説明

ETC表示灯制御装置

【課題】ルームミラーに設けられたETC車載器の表示灯の明るさを周囲の明暗に応じて変化させることができると共に、後続車両のヘッドライトがルームミラーで強く反射されても、表示灯の点消灯を見落とす恐れのないETC表示灯制御装置を提供する。
【解決手段】周囲光センサ4により昼夜を判別し、その判別結果に応じて異常表示灯10、正常表示灯11のうち点灯させるべき表示灯の発光レベルを高低制御する。また、夜間にあっては、後続車両のヘッドライトの光が自動防眩機能付きのルームミラー1で強く反射される場合、これをルームミラー1に設けられた後方光センサ5により検出し、防眩のためにミラー3の反射率が実際に低下するまでの間、表示灯の発光レベルを高くして表示灯の点灯を見落とすことがないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、状態表示用の表示灯を自動防眩機能付きのルームミラーに設けたETC車載器にあって、その表示灯の発光レベルを制御するためのETC表示灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装備されるルームミラーにおいて、ETC車載器を内蔵したルームミラーがある。このETC車載器内蔵型のルームミラーでは、その後部(運転席から見える側)にETC車載器の状態を表示する表示灯を設け、この表示灯によってETC車載器へのETCカードの挿入の有無を表示するようにしている。
【0003】
ところが、従来の表示灯は、その発光レベル(輝度)が一定であるため、車両の周囲の明るさによっては、暗いと感じたり、逆に明るすぎると感じたりすることがある。
周囲の明るさに応じて表示部の発光レベルを変えるようにした車載用表示装置として、特許文献1に記載されたものがある。これは、車両周囲の明るさを検出する光センサを設け、この光センサの光検出レベルに応じて表示装置の発光レベルを変える構成である。
【特許文献1】特開平5−16728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ルームミラーにETC車載器を設けた場合、ルームミラーという運転者にとって目に付き易い場所に表示灯が設置されることとなるため、ETC車載器の状態を判別し易いという利点がある半面、周囲光に比べて表示灯が暗すぎると、表示灯の点灯を見落としたり、逆に、表示灯が明るすぎると、表示灯の点灯を確認する際に眩しく感じたり、運転者の視野の片隅に絶えず表示灯の光が入ってきて、その存在が気になったりする。
このような問題を解消するために、上記した特許文献1のように、表示灯の発光レベルを周囲の明暗に応じて調整すると、夜間に表示灯の発光レベルを低くした状態のときに、後続車両のヘッドライトの光がルームミラーで強く反射されたような場合、表示灯の点灯を見落としてしまうという可能性がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ルームミラーに設けられたETC車載器の表示灯を制御するETC表示灯制御装置において、その表示灯の発光レベルを車両の周囲の明暗に応じて変化させることができると共に、夜間走行時に後続車のヘッドライトがルームミラーで強く反射されても、表示灯の点灯を見落とす恐れのないETC表示灯制御装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のETC表示灯制御装置は、ETC車載器の表示灯を設けるルームミラーとして、車両の周囲光を検出する周囲光センサの光検出レベルおよび車両の後方からの光を検出する後方光センサの光検出レベルに応じて反射率を変化させる自動防眩機能付きのルームミラーを採用し、ETC車載器の表示灯の発光レベルを、周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下になったとき、周囲光センサの光検出レベルが所定レベルを超えているときよりも低くすると共に、周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下で且つ後方光センサの光検出レベルが所定レベルを超えたとき、表示灯の発光レベルを、周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下で且つ後方光センサの光検出レベルが所定レベル以下のときよりも高くすることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、車両の周囲が暗くなって周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下になったとき、表示灯の発光レベルを、周囲が明るいときよりも低くするので、表示灯が周囲光に比べ暗すぎてその点灯を見落としたり、表示灯が周囲光に比べ明るすぎて眩しく感じたりするといった恐れがなく、しかも、夜間などに後続車のヘッドライトがルームミラーに直接当たり、その反射光が運転者の目に入ったとしても、その時には表示灯は明るくされるので、その点灯を見落とす恐れがない。
