説明

CDIM結合抗体における増強されたB細胞細胞傷害性

リンパ球癌、自己免疫病又はB細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患のヒト患者の治療製剤及び治療方法を開示する。治療は(1)細胞障害量のB細胞上のCDIMエピトープに特異的に結合する抗体と、(2)細胞傷害性薬剤、例えば、化学療法薬、放射性同位元素、細胞傷害性抗体、免疫複合体、リガンド複合体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、毒素またはそれらの混合物であり、B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤であり、特にはビンカルカロイド又はコルヒチンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、癌および過剰増殖性疾患などを治療するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は小児において、最も一般的な悪性腫瘍である。およそ80%の小児ALLがB細胞系列のものである。現在の治療でALLを患う小児の80%近くが治癒するが、残りの群の患者には治療上の課題である新規な異なる治療戦略が引き続き必要とされている。同種骨髄移植(BMT)後に白血病の骨髄再発を起こした小児には、治癒の可能性は低い。同様に、適したドナーがないためにBNTを受けていない小児および疾病が少なくとも2回再発した小児は、従来の化学療法では治癒する見込みがない。こういった状況下では、白血病の難治性及び大量に前治療されている患者の脆弱性の可能性のために、再導入化学療法で完全な寛解を達成するのが困難である場合がある。したがって、単独または化学療法と組合せてのいずれかでALLに対して有効である新規薬剤を開発する必要性が、引き続き現在の白血病治療の目標として残っている。白血病性芽球に特異性を示すが、化学療法薬と同様の毒性プロフィールは示さない薬剤が、抗白血病治療の新規戦略を設計するのに特に有利である。さらに、慢性リンパ性白血病(CLL)およびB細胞系列のリンパ腫、ならびにB細胞によって引き起こされる自己免疫疾患をはじめとするその他のB細胞癌の治療において既存の化学療法薬または生物剤の効力を高められる薬剤および方法を発見することが期待されている。
【0003】
すべて同一出願人による、米国特許第5,593,676号および同5,417,972号およびEP0712307B1に記載されるMAb216によって、B細胞を死滅させるための、CDIMエピトープと結合する抗体の使用が記載されている。この抗体を用いることによって、不定量のB細胞を死滅させることができ、リンパ球癌などのB細胞の過剰増殖を特徴とする疾病を治療するための効力の増強が望まれる。
【発明の開示】
【0004】
したがって、本発明の主目的は、リンパ球癌およびB細胞の過剰増殖を特徴とするその他の疾患に対する新規方法および医薬製剤を提供することによって、当技術分野における前述の必要性に対応することである。
【0005】
したがって、一実施形態では、B細胞系列の細胞に限定されるCDIM抗原を発現する、B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患のヒトまたはその他の哺乳類種を治療するための一方法を提供する。本方法は、前記B細胞を(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)細胞傷害性薬剤とに接触させることを含む。好ましい一態様では、B細胞の過剰増殖を特徴とする状態は、リンパ球癌、ウイルス感染、免疫不全または自己免疫疾患である。代表的なウイルス感染としては、ヒト免疫不全ウイルスまたは単核球症を挙げることができる。代表的な免疫不全症としては、移植後リンパ球増殖性疾患または免疫不全症候群が挙げられ、抗癌療法またはその他の免疫抑制療法を受けている患者に見られる。代表的な自己免疫疾患としては、全身性エリテマトーデス、リウマチ関節炎、自己免疫リンパ球増殖性疾患、多発性硬化症、乾癬および重症筋無力症を挙げることができるが、橋本甲状腺炎、ループス腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、シドナム舞踏病、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌線症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、クローン病、アルツハイマー病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェジナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、繊維化肺胞炎、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病などの免疫介在性血小板減少症などのクラスIII自己免疫疾患なども含まれる。
【0006】
細胞傷害性薬剤は、化学療法薬、放射性同位元素、細胞傷害性抗体、免疫複合体、リガンド複合体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、毒素、またはそれらの混合物であり得る。化学療法薬は、B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤であり得る。さらなる実施形態では、化学療法薬は、アスパラギナーゼ、エピポドフィロトキシン、カンプトセシン、抗生物質、プラチナ錯体、アルキル化剤、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログまたはトポイソメラーゼ阻害剤、あるいはそれらの混合物であり得る。
【0007】
B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤は、微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤、例えばタキサン、ビンカアルカロイドおよびコルヒチン、またはそれらの混合物であることが好ましい。ビンカアルカロイドとしては、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、またはビノレルビン、あるいはそれらの混合物を挙げることができる。タキサンとしては、パクリタキセルおよびドセタキセル、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。もう1つの実施形態では、B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤として、抗アクチン剤、例えばジャスプラキノリドおよびサイトカラシンがある。
【0008】
トポイソメラーゼ阻害剤としては、エピポドフィロトキシン、例えばエトポシドまたはテニポシドを挙げることができる。ピリミジンアナログとしては、カペシタビン、5−フルオルウラシル、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、シトシンアラビノシド、5−アザシチジン、2’,2’−ジフルオロデオキシシチジンを挙げることができるが限定はされない。プリンアナログとしては、例えば、メルカプトプリン、アザチオプリン、チオグアニン、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、クラドリビン、ビダラビン、リン酸フルダラビンを挙げることができる。葉酸アナログとしては、メトトレキサート、ラルチトレキセド、ロメトレキソール、ペルメフレキセド、エダトレキサート、ペメトレキセドを挙げることができる。カンプトテシンとしては、イリノトカン、トポテカン、カンプトテカンを挙げることができる。抗生物質としては、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシンおよびマイトマイシンを挙げることができるが、限定はされない。プラチナ錯体としては、例えば、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンを挙げることができる。アルキル化剤としては、例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ストレプトゾシン、カルムスチン、ブスルファン、アルトレタミンおよびクロラムブシルを挙げることができる。
【0009】
細胞傷害性薬剤はB細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体の投与と同時に、その前にまたはその後に投与することができる。例えば、リンパ球癌を患っている患者に、従来の化学または免疫療法での治療に先立って、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することによって、患者の腫瘍量を減少させる方法を提供する。例えば、患者が再寛解導入療法に反応しなくなった場合に、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することで患者がその後の再寛解導入療法を受けることが可能となる。本方法は、細胞傷害性薬剤で患者を治療することをさらに含む場合がある。
【0010】
もう1つの実施形態では、骨髄機能廃絶療法後、患者における骨髄の再移植に先立って、悪性B細胞のリンパ球癌を患っている患者の骨髄をパージする方法を提供する。本方法は、骨髄を、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を用いてエキソビボ(ex vivo)で治療することを含む。本方法は、骨髄細胞を、細胞傷害性薬剤を用いてエキソビボで治療することをさらに含む場合がある。
【0011】
細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、細胞膜の傷を誘導し、これによって化学療法薬、ならびに再び効力を増強し得たその他の細胞傷害性薬剤に対するB細胞の透過化がもたらされ、細胞膜の傷によってB細胞サイトゾルへ入ることが容易になる。したがって、従来の化学療法での治療の前に、その間に、またはその後でさえ、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することによって、本方法は化学療法薬の細胞傷害性の増強を提供し、それによって化学療法の効力が高められる。さらに、化学療法の効力をこのように高めることによって、低濃度の化学療法薬を用いて患者を治療することが可能となり、それによって副作用および有害事象の可能性が少ない有効な治療が提供される。
【0012】
同様に、従来の免疫療法での治療の前に、その間に、またはその後でさえ、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することによって、免疫療法の際に用いられる抗B細胞抗体の細胞傷害性を増強する方法を提供する。さらに、従来の抗B細胞免疫療法は、腫瘍量が高い状態または免疫不全の状態のもと、例えば、補体貯蔵量が枯渇した場合、および抗B細胞免疫療法が有効でなくなっている場合には、有効性を欠くことがある。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と組合わせることは、例えば、補体欠乏症がある場合の、この従来のB細胞免疫療法の有効性の欠如に打ち勝つことになる。したがって、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体の投与の前またはその間に、細胞傷害性薬剤を投与することが最も有利であり得るが、これはこの抗体が細胞損傷を誘導し、抗体と細胞傷害性薬剤双方の効力を増強するからである。
【0013】
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、抗体によって細胞膜透過化および/または細胞傷害性が提供される限りは、天然抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、一本鎖Fv抗体、抗体フラグメント(例えば、Fab)、ペグ化抗体、四価抗体、ダイアボディー、またはミニボディー(minibody)などであり得る。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体はまた、細胞傷害性薬剤を含む免疫複合体を形成するための異種ポリペプチドを含む融合タンパク質として調製でき、または細胞傷害性薬剤、例えば放射性同位元素もしくは毒素を含むよう共有結合によってもしくは非共有結合によって修飾することもできる。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体が細胞傷害性薬剤と結合しているか、それで標識されているか、それと融合している場合は、抗体によって提供される細胞損傷細胞傷害性、ならびに細胞傷害性薬剤によって提供されるさらなる細胞傷害性を利用するために、全長抗体を用いることが好ましい。
【0014】
特定の態様では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、VH4−34によってコードされる抗体である。この抗体ファミリーの好ましいメンバーとしては、mAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kを挙げることができる。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する好ましい抗体は、正味の正電荷を有するCDR配列を含むものである。
【0015】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は放射性同位元素、例えば、1311、125I、123I、90Y、111In、105Rh、153Sm、166Ho、177Luならびに188Reおよび186Re、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Ga、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、213Pb、216Bi、117Lu、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、199Au、225Ac、211At、および213Biである。これらの放射性同位元素のうち、131I、125I、90Y、111Inおよび186Reが最も好ましい。放射性同位元素は免疫複合体またはリガンド複合体の一部を含むこともできる。特定のその他の実施形態では、放射性同位元素は、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体、またはB細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体と共有結合している。
【0016】
特定の実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、B細胞上の細胞表面分子に特異的な結合を有するさらなる細胞傷害性抗体と併用する。細胞傷害性抗体は、B細胞上の任意の細胞表面分子に特異的な結合を有することができる。細胞表面分子としては、受容体、免疫グロブリン、サイトカイン、糖タンパク質などを挙げることができる。例えば、細胞傷害性抗体はCDlla、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD34、CD37、CD38、CD40、CD45、CD52、CD80、CD86、IL−4R、IL−6R、IL−8R、IL−13、IL−13R、α−4/β−1インテグリン(VLA4)、BLYS受容体、細胞表面イディオタイプIg、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの混合物に特異的な結合を示すことができるが、限定はされない。例えば、CD11aに特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エファリツマブ(ラプティバ)であり得る。CD20に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、リツキシマブ(リツキサン)であり得る。CD22に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エピラツズマブであり得る。CD25に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、ダクリツマブ(ゼナパックス)またはバシリキシマブ(シムレクト)であり得る。CD52の抗体としては、例えば、カンパスを挙げることができる。α−4/β−1インテグリン(VLA4)の抗体としては、例えば、ナタリズマブを挙げることができる。TNFの抗体としては、例えば、インフリキシマブ(レミケード)を挙げることができる。
【0017】
したがって、好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、例えば、リツキサン、ゼナパックス、レミケードまたはラプティバとともに、またはそれらの組合せとともに併用免疫療法投薬計画で使用することができる。細胞傷害性抗体はまた、例えば、放射性同位元素または毒素を含む免疫複合体として使用することができる。さらに、さらなる実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、B細胞上の細胞表面分子に特異的な結合を有するさらなる細胞傷害性抗体と、1種以上の化学療法薬とを含む併用療法を使用することができる。例えば、mAb216は、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、トスチマブまたはイブリツモマブと組合せて、または抗CD52抗体、例えばカンパスと組合せて、または抗CD22抗体、例えばエプラツクスマブ(epratuxumab)と組合せてなどで使用することができる。併用療法は、併用化学療法および免疫療法投薬計画で、化学療法、例えば細胞の細胞骨格を破壊する薬剤、例えばビンクリスチンをさらに含み得る。
【0018】
さらなる実施形態では、細胞傷害性薬剤は、リガンド複合体であり得、例えばB細胞上の細胞表面受容体と結合する任意のB細胞受容体リガンドを挙げることができる。このようなリガンドとしては、限定はされないが、IL−2、IL−4、IL−6、IL−13、IL−15、BLYSまたはTNFなどを挙げることができる。免疫複合体のようなリガンド複合体は、融合タンパク質または共有結合しているか非共有結合している毒素、放射性同位元素、またはその他の毒物を含む。したがって、この実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、B細胞に対してその生物学的効果によって細胞傷害性を示すか、又はそれに融合もしくは結合している細胞傷害性薬剤によって細胞傷害性を示す前記のリガンド複合体と併用することができる。
【0019】
したがって、さらなる実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、リガンド複合体、例えばジフテリア毒素結合IL−13などとの併用投薬計画で使用することができる。また、リガンド複合体は、放射性同位元素または例えば、細胞傷害性にするその他の毒素を含むことができる。
【0020】
さらなる実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を細胞傷害性薬剤と併用して自己免疫疾患を治療する。細胞傷害性薬剤は免疫抑制剤、例えばグルココルチコイド、カルシニュリン阻害剤、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤、または生物剤、例えば免疫抑制効果を提供する抗体、あるいはそれらの混合物であり得る。免疫抑制剤との組合せは、B細胞によって媒介される自己免疫疾患の治療において、または癌を治療するために場合によっては有用である。特定の実施形態では、カルシニュリン阻害剤は、シクロスポリンまたはタクロリムスである。その他の実施形態では、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤は、アザチオプリン、クロラムブコル、シクロホスファミド、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ラパマイシン、サリドマイド、またはそれらの混合物である。グルココルチコイドとしては、例えば、プレドニゾロン、プレドニゾンまたはデキサメタゾンを挙げることができる。
【0021】
特定の実施形態では、免疫抑制剤は、細胞増殖制御因子および/または阻害剤であり、小分子治療薬、遺伝子治療薬または遺伝子発現修飾因子を挙げることができる。小分子治療薬としては、例えば、キナーゼ阻害剤およびプロテアソーム阻害剤が挙げることができる。好ましい実施形態では、キナーゼ阻害剤はbcr/ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばグリーベックである。もう1つの好ましい実施形態では、プロテアソーム阻害剤はボロン酸エステル、例えばベルケードである。
【0022】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は毒素であり、限定はされないが、シュードモナス外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、モモルジン、ブタクサ抗ウイルスタンパク質、ブドウ球菌内毒素A、ゲロニン、メイタンシノイド、又はダウナルビシン(daunarubicin)などを挙げることができる。毒素は、細胞特異的ターゲッティングのために抗体またはリガンドに結合されていることが好ましい。
