MEMSデバイス、およびその製造方法
【課題】外部衝撃による破損およびそれによるコストアップを抑制できるMEMSデバイス、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】フレーム111と、フレームと同じ層に形成され、フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネ113によりフレームの内側に連結された駆動体115と、駆動体の高さ方向変位を制限する上昇ストッパ140および下降制限ストッパ150と、を備えたMEMSデバイスであり、駆動体は周辺部を備えており、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には駆動体の周辺部が上昇制限ストッパの一端部141にひっかかり、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には下降制限ストッパの一端部151がフレームにひっかかることを特徴とする。
【解決手段】フレーム111と、フレームと同じ層に形成され、フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネ113によりフレームの内側に連結された駆動体115と、駆動体の高さ方向変位を制限する上昇ストッパ140および下降制限ストッパ150と、を備えたMEMSデバイスであり、駆動体は周辺部を備えており、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には駆動体の周辺部が上昇制限ストッパの一端部141にひっかかり、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には下降制限ストッパの一端部151がフレームにひっかかることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Microelectromechanical Systems)デバイスに係り、特に駆動体の高さ方向変位を制限して、外部衝撃による破損が抑制されるMEMSデバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ、レーザープリンタ、精密測定、精密加工など多様な技術分野において、マイクロマシニング技術により製造される微小構造を有するMEMSデバイスについての研究が活発に進められている。例えば、ディスプレイ分野で、MEMSデバイスは、画面上に走査光を偏向反射するための光スキャナーへの活用が注目されている。
【0003】
光スキャナーとして主に使われる従来のMEMSデバイスは、フレームと、フレームに対して回動自在に所定の回動軸により連結された駆動体と、を備える。駆動体は、フレームと同じ層に形成され、フレームの内側に形成される。MEMSデバイスに平面方向の外部衝撃が加えられるときには、駆動体と同じ層に形成されたフレームが、駆動体の過度な平面方向変位を制限するので、比較的大きい外部衝撃に対しても、MEMSデバイスの破損が抑制される。しかし、MEMSデバイスに高さ方向の外部衝撃が加えられるときには、駆動体の高さ方向変位を制限する構成がないので、小さい外部衝撃にも容易にMEMSデバイスが永久的に破損されるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前記した問題点を解決するためのものであって、駆動体の高さ方向変位を制限して、外部衝撃による破損が抑制されるMEMSデバイス、およびその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、フレームと、フレームと同じ層に形成され、フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネによりフレームの内側に連結された駆動体と、駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパと、を備え、ストッパは、駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を備え、駆動体は、周辺部を備え、上昇制限ストッパは、駆動体の変位がないとき、駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には、駆動体の周辺部が上昇制限ストッパの一端部にひっかかり、下降制限ストッパは、駆動体の変位がないとき、フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には、下降制限ストッパの一端部がフレームにひっかかり、フレームと駆動体は第1基板に形成され、上昇制限ストッパと下降制限ストッパは、第1基板に接着された第2基板に形成され、駆動体上に固定されるステージをさらに備えることを特徴とするMEMSデバイスを提供する。
【0006】
望ましくは、上昇制限ストッパおよび下降制限ストッパは、ステージと同じ層に形成される。
【0007】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の熱変形によるステージの変形を抑制するために、駆動体とステージとの間に介在された離隔カラムをさらに備える。
【0008】
望ましくは、駆動体に離隔カラムが結合された領域の周辺部には、ステージと駆動体との間の熱伝達を抑制するための環状開口部が形成される。
【0009】
望ましくは、MEMSデバイスは、ステージの上面に形成された光反射面をさらに備える。
【0010】
望ましくは、駆動体は、フレームに対して回動自在に連結される。
【0011】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備える。
【0012】
望ましくは、静電容量センサは、駆動体の回動によって駆動体と共に回動する駆動コームと、駆動コームと噛み合う相補的な位置に固定支持されて、駆動コームの回動によって増減する重畳面を形成する固定コームと、を備える。
【0013】
望ましくは、駆動体は、第1回動軸を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として外部可変部に対して回動自在であり、外部可変部の内側に位置した内部可変部と、を備え、上昇制限ストッパおよび下降制限ストッパは、外部可変部の高さ方向変位を制限可能に構成される。
【0014】
望ましくは、MEMSデバイスは、内部可変部の上面に形成された光反射面をさらに備える。
【0015】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルと、駆動コイルに流れる電流と交差する磁場を形成するためのマグネットと、をさらに備える。
【0016】
また、本発明は、第1基板上に第2基板を接着する工程と、第1基板を部分的に除去して、フレーム、およびフレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネによりフレームの内側に連結された駆動体および当該駆動体の周辺部を形成する工程と、第2基板を部分的に除去して、駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパを第2基板に形成する工程と、を含み、ストッパの形成工程は、駆動体の変位がないとき、駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には、駆動体の周辺部を当該一端部にひっかけることによって駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、駆動体の変位がないとき、フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には、当該一端部をフレームにひっかけることによって駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を形成する工程を含み、さらに、第2基板を部分的に除去して駆動体上に固定されたステージを形成する工程を含むことを特徴とするMEMSデバイスの製造方法を提供する。
【0017】
望ましくは、第1基板および第2基板は、シリコンからなる。
【0018】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体の形成工程は、フレームに対して回動自在に連結させた駆動体を形成する工程を含む。
【0019】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、上昇制限ストッパの一端部および下降制限ストッパの一端部を第1基板に対して離隔させるために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0020】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、ステージの上面に光反射面を形成する工程をさらに含む。
【0021】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体とステージとの間に介在される離隔カラムを形成するために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0022】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、上昇制限ストッパの一端部および下降制限ストッパの一端部を第1基板に対して離隔させるために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第1基板の上面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0023】
望ましくは、駆動体を形成する工程は、第1回動軸を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として外部可変部に対して回動自在であり、外部可変部の内側に位置する内部可変部と、を形成する工程を含む。
【0024】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、内部可変部の上面に光反射面を形成する工程をさらに含む。
【0025】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルを形成する工程と、駆動コイルに流れる電流と交差する磁場が形成されるようにマグネットを配置する工程と、をさらに含む。
