説明

IDカード作成装置、IDカード、顔認証端末装置、顔認証装置およびシステム

【課題】 偽造がより困難な顔写真付きのIDカードを作成する。
【解決手段】 ICチップを備えた顔写真付きのIDカード10を作成する。IDカード10の顔写真部を撮影して顔写真データF1を得、これをコード情報C0に変換し、個人情報I0とともにICチップに記憶する。認証時には、認証を行おうとする人物の顔を撮影して顔撮影データF2を得、これをコード情報C2に変換するとともに、その人物が所持するIDカード10のICチップ12から個人情報I0およびコード情報C0を読み出し、個人情報I0およびコード情報C0が登録サーバ71に登録されているか否かを判定する。さらに、コード情報C2がコード情報C0に対応するコード情報と一致しているか否かを判定し、双方の判定が肯定された場合にのみ、その人物の認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個人情報が記憶された顔写真付きのIDカードを作成するIDカード作成装置、IDカード、顔認証端末装置、顔認証装置および顔認証システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、個人を特定するために顔写真を付与したIDカードが用いられている(特許文献1参照)。また、IDカードに個人を特定するための個人情報を記憶し、機密エリアへの入退室時や情報システムのアクセス時に、IDカードから個人情報を読み出し、予め登録された個人情報と比較することにより個人を認証することが行われている。このように個人情報を記憶するIDカードとしては、磁気テープを付与してそこに個人情報を記憶するものが用いられていたが、半導体チップを付与して半導体チップに個人情報を記憶するようにしたいわゆるICカードも提案されている。
【0003】
また近年、指紋、光彩、声紋および顔等の個人に固有の生体情報を用いて個人の認証を行うバイオメトリクス技術が提案されている。このバイオメトリクス技術を用いた本人認証技術は、予め登録した指紋、光彩、声紋、顔等の生体情報と、提示された生体情報とを信号処理により自動照合して、提示した人物が本人であるか他人であるかを認証するものである。とくに顔認証技術として、Gaborフィルタを用いた方法が提案されている(非特許文献1参照)。
【0004】
非特許文献1に記載されたGaborフィルタを用いた方法は、顔画像上に目、鼻および口などの顔器官の特徴点を配置し、各特徴点において解像度と方位とを変化させたGaborフィルタを畳み込むことにより、その特徴点周辺における濃淡特徴の周期性と方向性とを特徴量として取り出し、その特徴点間の空間的位置情報と、各特徴点の特徴量とを統合して弾性的な位置関係を持つ顔グラフを生成し、顔グラフを用いて顔の位置を検出し、さらに顔器官の特徴点を検出し、その特徴点周辺の特徴量の類似度を、登録してある顔の特徴量と比較することにより、本人か他人であるかの認証を行っている。
【0005】
また、非特許文献1には、ICカードに個人情報とともに生体情報を記憶し、個人情報によりカード自体の認証を行うとともに、生体情報を用いたバイオメトリクス技術により個人の認証を行う方法も提案されている。また、生体情報として顔を用いることについても非特許文献1に記載されている。このように、個人情報および生体情報の双方を用いることにより、二重のセキュリティを確保することができる。また、このように個人情報および生体情報を記憶したICカードに顔写真を付与して顔写真付きのIDカードを作成すれば、顔を目視することによる確認も行うことができるため、よりセキュリティが向上する。
【特許文献1】特開平6−199080号公報
【非特許文献1】(社)日本自動認識システム協会、「これでわかったバイオメトリクス」、オーム社、平成13年9月10日、p59−71、120−126
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記非特許文献1に記載されたシステムは、ICカードの所持者から認証時に取得した生体情報と、ICカードに記憶した生体情報とを比較しているため、ICカードの生体情報と所持者の生体情報が一致していれば認証がなされてしまう。このため、顔の撮影を行って顔写真データを得、これから生体情報を生成してICカードに記憶するとともに、その顔写真データをICカードに付与すれば、認証可能なICカードを偽造することは可能である。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、偽造がより困難な顔写真付きのIDカードを作成することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、作成されたIDカードを用いてよりセキュリティの高い認証を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるIDカード作成装置は、所定の規格を有する顔写真が付与されてなる顔写真部と、該顔写真の人物の個人情報を含む各種情報を記憶する情報記憶部とを備えたIDカードにおける前記顔写真部を撮影して、前記所定の規格を有する前記顔写真部を表す顔写真データを取得する撮影手段と、
前記顔写真データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード情報を前記情報記憶部に記憶するコード情報記憶手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
「所定の規格」としては、予め定められた顔のサイズ、顔の上下左右の領域のサイズ、予め定められた領域の長さと顔の長さの比率等を用いることができる。また、「所定の規格」としては、一定サイズの顔写真内の決められた位置に、一定サイズの顔が含まれるとともに、頭頂部、顎の先端部および左右の耳等の顔の縁部から顔写真の縁部までの距離が一定サイズとなるものを用いてもよい。なお、顔写真のサイズ、顔写真内の顔のサイズおよび顔の縁部から顔写真の縁部までのサイズは許容される範囲内の多少の誤差を持っていてもよい。
【0011】
「個人情報」としては、顔写真の人物の氏名、住所、電話番号の他、会社の従業員である場合の社員番号、学生である場合の学籍番号、何らかの会員である場合の会員番号、IDカードがキャッシュカードやクレジットカードである場合のカード番号等、顔写真の人物が指定することができない情報を含む。
【0012】
「コード情報」とは、顔写真データを変換することにより得られるものであり、顔写真データと1対1に対応付けられてなるものである。コード情報としては、顔写真データにより表される顔画像上の、目、鼻、口等の器官の位置を表す特徴量、顔写真データを主成分分析することにより得られる固有ベクトル、各器官に対して主成分分析を施すことにより得られる各器官の固有ベクトル、ニューラルネットワークを用いて目および鼻の側面、口、眉、頬等の濃淡コントラストのある領域を顔特徴量として抽出し、数値化および正規化することにより得られた値等を用いることができる。
【0013】
なお、本発明によるIDカード作成装置においては、前記顔写真部に付与された顔写真を、前記IDカードを作成する人物の顔を撮影して該顔を含む原画像を表す原画像データを取得する撮影手段と、
前記原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真を表す顔画像データを取得する切り出し手段とを備えた顔抽出装置により取得されたものとしてもよい。
【0014】
また、本発明によるIDカード作成装置においては、前記撮影手段を、前記顔写真部を撮影することにより取得された原画像データにより表される原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真データを取得する切り出し手段とを備えてなるものとしてもよい。
【0015】
本発明によるIDカードは、所定の規格を有する顔写真が付与されてなる顔写真部と、該顔写真の人物の個人情報を含む各種情報を記憶する情報記憶部とを備え、該情報記憶部に、前記顔写真部を撮影して得た、前記所定の規格を有する前記顔写真部を表す顔写真データを変換して得たコード情報が記憶されてなることを特徴とするものである。
【0016】
なお、本発明によるIDカードにおいては、前記顔写真部に付与された前記顔写真を、前記IDカードを作成する人物の顔を撮影して該顔を含む原画像を表す原画像データを取得する撮影手段と、
前記原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真を表す顔画像データを取得する切り出し手段とを備えた顔抽出装置により取得されたものとしてもよい。
【0017】
