Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させることによって、BMPによる骨形成経路を活性化させる方法
本発明は、骨形成タンパク質(Bone Morphogenetic Protein:BMP)の主要標的タンパク質であるRunx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法に関するもので、より詳細には、Runx2をアセチル化してユビキチン化による分解を抑制することで、Runx2の安定性を高めてBMPによる骨形成経路を活性化させる方法に関するものである。本発明のRunx2活性増加方法は、Runx2の分解を抑制して骨形成を誘導することによって骨粗しょう症や骨形成不全症、歯周疾患、骨折などの骨疾患予防及び治療に利用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BMPの主要標的タンパク質であるRunx2をアセチル化してRunx2活性を増加させることによってBMPの活性を亢進させる方法に関するもので、より詳細には、Runx2をアセチル化してユビキチン化による分解を抑制することでRunx2の安定性を高めて、BMPによる骨形成経路を活性化させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨疾患は、主に骨密度が減少して起きる疾患であり、代表的骨疾患には骨粗しょう症と歯周疾患がある。これは骨密度が減少して骨折または歯が簡単に抜ける症状を誘発する疾患であり、このような骨疾患は、高齢化が急速に進行している過程で生活の質を低下させる深刻な社会問題になっている。このような骨疾患の治療のために多くの研究が進行されている。
【0003】
骨組織には、骨代謝に深く関与する3種の代表的な細胞、すなわち造骨細胞、破骨細胞、骨細胞が存在し、骨組織の機能と量は、造骨細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の平衡関係によって綿密に調節される。骨粗しょう症や歯周疾患は、骨形成と骨吸収の平衡関係が維持されないで骨吸収が骨形成より増加するために起きる疾患である。
【0004】
骨粗しょう症や歯周疾患などの骨疾患予防及び治療は、破骨細胞による骨吸収を抑制して、造骨細胞による骨形成を促進させることによってなされる。これまでに、破骨細胞の機能阻害活性を有する骨吸収抑制剤が主に開発され、破骨細胞の機能を阻害するカルシトニン(calcitonin)、ビスホスホネート(bisphosphonate)誘導体などが、現在臨床に応用されている。しかし、前記の薬剤は、効能や薬効、投与方法及び期間などにおいて多くの問題点を有している。
【0005】
最近では、破骨細胞の分化を抑制するRANKL(receptor activator of NF ligand)のデコイ受容体及び抗体、破骨細胞がインテグリンを通じて骨表面に接着することを阻害するペプチド化合物、破骨細胞の骨吸収機能を阻害するc−srcチロシンキナーゼ(tyrosine kinase)阻害剤、ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite)の分解と関連した液胞型ATPase阻害剤、骨組織内有機物の分解と関連したカテプシンK阻害剤の開発が活発に進行されている。
【0006】
前記のように、破骨細胞による骨吸収抑制剤開発には多くの研究が進行されて来たが、造骨細胞による骨形成促進剤の開発に対しては、ほとんど研究されていない。現在は、BMP(Bone Morphogenic Protein、特に−2、−4、−7)やPTH(parathyroid hormone)が骨形成を促進する物質として知られていて、PTHが間欠的全身投与によって生体内(in vivo)研究で骨形成を促進させる活性があるということが報告されている。BMPの場合には、全身投与によって骨形成が誘導されたという実験結果はない。しかし、BMPの発現を誘導する低分子物質であるスタチンは、生体内で骨形成を促進するということが知られていて(Mundy等,science,1999年,第286(5446)巻,1946−1949頁)、BMPによる信号伝達体系を研究すると、生体内で骨形成因子の生産及び活性を促進させて骨形成を誘導する低分子物質の開発可能性が大きいと考えられる。
【0007】
最近Runx2遺伝子に関する研究が非常に発展している。Runxファミリーには、Runx1、Runx2及びRunx3があって、癌細胞の発達過程で重要な役割をすることが知られている。最近の研究成果によると、Runx2(Runx Domain transcription factor)は、骨分化に深い関連があるということが明らかにされたが、造骨細胞の分化の初期表現形質であるアルカリフォスファターゼ(ALP)と後期表現形質であるオステオカルシン(OC)の発現を調節する重要な転写因子で(Ducy,P.等,Cell,1997年,第89巻,747−754頁;Mundlos,S.等,Cell,1997年,第89巻,773−779頁;Komori,T.等,Cell,1997年,第89巻,755−764頁;Otto,F.等,Cell,1997年,第89巻,765−771頁)、前記Runx2の発現は、BMPによって活性化になった信号伝達媒体であるSmads(Avantaggiati,M.L.等,Cell,1997年,第89巻,1175−1184頁;Hanai,J.等,J.Biol.Chem.,1999年,第274巻,31577−31582頁;Jin,Y.H.等、J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−29417頁)によって調節されることが知られている(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁)。また、Smurf1(Smad ubiquitin regulatory factor 1)がユビキチン(ubiquitin)媒介されたRunx2のタンパク質分解の原因分子であり、造骨細胞の前駆細胞でSmurf1が過発現されると、BMPによる信号伝達と造骨細胞の分化を阻害することが報告されている(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12854−12859頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)。
【0008】
以上のことに鑑みて、本発明者は、BMPによるRunx2の調節メカニズムを明らかにすると、骨形成を促進する物質を捜し出すことができると判断して研究した結果、BMPがRunx2のアセチル化を増加させることによって、Smurf1によってRunx2が分解されることを抑制して、骨細胞の分化を促進することを明らかにして、BMPによるRunx2のアセチル化を増加させる薬物、すなわちヒストンデアセチラーゼ(histone deacetylase、HDAC)阻害剤を使用してRunx2の分解を抑制すると、骨形成を促進することができることを確認することによって本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、Runx2をアセチル化して安定化できる方法を提供することにより、骨形成促進によって、骨粗しょう症、骨形成不全症、歯周疾患、骨折などの骨疾患の予防及び治療を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2による骨形成を増加させる方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、BMP−2(Bone Morphogenetic Protein−2)の機能を亢進させる、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含むRunx2アセチル化剤を提供する。
【0013】
また、本発明は、Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む、骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0014】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法を提供する。
【0016】
Runx2は、骨生成(osteogenesis)の調節子として骨−特異的な(bone−specific)遺伝子の発現調節において重要な物質である。このようなRunx2は、様々な信号伝達経路によって調節され、その中には骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein、BMP)が媒介する信号伝達経路も含まれている。BMPは、SmadのRunx2との結合を誘導して骨成長を促進して骨形成を誘導する。
【0017】
Runx2は、MAPK(mitogen−activated protein kinase)経路によってリン酸化されて活性化する。この経路は、ECM(extracellular matrix)、BMPのような骨形成因子、PTH(parathyroid Hormone)のようなホルモンなどによって刺激される。
【0018】
リジン残基で起きるタンパク質ユビキチン化(protein ubiquitination)は、基質選択及び引き継いで起きるプロテオソーム(proteosome)による分解において、重要な役割をする。Runx2は、Smurf1(smad ubiquitination regulatory factor 1)が媒介したユビキチン化(ubiquitination)によって分解される。Smurf1が、過発現すると、Runx2が分解されて、それによりBMP−2による信号伝達が遮断されて造骨細胞分化が抑制される。
【0019】
今まで、前記のような事実以外に、Runx2タンパク質が詳細にはどんな分子的機序によって調節されるのかは、知られていなかったが、本発明者はこのような信号伝達がRunx2のアセチル化によるものであることを明らかにした。本発明者は、Runx2がBMP信号伝達経路の主要ターゲットであり、BMPがRunx2の転写レベルを調節することを確認し(Lee K.S等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−879頁)、さらにRunx2の翻訳後(posttranslation)レベルにもBMPが関与するのかを調査した。詳細には、BMP−2の存在または不在下において、多能性幹細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させた後、抗−myc抗体を用いてウエスタンブロットを実施した。その結果、BMP−2を処理した方でRunx2タンパク質量がより多く現れることを観察した(図1)。この結果から、BMP−2が翻訳後の段階でRunx2を調節することを確認した。前記結果を検証するために、BMP receptor 1(BMPR1)の量を増加させながらHA−標識Runx2を一緒に発現させた結果、BMPR1の量に比例してRunx2の発現が増加され(図2)、Runx2の半減期は、BMPR1の存在時は12時間であるのに対し、BMPR1の不在時はわずか2時間であった(図3)。前記結果は、BMP信号伝達体系によるRunx2のアップレギュレーション(up-regulation)は、Runx2の半減期の増加によるものであることを示す。
【0020】
本発明者は、BMPが転写を介してRunx2が増加するのかを調べるためのRT−PCR実験で、内在性のRunx2 mRNAは増加したが、外部から導入したRunx2の量は変化しないことを確認した(図4)。これは、BMP−2による外来Runx2の蓄積は、転写とは無関係でタンパク質の安定性に起因するということを示す。本発明者は、Runx2がユビキチン−プロテオソーム(ubiquitine−proteosome)経路によって分解され、BMP−2によって誘導されたRunx2のアセチル化がRunx2を安定化させたのかを確認した。詳細には、BMP−2の存在または不在下でC2C12細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させて、抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して抗−Myc抗体でウエスタンブロットすることでRunx2のアセチル化を確認した[リジン(Lys)は、Runx2内でアセチル化が起きる残基である]。その結果、BMP−2が存在時にウエスタンブロットでバンドが確認されたが(図5)、これはRunx2がBMP−2処理によってアセチル化されるということを示す。
【0021】
p300タンパク質の第一の機能は、E2F1、p53 Smads、BRCA1及びRunx2などを含む多数の核タンパク質の転写のためのコアクチベーター(co−activator)である。p300は、HAT(Histone Acetyl Transferase)として機能し、ヒストンテール上でのリジン残基特異的なアセチル化は、負電荷を中和し、転写因子にとってよりアクセスしやすいクロマチン構造を生じさせると信じられている。p300はまた、多数の非ヒストンタンパク質をアセチル化することができる。例えば、p300は、E2F1の機能領域をアセチル化してDNA結合能を増加させてタンパク質半減期を増加させる。また、E2F1のアセチル化は、ヒストン脱アセチル化酵素−1(HDAC−1、histone deacetylase−1)によって脱アセチル化され、脱アセチル化によって半減期が増加すると、タンパク質をユビキチン化から保護することができる。なぜなら、アセチル化とユビキチン化はリジン残基で起こるからである。本発明者は、p300がSMAD、Runx2と結合し(Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁;Shen,X.等,Mol.Biol.Cell,1998年,第9巻,3309−3319頁)、Runx1、Runx3をアセチル化させるので(Gronroos等,Mol.Cell,2002年,第10巻,483−493頁;Jin Y.H.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−2941頁;Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁)Runx2が、p300によってもアセチル化されるのかを確認した。より詳細には、BMP−2の代わりにp300を処理して前記のような方法で実験した結果、p300の存在時にウエスタンブロットでバンドが確認されたので、Runx2はp300によってアセチル化されたことが分かり、また、BMPによってp300を介したRunx2アセチル化が増加されたことが分かる(図5)。同様に、BMPR1単独で、またはp300と一緒にRunx2アセチル化を増加させてタンパク質を蓄積させた(図6)。前記結果は、一定量のRunx2とp300の量を増やして形質導入した時、p300の量が増えるにつれてRunx2のアセチル化とタンパク質レベルが増加する実験結果から検証された(図7)。前記結果によって、BMP信号伝達経路でp300によるRunx2アセチル化が、Runx2タンパク質蓄積を起こすということを確認した。
【0022】
一方、Runx2は、10個のリジン残基があり(図22)、Runx2の中間部位に7個のリジン残基を含み、C−末端に2個の残基を有している。Runx2のどの部位のリジン残基がアセチル化するのかを確認するために、Runx2欠失変異体Runx2−KRをp300と一緒に発現させて抗アセチルリジン抗体で免疫沈降させた結果、C−末端が中間部位よりさらに多くアセチル化されたことを確認した(図9)。より詳細には、リジンをアルギニンで置換した変異体を使用して実験した結果では、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列の225、230、350及び351番目のリジンが、p300のアセチル化活性に対する主要ターゲットであることを明らかにした(図10)。また、Runx2の半減期は約2時間であるが、p300と一緒に発現させると非常に安定する一方、225、230、350、351番目リジンが欠失した変異体Runx2−KR225、230、350及び351は、p300がなくても非常に安定だった(図11)。このような結果は、Runx2のリジン残基が変異されなければ分解に非常に敏感であるが、変異するとRunx2が分解されることを防止することができるということを示す。
【0023】
Smurf1は、Runx2のユビキチンリガーゼでRunx2を認識してプロテオソームによって分解されるようにするので(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12584−12589頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)Smurf1を過発現させるとRunx2は早く分解されるが(図12)、p300を追加して発現させると、Smurf1−媒介Runx2分解が相殺される。一方、Runx2−KR225、230、350及び351変異体は、Smurf1媒介分解によって分解されない。本発明者は、Runx2のPPxYがSmurf1のWWドメインと反応するので(Otte,L.等,Protein Sci.,2003年,第12巻,491−500頁)(図22)、PPxYが欠失されたRunx2−del−415−418と415のプロリンをアルギニンに置換した変異体Runx2−P415Rを作って実験した結果、Runx2−del−415−418とRunx2−P415Rが非常に安定したこと、すなわちSmurf1によって分解されないことを確認した(半減期24時間以上)(図11)。前記結果から225、230、350及び351番目リジンが、p300媒介アセチル化及びSmurf1媒介ユビキチン化の標的であることを確認した。すなわち、Runx2がアセチル化されると、Runx2内のリジン残基を認識することができないのでSmurf1によるRunx2分解が抑制される。
【0024】
