説明

DPP−1阻害剤として有用なアルキニル誘導体

本発明は、新規アルキニル誘導体、それらを含む医薬的組成物、及びDPP−1により調節される疾患や症状の処置におけるそれらの使用を目的とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アルキニル誘導体、それらを含む医薬的組成物、及びDPP−1により調節される疾患や症状の処置におけるそれらの使用を目的とする。
【背景技術】
【0002】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、進行性の不可逆的気流制限の発現を特徴とする。COPDは、末梢気道の閉塞を伴う慢性閉塞性気管支炎、及び気腔の拡張と肺実質の破壊を伴う気腫、肺弾性の損失、及び末梢気道の閉鎖からなる。COPD被験体では、気管支肺胞洗浄(BAL)した気道及び肺実質において、好中球、細胞傷害性Tリンパ球、及びマクロファージの数が増加していた。これら炎症性細胞の存在は、気道閉塞及び肺胞壁破壊の重篤度と深く関係している。好中球エラスターゼ、カテプシンG、及びプロテイナーゼ3は、実験動物において気腫及び粘液過分泌を引き起こし得ることが証明されている。グランザイムA & Bは、活性化細胞傷害性Tリンパ球の顆粒にもっぱら発現される中性セリンプロテアーゼである。COPDでは、多形核好中球(PMN)由来のプロテアーゼ、カテプシン、及びマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の増加に起因するタンパク質分解の増加に有利なように、プロテアーゼと抗プロテアーゼのバランスが崩れると思われる。したがって、上記の関連するプロテアーゼの全て又はほとんどを阻害する薬剤が、COPDの処置に効果があると期待される。
【0003】
ジペプチジルペプチダーゼ−1(DPP−1、カテプシンC)は、リソソームのパパイン様システインプロテアーゼファミリーの1つであり、このファミリーにはカテプシンB、K、H、L、O、及びSも含まれる。DPP−1(MW 200kd)は、ジスルフィド結合した重鎖及び軽鎖(両方とも単一のタンパク質前駆体由来)の二量体からなる。DPP−1のmRNAは、肺、脾臓、腎臓、及び肝臓などの組織、PMN、細胞傷害性Tリンパ球、肺胞マクロファージ、及び肥満細胞などの炎症性細胞で高く発現している。DPP−1の生物学的機能は、N末端のジペプチドを除去して不活性な酵素前駆体を活性酵素に変換することである。DPP−1により活性化される酵素前駆体は、PMN由来プロテアーゼ、グランザイムA & B、チマーゼ、及びトリプターゼである。これらの酵素は、COPDにおいて病理学的に重要な役割を担うため、小分子によるDDP−1の阻害は、COPDに対して合理的な治療的介入となるだろう。DPP−1阻害剤の更なる治療上の適応は、ぜんそく、鼻炎、及び関節リウマチである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患(irritable bowel disease)、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤を含むが、これらに限定されないDPP−1介在性の疾患及び症状の処置に対する、DPP−1阻害剤の必要性が残る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)の化合物であって、
【0006】
【化1】

式中、
1は、水素、C3〜8シクロアルキル、フェニル、ベンジルオキシ−、及びピペリジニル−オキシ−からなる群から選択され、
【0007】
【化2】

は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、
【0008】
【化3】

環状構造は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロゲン化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン化C1〜4アルコキシ、(C1〜4アルコキシ)−(C1〜4アルキル)−、(C1〜4アルキル)−SO2−、及び(C1〜4アルキル)−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で必要により置換され、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ヒドロキシ置換C1〜4アルキル、NRAB−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、及びヘテロアリール−(CH21〜2からなる群から選択され、RA及びRBは、それぞれ独立して水素又はC1〜4アルキルから選択され、
ただし、R2はt−ブチル以外である化合物、
並びに、医薬的に許容され得る塩を目的とする。
【0009】
本発明は更に、式(I)の化合物を調製するための方法を目的とする。本発明は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される製品を更に目的とする。
【0010】
本発明の実例は、医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬的組成物、及び本明細書に記載のプロセスに従って製造される製品である。本発明の実例は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される製品と、医薬的に許容され得るキャリアと、を混合することにより製造される医薬的組成物である。本発明の実例は、本明細書に記載のプロセスに従って製造される製品と、医薬的に許容され得るキャリアと、を混合することを含む、医薬的組成物の製造方法である。
【0011】
本発明の例証は、治療的に有効な量の上記化合物又は医薬的組成物のいずれかを被験体に投与する工程を含む、それを必要とする被験体での、DPP−1(カテプシンC)により介在される疾患(関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される)の処置方法である。
【0012】
本発明の別の例は、(a)関節リウマチ、(b)ぜんそく、(c)慢性閉塞性肺疾患、(d)敗血症、(e)過敏性腸疾患、(f)嚢胞性線維症、又は(g)腹部大動脈瘤を、それを必要とする被験体において処置するための薬剤を調製するための、本明細書に記載の任意の化合物の使用である。
【0013】
別の例では、本発明は、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される疾患を、それを必要とする被験体において処置する方法で使用するための、本発明に記載の化合物を目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、式(I)の化合物であって、
【0015】
【化4】

式中、R1、R2、n及び
【0016】
【化5】

は、本明細書で定義されるものである化合物の調製プロセスを目的とする。本発明の化合物は、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤を含むが、これらに限定されないDPP−1(カテプシンC)により介在される疾患、疾病及び症状の処置に有用な、DPP−1阻害剤である。
【0017】
本発明の実施形態では、R1は、水素、C5〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル−オキシ−、及びピペリジニル−オキシ−からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、水素、C5〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル−オキシ、ピペリジン−4−イル−オキシ、及びピペリジン−3−イル−オキシからなる群から選択される。
【0018】
本発明の別の実施形態では、R1は、水素、2−(シクロヘキシル)、2−(フェニル)、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、水素、2−(フェニル)、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、水素、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R1は、水素、3−(フェニル)、及び3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)からなる群から選択される。
【0019】
本発明の実施形態では、R1基は、2位、3位又は4位で
【0020】
【化6】

環に結合される。本発明の別の実施形態では、R1基は、3位又は4位で
【0021】
【化7】

環に結合される。本発明の別の実施形態では、R1基は、3位で
【0022】
【化8】

環に結合される。
【0023】
本発明の実施形態では、
【0024】
【化9】

は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、
【0025】
【化10】

環状構造は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、(C1〜4アルコキシ)−(C1〜4アルキル)−、(C1〜4アルキル)−SO2−、及び(C1〜4アルキル)−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1〜4の置換基で必要により置換される。本発明の別の実施形態では、
【0026】
【化11】

は、フェニル、ナフチル、9H−フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、フェニル又はナフサ−1−イルは、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜2アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1〜2アルコキシ)−(C1〜2−アルキル)−、C1〜2アルキル−SO2−、及びC1〜2アルキル−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1〜4の置換基で必要により置換される。
【0027】
本発明の別の実施形態では、
【0028】
【化12】

は、フェニル、2−ヒドロキシ−フェニル、4−イソプロピル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、4−トリフルオロメチル−フェニル、4−メチル−スルホニル−フェニル、2−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、4−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、3,6−ジメチル−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、2,4,6−トリメチル−フェニル、2,3,5,6,−テトラメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、ナフサ−2−イル、2−ヒドロキシ−ナフサ−1−イル、2−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−メチル−ナフサ−1−イル、2−メトキシ−ナフサ−1−イル、2−(メトキシ−メチル)−ナフサ−1−イル、9H−フルオレン−2−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、ベンゾフラ−5−イル、ベンゾチオフェン−5−イル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルからなる群から選択される環状構造である。本発明の別の実施形態では、
【0029】
【化13】

は、フェニル、2−ヒドロキシ−フェニル、4−イソプロピル−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、4−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、2,4,6−トリメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、2−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−メチル−ナフサ−1−イル、9H−フルオレン−2−イル、イソキノリン−5−イル、ベンゾフラ−5−イル、ベンゾチオフェン−5−イル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルからなる群から選択される環状構造である。本発明の別の実施形態では、
【0030】
【化14】

は、フェニル、4−イソプロピル−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、及び9H−フルオレン−2−イルからなる群から選択される環状構造である。本発明の別の実施形態では、
【0031】
【化15】

フェニル、4−メトキシ−フェニル、及び3,4−ジフルオロ−フェニルからなる群から選択される環状構造である。
【0032】
本発明の実施形態では、nは0である。本発明の別の実施形態では、nは1である。
【0033】
本発明の実施形態では、式(I)の化合物で「*」印で示される立体中心は、(S)−配置で存在する。本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物で「*」印で示される立体中心は、(R)−配置で存在する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、星印の立体中心が、約80%以上のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のエナンチオマー過剰率で、いずれの(S)−立体配置でも存在する、式(I)の化合物を目的とする。
【0035】
別の実施形態では、本発明は、星印の立体中心が、約80%以上のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のエナンチオマー過剰率で、いずれの(R)−立体配置でも存在する、式(I)の化合物を目的とする。
【0036】
本発明の実施形態では、R2は、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ヒドロキシ置換C2〜4アルキル、NRAB−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、及びヘテロアリール−(C1〜4アルキル)−からなる群から選択され、ヘテロアリールは、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、及びチエニルからなる群から選択され、RA及びRBは、水素又はC1〜2アルキルからそれぞれ独立して選択され、ただし、R2はt−ブチル以外である。本発明の別の実施形態では、R2は、C1〜4アルキル、ヒドロキシ置換C1〜2アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、NH2−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、ピリド−2−イル−メチル−、ピリド−3−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択され、ただし、R2はt−ブチル以外である。
【0037】
本発明の別の実施形態では、R2は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヒドロキシ−メチル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、アミノ−n−プロピル−、シクロプロピル−メチル、ベンジル、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、ピリド−2−イル−メチル−、ピリド−3−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R2は、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R2は、エチル、n−プロピル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択される。本発明の別の実施形態では、R2は、エチル、プロピン−2−イル、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択される。
【0038】
本発明の更なる実施形態は、本明細書で定義する可変部(すなわち、R1、R2、n及び
【0039】
【化16】