本発明による顔認証端末装置は、本発明によるIDカードの所持者の顔を撮影して、前記所定の規格を有する前記所持者の顔画像を表す顔撮影データを取得する撮影手段と、
前記情報記憶部から前記個人情報および前記コード情報を読み出す情報読み出し手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
なお、本発明による顔認証端末装置においては、前記顔撮影データを含む各種情報を表示する表示手段をさらに備えるものとしてもよい。
【0019】
また、本発明による顔認証端末装置においては、多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段と、
前記読み出した個人情報に対応する対応個人情報および前記読み出したコード情報に対応する対応コード情報が前記登録手段に登録されているか否かを判定する情報判定手段と、
前記顔撮影データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード変換手段が変換したコード情報と前記対応コード情報とが略一致しているか否かを判定するコード判定手段と、
前記情報判定手段および前記コード判定手段による判定が双方ともに肯定された場合に、前記所持者が認証されたことを表す認証情報を出力する認証情報出力手段とをさらに備えるものとしてもよい。
【0020】
また、本発明による顔認証端末装置においては、前記撮影手段を、前記IDカードの所持者の顔を撮影することにより取得された原画像データにより表される原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔撮影データを取得する切り出し手段とを備えてなるものとしてもよい。
【0021】
本発明による顔認証装置は、本発明による顔認証端末装置が取得した前記顔撮影データ、前記個人情報および前記コード情報を取得する情報取得手段と、
多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段と、
前記取得した個人情報に対応する対応個人情報および前記取得したコード情報に対応する対応コード情報が前記登録手段に登録されているか否かを判定する情報判定手段と、
前記顔撮影データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード変換手段が変換したコード情報と前記対応コード情報とが略一致しているか否かを判定するコード判定手段と、
前記情報判定手段および前記コード判定手段による判定が双方ともに肯定された場合に、前記所持者が認証されたことを表す認証情報を出力する認証情報出力手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
本発明による顔認証システムは、本発明による顔認証端末装置と、
本発明による顔認証装置とが各種情報を送受信可能に接続されてなることを特徴とするものである。
【0023】
なお、本発明による顔認証システムにおいては、本発明によるIDカード作成装置をさらに備えるものとしてもよい。
【0024】
ここで、本発明によるIDカード作成装置、IDカードおよび顔認証端末装置において、所定の規格を有する顔写真を表す顔画像データ、顔写真部を表す顔写真データおよびIDカードの所持者の顔画像を表す顔撮影データ(以下顔写真等とする)を得るための顔抽出装置および撮影手段においては、前記目位置検出手段を、前記目の中心位置の識別に用いる少なくとも1つの特徴量を前記原画像から算出する特徴量算出手段と、
顔であることが分かっている、前記目の中心位置および/または位置関係が正規化された複数のサンプル画像と、顔でないことが分かっている複数のサンプル画像とからなる多数のサンプル画像群に含まれる前記少なくとも1つの特徴量をマシンラーニングの手法によりあらかじめ学習することにより得られた、前記少なくとも1つの特徴量と該少なくとも1つの特徴量の各々に対応する識別条件とをあらかじめ規定する参照データを、前記原画像から算出された少なくとも1つの特徴量に基づいて参照して、前記原画像に含まれる顔の目の中心位置の識別を行う識別手段とを備えるものとしてもよい。
【0025】
「特徴量」とは、画像の特徴を表すパラメータを指し、その画像における各画素の濃度勾配を表す勾配ベクトル、各画素の色情報(色相、彩度)、濃度、テクスチャーの特徴、奥行情報、その画像に含まれるエッジの特徴等、いかなる特徴を表すものであってもよい。
【0026】
「識別条件」とは、特徴量を指標とした、目の中心位置を識別する条件を指す。
【0027】
「マシンラーニング(machine learning)の手法」としては、例えば、ニューラルネットワーク、ブースティング等の既知の手法を用いることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のIDカード作成装置は、所定の規格を有する顔写真が付与されたIDカードにおける顔写真部を撮影して、所定の規格を有する顔写真を表す顔写真データを取得する。そして、顔写真データをコード情報に変換し、コード情報をIDカードの情報記憶部に記憶してIDカードを作成する。作成されたIDカードは本発明のIDカードとなる。このため、顔写真データを変換して得られたコード情報を登録しておけば、IDカードの顔写真を偽造したり、偽造した人物の顔写真データから得られたコード情報を情報記憶部に記憶しても、情報記憶部に記憶したコード情報と登録したコード情報とは一致しないため、認証がなされないこととなる。また、本発明のIDカードの顔写真部のみを入れ替えてIDカードを偽造したとしても、IDカードの顔写真部を撮影して顔写真データを得てこれを変換することにより得られたコード情報は、たとえそれが本人であっても情報記憶部に記憶したコード情報または登録したコード情報と完全には一致しないため、IDカードが偽造されたものであることが容易に認識できる。したがって、本発明によれば、容易に偽造できないIDカードを作成することができる。
【0029】
また、顔写真データを変換することにより得たコード情報を情報記憶部に記憶しているため、顔写真データそのものを情報記憶部に記憶する場合と比較して、情報記憶部の容量が小さくて済む。したがって、大容量の情報記憶部を使用することによりIDカードが高価になることを防止できる。
【0030】
本発明による顔認証端末装置は、本発明によるIDカードの所持者の顔を撮影して、IDカードを作成した顔画像データと同様の所定の規格を有する所持者の顔を含む顔画像を表す顔撮影データを取得し、情報記憶部から個人情報およびコード情報を読み出す。このため、本発明によるIDカードの所持者を認証する際に必要な全ての情報を取得することができる。
【0031】
また、請求項8の顔認証端末装置は、読み出した個人情報に対応する対応個人情報および読み出したコード情報に対応する対応コード情報が、多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段に登録されているか否かを判定する。一方、顔撮影データをコード情報に変換し、このコード情報と対応コード情報とが略一致しているか否かを判定する。そして、双方の判定が肯定された場合にのみ認証情報を出力する。このように、個人情報およびコード情報による認証とともに、IDカードを所持する所持者の顔の認証も行っているため、よりセキュリティを向上できる。
【0032】
本発明の顔認証装置は、本発明の顔認証端末装置から取得した個人情報に対応する対応個人情報および取得したコード情報に対応する対応コード情報が、多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段に登録されているか否かを判定する。一方、取得した顔撮影データをコード情報に変換し、このコード情報と対応コード情報とが略一致しているか否かを判定する。そして、双方の判定が肯定された場合にのみ認証情報を出力する。このように、個人情報およびコード情報による認証とともに、IDカードを所持する所持者の顔の認証も行っているため、よりセキュリティを向上できる。
【0033】
また、IDカードの顔写真、顔写真データにより表される顔写真部および顔撮影データにより表されるカード所持者の顔を含む顔画像を所定の規格を有するものとすることにより、コード変換手段が変換したコード情報と対応コード情報とが略一致しているか否かの判定の精度を向上できる。
【0034】