Runx2アセチル化レベルは、アセチル化と脱アセチル化間の動的平衡(dynamic equilibrium)によって決定する。したがって、脱アセチル化を抑制すると、Runx2アセチル化が増加するはずなので、大部分のタンパク質を脱アセチル化させるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤をRunx2に処理した。詳細にはは、HDAC阻害剤をmyc標識されたRunx2で形質転換させたC2C12細胞にコマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)の方法によって処理した。その結果、前記HDAC阻害剤を処理したC2C12細胞は、Runx2のアセチル化が増加した(図13参照)。前記のように脱アセチル化を抑制するとアセチル化が増加したことは、Runx2アセチル化/脱アセチル化が可逆的な過程で、HDACがRunx2脱アセチル化に生理学的イフェクターとして作用することができるということを示す。それだけではなく、Runx2と結合して転写(transcription)を起こすTGF−ベータ反応因子が挿入されたTβREルシフェラーゼリポーター(TβRE−luc)プラスミドで実験した結果、HDAC阻害剤処理時リポーター遺伝子の活性が促進される結果が観察された。これは、HDAC阻害剤によってRunx2の転写活性が増加することを示すものである(図16)。
【0025】
一方、本発明者は、ヒストンデアセチラーゼが実際にRunx2を脱アセチル化させるかどうかを調べるために、Runx2と多様なヒストンデアセチラーゼを共形質導入した実験を実施した結果、図14に示したように、ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)と5(HDAC5)がRunx2と結合して、図15に示したように、ヒストンデアセチラーゼ4と5がRunx2を脱アセチル化させることを確認した。
【0026】
本発明者は、Runx2のアセチル化が、Runx2の転写活性を増加させるかどうかを調べるために、TGF−ベータ反応因子ルシフェラーゼ(TβRE−Luc)リポータープラスミドとRunx2発現プラスミドを293細胞で一緒に発現させてHDAC阻害剤を細胞に処理した後、ルシフェラーゼの量を測定した結果、HDAC阻害剤によってリポーター遺伝子の活性が増加することを発見した(図16)。これは、Runx2脱アセチル化が抑制されるとRunx2のアセチル化が増加してRunx2の転写活性が増加するということを示すものである。
【0027】
本発明者は、Runx2の転写活性増加が、タンパク質の量が増加するためまたはタンパク質がアセチル化された結果であるということを証明するために、p300がない状態でRunx2及びRunx2−KR変異体の転写活性を測定した。その結果、p300によって標的になるリジン残基を変異させるとRunx2の転写活性が非常に減少し(図17)、さらにp300は、変異Runx2タンパク質の活性を増加させることができなかった。このような結果は、Runx2のアセチル化はRunx2の安定化のために必要であるだけではなく、Runx2の転写活性のためにも必要であることを示す。
【0028】
また、本発明は、Runx2をアセチル化してBMPの活性を亢進させることによって骨形成を増加させる方法を提供する。
【0029】
本発明者は、Runx2で形質転換された多能性細胞(pluripotent cell)に、HDAC阻害剤を処理した後、活性染色法で観察した結果、造骨細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼの活性が増加することを確認し(図18)、骨形成後期誘導物質であるオステオカルシン(osteocalcin、OC)遺伝子のプローモーターを挿入したルシフェラーゼリポータープラスミドで実験した結果、HDAC阻害剤処理時にOCプローモーターの活性が増加することを確認した(図19参照)。オステオカルシン遺伝子自体の発現を調べるRT−PCR実験でも、HDAC阻害剤処理時にオステオカルシンmRNAの発現量が増加することから、前記のOCプローモーター活性増加結果と一致することを確認した(図20参照)。マウスにHDAC阻害剤を皮下注射した後、組織染色法で生体内骨形成誘導有無を確認した結果でも、図22のようにHDAC阻害剤が実際に生体内に骨組織を形成するということを確認した。
【0030】
前記のようにHDAC阻害剤を処理した場合、Runx2のアセチル化とRunx2の転写活性が増加した結果、下記のような直接的な骨形成誘導効果が現れることを確認した。
【0031】
また、本発明は、Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0032】
Runx2のアセチル化を活性化させる物質は、すべて本発明の範囲に属し、好ましくは脱アセチル化酵素阻害剤である。
【0033】
Runx2のアセチル化は、BMP(Bone Morphogenetic Protein)経路によって促進されるので、BMPまたはBMP生産誘導剤を処理する時もアセチル化増加効果がある(図5)。それのみならず、Runx2のアセチル化は、p300(acetyl transferase)とHDAC(histone deacetylase)によってアセチル化と脱アセチル化が調節される動的平衡を成している。したがって、p300とBMP−2によってアセチル化されるのみならず、HDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制されることで、Runx2のアセチル化が増加する。それとともに、BMP−2またはBMP生産誘導剤とHDAC阻害剤を併用して処理すると、BMP−2によってアセチル化が促進されてHDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制され、HDAC阻害剤を単独で処理するよりRunx2のアセチル化を増加させる。実際に、本発明の実験の結果、アセチル転移酵素(p300)処理によってRunx2のアセチル化がさらに増加した。BMP生産誘導剤の例としては、スタチン類化合物であるロバスタチン(Lovastatin)、シムバスタチン(Simvastatin)、コンパクチン(Compactin)があるがこれに限定されない。
【0034】
また、HDAC阻害剤を処理した場合、骨形成初期誘導物質であるアルカリフォスファターゼの活性が増加し(図18)、オステオカルシン遺伝子のプローモーターでリポーターアッセイを実施したりオステオカルシン遺伝子発現を確認するRT−PCR実験でも、HDAC阻害剤処理時のプローモーターの活性が増加及び遺伝子発現を確認した(図19及び図20)。それとともに、マウスにHDAC阻害剤注入時に骨形成が促進されることも確認した(図22)。
【0035】
したがって、前記成分を有効成分として含む組成物は、骨疾患予防及び治療剤に使用することができる。
【0036】
また、本発明は、HDAC阻害剤とBMPまたはHDAC阻害剤とBMP生成促進剤との併用によって、相乗効果を示すことを特徴とする骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0037】
前記のように、Runx2のアセチル化は、BMP(Bone Morphogenetic Protein)経路によって促進され、HDAC(histone deacetylase)によってアセチル化と脱アセチル化が調節される動的平衡を成している。したがって、BMPまたはBMP生産誘導剤とHDAC阻害剤を併用して処理すると、BMPによってアセチル化が促進されてHDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制され、HDAC阻害剤を単独で処理するよりRunx2のアセチル化を増加させるようになる。BMP生成促進剤には、前記のようなスタチン類がある。
【0038】
また、本発明は、追加で破骨細胞抑制剤または破骨細胞分化抑制剤とRunx2アセチル化剤(HDAC阻害剤)の併用による、骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0039】
骨組織には、造骨細胞、破骨細胞、骨細胞が存在し、骨粗しょう症や歯周疾患などの骨疾患予防及び治療は、破骨細胞による骨吸収を抑制して、造骨細胞による骨形成を促進させることによって成り立つ。破骨細胞抑制剤には、カルシトニン(calcitonin)、ビスホスホネート(bisphosphonate)誘導体など、市販されている製品とともに、破骨細胞の分化を抑制するRANKLのデコイ受容体やRANKLの抗体、破骨細胞のインテグリンを通じた骨表面への接着を阻害するペプチド化合物、破骨細胞の骨吸収機能を阻害するc−srcチロシンキナーゼ阻害剤、ハイドロキシアパタイトの分解と関連した液胞型ATPase阻害剤、骨組織の主要有機物の分解と関連したカテプシンK阻害剤などをあげることができる。したがって、本発明のHDAC阻害剤と前記破骨細胞抑制剤を平行使用すれば、高い骨疾患治療効果を得ることができる。
【0040】
HDAC阻害剤の単独使用の場合の有効濃度は、10nM〜10μMであり、好ましくは50nM〜1μMである。前記HDAC阻害剤とBMP−2、破骨細胞抑制剤またはスタチン類を併用して使用する場合、10nM〜500nMで効果を得ることができる。ここで、前記有効成分の有効濃度が前記範囲より低い場合には、本発明による相乗効果を得ることができないので好ましくない。
【0041】
前記HDAC阻害剤は、下記化学式(1〜14)で表される化合物またはその誘導体を有効成分として含む薬剤学的組成物であることを特徴とする。
【0042】
<式1>
【化1】
【0043】
一般式:C4H8O2
CA索引名:ブタン酸(Butanoic acid(9Cl))
別称:ブチルサン(6Cl、7Cl、8Cl);1−プロパンカルボキシル酸;エチル酢酸;ハニーラバー(honey robber);NSC8415;プロピルホルム酸;n−ブタン酸;n−ブチル酸
【0044】
<式2>
【化2】
【0045】
一般式:C8H16O2
CA索引名:ペンタン酸(pentanoic acid)、2−プロピル−(9Cl)
別称:バルブロ酸、バレル酸、2−プロピル−(6Cl,7Cl,8Cl);2−プロピルペンタン酸;2−プロピルバレル酸;4−ヘプタンカルボキシル酸;44089;酢酸、ジプロピル−;DPA;デパキン(depakine);ジプロピル酢酸;エルゲニル(ergenyl);ミルプロイン(mylproin);NSC93819;n−ジプロピル酢酸
【0046】
<式3>
【化3】
【0047】
一般式:C21H20N4O3
CA索引名:カルバン酸、[[4−[[(2−アミノ−フェニル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]−、3−ピリジンメチルエステル(9Cl)
別称:MS27−275;MS275;MS275−27
【0048】
<式4>
【化4】
【0049】
一般式:C14H20N2O3
CA索引名:オクタンジアミド、N−ヒドロキシ−N’−フェニル−(9Cl)
別称:SAHA;スベロイルアニリドヒドロキサム酸(Suberoylanilide hydroxamic acid)
【0050】
<式5>
【化5】
【0051】
一般式:C17H22N2O3
CA索引名:2,4−ヘプタジエンアミド、7−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−7−オキソ−、(2E,4E,6R)−(9Cl)
別称:2,4−ヘプタジエンアミド、7−[4−(ジメチルアミノ−)フェニル]−N−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−7−オキソ−、[R−(E,E)]−;(R)−トリコスタチンA;TSA;トリコスタチンA
【0052】
<式6>
【化6】
【0053】
一般式:C33H40N4O6
CA索引名:シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)
別称:シクロ(η−オキソ−L−α−アミノオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル)、(S)−;ピロロ[1,2−a][1,4,7,10]テトラアザシクロドデシン、サイクリックペプチド誘導体;RF1023B;トラポキシンB
【0054】
<式7>
【化7】
【0055】
CHAP31 R=CH2
CHAP50 R=C2H4
一般式:C31H39N5O6
CA索引名:シクロ[(2S)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ−)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)
CHAP31
シクロ(−L−Asu(NHOH)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)
CHAP50
シクロ(−L−Asu(NHOH)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pip−)
別称:CHAP
【0056】
<式8>
【化8】
【0057】
FK228
【0058】
<式9>
【化9】
【0059】
オキサムフラチン(Oxamflatin)
【0060】
<式10>
【化10】
【0061】
一般式:C11H16O4
CA索引名:D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5:8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)
別称:(−)−デプデシン;デプデシン(depudecin)
【0062】
<式11>
【化11】
【0063】
一般式:C33H47N5O6
CA索引名:シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)
別称:シクロ(8−オキソ−L−2−アミノデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル);アピシジンB;アピシジンlb
【0064】
<式12>
【化12】
【0065】
SCOP304
一般式:
CA索引名:シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体
別称:化合物7(Nishino等,Org.Lett.,2003年,第5(26)巻,5079−5082頁)
下記のような誘導体も類似の活性を有する。
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−L−Pro)二合体(誘導体a)
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pip)二合体(誘導体b)
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−L−Pip)二合体(誘導体c)
シクロ(L−Am6(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体d)
シクロ(L−Am8(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体e)
シクロ(L−Am9(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体f)
これらの物質の構造は、次の論文に報告されている(Nishino等,Org.Lett.,2003年,第5(26)巻,5079−5082頁)。
【0066】
<式13>
【化13】
【0067】
SCOP152[シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)]及びその誘導体
【0068】
<式14>
【化14】
【0069】
ツバシン(Tubacin)
【0070】
本発明による前記化学式(1〜14)で表される化合物またはその誘導体は、C2C12細胞においてBMPによるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性とオステオカルシン(OC)のタンパク質発現を強力に促進させて、動物実験で骨形成を誘導することにより、臨床的に有用な骨形成促進物質として、骨粗しょう症や歯周疾患などの治療剤として有用に応用することができる。
【0071】
本発明のHDAC阻害剤を有効成分として含む製薬組成物は、臨床投与時に経口または非経口で投与が可能であり、一般的な医薬品製剤の形態で使用することができる。
【0072】
本発明の組成物は、投与のために前記記載した有効成分以外に、追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。薬剤学的に許容可能な担体としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール及びこれら成分の中で1成分以上を混合して使用することができ、必要によって抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希薄剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。さらに、当該分野の適正な方法でまたはレミントン薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PA)に開示されている方法を利用して各疾患によって、または成分によって好ましく製剤化することができる。
【0073】
本発明の組成物は、目的とする方法によって経口投与したり非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)できて、投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度などによってその範囲が多様である。一回投与量は、HDAC阻害剤の化合物が約0.1〜100mg/kgで、好ましくは1〜10mg/kgであり、ひと月に一回または数回投与するのがさらに好ましい。
【0074】
本発明の組成物は、骨粗しょう症、歯周疾患などを含む骨疾患の予防及び治療のために単独で、または手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤を使用する方法と併用して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明を下記実施例によって見て詳しく説明する。