)の1つ以上として選択される置換基が、本明細書で定める完全リストから選択される任意の独立した置換基、又は任意の置換基のサブセットであるよう独立して選択されるものが含まれる。本発明の別の実施形態は、下の表1に列挙される代表的な化合物から選択される任意の単一の化合物、又は化合物のサブセットである。
【0040】
本発明の代表的な化合物は、下の表1に列挙する通りである。置換基のリスト中のR1基について、R1置換基に含まれるカッコの前の数は、R1基が
【0041】
【化17】

環に結合している位置を指す。例えば、基「3−(ピペリジン−4−イル−オキシ−)」は、以下の構造が、
【0042】
【化18】

【0043】
【化19】

環の3位で結合される基(
【0044】
【化20】

環の1位は、
【0045】
【化21】

環の式(I)の化合物の残りの部分への結合位置である)を意味するものとする。
【0046】
【表1−1】

【0047】
【表1−2】

【0048】
【表1−3】

【0049】
本明細書で使用するとき、「ハロゲン」は塩素、臭素、フッ素及びヨウ素を意味する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル」は、単独での使用であれ、置換基の一部としての使用であれ、1〜6個の炭素原子の線状及び分枝状炭素鎖組成物を含むものとする。例えば、アルキル基として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルなどが挙げられる。アルキルで用いるとき、X及びYが整数である接頭の「CX〜Y」は、X〜Y個の炭素原子の炭素鎖組成物を意味するものとする。例えば、用語「C1〜4アルキル」は、1〜4個の炭素原子の線状又は分枝状炭素鎖組成物を意味するものとする。
【0051】
当業者は、用語「−(アルキル)−」及び「−(C1〜4アルキル)−」は、本明細書で定義する任意のアルキル又はC1〜4アルキル炭素鎖を意味するものであり、かかるアルキル又はC1〜4アルキル鎖は二価であり、2点の付着部位を介して、好ましくは2個の末端炭素原子を介して更に結合されることを認識するであろう。
【0052】
本明細書で使用するとき、用語「アルケニル」は、単独での使用であれ、置換基の一部としての使用であれ、少なくとも1つの不飽和二重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の直鎖及び分枝鎖を含むものとする。例えば、アルケニル基として、エテニル、n−プロペン−2−イル、n−ブテン−2−イル、n−ペンテン−2−イルなどが挙げられる。用語「C2〜4アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和二重結合を含有する2〜4個の炭素原子の線状又は分枝状炭素鎖組成物を意味するものとする。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「アルキニル」は、単独での使用であれ、置換基の一部としての使用であれ、少なくとも1つの不飽和三重結合を含有する、2〜6個の炭素原子の直鎖及び分枝鎖を含むものとする。例えば、アルキニル基として、エチニル、n−プロピ−2−ニル、n−ブチル−2−ニル、n−ペンチ−2−ニルなどが挙げられる。用語「C2〜4アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和三重結合を含有する2〜4個の炭素原子の線状又は分枝状炭素鎖組成物を意味するものとする。
【0054】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「ハロゲン化C1〜4アルキル」は、上記に定義された、少なくとも1個のハロゲン原子で置換された、好ましくは少なくとも1個のフッ素原子で置換された任意のC1〜4アルキル基を意味するものとする。好適な例には、−CF3、−CCl3、−CH2−CF3、−CH2−CCl3、−CF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、特に断りがない限り、用語「フッ素化C1〜4アルキル」は、上記に定義された、少なくとも1個のフッ素原子で置換された、好ましくは少なくとも1個のフッ素原子で置換された任意のC1〜4アルキル基を意味するものとする。好適な例としては−CF3、−CH2−CF3、−CF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「ヒドロキシ置換C1〜4アルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換された、上記定義の任意のC1〜4アルキル基を意味するものとする。好ましくは、C1〜4アルキル基は、1つのヒドロキシ基で置換される。好ましくは、C1〜4アルキル基は、末端の炭素において1つのヒドロキシ基で置換される。好適な例としては、−CH2(OH)、−CH2−CH2(OH)、−CH2−CH(OH)−CH2などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「アルコキシ」は、上記の直鎖又は分枝鎖アルキル基の酸素エーテルラジカルを示すものとする。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。アルコキシで用いるとき、X及びYが整数である接頭の「CX〜Y」は、X〜Y個の炭素原子の線状又は分枝状炭素鎖組成物のエーテル基を意味するものとする。例えば、用語「C1〜4アルコキシ」は、1〜4個の炭素原子の線状又は分枝状炭素鎖組成物のエーテル基を意味するものとする。
【0057】
当業者は、用語「−(アルコキシ)−」及び「−(C1〜4アルコキシ)−」は、本明細書で定義する任意のアルコキシ又はC1〜4アルコキシ基を意味するものであり、かかるアルコキシ又はC1〜4アルコキシ鎖は二価であり、2点の付着部位を介して、好ましくは末端の炭素及び酸素原子を介して更に結合されることを認識するであろう。
【0058】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「ハロゲン化C1〜4アルコキシ」は、上記に定義された、少なくとも1個のハロゲン原子で置換された、好ましくは少なくとも1個のフッ素原子で置換された、任意のC1〜4アルコキシ基を意味するものとする。好適な例には、−OCF3、−OCCl3、−OCH2−CF3、−OCH2−CCl3、−OCF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、特に断りがない限り、用語「フッ素化C1〜4アルコキシ」は、上記に定義された、少なくとも1個のフッ素原子で置換された、好ましくは最も少ない1個のフッ素原子で置換された任意のC1〜4アルコキシ基を意味するものとする。好適な例としては、−OCF3、−OCH2−CF3、−OCF2−CF2−CF2−CF3などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「アリール」は、フェニル、ナフチル、フルオレニルなどであり、好ましくはフェニル又はナフチルなどの未置換の炭素環式(carbocylic)芳香族基を指すものとする。
【0060】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「C3〜8シクロアルキル」は、任意の安定な3〜6員環の単環式飽和環系、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを意味するものとする。当業者は、用語シクロアルキルで用いるとき、接頭の「CX〜Y」は、環内の炭素原子の数を意味するものであることを認識するであろう。
【0061】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「ヘテロアリール」は、O、N及びSからなる群から独立して選択される1〜2個のヘテロ原子を含有する、任意の5員環又は6員環の単環式芳香族環状構造を意味するものとする。ヘテロアリール基は、安定した構造をもたらすように、環の任意のヘテロ原子又は炭素原子で結合させることができる。好適な例として、ピロリル、ピラゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、フラザニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいヘテロアリール基として、チエニル、ピラゾリル、ピリジル及びイミダゾリルが挙げられる。
【0062】
特定の基が「置換された」場合(例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール等)、その基は、置換基のリストから独立して選択される1つ以上の置換基、好ましくは1〜5つの置換基、より好ましくは1〜3つの置換基、最も好ましくは1〜2つの置換基を有してよい。
【0063】
置換基に関して、用語「独立して」とは、1超のそのような置換基が可能である場合、そのような置換基は互いに同じでも異なってもよいことを意味する。
【0064】
本明細書で使用するとき、表記「*」は、立体中心の存在を示すものとする。本発明の化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する場合、それらはしかるべく鏡像異性体として存在することができる。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。好ましくは、化合物がエナンチオマーとして存在する場合、エナンチオマーは、約80%以上のエナンチオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のエナンチオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のエナンチオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のエナンチオマー過剰率で存在する。同様に、化合物がジアステレオマーとして存在する場合、ジアステレオマーは、約80%以上のジアステレオマー過剰率で、より好ましくは約90%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約95%以上のジアステレオマー過剰率で、更により好ましくは約98%以上のジアステレオマー過剰率で、最も好ましくは約99%以上のジアステレオマー過剰率で存在する。
【0065】
更に、本発明の化合物のいくつかの結晶形態は多型として存在することができ、そのようなものは、本発明に含まれることが意図される。加えて、本発明のいくつかの化合物は、水との溶媒和物(すなわち、水和物)又は通常の有機溶媒との溶媒和物を形成することができ、そのような溶媒和物も、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0066】
本開示全体で使用される標準的な命名法の下では、指定される側鎖の末端部が最初に記載され、結合点に向かって隣接する官能基が続く。したがって、例えば、「フェニルC1〜C6アルキルアミノカルボニルC1〜C6アルキル」置換基は、以下の式の基を指す。
【0067】
【化22】

