説明

NPYY5受容体拮抗作用を有するアミド及びウレア誘導体

【課題】NPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物を提供する。
【解決手段】式(I)


[式中、
Aは置換若しくは非置換の炭化水素環式基または置換若しくは非置換のヘテロ環式基であり、
XはNまたはCR(Rは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニルまたはカルバモイル)であり、
YはNまたはCHであり、
は水素または置換若しくは非置換のアルキルであり、
Bは置換炭化水素環式基または置換ヘテロ環式基である]
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNPY Y5受容体拮抗作用を有し、医薬、特に、抗肥満薬として有用な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューロペプチドY(以下、NPYとする)は36個のアミノ酸残基からなるペプチドで、1982年に豚の脳から分離された。NPYはヒトおよび動物の中枢神経系および末梢組織に広く分布している。
【0003】
これまでの報告において、NPYは中枢神経系においては摂食促進作用、抗痙攣作用、学習促進作用、抗不安作用、抗ストレス作用等を有していることが判明しており、さらにうつ病、アルツハイマー型痴呆、パーキンソン病等の中枢神経系疾患に深く関与している可能性もある。また、末梢組織においては、NPYは血管等の平滑筋や心筋の収縮を引き起こすため、循環器系障害にも関与していると考えられる。さらには肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患にも関与していることが知られている(非特許文献1参照)。従って、NPY受容体拮抗作用を有する医薬組成物は上記のようなNPY受容体が関与する種々の疾患に対する予防または治療薬となる可能性がある。
【0004】
NPY受容体には、現在までにY1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6のサブタイプが発見されている(非特許文献2参照)。Y5受容体は少なくとも摂食機能に関与しており、その拮抗剤は抗肥満薬になることが示唆されている(非特許文献3〜5参照)。
【0005】
特許文献1には、NPY Y5受容体拮抗作用を有するアミド誘導体が記載されている。また、NPY Y5受容体拮抗作用を有するアミドまたはウレア誘導体が特許文献2〜6等に記載されている。その他、特許文献7〜10等にはスルホニル基を有するアミド、アミン、ウレア誘導体等がNPY Y5拮抗活性を有する旨記載されている。これらの化合物は、本発明の化合物とは構造が異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第98/35957号パンフレット
【特許文献2】国際公開第00/68197号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/096902号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2003/104255号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2004/089919号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2005/090340号パンフレット
【特許文献7】国際公開第01/37826号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2007/125952号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2008/026563号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2008/026564号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Trends in Pharmacological Sciences, Vol.15, 153(1994)
【非特許文献2】Trends in Pharmacological Sciences, Vol.18, 372(1997)
【非特許文献3】Peptides, Vol.18, 445(1997)
【非特許文献4】Obesity, Vol.14, No.9, A235(2006)
【非特許文献5】Obesity, Vol.15, No.9, A57(2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れたNPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意研究の結果、優れたNPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物の合成に成功した。特許文献1には、NPY Y5受容体拮抗作用を有する化合物として以下の式(I)中のXおよびYを含有する環(ピペリジンまたはピペラジン)とアミドの間にメチレンを持つ化合物が記載されている。しかし、本発明者は式(I)中のXおよびYを含有する環とアミドの間にアルキレンを持つ化合物について、代謝安定性が非常に低く、NPY Y5受容体拮抗作用もそれ程強くないことを見出した。また、本発明者は、本発明化合物について、薬物代謝酵素に対する阻害が少なく、代謝安定性および水溶性が良いことも見出した。また、本発明化合物は毒性が低く、医薬として使用するために十分安全である。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)式(I):
【化1】


[式中、
Aは置換若しくは非置換の炭化水素環式基または置換若しくは非置換のヘテロ環式基であり、
XはNまたはCR(Rは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニルまたはカルバモイル)であり、
YはNまたはCHであり、
は水素または置換若しくは非置換のアルキルであり、
Bは置換炭化水素環式基または置換ヘテロ環式基である]
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(2)XがCRであり、YがCHである、(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(3)XがCRであり、YがNである、(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(4)Rは、ヒドロキシまたはシアノである、(1)〜(3)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(5)XがNであり、YがCHである、(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(6)XがNであり、YがNである、(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(7)Aが置換若しくは非置換の単環炭化水素環式基または置換若しくは非置換の単環ヘテロ環式基である、(1)〜(6)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(8)Aが置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のピリジルまたは置換若しくは非置換のチエニルである、(7)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(9)Aが置換基を有するものである、(7)または(8)に記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(10)該置換基がハロゲン、ハロアルキル、シアノおよびニトロから選ばれる1または2以上の置換基である、(9)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(11)Bが置換フェニル、置換ピリジル、置換ピラジニル、置換ピラゾリルまたは置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリルである、(1)〜(10)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(12)Bの置換基がオキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のモルホリノ、置換若しくは非置換のピリジル、置換若しくは非置換のフェニルおよび置換若しくは非置換のフェニルカルボニルから選ばれる1または2以上の置換基である、(11)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
(14)NPY Y5受容体拮抗作用を有する、(13)記載の医薬組成物。
(15)上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を投与することを特徴とする、NPY Y5受容体の関与する疾患の治療または予防方法。
(16)NPY Y5受容体の関与する疾患の治療または予防に用いる医薬組成物を製造するための、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用。
(17)NPY Y5受容体の関与する疾患を治療または予防するための、上記(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【0011】
また、本発明は、以下を含有する。
(18)式(I):
【化2】