【0026】
望ましくは、駆動コイルの形成工程は、第1基板の底面をエッチングして駆動コイル用溝を形成する工程と、駆動コイル用溝に金属を積層する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明のMEMSデバイスは、駆動体の高さ方向変位を制限するストッパを備えて、外部衝撃によるMEMSデバイスの破損およびそれによるコストアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す分解斜視図である。
【図3】図1のA−A′線の部分断面斜視図である。
【図4A】図1のA−A′線の断面図であって、外部衝撃により駆動体が上昇する場合を示す図面である。
【図4B】図1のA−A′線の断面図であって、外部衝撃により駆動体が下降する場合を示す図面である。
【図5A】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5B】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5C】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5D】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5E】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5F】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す分解斜視図である。
【図8】図6の部分断面斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態によるMEMSデバイスの斜視図である。
【図10】図9のB部分を拡大して示す斜視図であって、上から見て示す図面である。
【図11】図9のB部分を拡大して示す斜視図であって、下から見て示す図面である。
【図12】本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す斜視図である。
【図14】図12のC部分を拡大して示す平面図である。
【図15】図14のD−D′線の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態によるMEMSデバイス、およびその製造方法を詳細に説明する。
【0030】
図1および図2は、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを上及び下から見て示す分解斜視図であり、図3は、図1のA−A′線の部分断面斜視図であり、図4Aおよび図4Bは、図1のA−A′線の断面図であって、図4Aは、外部衝撃により駆動体115が上昇する場合を、図4Bは、外部衝撃により駆動体115が下降する場合を示す図面である。
【0031】
図1ないし図3に示すように、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイス100は、所定の支持台に固定されるフレーム111と、フレーム111に対して回動軸Sを基準として回動自在に連結された駆動体115と、駆動体115上に固定されたステージ132と、を備える。駆動体115は、フレーム111の中央部に配置され、一対のトーションバネ113によりフレーム111と連結される。フレーム111、駆動体115およびトーションバネ113は、第1基板110を加工して形成されるので、同じ層に形成される。
【0032】
MEMSデバイス100は、駆動体115の底面の周辺部に取り付けられた駆動コイル120を備え、駆動コイル120に流れる電流と交差する磁場を形成するためにフレーム111を介して互いに対向するように配置された一対のマグネット105、106をさらに備える。端子125は、駆動コイル120に電流を印加するために外部電源と接続される。駆動コイル120に流れる電流とマグネット105、106により駆動コイル120のパターンと交差する方向に形成された磁場との相互作用により、駆動体115は、ローレンツの法則による方向に旋回し、電流が遮断されれば、トーションバネ113の弾性復元力により、駆動体115は、フレーム111に対して平行な状態に復帰する。
【0033】
ステージ132の上面には、光反射物質が積層されて形成された光反射面135が備えられる。駆動コイル120に電流が流れれば、駆動コイル120は、抵抗により熱膨張し、これにより、駆動体115が変形される。かかる駆動体115の変形によるステージ132の変形を抑制するために、ステージ132と駆動体115との間に離隔カラム133が介在される。ステージ132と駆動体115とは、離隔カラム133の高さd1ほど離隔される。駆動体115の熱変形によりステージ132に及ぼす影響を最小化するために、駆動体115に接着される離隔カラム133の底面は、ステージ132の光反射面135より狭く設定される。
【0034】
MEMSデバイス100は、駆動体115の高さ方向変位を制限するストッパを備える。ストッパには、駆動体115の上向き変位を制限する上昇制限ストッパ140と、駆動体115の下向き変位を制限する下降制限ストッパ150と、が備えられる。ストッパ140、150とステージ132とは、第1基板110上に接着される第2基板130を加工して形成されるものであるので、同じ層に形成される。
【0035】
上昇制限ストッパ140は、フレーム111に接着された固定部139から延びてフレーム111に対して固定されている。上昇制限ストッパ140は、駆動体115の高さ方向変位がないとき、駆動体115の周辺部と所定間隔d2ほど離隔された状態で重なる一端部141を備える。
【0036】
下降制限ストッパ150の付着面152が駆動体115の上面に接着されて、下降制限ストッパ150は、駆動体115に対して固定される。下降制限ストッパ150は、駆動体115の高さ方向変位がないとき、フレーム111と所定間隔d3ほど離隔された状態で重なる一端部151を備える。離隔カラム133の高さd1、上昇制限ストッパ140の離隔間隔d2および下降制限ストッパ150の離隔間隔d3は、第2基板130の底面をエッチングすることによって形成されるので、前記d1、d2およびd3は同じである。
【0037】
図4Aに示すように、MEMSデバイス100に外部衝撃が加えられて駆動体115が急激に上昇する場合には、駆動体115の周辺部が上昇制限ストッパ140の端部141にひっかかるので、駆動体115の過度な上昇が防止される。また、図4Bに示すように、MEMSデバイス100に外部衝撃が加えられて駆動体115が急激に下降する場合には、駆動体115と共に下降する下降制限ストッパ150の端部151がフレーム111にひっかかるので、駆動体115の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス100の破損、特にトーションバネ113の破損が防止される。
【0038】
図5Aないし図5Fは、図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【0039】
図5Aに示すように、まず、第1基板110と第2基板130とを準備する。第1基板110および第2基板130は、加工性および平坦度の優れたシリコンからなる基板でありうる。第1基板110の上面は、酸化させて絶縁層117を形成し、第2基板130の底面は、ステージ132(図3参照)の間隔d1(図3参照)、上昇制限ストッパ140(図3参照)の間隔d2(図3参照)、および下降制限ストッパ150(図3参照)の間隔d3(図3参照)を形成するために、部分的にエッチングしてグルーブ160を形成する。グルーブ160の形成方法は、フォトリソグラフィによるパターン形成後、ドライまたはウェットエッチングするか、またはサンドブラスティングすることを含むものであって、半導体製造工程で公知されたものである。
【0040】
図5Bに示すように、第1基板110上に第2基板130を接着する。基板110、130がシリコンからなる場合ならば、SDB(Silicon Direct Bonding)方法により、第1基板110と第2基板130とを接着できる。
【0041】
次いで、第1基板110の厚さを駆動体115(図3参照)およびフレーム111(図3参照)の厚さに対応するように研磨し、第1基板110の底面をエッチングして駆動コイル用溝118を形成する。駆動コイル用溝118の形成方法も、フォトリソグラフィによるパターンの形成後、ドライまたはウェットエッチングするか、またはサンドブラスティングすることを含む。
【0042】
次いで、駆動コイル用溝118に絶縁層119を形成する。
【0043】
図5Cに示すように、駆動コイル用溝118に金属、例えば銅を積層して巻き取られた駆動コイル120を形成する。駆動コイル用溝118に金属シード層(図示せず)を蒸着した後、金属をメッキするか、または金属を蒸着して駆動コイル120を形成できる。
【0044】
図5Dに示すように、駆動コイル120が形成された第1基板110の底面に、絶縁層122を形成し、駆動コイル120を外部電源と連結するための端子125を形成する。また、第2基板130をステージ132(図3参照)、ストッパ140、150(図3参照)および固定部139(図3参照)の各厚さに対応するように研磨する。
【0045】
次いで、図5Eに示すように、第1基板110の厚さ方向に貫通するように第1基板110を部分的に除去して、フレーム111、駆動体115およびトーションバネ113を形成する。
【0046】
次いで、図5Fに示すように、第2基板130の厚さ方向に貫通するように第2基板130を部分的に除去して、ステージ132、上昇制限ストッパ140、下降制限ストッパ150および固定部139を形成する。
【0047】
次いで、前記ステージ132の上面に金属性光反射物質を積層して光反射面135を形成した後、マグネット105、106(図1参照)を、フレーム111を介して互いに対向するように配置する。このように製造されたMEMSデバイス100は、光スキャナーとして使われる。
【0048】
図6および図7は、本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを上及び下から見て示す分解斜視図であり、図8は、図6の部分断面斜視図である。また、図9は、本発明の
第3実施形態によるMEMSデバイスの斜視図であり、図10および図11は、図9のB
部分を拡大して示す斜視図であって、図10は、上から見て示す図面、図11は、下から見て示す図面である。
【0049】
