説明

インプラント、体内のインプラントの位置を求める装置および方法

【課題】体内におけるインプラントの位置の特に簡単かつ正確な検出を可能にする。
【解決手段】第1の座標系に割り付けられた画像データセットであって、少なくともインプラントを含んでいる体部分の第1の画像を作成するための画像データセットを取得する撮影装置(C)と、トランスポンダへ電磁的な一次放射を送出する送信器(A1)と、一次放射によりトランスポンダから放出された二次放射を受信する受信器(A1,A2)と、二次放射に基づいて第2の座標系におけるトランスポンダの位置を求める位置検出装置(A)と、第1の座標系と第2の座標系とを相関させる相関手段(F1)と、第1の画像およびトランスポンダの位置を再現する第2の画像を作成する画像作成手段(F3)とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入するためのインプラントならびに体内のインプラントの位置を求める装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体内に挿入するためのインプラントは知られている(例えば、特許文献1参照)。このインプラントは血管の再狭窄予防のためのステントである。一般にステントは、例えば血管や体孔のような管腔器官の中にこれを広げるためおよび広げられた状態に保つために挿入される。ステントを挿入するために、一般的にカテーテルおよびガイドワイヤが使用される。
【0003】
更に、冠状血管撮影法において、ステントをX線画像に基づいて体組織内で位置測定することは知られている。X線吸収の少ない材料から作られているステントは、体組織内においてX線図では時々見えないかまたは十分に正確には見えない。
【0004】
ステントの位置を求めるためにカテーテルもしくはガイドワイヤをその先端に取付けたX線標識に基づいて位置測定することも通常に行なわれている。この方法の欠点は、カテーテルまたはガイドワイヤを遠ざけた後には、X線図で位置測定できないステントの位置をもはや求めることができないことである。
【0005】
更に、血管内へステントを挿入した際に位置測定するために、多数のX線画像を撮影することが必要である。それによって患者ならびに医師が高いX線被曝に曝される。
【0006】
血管に挿入されるカテーテルにより超音波画像が撮影される画像化方法は知られている(例えば、特許文献第2の参照)。超音波画像は、血管内におけるステントの挿入および位置決めのための補助手段として役立つ。この方法の欠点は、超音波画像化に使用されたカテーテルがステントを血管内へ挿入する前に遠ざけられなければならないことにある。ステントの位置は挿入時には追跡することがない。
【0007】
位置測定可能な端部範囲を有するカテーテルは知られている(例えば、特許文献3参照)。この端部範囲にはコイルが取付けられている。コイルにより磁場が発生可能である。終端範囲の位置は磁場の磁場分布に基づいて求められる。欠点は、この場合に使用された測定装置が遮蔽室に配置されていなければならないことにある。更に、磁場発生のためのコイルに電気エネルギーを供給するためにカテーテルは常に導線に接続されていなければならない。このことはカテーテルの操作性を著しく制限する。
【0008】
カテーテルの終端範囲の位置を求める装置において、終端範囲の位置を求めるためにホールセンサにより測定される磁場強度を利用することは知られている(例えば、特許文献4参照)。この公知の装置の欠点は、カテーテルが少なくとも特殊な医療用途においてしか使用できないことにある。更に、位置検出精度が終端近傍にある金属の対象物によって著しく妨害される。
【特許文献1】独国実用新案出願公開第29924228号明細書
【特許文献2】欧州特許第0885594号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4215901号明細書
【特許文献4】米国特許第6233476号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来技術に基づく欠点を除去することにある。特に、本発明の課題は、体内のインプラントの位置の特に簡単かつ正確な検出を可能にするインプラントならびに体内のインプラントの位置を求める装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1、請求項11および請求項32の特徴によって解決される。望ましい実施態様は請求項2乃至10、請求項12乃至31および請求項33乃至52からもたらされる。
【0011】
本発明にしたがって、体内におけるインプラントの位置を求めるのに適したトランスポンダが設けられているインプラントが提供される。
【0012】
用語「適したトランスポンダ」とは、座標系における座標をトランスポンダから送信されかつ受信器によって受信された電磁放射に基づいて求めることができるトランスポンダであると理解される。「体」は哺乳動物の体、特に人間の体であってよい。インプラントとしては、永続的または一時的に体内に植え込み可能なインプラントが考慮の対象になる。インプラントは人工的なインプラントであってよい。インプラントは、少なくとも部分的に、例えば金属、プラスチック、セラミックスなどのような非有機材料から作られている。インプラントは体組織のための代用品であってよい。インプラントは、生物の体の組織や器官などの自然の機能の補助または代用のためのインプラントであってもよい。
【0013】
体内における本発明によるインプラントの位置は、トランスポンダに電磁的な一次放射が照射されることによって求めることができる。一次放射によってトランスポンダが励起される。励起によってトランスポンダは電磁的な二次放射を放出する。二次放射は一次放射の変調によって作成することができる。受信された放射に基づいてトランスポンダの位置を求めることができる。
【0014】
トランスポンダ技術の適用によって位置が特に簡単にかつ正確にしかも確実に求めることができる。トランスポンダによる位置検出方法は例えば米国特許第4654658号明細書から知られている。
【0015】
体内におけるインプラントの位置は、例えばカテーテル、ガイドワイヤなどのような医療補助手段に関係なく直接的に求めることができる。体内への挿入時におけるインプラントの位置は簡単に連続的に追跡される。更に、既に体内に挿入されたインプラントの位置を後の時点で別の医療的手術なしに求めることができる。後の時点で特に迅速かつ簡単に、体内のインプラントの位置が変化したかどうかを再び調べることができる。
【0016】
インプラントの位置は、例えばX線法のような従来の画像化法によってはインプラント位置を測定できないかまたは十分正確に測定できない場合であっても求めることができる。
【0017】
