説明

GNRHアンタゴニストとして有用なインドリルアルキルアミノ−メチリデンカルバメート

本発明は、式(I)[式中、R、R、R、R、R6a、R、R、R、R10及びA
は、明細書中で定義した通りである]で示される、新規なインドール化合物群に関する、これらの化合物はゴナドトロピン放出ホルモン・アンタゴニストとして有用である。本発明はさらに、前記化合物の薬剤製剤、前記化合物を用いる治療方法、及び前記化合物の調製方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)活性のアンタゴニストである化合物に関する。本発明はさらに、薬剤製剤、薬剤の製造における本発明の化合物の使用、このような化合物を用いる治療的処置方法、及び該化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)は、神経性及び/又は化学的刺激に反応して視床下部によって下垂体門脈循環中に分泌され、下垂体による黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の生合成及び放出を惹起するデカペプチドである。GnRHは、ゴナドリベリン、LH放出ホルモン(LHRH)、FSH放出ホルモン(FSH RH)及びLH/FSH放出因子(LH/FSH RF)を含めた、他の名前によっても知られている。
【0003】
GnRHは、LH及びFSHの作用の調節に(それらのレベルの調節によって)重要な役割を果たしており、したがって、性ホルモン、プロゲステロン、エストロゲン及びアンドロゲンを含めた、両方の性における生殖腺ステロイドのレベルの調節に関係している。GnRHについてのこれ以上の考察は、WO98/5519及びWO97/14697に見い出すことができ、これらの開示は本明細書に援用される。
【0004】
幾つかの疾患が、GnRH活性の調節から、特に、このような活性に拮抗することによって利益を得ると考えられる。これらの疾患は、例えば性ホルモン依存性癌、良性前立腺肥大症及び子宮筋腫のような性ホルモン関連状態を包含する。性ホルモン依存性癌の例は、前立腺癌、子宮癌、乳癌(breast cancer)及び下垂体生殖腺刺激性腺腫(pituitary gonadotrophe adenoma)である。
【0005】
下記は、GnRHアンタゴニストとして作用すると言われる化合物を開示している:
WO 97/21435, WO 97/21703, WO 97/21704, WO 97/21707, WO 55116, WO 98/55119, WO 98/55123, WO 98/55470, WO 98/55479, WO 99/21553, WO 99/21557, WO 99/41251, WO 99/41252, WO 00/04013, WO 00/69433, WO 99/51231, WO 99/51232, WO 99/51233, WO 99/51234, WO 99/51595, WO 99/51596, WO 00/53178, WO 00/53180, WO 00/53179, WO 00/53181, WO 00/53185, WO 00/53602, WO 02/066477, WO 02/066478, WO 02/06645 及び WO 02/092565.
【発明の開示】
【0006】
GnRHアンタゴニストである化合物のような、さらなる化合物を提供することが望ましいと考えられる。したがって、本発明の第1態様によると、式(I):
【0007】
【化1】

【0008】
で示される化合物又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を提供する。上記式において:
Aは、直接結合又は場合によっては置換されるC−Cアルキレンを表す;
は、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;又は(CH−R[式中、RはC−Cシクロアルキルを表し、bはゼロ又は1〜6の整数を表す]を表す;
は、場合によっては置換される単環状若しくは二環状芳香環構造を表す、この場合、任意の置換基はシアノ、NR3a、場合によっては置換されるC−Cアルキル、場合によっては置換されるC−Cアルコキシ又はハロから選択される;
とR3aは、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;及び場合によっては置換されるアリールから独立的に選択される;
は、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環;又は式III−a;III−b;III−c;III−d;III−e;III−f;III−g;III−h;III−i;III−j若しくはIII−kで示される基から選択される;
【0009】
【化2】

【0010】
式中、hetは、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;
とR6aは下記から選択される:(i)RとR6aは、水素及び場合によっては置換されるC−Cアルキルから独立的に選択される;又は(ii)RとR6aは一緒にカルボニルを表す;又は(iii)式:
【0011】
【化3】

【0012】
は、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表し、R6aは、水素及び場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
は、水素又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル及びヘテロサイクリルから選択され、この場合、Rは場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、NO、シアノ、C−Cアルカノイルオキシ、N−C−Cアルキルアミノ、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ、HO−C−Cアルキル−NH−、HO−C−Cアルキル−N(C−Cアルキル)−、−S(O)−C−Cアルキル、−N(R)S(O)−C−Cアルキル、−S(O)N(R)−C−Cアルキル、又は場合によってはC−Cアルキル、C−Cアルケニル若しくはC−Cアルキニルによって置換されるヘテロサイクリルによって置換され、この場合、Rは水素又はC−Cアルキルである;
は下記から選択される:(i)Rは、水素、アリール、3員〜10員複素環又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;及び(ii)構造N(R10)は、場合によってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜10員複素環を表す;
10は、上記Rのオプション(ii)の定義を満たすか、又はRが上記オプション(i)の定義を満たす場合に、R10は水素若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
12とR12aは下記から選択される:(i)R12とR12aは、水素若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルから独立的に選択される;又は(ii)R12とR12aは、それらが付着する炭素と共に、場合によっては置換される3員〜7員シクロアルキル環を形成する;
13とR14は下記から選択される:(i)R13は、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;場合によっては置換されるアリール;−R−Ar[式中、RはC−Cアルキレンを表し、Arは場合によっては置換されるアリールを表す];及び場合によってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;並びにR14は水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル及び場合によっては置換されるアリールから選択される;(ii)Rが式III−a、III−b又はIII−iで示される基を表す場合、基NR13(−R14)は、場合によっては、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;又は(iii)Rが構造III−eを表す場合、式:
【0013】
【化4】

【0014】
は、場合によっては、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;
nは0〜2である。
【0015】
本発明の第1態様のさらなる特徴によると、式(I)化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物と、製薬的に受容される希釈剤又はキャリヤーを含む薬剤製剤を提供する。
【0016】
本発明の第1態様のさらなる特徴によると、式(I)化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の下記使用を提供する:
(a)ゴナドトロピン放出ホルモン活性に拮抗するための薬剤の製造への使用;
(b)患者の下垂体による黄体形成ホルモンの分泌を減ずるために患者に投与するための薬剤の製造への使用;
(c)患者における性ホルモン関連状態、好ましくは前立腺癌及び閉経前乳癌から選択される性ホルモン関連状態を治療的に処置及び/又は予防するために患者に投与するための薬剤の製造への使用。
【0017】
本発明の他の態様によると、患者に式(I)化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を投与することを含む、患者におけるゴナドトロピン放出ホルモン活性に拮抗する方法を提供する。
【0018】
本発明の化合物の製薬的に受容される塩が好ましいが、本発明の化合物の他の製薬的に受容されない塩も、例えば、本発明の化合物の製薬的に受容される塩の調製に有用でありうる。
【0019】
本発明は、本発明の化合物、及びその塩、プロドラッグ又は溶媒和物を含み、本発明のさらなる実施態様では、本発明は本発明の化合物とその塩を含む。
本明細書では、特に指定しない限り、アルキル、アルキレン又はアルケニル部分は直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよい。
【0020】
“アルキレン”なる用語は、基−CH−を意味する。したがって、例えば、Cアルキレンは−(CH−である。
“アリール”なる用語は、フェニル又はナフチルを意味する。
【0021】
“カルバモイル”なる用語は、基−CONHを意味する。
“ハロ”なる用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
“ヘテロサイクリル”又は“複素環”なる用語は、5〜10員芳香族単環若しくは二
環又は5〜10員飽和若しくは部分的不飽和環であって、窒素、酸素又は硫黄から独立的に選択される5個までのヘテロ原子を含有し、環炭素原子又は環窒素原子を介して結合した前記芳香族、飽和若しくは部分的不飽和環を意味し、窒素からの結合が可能である場合に、例えば、ピリジン環の窒素への結合は不可能であるが、ピラゾール環の1−窒素を介しての結合は可能である。5員又は6員芳香族複素環の例は、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル及びチエニルを包含する。9員又は10員二環状芳香族複素環は、5員環又は別の6員環のいずれかに縮合した6員環を含む芳香族二環系である。5/6及び6/6二環系の例は、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズチオフェニル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、インドリル、ピリドイミダゾリル、ピリミドイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノオキサリニル、キナゾリニル、フタラジニル、シンノリニル及びナフチリジニルを包含する。飽和又は部分的飽和複素環の例は、ピロリニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ジヒドロピリジニル、及びジヒドロピリミジニルを包含する。この定義はさらに、硫黄含有環を含む、この場合、硫黄はS(O)又はS(O)基に酸化されている。
【0022】
“芳香環”なる用語は、場合によっては、窒素、酸素又は硫黄から独立的に選択される5個までのヘテロ原子を含有する、5員〜10員芳香族単環又は二環を意味する。このような“芳香環”の例は、フェニル、ピロリル、フラニル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピリジニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル及びチエニルを包含する。好ましい芳香環は、フェニル、チエニル及びピリジルを包含する。
【0023】
記号:
【0024】
【化5】

【0025】
は、それぞれの基が分子の残りの部分と結合する場所を表示する。
疑いを避けるために述べると、基:
【0026】
【化6】

【0027】
が共に、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環を形成する場合に、示した該基は環化して、窒素含有複素環、即ち、
【0028】
【化7】

