説明

(R)−アリールアルキルアミノ誘導体類と、それらを含有する薬剤組成物

本発明は、式(I)[式中、R、R1及びArは請求の範囲において定義したとおりである]で示される、選択された(R)−アリールアルキルアミン誘導体に関する。これらの化合物は、C5a誘導ヒトPMN走化性に対して意外に強力な阻害効果を示す。本発明の化合物類は絶対的にCXCL8阻害活性を有さない。前記化合物類は、補体のC5a部分によって誘導される、好中球及び単球の走化性活性に依存する病状の治療に有用である。特に、本発明の化合物類は、敗血症、乾癬、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、特発性線維症、腎炎の治療に、並びに虚血及び再潅流によって惹起される損傷の予防及び治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の紹介と背景
本発明は、補体のC5a部分によって誘導される、走化性活性化の阻害に有用な、新規な化合物に関する。該化合物は、補体のC5a部分によって誘導される、好中球及び単球の走化性活性化に依存する病状の治療に有用である。特に、本発明の化合物は、敗血症、乾癬、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、特発性線維症、腎炎の治療に、並びに虚血及び再潅流によって惹起される損傷の予防に有用である。
【0002】
免疫的及び炎症性イベントに反応して、補体系の活性化が、直接の膜作用と、C3、C4及びC5補体部分の酵素切断によって生じるアナフィラトキシンとして一般に知られた、一連のペプチド断片の放出との両方によって、炎症反応の増幅を仲介する。これらのペプチドはC3aとC4a(両方とも77アミノ酸である)を包含する;C5コンバーターゼはC5補体部分を切断して、74アミノ酸の糖タンパク質C5aを生成する。
【0003】
補体のC5aペプチド断片は、その走化性活性及び炎症活性のために、“完全(complete)”炎症誘発性メディエータとして定義されている。実際に、例えば、選択されたサイトカイン(例えば、IL−8、MCP−1及びRANTES)のような、他の炎症メディエータは、自己誘引細胞(self-attracted cells)に対して高度に選択的であるが、例えばヒスタミン及びブラジキニンのような他のメディエータは弱い走化性作用因子であるにすぎない。
【0004】
説得力のある証拠が、虚血/再潅流、自己免疫性皮膚炎、膜性増殖性特発性腎炎、気道反応不良、並びに慢性炎症性疾患、ARDS及びCODP、アルツハイマー病、若年性リウマチ様関節炎を含めた、幾つかの病的な状態へのin vivoでのC5aの関与を支持する(N.P. Gerard, Ann. Rev. Immunol., 12, 755,1994)。
【0005】
星状細胞と小グリア細胞の走化性及びC5aによって直接誘導される活性化に関連した、局部補体産生とアミロイド活性化の両方によって生じたC5a/C5a−desArgの神経炎症の可能性を考慮して、補体阻害剤が例えばアルツハイマー病のような神経疾患の治療に提案されている(McGeer & McGeer P.L., Drugs, 55, 738, 1998)。
【0006】
さらに、補体部分の合成の制御は、ショックの治療及び器官移植中の拒絶(多発性器官不全と超急性移植片拒絶)防止における有望な治療ターゲットと考えられる(Issekutz A.C. et al., Int. J. Immunopharmacol. 12, 1, 1990; Inagi R. et al., Immunol. Lett., 27, 40, 1991)。さらに最近では、慢性間質性と急性糸球体性の両方の腎損傷の病因への補体関与を考慮して、補体部分の阻害が、ネイティブの及び移植された腎臓の損傷防止に関与すると報告されている(Sheerin N.S. & Sacks S.H., Curr. Opinion Nephrol. Hypert., 7, 395, 1998)。
【0007】
急性及び慢性の病的状態では、例えば、乾癬病巣の高度に炎症をおこした、難治性領域では、特徴的な好中球集積が生じる。好中球は、刺激されたケラチノサイトによって放出されるサイトカイン、IL−8とGro−α及び、代替補体経路の活性化によって産生されるC5a/C5a−desArg部分の相乗作用によって走化的に引き付けられ、活性化される(T.Terui et al., Exp. Dermatol., 9, 1, 2008)。本発明者らは、多形核細胞及び単核細胞の走化性の阻害剤として、新規なクラスの“R−2−アリール−プロピオン酸のω−アミノアルキルアミド”を最近記載している(WO02/068377)。該新規なクラスは、選択的C5a阻害剤から二重C5a/IL−8阻害剤までの範囲の化合物を包含する。その上、R−2−アリール−プロピオン酸のω−アミノアルキルアミドの第4級アンモニウム塩は、C5a誘導好中球及び単球の走化性の選択的阻害剤として、報告されている(WO03/029187)。
発明の詳細な説明
本発明者らは、C5a誘導ヒトPMN走化性に対する強力でかつ選択的な阻害効果を示す、新規な(R)−アリールアルキルアミノ誘導体を今回意外にも発見した。本発明は、式(I):
【0008】
【化1】

【0009】
で示される(R)−アリールアルキルアミノ誘導体に関する、上記式中、
Rは、2−チアゾリル若しくは2−オキサゾリル(これらは、非置換であるか若しくはメチル、tert−ブチル若しくはトリフルオロメチル基から選択される基によって置換される)、C(Ra)=N−W(式中、Wは線状若しくは枝分かれC−Cアルキルである)、CORa、SORa、SORa、PORd、PORaから選択される、
この場合、Raは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、非置換フェニル、若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ−C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基によって置換されたフェニル;ピリジン、ピリミジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドール、チアゾール、オキサゾールから選択されるヘテロアリール基(このようなヘテロアリールは非置換であるか若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ−C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基によって置換される);線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cフェニルアルキルから成るα若しくはβ−カルボキシアルキル残基(これらは、さらなるカルボキシ(COOH)基によって置換されていてもよい);又は式II:
【0010】
【化2】