トランスポンダとしては、受動式トランスポンダも能動式トランスポンダも使用することができる。受動式トランスポンダは、能動式トランスポンダに比べて、独自のエネルギー源を必要としない利点を有する。受動式トランスポンダは、二次放射の放出に必要なエネルギーを一次放射から受け取る。受動式トランスポンダはほぼ時間的に無制限の位置検出を可能にする。これに対して能動式トランスポンダの場合、位置検出がトランスポンダ固有のエネルギー源の寿命に制限される。能動式トランスポンダは、二次放射の放出が一次放射から受け取るエネルギーによって制限されることがないという利点をもたらす。能動的な放射によって二次放射の大きな到達範囲が得られる。
【0018】
本発明の実施態様によれば、トランスポンダは、少なくとも2つの異なる方向への/からの信号を送信および/または受信するための送信および/または受信アンテナを有する。送信および/または受信アンテナの向きに応じて、信号が方向に依存して送信および/または受信される。方向依存性は位置を求めるために使用できる。トランスポンダの送信および受信ユニットに対する送信および/または受信アンテナの相対的な向きが既知である場合、トランスポンダの方位を決定することができる。
【0019】
送信および/または受信方向が異なるように向けられている複数のトランスポンダが設けられていてもよい。複数の異なる方向からの方向情報により位置検出精度を高めることができる。インプラントに対する送信および/または受信方向の相対的な向きもしくはトランスポンダの方位が既知であるかぎり、インプラントの方位を求めることができる。
【0020】
本発明の実施態様によれば、インプラントの構造要素がトランスポンダの送信および/または受信アンテナを形成する。インプラントにトランスポンダの送信および受信ユニットを設けることだけが必要である。これは特にコンパクトな製造を可能にする。送信および受信アンテナは特別大きく構成することができる。トランスポンダの感度ならびに送信および/または受信品質は改善することができる。送信および/または受信アンテナとしては、例えば格子状の金属製のステント基体が使用できる。
【0021】
インプラントの実施態様によれば、2つのトランスポンダのそれぞれの長手軸線間の角度は、0°〜90°の範囲内、好ましくは30°〜60°の範囲内にある。
【0022】
この角度は、トランスポンダの特にコンパクトな全装置がもたらされるように選ばれると好ましい。
【0023】
有利な実施態様によれば、トランスポンダの送信および/または受信ユニットの長さ寸法は3mmよりも小さい、好ましくは1mmよりも小さい。この種のトランスポンダを製造するために、例えばソフトリソグラフィー等のマイクロおよびナノ技術から公知の方法を使用することができる。トランスポンダの小さな寸法によって、トランスポンダはほぼ全てのインプラントに使用することができる。インプラントの規定どおりの使用または機能の妨害を回避することができる。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、トランスポンダは位置を記憶するメモリを有する。メモリには体内へのインプラントの挿入時に求められたインプラント最終位置を記憶させることができる。記憶された位置は後の時点で読み出し、例えば新たに求められた位置と比較することができる。メモリにはインプラントに対するトランスポンダの相対的な方位を記憶させることもできる。位置に関する記憶情報はいつでも使用可能であり、大きな費用なしに読み出すことができる。インプラントの位置に対する情報のほかに、例えば患者固有のデータのような他のデータも記憶させることもできる。
【0025】
記憶されたインプラント位置と後の時点で求められたインプラント位置との比較によって、インプラントの位置または姿勢の変化を簡単に決定することができる。位置のほかにメモリには、例えばインプラントの挿入日付、患者データならびにトランスポンダおよびインプラントの技術および医療データのような他のデータを記憶させることができる。
【0026】
インプラントに、体の物理学的および/または生理学的データを検出するための1つのセンサ要素が取付けられていてもよい。複数のセンサ要素が取付けられていてもよい。センサ要素は100μm以下、好ましくは100nm以下の平均サイズを有する。物理学的および/または生理学的データは、例えば温度、圧力、pH値、酵素活性度、または分子標識および/または遺伝子標識に関する情報などであってよい。データはトランスポンダの送信アンテナにより受信ユニットに伝送される。
【0027】
インプラントは例えば心臓ペースメーカー、ステントなどのような心臓病治療用インプラントである。また、インプラントは例えば脳ペースメーカーのようなパーキンソン病治療用インプラントであってもよい。他のインプラントは、聴覚消失に対する聴覚人工補整器、薬物のデポー剤、骨インプラント、関節インプラントならびに形成外科のあらゆる種類のインプラントで有り得る。
【0028】
更に本発明にしたがって、本発明によるトランスポンダを備えたインプラントの体内における位置を求める装置は、
a)第1の座標系に割り付けられた画像データセットであって、少なくともインプラントを含んでいる体部分の第1の画像を作成するための画像データセットを取得する撮影装置と、
b)トランスポンダへ電磁的な一次放射を送出する送信器と、
c)一次放射によりトランスポンダから放出された二次放射を受信する受信器と、
d)二次放射に基づいて第2の座標系におけるトランスポンダの位置を求める位置検出装置と、
e)第1の座標系と第2の座標系とを相関させる相関手段と、
f)第1の画像およびトランスポンダの位置を再現する第2の画像を作成する画像作成手段と、
を備えている。
【0029】
本発明による体内のインプラントの位置を求める装置により、本発明によるインプラントの位置を求めることができる。本発明によるインプラントにより位置を特に簡単にかつ正確に求めることができる。第2の座標系における位置を求めるために、位置検出装置が設けられている。位置の検出は、トランスポンダから放出され受信器によって受信された二次放射に基づいて行なわれる。二次放射は送信器による一次放射の入射により放出される。二次放射は例えば一次放射の変調であってよい。二次放射を受信するために1つ又は複数の受信器が設けられるとよい。受信器は、移動可能、変位可能、回転可能または軸の周りに回転可能に、本発明による体内のインプラントの位置を求める装置に取付けることができる。この装置には同様に複数の送信器を取付けることができる。異なる方向に放出された二次放射を特に正確に検出することができる。位置を求めるために二次放射の方向依存性および/または距離依存性が使用される。送信器および/または受信器は相互影響を回避するために異なる周波数により動作させるとよい。
【0030】