【0068】
明細書、特にスキーム及び実施例で使用される略語は、以下の通りである。
【0069】
【表2】

【0070】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、「処置する」、「処置」などの用語は、疾患、病状、又は障害への対処を目的とする、被験体又は被験体(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)の管理及びケアを包含し、また、症状若しくは合併症の発現の予防、症状若しくは合併症の緩和、又は疾患、病状、若しくは障害の根絶のための、本発明の化合物の投与を包含するものとする。
【0071】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「予防」は、(a)1つ以上の病状の頻度の低減、(b)1つ以上の病状の重篤度の低下、(c)更なる病状の発現の遅延若しくは回避、及び/又は(d)疾患若しくは病状の発現の遅延若しくは回避を含むものとする。
【0072】
本発明が予防方法を目的とする場合、この方法を必要とする被験体(すなわち、予防を必要とする被験体)が、予防されるべき障害、疾患、若しくは病状のうち少なくとも1つの症状を経験又は示している任意の被験体あるいは被験体をも包含することを、当業者は理解するであろう。更に、この方法を必要とする被験体は加えて、予防されるべき障害、疾患、又は病状のいずれの症状も示していないが、それらの障害、疾患、又は病状の発現のリスクがあると医師、臨床医、又は他の医療専門家によって見なされている被験体(好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト)であってもよい。例えば、限定されるものではないが、家族暦、個体素因、合併(併発)障害又は合併(併発)症状、遺伝子検査などを含めた、被験体の医療履歴の結果として、被験体は障害、疾患又は病状の発現のリスクがあると(またそれゆえ、予防又は予防的処置の必要があると)見なされる場合がある。
【0073】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。好ましくは、被験体は、処置及び/又は予防するべき疾病又は疾患の少なくとも1つの症状を経験及び/又は示している。
【0074】
本明細書で使用するとき、用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められている、処置されている疾病又は疾患の症状の緩和を含む組織系、動物又はヒト内で生体学的反応又は医薬反応を引き出す活性化合物又は医薬的薬剤の量を意味する。
【0075】
本明細書で使用するとき、用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む製品、及び特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的又は間接的に得られる任意の製品を包含することを意図する。
【0076】
本明細書で使用するとき、用語「DPP−1介在性疾患」は、DPP−1活性の阻害によって介在され得る任意の症状、疾病又は疾患を含むものとする。当業者は、DPP−1により介在される疾患として、以下のものが非限定的に挙げられることを認識するであろう。
(a)気道疾患:気管支性、アレルギー性、内因性、外因性、運動誘発性、薬物性(アスピリン誘発性及びNSAID誘発性を含む)、及びダスト誘発性ぜんそくなどで、間欠性及び持続性の両方、及び全ての重篤度を含むぜんそく、並びに別の原因の気道反応性亢進を含む気道の閉塞性疾病など;慢性閉塞性肺疾患(COPD);感染性及び好酸性気管支炎などの気管支炎;気腫;気管支拡張症;嚢胞性線維症;サルコイドーシス(sacroidosis);農夫肺及び関連疾患;過敏性肺炎(pnemonitis);特発性線維化性肺胞炎、特発性間質性肺炎、抗新生物薬療法及び慢性感染症(結核及びアスペルギルス症、並びにその他真菌感染症など)に合併症である線維症などの肺線維症;肺移植の合併症;肺脈管系の脈管炎(vascullitic)及び血栓疾患、並びに肺高血圧症;気道の炎症性及び分泌性状態に伴う慢性咳、並びに医原性咳の処置などの鎮咳活性;薬物性鼻炎、及び血管運動性鼻炎などの急性及び慢性鼻炎;神経性鼻炎などの通年性及び季節性アレルギー性鼻炎(枯草熱);鼻ポリープ;感冒、並びに呼吸器合胞体ウイルス、インフルエンザ、コロナウイルス(SARSを含む)、及びアデノウイルスによる感染症などの急性ウイルス感染症;
(b)皮膚疾患:乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎(dermatatis)又は他の湿疹性皮膚病(deramtoses)、及び遅延型過敏反応;植物性及び光性皮膚炎;脂漏性皮膚炎(dermatistis)、ヘルペス状(herptiformis)皮膚炎、扁平苔癬、硬化性(slerosus)萎縮性苔癬、壊疽性膿皮症、皮膚サルコイド、円板状紅斑性狼瘡、天疱瘡、類天疱瘡、表皮水疱症、じんま疹、血管皮膚炎、血管炎、中毒性(toxid)紅斑、好酸球性皮膚血管炎(cutaceous eosinopiliass)、円形脱毛症、男性型脱毛症、スウィート症候群、ウェーバー・クリスチャン症候群、多形性紅斑;感染性及び非感染性両方の蜂窩織炎;脂肪織炎;皮膚(cutaceous)リンパ腫、非黒色腫皮膚癌、及び他の異形成病変;固定薬疹などの薬物性疾患;
(c)眼疾患:眼瞼炎、通年性及び春季アレルギー性結膜炎などの結膜炎;虹彩炎;前部及び後部ぶどう膜炎;脈絡膜炎;網膜を侵す自己免疫性、退行性、又は炎症性疾患;交感性眼炎(opthalmitis)などの眼炎;サルコイドーシス;ウイルス性、真菌性、及び細菌性などの感染症;
(d)泌尿生殖器疾患:間質性及び糸球体腎炎(glomerulnephritis)などの腎炎;腎炎症候群;急性及び慢性(間質性)膀胱炎、並びにハナー潰瘍などの膀胱炎;急性及び慢性尿道炎、前立腺炎、精巣上体炎、卵巣炎及び卵管炎;外陰腟炎;ペロニー病;勃起不全;
(e)同種移植片拒絶性疾患:例えば、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、皮膚、若しくは角膜の移植後、又は輸血後の急性及び慢性疾患;又は慢性移植片対宿主病;
(f)関節リウマチ、過敏性腸症候群、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、橋本甲状腺炎、グレーブス病、アジソン病、真性糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、好酸球性筋膜炎、高IgE症候群、抗リン脂質抗体症候群、及びセザリー(Sazary)症候群などの自己免疫性及びアレルギー性疾患;
(g)癌:前立腺、乳房、肺、卵巣、膵臓、腸及び結腸、胃、皮膚などの一般的な癌、並びに、骨髄(白血病を含む)及びリンパ球増殖系を侵す脳腫瘍及び悪性腫瘍、例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫の処置など;転移性疾病及び腫瘍再発、並びに腫瘍随伴(paraneoplstic)症候群の予防及び処置など;
(h)感染性疾病:ウイルス性疾病、例えば、性器疣贅、尋常性疣贅、足底疣贅、B型肝炎、C型肝炎、単純ヘルペスウイルス、伝染性軟属腫、痘瘡、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹(varicella zoser)ウイルス(VZV)、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、インフルエンザ、パラインフルエンザ;細菌性疾病、例えば、結核菌(tubercuavium)、ハンセン病;その他感染性疾病、例えば真菌症、クラミジア、カンジダ、アスペルギルス、クリプトコッカス髄膜炎、カリニ肺炎菌(pneumocystis carnii)、クリプトスポリジウム症、ヒストプラスマ症、トキソプラズマ症、トリパノソーマ感染症、及びリーシュマニア症。
【0077】
別の実施形態では、本発明は、DDP−1介在性疾患の処置及び/又は予防のための方法を目的とし、DPP−1介在性疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ぜんそく、急性肺傷害、成人呼吸促迫症候群、腹部又は胸部大動脈瘤、関節リウマチ、変形性関節症、多発性硬化症、敗血症、及びトキソプラズマ症(taxoplasmosis)からなる群から選択される。
【0078】
別の実施形態では、本発明は、DDP−1介在性疾患の処置及び/又は予防のための方法を目的とし、DPP−1介在性疾患は、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される。
【0079】
記載された説明においてより広範囲に与えられる場合、「反応させる」及び「反応した」というような用語は(a)こうした化学物質の実際に記載された形態、及び(b)化合物が名付けられるときに考慮されている媒質中でのこうした化学物質の任意形態、のいずれか1つである化学物質を参照して本明細書で使用される。
【0080】
当業者は、特に指示がない限り、反応工程は、適切な条件下で、既知の方法に従って行われ、所望の生成物を提供することを認識するであろう。当業者は、更に、本明細書に提示された明細書及び特許請求の範囲において、試薬又は試薬のクラス/種類(例えば、塩基、溶媒等)が方法の1を超える工程に引用されている場合、個々の試薬は、各反応工程に関して独立して選択され、同一であっても又は互いに異なっていてもよいことを認識するであろう。例えば、方法の2つの工程が、試薬として有機又は無機塩基を挙げている場合、第1工程に関して選択される有機又は無機塩基は、第2工程の有機又は無機塩基と同一でも又は異なっていてもよい。更に、当業者であれば、本発明の反応工程を、様々な溶媒又は溶媒系中で行うことができ、かかる反応工程はまた、好適な溶媒又は溶媒系の混合物中でも行うことができることを認識するであろう。
【0081】
好適な溶媒、塩基、反応温度、並びに他の反応パラメータ及び成分の例は、本明細書で以下に詳細に説明される。当業者は、上記例の列挙が、以後の特許請求の範囲に記載される発明を決して限定する意図はなく、そのように解釈すべきではないことを認識する。
【0082】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書に記載する量的表現の一部は、用語「約」で修飾しない。用語「約」が明確に用いられていようといまいと、本明細書に記載する全ての量はその実際値を指すことを意味し、またこのような値の実験及び/又は測定条件による近似値を含む、当該技術分野における通常の技量に基づいて合理的に推測されるこのような値の近似値を指すことも意味することが理解される。
【0083】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書の量的表現のいくつかは、約量X〜約量Yの範囲として列挙される。範囲が記載されている場合、その範囲は、記載された上限及び下限に限定されるものではなく、約量X〜約量Yの全範囲、又はその中の任意の範囲の量を含むものと理解される。
【0084】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「脱離基」は、置換又は変位反応中に離脱する帯電又は非帯電の、原子又は基を意味するものとする。好適な例には、Br、Cl、I、メシラート、トシラートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の化合物の任意の製造方法中、関与する任意の分子の感受性又は反応性基を保護することが必要及び/又は望ましい場合がある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry(J.F.W.McOmie編、Plenum Press,1973)、及びProtective Groups in Organic Synthesis(T.W.Greene & P.G.M.Wuts、John Wiley & Sons,1991)に記載されるような、従来の保護基による手法で実施することができる。保護基は、当該技術分野において既知の方法を用いて、都合のよいその後の段階で除去してよい。
【0086】
本明細書で使用するとき、特に指摘がない限り、用語「窒素保護基」は、窒素原子に結合してその窒素原子が反応に参加することから保護することができ、また反応後に容易に除去できる基を意味するものとする。好適な窒素保護基としては、カルバメート−式−C(O)OR[式中、Rは、例えばメチル、エチル、t−ブチル、ベンジル、フェニルエチル、CH2=CH−CH2−等である]の群、アミド−式−C(O)−R’[式中、R’は、例えばメチル、フェニル、トリフルオロメチル等]の基、N−スルホニル誘導体−式−SO2−R”[式中、R”は、例えばトリル、フェニル、トリフルオロメチル、2,2,5,7,8−ペンタミチルクロマン−6−イル−、2,3,6−トリメチル−4−メトキシベンゼン等]の基が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な窒素保護基は、T.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などの教科書に見出すことができる。
【0087】
本明細書で使用するとき、特に断りがない限り、用語「酸素保護基」は、酸素原子に結合することで、かかる酸素原子を反応への参加から保護することができ、反応後には容易に除去できる基を意味するものとする。好適な酸素保護基としては、アセチル、ベンゾイル、t−ブチル−ジメチルシリル、トリメチルシリル(TMS)、MOM、THPなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な酸素保護基は、T.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991などの教科書に見出すことができる。
【0088】
本発明による化合物を製造する方法により立体異性体の混合物が生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーのような従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で製造してもよく、又は個々の鏡像異性体をエナンチオ特異的合成、又は分割のいずれかにより製造してもよい。化合物は、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸のような光学的に活性な酸とともに塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行うような、標準的な技術により、その成分であるエナンチオマーに分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割してもよい。
【0089】
加えて、標準物質に対するキラルHPLCを用いて、鏡像体過剰率(%ee)を決定することができる。鏡像体過剰率は、以下のように算出することができる。
[(Rモル−Sモル)/(Rモル+Sモル)]×100%
式中、Rモル及びSモルは、Rモル+Sモル=1となるような、混合物中のR及びSモル分率である。別の方法としては、鏡像体過剰率は、以下のように、所望の鏡像体及び調製された混合物の旋光度から算出することもできる。
ee=([α−obs]/[α−max])×100
【0090】
薬剤で使用するために、本発明の化合物の塩は非毒性の「医薬的に許容され得る塩」を指す。しかし他の塩も本発明による化合物又はそれらの医薬的に許容され得る塩の調製に有用となり得る。化合物の適切な医薬的に許容され得る塩には酸付加塩が挙げられ、これは例えば、化合物の溶液を、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酢酸、酒石酸、カルボン酸、又はリン酸のような薬剤として許容される酸の溶液と混合することにより形成することができる。更に、本発明の化合物が酸性部分を持つ場合、その適切な医薬的に許容され得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム若しくはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム若しくはマグネシウム塩;及び適切な有機リガンドと形成される塩、例えば四級アンモニウム塩を含むことができる。したがって、代表的な、医薬的に許容され得る塩には以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、硼酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート、エシラート、フマル酸塩、グリセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキシルレゾルシネート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフタレン酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナプシレート、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩。
【0091】
医薬的に許容され得る塩の調製に使用され得る代表的な酸としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルコロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸(sebaic acid)、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸。
【0092】
医薬的に許容され得る塩の調製に使用され得る代表的な塩基には、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リシン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛などの塩基。
【0093】
本発明はその範囲内に、本発明の化合物のプロドラッグを含む。概して、そのようなプロドラッグは、必要な化合物へとインビボで容易に変換され得る化合物の機能的誘導体である。すなわち、本発明の治療法では、用語「投与」は、記載する種々の障害の、具体的に開示する化合物を用いた、又は具体的には開示しなくともよいが、被験体に投与された後にインビボで特定の化合物に転換する化合物を用いた治療を包含すべきである。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する通常の手順は、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard編、Elsevier,1985に述べられている。
【0094】
式(I)の化合物は、スキーム1に概説される方法に従って製造することができる。
【0095】
【化23】