【0011】
で示されるω−アミノアルキルアミノ基から選択される;
式IIにおいて、Xは、線状若しくは枝分かれC−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレン(これらは、COR4基若しくはCONHR5基によって置換されていてもよく、この場合、R4は水素又は線状若しくは枝分かれC−Cアルキル基又は線状若しくは枝分かれC−Cアルケニル基を表し、R5は水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル又はOR4基(R4は上記のように定義される)を表す);(CH−B−(CH基(これは、上記で定義したとおりのCOR4若しくはCONHR5基によって置換されてもよく、式中のBは、酸素若しくは硫黄原子、又はC−Cアルキルによって置換されてもよい窒素原子であり、mはゼロ若しくは2〜3の整数であり、nは2〜3の整数である、又はBは、CO、SO若しくはCONH基であり、mは1〜3の整数であり、nは2〜3の整数である)を表す;或いは、Xは、それが結合する窒素原子及びR2基と共に窒素含有3〜7員の単環若しくは多環式の複素環を形成する;R3は、水素、C−Cアルキル、C−Cアシル、非置換フェニル若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基による置換フェニルを表す;R2とR3は、独立的に、水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル(酸素若しくは硫黄原子によって中断されてもよい)、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール−C−Cアルキル、ヒドロキシ−C−Cアルキル基であるか、又はR2とR3は、それらが結合するN原子と共に、式(III):
【0012】
【化3】

【0013】
で示される3〜7員窒素複素環を形成する、
式(III)において、Yは単結合、CH、O、S若しくはN−R6基(式中、R6は水素、C−Cアルキル、C−Cアシル、非置換フェニル又は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基による置換フェニルを表す)を表し、そしてpは0〜3の整数を表す、またYは、式SOR7(式中、R7はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール及びヘテロアリールである)で示される残基を表す;
R1は、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキルであり;
Arは、非置換フェニル基又は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C−Cアシルアミノ、ハロ−C−Cアルキル、ハロ−C−Cアルコキシ、ベンゾイル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリール、線状若しくは枝分かれC−Cアルカンスルホネート、線状若しくは枝分かれC−Cアルカンスルホンアミド、線状若しくは枝分かれC−Cアルキルスルホニルメチルから独立的に選択される1つ以上の基によって置換されたフェニル基である、又はArは、ピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドールから選択されるヘテロアリール環である。
【0014】
本発明による好ましい化合物は、
Rが、非置換であるか又はメチル若しくはトリフルオロメチル基から選択される基によって置換された2−チアゾリル;CORa、SORa、SORaであり、この場合Raは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル;フェニル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−フリル、2−ピロリル、2−チオフェニル、2−インドリル基;線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cフェニルアルキル基から成るカルボキシルアルキル基;及び式II:
【0015】
【化4】

【0016】
で示されるω−アルキルアミノ基[式IIにおいて、Xは線状若しくは枝分かれC−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンを表す、又はXは、それが結合する窒素原子及びR2基と共に、窒素含有3〜7員の単環式の複素環を形成する、そしてR3は水素又はC−Cアルキルを表す、R2とR3は、独立的に、水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル若しくはC−Cアルキニルであるか、又はR2とR3は、それらが結合するN原子と共に、式(III):
【0017】
【化5】

【0018】
で示される4〜6員窒素含有複素環を形成する、式(III)において、YはCH、O、S又はN−R7基(この場合、R7は水素、C−Cアルキル、C−Cアシルを表す)を表し、pは0〜2の整数を表す]から選択される;
R1がメチルであり;
Arが、3’−ベンゾイルフェニル、3’−(4−クロロ−ベンゾイル)−フェニル、3’−(4−メチル−ベンゾイル)−フェニル、3’−アセチル−フェニル、3’−プロピオニル−フェニル、3’−イソブタノイル−フェニル、4’−イソブチル−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルオキシ−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルメチル−フェニル、4’−アセトキシフェニル、4’−プロピオニルオキシ−フェニル、4’−ベンゾイルオキシ−フェニル、4’−アセチルアミノ−フェニル、4’−プロピオニルアミノ−フェニル、4’−ベンゾイルアミノ−フェニル、3’−(フラン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(ベンゾフラン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(チオフェン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(ピリジン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(チアゾール−2−カルボニル)−フェニル、3’−(オキサゾール−2−カルボニル)−フェニル、3’−(2−フリル)−フェニル、3’−(2−オキサゾリル)−フェニル、3’−(3−イソオキサゾリル)−フェニル、3’−(2−ベンゾオキサゾリル)−フェニル、3’−(3−ベンゾイソオキサゾリル)−フェニル、3’−(2−チアゾリル)−フェニル、3’−(2−ピリジル)−フェニル、3’−(2−チオフェニル)−フェニルから選択される;化合物である。
【0019】
式(I)で示される、特に好ましい化合物を下記に挙げる:
4−{(1R)−1−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(1)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド(2)
4−{(1R)−1−[(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(3)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]メタンスルホンアミド(4)
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}チオフェン−2−スルホンアミド(5)
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}メタンスルホンアミド(6)
4−{(1R)−1−[(チエン−2−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(7)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]チオフェン−2−スルホンアミド(8)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−3−ピロリジン−1−イルプロパン−1−スルホンアミド(9)
メチル 5−({[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)−2−フロエート(10)
5−({[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)−2−フロン酸(11)
4−{(1R)−2−メチル−1−[(メチルスルホニル)アミノ]プロピル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(12)
N−((1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド(13)
4−[(1R)−1−(イソブチリルアミノ)エチル]フェニルトリフルオロメタンスルホネート(14)
4−{[(1R)−1−(ピリジン−3−イルカルボニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(15)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンズアミド(16)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−2−フルアミド(17)
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]シクロブタンカルボキサアミド(18)
N−[(1R)−1−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニルエチル]−4−ピペリジン−1−イルブタンアミド(19)
N−{(1R)−1−[(4−ピロリジン−1−イルブタノイル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(20)
(3−{(1R)−[(4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾル−2−イル)アミノ]エチル}フェニル)(フェニル)メタノン(21)。
【0020】
式(I)化合物の製造には、既知方法が用いられている:式(IV):
【0021】
【化6】