位置検出装置により求められた位置は画像作成手段によって第1の画像と一緒に第2の画像内に表示される。第1の画像を作成するために、撮影装置により取得されたデータセットが使用される。第2の画像において位置を再現可能にするために、画像データセットに割り付けられた第1の座標系と位置に割り付けられた第2の座標系との相関が必要である。相関のために相関手段が設けられている。相関が行なわれた後、第1および第2の座標系は例えば座標変換により互いに移すことができる。
【0031】
相関に適した相関データを求めるためにファントムを使用することができる。ファントムには、撮影装置により検出可能な標識、例えばX線標識と、他のトランスポンダとが設けられるとよい。更に、体内のインプラントの位置を求める装置および撮影装置には他の標識および/または他のトランスポンダが設けられるとよい。他の標識および/または他のトランスポンダに基づいて相関を著しく簡単化することができる。
【0032】
第1の座標系と第2の座標系との相関後に、画像作成手段が第1の画像およびそれに含まれるトランスポンダ位置を表示する第2の画像を作成する。
【0033】
第1の画像は、相次いで求められた複数の位置を表示するための基礎として使用されるとよい。例えば血管内へのステントの挿入時に求められた位置を唯一のX線画像に表示することができる。位置は個別の点または軌跡の形で表示するとよい。新たな位置のために新たな画像データセットを取得する必要はない。取得すべき必要な画像データセットが少なく済むことによって、撮影装置として使用されたX線装置によって生じさせられる患者および操作者へのX線被曝が著しく低減される。
【0034】
本発明装置の一実施態様によれば、一次放射および/または二次放射が、200MHzよりも低い、好ましくは100MHzよりも低い、とりわけ1MHzよりも低い第1および/または第2の周波数を有する。この種の周波数は、ミリメートルの範囲内にあるトランスポンダのアンテナ寸法の場合に、有機組織内の位置検出に特に好適である。一次放射および/または二次放射は組織を特に良好に透過する。とりわけ、体によって僅かしか吸収されず、医療装置および機器に殆ど影響を及ぼさない周波数が選ばれる。
【0035】
本発明装置の一実施態様によれば、第1および/または第2の周波数は、それぞれ予め与えられた第1および/または第2の周波数値の間で時間的に交替する。周波数に依存する障害影響ならびに障害となる共振形成が回避される。更に、一次放射および/または二次放射の周波数依存性が求められ、位置検出時に利用される。例えば、異なる周波数を有する2つのスペクトル線の異なる吸収および異なる走行時間特性などからトランスポンダと受信器との間の距離に関する情報を求めることができる。
【0036】
本発明装置の一実施態様によれば、送信器がパルス化された直流電流により動作可能である。パルス化された直流電流を使用することによって、金属表面による妨害作用が低減される。それにより位置検出精度を改善することができる。
【0037】
本発明の他の実施態様によれば、撮影装置において、超音波検査法、放射線検査法、X線透視法、光標識を用いたX線透視法、血管撮影法、光コヒーレンス断層画像化法、分離型断層撮影法、陽電子放出断層撮影法、コンピュータ断層撮影法、核スピン断層撮影法、内視鏡検査法、核医学画像化法、光画像化法からなるグループから選択された画像化法が使用される。2つ又はそれ以上の画像化法の組み合わせも使用できる。要求に応じて、2次元、3次元または4次元の画像データセットが取得される。画像データセットの取得時に使用されたパラメータ値は、画像作成手段によって第2の画像の作成時に使用することができる。
【0038】
他の実施態様によれば、体は哺乳類の体、特に人間の体であり、更に本発明による体内のインプラントの位置を求める装置には体における血管、管および/または空洞内へ挿入するためのカテーテルが設けられている。カテーテルに基づいて、例えばカテーテルに取付けられた超音波画像化装置により、血管やその他の管などの内部画像を作成することができる。これらの画像は第2の画像を作成する際に使用することができる。
【0039】
本発明装置の一実施態様によれば、体内のインプラントの位置を求める装置および/またはカテーテルに少なくとも1つの他のトランスポンダが設けられている。他のトランスポンダは該装置に固定され、カテーテル先端に取付けられていると好ましい。他のトランスポンダに基づいて、位置を求めるための付加的な情報、例えば方向情報または距離情報を得ることができる。第1の座標系と第2の座標系とを相関させるための相関データを求めることもできる。
【0040】
本発明による体内のインプラントの位置を求める装置の他の実施態様によれば、体の運動を検出する装置が設けられている。体の運動を検出する装置は外部および/または内部の運動を検出するために使用することができる。体の運動を検出する装置により検出された運動は、第1の画像や第2の画像内の運動アーチファクト(モーションアーチファクト)および/または位置検出時の運動アーチファクトを補正するために使用することができる。運動を検出するために、体の運動を検出する装置は、カメラ、レーザ、磁気センサ、圧力センサ、心電図および/または血圧センサを含むとよい。カメラおよび/またはレーザは体の外部の運動を検出するのに好適である。心電図データならびに血圧データは、心拍動によってひき起こされる内部の運動を検出するのに好適である。磁気センサまたは圧力センサは、例えば患者の呼吸によってひき起こされた運動を検出するのに使用することができる。
【0041】
本発明装置の一実施態様によれば、体内のインプラントの位置を求める装置からおよびこの装置へのデータの無線伝送および/またはこの装置の構成部分間のデータの無線伝送のための少なくとも1つのインターフェースが設けられている。データは、位置データ、画像データ、生理学的データ、患者データなどである。伝送は、例えば病院情報システム内におけるネットワークに接続されているコンピュータから行なわれ、かつそのコンピュータへ行なわれる。体内のインプラントの位置を求める装置の構成部分間でのデータの無線伝送は、例えば、送信器、受信器と位置検出装置との間、撮影装置と画像作成手段との間、相関手段と画像作成手段との間、カテーテルと位置検出装置との間などで行なうことができる。
【0042】
本発明装置の一実施態様によれば、位置検出ユニットは、体の中空、管状またはホース状の領域内でトランスポンダおよび/または他のトランスポンダが移動する際に、複数の異なる位置を求める。体の領域は例えば血管部分である。複数の位置の検出はその領域のボリュームの点状走査と見なすことができる。位置は、ボリュームを包む包絡線を求めるための包絡線検出ユニットにより使用され得る。包絡線は第2の画像内に表示することができる。
【0043】