【0076】
但し、下記実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>細胞培養及びプラスミド製作
<1−1>細胞培養
すべての細胞培養培地と抗体は、インビトロゲン(Invitrogen)から購入した。C2C12(ATCC No.CRL−1772)、293細胞は10%牛胎児血清、抗生剤及び抗−マイコティックス(anti−mycotics)を含むDMEMで5%CO2、37℃で培養した。H1−127−21−2細胞は、10%FBS、ペニシリンG(100U/ml)及びストレプトマイシン(100mg/ml)を含むアルファ−MEMで培養した。
<1−2>プラスミドと抗体
MycまたはHA−標識された全長(full length)Runx2(配列番号2)を挿入して、CMVプロモーターから誘導された哺乳類発現ベクターpCS4−3MycとpCS4−3HAを製作した(Jin等,J Biol Chem.,2004年,第279巻,29409−17頁;Ogawa等,Proc Natl Acad Sci 米国,1993年,第90巻,6859−63頁)。Runx2アセチル化に影響を及ぼす突然変異は、PCRで導入して(Michaels A.Innis等,PCR protocols:a guide to method and applications,Qcademic Press,Inc.,1990年)pCS4−3Mycベクターにクローニングした。BMPreceptor 1(BMPR1)発現プラスミドとHA−p300発現ベクターであるpcDMA3.1HA−p300は、M.Ewen(Dana−Farber Cancer Institute,Harvard Medical School,Boston)から提供を受けた(Genes Dev.,1994年,第8巻,869−84頁)。myc−HDAC発現プラスミドは、pCS4−3Mycにクローニングした。ルシフェラーゼリポータープラスミドpGL3−TbREは、二つのコピーのTbRE(兔疫グロブリンCaプローモーターに由来)を含んでいる(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁;pGL3は、Promega製品)。ラットオステオカルシン(osteocalcin)の−1050/+23部位をpGL2−basicベクター(Promega)にクローニングしたpGL21050 OC−luc(Hoffamann等,J Cell Biochem.,2000年,第80巻,156−68頁)は、Dr.Lianから譲り受けた(Department of Cell Biology,University of Massachusetts Medical Center,Worcester,Massachusetts 01655,米国)。
【0077】
野生型及び突然変異OSE部位[OCプローモーター部位(−208/+23)のRunx2結合部位C]は、以前論文に記述された(Kim,H.J.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,319−326頁)。本発明では、アセチル−リジンに対する抗体(Cell Signaling Technology),Myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology)及びHA(12CA5、Roche)を使用した。
<実施例2>リポーター分析及び免疫ブロット
<2−1>形質導入(transfection)
293細胞は、カルシウムフォスファート方法で形質導入を遂行し、C2C12細胞株とRunx2(−/−)マウス頭蓋骨(calvaria)から製造されたH1−127−21−2細胞株(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁)は、リポフェクタミンプラス試薬(Lipofectamin PLUS REAGENT;invitrogen)で、製造者の指示事項にしたがって形質導入を遂行した。
<2−2>リポーター分析(Reporter Assay)
ルシフェラーゼ分析のために、細胞を形質転換一日前に24ウェルプレートにプレーティングして、細胞はルシフェラーゼリポータープラスミドと多様なRunx2コンストラクトで共形質導入(co−transfection)した。形質導入36時間後に細胞を回収してルミノメーター(luminometer)を利用して細胞破砕液でルシフェラーゼリポーター分析キット(Luciferase Reporter Assay Kit;Promega)の製造者指示事項にしたがって、ルシフェラーゼとベータ−ガラクトシダーゼ活性検査を実施した。pCMVbeta−Gal(beta−Galactosidase、Clontech Laboratory)プラスミドは、形質転換効率確認のための対照群に使用した。
<実施例3>免疫沈降(immunoprecipitation)と免疫ブロッティング(immunoblotting)
形質導入後に、C2C12と293細胞を氷で冷やした細胞溶解緩衝溶液(25mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、1%NP−40、0.25%Na デオキシコール酸、10%グリセロール、25mM NaF、1mM EDTA、1mM Na3VO4、250mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、10mg/ml レウペプチン、10mg/mlアプロチニン)で破砕して遠心分離後、上澄み液を回収した。これを各々の実験に適合する1次及び2次抗体とタンパク質Aまたはタンパク質G−セファロースビード(G−Sepharose bead、Amersham)を利用して4時間免疫沈降を実施した。すべての定温放置(incubation)は、4℃で実施した。セファロースビードを洗浄した後、ビッドに結合しているタンパク質をSDS−PAGEで分離してPDVF膜に移動させた。最後に、各々の実験に適合する抗体と定温放置して洗浄した後、西洋わさび過酸化酵素(horseradish peroxidase)が結合された2次抗体と定温放置した。洗浄後、反応タンパク質をECL(enhanced chemiluminescence reagent、amersham bioscience)で可視化した。
【0078】
HDAC阻害剤処理時には、C2C12細胞または293細胞を形質転換させた後、一日の間新鮮な培地で培養して、表示された濃度の阻害剤(トリコスタチンA(TSA)、CHAP、及びSCOP)などを16時間、各々コマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)とニシノ等(Nishino N.等,Org.Lett.,2003年,第5巻,5079−5082頁)の方法にしたがって処理した。
<実施例4>BMP−2によるRunx2のアセチル化関与度の測定
<4−1>BMP−2によるRunx2タンパク質の安定性増加確認
本発明者は、Runx2がBMP−2信号伝達経路の主要ターゲットで、BMP−2がRunx2の転写レベルを調節するので(Lee K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年、第20巻,8783−879頁)Runx2の転写の後レベルにもBMP−2が関与するのかを確認してみた。詳細には、BMP−2を300ng/l添加するか添加しない状態で、C2C12多能性幹細胞(pluripotent mesenchymal precursor cell)をmyc標識されたRunx2で形質転換させた後、抗−myc抗体を利用してウエスタンブロットを実施した。その結果、BMP−2処理した方でRunx2のタンパク質量がずっと多く現れた(図1)。前記結果は、HA標識されたRunx2とBMP受容体1(BMPR1)の量を0、0.25、0.5、1、2μgに漸次増加させながら一緒に発現させた結果、BMPR1の量に比例してRunx2の発現が増加することを通じて検証された(図2)。また、myc標識されたRunx2で293細胞を形質転換させてタンパク質合成抑制剤であるシクロヘキサミド(CHX)40μg/mlを処理した後、BMPR1を入れるか入れないで、0、2、4、6、8、12時間後、myc抗体でウエスタンブロットを実施した結果、Runx2の半減期は、12時間、BMPR1を入れなかった時は2時間であった(図3)。形質転換されたRunx2遺伝子のBMP−2媒介転写活性の効果を排除するために、本発明者は、BMP−2が転写を活性化させてRunx2が増加するのかを調べるため、定量的なRT−PCR実験を実施した。詳細には、293細胞をp300で形質転換させたりBMP−2を処理したりした後、Runx2の発現レベルを詳しく調べた。耐性のRunx2は、配列番号3と4で表されるプライマーを利用し、外来のRunx2は、配列番号5と6で表されるプライマーを利用して下記のように定量的なRT−PCRを実施した。PCR反応条件は、DNA重合酵素(Taq polymerase、タカラ社)を使用し、プライマー対と鋳型を95℃で5分間変性させて、95℃で30秒、55℃で1分及び72℃で1分間反復して反応させ、25回反応後から30回まで反応液の1/20を取ってアガロースゲル電気泳動方法で分析した。その結果、内因性のRunx2mRNA量は増加したが、外部から導入したRunx2mRNA量は変化がないことを確認した(図4)。これは、外部から導入したRunx2タンパク質のBMP−2による蓄積は、転写増加とは無関係でタンパク質安定性増加と関連あることを示す。
<4−2>BMP−2によるRunx2アセチル化確認
本発明者は、Runx2がユビキチン−プロテオソーム(ubiquitine−proteosome)経路によって分解されて、アセチル化(acetylation)が前記ユビキチン化を抑制することにより、BMP−2がRunx2のアセチル化を誘発してRunx2を安定化させたのかを確認した。詳細には、BMP−2とp300の存在または不在下でC2C12細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させて抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して、抗−Myc抗体でウエスタンブロットすることによってRunx2のアセチル化を確認した(リジン(Lys)は、Runx2内でアセチル化が起きる残基である)。その結果、BMP−2またはp300が存在する時のみウエスタンブロットでバンドが確認され、BMP−2とp300が一緒に存在する時、さらに強いバンドが確認された(図5)。これは、Runx2が、BMP−2処理によってp300によるアセチル化が促進されるということを示す。
<実施例5>p300によるRunx2アセチル化確認
本発明者は、p300がSMAD、Runx2と結合して(Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁;Shen,X.等,Mol.Biol.Cell,1998年,第9巻,3309−3319頁)Runx1、Runx3をアセチル化させるので(Gronroos等,Mol.Cell,2002年,第10巻,483−493頁;Jin Y.H.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−2941頁;Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁)Runx2が、p300によってもアセチル化されるかどうかを確認した。詳細には、実施例4と同じ方法で実験し、p300とBMPR1を処理した。その結果、p300が存在する時ウエスタンブロットでバンドが確認され、p300とBMPR1が存在する時さらに強いバンドが確認されたので、Runx2はp300によってアセチル化されたことが分かり、またBMP−2によってp300−媒介されたRunx2アセチル化が増加されたことが分かる(図6)。
【0079】
前記結果によって、p300が媒介されたRunx2アセチル化が、BMP−2信号伝達経路によってRunx2タンパク質蓄積を起こすということを確認した。
<実施例6>Runx2のアセチル化部位確認
Runx2は、10個のリジン残基があり、Runx2の中間部位に7個のリジン残基を含み、C−末端に2個の残基を有している(図8)。Runx2のどの部位のリジン残基がアセチル化になるのかを確認するために、Runx2欠失変異体Runx2−KRをp300と一緒に発現させて抗‐アセチルリジン抗体で免疫沈降させた結果、C−末端が中間部位よりさらに多くアセチル化されたことを確認した(図9)。より詳細には、リジンをアルギニンに置換した変異体で実験した結果では、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列の225、230、350及び351番目リジンが、p300のアセチル化活性に対する主要ターゲットであることを明らかにした(図10)。
<実施例7>Runx2アセチル化によるSmurf1−媒介分解阻害確認
Runx2の半減期は、約2時間であるが、p300と一緒に発現させると非常に安定する一方、225、230、350、351番目リジンが欠失した変異体Runx2−KR225、230、350及び351は、p300がなくても非常に安定した(図11)。このような結果は、Runx2のリジン残基が変異されなければ分解に非常に敏感であるが、変異するとRunx2が分解されることを防止することができるということを示す。
【0080】
Smurf1は、Runx2のユビキチンリガーゼでRunx2を認識して、プロテオソームによって分解されるようにするので(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12584−12589頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)Smurf1を過発現させると、Runx2は早く分解されるが(図12)、p300を追加して発現させると、Smurf1−媒介Runx2分解が相殺される。一方、Runx2−KR225、230、350及び351変異体は、Smurf1媒介分解によって分解されない。本発明者は、Runx2のPPxYがSmurf1のWWドメインと反応するので(Otte,L.等,Protein Sci.,2003年,第12巻,491−500頁)(図8)、PPxYが欠失したRunx2−del−415−418と415のプロリンをアルギニンに置換した変異体Runx2−P415Rを作って実験した結果(Michaels A.Innis等,PCR protocols:a guide to method and applications,Qcademic Press,Inc.,1990年)、Runx2−del−415−418とRunx2−P415Rが、非常に安定したこと、すなわちSmurf1によって分解されないことを確認した(半減期24時間以上)(図11)。前記結果から、225、230、350及び351番目リジンが、p300媒介アセチル化及びSmurf1媒介ユビキチン化の標的であることを確認した。
<実施例8>HDACとRunx2アセチル化
<8−1>HDAC阻害剤によるRunx2アセチル化確認
Runx2アセチル化レベルは、アセチル化と脱アセチル化間の動的平衡(dynamic equilibrium)によって決定される。したがって、脱アセチル化を抑制すると、Runx2アセチル化が増加するはずなので、大部分のタンパク質を脱アセチル化させるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤をRunx2に処理した。詳細には、HDAC阻害剤であるSCOP304、SCOP402、SCOP152、CHAP27、SAHA、MS−275、FK228、トラフォキシンB(TrafoxinB)、オキサムフラチン(Oxamflatin)をmyc標識されたRunx2で形質転換させたC2C12細胞に、コマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)の方法によって処理した。抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して、抗−myc抗体でウエスタンブロットした結果、前記HDAC阻害剤を処理したC2C12細胞は、Runx2のアセチル化の増加が観察された(図13)。Runx2のHDAC4またはHDAC5との物理的相互作用は、免疫共沈殿方法によって確認され(図14)、HDAC4またはHDAC5によるRunx2脱アセチル化は、Runx2とHDACをトランスフェクションした後、抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して抗−myc抗体でウエスタンブロットした結果として確認された(図15)。
【0081】
前記のようにHDACによってRunx2のアセチル化が減少して、脱アセチル化の抑制によってアセチル化の増加した結果は、Runx2アセチル化/脱アセチル化が可逆的な過程で、HDACがRunx2ジアセチル化に生理学的イフェクターとして作用することができるということを示す。
<実施例9>HDAC阻害剤によるRunx2転写活性の促進
Runx2のアセチル化レベルを増加させるHDAC阻害剤が、実際にRunx2の転写活性を促進することができるのかどうかを確認するために、Runx2とpGL3−TβRE−lucリポーター(reporter)を過発現させた293細胞に各々のHDAC阻害剤を処理した。Runx2の転写活性は、ルシフェラーゼレポートアッセイ(Luciferase report assay)を行って評価した。ルシフェラーゼアッセイは、製造者(Promega)の指示事項にしたがって実施した。その結果、Tubacin、SAHA、MS−275、トラフォキシンB(TrafoxinB)、オキサムフラチン(Oxamflatin)、CHAP27、CHAP31、SCOP152、SCOP304、SCOP402が、Runx2の転写活性を増加させた(図16)。したがって、HDAC阻害剤がRunx2のアセチル化レベルを増加させるだけではなく、Runx2の転写活性も増加させるということを確認した。
<実施例10>HDAC阻害剤による造骨細胞分化促進確認
<10−1>HDAC阻害剤によるアルカリフォスファターゼの活性化確認