【0022】
[式中、ArとR1は、上記で定義したとおりである]
で示される、対応する(R)−アリールアルキルアミンは、対応するアリールアルキル・カルボン酸を酸アジ化物に変換させ、続いて、該酸アジ化物をクルチウス(Curtius)反応によって対応するイソシアネートに転位させ(March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Ed., 2001, Wiley Interscience, 1412-1413とその中の参考文献)、最後に、酸性加水分解によってイソシアネートをアミンに転化させる工程を含む方法によって製造されている。出発物質として用いられる該カルボン酸は商業的に入手可能であるか、又は記載されている (Aureli L. et al., J. Med. Chem., 2005, 48, 2469) ように製造される。該アミンと商業的に入手可能な塩化アルキル若しくは塩化アリールスルホニル又は塩化アシルとの間の反応は、周知の方法によって行われる。
【0023】
式(I)で示される本発明化合物を、補体部分C5a及びC5a−desArgによって誘導される、多形核白血球(以下ではPMNsと称する)及び単球の走化性を阻害するそれらの能力に関して、in vitroで評価した。この目的のために、健康な成人ボランティアから採血したヘパリン化ヒト血液からPMNsを単離するために、単核細胞(mononucleates)をデキストラン上の沈降を用いて取り出し(W.J.Ming et al., J.Immunol., 138, 1469, 1987によって開示された方法に従って)、赤血球は低張溶液によって取り出した。細胞生存率は、トリパンブルー色素排除法によって算出し、循環多形核細胞(polymorphonucleates)は、Diff Quickによる染色後の細胞遠心分離物に基づいて推定した。
【0024】
ヒト組み換え部分C5a及びC5a−desArg(Sigma)を走化性実験に刺激剤として用いて、実際に全く同じ結果を得た。
【0025】
0.2%ウシ血清アルブミンBSAを含有するHBSSのある量に、凍結乾燥C5aを溶解し、このようにして10−5Mの濃度を有するストック溶液を得て、これを走化性アッセイのためにHBSS中で10−9Mの濃度に希釈した。
【0026】
走化性実験では、PMNsを式(I)で示される本発明化合物と共に、5%CO含有雰囲気中で37℃において15分間インキュベートした。
【0027】
1.5x10PMNs/mlの濃度でHBSS中に再懸濁させたヒト循環多形核細胞(PMNs)に対してC5aの走化性活性を評価した。
【0028】
走化性アッセイ(W. Falker et al., J. Immunol. Methods, 33, 239, 1980による)中に、複製に適した、5μmの孔度とミクロチャンバー(microchambers)を有するPVPフリーフィルターを用いた。
【0029】
式(I)で示される本発明化合物を、10−7M〜10−10Mの範囲の濃度において評価した;この目的のために、これらの化合物を該ミクロチャンバーの下部孔と上部孔の両方に、同じ濃度で加えた;下部のウェルはC5a溶液又は単なるキャリヤーを含有し、上部のウェルはPMNsの懸濁液を含有する。
【0030】
走化性用ミクロチャンバーを5%CO含有雰囲気下で37℃において60分間インキュベートすることによって、式(I)で示される個々の本発明化合物による、C5a誘導走化性活性の阻害を評価した。ヒト単球のC5a誘導走化性を阻害する、本発明の式(I)化合物の能力の評価を、Van Damme J. et al.によって開示された方法(Eur. J. Immunol., 19, 2367, 1989)に従って行った。ヒト単球に対する本発明の個々の式(I)化合物によるC5a誘導走化性活性の阻害は、走化性用ミクロチャンバーを5%CO含有雰囲気下で37℃において120分間インキュベートすることによって、10−7〜10−10M範囲の濃度において評価した。
【0031】
例として、本発明の幾つかの典型的な化合物についてのPMN走化性の阻害データ(10−7〜10−8Mの濃度範囲)を表1に報告する。
【0032】
式(I)化合物を、Patrignani et al.によって、J. Pharmacol. Exper. Ther., 271, 1705, 1994に開示された方法に従って、全体として血液中で、ex vivoにおいて評価した。殆ど全てのケースで、式(I)化合物は、10−5〜10−7Mの範囲の濃度において、リポ多糖類刺激(LPS、1μg/ml)によってネズミマクロファージ中で誘導されるPGE産生を妨害しない。PGE産生の阻害は大抵統計的有意性の限界であり、一般に、基底値の15〜20%未満である。
【0033】
それ故、薬剤としての本発明化合物の使用が、本発明のさらなる目的である。
【0034】
上記実験的証拠と、好中球の活性化及び浸潤を包含するプロセスにおける補体カスケードによって、即ち、補体部分C5aによって果たされる役割とを考慮すると、本発明化合物は、例えば、乾癬(R. J. Nicholoff et al., Am. J. Pathol., 138, 129, 1991)、水疱性類天疱瘡、敗血症、リウマチ様関節炎(M. Selz et al., J. Clin. Invest., 87, 463, 1981)、例えば潰瘍性大腸炎のような、腸の慢性炎症性病変(Y. R. Mahida et al., Clin. Sci.,82, 273, 1992)、急性呼吸窮迫症候群、及び特発性線維症(以前に挙げたE. J. Millerと、P. C. Carre et al., J. Clin. Invest., 88, 1882, 1991)、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、腎炎(T. Wada et al., J. Exp. Med., 180, 1135, 1994)のような疾患の治療に、並びに虚血及び再潅流によって惹起される損傷の予防及び治療に特に有用である。
【0035】
この目的のために、本発明の式(I)化合物を、例えば“Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook”MACK Publishing, New York, 18 th ed., 1990に記載されているような、慣用的な手法と賦形剤を用いて、薬剤組成物に便宜的に処方する。
【0036】
本発明化合物は、ボラスとして静脈内注射によって、皮膚用製剤(クリーム、ローション、スプレー及び軟膏)で、吸入によって並びに、カプセル剤、錠剤、シロップ、制御放出製剤等として経口的に投与することができる。
【0037】
平均1日量は、例えば、疾患の重症度、患者の状態、年齢、性別及び体重のような、幾つかの要因に依存する。用量は、任意に複数回投与に分割して、一般に、式(I)化合物1〜1500mg/日の範囲内で変動するであろう。
【0038】
下記実施例によって、本発明を説明する。
【実施例】
【0039】
式(I)化合物の合成に試薬として用いられる、塩化アルキル、塩化アリールスルホニル及び塩化アシルは、既知生成物であり、一般的に商業的に入手可能であるか、又はこれらは文献に記載された方法によって製造することが可能である。
(1R)−1−アリールエタンアミン中間体の一般的製造方法
A.(2R)−2−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]プロパノイルアジド
(2R)−2−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]プロパン酸(8g,26.8mmol)を塩化チオニル(80ml)中に溶解して、得られた溶液を、FT−IR分析によってチェックしたときに出発物質が完全に消失するまで(3時間)、還流させた。室温において冷却させた後、溶媒を真空下で蒸発させ、粗生成物にトルエン(15ml)を加えて、2回蒸発させて、塩化チオニルの全ての残渣を除去した。残留黄色油状物のCHCl(80ml)中の冷却(0〜5℃)溶液に、臭化テトラブチルアンモニウム(40mg,0.12mmol)とHO(10ml)中のアジ化ナトリウム(2.7g,41.53mmol)の溶液を加えて、得られた混合物を室温において一晩撹拌状態にした。アジ化ナトリウムのさらなるアリコート(1.7g,26.8mmol)を加えて、反応を完成させた。2時間後に、2相を分離し、有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、油状残渣を得た。
B.(1R)−1−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エチルアミン塩酸塩
周知の方法に従って、反応を行った。粗アジ化アシルをトルエン(100ml)中に溶解して、得られた溶液を、もはや窒素が発生しなくなるまで、還流させた。0〜5℃において冷却させた後に、37%HCl(12ml)を加えて、得られた溶液を還流下で一晩加熱した。室温において冷却させた後に、HOを加えて(20ml)、2相を分離させた。水相をNaHCOの飽和溶液でpH8〜9に塩基性化して、CHCl(3x50ml)で抽出した。回収した有機抽出物に、EtOH(30ml)中の塩化アセチル(1M)の溶液を滴加し、得られた溶液を室温において1時間撹拌状態にした。溶媒を蒸発させた後に、固体を真空下、40℃においてオーブン内で3時間乾燥させ、純粋な(1R)−1−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エチルアミン塩酸塩を白色粉末(6.69g,75%収率)として得た。
【0040】
【化7】