[式中、
Aは置換若しくは非置換の炭化水素環式基または置換若しくは非置換のヘテロ環式基であり、
XはNまたはCR(Rは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニルまたはカルバモイル)であり、
YはNまたはCHであり、
は水素または置換若しくは非置換のアルキルであり、
Bは置換炭化水素環式基または置換ヘテロ環式基である]
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を含有するNPY Y5受容体拮抗剤作用を有する医薬組成物。
(19)XがCRであり、YがCHである、(18)記載の医薬組成物。
(20)XがCRであり、YがNである、(18)記載の医薬組成物。
(21)Rは、ヒドロキシまたはシアノである、(18)〜(20)のいずれかに記載の医薬組成物。
(22)XがNであり、YがCHである、(18)記載の医薬組成物。
(23)XがNであり、YがNである、(18)記載の医薬組成物。
(24)Aが置換若しくは非置換の単環炭化水素環式基または置換若しくは非置換の単環ヘテロ環式基である、(18)〜(23)のいずれかに記載の医薬組成物。
(25)Aが置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のピリジルまたは置換若しくは非置換のチエニルである、(24)記載の医薬組成物。
(26)Aが置換基を有するものである、(24)または(25)に記載の医薬組成物。
(27)該置換基がハロゲン、ハロアルキル、シアノおよびニトロから選ばれる1または2以上の置換基である、(26)記載の医薬組成物。
(28)Bが置換フェニル、置換ピリジル、置換ピラジニル、置換ピラゾリルまたは置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリルである、(18)〜(27)のいずれかに記載の医薬組成物。
(29)Bの置換基がオキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のモルホリノ、置換若しくは非置換のピリジル、置換若しくは非置換のフェニルおよび置換若しくは非置換のフェニルカルボニルから選ばれる1または2以上の置換基である、(28)記載の医薬組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明化合物はNPY Y5受容体拮抗作用を示し、医薬品、特にNPY Y5の関与する疾患、例えば、摂食障害、肥満、神経性食欲昂進症、性的障害、生殖障害、鬱病、癲癇発作、高血圧、脳溢血、鬱血心不全または睡眠障害の治療および/または予防のための医薬として非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、または他の用語と一緒になって使用されている場合も、同一の意義を有する。
【0014】
「アルキル」とは、炭素数1〜10の直鎖または分枝状のアルキルを意味する。炭素数1〜6のアルキル、炭素数1〜4のアルキル、炭素数1〜3のアルキル等を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
【0015】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する炭素数2〜10の直鎖または分枝状のアルケニルを意味する。炭素数2〜8のアルケニル、炭素数3〜6のアルケニル等を包含する。例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等が挙げられる。
【0016】
「アルキニル」とは炭素数2〜10の直鎖状または分枝状のアルキニルを意味する。炭素数2〜6のアルキニル、炭素数2〜4のアルキニル等を包含する。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等が挙げられる。これらは任意の位置に1以上の三重結合を有しており、さらに二重結合を有していてもよい。
【0017】
「シクロアルキル」とは、炭素数3〜8の環状のアルキルを意味する。炭素数3〜6の環状のアルキル、炭素数5または6の環状のアルキル等を包含する。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
【0018】
「シクロアルケニル」とは、上記「シクロアルキル」の環中の任意の位置に1以上の二重結合を有しているものを意味する。例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
【0019】
「ビシクロアルキル」とは、2つの環が2個またはそれ以上の原子を共有している炭素数5〜8の脂肪族環から水素を1つ除いてできる基を意味する。例えば、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]オクチル等が挙げられる。
【0020】
「アリール」とは、単環または多環の芳香族炭化水素環式基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。また、他の非芳香族炭化水素環式基と縮合している芳香族炭化水素環式基も包含する。例えば、インダニル、インデニル、ビフェニリル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0021】
「炭化水素環式基」とは、上記「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「ビシクロアルキル」および「アリール」を包含する。
【0022】
「非芳香族炭化水素環式基」とは、上記「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」および「ビシクロアルキル」を包含する。
【0023】
「ヘテロ環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1以上有するヘテロ環から誘導される基を意味する。4〜8員の単環芳香族ヘテロ環式基、5員または6員の単環芳香族ヘテロ環式基等が包含される。また、2環の芳香族ヘテロ環式基、3環の芳香族ヘテロ環式基および非芳香族ヘテロ環式基等が包含される。
単環芳香族ヘテロ環式基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリルおよびチエニル等が挙げられる。
2環の芳香族ヘテロ環式基としては、例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、インドリニル、イソインドリニル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンゾピラニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロベンゾチエニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル、ベンズオキサゾリノニル、ベンズイソキサゾリノニル、ベンズオキサジノニル、ベンゾキシアゼピノニル、オキサゾロピリジノニル、ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンズオキサゾリル(例えば、2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル)等が挙げられる。
3環の縮合ヘテロ環式基としては、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
非芳香族ヘテロ環式基としては、ジオキサニル、チイラニル、オキシラニル、オキサチオラニル、アゼチジニル、チアニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル等が挙げられる。
【0024】
多環のヘテロ環式基である場合、結合手はいずれの環に有していてもよい。
【0025】
「ヘテロサイクリル」とは、上記「ヘテロ環式基」を意味する。
【0026】
「アルコキシ」とは、上記「アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、ペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、n−へプトキシ、イソヘプトキシ、n−オクトキシ、イソオクトキシ等が挙げられる。
【0027】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。特にフッ素および塩素が好ましい。
【0028】
「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」とは、上記「ハロゲン」が上記「アルキル」および「アルコキシ」に結合した基を意味する。
【0029】
「アリールオキシ」とは、上記「アリール」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、フェノキシ、ナフトキシ、アントリルオキシ、フェナントリルオキシ、インダニルオキシ、インデニルオキシ、ビフェニリルオキシ、アセナフチルオキシ、テトラヒドロナフチルオキシ、フルオレニルオキシ等が挙げられる。
【0030】
「アルケニルオキシ」、「シクロアルキルオキシ」、「シクロアルケニルオキシ」および「ヘテロサイクリルオキシ」とは、上記「アルケニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」および「ヘテロサイクリル」が酸素原子に結合した基を意味する。
【0031】
「アルキルチオ」、「アルケニルチオ」、「シクロアルキルチオ」、「シクロアルケニルチオ」、「アリールチオ」および「ヘテロサイクリルチオ」とは、上記「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「アリール」および「ヘテロサイクリル」が硫黄原子に結合した基を意味する。
【0032】
「アルコキシカルボニル」、「アルケニルオキシカルボニル」、「シクロアルキルオキシカルボニル」、「シクロアルケニルオキシカルボニル」、「アリールオキシカルボニル」、および「ヘテロサイクリルオキシカルボニル」とは、上記「アルコキシ」、「アルケニルオキシ」、「シクロアルキルオキシ」、「シクロアルケニルオキシ」、「アリールオキシ」および「ヘテロサイクリルオキシ」の酸素原子がカルボニル基に結合した基を意味する。
【0033】
「アルキルカルボニル」、「アルケニルカルボニル」、「シクロアルキルカルボニル」、「シクロアルケニルカルボニル」、「アリールカルボニル」および「ヘテロサイクリルカルボニル」とは、上記「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「アリール」および「ヘテロサイクリル」がカルボニル基に結合した基を意味する。
【0034】
「アルキルスルホニル」、「アルケニルスルホニル」、「シクロアルキルスルホニル」、「シクロアルケニルスルホニル」、「アリールスルホニル」および「ヘテロサイクリルスルホニル」とは、上記「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」、「シクロアルケニル」、「アリール」および「ヘテロサイクリル」がスルホニル基に結合した基を意味する。
【0035】
「置換アルキル」「置換アルケニル」または「置換アルキニル」の置換基としては、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、アシルオキシ、イミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロサイクリル、ヘテロサイクリルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクリルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、スルファモイル、アミノ、オキソ等が挙げられる。任意の位置がこれらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0036】
「置換炭化水素式基」または「置換ヘテロ環式基」の置換基としては、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニル、置換若しくは非置換アルキニル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、アシルオキシ、イミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキニルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニル、シクロアルケニルオキシ、ハロゲンまたはアルキルで置換されていてもよいアリール、アリールオキシ、ハロゲンまたはアルキルで置換されていてもよいヘテロサイクル、ヘテロサイクルオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクルスルホニル、スルファモイル、アミノ、オキソが挙げられる。任意の位置がこれらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0037】
「アシル」とは(1)炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6、最も好ましくは炭素数1〜4の直鎖若しくは分枝状のアルキルカルボニル若しくはアルケニルカルボニル、(2)炭素数4〜9、好ましくは炭素数4〜7のシクロアルキルカルボニルおよび(3)炭素数7〜11のアリールカルボニルを包含する。例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイル、シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロオクチルカルボニルおよびベンゾイル等が挙げられる。
【0038】
「アシルオキシ」とは、上記「アシル」が酸素原子に結合した基を意味する。
【0039】
本発明化合物は全てNPY Y5受容体拮抗作用を有しているが、特に好ましい化合物としては、式(I)における以下の化合物が挙げられる。

Aが置換若しくは非置換の炭化水素環式基または置換若しくは非置換のヘテロ環式基である(以下、AがA−1であるとする)化合物。

Aが置換または非置換の炭化水素環式基
(置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−2であるとする)化合物。

Aが置換または非置換のフェニル
(置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−3であるとする)化合物。

Aが置換または非置換のフェニル
(置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、シアノおよびニトロから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−4であるとする)化合物。
【0040】
Aが置換または非置換のヘテロ環式基
(置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−5であるとする)化合物。

Aが置換または非置換の単環ヘテロ環式基
(置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−6であるとする)化合物。

Aが置換若しくは非置換のピロリル、置換若しくは非置換のイミダゾリル、置換若しくは非置換のピラゾリル、置換若しくは非置換のピリジル、置換若しくは非置換のピリダジニル、置換若しくは非置換のピリミジニル、置換若しくは非置換のピラジニル、置換若しくは非置換のトリアゾリル、置換若しくは非置換のトリアジニル、置換若しくは非置換のイソオキサゾリル、置換若しくは非置換のオキサゾリル、置換若しくは非置換のオキサジアゾリル、置換若しくは非置換のイソチアゾリル、置換若しくは非置換のチアゾリル、置換若しくは非置換のチアジアゾリル、置換若しくは非置換のフリルまたは置換若しくは非置換のチエニル
(それぞれ置換基は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)である(以下、AがA−7であるとする)化合物。

Aがハロゲンで置換されていてもよいピリジルまたは非置換のチエニルである(以下、AがA−8であるとする)化合物。
【0041】
Aが以下からなる群から選択される基である(以下、AがA−9であるとする)化合物。
【化3】


(結合手は、Xに結合する。各環は置換基を有していてもよい。)
【0042】
が水素または炭素数1〜3のアルキルである(以下、RがR−1であるとする)化合物。

が水素である(以下、RがR−2であるとする)化合物。
【0043】
がヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニルまたはカルバモイルである(以下、RがR−1であるとする)化合物。

がヒドロキシまたはシアノである(以下、RがR−2であるとする)化合物。
【0044】
Bが置換炭化水素環式基または置換ヘテロ環式基である(以下、BがB−1であるとする)化合物。

Bが置換炭化水素環式基
[置換基は、
置換若しくは非置換のヘテロ環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)、
ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、
ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、ハロアルコキシ、
メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクリルチオ、
カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、カルバモイル、
ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、
スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である]
である(以下、BがB−2であるとする)化合物。

