDは、典型的に、分極関連電場の存在のために、薄い(≦4nm)InGaN QWを使用する。したがって、AlGaN/GaN超格子またはバルクAlGaN等の厚いAl含有導波路クラッド層が、c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDの中で十分な光学モード閉じ込めを提供するために必要とされる。
【0007】
(Ga、Al、In、B)N素子内の分極効果を減少させる1つのアプローチは、結晶の非極性平面上で素子を成長させることである[参考文献4(非特許文献4)]。これらは、集合的にa−平面として知られる{11−20}平面と、集合的にm−平面として知られる{10−10}平面と、を含む。そのような平面は、平面当たり等しい数のガリウムおよび窒素原子を含有し、電荷中性である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。
【0008】
c−平面GaN基板上に成長させられた従来の(Ga、Al、In、B)NのLDと違って、m−平面発光素子内の分極関連電場の欠如は、放射効率の低減を伴わずにm−平面(Ga、Al、In、B)NのLEDおよびLDの中の比較的厚い(8nm)InGaN QWの実装を可能にする[参考文献6(非特許文献6)]。これらの薄いInGaN QWは、Al含有導波路クラッド層を必要とせずに光学モードの適切な横導波路を提供し、ACF(Ga、Al、In、B)NのLDの実証を可能にする[参考文献7、8(非特許文献7、8)]。GaNクラッド層を有するInGaNベースの別個の閉じ込めヘテロ構造の使用を伴う、同様の設計も、Al含有導波路クラッド層の必要性を軽減する[参考文献9(非特許文献9)]。
【0009】
(Ga、Al、In、B)N素子内の分極効果を低減する別のアプローチは、結晶の半極性平面上で素子を成長させることである[参考文献5(非特許文献5)]。「半極性平面」という用語は、c−平面、a−平面、またはm−平面として分類することができない、あらゆる平面を指すために使用することができる。結晶学的用語では、半極性平面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する、任意の平面となるであろう。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極低下を伴うであろう。
【0010】
現在の従来の市販される(Ga、Al、In、B)NのLD構造は、ウルツ鉱(Ga、Al、In、B)N結晶構造のc−平面上に成長させられる。頑強な選択的エッチングプロセス不足のため、製造業者は、典型的には、リッジ導波路形状素子におけるリッジ導波路エッチング深さを制御するためにタイミングおよび/またはレーザー干渉技法を使用する。そのような技法は、しばしば、再現性および精度の問題を有し、製造上の問題を引き起こし、全体的な素子率を低減させる。
【0011】
対照的に、III−ヒ素系およびIII−リン系LDの製造業者は、典型的には、彼らのエッチングプロセスの一貫性および精度を制御するために選択的エッチング技法を使用する[参考文献10、11(非特許文献10、11)]。同様の技法は、(Ga、Al、In、B)Nヘテロ構造に対して報告されているが[参考文献12、13(非特許文献12、13)]、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいては未だ実証されていない。
【0012】
Buttariらによる研究は、BClおよびSFの混合物を含有するプラズマが、GaNとAlGaN層との間の選択的エッチングを達成するために使用され得ることを実証した[参考文献14(非特許文献14)]。純粋なBC1は、GaNをエッチングする際、実質的に無効であることが判明し、それは、純粋なBClプラズマにおける活性塩素原子の低い濃度のためである可能性が最も高かった[参考文献15(非特許文献15)]。SFおよびBC1の混合は、塩素基(エッチング剤)およびフッ素基(阻害剤)の集団を増加させ、GaNのエッチング速度を増加させ、AlGaNのエッチング速度を低減させることが判明した[参考文献14、15(非特許文献14、15)]。AlGaNエッチング速度の減少は、AlGaN表面上の非揮発性AIF残基の形成のためであると判明し、GaAおよびAlGaAに関する過去の研究に類似している[参考文献16(非特許文献16)]。AIFの不揮発性は、塩素基のエッチング効率を低下させ、AlGaN上のGaNの選択的エッチングを可能にすることが判明した[参考文献14(非特許文献14)]。
【0013】
ACF(Ga、Al、In、B)NのLDの出現は、二元GaN層によって囲まれるAl含有エッチング停止層(ESL)を有するLD構造の成長を可能にし、ESLと周囲層との間の高度選択的エッチングを可能にした。この概念に基づき、本発明は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る構造および方法を記載する。
【0014】
(Ga、Al、In、B)NのLDにおけるESLの実装は、エッチングプロセスの一貫性および精度における顕著な改良点をもたらすはずである。これらの改良点は、より高い全体的素子率、より低い閾値電流密度、より高いモード安定性、より高い欠陥のない出力レベル、およびより長い素子寿命を含むが、これらに限定されるものではない、(Ga、Al、In、B)NのLD製造業者に対する多くの利点につながるはずである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】T.Takeuchi,S.Sota,M.Katsuragawa,M.Komori,H.Takeuchi,H.Amano,and I.Akasaki,Jpn.J.Appl.Phys.,36,L382(1997).