図6ないし図8に示すように、本発明の第2実施形態によるMEMSデバイス200Aは、ベース201に固定されるフレーム211と、フレーム211に対して回動軸Sを基準として回動自在に連結された駆動体215と、駆動体215上に固定されたステージ232と、を備える。駆動体215は、フレーム211の中央部に配置され、一対のトーションバネ213によりフレーム211と連結される。フレーム211、駆動体215、およびトーションバネ213は、第1基板210を加工して形成されるので、同じ層に形成される。ベース201は、シリコンまたはガラスからなり、駆動体215の回動を妨害しないために中央部に開口202が形成される。
【0050】
駆動体215の底面の周辺部には、巻き取られた駆動コイル220が備えられ、フレーム211を介して互いに対向するように一対のマグネット205、206が配置される。駆動コイル220に流れる電流と、マグネット205、206により駆動コイル220のパターンと交差する方向に形成された磁場との相互作用により、駆動体215は、ローレンツの法則による方向に旋回し、電流が遮断されれば、トーションバネ213の弾性復元力により、駆動体215は、フレーム211に対して平行な状態に復帰する。
【0051】
ステージ232の上面には、光反射面235が備えられ、駆動体215の熱変形によるステージ232の変形を抑制するための離隔カラム233が、ステージ232と駆動体215との間に介在される。駆動体215で離隔カラム233が結合された領域の周辺部には、ステージ232と駆動体215との間の熱伝達を抑制するための環状開口部263が形成される。
【0052】
MEMSデバイス200Aは、駆動体215の上向き変位を制限する上昇制限ストッパ240Aと、駆動体215の下向き変位を制限する下降制限ストッパ250Aと、を備える。ストッパ240A、250A、およびステージ232は、第1基板210上に接着される第2基板230を加工して形成されるものであるので、同じ層に形成される。
【0053】
上昇制限ストッパ240Aは、フレーム211に接着された固定部239から延びて、フレーム211に対して固定されている。上昇制限ストッパ240Aは、トーションバネ213と所定間隔ほど離隔されて駆動体215の周辺部に延びる。上昇制限ストッパ240Aは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、駆動体215の周辺部と所定間隔ほど離隔された状態で重なる一端部241Aを備える。
【0054】
下降制限ストッパ250Aの付着面252が駆動体215の上面に接着されて、下降制限ストッパ250Aは、駆動体215に対して固定される。下降制限ストッパ250Aは、上昇制限ストッパ240Aを介して分岐され、フレーム211に向かって延びた端部251Aを備える。下降制限ストッパ250Aの端部251Aは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、フレーム211と所定間隔ほど離隔された状態で重なる。
【0055】
MEMSデバイス200Aに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に上昇する場合には、駆動体215の周辺部が上昇制限ストッパ240Aの端部241Aにひっかかるので、駆動体215の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス200Aに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に下降する場合には、駆動体215と共に下降する下降制限ストッパ250Aの端部251Aがフレーム211にひっかかるので、駆動体215の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス200Aの破損、特にトーションバネ213の破損が防止される。
【0056】
MEMSデバイス200Aは、駆動体215の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備える。静電容量センサは、下降制限ストッパ250Aから回動軸Sと直交する方向に延びた複数の駆動コーム260と、フレーム211に固定された複数の固定コーム261と、を備える。駆動コーム260は、駆動体215およびステージ232の回動によってその回動角度と同じ角度でともに回動する。固定コーム261は、駆動コーム260に噛み合う相補的な位置に固定支持される。
【0057】
固定コーム261と駆動コーム260とは、互いにオーバーラップされる重畳面を形成するが、駆動体215の回動量によってその重畳面の面積が変化する。このように重畳面が形成される駆動コーム260と固定コーム261との間に所定の電位差を付与すれば、駆動体215の回動量と一定な関数関係を有する静電容量を形成する。したがって、駆動コーム260と固定コーム261との間の静電容量を測定して、駆動体215およびステージ232の回動量を測定できる。
【0058】
図9ないし図11に示すように、本発明の第3実施形態によるMEMSデバイス200Bは、前述した第2実施形態によるMEMSデバイス200Aの変形例であって、上昇制限ストッパ240Bおよび下降制限ストッパ250Bの構成のみが第2実施形態のMEMSデバイス200Aと異なり、他の構成はいずれも同一である。第3実施形態によるMEMSデバイス200Bの下降制限ストッパ250Bは、トーションバネ213を覆うことのないように分岐され、フレーム211に向かって延びた端部251Bを備える。下降制限ストッパ250Bの端部251Bは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、フレーム211の端部212と所定間隔ほど離隔されるように上向きに掘られた溝部252と、溝部252の末端に形成された連結部253と、を備える。連結部253には、駆動体片216が接着される。駆動体片216は、フレーム211と分離されているため、駆動体215の昇降または回動によって動く。上昇制限ストッパ240Bは、固定部239から下降制限ストッパ250Bの連結部253と対向するように突出する。上昇制限ストッパ240Bは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、駆動体片216と所定の間隔ほど離隔されるように形成される。
【0059】
MEMSデバイス200Bに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に上昇する場合には、連結部253に接着された駆動体片216が上昇制限ストッパ240Bにひっかかるので、駆動体215の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス200Bに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に下降する場合には、駆動体215とともに下降する下降制限ストッパ250Bの溝部252が、フレーム211に連結して固定されたフレームの端部212にひっかかるので、駆動体215の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス200Bの破損、特にトーションバネ213の破損が防止される。
【0060】
図12および図13は、本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを上および下から見て示す斜視図であり、図14は、図12のC部分を拡大して示す平面図であり、図15は、図14のD−D′線の部分断面斜視図である。
【0061】
図12ないし図15に示すように、本発明の第4実施形態によるMEMSデバイス300は、中央部に開口302が形成されたベース301と、ベース301上に接着される第1基板310と、第1基板310上に接着される第2基板330と、を備える。ベース301は、シリコンまたはガラスからなり、第1基板310と第2基板330とは、シリコンからなる。
【0062】
第1基板310は、ベース301の開口302に配置されて回動自在な駆動体315と、駆動体315の外郭に形成され、ベース301に接着固定されるフレーム(図示せず)と、を備える。第2基板330は、第1基板310のフレームに接着固定されてフレームを塞げる固定部339、駆動体315の高さ方向変位を制限する上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350を備える。
【0063】
駆動体315は、第1回動軸S1を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部318と、第1回動軸S1と直交する第2回動軸S2を基準として外部可変部318に対して回動自在に設けられた内部可変部316と、内部可変部316と外部可変部318との間に設けられたフィルタ可変部317と、を備える。外部可変部318は、第1回動軸S1と同じ方向に延びた一対の第1トーションバネ322により第1基板310のフレームに連結され、フィルタ可変部317は、第1トーションバネ322と同じ方向に延びた一対のフィルタバネ323により外部可変部318に連結され、内部可変部316は、第2回動軸S2と同じ方向に延びた一対の第2トーションバネ324によりフィルタ可変部317に連結される。
【0064】
外部可変部318の底面には、巻き取られた駆動コイル320が備えられ、ベース301、第1基板310、および第2基板330を介して互いに対向するように一対のマグネット305、306が配置される。一対のマグネット305、306により形成される磁気力線の方向は、第1回動軸S1および第2回動軸S2に対して傾斜している。駆動コイル320に電流を供給すれば、マグネット305、306により形成される磁場と電流方向に垂直な方向にトルクが発生する。このように発生したトルクは、第1回動軸S1と第2回動軸S2との二つの成分に分離されて、内部可変部316は、第2回動軸S2を基準として回動し、また、内部可変部316、フィルタ可変部317および外部可変部318は、第1回動軸S1を基準として回動する。内部可変部316の上面には、光反射面335が形成され、光反射面335に入射する光信号を2軸に分配できる。
【0065】
フィルタ可変部317およびフィルタバネ323は、低周波回動する外部可変部318と高周波回動する内部可変部316とを分離して、高周波ノイズによる外部可変部318の不要な振動を遮断する。すなわち、フィルタ可変部317およびフィルタバネ323は、低周波通過フィルタを機械的に構成したものである。
【0066】
