エッチング装置及びエッチング方法
【課題】被処理体のエッチング量をより正確に把握することが可能なエッチング装置及びエッチング方法を提供する。
【解決手段】処理槽11では、ATカットの水晶からなる被処理体9をエッチング溶液でエッチングする処理が行われ、ATカットの水晶片31の両面に互いに対向するように励振電極32、33を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に露出領域を設けたエッチングセンサ3は、この露出領域の水晶がエッチングされるように前記処理槽11に配置される。発振回路22は、このエッチングセンサ3の励振電極32、33に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を取得し、演算部4は発振回路22から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽11内の被処理体9のエッチング量を算出する。
【解決手段】処理槽11では、ATカットの水晶からなる被処理体9をエッチング溶液でエッチングする処理が行われ、ATカットの水晶片31の両面に互いに対向するように励振電極32、33を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に露出領域を設けたエッチングセンサ3は、この露出領域の水晶がエッチングされるように前記処理槽11に配置される。発振回路22は、このエッチングセンサ3の励振電極32、33に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を取得し、演算部4は発振回路22から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽11内の被処理体9のエッチング量を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液によりエッチングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ATカットの水晶は、振動子素子などとして利用したときの発振周波数の温度特性が安定していることから様々な電子機器の周波数や時間の基準源として広く採用されている。ATカットの水晶片は、薄くなるに連れその厚さに反比例して発振周波数が高くなる性質を持つところ、近年の通信機器の高周波化に伴ってより薄く均一な厚さを持つ水晶片を精度よく加工する技術が重要となっている。
【0003】
一般にこうした水晶片は、人工水晶をATカット方向に切断してウエハ状にし、外径加工や研磨を行って製造する。そして、フッ酸などを含むエッチング溶液により研磨などの際に生じた加工歪みや凹凸などを取り除くと共に、目標の周波数を発振するように厚さを調整して励振電極が形成される前の水晶片を得る。
【0004】
このエッチング工程においては、精度よく水晶片の厚さを調整することが求められるが、エッチング溶液内の水晶片の厚さを直接測定することは難しい。そこで、エッチング溶液による水晶片のエッチング速度を予め求めておき、エッチングを開始してから必要な量だけエッチングが進行する時間が経過したら水晶片を引き上げるといった作業によりエッチング量を調節する作業が行われる。
【0005】
しかし、水晶片のエッチング速度はエッチング溶液の温度によっても変化してしまい、処理対象の水晶片が溶解することでエッチング溶液の濃度も刻々と変化する。このように、エッチング速度が変化するおそれのある条件下では、わずかな温度変化やエッチング速度の予測違いで、エッチングの過多や不足が生じてしまう。このため、精度の高い厚さ調整を行うには、比較的低い濃度のエッチング溶液(例えばフッ酸の場合、10〜30重量%)を使って、途中、水晶片の厚さを確認しながら複数回に分けてエッチングを行うなどの対応が必要となり、処理の時間が長くなる傾向がある。
【0006】
このような問題に対応する一つの手法として、特許文献1には、エッチング溶液を満たしたエッチング槽内にて水晶ブランクウエハに対するエッチングを行うにあたり、当該エッチング槽内に第1電極を浸漬すると共に、一面側に第2電極を設けたモニタ用の水晶ブランクウエハをエッチング溶液中に配置したエッチング装置が記載されている。第1、第2電極は計測器と接続されていて、モニタ用の水晶ブランクウエハの一面(第2電極を設けていない面)がエッチング溶液にエッチングされることに伴う共振周波数の変化を計測することができる。
【0007】
上記特許文献1に記載のエッチング装置によれば、モニタ用の水晶ブランクウエハが、処理対象の水晶ブランクウエハと同じエッチング溶液によってエッチングされているので、当該モニタ用の水晶ブランクウエハの共振周波数を計測することにより、処理対象の水晶ブランクウエハのエッチング量をモニタすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−234073号公報:図1、段落0012、0014〜0016