【0008】
請求項2記載のETC表示灯制御装置は、周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下で且つ後方光センサの光検出レベルが所定レベルを超えたことにより、表示灯の発光レベルを高くしたときには、ルームミラーが反射率を低下させる制御を行ったことで実際にその反射率が低下した時に表示灯の発光レベルが低下するように、表示灯を制御することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載のETC表示灯制御装置は、周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下で且つ後方光センサの光検出レベルが所定レベルを超えたことにより、表示灯の発光レベルを高くしたとき、反射率を低下させるための制御を受けたルームミラーの反射率の低下に応答して表示灯の発光レベルを低下させることを特徴とする。
【0010】
上記請求項2および3の発明は、自動防眩機能付きのルームミラーの応答遅れに対処したものである。例えば、エレクトロクロミック素子を用いた自動防眩機能付きのルームミラーにあっては、応答速度が遅いため、後続車のヘッドライトがルームミラーに直接当たることによって反射率を低下させる制御を開始しても、それから実際にルームミラーの反射率が低下するまでに若干の時間がかかる。このため、後方光センサの光検出レベルが所定レベルを超えた瞬間にだけ表示灯を明るくして直ちに暗くする制御を行うと、ルームミラーからの反射が強い時期に表示灯が暗くなる事態が生ずるため、表示灯の点灯を確認し難くなる。
【0011】
これに対し、請求項2では、例えば後方光センサの光検出レベルが高くなった時点からの時間制御により、或いは請求項3では、例えばルームミラーの反射率が低下したことを検出したりすることにより、ルームミラーの反射率が実際に低下した時に表示灯を暗くするので、ルームミラーからの強い光が反射される時期には、表示灯を明るい状態に維持して表示灯の点灯を容易に確認することができる。
【0012】
以上のような表示灯の発光レベルの高低制御、特に周囲が暗い夜間においての発光レベルの高低制御では、運転者にとっては、発光レベルの高低切替の前後で表示灯の明るさが全く同じと感じることは少なく、むしろ明るさが変化し、これを明るさのちらつきと感じることの方が多い。このため、表示灯の発光レベルの高低制御を行う機会は、ETC車載器にICカードが差し込まれているか否かを確認する必要がある場合に限ることが好ましい。請求項4および5は、この表示灯の発光レベルの高低制御を行う場合を、表示灯の点灯を確認する必要があるであろうと思われる場合に限るようにしたものである。
【0013】
即ち、請求項4記載のETC表示灯制御装置では、車両に搭載されたナビゲーション装置に有料道路を含む経路が設定され、その経路に沿って車両が誘導される場合、請求項5記載のETC表示灯制御装置では、ナビゲーション装置が車両の現在位置から所定距離以内に有料道路の入口が存在することを検出した場合に、それぞれ周囲光センサおよび後方光センサの光検出レベルに応じて表示灯の発光レベルを変化させる制御を実行するようにしたので、ETC車載器の状態を確認する必要のないときに表示灯の発光レベルの高低制御を行い、その結果、表示灯の明るさがちらつき、これが運転者の目に入ることによって煩わしく感じるといった不具合の発生を極力少なくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態につき図1ないし図5を参照しながら説明する。図4および図5には、ルームミラー1が示されている。ルームミラー1は、運転者が車両の後続車などを確認するためのもので、車両内の例えばフロントウインドシールドガラス(図示せず)の上部に取り付けられる。このルームミラー1は、図4に示されているように、横長の本体ケース2の後面部にミラー3を装着して構成されている。
【0015】
ルームミラー1のミラー3は、例えば電圧信号の印加に応じて反射率が変化するエレクトロクロミック・ミラーによって構成されている。このミラー3は、周囲が暗いときに後方から明るい光が投射されたような場合、例えば夜間に後続車両のヘッドライトが投射されたような場合、反射率を低下させて眩しさを抑えるという自動防眩機能を発揮する。この自動防眩機能のために、ルームミラー1の本体ケース2には、周囲光センサ4および後方光センサ5が設けられている。