【0041】
上記手順に従って、適当なカルボン酸から出発して、下記アミンを製造した:
(1R)−1−[(3−ベンゾイル)フェニル]エチルアミン塩酸塩;ホワイトオフ粉末;
【0042】
【化8】

【0043】
(1R)−1−[(3−フロイル)フェニル]エチルアミン塩酸塩;淡褐色粉末;
【0044】
【化9】

【0045】
実施例1
(1R)−1−アリールエタンスルホンアミド類(化合物1〜8)の合成
4−{(1R)−1−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(1)
乾燥CHCl(3ml)中の(1R)−1−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.2g,0.65mmol)の溶液に、NaCO(0.15g,1.44mmol)と塩化ベンゼンスルホニル(92μl,0.72mmol)を加えて、得られた混合物を室温において一晩撹拌状態にした。NaHPOバッファー溶液(pH4.1〜4.5)(5ml)とEtOAc(10ml)を加えることによって、反応をクエンチした。2相を分離させ、有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、油状残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH9:1)による精製後に純粋な化合物1をガラス状固体(0.18g,68%収率)として得た。
【0046】
【化10】

【0047】
上記手順に従って、前記(1R)−1−アリールエタンアミン類と必要な塩化スルホニルから出発して、下記1−アリールエタンスルホンアミドを製造した:
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド(2);ワックス状固体;
【0048】
【化11】

【0049】
4−{(1R)−1−[(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(3);ワックス状固体
【0050】
【化12】

【0051】
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]メタンスルホンアミド(4);黄色油状物;
【0052】
【化13】

【0053】
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}チオフェン−2−スルホンアミド(5);白色粉末;
【0054】
【化14】

【0055】
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}メタンスルホンアミド(6);黄色油状物;
【0056】
【化15】

【0057】
4−{(1R)−1−[(チエン−2−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(7);無色油状物
【0058】
【化16】

【0059】
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]チオフェン−2−スルホンアミド(8);無色油状物;
【0060】
【化17】

【0061】
実施例2
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−3−ピロリジン−1−イルプロパン−1−スルホンアミド塩酸塩(9)
A.N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]エチレンスルホンアミドの製造
乾燥CHCl(10ml)中の(1R)−1−[(3−ベンゾイル)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.3g,1.14mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.36ml,2.51mmol)と、塩化2−クロロエタンスルホニル(0.14ml,1.37mmol)を加えて、得られた混合物を室温において2時間撹拌状態にした。HO(10ml)を加えることによって、反応をクエンチした。2相を分離して、有機相を1N HCl(2x5ml)によって洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、次の工程のために充分に純粋な、中間体N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]エチレンスルホンアミドを油状残渣(0.3g,75%収率)として得た。
【0062】
【化18】