【非特許文献2】J.S.Im,H.Kollmer,J.Off,A.Sohmer,F.Scholz,and A.Hangleiter,Phys.Rev.B,57,R9435(1998).
【非特許文献3】F.Della Sala,A.Di Carlo,P.Lugli,F.Bernardini,V.Fiorentini,R.Scholz,and J.M.Jancu,Appl.Phys.Lett.,74,2002(1999).
【非特許文献4】P.Waltereit,O.Brandt,A.Trampert,H.T.Grahn,J.Menninger,M.Ramsteiner,M.Reiche,and K.H.Ploog,Nature,406,865(2000).
【非特許文献5】A.E.Romanov,T.J.Baker,S. Nakamura,and J.SSpeck,J.Appl.Phys.,100,023522 (2006).
【非特許文献6】K.C.Kim,M.C.Schmidt,H.Sato,F.Wu,N.Fellows,Z.Jia,M.Saito,S.Nakamura,S.P DenBaars,and J.S.Speck,Appl.Phys.Lett.,91,181120(2007).
【非特許文献7】D.F.Feezell,M.C.Schmidt,R.M.Farrell,K.C.Kim,M.Saito,K.Fujito,D.A.Cohen,J.S.Speck,S.P.DenBaars,and S.Nakamura,Jpn.J.Appl.Phys.,46,L284(2007).
【非特許文献8】R.M.Farrell,D.F.Feezell,M.C.Schmidt,D.A.Haeger,K.M.Kelchner,K.Iso,H.Yamada,M.Saito,K.Fujito,D.A.Cohen,J.S.Speck,S.P.DenBaars,and S.Nakamura,Jpn.J.Appl.Phys.,46,L761(2007).
【非特許文献9】K.M.Kelchner,Y.D.Lin,M.T.Hardy,C.Y.Huang,P.S.Hsu,R.M.Farrell,D.A.Haeger,H.C.Kuo,F.Wu,K.Fujito,D.A.Cohen,A.Chakraborty,H.Ohta,J.S.Speck,S.Nakamura,and S.P.DenBaars,“Nonpolar AlGaN−cladding−free Blue Laser Diodes with InGaN Waveguiding,”to be published in Appl.Phys.Express.
【非特許文献10】J.Vatus,J.Chevrier,P.Delescluse,and J.F.Rochette,IEEE Trans.Electron.Devices,33,934(1986).
【非特許文献11】B.Elman,W.F.Sharfin,F.D.Crawford,W.C.Rideout,J.Lacourse,and R.B.Lauer,Electron.Lett.,27,2032(1991).
【非特許文献12】Y.Han,S.Xue,W.Guo,Y.Luo,Z.Hao,and C.Sun,Jpn.J.Appl.Phys.,42,L1139(2003).
【非特許文献13】W.K.Wang,Y.J.Li,C.K.Lin,Y.J.Chan,G.T.Chen,and J.I.Chyi,IEEE Electron.Device Lett.,25,52(2004).
【非特許文献14】D.Buttari,A.Chini,A.Chakraborty,L.McCarthy,H.Xing,T.Palacios,L.Shen,S.Keller,and U.K.Mishra,Int.J.High Speed Electron.Syst.,14,756(2004).
【非特許文献15】C.S.Oh,T.H.Kim,K.Y.Lim,and J.W.Yang,Semicond.Sci.Technol.,19,172 (2004).
【非特許文献16】S.Salimian and C.B.Cooper III,J.Vac.Sci.Technol.B,6,1641(1988).