Bが置換フェニル
[置換基は、
置換若しくは非置換のヘテロ環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)、
ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、
ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、ハロアルコキシ、
メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクリルチオ、
カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、カルバモイル、
ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、
スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である]
である(以下、BがB−3であるとする)化合物。

Bが置換フェニル
(置換基は、アルキルで置換されていてもよいヘテロ環式基および/またはアリールカルボニルである)である(以下、BがB−4であるとする)化合物。
【0045】
Bが置換ヘテロ環式基
[置換基は、
置換若しくは非置換の炭化水素環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)
置換若しくは非置換のヘテロ環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)
ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、
ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、ハロアルコキシ、
メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクリルチオ、
カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、カルバモイル、
ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、
スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である]
である(以下、BがB−5であるとする)化合物。

Bが置換ピロリル、置換イミダゾリル、置換ピラゾリル、置換ピリジル、置換ピリダジニル、置換ピリミジニル、置換ピラジニル、置換トリアゾリル、置換トリアジニル、置換イソオキサゾリル、置換オキサゾリル、置換オキサジアゾリル、置換イソチアゾリル、置換チアゾリル、置換チアジアゾリル、置換フリル、置換チエニル、
置換インドリル、置換イソインドリル、置換インダゾリル、置換インドリジニル、置換イソインドリニル、置換キノリル、置換イソキノリル、置換シンノリニル、置換フタラジニル、置換キノキサニル、置換ピロロピリジル、置換ピロロピリミジニル、置換ピロロピラジニル、置換ジヒドロベンズオキサゾリル
[置換基は、
置換若しくは非置換の炭化水素環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)
置換若しくは非置換のヘテロ環式基(ここで置換基とは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、カルバモイル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である)
ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、オキソ、
アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、
ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロサイクリルオキシ、ハロアルコキシ、
メルカプト、アルキルチオ、アルケニルチオ、シクロアルキルチオ、シクロアルケニルチオ、アリールチオ、ヘテロサイクリルチオ、
カルボキシ、アルコキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、シクロアルケニルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ヘテロサイクリルオキシカルボニル、カルバモイル、
ホルミル、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルケニルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニル、
スルフィノ、スルホ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、シクロアルケニルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、ヘテロサイクリルスルホニル、スルファモイルおよびアミノから選ばれる1または2以上である]
である(以下、BがB−6であるとする)化合物。

Bが置換ピリジル、置換ピラジニル、置換ピラゾリルまたは置換ジヒドロベンズオキサゾリル
(置換基は、ハロゲンで置換されていてもよい炭化水素環式基、オキソおよびアルキルから選ばれる1または2以上である)である(以下、BがB−7であるとする)化合物。
【0046】
Bが以下からなる群から選択される基である(以下、BがB−8であるとする)化合物。
【化4】


(なお、結合手はN(−R)の窒素原子に結合する。)
【0047】
本発明化合物が、XがCRであり、YがCHである場合、以下の式で表される。
式(I−1):
【化5】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
【0048】
上記式(I−1)中、 RがR−2であり、RがR−2であり、AおよびBの組み合わせ(A,B)が以下の組み合わせである化合物が好ましい。
(A-1, B-1)、(A-1, B-2)、(A-1, B-3)、(A-1, B-4)、(A-1, B-5)、(A-1, B-6)、(A-1, B-7)、(A-1, B-8)、(A-2, B-1)、(A-2, B-2)、(A-2, B-3)、(A-2, B-4)、(A-2, B-5)、(A-2, B-6)、(A-2, B-7)、(A-2, B-8)、(A-3, B-1)、(A-3, B-2)、(A-3, B-3)、(A-3, B-4)、(A-3, B-5)、(A-3, B-6)、(A-3, B-7)、(A-3, B-8)、(A-4, B-1)、(A-4, B-2)、(A-4, B-3)、(A-4, B-4)、(A-4, B-5)、(A-4, B-6)、(A-4, B-7)、(A-4, B-8)、(A-5, B-1)、(A-5, B-2)、(A-5, B-3)、(A-5, B-4)、(A-5, B-5)、(A-5, B-6)、(A-5, B-7)、(A-5, B-8)、(A-6, B-1)、(A-6, B-2)、(A-6, B-3)、(A-6, B-4)、(A-6, B-5)、(A-6, B-6)、(A-6, B-7)、(A-6, B-8)、(A-7, B-1)、(A-7, B-2)、(A-7, B-3)、(A-7, B-4)、(A-7, B-5)、(A-7, B-6)、(A-7, B-7)、(A-7, B-8)、(A-8, B-1)、(A-8, B-2)、(A-8, B-3)、(A-8, B-4)、(A-8, B-5)、(A-8, B-6)、(A-8, B-7)、(A-8, B-8)、(A-9, B-1)、(A-9, B-2)、(A-9, B-3)、(A-9, B-4)、(A-9, B-5)、(A-9, B-6)、(A-9, B-7)、(A-9, B-8)
【0049】
上記式(I−1)中、 A、RおよびBは、特に以下の様態が好ましい。
Aは置換若しくは非置換のフェニル(置換基としては、ハロゲン)、置換ピリジル(置換基としては、ハロゲン)または非置換チエニルである。
はヒドロキシまたはシアノである。
Bは置換フェニル(置換基としては、炭素数1〜3アルキルで置換されているモルホリノまたはピリジル)または置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル(置換基としては、オキソおよび/またはアルキル)である。
【0050】
式(I−1)で示される化合物は、
式:
【化6】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
で示される化合物、または
式:
【化7】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
で示される化合物を意味する。特に好ましくは、
式:
【化8】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
で示される化合物である。
【0051】
本発明化合物が、XがCRであり、YがNである場合、以下の式で表される。
式(I−2):
【化9】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
【0052】
上記式(I−2)中、 RがR−2であり、RがR−2であり、AおよびBの組み合わせ(A,B)が以下の組み合わせである化合物が好ましい。
(A-1, B-1)、(A-1, B-2)、(A-1, B-3)、(A-1, B-4)、(A-1, B-5)、(A-1, B-6)、(A-1, B-7)、(A-1, B-8)、(A-2, B-1)、(A-2, B-2)、(A-2, B-3)、(A-2, B-4)、(A-2, B-5)、(A-2, B-6)、(A-2, B-7)、(A-2, B-8)、(A-3, B-1)、(A-3, B-2)、(A-3, B-3)、(A-3, B-4)、(A-3, B-5)、(A-3, B-6)、(A-3, B-7)、(A-3, B-8)、(A-4, B-1)、(A-4, B-2)、(A-4, B-3)、(A-4, B-4)、(A-4, B-5)、(A-4, B-6)、(A-4, B-7)、(A-4, B-8)、(A-5, B-1)、(A-5, B-2)、(A-5, B-3)、(A-5, B-4)、(A-5, B-5)、(A-5, B-6)、(A-5, B-7)、(A-5, B-8)、(A-6, B-1)、(A-6, B-2)、(A-6, B-3)、(A-6, B-4)、(A-6, B-5)、(A-6, B-6)、(A-6, B-7)、(A-6, B-8)、(A-7, B-1)、(A-7, B-2)、(A-7, B-3)、(A-7, B-4)、(A-7, B-5)、(A-7, B-6)、(A-7, B-7)、(A-7, B-8)、(A-8, B-1)、(A-8, B-2)、(A-8, B-3)、(A-8, B-4)、(A-8, B-5)、(A-8, B-6)、(A-8, B-7)、(A-8, B-8)、(A-9, B-1)、(A-9, B-2)、(A-9, B-3)、(A-9, B-4)、(A-9, B-5)、(A-9, B-6)、(A-9, B-7)、(A-9, B-8)」
【0053】
上記式(I−2)中、 A、RおよびBは、特に以下の様態が好ましい。
Aは置換若しくは非置換のフェニル(置換基としては、ハロゲン、ハロアルキル)である。
はヒドロキシまたはシアノである。
Bは置換ピラジニル(置換基としては、フェニル)、置換ピラゾリル(置換基としては、ハロゲンで置換されているフェニル)または置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル(置換基としては、オキソおよび/またはアルキル)である。
【0054】
本発明化合物が、XがNであり、YがCHである場合、以下の式で表される。
式(I−3):
【化10】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
【0055】
上記式(I−3)中、 RがR−2であり、AおよびBの組み合わせ(A,B)が以下の組み合わせである化合物が好ましい。
(A-1, B-1)、(A-1, B-2)、(A-1, B-3)、(A-1, B-4)、(A-1, B-5)、(A-1, B-6)、(A-1, B-7)、(A-1, B-8)、(A-2, B-1)、(A-2, B-2)、(A-2, B-3)、(A-2, B-4)、(A-2, B-5)、(A-2, B-6)、(A-2, B-7)、(A-2, B-8)、(A-3, B-1)、(A-3, B-2)、(A-3, B-3)、(A-3, B-4)、(A-3, B-5)、(A-3, B-6)、(A-3, B-7)、(A-3, B-8)、(A-4, B-1)、(A-4, B-2)、(A-4, B-3)、(A-4, B-4)、(A-4, B-5)、(A-4, B-6)、(A-4, B-7)、(A-4, B-8)、(A-5, B-1)、(A-5, B-2)、(A-5, B-3)、(A-5, B-4)、(A-5, B-5)、(A-5, B-6)、(A-5, B-7)、(A-5, B-8)、(A-6, B-1)、(A-6, B-2)、(A-6, B-3)、(A-6, B-4)、(A-6, B-5)、(A-6, B-6)、(A-6, B-7)、(A-6, B-8)、(A-7, B-1)、(A-7, B-2)、(A-7, B-3)、(A-7, B-4)、(A-7, B-5)、(A-7, B-6)、(A-7, B-7)、(A-7, B-8)、(A-8, B-1)、(A-8, B-2)、(A-8, B-3)、(A-8, B-4)、(A-8, B-5)、(A-8, B-6)、(A-8, B-7)、(A-8, B-8)、(A-9, B-1)、(A-9, B-2)、(A-9, B-3)、(A-9, B-4)、(A-9, B-5)、(A-9, B-6)、(A-9, B-7)、(A-9, B-8)
【0056】
上記式(I−3)中、AおよびBは、特に以下の様態が好ましい。
Aは置換若しくは非置換のフェニル(置換基としては、ハロゲン)である。
Bは置換ピラゾリル(置換基としては、ハロゲンで置換されているフェニル)または置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル(置換基としては、オキソおよび/またはアルキル)である。
【0057】
本発明化合物が、XがNであり、YがNである場合、特に以下の様態が好ましい。
式(I−4):
【化11】