【0023】
好ましい実施形態では、B細胞の過剰増殖を特徴とする状態はリンパ球癌、特に、任意のB細胞起源の急性白血病である。リンパ球癌としては、急性白血病、例えば急性リンパ性白血病(ALL)、B前駆細胞型ALL、成人ALL、ならびに慢性白血病およびリンパ腫を挙げることができる。リンパ腫としては、高悪性度のもの、低悪性度のものおよびマントル細胞型のものを挙げることができる。リンパ球癌の個々の例としては、限定はされないが、急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、B前駆細胞型ALL、成人ALL、または慢性リンパ性白血病(CLL)などを挙げることができる。
【0024】
特定の実施形態では、過剰増殖性B細胞を接触させることを、インビボ(in vivo)、インビトロ(in vitro)またはエキソビボ(ex vivo)で実施することができる。前述の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を非経口注射によって投与することによって、B細胞をインビボで接触させることが好ましい。細胞傷害性薬剤による、B細胞のインビボ接触は、当技術分野で公知の、細胞傷害性薬剤およびの製剤に応じて適切な、任意の適した手段によってできる。
【0025】
本発明のさらなる態様では、リンパ球癌を患っているヒト患者を治療する方法を提供し、これは、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)化学療法薬とを投与することを含む。好ましい実施形態では、化学療法薬は、タキサン、コルヒチン、ビンカアルカロイド、アスパラギナーゼ、抗アクチン剤、エピポドフィロトキシン、カンプトセシン、抗生物質、プラチナ錯体、アルキル化剤、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログまたはトポイソメラーゼ阻害剤、あるいはそれらの混合物である。特定の実施形態では、ビンカアルカロイドは、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンまたはビノレルビンである。ピリミジンアナログとしては、カペシタビン、5−フルオルウラシル、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、シトシンアラビノシド、5−アザシチジン、または2’,2’−ジフルオロデオキシシチジンを挙げることができる。プリンアナログは、メルカプトプリン、アザチオプレン、チオグアニン、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、クラドリビン、ビダラビンまたはリン酸フルダラビンであり得る。葉酸アナログは、メトトレキサート、ラルチトレキセド、ロメトレキソール、ペルメフレキセドまたはエダトレキサート、ペメトレキセドであり得る。エピポドフィロトキシンは、エトポシドまたはテニポシドであり得る。カンプトテシンとしては、イリノトカン、トポテカン、カンプトテカンを挙げることができる。化学療法薬抗生物質としては、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシンまたはマイトマイシンを挙げることができる。プラチナ錯体としては、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンを挙げることができる。アルキル化剤としては、メクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ストレプトゾシン、カルムスチン、ブスルファン、アルトレタミンまたはクロラムブシルを挙げることができる。等価物、修飾体および誘導体なども、本発明の方法および組成物に使用することができる化学療法薬の範囲内に含まれる。化学療法薬は、CDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体の前、その後またはそれと同時に投与することができる。
【0026】
好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、正味の正電荷を有するCDR配列を含む。特定の実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、VH4−34によってコードされる抗体であり、限定はされないが、mAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kを挙げることができる。特に好ましい抗体としては、mAb216がある。
【0027】
本発明のさらにもう1つの態様では、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体とを投与することを含むリンパ球癌を患っているヒト患者を治療する方法を提供する。特定の実施形態では、細胞傷害性抗体は、B細胞上の任意の細胞表面分子(CDIMエピトープ以外)に特異的な結合を有し得る。例えば、細胞傷害性抗体は、CD11a、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD34、CD37、CD38、CD40、CD45、CD52、CD80、CD86、IL−4R、IL−6R、IL−8R、IL−13、IL−13R、α−4/β−1インテグリン(VLA4)、BLYS受容体、細胞表面イディオタイプIg、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの混合物に対して特的な結合を示し得るが、限定はされない。例えば、CD11aに特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えばエファリツマブ(ラプティバ)であり得る。CD20に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、リツキシマブ(リツキサン)であり得る。CD22に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えばエピラツズマブであり得る。CD25に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えばダクリツマブ(ゼナパックス)またはバシリキシマブ(シムレクト)であり得る。CD52の抗体としては、例えばカンパスを挙げることができる。α−4/β−1インテグリン(VLA4)の抗体としては、例えばナタリズマブを挙げることができる。TNFの抗体としては、例えばインフリキシマブ(レミケード)を挙げることができる。したがって、好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、例えばリツキサン、ゼナパックス、レミケードまたはラプティバとともに、またはそれらの組合せとともに併用免疫療法投薬計画で使用することができる。細胞傷害性抗体はまた、例えば放射性同位元素または毒素を含む免疫複合体として使用することができる。
【0028】
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、正味の正電荷を有するCDR配列を含む。特定の実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、VH4−34によってコードされる抗体である。好ましいVH4−34抗体としては、mAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kを挙げることができる。
【0029】
さらなる実施形態では、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体とを投与することを含むリンパ球癌を患っているヒト患者を治療する方法は、さらに、化学療法薬、放射性同位元素、免疫複合体、リガンド複合体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、あるいはそれらの混合物を投与することを含む。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、放射性同位元素で標識することができる。さらに、B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体も放射性同位元素で標識することができる。好ましい放射性同位元素としては、131I、125I、90Y、111Inおよび186Reを挙げることができる。いずれかの抗体を免疫複合体として使用してもよい。好ましい実施形態では、免疫複合体はシュードモナス外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、モモルジン、ブタクサ抗ウイルスタンパク質、ブドウ球菌内毒素A、ゲロニン、メイタンシノイド、又はダウナルビシンなどを含む。
【0030】
リガンド複合体はIL−2、IL−4、IL−6、IL−13、IL−15、BLYSまたはTNFなどを含むことができ、さらに放射性同位元素、または毒素を含むことができる。免疫抑制剤としては、グルココルチコイド、カルシニュリン阻害剤、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤または抗体を挙げることができるが、限定はされない。特定のカルシニュリン阻害剤としては、シクロスポリン、またはタクロリムスなどを挙げることができる。特定の抗増殖性/代謝拮抗性薬剤としては、アザチオプリン、クロラムブコル、シクロホスファミド、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ラパマイシン、サリドマイドまたはそれらの混合物を挙げることができる。グルココルチコイド、例えばプレドニゾロン、プレドニゾンまたはデキサメタゾンもまた利用することができる。細胞増殖制御因子および/または阻害剤としては、小分子治療薬(例えば、キナーゼ阻害剤、またはプロテアソーム阻害剤)、遺伝子治療薬または遺伝子発現修飾因子を挙げることができる。
【0031】
本発明のもう1つの態様では、B細胞を、CDIMエピトープと結合する抗体と、B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤とに接触させることを含むCDIMエピトープと結合する抗体のB細胞細胞傷害性を増強する方法を提供する。B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤は、微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤、例えばタキサン、ビンカアルカロイドまたはコルヒチンであることが好ましい。ビンカアルカロイドとしては、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、またはビノレルビンを挙げることができる。タキサンとしては、限定はされないが、パクリタキセル、またはドセタキセルを挙げることができる。B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤はまた、抗アクチン剤、すなわち、アクチンフィラメントがアクチンを重合することか、アクチンを脱重合することのいずれかに影響を及ぼす薬剤でもあり得る。好ましい実施形態では、B細胞細胞傷害性を増強する方法を、リンパ球癌、B細胞過剰増殖性疾患または自己免疫疾患の治療に用いる。リンパ球癌としては、任意のB細胞起源の急性白血病、例えば急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、B前駆細胞型ALL、成人ALL、または慢性リンパ性白血病(CLL)を挙げることができる。好ましい実施形態では、B細胞は細胞傷害量の、CDIMエピトープと結合する抗体を含む医薬製剤の非経口注射によって接触される。
【0032】
さらにもう1つの態様では、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)化学療法薬、B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する抗体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、あるいはそれらの混合物とを投与することを含む哺乳類における自己免疫疾患を治療する方法を提供する。免疫抑制剤はグルココルチコイド、カルシニュリン阻害剤、または抗増殖性/代謝拮抗性薬剤であることが好ましい。カルシニュリン阻害剤は、シクロスポリン、またはタクロリムスであることが好ましい。抗増殖性/代謝拮抗性薬剤は、アザチオプリン、クロラムブコル、シクロホスファミド、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ラパマイシン、サリドマイド、またはそれらの混合物であり得る。グルココルチコイドは、プレドニゾロン、プレドニゾン、またはデキサメタゾンから選択することができる。細胞増殖制御因子および/または阻害剤は、小分子治療薬、または遺伝子治療薬もしくは遺伝子発現修飾因子であり得る。
【0033】
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、正味の正電荷を有するCDR配列を含むことが好ましい。特定の実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、VH4−34によってコードされる抗体、例えばmAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kである。本方法は、自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス、リウマチ関節炎、自己免疫リンパ球増殖性疾患、多発性硬化症、乾癬、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、ループス腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、シドナム舞踏病、アルツハイマー病、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌線症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、クローン病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェジナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、繊維化肺胞炎、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病などの免疫介在性血小板減少症などのクラスIII自己免疫疾患その他を治療するのに有用である。
【0034】
本発明のもう1つの態様では、前記悪性B細胞を、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含む。特定の一実施形態では、この方法は、さらに、悪性B細胞を化学療法薬と接触させることを含む、化学療法薬、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、または細胞傷害性抗体に耐性である悪性B細胞を死滅させる方法を提供する。特定の実施形態では、抗体は、化学療法薬の不在下よりも低い濃度で有効であり、及び/または化学療法薬は抗体の不在下よりも低い濃度で有効である。
【0035】
本発明のさらなる態様では、前記B細胞を化学療法薬および/またはB細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体で治療することを含むB細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体に耐性である悪性B細胞を死滅させる方法を提供する。特定の実施形態では、化学療法薬は抗体の不在下よりも低い濃度で有効である。
【0036】
本発明のさらなる態様では、B細胞をB細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含むB細胞を透過性にする方法を提供する。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、正味の正電荷を有するCDR配列を含む。好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体は、VH4−34によってコードされる抗体、例えばmAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kである。
【0037】
本発明のさらにもう1つの態様では、B細胞の過剰増殖を特徴とする疾病または疾患を治療する方法を提供し、これは、B細胞を透過性にするのに十分な量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含み得る。この方法は、さらに、前記B細胞を細胞傷害性薬と接触させることを含む。特定の実施形態では、B細胞を細胞傷害性薬と接触させるステップを、B細胞をCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させるステップの前に、その間に、またはその後に実施する。B細胞の透過化は、種々の手段によって細胞傷害性薬剤の効力を高め、特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤の効力は、細胞傷害性薬剤のB細胞のサイトゾルへのアクセスを増加することによって、高められる。好ましい実施形態では、細胞傷害性薬剤は、化学療法薬、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、毒素、あるいはそれらの混合物である。さらに好ましい実施形態では、B細胞を接触させるステップを、ヒト患者に、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を非経口的に注射することによって実施する。
【0038】
特定の態様では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、約2.5〜約3000mg/mの用量で投与し、またはより好ましくは、投与する抗体の用量は約25〜1000mg/m、または特に、約75、150、300もしくは600mg/mである。さらなる態様では、抗体を約0.25mg/kg〜約100mg/kgの用量で投与し、より好ましくは、投与する抗体の用量は約1.25、2.5、5、10、または20mg/kgである。抗CDIM抗体は、通常、週1回の頻度で投与するが、いくつかの実施形態では、週1回よりも高頻度、1日1回と同程度の頻度で投与する。さらなる細胞傷害性抗体は、週あたり10〜375mg/mの量で4週間にわたって、または週あたり0.4〜20mg/kgで2〜10週にわたって投与することができる。
【0039】
本発明のさらなる態様では、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を含む非経口注射用の医薬製剤を提供する。特定の実施形態では、医薬製剤は化学療法薬をさらに含んでなる。
【0040】
本発明のもう1つの態様では、(a)患者においてB細胞を透過性にするのに十分な量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を含む医薬組成物と、(b)B細胞の過剰増殖を特徴とする状態を治要するの有効な、治療上有効量の細胞傷害性薬剤を含む医薬組成物とを含むB細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患の患者を治療するためのキットを提供する。組成物を製剤するための、任意の製薬上許容される注射用溶液を提供することができる。抗体組成物は、非経口的に投与することが好ましく、細胞傷害性薬剤は、任意の適した手段で投与してもよい。抗体組成物および細胞傷害性薬剤組成物を投与するための使用説明書もキットとともに提供することができる。
【0041】
さらなる態様では、本発明は、B細胞リンパ球癌、自己免疫疾患およびB細胞過剰増殖性疾患の治療のための医薬の製造における、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体の使用を含む。
【0042】
本発明のさらなる目的、利点および新規特徴は、幾分かは以下の説明中で示し、幾分かは以下の試験から当業者には明らかとなり、または本発明の実施によって分かる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】VH4−34によってコードされる抗体が原発性B細胞リンパ腫および白血病と結合することを示す図である。
【0044】
【図2】VH4−34によってコードされるモノクローナル抗体がヒトB細胞株と結合し、死滅させることを示す図である。
【0045】
【図3】mAb216の濾胞性リンパ腫細胞に対する細胞傷害性の可変性を示す図である。
【0046】
【図4】mAb216およびビンクリスチンによるB細胞の死滅が相乗的であることを示す図である。
【0047】
【図5A】mAb216で処理したB細胞の表面でのLamp−1の出現の経時変化を、細胞生存率の喪失の経時変化と比較して示す図である。
【0048】
【図5B】損傷を受けた細胞からのATPの放出の経時変化を、生細胞数と比較して示す図である。
【0049】
【図6A】2種の、カルシウムを含むか含まない培地中のVH4−34抗体で処理した細胞の生存率を示す図である。