とくに、IDカードを作成しようとする人物、IDカードの所持者の顔およびIDカードの顔写真部を撮影することにより取得された原画像データにより表される原画像において、両目の中心位置間の距離が所定値となるように規格化した後に、規格化原画像における両目の中心位置間の距離を基準とした所定の規格を有する画像を規格化後の原画像から切り出して所定の規格を有する顔写真等とすることにより、人物の撮影位置に拘わらず常に所定の規格を有する顔写真を表す顔写真データあるいは顔画像を表す顔撮影データを得ることができる。また、IDカードにおける顔写真部を撮影する際に、IDカードを正確に位置決めしなくても、常に所定の規格を有する顔写真部を表す顔写真データを得ることができる。したがって、撮影時において人物の撮影場所が変わったり、IDカードの顔写真部を撮影する際にIDカードを位置決めする場所が変わることにより、撮影により取得された原画像に含まれる顔のサイズや位置が原画像毎に異なっていても、精度よく所定の規格を有する顔写真等を得ることができ、これにより、撮影時に人物の撮影位置やIDカードの位置を正確に定める煩わしさをなくすことができる。
【0035】
なお、原画像から少なくとも1つの特徴量を算出し、顔原像から算出された少なくとも1つの特徴量に基づいて参照データを参照して、原画像に含まれる顔の目の中心位置の識別を行うようにしてもよい。ここで、参照データを得る際の学習に用いられる顔であることが分かっているサンプル画像は、目の中心位置および/または位置関係が正規化されているため、原画像における顔の位置が特定されれば、その顔における目の中心位置は、サンプル画像における目の中心位置に対応したものとなる。また、原画像における顔の目が前髪に隠れている等して不鮮明であっても、原画像には顔の特徴を表す特徴量が含まれているため、原画像に含まれる顔の位置さらには目の中心位置を識別できる。したがって、原画像から少なくとも1つの特徴量を算出し、顔原像から算出された少なくとも1つの特徴量に基づいて参照データを参照して、原画像に含まれる顔の目の中心位置の識別を行うことにより、原画像における目の中心位置を精度よく識別することができる。
【0036】
また、参照データをマシンラーニングの手法によりあらかじめ学習して得ることにより、目の中心位置の識別性能をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による顔認証システムの構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、本発明による顔認証システム1は、IDカード10を作成するIDカード作成装置5と、IDカードの所持者の撮影やIDカードからの情報の読み取りを行う顔認証端末装置6と、顔認証端末装置6と接続されて顔の認証を行う顔認証装置7とを備える。
【0038】
IDカード作成装置5はインターネット3に接続され、ユーザU0のパソコン2からインターネット3を通じてIDカードの注文を受け付けて、IDカードを作成するためのものであり、インターネット3に接続されて注文を受け付けるカード製作サーバ51と、各種情報を記憶可能なICチップが付与されたIDカードの原版に顔写真をプリントするカードプリンタ52とを有する。
【0039】
図2は、IDカード10の構成を示す平面図である。図2に示すようにIDカード10は、顔画像がプリントされた顔写真部11とICチップ12とを有する。
【0040】
ユーザU0は、パソコン2からIDカード作成装置5のカード製作サーバ51にアクセスして、IDカードの注文を行う。この際、パソコン2からユーザU0の氏名、住所、電話番号等の個人情報および顔を撮影することにより取得された顔画像データF0を入力してIDカード作成装置5に送信する。
【0041】
なお、顔画像データF0はユーザU0が自身をデジタルカメラやカメラ付き携帯電話により撮影したものや、パソコン2に付属のカメラにより撮影したもの等を用いることができる。図1には携帯電話により撮影した顔画像データF0をパソコン2に入力する態様を示している。ここで、顔画像データF0により表される顔写真を所定の規格を有するものとするアルゴリズムがデジタルカメラやカメラ付き携帯電話またはパソコン2にインストールされており、そのアルゴリズムにしたがって、ユーザU0の顔を表す顔画像データF0を作成する。
【0042】
以下、このアルゴリズムについて説明する。まず、撮影により取得した原画像データS0により表される原画像(以下原画像についても同様の参照符号S0を用いる)S0から顔領域を抽出する。顔領域の抽出は、図3(a)に示すように、原画像S0から人物の上半身が写されている領域21を特定し、この領域から肌色の領域を抽出することにより行う。なお、原画像S0を撮影する際には背景の色を例えば青とするようにユーザU0に撮影を行わせることが好ましい。
【0043】
肌色の領域の抽出方法としては、例えば、ある画素の色調および階調が顔の肌色とみなすことができる所定の範囲の色調および階調に入っているかどうかを判定し、顔の肌色と判定されると、その画素に隣接する画素についても同様の判定を行い、これを順次繰り返し判定して肌色の領域を拡張していくことにより、顔の領域を抽出する方法を用いることができる。
【0044】
また、肌色の領域の抽出後、抽出した領域の大きさや形によって、顔以外の肌色の領域を排除するようにすれば、顔の領域を正確に抽出することができる。
【0045】
そして、顔の領域が抽出されると、その領域を基準にして、原画像S0からトリミングする顔領域のトリミング範囲22を決定する。例えば、図3(b)に示すように、顔の上端から情報に一定のマージンUを取り、同様に顔の下端から下方に一定のマージンDを取る。これらのマージンU,Dは、顔の縦の長さをLとし、このLに予め定めた比率を乗算した値とそれぞれのマージンとすることができる。このようにして、顔の上下方向のトリミング範囲を決める。
【0046】
一方、顔の左右方向のトリミング範囲は、IDカード10に付与する顔写真部11のアスペクト比と顔の中心とに基づいて定める。例えば、顔写真部11のサイズが30×20mmである場合、縦横のアスペクト比は3:2であるため、上記のようにして求めた顔領域の縦方向の長さ(=L+U+D)に2/3を乗算した値によって、顔領域の横方向の長さを決定することができ、さらに顔の中心から左右方向の長さが同一となるように左右方向のトリミング範囲22を決定する。
【0047】
そしてこのように決定したトリミング範囲22により原画像S0をトリミングして、顔画像データF0を作成する。
【0048】
なお、顔写真を所定の規格を有するものとするアルゴリズムとしては、上述したものの他、原画像に含まれる顔における頭頂部および両眼の位置を検出し、あごの先端の位置を推定してトリミングの範囲を定める方法(特開2002−152492号公報参照)、原画像に含まれる顔の頭部とあごを検出してトリミングを行う方法(特開2001−311996号公報参照)等を適用できる。
【0049】
また、IDカード作成装置5は、IDカード10の顔写真部11を撮影し、顔画像データF0を得た場合と同様のアルゴリズムにより所定の規格を有する顔写真を表す顔写真データF1を取得するカメラ53と、顔写真データF1をコード情報C0に変換するコード変換部54と、ユーザU0が送信した個人情報I0およびコード情報C0をICチップ12に記憶する記憶部55と、個人情報I0およびコード情報C0を顔認証装置7に送信する通信部56とを備える。
【0050】
コード変換部54は、顔写真データF1に対して主成分分析を施すことにより、顔写真データF1を顔写真データF1により表される顔写真に固有のベクトル(固有ベクトル)に変換する。この固有ベクトルがコード情報C0となる。
【0051】
なお、コード情報C0としてはこれに限定されるものではなく、顔写真データF1により表される顔画像上の、目、鼻、口等の器官の位置を表す特徴量、器官に対して主成分分析を施すことにより得られる各器官の固有ベクトル等をコード情報C0として用いてもよい。また、ニューラルネットワークを用いて目および鼻の側面、口、眉、頬等の濃淡コントラストのある領域を顔特徴量として抽出し、数値化および正規化することにより得られた値をコード情報C0として用いてもよい。
【0052】
ここで、記憶部55は個人情報I0をICチップ12に記憶するが、ユーザU0が指定できない会員番号等を個人情報I0に含めてもよい。
【0053】
なお、顔写真部11がプリントされ、個人情報I0およびコード情報C0がICチップ12に記憶されたIDカード10は、ユーザU0に渡される。この際、IDカード10の顔写真部11とユーザU0の顔とを比較して、本人であることを確認した上でIDカード10がユーザU0に渡される。
【0054】
顔認証端末装置6は、IDカード10の所持者である認証を行おうとする人物が所持するIDカード10のICチップ12から個人情報I0およびコード情報C0を非接触により読み出す読み出し部61と、人物の顔を撮影し、さらに顔画像データF0を得た場合と同様のアルゴリズムにより所定の規格を有する人物の顔を含む顔画像を表す顔撮影データF2を取得するカメラ62と、個人情報I0、コード情報C0および顔撮影データF2を顔認証装置7に送信する通信部63と、顔撮影データF2を含む各種情報を表示するモニタ64とを備える。