(式中、各記号は、式(I)と同意義。)
【0058】
また、上記式(I−4)中、 RがR−2であり、AおよびBの組み合わせ(A,B)が以下の組み合わせである化合物が好ましい。
(A-1, B-1)、(A-1, B-2)、(A-1, B-3)、(A-1, B-4)、(A-1, B-5)、(A-1, B-6)、(A-1, B-7)、(A-1, B-8)、(A-2, B-1)、(A-2, B-2)、(A-2, B-3)、(A-2, B-4)、(A-2, B-5)、(A-2, B-6)、(A-2, B-7)、(A-2, B-8)、(A-3, B-1)、(A-3, B-2)、(A-3, B-3)、(A-3, B-4)、(A-3, B-5)、(A-3, B-6)、(A-3, B-7)、(A-3, B-8)、(A-4, B-1)、(A-4, B-2)、(A-4, B-3)、(A-4, B-4)、(A-4, B-5)、(A-4, B-6)、(A-4, B-7)、(A-4, B-8)、(A-5, B-1)、(A-5, B-2)、(A-5, B-3)、(A-5, B-4)、(A-5, B-5)、(A-5, B-6)、(A-5, B-7)、(A-5, B-8)、(A-6, B-1)、(A-6, B-2)、(A-6, B-3)、(A-6, B-4)、(A-6, B-5)、(A-6, B-6)、(A-6, B-7)、(A-6, B-8)、(A-7, B-1)、(A-7, B-2)、(A-7, B-3)、(A-7, B-4)、(A-7, B-5)、(A-7, B-6)、(A-7, B-7)、(A-7, B-8)、(A-8, B-1)、(A-8, B-2)、(A-8, B-3)、(A-8, B-4)、(A-8, B-5)、(A-8, B-6)、(A-8, B-7)、(A-8, B-8)、(A-9, B-1)、(A-9, B-2)、(A-9, B-3)、(A-9, B-4)、(A-9, B-5)、(A-9, B-6)、(A-9, B-7)、(A-9, B-8)
【0059】
上記式(I−4)中、AおよびBは、特に以下の様態が好ましい。
Aは置換若しくは非置換のフェニル(置換基としては、ハロゲン、シアノ、ニトロ)である。
Bは置換フェニル(置換基としては、フェニルカルボニル)、置換ピリジル(置換基としては、フェニル)、置換ピラジニル(置換基としては、フェニル)、置換ピラゾリル(置換基としては、ハロゲンで置換されているフェニル)または置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル(置換基としては、オキソおよび/またはアルキル)である。
【0060】
本発明化合物は、各々の化合物の生成可能であり、製薬上許容される塩を包含する。「製薬上許容される塩」としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸等の無機酸の塩;パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸またはクエン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属の塩;およびカルシウムまたはマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等を挙げることができる。
【0061】
本発明化合物は、その溶媒和物を包含する。好ましくは水和物であり、本発明化合物1分子が任意の数の水分子と配位していてもよい。
【0062】
本発明化合物が不斉炭素原子を有する場合には、ラセミ体、両対掌体および全ての立体異性体(幾何異性体、エピマー、鏡像異性体等)を含む。また、本発明化合物が二重結合を有する場合にE体およびZ体が存在し得るときはそのいずれをも含む。
【0063】
本発明化合物は、例えば次の方法で合成することができる。また、抽出・精製などは、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
【0064】
XがCRであり、YがCHである場合
【化12】


(式中、Rはアルキル等である。他の各記号は式(I)と同意義。)

工程A
化合物(X−1)と目的化合物に対応する置換基Aを有するハライドを適当な溶媒中、−20℃〜50℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(X−2)を得ることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、水およびそれらの混合溶媒等が使用可能である。

工程B
工程Aで得られた化合物(X−2)を定法により加水分解することにより、カルボン酸体である化合物(X−3)を得ることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等が使用可能である。

工程C
工程Bで得られた化合物(X−3)と目的化合物に対応する置換基Bを有するアミノ化合物を適当な溶媒中、適当な縮合剤存在下、0℃〜50℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(I−1a)を得ることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等が使用可能である。
必要であれば塩化チオニル、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化エステル等の活性化剤を用いてもよい。
【0065】
XがCRであり、YがNである場合
【化13】


(式中、Rはアルコキシまたはフェノキシ等、Halはハロゲンである。他の各記号は式(I)と同意義。)

工程D
化合物(X−4)と化合物R−COHalを適当な溶媒中、0℃〜50℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(X−5)を得ることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等が使用可能である。
必要であれば塩化チオニル、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化エステル等の活性化剤を用いてもよい。

工程E
工程Dで得られた化合物(X−5)と化合物(X−6)を適当な溶媒中、塩基存在下で室温〜100℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(I−2a)を得ることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を用いることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等を用いることができる。
【0066】
XがNであり、YがCHである場合
【化14】



(式中、各記号は式(I)と同意義。)

工程F
化合物(X−7)と目的化合物に対応するBを有するアミノ化合物を適当な溶媒中、適当な縮合剤存在下で0℃〜50℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(I−3a)を得ることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を用いることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等が使用可能である。
必要であれば塩化チオニル、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化エステル等の活性化剤を用いてもよい。
【0067】
XがNであり、YがNである場合
【化15】


(式中、Rはアミノ保護基(例えば、ベンジル、tert-ブトキシカルボニル等)等であり、Halはハロゲン、他の各記号は式(I)と同意義。)

工程G
化合物(X−8)に、置換基Aを有するハライドを適当な溶媒中、塩基の存在下で室温〜100℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(X−9)を得ることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム,水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を用いることができる。
溶媒としては、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等を用いることができる。

工程H
工程Gで得られた化合物(X−9)を定法により脱保護反応に付せば、化合物(X−10)を得ることができる。反応は、適当な溶媒中、酸性条件下で−20〜50℃で数分〜数時間行えばよい。
溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、酢酸メチル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、t−ブタノール等を用いることができる。
酸触媒としては、塩酸またはトリフルオロ酢酸を用いることができる。
得られる化合物は塩として、または中和してフリー体として得ることもできる。