【0050】
【図6B】細胞傷害性薬剤で処理した細胞の生存率を示す図である。
【0051】
【図7】2つの異なる細胞濃度での、C2B8、mAb216および2種の抗体の組合せによる細胞を死滅させる効力を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
1.定義および概要
本発明を詳細に説明する前に、特に断りのない限り、本発明は特定のバッファー、賦形剤、化学療法薬などに限定されず、そのようなものとして変わり得るということは理解されなくてはならない。本明細書に用いた技術用語は特定の実施形態を説明する目的だけのものであって、本発明の範囲を制限しようとするものではないということも理解されなくてはならない。
【0053】
本明細書および特許請求の範囲において用いられるような、単数形「一」、「および」および「その」は、文脈上明確に別に指示しない限りは、複数形の指示対象を含むことができるということに留意しなければならない。したがって、例えば、「化学療法薬」とは2種以上の化学療法薬を含み、「製薬上の賦形剤」とは2種以上の製薬上の賦形剤を含むことがあるなどである。
【0054】
値の範囲が与えられる場合には、各中間の値、文脈上明確に別に指示しない限りは下限の単位の1/10、その範囲の上限と下限の間、および記載した範囲内の任意の他に記載した値または中間の値が本発明の範囲内に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限が独立に、より小さな範囲内に含まれることもあり、これらもまた本発明の範囲内に包含され、記載した範囲内の何らかの具体的に排除される限界になることがある。記載した範囲が限界の一方または双方を含む場合には、これらの含まれる限界のいずれかまたは双方ともが本発明に含まれる。
【0055】
本明細書において、用語「抗CDIM抗体」および「CDIM結合抗体」とは、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を指す。これらの用語は、本明細書において同義的に用いられる。
【0056】
本明細書において、「成長を抑止する」薬剤または「成長阻害性薬剤」とは、細胞、特に、必要に応じてB細胞抗原、例えばCD20抗原を発現する腫瘍性細胞種の成長または増殖を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、成長阻害性薬剤とは、例えば、S期にある腫瘍性細胞のパーセンテージを有意に減少させるものである。
【0057】
用語「癌」および「癌性」とは、通常、制御されていない細胞増殖を特徴とする、哺乳類における、生理学的条件を指すか説明する。
【0058】
「CD20」抗原とは、末梢血またはリンパ器官由来のB細胞の90%より多くの表面に見られる、35kDaの非グリコシル化リンタンパク質である。CD20はプレB細胞発達の初期に発現され、血漿細胞分化まで残る。CD20は正常B細胞ならびに悪性B細胞の双方に存在する。文献中の、CD20の他の名前としては、「Bリンパ球限定抗原」および「Bp35」が挙げられる。CD20抗原は、例えば、Clarkら、PNAS(USA) 82、1766(1985)に記載されている。
【0059】
用語「細胞損傷」とは、通常な膜不透過性トレーサーのサイトゾル中への取り込みを特徴とする生存可能な原形質膜破壊事象を指す。細胞損傷破壊は、通常、約1〜1000μmの間の範囲であり、したがって、補体介在性細胞傷害性もしくはパーフォリンに伴って起こる膜破壊または毒素もしくは孔形成剤、例えばグラミシジンもしくは黄色ブドウ球菌アルファトキシンによって形成されるより大きな孔よりもはるかに大きい。細胞損傷は、傷の結果として起こる細胞修復機構、すなわち、傷を修復するためのリソソーム融合の結果としての細胞表面でのLamp−1の発現によって検出される。
【0060】
用語「化学療法薬」とは、癌またはその他の細胞の過剰増殖を特徴とする状態の治療に有用な化学物質を指す。
【0061】
本明細書において、用語「細胞傷害性薬剤」および「細胞毒素」とは、増殖を阻害または抑止する、細胞の機能を阻害または抑止する、および/または細胞死を引き起こす物質である。この用語は1種以上の放射性同位元素、化学療法薬、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤を含むものとし、これらは小分子治療薬、細胞傷害性抗体および毒素、例えば細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素、またはその断片であり得る。この用語にはまた、標的細胞との特異的結合のための、毒素または放射性同位元素で標識された抗体を含む免疫複合体、ならびに他のリガンド複合体、例えば放射標識リガンド、および毒素標識リガンドも含まれる。さらに、1種以上の細胞傷害性薬剤を併用することができる。
【0062】
「疾患」とは、本明細書に記載した併用療法での治療から恩恵を受ける任意の状態である。これには、哺乳類を問題の疾患にさせる病態をはじめとする、慢性および急性疾患または疾病が含まれる。本明細書において治療されようとする疾患の例としては、限定はされないが、癌、血液悪性腫瘍、白血病およびリンパ性悪性疾患ならびに炎症性疾患および免疫不全などの自己免疫疾患を挙げることができる。
【0063】
用語「過剰増殖」および「過剰増殖する」とは、癌性または良性であり得る細胞種の異常な増殖を指す。過剰増殖としては、自己免疫疾患を媒介する、B細胞分泌性自己抗体のポリクローナル増殖を挙げることができる。
【0064】
用語「免疫複合体」とは、細胞傷害性薬剤に結合された抗体を指し、これは共有結合による場合も非共有結合による場合もある。
【0065】
用語「静脈内注入」とは、一定時間をかけての、一般に、約15分より長い、より一般的には、約30〜90分の間の、動物またはヒト患者の静脈への薬剤の導入を指す。
【0066】
用語「静脈内ボーラス」または「静注」とは、身体が約15分以下、通常5分以下で薬物を受けるような動物またはヒトの静脈への薬物投与を指す。
【0067】
治療目的の用語「哺乳類」とは、ヒト、家畜および動物園の動物、競技用動物または愛玩動物をはじめ、誕生後、CDIM抗原発現が主にB細胞系列の細胞に限定されている任意の哺乳類種を指す。
【0068】
「リツキサン(登録商標)ブランド」抗CD20抗体と呼ばれる、ヒト化抗CD20抗体とは、通常、CD20抗原に対する操作されたキメラネズミ/ヒトモノクローナル抗体である。リツキシマブは、1998年4月7日に発行された米国特許第5,736,137号において「C2B8」と呼ばれる抗体である。C2B8抗体のリツキサン(登録商標)ブランドは、再発性または難治性の低悪性度または濾胞性の、CD20陽性、B細胞非ホジキンリンパ腫を患う患者の治療に適応される。
【0069】
用語特異的結合とは、少なくとも10−1、通常、約10−1〜約10−1の間の高い結合親和性を有する能力を指す。
【0070】
用語「皮下投与」とは、薬物容器からの比較的緩徐な持続性の送達による、動物またはヒト患者の皮膚の下への、好ましくは、皮膚と下層組織の間のポケット内への薬剤の導入を指す。このポケットは、皮膚をつまみ上げるか引き上げるかして下層組織から離すことによって作成することができる。
【0071】
用語「皮下ボーラス」とは、動物またはヒト患者の皮膚の真下への薬物投与を指し、ボーラス薬物送達は、約15分未満であることが好ましく、5分未満であることがより好ましく、60秒未満であることが最も好ましい。投与は、皮膚と下層組織の間のポケット内であることが好ましい。
【0072】
用語「皮下注入」とは、一定期間、例えば、限定はされないが、300分以下、または90分以下の間の、薬物容器からの比較的緩徐な持続性の送達による、動物またはヒト患者の皮膚の下への、好ましくは、皮膚と下層組織の間のポケット内への薬物の導入を指す。状況に応じて、注入を、動物またはヒト患者の皮膚の下に埋め込まれる薬物送達ポンプの皮下埋め込みによって行うことができ、このポンプは所定量の薬物を、所定の期間、例えば、30分、90分の間または治療計画の長さに及ぶ期間送達する。
【0073】
用語「治療上有効量」とは、増殖抑止作用を有するか、細胞死を引き起こす活性薬剤の一定量を指すように用いる。特定の実施形態では、治療上有効量は、細胞を透過性にし、増殖性シグナル伝達を阻害し、細胞の代謝を阻害し、アポトーシス活性を促進し、または細胞死を誘導する能力を有する。特定の態様では、治療上有効量とは、例えば、疾病進行を減速させるのに有効であるとわかっている標的血清濃度を指す。効力は、治療されようとする状態に応じて、従来法で測定することができる。例えば、リンパ球癌では、効力は疾病進行までの時間(TTP)を評価することによって、または反応率(RR)を求めることによって測定することができる。
【0074】
本発明の範囲内において用いられる、用語「治療する」、「治療」および「療法」などは、限定はされないが、疾病または疾患の、1種以上の症状の軽減、退行、進行の減速または停止をはじめとする、何らかの臨床上望ましい、または有益な作用をもたらす、疾病または疾患に対する、治療的ならびに予防的、または抑制的手段を含むものとする。したがって、例えば、用語治療は、疾病または疾患の症状の発生に先立って、またはその後に薬剤を投与し、それによって疾病または疾患のすべての徴候を防ぐか、除去することを含む。もう1つの例として、この用語は、疾病の臨床症状後に、疾病の症状と闘うために薬剤を投与することを含む。さらに、治療が疾病の寛解をもたらすかどうかに関わらず、投与が疾病または疾患の臨床パラメーター、例えば、組織傷害度または転移の量もしくは程度に影響を及ぼす、発症後および臨床症状の発現後の薬剤の投与は、本発明の中の「治療」または「療法」を含む。
【0075】
VH4−34遺伝子(重鎖可変領域)は53種の同定されたヒト機能性抗体生殖系列遺伝子のうちの1種である。VH4−34遺伝子は、すべてのハプロタイプに存在し、無関係な個体から単離された生殖系列DNAで配列変異は全く報告されていない23。VH4−34遺伝子によってコードされる抗体は、特異的性質を有するとわかっている。赤血球(RBC)の「I」または「i」抗原に対するすべてのmAbはVH4−34遺伝子によってコードされており4 5 6、通常、IgMクラスのものであり、4℃でRBCを凝集させるために、古典的には寒冷凝集素(CA)として記載されている。CAによって認識されるリガンドは、RBCのタンパク質および/または脂質上に存在する直鎖または分枝複合糖質である。新生児および臍帯血RBCには直鎖i抗原が含まれている。分枝I鎖は誕生後に生じる7 8。ヒトB細胞で認識される「i」抗原は、酵素エンド−β−ガラクトシダーゼに対して感受性である、直鎖ラクトサミン決定基である。独立に導いたVH4−34と抗B細胞/抗−imAbの配列解析によって、それらは生殖系列配置にあるが、D、J、Hおよび軽鎖を独立に発現することがわかっている20
【0076】
インビボでは、VH4−34遺伝子由来抗体の発現は厳密に調節されている。4〜8%のヒトB細胞がVH4−34によってコードされる抗体を発現するが、VH4−34由来抗体の血清レベルは、正常な成人では、無視できるほどである9 10。循環VH4−34由来抗体の増加は、EBV(単核球症)およびHIV感染および特定の自己免疫疾患をはじめとする選択的病態でのみ見られる11 12 13 14 15 16
【0077】
本発明者は、VH4−34によってコードされる抗体および自己免疫疾患におけるその役割を広く研究してきた。これまでの研究により、特定の抗B細胞VH4−34抗体はB細胞に対して細胞傷害性であり、B細胞増殖の減少をもたらすことを実証したBhat, N.ら(1997) Clin. Exp. Immunol. 108、151、Bhat, N. ら(2001) Crit. Rev. Oncol. Hematol. 39、59。細胞傷害性は補体とは無関係であり、高度に温度依存性であり、4℃で処理すると、より多くの細胞死および原形質膜欠損、例えば細胞表面上のブレブおよび孔の形成をもたらすことがわかった。原形質膜欠損は、他のよく知られている孔形成タンパク質、例えばC9補体成分(約100Å)およびパーフォリン(約160Å)によって形成される孔よりもかなり大きいものであるとわかった。このことは細胞傷害性が新規機構によって媒介されるものであり得るということを示唆した。
【0078】
本発明者らは、これらのVH4−34遺伝子由来抗体がB細胞において細胞膜損傷を誘導し得るという驚くべき、予期しない発見をした。膜損傷は有核哺乳類細胞が直面する共通の脅威であるが、抗体が膜損傷の直接原因であり得るという事実は新規なものである。本発明者らはさらに、抗体が、特定の条件下で、細胞において孔および膜欠損を引き起こすものの、致死下濃度で処理すれば、B細胞のいくらかは単に損傷を受けるだけで、損傷を修復できる場合もあるということを発見した。
【0079】
本発明者らはさらに、抗体が誘導した細胞膜損傷は、いかなる他の膜損傷とも同様の方法で修復されることを実証した。細胞傷害性抗体とは無関係なこれらの補体で処理された細胞は、抗体が誘導した細胞膜損傷を、膜損傷を繕うために原形質膜とのリソソーム融合を利用して修復しようとし、その結果、細胞表面にリソソーム膜タンパク質が現れる。細胞がダメージを修復できない場合は、最終的には死滅という結果となることも実証した。
【0080】
さらに、本発明者らは、損傷を受けた細胞は、少なくとも一時的に透過性であり、さらなる細胞傷害性薬剤の作用に対してより感受性となり、このことがヒトおよび動物の疾病および疾患の治療について効力が増した新規治療選択肢を提供することを発見した。細胞膜損傷はB細胞の透過をもたらし、化学療法薬などの細胞傷害性薬剤が入るのを可能にし、その結果、このような薬剤に対して耐性であるか、不透過性である細胞においてでさえ、またはそれらを細胞から外へ活発に運ぶ細胞において、化学療法薬の効力が高まる。
【0081】
CDIM結合抗体によって提供される細胞死および損傷の機構は、従来の細胞傷害性抗体によって利用される細胞傷害性機構(補体または細胞媒介性死滅)とは異なっているため、CDIM結合抗体と従来の免疫療法を組合せることによって、特に、補体枯渇または欠乏などの免疫不全という条件下で、さらなるB細胞抗原と結合する細胞傷害性抗体による死滅率を高めることができる。
【0082】
好ましい実施形態では、図1および2に示すように、本発明の一態様に従う抗体は、ヒトB細胞上のCDIMエピトープと結合する、VH4−34によってコードされるモノクローナル抗体である17 18 19。図3に示すように、これらの抗体は、再発性濾胞性リンパ腫患者から得たB細胞に対して細胞傷害性である。さらに、図4に示されるように、これらの抗体はB細胞株に対して細胞傷害性である。好ましい実施形態では、これらのmAbは、ヒトリンパ球と、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを製造するヘテロミエローマ細胞株との融合によって作製する。例えば、mAb216はVH4−34遺伝子によってコードされるヒトIgMであり、本明細書に記載されるCDIM結合VH4−34抗体の好ましい一実施形態である。MAb216は、さらにBhatらの米国特許第5,593,676号および同5,417,972号およびEP712307B1に記載されている。
【0083】
CDIMエピトープと結合するさらなるVH4−34由来抗体として、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kを挙げることができる。これらの抗体のうち特定のものは、塩基性アミノ酸残基が豊富なCDR3配列を特徴とし、CDR3の正味電荷が+2である場合に特に強い結合を特徴とする。したがって、正味の正のCDR、特にCDR3を有し、CDIMエピトープとの結合を示す抗体はいずれも、添付の特許請求の範囲において特許請求されるように、本発明の範囲内に包含される。
【0084】
本発明者らは、これらの抗CDIM抗体のB細胞傷害性は、細胞傷害性薬剤、例えば、化学療法薬、放射性同位元素、細胞傷害性抗体、免疫複合体、リガンド複合体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、毒素、あるいはそれらの混合物の添加によって、著しく、また相乗的にさえ増強され得るという驚くべき発見をした。
【0085】
したがって、一実施形態では、B細胞を、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)細胞傷害性薬剤とに接触させることを含む前記B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患の哺乳類を治療する方法を提供する。B細胞の過剰増殖は、癌、ウイルス性疾患、免疫不全または自己免疫疾患を患っている患者で起こる。
【0086】
本発明のさらにもう1つの態様では、B細胞を、B細胞を透過性にするのに十分な量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含むB細胞の過剰増殖を特徴とする疾病または疾患を治療する方法を提供する。この方法は、さらに、前記B細胞を細胞傷害性薬剤と接触させることを含む場合もある。
【0087】
リンパ球癌の治療
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を使用して、任意のリンパ球癌、特に任意のB細胞起源の急性白血病で起きるB細胞の過剰増殖を治療することができる。リンパ球癌としては、急性白血、例えば急性リンパ性白血病(ALL)、B前駆細胞型ALL、成人ALL、ならびに慢性白血病およびリンパ腫を挙げることができる。リンパ腫としては、非ホジキンリンパ腫(NHL)、および高悪性度のもの、低悪性度のもの、およびマントル細胞型のものを挙げることができる。リンパ球癌としては、末梢ならびに中枢神経系リンパ腫、濾胞性リンパ腫、 粘膜リンパ腫を挙げることができるが、限定はされない。リンパ球癌の特定の例としては、限定はされないが、急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、B前駆細胞型ALL、成人ALL、または慢性リンパ性白血病(CLL)などを挙げることができる。
【0088】
実施例11に、ALLを治療するための代表的な治療プロトコールを示す。ALLまたはその他のB細胞起源のリンパ球癌の治療のために、抗CDIM抗体と組合せた、さらなる化学療法治療計画を利用でき、これらのさらなる化学療法治療計画も特に限定されずに、本発明の範囲内に含まれる。
【0089】
ウイルス性疾患によるB細胞過剰増殖の治療
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を用いて、特定のウイルス感染、例えばヒト免疫不全ウイルスまたは単核球症で起こるB細胞過剰増殖を治療することができる。
【0090】
免疫不全によるB細胞過剰増殖の治療
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を用いて、癌治療または自己免疫疾患を治療するための免疫抑制療法の結果として起こる特定の免疫不全症で起こるB細胞過剰増殖を治療することができる。例えば、B細胞過剰増殖は、抗癌療法またはその他の免疫抑制療法を受けている患者における、移植後リンパ球増殖性疾患および免疫不全症候群で起こる。
【0091】
B細胞によって媒介される自己免疫疾患の治療
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を単独または細胞傷害性薬剤と組合せてのいずれかで用いて、自己免疫疾患を治療することができる。細胞傷害性薬剤は、免疫抑制剤、例えばグルココルチコイド、カルシニュリン阻害剤、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤、または生物剤、例えば免疫抑制効果を提供する抗体、あるいはそれらの混合物であり得る。免疫抑制剤との組合せは、B細胞によって媒介される自己免疫疾患の治療において、または癌を治療するために場合によっては有用である。特定の実施形態では、カルシニュリン阻害剤は、シクロスポリンまたはタクロリムスである。その他の実施形態では、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤は、アザチオプリン、クロラムブコル、シクロホスファミド、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ラパマイシン、サリドマイド、またはそれらの混合物である。グルココルチコイドとしては、例えば、プレドニゾロン、プレドニゾンまたはデキサメタゾンを挙げることができる。
【0092】
特定の実施形態では、免疫抑制剤は、細胞増殖制御因子および/または阻害剤であり、これとしては、小分子治療薬、遺伝子治療薬または遺伝子発現修飾因子を挙げることができる。小分子治療薬としては、例えば、キナーゼ阻害剤およびプロテアソーム阻害剤を挙げることができる。好ましい実施形態では、キナーゼ阻害剤はbcr/ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばグリーベックである。もう1つの好ましい実施形態では、プロテアソーム阻害剤はボロン酸エステル、例えばベルケードである。
【0093】
特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は毒素であり、限定はされないが、シュードモナス外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、モモルジン、ブタクサ抗ウイルスタンパク質、ブドウ球菌内毒素A、ゲロニン、メイタンシノイド、又はダウナルビシン(daunarubicin)などを挙げることができる。毒素は、細胞特異的ターゲッティングのために抗体またはリガンドに結合されていることが好ましい。