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の従来の技術における制限を克服し、本明細書を読み、理解する時に明らかとなる他の制限を克服するために、本発明は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る構造および方法を開示する。特に、本発明は、1つ以上のAl含有エッチング停止層を有する(Ga、Al、In、B)Nのレーザダイオードを製造する方法、および結果としてもたらされる光電子素子を開示する。エッチング停止層は、素子内における1つ以上のエッチングされた層のエッチング深さを制御するために使用される層であり、エッチングされた層は、素子内にエッチング停止層と他の層との間に選択的にエッチングされた層を備える。エッチング停止層は、(Ga、Al、In、B)Nのn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接する。最後に、エッチング停止層は、電子遮断層としても機能するか、またはしなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
全体を通して類似参照数字が対応する部品を表す、図面を参照する。
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態による、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る方法を示すフローチャートである。
【図2A】図2Aは、サンプルAのエピタキシャル構造および素子形状の概略図である。
【図2B】図2Bは、サンプルBのエピタキシャル構造および素子形状の概略図である。
【図3】図3は、サンプルAの計算された一次元(1−D)横モードプロファイルを示す。
【図4】図4は、サンプルAに対する測定されたエッチング深さをエッチング時間の関数としてプロットする。
【図5】図5は、30分のドライエッチングおよび250nmのTa絶縁層の蒸着の後のサンプルAおよびサンプルBの表面プロファイルを示す。
【図6】図6は、サンプルAから製造された、幅4.5μm、長さ500μmのLDに対する光−電流−電圧(L−I−V)をプロットする。
【図7】図7は、サンプルAから製造された、幅4.5μm、長さ500μmのLDに対する、閾値を越える発光スペクトルをプロットする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明が実践され得る特定の実施形態を例示目的で示す添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられてもよく、また、構造的な変更が行われてもよいことを理解されたい。
【0019】
(技術説明)
(サンプル構造および成長)
図1は、本発明の好ましい実施形態による、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る方法を示すフローチャートである。
【0020】
図1のブロック100は、リッジ導波路エッチングプロセスに対するAlGaN ESLの効果を評価するために製造されている2つの異なるサンプルを表す。
【0021】
本発明は、三菱化学株式会社によって製造された独立m−平面GaN基板上に金属有機化学蒸着(MOCVD)によって成長させられたACF(Ga、Al、In、B)NのLDにおけるこれらの効果を実験的に実証した。これらの基板は、c−方向にハイドライド気相成長(HVPE)によって成長させられ、その後、m−平面表面を露出するようにスライスされた。m平面表面は、化学および機械的表面処理法によって調製された。基板は、貫通転位密度5×10cm−2未満、キャリア濃度約1×1017cm−3、およびRMS表面粗度1nm未満を有する(製造業者によって測定)。
【0022】
m−平面膜のために使用されるMOCVD成長条件は、c−平面膜のために典型的に使用される成長条件と非常に類似している。すべてのMOCVD成長は、気圧(AP)、典型的V/III比(>3000)、および典型的成長温度(>1000℃)で行われた。トリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、アンモニア(NH)、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(CpMg)、およびシラン(SiH)が、それぞれ、Ga、In、Al、N、Mg、およびSi前駆体として使用された。
【0023】
図2Aは、いかなるAl含有導波路クラッド層も含有しないサンプルAとして知られる、第1のサンプルのエピタキシャル構造および素子形状の概略図である。サンプルAは、他で報告されているACF LD構造と同様である[参考文献7、8]。図2AのACF LD構造は、10μmのSiドープn−GaNテンプレート層200、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N劈開支援層(CAL)202[参考文献17]、1μmのSiドープn−GaNクラッド層204、8nmのIn0.10Ga0.90N量子井戸(QW)および8nmのGaN障壁を有する5周期非ドープIn0.10Ga0.90N/GaN多重量子井戸(MQW)構造206、15nmのMgドープp−Al0.12Ga0.88N電子遮断層(EBL)210、200nmのMgドープ下p−GaNクラッド層212、40nmのMgドープp−Al0.09Ga0.91N ESL214、800nmのMgドープ上p−GaNクラッド層216、ならびに20nmの高度Mgドープp++−GaN接触層218を備える。
【0024】