【0063】
B.化合物9の製造
アセトン(10ml)中のN−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]エチレンスルホンアミド(0.28g,0.81mmol)とトリエチルアミン(0.11ml,0.81mmol)の溶液に、ピロリジン(68μl,0.81mmol)を滴加した。得られた溶液を室温において1時間撹拌状態にしてから、3時間還流させた。溶媒を蒸発させた後に、残渣を1N HCl(5ml)によって希釈し、EtO(2x5ml)で洗浄し、次にCHCl(3x5ml)で洗浄した。CHCl中の回収した有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、残渣を得て、これをフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH 95:5)による精製後に、純粋な化合物9を淡黄色油状物(0.28g,82%収率)として得た。
【0064】
【化19】

【0065】
実施例3
メチル 5−({[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)−2−フロエート(10)
A.5−(メトキシカルボニル)フラン−2−スルホン酸ナトリウム塩の製造
CHOH(20ml)中の塩化2−フロイル(1.5g,11.5mmol)の溶液を室温において24時間撹拌状態にした。溶媒を真空下で蒸発させた後に、粗残渣をCHCl(15ml)で希釈し、NaHCOの飽和溶液(2x10ml)とHO(10ml)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、真空下で蒸発させて、メチル2−フロエートを黄色油状物(1.4g,97%収率)として得た。該エステルを発煙HSO(0.2ml)中に溶解して、室温において一晩撹拌状態にした。粉砕氷と低温HO(5ml)を細心に加えてから、BaCO(1.13g,5.75mmol)を加えた。得られた懸濁液を、殆ど完全に塩が溶解するまで、加熱還流させた(3時間)。室温において冷却させた後に、硫酸バリウムを濾別して、濾液を減圧下で蒸発させて、粗生成物を得て、これを96%EtOH(30ml)で希釈して、2時間還流させた。熱いうちに、沈殿を濾過して、NaCOの溶液でpH7.5〜8.0になるように処理した;形成された沈殿(硫酸バリウム)を濾別して、母液を真空下で蒸発させて、中間体5−(メトキシカルボニル)フラン−2−スルホン酸ナトリウム塩(1.325g,50%収率)を得た。
【0066】
【化20】

【0067】
5−(メトキシカルボニル)フラン−2−スルホン酸ナトリウム塩(0.50g,2.19mmol)をPCl(0.91g,4.38mmol)中に溶解して、混合物を、出発物質が消失するまで(GC−Ms分析)3時間、150℃において放置した。室温において冷却させた後に、粉砕氷と低温HOを加えて、水相をCHCl(2x10ml)で抽出した;回収した有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、中間体スルホニルクロリド(0.21g,0.95mmol)を得て、これをもはや精製せずに次の工程に用いた。
B.化合物10の製造
乾燥CHCl(2ml)中の(1R)−1−[(3−ベンゾイル)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.22g,0.85mmol)とトリエチルアミン(0.24ml,1.8mmol)との溶液に、乾燥CHCl(2ml)中のスルホニルクロリド(0.21g,0.95mmol)の溶液を滴加した。得られた溶液を室温において一晩撹拌状態にした。溶媒を蒸発させた後に、粗油状残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/n−ヘキサン/CHOH 80:20:1)によって精製し、純粋な化合物10を白色粉末(0.14g,40%収率)として単離した。
【0068】
【化21】

【0069】
実施例4
5−({[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)−2−フロ酸(11)
氷AcOH(10ml)中のメチル 5−({[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル)−2−フロエート(0.1g,0.24mmol)の溶液に、数滴の37%HClを加えて、得られた溶液を12時間還流させた。室温において冷却させた後に、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣をNaHCOの飽和溶液(10ml)で希釈し、CHCl(2x5ml)で洗浄し、37%HClによってpH1に酸性化して、CHCl(2x5ml)によって再び抽出した。回収した有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、純粋な化合物11をワックス状固体(0.075g,78%収率)として得た。
【0070】
【化22】

【0071】
実施例5
4−{(1R)−2−メチル−1−[(メチルスルホニル)アミノ]プロピル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(12)
A.(2R)−3−メチル−2−[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]ブタン酸の製造
CHOH(10ml)中の市販の2−(4−クロロフェニル)−3−メチル酪酸(1g,4.7mmol)の溶液に、数滴のconc.HClを加えて、得られた混合物を室温において一晩撹拌状態にした。真空下での溶媒蒸発後に、CHCl(10ml)とHO(10ml)を加えて、2相を分離させ、有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、中間体メチル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブタノエートを油状残渣(定量的収率)として得た。この中間体を、既知手段によって、関連メチル 2−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタノエートに変換させた:メチル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブタノエート(1.06g,4.7mmol)と60%水素化ナトリウム(0.56g,14.1mmol)とHO(85μl,4.7mmol)との混合物を、アルゴン雰囲気下に3日間保持しながら、45℃に加熱した(H−NMR分析)。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで希釈し、1N HCl(2x5ml)で洗浄した;溶媒を真空下で蒸発させ、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH 85:15)によって精製して、純粋な中間体を油状物(0.75g,77%収率)として得た。
【0072】
【化23】

【0073】
トリフラート(triflate)基の挿入と次の加水分解の工程は、記載されているように、行って、3−メチル−2−[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]ブタン酸を無色油状物(0.91g,78%収率、4−ヒドロキシメチルエステル誘導体から算出)として得た。光学的分解(optical resolution)を、記載されているように、行った。(2R)−3−メチル−2−[4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル]ブタン酸(0.32g,35%収率)が白色固体として得られた。
【0074】
【化24】

【0075】
B.化合物12の合成を化合物1に関して上述したとおりに行った。4−{(1R)−2−メチル−1−[(メチルスルホニル)アミノ]プロピル}フェニルトリフルオロメタンスルホネートが淡黄色油状物として得られた。
【0076】
【化25】