【0096】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である式(V)の好適に置換された化合物を、既知の化合物であるヒドラジンと、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの好適に選択されたアルコール中で反応させ、対応する式(VI)の化合物を得る。
【0097】
式(VI)の化合物を、好適に置換された式(VII)の化合物(式中、PG1は、好適に選択された窒素保護基、例えばBOC、−C(O)−CF3などである)と、EDC、HATUなどと組み合わせた好適に選択されたカップリング剤、例えばHOBtの存在下で、有機塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で、好適に選択された触媒、例えば、DMAPなどの存在下で、DMF、NMPなどの好適に選択された有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させ、対応する式(VIII)の化合物を得る。
【0098】
式(VIII)の化合物を、好適に置換された式(IX)の化合物(式中、X1は、好適に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨード、トリフラートなどである)と、好適に選択された触媒、例えばPh(PPh32Cl2、Pd(OAc)2Cl2、Pd(dppf)Cl2、Pd(dppp)Cl2などの存在下で、好ましくはCuIの存在下で、塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で、例えば、DMF、NMPなどの好適に選択された有機溶媒中で、約50℃〜約100℃の範囲、例えば約70℃の温度で反応させ、対応する式(X)の化合物を得る。
【0099】
式(X)の化合物を既知の方法に従って脱保護し、対応する式(I)の化合物を得る。例えば、PG1が−C(O)−CF3の場合、式(X)の化合物を、好適に選択された塩基、例えばNaOH、KOHなどと、例えばTHF、メタノール、エタノールなどの好適に選択された有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させることにより、脱保護してよい。あるいは、PG1がBOCなどの場合、式(X)の化合物を、好適に選択された酸(aci)、例えばHCl、TFAなどと、DCM、1,4−ジオキサンなどの好適に選択された有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させることにより、脱保護してよい。
【0100】
式(I)の化合物(例えば、R1がピペリジニル−オキシ−基である式(I)の化合物)は、以下のスキーム2に概説されるプロセスに従って代替的に調製することができる。
【0101】
【化24】

【0102】
これによると、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(V)の化合物を、好適に置換された式(IX)の化合物(式中、X1は、好適に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨード、トリフラートなどである)と、好適に選択された触媒、例えばPh(PPh32Cl2、Pd(OAc)2Cl2、Pd(dppf)Cl2、Pd(dppp)Cl2などの存在下で、好ましくはCuIの存在下で、塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で、例えばDMF、NMPなどの好適に選択された有機溶媒中で、約50℃〜約100℃の範囲、例えば約70℃の温度で反応させ、対応する式(XI)の化合物を得る。
【0103】
式(XI)の化合物を、既知の化合物であるヒドラジンと、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの好適に選択されたアルコール中で反応させ、対応する式(XII)の化合物を得る。
【0104】
式(XII)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(XIII)の化合物と、EDCなどと組み合わせた好適に選択されたカップリング剤、例えばHBTU、HATU、HOBtの存在下で、好適に選択された有機塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で、触媒、例えばDMAPなどの存在下で、例えばDMF、NMPなどの好適に選択された有機溶媒中で反応させ、対応する式(XIV)の化合物を得る。
【0105】
式(XIV)の化合物を既知の方法に従って脱保護し、対応する式(I)の化合物を得る。例えば、PG2が−C(O)−CF3の場合、式(XIV)の化合物を、好適に選択された塩基、例えばNaOH、KOHなどと、例えばTHF、メタノール、エタノールなどの好適に選択された有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させることにより、脱保護してよい。あるいは、PG2がBOCなどの場合、式(XIV)の化合物を、好適に選択された酸、例えばHCl、TFAなどと、例えばDCM、1,4−ジオキサンなどの好適に選択された有機溶媒又はそれらの混合物中で反応させることにより、脱保護してよい。
【0106】
当業者は、式(I)の化合物において、R1基がピペリジン−3−イル−オキシ又はピペリジン−4−イル−オキシのとき、式(IX)の化合物において、ピペリジニル基の1位の窒素が、好ましくは好適に選択された窒素保護基、例えばBOC、−C(O)−CF3、CBzなどで保護されること、かかる窒素保護基が、先に概説した反応工程を通じて窒素上に維持されること、更には、かかる窒素保護基が、既知の方法により、PG2基の除去と同時に、又はPG2基の除去の前又は後に連続して除去されることを認識するであろう。
【0107】
例えば、R1がピペリジン−3−イル−オキシ又はピペリジン−4−イル−オキシのとき、ピペリジニル環の窒素原子をBOC基で保護することができ、BOC基を、好適に選択された酸、例えばHCl、TFAなどと、例えばDMFなどの好適に選択された有機溶媒中で反応させることにより、(PG2基と同時に、又はこの基の除去に連続して)除去できる。
【0108】
式(I)の化合物は、以下のスキーム3に概説されるプロセスに従って代替的に調製することもできる。
【0109】
【化25】