本発明装置の一実施態様によれば、第1の座標系と第2の座標系とを相関させるための相関データを求めるのに適したファントムが設けられている。ファントムの使用のもとに求められた付加的な相関データにより、相関が簡単化され、改善される。
【0044】
本発明による体内のインプラントの位置を求める装置の一実施態様によれば、トランスポンダ、他のトランスポンダ、センサ、ケーブル、電子構成要素および/またはハウジングは妨害電磁場に対する遮蔽を有する。妨害電磁場によってひき起こされた該装置の動作妨害を低減することができる。
【0045】
本発明による体内のインプラントの位置を求める装置の他の実施態様によれば、体内のインプラントの位置を求める装置の動作のために設けられている電源装置は、体内のインプラントの位置を求める装置の、体に接続されている導電要素から電気的に絶縁されている。導電要素は、例えば金属面や、体内のインプラントの位置を求める装置に接続されている生理学的データ検出センサ、例えば心電図電極などである。故障時に患者もその装置の操作者も危険にさらされないことが保証される。
【0046】
本発明の他の有利な実施態様によれば、データ、特に画像データの交換のためにDICOMプロトコルインターフェースが設けられている。DICOMプロトコルインターフェースはMPPS(=Modality Performed Procedure Step)モジュールを含むと好ましい。インターフェースおよびモジュールは、医用画像データに使用可能である標準化されたインターフェースである。インターフェースは、他のDICOM能力のある医療装置との画像データの簡単な交換を可能にする。MPPSモジュールは画像情報の標準化された特別に簡単な処理を可能にする。
【0047】
更に、本発明にしたがって、本発明によるトランスポンダを備えたインプラントの体内における位置を求める方法は、次のステップを有する。
a)第1の座標系に割り付けられた画像データセットであって、少なくともインプラントを含んでいる体部分の第1の画像を作成するための画像データセットを取得するステップ、
b)トランスポンダへ電磁的な一次放射を送出するステップ、
c)一次放射によりトランスポンダから放出された二次放射を受信するステップ、
d)二次放射に基づいて第2の座標系におけるトランスポンダの位置を求めるステップ、
e)第1の座標系と第2の座標系とを相関させるステップ、
f)第1の画像およびトランスポンダの位置を再現する第2の画像を作成するステップ。
【0048】
方法の有利な実施態様のために上述した体内のインプラントの位置を求める装置の有利な実施態様を参照されたい。
【0049】
本発明によるインプラント、体内のインプラントの位置を求める装置および方法は、体内におけるインプラントの位置を特に簡単にかつ正確に求めることを可能にする。トランスポンダ技術を使用することによって、位置検出が殆ど画像化法に依存しない。特に、インプラントがその都度使用される画像化法により位置測定可能であることは必要でない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下において本発明を有利な実施例に基づいて説明する。
図1はステントを示し、
図2は図1のステントの位置を求める装置を概略的に示し、
図3は相関過程を概略的に示し、
図4はトランスポンダを備えたインプラントの位置を求める装置のブロック図を示す。
【0051】
別のものを意味しないかぎり、図1乃至4において同じまたは類似の構成要素には同じ参照符号を付されている。
【0052】
図1はトランスポンダ2を取付けられたステント1を示す。X,Y,Zは、トランスポンダ2の図示されていない送信および/または受信アンテナのX方向、Y方向およびZ方向を表す。
【0053】
ステント1は管状の編み細工の形に構成されている。編み細工は、例えば特殊鋼、リチノールあるいはその他のステント1にとって通常の材料などの基礎材料から作られている。編み細工は被覆を施されている。被覆は編み細工の保護のために設けられ、および/または血管の再狭窄予防に適した材料を有する。トランスポンダ2はステント1の編み細工に取付けられている。トランスポンダ2は、互いに垂直なX,Y,Z方向への/からの信号を送信および/または受信するための図示されていない送信および/または受信アンテナを有する。送信もしくは受信方向の数はほぼ任意に選択可能である。例えば、Y方向が受信方向であり、X方向およびZ方向が送信方向であってよい。トランスポンダ2は3つよりも多いまたは少ない送信および/または受信方向を有することもできる。それぞれ1つ又は複数の異なるように向けられた送信および/または受信方向を有する複数のトランスポンダが設けられていてもよい。
【0054】
トランスポンダ2の大きさは、数ミリメータ範囲、とりわけサブミリメータの範囲にあると好ましい。トランスポンダ2の送信および/または受信ユニットの長さ寸法は3mmより小さい、もしくは1mmより小さい。
【0055】
トランスポンダ2は受動式トランスポンダまたは能動式トランスポンダであってよい。受動式トランスポンダ2はトランスポンダ2によって消費されるエネルギーが外部から磁場を介して供給されるという利点を提供する。受動式トランスポンダ2は例えばバッテリーのような固有のエネルギー源を必要としない。これに対して能動式トランスポンダ2は固有のエネルギー源を必要とする。能動式トランスポンダの使用性はエネルギー源の寿命に制限されている。しかしながら、能動式トランスポンダ2によれば、それから放出された信号の大きな信号強さおよび大きな到達範囲を達成することができる。
【0056】
更に、トランスポンダ2はメモリを有する。メモリには、体内におけるトランスポンダ2の位置およびステント1に対するトランスポンダ2の相対的な方位を記憶させることができる。メモリには、例えば患者データや、例えば材料および被覆のようなステント1に関する情報などの他のデータも記憶させることができる。
【0057】
ステント1には物理学的および/または生理学的データを検出するセンサ要素が取付けられている。センサ要素は例えば温度、圧力、pH値の検出に使用することができる。遺伝子量および/または分子量を検出するセンサ要素が設けられてもよい。量は、例えば酵素活性度に関する情報、遺伝子標識および/または分子標識に関する情報であってよい。センサ要素により検出されたデータはトランスポンダのメモリに記憶もしくは中間記憶させることができる。受信ユニットへデータを伝送するためにトランスポンダの送信アンテナを使用することができる。センサ要素は長手寸法よりも短いことが好ましい。センサ要素は100μm以下、好ましくは100nm以下の平均サイズを有するとよい。
【0058】