図2Bは、単に単一の10μmのSiドープn−GaNテンプレート層220を備えるサンプルBとして知られる、第2のサンプルのエピタキシャル構造および素子形状の概略図である。
【0025】
c−平面GaN基板上で成長させられた従来の(Ga、Al、In、B)NのLDと違って、図2Aで説明されるサンプルAのACF LD構造は、比較的厚い8nmのIn0.10Ga0.90N QWを含有した。サンプルAのための計算された一次元(1−D)横モードプロファイルが図3に示される。モデルは、それぞれ、GaN、Al0.06Ga0.94N、In0.10Ga0.90N、Al0.09Ga0.88N、およびAl0.12Ga0.88N層に対して、2.522、2.487、2.730、2.469、および2.451の405nmでの屈折率値を使用した[参考文献18]。計算されたモードプロファイルによって示されるように、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CALおよび40nmのMgドープp−Al0.09Ga0.91N ESLは、In0.10Ga0.90N/GaN MQWによって最初に導かれた、光学モードに対してほとんど効果を有さない。この構造の計算された横閉じ込め係数Γは、0.147であった。したがって、サンプルAが、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CAL、15nmのMgドープp−Al0.12Ga0.88N EBL、および40nmのMgドープp−Al0.09Ga0.91N ESLを含有したとしても、サンプルAは、ACF LD構造と称される。
【0026】
(エッチング停止層の特性化)
MOCVD成長に続いて、サンプルAの一部分は、エッチング深さを制御する際のp−Al0.09Ga0.91N ESLの有効性を特性化するために使用された。これは、図1のブロック102によって示される。
【0027】
フォトレジストは、乾式エッチングプロセスの間にエッチングマスクとして機能する、サンプル上の特徴を形成するために使用された。すべてのドライエッチングは、パナソニックE620誘導結合プラズマ(ICP)エッチングシステムにおいて行われた。
【0028】
実際のドライエッチングの前に、すべてのサンプルは、天然の表面酸化物を除去するために、BCl脱酸プラズマで5分間前処理された[参考文献19]。純粋なBC1は、GaNをエッチングする際、実質的に無効であることが判明し、それは、純粋なBClプラズマにおける活性塩素原子の低い濃度のためである可能性が最も高かった[参考文献15]。前処理ステップのために、チャンバ圧力は、37.5mTorrに設定され、BCl流速は、25sccmに設定され、ICP電力は、200Wに設定され、RF電力は、30Wに設定された。
【0029】
前処理ステップの後、サンプルは、BClおよびSFの混合物を含有するプラズマにおいてエッチングされた。このステップのために、チャンバ圧力は、37.5mTorrに設定し、BCl流速は、20sccmに設定し、SF流速は、5sccmに設定し、ICP電力は、200Wに設定し、RF電力は、60Wに設定された。エッチング条件の最適化および選択的エッチングの背後の物理的機構に関する詳細は、他に記載される[参考文献14]。
【0030】
エッチングプロセスの完了の後、残りのフォトレジストマスクは、サンプルからはがし取られ、特徴の高さは、Dektak VI表面形状測定装置を使用して測定された。測定されたエッチング深さをエッチング時間の関数として図4に示す。0から24分までのエッチング時間に関して、エッチング深さは、エッチングが、上p−GaNクラッド層を通過するにつれて、31.6nm/分のエッチング速度で時間とともに直線的に増加した。しかしながら、24から38分までのエッチング時間に関して、エッチング深さは、時間とともに非常にゆっくりと変化し、計14分間、800から900nmまでの深さの辺りで留まった。この深さは、MOCVD成長率較正によって決定される、p−Al0.09Ga0.91N ESLの予測された深さとよく対応した。最後に、38分以上のエッチング時間に関して、エッチング深さは、再度、時間とともに直線的に増加し、エッチングが、p−Al0.09Ga0.91N ESLを通過し、下p−GaNクラッド層に進入したことを意味する。p−Al0.09Ga0.91N ESLに対する40nmの較正された厚さおよび14分の合計エッチング時間に基づいて、p−Al0.09Ga0.91N ESLに対する計算されたエッチング速度は、2.9nm/分であった。これは、p−GaN/p−Al0.09Ga0.91Nに10.9のエッチング選択性を与え、エッチング深さを制御するためにESLの有効性を検証する。
【0031】
(リッジ導波路製造)
BCl/SFエッチングの特徴付けに続いて、サンプルAおよびBは、自己整合リッジ導波路プロセスを使用してリッジ導波路形状構造に処理された。これは、図1のブロック104によって表される。
【0032】
最初に、[0001]c−方向に沿って方向付けられたリッジ導波路は、2層フォトレジスト技法を使用するフォトリソグラフィーによって画定された。リソグラフィー条件は、下レジスト層が、後のリフトオフプロセスを容易にするために、上レジスト層と比較して、わずかな刻み目を有するように、調整された。
【0033】
次に、サンプルAおよびBは、エッチングマスクの機能を果たす2層フォトレジストとともに、上述のBCl/SFエッチング条件を使用して30分間エッチングされた。
【0034】
ドライエッチングの後、Taの250nmは、リッジの電気的遮蔽のためにイオンビーム蒸着(IBD)によってサンプル上に蒸着された。
【0035】
次に、リッジの上に残ったTaは、フォトレジストストリッパーにおいてフォトレジストマスクの残りを持ち上げることによって除去された。図2Aは、Ta絶縁体リフトオフの直後のサンプルAの形状を示す。