【0094】
代表的な自己免疫疾患としては、全身性エリテマトーデス、リウマチ関節炎、自己免疫リンパ球増殖性疾患、多発性硬化症、乾癬および重症筋無力症を挙げることができるが、橋本甲状腺炎、ループス腎炎、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、アルツハイマー病、シドナム舞踏病、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌線症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、クローン病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェジナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、繊維化肺胞炎、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病などの免疫介在性血小板減少症などのクラスIII自己免疫疾患なども含まれる。
【0095】
腫瘍量を減少させ、再寛解導入療法を可能にする方法
細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を患者に投与することによって、リンパ球癌を患っている患者において、従来の化学または免疫療法での治療に先立って腫瘍量を減少させる方法を提供する。
【0096】
さらに、患者が従来の化学療法薬または免疫療法に反応しなくなり、再寛解導入を必要とする場合に、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体、例えばmAb216を投与することによって患者を再寛解導入療法に対して準備させることができる。この処理によって、患者における生存腫瘍細胞数が減少し、患者がその後再寛解導入療法を受けることが可能となる。
【0097】
インビトロおよびエキソビボでの使用
もう1つの実施形態では、本明細書において本方法は骨髄機能廃絶療法後の患者において、骨髄の再移植の前に悪性B細胞のリンパ球癌を患っている患者の骨髄をパージする方法を含む。この方法は、患者の骨髄をエキソビボで、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を用いて治療することを含む。この方法は、さらに、骨髄細胞をエキソビボで細胞傷害性薬剤、例えば化学療法薬または細胞傷害性抗体を用いて治療することを含むこともできる。
【0098】
抗CDIM抗体に対する感受性についてのインビトロでの患者細胞のプレスクリーニング
一実施形態では、患者の血液サンプルを、好ましくは、VH4−34抗体、例えばmAb216によって、B細胞上のCDIMエピトープに対する抗体の特異的結合および抗体媒介性細胞傷害性について調べることができる。100%未満の細胞死滅を示す患者には、患者の治療法を最適化するためにさらなる細胞傷害性薬剤との組合せを調べることができる。
【0099】
治療方法の利点
従来の免疫療法での治療の前に、その間に、またはその後でさえ、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することによって、化学療法の際に用いられる細胞傷害性薬剤および免疫療法の際に用いられる抗B細胞抗体の細胞傷害性を増強する方法を提供する。従来の抗B細胞免疫療法は、腫瘍量が高い状態または免疫不全の状態のもとでは有効性を欠く場合がある。例えば、補体貯蔵量が枯渇している場合には、抗B細胞免疫療法が有効でなくなる場合がある。B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と組合せることによって、抗CDIM抗体が異なる毒性機構、例えば、細胞損傷を用いて作用するために、この従来のB細胞免疫療法の有効性の欠如に打ち勝つことができる。細胞損傷は、従来の免疫療法による任意の補体媒介性膜漏出を悪化させる。さらなる細胞傷害性薬剤を組合せれば、抗CDIM抗体は、化学療法薬またはその他の細胞傷害性薬剤のB細胞サイトゾルに対するサイトゾルアクセスを増加することによって、治療計画の細胞傷害性を大幅に増強することができる。
【0100】
さらに、多数の癌または自己免疫疾患の患者は、脆弱であり、積極的治療に耐えることができない。抗CDIM抗体の新規作用機序により、特に、化学療法薬と併用する場合に、例えば、治療計画の効力を高めることによって、また損傷が有効であるというよりも患者が低用量の化学療法薬で治療されるのを可能にすることによって、脆弱な患者の治療を可能にすることができる。
【0101】
抗体
本発明において有用な抗体としては、抗CDIM抗体およびB細胞上の細胞表面分子に特異的な結合を有するさらなる細胞傷害性抗体を挙げることができる。抗CDIM抗体とさらなる細胞傷害性抗体とは、併用療法投薬計画で使用することができる。
【0102】
細胞傷害性抗体はB細胞上の任意の細胞表面分子に特異的な結合を有し得る。細胞表面分子としては、受容体、免疫グロブリン、サイトカイン、糖タンパク質などを挙げることができる。例えば、細胞傷害性抗体はCD11a、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD34、CD37、CD38、CD40、CD45、CD52、CD80、CD86、IL−4R、IL−6R、IL−8R、IL−13、IL−13R、α−4/β−1インテグリン(VLA4)、BLYS受容体、細胞表面イディオタイプIg、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの混合物に対して特異的結合を示し得るが、限定はされない。例えば、CD11aに特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エファリツマブ(ラプティバ)であり得る。CD20に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、リツキシマブ(リツキサン)であり得る。CD22に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エピラツズマブであり得る。CD25に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、ダクリツマブ(ゼナパックス)またはバシリキシマブ(シムレクト)であり得る。CD52の抗体としては、例えば、カンパスを挙げることができる。α−4/β−1インテグリン(VLA4)の抗体としては、例えば、ナタリズマブを挙げることができる。TNFの抗体としては、例えば、インフリキシマブ(レミケード)を挙げることができる。
【0103】
したがって、好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、例えば、リツキサン、ゼナパックス、レミケードまたはラプティバとともに、またはそれらの組合せとともに併用免疫療法投薬計画で使用することができる。細胞傷害性抗体はまた、例えば、放射性同位元素または毒素を含む免疫複合体として使用することができる。さらに、さらなる実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、B細胞上の細胞表面分子に特異的な結合を有するさらなる細胞傷害性抗体と、1種以上の化学療法薬とを含む併用療法を使用することができる。例えば、mAb216は、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、トスチマブまたはイブリツモマブと組合せて、または抗CD22抗体、例えばエプラツズマブと組合せて、または抗CD52抗体、例えばカンパスと組合せて使用することができる。併用療法は、併用化学療法および免疫療法投薬計画で、化学療法、例えば細胞の細胞骨格を破壊する薬剤、例えばビンクリスチンをさらに含み得る。
【0104】
用語「抗体」は広義で用いられ、具体的には、所望の生物活性を示す限り、無傷の自然抗体、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の無傷の抗体から形成される多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、四価抗体などの合成抗体および抗体フラグメントを対象とする。ヒト抗体は、非ヒト種で作製された抗体を含む。用語抗体はまた、抗体の細胞傷害性薬剤または細胞調節剤との融合または化学カップリングも包含する。
【0105】
「抗体断片」は、無傷の抗体の一部、好ましくは、無傷の抗体の抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2およびFv断片、ダイアボディー、直鎖抗体(Zapataら、Protein Eng. 8 (10)、1057〜1062頁[1995])、一本鎖抗体分子および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を挙げることができる。
【0106】
本明細書において、用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団、すなわち、微量で存在し得る、天然に存在する突然変異の可能性を除いては同一である集団を含む個体の抗体から得た抗体を指す。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、従来の、通常、種々の決定基(エピトープ)に対する種々の抗体を含む(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養によって合成され、他の免疫グロブリンが混入していないという点で有利である。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られているというような抗体の特徴を示すものであって、任意の特定の方法による抗体製造を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用するモノクローナル抗体は、最初にKohlerら、Nature、256、495 (1975)によって記載されたハイブリドーマ法によって作製してもよいし、組換えDNA法によって作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号参照)。「モノクローナル抗体」はまたファージ抗体ライブラリーからも、例えば、Clacksonら、Nature、352、624〜628頁(1991)およびMarksら、J. Mol.Biol.、222、581〜597頁(1991)に記載された技術を用いて単離することができる。
【0107】
本明細書においてモノクローナル抗体は、具体的には、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種から得た抗体または特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか相同であり、鎖の残りの部分が、別の種から得た抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、ならびに所望の生物活性を示す限りのそのような抗体の断片中の対応する配列と同一であるか相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含む(米国特許第4,816,567号、Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81、6851〜6855頁[1984])。
【0108】
非ヒト(例えば、ネズミ)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含む、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えばFv、Fab、Fab’、F(ab’)2またはその他の抗体の抗原結合部分配列)である。通常、ヒト化抗体は、受容体の相補性決定領域(CDR)に由来する残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する、非ヒト種(供与抗体)、例えばマウス、ラットまたはウサギのCDRに由来する残基で置換されているヒト免疫グロブリン(受容抗体)である。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基で置換されている場合もある。さらに、ヒト化抗体に、受容抗体にも、移入されるCDRまたはフレームワーク配列にもない残基を含めることもできる。こういった修飾は、抗体性能をさらに精緻化し、最大にするために行う。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常2つの可変ドメインの実質的にすべてを含んでなり、すべてまたは実質的にすべてのCDRは非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、すべてまたは実質的にすべてのFRは非ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体が、通常ヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含む場合もある。さらに詳細には、Jonesら、(1986) Nature 321、522〜525頁、Reichmannら、(1988) Nature 332、323〜329頁およびPresta、(1992) Curr. Op. Struct. Biol.、2、593〜596頁を参照できる。ヒト化抗体としては、抗体の抗原結合領域が、注目する抗原でマカクザルを免疫することによって得られる抗体に由来する、プリマチゼド(商標)抗体を挙げることができる。
【0109】
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHおよびVLドメインを含んでなり、これらのドメインが単一のポリペプチド鎖中に存在する。Fvポリペプチドが、VHとVLドメインの間に、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成できるようにするポリペプチドリンカーをさらに含んでなることが好ましい。scFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、RosenburgおよびMoore編、Springer-Verlag、New York、269〜315頁(1994)頁参照。
【0110】
用語「ダイアボディー」とは、2種の抗原結合部位を含む、小さい抗体フラグメントを指し、このフラグメントは、同一ポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(VL)に結合された重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を含む。同一鎖上の2つのドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは別の鎖の相補ドメインと対形成し2種の抗原結合部位を作製せざるを得なくなる。ダイアボディーは、例えば、EP404,097、WO93/11161およびHollingerら(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90、6444〜6448頁に、より十分に記載されている。
【0111】
「単離された」抗体とは、その天然の環境の成分から、同定および分離および/または回収されているものである。その天然の環境の夾雑成分とは、抗体の診断的または治療的使用を干渉する物質であり、これとしては、酵素、ホルモンおよびその他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を挙げることができる。好ましい実施形態では、抗体は、ローリー法によって測定して、抗体重量の95%より高くまで、最も好ましくは、99重量%より高くまで、(2)スピニング・カップ(spinning cup)・シークエネーターの使用によって、N末端か内部のアミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分な程度に、または(3)クーマシーブルーまたは、好ましくは、銀染色を用いて還元または非還元条件下で、SDS−PAGEによる均一性まで精製する。単離された抗体は、抗体の天然の環境の少なくとも1種の成分は存在していないので、組換え細胞内の原位置にある抗体を含む。しかし、通常は単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製する。
【0112】
免疫複合体
免疫複合体は、当技術分野で公知の多数の方法によって調整することができる。例えば、不安定である場合も不安定でない場合もあるが、反応性架橋基を提供するための抗体の化学誘導体化によって調製することができる。不安定反応基は、抗体からの細胞傷害性薬剤または増殖制御因子の放出を提供する。不安定でない架橋もまた有用である。所望の薬剤のIg分子との結合は、従来のカップリング技術をはじめ、当技術分野で公知の種々な手段(例えば、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCCI)、ECDIなどとのカップリング)、スルフヒドリル基、アミノ基またはカルボキシル基を介してカップリングすることができるリンカーの使用(ピアスケミカル社(Pierce Chemical Co.)イリノイ州、ロックフォードから入手可能)によって、還元的アミノ化によって達成することができる。
【0113】
一方法では、抗体複合体、または免疫複合体を、まず抗体を架橋試薬、例えばN−スクシンイミジルピリジルジチオプロピオネート(SPDP)で修飾してジチオピリジル基を抗体に導入することによって調製することができる(Carlssonら (l978) Biochem. J. 173、723〜737頁、米国特許第5,208,020号)。第2のステップでは、チオール基を有する細胞毒素を、修飾した抗体に加え、修飾された抗体中のチオピリジル基の置換およびジスルフィド結合した細胞毒素−抗体複合体の生成をもたらす。メイタンシノイド−抗体複合体を調製する手順は、米国特許第5,208,020号に記載されている。
【0114】
抗体と細胞傷害性薬剤の融合タンパク質が望ましい場合もある。融合タンパク質は、分子生物学的手段によって調製することができる(例えば、所望の細胞傷害性薬剤をコードする核酸配列と機能しうる形で連結された、組換えIgをコードする核酸配列を含む発現ベクターを用いる融合タンパク質の製造)。
【0115】
放射性同位元素
治療上有用な免疫複合体またはリガンド複合体を製造するために用いる同位元素は、通常、治療上有効な路長を有する高エネルギーα、γまたはβ粒子を生じる。このような放射性核種は、それらが近くにある細胞、例えば複合体が結合している新生細胞を死滅させる。標的化送達の利点は、放射活性物質で標識された抗体またはリガンドは、通常、標的化細胞のすぐ近くにない細胞に対しては、ほとんどまたは全く効果がないということである。
【0116】
放射性同位元素の細胞傷害性薬剤としての使用に関しては、修飾された抗体またはリガンドを直接標識してもよいし(ヨウ素化などを介して)キレート化剤を用いて標識してもよい。いずれの方法でも、抗体またはリガンドを少なくとも1種の放射性核種で標識する。特に好ましいキレート化剤には、1−イソチオシアマトベンジル(isotiocyamatobenzyl)−3−メチルジオテレントリアミン五酢酸 (「MX−DTPA」)およびシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸 (「CHX−DTPA」)誘導体が含まれる。その他のキレート化剤には、P−DOTAおよびEDTA誘導体が含まれる。直接標識化に特に好ましい放射性核種としては、111Inおよび90Yを挙げることができる。
【0117】
放射性同位元素は、抗体またはリガンド上の特定の部位、例えば、抗体のFc部分のみに存在するN結合型糖残基に結合させることができる。テクネチウム−99m標識した抗体またはリガンドは、リガンド交換プロセスによって、またはバッチ標識プロセスによって調製することができる。例えば、抗体は、ペルテクネート(pertechnate)(TcO4)を錫イオン溶液で還元し、還元したテクネチウムをセファデックスカラム上にキレートし、抗体をこのカラムに適用することによって標識することができる。バッチ標識技術は、例えばペルテクネートと、SnCl等の還元剤と、フタル酸ナトリウム−カリウム溶液などのバッファー溶液と、抗体とをインキュベートすることを含む。標識するのに好ましい放射性核種は当技術分野で周知である。標識するための例示的放射性核種としては、チロシン残基を介して共有結合している131Iがある。本発明に従う放射活性物質で標識された抗体は、放射性ヨウ化ナトリウムまたはカリウムと、化学酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウム、クロラミンTなど、または酵素酸化剤、例えばラクトペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼと、グルコースとを用いて調製することができる。
【0118】