上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350は、外部可変部318の高さ方向変位を制限可能に構成される。具体的に、上昇制限ストッパ340は、第2基板330の固定部339と一体に形成され、外部可変部318の高さ方向変位がないとき、外部可変部318の周辺部と所定間隔ほど離隔された状態で重なるように構成される。下降制限ストッパ350は、外部可変部318の上面に接着されて外部可変部318に対して固定される。下降制限ストッパ350は、外部可変部318の高さ方向変位がないとき、外部可変部318の外側のフレーム周辺部312と所定間隔ほど離隔された状態で重なる端部351を備える。
【0067】
MEMSデバイス300に外部衝撃が加えられて外部可変部318が急激に上昇する場合には、外部可変部318の周辺部が上昇制限ストッパ340にひっかかるので、外部可変部318の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス300に外部衝撃が加えられて外部可変部318が急激に下降する場合には、外部可変部318とともに下降する下降制限ストッパ350の端部351がフレーム周辺部312にひっかかるので、外部可変部318の過度な下降が防止される。内部可変部316は、それを支持する第2トーションバネ324の剛性が高くて、外部可変部318およびフィルタ可変部317に対してほとんど昇降しない。したがって、外部衝撃にもかかわらず、MEMSデバイス300の破損、特に第1トーションバネ322の破損が防止される。
【0068】
MEMSデバイス300の製造過程は、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイス100の製造過程と類似している。ただし、上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350を、外部可変部318の周辺部およびフレーム周辺部312に対してそれぞれ所定の間隔ほど離隔させるために、第1基板310と第2基板330とを接着する前に、第2基板330の底面をエッチングするものではなく、第1基板310の上面を所定パターンでエッチングしてグルーブを形成する。このように第1基板310の上面をエッチングすることにより、第1トーションバネ322とフィルタバネ323との厚さを、第2トーションバネ324に比べて薄くして、第1トーションバネ322とフィルタバネ323との剛性を第2トーションバネ324に比べて弱くする。
【0069】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形および均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【符号の説明】
【0070】
100 MEMSデバイス、
105、106 マグネット、
110 第1基板、
111 フレーム、
113 トーションバネ、
115 駆動体、
130 第2基板、
132 ステージ、
135 光反射面、
140 上昇制限ストッパ(ストッパ)、
150 下降制限ストッパ(ストッパ)、
S 回動軸。
【技術分野】
【0001】
本発明は、MEMS(Microelectromechanical Systems)デバイスに係り、特に駆動体の高さ方向変位を制限して、外部衝撃による破損が抑制されるMEMSデバイス、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、ディスプレイ、レーザープリンタ、精密測定、精密加工など多様な技術分野において、マイクロマシニング技術により製造される微小構造を有するMEMSデバイスについての研究が活発に進められている。例えば、ディスプレイ分野で、MEMSデバイスは、画面上に走査光を偏向反射するための光スキャナーへの活用が注目されている。
【0003】
光スキャナーとして主に使われる従来のMEMSデバイスは、フレームと、フレームに対して回動自在に所定の回動軸により連結された駆動体と、を備える。駆動体は、フレームと同じ層に形成され、フレームの内側に形成される。MEMSデバイスに平面方向の外部衝撃が加えられるときには、駆動体と同じ層に形成されたフレームが、駆動体の過度な平面方向変位を制限するので、比較的大きい外部衝撃に対しても、MEMSデバイスの破損が抑制される。しかし、MEMSデバイスに高さ方向の外部衝撃が加えられるときには、駆動体の高さ方向変位を制限する構成がないので、小さい外部衝撃にも容易にMEMSデバイスが永久的に破損されるという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、前記した問題点を解決するためのものであって、駆動体の高さ方向変位を制限して、外部衝撃による破損が抑制されるMEMSデバイス、およびその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、フレームと、フレームと同じ層に形成され、フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネによりフレームの内側に連結された駆動体と、駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパと、を備え、ストッパは、駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を備え、駆動体は、周辺部を備え、上昇制限ストッパは、駆動体の変位がないとき、駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には、駆動体の周辺部が上昇制限ストッパの一端部にひっかかり、下降制限ストッパは、駆動体の変位がないとき、フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には、下降制限ストッパの一端部がフレームにひっかかり、フレームと駆動体は第1基板に形成され、上昇制限ストッパと下降制限ストッパは、第1基板に接着された第2基板に形成され、駆動体上に固定されるステージをさらに備えることを特徴とするMEMSデバイスを提供する。
【0006】
望ましくは、上昇制限ストッパおよび下降制限ストッパは、ステージと同じ層に形成される。
【0007】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の熱変形によるステージの変形を抑制するために、駆動体とステージとの間に介在された離隔カラムをさらに備える。
【0008】
望ましくは、駆動体に離隔カラムが結合された領域の周辺部には、ステージと駆動体との間の熱伝達を抑制するための環状開口部が形成される。
【0009】
望ましくは、MEMSデバイスは、ステージの上面に形成された光反射面をさらに備える。
【0010】
望ましくは、駆動体は、フレームに対して回動自在に連結される。
【0011】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備える。
【0012】
望ましくは、静電容量センサは、駆動体の回動によって駆動体と共に回動する駆動コームと、駆動コームと噛み合う相補的な位置に固定支持されて、駆動コームの回動によって増減する重畳面を形成する固定コームと、を備える。
【0013】
望ましくは、駆動体は、第1回動軸を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として外部可変部に対して回動自在であり、外部可変部の内側に位置した内部可変部と、を備え、上昇制限ストッパおよび下降制限ストッパは、外部可変部の高さ方向変位を制限可能に構成される。
【0014】
望ましくは、MEMSデバイスは、内部可変部の上面に形成された光反射面をさらに備える。
【0015】
望ましくは、MEMSデバイスは、駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルと、駆動コイルに流れる電流と交差する磁場を形成するためのマグネットと、をさらに備える。
【0016】
また、本発明は、第1基板上に第2基板を接着する工程と、第1基板を部分的に除去して、フレーム、およびフレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネによりフレームの内側に連結された駆動体および当該駆動体の周辺部を形成する工程と、第2基板を部分的に除去して、駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパを第2基板に形成する工程と、を含み、ストッパの形成工程は、駆動体の変位がないとき、駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に上昇する場合には、駆動体の周辺部を当該一端部にひっかけることによって駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、駆動体の変位がないとき、フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて駆動体が急激に下降する場合には、当該一端部をフレームにひっかけることによって駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を形成する工程を含み、さらに、第2基板を部分的に除去して駆動体上に固定されたステージを形成する工程を含むことを特徴とするMEMSデバイスの製造方法を提供する。
【0017】
望ましくは、第1基板および第2基板は、シリコンからなる。
【0018】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体の形成工程は、フレームに対して回動自在に連結させた駆動体を形成する工程を含む。
【0019】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、上昇制限ストッパの一端部および下降制限ストッパの一端部を第1基板に対して離隔させるために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0020】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、ステージの上面に光反射面を形成する工程をさらに含む。