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで特許文献1に記載のエッチング装置は、第1電極がモニタ用の水晶ブランクウエハから離れた状態となっており、第1電極-エッチング槽内のエッチング溶液-モニタ用の水晶ブランクウエハ-第2電極間に形成される回路の共振周波数(回路のインピーダンスが最小となる周波数)を計測する。このようにエッチング溶液も含めた回路のインピーダンスを計測して共振周波数を特定する手法では、第1電極とモニタ用の水晶ブランクウエハとの間に存在するエッチング溶液の粘性抵抗が大きく、容易に発振させることができないという問題がある。
また、水晶のエッチング速度は、エッチング溶液の温度や濃度の変化などにより変化するが、特許文献1に記載の手法では、回路の共振周波数の変化がモニタ用の水晶ブランクウエハのエッチングに起因するものなのか、あるいはエッチング溶液の温度や濃度の変化に基づくものなのかを判別することができず、正確なエッチング量を求めることができない。
【0010】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、被処理体のエッチング量をより正確に把握することが可能なエッチング装置及びエッチング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエッチング装置は、ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行うための処理槽と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設け、この露出領域の水晶がエッチング溶液によってエッチングされるように前記処理槽に配置されたエッチングセンサと、
このエッチングセンサの励振電極に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得るための発振回路と、
この発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出するための演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記エッチング装置は、以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、前記演算部は、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づいて、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出すること。
(b)前記エッチングセンサは、エッチング処理が行われる被処理体の一部の領域を前記水晶片とし、この水晶片の両面に励振電極を設けて構成されること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けた水晶振動子によりエッチングセンサが構成されているので、処理槽内の被処理体のエッチング量を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係わるエッチング装置の構成図である。
【図2】前記エッチング装置に設けられているエッチングセンサの外観斜視図である。
【図3】前記エッチングセンサを保持するホルダの外観斜視図である。
【図4】前記ホルダに保持されたエッチングセンサの縦断側面図である。
【図5】前記エッチングセンサの作用を示す第1の説明図である。
【図6】前記エッチングセンサの作用を示す第2の説明図である。
【図7】前記エッチングセンサの発振周波数の経時変化を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態に係わるエッチング装置の構成図である。
【図9】ツインタイプのエッチングセンサ及びそのホルダの外観斜視図である。
【図10】前記ツインタイプのエッチングセンサ及びそのホルダの縦断側面図である。
【図11】前記ツインタイプのエッチングセンサの作用を示す第1の説明図である。
【図12】前記ツインタイプのエッチングセンサの作用を示す第2の説明図である。
【図13】前記ツインタイプのエッチングセンサの周波数偏差の経時変化を示す説明図である。
【図14】エッチング処理が行われる水晶ウエハにエッチングセンサを設けた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係わるエッチング装置1の構成について図1〜図4を参照しながら説明する。エッチング装置1は、背景技術にて説明した外径加工や研磨が行われた後の水晶片9に対して加工歪みや凹凸を取り除き、また発振周波数の調整をするためのエッチング処理を行う役割を果たす。本例では、例えば直径25mm、厚さ0.34mmの円板形状のATカットの水晶片9に対してエッチング処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0016】
図1の概略構成図に示すようにエッチング装置1は、エッチング溶液を入れた処理槽11と、被処理体である水晶片9を収容した保持容器12と、保持容器12を支持する支持アーム13と、エッチング溶液内の処理位置と、エッチング溶液から取り出した退避位置との間で保持容器12を移動させるために支持アーム13を昇降させる昇降機構14と、エッチング溶液の温度調節を行うヒータ151と、を備えている。