【0029】
を形成する、これは、場合によっては、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する。
−Cアルコールの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル及び2−メチル−ペンチルを包含し;C−Cアルキレンの例は、メチレン、エチレン及び2−メチル−プロピレンを包含し;C−Cアルコキシの例は、メトキシ、エトキシ及びブチルオキシを包含し;C−Cアルカノイルオキシの例は、ホルミルオキシ、プロパノイルオキシ及びブタノイルオキシを包含し;N−C−Cアルキルアミノの例は、N−メチルアミノ及びN−エチルアミノを包含し;N,N−ジ−C−Cアルキルアミノの例、HO−C−Cアルキル−NHの例は、ヒドロキシメチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ及びヒドロキシプロピルアミノを包含し;HO−C−Cアルキル−N(C−Cアルキル)の例は、N−メチル−ヒドロキシメチルアミノ、N−エチル−ヒドロキシエチルアミノ及びN−プロピル−ヒドロキシプロピルアミノを包含する。
【0030】
ある一定の本発明の化合物が1つ以上の不斉炭素原子のために光学活性形又はラセミ形で存在することができる限り、本発明は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有する、このような光学活性形又はラセミ形のいずれをもその定義に包含することを理解すべきである。光学活性形の合成は、当該技術分野で周知の、有機化学の標準手法によって、例えば、光学活性出発物質からの合成によって又はラセミ形の分割によって行なうことができる。同様に、これらの化合物の活性は、以下に述べる標準実験室手法を用いて評価することができる。
【0031】
本発明はさらに、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有する、本発明の異なる特徴の化合物のありとあらゆる互変異性形(any and all tautomeric forms)にも関する。
【0032】
さらに、本発明のある一定の化合物が溶媒和形、例えば水和形並びに非溶媒和形で存在しうることも理解されるであろう。本発明が、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗する性質を有する、このような溶媒和形の全てを包含することを理解すべきである。
【0033】
好ましい式(I)化合物は、下記のいずれか一つ又は下記の組み合わせが適用される化合物である。
好ましくは、Aは、場合によっては置換されるC−Cアルキレン、さらに好ましくはC−Cアルキレン、最も好ましくは、メチレン又はエチレンを表す。
【0034】
好ましくは、Rは水素又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す。より好ましくは、Rは水素、メチル、エチル又はtert−ブチルを表す。最も好ましくは、Rは、水素を表す。
【0035】
好ましくは、Rは場合によっては置換される単環状芳香環構造を表し、この場合、任意の置換基はシアノ、NR、場合によっては置換されるC−Cアルキル(好ましくは、C−Cアルキル、例えば、メチル若しくはエチル)、場合によっては置換されるC−Cアルコキシ(好ましくは、C−Cアルコキシ、例えば、メトキシ、エトキシ若しくはtert−ブトキシ)又はハロ(例えば、F、Br若しくはCl)から選択され、この場合、R及びRは水素、C−Cアルキル又はアリールから独立的に選択される。さらに好ましくは、Rは、場合によっては置換されるフェニルであり、この場合、任意の置換基はシアノ、NR、場合によっては置換されるC−Cアルキル、場合によっては置換されるC−Cアルコキシ、F、Br又はClから選択され、この場合、R及びRは上記で定義した通りである。なお、さらに好ましくは、Rは、場合によっては置換されるフェニルであり、この場合、任意の置換基は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、tert−ブトキシ、F又はClから選択される。最も好ましくは、Rは、
【0036】
【化8】

【0037】
を表し、上記式中、Meはメチルを表す。好ましくは、Rは1、2又は3個の置換基を有する。
好ましくは、R及びR3aは、水素、場合によっては置換されるC−Cアルキル及び場合によっては置換されるアリールから独立的に選択される。さらに好ましくは、R及びR3aは、メチル、エチル、tert−ブチル及びフェニルから独立的に選択される。
【0038】
好ましくは、Rは、式III−a、III−g、III−h、III−i、III−j又はIII−k:
【0039】
【化9】

【0040】
で示される基から選択される。
さらに好ましくは、Rは、下記基:
【0041】
【化10】

【0042】
の1つから選択される。
なお、さらに好ましくは、Rは、下記基:
【0043】
【化11】

【0044】
の1つから選択され、上記式中、Meはメチルを表す。
最も好ましくは、Rは、下記基:
【0045】
【化12】

【0046】
の1つから選択される。
1実施態様では、R及びR6aは、それぞれ、水素を表し、AはC−Cアルキレン(好ましくは、メチレン)を表す。
【0047】
本発明の他の実施態様では、Rは水素を表し、R6aはメチルを表し、AはC−Cアルキレン(好ましくは、メチレン)を表す。
好ましくは、Rは水素又は場合によっては置換されるC−Cアルキルから選択される。さらに好ましくは、Rは水素、メチル、エチル又はtert−ブチルを表す。
【0048】
好ましくは、Rは、場合によってはヘテロサイクリルによって置換されるC−Cアルキル、C−CアルカノイルオキシC−Cアルキル又はC−Cアルカノイルオキシから選択され、この場合、ヘテロサイクリルは、場合によってはC−Cアルキルによって置換される。C−Cアルキル又は場合によってはヘテロサイクリルによって置換されるC−Cアルキルが好ましく、この場合、ヘテロサイクリルは場合によってはメチル又はC−Cアルカノイルアミノによって置換される。エチル、イソプロピル、n−ブチル、5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イルメチル又は1−オキソエトキシ−(1,1−ジメチル−エチル)が最も好ましい。
【0049】
好ましくは、Rは、N(R10)によって形成される複素環の一部を成すか、又は水素、場合によっては置換されるアリール、場合によっては置換される3員〜10員複素環若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルであり、この場合、C−Cアルキル、アリール又は複素環上の任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、場合によっては置換されるアリール、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員ヘテロサイクリル、−O−R、C(O)NR、−NR、−NRC(O)−R、−C(O)NR、−NRS(O0−2)R、−S(O0−2)R(これらにおいて、R及びRは上記で定義した通りである)から選択される。
【0050】
が、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜10員複素環により置換されるC-Cアルキル基である場合に、該複素環は、好ましくは、ピリジル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ベンズトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル、2−アゼチニルから選択され、これらの各々は場合によっては置換される。式VI−a,VI−b、VI−c、VI−d,VI−e、VI−f、VI−g、VI−h,VI−i、VI−j又はVI−kで示される基がさらに好ましく、この場合、各基は場合によっては、R16から選択される1つ以上の基によって、化学的に可能な場合に、環炭素原子又は環ヘテロ原子上で置換される:
【0051】
【化13】

【0052】
式VI−b、VI−i又はVI−j:
【0053】
【化14】

【0054】
で示される基が最も好ましい、上記式において、R16は、水素、アリール、3員〜10員複素環又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表し、この場合、任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、場合によっては置換されるフェニル、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員ヘテロサイクリル、−O−R、C(O)NR、−NR、−NRC(O)−R、−C(O)NR、−NRS(O0−2)R、−S(O0−2)Rを表し、これらにおいて、R及びRは上記で定義した通りである;
本発明の他の実施態様では、Rは、場合によってはシアノによって置換されるC−Cアルキルであり、好ましくはシアノプロピルである。
【0055】
好ましくは、R10は、N(R10)によって形成される複素環の一部を成すか、又はR10は水素若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルである。さらに好ましくは、R10はN(R10)によって形成される複素環の一部を成すか、又はR10は、水素、メチル、エチル若しくはイソプロピルから選択される。最も好ましくは、R10は水素であるか、又はN(R10)によって形成される複素環の一部を成す。
【0056】
N(R10)が、場合によっては置換される3員〜10員複素環を表す場合に、N(R10)は、好ましくは、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個(好ましくは、1若しくは2個)のヘテロ原子を含有する5員又は6員単環から選択される。ピロリジニル、チエニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラジニル、イミダゾール、アゼチジニル又はアゼチニルから選択される、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個(好ましくは、1若しくは2個)のヘテロ原子を含有する5員又は6員単環が、さらに好ましい。なお一層、好ましくは、N(R10)は、式IV−a、IV−b、IV−c、IV−d、IV−d及びIV−eで示される、場合によっては置換される基から選択される複素環であり、この場合、任意の置換基は、好ましくは、以下にR15に関して列挙した基から選択される:
【0057】
【化15】