【0021】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体とステージとの間に介在される離隔カラムを形成するために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0022】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、上昇制限ストッパの一端部および下降制限ストッパの一端部を第1基板に対して離隔させるために、第1基板と第2基板とを接着するのに先立って、第1基板の上面を部分的にエッチングする工程をさらに含む。
【0023】
望ましくは、駆動体を形成する工程は、第1回動軸を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として外部可変部に対して回動自在であり、外部可変部の内側に位置する内部可変部と、を形成する工程を含む。
【0024】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、内部可変部の上面に光反射面を形成する工程をさらに含む。
【0025】
望ましくは、MEMSデバイスの製造方法は、駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルを形成する工程と、駆動コイルに流れる電流と交差する磁場が形成されるようにマグネットを配置する工程と、をさらに含む。
【0026】
望ましくは、駆動コイルの形成工程は、第1基板の底面をエッチングして駆動コイル用溝を形成する工程と、駆動コイル用溝に金属を積層する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0027】
本発明のMEMSデバイスは、駆動体の高さ方向変位を制限するストッパを備えて、外部衝撃によるMEMSデバイスの破損およびそれによるコストアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す分解斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す分解斜視図である。
【図3】図1のA−A′線の部分断面斜視図である。
【図4A】図1のA−A′線の断面図であって、外部衝撃により駆動体が上昇する場合を示す図面である。
【図4B】図1のA−A′線の断面図であって、外部衝撃により駆動体が下降する場合を示す図面である。
【図5A】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5B】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5C】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5D】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5E】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図5F】図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す分解斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す分解斜視図である。
【図8】図6の部分断面斜視図である。
【図9】本発明の第3実施形態によるMEMSデバイスの斜視図である。
【図10】図9のB部分を拡大して示す斜視図であって、上から見て示す図面である。
【図11】図9のB部分を拡大して示す斜視図であって、下から見て示す図面である。
【図12】本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを上から見て示す斜視図である。
【図13】本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを下から見て示す斜視図である。
【図14】図12のC部分を拡大して示す平面図である。
【図15】図14のD−D′線の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付された図面を参照して、本発明の望ましい実施形態によるMEMSデバイス、およびその製造方法を詳細に説明する。
【0030】
図1および図2は、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイスを上及び下から見て示す分解斜視図であり、図3は、図1のA−A′線の部分断面斜視図であり、図4Aおよび図4Bは、図1のA−A′線の断面図であって、図4Aは、外部衝撃により駆動体115が上昇する場合を、図4Bは、外部衝撃により駆動体115が下降する場合を示す図面である。
【0031】
図1ないし図3に示すように、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイス100は、所定の支持台に固定されるフレーム111と、フレーム111に対して回動軸Sを基準として回動自在に連結された駆動体115と、駆動体115上に固定されたステージ132と、を備える。駆動体115は、フレーム111の中央部に配置され、一対のトーションバネ113によりフレーム111と連結される。フレーム111、駆動体115およびトーションバネ113は、第1基板110を加工して形成されるので、同じ層に形成される。
【0032】
MEMSデバイス100は、駆動体115の底面の周辺部に取り付けられた駆動コイル120を備え、駆動コイル120に流れる電流と交差する磁場を形成するためにフレーム111を介して互いに対向するように配置された一対のマグネット105、106をさらに備える。端子125は、駆動コイル120に電流を印加するために外部電源と接続される。駆動コイル120に流れる電流とマグネット105、106により駆動コイル120のパターンと交差する方向に形成された磁場との相互作用により、駆動体115は、ローレンツの法則による方向に旋回し、電流が遮断されれば、トーションバネ113の弾性復元力により、駆動体115は、フレーム111に対して平行な状態に復帰する。
【0033】
ステージ132の上面には、光反射物質が積層されて形成された光反射面135が備えられる。駆動コイル120に電流が流れれば、駆動コイル120は、抵抗により熱膨張し、これにより、駆動体115が変形される。かかる駆動体115の変形によるステージ132の変形を抑制するために、ステージ132と駆動体115との間に離隔カラム133が介在される。ステージ132と駆動体115とは、離隔カラム133の高さd1ほど離隔される。駆動体115の熱変形によりステージ132に及ぼす影響を最小化するために、駆動体115に接着される離隔カラム133の底面は、ステージ132の光反射面135より狭く設定される。
【0034】
MEMSデバイス100は、駆動体115の高さ方向変位を制限するストッパを備える。ストッパには、駆動体115の上向き変位を制限する上昇制限ストッパ140と、駆動体115の下向き変位を制限する下降制限ストッパ150と、が備えられる。ストッパ140、150とステージ132とは、第1基板110上に接着される第2基板130を加工して形成されるものであるので、同じ層に形成される。
【0035】
上昇制限ストッパ140は、フレーム111に接着された固定部139から延びてフレーム111に対して固定されている。上昇制限ストッパ140は、駆動体115の高さ方向変位がないとき、駆動体115の周辺部と所定間隔d2ほど離隔された状態で重なる一端部141を備える。
【0036】
下降制限ストッパ150の付着面152が駆動体115の上面に接着されて、下降制限ストッパ150は、駆動体115に対して固定される。下降制限ストッパ150は、駆動体115の高さ方向変位がないとき、フレーム111と所定間隔d3ほど離隔された状態で重なる一端部151を備える。離隔カラム133の高さd1、上昇制限ストッパ140の離隔間隔d2および下降制限ストッパ150の離隔間隔d3は、第2基板130の底面をエッチングすることによって形成されるので、前記d1、d2およびd3は同じである。
【0037】
図4Aに示すように、MEMSデバイス100に外部衝撃が加えられて駆動体115が急激に上昇する場合には、駆動体115の周辺部が上昇制限ストッパ140の端部141にひっかかるので、駆動体115の過度な上昇が防止される。また、図4Bに示すように、MEMSデバイス100に外部衝撃が加えられて駆動体115が急激に下降する場合には、駆動体115と共に下降する下降制限ストッパ150の端部151がフレーム111にひっかかるので、駆動体115の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス100の破損、特にトーションバネ113の破損が防止される。
【0038】
図5Aないし図5Fは、図1のMEMSデバイスを製造する過程を順次に示す断面図である。
【0039】
図5Aに示すように、まず、第1基板110と第2基板130とを準備する。第1基板110および第2基板130は、加工性および平坦度の優れたシリコンからなる基板でありうる。第1基板110の上面は、酸化させて絶縁層117を形成し、第2基板130の底面は、ステージ132(図3参照)の間隔d1(図3参照)、上昇制限ストッパ140(図3参照)の間隔d2(図3参照)、および下降制限ストッパ150(図3参照)の間隔d3(図3参照)を形成するために、部分的にエッチングしてグルーブ160を形成する。グルーブ160の形成方法は、フォトリソグラフィによるパターン形成後、ドライまたはウェットエッチングするか、またはサンドブラスティングすることを含むものであって、半導体製造工程で公知されたものである。
【0040】
図5Bに示すように、第1基板110上に第2基板130を接着する。基板110、130がシリコンからなる場合ならば、SDB(Silicon Direct Bonding)方法により、第1基板110と第2基板130とを接着できる。
【0041】
次いで、第1基板110の厚さを駆動体115(図3参照)およびフレーム111(図3参照)の厚さに対応するように研磨し、第1基板110の底面をエッチングして駆動コイル用溝118を形成する。駆動コイル用溝118の形成方法も、フォトリソグラフィによるパターンの形成後、ドライまたはウェットエッチングするか、またはサンドブラスティングすることを含む。
【0042】
次いで、駆動コイル用溝118に絶縁層119を形成する。
【0043】
図5Cに示すように、駆動コイル用溝118に金属、例えば銅を積層して巻き取られた駆動コイル120を形成する。駆動コイル用溝118に金属シード層(図示せず)を蒸着した後、金属をメッキするか、または金属を蒸着して駆動コイル120を形成できる。