本発明者は、Runx2が造骨細胞(osteoblast)分化の主な調節因子でBMP−2信号伝達の主なターゲットであるから、Runx2アセチル化を増加させてRunx2を安定化させるHDAC阻害剤も、造骨細胞分化を誘導することができるかどうか調べた。
【0082】
詳細には、C2C12多能性幹細胞に各々のHDAC阻害剤を処理した後、3.7%ホルムアルデヒド(formaldehyde)で10分間固定させてウエスタンブルー基質(Western Blue substrate、Promega)を加えて、10分間発色させる活性染色法(Katagiri等,J Cell Biol.,1775年,第127巻,1755−66頁)で、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。造骨細胞分化の初期表現形質であるアルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase、ALP)の活性を肉眼で観察した結果、TSA、SAHA、MS−275、FK228、オキサムフラチン(Oxamflatin)、CHAP27、SCOP152、SCOP304、SCOP402は、ALPの活性を増加させることを確認した(図18)。
<10−2>HDAC阻害剤によるオステオカルシンの発現促進確認
本発明者は、Runx2アセチル化が造骨細胞分化を刺激することができるのか確認するまた他の方法として、造骨細胞分化の後期表現形質であるオステオカルシン(osteocalcin、OC)の発現を誘導するのかどうか、すなわちHDAC阻害剤がOCプローモーターに影響を及ぼすのかどうか実験した。
【0083】
詳細には、Runx2(−/−)マウス頭蓋骨から製作したH1−127−21−2細胞(Lee等,Mol.Cell.Biol.,2000年,第20巻,8783−879頁)に、pCS4−3Myc−RunxとpGL2−1050 OC−lucを形質導入して過発現させて、前記細胞にHDAC阻害剤であるSCOP304をHDAC阻害剤処理方法(Nishino N.等,Org.Lett.,2003年,第5巻,5079−5082頁)によって処理した後、製造者の指示事項にしたがってルシフェラーゼレポートアッセイ(Luciferase report assay)を実施して、OCプローモーター活性を評価した。その結果、HDAC阻害剤はRunx2単独の時より、OCプローモーターを2〜4倍活性化させるということを確認した(図19)。OCプローモーター内のRunx2結合部位(OSE)は、HDAC阻害剤やRunx2過発現によってOCプローモーター活性が完全に除去された(図19)
また、RT−PCRを利用してHDAC阻害剤が、OC遺伝子発現に影響を及ぼすのかどうか調べた。詳細には、配列番号7と8で表されるプライマーを使用して下記のような条件でRT−PCRを実施して、OC遺伝子の発現量を調べた。DNA重合酵素(Taq polymerase、タカラ社)を使用して、前記記載したプライマー対と鋳型を95℃で5分間変性させて、95℃で30秒、55℃で1分及び72℃で1分間30回反応させて、72℃で10分間延長(extension)して反応を終結した。その結果、HDAC阻害剤は、Runx2存在下でOC発現を3倍増加させた。これは、OCプローモーター活性分析結果と一致する(図20)。
<実施例11>Runx2アセチル化による特異的なOC発現増加確認
OC発現は、Dlx5(Lee,M.H.等,J.Cell Biochem.,1999年,第73巻,114−125頁)または、Osterix(Osx)(Nakashima,K.等,Cell,2002年,第108巻,17−29頁)のような他の骨形成転写因子によって調節されるので、本発明者は、前記<実施例10>と同一プライマー及び同一RT−PCR条件を使用して、Runx2がOCプローモーター活性化のためのHDAC阻害剤の特異的な標的なのかどうか調べた。Runx2、Dlx5(Lee M.H.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,34387−34394頁)及びOsterix(Nakashima,K.等,Cell,2002年,第108巻,17−29頁)遺伝子をRunx2(−/−)細胞にリポフェクタミン+プラス試薬(Lipofectamin PLUS REAGENT;invitrogen)で製造者の指示事項によって形質導入を遂行して、6時間後にHDAC阻害剤を処理した。その後、24時間経過後、オステオカルシン(OC)mRNAレベルを、RT−PCR方法で分析した。OC mRNAの増幅に利用したプライマー対とRT−PCR反応条件は、<実施例10−2>で使用した方法と同一である。
【0084】
その結果、Runx2が発現されないRunx2(−/−)細胞で外来のRunx2は、OC発現を増加させたし、HDAC阻害剤を追加するとOC発現をさらに増加させた。一方、Dlx5またはOsxは、OC発現を若干増加させたが、HDAC阻害剤を追加してもOC発現を増加させることができなかった(図21)。このような結果は、三種類の骨形成転写因子中でRunx2だけが、造骨細胞分化においてHDAC阻害剤の唯一の標的であることを示す。
<実施例12>HDAC阻害剤による骨形成の促進
本発明者は、骨形成においてHDAC阻害剤の役割を確認するために、CHAP27、SCOP402及びSCOP304が生体内で、げっ歯類の骨膜性骨形成(periosteal bone formation)にどんな影響を及ぼすのか調べた。詳細には、マウスの頭蓋骨(calvarial)近くの皮下内に10μlのHDAC阻害剤(60uM)を注射した(Zhao等,J.Biol.Chem.,204年,第279巻,12854−12859頁)。2週後にマウスを犠牲にして、ヘマトキシン・エオジン(Hematoxyline & Eosine)組織染色(Cell Biology.Second edition,Edited by Julio E.Celis.Published by Academic Press,1994年)を行って組織を観察した結果、CHAP27とSCOP304が著しい骨形成促進効果を示すことを確認した(図22)。
【0085】
以上の実験結果は、HDAC阻害が生体内で骨形成を促進させてRunx2のアセチル化と脱アセチル化が造骨細胞の機能を調節する重要なメカニズムであるということを示唆する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
前記で詳しくみたように、本発明のRunx2のアセチル化によってRunx2活性を増加させる方法は、Runx2分解を抑制することで骨形成を促進させて、骨粗しょう症、骨形成不全症、歯周疾患、骨折などの骨疾患治療に効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】BMP−2による細胞内Runx2タンパク質の量的増加を測定した結果を示したウエスタンブロット写真である。
【図2】BMP受容体(BMPRI)によるRunx2のタンパク質の量的増加を測定した結果を示したウエスタンブロット写真である。
【図3】myc標識されたRunx2で細胞を形質転換させた後、シクロヘキサミド(CHX)で処理してBMP−2の存在または不在下にRunx2タンパク質量の減少速度差を示したウエスタンブロット写真である。
【図4】p300で形質転換させたりBMP−2で処理したりして、定量的なRT−PCRによってRunx2の発現量を比べた結果を示した写真である。
【図5】myc標識されたRunx2とp300をBMP−2の不在または存在下に細胞で発現させた後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図6】myc標識されたRunx2をBMPRIまたはp300または両方の存在下に細胞で発現させた後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図7】一定量のmyc標識されたRunx2とp300の量を段々ふやして共形質導入した後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図8】Runx2のリジン残基の概路図である。
【図9】p300とmyc標識された全長または切断したRunx2で形質転換した後、Runx2のアセチル化を示したウエスタンブロット写真である。
【図10】p300と多様なmyc標識されたRunx2リジン変異を、細胞に形質導入後、Runx2のアセチル化を示したウエスタンブロット写真である。
【図11】myc標識されたRunx2、様々なRunx2変異を細胞に形質導入して、シクロヘキサミド(Cycloheximide;CHX)を処理した後、Runx2タンパク質量の減少速度差を示したウエスタンブロット写真である。
【図12】myc標識されたRunx2、様々なRunx2変異とSmurf1の量を段々増加させて共形質導入した後、p300の存在または不在下にRunx2の量を測定した結果を示した写真である。
【図13】myc標識されたRunx2を細胞で発現させた後、HDAC阻害剤を処理してRunx2とそのアセチル化レベルを測定した結果を示した写真である。
【図14】HA標識されたRunx2をmyc標識されたHDAC4またはHDAC5と共形質導入した後、免疫沈降法で相互作用の有無を確認した結果を示した写真である。
【図15】myc標識されたRunx2をHDAC4またはHDAC5及びp300と一緒に発現させた後、Runx2とそのアセチル化レベルを測定した結果を示した写真である。
【図16】一定量のpGL3−TβRE−lucとRunx2を一緒に発現させた後、HDAC濃度を増加させてルシフェラーゼアッセイを実施した結果を示した写真である。
【図17】リジン残基をアルギニンに置換した後、ルシフェラーゼアッセイを実施すると、Runx2の遺伝子発現促進活性が除去されることを示した写真である。
【図18】BMP−2の存在下にHDACの濃度を増加させて造骨細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)アッセイを実施した結果を示した写真である。
【図19】正常のOSEと突然変異OSEをRunx2の存在または不在下に細胞に形質導入して、ルシフェラーゼアッセイを実施した結果を示した写真である。
【図20】Runx2で形質転換させた後、HDAC阻害剤を処理してオステオカルシン発現レベルを測定した結果を示した写真である。
【図21】Runx2、Dlx5またはOsx発現プラスミドを形質導入して、HDAC阻害剤を処理してオステオカルシン発現レベルを測定した結果を示した写真である。
【図22】HDAC阻害剤によって生体内で骨形成が促進される結果を示した顕微鏡写真である。
【配列表フリーテキスト】
【0088】
配列番号3と4は、耐性のRunx2を増幅させるための正方向及び逆方向プライマーである。
【0089】
配列番号5と6は、外来のRunx2を増幅させるための正方向及び逆方向プライマーである。
【0090】
配列番号7と8は、OC遺伝子のRT−PCRを実施するための正方向及び逆方向プライマーである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、BMPの主要標的タンパク質であるRunx2をアセチル化してRunx2活性を増加させることによってBMPの活性を亢進させる方法に関するもので、より詳細には、Runx2をアセチル化してユビキチン化による分解を抑制することでRunx2の安定性を高めて、BMPによる骨形成経路を活性化させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
骨疾患は、主に骨密度が減少して起きる疾患であり、代表的骨疾患には骨粗しょう症と歯周疾患がある。これは骨密度が減少して骨折または歯が簡単に抜ける症状を誘発する疾患であり、このような骨疾患は、高齢化が急速に進行している過程で生活の質を低下させる深刻な社会問題になっている。このような骨疾患の治療のために多くの研究が進行されている。
【0003】
骨組織には、骨代謝に深く関与する3種の代表的な細胞、すなわち造骨細胞、破骨細胞、骨細胞が存在し、骨組織の機能と量は、造骨細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の平衡関係によって綿密に調節される。骨粗しょう症や歯周疾患は、骨形成と骨吸収の平衡関係が維持されないで骨吸収が骨形成より増加するために起きる疾患である。
【0004】
骨粗しょう症や歯周疾患などの骨疾患予防及び治療は、破骨細胞による骨吸収を抑制して、造骨細胞による骨形成を促進させることによってなされる。これまでに、破骨細胞の機能阻害活性を有する骨吸収抑制剤が主に開発され、破骨細胞の機能を阻害するカルシトニン(calcitonin)、ビスホスホネート(bisphosphonate)誘導体などが、現在臨床に応用されている。しかし、前記の薬剤は、効能や薬効、投与方法及び期間などにおいて多くの問題点を有している。
【0005】
最近では、破骨細胞の分化を抑制するRANKL(receptor activator of NF ligand)のデコイ受容体及び抗体、破骨細胞がインテグリンを通じて骨表面に接着することを阻害するペプチド化合物、破骨細胞の骨吸収機能を阻害するc−srcチロシンキナーゼ(tyrosine kinase)阻害剤、ハイドロキシアパタイト(hydroxyapatite)の分解と関連した液胞型ATPase阻害剤、骨組織内有機物の分解と関連したカテプシンK阻害剤の開発が活発に進行されている。
【0006】
前記のように、破骨細胞による骨吸収抑制剤開発には多くの研究が進行されて来たが、造骨細胞による骨形成促進剤の開発に対しては、ほとんど研究されていない。現在は、BMP(Bone Morphogenic Protein、特に−2、−4、−7)やPTH(parathyroid hormone)が骨形成を促進する物質として知られていて、PTHが間欠的全身投与によって生体内(in vivo)研究で骨形成を促進させる活性があるということが報告されている。BMPの場合には、全身投与によって骨形成が誘導されたという実験結果はない。しかし、BMPの発現を誘導する低分子物質であるスタチンは、生体内で骨形成を促進するということが知られていて(Mundy等,science,1999年,第286(5446)巻,1946−1949頁)、BMPによる信号伝達体系を研究すると、生体内で骨形成因子の生産及び活性を促進させて骨形成を誘導する低分子物質の開発可能性が大きいと考えられる。
【0007】
最近Runx2遺伝子に関する研究が非常に発展している。Runxファミリーには、Runx1、Runx2及びRunx3があって、癌細胞の発達過程で重要な役割をすることが知られている。最近の研究成果によると、Runx2(Runx Domain transcription factor)は、骨分化に深い関連があるということが明らかにされたが、造骨細胞の分化の初期表現形質であるアルカリフォスファターゼ(ALP)と後期表現形質であるオステオカルシン(OC)の発現を調節する重要な転写因子で(Ducy,P.等,Cell,1997年,第89巻,747−754頁;Mundlos,S.等,Cell,1997年,第89巻,773−779頁;Komori,T.等,Cell,1997年,第89巻,755−764頁;Otto,F.等,Cell,1997年,第89巻,765−771頁)、前記Runx2の発現は、BMPによって活性化になった信号伝達媒体であるSmads(Avantaggiati,M.L.等,Cell,1997年,第89巻,1175−1184頁;Hanai,J.等,J.Biol.Chem.,1999年,第274巻,31577−31582頁;Jin,Y.H.等、J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−29417頁)によって調節されることが知られている(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁)。また、Smurf1(Smad ubiquitin regulatory factor 1)がユビキチン(ubiquitin)媒介されたRunx2のタンパク質分解の原因分子であり、造骨細胞の前駆細胞でSmurf1が過発現されると、BMPによる信号伝達と造骨細胞の分化を阻害することが報告されている(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12854−12859頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)。
【0008】
以上のことに鑑みて、本発明者は、BMPによるRunx2の調節メカニズムを明らかにすると、骨形成を促進する物質を捜し出すことができると判断して研究した結果、BMPがRunx2のアセチル化を増加させることによって、Smurf1によってRunx2が分解されることを抑制して、骨細胞の分化を促進することを明らかにして、BMPによるRunx2のアセチル化を増加させる薬物、すなわちヒストンデアセチラーゼ(histone deacetylase、HDAC)阻害剤を使用してRunx2の分解を抑制すると、骨形成を促進することができることを確認することによって本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、Runx2をアセチル化して安定化できる方法を提供することにより、骨形成促進によって、骨粗しょう症、骨形成不全症、歯周疾患、骨折などの骨疾患の予防及び治療を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2による骨形成を増加させる方法を提供する。
【0012】
また、本発明は、BMP−2(Bone Morphogenetic Protein−2)の機能を亢進させる、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含むRunx2アセチル化剤を提供する。
【0013】
また、本発明は、Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む、骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0014】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0015】