【0055】
読み出し部61は、ICチップ12に記憶された個人情報I0およびコード情報C0を、電磁誘導等の既知の方式により非接触で読み出す。
【0056】
カメラ62は、顔画像データF0を作成するアルゴリズムと同様のアルゴリズムにより撮影により取得した画像をトリミングして、認証を行おうとする人物の顔を含む顔画像を表す顔撮影データF2を取得する。
【0057】
図4は、顔認証端末装置6の外観図である。図4に示すように、読み出し部61には「IC」の文字が付与されており、ここにICチップ12を近接させることにより、IDカード10のICチップ12から、個人情報I0およびコード情報C0を読み取る。なお、カメラ62は顔認証端末装置6の左上角部に配設される。
【0058】
顔認証装置7は、多数の人物についての個人情報I0およびコード情報C0を登録した登録サーバ71と、顔認証端末装置6が送信した個人情報I0に対応する対応個人情報I1およびコード情報C0に対応する対応コード情報C1が登録サーバ71に登録されているか否かを判定する情報判定部72と、IDカード作成装置5のコード変換部54と同様に顔撮影データF2をコード情報C2に変換するコード変換部73と、コード情報C2と対応コード情報C1とが一致するか否かを判定するコード判定部74と、情報判定部72およびコード判定部74による判定結果が双方とも肯定された場合に、顔認証端末装置6により認証を行っている人物が認証されたことを表す認証情報を生成する認証部75と、IDカード作成装置5および顔認証端末装置6と各種情報の送受信を行う通信部76とを備える。
【0059】
コード判定部74は、コード情報C2すなわち、顔撮影データF2の固有ベクトルV2と、対応コード情報C1に対応する固有ベクトルV1とが一致しているか否かを判定する。具体的には、固有ベクトルV2の方向および大きさが、固有ベクトルV1の方向および大きさの例えば±10%以内にあるか否かを判定し、±10%以内にある場合に、コード情報C2は対応コード情報C1に一致すると判定する。なお、対応コード情報C1に代えてコード情報C0とコード情報C2とが一致するか否かを判定してもよい。
【0060】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。図5はIDカード作成装置5において行われる処理を示すフローチャートである。なお、ユーザU0はパソコン2からIDカード10の注文を行い、カード製作サーバ51には、ユーザU0の顔画像データF0および個人情報I0が送信されているものとする。
【0061】
まず、カード製作サーバ51はカードプリンタ52に顔画像データF0を入力する(ステップS1)。カードプリンタ52は、IDカード10の原盤に顔画像データF0をプリントする。(ステップS2)。続いて、カメラ53がIDカード10の顔写真部11を撮影して、顔写真データF1を取得する(ステップS3)。なお、IDカード10のカメラ53の前への移動は、IDカード作成装置5のオペレータが手動で行ってもよく、自動で搬送するように行ってもよい。
【0062】
続いて、コード変換部54が顔写真データF1を変換してコード情報C0を取得する(ステップS4)。そして記憶部55が個人情報I0およびコード情報C0をICチップ12に記憶し(ステップS5)、通信部56が個人情報I0およびコード情報C0を顔認証装置7に送信し(ステップS6)、IDカード10の作成を終了する。このように作成されたIDカード10は、ユーザU0に渡される。
【0063】
図6は認証時に行われる処理を示すフローチャートである。なお、ここでは、セキュリティエリアへの扉を開場する際の認証について説明する。
【0064】
まず、読み出し部61は、常時IDカード10が近接されたか否かを監視しており(ステップS11)、IDカード10の所持者である認証を行おうとする人物が顔認証端末装置6の前に立ってIDカード10を読み出し部61にかざすことによりステップS11が肯定されると、IDカード10のICチップ12から個人情報I0およびコード情報C0を読み出す(ステップS12)。また、これとともにカメラ62が認証を行おうとする人物の顔を撮影して顔撮影データF2を取得する(ステップS13)。この際、音声などにより撮影が行われる旨を認証を行おうとする人物に伝えるようにしてもよい。また、顔撮影データF2をモニタ64に表示してもよい。そして、通信部63が、個人情報I0、コード情報C0および顔撮影データF2を顔認証装置7に送信する(ステップS14)。
【0065】
顔認証装置7は個人情報I0、コード情報C0および顔撮影データF2を受信し(ステップS15)、情報判定部72が、受信した個人情報I0およびコード情報C0にそれぞれ対応する対応個人情報I1および対応コード情報C1が登録サーバ71に登録されているか否かを判定する(ステップS16)。続いて、コード変換部73が顔撮影データF2をコード情報C2に変換し(ステップS17)、コード判定部74がコード情報C2と対応コード情報C1とが一致するか否かを判定する(ステップS18)。
【0066】
そして、認証部75が情報判定部72の判定およびコード判定部74の判定の双方が肯定されたか否かを判定し(ステップS19)、ステップS19が肯定されると認証を行おうとする人物が認証された旨を表す認証情報を生成する(ステップS20)。一方、ステップS19が否定されると、認証を行おうとする人物が認証されない旨を表す非認証情報を生成する(ステップS21)。そして、通信部76が認証情報または非認証情報を顔認証端末装置6に送信する(ステップS22)。
【0067】
顔認証端末装置6の通信部63は認証情報または非認証情報を受信し(ステップS23)、モニタ64に認証された旨または認証されなかった旨の表示を行う(ステップS24)。なお、表示に代えて、音声により認証された旨または認証されなかった旨を知らせるようにしてもよい。そして、認証されているか否かを判定し(ステップS25)、ステップS25が肯定されると扉を開錠し(ステップS26)、処理を終了する。なお、ステップS25が否定されると処理を終了する。
【0068】
このように、本実施形態においては、IDカード10の顔写真部11を撮影することにより顔写真データF1を得、これを変換することにより取得したコード情報C0をICチップ12に記憶するとともに、顔認証装置7の登録サーバ71に登録するようにしたものである。このため、IDカード10の顔写真部11を偽造したり、偽造した人物の顔写真データから得られたコード情報をICチップ12に記憶しても、ICチップ12に記憶したコード情報と顔認証装置7の登録サーバ71に登録したコード情報とは一致しないため、認証がなされないこととなる。また、IDカード10の顔写真部11のみを入れ替えてIDカード10を偽造したとしても、IDカード10の顔写真部11を撮影して得たコード情報は、たとえそれが本人であったとしても、ICチップ12に記憶されたコード情報C0および登録サーバ71に登録したコード情報とは完全には一致しないため、IDカード10が偽造されたものであることが容易に認識できる。したがって、本実施形態によれば、容易に偽造できないIDカード10を作成することができる。
【0069】
また、本実施形態の顔認証装置7は、個人情報I0およびコード情報C0による認証とともに、認証を行おうとする人物の顔を撮影することによりその人物自身の認証をも行っているため、よりセキュリティを向上できる。
【0070】
また、顔画像データF0により表される画像、顔写真部11を撮影することにより得た顔写真データF1により表される画像および顔撮影データF2により表される認証を行おうとする人物の顔画像を所定の規格を有するものとすることにより、コード変換部73が変換したコード情報C2と対応コード情報C1とが略一致しているか否かの判定の精度を向上できる。
【0071】