【0017】
処理槽11は、フッ酸などのエッチング溶液が満たされた容器として構成され、当該エッチング溶液内の処理位置に、保持容器12を浸漬させることが可能な大きさを備えている。本例のエッチング装置1では、後述するエッチングセンサ3により水晶片9のエッチング量をモニタするので、従来の10〜30重量%よりも高濃度の例えば20質量%以上、好ましくは30質量%以上の濃度のフッ酸を使用することができる。
【0018】
保持容器12は、フッ酸に侵されないフッ素樹脂で被覆された銅製のワイヤなどを編んだ籠状の容器として構成されており、当該容器内に多数枚の水晶片9を保持することができる。水晶片9を保持した保持容器12を処理槽11内の処理位置まで移動させることにより、籠の編み目からエッチング溶液が進入し、保持容器12内の全ての水晶片9がエッチング溶液に浸漬される。保持容器12にて保持可能な水晶片9の枚数は、特定の枚数に限定されるものではないが、例えば数十枚から千枚程度の水晶片9を収容して、これらを同時にエッチングすることができる。
【0019】
前記保持容器12の上部には、保持容器12の本体を成す容器部分をつり下げて保持するための取っ手部121が設けられており、この取っ手部121を支持アーム13の先端部に掛けることにより保持容器12全体が支持アーム13に吊り下げられる。支持アーム13は、水平方向に伸びる棒状の片持ち梁であり、その先端部に保持容器12を吊り下げて保持する。支持アーム13の基端側は伸縮ロッドなどからなる昇降機構14に接続されていて、この昇降機構14を作動させることにより支持アーム13を昇降させ、これにより処理位置と退避位置との間で保持容器12を移動させることができる。
【0020】
ヒータ151は抵抗発熱体などにより構成され、処理槽11内のエッチング溶液を加熱する役割を果たす。電源部152は、不図示の温度計から取得したエッチング溶液の温度に基づいて、ヒータ151へ供給される電力を増減しエッチング溶液の温度を予め設定された温度に調節する役割を果たす。
【0021】
以上の構成を備えたエッチング装置1には、水晶片9におけるエッチングの進行状況を把握するためのエッチングセンサ3が設けられている。例えば図2に示すようにエッチングセンサ3は、ATカットの水晶片31の両面に、当該水晶片31を介して互いに対向するように励振電極32、33を設けた振動子素子として構成されている。図1に示すようにエッチングセンサ3は、当該エッチングセンサ3を発振させるためのコルピッツ回路などからなる発振回路22に接続されており、エッチングセンサ3及び発振回路22にて発振した周波数信号は周波数検出部23にて、その周波数が検出される。
【0022】
図1、図3、図4に示すようにエッチングセンサ3は、ホルダ21に格納された状態で処理槽11内に配置される。例えばホルダ21は、扁平なリング形状の2枚のホルダ部材211、212により構成され、これらホルダ部材211、212の間にエッチングセンサ3を挟んで固定することができる。ホルダ部材211、212の中央部には開口部214が形成されており、ホルダ21を処理槽11に配したとき、各開口部214を介してエッチングセンサ3の両面にエッチング溶液が供給される。
【0023】
図3、図4に示すように、開口部214から臨むと、エッチングセンサ3の励振電極32、33が形成された領域、及び各励振電極32、33の周辺の水晶片31が露出している領域が剥き出しとなっており、これらの領域がエッチング溶液と接触する。例えば励振電極32、33は、金(Au)などの金属膜をクロム(Cr)層を介して水晶片31に貼り付けた構成となっているが、金層32、33はフッ酸などのエッチング溶液には侵されないので、露出領域の水晶片31のみがエッチングされることになる。
【0024】
エッチングセンサ3から得られた周波数信号は、周波数検出部23にてその発振周波数が検出され、当該発振周波数を示す信号が制御部4に送られる。制御部4は、CPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、周波数検出部23から取得したエッチングセンサ3の発振周波数の変化に基づき、処理槽11内の水晶片9のエッチング量を算出することができる。
【0025】
エッチングセンサ3により水晶片9のエッチング量を算出する原理について説明すると、ATカットの水晶片31の厚さをh[mm]としたとき、エッチングセンサ3の厚みすべり振動の基本波の発振周波数f[MHz]は、「f=1.67/h」で表される。但し、実際のエッチングセンサ3の発振周波数は、水晶片31、32の質量を増加させることや、エッチングセンサ3の周囲の雰囲気を液相(エッチング溶液)雰囲気とすることによって低下する。この場合、上記式に係数a(a<1)を乗じて「f=1.67a/h」で表すことができる。
【0026】