【0036】
Taリフトオフの完了後、Dektak VI表面形状測定装置を使用して、サンプルAおよびBの表面プロファイルを測定し、2つのサンプルに関するエッチング深さを比較した。図5に示されるように、サンプルAとBとの間のエッチング深さは、大幅に異なった。250nmのTa層を考慮すると、サンプルAの合計エッチング深さは、0.86μmでしかなかったが、サンプルBの合計エッチング深さは、1.03μmであり、サンプルAにおけるp−Al0.09Ga0.91N ESLのエッチング停止効果を示した。
【0037】
(レーザダイオード製造)
Ta絶縁体を持ち上げた後、サンプルAは、完成したリッジ導波路形状LD構造に処理された。これは、図1のブロック106によって示される。
【0038】
厚いPd/Au接点が、p−接点を形成するために、リッジ導波路の上に蒸着された。
【0039】
p−接触蒸着に続いて、サンプルは、約50μmの厚さに、機械的研摩およびラッピングによって薄くされた。
【0040】
次に、面劈開のためにサンプルを準備するために、ダイヤモンド針ベースのウエハスクライビング工具が、周期的スキップ・スクライブ技法と併せて使用された。スキップ・スクライブ技法は、ウエハにわたって共線的な一式の周期的85μmスキップステップおよび115μmスクライブステップを用いて、サンプルのエピタキシャル側面をスクライブすることから構成される。スクライブ方向は、結晶の{0001}平面に沿った劈開を容易にするために、結晶のアルファ軸と整合された。スキップステップの間、ダイヤモンド針がウエハの表面から持ち上げられ、ウエハが85μmの距離だけスクライブされない状態にした。この85μmのスキップ長さは、個々のリッジ導波路の位置と一致した。
【0041】
スクライビングプロセスが完了した後、サンプルAは、500μmのキャビティ長を有するレーザー棒に劈開された。
【0042】
最後に、共通のn−接点が、包装およびコーティングされていないLDの電気的および発光的特徴付けを可能にするために、各レーザー棒のn−型GaN基板に作成された。
【0043】
(レーザダイオードの電気的および発光的特徴付け)
図1のブロック108は、行われているレーザダイオードの電気的および発光的特徴付けを示す。
【0044】
図6は、サンプルAから製造された、幅4.5μm、長さ500μmのLDに対する典型的なパルス光−電流−電圧(L−I−V)を示す。光出力は、1μsのパルス幅および1kHzの繰り返し率、20度の段温度で、較正されたSi光検出器を使用して単一のコーティングされていない鏡面から測定され、0.1%のデューティサイクルに相当した。閾値電圧および直列抵抗は、それぞれ、9.7Vおよび20Ωであった。測定された閾値電流は、209.5mAであり、9.3kA/cmの閾値電流密度に相当した。
【0045】
同LDの発光スペクトルを図7に示す。スペクトルは、250mAの駆動電流で上記の閾値で収集され、399.5nmのピークレーザー波長を示した。
【0046】
上記の説明は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的エッチングを達成するために使用され得る構造および方法を記載する。上記の説明は、独立非極性基板上に成長させられたACF(Ga、Al、In、B)NのLDを記載するが、本発明の範囲は、1つ以上のAl含有導波路クラッド層を有する(Ga、Al、In、B)NのLDおよびすべての可能な外来基板のすべての可能な結晶方位で成長させられた(Ga、Al、In、B)NのLDも含む。
【0047】
エッチングプロセスの一貫性および精度における改良点は、これらの現在のレーザー設計エッチング技法への構造的および方法論的変形によっても達成され得る。
【0048】
(可能な変形例および修正)
また、成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体流量、および源材料等のMOCVD成長条件の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく、可能である。界面の質の制御は、プロセスの重要な側面であって、特定のリアクタ設計の流量切替能力に直接関連する。成長条件の継続的最適化は、上記で説明される(Ga、Al、In、B)N薄膜のより正確な組成および厚さ制御をもたらすはずである。
【0049】
上述の(Ga、Al、In、B)NのLDは、複数の均質層から構成される。しかしながら、本発明の範囲はまた、可変または段階的組成を有する複数の層から構成される、(Ga、Al、In、B)NのLDも含む。
【0050】
また、付加的不純物またはドーパントも、本発明で説明される(Ga、Al、In、B)N薄膜に組み込むことができる。例えば、Fe、Mg、Si、およびZnが、(Ga、Al、In、B)Nヘテロ構造内の種々の層および隣接する層の伝導特性を改変するように、それらの層に頻繁に追加される。そのようなドーパントおよび本明細書に列挙されないその他の使用も、本発明の範囲内である。
【0051】
また、本発明の範囲は、技術説明に引用される1つの非極性配向(m−平面)以上も網羅する。本概念はまた、(Ga、Al、In、B)N系半導体素子を成長させるために使用することができる、すべての極性、非極性および半極性平面に関する。用語「非極性平面」は、集合的にa−平面として知られる{11−20}平面と、集合的にm−平面として知られる{10−10}平面と、を含む。「半極性平面」という用語は、c−平面、a−平面、またはm−平面として分類することができない、あらゆる平面を指すために使用することができる。結晶学的用語では、半極性平面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する、任意の平面となるであろう。