なお、上記実施形態においては、顔認証端末装置6と顔認証装置7とを別の場所に設けているが、図7に示すように、顔認証端末装置6に登録サーバ71、情報判定部72、コード変換部73、コード判定部74および認証部75を設け、顔認証端末装置6のみで認証を行うようにしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態において、対応コード情報C1から、対応コード情報C1を得た顔画像データを再現し、図8に示すように、再現した顔画像データを顔認証端末装置6のモニタ64に顔撮影データF2と並べて表示してもよい。また、ここにコード判定部74における固有ベクトルV1と固有ベクトルV2との方向および大きさがどの程度一致しているかを認証率として表示してもよい。この場合、再現した顔画像データは、元の顔画像データを完全には復元できないが、ある程度の比較は可能であるため、顔認証端末装置6を用いての目視での認証を行うことが可能であり、これにより顔認証システム1のセキュリティを一層向上できる。また、この場合に、顔認証端末装置6をセキュリティルームのモニタ9と接続しておき、セキュリティルームにおいて目視によるチェックを行うようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、本実施形態によるIDカードをセキュリティエリアへの扉を開場する際の認証に用いる場合について説明しているが、本実施形態によるIDカードをクレジットカードに適用し、クレジットカード利用時の本人の確認に利用することも可能である。従来のクレジットカードでは盗難されると他人にクレジットカードを利用されてしまっていたが、本実施形態のIDカードのように、クレジットカードにICチップ12を付与し、ここにコード情報C0を記憶してクレジットカードの利用者の顔を撮影して上記実施形態と同様に判定を行えば、クレジットカードの利用者が本人であるか否かを確実に認証できるため、クレジットカードが盗難されても、他人に利用されてしまうことを防止できる。
【0074】
また、本実施形態によるIDカードを、病院における手術前の患者の確認に利用することも可能である。従来手術前の患者の確認は、コードタグ的な番号のみで名前、X線画像等の手術の際に必要な情報を管理していたため、慎重に対処しないと、患者を取り違えてしまうおそれがあった。このため、患者を確認するためのIDカードにICチップ12を付与し、ここにコード情報C0を手術の際に必要な情報と関連付けて記憶し、手術を行う患者の顔を撮影して上記実施形態と同様に判定を行えば、患者を確実に認証できるため、患者の取り違えを防止できる。
【0075】
また、上記実施形態においては、IDカード10にICチップ12を設け、ここに個人情報I0およびコード情報C0を記憶しているが、ICチップ12に代えて、磁気テープを付与したIDカード10を使用し、磁気テープに個人情報I0およびコード情報C0を記憶してもよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、顔画像データF0、顔写真データF1および顔撮影データF2により表される画像を所定の規格を有するものとするアルゴリズムとして、図3に示すように、原画像から肌色の領域を抽出し、その領域を基準として顔領域のトリミング範囲を決定する方法を用いているが、両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムを適用することも可能である。以下、両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムについて説明する。なお、ここでは、原画像S0から顔画像データF0により表される画像(以下これを顔画像とし、顔画像についても同様の参照符号を用いる)F0を切り出す場合を例に挙げて説明する。
【0077】
図9は、両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムにより原画像S0から所定の規格を有する顔画像F0を切り出す顔抽出装置の構成を示す概略ブロック図である。
【0078】
図9に示すように顔抽出装置101は、原画像S0に含まれる顔の目の中心位置を検出する目位置検出部121、検出した両目の中心位置間の距離が所定値となるように原画像S0を規格化して規格化原画像S1を得る規格化部122、および規格化原画像S1における両目の中心位置間の距離を基準として所定の規格を有する顔画像F0を原画像S0から切り出す切り出し部123を備える。
【0079】
なお、カメラ53,62が顔抽出装置101と同様に、目位置検出部121、規格化部122および切り出し部123を備えることにより、顔写真データF1および顔撮影データF2によりそれぞれ表される画像を所定の規格を有するものとすることができる。
【0080】
図10は目位置検出部121の構成を示す概略ブロック図である。図2に示すように目位置検出部121は、原画像S0から特徴量C0を算出する特徴量算出部131、後述する参照データR1が格納されているメモリ132、特徴量算出部131が算出した特徴量C0とメモリ132内の参照データR1とに基づいて、原画像S0に含まれる顔における目の中心位置を識別する識別部133、識別部133による識別結果を出力する出力部134とを備える。
【0081】
なお、本実施形態において目の中心位置とは、顔における目尻から目頭の間の中心位置であり、図11(a)に示すように正面を向いた目の場合においては瞳の位置(図中×で示す)となる。一方、図11(b)に示すように右を向いた目の場合は瞳の位置ではなく、白目部分が目の中心位置となる。
【0082】
特徴量算出部131は、目の中心位置の識別に用いる特徴量C0を原画像S0から算出する。具体的には、勾配ベクトル(すなわち原画像S0上の各画素における濃度が変化する方向および変化の大きさ)を特徴量C0として算出する。以下、勾配ベクトルの算出について説明する。まず、特徴量算出部131は、原画像S0に対して図12(a)に示す水平方向のエッジ検出フィルタによるフィルタリング処理を施して原画像S0における水平方向のエッジを検出する。また、特徴量算出部131は、原画像S0に対して図12(b)に示す垂直方向のエッジ検出フィルタによるフィルタリング処理を施して原画像S0における垂直方向のエッジを検出する。そして、原画像S0上の各画素における水平方向のエッジの大きさHおよび垂直方向のエッジの大きさVとから、図13に示すように、各画素における勾配ベクトルKを算出する。なお、特徴量算出部131は、後述するように原画像S0の変形の各段階において特徴量C0を算出する。
【0083】
なお、このようにして算出された勾配ベクトルKは、図14(a)に示すような人物の顔の場合、図14(b)に示すように、目および口のように暗い部分においては目および口の中央を向き、鼻のように明るい部分においては鼻の位置から外側を向くものとなる。また、口よりも目の方が濃度の変化が大きいため、勾配ベクトルKの大きさは口よりも目の方が大きくなる。
【0084】
そして、この勾配ベクトルKの方向および大きさを特徴量C0とする。なお、勾配ベクトルKの方向は、勾配ベクトルKの所定方向(例えば図13におけるx方向)を基準とした0から359度の値となる。
【0085】
ここで、勾配ベクトルKの大きさは正規化される。この正規化は、原画像S0の全画素における勾配ベクトルKの大きさのヒストグラムを求め、その大きさの分布が原画像S0の各画素が取り得る値(8ビットであれば0〜255)に均一に分布されるようにヒストグラムを平滑化して勾配ベクトルKの大きさを修正することにより行う。例えば、勾配ベクトルKの大きさが小さく、図15(a)に示すように勾配ベクトルKの大きさが小さい側に偏ってヒストグラムが分布している場合には、大きさが0〜255の全領域に亘るものとなるように勾配ベクトルKの大きさを正規化して図15(b)に示すようにヒストグラムが分布するようにする。なお、演算量を低減するために、図15(c)に示すように、勾配ベクトルKのヒストグラムにおける分布範囲を例えば5分割し、5分割された頻度分布が図15(d)に示すように0〜255の値を5分割した範囲に亘るものとなるように正規化することが好ましい。
【0086】
メモリ132内に格納されている参照データR1は、後述するサンプル画像から選択された複数画素の組み合わせからなる複数種類の画素群のそれぞれについて、各画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせに対する識別条件を規定したものである。
【0087】
参照データR1中の、各画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせおよび識別条件は、顔であることが分かっている複数のサンプル画像と顔でないことが分かっている複数のサンプル画像とからなるサンプル画像群の学習により、あらかじめ決められたものである。
【0088】
なお、本実施形態においては、参照データR1を生成する際には、顔であることが分かっているサンプル画像として、30×30画素サイズを有し、図16に示すように両目の中心間の距離が10画素のものを用いるものとする。ここで、すべてのサンプル画像において目の中心位置は同一となっている。この目の中心位置をサンプル画像の左上隅を原点とする座標上において(x1,y1)、(x2,y2)とする。そして、参照データR1の学習に用いられるサンプル画像における目の中心位置を、本実施形態において識別する目の中心位置とする。