例えば図5、図6に示すように、水晶片31の厚さがh0[mm]のエッチングセンサ3を処理槽11内に浸漬し、水晶片31の露出領域をエッチングすることにより、当該領域の厚さがh[mm]となったとする(図6)。このとき、エッチングセンサ3を大気雰囲気においたときに発振回路22から取得される発振周波数f0[MHz]は、f[MHz]に変化し、発振周波数の変化幅Δf(=f−f0)は、下記(1)式で表すことができる。
Δf={(1.67a/h)−(1.67/h0)} …(1)
【0027】
ここでエッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬する前の周波数f0に対する周波数偏差Dfを「Df=(Δf/f0)×106[ppm]」とし、(1)式の両辺を「f0=1.67/h0」で割って整理すると、エッチング量Δh(=h0−h)と周波数偏差Dfとの関係は下記(2)式で表される。
Δh=h0{(1−a)+Df×10−6}/(1+Df×10−6) …(2)
【0028】
エッチングセンサ3の水晶片31及び処理対象の水晶片9は、いずれもATカットの水晶であり、これらを共通のエッチング溶液でエッチングした場合には、水晶片31の露出領域と保持容器12内の各水晶片9とはほぼ同じエッチング速度でエッチングされる。したがって、エッチングセンサ3の発振周波数の変化は水晶片9のエッチング量に対応しており、エッチングセンサ3の発振周波数の変化を検出することによって(2)式に基づき水晶片9のエッチング量を把握することができる。
【0029】
このような原理に基づき、制御部4は、発振回路22から取得した発振周波数の変化から水晶片9のエッチング量を算出する機能を備えている。この観点において、制御部4は本発明の演算部に相当している。
また図1に示すように制御部4は、ヒータ151の電源部152に対してエッチング溶液の温度調節の目標温度を設定したり、昇降機構14に対して保持容器12の昇降動作の開始タイミングを指示したりする機能を備えている。
【0030】
以上に説明した構成を備えたエッチング装置1の作用について説明する。例えばエッチング溶液を満たしていない処理槽11にエッチングセンサ3を配置して発振回路22を作動させた場合には、周囲の温度が一定であれば周波数偏差Dfは0のまま一定となる。ここで処理槽11にエッチング溶液を入れ、エッチングセンサ3をエッチング溶液中に浸漬させ、エッチングセンサ3の周囲の雰囲気を液相にすると、図7に示すように周波数偏差Df(発振周波数f)が低下する。
【0031】
そしてエッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬した状態を継続すると、水晶片31の露出領域がエッチングされはじめ、エッチングの進行と共にその発振周波数(図7の周波数偏差)が上昇していく。図7において、エッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬した直後に見られる周波数偏差の比較的大きな変動は、水晶片31表面の凹凸などがエッチングされて平坦になるまでの発振周波数の乱れと考えられる。
【0032】
エッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬してしばらく時間が経過し、周波数偏差の変動幅が小さくなったら、水晶片9を収容した状態で待機していた保持容器12を降下させ、エッチング溶液内に浸漬して水晶片9のエッチングを開始する。例えば図7に示すように、発振周波数の計測を開始してから時間t1が経過したタイミングにて水晶片9のエッチングを開始し、このときのエッチングセンサ3のエッチング量をΔh1とする。また、処理対象の水晶片9の目標エッチング量をΔhTとする。
【0033】
このとき、処理対象の水晶片9とエッチングセンサ3の水晶片31とのエッチング速度が同じとすると、エッチングセンサ3のエッチング量がΔh2=Δh1+ΔhTとなるタイミングにて水晶片9のエッチングを停止すればよい。そこで、前記Δh2に対応する周波数偏差DfTの値を(2)式から逆算しておき、エッチングセンサ3の発振周波数fを監視して、周波数偏差がDf=DfTとなったタイミングで保持容器12をエッチング溶液から引き上げる。その後、洗浄水などにより水晶片9に付着したエッチング溶液を洗浄してエッチングを停止することにより、目標量ΔhTだけエッチング処理がなされた水晶片9を得ることができる。
【0034】
本実施の形態に係わるエッチング装置1によれば以下の効果がある。水晶片31の両面に、当該水晶片31を介して互いに対向するように励振電極32、33を設けた水晶振動子によりエッチングセンサ3が構成されているので、処理槽11内の水晶片9のエッチング量を正確に把握することができる。
【0035】
次に、エッチング溶液の温度変化の影響を除外してエッチング量を監視することが可能なエッチングセンサ3aについて説明する。エッチング溶液は液体であり比熱が大きいので、ヒータ151によってエッチング溶液の温度を調節していたとしても、ある程度の幅の温度変化が避けられない場合もある。そこで図8〜図10に示すエッチングセンサ3aは、共通の水晶片31に2つの振動子領域(第1の振動子領域30a、第2の振動子領域30b)が設けられたツインタイプのセンサとなっており、これらの振動子領域30a、30bの発振周波数の差に対応する値に基づいて、エッチング溶液の温度変化による発振周波数の変動の影響を除外することができる。なお、図8〜図9において、第1の実施の形態と同じ構成要素には、図1〜図4に付したものと同じ符号を付してある。