工程I
工程Hで得られた化合物(X−10)と上記工程Dで得られた化合物(X−5)を適当な溶媒中、塩基存在下で室温〜100℃で数分〜数時間反応させれば、化合物(I−4a)を得ることができる。
塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等を用いることができる。
溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等を用いることができる。
【0068】
本発明のNPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物はNPY Y5の関与する疾患全般、例えば、摂食障害、肥満、神経性食欲昂進症、性的障害、生殖障害、鬱病、癲癇発作、高血圧、脳溢血、鬱血心不全または睡眠障害に有効に作用するが、特に肥満の予防および/または治療並びに摂食抑制に有用である。また、肥満がリスクファクターとなる疾患、例えば糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、急性冠症候群等の予防および/または治療に対しても有効である。
さらに、本発明化合物は、NPY Y5受容体拮抗作用のみならず、医薬としての有用性を備えており、下記いずれか、あるいは全ての優れた特徴を有している。
a)CYP酵素(例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP3A4等)阻害が弱い。
b)薬物代謝酵素の誘導を起こしにくい。
c)高いバイオアベイラビリティー、適度なクリアランス等良好な薬物動態を示す。
d)貧血誘発作用等の毒性が低い。
e)代謝安定性が高い。
f)高いY5受容体選択性を有している。
g)水溶性が高い。
h)脳移行性が高い。
【0069】
さらに、本発明の医薬組成物はNPY Y1およびY2受容体に対する親和性は低く、高いY5受容体選択性を有している。NPYは末梢で持続性の血管収縮作用を惹起するが、この作用は主としてY1受容体を介している。Y5受容体はこのような作用に全く関与しないことから、末梢血管収縮に基づく副作用を誘発する可能性は低く、安全な医薬として好適に用いることが可能であると考えられる。
【0070】
本発明のNPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物は、摂食を抑制して抗肥満効果を示すものである。そのため、消化吸収を阻害することによって抗肥満効果を示す薬剤に見られるような消化不良等の副作用や、抗肥満効果を示すセロトニントランスポーター阻害剤のような抗鬱作用等の中枢性副作用を発現しないことは該医薬組成物の特長の一つである。
【0071】
本発明の医薬組成物を投与する場合、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。経口投与は常法に従って錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤、液剤、シロップ剤、バッカル剤または舌下剤等の通常用いられる剤型に調製して投与すればよい。非経口投与は、例えば筋肉内投与、静脈内投与等の注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等、通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。本発明化合物は経口吸収性が高いため、経口剤として好適に使用できる。
【0072】
本発明化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し医薬組成物とすることができる。注射剤の場合には適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすればよい。
【0073】
賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウムまたは結晶セルロ−ス等が挙げられる。結合剤としてはメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ゼラチンまたはポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末またはラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウムまたはマクロゴ−ル等が挙げられる。坐剤の基剤としてはカカオ脂、マクロゴ−ルまたはメチルセルロ−ス等を用いることができる。また、液剤または乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加しても良い。経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えても良い。
【0074】
本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、成人に経口投与する場合、通常0.05〜100mg/kg/日であり、好ましくは0.1〜10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005〜10mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回〜数回に分けて投与すれば良い。
【0075】
本発明の医薬組成物は他の公知の抗肥満薬と組み合わせて用いることもできる。また、本発明の医薬組成物の投与療法は、既知の食事療法、薬物療法、運動等と組み合わせて用いることもできる。
【0076】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
また、本明細書中で用いる略号は以下の意味を表す。
Me:メチル
Et:エチル
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
HATU: N,N,N',N'‐テトラメチル-O-(7-アザ-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウム ヘキサフルオロフォスフェート
MeCN:シアン化メチル、アセトニトリル
WSCD:水溶性カルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
【実施例】
【0077】
実施例1
【化16】


工程1
窒素気流下、エチル 4-オキソシクロヘキサンカルボキシレート(化合物1)(3.4 g,20 mmol)を無水トルエン34 mlに溶解し、(4‐クロロフェニル)マグネシウムブロミド-THF溶液 22 ml (22 mol)を0 ℃以下で滴下した。-5 ℃で1 時間攪拌したのち、反応液に飽和塩化アンモニウム水および酢酸エチルを加え、抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフで精製し、化合物2(2.55 g, 9.0 mol, 収率 45 %, trans)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.19 (t, 3H, J = 6.6 Hz), 1.53-1.63 (m, 2H), 1.70-2.02 (m, 6H), 2.64 (m, 1H), 4.09 (q, 2H, J = 7.2 Hz), 4.94 (s, 1H), 7.31-7.46 (m, 4H)

工程2
化合物2(2.55 g 、9.0 mmol)をTHF 26 mlに溶解し、室温で2N 水酸化ナトリウム水溶液 9 ml(18 mmol)を加えた。室温で終夜攪拌したのち、減圧下溶媒を留去した。水層をジエチルエーテルで洗浄後、酸性にして酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒留去し、化合物3(1.83 g, 7.18 mmol, 収率 80 %)を無色油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.47-1.63 (m, 2H), 1.65-1.81 (m, 2H), 1.83-2.01 (m, 4H), 2.55 (m, 1H), 4.92 (s, 1H), 7.31-7.46 (m, 4H), 12.10(br-s, 1H)

工程3
窒素気流下、化合物3(1.83 g, 7.18 mmol)、6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(1.52 g, 7.92 mmol)をDMF 30 mlに溶解した。室温でトリエチルアミン(17.96 mmol)、HATU(8.62 mmol)を順次加え、終夜で攪拌した。反応液に2N塩酸および酢酸エチルを加え、抽出後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。これをカラムクロマトグラフで精製し、化合物Ia-1(2.5 g,5.8 mmol, 収率 81 %)を得た。
【0078】
実施例2
【化17】


6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン (化合物4: 1287 mg, 6.70 mmol) (合成法はWO2008/026564に記載)を MeCN (10 mL)とTHF (6.70 mL) に溶解し、攪拌しながらピリジン (0.650 mL, 8.04 mmol) を加えた。その後0℃に冷却し、PhOCOCl (0.883 mL, 7.04 mmol) を滴下した。その後、室温まで昇温させ、35分間攪拌した。溶媒を減圧下、除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム 100%)により精製を行い、化合物5 (1802 mg, 86%) を得た。
【0079】
得られた化合物5 (120 mg, 0.384 mmol) と化合物6 (94 mg, 0.422 mmol) を MeCN (8 mL)に懸濁させ、室温で攪拌しながらトリエチルアミン (0.161 mL, 1.15 mmol) を加えた。80℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧下、除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム 100%)により精製を行い、化合物Ib-3 (120 mg, 77%) を得た。
【0080】
得られた化合物5 (129 mg, 0.413 mmol) と化合物7 (85 mg, 0.454 mmol) を MeCN (8 mL)に懸濁させ、室温で攪拌しながらトリエチルアミン (0.115 mL, 0.825 mmol) を加えた。80℃で80分間攪拌した。溶媒を減圧下、除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(2%メタノール含有クロロホルム)により精製を行い、化合物Id-11 (138 mg, 83%) を得た。
【0081】
実施例3
【化18】


6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン (化合物4: 109mg, 0.48 mmol)と化合物8 (109mg, 0.48 mmol)を DMF (4 mL)に溶解し、攪拌しながらWSCD塩酸塩(137mg, 0.72mmol)、HOBt(13mg, 0.09mmol)、トリエチルアミン (0.23 mL, 1.7 mmol) を順次加えた。室温で5時間攪拌したのち、反応液を塩酸にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。析出した粗結晶をDMF-水で再結晶し、化合物Ic-1 (45 mg, 23%) を得た。
【0082】
化合物Ia-1
【化19】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.46 (d, 6H, J = 6.87 Hz), 1.53-1.71 (m, 4H), 1.87-2.02 (m, 2H), 2.26-2.36 (m, 2H), 2.57 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 4.82 (s, 1H), 7.25 (dd, 1H, J1 = 14.8 Hz, J2 = 7.97 Hz), 7.30-7.39 (m, 4H), 7.47-7.52 (m, 2H), 7.73 (s, 1H), 9.90 (s, 1H).

化合物Ia-2
【化20】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (d, 6H, J = 6.86 Hz), 1.51-1.69 (m, 4H), 1.85-2.00 (m, 2H), 2.20-2.34 (m, 2H), 2.56 (m, 1H), 4.43 (m, 1H), 4.88 (s, 1H), 7.13 (t, 2H, J = 8.92 Hz), 7.24-7.34 (m, 2H), 7.43-7.51 (m, 2H), 7.73 (d, 1H, J = 1.68 Hz), 9.89 (s, 1H).