【0058】
さらに好ましくは、構造N(R10)は、式Va、Vb、Vc又はVdで示される基から選択される:
【0059】
【化16】

【0060】
最も好ましくは、構造N(R10)は、式V−cで示される基である:R15は、水素、場合によっては置換されるアリール、場合によっては置換される3員〜10員複素環又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表し、この場合、アリール、複素環又はC−Cアルキル上の任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、場合によっては置換されるアリール、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員ヘテロサイクリル、−O−R、C(O)NR、−NR、−NRC(O)−R、−C(O)NR、−NRS(O0−2)R、−S(O0−2)R(これらにおいて、R及びRは上記で定義した通りである)から選択される。好ましくは、R15はヘテロサイクリルである。さらに好ましくは、R15は、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル又はチアゾリルから選択される。最も好ましくは、R15はピリジルである。
【0061】
本発明の他の実施態様では、R15は、ピリジル又はC−Cアルキルから選択される。さらに好ましくは、ピリジル又はメチルから選択される。
本発明の他の実施態様では、N(R10)は、場合によっては置換される3員〜10員複素環を表し、この場合、任意の置換基は、上記で定義したR15から選択される。
【0062】
好ましくは、R12及びR12aは、水素、場合によっては置換されるC−Cアルキルから選択される、又はR12及びR12aは、それらが結合する炭素と共に、場合によっては置換される3員〜6員シクロアルキル環を形成する。さらに好ましくは、R12及びR12aは、水素、メチル、エチル又はtert−ブチルから独立的に選択される。最も好ましくは、R12及びR12aは両方ともメチルである。
【0063】
好ましくは、R13とR14は、水素、場合によっては置換されるC−Cアルキル、場合によっては置換されるフェニル及び−R−フェニルから独立的に選択され、この場合、RはC−Cアルキレン及び/又はO、N及びSから独立的に選択される1〜3個(好ましくは、1又は2個)のさらなるヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環(好ましくは、5員若しくは6員単環)を表す。さらに好ましくは、R13とR14は、水素又はC−Cアルキルから独立的に選択される。
【0064】
任意の置換を種々な箇所で述べる場合に、これは1,2、3個又はそれ以上の任意の置換基を意味する。上記で特に指定しない限り(即ち、任意の置換基のリストを用意する場合に)、各置換基は、C−Cアルキル(例えば、C−Cアルキル、最も好ましくは、メチル、エチル若しくはtert−ブチル);C−Cシクロアルキル、好ましくはシクロプロポキシ、シクロブトキシ若しくはシクロペントキシ;C−Cアルコキシ、好ましくはメトキシ若しくはC−Cアルコキシ;ハロ、好ましくはCl若しくはF;HalC−、HalCH−、HalCH−、HalCO−、HalCHO−若しくはHalCHO(これらにおいて、Halはハロ(好ましくはF)を表す);RCHO−、RC(O)N(R)−、RSON(R)−若しくはR−RN−(これらにおいて、RとRは独立的に水素若しくはC−Cアルキル(好ましくは、メチル又はC−Cアルキル若しくはC−Cアルキル)を表す、若しくはR−RN−は、場合によっては、O、N若しくはSから独立的に選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、場合によっては置換されるC−C、好ましくはC−C複素環を表す);水素;又はRC(O)O−若しくはRC(O)−(Rは水素、場合によっては置換されるフェニル若しくはC−Cアルキル(好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル若しくはtert−ブチル)を表す)から独立的に選択されることができる。R−RN−によって表される複素環の任意の置換基に関して、少なくとも1個(例えば、1、2又は3個)の置換基を、C−Cアルキル(例えば、C−Cアルキル、より好ましくはメチル);フェニル;CFO−;FCHO−;C−Cアルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ若しくはC−Cアルコキシ;C−CアルコキシC(O)、好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル若しくはC−CアルコキシC(O)−;フェノキシカルボニル;フェノキシ;C−Cアルカノイル、好ましくはアセチル、エタノイル若しくはC−Cアルカノイル;カルボキシ;C−CアルキルS(O)nn(式中、nnは0〜2の整数である)、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、C−Cアルキルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル若しくはC−Cアルキルスルホニル;ヒドロキシ;ハロ(例えば、F、Cl又はBr);RN−(式中、R及びRは独立的に水素若しくはC−Cアルキル(好ましくは、C−Cアルキル、より好ましくはメチル、最も好ましくはR=R=メチル);及びニトロから独立的に選択して、用意することができる。
【0065】
環の任意の置換を種々な箇所で述べる場合に、これは、最も好ましくは、C−Cアルキル(例えば、C−Cアルキル、最も好ましくはメチル);C−Cアルコキシ、好ましくは、メトキシ、エトキシ若しくはC−Cアルコキシ;C−CアルキルS(O)nn(式中、nnは0〜2の整数である)、好ましくは、メチルチオ、エチルチオ、C−Cアルキルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、C−Cアルキルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル若しくはC−Cアルキルスルホニル;ハロ(例えば、F、Cl又はBr);シアノ;及びNOから選択される、1、2、3個又はそれ以上の置換基を意味する。
【0066】
本発明の化合物の好ましい群は、式(I)[式中、N(R10)が、場合よってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される、好ましくはヘテロサイクリルによって置換される3員〜8員複素環を表す]で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を含む。
【0067】
本発明の化合物の好ましい群は、式(I)[式中、Rは、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環によって置換されるC−Cアルキル基であり;R10は水素又はC−Cアルキルを表す]で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を含む。
【0068】
本発明の化合物の好ましい群は、式(Ia):
【0069】
【化17】

【0070】
[式中、A、X、R、R、R、R3a、R、R6a、R、R、R、R10、R12及びR12aは上記で定義した通りである]
で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ又は溶媒和物を含む。
【0071】
本発明の化合物の好ましい群は、式(Ib):
【0072】
【化18】

【0073】
で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ又は溶媒和物を含む、上記式中、Rは下記基:
【0074】
【化19】

【0075】
の1つから選択され;A、X、R、R、R3a、R、R6a、R、R、R、R10、R12、R12a、R13及びR13aは上記で定義した通りである。
本発明の化合物のさらに好ましい群は、式(Ic):
【0076】
【化20】

【0077】
で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を含む、上記式中、Rは、下記基:
【0078】
【化21】

【0079】
の1つから選択され;A、X、R、R、R、R3a、R、R6a、R、R、R、R10、R12、R12a、R13及びR14は上記で定義した通りである。
本発明の化合物のなお一層好ましい群は、式(Ia)、(Ib)又は(Ic)で示される化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物を含む、これらの式において、Rは式IIIa:
【0080】
【化22】

【0081】
で示される基であり、NR13(−R14)は、場合によっては置換される7員〜8員二環状複素環を表し、A、X、R、R、R、R3a、R、R、R6a、R、R、R、R10、R12及びR12aは上記で定義した通りである。
【0082】
本発明による特に好ましい化合物は、下記:
イソプロピル[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]カルバメート;
イソプロピル[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−7−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]カルバメート;及び
2−[({[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ}カルボニル)オキシ]−2−メチルプロピルアセテート;又はこれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物から選択される化合物である。
【0083】
本発明の第1態様の他の特徴によると、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)で示される化合物、又は本発明の好ましい化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物と、製薬的に受容される希釈剤又はキャリヤーを含む薬剤製剤を提供する。
【0084】
本発明の第1態様の他の特徴によると、式(Ia)、式(Ib)、式(Ic)で示される化合物、又は本発明の好ましい化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の下記使用:
(a)ゴナドトロピン放出ホルモン活性に拮抗するための薬剤の製造における使用;
(b)患者の下垂体による黄体形成ホルモンの分泌を減ずるために、患者に投与する薬剤の製造における使用;及び
(c)患者における性ホルモン関連状態、好ましくは、前立腺癌及び閉経前乳癌から選択される性ホルモン関連状態を治療的に処置する及び/又は予防するために、患者に投与する薬剤の製造における使用
を提供する。
【0085】
式(I)で示される化合物は、ヒト又は動物の体内で分解して、式(I)化合物を生じるプロドラッグの形態で投与することができる。プロドラッグの例は、式(I)化合物のin-vivo加水分解可能なエステルを包含する。種々な形態のプロドラッグが、当該技術分野で知られている。このようなプロドラッグ誘導体の例に関しては、下記文献を参照のこと:
a) Design of Prodrugs, edited by H. Bundgaard, (Elsevier, 1985) and Methods in Enzymology, Vol. 42, p. 309-396, edited by K. Widder, et al. (Academic Press, 1985);
b) A Textbook of Drug Design and Development, edited by Krogsgaard-Larsen and H. Bundgaard, Chapter 5 “Design and Application of Prodrugs”, by H. Bundgaard p. 113-191 (1991);
c) H. Bundgaard, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992);
d) H. Bundgaard, et al., Journal of Pharmaceutical Sciences, 77, 285 (1988);及び
e) N. Kakeya, et al., Chem Pharm Bull, 32, 692 (1984).
カルボキシ又はヒドロキシ基を含有する式(I)化合物のin-vivo加水分解可能なエステルは、例えば、ヒト又は動物の体内で加水分解されて、親酸又はアルコールを生じる、製薬的に受容されるエステルである。カルボキシに対する適当な、製薬的に受容されるエステルは、C−Cアルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル、C−Cアルカノイルオキシメチル、例えばピバロイルオキシメチル、フタリジルエステル、C−CシクロアルコキシカルボニルオキシC−Cアルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;及びC−Cアルコキシカルボニルオキシエチルエステルを包含する。
【0086】
ヒドロキシ基を含有する式(I)化合物のin-vivo加水分解可能なエステルは、例えば、リン酸エステル(アミドリン酸環状エステルを包含する)のような無機エステル及びα−アシルオキシアルキルエステルと、エステルのin-vivo加水分解の結果として分解して、親ヒドロキシ基(単数又は複数)を生じるような関連化合物を包含する。α−アシルオキシアルキルエステルの例は、アセトキシメトキシ及び2,2−ジメトキシプロピオニルオキシ−メトキシを包含する。ヒドロキシに対するin-vivo加水分解可能なエステル形成基の選択は、アルカノイル、ベンゾイル、フェニルアセチルと、置換ベンゾイル及び置換フェニルアセチル、アルコキシカルボニル(アルキルカルボネートエステルを生じるため)、ジアルキルカルバモイル及びN−(ジアルキルアミノエチル)−N−アルキルカルバモイル(カルバメートを生じるため)、ジアルキルアミノアセチル及びカルボキシアセチルを包含する。
【0087】
本発明の化合物の適当な製薬的に受容される塩は、例えば、充分に塩基性である、本発明の化合物の酸付加塩、例えば、無機酸又は有機酸による、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸又はマレイン酸によるような、酸付加塩である。さらに、充分に酸性である、本発明の化合物の適当な製薬的に受容される塩は、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム塩若しくはマグネシウム塩、アンモニウム塩又は、生理的に受容されるカチオンを生じる有機塩基による塩、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ピペリジン、モルホリン若しくはトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミンによる塩である。
【0088】
式(I)化合物は、下記の(a)〜(b):
(a)下記のような、式XXXIIで示される化合物の反応:
【0089】
【化23】

