説明

エッチング液すすぎ方法

チオ硫酸溶液を使用してヨウ素をポリマーから除去する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間剥離を防止するための、エッチングされた物品をすすぐ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金コーティング回路は、腐食性の環境に有用である。金コーティング回路は、ポリマー基板上に銅トレース(trace)、該銅層上にクロム結合層、及び該クロム結合層上に金コーティングを有することが多い。或いは、銅層は除かれてもよい。金コーティング回路を製造する際、トレースパターンを形成するために、金をエッチングすることが必要なことが多い。金をエッチングするためには、三ヨウ化物(I)溶液が、通常使用される。三ヨウ化物存在下における金エッチングの反応全体は、次の通りである:
2Au+I+I→2AuI
【0003】
エッチングプロセス間にマスクとして使用されるフォトレジストにより、三ヨウ化物溶液は、ヨウ素(I)の形態で吸収され得る。エッチング液は、通常、脱イオン化(D.I.)水あるいはメタノール、エタノール、又はイソプロパノールのような溶媒を使用して、回路からすすぎ落とされるが、ヨウ素/ヨウ化物は典型的にフォトレジストに残留する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残留ヨウ素は、クロム結合層の継続する酸化を引き起こすことがあり、これがクロム結合層からの金トレースの層間剥離を引き起こし得るので、フォトレジスト又はポリマー基板によるヨウ素吸収は、金/クロム中間面の破損を導き得る。フォトレジスト又は基板のようなポリマーからヨウ素を除去する方法の必要が残る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、以下を含む方法を特徴とする:ヨウ素を含有するポリマーを提供すること、該ポリマーを、チオ硫酸塩を含有する溶液に曝露すること、ここで、こうした曝露が、ヨウ素の少なくとも一部をポリマーから除去させる。
【0006】
本発明の別の態様は、以下を含む方法を特徴とする:金属層を含む物品をポリマー層上に提供すること、金属層の少なくとも一部を三ヨウ化物エッチング液でエッチングすること、及び該物品を、チオ硫酸塩を含有する溶液に曝露すること。
【0007】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、発明を実施するための最良の形態、及び特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の態様は、ヨウ素/ヨウ化物をポリマーから除去するための化学プロセスを与える。本発明の別の態様は、三ヨウ化物金エッチングプロセス後に、アンダカット及びそれに続く金属、例えばクロム結合層等の結合層を有する金回路の層間剥離を低減又は防止する化学プロセスを提供する。本発明の別の態様では、アンダカット、並びに層間剥離をさらに低減するために、化学プロセスに加えて熱プロセスを使用することができる。
【0009】
本発明の1つの態様は、ヨウ素/ヨウ化物をポリマーから除去するための、チオ硫酸すすぎを与える。好適なチオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、及びチオ硫酸リチウムが挙げられる。チオ硫酸すすぎは、金属回路を被覆するフォトレジスト、又は金属回路の下にあるポリマー基板のような、ポリマー内に吸収された残留ヨウ素/ヨウ化物を低減又は除去できる。本発明は、ヨウ素/ヨウ化物を吸収するあらゆる種類のポリマーにおいて使用するのに好適である。チオ硫酸すすぎは、室温で適用されてもよく、あるいは加熱されてもよい。加熱される場合、典型的な温度は、約50℃〜約60℃である。
【0010】
本発明の別の態様は、焼成が後に続くチオ硫酸すすぎを与える。焼成は、ポリマー内の残留ヨウ素/ヨウ化物の量をさらに低減することができる。好適な焼成温度は、約90℃〜約120℃、典型的には約100℃である。
【0011】
本発明は、例えば、銅、スズ、銀等の全種類の金属回路にとって有用であるが、このセクションの残りでは、例として金回路に焦点を当てるであろう。
【0012】
金回路は、サブトラクティブ(subtractive)、アディティブ−サブトラクティブ(additive-subtractive)、及びセミアディティブ(semi-additive)のような金エッチング工程を包含する多数の好適な方法によって製造されてもよい。金は、シアン化物系化学物質、チオ尿素、及び三ヨウ化物型溶液を包含する様々な化学薬品でエッチングできる。しかし、シアン化物系化学物質の毒性及び環境問題、並びにチオ尿素系化学物質の性能制約に起因して、三ヨウ化物系エッチング液が、より普及するようになっている。
【0013】