【0036】
図9、図10に示すように本例のエッチングセンサ3aは、共通の水晶片31の異なる領域に、各々対向するように励振電極32a、33a、32b、33bを設けることにより、第1の振動子領域30a、第2の振動子領域30bが形成されている。エッチングセンサ3aは、これらの振動子領域30a、30bに対応する位置に開口部214を設けたホルダ部材211と、各開口部214に対向する位置に凹部215が形成されたホルダ部材212とからなるホルダ21aによって上下から挟まれるように保持されている。また、両振動子領域30a、30bの間には、水晶片31を上下から挟むように絶縁部材216が設けられており、これら絶縁部材216によって振動子領域30a、30bは互いに弾性的に絶縁されている。
【0037】
またホルダ21aは、例えば図8に示すように処理槽11を構成する容器に取り付けられており、開口部214の設けられた面を処理槽11の内部に向けて配置されている。この結果、各振動子領域30a、30bは一面側のみにエッチング溶液が供給されて液相雰囲気となる一方、他面側はホルダ21aの凹部215囲まれた気相雰囲気となっている。このように、振動子領域30a、30bの一面側を気相雰囲気に保つことにより、両面が液相雰囲気となる場合に比べて、発振周波数の低下幅を小さくすることができる。
【0038】
また、図10〜図12に示すようにエッチングセンサ3aは、第1の振動子領域30aには、例えば開口部214側の励振電極32aの周囲に、水晶片31の表面を覆うように保護膜35が形成されている。保護膜35は、エッチング溶液に侵されないレジスト膜などから構成されており、エッチング溶液から第1の振動子領域30a側の水晶片31を保護する役割を果たす。また保護膜35は、ヒータ151を用いたエッチング溶液の温度調節に要する応答時間よりも十分に短い時間でエッチング溶液の温度を第1の振動子領域30aに伝えることが可能な程度の薄さに形成されている。さらに本例では、質量付加による発振周波数の低下幅を小さくするため、励振電極32a周囲の水晶片31上にのみ保護膜35を形成する構成としたが、保護膜35は励振電極32a及びその周囲の水晶片31の全面に亘って形成してもよい。
【0039】
図8に示すように、各振動子領域30a、30bは、発振回路22a、22bに接続されており、これらの発振回路22a、22bにて発振した周波数信号が周波数差検出部24に出力される。周波数差検出部24は両発振回路22a、22bから取得した周波数信号の発振周波数の差を取って、この差分の周波数が制御部4に出力される。
【0040】
このエッチングセンサ3aを処理槽11に配置してエッチング溶液を供給すると、図11に示すように開口部214を介して各振動子領域30a、30bの上面にエッチング溶液が供給される。その結果、図12に示すように第2の振動子領域30b側では励振電極32bで覆われていない水晶片31の露出領域がエッチングされて水晶片31がh0[mm]からh[mm]へと薄くなっていく。一方で、第1の振動子領域30a側の水晶片31の表面には保護膜35が設けられているので、水晶片31はエッチングされず、厚さはh0[mm]のままである。
【0041】
この結果、第2の振動子領域30b側では水晶片31のエッチングが進行するにつれて周波数偏差Df(発振周波数f)が上昇する。一方、第1の振動子領域30a側の水晶片31はエッチングされないので発振周波数の変化は発生しない。
【0042】
ここでATカットの水晶片31においては、水晶片31の厚さの違いに係わらず、周波数偏差の温度特性は3次関数を描き、常温付近で平坦になることが知られている。このため、処理槽11内のエッチング溶液の温度が変化した場合には、各振動子領域30a、30bの周波数偏差Dfは、同じ変化幅で変化する。
【0043】
そこで図13に示すように、第1の振動子領域30a及び第2の振動子領域30bの周波数偏差がエッチング溶液の温度変化の影響を受けて変動した場合には、両振動子領域30a、30bの発振周波数の差分を取ることにより、温度変化の影響を除外した補正後の周波数偏差(図13中に一点鎖線で示してある)を再現することが可能となる。なお図13では、保護膜35を設けた質量付加効果により、第1の振動子領域30aの周波数偏差(発振周波数)が小さくなっている。
【0044】
補正の手法は種々考え得るが、例えば各発振回路22a、22bから第1の振動子領域30aの発振周波数fa及び第2の振動子領域30bの発振周波数fbを取得した周波数差検出部24は、これらの差分の周波数fa−bを計算して制御部4に出力する。制御部4には、基準温度(例えば20℃)における第1の振動子領域30aの発振周波数fsが記憶されており、fa−b+fs[MHz]の値が第2の振動子領域30bの温度補正後の周波数f’aとなる。
【0045】