本発明は、Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法を提供する。
【0016】
Runx2は、骨生成(osteogenesis)の調節子として骨−特異的な(bone−specific)遺伝子の発現調節において重要な物質である。このようなRunx2は、様々な信号伝達経路によって調節され、その中には骨形成タンパク質(bone morphogenetic protein、BMP)が媒介する信号伝達経路も含まれている。BMPは、SmadのRunx2との結合を誘導して骨成長を促進して骨形成を誘導する。
【0017】
Runx2は、MAPK(mitogen−activated protein kinase)経路によってリン酸化されて活性化する。この経路は、ECM(extracellular matrix)、BMPのような骨形成因子、PTH(parathyroid Hormone)のようなホルモンなどによって刺激される。
【0018】
リジン残基で起きるタンパク質ユビキチン化(protein ubiquitination)は、基質選択及び引き継いで起きるプロテオソーム(proteosome)による分解において、重要な役割をする。Runx2は、Smurf1(smad ubiquitination regulatory factor 1)が媒介したユビキチン化(ubiquitination)によって分解される。Smurf1が、過発現すると、Runx2が分解されて、それによりBMP−2による信号伝達が遮断されて造骨細胞分化が抑制される。
【0019】
今まで、前記のような事実以外に、Runx2タンパク質が詳細にはどんな分子的機序によって調節されるのかは、知られていなかったが、本発明者はこのような信号伝達がRunx2のアセチル化によるものであることを明らかにした。本発明者は、Runx2がBMP信号伝達経路の主要ターゲットであり、BMPがRunx2の転写レベルを調節することを確認し(Lee K.S等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−879頁)、さらにRunx2の翻訳後(posttranslation)レベルにもBMPが関与するのかを調査した。詳細には、BMP−2の存在または不在下において、多能性幹細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させた後、抗−myc抗体を用いてウエスタンブロットを実施した。その結果、BMP−2を処理した方でRunx2タンパク質量がより多く現れることを観察した(図1)。この結果から、BMP−2が翻訳後の段階でRunx2を調節することを確認した。前記結果を検証するために、BMP receptor 1(BMPR1)の量を増加させながらHA−標識Runx2を一緒に発現させた結果、BMPR1の量に比例してRunx2の発現が増加され(図2)、Runx2の半減期は、BMPR1の存在時は12時間であるのに対し、BMPR1の不在時はわずか2時間であった(図3)。前記結果は、BMP信号伝達体系によるRunx2のアップレギュレーション(up-regulation)は、Runx2の半減期の増加によるものであることを示す。
【0020】
本発明者は、BMPが転写を介してRunx2が増加するのかを調べるためのRT−PCR実験で、内在性のRunx2 mRNAは増加したが、外部から導入したRunx2の量は変化しないことを確認した(図4)。これは、BMP−2による外来Runx2の蓄積は、転写とは無関係でタンパク質の安定性に起因するということを示す。本発明者は、Runx2がユビキチン−プロテオソーム(ubiquitine−proteosome)経路によって分解され、BMP−2によって誘導されたRunx2のアセチル化がRunx2を安定化させたのかを確認した。詳細には、BMP−2の存在または不在下でC2C12細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させて、抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して抗−Myc抗体でウエスタンブロットすることでRunx2のアセチル化を確認した[リジン(Lys)は、Runx2内でアセチル化が起きる残基である]。その結果、BMP−2が存在時にウエスタンブロットでバンドが確認されたが(図5)、これはRunx2がBMP−2処理によってアセチル化されるということを示す。
【0021】
p300タンパク質の第一の機能は、E2F1、p53 Smads、BRCA1及びRunx2などを含む多数の核タンパク質の転写のためのコアクチベーター(co−activator)である。p300は、HAT(Histone Acetyl Transferase)として機能し、ヒストンテール上でのリジン残基特異的なアセチル化は、負電荷を中和し、転写因子にとってよりアクセスしやすいクロマチン構造を生じさせると信じられている。p300はまた、多数の非ヒストンタンパク質をアセチル化することができる。例えば、p300は、E2F1の機能領域をアセチル化してDNA結合能を増加させてタンパク質半減期を増加させる。また、E2F1のアセチル化は、ヒストン脱アセチル化酵素−1(HDAC−1、histone deacetylase−1)によって脱アセチル化され、脱アセチル化によって半減期が増加すると、タンパク質をユビキチン化から保護することができる。なぜなら、アセチル化とユビキチン化はリジン残基で起こるからである。本発明者は、p300がSMAD、Runx2と結合し(Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁;Shen,X.等,Mol.Biol.Cell,1998年,第9巻,3309−3319頁)、Runx1、Runx3をアセチル化させるので(Gronroos等,Mol.Cell,2002年,第10巻,483−493頁;Jin Y.H.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−2941頁;Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁)Runx2が、p300によってもアセチル化されるのかを確認した。より詳細には、BMP−2の代わりにp300を処理して前記のような方法で実験した結果、p300の存在時にウエスタンブロットでバンドが確認されたので、Runx2はp300によってアセチル化されたことが分かり、また、BMPによってp300を介したRunx2アセチル化が増加されたことが分かる(図5)。同様に、BMPR1単独で、またはp300と一緒にRunx2アセチル化を増加させてタンパク質を蓄積させた(図6)。前記結果は、一定量のRunx2とp300の量を増やして形質導入した時、p300の量が増えるにつれてRunx2のアセチル化とタンパク質レベルが増加する実験結果から検証された(図7)。前記結果によって、BMP信号伝達経路でp300によるRunx2アセチル化が、Runx2タンパク質蓄積を起こすということを確認した。
【0022】
一方、Runx2は、10個のリジン残基があり(図22)、Runx2の中間部位に7個のリジン残基を含み、C−末端に2個の残基を有している。Runx2のどの部位のリジン残基がアセチル化するのかを確認するために、Runx2欠失変異体Runx2−KRをp300と一緒に発現させて抗アセチルリジン抗体で免疫沈降させた結果、C−末端が中間部位よりさらに多くアセチル化されたことを確認した(図9)。より詳細には、リジンをアルギニンで置換した変異体を使用して実験した結果では、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列の225、230、350及び351番目のリジンが、p300のアセチル化活性に対する主要ターゲットであることを明らかにした(図10)。また、Runx2の半減期は約2時間であるが、p300と一緒に発現させると非常に安定する一方、225、230、350、351番目リジンが欠失した変異体Runx2−KR225、230、350及び351は、p300がなくても非常に安定だった(図11)。このような結果は、Runx2のリジン残基が変異されなければ分解に非常に敏感であるが、変異するとRunx2が分解されることを防止することができるということを示す。
【0023】
Smurf1は、Runx2のユビキチンリガーゼでRunx2を認識してプロテオソームによって分解されるようにするので(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12584−12589頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)Smurf1を過発現させるとRunx2は早く分解されるが(図12)、p300を追加して発現させると、Smurf1−媒介Runx2分解が相殺される。一方、Runx2−KR225、230、350及び351変異体は、Smurf1媒介分解によって分解されない。本発明者は、Runx2のPPxYがSmurf1のWWドメインと反応するので(Otte,L.等,Protein Sci.,2003年,第12巻,491−500頁)(図22)、PPxYが欠失されたRunx2−del−415−418と415のプロリンをアルギニンに置換した変異体Runx2−P415Rを作って実験した結果、Runx2−del−415−418とRunx2−P415Rが非常に安定したこと、すなわちSmurf1によって分解されないことを確認した(半減期24時間以上)(図11)。前記結果から225、230、350及び351番目リジンが、p300媒介アセチル化及びSmurf1媒介ユビキチン化の標的であることを確認した。すなわち、Runx2がアセチル化されると、Runx2内のリジン残基を認識することができないのでSmurf1によるRunx2分解が抑制される。
【0024】
Runx2アセチル化レベルは、アセチル化と脱アセチル化間の動的平衡(dynamic equilibrium)によって決定する。したがって、脱アセチル化を抑制すると、Runx2アセチル化が増加するはずなので、大部分のタンパク質を脱アセチル化させるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤をRunx2に処理した。詳細にはは、HDAC阻害剤をmyc標識されたRunx2で形質転換させたC2C12細胞にコマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)の方法によって処理した。その結果、前記HDAC阻害剤を処理したC2C12細胞は、Runx2のアセチル化が増加した(図13参照)。前記のように脱アセチル化を抑制するとアセチル化が増加したことは、Runx2アセチル化/脱アセチル化が可逆的な過程で、HDACがRunx2脱アセチル化に生理学的イフェクターとして作用することができるということを示す。それだけではなく、Runx2と結合して転写(transcription)を起こすTGF−ベータ反応因子が挿入されたTβREルシフェラーゼリポーター(TβRE−luc)プラスミドで実験した結果、HDAC阻害剤処理時リポーター遺伝子の活性が促進される結果が観察された。これは、HDAC阻害剤によってRunx2の転写活性が増加することを示すものである(図16)。
【0025】
一方、本発明者は、ヒストンデアセチラーゼが実際にRunx2を脱アセチル化させるかどうかを調べるために、Runx2と多様なヒストンデアセチラーゼを共形質導入した実験を実施した結果、図14に示したように、ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)と5(HDAC5)がRunx2と結合して、図15に示したように、ヒストンデアセチラーゼ4と5がRunx2を脱アセチル化させることを確認した。
【0026】
本発明者は、Runx2のアセチル化が、Runx2の転写活性を増加させるかどうかを調べるために、TGF−ベータ反応因子ルシフェラーゼ(TβRE−Luc)リポータープラスミドとRunx2発現プラスミドを293細胞で一緒に発現させてHDAC阻害剤を細胞に処理した後、ルシフェラーゼの量を測定した結果、HDAC阻害剤によってリポーター遺伝子の活性が増加することを発見した(図16)。これは、Runx2脱アセチル化が抑制されるとRunx2のアセチル化が増加してRunx2の転写活性が増加するということを示すものである。
【0027】
本発明者は、Runx2の転写活性増加が、タンパク質の量が増加するためまたはタンパク質がアセチル化された結果であるということを証明するために、p300がない状態でRunx2及びRunx2−KR変異体の転写活性を測定した。その結果、p300によって標的になるリジン残基を変異させるとRunx2の転写活性が非常に減少し(図17)、さらにp300は、変異Runx2タンパク質の活性を増加させることができなかった。このような結果は、Runx2のアセチル化はRunx2の安定化のために必要であるだけではなく、Runx2の転写活性のためにも必要であることを示す。
【0028】
また、本発明は、Runx2をアセチル化してBMPの活性を亢進させることによって骨形成を増加させる方法を提供する。
【0029】
本発明者は、Runx2で形質転換された多能性細胞(pluripotent cell)に、HDAC阻害剤を処理した後、活性染色法で観察した結果、造骨細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼの活性が増加することを確認し(図18)、骨形成後期誘導物質であるオステオカルシン(osteocalcin、OC)遺伝子のプローモーターを挿入したルシフェラーゼリポータープラスミドで実験した結果、HDAC阻害剤処理時にOCプローモーターの活性が増加することを確認した(図19参照)。オステオカルシン遺伝子自体の発現を調べるRT−PCR実験でも、HDAC阻害剤処理時にオステオカルシンmRNAの発現量が増加することから、前記のOCプローモーター活性増加結果と一致することを確認した(図20参照)。マウスにHDAC阻害剤を皮下注射した後、組織染色法で生体内骨形成誘導有無を確認した結果でも、図22のようにHDAC阻害剤が実際に生体内に骨組織を形成するということを確認した。
【0030】
前記のようにHDAC阻害剤を処理した場合、Runx2のアセチル化とRunx2の転写活性が増加した結果、下記のような直接的な骨形成誘導効果が現れることを確認した。
【0031】
また、本発明は、Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0032】
Runx2のアセチル化を活性化させる物質は、すべて本発明の範囲に属し、好ましくは脱アセチル化酵素阻害剤である。
【0033】
Runx2のアセチル化は、BMP(Bone Morphogenetic Protein)経路によって促進されるので、BMPまたはBMP生産誘導剤を処理する時もアセチル化増加効果がある(図5)。それのみならず、Runx2のアセチル化は、p300(acetyl transferase)とHDAC(histone deacetylase)によってアセチル化と脱アセチル化が調節される動的平衡を成している。したがって、p300とBMP−2によってアセチル化されるのみならず、HDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制されることで、Runx2のアセチル化が増加する。それとともに、BMP−2またはBMP生産誘導剤とHDAC阻害剤を併用して処理すると、BMP−2によってアセチル化が促進されてHDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制され、HDAC阻害剤を単独で処理するよりRunx2のアセチル化を増加させる。実際に、本発明の実験の結果、アセチル転移酵素(p300)処理によってRunx2のアセチル化がさらに増加した。BMP生産誘導剤の例としては、スタチン類化合物であるロバスタチン(Lovastatin)、シムバスタチン(Simvastatin)、コンパクチン(Compactin)があるがこれに限定されない。
【0034】
また、HDAC阻害剤を処理した場合、骨形成初期誘導物質であるアルカリフォスファターゼの活性が増加し(図18)、オステオカルシン遺伝子のプローモーターでリポーターアッセイを実施したりオステオカルシン遺伝子発現を確認するRT−PCR実験でも、HDAC阻害剤処理時のプローモーターの活性が増加及び遺伝子発現を確認した(図19及び図20)。それとともに、マウスにHDAC阻害剤注入時に骨形成が促進されることも確認した(図22)。
【0035】
したがって、前記成分を有効成分として含む組成物は、骨疾患予防及び治療剤に使用することができる。
【0036】
また、本発明は、HDAC阻害剤とBMPまたはHDAC阻害剤とBMP生成促進剤との併用によって、相乗効果を示すことを特徴とする骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0037】
前記のように、Runx2のアセチル化は、BMP(Bone Morphogenetic Protein)経路によって促進され、HDAC(histone deacetylase)によってアセチル化と脱アセチル化が調節される動的平衡を成している。したがって、BMPまたはBMP生産誘導剤とHDAC阻害剤を併用して処理すると、BMPによってアセチル化が促進されてHDAC阻害剤によって脱アセチル化が抑制され、HDAC阻害剤を単独で処理するよりRunx2のアセチル化を増加させるようになる。BMP生成促進剤には、前記のようなスタチン類がある。
【0038】
また、本発明は、追加で破骨細胞抑制剤または破骨細胞分化抑制剤とRunx2アセチル化剤(HDAC阻害剤)の併用による、骨疾患予防及び治療用組成物を提供する。
【0039】
骨組織には、造骨細胞、破骨細胞、骨細胞が存在し、骨粗しょう症や歯周疾患などの骨疾患予防及び治療は、破骨細胞による骨吸収を抑制して、造骨細胞による骨形成を促進させることによって成り立つ。破骨細胞抑制剤には、カルシトニン(calcitonin)、ビスホスホネート(bisphosphonate)誘導体など、市販されている製品とともに、破骨細胞の分化を抑制するRANKLのデコイ受容体やRANKLの抗体、破骨細胞のインテグリンを通じた骨表面への接着を阻害するペプチド化合物、破骨細胞の骨吸収機能を阻害するc−srcチロシンキナーゼ阻害剤、ハイドロキシアパタイトの分解と関連した液胞型ATPase阻害剤、骨組織の主要有機物の分解と関連したカテプシンK阻害剤などをあげることができる。したがって、本発明のHDAC阻害剤と前記破骨細胞抑制剤を平行使用すれば、高い骨疾患治療効果を得ることができる。