【0077】
実施例6
N−((1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド(13)
A.N−((1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}プロパン酸の製造
4−ヨードフェニルプロパンニトリルを、既知方法によって、市販の4−ヨードフェニルアセトニトリルから出発して合成した。乾燥THF(10ml)中の4−ヨードフェニルプロパンニトリル(0.26g,1mmol)の冷却した(−78℃)溶液に、塩化イソプロピルマグネシウム(THF中2M溶液)(1ml,2mmol)とアセトン(147μl,2mmol)を加えて、得られた混合物を室温にまで温度上昇させ、一晩撹拌状態にした。NHClの飽和溶液(10ml)を加えることによって反応をクエンチして、水相をEtO(3x20ml)によって抽出した;回収した有機抽出物を、NaSO上で乾燥させた後に、濾過し、真空下で蒸発して、粗残渣を得て、これをフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc 9:1)による精製後に、中間体2−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロパンニトリル(0.11g,60%収率)を無色油状物として得た。
【0078】
【化26】

【0079】
次の酸加水分解(AcOH/HCl/還流/4時間)と該ラセミ酸の光学的分解によって、(2R)−2−[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]プロパン酸を白色固体として得た。
【0080】
【化27】

【0081】
CHCl(2ml)中の関連メチルエステル(0.22g,1mmol)の溶液を次に,記載された方法に従って、チオフェノール(0.12ml,1.2mmol)と反応させて、フラッシュクロマトグラフィーによる精製とメチルエステル加水分解後に、(2R)−2−{4−[1−メチル−1−(フェニルチオ)エチル]フェニル}プロパン酸を淡黄色油状物(0.18g,60%収率)として得た。
【0082】
【化28】

【0083】
硫化物からスルホンへの酸化は、公開された方法によって、達成した。CHOH(5ml)中の該酸(0.15g,0.5mmol)の冷却された(0〜5℃)溶液に、ビス(モノペルオキシ)フタル酸マグネシウム六水和物(MMPP)(0.5g,1mmol)を加えて、得られた混合物を4時間撹拌状態にした。真空下での溶媒蒸発後に、粗残渣をフラッシュクロマトグラフィー(n−ヘキサン/EtOAc 8:2)によって精製して、N−(1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}プロパン酸を無色油状物(0.18g,55%収率)として得た。
【0084】
【化29】

【0085】
B.化合物13の合成を、化合物1に関して上述したとおりに行った。N−((1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}エチル)メタンスルホンアミドが無色油状物として得られた。
【0086】
【化30】

【0087】
実施例7
(1R)−1−アリールエチルアミド類(化合物14〜20)の製造
4−[(1R)−1−(イソブチリルアミノ)エチル]フェニルトリフルオロメタンスルホネート(14)
ピリジン(5ml)中の(1R)−1−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.2g,0.65mmol)の溶液に、塩化イソブチリル(75μl,0.72mmol)を加えて、得られた混合物を1時間還流させた。室温において冷却させた後に、溶媒を真空下で蒸発させ、粗残渣をEtOAc(5ml)で希釈し、1N HCl(2x10ml)で洗浄した。有機相をNaSO上で乾燥させ、濾過して、真空下で蒸発させて、油状残渣を得た。フラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH 95:5)による精製後に、純粋な化合物14が無色油状物(0.165g,75%収率)として得られた。
【0088】
【化31】

【0089】
上記手段に従って、上記(1R)−1−アリールエタンアミンと必要な塩化アシルから出発して、次の1−アリールエチルアミドを製造した。
4−{[(1R)−1−(ピリジン−3−イルカルボニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(15);白色粉末
【0090】
【化32】

【0091】
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンズアミド(16);無色油状物
【0092】
【化33】

【0093】
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−2−フルアミド(17);淡黄色油状物
【0094】
【化34】

【0095】
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]シクロブタンカルボキサアミド(18);白色固体
【0096】
【化35】

【0097】
実施例9(化合物19〜20)
N−[(1R)−1−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニルエチル]−4−ピペリジン−1−イルブタンアミド(19)
A.4−ピペリジン−1−イルブタン酸ナトリウムの製造
DMF(2ml)中のエチル 4−クロロブチレート(0.5g,3.32mmol)の溶液に、ピペリジン(0.98ml,9.96mmol)、トリエチルアミン(1.4ml,9.96mmol)及び触媒量のKIを加えて、得られた溶液を一晩還流させた。室温において冷却させた後に、該溶液をNaHCO飽和溶液(10ml)で希釈し、EtO(3x10ml)で抽出した。回収した有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過して、真空下で蒸発させて、次の工程のために充分に純粋な、エチル 4−ピペリジン−1−イルブタノエートを油状残渣(0.6g,3mmol)として得た。ジオキサン(5ml)中の該エステルの溶液に、数滴の37%HClを加えて、該溶液を一晩還流させた。室温において冷却させた後に、溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を真空下、60℃のオーブン内で一晩乾燥させた。粗4−ピペリジン−1−イルブタン酸をCHOH(4ml)中に溶解して、NaHCO(0.5g,6mmol)を加えた。2時間撹拌した後に、沈殿を濾別して、母液を濃縮して、中間体4−ピペリジン−1−イルブタン酸ナトリウム(0.55g,2.84mmol)を無色油状物として得た。
【0098】
【化36】

【0099】
B.化合物15の製造
乾燥CHCl(10ml)中の4−ピペリジン−1−イルブタン酸ナトリウム(0.41g,2.13mmol)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.34g,2.13mmol)を加え、得られた溶液を室温において1時間撹拌状態にした。トリエチルアミン(0.59ml,4.25mmol)と(1R)−1−[(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.65g,2.13mmol)を加えて、得られた溶液を室温において一晩撹拌状態にした。NaHCO飽和溶液(10ml)を加えて、2相を分離させた。有機相をNaHCO飽和溶液(2x5ml)による抽出物によって洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空下で蒸発させて、油状残渣を得た。該粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(CHCl/CHOH/シクロヘキサン/NHOH 60:14:24:2)によって精製し、溶離した遊離塩基から、EtOH中過剰な塩化アセチル(1.4M)による処理後に、N−[(1R)−1−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニルエチル]−4−ピペリジン−1−イルブタンアミド(15)を塩酸塩(0.734g,75%収率)の形態で淡黄色油状物として得た。
【0100】
【化37】