【0044】
図5Dに示すように、駆動コイル120が形成された第1基板110の底面に、絶縁層122を形成し、駆動コイル120を外部電源と連結するための端子125を形成する。また、第2基板130をステージ132(図3参照)、ストッパ140、150(図3参照)および固定部139(図3参照)の各厚さに対応するように研磨する。
【0045】
次いで、図5Eに示すように、第1基板110の厚さ方向に貫通するように第1基板110を部分的に除去して、フレーム111、駆動体115およびトーションバネ113を形成する。
【0046】
次いで、図5Fに示すように、第2基板130の厚さ方向に貫通するように第2基板130を部分的に除去して、ステージ132、上昇制限ストッパ140、下降制限ストッパ150および固定部139を形成する。
【0047】
次いで、前記ステージ132の上面に金属性光反射物質を積層して光反射面135を形成した後、マグネット105、106(図1参照)を、フレーム111を介して互いに対向するように配置する。このように製造されたMEMSデバイス100は、光スキャナーとして使われる。
【0048】
図6および図7は、本発明の第2実施形態によるMEMSデバイスを上及び下から見て示す分解斜視図であり、図8は、図6の部分断面斜視図である。また、図9は、本発明の
第3実施形態によるMEMSデバイスの斜視図であり、図10および図11は、図9のB
部分を拡大して示す斜視図であって、図10は、上から見て示す図面、図11は、下から見て示す図面である。
【0049】
図6ないし図8に示すように、本発明の第2実施形態によるMEMSデバイス200Aは、ベース201に固定されるフレーム211と、フレーム211に対して回動軸Sを基準として回動自在に連結された駆動体215と、駆動体215上に固定されたステージ232と、を備える。駆動体215は、フレーム211の中央部に配置され、一対のトーションバネ213によりフレーム211と連結される。フレーム211、駆動体215、およびトーションバネ213は、第1基板210を加工して形成されるので、同じ層に形成される。ベース201は、シリコンまたはガラスからなり、駆動体215の回動を妨害しないために中央部に開口202が形成される。
【0050】
駆動体215の底面の周辺部には、巻き取られた駆動コイル220が備えられ、フレーム211を介して互いに対向するように一対のマグネット205、206が配置される。駆動コイル220に流れる電流と、マグネット205、206により駆動コイル220のパターンと交差する方向に形成された磁場との相互作用により、駆動体215は、ローレンツの法則による方向に旋回し、電流が遮断されれば、トーションバネ213の弾性復元力により、駆動体215は、フレーム211に対して平行な状態に復帰する。
【0051】
ステージ232の上面には、光反射面235が備えられ、駆動体215の熱変形によるステージ232の変形を抑制するための離隔カラム233が、ステージ232と駆動体215との間に介在される。駆動体215で離隔カラム233が結合された領域の周辺部には、ステージ232と駆動体215との間の熱伝達を抑制するための環状開口部263が形成される。
【0052】
MEMSデバイス200Aは、駆動体215の上向き変位を制限する上昇制限ストッパ240Aと、駆動体215の下向き変位を制限する下降制限ストッパ250Aと、を備える。ストッパ240A、250A、およびステージ232は、第1基板210上に接着される第2基板230を加工して形成されるものであるので、同じ層に形成される。
【0053】
上昇制限ストッパ240Aは、フレーム211に接着された固定部239から延びて、フレーム211に対して固定されている。上昇制限ストッパ240Aは、トーションバネ213と所定間隔ほど離隔されて駆動体215の周辺部に延びる。上昇制限ストッパ240Aは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、駆動体215の周辺部と所定間隔ほど離隔された状態で重なる一端部241Aを備える。
【0054】
下降制限ストッパ250Aの付着面252が駆動体215の上面に接着されて、下降制限ストッパ250Aは、駆動体215に対して固定される。下降制限ストッパ250Aは、上昇制限ストッパ240Aを介して分岐され、フレーム211に向かって延びた端部251Aを備える。下降制限ストッパ250Aの端部251Aは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、フレーム211と所定間隔ほど離隔された状態で重なる。
【0055】
MEMSデバイス200Aに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に上昇する場合には、駆動体215の周辺部が上昇制限ストッパ240Aの端部241Aにひっかかるので、駆動体215の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス200Aに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に下降する場合には、駆動体215と共に下降する下降制限ストッパ250Aの端部251Aがフレーム211にひっかかるので、駆動体215の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス200Aの破損、特にトーションバネ213の破損が防止される。
【0056】
MEMSデバイス200Aは、駆動体215の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備える。静電容量センサは、下降制限ストッパ250Aから回動軸Sと直交する方向に延びた複数の駆動コーム260と、フレーム211に固定された複数の固定コーム261と、を備える。駆動コーム260は、駆動体215およびステージ232の回動によってその回動角度と同じ角度でともに回動する。固定コーム261は、駆動コーム260に噛み合う相補的な位置に固定支持される。
【0057】
固定コーム261と駆動コーム260とは、互いにオーバーラップされる重畳面を形成するが、駆動体215の回動量によってその重畳面の面積が変化する。このように重畳面が形成される駆動コーム260と固定コーム261との間に所定の電位差を付与すれば、駆動体215の回動量と一定な関数関係を有する静電容量を形成する。したがって、駆動コーム260と固定コーム261との間の静電容量を測定して、駆動体215およびステージ232の回動量を測定できる。
【0058】
図9ないし図11に示すように、本発明の第3実施形態によるMEMSデバイス200Bは、前述した第2実施形態によるMEMSデバイス200Aの変形例であって、上昇制限ストッパ240Bおよび下降制限ストッパ250Bの構成のみが第2実施形態のMEMSデバイス200Aと異なり、他の構成はいずれも同一である。第3実施形態によるMEMSデバイス200Bの下降制限ストッパ250Bは、トーションバネ213を覆うことのないように分岐され、フレーム211に向かって延びた端部251Bを備える。下降制限ストッパ250Bの端部251Bは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、フレーム211の端部212と所定間隔ほど離隔されるように上向きに掘られた溝部252と、溝部252の末端に形成された連結部253と、を備える。連結部253には、駆動体片216が接着される。駆動体片216は、フレーム211と分離されているため、駆動体215の昇降または回動によって動く。上昇制限ストッパ240Bは、固定部239から下降制限ストッパ250Bの連結部253と対向するように突出する。上昇制限ストッパ240Bは、駆動体215の高さ方向変位がないとき、駆動体片216と所定の間隔ほど離隔されるように形成される。
【0059】
MEMSデバイス200Bに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に上昇する場合には、連結部253に接着された駆動体片216が上昇制限ストッパ240Bにひっかかるので、駆動体215の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス200Bに外部衝撃が加えられて駆動体215が急激に下降する場合には、駆動体215とともに下降する下降制限ストッパ250Bの溝部252が、フレーム211に連結して固定されたフレームの端部212にひっかかるので、駆動体215の過度な下降が防止される。したがって、外部衝撃によるMEMSデバイス200Bの破損、特にトーションバネ213の破損が防止される。
【0060】
図12および図13は、本発明の第4実施形態によるMEMSデバイスを上および下から見て示す斜視図であり、図14は、図12のC部分を拡大して示す平面図であり、図15は、図14のD−D′線の部分断面斜視図である。
【0061】
図12ないし図15に示すように、本発明の第4実施形態によるMEMSデバイス300は、中央部に開口302が形成されたベース301と、ベース301上に接着される第1基板310と、第1基板310上に接着される第2基板330と、を備える。ベース301は、シリコンまたはガラスからなり、第1基板310と第2基板330とは、シリコンからなる。
【0062】
第1基板310は、ベース301の開口302に配置されて回動自在な駆動体315と、駆動体315の外郭に形成され、ベース301に接着固定されるフレーム(図示せず)と、を備える。第2基板330は、第1基板310のフレームに接着固定されてフレームを塞げる固定部339、駆動体315の高さ方向変位を制限する上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350を備える。
【0063】
駆動体315は、第1回動軸S1を基準としてフレームに対して回動自在に連結された外部可変部318と、第1回動軸S1と直交する第2回動軸S2を基準として外部可変部318に対して回動自在に設けられた内部可変部316と、内部可変部316と外部可変部318との間に設けられたフィルタ可変部317と、を備える。外部可変部318は、第1回動軸S1と同じ方向に延びた一対の第1トーションバネ322により第1基板310のフレームに連結され、フィルタ可変部317は、第1トーションバネ322と同じ方向に延びた一対のフィルタバネ323により外部可変部318に連結され、内部可変部316は、第2回動軸S2と同じ方向に延びた一対の第2トーションバネ324によりフィルタ可変部317に連結される。