【0040】
HDAC阻害剤の単独使用の場合の有効濃度は、10nM〜10μMであり、好ましくは50nM〜1μMである。前記HDAC阻害剤とBMP−2、破骨細胞抑制剤またはスタチン類を併用して使用する場合、10nM〜500nMで効果を得ることができる。ここで、前記有効成分の有効濃度が前記範囲より低い場合には、本発明による相乗効果を得ることができないので好ましくない。
【0041】
前記HDAC阻害剤は、下記化学式(1〜14)で表される化合物またはその誘導体を有効成分として含む薬剤学的組成物であることを特徴とする。
【0042】
<式1>
【化1】
【0043】
一般式:C4H8O2
CA索引名:ブタン酸(Butanoic acid(9Cl))
別称:ブチルサン(6Cl、7Cl、8Cl);1−プロパンカルボキシル酸;エチル酢酸;ハニーラバー(honey robber);NSC8415;プロピルホルム酸;n−ブタン酸;n−ブチル酸
【0044】
<式2>
【化2】
【0045】
一般式:C8H16O2
CA索引名:ペンタン酸(pentanoic acid)、2−プロピル−(9Cl)
別称:バルブロ酸、バレル酸、2−プロピル−(6Cl,7Cl,8Cl);2−プロピルペンタン酸;2−プロピルバレル酸;4−ヘプタンカルボキシル酸;44089;酢酸、ジプロピル−;DPA;デパキン(depakine);ジプロピル酢酸;エルゲニル(ergenyl);ミルプロイン(mylproin);NSC93819;n−ジプロピル酢酸
【0046】
<式3>
【化3】
【0047】
一般式:C21H20N4O3
CA索引名:カルバン酸、[[4−[[(2−アミノ−フェニル)アミノ]カルボニル]フェニル]メチル]−、3−ピリジンメチルエステル(9Cl)
別称:MS27−275;MS275;MS275−27
【0048】
<式4>
【化4】
【0049】
一般式:C14H20N2O3
CA索引名:オクタンジアミド、N−ヒドロキシ−N’−フェニル−(9Cl)
別称:SAHA;スベロイルアニリドヒドロキサム酸(Suberoylanilide hydroxamic acid)
【0050】
<式5>
【化5】
【0051】
一般式:C17H22N2O3
CA索引名:2,4−ヘプタジエンアミド、7−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−N−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−7−オキソ−、(2E,4E,6R)−(9Cl)
別称:2,4−ヘプタジエンアミド、7−[4−(ジメチルアミノ−)フェニル]−N−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−7−オキソ−、[R−(E,E)]−;(R)−トリコスタチンA;TSA;トリコスタチンA
【0052】
<式6>
【化6】
【0053】
一般式:C33H40N4O6
CA索引名:シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)
別称:シクロ(η−オキソ−L−α−アミノオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル)、(S)−;ピロロ[1,2−a][1,4,7,10]テトラアザシクロドデシン、サイクリックペプチド誘導体;RF1023B;トラポキシンB
【0054】
<式7>
【化7】
【0055】
CHAP31 R=CH2
CHAP50 R=C2H4
一般式:C31H39N5O6
CA索引名:シクロ[(2S)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ−)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)
CHAP31
シクロ(−L−Asu(NHOH)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)
CHAP50
シクロ(−L−Asu(NHOH)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pip−)
別称:CHAP
【0056】
<式8>
【化8】
【0057】
FK228
【0058】
<式9>
【化9】
【0059】
オキサムフラチン(Oxamflatin)
【0060】
<式10>
【化10】
【0061】
一般式:C11H16O4
CA索引名:D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5:8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)
別称:(−)−デプデシン;デプデシン(depudecin)
【0062】
<式11>
【化11】
【0063】
一般式:C33H47N5O6
CA索引名:シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)
別称:シクロ(8−オキソ−L−2−アミノデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル);アピシジンB;アピシジンlb
【0064】
<式12>
【化12】
【0065】
SCOP304
一般式:
CA索引名:シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体
別称:化合物7(Nishino等,Org.Lett.,2003年,第5(26)巻,5079−5082頁)
下記のような誘導体も類似の活性を有する。
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−L−Pro)二合体(誘導体a)
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pip)二合体(誘導体b)
シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−L−Pip)二合体(誘導体c)
シクロ(L−Am6(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体d)
シクロ(L−Am8(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体e)
シクロ(L−Am9(−)−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro)二合体(誘導体f)
これらの物質の構造は、次の論文に報告されている(Nishino等,Org.Lett.,2003年,第5(26)巻,5079−5082頁)。
【0066】
<式13>
【化13】
【0067】
SCOP152[シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)]及びその誘導体
【0068】
<式14>
【化14】
【0069】
ツバシン(Tubacin)
【0070】
本発明による前記化学式(1〜14)で表される化合物またはその誘導体は、C2C12細胞においてBMPによるアルカリフォスファターゼ(ALP)活性とオステオカルシン(OC)のタンパク質発現を強力に促進させて、動物実験で骨形成を誘導することにより、臨床的に有用な骨形成促進物質として、骨粗しょう症や歯周疾患などの治療剤として有用に応用することができる。
【0071】
本発明のHDAC阻害剤を有効成分として含む製薬組成物は、臨床投与時に経口または非経口で投与が可能であり、一般的な医薬品製剤の形態で使用することができる。
【0072】
本発明の組成物は、投与のために前記記載した有効成分以外に、追加で薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで製造することができる。薬剤学的に許容可能な担体としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコール及びこれら成分の中で1成分以上を混合して使用することができ、必要によって抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希薄剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。さらに、当該分野の適正な方法でまたはレミントン薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PA)に開示されている方法を利用して各疾患によって、または成分によって好ましく製剤化することができる。
【0073】
本発明の組成物は、目的とする方法によって経口投与したり非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)できて、投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度などによってその範囲が多様である。一回投与量は、HDAC阻害剤の化合物が約0.1〜100mg/kgで、好ましくは1〜10mg/kgであり、ひと月に一回または数回投与するのがさらに好ましい。
【0074】
本発明の組成物は、骨粗しょう症、歯周疾患などを含む骨疾患の予防及び治療のために単独で、または手術、ホルモン治療、薬物治療及び生物学的反応調節剤を使用する方法と併用して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明を下記実施例によって見て詳しく説明する。
【0076】
但し、下記実施例は、本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>細胞培養及びプラスミド製作
<1−1>細胞培養
すべての細胞培養培地と抗体は、インビトロゲン(Invitrogen)から購入した。C2C12(ATCC No.CRL−1772)、293細胞は10%牛胎児血清、抗生剤及び抗−マイコティックス(anti−mycotics)を含むDMEMで5%CO2、37℃で培養した。H1−127−21−2細胞は、10%FBS、ペニシリンG(100U/ml)及びストレプトマイシン(100mg/ml)を含むアルファ−MEMで培養した。
<1−2>プラスミドと抗体
MycまたはHA−標識された全長(full length)Runx2(配列番号2)を挿入して、CMVプロモーターから誘導された哺乳類発現ベクターpCS4−3MycとpCS4−3HAを製作した(Jin等,J Biol Chem.,2004年,第279巻,29409−17頁;Ogawa等,Proc Natl Acad Sci 米国,1993年,第90巻,6859−63頁)。Runx2アセチル化に影響を及ぼす突然変異は、PCRで導入して(Michaels A.Innis等,PCR protocols:a guide to method and applications,Qcademic Press,Inc.,1990年)pCS4−3Mycベクターにクローニングした。BMPreceptor 1(BMPR1)発現プラスミドとHA−p300発現ベクターであるpcDMA3.1HA−p300は、M.Ewen(Dana−Farber Cancer Institute,Harvard Medical School,Boston)から提供を受けた(Genes Dev.,1994年,第8巻,869−84頁)。myc−HDAC発現プラスミドは、pCS4−3Mycにクローニングした。ルシフェラーゼリポータープラスミドpGL3−TbREは、二つのコピーのTbRE(兔疫グロブリンCaプローモーターに由来)を含んでいる(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁;pGL3は、Promega製品)。ラットオステオカルシン(osteocalcin)の−1050/+23部位をpGL2−basicベクター(Promega)にクローニングしたpGL21050 OC−luc(Hoffamann等,J Cell Biochem.,2000年,第80巻,156−68頁)は、Dr.Lianから譲り受けた(Department of Cell Biology,University of Massachusetts Medical Center,Worcester,Massachusetts 01655,米国)。
【0077】
野生型及び突然変異OSE部位[OCプローモーター部位(−208/+23)のRunx2結合部位C]は、以前論文に記述された(Kim,H.J.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,319−326頁)。本発明では、アセチル−リジンに対する抗体(Cell Signaling Technology),Myc(9E10、Santa Cruz Biotechnology)及びHA(12CA5、Roche)を使用した。
<実施例2>リポーター分析及び免疫ブロット
<2−1>形質導入(transfection)
293細胞は、カルシウムフォスファート方法で形質導入を遂行し、C2C12細胞株とRunx2(−/−)マウス頭蓋骨(calvaria)から製造されたH1−127−21−2細胞株(Lee,K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年,第20巻,8783−8792頁)は、リポフェクタミンプラス試薬(Lipofectamin PLUS REAGENT;invitrogen)で、製造者の指示事項にしたがって形質導入を遂行した。
<2−2>リポーター分析(Reporter Assay)
ルシフェラーゼ分析のために、細胞を形質転換一日前に24ウェルプレートにプレーティングして、細胞はルシフェラーゼリポータープラスミドと多様なRunx2コンストラクトで共形質導入(co−transfection)した。形質導入36時間後に細胞を回収してルミノメーター(luminometer)を利用して細胞破砕液でルシフェラーゼリポーター分析キット(Luciferase Reporter Assay Kit;Promega)の製造者指示事項にしたがって、ルシフェラーゼとベータ−ガラクトシダーゼ活性検査を実施した。pCMVbeta−Gal(beta−Galactosidase、Clontech Laboratory)プラスミドは、形質転換効率確認のための対照群に使用した。
<実施例3>免疫沈降(immunoprecipitation)と免疫ブロッティング(immunoblotting)
形質導入後に、C2C12と293細胞を氷で冷やした細胞溶解緩衝溶液(25mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、1%NP−40、0.25%Na デオキシコール酸、10%グリセロール、25mM NaF、1mM EDTA、1mM Na3VO4、250mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、10mg/ml レウペプチン、10mg/mlアプロチニン)で破砕して遠心分離後、上澄み液を回収した。これを各々の実験に適合する1次及び2次抗体とタンパク質Aまたはタンパク質G−セファロースビード(G−Sepharose bead、Amersham)を利用して4時間免疫沈降を実施した。すべての定温放置(incubation)は、4℃で実施した。セファロースビードを洗浄した後、ビッドに結合しているタンパク質をSDS−PAGEで分離してPDVF膜に移動させた。最後に、各々の実験に適合する抗体と定温放置して洗浄した後、西洋わさび過酸化酵素(horseradish peroxidase)が結合された2次抗体と定温放置した。洗浄後、反応タンパク質をECL(enhanced chemiluminescence reagent、amersham bioscience)で可視化した。
【0078】
HDAC阻害剤処理時には、C2C12細胞または293細胞を形質転換させた後、一日の間新鮮な培地で培養して、表示された濃度の阻害剤(トリコスタチンA(TSA)、CHAP、及びSCOP)などを16時間、各々コマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)とニシノ等(Nishino N.等,Org.Lett.,2003年,第5巻,5079−5082頁)の方法にしたがって処理した。
<実施例4>BMP−2によるRunx2のアセチル化関与度の測定
<4−1>BMP−2によるRunx2タンパク質の安定性増加確認
本発明者は、Runx2がBMP−2信号伝達経路の主要ターゲットで、BMP−2がRunx2の転写レベルを調節するので(Lee K.S.等,Mol.Cell Biol.,2000年、第20巻,8783−879頁)Runx2の転写の後レベルにもBMP−2が関与するのかを確認してみた。詳細には、BMP−2を300ng/l添加するか添加しない状態で、C2C12多能性幹細胞(pluripotent mesenchymal precursor cell)をmyc標識されたRunx2で形質転換させた後、抗−myc抗体を利用してウエスタンブロットを実施した。その結果、BMP−2処理した方でRunx2のタンパク質量がずっと多く現れた(図1)。前記結果は、HA標識されたRunx2とBMP受容体1(BMPR1)の量を0、0.25、0.5、1、2μgに漸次増加させながら一緒に発現させた結果、BMPR1の量に比例してRunx2の発現が増加することを通じて検証された(図2)。また、myc標識されたRunx2で293細胞を形質転換させてタンパク質合成抑制剤であるシクロヘキサミド(CHX)40μg/mlを処理した後、BMPR1を入れるか入れないで、0、2、4、6、8、12時間後、myc抗体でウエスタンブロットを実施した結果、Runx2の半減期は、12時間、BMPR1を入れなかった時は2時間であった(図3)。形質転換されたRunx2遺伝子のBMP−2媒介転写活性の効果を排除するために、本発明者は、BMP−2が転写を活性化させてRunx2が増加するのかを調べるため、定量的なRT−PCR実験を実施した。詳細には、293細胞をp300で形質転換させたりBMP−2を処理したりした後、Runx2の発現レベルを詳しく調べた。耐性のRunx2は、配列番号3と4で表されるプライマーを利用し、外来のRunx2は、配列番号5と6で表されるプライマーを利用して下記のように定量的なRT−PCRを実施した。PCR反応条件は、DNA重合酵素(Taq polymerase、タカラ社)を使用し、プライマー対と鋳型を95℃で5分間変性させて、95℃で30秒、55℃で1分及び72℃で1分間反復して反応させ、25回反応後から30回まで反応液の1/20を取ってアガロースゲル電気泳動方法で分析した。その結果、内因性のRunx2mRNA量は増加したが、外部から導入したRunx2mRNA量は変化がないことを確認した(図4)。これは、外部から導入したRunx2タンパク質のBMP−2による蓄積は、転写増加とは無関係でタンパク質安定性増加と関連あることを示す。