典型的なサブトラクティブ(subtractive)回路製造方法においては、最初に誘電体基板が提供される。誘電体基板は、例えば、通常厚さ約10μm〜約600μmを有するポリエステル、ポリイミド、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニル、アクリレート、ポリカーボネート、又はポリオレフィンで製造されるポリマーフィルムであってもよい。誘電体基板は、化学蒸着又はマグネトロンスパッタ付着のような方法と、後に続くマグネトロンスパッタリングによるような金導電性層の付着より、その表面に付着したクロム、ニッケル−クロム、又は他の導電性金属の結合層を典型的に有する。所望により、付着した金層(単数又は複数)は、既知の電気メッキ又は非電気メッキプロセスによって、所望の厚さまでさらにメッキされることができる。
【0014】
導電性金層は、フォトリソグラフィーを包含する多数の周知の方法により、パターン化されることができる。フォトリソグラフィーが使用される場合、フォトレジストは、水性又は溶媒系であってもよく、ネガティブ又はポジティブフォトレジストであってもよく、次にホットローラーによる標準積層技術又は多くのコーティング技術(例えば、ナイフコーティング、金型コーティング、グラビアロールコーティング等)を使用して、誘電体基板の少なくとも金コーティング面上に積層又はコーティングされる。様々な感光性ポリマーをフォトレジストにおいて使用してもよい。例としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、及びアクリル酸のコポリマー、スチレン及び無水マレイン酸イソブチルエステルのコポリマー等が挙げられるが、これらに限定されない。フォトレジストの厚さは、典型的に約1μm〜約50μmである。次にフォトレジストは、マスク又はフォトツール(phototool)を通して紫外線等に曝露され、曝露部分のレジストが架橋される。次に、非曝露部分のフォトレジストは、所望のパターンが得られるまで、適切な溶媒で現像される。ネガティブフォトレジストにおいては、曝露部分が架橋され、次にフォトレジストの非曝露部分が適切な溶媒にて現像される。
【0015】
曝露部分の金層は、適切なエッチング液を使用して、エッチング除去される。次に、曝露部分の結合層は、過マンガン酸カリウムエッチング液、又は他の好適なエッチング液を使用して、エッチング除去される。残りの(非曝露)導電性金属層は、好ましくは、約5nm〜約200μmの最終厚さを有する。次に、架橋されたレジストは、好適な溶液中において、積層体から剥ぎ取られる。
【0016】
必要であれば、誘電体フィルムは、基板内に機構(features)を形成するためにエッチングされてもよい。次に、カバーコートの適用及びさらなるメッキのような後に続く加工工程が行なわれてもよい。
【0017】
回路部分を形成する別の可能な方法は、セミアディティブ(semi-additive)メッキ及び次の典型的な工程順序を利用するであろう:
【0018】
誘電体は、真空スパッタリング又は蒸発技術を使用して、クロム、ニッケル−クロム又はそれらの合金の結合層でコーティングされてもよい。金の薄い第一導電性層は、真空スパッタリング又は蒸発技術を使用して、付着される。誘電体基板及び導電性金層の材料及び厚さは、前の段落に記載されたものであってもよい。
【0019】
導電性金層は、サブトラクティブ(subtractive)回路製造プロセスにおいて、前述されたのと同じ手段でパターン化されることができる。次に、第一曝露部分の導電性金層(単数又は複数)は、約5nm〜約200μmの範囲の所望の回路厚さが得られるまで、標準電気メッキ又は非電気メッキ方法を使用して、さらにメッキされてもよい。
【0020】
次に、架橋された曝露部分のレジストは、剥ぎ取られる。続いて、最初の薄い金層(単数又は複数)は、誘電体基板を損傷しない三ヨウ化物エッチング液のようなエッチング液に曝露された部分が、エッチングされる。曝露されたところの結合層が除去されるべきであれば、適切なエッチング液で除去することができる。結合層が、薄い金属、絶縁体、又は有機物質である場合、結合層を適所に残すことが望ましい可能性がある。
【0021】
必要であれば、誘電体フィルムは、基板内に機構(features)を形成するためにエッチングされてもよい。カバーコートの適用及びさらなるメッキのような、後に続く加工工程を、次に行なってもよい。
【0022】
回路部分を形成する別の可能な方法は、サブトラクティブ−アディティブ(subtractive-additive)方法と呼ばれる、サブトラクティブ(subtractive)メッキ及びアディティブ(additive)メッキの組合せ、並びに次の典型的な工程順序を利用するであろう:
【0023】
誘電体基板は、例えば、真空スパッタリング又は蒸発技術を使用して、例えば、クロム、ニッケル−クロム、及びそれらの合金の結合層でコーティングされてもよい。薄い第1導電性金層は、真空スパッタリング又は蒸発技術を使用して付着される。誘電体基板及び導電性金層の材料及び厚さは、前の段落に記載されたものであってもよい。
【0024】
導電性金層は、上記のように、フォトリソグラフィーを包含する多数の周知の方法にて、パターン化されることができる。フォトレジストが、金層の所望のパターンのポジティブパターンを形成する場合、曝露された金は、三ヨウ化物系エッチング液を使用して典型的にエッチング除去される。次に結合層は、好適なエッチング液でエッチングされる。残りの(非曝露)導電性金層は、好ましくは約5nm〜約200μmの最終厚さを有する。次に、曝露(架橋)部分のレジストは、剥ぎ取られる。
【0025】