図2は、図1のステント1の位置を求める装置を概略的に示す。トランスポンダ2を設けられたステント1は再狭窄予防のために血管3中に挿入されている。インプラントの位置を求めるために、トランスポンダ2へ電磁的な一次放射5を送信するための送信器と、一次放射5によりトランスポンダ2から放出された電磁的な二次放射6を受信するための受信器とを有する送受信器4が設けられている。トランスポンダ2に対する距離に依存する二次放射6の特性を検出するために、受信器7が設けられている。符号8により、送受信器4および受信器7によって受信された二次放射6に基づいてステント1の位置を求める位置検出ユニットが示されている。
【0059】
位置の検出は次にしたがって行なわれる。
【0060】
送受信器4がトランスポンダ2に向けて一次放射5を送信する。一次放射5はトランスポンダ2を活性化させる。活性化によってトランスポンダ2は二次放射6を放出する。図の見易さの理由から一次放射5の入射および二次放射6の放出が図2においてはZ方向およびY方向に限られている。入射および放出は任意の方向において行なうことができる。それに加えて、他の固定して取付けたまたは移動可能な送受信器および/または受信器もしくは送信器を設けることができる。放出された二次放射6の方向依存性から位置検出ユニット8が方向情報もしくは位置情報を求める。更に、位置検出ユニット8は、受信器7によって受信された二次放射6に基づいてZ方向に関するトランスポンダ2からの受信器7の距離を求める。受信器7は例えば受信された二次放射6の磁場強度をホールセンサにより検出することができる。距離情報は二次放射6の2つのスペクトル線の周波数差からも求めることができる。位置検出精度を向上させるために、トランスポンダ2に対する送受信器4および受信器7の異なる複数の相対的な配置についての位置情報、方向情報および距離情報を求めるとよい。位置検出ユニット8は方向情報、位置情報および距離情報に基づいて第2の座標系における位置を求める。第2の座標系は例えば送受信器4、受信器7などに付設された座標系であってよい。第2の座標系の座標としては、直交座標、極座標あるいは円筒座標または球面極座標を使用することができる。
【0061】
ステント1に対するトランスポンダ2の相対的な方位が既知である場合、ステント1の位置および向きを求めることができる。トランスポンダ2の方位は、トランスポンダ2のメモリに記憶させておき、送受信器4または受信器7により読み出すことができる。位置検出ユニット8は、トランスポンダの方位および位置に基づいて、ステント1の正確な位置および向きを求めることができる。
【0062】
図3は相関過程を概略的に示す。相関過程においては、X線画像9に割り付けられた第1の座標系O1が第2の座標系O2に相関させられる。第2の座標系O2においては、位置検出ユニット8によって求められたトランスポンダ2つまりステント1の位置Pが表示されている。符号10は相関に基づいて作成された重ね画像を示す。重ね画像10は、X線画像9を含んでおり、トランスポンダ2つまりステント1の位置Pを再現する。
【0063】
第1の座標系と第2の座標系とを相関させるために、他のトランスポンダおよび/またはX線標識を使用することができる。他のトランスポンダはステントの位置を求める装置に取付けられていてもよい。X線標識はX線装置の撮影領域内に取付けるとよい。X線標識に他のトランスポンダが設けられていると好ましい。相関データを求めるために、他のトランスポンダの位置およびX線図により検出されたX線標識の位置が使用される。
【0064】
更に、相関データは、血管3内に挿入可能な図示されていないカテーテルに基づいて得ることができる。カテーテルにはこのために1つ又は複数のX線標識または他のトランスポンダが設けられているとよい。
【0065】
相関データに基づいて、相関規則が例えば第2の座標系O2を第1の座標系O1へ変換するための座標変換の形で求められ得る。行なわれた相関に基づいて重ね画像10が作成され、表示される。相関規則に関する情報およびそれを基にしたX線画像9をトランスポンダ2に記憶させることができる。
【0066】
ステント1の移動時に、例えば血管3内へのステント1の挿入時に、一連の連続的な位置Pを求めることができる。それぞれの位置Pを重ね画像において軌跡として表示することもできる。その都度ステント1の現在の位置のみを表示することも可能である。ステントがX線画像9から検出された体領域から離れない限り、位置Pの表示のためにその都度同じX線画像9を用いることができる。多数のX線画像9を撮影しなくてもよい。患者および医療従事者のX線被曝が著しく低減する。更に、画像化に使用される撮影装置が酷使されることはほとんどない。これは撮影のためならびに整備および維持のためのコストの低減をもたらす。
【0067】
図4はトランスポンダを備えたインプラントの位置を求める装置のブロック図を示す。
【0068】
体内のインプラントの位置を求める装置は、位置検出ブロックA、患者監視ブロックB、画像撮影ブロックC、メモリブロックD、インターフェースブロックE、画像作成ブロックF、入力/出力ブロックGおよび電圧供給ブロックHを有する。
【0069】
位置検出ブロックAは、インプラントに設けられたトランスポンダへ電磁的な一次放射5を送信し、インプラントに設けられたトランスポンダから電磁的な二次放射6を受信するための送受信器A1を有する。更に、位置検出ブロックAは、インプラントからの受信器A2の距離に依存した二次放射6の物理学的な量を検出するための受信器A2を有する。第2の座標系におけるトランスポンダの位置を求めるために、位置検出ブロックAにはプロセッサA3が設けられている。プロセッサA3はデータ交換のために送受信器A1および受信器A2と接続されている。データ交換は、ケーブルを介して、または例えば無線通信にてケーブルなしに行なわれる。患者監視ブロックBは生理学的データのための信号処理ユニットB1ならびに生理学的データを検出するセンサへの接続端子B2を有する。信号処理ユニットB1は、物理学的および/または生理学的データを検出するためにインプラントに取付けられたセンサ要素により検出されるデータを処理するためにも使用することができる。画像撮影ブロックCは、X線装置の構成部分、例えばX線装置のCアームX線装置部分またはX線コンピュータ断層撮影装置の構成部分を含む。X線装置は、患者用寝台C1と、X線を発生するために高電圧発生装置C2に接続されたX線放射器C3と、X線を検出するX線検出器C4と、データ交換のためにX線検出器に接続されたデータ処理ユニットC5とを有する。X線装置の構成部分を制御するためにシステム制御装置C6が設けられている。画像作成ブロックFは、第1および第2の座標系の較正のための較正ユニットF1を有する。画像アーチファクトを補正するために画像補正ユニットF2が設けられている。重ね画像を作成するための画像作成ユニットは符号F3で示されている。入力/出力ブロックGは、情報、画像、ブロックA〜Hの動作状態などを表示するための表示ユニットG1を有する。更に、入力/出力ブロックGは操作ユニットG2を有する。装置およびブロックA〜Hの給電のためにエネルギー供給ブロックHが設けられている。ブロックA〜H間またはそれらの部分間のデータおよび/またはエネルギーの交換のために、これらはバスラインLを介して互いに接続されている。