【0016】
即ち、周囲光センサ4は、図5(b)に示すように、本体ケース2の前面部の下部中央に配設されている。この周囲光センサ4は、フロントウインドシールドガラスを通して車両の周囲の明るさを検出する。また、後方光センサ5は、図5(a)に示すように、本体ケース2の後面部の下部中央に配設されている。この後方光センサ5は、バックウインドシールドガラス(図示せず)などを通じて車両の後方からルームミラー1を照らす光の明るさを検出する。
【0017】
そして、周囲光センサ4および後方光センサ5の光検出信号は、図1に示すように、反射率制御手段としての制御部6に入力される。制御部6は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、夜間など周囲光センサ4の光検出(照度)レベルが所定レベル以下であって、後続車両のヘッドライトの直接的な投射などによって後方光センサ5の光検出レベルが所定レベルを超えたとき、エレクトロクロミック・ミラー3に電圧信号を出力して当該ミラー3の反射率を低減させる。
【0018】
このようなルームミラー1は、ETC車載器内蔵型として構成され、その本体ケース2内には、図1に示すETC(Electronic Toll Collection;自動料金収受システム)車載器7が設けられている。このETC車載器7は、図4に示す料金収受用のICカード(ETCカード)8の挿入を必要とする。このICカード8の挿入のために、本体ケース2の右側面に挿入口(図示せず)が形成されており、その挿入口は、常には、扉9によって閉じられている。
【0019】
ICカード8の挿入および非挿入を表示するために、ルームミラー1の本体ケース2には、橙色の光を発するLEDからなる異常表示灯10と、緑色の光を発するLEDからなる正常表示灯11とが設けられている。これら2つの表示灯10,11は、本体ケース2の後面の後方光センサ5の左右両側に位置して配設されている。
ETC車載器7は、図1に示すように、マイクロコンピュータを主体とする制御部12に対し、前記表示灯10,11、ICカードインターフェース13、無線通信装置14を接続して構成されている。そのうち、ICカードインターフェース13は、使用者が所持するICカード8との間でデータの授受を行うためのものである。また、無線通信装置14は、例えばDSRC無線装置からなり、有料道路のインターチェンジの料金所に設けられた路側アンテナ(図示せず)と通信するためのものである。
【0020】
そして、制御部12は、ETC車載器7の各部に異常があった場合や、ICカードインターフェース13がICカード8を認識していない場合には、緑色の正常表示灯11を消灯して橙色の異常表示灯10を点灯させる。また、ETC車載器7の各部に異常がなく、ICカードインターフェース13が本体ケース2の挿入口から挿入されたICカード8を正しく認識した場合には、橙色の異常表示灯10を消灯して緑色の正常表示灯11を点灯させる。
【0021】
前記表示灯10,11は、ルームミラー1の周囲光センサ4および後方光センサ5の光検出レベルに応じて発光レベルが高低制御される。この表示灯10,11の発光レベルの高低制御のために、ETC車載器7の制御部(表示制御手段)12は、ルームミラー1の制御部6と接続されている。そして、ルームミラー1の制御部6は、ETC車載器7の制御部11に対し、周囲光センサ4の光検出レベルが所定レベルを超えているときには昼間信号、所定レベル以下のときには夜間信号を出力する。また、ルームミラー1の制御部6は、ETC車載器7の制御部11に対し、周囲光センサ4の光検出レベルが所定レベルを超えたとき(エレクトロクロミック・ミラー3に電圧信号を出力したとき)、反射率低減制御を開始した旨の報知信号を出力する。
【0022】
ETC車載器7の制御部12は、表示灯10,11の発光(輝度)レベルを、図3に示すように高、中、低の3段階に制御する。即ち、制御部12は、ルームミラー1の制御部6から前記昼間信号を受けている間は、表示灯10,11のうち点灯させるべき表示灯の発光レベルを高レベルとし、前記夜間信号を受けると、表示灯の発光レベルを低レベルに下げる。また、夜間信号を受けている間にルームミラー1の制御部6から前記反射率低減開始の報知信号を受けると、表示灯の発光レベルを中レベルに上げるように制御する。
【0023】