【0090】
式中、Xは脱離基である;
(b)下記のような、式XXXIVで示される化合物の反応:
【0091】
【化24】

【0092】
から選択される工程を含み、その後に、必要に応じて、
(i)式(I)化合物を他の式(I)化合物に転化させる工程;
(ii)保護基を除去する工程;
(iii)塩、プロドラッグ又は溶媒和物を形成する工程
を含む方法によって調製することができ、これらの方法は、本発明のさらなる特徴として提供する。
【0093】
本発明の方法では、出発試薬又は中間体化合物中の例えばヒドロキシル又はアミノ基のような、ある一定の官能基を保護基によって保護する必要がありうることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、式(I)化合物の調製は、適当な段階で、1つ以上の保護基の付加と、その後の除去を含む可能性がある。
【0094】
官能基の保護及び脱保護は、'Protective Groups in Organic Chemistry', edited by J.W.F. McOmie, Plenum Press (1973) 及び 'Protective Groups in Organic Synthesis', 2nd edition, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Wiley-Interscience (1991)に記載されている。
【0095】
アミノ又はアルキルアミノ基のための適当な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル又はtert−ブトキシカルボニル基、アリールメトキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル、又はアロイル基、例えばベンゾイルを包含する。上記保護基のための脱保護条件は、保護基の選択によって必然的に変化する。したがって、例えば、アルカノイル又はアルコキシカルボニル基又はアロイル基のようなアシル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム若しくは水酸化ナトリウムのような、適当な塩基による加水分解によって除去することができる。或いは、例えばtert−ブトキシカルボニル基のようなアシル基は、例えば、塩酸、硫酸、リン酸又はトリフルオロ酢酸としての適当な酸による処置によって除去することができ、例えば、ベンジルオキシカルボニル基のようなアリールメトキシカルボニル基は、例えば、炭素付きパラジウムのような触媒上での水素化によって、又は例えばホウ素・トリス(トリフルオロアセテート)(boron tris(trifluoroacetate))のようなルイス酸による処置によって除去することができる。第1級アミノ基のための適当な代替保護基は、例えばジメチルアミノプロピルアミンのようなアルキルアミンによる又はヒドラジンによる処置によって除去することができる。
【0096】
ヒドロキシ基のための適当な保護基は、例えば、アシル基、例えばアセチルのようなアルカノイル基、アロイル基、例えばベンゾイル、又はアリールメチル基、例えばベンジルである。上記保護基のための脱保護条件は、保護基の選択によって必然的に変化する。したがって、例えば、アルカノイル又はアロイル基のようなアシル基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム若しくは水酸化ナトリウムのような、適当な塩基による加水分解によって除去することができる。或いは、例えばベンジル基のようなアリールメチル基は、例えば、炭素付きパラジウムのような触媒上での水素化によって除去することができる。
【0097】
カルボキシ基のための適当な保護基は、例えば、エステル形成基(esterifying group)、例えば、水酸化ナトリウムのような塩基による加水分解によって除去することができるメチル又はエチル基、又は例えば、酸による、例えばトリフルオロ酢酸のような有機酸による処置によって除去することができるtert−ブチル基、又は例えば、炭素付きパラジウムのような触媒上での水素化によって除去することができるベンジル基である。
【0098】
実験
一般的反応スキーム
下記スキーム[該スキームにおいて、Ri、Rii及びRiiiは、場合によっては必要に応じて保護されるフェニル環上の任意の置換基を表し、Rは保護基を表す]において、R基は、説明のためにのみ、置換フェニルとして表示されている。Rの他の定義も適当である。
【0099】
【化25】

【0100】
例えば3のようなトリプタミンは、ヒドラジン1と、カルボニルに対してαに水素原子を有するケトン2との縮合による典型的なFisherインドール合成反応によって合成することができる(スキームa)。これらの反応物質の、例えば酢酸、エタノール、tert−ブタノール、トルエンのような、適当な溶媒中、例えば硫酸、塩酸、ポリリン酸のような酸及び/又は例えば三フッ化ホウ素、塩化亜鉛、臭化マグネシウムのようなルイス酸の存在下での高温(例えば、100℃)における処置は、所望の生成物を生じる。Rは保護基、例えば、tert−ブチルカルバメート又はフタルイミドを表す。
【0101】
【化26】

【0102】
構造5で表示したようなトリプタミンは、カルボニルに対してαに水素原子を有するアルデヒド4を用いて、上記条件を用いる環化によって製造することもできる。この場合には、2−位置における置換基を後で加えなければならない(スキームd参照)。
【0103】
【化27】

【0104】
トリプタミンは、Granburg反応を用いて合成することもでき、この反応では、ヒドラジン1を、カルボニルに対してγに塩素原子を有するケトン6と混合して、例えばエタノール、tert−ブタノール、トルエンのような、適当な溶媒中で、50℃〜120℃の温度において加熱する(スキームc)。
【0105】
【化28】

【0106】
トリプタミン5を、例えばクロロホルム、塩化メチレンのような不活性溶媒中で、−10℃〜25℃において、例えば分子臭化物(molecular bromide)、ピリジニウム・トリブロミド、ピロリドン・ヒドロブロミド又はポリマー担持型試薬同等物(polymer supported reagent equivalents)のような、“臭素供給源”によって処理して、2−ブロモ化合物8を得ることができる(スキームd)。例えばトルエン、ベンゼン、ジオキサン、THF、DMF等のような不活性溶媒中、パラジウム(0)触媒、例えば炭酸ナトリウム水溶液又は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等のような弱塩基、及び商業的ソースからの又は調製された(Gronowitz, S.; Hornfeldt, A.-B.; Yang, Y.,-H Chem. Sci. 1986, 26, 311-314に記載されているように)置換アリールボロン酸(substituted aryl boronic acid)によるSuzuki条件下で、25℃〜100℃の温度、好ましくは80℃において1〜12時間にわたって加熱しながらの反応によって、所望の化合物3を得る。
【0107】
【化29】

【0108】
ヒドラジン1は、商業的ソースから遊離塩基又は適当な塩(例えば、塩酸塩)のいずれかとして購入することができ、これらは両方共が該反応条件下で受容される。ヒドラジンは、−10℃〜−5℃の温度における濃塩酸・ナトリウムニトリルの好ましい条件下でのアニリンのジアゾ化と、次の、−10℃〜−5℃の温度における濃塩酸中塩化スズ(II)の好ましい条件下での還元の2工程方法によって合成することができる。
【0109】
【化30】

【0110】
置換ケトン2は、例えば9のような、適当な酸塩化物から出発して、スキームeに概略を示したように調製することができる。例えばトリエチルアミンのようなアミン塩基及び例えば塩化メチレンのような適当な溶媒の存在下、−10℃〜25℃の温度でのN,N−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩による該酸塩化物の処理は、アミド10を生じる。例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン又はこれらの混合物等のような不活性溶媒中、−100℃〜0℃の温度における置換アリール有機リチウム(本質的に Wakefield B, J.; Organolithium Methods Academic Press Limited, 1988, pp. 27-29 及びその中の参考文献に記載されているように調製)とのさらなる反応と、次の、例えば塩酸のような無機酸による該反応混合物のクエンチは、アリールケトン2を生じる。
【0111】
【化31】

【0112】
適当な鎖長[a]を有する容易に入手可能なアミノ酸11から出発すると、窒素原子をスキームfに示した経路による合成の開始時に導入することができる。tert−ブチルカルバメート基による11のアミン基の保護は、例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン及びこれらの混合物等のような不活性溶媒中、アミン塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下、−10℃〜25℃の温度におけるジ−tert−ブチル ジ−カ−ボネートとの縮合によって達成される。例えば塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン及びこれらの混合物等のような不活性溶媒中、1−ヒドロキシベノトリアゾール(HOBt)、及び例えばトリエチルアミン等のような、適当なアミン塩基を含む又は含まない、カップリング剤1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)又は1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の存在下、室温又はほぼ室温における3〜24時間の時間にわたる該酸生成物と、N,N−ジメチルヒドロキシルアミンとのカップリングは、対応するカップリング生成物(coupled product)12を生じた。次に、スキームdに関して上述した同じ経路に従って、アリール基を取り付けることができる。
【0113】
【化32】