【0110】
これによると、好適に置換された式(V)の化合物を、好適に置換された式(XVI)の化合物(式中、X2は、好適に選択された脱離基、例えばブロモ、ヨード、トリフラートなどである)と、好適に選択された触媒、例えばPh(PPh32Cl2、Pd(OAc)2Cl2、Pd(dppp)Cl2、Pd(dppf)Cl2などの存在下で、好ましくはCuIの存在下で、塩基、例えばTEA、DIPEA、ピリジンなどの存在下で、触媒、例えばDMAPなどの存在下で、例えばDMF、NMPなどの好適に選択された有機溶媒中で、約50℃〜約100℃の範囲、例えば約70℃の温度で反応させ、対応する式(XVII)の化合物を得る。
【0111】
式(XVII)の化合物を、既知の化合物又は既知の方法により調製された化合物である好適に置換された式(XVIII)の化合物と、好適に選択されたカップリング剤、例えばPd(PPh34、Pd(OAC2)Cl2、Pd(dppf)Cl2などの存在下で、例えば1,4−ジオキサン、水、THFと水の混合物などの好適に選択された溶媒又はそれらの混合物中で反応させ、対応する式(XI)の化合物を得る。
【0112】
式(XI)の化合物を、既知の化合物であるヒドラジンと、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの好適に選択されたアルコール中で反応させ、対応する式(XII)の化合物を得る。
【0113】
式(XII)の化合物を、上記スキーム2に記載するように更に反応させ(例えば、好適に置換された式(XIII)の化合物と、後続の脱保護により)対応する式(I)の化合物を得る。
【0114】
本発明は、医薬的に許容し得るキャリアを有する、1つ以上の式(I)の化合物を含有する医薬的組成物を更に含んでなる。活性成分として本明細書に記載した本発明の化合物の1つ以上を含有する医薬的組成物は、従来の医薬品配合技術に従って、化合物(単数又は複数)を医薬キャリアとよく混合することによって製造できる。キャリアは、所望の投与経路(例えば、経口、非経口)に応じて様々な形態をとってよい。したがって、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適なキャリア及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、安定剤、着色剤等が挙げられ、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体経口製剤では、好適なキャリア及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。固体経口製剤は、糖のような物質でコーティングされてもよく、又は主要な吸収部位を調節するために腸溶コーティングされていてもよい。非経口投与では、キャリアは通常、滅菌水からなり、溶解度の上昇又は保存のために他の成分を添加してもよい。注入用の縣濁液又は溶液はまた、水性キャリアを適切な添加剤と共に用いて製造してもよい。
【0115】
本発明の医薬的組成物を製造するために、活性成分としての1つ又はそれ以上の本発明の化合物を、従来の医薬品配合技術に従って、医薬キャリアと共にしっかりと混合するが、このキャリアは、例えば経口又は筋肉内のような非経口投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態をとることができる。経口剤形における組成物の製造には、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。したがって、例えば、縣濁剤、エリキシル剤及び液剤のような液体経口製剤では、好適なキャリア及び添加剤としては、水、グリコール、油、アルコール、香味剤、保存剤、着色剤及び同様物が挙げられ、散剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ及び錠剤のような固体経口製剤では、好適なキャリア及び添加剤としては、デンプン、糖、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が挙げられる。投与が容易であるため、錠剤及びカプセル剤は最も有利な経口投薬量単位形であり、その場合、固体医薬キャリアが明らかに使用される。所望により、錠剤は、標準的な技術により、糖コーティング又は腸溶コーティングされてよい。非経口の場合、キャリアは、通常、滅菌水を含むが、例えば、溶解性を助けるなどの目的のため、又は保存のために他の成分を含んでよい。注入用の縣濁液も製造することができ、その場合、適切な液体キャリア、懸濁化剤等を使用することができる。本明細書の医薬的組成物は、投薬量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射液、茶さじ一杯等あたり、上述した有効投薬量を送達するのに必要な活性成分の量を含むであろう。本明細書の医薬的組成物は、投薬量単位(例えば錠、カプセル、粉末、注射、坐剤、茶さじなど)当たり約0.01〜約1,000mg又はこの中の任意の量若しくは範囲を含有し、約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲、好ましくは約0.1〜約50mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲、好ましくは約0.1〜約25mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲、好ましくは約0.1〜約15mg/kg/日又はこの中の任意の量若しくは範囲の投薬量で与えてよい。しかしながら、この投薬量は、被験体の要件、処置される症状の重篤度、及び使用される化合物に応じて変わり得るものである。連日投与又は周期後投与のいずれを用いてもよい。
【0116】
好ましくは、これらの組成物は、経口、非経口、鼻腔内、舌下若しくは直腸投与、又は吸入若しくは吹送による投与のための、例えば錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒、無菌非経口溶液又は縣濁液、定量エアゾール又は液体噴霧剤、ドロップ、アンプル、自動注入装置又は坐薬のような単位剤形である。あるいは、組成物は、週1回又は月1回投与に好適な形態で存在することができ、例えば、デカン酸塩のような活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注入のためのデポー製剤を提供するよう適合され得る。錠剤のような固体組成物の製造に関しては、主要活性成分を、医薬キャリア、例えば、トウモロコシデンプン、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、又はゴムのような従来の錠剤化成分、及び他の医薬希釈剤、例えば水と混合して、本発明の化合物又はその医薬的に許容され得る塩の均質混合物を含む固体予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物を均質と称するとき、これは、活性成分が組成物全体にむらなく分散し、その結果、組成物は同等に効果的な、錠剤、丸剤及びカプセル剤のような剤形に容易に分割できることを意味する。この固体予備配合組成物は、次に0.01〜約1,000mgの本発明の活性成分を含有する、上述した種類の単位剤形に分割される。新規な組成物の錠剤又は丸剤は、長期間作用するという利点を付与する剤形を提供するためにコーティングすること又は別の方法で配合することができる。例えば、錠剤又は丸剤は、内側投与成分及び外側投与成分を含むことができ、後者は前者の外被の形態である。2つの成分は、胃での崩壊を阻止し、また内側成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、又は放出を遅延させることができる腸溶性の層により分離されることができる。このような腸溶性層又はコーティング用には様々な材料を使用することができ、そのような材料としては、セラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースのような材料を伴う多数のポリマー酸が挙げられる。
【0117】
経口投与又は注入により本発明の新規組成物を組み込み得る液体形としては、水性液剤、好適に香味付けされたシロップ剤、水性又は油性縣濁剤、及び綿実油、ゴマ油、ヤシ油又はピーナッツ油のような食用油を含む香味付けされたエマルション、並びにエリキシル剤及び同様の医薬賦形剤が挙げられる。水性縣濁剤のための好適な分散剤又は懸濁化剤としては、合成及び天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニル−ピロリドン又はゼラチンが挙げられる。
【0118】
本発明に記載される処置方法は、また、本明細書に定義される任意の化合物、及び医薬的に許容され得るキャリアを含む医薬的組成物を用いて実施してもよい。医薬的組成物は、約0.01mg〜約1000mg又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物、好ましくは約1.0〜500mg又はこの中の任意の量若しくは範囲の化合物を含んでもよく、選択される投与様式に好適な任意の形態に構成することができる。キャリアは、結合剤、懸濁化剤、滑沢剤、着香剤、甘味剤、保存剤、染料、及びコーティングが挙げられるがこれらに限定されない必要及び不活性な医薬賦形剤を含む。経口投与用に好適な組成物としては、丸剤、錠剤、カプレット剤、カプセル剤(それぞれ、迅速放出、時限放出及び持続放出製剤を含む)、顆粒、及び散剤のような固体形、並びに液剤、シロップ剤、エリキシル剤、及び懸濁剤のような液体形が挙げられる。非経口投与用に有用な形態としては、滅菌液剤、エマルション及び縣濁液が挙げられる。
【0119】
有利なことに、本発明の化合物は、1回に1日量を投与してもよく、又は全1日量を1日2回、3回又は4回に分割して投与してもよい。更に、本発明のための化合物は、当業者に周知の、好適な鼻腔内賦形剤の局所使用による経鼻投与形で、又は経皮皮膚貼付剤を介して投与してもよい。経皮送達系の形で投与するために、投薬量の投与は、勿論、投薬レジメン全体にわたって断続的ではなく連続的であろう。
【0120】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与のために、活性薬物成分をエタノール、グリセロール、水等のような、経口、非毒性、医薬的に許容され得る不活性キャリアと組み合わせることができる。更に、所望又は必要であれば、好適な結合剤、滑沢剤、崩壊剤及び着色剤を混合物中に組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、ブドウ糖又はβ−乳糖などの天然糖、トウモロコシ甘味剤、アカシア、トラガカントのような天然及び合成ゴム、又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガム等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
液体は、合成及び天然ゴム、例えば、トラガカント、アカシア、メチル−セルロース等のような好適に香味付けされた懸濁化剤又は分散剤の形態をとる。非経口投与のためには、滅菌縣濁液及び溶液が望ましい。静脈内投与が望ましいとき、好適な保存剤を一般に含有する等張製剤を用いる。
【0122】
本発明の医薬的組成物を調製するには、有効成分としての式(I)の化合物を、従来の医薬的配合技術に従って、医薬キャリアと共に緊密に混合するが、キャリアは、投与(例えば、経口又は非経口)に所望される製剤の形態に応じて、非常に様々な形態をとることができる。医薬的に許容され得る好適なキャリアは、当該技術分野にて周知である。これらの医薬的に許容され得るキャリアのいくつかの説明は、米国薬剤師会(American Pharmaceutical Association)及び英国薬剤師会(Pharmaceutical Society of Great Britain)出版の「Handbook of Pharmaceutical Excipients」に見出すことができる。
【0123】
医薬的組成物を配合する方法は、Marcel Dekker,Incから出版されている多数の刊行物、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第2版、改定及び拡大版、1〜3巻、Liebermanら編集;Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、1〜2巻、Avisら編集;及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems、1〜2巻、Liebermanら編集、に記載されている。
【0124】
本発明の化合物は、DPP−1によって介在される疾患の処置が必要な際にはいつでも、任意の前述の組成物で、及び当該技術分野において確立された投与レジメンに従って投与することができる。
【0125】
製品の1日投薬量は、ヒト成人1日当たり0.1〜10,000mgの幅広い範囲、又はこの中の任意の量若しくは範囲で変動し得る。経口投与用に、組成物は、処置されるべき被験体への投薬量の対症的調整のために、好ましくは約0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250、500及び1,000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤形態で好ましく提供される。薬物の有効量は、通常、1日当たり約0.01mg/kg体重〜約100mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲の投薬量で供給される。好ましくは、この範囲は、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約50.0mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約25.0mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。より好ましくは、1日当たり約0.1mg/kg体重〜約15.0mg/kg体重、又はこの中の任意の量若しくは範囲である。化合物は、1日あたり1〜4回のレジメンで投与されてもよい。
【0126】
投与すべき最適用量は、当業者により容易に決定することができ、また使用される特定の化合物、投与モード、製剤の強度、投与モード、及び疾病症状の進行により変動するであろう。更に、被験体の年齢、体重、食事及び投与時間を含む、処置する具体的な被験体と関連する因子が、投薬量を調整する必要性をもたらす。
【0127】
当業者は、好適な、既知の及び一般に認められた細胞及び/又は動物モデルを使用したインビボ及びインビトロの両方での試験により、試験化合物の所定の疾患を処置又は予防する能力を予測できることを認識するであろう。例えば、Methot,N.,et al.,「In Vivo Inhibition of Serine Protease Processing Requires a High Fractional Inhibition of Cathepsin C」,Molecular Pharmacology,(2008),Vol.73,No.6,pp 1857〜1865では、カテプシンC(DPP−1)の阻害を測定するためのラットにおけるインビボアッセイについて開示している。
【0128】
当業者は更に、健康な被験体及び/又は所定の疾患に罹患している被験体におけるファースト・イン・ヒューマン(first-in-human)試験、投与量決定試験及び有効性試験を含むヒト臨床試験が、臨床及び医療分野で周知の方法に従って完了し得ることを認識するであろう。
【0129】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するために記載され、以下の特許請求の範囲に記載される本発明を如何様にも限定することを意図するものではなく、また解釈されるべきではない。
【0130】
以下の実施例において、いくつかの合成生成物は、残留物として単離されたものとして列挙されている。当業者は、用語「残留物」が、生成物が単離された物理的状態を限定するものではなく、例えば、固体、油、発泡体、ゴム、シロップ等を含み得ることを理解するであろう。
【実施例】
【0131】
実施例1(化合物#56)
(S)−2−アミノ−N−(5−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
【0132】
【化26】