上述のような両表示灯10,11によるICカード8の挿入・非挿入の表示確認は、有料道路を利用する必要であるが、有料道路を利用しない場合には、特に必要ではない。本実施形態では、有料道路を使用しない場合には、できるだけ表示灯10,11の発光レベルの高低制御を避けるようにし、これにより表示灯10,11のちらつきが運転者の目に入らないようにする。本実施形態の場合、有料道路の使用・不使用は車両に搭載されるナビゲーション装置15に有料道路を含む案内経路が設定されているか否かによって上述の表示灯の発光レベルの高低制御を行うか否かを決定するようにしている。
【0024】
ナビゲーション装置15は、図1に示すように、マイクロコンピュータを主体とする制御部16に対して、位置検出器(位置取得手段)17、地図データ入力器(地図データ取得手段)18、表示装置(表示手段)19、操作部(操作手段)20、マイクロフォン21などを接続して構成されている。上記位置検出器17は、例えばGPS受信回路や各種のセンサなどから構成されるもので、GPSアンテナから受信したGPS衛星の複数の測位信号に基づいて現在位置を示すデータを演算し、制御部16に入力する。
【0025】
地図データ入力器18は、例えば、CD−ROMやDVD−ROMなどのデータ記録媒体に記憶された地図データを取り込んで制御部16に入力するようになっている。なお、このデータ記録媒体は、道路種別や、有料道路のインターチェンジ(入口、出口)の位置情報なども併せて記憶したものとして製作されている。表示装置19は、例えば液晶ディスプレイから構成され、道路地図や設定された案内経路を表示する。操作部20は、押釦スイッチや液晶ディスプレイの画面上に設けられたタッチパネルなどから構成され、各種の入力を行う。
【0026】
制御部16は、目的地が入力されると、現在地から目的地までの経路をダイクストラ法などによって探索する(経路探索手段)。そして、制御部16は、設定された案内経路に沿って車両を誘導するために、交差点の直前では、その交差点を表示装置19に拡大表示して右左折方向を案内すると共に、マイクロファン21による音声案内を行う(経路案内手段)。
【0027】
このようなナビゲーション装置15の制御部16は、ETC車載器7の制御部12に接続されている。そして、ナビゲーション装置15の制御部16は、案内経路が設定されている場合において、その案内経路中に有料道路が存在していると、その旨をETC車載器7の制御部12に送信するようになっている。また、ナビゲーション装置15の制御部16は、有料道路から出たことを検出すると、その旨をETC車載器7の制御部12に送信するようにもなっている。
【0028】
次に上記構成の作用を、図2に示すフローチャートおよび図3の各部の波形図をも参照しながら説明する。車両を走行させるべく、エンジンを始動させると、図示しないACCスイッチがオンされ、ルームミラー1、ETC車載器7、ナビゲーション装置15に電源が投入される。
【0029】
すると、ETC車載器7の制御部12は、ETC車載器7の各部の異常の有無やICカード8の認識の有無を検出し、両表示灯10,11のうち検出結果に応じた一方の表示灯(以下、単に表示灯と言う。)を夜間に対応する低発光レベルで点灯させる(ステップS1)。続いて、制御部12は、ナビゲーション装置15の制御部16と通信して有料道路を含む案内経路が設定されているか否かを判断し(ステップS2)、有料道路を含む案内経路が設定されている場合に限り、表示灯の発光レベルを高低変化させる制御を行う。
【0030】
この有料道路を含む案内経路が設定されている場合の表示灯の発光レベルの高低制御は、昼夜の別(車両の周囲の明るさ)に応じて行う。また、夜間にあっては、後続車両のヘッドライトがルームミラー1で強く反射されるような場合には、表示灯の発光レベルを高低制御する。案内経路が設定されておらず、設定されていても、有料道路を通る案内経路でないときには、表示灯の照度の高低制御は行われない。
即ち、ETC車載器7の制御部12は、ナビゲーション装置15との通信により案内経路が設定されていないと判断した場合(ステップS2で「NO」)、以後、照度の高低制御を行わず、表示灯を夜間の低発光レベルでの点灯のままとする(ステップS4)。
【0031】
案内経路が設定されている場合(ステップS2で「YES」)、ETC車載器7の制御部12は、ナビゲーション装置15の制御部16との通信により、その案内経路中に有料道路があるか否かを判断する(ステップS3;有料道路利用判断手段)。案内経路中に有料道路がない場合(ステップS3で「NO」)、ETC車載器7の制御部12は、案内経路の設定がない場合と同様に、表示灯を夜間の低発光レベルでの点灯のままとする(ステップS4)。
【0032】