【0114】
スキームgは、窒素原子を後の段階で導入する、例えば2及び16のようなケトンの別の合成方法を説明する。上記と同様に、Weinrebアミド14は、酸塩化物から合成することができる。例えばTHF、トルエン、水等のような不活性溶媒中での必要なアミンによる処置は、基Xを置換して、17を得ることができる。上記と同様に、Weinrebアミドを適当なアリール・リチウム求核試薬と置換することによって、アリール基を導入することができる。或いは、例えばDMF、DMSO、THF、トルエンのような不活性極性溶媒中で、例えばヨウ化テトラブチルアンモニウム等のような触媒の存在を含めて又は含めないで、加熱することによって、基Xをカリウム・フタルイミド又はその同様な塩と置換することによって、窒素原子をフタルイミドとして既に保護された状態で導入して、化合物15を得ることができる。再び、Weirebアミドを有機リチウム種と置換することによって、インドール合成に関して上述したFischer条件下での環化に適したケトンの合成が完成する。
【0115】
【化33】

【0116】
例えば16のような、フタルイミド保護窒素ケトンへの代替アプローチは、上記スキームにおけると同様に、最初にラクトンを有機リチウム種と共に、例えばTHF又はエーテルのような適当な溶媒中、−100℃〜−50℃の低温において処理して、第1級アルコールを得ることによって行なうことができる(スキームh)。例えばベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン又はこれらの混合物のような不活性溶媒中、トリフェニルホスフィン、トリ−ブチルホスフィン等と共に、例えばジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート等のような活性剤によるMitsunobu反応によって、18のヒドロキシル官能基をフタルイミド基と置換して、所望のケトン16を得る。
【0117】
【化34】

【0118】
スキームhに示した反応と同様な反応を用いて、最終分子におけるRにβ−メチル基を導入するために必要な、それぞれの中間体を製造するために用いることができる(スキームh1参照)。
【0119】
【化35】

【0120】
インドールを形成するための環化の前に、R基が出発ヒドラジン上に存在しなかった場合には、環化後にアルキル化反応によってR基を加えることができる(19→3)。該インドールを例えばTHF、DME、DMSO等のような、適当な不活性溶媒中での例えば水素化ナトリウム、n−ブチル・リチウム、リチウム・ジイソプロピルアミン、水酸化ナトリウム、カリウム・tert−ブトキシドのような強塩基によって脱保護して、アルキルハライド(alkyl halide)を加え、この混合物を0℃〜室温の温度において撹拌する。
【0121】
【化36】

【0122】
上記で用いた経路に依存して、保護基の除去によって、シアノグアニジンへの転化のために適したトリプタミン20を形成することができる、例えば、tert−ブチルカルバメートを用いた場合には、除去は、例えば塩化メチレン、クロロホルム、THF又はジオキサンのような不活性溶媒中、−20℃〜25℃の温度において例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸のような強酸を用いて達成される。例えば、フタルイミド基は、例えばメタノール、エタノール、塩化メチレン、クロロホルム、THF、ジオキサンのような、適当な溶媒中、−20℃〜25℃の温度においてヒドラジンによって除去することができる。第1級アミン20は、例えばイソプロピルアルコール、塩化メチレン、クロロホルム、ベンゼン、テトラヒドロフラン等のような不活性有機溶媒中、−20℃〜50℃の温度におけるジフェニルシアノカルボンイミデートによる反応と、その後の、−20〜100℃の温度で加熱しながらの、上記リストからの不活性有機物質中の適当に置換されたアミンとの縮合との2工程反応方法によって、シアノ−グアニジン22に転化させることができる(スキームI 20→21→22)。メタノール中、高温における2モル塩酸による22のさらなる処置は、グアニジン化合物23を生じる。次に、23を化合物24[この場合、Xは例えばp−ニトロフェノールのような脱離基である]と、例えばDMFのような適当な溶媒中、約0℃の温度において反応させて、化合物25を形成することができる。
【0123】
【化37】

【0124】
或いは、アルキルクロロホルメートをトルエン/アセトニトリル中のチオシアン酸カリウムの溶液と、約室温において反応させることができる。この反応の生成物を次に、ジクロロメタン(DCM)中、0℃においてトリプタミン20と反応させて、26を形成することができる。次に、26を、ジクロロメタン中、約0℃の温度においてEDC/DIPEAの存在下で、適当な第1級又は第2級アミンと反応させることによって、27に転化させることができる。
【実施例】
【0125】
本発明を次に、下記の非限定的実施例によって説明するが、実施例において、特に指定しない限り:
(i)蒸発は、真空中での回転蒸発によって行ない、仕上げ処理方法は、例えば乾燥剤のような残留固体を濾過によって除去した後に行なった;
(ii)操作は、18〜25℃の範囲内である室温において、例えばアルゴン又は窒素のような不活性ガスの雰囲気下で行なった;
(iii)収率は、例示のためにのみ記載し、必ずしも、達成しうる最大値ではない;
(iv)式(I)で示される最終生成物の構造は、核(一般にはプロトン)磁気共鳴(NMR)及び質量スペクトル方法によって確認した;プロトン磁気共鳴化学シフト値は、δスケールで測定した、ピーク多重度は次のように示す:s、一重線;d、二重線;t、三重線;m、多重線;br、幅広い;q、四重線;quin、五重線;
(v)中間体は一般的に、完全には特徴付けなかった、純度は薄層クロマトグラフィー(TLC)、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外(IR)又はNMR分析によって評価した;
(vi)クロマトグラフィーはシリカ(Merk Keiselgel:Art.9385)上で行なった;
(vii)isoluteTMは、平均サイズ50μm、公称60Å間隙(porosity)を有する不規則な粒子を有するシリカ(SiO)に基づくカラムを意味する[供給源: Jones Chromatography, Ltd., Glamorgan, Wales, United Kingdom]。
【0126】
略号
ブライン:蒸留水中の塩化ナトリウムの飽和水溶液
DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM:ジクロロメタン
DEAD: ジエチルアゾジカルボキシレート
DIPEA: ジイソプロピルエチルアミン
DMSO: ジメチルスルホキシド
DMF: ジメチルホルムアミド
EDC: 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
HOBr: 1−ヒドロキシベノトリアゾール
THF: テトラヒドロフラン
【0127】
実施例1
エチル(1E)−({2−[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−2−ピロリジン−1−イルエチル)−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]エチル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバメート
【0128】
【化38】

【0129】
DCM(3ml)中の5(72mg、0.13mmol)、4−ピロリジン−3−イルピリジン(30mg、0.20mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(46μl、0.26mmol)の撹拌し、冷却した溶液(0℃)に、EDC(52mg、0.27mmol)を加えた。0℃において1時間撹拌した後に、反応混合物を周囲温度において16時間撹拌した。この反応を炭酸水素ナトリウム(3ml、飽和水溶液)の添加によってクエンチし、相を分離した。水相をDCM(2x5ml)で抽出し、一緒にした有機層をMgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上のクロマトグラフィーによって精製し、勾配4〜8%MeOH/DCMで溶出して、8を黄色泡状物(20mg)として得た。
質量スペクトル m/e649.3(M+H)
NMRスペクトル (CDCl3,δ値) 1.28 (t, 3H), 1.47-1.79 (m, 10H), 1.88 (m, 1H), 2.19 (m, 1H), 1.35 (s, 6H), 2.76 (m, 2H), 3.13-3.42 (m, 6H), 3.44-3.59 (m, 4H), 3.62 (dd, 1H), 4.08 (q, 2H), 6.98 (s, 1H), 7.05 (m, 3H), 7.15 (s, 2H), 7.30 (d, 1H), 7.45 (s, 1H), 8.23 (s, 1H), 8.50 (d, 2H).
出発物質は、下記スキーム1に示したように調製した。
【0130】
【化39】

【0131】
(I)
トルエン(25ml)とアセトニトリル(100ml)中のチオシアン酸カリウム(7.83g、80.57mmol)の撹拌した溶液に、周囲温度においてn−ブチルクロロホルメート(2g、14.64mmol)を加えた。3日間撹拌した後に、反応混合物をセライトのパッドに通して濾過して、濾液を真空中で減じた。残渣をDCM/イソヘキサン(1:1)と共に摩砕し、濾過して、濾液を真空中で減じた。粗生成物をSiO上でのクロマトグラフィーによって精製して、DCM/イソヘキサン(1:4)で溶出して、1を黄色液体(580mg)として得た。
H NMRスペクトル(300MHz, CDCl3, δ値) 0.95 (m, 3H), 1.40 (m, 2H), 1.68 (m, 2H), 4.21 (t, 2H).
【0132】
(5)
DCM(3ml)中の2(100mg、0.25mmol)の溶液を、DCM(2ml)中の1(29μl、0.25mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液にN下で加えた。冷却浴を除去し、撹拌を2時間続けた。水(3ml)を加えて、反応をクエンチして、相を分離した。水相をDCM(2x5ml)で抽出して、一緒にした有機層をブラインで洗浄して、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、5を白色固体(144mg)として得た。
質量スペクトル m/e535.2(M+H)
1H NMRスペクトル(300MHz, CDCl3,δ値) 1.20-1.36 (m, 3H), 1.48-1.83 (m, 10H), 2.40 (s, 6H), 2.80 (m, 2H), 3.28 (t, 2H), 3.55 (m, 2H), 3.95 (m, 2H), 4.08-4.24 (m, 2H), 6.99-7.09 (m, 2H), 7.20 (s, 2H), 7.24-7.35 (m, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 8.20 (s, 1H), 9.70 (m, 1H).
【0133】
実施例1.1〜1.2
実施例1に述べた方法と同様な方法に従って、下記実施例を調製した。
【0134】
【表1】