【0052】
また、本発明は、特定の結晶極性の選択も網羅する。波括弧{}の使用は、本書の全体を通して、対称性同等平面群を指す。したがって、{10−12}群は、(10−12)、(−1012)、(1−102)、(−1102)、(01−12)、および(0−112)平面を含む。これらの平面はすべて、Ga−極性であって、結晶のc−軸が、基板から離れて指向することを意味する。同様に、{10−1−2}群は、(10−1−2)、(−101−2)、(1−10−2)、(−110−2)、(01−1−2)、および(0−11−2)平面を含む。これらの平面はすべて、N−極性であって、結晶のc−軸が、基板に向かって指向することを意味する。単一結晶群内のすべての平面は、本発明の目的で同等であるが、極性の選択は、成長プロセスの挙動に影響を及ぼし得る。いくつかの用途では、N−極性平面上で成長することが望ましい一方で、他の場合では、Ga−極性平面上の成長が好ましいであろう。両方の極性が、本発明の実践のために容認可能である。
【0053】
さらに、独立非極性(Ga、Al、In、B)N基板以外の基板を、(Ga、Al、In、B)NのLD成長に使用することができる。本発明の範囲は、すべての可能な外来基板のすべての可能な結晶学的配向上での(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。これらの外来基板は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、没食子酸リチウム、部分的置換スピネル、およびγ−LiAlO構造を共有する四成分正方晶酸化物を含むが、それらに限定されない。
【0054】
さらに、(Ga、Al、In、B)N核生成(または緩衝)層および核生成層成長法における変形例が、本発明の実践のために容認可能である。核生成層の成長温度、成長圧力、配向、および組成は、後続薄膜およびヘテロ構造の成長温度、成長圧力、配向、ならびに組成に合致する必要はない。本発明の範囲は、すべての可能な核生成層および核生成層成長法を使用した、すべての可能な基板上の(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。
【0055】
上記で説明される非極性(Ga、Al、In、B)NのLDは、独立非極性GaN基板上で成長させられた。しかしながら、本発明の範囲はまた、エピタキシャル側方過成長(ELO)(Ga、Al、In、B)Nテンプレート上で成長させられた(Ga、Al、In、B)NのLDも網羅する。ELO法は、後続エピタキシャル層内の貫通転位(TD)密度を低減する方法である。TD密度の減少は、素子性能の改良につながり得る。c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDについて、これらの改良は、増加した内部量子効率、低減した閾値電流密度、およびより長い素子寿命を含むことができる[参考文献20]。これらの利点は、すべての可能な結晶方位でELOテンプレート上で成長させられたすべての(Ga、Al、In、B)NのLDに関する。
【0056】
上述の技術説明は、HVPEによって、c−方向に成長され、次いで、m−平面表面を曝露するようにスライスされた、自立型非極性GaN基板上の非極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長について論じた。独立極性、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板はまた、外来基板を厚い極性、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N層から除去することによって、バルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の極性、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハに切生することによって、あるいは任意の他の可能な結晶成長またはウエハ製造法によって作成されてもよい。本発明の範囲は、すべての可能な結晶成長法およびウエハ製造法によって作成される、すべての可能な独立極性、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハ上の極性、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。
【0057】
上述の技術的解説は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ドライエッチングを達成するために、BClおよびSFを含有するプラズマを使用することを考察した。しかしながら、プラズマは、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ドライエッチングを達成するために、BClおよびSF以外のプロセスガスを含有し得た。本発明の範囲は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ドライエッチングを達成するために、すべての可能なプロセスガスの使用を含む。
【0058】
上述の技術的解説は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ドライエッチングを達成するために、プラズマを使用することを考察した。しかしながら、エッチングプロセスは、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ウェットエッチングを達成するために、1つ以上の液体系エッチャントを使用し得た。本発明の範囲は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて選択的ウェットエッチングを達成するために、すべての可能な液体系エッチャントの使用を含む。