【0101】
4−{(1R)−1−[(4−ピロリジン−1−イルブタノイル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート(20)
化合物20の合成は、化合物19に関して上述したとおりに行った。4−{(1R)−1−[(4−ピロリジン−1−イルブタノイル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネートが無色油状物として得られた。
【0102】
【化38】

【0103】
実施例10
(3−{(1R)−1−[(4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾル−2−イル)アミノ]エチル}フェニル)(フェニル)メタノン(21)
トルエン(15ml)中の(1R)−1−[(3−ベンゾイル)フェニル]エチルアミン塩酸塩(0.52g,2mmol)の溶液に、conc.HSO(3mmol)とチオシアン酸ナトリウム(0.18g,2.2mmol)を加えて、得られた混合物を室温において30分間撹拌状態にした。白色沈殿の形成が観察された:次に、該混合物を4時間還流させ、室温において一晩撹拌状態にした。有機相をHO(3x ml)によって洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、さらなる精製なしに使用できるほど純粋な(GC−Ms分析)、N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]チオ尿素を暗赤色油状物(0.53g)として得た。乾燥THF(10ml)中の該チオ尿素(0.2g,0.7mmol)の溶液に、3−ブロモ−1,1,1−トリフルオロアセトン(0.27g,1.4mmol)を加え、得られた溶液を40℃において一晩撹拌状態にした。室温において冷却させた後に、該溶液を真空下で蒸発させ、粗生成物をEtOAc(20ml)とNaHCO飽和溶液(15ml)で希釈した;2相を分離させ、有機相をNaCl飽和溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過して、真空下で蒸発させて、粗生成物を得て、これから、フラッシュクロマトグラフィー(溶離剤混合物 n−ヘキサン/EtOAc 9:1)による精製後に、化合物21(0.185g,70%収率)を無色油状物として得た。
【0104】
【化39】

【0105】
参考文献
【0106】
【化40】

【0107】
表1.PMNsのC5a誘導走化性に対して活性な化合物
【0108】
【化41】

【0109】
【化42】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される(R)−アリールアルキルアミノ誘導体、
式(I)において、
Rは、2−チアゾリル若しくは2−オキサゾリル(これらは、非置換であるか若しくはメチル、tert−ブチル若しくはトリフルオロメチル基から選択される基によって置換される)、C(Ra)=N−W(式中、Wは線状若しくは枝分かれC−Cアルキルである)、CORa、SORa、SORa、PORd、PORaから選択される、
この場合、Raは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、非置換フェニル、若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ−C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基によって置換されたフェニル;ピリジン、ピリミジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドール、チアゾール、オキサゾールから選択されるヘテロアリール基(このようなヘテロアリールは非置換であるか若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロ−C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基によって置換される);線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cフェニルアルキルから成るα若しくはβ−カルボキシアルキル残基(これらは、さらなるカルボキシ(COOH)基によって置換されていてもよい);又は式II:
【化2】

で示されるω−アミノアルキルアミノ基から選択される、
式IIにおいて、Xは、線状若しくは枝分かれC−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレン(これらは、COR4基若しくはCONHR5基によって置換されていてもよく、この場合、R4は水素又は線状若しくは枝分かれC−Cアルキル基又は線状若しくは枝分かれC−Cアルケニル基を表し、R5は水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル又はOR4基(R4は上記のように定義される)を表す);(CH−B−(CH基(これは、上記で定義したとおりのCOR4若しくはCONHR5基によって置換されてもよく、式中のBは、酸素若しくは硫黄原子、又はC−Cアルキルによって置換されてもよい窒素原子であり、mはゼロ若しくは2〜3の整数であり、nは2〜3の整数である、或いはBは、CO、SO若しくはCONH基であり、mは1〜3の整数であり、nは2〜3の整数である)を表す;或いは、Xは、それが結合する窒素原子及びR2基と共に窒素含有3〜7員の単環若しくは多環式の複素環を形成する;R3は、水素、C−Cアルキル、C−Cアシル、非置換フェニル若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基による置換フェニルを表す;R2とR3は、独立的に、水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル(酸素若しくは硫黄原子によって中断されてもよい)、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、アリール−C−Cアルキル、ヒドロキシ−C−Cアルキル基であるか、又はR2とR3は、それらが結合するN原子と共に、式(III):
【化3】

で示される3〜7員窒素複素環を形成する、
式IIIにおいて、Yは単結合、CH、O、S若しくはN−R6基(式中、R6は水素、C−Cアルキル、C−Cアシル、非置換フェニル若しくはハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノから選択される基による置換フェニルを表す)を表す、そしてpは0〜3の整数を表す、またYは、式SOR7(式中、R7はC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、アリール及びヘテロアリールである)で示される残基を表す;
R1は、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキルであり;
Arは、非置換フェニル基又は、ハロゲン、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ヒドロキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、C−Cアシルアミノ、ハロ−C−Cアルキル、ハロ−C−Cアルコキシ、ベンゾイル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリール、線状若しくは枝分かれC−Cアルカンスルホネート、線状若しくは枝分かれC−Cアルカンスルホンアミド、線状若しくは枝分かれC−Cアルキルスルホニルメチルから独立的に選択される1つ以上の基によって置換されたフェニル基である、又はArは、ピリジン、ピロール、チオフェン、フラン、インドールから選択されるヘテロアリール環である。
【請求項2】
本発明による好ましい化合物であって、
Rが、非置換であるか又はメチル若しくはトリフルオロメチル基から選択される基によって置換された2−チアゾリル;CORa、SORa、SORaであり、この場合Raは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル;フェニル、2−ピリジル、2−チアゾリル、2−フリル、2−ピロリル、2−チオフェニル、2−インドリル基;線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cフェニルアルキル基から成るカルボキシルアルキル基;及び式II:
【化4】