化合物Ia-3
【化21】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.47 (d, 6H, J = 6.87 Hz), 1.52-1.71 (m, 4H), 1.89-2.02 (m, 2H), 2.21-2.33 (m, 2H), 2.60 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 4.94 (s, 1H), 7.27-7.44 (m, 4H), 7.47-7.54 (m, 2H), 7.76 (s, 1H), 9.91 (s, 1H).

化合物Ia-4
【化22】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 1.46-1.60 (m, 1H), 1.62-1.80 (m, 2H), 1.91-2.08 (m, 2H), 2.40-2.58 (m, 2H), 2.60 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 5.01 (s, 1H), 7.05-7.18 (m, 2H), 7.21-7.38 (m, 3H), 7.59 (t, 1H, J = 8.1 Hz), 7.73 (s, 1H), 9.85 (s, 1H).

化合物Ia-5
【化23】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (d, 6H, J = 6.8 Hz), 1.51-1.68 (m, 4H), 1.83-2.00 (m, 2H), 2.20-2.34 (m, 2H), 2.59 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 4.99 (s, 1H), 7.05 (t, 1H, J = 8.7 Hz), 7.21-7.44 (m, 5H), 7.75 (s, 1H), 9.92 (s, 1H).
【0083】
化合物Ia-6
【化24】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (d, 6H, J = 6.8 Hz), 1.58-2.35 (m, 8H), 2.38 (m, 1H), 5.25 (s, 1H), 6.91-6.96 (m, 2H), 7.35 (d, 1H, J = 3.6Hz), 7.21-7.44 (m, 3H), 7.75 (s, 1H), 9.92 (s, 1H).

化合物Ia-7
【化25】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.13 (s, 3H), 1.15 (s, 3H), 1.50-1.65 (m, 4H), 1.81-2.00 (m, 2H), 2.13-2.31 (m, 4H), 3.44-3.50 (m, 2H), 3.61-3.73 (m, 2H), 4.93 (s, 1H), 6.86 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.37-7.51 (m, 6H), 9.58 (s, 1H)

化合物Ia-8
【化26】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.50-1.79 (m, 4H), 1.90-2.05 (m, 2H), 2.20-2.38 (m, 2H), 2.63 (br-s, 1H), 4.95 (s, 1H), 7.30-7.51 (m, 6H), 7.67-7.72 (m, 2H), 7.86-7.90 (m, 2H), 8.38 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 9.96 (s, 1H)

化合物Ia-9
【化27】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45 (d, 6H, J = 6.86 Hz), 1.47-1.57 (m, 2H), 1.65-1.78 (m, 2H), 1.90-2.03 (m, 2H), 2.35-2.46 (m, 2H), 2.59 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 5.08 (s, 1H), 6.98-7.15 (m, 2H), 7.26-7.35 (m, 2H), 7.55-7.66 (m, 1H), 7.72 (d, 1H, J = 1.68 Hz), 9.84 (s, 1H).

化合物Ia-10
【化28】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.40-1.53 (m, 8H), 1.81-1.91 (m, 2H), 1.95-2.09 (m, 2H), 2.61-2.75 (m, 3H), 4.44 (m, 1H), 5.28 (s, 1H), 7.28-7.37 (m, 2H), 7.68-7.74 (m, 2H), 8.45-8.50 (m, 2H), 9.82 (s, 1H).
【0084】
化合物Ib-1
【化29】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.00-2.10 (2H, m), 2.19 (2H, d, J = 13.69 Hz), 3.16 (2H, t, J = 12.42 Hz), 4.42 (2H, d, J = 14.19 Hz), 7.35-7.53 (6H, m), 7.58 (2H, t, J = 4.56 Hz), 8.08 (2H, t, J = 4.31 Hz), 8.92 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.12 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.79 (1H, s).

化合物Ib-2
【化30】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.93-2.04 (2H, m), 2.17 (2H, d, J = 13.18 Hz), 3.10 (2H, t, J = 12.42 Hz), 4.39 (2H, d, J = 14.19 Hz), 6.70 (1H, d, J = 2.53 Hz), 7.33-7.48 (6H, m), 7.57 (2H, d, J = 7.60 Hz), 7.74-7.79 (1H, m), 8.04 (1H, t, J = 2.53 Hz), 9.56 (1H, s).

化合物Ib-3
【化31】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.95-2.06 (2H, m), 2.19 (2H, d, J = 13.18 Hz), 3.10 (2H, t, J = 12.42 Hz), 4.34 (2H, d, J = 14.19 Hz), 4.39-4.49 (1H, m), 7.22 (1H, dd, J = 8.62, 1.52 Hz), 7.30 (1H, d, J = 8.62 Hz), 7.39 (1H, d, J = 7.10 Hz), 7.46 (2H, t, J = 7.60 Hz), 7.56 (2H, t, J = 2.03 Hz), 7.59 (1H, d, J = 1.52 Hz), 8.72 (1H, s).

化合物Ib-4
【化32】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.60-1.68 (2H, m), 1.87-1.98 (2H, m), 3.23-3.29 (2H, m), 4.09-4.16 (2H, m), 5.10 (1H, s), 7.19-7.25 (1H, m), 7.30-7.36 (2H, m), 7.40-7.46 (1H, m), 7.47-7.53 (4H, m), 8.05-8.09 (2H, m), 8.88-8.91 (1H, m), 9.13 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.59 (1H, s).

化合物Ib-5
【化33】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.57-1.65 (2H, m), 1.80-1.92 (2H, m), 3.16-3.26 (2H, m), 4.04-4.12 (2H, m), 5.07 (1H, s), 6.69-6.71 (1H, m), 7.19-7.25 (1H, m), 7.29-7.36 (4H, m), 7.48-7.51 (2H, m), 7.73-7.80 (1H, m), 8.01-8.05 (1H, m), 9.37 (1H, s).
【0085】
化合物Ib-6
【化34】


1H-NMR (CDCl3) δ: 1.37 (3H, t, J = 7.35 Hz), 1.80-1.90 (2H, m), 2.07-2.18 (2H, m), 3.40-3.52 (2H, m), 3.81-3.90 (2H, m), 3.98-4.02 (2H, m), 6.51 (1H, s), 6.88 (1H, d, J = 8.62 Hz), 7.05-7.11 (1H, m), 7.27-7.34 (1H, m), 7.36-7.42 (2H, m), 7.43-7.45 (1H, m), 7.47-7.52 (2H, m).

化合物Ib-7
【化35】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.25 (3H, t, J = 7.10 Hz), 1.57-1.67 (2H, m), 1.80-1.92 (2H, m), 3.15-3.25 (2H, m), 3.77-3.83 (2H, m), 3.98-4.07 (2H, m), 5.15 (1H, s), 7.09-7.20 (3H, m), 7.22-7.27 (1H, m), 7.49-7.56 (2H, m), 7.58 (1H, d, J = 2.03 Hz), 8.56 (1H, s).

化合物Ib-8
【化36】


1H-NMR (CDCl3) δ: 1.36 (3H, t, J = 7.35 Hz), 1.78-1.85 (2H, m), 2.03-2.13(2H, m), 3.38-3.50 (2H, m), 3.82-3.90 (2H, m), 3.98-4.01 (2H, m), 6.55 (1H, s), 6.88 (1H, d, J = 8.62 Hz), 7.06-7.11 (1H, m), 7.32-7.37 (2H, m), 7.40-7.46 (3H, m).

化合物Ib-9
【化37】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.25 (3H, t, J = 7.10 Hz), 1.57-1.65 (2H, m), 1.80-1.92 (2H, m), 3.14-3.26 (2H, m), 3.77-3.86 (2H, m), 3.98-4.07 (2H, m), 5.20 (1H, s), 7.17 (1H, d, J = 8.11 Hz), 7.23-7.28 (1H, m), 7.43-7.52 (4H, m), 7.57-7.60 (1H, m), 8.57 (1H, s).

化合物Ib-10
【化38】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.59-1.67 (2H, m), 1.83-1.93 (2H, m), 3.17-3.27 (2H, m), 3.99-4.07 (2H, m), 4.40-4.48 (1H, m), 5.08 (1H, s), 7.19-7.23 (2H, m), 7.27-7.35 (3H, m), 7.47-7.52 (2H, m), 7.57-7.60 (1H, m), 8.57 (1H, s).
【0086】
化合物Ib-11
【化39】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.58-1.66 (2H, m), 1.81-1.93 (2H, m), 3.16-3.26 (2H, m), 3.98-4.07 (2H, m), 4.39-4.48 (1H, m), 5.15 (1H, s), 7.09-7.17 (2H, m), 7.20-7.30 (2H, m), 7.49-7.56 (2H, m), 7.58-7.60 (1H, m), 8.56 (1H, s).