【0133】
工程A:ペンタ−4−イン−1−アミン
1Lの丸底フラスコに、2−(ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン(25.3g、0.119モル)、エタノール(390mL)、及び水(4.4mL)を投入した。ヒドラジン(7.8mL、0.248モル)を加え、得られた混合物を室温で24時間攪拌した。水(90mL)を加え、得られた混合物を2N HClでpH 3に酸性化し、続いて室温で30分間攪拌した。固体を濾過で取り除き、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残留物に水(90mL)を加え、得られた混合物を氷/水浴を用いて冷却した。次に、得られた混合物に、10M NaOH溶液(100mL)をゆっくりと加えた。得られた混合物を室温で15分間攪拌し、ジクロロメタン(2×600mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過して減圧下で濃縮し、油としてペンタ−4−イン−1−アミンを得、これを更なる精製をせずに次の工程で用いた。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ 2.81(t,J=6.8Hz、2H),2.24〜2.31(m,2H),1.96(s,1H),1.62〜1.71(m,2H)。
【0134】
工程B:−(S)−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−酪酸
500mLの丸底フラスコに、(S)−2−アミノブタン酸(5.0g、0.048モル)、及びジクロロメタン(170mL)を投入した。得られた混合物を氷/水浴を用いて冷却し、無水トリフルオロ酢酸(8.8mL、0.063モル)をゆっくりと加え、得られた混合物を室温で18時間攪拌した。次に、得られた混合物を減圧下で濃縮し、油として2−(S)−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−酪酸を得、これを更なる精製をせずに次の工程で用いた。
【0135】
工程C:(S)−N−(ペンタ−4−イニル)−2−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)ブタンアミド
500mLの丸底フラスコに、2−(S)−(2,2,2−トリフルオロアセチルアミノ)−酪酸(5.0g、0.025モル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(4.5g、0.033モル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(6.4g、0.033モル)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(0.02g、0.163ミリモル)、及びジメチルホルムアミド(95mL)を投入した。次に、得られた混合物に、トリエチルアミン(10.6mL、0.076モル)及びペンタ−4−イン−1−アミン(2.7g、0.033モル)を加えた。得られた混合物を室温で22時間攪拌し、続いて減圧下で濃縮し、得られた残留物を新しいシリカゲルクロマトグラフィー(Analogix IF−280、SF65−400gカラム、勾配90:10〜40:60のヘプタン:EtOAc)により精製し、(S)−N−(ペンタ−4−イニル)−2−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)ブタンアミドを得た。1H NMR(300MHz、CDCl3)δ 4.46〜4.53(m,1H),3.32〜3.48(m,2H),2.23〜2.29(m,2H),2.00(s,1H),1.86〜1.98(m,2H),1.71〜1.83(m,2H),0.91〜0.98(m,3H)。
【0136】
工程D:(S)−2−アミノ−N−(5−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
(S)−N−(ペンタ−4−イニル)−2−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)ブタンアミド(0.246g、0.93ミリモル)、4−ブロモフェニルメチルスルホン(0.200g、0.85ミリモル)、トリエチルアミン(5mL)、ヨウ化第一銅(copper iodine)(0.032g、0.17ミリモル)及びPd(PPh32Cl2(0.175g、0.25ミリモル)を無水DMF(5mL)に混合し、密封したチューブ内で一晩70℃に加熱した。次に、得られた混合物を減圧下で濃縮し、エチルアセテート(46mL)を残った残留物に加えた。得られた混合物を1N HCl(2×23mL)、水(23mL)、ブライン(23mL)で洗浄し、乾燥して(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残留物をエチルアセテート/ヘプタン(30:70)で溶出するクロマトグラフィーに通し、残留物を得た。残留物をTHF(0.5mL)/MeOH(0.13mL)に溶解し、0℃に冷却した。3N NaOH(0.10mL、0.30ミリモル)を加え、得られた混合物を室温まで加温して、一晩攪拌した。次に、得られた混合物を水(0.25mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。水層を塩化メチレン(3×5mL)で抽出し、乾燥して(MgSO4)、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、塩化メチレン/メタノール(95:5)で、続いて塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(95:5:0.4)で溶出するクロマトグラフィーに通し、(S)−2−アミノ−N−(5−(4−(メチルスルホニル)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミドを得た。ES−MS m/z 323(MH+)。
【0137】
実施例2(化合物#15)
(S)−2−アミノ−4−ヒドロキシ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
【0138】
【化27】

【0139】
N−Boc−L−ホモセリン(16mg、.075ミリモル、1.5当量)及びHOBT水和物(12mg、.085ミリモル、1.7当量)のDMF(2mL)溶液に、PS−カルボジイミド(Biotageから購入されるN−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロポキシメチルポリスチレンとしても知られている)(80mg、1.25ミリモル/g樹脂、0.1ミリモル、2.0当量)を加えた。10分後、第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの溶液(0.2MのDCM溶液を0.25mL、0.05ミリモル、1.0当量)を加え、得られた溶液を一晩攪拌した。次に、得られた溶液に、MP−カーボネート樹脂(95mg、2.64ミリモル/g樹脂、0.25ミリモル、5当量)を加え、懸濁液を2時間攪拌し、濾過し、樹脂をDCMで洗浄し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を20% TFA/DCM(2mL)に入れ、1時間攪拌してメタノール(1mL)を加え、得られた溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた残留物をHPLCで精製し、ゴムとして(S)−2−アミノ−4−ヒドロキシ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミドを得た。ESI−MS(m/z):C202933の計算値:360.2(M+1);測定値:360.2。
【0140】
当業者に認識されるように、好適に置換された試薬を選択して置き換えて、上記実施例2に記載の手順に従って以下の化合物を同様に調製した。
【0141】
実施例3(化合物#16)
(S)−2−アミノ−3−メチル−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
【0142】
【化28】

【0143】
ESI−MS(m/z):C213132の計算値:358.2(M+1);測定値:358.3。
【0144】
実施例4(化合物#18)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタンアミド
【0145】
【化29】

【0146】
ESI−MS(m/z):C213132の計算値:358.2(M+1);測定値:358.2。
【0147】
実施例5(化合物#19)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)−3−(1H−ピラゾール−1−イル)プロパンアミド
【0148】
【化30】

【0149】
ESI−MS(m/z):C222952の計算値:396.2(M+1);測定値:396.2。
【0150】
実施例6(化合物#3)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0151】
【化31】

【0152】
工程A:1−(4,4−ジメチルペンタ−1−エン−2−イル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン
室温で攪拌している3−ヨードフェノール(9.65g、43.9ミリモル)、1−Boc−4−ヒドロキシピペリジン(8.83g、43.9ミリモル)、トリフェニルホスフィン(12.65g、48.2ミリモル)のTHF(100mL)溶液に、DIAD(11.53g、57ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌し、次いで濃縮した。残留物をジエチルエーテル(200mL)に溶解した。ヘプタン(100mL)を加えた。得られた沈殿物を濾過により除去し、濾液を濃縮し、得られた残留物を、エチルアセテート/ヘプタンを0/100〜5/95で溶出するシリカゲルカラムに通して精製し、無色の油として1−(4,4−ジメチルペンタ−1−エン−2−イル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジンを得た。M+Na+=426.1。
【0153】
工程B:第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
室温で攪拌している1−(4,4−ジメチルペンタ−1−エン−2−イル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン(15.61g、38.7ミリモル)、2−(ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン(9.08g、42.6ミリモル)、CuI(1.47g、7.7ミリモル)のDMF(100mL)とトリエチルアミン(100mL)の混合溶液に、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(8.15g、11.6ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌し、次いで濃縮した。得られた残留物をエチルアセテート(300mL)に溶解し、得られた溶液を塩酸(1N)で2回、水で1回、ブラインで1回抽出し、続いて硫酸マグネシウム上で乾燥した。得られた溶液を濾過し、濃縮した。残留物を、エチルアセテート/ヘプタンを30/70〜40/60で溶出するシリカゲルカラムに通して精製し、濃色の油として第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MH+ 489.36。
【0154】
工程C:第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(10.65g、21.8ミリモル)のエタノール(100mL)溶液に、ヒドラジン(2.1g、65.4ミリモル)を加えた。得られた溶液を還流下で2時間加熱し、続いて室温まで冷却し、濾過して濃縮した。残留物をエチルアセテート(200mL)に溶解した。得られた溶液を水で2回、ブラインで1回抽出し、続いて硫酸マグネシウム上で乾燥した。得られた溶液を濾過して濃縮し、褐色の油として第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MH+ 359.33。
【0155】
工程D:(S)−第三−ブチル4−(3−(5−(2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタ−4−インアミド)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
攪拌している第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.59g、1.6ミリモル)、Boc−L−プロパルギルグリシン(0.35g、1.6ミリモル)、N−エチルジイソプロピルアミン(0.73mL、4.1ミリモル)のDMF(20mL)溶液に、HBTU(0.81g、2.1ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。(S)−第三−ブチル4−(3−(5−(2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタ−4−インアミド)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを、GilsonのHPLCを用い無色の油として単離して精製した。MH+ 554.44。
【0156】
工程E:(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
攪拌している(S)−第三−ブチル4−(3−(5−(2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタ−4−インアミド)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.26g、0.47ミリモル)のジクロロメタン(4.0mL)溶液に、TFA(1.0mL)を加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌し、次いで濃縮した。得られた残留物をGilsonのHPLCを用いて精製し、白色固体の対応するTFA塩として標題の化合物を得た。MH+ 354.31。
【0157】
実施例7〜19
当業者に認識されるように、工程DにおけるBoc−L−プロパルギルグリシン試薬の好適に置換された酸を選択して置き換えて、上記実施例6に記載の手順に従って以下の化合物を同様に調製した。
【0158】
【表3】

【0159】
実施例20(化合物#79)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−((R)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0160】
【化32】

【0161】
工程A:(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Aに記載の手順に従って、(S)−第三−ブチル3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートを1−Boc−4−ヒドロキシピペリジンの代わりに用いて、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の油として調製した。MH+ 404.11。
【0162】
工程B:(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Bに記載の手順に従って、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを1−(4,4−ジメチルペンタ−1−エン−2−イル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに用いて、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の油として調製した。MH+ 489.27。
【0163】
工程C:(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Cに記載の手順に従って、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを黒色の油として調製した。MH+ 359.27。
【0164】
工程D:(R)−2−アミノ−N−(5−(3−((S)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
実施例6の工程D及びEに記載の手順に従って、(R)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、黒色固体の対応するTFA塩として標題の化合物を調製した。MH+ 354.25。
【0165】
実施例21(化合物#78)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−((R)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
【0166】
【化33】

【0167】
実施例20の工程Dに記載の手順に従って、(S)−2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)ブタン酸をBoc−L−プロパルギルグリシンの代わりに用いて、対応するTFA塩として標題の化合物を調製した。MH+ 344.27。
【0168】
実施例22(化合物#85)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−((S)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0169】
【化34】