キレート剤およびキレート剤複合体に関する特許は当技術分野では公知である。例えば、Gansowの米国特許第4,831,175号は多置換ジエチレントリアミン五酢酸キレートとタンパク質の複合体を対象とし、それとその調製方法を含む。すべてGansowの、米国特許第5,099,069号、同5,246,692号、同5,286,850号、同5,434,287号および同5,124,471号もまた多置換DTPAキレートに関する。これらの特許は参照によりその全文を本明細書に組込む。適合する金属キレート剤のその他の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DPTA)、1,4,8,11−テトラアザテトラデカン、1,4,8,11テトラアザテトラデカン−1,4,8,11−五酢酸、1−オキサ−4,7,12,15−テトラアザヘプタデカン、4,7,12,15−五酢酸などがある。シクロヘキシル−DTPAまたはCHX−DTPAが特に好ましい。発見されていないものも含め、さらにその他の適合するキレート剤は当業者ならば容易に認識でき、明確に本発明の範囲内含まれる。さらなるキレート剤としては、特許第6,682,734号、同6,399,061号および同5,843,439号に記載されている特定の二官能性キレート剤が挙げられ、三価の金属に対して高親和性を提供し、腫瘍対非腫瘍比の増加および骨取り込みの減少ならびに標的部位、すなわち、B細胞リンパ腫腫瘍部位での放射性核種のインビボ保持の増加を示すよう選択されることが好ましい。しかし、こういった特徴のすべてを有する場合も有さない場合もあるが、当技術分野ではその他の二官能性キレート剤が知られており、同様に、腫瘍治療において有益であり得る。
【0119】
また、修飾された抗体を、診断目的ならびに治療目的で、放射性標識と結合することができる。腫瘍の「画像」診断のための放射標識治療用複合体はまた、抗体および細胞傷害性薬剤を患者に投与する前に利用することができる。例えば、C2B8として知られるヒトCD20抗原に結合するモノクローナル抗体を、二官能性キレート剤、例えば1−イソチオシアナトベンジル−3−メチル−DTPAと1−メチル−3−イソチオシアナトベンジル−DTPAの1:1混合物を含む、MX−DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)を用いて111Inで放射標識することができる。111Inは、検出可能な毒性を伴わずに約1〜約10mCiの間で安全に投与でき、画像データがその後の90Y標識抗体分布の指標となるので、好ましい診断用放射性同位元素である。画像研究には、5mCiという111In標識抗体の通常用量を用い、標識抗体またはリガンドの投与後種々の時間で最適画像処理を決定できるが、通常、投与後3〜6日である。例えば、Murray, J. (1985) Nuc. Med. 26、3328およびCarraguilloら、(1985) J. Nuc. Med. 26、67参照できる。
【0120】
種々の放射性同位元素を使用でき、当業者ならば種々の条件下でどの放射性同位元素が最も適当であるかを容易に決定することができる。例えば、標的免疫療法には131Iが利用されることが多い。しかし、131Iの臨床上の有用性はその短い半減期(8日)、血中および腫瘍または部位双方でのヨウ化抗体の脱ハロゲン化の可能性、要望どおり、腫瘍の大きさに応じて変わる、腫瘍に十分に限局された線量付与を提供しない場合がある、その高エネルギーγ放出によって制限され得る。さらなるキレート化剤の出現で、金属キレート基をタンパク質に結合させ、その他の放射性核種、例えば111Inおよび90Yを利用するさらなる機会が提供される。90Yは放射免疫療法的適用における利用にいくつかの利点を提供する。例えば、90Yの64時間というより長く有用な半減期は、腫瘍細胞による抗体蓄積を可能にするのに十分な程長く、131Iとは異なり、90Yは高エネルギーの純粋なβ放射体であり、その減衰において付随するγ放射線がなく、組織において100〜1000細胞直径の範囲を有する。さらに、最少量の透過性放射線で90Y標識抗体の外来投与が可能となる。さらに、標識抗体の内部移行は細胞を死滅させるためには必要ではなく、イオン化放射線が標的抗原を欠く隣接する腫瘍細胞にとって致死的であるはずである。
【0121】
90Y標識抗体の、有効な単回治療被曝量(すなわち、治療上有効量)の範囲は、約5〜約75mCiの間であり、より好ましくは、約10〜約40mCiの間である。131I標識抗体の有効な単回治療非骨髄除去被曝量の範囲は約5〜約70mCiの間、より好ましくは、約5〜約40mCiの間である。131I標識抗体の有効な単回治療除去被曝量(すなわち、自家骨髄移植を必要とし得る)の範囲は、約30〜約600mCiの間、より好ましくは、約50〜500mCi未満の間である。抗体またはリガンドが外来タンパク質、例えば、マウス抗体よりも長い循環半減期を有する場合には、131I標識抗体の有効な単回治療被骨髄除去被曝量の範囲は、約5〜約40mCiの間、より好ましくは、約30mCi未満である。放射性同位元素標識、例えば、111In標識の画像処理被曝量は通常、5mCi未満である。
【0122】
臨床では、131Iおよび90Yが広く用いられてきたが、当技術分野ではその他の放射性同位元素も知られており、同様の目的で用いられることもあった。画像処理には、さらにその他の放射性同位元素が用いられる。例えば、使用することができるさらなる放射性同位元素としては、限定はされないが、131I、125I、123I、90Y、111In、105Rh、153Sm、166Ho、177Luならびに188Reおよび186R、32P、57Co、64Cu、67Cu、77Ga、81Rb、81Kr、87Sr、113In、127Cs、129Cs、132I、197Hg、213Pb、216Bi、117Lu、212Pb、212Bi、47Sc、105Rh、109Pd、199Au、225Ac、211Atおよび213Biを挙げることができる。この点において、α、γおよびβ放出はすべて本発明の態様として考えられる。さらに、当業者ならば、どの放射性核種が、実験下にない選択した治療過程に適合するかは容易に決定できると思われる。この目的のために、臨床診断においてすでに使用されているさらなる放射性核種として、125I、123I、99Tc、43K、52Fe、67Ga、68Gaならびに111Inを挙げることができる。抗体はまた、例えば、Peiterszら (1987) Immunol. Cell Biol. 65、111〜125頁に記載されるように、標的免疫療法において使用する可能性のために種々の放射性核種で標識されている。これらの放射性同位元素としては、188Reおよび186Reならびに99Auおよび67Cuを挙げることができる。米国特許第5,460,785号はこのような放射性同位元素に関する情報を提供しており、参照により本明細書に組み入れられる。
【0123】
化学療法薬:
本発明の製剤および方法に使用することができる化学療法薬としては、タキサン、コルヒチン、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、カンプトテシン、抗生物質、プラチナ錯体、アルキル化剤、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログまたはトポイソメラーゼ阻害剤を挙げることができる。好ましいトポイソメラーゼ阻害剤としては、エピポドフィロトキシンがある。好ましいピリミジンアナログとしては、カペシタビン、5−フルオルウラシル、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、シトシンアラビノシド、5−アザシチジンまたは2’,2’−ジフルオロデオキシシチジンを挙げることができる。好ましいプリンアナログとしては、メルカプトプリン、アザチオプレン、チオグアニン、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、クラドリビン、ビダラビンおよびリン酸フルダラビンを挙げることができる。葉酸アナログとしては、メトトレキサート、ラルチトレキセド、ロメトレキソール、ペルメフレキセド、エダトレキサートおよびペメトレキセドを挙げることができる。好ましいエピポドフィロトキシンとしては、エトポシドまたはテニポシドがある。好ましいカンプトセシンとしては、イリノトカン、トポテカンまたはカンプトテカンがある。抗生物質はダクチノマイシン、ダウノルビシン(ダウノマイシン、ダウノキソム(daunoxome))、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシンまたはマイトマイシンであることが好ましい。好ましいプラチナ錯体としては、シスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンがある。アルキル化剤はメクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ストレプトゾシン、カルムスチン、ブスルファン、アルトレタミンまたはクロラムブシルであることが好ましい。
【0124】
化学療法薬のさらなる例として、チオテパおよびシクロホスファミド(シトキサン(商標))などのアルキル化剤、
【0125】
ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル、
【0126】
アジリジン、例えばベンゾドパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドパ(meturedopa)およびウレドパ(uredopa)、
【0127】
アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリメチロロメラミンをはじめとする、エチレンイミンおよびメチラメラミン、
【0128】
アセトゲニン(特に、ブラタシンおよびブラタシノン)、
【0129】
カンプトテシン(合成アナログトポテカンを含む)、
【0130】
ブリオスタチン、カリスタチン、CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシンおよびビゼレシン合成アナログを含む)、
【0131】
クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8)、
【0132】
ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成アナログ、KW−2189およびCBI−TMIを含む)、
【0133】
エレウテロビン(eleutherobin)、パンクラチスタチン、サルコジクチイン(sarcodictyin)、スポンジスタチン、
【0134】
ナイトロジェンマスタード、例えばクロラムブシル、クロルナファジン(chlornaphazine)、クロロホスファミド、エストラムスチン、イフォスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド、ウラシルマスタード、
【0135】
ニトロスウレア(nitrosureas)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、
【0136】
抗生物質、例えばエンジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンγ1IおよびカリケアマイシンphiI1、例えば、Agnew (1994) Chem. Intl. Ed. Engl.、33、183〜186頁参照、ダインマイシン(dynemicin)Aをはじめとするダインマイシン、ビスホスホネート、例えばクロドネート、エスペラマイシン、ならびにネオカルチノスタチン発色団および関連色素タンパク質エネジイン抗生物質クロモモフォア(chromomophores)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン、カルチノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(商標))(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)))、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マルセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン、例えばマイトマイシンC、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポロフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン(quelamycin)、ロボルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン、
【0137】
代謝拮抗剤、例えばメトトレキサートおよび5−フルオロウラシル(5−FU)、
【0138】
葉酸アナログ、例えばデノプテリン(denopterin)、メトトレキサート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキサート、
【0139】
葉酸補充薬、例えばフォリン酸、
【0140】
プリンアナログ、例えばフルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、
【0141】
ピリミジンアナログ、例えばアンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、
【0142】
アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、
【0143】
アンチアドレナル、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン、
【0144】
アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、アムサクリン、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキサート(edatraxate)、デフォファミン(defofamine)、デメコルシン、ジアジクオン(diaziquone)、エルホルニチン(elfornithine)、酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate)、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、レンチナン、ロニダミン、メイタンシノイド、例えばマイタンシンおよびアンサマイトシン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット(phenamet)、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2−エチルヒドラジド、プロカルバジン、PSK(登録商標)、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジクオン、2,2’,2’’−トリクロロトリエチルアミン、トリコセテン(特に、T−2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジンAおよびアンギジン(anguidine)、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン(gacytosine)、シトシン、アラビノシド(「Ara−C」)、
【0145】
シクロホスファミド、チオテパ、タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ・オンコロジー(Bristol-Myers Squibb Oncology)、ニュージャージー州、プリンストン)およびドセタキセル(タキソテール(登録商標)、ローヌ・プーラン・ローラー(Rhone-Poulenc Rorer)、フランス、アントニー)、クロラムブシル、ゲムシタビン(ゲムザー(Gemzar)(商標))、6−チオグアニン、メルカプトプリン、メトトレキサート、
【0146】
白金アナログ、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン、
【0147】
ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン(ナベルビン(商標))、
【0148】
エトポシド(VP−16)、イフォスファミド、ミトキサントロン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、CPT−11、
【0149】
トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000、ジフルオロメチルオルニチン(DMFO)、
【0150】
レチノイド、例えばレチノイン酸、カペシタビン、ならびに前述の任意の製薬上許容される塩、酸、または前記の任意の誘導体を挙げることができる。
【0151】
さらなる好ましい化学療法薬としては、併用療法に用いられるもの、例えば、CHOPその他を挙げることができる。特定の実施形態では、このような併用療法は抗CDIM結合抗体とともに、またはさらなる細胞傷害性抗体、特に、抗CD22、抗CD52および抗CD20抗体と組合せて使用することができる。
【0152】
特に好ましいものとして、B細胞をその細胞周期で抑止する薬剤、例えば微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤がある。例示的薬剤としては、コルヒチン、ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、またはビノレルビンおよびタキサン、例えばタキソール、パクリタキセルおよびドセタキセルを挙げることができる。さらに好ましい薬剤としては、抗アクチン剤がある。好ましい実施形態では、抗アクチン剤は、ジャスプラキノリドまたはサイトカラシンであり、これらはエキソビボ法、例えば、悪性細胞の骨髄をパージする方法で使用できることがより好ましい。前述の薬剤の任意の混合物、例えば、米国特許出願第2004/0136951号で論じられているような、CHOP、CAMP、DHAP、EPICなども使用することができる。
【0153】
毒素
【0154】
毒素は免疫複合体、リガンド複合体として投与でき、または抗体とともに同時投与することができる。毒素としては、限定はされないが、シュードモナス外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、モモルジン、ブタクサ抗ウイルスタンパク質、ブドウ球菌内毒素A、ゲロニン、又はメイタンシノイド(例えば、米国特許第6,441,163号に記載されるような)などを挙げることができる。
【0155】
細胞増殖制御因子および/または阻害剤
細胞増殖制御因子および/または阻害剤としては、小分子治療薬、例えば、ホルモンまたは抗ホルモン剤、キナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、遺伝子治療薬または遺伝子発現修飾因子を挙げることができる。
【0156】
抗ホルモン剤は、特にホルモンの悪化、特に女性における卵胞ホルモン作用が関与している自己免疫疾患の治療において有用であり得る。抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)などの抗ホルモン剤は、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害するよう作用し、これとしては、例えば、タモキシフェン(ノルバデックス(商標)を含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストンおよびトレミフェン(フェアストン(商標))、副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(メガス(Megace)(商標))、エキセメスタン、フォルメスタン、ファドロゾール、ボロゾール(リビソール(Rivisor)(商標))、レトロゾール(フェマラ(Femara)(商標))およびアナストロゾール(アリミデックス(商標))など、および抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドおよびゴセレリン、ならびに前述の任意の製薬上許容される塩、酸または誘導体を挙げることができる。男性ホルモンは、自己免疫疾患の治療において特に有用であり得、代表的な男性ホルモンとしては、ジヒドロエピアンドロステロン(DHEA)がある。選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM)としては、例えば、Hutchinsonの米国特許第6,645,974号に記載された化合物、例えば、アンドロスタンおよびアンドロステンカルボキサミドを挙げることができる。
【0157】
キナーゼ阻害剤は広く知られており、特に好ましいキナーゼ阻害剤としては、Zimmermannの米国特許第5,521,184号に記載されるような、bcr/ablチロシンキナーゼ阻害剤、例えばイマチニブ(グリーベック)およびその関連化合物を挙げることができる。さらなるチロシンキナーゼ阻害剤としては、Lynキナーゼの転写の活性化に関与するシグナル伝達複合体をブロックする薬剤が挙げられ、例えば、Lynキナーゼの活性をブロックするsiRNAが含まれる。いっそうさらなるキナーゼ阻害剤としては、非ホジキンリンパ腫にアポトーシスを誘導することがわかっているBen-Bassat, H.ら、(2002) J. Pharmacol. Exp. Ther. 303、163に記載されたAGL2592などの化合物;DNA結合とNF−κBによる遺伝子発現をブロックすることがわかっているMahon, TMおよび O'Neill, LA (1995) J. Biol. Chem. 270、28557によって記載されるハービマイシンA;インドリノン化合物、例えばTangの米国特許第6,680,335号に記載されるもの;ピラゾロピリミジン誘導体、例えばHirstの米国特許第6,660,744号に記載されるものなどを挙げることができる。プロテアソーム阻害剤としては、Adamsの米国特許第6,083,903号に記載されたボロン酸エステルを挙げることができる。好ましいプロテアソーム阻害剤としては、ボルテゾミブ(ベルケード)がある。