ナビゲーション装置15に案内経路が設定され、且つその案内経路中に有料道路がある場合(ステップS2で「YES」、ステップS3で「YES」)、ETC車載器7の制御部12は、ルームミラー1の制御部6との通信により、周囲光センサ4の光検出レベルを取得する。そして、制御部12は、ルームミラー1の制御部6から送信されてくる信号が昼間信号か夜間信号かによって周囲光センサ4の光検出レベルの高低を判断し、昼間信号のときには、光検出レベルが所定レベルを超えているので(図3の「昼」で示す期間)、表示灯の発光レベルを昼間レベルの高レベルに上げる(ステップS5で「YES」、ステップS6)。また、ルームミラー1の制御部6からの信号が夜間信号のときには、制御部12は、周囲光センサ4の光検出レベルが所定レベル以下であるので、表示灯の発光レベルを夜間の低レベルのままとする(ステップS5で「NO」、ステップS7で「NO」、ステップS8)。
【0033】
以上により、ETC車載器7の状態を確認するために、表示灯10,11を見たとき、点灯している表示灯が暗すぎて、点灯しているか否かの見分けがつき難くなったり、点灯している表示灯が明るすぎて、眩しく感じたりするといった不具合の発生をなくすことができる。
【0034】
さて、夜間での道路走行中において、ETC車載器7の制御部12は、ルームミラー1の制御部6との通信により、当該制御部6がエレクトロクロミック・ミラー3に反射率低減信号を出力したか否か(後方光センサ5の光検出レベルが所定レベルを超えたか否か)、つまりETC車載器7の制御部12が前記報知信号を出力したか否かを常時監視している(ステップS7の処理毎)。
【0035】
後方光センサ5は、ルームミラー1のエレクトロクロミック・ミラー3の直ぐ下に設けられているので、後方光センサ5の光検出レベルが低いということは、ルームミラー1のエレクトロクロミック・ミラー3により反射される光は弱いと考えられる。このため、表示灯の照度を夜間レベルのままとしておけば、運転者が表示灯の点灯を確認する場合、眩しく感ずることもなく、且つ、暗すぎて見難いと感じることもない。従って、後方光センサ5の光検出レベルが低い場合には、制御部12は、表示灯の発光レベルを夜間の低レベルのままとする。
【0036】
これに対し、例えば、後続車両のヘッドライトの光が直接ルームミラー1に照射されるような場合には、その後続車両のヘッドライトの光がエレクトロクロミック・ミラー3で強く反射されて運転者の目に入るようになる。このような場合に、ETC車載器7の表示灯と確認しようとすると、表示灯の発光レベルを高くしないと、表示灯の点灯を認識し難くなる。
【0037】
ところで、後方光センサ5の光検出レベルが高い場合には、エレクトロクロミック・ミラー3の反射率が低減されるので、ETC車載器7の表示灯の発光レベルは、夜間の低レベルのままで良いのではないかと思われるかもしれない。しかしながら、エレクトロクロミック・ミラー3は、その特性上、制御部6から電圧信号を受けても、直ちにその反射率が下がるものではなく、若干の時間遅れがある。つまり、図3に示すように、T1時に制御部6が反射率を低減させるための電圧信号を発しても、エレクトロクロミック・ミラー3は、遅れ時間t(例えば、0.5sec)の経過後にしか反射率の低下が起きない。また、反射率低減の電圧信号がなくなった時も、エレクトロクロミック・ミラー3は、直ちに反射率を高めず、やはりt時間後にしか元の反射率に戻らない。
【0038】
このため、ETC車載器7の制御部12は、ルームミラー1の制御部6から反射率低減制御を開始した旨の報知信号を受けると、つまり後方光センサ5により車両の後方から強い光がルームミラー1に照射されたことが検出されると(ステップS7で「YES」)、直ちに表示灯の発光レベルを夜間強反射対応レベルである中レベルに上げる(ステップS9)。その後、エレクトロクロミック・ミラー3の応答遅れ時間tが経過して当該エレクトロクロミック・ミラー3の反射率が実際に低減される時点になると(ステップS10で「YES」)、制御部12は、表示灯の発光レベルを夜間の低レベルに下げる(ステップS11)。
【0039】
このような表示灯の発光レベルの高低制御を行うことにより、後続車両のヘッドライトの光がルームミラー1で強く反射されている時期に表示灯の点灯状態を確認しようとした場合、反射光に眩惑されて表示灯の状態が見分けられなくなるといった不具合の発生を未然に防止することができる。
そして、車両が有料道路に入る際、ETC車載器7の制御部12は、無線通信装置14を介して料金所の入口ゲートに設けられた路側アンテナと通信して所定のデータを取得し、そのデータをICカード8へ書き込むなどの処理を行う。また、車両が有料道路から出る際には、制御部12は、同様に無線通信装置14を介して料金所の出口ゲートに設けられた路側アンテナと通信して所定のデータを取得し、そのデータをICカード8へ書き込むなどの処理を行う。