化合物Ib-12
【化40】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.56-1.65 (2H, m), 1.80-1.92 (2H, m), 3.15-3.26 (2H, m), 3.98-4.08 (2H, m), 4.39-4.48 (1H, m), 5.20 (1H, s), 7.20-7.30 (2H, m), 7.34-7.40 (2H, m), 7.49-7.55 (2H, m), 7.56-7.60 (1H, m), 8.57 (1H, s).

化合物Ib-13
【化41】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.57-1.64 (2H, m), 1.80-1.92 (2H, m), 3.14-3.25 (2H, m), 3.98-4.08 (2H, m), 4.39-4.48 (1H, m), 5.20 (1H, s), 7.20-7.30 (2H, m), 7.43-7.56 (4H, m), 7.57-7.59 (1H, m), 8.56 (1H, s).

化合物Ib-14
【化42】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 1.59-1.68 (2H, m), 1.88-2.00 (2H,m), 3.15-3.27 (2H, m), 4.02-4.11 (2H, m), 4.40-4.49 (1H, m), 5.36 (1H, s), 7.20-7.31 (2H, m), 7.56-7.62 (3H, m), 7.77-7.81 (1H, m), 7.86 (1H, s), 8.57 (1H, s).

化合物Ib-15
【化43】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.41 (3H, s), 1.43 (3H, s), 1.60-1.68 (2H, m), 1.82-1.94 (2H, m), 3.20-3.26 (2H, m), 3.98-4.07 (2H, m), 4.49-4.58 (1H, m), 5.10 (1H, s), 7.19-7.25 (1H, m), 7.31-7.37 (3H, m), 7.42-7.45 (1H, m), 7.47-7.52 (2H, m), 8.74 (1H, s).
【0087】
化合物Ib-16
【化44】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.41 (3H, s), 1.42 (3H, s), 1.57-1.65 (2H, m), 1.83-1.89 (2H, m), 3.16-3.27 (2H, m), 3.98-4.07 (2H, m), 4.48-4.58 (1H, m), 5.21 (1H, s), 7.30-7.40 (3H, m), 7.41-7.44 (1H, m), 7.50-7.53 (2H, m), 8.74 (1H, s).
【0088】
化合物Ic-1
【化45】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45 (d, 6H, J = 6.9Hz), 1.78-2.00 (m, 4H), 2.86 (dd, 2H, J = 9.3Hz), 3.53-3.59 (m, 2H), 4.45 (q, 1H, J = 6.9Hz), 7.08 (t, 1H, J =7.2Hz), 7.20 (d, 1H, J = 8.4Hz), 7.33-7.37 (m, 2H), 7.60 (t, 1H, J = 7.5Hz), 7.70 (d, 1H, J = 7.8Hz), 7.76 (s, 1H), 10.05 (s, 1H)

化合物Ic-2
【化46】


1H-NMR (CDCl3) δ: 2.03-2.20 (m, 4H), 2.44 (q, 1H, J = 7.8Hz), 2.84-2.94 (m, 2H), 3.62-3.69 (m, 2H), 7.00-7.08 (m, 3H), 7.20-7.28 (m, 3H), 7.48 (t, 1H, J =6.9Hz), 7.56 (d, 1H, J = 7.8Hz), 7.78 (m, 1H), 7.93 (s, 1H), 8.18 (br-s, 1H)
【0089】
化合物Id-1
【化47】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.98-3.05 (4H, m), 3.66-3.73 (4H, m), 7.05-7.11 (1H, m), 7.16-7.22 (1H, m), 7.28-7.35 (1H, m), 7.40-7.55 (4H, m), 8.05-8.10 (2H, m), 8.92 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.13 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.74 (1H, s).

化合物Id-2
【化48】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.16-3.23 (4H, m), 3.68-3.76 (4H, m), 7.10-7.25 (2H, m), 7.40-7.55 (3H, m), 7.59-7.66 (1H, m), 7.72-7.77 (1H, m), 8.05-8.11 (2H, m), 8.92 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.13 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.76 (1H, s).

化合物Id-3
【化49】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.00-3.10 (4H, m), 3.60-3.70 (4H, m), 7.16-7.22 (1H, m), 7.38-7.52 (4H, m), 7.59-7.65 (1H, m), 7.82-7.87 (1H, m), 8.04-8.11 (2H, m), 8.92 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.12 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.73 (1H, s).

化合物Id-4
【化50】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.01-3.10 (4H, m), 3.59-3.70 (4H, m), 7.39-7.53 (4H, m), 7.65-7.71 (1H, m), 7.98-8.02 (1H, m), 8.05-8.10 (2H, m), 8.90-8.93 (1H, m), 9.10-9.13 (1H, m), 9.73 (1H, s).

化合物Id-5
【化51】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.15-3.22 (4H, m), 3.63-3.71 (4H, m), 7.00 (2H, d, J = 9.12 Hz), 7.26 (2H, d, J = 9.12 Hz), 7.43-7.52 (3H, m), 8.05-8.10 (2H, m), 8.90-8.94 (1H, m), 9.12 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.75 (1H, s).
【0090】
化合物Id-6
【化52】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.15-3.23 (4H, m), 3.67-3.77 (4H, m), 7.23 (1H, d, J = 9.12 Hz), 7.40-7.55 (3H, m), 7.65-7.72 (1H, m), 7.90 (1H, d, J = 2.53 Hz), 8.05-8.10 (2H, m), 8.92 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.12 (1H, d, J = 1.52 Hz), 9.76 (1H, s).

化合物Id-7
【化53】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.13-3.23 (4H, m), 3.59-3.70 (4H, m), 7.22 (1H, d, J = 9.12 Hz), 7.29-7.34 (1H, m), 7.44 (1H, t, J = 7.86 Hz), 7.54-7.61 (2H, m), 7.64-7.71 (2H, m), 7.72-7.77 (2H, m), 7.81-7.86 (1H, m), 7.88-7.92 (2H, m), 8.87 (1H, s).

化合物Id-8
【化54】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.17-3.22 (4H, m), 3.65-3.75 (4H, m), 7.13 (1H, t, J = 7.60 Hz), 7.21 (1H, d, J = 8.11 Hz), 7.38 (1H, d, J = 7.60 Hz), 7.47 (2H, t, J = 7.60 Hz), 7.58-7.66 (1H, m), 7.69-7.75 (3H, m), 7.91 (1H, d, J = 9.12 Hz), 8.00-8.06 (1H, m), 8.56-8.60 (1H, m), 9.43 (1H, s).

化合物Id-9
【化55】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.12-3.21 (4H, m), 3.62-3.72 (4H, m), 7.22 (1H, d, J = 8.62 Hz), 7.34-7.40 (1H, m), 7.47 (2H, t, J = 7.86 Hz), 7.66-7.71 (3H, m), 7.88-7.93 (2H, m), 8.00-8.05 (1H, m), 8.58 (1H, d, J = 2.53 Hz), 9.44 (1H, s).

化合物Id-10
【化56】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.11-3.22 (4H, m), 3.60-3.71 (4H, m), 6.70 (1H, d, J = 2.53 Hz), 7.22 (1H, d, J = 8.62 Hz), 7.33-7.36 (2H, m), 7.42-7.47 (1H, m), 7.67 (1H, dd, J = 8.62, 2.53 Hz), 7.74-7.79 (1H, m), 7.89 (1H, d, J = 2.53 Hz), 8.05 (1H, t, J = 2.53 Hz), 9.53 (1H, s).
【0091】
化合物Id-11
【化57】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 3.14-3.22 (4H, m), 3.60-3.68 (4H, m), 4.40-4.49 (1H, m), 7.13 (1H, t, J = 7.60 Hz), 7.19-7.26 (2H, m), 7.28-7.32 (1H, m), 7.56-7.58 (1H, m), 7.61-7.65 (1H, m), 7.74 (1H, d, J = 7.60 Hz), 8.69 (1H, s).