【0089】
また、顔でないことが分かっているサンプル画像としては、30×30画素サイズを有する任意の画像を用いるものとする。
【0090】
以下、図17のフローチャートを参照しながらサンプル画像群の学習手法の一例を説明する。
【0091】
学習の対象となるサンプル画像群は、顔であることが分かっている複数のサンプル画像と、顔でないことが分かっている複数のサンプル画像とからなる。各サンプル画像には、重みすなわち重要度が割り当てられる。まず、すべてのサンプル画像の重みの初期値が等しく1に設定される(ステップS31)。
【0092】
次に、サンプル画像における複数種類の画素群のそれぞれについて識別器が作成される(ステップS32)。ここで、それぞれの識別器とは、1つの画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせを用いて、顔の画像と顔でない画像とを識別する基準を提供するものである。本実施形態においては、1つの画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせについてのヒストグラムを識別器として使用する。
【0093】
図18を参照しながらある識別器の作成について説明する。図18の左側のサンプル画像に示すように、この識別器を作成するための画素群を構成する各画素は、顔であることが分かっている複数のサンプル画像上における、右目の中心にある画素P1、右側の頬の部分にある画素P2、額の部分にある画素P3および左側の頬の部分にある画素P4である。そして顔であることが分かっているすべてのサンプル画像について全画素P1〜P4における特徴量C0の組み合わせが求められ、そのヒストグラムが作成される。ここで、特徴量C0は勾配ベクトルKの方向および大きさを表すが、勾配ベクトルKの方向は0〜359の360通り、勾配ベクトルKの大きさは0〜255の256通りあるため、これをそのまま用いたのでは、組み合わせの数は1画素につき360×256通りの4画素分、すなわち(360×256)4通りとなってしまい、学習および検出のために多大なサンプルの数、時間およびメモリを要することとなる。このため、本実施形態においては、勾配ベクトルの方向を0〜359を0〜44と315〜359(右方向、値:0),45〜134(上方向値:1),135〜224(左方向、値:2),225〜314(下方向、値3)に4値化し、勾配ベクトルの大きさを3値化(値:0〜2)する。そして、以下の式を用いて組み合わせの値を算出する。
【0094】
組み合わせの値=0(勾配ベクトルの大きさ=0の場合)
組み合わせの値=((勾配ベクトルの方向+1)×勾配ベクトルの大きさ(勾配ベクトルの大きさ>0の場合)
これにより、組み合わせ数が94通りとなるため、特徴量C0のデータ数を低減できる。
【0095】
同様に、顔でないことが分かっている複数のサンプル画像についても、ヒストグラムが作成される。なお、顔でないことが分かっているサンプル画像については、顔であることが分かっているサンプル画像上における上記画素P1〜P4の位置に対応する画素が用いられる。これらの2つのヒストグラムが示す頻度値の比の対数値を取ってヒストグラムで表したものが、図18の一番右側に示す、識別器として用いられるヒストグラムである。この識別器のヒストグラムが示す各縦軸の値を、以下、識別ポイントと称する。この識別器によれば、正の識別ポイントに対応する特徴量C0の分布を示す画像は顔である可能性が高く、識別ポイントの絶対値が大きいほどその可能性は高まると言える。逆に、負の識別ポイントに対応する特徴量C0の分布を示す画像は顔でない可能性が高く、やはり識別ポイントの絶対値が大きいほどその可能性は高まる。ステップS2では、識別に使用され得る複数種類の画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせについて、上記のヒストグラム形式の複数の識別器が作成される。
【0096】
続いて、ステップS32で作成した複数の識別器のうち、画像が顔であるか否かを識別するのに最も有効な識別器が選択される。最も有効な識別器の選択は、各サンプル画像の重みを考慮して行われる。この例では、各識別器の重み付き正答率が比較され、最も高い重み付き正答率を示す識別器が選択される(ステップS33)。すなわち、最初のステップS33では、各サンプル画像の重みは等しく1であるので、単純にその識別器によって画像が顔であるか否かが正しく識別されるサンプル画像の数が最も多いものが、最も有効な識別器として選択される。一方、後述するステップS35において各サンプル画像の重みが更新された後の2回目のステップS33では、重みが1のサンプル画像、重みが1よりも大きいサンプル画像、および重みが1よりも小さいサンプル画像が混在しており、重みが1よりも大きいサンプル画像は、正答率の評価において、重みが1のサンプル画像よりも重みが大きい分多くカウントされる。これにより、2回目以降のステップS33では、重みが小さいサンプル画像よりも、重みが大きいサンプル画像が正しく識別されることに、より重点が置かれる。
【0097】
次に、それまでに選択した識別器の組み合わせの正答率、すなわち、それまでに選択した識別器を組み合わせて使用して各サンプル画像が顔の画像であるか否かを識別した結果が、実際に顔の画像であるか否かの答えと一致する率が、所定の閾値を超えたか否かが確かめられる(ステップS34)。ここで、組み合わせの正答率の評価に用いられるのは、現在の重みが付けられたサンプル画像群でも、重みが等しくされたサンプル画像群でもよい。所定の閾値を超えた場合は、それまでに選択した識別器を用いれば画像が顔であるか否かを十分に高い確率で識別できるため、学習は終了する。所定の閾値以下である場合は、それまでに選択した識別器と組み合わせて用いるための追加の識別器を選択するために、ステップS36へと進む。
【0098】
ステップS36では、直近のステップS33で選択された識別器が再び選択されないようにするため、その識別器が除外される。
【0099】
次に、直近のステップS33で選択された識別器では顔であるか否かを正しく識別できなかったサンプル画像の重みが大きくされ、画像が顔であるか否かを正しく識別できたサンプル画像の重みが小さくされる(ステップS35)。このように重みを大小させる理由は、次の識別器の選択において、既に選択された識別器では正しく識別できなかった画像を重要視し、それらの画像が顔であるか否かを正しく識別できる識別器が選択されるようにして、識別器の組み合わせの効果を高めるためである。
【0100】
続いて、ステップS33へと戻り、上記したように重み付き正答率を基準にして次に有効な識別器が選択される。
【0101】
以上のステップS33からS36を繰り返して、顔が含まれるか否かを識別するのに適した識別器として、特定の画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせに対応する識別器が選択されたところで、ステップS34で確認される正答率が閾値を超えたとすると、顔が含まれるか否かの識別に用いる識別器の種類と識別条件とが確定され(ステップS37)、これにより参照データR1の学習を終了する。
【0102】
なお、上記の学習手法を採用する場合において、識別器は、特定の画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせを用いて顔の画像と顔でない画像とを識別する基準を提供するものであれば、上記のヒストグラムの形式のものに限られずいかなるものであってもよく、例えば2値データ、閾値または関数等であってもよい。また、同じヒストグラムの形式であっても、図18の中央に示した2つのヒストグラムの差分値の分布を示すヒストグラム等を用いてもよい。
【0103】
また、学習の方法としては上記手法に限定されるものではなく、ニューラルネットワーク等他のマシンラーニングの手法を用いることができる。
【0104】
識別部133は、原画像S0上において、複数種類の画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせのすべてについて参照データR1が学習した識別条件を参照して、各々の画素群を構成する各画素における特徴量C0の組み合わせについての識別ポイントを求め、すべての識別ポイントを総合して顔に含まれる目の中心位置を識別する。この際、特徴量C0である勾配ベクトルKの方向は4値化され大きさは3値化される。
【0105】