【0135】
実施例2
イソプロピル[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル)プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]カルバメート
【0136】
【化40】

【0137】
DCM(15ml)中の13(543mg、1.06mmol)、4−ピロリジン−3−イルピリジン(200mg、1.35mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(188μl、1.08mmol)の撹拌し、冷却した溶液(0℃)に、EDC(173mg、0.90mmol)を加えた。暗所において周囲温度で16時間撹拌した後に、反応混合物を冷却し(0℃)、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(94μl、0.54mmol)及びEDC(86mg、0.45mmol)を加えた。反応混合物を0℃において30分間、周囲温度において4時間撹拌した。この反応を水(15ml)の添加によってクエンチして、相を分離した。水相をDCM(2x10ml)によって抽出し、一緒にした有機層をブライン(10ml、飽和水溶液)で洗浄して、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上のクロマトグラフィーによって精製し、勾配5〜7%MeOH/DCMで溶出して、実施例2を黄色泡状物(266mg)として得た。
質量スペクトル m/e715.3(M−H)
NMRスペクトル (CDCl3,δ値) 1.20-1.39 (m, 10H), 1.40-1.70 (m, 14H), 1.72-1.93 (m, 1H), 2.14 (m, 1H), 2.35 (s, 6H), 3.20-3.70 (m, 11H), 4.83 (m, 1H), 6.95-7.10 (m, 6H), 7.32 (d, 1H), 7.48 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 8.50 (d, 2H).
出発物質は、以下のスキーム2に示したように調製した。
【0138】
【化41】

【0139】
(13)
DCM(7ml)中の11(412mg、0.90mmol)の溶液を、DCM(8ml)中の4(131mg、0.90mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液にN下で加えた。冷却浴を除去し、撹拌を2時間続けた。反応を水(10ml)の添加によってクエンチし、相を分離した。水相をDCM(2x10ml)によって抽出し、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、13を黄色固体(573mg)として得た。
質量スペクトル m/e603.3(M+H)
NMRスペクトル (CDCl3,δ値) 1.18-1.67 (m, 24H), 2.38 (s, 6H), 3.45 (s, 2H), 3.55 (m, 1H), 4.00 (m, 1H), 4.14 (m, 2H), 4.86(m, 1H), 7.01-7.10 (m, 2H), 7.14 (s, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.73 (s, 1H), 7.96(s, 1H), 9.55 (m, 1H).
【0140】
実施例2.1
実施例2に述べた方法と同様な方法に従って、下記実施例を調製した。
【0141】
【表2】

【0142】
実施例3
イソプロピル(1E)−({2−[5−(1,1−ジメチル−2−オキソ−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル)−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]エチル]アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバメート
【0143】
【化42】

【0144】
DCM(15ml)中の19(584mg、1.06mmol)、4−ピロリジン−3−イルピリジン(236mg、1.59mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(277μl、1.59mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液に、EDC(204mg、1.06mmol)を加えた。暗所において周囲温度で16時間撹拌した後に、反応混合物を冷却し(0℃)、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(185μl、1.06mmol)及びEDC(102mg、0.53mmol)を加えた。反応混合物を0℃において30分間、周囲温度において4時間撹拌した。この反応を水(15ml)の添加によってクエンチして、相を分離した。水相をDCM(2x10ml)によって抽出し、一緒にした有機層をブライン(10ml、飽和水溶液)で洗浄して、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上のクロマトグラフィーによって精製し、勾配5〜7%MeOH/DCMで溶出して、21を淡黄色泡状物(420mg)として得た。
質量スペクトル m/e663.4(M−H)
NMRスペクトル(CDCl3,δ値) 0.70 (m, 3H), 1.13 (m, 3H), 1.26 (dd, 6H), 1.60 (s, 6H), 1.88 (m, 1H), 2.18 (m, 1H), 2.34(s, 6H), 2.92 (m, 2H), 3.13-3.44 (m, 8H), 3.50 (m, 2H), 3.63 (dd, 1H), 4.85 (m, 1H), 6.96 (s, 1H), 7.04 (d, 3H), 7.16 (s, 2H), 7.30 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 8.50 (d, 2H).
出発物質は、以下のスキーム3に示したように調製した。
【0145】
【化43】

【0146】
(19)
DCM(3ml)中の17(190mg、0.47mmol)の溶液を、DCM(8ml)中の4(68mg、0.47mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液にN下で加えた。冷却浴を除去し、撹拌を2時間続けた。反応を水(10ml)の添加によってクエンチし、相を分離した。水相をDCM(2x10ml)によって抽出し、一緒にした有機層をブラインで洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮して、19を黄色固体(260mg)として得た。
質量スペクトル m/e551.2(M+H)
NMRスペクトル(CDCl3,δ値) 0.71 (m, 3H), 1.13 (m, 3H), 1.27 (d, 6H), 1.63 (s, 6H), 2.40 (s, 6H), 2.95 (m, 2H), 3.26(t, 2H), 3.36 (m, 2H), 3.95 (m, 2H), 4.90 (m, 1H), 7.00-7.06 (m, 2H), 7.20 (s, 2H), 7.30 (d, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 8.07 (s, 1H), 9.72 (m, 1H).
【0147】
実施例3.1
実施例3に述べた方法と同様な方法に従って、下記実施例を調製した。
【0148】
【表3】

【0149】
実施例4
イソプロピル(1E)−({2−[5−[2−(N,N−ジエチルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]エチル}アミノ)(4−メチルピペラジン−1−イル)メチリデンカルバメート
【0150】
【化44】

【0151】
DCM(4ml)中の19[実施例3参照](217mg、0.39mmol)、N−メチルピペラジン(66μl、0.59mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(82μl、0.47mmol)の撹拌し、冷却した(0℃)溶液に、EDC(76mg、0.40mmol)を加えた。周囲温度で16時間撹拌した後に、反応混合物を冷却し(0℃)、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(41μl、0.24mmol)及びEDC(38mg、0.20mmol)を加えた。反応混合物を0℃において30分間、周囲温度において4時間撹拌した。この反応を水(10ml)の添加によってクエンチして、相を分離した。水相をDCM(2x10ml)によって抽出し、一緒にした有機層をブライン(5ml、飽和水溶液)で洗浄して、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上のクロマトグラフィーによって精製し、勾配2〜10%MeOH/DCMで溶出して、23を白色固体(130mg)として得た。
質量スペクトル m/e617.5(M+H)
NMRスペクトル(CDCl3, d values) 0.74 (m, 3H), 1.15 (m, 3H), 1.28 (d, 6H), 1.62 (s, 6H), 2.23 (s, 3H), 2.27 (t, 4H), 2.40 (s, 6H), 2.93 (m, 2H), 3.19 (m, 2H), 3.25 (t, 4H), 3.39 (m, 4H), 4.86 (m, 1H), 7.05 (m, 2H), 7.15 (s, 2H), 7.32 (d, 1H), 7.43 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 8.19 (m, 1H).
【0152】
実施例4.1〜4.2
実施例4に述べた方法と同様な方法に従って、下記実施例を調製した。
【0153】
【表4】

【0154】
実施例5
(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソル−4−イル)メチル(IE)−({2−[5−[2−(ジエチルアミノ)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]エチル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチリデンカルバメート
【0155】
【化45】

【0156】
DMF(3ml)中の(26)(118mg、0.19mmol)の冷却し(0℃)、撹拌した溶液に、N下で、NaH(16mg、0.40mmol)を加えた。30分間撹拌した後に、DMF(2ml)中の27(62mg、0.21mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃において4時間撹拌し、−20℃において16時間放置した。水(15ml)の添加によって反応をクエンチしてから、EtOAc(3x10ml)で抽出した。一緒にした有機層をブライン(10ml、飽和水溶液)によって洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上でのクロマトグラフィーによって精製し、勾配2〜10%MeOH/DCMで溶出して、28を黄色固体(45mg)として得た。
質量スペクトル m/e733.3(M−H)
NMRスペクトル (CDCl3,δ値) 0.73 (m, 3H), 1.14 (m, 3H), 1.60 (s, 6H), 1.90 (m, 1H), 2.10 (s, 3H), 2.22 (m, 1H), 2.35 (s, 6H), 2.90 (m, 2H), 3.14-3.62 (m, 11H), 4.79 (s, 2H), 6.99 (s, 1H), 7.00-7.12 (m, 3H), 7.17 (s, 2H), 7.34 (d, 1H), 7.41 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 8.54 (m, 2H).
【0157】
実施例6
2−[({[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ)カルボニル)オキシ]−2−メチルプロピルアセテート
【0158】
【化46】