必要であれば、誘電体フィルムは、基板内に機構(features)を形成するためにエッチングされてもよい。次に、オーバーコートの適用及びさらなるメッキのような後に続く加工工程を行なってもよい。
【0026】
上述からわかるように、記載された各プロセスは、金の化学的エッチングを包含する。化学的金エッチングのための現在技術としては、商品名称GE−8148及びGE−8111として、トランセン・カンパニー社(Transene Company Inc.)(マサチューセッツ州ダンバーズ(Danvers))から入手可能なもののような三ヨウ化物系化学物質、商品名称テクニ・ストリップ(Techni Strip)AUとしてテクニック社(Technic Inc.)(テキサス州アービング(Irving))から入手可能なもののようなシアン化物系化学物質、及びチオ尿素(CHS)系化学物質が挙げられる。金エッチングのためのシアン化物系化学物質は、金製造とマイクロエレクトロニクス産業によって広範囲に開発されてきた。シアン化カリウム及びシアン化ナトリウムエッチング液を包含する「遊離」シアン化物化学物質は、容易に入手でき、高容積の金エッチングプロセスのための経済的に実行可能な溶液である。しかし、環境懸念及びシアン化物中毒の産業的危険に起因して、こうした化学物質は典型的に望ましくない。チオ尿素系化学物質が、最近開発されている。しかし、化学物質の制限された貯蔵寿命に起因して、それは、長期製造に適切ではない。従って、操作者への毒性が低い三ヨウ化物系化学物質は、金エッチングのために実行可能な製造経路を提供する。
【0027】
三ヨウ化物化学物質における主要な制約は、それがフォトレジスト及び基板ポリマーを包含する有機物質に容易に吸収されて、有機物質を酸化させ得ることである。さらに、ヨウ素は、有機物質から昇華し得り、隣接した物質と反応し続けて更なる悪化を引き起こす。したがって、回路機構(features)の継続した悪化を妨げるために、吸収されたヨウ素を中和することが望ましい。ヨウ素(I)は、よりポリマーから除去しにくい形態である。
【0028】
本発明の実施形態に従って、フォトレジストに吸収されたヨウ素を中和するために、チオ硫酸ナトリウムすすぎのようなチオ硫酸すすぎと、所望により熱処理とを使用することができる。チオ硫酸ナトリウムがポリマーからのヨウ素(I)の除去を補助する機構は、方程式により記載されるように、非水溶性Iの水溶性イオン性ヨウ化物Iへの還元によることが推察される。
+2S−3→2I+S−2
【0029】
次に、新たに還元されたヨウ化物は、後に続く脱イオン水すすぎによりポリマーから抽出されることができる。次に、後に続く熱処理は、所望により、あらゆる残留するトラップ(trapped)ヨウ素を昇華させるために使用されることができる。
【0030】
三ヨウ化物金エッチング後の、チオ硫酸ナトリウムすすぎ、及び任意の熱プロセスの利用は、柔軟な回路上でクロム結合層からの金回路の剥離を妨げる。こうした後処理を行なわないと、フォトレジスト及び/又はポリマー基板により吸収されたヨウ素は、以下の比較実施例1に記載された手段により製造された図1における回路に示されるように、三ヨウ化物エッチング及び脱イオン水すすぎの6〜24時間内に、クロム/金中間面の悪化を促進し得る。チオ硫酸ナトリウムすすぎ、及び任意の熱処理により、以下の実施例1に記載される手段と同様の手段で製造された図2の回路に示されるように、クロム/金中間面が安定である期間は7日間超過に延長されることができる。チオ硫酸すすぎの好適な濃度は、約0.4M〜約0.75Mである。任意の焼成工程のための好適な温度は、フォトレジスト及びポリマー基板の温度安定性に依存して変化するであろう。ポリイミドのための熱処理温度の好適な範囲は、約90℃〜約120℃、典型的には約100℃である。溶液中の基板の滞留時間は、多数の要因に依存するであろうが、基板は、典型的には溶液に約1分間以上曝露される。
【実施例】
【0031】
本発明は、次の実施例の方法により説明することができる。
【0032】
試験方法
テープ引っ張り試験
テープ引っ張り試験は、裸の金回路に沿って、1.27cm(1/2インチ)の3M1280電気メッキテープを適用することから成った。最低で長さ2.54cm(1インチ)のテープを、機構(features)又は回路の上へ適用した後、直径7.62cm(3インチ)のゴムローラーを使用して、手でロール処理し、回路へ確実に接着した。次に、テープを約90゜の角度で剥がすよう手で除去した。誘電体基板からの金機構(features)又は回路の層間剥離を調査するために、このプロセスを2回繰り返した。
【0033】
比較実施例1:三ヨウ化物での金エッチング及び水でのすすぎ