【0040】
上述の表示灯の発光レベルの高低制御は、車両が有料道路から出るまで行われる。そして、車両が有料道路の料金所の出口ゲートを通過すると、ETC車載器7の制御部12は、その旨の信号をナビゲーション装置15の制御部16から受けて有料道路の出口通過と判断し(ステップS12で「YES」;有料道路出口通過判断手段)、以降の案内経路中に有料道路が含まれているか否かを判断する(ステップS3)。以降の案内経路中に有料道路がない場合には(ステップS3で「NO」)、制御部12は、表示灯を低レベルの発光レベルにて点灯したままとし、発光レベルの高低制御を停止する。また、以降の案内経路中に有料道路が含まれている場合には(ステップS3で「YES」)、上述したような表示灯の発光レベルの高低制御を続行する。
【0041】
このように本実施形態によれば、昼夜の別に応じて表示灯の発光レベルを高低変化させるので、表示灯が明るすぎて眩しく感じたり、暗すぎて点消灯の点灯、消灯の別が見分け難くなったりすることを防止できる。また、夜間において、車両の後方からの光がルームミラー1で強く反射されるような時には、表示灯の発光レベルを高くするので、表示灯の点灯を判別し易くなる。従って、ETC車載器7の表示灯10,11をルームミラー1に設けることによって表示灯が見易くなる上、ルームミラー1に表示灯10,11を設けることの問題点、つまり後方光がルームミラー1で強く反射されことにより、表示灯10,11の点灯、消灯を見分け難くなるという問題点を解消することができるものである。
【0042】
また、本実施形態によれば、表示灯10,11によってETC車載器7の状態を確認する必要のある場合に限り、表示灯10,11の発光レベルの高低制御を実施するので、発光レベルの高低制御に伴って発生する表示灯10,11のちらつきがなくなる。
更に、本実施形態によれば、表示灯10,11の発光レベルの高低制御を、ルームミラー1の自動防眩制御のための信号を利用して行うことができるので、別途、光センサを設ける必要がない。
【0043】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
上記実施形態では、エレクトロクロミック・ミラー3に反射率低減のための電圧信号が出力されたとき、表示灯の発光レベルを低から中に高め、その後、応答遅れ時間tが経過した時に表示灯の発光レベルを中から低に下げるようにしたが、他の実施形態を示す図6のように、エレクトロクロミック・ミラー3に反射率低減のための電圧信号を出力している間、表示灯の発光レベルを中に維持するようにしても良い。このようにすると、エレクトロクロミック・ミラー3が反射率を低減させた後、反射率低減のための電圧信号がなくなるまでの間は、ミラー3での反射光の強さに比べて、表示灯が明るく点灯された状態になるが、このとき表示灯の光を眩しく感じるか否かは、エレクトロクロミック・ミラー3の反射率により左右されるので、反射率を適度に選択すれば、表示灯を眩しく感じることを防止できる。
【0044】
表示灯10,11の照度のレベルは、高、中、低の3段階に限られない。
周囲光および夜間の後方光の明るさによる表示灯10,11の照度の高低制御とは別に、ACCスイッチのオン時に、表示灯10,11のうち、点灯させるべき表示灯の明るさを昼間レベルとしても良い。このようにすれば、ACCスイッチのオン時には、表示灯が一時的に明るく点灯されるので、表示灯の点灯によるETC車載器7の状態が分かり易くなる。また、同様に、有料道路の入口ゲートの手前では、表示灯10,11を一時的に明るく点灯させても良い。
渋滞中(車速により検出)は、表示灯10,11の照度を低くしても良い。このようにすれば、運転者に余計なストレスを与えなくて済む。
周囲光センサは、特に防眩ミラーに設ける必要はない。車両の周囲光を検出できれば、どこにあっても良い。
防眩ミラーとしては、反射率を自動的に変化させ得るものであれば、形式を問わない。例えば、ミラーの角度を変えると反射率が変化するいわゆる昼夜切替式のものであっても良く、この場合には、駆動装置を動作させてミラーの角度を切り換えることによって反射率を変化させるように構成するものである。
防眩ミラーの反射率は、高低2段に変化するものに限られず、後方からの光の強さに応じて多段に変化するもの、或いは無段に変化するものであっても良い。
ETC車載器は、ルームミラー内に設けられるものに限られない。車両に単独で取り付ける形式のものであっても、表示灯がルームミラーに設けられていれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、ETC車載器を中心とした電気的構成のブロック図