【0159】
DMF(2ml)中の(29)(50mg、74.9μmol)の冷却し(0℃)、撹拌した溶液に、N下で、NaH(7mg、0.16mmol)を加えた。30分間撹拌した後に、DMF(2ml)中の(30)(67mg、0.23mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を0℃において40分間撹拌した。水(15ml)の添加によって反応をクエンチしてから、EtOAc(3x10ml)で抽出した。一緒にした有機層をブライン(10ml、飽和水溶液)によって洗浄し、MgSO上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物をSiO上でのクロマトグラフィーによって精製し、勾配5〜10%MeOH/DCMで溶出して、31を黄色固体(10mg)として得た。
質量スペクトル m/e789.3(M+H)
NMRスペクトル(CDCl3, δ値) 1.10-1.70 (m, 24H), 1.75-1.90 (m, 1H), 2.00 (s, 3H), 2.15-2.30 (m, 1H), 2.30 (s, 6H), 3.17 (m, 1H), 3.28-4.00 (m, 12H), 6.86(s, 2H), 6.95-7.15 (m, 3H), 7.20-7.30 (m, 2H), 7.46 (s, 1H), 8.18 (d, 1H), 8.50 (d, 2H).
【0160】
治療的使用
式(I)化合物を、患者、例えば男性及び/又は女性におけるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)活性に拮抗するための薬剤として提供する。この目的のために、式(I)化合物を、製薬的に受容される希釈剤又はキャリヤー(例えば、水)をも包含する薬剤製剤の一部として、提供することができる。該製剤は、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末、シロップ、エマルジョン(例えば、脂質エマルジョン)、座薬、軟膏、クリーム、ドロップ(drops)、懸濁液(例えば、水性若しくは油性懸濁液)又は溶液(例えば、水性又は油性溶液)の形態であることができる。望ましい場合には、製剤は、安定剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液、ラクトース、シアル酸、ステアリン酸マグネシウム、石膏(terra alba)、スクロース、トウモロコシ澱粉、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、落花生油、オリーブ油、カカオ脂及びエチレングリコールから独立的に選択される、1種類以上の付加的物質を包含することができる。
【0161】
該化合物は、好ましくは、患者に経口投与されるが、例えば非経口的又は直腸投与のような、他の投与経路も可能である。静脈内、皮下又は筋肉内投与のためには、患者は、化合物0.1mg/kg〜30mg/kg(好ましくは、5mg/kg〜20mg/kg)の1日量を摂取することができ、該化合物は1日に1〜4回投与される。静脈内、皮下及び筋肉内投与量は、ボラス注射(bolus injection)によって与えることができる。或いは、静脈内投与量は、長時間にわたる連続注入によって投与することができる。或いは、患者は非経口1日量にほぼ相当する経口1日量を摂取することができ、該組成物は1日に1〜4回投与される。適当な薬剤製剤は、本発明の化合物10mg〜1g(好ましくは、100mg〜1g)を含有する単位投与形での、例えば錠剤又はカプセル剤としての経口投与に適した薬剤製剤である。
【0162】
緩衝液、製薬的に受容される補助溶媒(例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール若しくはEtOH)又は例えばヒドロキシ−プロピルβシクロデキストリンのような錯化剤を、製剤化を助けるために用いることができる。
【0163】
本発明の1態様は、患者の下垂体によるLH及び/又はFSHの分泌の軽減のための本発明による化合物の使用に関する。これに関して、該軽減は、LHとFSHの生合成の減少及び/又は下垂体によるLHとFSHの放出の減少によることができる。したがって、本発明による化合物は、患者における性ホルモン関連状態の治療的処置及び/又は予防のために用いることができる。“予防(preventing)”とは、該状態に罹患する患者の危険性を減ずることを意味する。“治療(treating)”とは、患者における該状態の根絶又はその重症度の軽減を意味する。性ホルモン関連状態の例は:性ホルモン依存性癌、良性前立腺肥大、子宮筋腫、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣、子宮類線維腫、前立腺肥大(prostatauxe)、子宮筋腫(myoma uteri)、多毛症及び性的早熟である。性ホルモン依存性癌の例は:前立腺癌、子宮癌、乳癌及び下垂体生殖腺刺激性腺腫である。
【0164】
本発明の化合物は、性ホルモン関連状態を治療及び/又は予防するために用いられる、他の薬物及び療法と組み合わせて用いることができる。
一定投与量(fixed dose)として製剤化する場合に、このような組み合わせ生成物は、本発明の化合物を本明細書に記載する投与量範囲内で、他の薬剤学的な活性剤をその許容される投与量範囲内で用いる。組み合わせ製剤が不適当である場合には、連続使用が考えられる。医学的腫瘍学の分野では、このような組み合わせの例は、下記カテゴリーの治療剤との組み合わせを包含する:
(i)抗脈管形成剤(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、アンギオスタチン、エンドスタチン、ラゾキシン、タリドミド)及び、血管内皮成長因子(VEGF)受容体チロシンキナーゼ阻害剤(RTKIs)(例えば、国際特許出願公開番号WO-97/22596、WO−97/30035、WO−97/32856及びWO−98/13354に記載されているもの、これらの特許出願の全開示は、本明細書に援用される)を包含する;
(ii)細胞増殖抑制剤、例えば抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン)、プロゲストゲン(例えば、メゲストロール酢酸)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、エクセメスタン)、抗プロゲストゲン、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、シプロテロン酢酸)、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼの阻害剤(例えば、フィナステリド)、抗侵襲剤(anti-invasion agents)(例えば、マリマステート(marimastat)のようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、及びウロキナーゼ・プラスミノーゲン・アクチベーター受容体機能の阻害剤)、及び増殖因子機能の阻害剤(このような増殖因子は、例えば、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子及び肝細胞増殖因子を包含し、このような阻害剤は増殖因子抗体、増殖因子受容体抗体、チロシンキナーゼ阻害剤及びセリン/スレオニンキナーゼ阻害剤を包含する);
(iii)生物学的応答調節剤(例えば、インターフェロン);
(iv)抗体(例えば、エドレコロマブ(edrecolomab));並びに
(v)医学的腫瘍学において用いられるような抗増殖性/抗腫瘍性薬物及びこれらの組み合わせ、例えば代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセートのような葉酸拮抗剤、5−フルオロウラシルのようなフルオロピリミジン、プリン及びアデノシン類似体、シトシンアラビノシド);抗腫瘍性抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン及びイダルビシンのようなアントラサイクリン、ミトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン);白金誘導体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);アルキル化剤(例えば、ナイトロジェン・マスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソウレア、チオテパ);有糸分裂抑制薬(例えば、ビンクリスチンのようなビンカアルカロイド及び、タキソール、タキソテレ(taxotere)のようなタキソイド);酵素(例えば、アスパラギナーゼ);チミジル酸シンターゼ阻害剤(例えば、ラルチトレキセド);トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン(topotecan)、イリノテカン)。
【0165】
本発明の化合物は、手術又は放射線療法と組み合わせて用いることもできる。
アッセイ
本発明による化合物がGnRHのアンタゴニストとして作用する可能性は、下記in vitroアッセイを用いて評価することができる。
【0166】
ラット下垂体GnRH受容体を用いる結合アッセイ
このアッセイは次のように行なう:
1.ウシ血清アルブミン(0.1%)、[I−125]D−t−Bu−Ser6−Pro9−エチルアミド−GnRH及び試験化合物を含有するTris.HCl緩衝液(pH.7.5、50mM)中でラット下垂体組織から調製した粗原形質膜(crude plasma membranes)をインキュベートする。インキュベーションは4℃において90分間〜2時間行なう。
2.ガラス繊維フィルターに通して迅速に濾過し、繰り返して洗浄する。
3.ガンマカウンターを用いて、膜に結合した放射性リガンド(radio-ligand)の放射能を測定する。このデータから、試験化合物のIC50を、GnRH受容体への放射性リガンドの結合を50%阻害するために必要な化合物の濃度として算出することができる。
【0167】
本発明による化合物は、1nM〜5μMの濃度で活性を有する。
ヒトGnRH受容体を用いる結合アッセイ
ヒトGnRH受容体を発現するCHO細胞から調製される粗膜(crude membrane)が、GnRH受容体の供給源である。本発明による化合物の結合活性は、GnRH受容体への[125I]ブゼレリンの特異的結合を50%阻害するために必要な化合物濃度であるIC50として算出することができる。[125I]ブゼレリン(ペプチドGnRH類似体)は、この場合、該受容体の放射能標識リガンドとして用いられる。
【0168】
LH放出の阻害を評価するためのアッセイ
LH放出アッセイを用いて、GnRHに誘導されるLH放出の減少によって実証されるような、化合物のアンタゴニスト活性を実証することができる。
【0169】
下垂体の組織標本
ラットから得た下垂体を次のように準備する。適当なラットは、12時間明/12時間暗サイクルで一定温度(例えば、25℃)に維持されたWistar雄ラット(150〜200g)である。ラットを断頭によって殺してから、下垂体を無菌状態でハンクス平衡塩類溶液(HBSS)を含有する管に摘出する。該下垂体をさらに以下のように処理する:
1.250xgで5時間遠心分離する;
2.HBSS溶液を吸引する;
3.該下垂体をペトリ皿に移してから、外科用メスで細かく刻む;
4.細かく刻んだ組織を、0.2%コラーゲナーゼ及び0.2%ヒアルロニダーゼを含有するHBSSの10mlアリコート中に連続3回懸濁させることによって、該組織を遠心分離管に移す。
5.該管を水浴中で37℃に維持しながら、該組織懸濁液を穏やかに撹拌することによって、細胞を分散させる;
6.未消化下垂体断片を3〜5分間沈降させながら、ピペットを用いて20〜30回吸引する;
7.懸濁した細胞を吸引した後に、1200xgで5分間遠心分離する;
8.0.37%NaHCO、10%ウマ血清、2.5%ウシ胎仔血清、1%非必須アミノ酸、1%グルタミン及び0.1%ゲンタマイシンを含有するDMEM培地中に細胞を再懸濁させる;
9.該コラーゲナーゼ及び該ヒアルロニダーゼの30mlアリコートで該未消化下垂体断片を3回処理する;
10.該細胞懸濁液をプールし、3x10細胞/mlの濃度に希釈する;
11.この懸濁液1.0mlを24穴トレーの各々に入れ、細胞を、加湿された5%CO/95%空気雰囲気中、37℃に3〜4日間維持する。
【0170】
化合物の試験
試験化合物をDMSO中に、該インキュベーション培地中0.5%の最終濃度になるように溶解する。
【0171】
アッセイの1.5時間前に、0.37%NaHCO3、10%ウマ血清、2.5%ウシ胎仔血清、1%非必須アミノ酸(100X)、1%グルタミン(100X)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(1ml当りそれぞれ10,000単位)及び25mM HEPESをpH7.4で含有するDMEMで、細胞を3回洗浄する。アッセイの直前に、細胞を再び、この培地中で2回洗浄する。
【0172】
この後に、試験化合物及び2nM GnRHを含有する、新鮮な培地1mlを2つの穴に加える。他の試験化合物(2種類以上の化合物を試験することが望ましい場合に)に関しては、これらを他のそれぞれ2通りの穴に加える。次に、インキュベーションを37℃において3時間行なう。
【0173】
インキュベーション後に、各穴から培地を取り出し、該培地を2000xgで15分間遠心分離して、あらゆる細胞物質を除去することによって、各穴を分析する。上澄み液を取り出して、二抗体ラジオイムノアッセイを用いて、LH含量に関して分析する。適当な対照(試験化合物ではない)との比較を用いて、該試験化合物がLH放出を減ずるかどうかを判定する。本発明による化合物は、1nM〜5nMの濃度において活性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】