化合物Id-12
【化58】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (3H, s), 1.46 (3H, s), 3.15-3.22 (4H, m), 3.59-3.66 (4H, m), 4.40-4.49 (1H, m), 7.20-7.26 (2H, m), 7.28-7.32 (1H, m), 7.55-7.58 (1H,m), 7.65-7.70 (1H, m), 7.88-7.91 (1H, m), 8.69 (1H, s).
【0092】
試験例1 NPY Y5受容体に対する親和性
ヒトNPY Y5受容体をコードするcDNA配列(WO96/16542号参照)を、発現ベクター pME18S(Takebe et al. Mol. Cell. Biol. 8, 466-472)にクローニングした。得られた発現ベクターを、LipofectAMINE試薬(商標、インビトロジェン社)を用いて、宿主細胞CHOに、使用説明書にしたがってトランスフェクションし、NPY Y5受容体安定発現細胞を得た。
NPY Y5受容体を発現させたCHO細胞から調製した膜標品を、本発明に係る化合物および30,000 cpmの[125I]ペプタイドYY(終濃度60 pM:GE ヘルスケア社製)とともに、アッセイ緩衝液(0.1% 牛血清アルブミンを含む20 mM HEPES-Hanks緩衝液、pH 7.4)中で、25℃、2時間インキュベーションした後、1% ポリエチレンイミン処理したグラスフィルターGF/Cにて濾過した。50 mM Tris-HCl緩衝液、pH 7.4にて洗浄後、ガンマカウンターにてグラスフィルター上の放射活性を求めた。非特異的結合は200 nMペプタイドYY存在下で測定し、特異的ペプタイドYY結合に対する被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を求めた[Inui, A. et al. Endocrinology 131, 2090-2096 (1992) 参照]。結果を表1に示す。
本発明に係る化合物は、NPY Y5受容体に対するペプタイドYY(NPYと同属物質)の結合を阻害した。即ち、本化合物はNPY Y5受容体に対して親和性を示した。
【0093】
【表1】


【表2】

【0094】
試験例2
代謝安定性について
ラット肝ミクロソームによる代謝安定性評価:トリス塩酸バッファー(pH7.4)中にNADPH(終濃度1mM,酸化的代謝の場合)、ラット肝ミクロソーム(終濃度0.5 mg protein/ml)および各化合物(終濃度2μM)を添加し、37℃で0分および30分間反応させた。グルクロン酸抱合の場合は、NADPHに代えてUDPGA(終濃度5mM)を添加した。反応液の倍量のアセトニトリル/メタノール=1/1(v/v)を添加し反応を停止した後、その遠心上清中の化合物をHPLCで測定した。0分および30分の値の比較から代謝反応による消失量を算出し、本発明化合物の代謝安定性を確認した。
その結果、例えば、比較例とした表2に記載の比較例化合物の残存率は28%であったのに対し、化合物Ib‐5の残存率は61%であり、本発明化合物が優れた代謝安定性を示すことが明らかになった。
【0095】
試験例3 ラットおよびマウス脳移行性評価
カセットドージング法(Drug.Metab.Dispos. (2001); 29, 957-966参照)を用いて、ラット(Crl;CD(SD), ♂, 8weeks)については静脈内投与(0.5 mg/mL/kg)30分後、マウス(Jcl;C57BL/6J, ♂, 8 weeks)については経口投与(2 mg/10 mL/kg)3時間 または 5時間後の血漿および脳内濃度から、脳移行性(脳/血漿分配係数;Kp)を評価した。その結果、本発明化合物は、良好な脳移行性を示した。
【0096】
試験例4 ラットにおける薬物動態評価
カセットドージング法を用いて、ラット(Crl;CD(SD), ♂, 8weeks)静脈内投与(0.5 mg/mL/kg)後の血漿中濃度推移から、半減期(t1/2)および全身クリアランス(CLtot)を評価した。その結果、本発明化合物は、良好な薬物動態を示した。
【0097】
試験例5
Y1発現細胞(human neuroblastoma, SK-N-MC)膜標品およびY2発現細胞(human neuroblastoma, SMS-KAN)膜標品を使用して試験例2と同様の方法で試験を行い、本発明化合物のNPY Y1受容体およびNPY Y2受容体に対する親和性を測定した。その結果、本発明化合物がNPY Y5受容体選択性を有していることを確認することができた。
【0098】
試験例7 CYP2C9酵素阻害試験
CYP2C9酵素阻害試験は、ヒト肝ミクロソームを用いて、CYP2C9の典型的な反応であるトルブタミド4位水酸化活性を指標にして行った。
反応条件は以下のとおり:基質、5μM トルブタミド(14C標識化合物);反応時間、30分;反応温度、37℃;蛋白濃度、0.25mg/mL(ヒト肝ミクロソーム、15pol、Lot.210296、米国XenoTech社)。
HEPES Buffer(pH7.4)中に蛋白(ヒト肝ミクロソーム)、薬物溶液、基質を上記の組成で加え、反応の補酵素であるNADPHを添加して反応を開始した。所定の時間反応後、2N 塩酸溶液を加え除蛋白することによって反応を停止した。クロロホルムで残存する基質薬物および生成する代謝物を抽出し、溶媒を留去したものをメタノールで再溶解した。これをTLCにスポットして、クロロホルム:メタノール:酢酸=90:10:1で展開し、イメージングプレートに約14〜20時間コンタクトさせた後、BAS2000で解析した。代謝物であるトルブタミド4位水酸化体の生成活性について、薬物を溶解した溶媒を反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、被検薬物溶液を加えたものの残存活性(%)を算出し、本発明化合物のCYP2C9酵素に対する阻害が小さいことを確認した。
【0099】
試験例9
溶解性について
本発明化合物と測定溶媒(JP-2液、20mMタウロコール酸Na含有JP-2液)を37℃で3時間攪拌後、0.45μmのフィルターで濾過し、濾液の濃度をHPLC法により測定し、本発明化合物の溶解性が高いことを確認した。
【0100】
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1 錠剤
化合物(I) 15mg
デンプン 15mg
乳糖 15mg
結晶性セルロース 19mg
ポリビニルアルコール 3mg
蒸留水 30ml
ステアリン酸カルシウム 3mg
ステアリン酸カルシウム以外の成分を均一に混合し、破砕造粒して乾燥し、適当な大きさの顆粒剤とする。次にステアリン酸カルシウムを添加して圧縮成形して錠剤とする。
【0101】
製剤例2 カプセル剤
化合物(I) 10mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
乳糖 80mg
を均一に混合して粉末または細粒状として散剤をつくる。それをカプセル容器に充填してカプセル剤とする。
【0102】
製剤例3 顆粒剤
化合物(I) 30g
乳糖 265g
ステアリン酸マグネシウム 5g
よく混合し、圧縮成型した後、粉砕、整粒し、篩別して適当な大きさの顆粒剤とする。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上の試験例から明らかなように、本発明化合物はNPY Y5受容体拮抗作用を示す。従って、本発明化合物は摂食障害、肥満、神経性食欲昂進症、性的障害、生殖障害、鬱病、癲癇発作、高血圧、脳溢血、鬱血心不全または睡眠障害の治療および/または予防のための医薬として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
Aは置換若しくは非置換の炭化水素環式基または置換若しくは非置換のヘテロ環式基であり、
XはNまたはCR(Rは、ヒドロキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、ヘテロサイクリルカルボニルまたはカルバモイル)であり、
YはNまたはCHであり、
は水素または置換若しくは非置換のアルキルであり、
Bは置換炭化水素環式基または置換ヘテロ環式基である]
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
XがCRであり、
YがCHである、
請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
XがCRであり、
YがNである、
請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
は、ヒドロキシまたはシアノである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
XがNであり、
YがCHである、
請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
XがNであり、
YがNである、
請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
Aが置換若しくは非置換の単環炭化水素環式基または置換若しくは非置換の単環ヘテロ環式基である、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
Aが置換若しくは非置換のフェニル、置換若しくは非置換のピリジルまたは置換若しくは非置換のチエニルである、請求項7記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
Aが置換基を有するものである、請求項7または8に記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
該置換基がハロゲン、ハロアルキル、シアノおよびニトロから選ばれる1または2以上の置換基である、請求項9記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
Bが置換フェニル、置換ピリジル、置換ピラジニル、置換ピラゾリルまたは置換2,3−ジヒドロベンズオキサゾリルである、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
Bの置換基がオキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のモルホリノ、置換若しくは非置換のピリジル、置換若しくは非置換のフェニルおよび置換若しくは非置換のフェニルカルボニルから選ばれる1または2以上の置換基である、請求項11記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項14】
NPY Y5受容体拮抗作用を有する、請求項13記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2010−195688(P2010−195688A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38775(P2009−38775)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】