【0070】
次に、体内のインプラントの位置を求める装置の動作態様およびブロックA〜Hの協働を説明する。
【0071】
位置検出ブロックAにより、図2の構成に類似して、インプラントに設けられたトランスポンダの位置が求められる。インプラントは、図2に示されたステントのほかに、更に心臓ペースメーカー、脳ペースメーカー、体内に挿入可能な貯蔵薬、例えば骨代用物質のような形成外科インプラントなどである。
【0072】
患者監視ブロックBに基づいて、信号処理ユニットB1により患者の生理学的データを検出することができる。信号処理ユニットB1には、心電図、脈拍計、血圧計のための接続端子B2が設けられている。更に、呼吸および呼吸に起因する患者の体の運動、特に上半身の運動を検出する装置を接続するための端子B2が設けられている。生理学的データに基づいて、一方では検査時における患者の状態を監視することができる。他方では、例えば心拍動、脈拍もしくは呼吸のような生理学的データを、第1および/または第2の画像内の運動に起因するアーチファクトを補正するために使用することができる。トランスポンダの位置検出時における運動に起因する誤差も補正することができる。
【0073】
画像撮影ブロックCのX線装置により、第1の画像を作成するための画像データセットが作成される。画像データセットは患者用寝台C1上で撮影された患者の体部分をカバーする。画像データセットは、2次元、3次元または4次元のデータセットであってよい。画像データセットは、例えば超音波画像化または光コヒーレンス断層画像化(OCT;Optical Coherence Tomography)による画像化手段を備えたカテーテルのような他の画像化システムの他の画像データにより補充され得る。データ処理ユニットC5により、画像データセットからX線画像が作成される。複数の一連の2次元または3次元のX線画像を作成することもできる。
【0074】
作成されたX線画像は、画像作成ユニットF3によって第2の画像を作成するために使用される。画像作成ユニットF3は画像データセットおよび他の画像データを直接に処理することも可能である。X線画像に割り付けられた第1の座標系およびトランスポンダの位置に割り付けられた第2の座標系を較正するために、較正ユニットF1が較正を行なう。第1および第2の座標系の較正後、画像作成ユニットF3によって第2の画像が作成される。第2の画像は、X線画像と、これに表示される体内のトランスポンダ位置とを再現する。更に、インプラントに対するトランスポンダの相対的な方位が既知であるかぎり、体内におけるインプラントの位置および方位が求められ、画像作成ユニットF3によって第2の画像内に示される。インプラントに対するトランスポンダの相対的な方位は、例えばデータシート、患者記録、または、トランスポンダのメモリに記憶された方位情報から得られる。
【0075】
第2の画像の画質改善のために、画像補正ユニットF2により、患者監視ブロックBによって検出された生理学的データが評価され、補正される。呼吸、心拍動などのような生理学的データに基づいて運動アーチファクト(モーションアーチファクト)が補正される。運動は、カメラに基づいてまたはレーザにより検出可能であり、運動アーチファクトの補正に使用可能である。
【0076】
画像作成ブロックFによって作成された第2の画像は入力/出力ブロックGの表示ユニットG1に表示される。表示ユニットG1は、例えばX線装置を制御するためのコンピュータに接続されているモニタであってよい。表示ユニットG1は、患者固有のデータを表示するために特別に設けられた患者モニタも有するとよい。表示ユニットG1には、X線画像のほかに、例えば生理学的データまたはX線装置の動作データのような他のデータが表示されるとよい。制御、操作のためにおよび/または機能開始のためにならびに使用者と装置または個々のブロックA〜Hとの通信のために、入力/出力ブロックGには操作ユニットG2が設けられている。操作ユニットG2は、体内のインプラントの位置を求める装置および個々のブロックA〜HにバスラインLを介して接続されたコンピュータであってよい。可動のもしくは移動可能な操作要素、例えば接触感応式モニタなどであってもよい。
【0077】
X線画像、第2の画像、トランスポンダの位置および/またはインプラントに対するトランスポンダの相対的な方位、患者データ、X線装置の撮影パラメータおよび他のデータがメモリブロックD内に記憶可能である。
【0078】
体内のインプラントの位置を求める装置と他の医療装置または非医療装置との間で医療データ、特に画像データを交換するために、標準化されたインターフェースがインターフェースブロックE内に設けられている。このインターフェースは、例えばDICOMプロトコルインターフェースであるとよい(DICOM=Digital Imaging and Communocations In Medicine)。DICOMプロトコルインターフェースは、MPPSモジュールおよび医用画像データ交換に特に適した他のモジュールを含むとよい。
【0079】
ブロックA〜H間またはこれらのブロックの個々の構成部分間のデータ交換のために、これらはバスラインLにより互いに接続されている。共通なバスラインLを介する接続は強制的ではない。無線通信またはワイアレス通信として個別の接続が実施されていてもよい。後者は、特にプロセッサA3と送受信器A1もしくは受信器A2との間のデータ伝送に、そしてセンサから信号処理ユニットB1への生理学的データの伝送のために好適である、
【0080】
本発明によるインプラント、トランスポンダを備えたインプラントの体内での位置を求める装置および方法により、トランスポンダの位置ならびにインプラントの位置を特に簡単にかつ正確にしかも確実に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明によるステントの実施例を示す概略図
【図2】本発明による体内のインプラントの位置を求める装置の動作原理を示す概略図
【図3】本発明による体内のインプラントの位置を求める方法における相関過程を概略的に示す説明図
【図4】本発明による体内のインプラントの位置を求める装置の実施例を示すブロック図
【符号の説明】
【0082】
1 ステント
2 トランスポンダ
3 血管
4 送受信器
5 一次放射
6 二次放射
7 受信器
8 位置検出ユニット
9 X線画像
10 重ね画像
A 位置検出ブロック
A1 送受信器
A2 受信器
A3 プロセッサ
B 患者監視ブロック
B1 信号処理ユニット
B2 センサへの接続端子
C 画像撮影ブロック