で示される化合物又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物、
上記式において、
Aは、直接結合又は場合によっては置換されるC−Cアルキレンを表す;
は、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;又は(CH−R[式中、RはC−Cシクロアルキルを表し、bはゼロ又は1〜6の整数を表す]を表す;
は、場合によっては置換される単環状若しくは二環状芳香環構造を表す、この場合、任意の置換基はシアノ、NR3a、場合によっては置換されるC−Cアルキル、場合によっては置換されるC−Cアルコキシ又はハロから選択される;
とR3aは、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;及び場合によっては置換されるアリールから独立的に選択される;
は、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環;又は式III−a;III−b;III−c;III−d;III−e;III−f;III−g;III−h;III−i;III−j若しくはIII−kで示される基から選択される;
【化2】

式中、hetは、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表し;
とR6aは下記から選択される:
(i)RとR6aは、水素及び場合によっては置換されるC−Cアルキルから独立的に選択される;又は
(ii)RとR6aは一緒にカルボニルを表す;又は(iii)式:
【化3】

は、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表し、R6aは、水素及び場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
は、水素又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
は、C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル及びヘテロサイクリルから選択され、この場合、Rは場合によってはハロ、ヒドロキシ、アミノ、NO、シアノ、C−Cアルカノイルオキシ、N−C−Cアルキルアミノ、N,N−ジ−C−Cアルキルアミノ、HO−C−Cアルキル−NH−、HO−C−Cアルキル−N(C−Cアルキル)−、−S(O)−C−Cアルキル、−N(R)S(O)−C−Cアルキル、−S(O)N(R)−C−Cアルキル、又は場合によってはC−Cアルキル、C−Cアルケニル若しくはC−Cアルキニルによって置換されるヘテロサイクリルによって置換され、この場合、Rは水素又はC−Cアルキルである;
は下記から選択される:
(i)Rは、水素、アリール、3員〜10員複素環又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;及び
(ii)構造N(R10)は、場合によってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜10員複素環を表す;
10は、上記Rのオプション(ii)の定義を満たすか、又はRが上記オプション(i)の定義を満たす場合に、R10は水素若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルを表す;
12とR12aは下記から選択される:
(i)R12とR12aは、水素若しくは場合によっては置換されるC−Cアルキルから独立的に選択される;又は
(ii)R12とR12aは、それらが付着する炭素と共に、場合によっては置換される3員〜7員シクロアルキル環を形成する;
13とR14は下記から選択される:
(i)R13は、水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル;場合によっては置換されるアリール;−R−Ar[式中、RはC−Cアルキレンを表し、Arは場合によっては置換されるアリールを表す];及び場合によってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有し、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;そしてR14は水素;場合によっては置換されるC−Cアルキル及び場合によっては置換されるアリールから選択される;
(ii)Rが式III−a、III−b又はIII−iで示される基を表す場合、基NR13(−R14)は、場合によっては、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;又は
(iii)Rが構造III−eを表す場合、式:
【化4】

は、場合によっては、O、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜8員複素環を表す;
nは0〜2である。
【請求項2】
が水素、場合によっては置換されるアリール、場合によっては置換される3員〜10員複素環、又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表し、R10が水素、又は場合によっては置換されるC−Cアルキルを表し、この場合、アリール、複素環及びC−Cアルキル上の任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、場合によっては置換されるアリール、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有し、場合によっては置換される3員〜8員ヘテロサイクリル、−O−R、C(O)NR、−NR、−NRC(O)−R、−C(O)NR、−NRS(O0−2)R、−S(O0−2)R(これらにおいて、R及びRは請求項1におけると同様である)から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
が、ピリジル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアゾリル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、イミダゾリニル、ベンズトリアゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、ピロリル、1,3−ジオキソラニル又は2−アゼチニル(各々が場合によっては置換される)によって置換されるC−Cアルキル基である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
構造N(R10)が、場合によってはO、N及びSから独立的に選択される1〜3個のヘテロ原子をさらに含有する、場合によっては置換される3員〜10員複素環を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
該3員〜10員複素環が、場合によっては、R15から選択される1つ以上の基によって置換され、R15は場合によっては置換されるアリール、場合によっては置換される3員〜10員複素環又は場合によっては置換されるC−Cアルキルから選択され、この場合、アリール、複素環又はC−Cアルキル上の任意の置換基は、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、シアノ、場合によっては置換されるアリール、O、N及びSから独立的に選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する、場合によっては置換される3員〜8員ヘテロサイクリル、−O−R、C(O)NR、−NR、−NRC(O)−R、−C(O)NR、−NRS(O0−2)R、−S(O0−2)R(これらにおいて、R及びRは請求項1において定義した通りである)から選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が、式III−a、III−g、III−h、III−i、III−j又はIII−k:
【化5】

で示される基から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
XとRが下記のいずれかである:
(a)XがNを表し、Rがシアノ若しくは−C(O)O−Rを表す;又は
(b)XがNを表し、Rが水素を表す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、場合によっては置換される単環状芳香環構造から選択され、任意の置換基がシアノ、NR、場合によっては置換されるC−Cアルキル、場合によっては置換されるC−Cアルコキシ又はハロから選択され、この場合、RとRは、独立的に、水素、C−Cアルキル又はアリールから選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が水素である、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
イソプロピル[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]カルバメート;
イソプロピル[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(7−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−7−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]カルバメート;及び
2−[({[(1E)−({(2S)−2−[5−[2−(2−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イル)−1,1−ジメチル−2−オキソエチル]−2−(3,5−ジメチルフェニル)−1H−インドル−3−イル]プロピル}アミノ)(3−ピリジン−4−イルピロリジン−1−イル)メチレン]アミノ}カルボニル)オキシ]−2−メチルプロピルアセテート;又はこれらの塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物から選択される化合物。
【請求項10】
薬剤として用いるための請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物及び製薬的に受容される希釈剤又はキャリヤーを含む薬剤製剤。
【請求項12】
患者における性ホルモン関連状態を治療的に処置及び/又は予防するために該患者に投与するための薬剤の製造における、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の使用。
【請求項13】
請求項1記載の化合物、又はその塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の製造方法であって、工程(a)〜(b):
(a)式XXXIIで示される化合物の下記のような反応:
【化6】

式中、Xは脱離基である;
(b)式XXXIVで示される化合物の下記のような反応:
【化7】

のいずれかから選択される反応工程を含み、その後に必要な場合には、
(i)式(I)で示される化合物を、式(I)で示される他の化合物に転化させる工程;
(ii)保護基を除去する工程;
(iii)塩、プロドラッグ又は溶媒和物を形成する工程
を含む方法。

【公表番号】特表2006−501230(P2006−501230A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530354(P2004−530354)
【出願日】平成15年8月18日(2003.8.18)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003606
【国際公開番号】WO2004/018420
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【Fターム(参考)】