ここで、原画像S0に含まれる顔のサイズは30×30画素のサンプル画像に含まれる顔とは異なり、各種サイズを有するものとなっている。また、平面上における顔の回転角度が0度であるとは限らない。このため、識別部133は、図19に示すように、原画像S0を縦または横のサイズが30画素(必要であればそれ以下)となるまで段階的に拡大縮小するとともに平面上で段階的に360度回転させつつ(図19においては縮小する状態を示す)、各段階において拡大縮小された原画像S0上に30×30画素サイズのマスクMを設定し、マスクMを拡大縮小された原画像S0上において1画素ずつ移動させながら、マスク内の画像における目の中心位置の識別を行う。
【0106】
なお、特徴量算出部131は、顔画像の拡大縮小および回転という変形の各段階において特徴量C0を算出する。
【0107】
そして、本実施形態では、抽出された顔画像の変形の全段階においてすべての識別ポイントを加算し、加算値が最も大きい変形の段階における30×30画素のマスクM内にサンプル画像に適合するサイズの顔が含まれると識別し、マスクM内の画像に左上隅を原点とする座標を設定し、サンプル画像における目の中心位置の座標(x1,y1)、(x2,y2)に対応する位置を求め、変形前の原画像S0におけるこの位置に対応する位置を目の中心位置と識別する。この両目の中心位置の座標を(x3,y3)(原画像S0に含まれる顔の右目)、(x4,y4)(左目)とする。なお、y3=y4である。
【0108】
出力部134は、識別部133が識別した目の中心位置を表す座標値(x3,y3)、(x4,y4)を出力する。
【0109】
規格化部122は、目位置検出部121が検出した両目の中心位置の座標(x3,y3)、(x4,y4)に基づいて、原画像S0から検出された両目の中心位置間の距離D0を算出し、この距離D0があらかじめ定められた所定値D1となるように、原画像S0を拡大縮小することにより原画像S0を規格化して規格化原画像S1を得る。ここで、y3=y4であることから原画像S0における両目の中心間の画素数はx4−x3となる。なお、所定値D1は後述する規格サイズの入力認証用画像S2が得られるような画素数に定められる。また、規格化原画像S1においては、両目の中心間距離はD1となる。また、拡大縮小時の拡大率に応じて、規格化原画像S1上における両目の中心位置を算出することが可能であり、規格化原画像S1における両目の中心位置の座標を(x5,y5)(規格化原画像S1に含まれる顔の右目)、(x6,y6)(左目)とする。なお、y5=y6であることから規格化原画像S1における両目の中心間の画素数はx5−x6となる。
【0110】
切り出し部123は、所定解像度のプリンタによりプリント出力したり、所定解像度のモニタに表示した際に、図20に示すように顔の長さ(すなわち顔の頭頂部から顎の先端部までの距離)が27±2mm、頭頂部からトリミング枠上辺までの距離が7±2mm、横方向の長さが35mm、縦方向の長さが45mmとなる所定の規格を有する顔画像F0を、規格化原画像S1から切り出す。具体的には下記のようにして規格化原画像S1から顔画像F0を切り出す。図21は顔画像F0の切り出しを説明するための図である。図21R>1に示すように、切り出し部123は、規格化原画像S1上において、両目の中心位置間の距離D1の垂直二等分線Lを設定する。ここで、切り出し部123は、トリミング枠の左辺および右辺の位置を定めるパラメータSxを保管しており、垂直二等分線Lから左右にそれぞれ距離1/2D1×Sxの位置にトリミング枠の左辺および右辺の位置を定める。
【0111】
また、切り出し部123は、トリミング枠の上辺および下辺の位置を定めるパラメータSy1,Sy2を保管しており、各目の中心位置のy座標y5,y6を基準として上方向に距離D1×Sy1の位置にトリミング枠の上辺の位置を、下方向に距離D1×Sy2の位置にトリミング枠の下辺の位置を定める。
【0112】
ここで、パラメータSxは、両目の中心位置間の距離をD1に規格化するとともに、プリント出力した際に図20に示す所定の規格を有する画像を得ることが可能なサイズを有する多数のサンプル画像について、両目の中心位置間の距離D1の垂直二等分線Lからのサンプル画像の左辺および右辺までの距離D10,D11を求め、すべてのサンプル画像について、D10+D11とD1×Sxとの誤差が最小となるようにSxの値を定めることにより求められる。
【0113】
また、パラメータSy1は、両目の中心位置間の距離をD1に規格化するとともに、プリント出力した際に図20に示す所定の規格を有する画像を得ることが可能なサイズを有する多数のサンプル画像上について、両目の中心位置のy座標の位置からサンプル画像の上辺までの距離D12を求め、すべてのサンプル画像について、D12とD1×Sy1との誤差が最小となるようにSy1の値を定めることにより求められる。
【0114】
また、パラメータSy2は、両目の中心位置間の距離をD1に規格化するとともに、プリント出力した際に図20に示す所定の規格を有する画像を得ることが可能なサイズを有する多数のサンプル画像上について、両目の中心位置のy座標の位置からサンプル画像の下辺までの距離D13を求め、すべてのサンプル画像について、D13とD1×Sy2との誤差が最小となるようにSy1の値を定めることにより求められる。
【0115】
なお、具体的には、各パラメータの比率がSx:Sy1:Sy2=5.04:3.01:3.47となるようなパラメータSx,Sy1,Sy2を用いる。
【0116】
次いで両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムにより行われる処理について説明する。図22は両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムにより行われる処理を示すフローチャートである。まず、目位置検出部121における特徴量算出部131が原画像S0の拡大縮小および回転の各段階において、原画像S0の勾配ベクトルKの方向および大きさを特徴量C0として算出する(ステップS41)。そして、識別部133がメモリ132から参照データR1を読み出し(ステップS42)、原画像S0における目の中心位置を識別する(ステップS43)。次いで、出力部134が目の中心位置の座標値を出力する(ステップS44)。
【0117】
続いて、規格化部122が両目の中心位置間の距離D0がD1となるように原画像S0を規格化して規格化原画像S1を得る(ステップS45)。そして、切り出し部123が規格化原画像S1における両目の中心位置間の距離D1を基準として、規格化原画像S1から図21に示す所定の規格を有する顔画像F0を切り出し(ステップS46)、処理を終了する。
【0118】
このように、両目の中心位置間の距離が所定値となるように原画像S0を規格化した後に、規格化原画像S1における両目の中心位置間の距離D1を基準とした所定の規格を有する顔画像F0を規格化原画像S1から切り出すことにより、認証を行おうとする人物の撮影位置に拘わらず常に同一規格サイズの顔画像F0を得ることができる。例えば、図23R>3(a)に示すように、原画像S0上において顔が中心になくても、図23(b)に示すように原画像S0の一杯に顔が含まれている場合でも、常に所定の規格を有する画像を再生可能な顔画像F0を得ることができる。また、IDカード10の所持者を撮影することにより得られた顔撮影データF2により表される顔画像も常に所定の規格を有するものとすることができる。また、カメラ53によりIDカード10の顔写真部11を撮影する際に、IDカード10を正確に位置決めしなくても、常に所定の規格を有する顔写真部を表す顔写真データF1を得ることができる。したがって、原画像S0に含まれる顔のサイズや位置が顔画像毎に異なっていても、同一人物の画像を異なる人物であると認証することがなくなり、これにより、人物の撮影時に撮影位置を正確に定めたり、IDカード10の撮影時にIDカード10を正確に位置決めする煩わしさをなくすことができる。
【0119】
なお、マシンラーニングの手法による学習結果を用いて目の中心位置を検出しているが、目の形状のテンプレートを用いたテンプレートマッチング等、目の中心位置を検出することが可能な任意の手法を用いることができる。
【0120】
また、所定の規格として図20に示す規格の顔画像が得られるものを用いているが、これに限定されるものではなく、任意の規格を用いることができる。この場合、図21に示したトリミング枠を定めるパラメータSx,Sy1,Sy2の値は、規格に応じて定めればよい。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の実施形態による顔認証システムの構成を示す概略ブロック図
【図2】IDカードの平面図
【図3】顔画像データの作成のアルゴリズムを説明するための図
【図4】顔認証端末装置の外観図