比較実施例1は、30%光学的に透明なクロム結合層、該結合層上の厚さ120nmの金層、及び該金層上にパターン化されたコロン工業社(Kolon Industries, Inc.)(韓国)から商品名称アキュイメージ(Accuimage)KG5120として入手可能なフォトレジストの層を有するポリイミドフィルムの試料から製造された。曝露された金をエッチングしてパターン化された金機構(features)を形成するために、全力で(full strength)絶えず攪拌された(少なくとも41.9rad/s(400RPM))トランセン(Transene)GE8111エッチング液の溶液中に、試料を室温で45秒間〜1分間浸漬した。その後、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ。次に、試料を空気乾燥し、室温においてプラスチック袋内で24時間保管した。その後、それを室温において10%水酸化カリウム溶液に2分間浸し、フォトレジストを除去した。次に、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ後、空気乾燥し、その後、「テープ引っ張り試験」として上記された試験方法に従って、テープ引っ張り試験を行なった。テープ引っ張り試験後、回路において、金機構(features)は均一な15ミクロンアンダカットであった。比較実施例1の試料を図1に示す。
【0034】
比較実施例2a及び2b:熱プロセスのみ
比較実施例2a及び2bは、30%光学的に透明なクロム結合層、該結合層上の厚さ120nmの金層、及び該金層上のパターン化されたコロン・アキュイメージ(Kolon Accuimage)KG5120フォトレジストの層を有するポリイミドの2つの試料から製造された。曝露された金をエッチングしてパターン化された金機構(features)を形成するために、全力で(full strength)絶えず攪拌された(少なくとも41.9rad/s(400RPM))トランセン(Transene)GE8111エッチング液の溶液中に、試料を室温で45秒間〜1分間浸漬した。その後、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ。次に、試料を高空気流オーブン内において100℃で45分間焼成した後、空気冷却し、室温においてプラスチック袋内でそれぞれ24時間(実施例2a)及び48時間(実施例2b)保管した。その後、それを室温において10%水酸化カリウム溶液に2分間浸し、フォトレジストを除去した。次に、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ後、空気乾燥し、その後、「テープ引っ張り試験」として上記された試験方法に従って、テープ引っ張り試験を行なった。比較実施例2aの試料を図2aに示す。この試料は、層間剥離を示さなかった。比較実施例2bの試料を図2bに示す。この試料は、回路の層間剥離を示した。
【0035】
実施例3:チオ硫酸ナトリウムすすぎのみ
実施例3は、30%光学的に透明なクロム結合層、該結合層上の厚さ120nmの金層、及び該金層上のパターン化されたコロン・アキュイメージ(Kolon Accuimage)KG5120フォトレジストの層を有するポリイミドの試料から製造された。曝露された金をエッチングしてパターン化された金回路を形成するために、全力で(full strength)絶えず攪拌された(少なくとも41.9rad/s(400RPM))トランセン(Transene)GE8111エッチング液の溶液中に、試料を室温で45秒間〜1分間浸漬した。その後、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ。次に、試料を、50℃において0.5Mチオ硫酸ナトリウム溶液(18.2Mohm−cm水中のACS等級チオ硫酸ナトリウム)にて1分間すすいだ後、室温において高純度脱イオン水中で1分間すすいだ。その後、試料を空気乾燥し、室温においてプラスチック袋内で96時間保管した。その後、それを室温において10%水酸化カリウム溶液に2分間浸し、フォトレジストを除去した。次に、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ後、空気乾燥し、その後、「テープ引っ張り試験」として上記された試験方法に従って、テープ引っ張り試験を行なった。実施例3の試料を図3に示す。この試料は、回路周辺の明るく(bright)光る(shiny)境界として、回路端のわずかな層間剥離のみを示す。
【0036】
実施例4:チオ硫酸ナトリウムすすぎと熱プロセスとの組合せ
実施例4は、30%光学的に透明なクロム結合層、該結合層上の厚さ120nmの金層、及び該金層上のパターン化されたコロン・アキュイメージ(Kolon Accuimage)KG5120フォトレジストの層を有するポリイミドの試料から製造された。曝露された金をエッチングしてパターン化された金回路を形成するために、全力で(full strength)絶えず攪拌された(少なくとも41.9rad/s(400RPM))トランセン(Transene)GE8111エッチング液の溶液中に、試料を室温で45秒間〜1分間浸漬した。その後、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ。次に、試料を、0.5Mチオ硫酸ナトリウム溶液(18.2Mohm−cm水中のACS等級チオ硫酸ナトリウム)で、50℃にて1分間すすいだ後、高純度脱イオン水で室温にて1分間すすいだ。次に、試料を高空気流オーブン内において100℃で45分間焼成した後、空気冷却し、室温においてプラスチック袋内で120時間保管した。その後、それを室温において10%水酸化カリウム溶液に2分間浸し、フォトレジストを除去した。次に、試料を、高純度脱イオン水で、室温にて1分間すすいだ後、空気乾燥し、その後、「テープ引っ張り試験」として上記された試験方法に従って、テープ引っ張り試験を行なった。実施例4の試料を図4a〜cに示す。試料は、回路の層間剥離を示さない。