<4−2>BMP−2によるRunx2アセチル化確認
本発明者は、Runx2がユビキチン−プロテオソーム(ubiquitine−proteosome)経路によって分解されて、アセチル化(acetylation)が前記ユビキチン化を抑制することにより、BMP−2がRunx2のアセチル化を誘発してRunx2を安定化させたのかを確認した。詳細には、BMP−2とp300の存在または不在下でC2C12細胞をmyc標識されたRunx2で形質転換させて抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して、抗−Myc抗体でウエスタンブロットすることによってRunx2のアセチル化を確認した(リジン(Lys)は、Runx2内でアセチル化が起きる残基である)。その結果、BMP−2またはp300が存在する時のみウエスタンブロットでバンドが確認され、BMP−2とp300が一緒に存在する時、さらに強いバンドが確認された(図5)。これは、Runx2が、BMP−2処理によってp300によるアセチル化が促進されるということを示す。
<実施例5>p300によるRunx2アセチル化確認
本発明者は、p300がSMAD、Runx2と結合して(Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁;Shen,X.等,Mol.Biol.Cell,1998年,第9巻,3309−3319頁)Runx1、Runx3をアセチル化させるので(Gronroos等,Mol.Cell,2002年,第10巻,483−493頁;Jin Y.H.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,29409−2941頁;Kitabayashi I.等,EMBO J.,1998年,第17巻,2994−3004頁)Runx2が、p300によってもアセチル化されるかどうかを確認した。詳細には、実施例4と同じ方法で実験し、p300とBMPR1を処理した。その結果、p300が存在する時ウエスタンブロットでバンドが確認され、p300とBMPR1が存在する時さらに強いバンドが確認されたので、Runx2はp300によってアセチル化されたことが分かり、またBMP−2によってp300−媒介されたRunx2アセチル化が増加されたことが分かる(図6)。
【0079】
前記結果によって、p300が媒介されたRunx2アセチル化が、BMP−2信号伝達経路によってRunx2タンパク質蓄積を起こすということを確認した。
<実施例6>Runx2のアセチル化部位確認
Runx2は、10個のリジン残基があり、Runx2の中間部位に7個のリジン残基を含み、C−末端に2個の残基を有している(図8)。Runx2のどの部位のリジン残基がアセチル化になるのかを確認するために、Runx2欠失変異体Runx2−KRをp300と一緒に発現させて抗‐アセチルリジン抗体で免疫沈降させた結果、C−末端が中間部位よりさらに多くアセチル化されたことを確認した(図9)。より詳細には、リジンをアルギニンに置換した変異体で実験した結果では、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列の225、230、350及び351番目リジンが、p300のアセチル化活性に対する主要ターゲットであることを明らかにした(図10)。
<実施例7>Runx2アセチル化によるSmurf1−媒介分解阻害確認
Runx2の半減期は、約2時間であるが、p300と一緒に発現させると非常に安定する一方、225、230、350、351番目リジンが欠失した変異体Runx2−KR225、230、350及び351は、p300がなくても非常に安定した(図11)。このような結果は、Runx2のリジン残基が変異されなければ分解に非常に敏感であるが、変異するとRunx2が分解されることを防止することができるということを示す。
【0080】
Smurf1は、Runx2のユビキチンリガーゼでRunx2を認識して、プロテオソームによって分解されるようにするので(Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2004年,第279巻,12584−12589頁;Zhao,M.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,27939−27944頁)Smurf1を過発現させると、Runx2は早く分解されるが(図12)、p300を追加して発現させると、Smurf1−媒介Runx2分解が相殺される。一方、Runx2−KR225、230、350及び351変異体は、Smurf1媒介分解によって分解されない。本発明者は、Runx2のPPxYがSmurf1のWWドメインと反応するので(Otte,L.等,Protein Sci.,2003年,第12巻,491−500頁)(図8)、PPxYが欠失したRunx2−del−415−418と415のプロリンをアルギニンに置換した変異体Runx2−P415Rを作って実験した結果(Michaels A.Innis等,PCR protocols:a guide to method and applications,Qcademic Press,Inc.,1990年)、Runx2−del−415−418とRunx2−P415Rが、非常に安定したこと、すなわちSmurf1によって分解されないことを確認した(半減期24時間以上)(図11)。前記結果から、225、230、350及び351番目リジンが、p300媒介アセチル化及びSmurf1媒介ユビキチン化の標的であることを確認した。
<実施例8>HDACとRunx2アセチル化
<8−1>HDAC阻害剤によるRunx2アセチル化確認
Runx2アセチル化レベルは、アセチル化と脱アセチル化間の動的平衡(dynamic equilibrium)によって決定される。したがって、脱アセチル化を抑制すると、Runx2アセチル化が増加するはずなので、大部分のタンパク質を脱アセチル化させるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害剤をRunx2に処理した。詳細には、HDAC阻害剤であるSCOP304、SCOP402、SCOP152、CHAP27、SAHA、MS−275、FK228、トラフォキシンB(TrafoxinB)、オキサムフラチン(Oxamflatin)をmyc標識されたRunx2で形質転換させたC2C12細胞に、コマツ等(Cancer Res.,2001年,第61巻,4459−4466頁)の方法によって処理した。抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して、抗−myc抗体でウエスタンブロットした結果、前記HDAC阻害剤を処理したC2C12細胞は、Runx2のアセチル化の増加が観察された(図13)。Runx2のHDAC4またはHDAC5との物理的相互作用は、免疫共沈殿方法によって確認され(図14)、HDAC4またはHDAC5によるRunx2脱アセチル化は、Runx2とHDACをトランスフェクションした後、抗−アセチル−リジン抗体で免疫沈降して抗−myc抗体でウエスタンブロットした結果として確認された(図15)。
【0081】
前記のようにHDACによってRunx2のアセチル化が減少して、脱アセチル化の抑制によってアセチル化の増加した結果は、Runx2アセチル化/脱アセチル化が可逆的な過程で、HDACがRunx2ジアセチル化に生理学的イフェクターとして作用することができるということを示す。
<実施例9>HDAC阻害剤によるRunx2転写活性の促進
Runx2のアセチル化レベルを増加させるHDAC阻害剤が、実際にRunx2の転写活性を促進することができるのかどうかを確認するために、Runx2とpGL3−TβRE−lucリポーター(reporter)を過発現させた293細胞に各々のHDAC阻害剤を処理した。Runx2の転写活性は、ルシフェラーゼレポートアッセイ(Luciferase report assay)を行って評価した。ルシフェラーゼアッセイは、製造者(Promega)の指示事項にしたがって実施した。その結果、Tubacin、SAHA、MS−275、トラフォキシンB(TrafoxinB)、オキサムフラチン(Oxamflatin)、CHAP27、CHAP31、SCOP152、SCOP304、SCOP402が、Runx2の転写活性を増加させた(図16)。したがって、HDAC阻害剤がRunx2のアセチル化レベルを増加させるだけではなく、Runx2の転写活性も増加させるということを確認した。
<実施例10>HDAC阻害剤による造骨細胞分化促進確認
<10−1>HDAC阻害剤によるアルカリフォスファターゼの活性化確認
本発明者は、Runx2が造骨細胞(osteoblast)分化の主な調節因子でBMP−2信号伝達の主なターゲットであるから、Runx2アセチル化を増加させてRunx2を安定化させるHDAC阻害剤も、造骨細胞分化を誘導することができるかどうか調べた。
【0082】
詳細には、C2C12多能性幹細胞に各々のHDAC阻害剤を処理した後、3.7%ホルムアルデヒド(formaldehyde)で10分間固定させてウエスタンブルー基質(Western Blue substrate、Promega)を加えて、10分間発色させる活性染色法(Katagiri等,J Cell Biol.,1775年,第127巻,1755−66頁)で、アルカリフォスファターゼの活性を測定した。造骨細胞分化の初期表現形質であるアルカリフォスファターゼ(alkaline phosphatase、ALP)の活性を肉眼で観察した結果、TSA、SAHA、MS−275、FK228、オキサムフラチン(Oxamflatin)、CHAP27、SCOP152、SCOP304、SCOP402は、ALPの活性を増加させることを確認した(図18)。
<10−2>HDAC阻害剤によるオステオカルシンの発現促進確認
本発明者は、Runx2アセチル化が造骨細胞分化を刺激することができるのか確認するまた他の方法として、造骨細胞分化の後期表現形質であるオステオカルシン(osteocalcin、OC)の発現を誘導するのかどうか、すなわちHDAC阻害剤がOCプローモーターに影響を及ぼすのかどうか実験した。
【0083】
詳細には、Runx2(−/−)マウス頭蓋骨から製作したH1−127−21−2細胞(Lee等,Mol.Cell.Biol.,2000年,第20巻,8783−879頁)に、pCS4−3Myc−RunxとpGL2−1050 OC−lucを形質導入して過発現させて、前記細胞にHDAC阻害剤であるSCOP304をHDAC阻害剤処理方法(Nishino N.等,Org.Lett.,2003年,第5巻,5079−5082頁)によって処理した後、製造者の指示事項にしたがってルシフェラーゼレポートアッセイ(Luciferase report assay)を実施して、OCプローモーター活性を評価した。その結果、HDAC阻害剤はRunx2単独の時より、OCプローモーターを2〜4倍活性化させるということを確認した(図19)。OCプローモーター内のRunx2結合部位(OSE)は、HDAC阻害剤やRunx2過発現によってOCプローモーター活性が完全に除去された(図19)
また、RT−PCRを利用してHDAC阻害剤が、OC遺伝子発現に影響を及ぼすのかどうか調べた。詳細には、配列番号7と8で表されるプライマーを使用して下記のような条件でRT−PCRを実施して、OC遺伝子の発現量を調べた。DNA重合酵素(Taq polymerase、タカラ社)を使用して、前記記載したプライマー対と鋳型を95℃で5分間変性させて、95℃で30秒、55℃で1分及び72℃で1分間30回反応させて、72℃で10分間延長(extension)して反応を終結した。その結果、HDAC阻害剤は、Runx2存在下でOC発現を3倍増加させた。これは、OCプローモーター活性分析結果と一致する(図20)。
<実施例11>Runx2アセチル化による特異的なOC発現増加確認
OC発現は、Dlx5(Lee,M.H.等,J.Cell Biochem.,1999年,第73巻,114−125頁)または、Osterix(Osx)(Nakashima,K.等,Cell,2002年,第108巻,17−29頁)のような他の骨形成転写因子によって調節されるので、本発明者は、前記<実施例10>と同一プライマー及び同一RT−PCR条件を使用して、Runx2がOCプローモーター活性化のためのHDAC阻害剤の特異的な標的なのかどうか調べた。Runx2、Dlx5(Lee M.H.等,J.Biol.Chem.,2003年,第278巻,34387−34394頁)及びOsterix(Nakashima,K.等,Cell,2002年,第108巻,17−29頁)遺伝子をRunx2(−/−)細胞にリポフェクタミン+プラス試薬(Lipofectamin PLUS REAGENT;invitrogen)で製造者の指示事項によって形質導入を遂行して、6時間後にHDAC阻害剤を処理した。その後、24時間経過後、オステオカルシン(OC)mRNAレベルを、RT−PCR方法で分析した。OC mRNAの増幅に利用したプライマー対とRT−PCR反応条件は、<実施例10−2>で使用した方法と同一である。
【0084】
その結果、Runx2が発現されないRunx2(−/−)細胞で外来のRunx2は、OC発現を増加させたし、HDAC阻害剤を追加するとOC発現をさらに増加させた。一方、Dlx5またはOsxは、OC発現を若干増加させたが、HDAC阻害剤を追加してもOC発現を増加させることができなかった(図21)。このような結果は、三種類の骨形成転写因子中でRunx2だけが、造骨細胞分化においてHDAC阻害剤の唯一の標的であることを示す。
<実施例12>HDAC阻害剤による骨形成の促進
本発明者は、骨形成においてHDAC阻害剤の役割を確認するために、CHAP27、SCOP402及びSCOP304が生体内で、げっ歯類の骨膜性骨形成(periosteal bone formation)にどんな影響を及ぼすのか調べた。詳細には、マウスの頭蓋骨(calvarial)近くの皮下内に10μlのHDAC阻害剤(60uM)を注射した(Zhao等,J.Biol.Chem.,204年,第279巻,12854−12859頁)。2週後にマウスを犠牲にして、ヘマトキシン・エオジン(Hematoxyline & Eosine)組織染色(Cell Biology.Second edition,Edited by Julio E.Celis.Published by Academic Press,1994年)を行って組織を観察した結果、CHAP27とSCOP304が著しい骨形成促進効果を示すことを確認した(図22)。
【0085】
以上の実験結果は、HDAC阻害が生体内で骨形成を促進させてRunx2のアセチル化と脱アセチル化が造骨細胞の機能を調節する重要なメカニズムであるということを示唆する。
【産業上の利用可能性】
【0086】
前記で詳しくみたように、本発明のRunx2のアセチル化によってRunx2活性を増加させる方法は、Runx2分解を抑制することで骨形成を促進させて、骨粗しょう症、骨形成不全症、歯周疾患、骨折などの骨疾患治療に効果的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】BMP−2による細胞内Runx2タンパク質の量的増加を測定した結果を示したウエスタンブロット写真である。
【図2】BMP受容体(BMPRI)によるRunx2のタンパク質の量的増加を測定した結果を示したウエスタンブロット写真である。
【図3】myc標識されたRunx2で細胞を形質転換させた後、シクロヘキサミド(CHX)で処理してBMP−2の存在または不在下にRunx2タンパク質量の減少速度差を示したウエスタンブロット写真である。
【図4】p300で形質転換させたりBMP−2で処理したりして、定量的なRT−PCRによってRunx2の発現量を比べた結果を示した写真である。
【図5】myc標識されたRunx2とp300をBMP−2の不在または存在下に細胞で発現させた後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図6】myc標識されたRunx2をBMPRIまたはp300または両方の存在下に細胞で発現させた後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図7】一定量のmyc標識されたRunx2とp300の量を段々ふやして共形質導入した後、Runx2タンパク質レベルとそのアセチル化レベルを示したウエスタンブロット写真である。
【図8】Runx2のリジン残基の概路図である。
【図9】p300とmyc標識された全長または切断したRunx2で形質転換した後、Runx2のアセチル化を示したウエスタンブロット写真である。
【図10】p300と多様なmyc標識されたRunx2リジン変異を、細胞に形質導入後、Runx2のアセチル化を示したウエスタンブロット写真である。
【図11】myc標識されたRunx2、様々なRunx2変異を細胞に形質導入して、シクロヘキサミド(Cycloheximide;CHX)を処理した後、Runx2タンパク質量の減少速度差を示したウエスタンブロット写真である。
【図12】myc標識されたRunx2、様々なRunx2変異とSmurf1の量を段々増加させて共形質導入した後、p300の存在または不在下にRunx2の量を測定した結果を示した写真である。