このf’aに基づいて周波数偏差D’fを計算すれば、図7及び(2)式を用いて説明した関係から、第2の振動子領域30bのエッチング量Δhを求めることができる。ここで第2の振動子領域30bは片面のみがエッチングされているので、両面からエッチングされている水晶片9の1/2の速度でエッチングが進む。したがって、水晶片9のエッチングは、第2の振動子領域30bにおいて目標エッチング量ΔhTの1/2の量のエッチングが行われるタイミングにて保持容器12をエッチング溶液から引き上げることにより管理できる。このように、第2の振動子領域30bのエッチング速度が水晶片9のエッチング速度の1/2となっていることにより、高濃度のエッチング溶液を使用してエッチングを行っても、分解能の高い監視を行うことができる。
【0046】
また例えば、弾性的に絶縁された振動子領域30a、30bに設ける励振電極32a、33a、32b、33bの面積や厚さを異ならせたり、エッチング開始前の両振動子領域30a、30bの厚さを異ならせたりしておくことによって、双方の振動子領域30a、30bをエッチングしたときの発振周波数の変化率に相違が発生する場合には、この変化率の相違を利用して温度変化の影響を除外する補正を行ってもよい。この場合には、保護膜35を設けずに、双方の振動子領域30a、30bをエッチング溶液に接触させた状態で補正を行うことができる。
【0047】
以上に説明した各実施の形態では、単一の振動子領域を備えるエッチングセンサ3について、エッチングセンサ3の表裏両面からエッチングを行う一方、2つの振動子領域30a、30bを備えたエッチングセンサ3aでは、一面側のみをエッチングする例について説明した。しかし、エッチングセンサ3、3aの構成とエッチングが行われる面との組み合わせはこれらの例に限られない。例えばエッチングセンサ3の片面のみをエッチングしてエッチング量の監視を行ってもよいし、2つの振動子領域30a、30を備えるエッチングセンサ3aを両面からエッチングしてもよいことは勿論である。
【0048】
また、図14に示すエッチングセンサ3bのように、被処理体である水晶片91が形成された水晶ウエハ92の一部の領域に励振電極32、33を設けて振動子領域を形成することにより、他の水晶片91のエッチング量を監視してもよい。図14に示した水晶ウエハ92では、水晶ウエハ92の本体との接続部を残しつつ、水晶片91の輪郭の周辺領域が露出するようにレジスト膜を塗布、パターニングし、当該周辺領域をエッチングすることにより多数の水晶片91が同時に形成されている。このような水晶片91の周波数調整にあたり、例えば素子形成領域93の外側にエッチングセンサ3bが形成されており、当該エッチングセンサ3bは発振回路22や周波数検出部23に接続されている。本エッチングセンサ3bを備えた水晶ウエハ92をエッチング溶液に浸漬すると、共通の水晶ウエハ92上に形成された水晶片91とエッチングセンサ3bとが同時にエッチングされるので、エッチングセンサ3bの発振周波数の変化により水晶片91のエッチング量を監視することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a エッチング装置
22、22a、22b
発振回路
23 周波数検出部
24 周波数差検出部
3、3a、3b
エッチングセンサ
30a、30b
振動子領域
31 水晶片
34 エッチング溝
4 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液によりエッチングする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ATカットの水晶は、振動子素子などとして利用したときの発振周波数の温度特性が安定していることから様々な電子機器の周波数や時間の基準源として広く採用されている。ATカットの水晶片は、薄くなるに連れその厚さに反比例して発振周波数が高くなる性質を持つところ、近年の通信機器の高周波化に伴ってより薄く均一な厚さを持つ水晶片を精度よく加工する技術が重要となっている。
【0003】
一般にこうした水晶片は、人工水晶をATカット方向に切断してウエハ状にし、外径加工や研磨を行って製造する。そして、フッ酸などを含むエッチング溶液により研磨などの際に生じた加工歪みや凹凸などを取り除くと共に、目標の周波数を発振するように厚さを調整して励振電極が形成される前の水晶片を得る。
【0004】
このエッチング工程においては、精度よく水晶片の厚さを調整することが求められるが、エッチング溶液内の水晶片の厚さを直接測定することは難しい。そこで、エッチング溶液による水晶片のエッチング速度を予め求めておき、エッチングを開始してから必要な量だけエッチングが進行する時間が経過したら水晶片を引き上げるといった作業によりエッチング量を調節する作業が行われる。
【0005】
しかし、水晶片のエッチング速度はエッチング溶液の温度によっても変化してしまい、処理対象の水晶片が溶解することでエッチング溶液の濃度も刻々と変化する。このように、エッチング速度が変化するおそれのある条件下では、わずかな温度変化やエッチング速度の予測違いで、エッチングの過多や不足が生じてしまう。このため、精度の高い厚さ調整を行うには、比較的低い濃度のエッチング溶液(例えばフッ酸の場合、10〜30重量%)を使って、途中、水晶片の厚さを確認しながら複数回に分けてエッチングを行うなどの対応が必要となり、処理の時間が長くなる傾向がある。