【図5】IDカード作成装置において行われる処理を示すフローチャート
【図6】認証時に行われる処理を示すフローチャート
【図7】本発明の他の実施形態による顔認証端末装置の構成を示す概略ブロック図
【図8】画像が表示された顔認証端末装置の外観図
【図9】両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムにより原画像から所定の規格を有する顔画像を切り出す顔抽出装置の構成を示す概略ブロック図
【図10】目位置検出部の構成を示す概略ブロック図
【図11】目の中心位置を説明するための図であり、(a)は目が正面を向いた図、(b)は目が右を向いた図
【図12】(a)は水平方向のエッジ検出フィルタを示す図、(b)は垂直方向のエッジ検出フィルタを示す図
【図13】勾配ベクトルの算出を説明するための図
【図14】(a)は人物の顔を示す図、(b)は(a)に示す人物の顔の目および口付近の勾配ベクトルを示す図
【図15】(a)は正規化前の勾配ベクトルの大きさのヒストグラムを示す図、(b)は正規化後の勾配ベクトルの大きさのヒストグラムを示す図、(c)は5値化した勾配ベクトルの大きさのヒストグラムを示す図、(d)は正規化後の5値化した勾配ベクトルの大きさのヒストグラムを示す図
【図16】参照データの学習に用いられる顔であることが分かっているサンプル画像の例を示す図
【図17】参照データの学習手法を示すフローチャート
【図18】識別器の導出方法を示す図
【図19】顔画像の段階的な変形を説明するための図
【図20】所定の規格を示す図
【図21】顔画像の切り出しを説明するための図
【図22】両目の中心位置を基準として顔を含む領域を切り出すアルゴリズムにより行われる処理を示すフローチャート
【図23】様々な顔画像の例を示す図
【符号の説明】
【0122】
1 顔認証システム
2 パソコン
3 インターネット
5 IDカード作成装置
6 顔認証端末装置
7 顔認証装置
9 モニタ
10 IDカード
11 顔写真部
12 ICチップ
51 カード製作サーバ
52 カードプリンタ
53,62 カメラ
54,73 コード変換部
55 記憶部
56,63,76 通信部
61 読み出し部
64 モニタ
71 登録サーバ
72 情報判定部
74 コード判定部
75 認証部
121 目位置検出部
122 規格化部
123 切り出し部
131 特徴量算出部
132 メモリ
133 識別部
134 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の規格を有する顔写真が付与されてなる顔写真部と、該顔写真の人物の個人情報を含む各種情報を記憶する情報記憶部とを備えたIDカードにおける前記顔写真部を撮影して、前記所定の規格を有する前記顔写真部を表す顔写真データを取得する撮影手段と、
前記顔写真データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード情報を前記情報記憶部に記憶するコード情報記憶手段とを備えたことを特徴とするIDカード作成装置。
【請求項2】
前記顔写真部に付与された前記顔写真が、前記IDカードを作成する人物の顔を撮影して該顔を含む原画像を表す原画像データを取得する撮影手段と、
前記原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真を表す顔画像データを取得する切り出し手段とを備えた顔抽出装置により取得されたものであることを特徴とする請求項1記載のIDカード作成装置。
【請求項3】
前記撮影手段は、前記顔写真部を撮影することにより取得された原画像データにより表される原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真データを取得する切り出し手段とを備えてなることを特徴とする請求項1または2記載のIDカード作成装置。
【請求項4】
所定の規格を有する顔写真が付与されてなる顔写真部と、該顔写真の人物の個人情報を含む各種情報を記憶する情報記憶部とを備え、該情報記憶部に、前記顔写真部を撮影して得た、前記所定の規格を有する前記顔写真部を表す顔写真データを変換して得たコード情報が記憶されてなることを特徴とするIDカード。
【請求項5】
前記顔写真部に付与された前記顔写真が、前記IDカードを作成する人物の顔を撮影して該顔を含む原画像を表す原画像データを取得する撮影手段と、
前記原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔写真を表す顔画像データを取得する切り出し手段とを備えた顔抽出装置により取得されたものであることを特徴とする請求項4記載のIDカード。
【請求項6】
請求項4または5記載のIDカードの所持者の顔を撮影して、前記所定の規格を有する前記所持者の顔画像を表す顔撮影データを取得する撮影手段と、
前記情報記憶部から前記個人情報および前記コード情報を読み出す情報読み出し手段とを備えたことを特徴とする顔認証端末装置。
【請求項7】
前記顔撮影データを含む各種情報を表示する表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項6記載の顔認証端末装置。
【請求項8】
多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段と、
前記読み出した個人情報に対応する対応個人情報および前記読み出したコード情報に対応する対応コード情報が前記登録手段に登録されているか否かを判定する情報判定手段と、
前記顔撮影データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード変換手段が変換したコード情報と前記対応コード情報とが略一致しているか否かを判定するコード判定手段と、
前記情報判定手段および前記コード判定手段による判定が双方ともに肯定された場合に、前記所持者が認証されたことを表す認証情報を出力する認証情報出力手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項6または7記載の顔認証端末装置。
【請求項9】
前記撮影手段は、前記IDカードの所持者の顔を撮影することにより取得された原画像データにより表される原画像における顔の目の中心位置を検出する目位置検出手段と、
前記検出された両目の中心位置間の距離が所定値となるように前記原画像を規格化して規格化原画像を得る規格化手段と、
該規格化原画像における顔の両目の中心位置間の距離を基準とした前記所定の規格を有する画像を前記規格化顔画像から切り出して、前記顔撮影データを取得する切り出し手段とを備えてなることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項記載の顔認証端末装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項記載の顔認証端末装置が取得した前記顔撮影データ、前記個人情報および前記コード情報を取得する情報取得手段と、
多数の人物についての個人情報およびコード情報を登録した登録手段と、
前記取得した個人情報に対応する対応個人情報および前記取得したコード情報に対応する対応コード情報が前記登録手段に登録されているか否かを判定する情報判定手段と、
前記顔撮影データをコード情報に変換するコード変換手段と、
該コード変換手段が変換したコード情報と前記対応コード情報とが略一致しているか否かを判定するコード判定手段と、
前記情報判定手段および前記コード判定手段による判定が双方ともに肯定された場合に、前記所持者が認証されたことを表す認証情報を出力する認証情報出力手段とを備えたことを特徴とする顔認証装置。
【請求項11】
請求項6から9のいずれか1項記載の顔認証端末装置と、
請求項10記載の顔認証装置とが各種情報を送受信可能に接続されてなることを特徴とする顔認証システム。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項記載のIDカード作成装置をさらに備えてなることを特徴とする請求項11記載の顔認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2004−284344(P2004−284344A)
【公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−316593(P2003−316593)
【出願日】平成15年9月9日(2003.9.9)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【出願人】(592129796)フジカラー販売株式会社 (1)
【Fターム(参考)】