【図13】myc標識されたRunx2を細胞で発現させた後、HDAC阻害剤を処理してRunx2とそのアセチル化レベルを測定した結果を示した写真である。
【図14】HA標識されたRunx2をmyc標識されたHDAC4またはHDAC5と共形質導入した後、免疫沈降法で相互作用の有無を確認した結果を示した写真である。
【図15】myc標識されたRunx2をHDAC4またはHDAC5及びp300と一緒に発現させた後、Runx2とそのアセチル化レベルを測定した結果を示した写真である。
【図16】一定量のpGL3−TβRE−lucとRunx2を一緒に発現させた後、HDAC濃度を増加させてルシフェラーゼアッセイを実施した結果を示した写真である。
【図17】リジン残基をアルギニンに置換した後、ルシフェラーゼアッセイを実施すると、Runx2の遺伝子発現促進活性が除去されることを示した写真である。
【図18】BMP−2の存在下にHDACの濃度を増加させて造骨細胞マーカーであるアルカリフォスファターゼ(ALP)アッセイを実施した結果を示した写真である。
【図19】正常のOSEと突然変異OSEをRunx2の存在または不在下に細胞に形質導入して、ルシフェラーゼアッセイを実施した結果を示した写真である。
【図20】Runx2で形質転換させた後、HDAC阻害剤を処理してオステオカルシン発現レベルを測定した結果を示した写真である。
【図21】Runx2、Dlx5またはOsx発現プラスミドを形質導入して、HDAC阻害剤を処理してオステオカルシン発現レベルを測定した結果を示した写真である。
【図22】HDAC阻害剤によって生体内で骨形成が促進される結果を示した顕微鏡写真である。
【配列表フリーテキスト】
【0088】
配列番号3と4は、耐性のRunx2を増幅させるための正方向及び逆方向プライマーである。
【0089】
配列番号5と6は、外来のRunx2を増幅させるための正方向及び逆方向プライマーである。
【0090】
配列番号7と8は、OC遺伝子のRT−PCRを実施するための正方向及び逆方向プライマーである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法。
【請求項2】
Runx2の活性が、転写活性であることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2活性を増加させる方法。
【請求項3】
Runx2をアセチル化させてRunx2を安定化させることによって、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項4】
アセチル化されたRunx2の安定化が、半減期の増加によるものであることを特徴とする、請求項2に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項5】
Runx2の活性が、BMP−2によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項6】
Runx2の活性が、p300によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項7】
Runx2の活性が、Smurf1によるユビキチン化によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項8】
Runx2のアセチル化される部位が、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列のリジンであることを特徴とする、請求項5、請求項6または請求項7に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項9】
アセチル化されたRunx2の脱アセチル化を抑制して、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項10】
脱アセチル化が、ヒストンデアセチラーゼによって行われることを特徴とする、請求項9に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項11】
脱アセチル化抑制が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなるヒストンデアセチラーゼ阻害剤群から選択された阻害剤によるものであることを特徴とする、請求項9に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項12】
Runx2をアセチル化させて骨形成を増加させる方法。
【請求項13】
Runx2をアセチル化させてRunx2を安定化させることによって、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項14】
Runx2のアセチル化が、BMPによって調節されることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項15】
Runx2のアセチル化が、p300によって調節されることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項16】
Runx2のアセチル化される部位が、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列のリジンであることを特徴とする、請求項13、請求項14または請求項15に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項17】
アセチル化されたRunx2の脱アセチル化を抑制して、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項18】
脱アセチル化が、ヒストンデアセチラーゼによって行われることを特徴とする、請求項17に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項19】
脱アセチル化抑制が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなるヒストンデアセチラーゼ阻害剤群から選択された阻害剤によるものであることを特徴とする、請求項18に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項20】
骨形成が、造骨細胞分化を促進させることによって起きることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項21】
骨形成が、アルカリフォスファターゼまたはオステオカルシンの発現等の造骨細胞マーカー遺伝子発現を増加させる活性であることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項22】
Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項23】
Runx2のアセチル化剤が、BMPによる骨形成経路を活性化させるヒストンデアセチラーゼ阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項24】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項23に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項25】
破骨細胞抑制剤または破骨細胞分化抑制剤をさらに含む、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項26】
BMPまたはBMP生産誘導剤をさらに含んで相乗効果を示すことを特徴とする、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項27】
BMP生産誘導剤が、スタチン類であることを特徴とする、請求項26に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項28】
スタチン類が、ロバスタチン、シムバスタチン及びコムパクチン及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項29】
骨疾患が、骨粗しょう症、骨形成不全症、骨折及び歯周疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項30】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含むRunx2アセチル化剤。
【請求項31】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含む造骨細胞分化促進剤。
【請求項32】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含むオステオカルシン発現促進剤。
【請求項33】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含む骨形成促進剤。
【請求項1】
Runx2をアセチル化してRunx2活性を増加させる方法。
【請求項2】
Runx2の活性が、転写活性であることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2活性を増加させる方法。
【請求項3】
Runx2をアセチル化させてRunx2を安定化させることによって、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項4】
アセチル化されたRunx2の安定化が、半減期の増加によるものであることを特徴とする、請求項2に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項5】
Runx2の活性が、BMP−2によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項6】
Runx2の活性が、p300によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項7】
Runx2の活性が、Smurf1によるユビキチン化によって調節されることを特徴とする、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項8】
Runx2のアセチル化される部位が、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列のリジンであることを特徴とする、請求項5、請求項6または請求項7に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項9】
アセチル化されたRunx2の脱アセチル化を抑制して、請求項1に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項10】
脱アセチル化が、ヒストンデアセチラーゼによって行われることを特徴とする、請求項9に記載のRunx2の活性を増加させる方法。
【請求項11】
脱アセチル化抑制が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなるヒストンデアセチラーゼ阻害剤群から選択された阻害剤によるものであることを特徴とする、請求項9に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項12】
Runx2をアセチル化させて骨形成を増加させる方法。
【請求項13】
Runx2をアセチル化させてRunx2を安定化させることによって、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項14】
Runx2のアセチル化が、BMPによって調節されることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項15】
Runx2のアセチル化が、p300によって調節されることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項16】
Runx2のアセチル化される部位が、配列番号1で表されるRunx2アミノ酸配列のリジンであることを特徴とする、請求項13、請求項14または請求項15に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項17】
アセチル化されたRunx2の脱アセチル化を抑制して、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項18】
脱アセチル化が、ヒストンデアセチラーゼによって行われることを特徴とする、請求項17に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項19】
脱アセチル化抑制が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなるヒストンデアセチラーゼ阻害剤群から選択された阻害剤によるものであることを特徴とする、請求項18に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項20】
骨形成が、造骨細胞分化を促進させることによって起きることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項21】
骨形成が、アルカリフォスファターゼまたはオステオカルシンの発現等の造骨細胞マーカー遺伝子発現を増加させる活性であることを特徴とする、請求項12に記載の骨形成を増加させる方法。
【請求項22】
Runx2のアセチル化剤を有効成分として含む骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項23】
Runx2のアセチル化剤が、BMPによる骨形成経路を活性化させるヒストンデアセチラーゼ阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項24】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、ブタン酸、ペンタン酸、カルバマート(carbamate)、オクタンジアミド、2,4−ヘプタジエンアミド、シクロ[(αS,2S)−α−アミノ−η−オキソオキシランオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニル−D−プロリル](9Cl)、シクロ[(2s)−2−アミノ−8−(ヒドロキシアミノ)−8−オキソオクタノイル−L−フェニルアラニル−L−フェニルアラニルプロピル](9Cl)、オキサムフラチン、D−スレオ−D−イド(ido)−ウンデコ(undeco)−1,6−ジエニトール,4,5,8,9−ジアンハイドロ−1,2,6,7,11−ペンタデオキシ−(9Cl)、シクロ[(2S)−2−アミノ−8−オキソデカノイル−1−メトキシ−L−トリプトピル−L−イソルシル−D−プロピル](9Cl)、シクロ(L−Am7(−)−D−Tyr(Me)−L−Iie−D−Pro二合体、シクロ(−L−Am7−D−Tyr(Me)−L−Ile−D−Pro−)、ツバシン(tubacin)及びその誘導体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項23に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項25】
破骨細胞抑制剤または破骨細胞分化抑制剤をさらに含む、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項26】
BMPまたはBMP生産誘導剤をさらに含んで相乗効果を示すことを特徴とする、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項27】
BMP生産誘導剤が、スタチン類であることを特徴とする、請求項26に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項28】
スタチン類が、ロバスタチン、シムバスタチン及びコムパクチン及びそれらの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項29】
骨疾患が、骨粗しょう症、骨形成不全症、骨折及び歯周疾患からなる群から選択されることを特徴とする、請求項22に記載の骨疾患予防及び治療用組成物。
【請求項30】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含むRunx2アセチル化剤。
【請求項31】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含む造骨細胞分化促進剤。
【請求項32】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含むオステオカルシン発現促進剤。
【請求項33】
ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を有効成分として含む骨形成促進剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公表番号】特表2008−523138(P2008−523138A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546563(P2007−546563)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004307
【国際公開番号】WO2006/065075
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(506374270)バイオランクス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/KR2005/004307
【国際公開番号】WO2006/065075
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(506374270)バイオランクス カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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