【0006】
このような問題に対応する一つの手法として、特許文献1には、エッチング溶液を満たしたエッチング槽内にて水晶ブランクウエハに対するエッチングを行うにあたり、当該エッチング槽内に第1電極を浸漬すると共に、一面側に第2電極を設けたモニタ用の水晶ブランクウエハをエッチング溶液中に配置したエッチング装置が記載されている。第1、第2電極は計測器と接続されていて、モニタ用の水晶ブランクウエハの一面(第2電極を設けていない面)がエッチング溶液にエッチングされることに伴う共振周波数の変化を計測することができる。
【0007】
上記特許文献1に記載のエッチング装置によれば、モニタ用の水晶ブランクウエハが、処理対象の水晶ブランクウエハと同じエッチング溶液によってエッチングされているので、当該モニタ用の水晶ブランクウエハの共振周波数を計測することにより、処理対象の水晶ブランクウエハのエッチング量をモニタすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−234073号公報:図1、段落0012、0014〜0016
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで特許文献1に記載のエッチング装置は、第1電極がモニタ用の水晶ブランクウエハから離れた状態となっており、第1電極-エッチング槽内のエッチング溶液-モニタ用の水晶ブランクウエハ-第2電極間に形成される回路の共振周波数(回路のインピーダンスが最小となる周波数)を計測する。このようにエッチング溶液も含めた回路のインピーダンスを計測して共振周波数を特定する手法では、第1電極とモニタ用の水晶ブランクウエハとの間に存在するエッチング溶液の粘性抵抗が大きく、容易に発振させることができないという問題がある。
また、水晶のエッチング速度は、エッチング溶液の温度や濃度の変化などにより変化するが、特許文献1に記載の手法では、回路の共振周波数の変化がモニタ用の水晶ブランクウエハのエッチングに起因するものなのか、あるいはエッチング溶液の温度や濃度の変化に基づくものなのかを判別することができず、正確なエッチング量を求めることができない。
【0010】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、被処理体のエッチング量をより正確に把握することが可能なエッチング装置及びエッチング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るエッチング装置は、ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行うための処理槽と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設け、この露出領域の水晶がエッチング溶液によってエッチングされるように前記処理槽に配置されたエッチングセンサと、
このエッチングセンサの励振電極に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得るための発振回路と、
この発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出するための演算部と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
前記エッチング装置は、以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、前記演算部は、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づいて、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出すること。
(b)前記エッチングセンサは、エッチング処理が行われる被処理体の一部の領域を前記水晶片とし、この水晶片の両面に励振電極を設けて構成されること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けた水晶振動子によりエッチングセンサが構成されているので、処理槽内の被処理体のエッチング量を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係わるエッチング装置の構成図である。
【図2】前記エッチング装置に設けられているエッチングセンサの外観斜視図である。
【図3】前記エッチングセンサを保持するホルダの外観斜視図である。
【図4】前記ホルダに保持されたエッチングセンサの縦断側面図である。
【図5】前記エッチングセンサの作用を示す第1の説明図である。
【図6】前記エッチングセンサの作用を示す第2の説明図である。
【図7】前記エッチングセンサの発振周波数の経時変化を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態に係わるエッチング装置の構成図である。
【図9】ツインタイプのエッチングセンサ及びそのホルダの外観斜視図である。