【0059】
上述の技術的解説は、ESLとして40nmのMgドープp−Al0.09Ga0.91N層を使用することを考察した。しかしながら、任意の組成または厚さのAl含有層は、ESLのために使用され得た。すべての可能な組成および厚さのすべてのESLの使用は、本発明の実践に適している。
【0060】
上述の技術的解説は、ESLが、n型ドープ、p型ドープ、または非ドープGaNから構成される層に隣接する、ACF(Ga、Al、In、B)NのLDにおいてAl含有ESLを使用することを考察した。しかしながら、ESLは、また、(Ga、Al、In、B)Nの任意のn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接し得た。加えて、ESLは、Al含有導波路クラッド層を有する(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて使用され得た。そのような構造は、恐らく、ESLと周囲層との間のエッチング選択性を低下させるだろうが、その使用は、本発明の範囲内である。本発明の範囲は、ESLが、(Ga、Al、In、B)Nの任氏のn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接する状況を含む、すべての可能な(Ga、Al、In、B)NのLD構造におけるすべての可能なESLの使用を含む。
【0061】
上述の技術的解説は、8nmのInGaN QWおよび8nmのGaN障壁を有する5周期非ドープInGaN/GaN MQW活性領域を有するACF(Ga、Al、In、B)NのLDを成長させることを考察した。これらの層は、Al含有クラッド層の非存在下での素子の操作のために十分な光閉じ込めを提供した。しかしながら、素子はまた、GaNよりも高い屈折率を有する1つ以上の導波路層を含んでもよい。この代替構造では、QW活性領域および導波路層は、導波路コアとしてともに機能する。GaNよりも高い屈折率を有する任意の導波路層の使用が、本発明の実践に好適である。
【0062】
また、本発明は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおけるInGaN/GaN活性領域の使用に限定されない。(Ga、Al、In、B)Nの他の合金は、本発明の実践のために(Ga、Al、In、B)NのLDにおける活性領域において使用されてもよい。同様に、本発明は、QW厚さが、非極性および半極性QWに対して典型的に4nm以上であるが、活性領域に対してか、またはQWに対して特定の厚さに限定されない。任意の組成または厚さの層を有する活性領域の使用は、本発明の実践に適している。
【0063】
上述の技術的解説は、(Ga、Al、In、B)NのLDにおいてESLおよびEBLのために2つの異なるAl含有層を使用することを考察した。しかしながら、1つ以上のESLは、本発明の実践のためにEBLとして機能し得た。同様に、1つ以上のEBLは、本発明の実践のためにESLとして機能し得た。本発明の範囲は、ESLがEBLとしても機能するかどうかにかかわらず、すべての可能な(Ga、Al、In、B)NのLD構造におけるすべての可能なESLを含める。
【0064】
(命名法)
本明細書で使用される「(Ga、Al、In、B)N」または「III−窒化物」という用語は、一種類、Al、Ga、InおよびBのそれぞれの窒化物、ならびにそのような3族金属種の二元、三元および四元組成を含むように幅広く解釈されるように意図される。したがって、(Ga、Al、In、B)Nという用語は、そのような命名法に含まれる種として、化合物AlN、GaN、およびInN、ならびに三元化合物AlGaN、GaInN、およびAlInN、および四元化合物AlGaInNを包含する。(Ga、Al、In、B)構成種のうちの2つ以上が存在する時、(組成に存在する(Ga、Al、In、B)構成種のそれぞれを表す相対モル分率に関して)化学量論的割合ならびに「化学量論外」割合を含む、すべての可能な組成を、本発明の広義の範囲内で採用することができる。したがって、GaN材料に関する、以降の本発明の論議は、種々の他の(Al、Ga、In、B)N材料種の形成に適用可能であることが理解されるであろう。さらに、本発明の範囲内の(Ga、Al、In、B)N材料は、軽微な数量のドーパントおよび/または他の不純物あるいは包含物質をさらに含んでもよい。
【0065】
(利点および改良点)
現在の従来の市販される(Ga、Al、In、B)NのLD構造は、ウルツ鉱(Ga、Al、In、B)N結晶構造のc−平面上に成長させられる。頑強な選択的エッチングプロセス不足により、製造業者は、典型的には、リッジ導波路エッチング深さを制御するためにタイミングおよび/またはレーザー干渉技法を使用する。そのような技法は、しばしば、再現性および精度の問題を有し、製造上の問題を引き起こし、全体的な素子率を低減させる。
【0066】
したがって、本発明の目的は、向上した製造可能性および高性能を有する(Ga、Al、In、B)NのLDを生成することである。(Ga、Al、In、B)NのLDにおける選択的エッチングの実現は、(Ga、Al、In、B)NのLDの製造可能性における複数の進展を可能にするであろう。特に、(Ga、Al、In、B)NのLDにおけるESLの実装は、エッチングプロセスの一貫性および精度における顕著な改良点につながる可能性がある。本発明によって提供されるこれらの改良点、例えば、エッチングプロセスの一貫性および精度に対する改良点は、より高い全体的素子率、より低い閾値電流密度、より高いモード安定性、より高い欠陥のない出力レベル、およびより長い素子寿命を含むが、これらに限定されるものではない、(Ga、Al、In、B)NのLD製造業者に対する多くの利点につながる可能性がある。