【0064】
外部可変部318の底面には、巻き取られた駆動コイル320が備えられ、ベース301、第1基板310、および第2基板330を介して互いに対向するように一対のマグネット305、306が配置される。一対のマグネット305、306により形成される磁気力線の方向は、第1回動軸S1および第2回動軸S2に対して傾斜している。駆動コイル320に電流を供給すれば、マグネット305、306により形成される磁場と電流方向に垂直な方向にトルクが発生する。このように発生したトルクは、第1回動軸S1と第2回動軸S2との二つの成分に分離されて、内部可変部316は、第2回動軸S2を基準として回動し、また、内部可変部316、フィルタ可変部317および外部可変部318は、第1回動軸S1を基準として回動する。内部可変部316の上面には、光反射面335が形成され、光反射面335に入射する光信号を2軸に分配できる。
【0065】
フィルタ可変部317およびフィルタバネ323は、低周波回動する外部可変部318と高周波回動する内部可変部316とを分離して、高周波ノイズによる外部可変部318の不要な振動を遮断する。すなわち、フィルタ可変部317およびフィルタバネ323は、低周波通過フィルタを機械的に構成したものである。
【0066】
上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350は、外部可変部318の高さ方向変位を制限可能に構成される。具体的に、上昇制限ストッパ340は、第2基板330の固定部339と一体に形成され、外部可変部318の高さ方向変位がないとき、外部可変部318の周辺部と所定間隔ほど離隔された状態で重なるように構成される。下降制限ストッパ350は、外部可変部318の上面に接着されて外部可変部318に対して固定される。下降制限ストッパ350は、外部可変部318の高さ方向変位がないとき、外部可変部318の外側のフレーム周辺部312と所定間隔ほど離隔された状態で重なる端部351を備える。
【0067】
MEMSデバイス300に外部衝撃が加えられて外部可変部318が急激に上昇する場合には、外部可変部318の周辺部が上昇制限ストッパ340にひっかかるので、外部可変部318の過度な上昇が防止される。また、MEMSデバイス300に外部衝撃が加えられて外部可変部318が急激に下降する場合には、外部可変部318とともに下降する下降制限ストッパ350の端部351がフレーム周辺部312にひっかかるので、外部可変部318の過度な下降が防止される。内部可変部316は、それを支持する第2トーションバネ324の剛性が高くて、外部可変部318およびフィルタ可変部317に対してほとんど昇降しない。したがって、外部衝撃にもかかわらず、MEMSデバイス300の破損、特に第1トーションバネ322の破損が防止される。
【0068】
MEMSデバイス300の製造過程は、本発明の第1実施形態によるMEMSデバイス100の製造過程と類似している。ただし、上昇制限ストッパ340および下降制限ストッパ350を、外部可変部318の周辺部およびフレーム周辺部312に対してそれぞれ所定の間隔ほど離隔させるために、第1基板310と第2基板330とを接着する前に、第2基板330の底面をエッチングするものではなく、第1基板310の上面を所定パターンでエッチングしてグルーブを形成する。このように第1基板310の上面をエッチングすることにより、第1トーションバネ322とフィルタバネ323との厚さを、第2トーションバネ324に比べて薄くして、第1トーションバネ322とフィルタバネ323との剛性を第2トーションバネ324に比べて弱くする。
【0069】
本発明は、図面に示した実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これから多様な変形および均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲により決まらねばならない。
【符号の説明】
【0070】
100 MEMSデバイス、
105、106 マグネット、
110 第1基板、
111 フレーム、
113 トーションバネ、
115 駆動体、
130 第2基板、
132 ステージ、
135 光反射面、
140 上昇制限ストッパ(ストッパ)、
150 下降制限ストッパ(ストッパ)、
S 回動軸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームと同じ層に形成され、前記フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネにより前記フレームの内側に連結された駆動体と、
前記駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパと、を備え
前記ストッパは、前記駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、前記駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を備え、
前記駆動体は、周辺部を備え、
前記上昇制限ストッパは、前記駆動体の変位がないとき、前記駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に上昇する場合には、前記駆動体の周辺部が前記上昇制限ストッパの一端部にひっかかり、
前記下降制限ストッパは、前記駆動体の変位がないとき、前記フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に下降する場合には、前記下降制限ストッパの一端部が前記フレームにひっかかり、
前記フレームと前記駆動体は第1基板に形成され、
前記上昇制限ストッパと前記下降制限ストッパは、前記第1基板に接着された第2基板に形成され、
前記駆動体上に固定されるステージをさらに備えることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項2】
前記上昇制限ストッパおよび前記下降制限ストッパは、前記ステージと同じ層に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記駆動体の熱変形による前記ステージの変形を抑制するために、前記駆動体と前記ステージとの間に介在された離隔カラムをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記駆動体に前記離隔カラムが結合された領域の周辺部には、前記ステージと前記駆動体との間の熱伝達を抑制するための環状開口部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載のMEMSデバイス
【請求項5】
前記駆動体は、前記フレームに対して回動自在に連結されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記駆動体の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のMEMSデバイス
【請求項7】
前記静電容量センサは、前記駆動体の回動によって前記駆動体とともに回動する駆動コームと、前記駆動コームと噛み合う相補的な位置に固定支持されて前記駆動コームの回動によって増減する重畳面を形成する固定コームと、を備えることを特徴とする請求項6に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記駆動体は、第1回動軸を基準として前記フレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、前記第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として前記外部可変部に対して回動自在であり、前記外部可変部の内側に位置した内部可変部と、を備え、
前記上昇制限ストッパおよび前記下降制限ストッパは、前記外部可変部の高さ方向変位を制限可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルと、前記駆動コイルに流れる電流と交差する磁場を形成するためのマグネットと、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
第1基板上に第2基板を接着する工程と、
前記第1基板を部分的に除去して、フレーム、および前記フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネにより前記フレームの内側に連結された駆動体および当該駆動体の周辺部を形成する工程と、
前記第2基板を部分的に除去して、前記駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパを前記第2基板に形成する工程と、を含み、
前記ストッパの形成工程は、前記駆動体の変位がないとき、前記駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に上昇する場合には、前記駆動体の周辺部を当該一端部にひっかけることによって前記駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、前記駆動体の変位がないとき、前記フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に下降する場合には、当該一端部を前記フレームにひっかけることによって前記駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を形成する工程を含み、
さらに、前記第2基板を部分的に除去して前記駆動体上に固定されたステージを形成する工程を含むことを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項11】
前記第1基板および前記第2基板は、シリコンからなることを特徴とする請求項10に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項12】
前記駆動体の形成工程は、前記フレームに対して回動自在に連結された駆動体を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項13】