【0158】
遺伝子治療薬および遺伝子発現修飾因子としては、アンチセンス核酸配列、干渉核酸配列などを挙げることができる。遺伝子治療薬および遺伝子発現修飾因子は、免疫複合体としてか、別個に投与される細胞傷害性薬剤としてのいずれかで使用することができる。特に有用な遺伝子治療薬および遺伝子発現修飾因子としては、プロアポトーシス経路に関与するタンパク質をコードするもの、ならびにプロアポトーシス経路の阻害剤をブロックするものまたはそのすべてが制御されていない成長および過剰増殖に寄与することのできる増殖性シグナル伝達をブロックするものを挙げることができる。例えば、遺伝子発現修飾因子としては、NF−kB経路を阻害するよう作用し、それによってこの経路が異常に活性化されると存在する異常な増殖を阻害するアンチセンスまたはsiRNAを挙げることができる。
【0159】
アンチセンスDNAオリゴヌクレオチドは、一般に、標的配列、通常、メッセンジャーRNA(mRNA)またはmRNA前駆体と相補的である配列からなる。mRNAは、機能的、またはセンス方向に遺伝情報を含み、アンチセンスオリゴヌクレオチドが結合すると、対象とされるmRNAが不活化されそのタンパク質への翻訳が妨げられる。このようなアンチセンス分子は、タンパク質が特定のRNAから翻訳されるということを示す生化学的実験に基づいて決定され、ひとたびRNAの配列がわかれば、それと相補的ワトソン−クリック塩基対によって結合するアンチセンス分子を設計することができる。このようなアンチセンス分子は、通常、10〜30個の間の塩基対、より好ましくは、10〜25個の間、最も好ましくは、15〜20個の間を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドはヌクレアーゼ加水分解に対する耐性を向上させるために修飾でき、このようなアナログとしては、WO97/07784に記載される、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロセレノエート、ホスホジエステルおよびp-エトキシオリゴヌクレオチドを挙げることができる。
【0160】
遺伝子治療薬はまた、リボザイム、DNAザイム、触媒RNA、または低分子干渉RNA(siRNA)でもあり得る。RNA干渉には、上記のような相補的塩基対形成によって作用する、短い、通常、約30塩基対未満のRNAを利用する。siRNAは直鎖である場合も、環状である場合もある。
【0161】
前述のように、リン(Lyn)キナーゼの転写の活性化に関与するシグナル伝達複合体をブロックする薬剤および修飾因子は有利である。特定の実施形態では、Lynキナーゼの活性をブロックするsiRNA、例えばPtasznik, Aら、(2004) Nat. Med. 10、1187によって報告されたsiRNAを、抗CDIM結合抗体とともに、免疫複合体または別個に投与される細胞傷害性薬剤として投与することができる。
【0162】
医薬製剤
抗体および細胞傷害性薬剤は、当技術分野で公知の任意の方法および製薬上許容される賦形剤を用いて製剤することができる。通常、抗体は、生理食塩水中で、任意の賦形剤および安定化剤とともに提供する。化学療法薬は製剤方法および賦形剤で大きく変化することがあり、この情報は、例えば、レミントンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ(Remington's Pharmaceutical Sciences)(Arthur Osol編)で入手できる。
【0163】
細胞傷害性抗体
本発明において有用である細胞傷害性抗体としては、B細胞上の任意の細胞表面分子に特異的な結合を有する抗体を挙げることができる。細胞表面分子としては、受容体、免疫グロブリン、サイトカイン、糖タンパク質などを挙げることができる。例えば、細胞傷害性抗体はCD11a、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD34、CD37、CD38、CD40、CD45、CD52、CD80、CD86、IL−4R、IL−6R、IL−8R、IL−13、IL−13R、α−4/β−1インテグリン(VLA4)、BLYS受容体、細胞表面イディオタイプIg、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの混合物に特異的結合を示し得るが、限定はされない。例えば、CD11aに特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エファリツマブ(ラプティバ)であり得る。CD20に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、リツキシマブ(リツキサン)であり得る。CD22に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、エピラツズマブであり得る。CD25に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体は、例えば、ダクリツマブ(ゼナパックス)またはバシリキシマブ(シムレクト)であり得る。CD52の抗体としては、例えば、カンパスを挙げることができる。α−4/β−1インテグリン(VLA4)の抗体としては、例えば、ナタリズマブを挙げることができる。TNFの抗体としては、例えば、インフリキシマブ(レミケード)を挙げることができる。
【0164】
細胞傷害性抗体は、ウイルス性疾患および免疫不全が関係している自己免疫疾患、リンパ球癌およびその他のB細胞過剰増殖性疾患の治療のための併用免疫療法投薬計画の一部として使用することができる。したがって、好ましい実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、例えば、エピラツズマブ、リツキサン、ゼナパックス、レミケードまたはラプティバとともに、またはそれらの組合せとともに併用免疫療法投薬計画で使用することができる。
【0165】
細胞傷害性抗体はまた、例えば、放射性同位元素または毒素を含む免疫複合体として使用することができる。さらに、さらなる実施形態では、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、B細胞上の細胞表面分子に特異的な結合を有するさらなる細胞傷害性抗体と、1種以上の化学療法薬とを含む併用療法を使用することができる。例えば、mAb216は、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、トスチマブまたはイブリツモマブと組合せて、または抗CD22、例えばエプラツズマブと組合せて、または抗CD52抗体、例えばカンパスと組合せて、などと併用することができる。併用療法は、併用化学療法および免疫療法投薬計画で、化学療法、例えば細胞の細胞骨格を破壊する薬剤、例えばビンクリスチンをさらに含み得る。
【0166】
CDIM結合抗体、例えばVH4−34抗体と種々の細胞表面抗原に対する細胞傷害性抗体との組合せは、実施例10において論じるように、また図7に示すように有効であり、このことは、少なくとも付加的であり、場合によっては相乗的でもあり得る結果を提供する。さらに、図4に示すように、mAb216は、再発性または難治性B細胞リンパ腫の患者から得た多数の細胞を死滅させるのにおいて極めて有効である。
【0167】
CDIMエピトープに対するmAb216またはその他のVH4−34抗体を組合せることは、リツキサン耐性細胞の発生と戦い、リツキサン治療の効力を高め、ならびにmAb治療の効力を高めると期待される。
【0168】
個々のB細胞抗原としては、インビボとインビトロの双方でB細胞増殖および分化を誘導する、腫瘍壊死因子(「TNF」)スーパーファミリーのメンバーであるBリンパ球刺激因子(BLyS)を挙げることができる(Mooreら、Science 285、260〜263頁(1999))。BLySタンパク質のレベルは、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ関節炎およびシェーグレン症候群をはじめとする自己免疫疾患の患者では上昇することがわかっている(Zhangら、The Journal of Immunology、(2001) 166、6〜10頁、Cheemaら、Arthritis and Rheumatism (2001) 44、1313〜1319頁およびGroomら、Journal of Clinical Investigation (2002) 109、59〜68頁)。可溶形のBLyS受容体、TACIの投与は、自己免疫表現型のNZBWF1およびMRL−lpr/lprマウスの症状を軽減することがわかっている(Grossら、Nature、(2000) 404、995〜999頁)。したがって、BLySに結合する抗体および関連分子には、自己免疫疾患およびリンパ球癌をはじめとするB細胞関連疾病および疾患の治療において医学的用途が見つかる可能性がある。
【0169】
細胞表面イディオタイプIgはB細胞起源のリンパ球癌に存在する患者特異的マーカーである。これらの細胞表面受容体はまた、細胞傷害性抗体療法の有用な標的を提供し、本明細書に記載した方法において有用である。こういった患者に特異的な細胞表面Igに対する抗イディオトープ抗体の調製が、Denneyの米国特許第5,972,334号に記載されている。
【0170】
投与様式
本発明の抗体は、多種多様な手段でヒトまたは動物の患者に投与できるが、通常は非経口投与によってである。機能的な形の抗体および細胞傷害性薬剤の投与に有効であるとわかっている他の任意の手段、例えば、経口、局所または埋め込みリザーバーを介しても利用することができる。局所投与には、例えば、パッチ、担体、またはイオン導入法を用いる、受動的または能動的手段、経粘膜、例えば、舌下、口内、直腸、膣、鼻腔、または経尿道、例えば、噴霧された粉末化活性薬剤の吸入による、肺、気管支および鼻道への局所送達が含まれる。経口投与には、通常、胃へのまたは十二指腸への投与が含まれる。非経口注射には、体腔または血管への注射、例えば、腹腔内、静脈内、リンパ管内、腫瘍内、筋肉内、間質性、動脈内、皮下、病巣内、眼球内、滑液嚢内または関節内、胸骨内、脳血管内(例えば、大脳内の、脳室内、くも膜下腔内)、肝内、病巣内、頭蓋内注射または注入技術が含まれる。組成物を経口または静脈内に投与することが好ましい。
【0171】
当然のことながら、本発明は、その好ましい具体的な実施形態とともに記載してきたが、前述の説明ならびに以下の実施例は例示しようとするものであって、本発明の範囲を制限しようとするものではない。本発明の実施には、特に断りのない限り、当業者の範囲内にある、医薬製剤を調製する従来技術などを用いる。本発明の範囲内のその他の態様、利点および改変は、本発明が属する技術分野の当業者には明らかであろう。このような技術は文献に十分に説明されている。
【0172】
本明細書において上記および下記の双方で挙げた、すべての特許、特許出願および刊行物は参照により本明細書に組み込まれる。
【0173】
以下の実施例では、用いた数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを確実にするよう努めたが、実験誤差および偏差を明らかにすべき場合もある。特に断りのない限り、温度は℃度のものであり圧力は大気またはその近傍でのものである。
【0174】
略語:
【0175】
ALL 急性リンパ性白血病
【0176】
NHL 非ホジキンリンパ腫
【0177】
CLL 慢性リンパ性白血病
【0178】
VCR ビンクリスチン
【0179】
IV 静脈内
【0180】
IP 腹腔内
【0181】
Ig 免疫グロブリン
【実施例1】
【0182】
mAB216は腫瘍細胞バンクからのCD19+骨髄細胞と結合する
27の十分にキャラクタライズされた骨髄サンプルを、小児腫瘍学グループ(Children's Oncology Group)腫瘍細胞バンクから入手した。解凍した細胞を、ビオチン化mAb216および蛍光標識ストレプトアビジンで染色した。MAb216はCD19+B前駆細胞型ALLの15サンプルすべてと結合し、平均チャネル蛍光(MCF)は717であった(225〜1020の範囲)。T細胞ALLの12サンプルを調べ、62というMCFを示した(28〜149の範囲)。3つのT細胞ALLはバックグラウンドを上回るmAb216結合を有していた。結果を図1に示し、相対結合強度を「+」、「++」および「+++」で示し、結合なしは「−」で示す。図1に示されるように、mAb216はB細胞リンパ腫およびすべての種類の白血病と結合するが、T細胞リンパ腫とは有意な結合を示さない。
【実施例2】
【0183】
mAB216は骨髄由来のプレB ALL細胞を死滅させる
新鮮な骨髄(BM)の12試料を白血病のために骨髄吸引を受けている患者から採取し、mAb216結合および24時間での細胞傷害性についてインビトロで分析した。すべてのサンプルで、CD19、CD10、CD34、CD20、CD3、CD2の発現およびビオチン標識mAb216の結合についての免疫表現型検査を実施した。細胞傷害性は、BMを洗浄し、20μg/mlのmAb216または対照IgMとともに一晩インキュベートすることによって評価した。インキュベートした細胞をFITC抗CD19とヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。細胞死は、%CD19+細胞の変化によって、およびフローサイトメトリーによる、CD19発現細胞におけるPI取り込みによって測定した。
【0184】
対照IgMとのインキュベーションと比較した、mAb216とともにインキュベートした後に死滅した細胞のパーセントとして測定される細胞傷害性は、プレB ALLの患者から得たBMについて以下のとおりであった:60〜90%(n=4)、30〜50%(n=4)および7〜20%(n=2)。細胞傷害性の増加は、MCFによるmAb結合の強度と相関しており、mAb216のリガンドの細胞周期依存性の発現の差と関連付けることができた。T−ALL(n=1)およびAML(n=1)の患者から得たBMサンプルはmAb216によって死滅しなかった。
【実施例3】
【0185】
抗体は、B細胞白血病の動物モデルにおいて、B細胞を死滅させる
CB17SCIDおよびNOD/LtSz−SCID免疫不全マウスにおける、B細胞白血病のヒトプレB細胞Nalm−6モデルを用いた実験により、mAb216を用いた治療後に生存率の増加および20%の治癒率が示されている22。Nalm−6はALL由来の細胞株であり、成熟B細胞抗原CD20を発現せず、SCIDマウスにおけるヒト腫瘍の再現性のある静脈内モデルとなる23。マウスを治療するために、精製mAb216、(400ug/200μl)を、移植後1、7、14および21日目に静脈内注射(IV)した。マウスとヒトの体表面積を比較して、マウスには各用量について90〜100mg/mというヒト相当物を与えた。マウスを腫瘍発達について100日間観察した。
【0186】
1mgの精製mAb216(約220〜250mg/mというヒト相当物)と対照ポリクローナルヒトIgMを、4個体のBalb/cマウスにIV注射した。24時間で血液を採取した。クレアチニン、ビリルビン、アルカリ性ホスファターゼ、SGOT(AST)およびSGPT(ALT)を含めた化学パネルにより、多少の肝臓酵素の上昇が示されたが、ビリルビンは正常であった。14日目には、対照および試験マウス双方においてアルカリ性ホスファターゼを除くすべての値が正常に戻った。8週間目でマウスは生存し、健康であった。Balb/cマウスに500μgのmAb216をIVで与え、注射後24および48時間で屠殺した。脾臓、腎臓、肝臓および心臓の組織像からは病変は示されなかった。CB17−SCID/SCIDマウスにもmAb216(200μg/IPまたはIV注射)を、0、3および10日目に注射した。mAb 注射様式(IVまたはIP)にかかわらず、すべてのマウスが最後の注射後6週間で見かけ上良好な健康状態であった。
【実施例4】
【0187】
mAb216はB細胞膜に傷を与え、リソソームによる再封鎖応答を惹起する
膜損傷に対する自然応答は、損傷部位での内部リソソーム膜の付加による迅速な再封鎖である。Lamp−1は豊富にあるリソソーム膜糖タンパク質であり、通常、原形質膜には存在しない(Granger, B. L.ら、(1990) J.Biol. Chem. 265、12036、McNeil, P. L. (2002) J. Cell Sci. 115、873)。リソソームが原形質膜と融合するよう誘導されると、Lamp−1のリソソーム内NH末端ドメインが細胞表面に露出されるようになる。この融合事象は、生細胞を、Lamp−1のルーメンのエピトープに対するmAbで表面染色することによってモニターできる(Reddy, A.ら、(2001) Cell 106、157、Rodriguez, A.ら、(1997) J. Cell. Biol.137. 93、Martinez, I.ら、(2000) J. Cell. Biol. 148、1141)。したがって、細胞表面上のLamp−1の存在は、膜破壊後の膜再封鎖の指標である(McNeil, P. L.およびR. A. Steinhardt (2003) Ann. Rev. Cell Dev. Biol. 19、697)。
【0188】
VH4−34によってコードされるmAb216が細胞に損傷を与え、ひいては迅速な修復および再封鎖応答を惹起するかどうかを調べるために、mAb216で処理したヒトB細胞株を、リソソーム特異的タンパク質Lamp−1の細胞表面での即座の出現についてアッセイした。
【0189】
細胞および試薬
ヒトプレB細胞株Nalm−6(Hurwitz, R.ら、(1979) Int. J. Cancer 23. 174)、Reh(Rosenfield, C. , A.ら(1977) Nature 267、841)および成熟B細胞株OCI−Ly8 Tweeddale, M. E.ら(1987) Blood 69、1307)を、熱不活化10%FCSを含むイスコフ(iscove)培地において対数増殖期で維持した。B細胞株はATCCから入手した。VH4−34によってコードされるmAb、mAb216(Bhat, N. M.ら、(1993) J. Immunol. 151、5011)、Z2D2(Bhat, N. M.ら、(2000) Scand.J.Immunol. 51 : 134)およびY2KならびにVH3ファミリーのメンバー由来の、アイソタイプがマッチした対照mAb、MS2B6(Glasky, M. S.ら、(1992)Hum. Antibod. Hybridomas 3、114)を実験室で作製し、血清を含まないハイブリドーマ上清から、水で2回沈殿させることによって精製した。必要に応じセントリプレップ濃縮器(アムニコン(Amnicon)、マサチューセッツ州、ダンサーズ(Dancers))でMAbを濃縮した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動で調べたIgM mAbの純度は、純度90〜95%であった。精製IgMの濃度は、ヒトIgMを標準として用いてサンドイッチELISAによって調べた(カタログ番号31146、ピアス・バイオケミカルズ(Pierce Biochemicals、イリノイ州、ロックフォード)。MS2B6に加え、ピアスIgMもアイソタイプ対照として用いた。すべてのmAbを滅菌濾過し、アジ化ナトリウムを除いた。
【0190】
PI染色と前方散乱を用いる細胞生存率アッセイ
原形質膜の完全性を、細胞のヨウ化プロピジウム(PI、シグマ(Sigma)、ミズーリ州、セントルイス)を排除する能力によって評価した。PI取り込みレベルは、標準的なFACS設備で、ヴェルサタームプロ(VersatermPro)とフロージョー(FlowJo)ソフトウェアにつないだFACScan(ベクトン−ディキンソン(Becton-Dickinson)、カリフォルニア州、サンジョゼ)でのフローサイトメトリーによって定量した。PI陰性細胞で、正常な大きさを有すると前方散乱シグナルによって測定されたものを生細胞と考えた。
【0191】
簡単には、細胞を各実験において指定したように処理し、3%FCSおよび10μg/mlのPIを含むPBSに再懸濁した。Caを含まない培地において毒性を評価した実験では、細胞を、カルシウムを含むか含まない適当な培地に再懸濁し、それに10μg/mlのPIを加えた。これまでの研究により、mAb216媒介性毒性は、低温で著しく明白であるということがわかっていたので(Bhat, N. M.ら(1996) Clin. Exp. Imrnunol. 105、183)、すべての培地および細胞を37℃で、遠心機を室温で維持するよう予防措置をとった。
【0192】
ATP枯渇および放出アッセイ
細胞内および放出されたATPを、生物発光アッセイキット(カタログ番号A−22066、モレキュラープローブス(Molecular Probes))によって使用説明書にしたがって測定した。1nM〜1μMの範囲の標準ATP希釈物を、陽性対照として試験した。細胞を、各実験において指定される種々の培地中で、種々の濃度のmAb216に曝露した。90μlの、DTT、ルシフェリンおよびルシフェラーゼを含む標準反応溶液に、10μlの反応上清を加えた。補基質としてのATPの存在下での光の発生を、マイクロウィン(MicroWin)2000、バージョン4.2ソフトウェア(マイクロテック・ラボルシステム(Mikrotek Laborsysteme)有限会社)につないだルミノメーター(ルミマーク・マイクロプレート・リーダー(Lumimark Microplate Reader)、バイオラッド(Bio- Rad))によってすぐに測定した。このアッセイにより、フェムトモル量のATPの検出が可能となる。細胞内ATP含量を評価するために、細胞を1% NP−40を用いて、室温で10分間溶解し、10μlの溶解物を、前述のように調べた。