【0067】
提案される素子は、種々の商業、産業、または科学用途のための光源として使用されてもよい。これらの(Ga、Al、In、B)NのLDは、現在市販される(Ga、Al、In、B)NのLDと同じ用途における有用性を見出すことを期待され得る。これらの用途として、固体投写型ディスプレイ、高解像度プリンタ、高密度光学データ記憶システム、次世代DVDプレーヤ、高効率固体照明システム、光感知用途、および医療用途が挙げられる。
【0068】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【0069】
【表1−1】

【0070】
【表1−2】

【0071】
【表1−3】

(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を締めくくるものである。本発明の1つ以上の実施形態の上述の説明は、図解および説明のために示したものである。この記述は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。上述の教示に照らして、多数の修正および変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された請求項によって限定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のAl含有エッチング停止層を有する(Ga、Al、In、B)Nのレーザダイオードを備える、光電子素子。
【請求項2】
前記エッチング停止層は、前記素子内における1つ以上のエッチングされた層のエッチング深さを制御するために使用される層である、請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記エッチングされた層は、前記素子内に前記エッチング停止層と他の層との間に選択的にエッチングされた層を備える、請求項2に記載の素子。
【請求項4】
前記エッチング停止層は、n型ドープ、p型ドープ、または非ドープGaNから構成される層に隣接する、請求項1に記載の素子。
【請求項5】
前記エッチング停止層は、(Ga、Al、In、B)Nのn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接する、請求項1に記載の素子。
【請求項6】
前記エッチング停止層は、電子遮断層としても機能する、請求項1に記載の素子。
【請求項7】
前記エッチング停止層は、電子遮断層として機能しない、請求項1に記載の素子。
【請求項8】
1つ以上のAl含有エッチング停止層を有する(Ga、Al、In、B)Nのレーザダイオードを製造することを含む、半導体素子を製造する方法。
【請求項9】
前記エッチング停止層は、前記素子内に1つ以上のエッチングされた層のエッチング深さを制御するために使用される層である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチングされた層は、前記素子内に前記エッチング停止層と他の層との間に選択的にエッチングされた層を備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
BClおよびSFを含有するプラズマが、前記素子内において前記エッチング停止層と他の層との間の選択的エッチングを達成するために使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
BClおよびSF以外の反応物を含有するプラズマが、前記素子内において前記エッチング停止層と他の層との間の選択的エッチングを達成するために使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の液体系エッチャントが、前記素子内において前記エッチング停止層と他の層との間の選択的エッチングを達成するために使用される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記エッチング停止層は、n型ドープ、p型ドープ、または非ドープGaNから構成される層に隣接する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記エッチング停止層は、(Ga、Al、In、B)Nのn型ドープ、p型ドープ、または非ドープ合金から構成される層に隣接する、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチング停止層は、電子遮断層としても機能する、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記エッチング停止層は、電子遮断層として機能しない、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
請求項8に記載の方法を使用して製造される、素子。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−502724(P2013−502724A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525689(P2012−525689)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/046015
【国際公開番号】WO2011/071568
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】