前記上昇制限ストッパの一端部および前記下降制限ストッパの一端部を前記第1基板に対して離隔させるために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記駆動体と前記ステージとの間に介在される離隔カラムを形成するために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記上昇制限ストッパの一端部および前記下降制限ストッパの一端部を前記第1基板に対して離隔させるために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第1基板の上面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項16】
前記駆動体を形成する工程は、第1回動軸を基準として前記フレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、前記第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として前記外部可変部に対して回動自在であり、前記外部可変部の内側に位置する内部可変部と、を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項17】
前記駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルを形成する工程と、
前記駆動コイルに流れる電流と交差する磁場が形成されるようにマグネットを配置する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項18】
前記駆動コイルの形成工程は、前記第1基板の底面をエッチングして駆動コイル用溝を形成する工程と、
前記駆動コイル用溝に金属を積層する工程と、を含むことを特徴とする請求項17に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項1】
フレームと、
前記フレームと同じ層に形成され、前記フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネにより前記フレームの内側に連結された駆動体と、
前記駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパと、を備え
前記ストッパは、前記駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、前記駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を備え、
前記駆動体は、周辺部を備え、
前記上昇制限ストッパは、前記駆動体の変位がないとき、前記駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に上昇する場合には、前記駆動体の周辺部が前記上昇制限ストッパの一端部にひっかかり、
前記下降制限ストッパは、前記駆動体の変位がないとき、前記フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備え、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に下降する場合には、前記下降制限ストッパの一端部が前記フレームにひっかかり、
前記フレームと前記駆動体は第1基板に形成され、
前記上昇制限ストッパと前記下降制限ストッパは、前記第1基板に接着された第2基板に形成され、
前記駆動体上に固定されるステージをさらに備えることを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項2】
前記上昇制限ストッパおよび前記下降制限ストッパは、前記ステージと同じ層に形成されたことを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記駆動体の熱変形による前記ステージの変形を抑制するために、前記駆動体と前記ステージとの間に介在された離隔カラムをさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記駆動体に前記離隔カラムが結合された領域の周辺部には、前記ステージと前記駆動体との間の熱伝達を抑制するための環状開口部が形成されたことを特徴とする請求項3に記載のMEMSデバイス
【請求項5】
前記駆動体は、前記フレームに対して回動自在に連結されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記駆動体の回動量を感知するための静電容量センサをさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のMEMSデバイス
【請求項7】
前記静電容量センサは、前記駆動体の回動によって前記駆動体とともに回動する駆動コームと、前記駆動コームと噛み合う相補的な位置に固定支持されて前記駆動コームの回動によって増減する重畳面を形成する固定コームと、を備えることを特徴とする請求項6に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記駆動体は、第1回動軸を基準として前記フレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、前記第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として前記外部可変部に対して回動自在であり、前記外部可変部の内側に位置した内部可変部と、を備え、
前記上昇制限ストッパおよび前記下降制限ストッパは、前記外部可変部の高さ方向変位を制限可能に構成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルと、前記駆動コイルに流れる電流と交差する磁場を形成するためのマグネットと、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
第1基板上に第2基板を接着する工程と、
前記第1基板を部分的に除去して、フレーム、および前記フレームに対して相対運動可能に一対のトーションバネにより前記フレームの内側に連結された駆動体および当該駆動体の周辺部を形成する工程と、
前記第2基板を部分的に除去して、前記駆動体の高さ方向変位を制限する少なくとも一つのストッパを前記第2基板に形成する工程と、を含み、
前記ストッパの形成工程は、前記駆動体の変位がないとき、前記駆動体と所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に上昇する場合には、前記駆動体の周辺部を当該一端部にひっかけることによって前記駆動体の上向き変位を制限する上昇制限ストッパと、前記駆動体の変位がないとき、前記フレームと所定の間隔ほど離隔された状態で重なる一端部を備えるとともに、外部衝撃が加えられて前記駆動体が急激に下降する場合には、当該一端部を前記フレームにひっかけることによって前記駆動体の下向き変位を制限する下降制限ストッパと、を形成する工程を含み、
さらに、前記第2基板を部分的に除去して前記駆動体上に固定されたステージを形成する工程を含むことを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項11】
前記第1基板および前記第2基板は、シリコンからなることを特徴とする請求項10に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項12】
前記駆動体の形成工程は、前記フレームに対して回動自在に連結された駆動体を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10または請求項11に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項13】
前記上昇制限ストッパの一端部および前記下降制限ストッパの一端部を前記第1基板に対して離隔させるために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項14】
前記駆動体と前記ステージとの間に介在される離隔カラムを形成するために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第2基板の底面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項15】
前記上昇制限ストッパの一端部および前記下降制限ストッパの一端部を前記第1基板に対して離隔させるために、前記第1基板と前記第2基板とを接着するのに先立って、前記第1基板の上面を部分的にエッチングする工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項16】
前記駆動体を形成する工程は、第1回動軸を基準として前記フレームに対して回動自在に連結された外部可変部と、前記第1回動軸と直交する第2回動軸を基準として前記外部可変部に対して回動自在であり、前記外部可変部の内側に位置する内部可変部と、を形成する工程を含むことを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項17】
前記駆動体の周辺部に取り付けられた駆動コイルを形成する工程と、
前記駆動コイルに流れる電流と交差する磁場が形成されるようにマグネットを配置する工程と、をさらに含むことを特徴とする請求項10〜16のいずれか1項に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項18】
前記駆動コイルの形成工程は、前記第1基板の底面をエッチングして駆動コイル用溝を形成する工程と、
前記駆動コイル用溝に金属を積層する工程と、を含むことを特徴とする請求項17に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−42029(P2011−42029A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232965(P2010−232965)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2008−12541(P2008−12541)の分割
【原出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【分割の表示】特願2008−12541(P2008−12541)の分割
【原出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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