【0193】
Lamp−l発現研究
表面Lamp−1発現を、エピ蛍光、フローサイトメトリーおよび共焦点顕微鏡によって調べた。ヒトLamp−1のルーメンのエピトープに対する抗体(CD107a、クローンH4A3)およびLamp−1のアイソタイプ対照、マウスIgGkは、BD−ファーミンゲン(PharMingen)から入手した。両抗体を二次FITC結合ヤギF(ab)抗マウスIgG(ピアス・バイオケミカルズ)を用いて検出した。細胞(5×10)を種々の濃度のmAb216またはヒトIgM対照(mAb MS2B6またはピアスIgM)に、各実験において指定の時間、37℃で曝露した。次いで、細胞を2%の予熱したパラホルムアルデヒドを用い、室温で20分間固定し、予熱した培地で2回洗浄し、抗Lamp−1またはアイソタイプ対照を用いて15分間染色した。次いで、細胞を染色培地(3%FCSおよび0.2%ナトリウムアジドを含むPBS)で2回洗浄し、抗Lamp−1に対する二次抗体とともにさらに15分間インキュベートした。2回洗浄した後、細胞を染色培地に再懸濁し、フローサイトメトリー、免疫蛍光または共焦点顕微鏡によって分析した。
【0194】
共焦点像は、マルチプローブ2010レーザー共焦点顕微鏡(モレキュラー・ダイナミクス(Molecular Dynamics)、カリフォルニア州、サニーベール)上のスタンフォーズ・セル・サイエンシズ・イメージング設備(Stanford's Cell Sciences Imaging Facility)で実施した。マルチプローブは励起線が488、568および647であるAr/Kr混合ガスレーザーを用い、ニコン・ダイアフォト200倒立顕微鏡上に構築されている。488nmという励起波長で、放射光が510LPビームスプリッターを通過し、510ロングパスフィルターで集められた。ニコン60X(NA1.4)プラナポ(planapo)対物を用いた。エピ蛍光イメージングを、アキシオビジョン(Axiovision)3.1ソフトウェア(カールツァイス)につないだ、アキシオキャム(AxioCam)HRcカメラ(カールツァイス)とオプティクイップ(Opti-Quip)電源(モデル1200、ニューヨーク州、ハイランドミルズ(Highland Mills))を備えたアキシオプラン(Axioplan)2顕微鏡(カールツァイス(Carl Zeiss)有限会社)で実施した。フローサイトメトリーは、FACScanで実施した。
【0195】
結果および結論
未処理細胞でのLamp−1発現は、実験間で5%程度の低いものから50%で変動した。この変動は、B細胞株の標準的な実験操作によって起こる。lamp−1発現のベースラインレベルが50%であった実験では、アイソタイプ対照処理細胞は50%陽性のままであり、mAb216処理細胞は100%Lamp−1陽性であった。細胞株でのLamp−1染色を5回反復して再現性を確実にした。結果は、ベースラインLamp−1発現が5%である実験から論じる。
【0196】
mAb216に1分間曝露されたNalm−6細胞は、Lamp−1染色の劇的な増加を示したが、アイソタイプ対照に曝露された細胞または処理を受けていない細胞はそのlamp−1発現を増加しなかった。その他のB細胞株、OCI−Ly8(成熟B)およびRehにおいても、FACSおよびエピ蛍光によってLamp−1曝露を観察した(データは示していない)。各サンプルについて、PI取り込みによって細胞の膜の完全性を同時に評価した。細胞は216曝露の1分後でPI陰性のままであった。
【0197】
Lamp−1染色およびPI取り込みは、mAb216曝露後の種々の時点でも測定した。Lamp−1曝露は、迅速な事象であり、最も明るい染色がAb曝露の30秒で観察され、次の5分で徐々に落ちた(図5A)。細胞は、この期間の間PI陰性のままであった。PI取り込みは、mAb216に対する曝露の約5分から20分まで示され、10〜25%の細胞が膜透過性となったことがPI取り込みによって証明された。
【0198】
ATPの放出によって測定される膜破壊も、同様の経時変化を示した。図5Bに示されるように、ATPは、2分、Lamp−1が細胞膜上で検出される時点の上清では検出されなかった。しかし、15分および1時間では、ATP放出が増加し、このことは膜損傷が起こり、それを再封鎖できなかったということを示唆する。mAb216処理後2および24時間で、測定したATPが減少したが、これは、放出されたATPを分解する、細胞溶解および壊死の結果であり得る。細胞ペレットにおけるATP含量が上昇する場合には、生物発光アッセイが細胞増殖および細胞傷害性の尺度となる。mAb216の細胞傷害性作用は、曝露の1時間以内には明らかであった。
【0199】
これらの結果は、mAb216媒介性膜損傷は、機械的または物理的損傷による傷害後に細胞生存率を回復するものと同一の機構によって修復されることを証明するものであり、このことは、mAb216処理が、何か他の大きな膜破壊と同様の細胞損傷事象をもたらすということを示唆する。これまで抗体による細胞損傷は観察されていなかった。mAb216による膜損傷は、最初は内部膜が脂質二重層に迅速に加えられるように再封鎖されるが、mAb216に対する曝露時間が増加するにつれ、再封鎖しようとする動きが衰え、膜がPIとATPの双方に対して透過性となる。mAb216の他、他の抗B細胞VH4−34によってコードされるIgM mAbも同様の膜損傷を媒介し、同様のリソソームによる再封鎖応答を惹起した。
【実施例5】
【0200】
mAb216誘導性膜損傷の修復は機能性アクチンに依存している
McNeil, P.((2002) J. Cell Sci. 115 : 873)他によって論じられるように、膜の傷の修復はアクチン依存性プロセスを必要とする。mAb216によって誘導された膜損傷の修復がアクチン依存性修復機構を利用するかどうかを調べるために、細胞をアクチン重合に影響を及ぼす薬剤で処理し、mAb216によって誘導された膜の傷の修復に対する作用を評価した。細胞をサイトカラシンまたはジャスプラキノリド、アクチン重合に対して反対の作用を有する2種の薬剤で処理した。サイトカラシンは、アクチンを単量体に脱重合し、他方ジャスプラキノリド、海綿から得られる環状ペプチドはアクチンをそのフィラメント型に固定する。両処理ともアクチンベースの細胞骨格活性を妨げる。
方法:
【0201】
サイトカラシンはシグマから入手し、ジャスプラキノリドは、モレキュラープローブス(Molecular Probes)(オレゴン州、ユージーン)から入手した。カスパーゼ阻害剤、Ac−IETD−CHOおよびAc−DEVD−CHOはファーーミンゲン(カリフォルニア州、サンディエゴ)から入手した。Nalm−6細胞(1×10細胞/ml)を、ジャスプラキノリド(3μg/ml)、サイトカラシン(5μg/ml)、またはカスパーゼ阻害剤(10μM)で、37℃で2時間処理し、その後mAb216での処理を行った。同等量のDMSOを用いる対照サンプルを平行して設定した。次いで、細胞を25μgのmAb216または対照Abに曝露し、フローサイトメトリーによって分析した。
結果:
【0202】
サイトカラシンまたはジャスプラキノリドと、mAb216とで処理した細胞は、生存率(生細胞パーセント)の低下、故に、mAb216に対する感受性の上昇を示し、このことは、相乗効果を証明し、また、修復プロセスにおける機能的アクチンの必要性を示すものである。サイトカラシンまたはジャスプラキノリドと対照抗体とで処理した細胞は、生存率の低下を示さなかった。代表的な一実験から得たデータを図6Bに示す。その他の3実験から同様の結果が得られた。
【0203】
細胞をカスパーゼ阻害剤Ac−IETD−CHOおよびAc−DEVD− CHOとともにインキュベートすることでは、細胞生存率は変わらず、このことは、細胞死の機構が、アポトーシスによるものではないことを示す。
【0204】
これらの結果から、これらの抗体に対する曝露によって引き起こされる、抗体誘導性細胞膜損傷の機構がさらに支持される。
【実施例6】
【0205】
mAb216誘導性膜損傷の修復はカルシウムに依存する
リソソームのエキソサイトーシスはカルシウム依存性現象であることがわかっているので(Miyake, K.およびP. L. McNeil (1995) J. CellBiol. 131 : 1737、Bi, G. Q.ら、(1995)J. CellBiol. 131 : 1747)、mAb216による膜損傷および傷の修復を、カルシウムを含まない条件と正常なカルシウム条件で調べた。2種の、VH4−34によってコードされるmAb、50、25および12.5ng/ml濃度のmAb216と50ng/mlのY2Kで処理した場合のNalm−6細胞の細胞生存率を、カルシウムを含むか含まない培地の存在下で調べた。図6Aに示されるように、細胞生存率は、カルシウムの不在下で有意に低下し、このことは、傷の修復にカルシウムが必要であったことを示す。対照抗体で処理した細胞または抗体で処理しなかった細胞は、カルシウムの存在下または不在下での細胞生存率に何の変化も示さなかった。その他のB細胞株、OCI−Ly8およびRehもまた、カルシウムを含まない状態での細胞傷害性において同様の増加を示した(データは示していない)。
【実施例7】
【0206】
mAb216誘導性膜損傷の修復は機能的ゴルジ依存性である
ブレフェルジンA(BFA)での処理はゴルジ関連コートタンパク質の放出、ゴルジ膜の小胞体への再分配およびゴルジ体からの分泌の遮断をもたらすとわかっている(Klausner, R. D.、(1992) J. Cell Biol. 116 : 1071)。新しく形成されるリソソームは、BFA処理細胞では生じず、したがって、その傷の修復の必要条件を調べるための条件を提供する。したがって、新しく形成されるリソソームの、mAb216細胞によって誘導された膜の傷の修復を補助する能力を、細胞をBFAで処理することによって調べた。
方法:
【0207】
ブレフェルジンAはシグマから入手した。Nalm−6細胞(1×10細胞/ml)を、BFA(25μg/ml)を用い、37℃で2時間処理し、その後mAb216での処理を行った。同等量のDMSOを用いる対照サンプルを平行して設定した。次いで、細胞を25μgのmAb216または対照Abに曝露し、フローサイトメトリーによって分析した。
結果:
【0208】
図6Bに示されるように、細胞生存率(生細胞パーセント)は、BFAとmAb216の組合せによって低下し、このことは生存率に対する相乗作用を証明するものである。BFAは、対照抗体で処理した細胞の生存率には何ら影響を及ぼさなかった。この結果は、その膜修復がBFAによってブロックされたことを証明し、これは新しく形成されるリソソームが、mAb216によって損傷を受けたB細胞株の膜修復ならびに生存および完全性を続けるために必要であることを示唆するものである。したがって、この結果から、mAb216によってB細胞に膜損傷が生じ、細胞がリソソームの原形質膜との融合を利用して損傷を繕おうとすることがさらに確認される。BFAによってさらなるリソソームの生成が阻害される場合には、修復プロセスは細胞生存率を維持するのに適切ではなくなることがある。
【実施例8】
【0209】
ビンクリスチンとの相乗的B細胞死滅
B細胞株に対する細胞傷害性アッセイにおいて、mAb216を化学療法薬、特に、ビンクリスチンと組合せた場合に細胞死滅の増強が証明された。種々の遺伝子型および表現型のALL芽球に由来する3種の細胞株、Nalm6、REHおよびSUPB15を、mAb216単独とともに、またはビンクリスチン(VCR)と組合せて37℃で48時間インキュベートした。
【0210】
図4および以下の表1に示されるように、これらの結果は、低いビンクリスチン濃度(0.2ng/ml)では、細胞死はビンクリスチン単独での処理によっては全く起こらなかったことを示す。しかし、ビンクリスチンをmAb216と組合せると、死滅したB細胞のパーセンテージは2倍よりも高くなり、このことは相乗的相互作用を証明するものである。B前駆体リンパ芽球に対する、単独および化学療法薬と組合せたmAb216の細胞傷害性により、この抗体が、小児ALLにおけるさらなる免疫療法研究にとって見込みのある試薬となる。
【実施例9】
【0211】
化学療法薬による、B細胞株に対するmAB216の細胞傷害性の増強
単一の化学療法薬と組合せたmAb216のインビトロ細胞傷害性を調べた。種々の遺伝子型および表現型のALL芽球に由来する3種の細胞株、Nalm6、REHおよびSUPB15を、mAb216単独とともに、またはビンクリスチン(VCR)、ダウノルビシン(DNR)またはL−アスパラギナーゼ(ASPR)と組合せてインキュベートした。mAb216と併用した場合、すべての化学療法薬が、単一薬剤化学療法またはmAb216単独のいずれかで見られたものよりも高い程度の細胞傷害性をもたらした。しかし、ビンクリスチンとmAb216との組合せが最も有効であり、ビンクリスチンまたはmAb216単独のいずれかによって誘導された細胞死滅量と比較して相乗的である細胞傷害性の大きさをもたらした。これらの結果は、化学療法薬の存在下でのmAb216の細胞傷害性の増強を証明するものであり、これは、幾分かは少なくともmAb216処理がB細胞の透過化をもたらすためであり、そうでなければ不透過性化学療法薬が細胞内部にアクセスするのを可能にするためである。
【0212】
結果を以下の表1に示す。
【表1】

【実施例10】
【0213】
mAb216とC2B8(抗CD20Ab)の併用療法
mAb216と抗CD20抗体が、インビボにおいて有効な組合せを提供できるかどうかを調べるために、B細胞に対する併用抗体治療の作用を、ヒト患者のインビボ治療の際に遭遇するであろうとして、補体の存在下で調べた。
【0214】
リンパ腫細胞株OCI−Ly8を、ウサギ補体の存在下mAb216またはC2B8(リツキサン(登録商標))で処理した。細胞傷害性は、3(4,5)−ジメチルチアゾール−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミドの発色変化、ミトコンドリア酵素の機能の尺度を測定して死滅細胞%を決定する、MTTアッセイを用いて検出した。細胞は1mlあたり1×10または1mlあたり3×10の密度でプレーティングした。各抗体を215ng/mlまたは430ng/mlで別個に調べ、併用治療は併用濃度430ng/mlに対し215ng/mlの各抗体からなるものとした。図7に示される結果から、併用抗体治療は、特に高い細胞濃度で、抗体および/または補体濃度が効力を制限しない場合、B細胞を死滅させる効力の増強を証明することが示される。低いプレーティング密度では、215ng/mlで別個に調べた各抗体の相加的作用が約29%死滅であるのに対し、併用抗体治療は約34%の死滅を提供すると思われ、したがって、少なくとも相加的であり、相乗的である可能性がある作用が証明される。高いプレーティング密度では、215ng/mlで別個に調べた各抗体の相加的作用が約23%死滅であるのに対し、併用抗体治療は約30%の死滅を提供すると思われ、したがって、少なくとも相加的であり、相乗的である可能性がある作用がやはり証明される。示したデータは3回の実験のうちの1回の代表的なものである。
【実施例11】
【0215】
ALL患者においてmAb216の効力を調べるための臨床試験治療プロトコール
これは、再発性または難治性B前駆細胞型ALLの小児におけるヒトmAbの第I相用量増加試験となる。mAb注入について2つの治療方針が与え、同用量の抗体を0日目と7日目に投与する。
【0216】
0日目:mAb216用量1
【0217】
7日目:mAb216用量2
【0218】
抗体投与:0日目および7日目
mAb216を、室温にて、正常生理食塩水で1mg/mlの最終容量に希釈することが好ましい。mAb溶液は、何か他の溶液または薬物と混合または希釈することが好ましい。第1のmAb216注入時の初期投与速度は、最初の30分間は25mg/時とする。毒性または注入関連事象が起こらなければ、投与速度を最大200mg/時まで(30分間隔で25mg/時増分)上げることができる。何らかの注入関連毒性が生じたならば、抗体注入を一時的に減速するか中断しなくてはならず、患者を適切に治療しなければならない。症状が改善されれば、それまでの速度の1/2で注入を再開し、最大速度200mg/時まで徐々に上げることができる。
【0219】
疾病評価および薬物動態
7日目に、第2の抗体注入を進める前に、治療に対する初期反応が行われる。第1の抗体用量に対して良好な反応を示した患者には、0日目と同じ様式で第2の用量を与えるよう進める。7日目で反応に乏しい患者には、第2の抗体用量をビンクリスチンとともに与える。5日目までに患者が治療に対する反応に乏しいことが明確であれば、すなわち、明らかに末梢芽球数が増加していれば、患者をビンクリスチンを含む第2のmAb216用量に5日目ぐらいの早期に進めてもよい。
【0220】
抗体治療に対する最終反応は35日目に行われる。
【0221】
薬物動態学的サンプリングは、抗体注入の用量1に関してのみ行う。
【表2】

【0222】
mAb216の用量は、前述のように1kg体重あたりのmgで算出する。増加は3人の患者の群で計画し、用量規定毒性(DLT)の最初の徴候で加えるさらなる2人の患者は以下のとおりとする:
【0223】
3人の患者を、用量レベル1(1.25mg/kg)で処理する。
【0224】
第1の3人の患者のうち1人もDLTを経験しなければ、3人の次の患者で用量を次のレベルに上げる。
【0225】
所与のコホート内の3人の患者のうち1人がDLTを経験すれば、さらなる患者2人までをそのレベルで治療する。
【0226】
これら2人のさらなる患者のうちどちらもDLTを経験しなければ、次の患者のコホートで用量を上げる。
【0227】
これら2人のさらなる患者のうち1人以上がDLTを経験する場合には、その用量レベルでの患者の参加およびさらなる用量増加を停止し、MTDを上回っている。次いで、少なくとも2人のさらなる患者を、次のより低い用量レベルで治療する。
【0228】
任意のコホート(3〜5人の患者)実験内で2人以上の患者がDLTを経験すれば、MTDを上回っている。次いで少なくとも2人のさらなる患者を次のより低い用量レベルで治療する。
【0229】
5人の患者のうち1人しかDLTを経験しない、到達した最も高い用量レベルをMTDと考える。
【0230】
この研究で認められる患者内用量増加はない。
【0231】
用量規定毒性の定義
副作用(毒性)を、NCI CTCバージョン2.0に従って類別する。DLTは、治験薬、mAb216に少なくとも(場合によっては、おそらくまたは確かに)起因して起きる、何らかの血液学的または非血液学的毒性と定義する。
【0232】
化学療法
7日目評価:7日目臨床反応評価によって、骨髄検査で>25%白血病性芽球残存(第5節参照)または末梢血芽球数の増加として規定される、反応に乏しいことが証明される場合は、7日目に抗体用量2を開始する前にビンクリスチンを与える。その後、ビンクリスチンを、以下のスケジュールに従い全4用量を毎週投与する。
【0233】
ビンクリスチン、毎週1.5mg/m/IVP用量×4用量(7、14、21、28日目)。
【0234】
7日目のmAb216+VCRと、それに続く3回のさらなる毎週VCR用量を与えられ、35日目までに患者が完全な寛解に達する場合には、mAb216利用可能性の結果が出るまで、毎月ベースでのmAb216+VCRでのその後の治療も可能であり得る。mAbの用量は、プロトコール治療の1日目および7日目に与えたものと同様のままである。
【0235】
14、21および28日目評価:14、21または28日目の臨床反応評価が、骨髄検査で>5%白血病性芽球残存として規定される、残存病変を示す場合には、患者に再導入化学療法を開始することができる。
【0236】
14、21または28日目に残存病変のための再導入化学療法を受ける患者には、研究目的の毎週のBMA評価はもはや必要ではない。再導入化学療法を受ける患者には、寛解状態を評価するために化学療法開始後BMA/LPを約4週間受けることが推奨される。
【0237】
再導入化学療法
再導入化学療法は、14、21または28日目に残存病変が検出された患者のみを対象とする。標準的な4種の薬物、28日目の再導入投薬計画としては、以下を挙げることができる:
【0238】
プレドニゾン40mg/m/TID日分割×28日、
【0239】
ビンクリスチン1.5mg/m/IVP用量毎週×4(1、8、15、22日目)、
【0240】
大腸菌(E.coli)L−アスパラギナーゼ6,000IU/m/IM用量×6用量
【0241】
(2、5、8、12、15、19日目)、
【0242】
ダウノマイシン30mg/m/IV用量毎週×3用量
【0243】
(8、15、21日目)、
【0244】
くも膜下腔内メトトレキサート(年齢に応じた用量)。
【0245】
再導入化学療法の第1日目として治療日は1日目から開始する。
【0246】
1および15日目(5日目LPで、CNSが2、すなわち<5WBC/μlであり、芽球がサイトスピンにある場合は、8および22日目にさらなる用量)。
【0247】
CNS予防用量:
【0248】
年齢 MTX 容量
【0249】
1〜1.99歳 8mg 8cc
【0250】
2〜2.99歳 10mg 10cc
【0251】
3〜3.99歳 12mg 12cc
【0252】
>9歳 15mg 15c
【0253】
前述のプロトコールによって研究者は以下の目標達成することが可能となる:
【0254】