【0170】
工程A:(S)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Aに記載の手順に従って、(R)−第三−ブチル3−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートを1−Boc−4−ヒドロキシピペリジンの代わりに用いて、(S)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の油として調製した。MH+ 404.09。
【0171】
工程B:(S)−第三−ブチル3−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Bに記載の手順に従って、(S)−第三−ブチル3−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを1−(4,4−ジメチルペンタ−1−エン−2−イル)−4−(3−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに用いて、(S)−第三−ブチル3−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の油として調製した。MH+ 489.27。
【0172】
工程C:(S)−第三−ブチル3−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Cに記載の手順に従って、(S)−第三−ブチル3−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、(S)−第三−ブチル3−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを黒色の油として調製した。MH+ 359.26。
【0173】
工程D:(S)−2−アミノ−N−(5−(3−((S)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
実施例6の工程D及びEに記載の手順に従って、(S)−第三−ブチル3−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、黒色固体のTFA塩として標題の化合物を得た。MH+ 354.25。
【0174】
実施例23(化合物#80)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−((S)−ピペリジン−3−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ブタンアミド
【0175】
【化35】

【0176】
実施例22の工程Dに記載の手順に従って、(S)−2−(第三−ブトキシ−カルボニル−アミノ)ブタン酸をBoc−L−プロパルギルグリシンの代わりに用いて、対応するTFA塩として標題の化合物を調製した。MH+ 344.27。
【0177】
実施例24(化合物#6)
(S)−2−アミノ−N−(4−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタ−3−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0178】
【化36】

【0179】
工程A:第三−ブチル4−(3−(4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Bに記載の手順に従って、2−(ブタ−3−イニル)イソインドリン−1,3−ジオンを2−(ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオンの代わりに用いて、第三−ブチル4−(3−(4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを濃色の油として調製した。MH+ 475.3。
【0180】
工程B:第三−ブチル4−(3−(4−アミノブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
実施例6の工程Cに記載の手順に従って、第三−ブチル4−(3−(4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、第三−ブチル4−(3−(4−アミノブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを無色の油として調製した。MH+ 345.32。
【0181】
工程C:(S)−2−アミノ−N−(4−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタ−3−イニル)ペンタ−4−インアミド
実施例6の工程D及びEに記載の手順に従って、第三−ブチル4−(3−(4−アミノブタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートの代わりに用いて、白色固体の対応するTFA塩として標題の化合物を調製した。MH+ 340.32。
【0182】
実施例25(化合物#24)
(S)−2−アミノ−N−(4−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタ−3−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0183】
【化37】

【0184】
工程A:2−(5−(3−ブロモフェニル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン
1−ブロモ−3−フルオロ−ベンゼン(1.0mL、7.8ミリモル)、2−ペンタ−4−イニル−イソインドール−1,3−ジオン(1.8g、8.6ミリモル)、Pd(PPh32Cl2(191mg、0.27ミリモル)、CuI(118mg、0.62ミリモル)、及びトリエチルアミン(4.4mL、31.3ミリモル)をDMF(10mL)に入れ、室温で4時間攪拌した。次いで、反応を飽和NaHCO3で急冷し、得られた混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄してから、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物を順相クロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc)で精製し、2−(5−(3−ブロモフェニル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオンを得た。MH+ 368,370。
【0185】
工程B:2−(5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン
2−(5−(3−ブロモフェニル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン(0.31g、0.84ミリモル)、フェニルボロン酸(206mg、1.68ミリモル)、及びPd(PPh34(0.23、0.2ミリモル)をDME(5mL)に入れ、80℃で2時間攪拌した。次いで、反応を飽和NaHCO3で急冷し、得られた混合物をEtOAcで抽出し、ブラインで洗浄してから、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物を順相クロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc)で精製し、2−(5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオンを得た。MH+ 366.3。
【0186】
工程C:5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イン−1−アミン
2−(5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イニル)イソインドリン−1,3−ジオン(0.11g、0.30ミリモル)及びヒドラジン一水和物(0.030mL、0.60ミリモル)をエタノール(3mL)に入れ、80℃で2.5時間攪拌した。得られた混合物を濾過して減圧下で溶媒を除去し、5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イン−1−アミンを得、これを更なる精製をせずに次の工程で用いた。MH+ 236.2。
【0187】
工程D:(S)−2−アミノ−N−(4−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ブタ−3−イニル)ペンタ−4−インアミド
5−(ビフェニル−3−イル)ペンタ−4−イン−1−アミン(0.040g、0.17ミリモル)、2−第三−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタ−4−イン酸(40mg、0.19ミリモル)、HOBt(28mg、0.21ミリモル)、EDCI(40mg、0.21ミリモル)、及びDIEA(0.044mL、0.25ミリモル)をDMF(3mL)に入れ、室温で一晩攪拌した。次いで、反応を水で急冷し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウム上で乾燥して減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をDCM/TFA(4/1、5mL)に入れ、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、GilsonのHPLCで調製して対応するTFA塩として標題の化合物を得た。MH+ 331.2;1H NMR(300MHz,DMSO):δ 1.6〜1.8(m,3H),2.45(m,2H),2.7(s,2H),3.2〜3.4(m,2H),3.9(s,1H),7.3〜7.4(m,5H),7.6〜7.7(m,4H),8.3(s,2H),8.6(s,1H)。
【0188】
実施例26(化合物#7)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−メトキシ−5−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
【0189】
【化38】

【0190】
工程A:3−ブロモ−5−メトキシフェノール
1−ブロモ−3,5−ジメトキシ−ベンゼン(0.217g、0.001モル)及びKCN(0.20g、0.003モル)をDMSO(10mL)に入れ、得られた混合物を120℃で6時間、更に150℃で一晩攪拌した。混合物を1日攪拌しながらこの温度に維持した。次いで、反応を水で急冷し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO3、ブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウム上で乾燥して減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物を順相クロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc)で精製し、3−ブロモ−5−メトキシフェノールを得た。MH+ 203,205。
【0191】
工程B:第三−ブチル4−(3−ブロモ−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
3−ブロモ−5−メトキシフェノール(0.18g、0.89ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(0.284、1.07ミリモル)をTHF(5mL)に入れ、得られた混合物を0℃に冷却した。4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸第三−ブチルエステル(0.18g、0.89ミリモル)及びDIAD(0.207mL、1.07ミリモル)をTHF(5mL)に入れ、混合物にゆっくりと加え、続いて室温で一晩攪拌した。得られた混合物をEtOAcに入れ、飽和NaHCO3及びブラインで洗浄した。溶媒を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で除去した。得られた残留物を順相クロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)で精製し、第三−ブチル4−(3−ブロモ−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MH+ 386.2、388.2。
【0192】
工程C:第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
第三−ブチル4−(3−ブロモ−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.90g、2.3ミリモル)、2−ペンタ−4−イニル−イソインドール−1,3−ジオン(0.75g、3.45ミリモル)、Pd(PPh34(0.27g、0.23ミリモル)、CuI(45mg、0.23ミリモル)及びTEA(1mL)をDMF(2mL)に入れ、得られた混合物を80℃で6時間攪拌した。反応を水で急冷し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄した。溶媒を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で除去した。得られた残留物を順相クロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)で精製し、第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MH+ 519.2。
【0193】
工程D:第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
第三−ブチル4−(3−(5−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)ペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.500g、0.97ミリモル)及びヒドラジン一水和物(0.094mL、1.94ミリモル)をエタノール(5mL)に入れ、得られた混合物を80℃で2.5時間攪拌した。得られた混合物を濾過し、減圧下で溶媒を除去し、第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。MH+ 388.2。
【0194】
工程E:(S)−2−アミノ−N−(5−(3−メトキシ−5−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミド
第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)−5−メトキシフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.33g、0.85ミリモル)、2−第三−ブトキシカルボニルアミノ−ペンタ−4−イン酸(181mg、0.85ミリモル)、HOBt(138mg、1.02ミリモル)、EDCI(195mg、1.02ミリモル)、及びDIEA(0.22mL、1.28ミリモル)をDMF(5mL)に入れ、室温で一晩攪拌した。反応を水で急冷し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。有機層を飽和NaHCO3及びブラインで洗浄し、次に硫酸ナトリウム上で乾燥して減圧下で溶媒を除去した。得られた残留物をDCM/TFA(4/1、5mL)に入れ、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物をGilsonのHPLCで調製し、対応するTFA塩として(S)−2−アミノ−N−(5−(3−メトキシ−5−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)ペンタ−4−インアミドを得た。MH+ 384.3;1H NMR(300MHz,DMSO):δ 1.6〜1.8(m,4H),2.1(m,2H),2.4〜2.6(m,4H),2.7(s,2H),2.9〜3.4(m,6H),3.6(s,3H),3.985(m,1H),4.65(m,1H),6.5(d,2H),6.6(s,1H),8.3(s,2H),8.5〜8.7(m,1H)。
【0195】
実施例27(化合物#63)
(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)−3−(チオフェン−2−イル)プロパンアミド
【0196】
【化39】