【図2】表示灯の照度の高低制御のためのフローチャート
【図3】各信号レベルの変化とミラー反射率の変化および表示灯の発光レベルの変化を示す図
【図4】ルームミラーの斜視図
【図5】(a)はルームミラーの正面図、(b)はルームミラーの背面図
【図6】本発明の他の実施形態を示す図3相当図
【符号の説明】
【0046】
図中、1はルームミラー、2は本体ケース、3はマイクロクロミック・ミラー、4は周囲光センサ、5は後方光センサ、6は制御部、7はETC車載器、10,11は表示灯、12は制御部(表示制御手段)、15はナビゲーション装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に設けられるルームミラーであって前記車両の周囲光を検出する周囲光センサの光検出レベルが所定レベル以下で且つ当該ルームミラー自身に設けられて前記車両の後方からの光を検出する後方光センサの光検出レベルが所定レベルを超えたとき、反射率を低下させる制御を行う自動防眩機能付きのルームミラーと、ETC車載器とを備えた車両に設けられ、前記ETC車載器の状態を表示する表示灯を表示制御手段によって制御するETC表示灯制御装置において、
前記表示灯は、前記ルームミラーに設けられ、
前記表示制御手段は、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下になったとき、前記表示灯の発光レベルを、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベルを超えているときよりも低くすると共に、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下で且つ前記後方光センサの光検出レベルが前記所定レベルを超えたとき、前記表示灯の発光レベルを、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下で且つ前記後方光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下のときよりも高くすることを特徴とするETC表示灯制御装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下で且つ前記後方光センサの光検出レベルが前記所定レベルを超えたことにより、前記表示灯の発光レベルを高くしたときには、前記ルームミラーが反射率を低下させる制御を行ったことで実際にその反射率が低下した時に前記表示灯の発光レベルが低下するように、前記表示灯を制御することを特徴とする請求項1記載のETC表示灯制御装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記周囲光センサの光検出レベルが前記所定レベル以下で且つ前記後方光センサの光検出レベルが前記所定レベルを超えたことにより、前記表示灯の発光レベルを高くしたとき、反射率を低下させるための制御を受けた前記ルームミラーの反射率の低下に応答して前記表示灯の発光レベルを低下させることを特徴とする請求項1記載のETC表示灯制御装置。
【請求項4】
設定された案内経路に沿って車両を誘導する経路案内機能を有するナビゲーション装置が前記車両に搭載され、
前記表示制御手段は、前記ナビゲーション装置に有料道路を通る案内経路が設定されているとき、前記周囲光センサおよび前記後方光センサの光検出レベルに応じて前記表示灯の発光レベルを変化させる制御を実行することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のETC表示灯制御装置。
【請求項5】
前記車両にナビゲーション装置が搭載され、
前記表示制御手段は、前記ナビゲーション装置が前記車両の現在位置から所定距離以内に有料道路の入口が存在することを検出したとき、前記周囲光センサおよび前記後方光センサの光検出レベルに応じて前記表示灯の発光レベルを変化させる制御を実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のETC表示灯制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−203945(P2007−203945A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26982(P2006−26982)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】