【0037】
この発明の様々な修飾及び変更は、この発明の範囲及び精神から逸脱しないことが、当業者には明らかであろうし、この発明は、本明細書に記載された具体的な実施態様に不当に限定されるものではないことが、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】先行技術の方法に従って処理された回路のデジタル画像。
【図2】本発明の実施形態に従って処理された回路のデジタル画像。
【図3a】熱処理のみが行なわれた回路のデジタル画像。
【図3b】熱処理のみが行なわれた回路のデジタル画像。
【図4】本発明の実施形態に従って処理された回路のデジタル画像。
【図5a】本発明の実施形態に従って処理された回路のデジタル画像。
【図5b】本発明の実施形態に従って処理された回路のデジタル画像。
【図5c】本発明の実施形態に従って処理された回路のデジタル画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ素を含有するポリマーを提供する工程と、
前記ポリマーを、チオ硫酸塩を含有する溶液に曝露する工程と、
を含む方法であって、こうした曝露が、前記ヨウ素の少なくとも一部を前記ポリマーから除去させる方法。
【請求項2】
前記チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、及びチオ硫酸リチウムから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液が約0.4M〜約0.75Mのチオ硫酸ナトリウム濃度を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液が加熱される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリマーがフォトレジスト層である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマーがポリイミドである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記物品が前記溶液に少なくとも1分間曝露される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが続いて熱処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱処理が約90℃〜約120℃の温度範囲内である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
金属層を含む物品をポリマー層上に提供する工程と、
前記金属層の少なくとも一部を三ヨウ化物エッチング液でエッチングする工程と、
前記物品を、チオ硫酸塩を含有する溶液に曝露する工程と、
を含む方法。
【請求項12】
前記物品がさらに前記金属層上にパターン化フォトレジスト層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属が金である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記物品がさらに前記金属層と前記ポリマー層との間に結合層を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記結合層がクロムである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記チオ硫酸塩が、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、及びチオ硫酸リチウムから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記チオ硫酸塩がチオ硫酸ナトリウムである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が約0.4M〜約0.75Mのチオ硫酸ナトリウム濃度を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマーがポリイミド又はポリエステルである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリマーが続いて熱処理される、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記熱処理温度範囲が約90℃〜約120℃である、請求項20に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2009−507360(P2009−507360A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−514736(P2008−514736)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/020674
【国際公開番号】WO2006/130531
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】