【0197】
攪拌している第三−ブチル4−(3−(5−アミノペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.22g、0.61ミリモル)、boc−L−プロパルギルグリシン(0.35g、1.6ミリモル)、N−エチルジイソプロピルアミン(0.73mL、4.1ミリモル)のDMF(20mL)溶液に、HBTU(0.81g、2.1ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で一晩攪拌した。(S)−第三−ブチル4−(3−(5−(2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−2−イル)プロパンアミド)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを残留物として単離し、GilsonのHPLCを用いて精製した。
【0198】
攪拌している精製した(S)−第三−ブチル4−(3−(5−(2−(第三−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(チオフェン−2−イル)プロパンアミド)ペンタ−1−イニル)フェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.26g、0.47ミリモル)のジクロロメタン(1.6mL)溶液にTFA(0.4mL)を加え、得られた混合物を室温で1時間攪拌した。得られた溶液を濃縮し、残留物をGilsonのHPLCを用いて精製し、濃色の油の対応するTFA塩として(S)−2−アミノ−N−(5−(3−(ピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)ペンタ−4−イニル)−3−(チオフェン−2−イル)プロパンアミドを得た。MH+ 412.25。1H NMR(300MHz,DMSO),δ:8,50(1H,d),8.23(1H,s),7.43(1H,d),7.30(1H,m),6.90(3H,m),4.65(1H,m),3.96(1H,m),2.96〜3.30(8H,m),2.35(2H,m),2.10(2H,m),1.60〜1.80(4H,m)。
【0199】
当業者に認識されるように、好適に置換された試薬を選択して置き換えて、本明細書に概説されるスキーム及び実施例に記載の手順に従って、本発明の更なる化合物を同様に調製した。
【0200】
生物学的実施例1:DPP−1阻害アッセイ(インビトロ)
蛍光発生基質であるGR−AMC(グリシン−アルギニン−アミノ−4−メチルクマリン、Bachem、I−1215)を用いて、DPP−1(カテプシンC)阻害活性について試験化合物を評価した。放出されるアミノ−メチルクマリンの量はDPP−1活性に比例し、この反応を、黒色の96ウェルプレートを用いてMolecular Devicesのプレートリーダーで速度論的にモニターする。
【0201】
全ての化合物を室温条件で試験した。アッセイ緩衝液は、50mM HEPES(pH 7.0)、100mM NaCl、2mMグルタチオン(GSH)、及び0.002% TWEEN 20で構成した。GSH及びTWEEN 20を緩衝液に毎日新たに加えた。使用直前に、社内で調製した組み換えヒトDPP−1(240μM、原液、MW 49.6kD)を、新たに2mMジチオスレイトール(DTT)を含有させたアッセイ緩衝液で600倍に希釈して酵素を活性化し、続いて、3nMのDPP−1使用液としてアッセイ緩衝液(DTTを含まない)で133倍に希釈した。試験化合物を、最終アッセイ濃度の20倍にDMSOで希釈した。
【0202】
96ウェルの黒色Costar 3915プレートに、90μLの11μM GR−AMC、5μLの試験化合物(その後混合)を加え、5μLの3nM DPP1を加えて反応を開始した。Molecular Devices Spectramax XPSリーダーにおいて、360nmにおける励起、440nmにおける発光について蛍光反応を速度論的にモニターした。リーダーのSoftmax Proソフトウェアを用いて、選択したデータの初速度(反応の初期3〜5分間)、及び線形回帰に最もフィットする初期動力学的データを求めた。最終アッセイ条件は、0.15nM DPP−1、10μM GR−AMC、50mM HEPES(pH 7.0)、100mM NaCl、2mM GSH、0.002% TWEEN 20、1μM DTT、5.0% DMSOとした。DPP−1のIC50を決定するため、GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアを用いる4パラメーターロジスティック式(非線形回帰、シグモイド型用量反応(可変勾配)、固定ヒル係数(1.0))を使用して、試験化合物濃度に対して初速度をプロットした。アッセイ内変動係数(CV)は一般に<10%であり、アッセイ間CVは<20%であった。
【0203】
上記の手順に従って、本発明の代表的な化合物を試験し、結果を下の表2に列挙した。上記手順に従って化合物を複数回試験したときの平均値を下表に列挙する。更に、以下の表2には、本発明のかかる代表的な化合物の測定質量値、より詳細にはMH+イオンの質量を列挙する。
【0204】
【表4−1】

【0205】
【表4−2】

a この化合物については、約100μM超の測定値を超えるIC50値の算出に、試験した様々な濃度の数では十分ではなかった。
b この化合物については、約10μM超の測定値を超えるIC50値の算出に、試験した様々な濃度の数では十分ではなかった。
【0206】
固形経口投与製剤−予想例
経口組成物の特定の実施形態として、実施例27にあるように調製した100mgの化合物#63を、十分な微粉乳糖と共に配合し、580〜590mgの合計量を得て、サイズOの硬質ゲルカプセルに充填した。
【0207】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例と共に、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの均等物の範囲内に含まれるすべての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、
1は、水素、C3〜8シクロアルキル、フェニル、ベンジルオキシ−、及びピペリジニル−オキシ−からなる群から選択され、
【化2】

は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、
前記
【化3】

環状構造は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、ハロゲン化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロゲン化C1〜4アルコキシ、(C1〜4アルコキシ)−(C1〜4アルキル)−、(C1〜4アルキル)−SO2−、及び(C1〜4アルキル)−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で、必要により置換され、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ヒドロキシ置換C1〜4アルキル、NRAB−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、及びヘテロアリール−(CH21〜2からなる群から選択され、RA及びRBは、それぞれ独立して水素又はC1〜4アルキルから選択され、
ただし、R2はt−ブチル以外である化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
1は、水素、C5〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル−オキシ−、及びピペリジニル−オキシ−からなる群から選択され、
【化4】

は、フェニル、ナフチル、フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、
前記
【化5】

環状構造は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜4アルキル、フッ素化C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、(C1〜4アルコキシ)−(C1〜4アルキル)−、(C1〜4アルキル)−SO2−、及び(C1〜4アルキル)−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1〜4つの置換基で、必要により置換され、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、ヒドロキシ置換C2〜4アルキル、NRAB−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、及びヘテロアリール−(C1〜4アルキル)−からなる群から選択され、前記ヘテロアリールはピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、及びチエニルからなる群から選択され、RA及びRBは水素又はC1〜2アルキルからそれぞれ独立して選択され、
ただし、R2はt−ブチル以外である、請求項1に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
1は、水素、C5〜6シクロアルキル、フェニル、ベンジル−オキシ、ピペリジン−4−イル−オキシ、及びピペリジン−3−イル−オキシからなる群から選択され、前記R1基は2、3、又は4位で
【化6】

環に結合され、
【化7】

は、フェニル、ナフチル、9H−フルオレニル、イソキノリニル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニルからなる群から選択される環状構造であり、
フェニル又はナフサ−1−イルは、ヒドロキシ、ハロゲン、C1〜4アルキル、C1〜2アルコキシ、トリフルオロメチル、(C1〜2アルコキシ)−(C1〜2−アルキル)−、C1〜2アルキル−SO2−、及びC1〜2アルキル−C(O)−NH−からなる群から独立して選択される1〜4つの置換基で、必要により置換され、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、C1〜4アルキル、ヒドロキシ置換C1〜2アルキル、C2〜4アルケニル、C2〜4アルキニル、NH2−(C1〜2アルキル)−、シクロプロピル−メチル−、ベンジル−、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、ピリド−2−イル−メチル−、ピリド−3−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択され、
ただし、R2はt−ブチル以外である、請求項2に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
1は、水素、2−(シクロヘキシル)、2−(フェニル)、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択され、
【化8】

は、フェニル、2−ヒドロキシ−フェニル、4−イソプロピル−フェニル、2−メトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、2−トリフルオロメチル−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、4−トリフルオロメチル−フェニル、4−メチル−スルホニル−フェニル、2−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、4−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、3,6−ジメチル−フェニル、3,4−ジメトキシ−フェニル、3,5−ジメトキシ−フェニル、2,4,6−トリメチル−フェニル、2,3,5,6,−テトラメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、ナフサ−2−イル、2−ヒドロキシ−ナフサ−1−イル、2−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−メチル−ナフサ−1−イル、2−メトキシ−ナフサ−1−イル、2−(メトキシ−メチル)−ナフサ−1−イル、9H−フルオレン−2−イル、イソキノリン−4−イル、イソキノリン−5−イル、ベンゾフラ−5−イル、ベンゾチオフェン−5−イル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルからなる群から選択される環状構造であり、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ヒドロキシ−メチル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、アミノ−n−プロピル−、シクロプロピル−メチル、ベンジル、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、ピリド−2−イル−メチル−、ピリド−3−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択される、請求項3に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
1は、水素、2−(フェニル)、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択され、
【化9】

は、フェニル、2−ヒドロキシ−フェニル、4−イソプロピル−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、2−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、4−メチル−カルボニル−アミノ−フェニル、2,3−ジフルオロ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、2,4,6−トリメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、2−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−フルオロ−ナフサ−1−イル、4−メチル−ナフサ−1−イル、9H−フルオレン−2−イル、イソキノリン−5−イル、ベンゾフラ−5−イル、ベンゾチオフェン−5−イル、及び2,3,−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルからなる群から選択される環状構造であり、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、エチル、n−プロピル、n−ブチル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、ピラゾール−1−イル−メチル−、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択され、
星印の立体中心が(S)立体配置にある、請求項4に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
1は、水素、3−(フェニル)、4−(ベンジル−オキシ)、3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)、3−(ピペリジン−3R−イル−オキシ)、及び3−(ピペリジン−3S−イル−オキシ)からなる群から選択され、
【化10】

は、フェニル、4−イソプロピル−フェニル、4−メトキシ−フェニル、5−メトキシ−フェニル、3,4−ジフルオロ−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、ナフサ−1−イル、及び9H−フルオレン−2−イルからなる群から選択される環状構造であり、
nは0及び1から選択される整数であり、
2は、エチル、n−プロピル、ヒドロキシ−エチル、n−ブテン−3−イル、プロピン−2−イル、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択され、
星印の立体中心が(S)配置にある、請求項5に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
1は、水素、3−(フェニル)、及び3−(ピペリジン−4−イル−オキシ)からなる群から選択され、
【化11】

は、フェニル、4−メトキシ−フェニル、及び3,4−ジフルオロ−フェニルからなる群から選択される環状構造であり、
nは1であり、
2は、エチル、プロピン−2−イル、イミダゾール−4−イル−メチル−、及びチエン−2−イル−メチル−からなる群から選択され、
星印の立体中心が(S)配置にある、請求項6に記載の化合物、
又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
前記星印の立体中心が、前記(S)−立体配置のエナンチオマー過剰で存在する、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
医薬的に許容し得るキャリアと請求項1に記載の化合物とを含む、医薬的組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容し得るキャリアを混合する工程により製造される、医薬的組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容し得るキャリアとを混合する工程を含む、医薬的組成物を製造する方法。
【請求項12】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を、それを必要とする被験体に投与する工程を含む、DPP−1によって介在される疾患を処置する方法。
【請求項13】
前記DPP−1によって介在される疾患が、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
治療的に有効な量の請求項9に記載の組成物を被験体に投与する工程を含む、それを必要とする被験体における関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、又は腹部大動脈瘤を、処置する方法。
【請求項15】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物をそれを必要とする被験体に投与する工程を含む、関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される、疾患を処置する方法。
【請求項16】
(a)関節リウマチ、(b)ぜんそく、(c)慢性閉塞性肺疾患、(d)敗血症、(e)過敏性腸疾患、(f)嚢胞性線維症、又は(g)腹部大動脈瘤を、それを必要とする被験体において処置するための薬剤を調製するための、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項17】
関節リウマチ、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、敗血症、過敏性腸疾患、嚢胞性線維症、及び腹部大動脈瘤からなる群から選択される疾患を、それを必要とする被験体において処置する方法で使用するための、請求項1に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2013−509423(P2013−509423A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537052(P2012−537052)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054445
【国際公開番号】WO2011/059731
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(397060175)ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー. (28)
【Fターム(参考)】