C1 患者用寝台
C2 高電圧発生装置
C3 X線放射器
C4 X線検出器
C5 データ処理装置
C6 システム制御装置
D メモリブロック
E インターフェースブロック
F 画像作成ブロック
F1 較正ユニット(相関手段)
F2 画像補正ユニット
F3 画像作成ユニット
G 入力/出力ブロック
G1 表示ユニット
G2 操作ユニット
H 電圧供給ブロック
O1 第1の座標系
O2 第2の座標系
P 位置
X,Y,Z 方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内のインプラント(1)の位置(P)を求めるのに適したトランスポンダ(2)が設けられていることを特徴とする体内に挿入するためのインプラント。
【請求項2】
トランスポンダ(2)は、少なくとも2つの異なる方向(X、Y、Z)への/からの信号を送信および/または受信するための送信および/または受信アンテナを有することを特徴とする請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
送信および/または受信方向が異なるように向けられている複数のトランスポンダ(2)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至2の1つに記載のインプラント。
【請求項4】
インプラントの構造要素(1)がトランスポンダ(2)の送信および/または受信アンテナを形成することを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載のインプラント。
【請求項5】
2つのトランスポンダ(2)のそれぞれの長手軸線間の角度は0°〜90°の範囲内にあることを特徴とする請求項3記載のインプラント。
【請求項6】
トランスポンダ(2)の送信および/または受信ユニットの長さ寸法は3mmよりも小さいことを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載のインプラント。
【請求項7】
トランスポンダ(2)は位置(P)を記憶するメモリを有することを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載のインプラント。
【請求項8】
インプラント(1)に、体の物理学的および/または生理学的データを検出するセンサ要素が取付けられていることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載のインプラント。
【請求項9】
センサ要素は100μm以下の平均サイズを有することを特徴とする請求項8記載のインプラント。
【請求項10】
インプラントはステント(1)であることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載のインプラント。
【請求項11】
請求項1乃至10の1つに記載のトランスポンダ(2)を備えたインプラント(1)の体内における位置(P)を求める装置において、
第1の座標系(O1)に割り付けられた画像データセットであって、少なくともインプラント(1)を含んでいる体部分の第1の画像(9)を作成するための画像データセットを取得する撮影装置(C)と、
トランスポンダ(2)へ電磁的な一次放射(5)を送出する送信器(4,A1)と、
一次放射(5)によりトランスポンダ(2)から放出された二次放射(6)を受信する受信器(4,A1,7,A2)と、
二次放射(6)に基づいて第2の座標系(O2)におけるトランスポンダ(2)の位置(P)を求める位置検出装置(A)と、
第1の座標系(O1)と第2の座標系(O2)とを相関させる相関手段(F1)と、
第1の画像(9)およびトランスポンダ(2)の位置(P)を再現する第2の画像(10)を作成する画像作成手段(F3)と
を備えていることを特徴とする体内のインプラントの位置を求める装置。
【請求項12】
電磁的な一次放射(5)および/または二次放射(6)は、200MHzよりも低い第1および/または第2の周波数を有することを特徴とする請求項11記載の装置。
【請求項13】
第1および/または第2の周波数は、それぞれ予め与えられた第1および/または第2の周波数値の間で時間的に交替することを特徴とする請求項12記載の装置。
【請求項14】
送信器(4,A1)はパルス化された直流電流により動作可能であることを特徴とする請求項11乃至13の1つに記載の装置。
【請求項15】
撮影装置(C)において使用された画像化法は、超音波検査法、放射線検査法、X線透視法、光標識を用いたX線透視法、血管撮影法、光コヒーレンス断層画像化法、分離型断層撮影法、陽電子放出断層撮影法、コンピュータ断層撮影法、核スピン断層撮影法、内視鏡検査法、核医学画像化法、光画像化法からなるグループの中から選択されていることを特徴とする請求項11乃至14の1つに記載の装置。
【請求項16】
画像データセットが2次元、3次元または4次元であることを特徴とする請求項11乃至15の1つに記載の装置。
【請求項17】
撮影装置(C)において画像データセットの取得時に使用されたパラメータは、第2の画像(10)を作成する画像作成手段(F3)によって使用されることを特徴とする請求項11乃至16の1つに記載の装置。
【請求項18】
体は哺乳類の体であり、体における血管(3)、管および/または空洞内へ挿入するためのカテーテルが設けられていることを特徴とする請求項11乃至17の1つに記載の装置。
【請求項19】
体内のインプラントの位置を求める装置および/またはカテーテルに少なくとも1つの他のトランスポンダが設けられていることを特徴とする請求項11乃至18の1つに記載の装置。
【請求項20】
体の運動を検出する装置が設けられていることを特徴とする請求項11乃至19の1つに記載の装置。
【請求項21】
体の運動を検出する装置は、カメラ、レーザ、磁気センサ、圧力センサ、心電図および/または血圧センサを含むことを特徴とする請求項20記載の装置。
【請求項22】
体の運動を検出する装置により検出された運動に基づいて第1の画像(9)および/または第2の画像(10)内の運動アーチファクトを補正する補正装置(F2)が設けられていることを特徴とする請求項20又は21記載の装置。
【請求項23】
体内のインプラントの位置を求める装置からおよびこの装置へのデータの無線伝送および/またはこの装置の構成部分間のデータの無線伝送のための少なくとも1つのインターフェースが設けられていることを特徴とする請求項11乃至22の1つに記載の装置。
【請求項24】
位置検出ユニット(A)は、体の中空、管状またはホース状の領域内でトランスポンダ(2)および/または他のトランスポンダが移動する際に、複数の異なる位置(P)を求めることを特徴とする請求項11乃至23の1つに記載の装置。
【請求項25】