で示されるω−アルキルアミノ基[式IIにおいて、Xは線状若しくは枝分かれC−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンを表す、又はXは、それが結合する窒素原子及びR2基と共に、窒素含有3〜7員の単環式複素環を形成する、そしてR3は水素又はC−Cアルキルを表す、R2とR3は、独立的に、水素、線状若しくは枝分かれC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル若しくはC−Cアルキニルであるか、又はR2とR3は、それらが結合するN原子と共に、式(III):
【化5】

で示される4〜6員窒素含有複素環を形成する、式(III)において、YはCH、O、S又はN−R6基(この場合、R6は水素、C−Cアルキル、C−Cアシルを表す)を表し、pは0〜2の整数を表す]から選択される;
R1がメチルであり;
Arが、3’−ベンゾイルフェニル、3’−(4−クロロ−ベンゾイル)−フェニル、3’−(4−メチル−ベンゾイル)−フェニル、3’−アセチル−フェニル、3’−プロピオニル−フェニル、3’−イソブタノイル−フェニル、4’−イソブチル−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルオキシ−フェニル、4’−トリフルオロメタンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルアミノ−フェニル、4’−ベンゼンスルホニルメチル−フェニル、4’−アセトキシフェニル、4’−プロピオニルオキシ−フェニル、4’−ベンゾイルオキシ−フェニル、4’−アセチルアミノ−フェニル、4’−プロピオニルアミノ−フェニル、4’−ベンゾイルアミノ−フェニル、3’−(フラン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(ベンゾフラン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(チオフェン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(ピリジン−2−カルボニル)−フェニル、3’−(チアゾール−2−カルボニル)−フェニル、3’−(オキサゾール−2−カルボニル)−フェニル、3’−(2−フリル)−フェニル、3’−(2−オキサゾリル)−フェニル、3’−(3−イソオキサゾリル)−フェニル、3’−(2−ベンゾオキサゾリル)−フェニル、3’−(3−ベンゾイソオキサゾリル)−フェニル、3’−(2−チアゾリル)−フェニル、3’−(2−ピリジル)−フェニル、3’−(2−チオフェニル)−フェニルから選択される化合物。
【請求項3】
下記に挙げる、式(I)で示される好ましい化合物、
4−{(1R)−1−[(フェニルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンゼンスルホンアミド
4−{(1R)−1−[(ピリジン−3−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]メタンスルホンアミド
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}チオフェン−2−スルホンアミド
N−{(1R)−1−[3−(2−フロイル)フェニル]エチル}メタンスルホンアミド
4−{(1R)−1−[(チエン−2−イルスルホニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]チオフェン−2−スルホンアミド
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−3−ピロリジン−1−イルプロパン−1−スルホンアミド
メチル 5−〔{[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル〕−2−フロエート
5−〔{[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]アミノ}スルホニル〕−2−フロン酸
4−{(1R)−2−メチル−1−[(メチルスルホニル)アミノ]プロピル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
N−((1R)−1−{4−[1−メチル−1−(フェニルスルホニル)エチル]フェニル}エチル)メタンスルホンアミド
4−[(1R)−1−(イソブチリルアミノ)エチル]フェニルトリフルオロメタンスルホネート
4−{[(1R)−1−(ピリジン−3−イルカルボニル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]ベンズアミド
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]−2−フルアミド
N−[(1R)−1−(3−ベンゾイルフェニル)エチル]シクロブタンカルボキサアミド
N−[(1R)−1−(4−トリフルオロメタンスルホニルオキシ)フェニルエチル]−4−ピペリジン−1−イルブタンアミド
N−{(1R)−1−[(4−ピロリジン−1−イルブタノイル)アミノ]エチル}フェニルトリフルオロメタンスルホネート
(3−{(1R)−[(4−トリフルオロメチル−1,3−チアゾル−2−イル)アミノ]エチル}フェニル)(フェニル)メタノン。
【請求項4】
薬剤として用いるための、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
C5a誘発ヒトPMNs走化性に関与する疾患の治療用薬剤の製造における、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項6】
敗血症、乾癬、水疱性類天疱瘡、リウマチ様関節炎、潰瘍性大腸炎、急性呼吸窮迫症候群、特発性線維症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、腎炎の治療用薬剤の製造における、並びに虚血及び再潅流によって惹起される損傷の予防及び治療における、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
式(IV):
【化6】

[式中、ArとR1は、請求項1で定義したとおりである]
で示される中間体(R)−アリールアルキルアミンの製造方法であって、対応するアリールアルキル・カルボン酸を酸アジ化物に変換させ、続いて、該酸アジ化物をクルチウス反応によって対応するイソシアネートに転位させ、最後に、酸性加水分解によってイソシアネートをアミンに転化させる工程を含む方法。
【請求項8】
式(I):
【化7】

[式中、RはCORa、SORa又はSORaであり、Raは請求項1で定義するとおりである]
で示される化合物の製造方法であって、式(IV):
【化8】

[式中、ArとR1は請求項1で定義したとおりである]
で示される(R)−アリールアルキルアミンと、対応する塩化アシル、塩化スルフィニル又は塩化スルホニルとの間の反応を含む方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物を、その適当なキャリヤーとの混合物として含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2009−517368(P2009−517368A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541751(P2008−541751)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068867
【国際公開番号】WO2007/060215
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(506102293)ドムペ・ファ.ル.マ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (11)
【Fターム(参考)】