1週間離れた2用量で、再発性または難治性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児に投与される、VH4−34によってコードされるモノクローナル抗体、mAb216の最大耐量(MID)を推定すること、
【0255】
単一の薬剤として、またビンクリスチンと組合わせて、このスケジュールで与えられるmAb216の用量規定毒性(DLT)を求めること、
【0256】
再発性または難治性ALLの小児における、mAb216の薬物動態挙動を特性決定すること、
【0257】
第I相試験の範囲内で、mAb216の抗腫瘍活性を予め定義すること、および
【0258】
再発性または難治性ALLの患者における、mAb216の生物活性を評価すること。
【参照文献】
【0259】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾病のヒト患者を治療する方法であって、前記B細胞を(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)細胞傷害性薬剤とに接触させることを含む方法。
【請求項2】
前記B細胞の過剰増殖を特徴とする状態がリンパ球癌、ウイルス感染、免疫不全または自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウイルス感染がヒト免疫不全ウイルスまたは単核球症である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記免疫不全が移植後リンパ球増殖性疾患または免疫不全症候群である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記自己免疫疾患が全身性エリテマトーデス、リウマチ関節炎、自己免疫リンパ球増殖性疾患、多発性硬化症、乾癬、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、アルツハイマー病、ループス腎炎、急性特発性血小板減少性紫斑病および慢性特発性血小板減少性紫斑病などの免疫介在性血小板減少症などのクラスIII自己免疫疾患、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、多発性硬化症、シドナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多内分泌線症候群、水疱性類天疱瘡、真性糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、クローン病、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎、原発性胆汁性肝硬変、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェジナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎および繊維化肺胞炎である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞傷害性薬剤が、化学療法薬、放射性同位元素、細胞傷害性抗体、免疫複合体、リガンド複合体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、毒素またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化学療法薬がB細胞の細胞骨格を破壊する薬剤である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤が、微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤が、タキサン、ビンカアルカロイドもしくはコルヒチン、またはそれらの混合物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ビンカアルカロイドがビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンもしくはビノレルビン、またはそれらの混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記タキサンがパクリタキセルもしくはドセタキセル、またはそれらの混合物である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤が、抗アクチン剤である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法薬が、アスパラギナーゼ、エピポドフィロトキシン、カンプトセシン、抗生物質、プラチナ錯体、アルキル化剤、葉酸アナログ、ピリミジンアナログ、プリンアナログもしくはトポイソメラーゼ阻害剤、またはそれらの混合物である、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記トポイソメラーゼ阻害剤がエピポドフィロトキシンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記エピポドフィロトキシンがエトポシドまたはテニポシドである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記ピリミジンアナログがカペシタビン、5−フルオルウラシル、5−フルオロデオキシウリジン、5−フルオロデオキシウリジン一リン酸、シトシンアラビノシド、5−アザシチジン、2’,2’−ジフルオロデオキシシチジンである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記プリンアナログがメルカプトプリン、アザチオプレン、チオグアニン、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、クラドリビン、ビダラビン、リン酸フルダラビンである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記葉酸アナログがメトトレキサート、ラルチトレキセド、ロメトレキソール、ペルメフレキセド、エダトレキサート、ペメトレキセドである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記カンプトセシンがイリノトカン、トポテカン、カンプトテカンである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記抗生物質がダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシンまたはマイトマイシンである、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記プラチナ錯体がシスプラチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記アルキル化剤がメクロレタミン、シクロホスファミド、イフォスファミド、メルファラン、ダカルバジン、テモゾロマイド、チオテパ、ヘキサメチルメラミン、ストレプトゾシン、カルムスチン、ブスルファン、アルトレタミンまたはクロラムブシルである、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞傷害性薬剤を、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体の投与と同時に、その前に、またはその後に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞傷害性薬剤がB細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と共有結合によって、または非共有結合によって結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体がVH4−34によってコードされる抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体がmAb216、RT−2B、FS12、A6(H4C5)、Cal−4G、S20A2、FS3、Gee、HT、Z2D2、Y2Kである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体がmAB216である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体が、正味の正電荷を有するCDR配列を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞傷害性薬剤が放射性同位元素である、請求項6に記載の方法。
【請求項30】
前記放射性同位元素が131I、125I、123I、90Y、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、188Reまたは186Reである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記細胞傷害性抗体がB細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞傷害性抗体がCD11a、CD19、CD20、CD21、CD22、CD25、CD34、CD37、CD38、CD40、CD45、CD52、CD80、CD86、IL−4R、IL−6R、IL−8R、IL−13、IL−13R、α−4/β−1インテグリン(VLA4)、BLYS受容体、細胞表面イディオタイプIg、腫瘍壊死因子(TNF)、またはそれらの混合物に特異的な結合を有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細胞傷害性抗体がエファリツマブ(ラプティバ)、リツキシマブ(リツキサン)、ダクリツマブ(ゼナパックス)、エピラツズマブ、バシリキシマブ(シムレクト)、抗CD52(カンパス)、ナタリズマブ、またはインフリキシマブ(レミケード)である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記細胞傷害性抗体が免疫複合体である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記細胞傷害性薬剤がリガンド複合体である、請求項6に記載の方法。
【請求項36】
前記リガンド複合体がIL−2、IL−4、IL−6、IL−13、IL−15、BLYS、またはTNFを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記免疫抑制剤がグルココルチコイド、カルシニュリン阻害剤、抗増殖性/代謝拮抗性薬剤、または免疫抑制抗体である、請求項6に記載の方法。
【請求項38】
前記カルシニュリン阻害剤がシクロスポリンまたはタクロリムスである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記抗増殖性/代謝拮抗性薬剤がアザチオプリン、クロラムブコル、シクロホスファミド、レフルノミド、ミコフェノール酸モフェチル、メトトレキサート、ラパマイシン、サリドマイド、またはそれらの混合物である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記グルココルチコイドがプレドニゾロン、プレドニゾン、またはデキサメタゾンから選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞増殖制御因子および/または阻害剤が小分子治療薬、遺伝子治療薬または遺伝子発現修飾因子である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
前記小分子治療薬がキナーゼ阻害剤、またはプロテアソーム阻害剤である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記キナーゼ阻害剤がbcr/ablチロシンキナーゼ阻害剤、またはチロシンキナーゼ阻害剤である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記プロテアソーム阻害剤がボロン酸エステルである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記遺伝子治療薬がプラスミド、裸のDNA、または核酸−ペプチド複合体である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記遺伝子発現修飾因子がアンチセンス核酸、または干渉核酸(例えば、RNAi)である、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記毒素がシュードモナス外毒素A、リシン、ジフテリア毒素、モモルジン、ブタクサ抗ウイルスタンパク質、ブドウ球菌内毒素A、ゲロニン、またはメイタンシノイドである、請求項6に記載の方法。
【請求項48】
前記リンパ球癌がB細胞起源の任意の急性もしくは慢性白血病またはリンパ腫である、請求項2に記載の方法。
【請求項49】
前記リンパ球癌が急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、バーキットリンパ腫、B前駆細胞型ALL、成人ALL、または慢性リンパ性白血病(CLL)である、請求項2に記載の方法。
【請求項50】
前記接触をインビボ、インビトロまたはエキソビボで実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記インビボ接触を、ヒト患者に、前記B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を、非経口注射によって投与することによって実施する、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
リンパ球癌を特徴とする状態の疾患のヒト患者を治療する方法であって、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と(2)化学療法薬とを投与することを含む方法。
【請求項53】
リンパ球癌を特徴とする状態の疾患のヒト患者を治療する方法であって、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する細胞傷害性抗体とを投与することを含む方法。
【請求項54】
CDIMエピトープと結合する抗体のB細胞細胞傷害性を増強する方法であって、B細胞を、CDIMエピトープと結合する抗体と、B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤とに接触させることを含む方法。
【請求項55】
前記B細胞の細胞骨格を破壊する薬剤が、微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記微小管の重合または脱重合を妨げる薬剤が、タキサン、ビンカアルカロイドまたはコルヒチンである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ビンカアルカロイドがビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、またはビノレルビンである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記タキサンがパクリタキセル、またはドセタキセルである、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記B細胞細胞傷害性を増強する方法を、リンパ球癌、B細胞過剰増殖性疾患、または自己免疫疾患の治療に用いる、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
哺乳類において自己免疫疾患を治療する方法であって、(1)細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、(2)化学療法薬、B細胞上の細胞表面受容体に特異的な結合を有する抗体、免疫抑制剤、細胞増殖制御因子および/又は阻害剤、あるいはそれらの混合物とを投与することを含む方法。
【請求項61】
化学療法薬、細胞増殖制御因子および/または阻害剤、または細胞傷害性抗体に耐性である悪性B細胞を死滅させる方法であって、前記悪性B細胞を、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含む方法。
【請求項62】
前記悪性B細胞を、さらなる化学療法薬と接触させることを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体に耐性である悪性B細胞を死滅させる方法であって、前記B細胞を、化学療法薬と、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体とで治療することを含む方法。
【請求項64】
B細胞の過剰増殖を特徴とする疾病または障害を治療する方法であって、B細胞を、B細胞を透過性にするのに十分な量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と接触させることを含む方法。
【請求項65】
再寛解導入療法に反応しない、リンパ球癌を患っている患者において腫瘍量を減少させる方法であって、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することを含み、前記治療によって患者がその後の再寛解導入療法を受けることが可能となる、方法。
【請求項66】
抗B細胞抗体の細胞傷害性を増強する方法であって、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を投与することを含む方法。
【請求項67】
細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を含む、非経口注射用医薬製剤。
【請求項68】
化学療法薬をさらに含んでなる、請求項67に記載の医薬製剤。
【請求項69】
B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患の患者を治療するキットであって、
(a)患者においてB細胞を透過性にするのに十分な量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体と、
(b)B細胞の過剰増殖を特徴とする状態を治療するのに有効な、治療上有効量の細胞傷害性薬剤とを含む、キット。
【請求項70】
骨髄機能廃絶療法後の患者において、骨髄の再移植の前に悪性B細胞のリンパ球癌を患っている患者の骨髄をパージする方法であって、骨髄をエキソビボで、細胞傷害量の、B細胞上のCDIMエピトープに特異的な結合を有する抗体を用いて処理することを含む方法。
【請求項71】
さらに、骨髄を細胞傷害性薬剤を用いて治療することを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患のヒト患者を治療する方法であって、前記B細胞を、(1)細胞傷害量の、抗CDIM抗体mAb216またはY2Kと、(2)抗CD20抗体とに接触させることを含む方法。
【請求項73】
前記抗CD20抗体がリツキシマブ、トスチマブまたはイブリツモマブである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
さらに、患者B細胞をビンクリスチンまたはビンブラスチンと接触させることを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患のヒト患者を治療する方法であって、前記B細胞を、(1)細胞傷害量の、抗CDIM抗体mAb216またはY2Kと、(2)抗CD52抗体とに接触させることを含む方法。
【請求項76】
前記抗CD52抗体がカンパスである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
さらに、患者のB細胞をビンクリスチンまたはビンブラスチンと接触させることを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
B細胞の過剰増殖を特徴とする状態の疾患のヒト患者を治療する方法であって、前記B細胞を、(1)細胞傷害量の、抗CDIM抗体mAb216またはY2Kと、(2)抗CD22抗体とに接触させることを含む方法。
【請求項79】
前記抗CD22抗体がエピラツズマブである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
さらに、患者のB細胞をビンクリスチンまたはビンブラスチンと接触させることを含む、請求項78に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−513072(P2007−513072A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538539(P2006−538539)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/037137
【国際公開番号】WO2005/044998
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506152461)パリンゲン インコーポレーテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】PALINGEN,INC.
【出願人】(506151774)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】The Board of Trustees of Leland Stanford Junior University
【Fターム(参考)】