複数の異なる位置(P)に基づく体の領域の包絡線を求める包絡線検出ユニットが設けられていることを特徴とする請求項24記載の装置。
【請求項26】
第2の画像(10)は包絡線の表示を含んでいることを特徴とする請求項25記載の装置。
【請求項27】
第1の座標系(O1)と第2の座標系(O2)とを相関させるための相関データを求めるのに適したファントムが設けられていることを特徴とする請求項11乃至26の1つに記載の装置。
【請求項28】
トランスポンダ(2)、他のトランスポンダ、センサ、ケーブル、電子構成要素および/またはハウジングは妨害電磁場に対する遮蔽を有することを特徴とする請求項11乃至27の1つに記載の装置。
【請求項29】
体内のインプラントの位置を求める装置の動作のために設けられている電源装置(H)は、体内のインプラントの位置を求める装置の、体に接続されている通電要素から電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項11乃至28の1つに記載の装置。
【請求項30】
データの交換のためにDICOMプロトコルインターフェース(E)が設けられていることを特徴とする請求項11乃至29の1つに記載の装置。
【請求項31】
DICOMプロトコルインターフェース(E)はMPPSモジュールを含むことを特徴とする請求項30記載の装置。
【請求項32】
請求項1乃至10の1つに記載のトランスポンダ(2)を備えたインプラント(1)の体内における位置(P)を求める方法において、
a)第1の座標系(O1)に割り付けられた画像データセットであって、少なくともインプラント(1)を含んでいる体部分の第1の画像(9)を作成するための画像データセットを取得するステップ、
b)トランスポンダ(2)へ電磁的な一次放射(5)を送出するステップ、
c)一次放射(5)によりトランスポンダ(2)から放出された二次放射(6)を受信するステップ、
d)二次放射(6)に基づいて第2の座標系(O2)におけるトランスポンダ(2)の位置(P)を求めるステップ、
e)第1の座標系(O1)と第2の座標系(O2)とを相関させるステップ、
f)第1の画像(9)およびトランスポンダ(2)の位置(P)を再現する第2の画像(10)を作成するステップ
を有することを特徴とする体内のインプラントの位置を求める方法。
【請求項33】
電磁的な一次放射(5)および/または二次放射(6)は、200MHzよりも低い第1および/または第2の周波数を有することを特徴とする請求項32記載の方法。
【請求項34】
第1および/または第2の周波数は、それぞれ予め与えられた第1および/または第2の周波数値の間で時間的に交替させられることを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
送信器(4,A1)はパルス化された直流電流により動作させられることを特徴とする請求項32乃至34の1つに記載の方法。
【請求項36】
第1の画像の撮影時に、超音波検査法、放射線検査法、X線透視法、光標識を用いたX線透視法、血管撮影法、光コヒーレンス断層画像化法、分離型断層撮影法、陽電子放出断層撮影法、コンピュータ断層撮影法、核スピン断層撮影法、内視鏡検査法、核医学画像化法、光画像化法からなるグループの中から選択された画像化法が使用されることを特徴とする請求項32乃至35の1つに記載の方法。
【請求項37】
ステップa)において2次元、3次元または4次元の画像データセットが取得されることを特徴とする請求項32乃至36の1つに記載の方法。
【請求項38】
ステップa)における画像データセットの取得に使用されたパラメータ値が、ステップf)において第2の画像(10)を作成するために使用されることを特徴とする請求項32乃至37の1つに記載の方法。
【請求項39】
体は哺乳類の体であり、ステップa)において画像データセットを取得するためにおよび/またはステップd)においてトランスポンダ(2)の位置を求めるためにカテーテルが使用されることを特徴とする請求項32乃至38の1つに記載の方法。
【請求項40】
装置および/またはカテーテルに少なくとも1つの他のトランスポンダが設けられていることを特徴とする請求項32至39の1つに記載の方法。
【請求項41】
ステップa)、ステップb)および/またはステップc)において、生じる体の運動が検出されることを特徴とする請求項32乃至40の1つに記載の方法。
【請求項42】
運動を検出するために、カメラ、レーザ、磁気センサ、圧力センサ、心電図および/または血圧センサが使用されることを特徴とする請求項41記載の方法。
【請求項43】
検出された運動に基づいて第1の画像(9)および/または第2の画像(10)において運動アーチファクトが補正されることを特徴とする請求項41又は42記載の方法。
【請求項44】
装置からおよび装置へのデータおよび/または装置の構成部分間(A,A1,…,H)のデータが少なくとも1つの無線インターフェースを介して伝送されることを特徴とする請求項32乃至43の1つに記載の方法。
【請求項45】
体の中空、管状またはホース状の領域内でトランスポンダ(2)および/または他のトランスポンダが移動する際に、複数の異なる位置(P)が求められることを特徴とする請求項32乃至44の1つに記載の方法。
【請求項46】
複数の異なる位置(P)に基づいて領域の包絡線が求められることを特徴とする請求項45記載の方法。
【請求項47】
包絡線が第2の画像(10)に表示されることを特徴とする請求項46記載の方法。
【請求項48】
ステップe)において、第1の座標系(O1)と第2の座標系(O2)とを相関させるために、適切なファントムに基づいて求められた相関データが使用されることを特徴とする請求項32乃至47の1つに記載の方法。
【請求項49】
位置(P)がトランスポンダ(2)に記憶されることを特徴とする請求項32乃至48の1つに記載の方法。
【請求項50】
装置の動作のために設けられている電源装置(H)が、装置の、体に接続されている導電要素から電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項32乃至49の1つに記載の方法。
【請求項51】
データがDICOMプロトコルインターフェース(E)を介して交換されることを特徴とする請求項32乃至50の1つに記載の方法。
【請求項52】
データ交換のためにMPPSモジュールが使用されることを特徴とする請求項51記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−83019(P2007−83019A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198061(P2006−198061)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】