【図10】前記ツインタイプのエッチングセンサ及びそのホルダの縦断側面図である。
【図11】前記ツインタイプのエッチングセンサの作用を示す第1の説明図である。
【図12】前記ツインタイプのエッチングセンサの作用を示す第2の説明図である。
【図13】前記ツインタイプのエッチングセンサの周波数偏差の経時変化を示す説明図である。
【図14】エッチング処理が行われる水晶ウエハにエッチングセンサを設けた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係わるエッチング装置1の構成について図1〜図4を参照しながら説明する。エッチング装置1は、背景技術にて説明した外径加工や研磨が行われた後の水晶片9に対して加工歪みや凹凸を取り除き、また発振周波数の調整をするためのエッチング処理を行う役割を果たす。本例では、例えば直径25mm、厚さ0.34mmの円板形状のATカットの水晶片9に対してエッチング処理を行う場合を例に挙げて説明する。
【0016】
図1の概略構成図に示すようにエッチング装置1は、エッチング溶液を入れた処理槽11と、被処理体である水晶片9を収容した保持容器12と、保持容器12を支持する支持アーム13と、エッチング溶液内の処理位置と、エッチング溶液から取り出した退避位置との間で保持容器12を移動させるために支持アーム13を昇降させる昇降機構14と、エッチング溶液の温度調節を行うヒータ151と、を備えている。
【0017】
処理槽11は、フッ酸などのエッチング溶液が満たされた容器として構成され、当該エッチング溶液内の処理位置に、保持容器12を浸漬させることが可能な大きさを備えている。本例のエッチング装置1では、後述するエッチングセンサ3により水晶片9のエッチング量をモニタするので、従来の10〜30重量%よりも高濃度の例えば20質量%以上、好ましくは30質量%以上の濃度のフッ酸を使用することができる。
【0018】
保持容器12は、フッ酸に侵されないフッ素樹脂で被覆された銅製のワイヤなどを編んだ籠状の容器として構成されており、当該容器内に多数枚の水晶片9を保持することができる。水晶片9を保持した保持容器12を処理槽11内の処理位置まで移動させることにより、籠の編み目からエッチング溶液が進入し、保持容器12内の全ての水晶片9がエッチング溶液に浸漬される。保持容器12にて保持可能な水晶片9の枚数は、特定の枚数に限定されるものではないが、例えば数十枚から千枚程度の水晶片9を収容して、これらを同時にエッチングすることができる。
【0019】
前記保持容器12の上部には、保持容器12の本体を成す容器部分をつり下げて保持するための取っ手部121が設けられており、この取っ手部121を支持アーム13の先端部に掛けることにより保持容器12全体が支持アーム13に吊り下げられる。支持アーム13は、水平方向に伸びる棒状の片持ち梁であり、その先端部に保持容器12を吊り下げて保持する。支持アーム13の基端側は伸縮ロッドなどからなる昇降機構14に接続されていて、この昇降機構14を作動させることにより支持アーム13を昇降させ、これにより処理位置と退避位置との間で保持容器12を移動させることができる。
【0020】
ヒータ151は抵抗発熱体などにより構成され、処理槽11内のエッチング溶液を加熱する役割を果たす。電源部152は、不図示の温度計から取得したエッチング溶液の温度に基づいて、ヒータ151へ供給される電力を増減しエッチング溶液の温度を予め設定された温度に調節する役割を果たす。
【0021】
以上の構成を備えたエッチング装置1には、水晶片9におけるエッチングの進行状況を把握するためのエッチングセンサ3が設けられている。例えば図2に示すようにエッチングセンサ3は、ATカットの水晶片31の両面に、当該水晶片31を介して互いに対向するように励振電極32、33を設けた振動子素子として構成されている。図1に示すようにエッチングセンサ3は、当該エッチングセンサ3を発振させるためのコルピッツ回路などからなる発振回路22に接続されており、エッチングセンサ3及び発振回路22にて発振した周波数信号は周波数検出部23にて、その周波数が検出される。
【0022】
図1、図3、図4に示すようにエッチングセンサ3は、ホルダ21に格納された状態で処理槽11内に配置される。例えばホルダ21は、扁平なリング形状の2枚のホルダ部材211、212により構成され、これらホルダ部材211、212の間にエッチングセンサ3を挟んで固定することができる。ホルダ部材211、212の中央部には開口部214が形成されており、ホルダ21を処理槽11に配したとき、各開口部214を介してエッチングセンサ3の両面にエッチング溶液が供給される。
【0023】
図3、図4に示すように、開口部214から臨むと、エッチングセンサ3の励振電極32、33が形成された領域、及び各励振電極32、33の周辺の水晶片31が露出している領域が剥き出しとなっており、これらの領域がエッチング溶液と接触する。例えば励振電極32、33は、金(Au)などの金属膜をクロム(Cr)層を介して水晶片31に貼り付けた構成となっているが、金層32、33はフッ酸などのエッチング溶液には侵されないので、露出領域の水晶片31のみがエッチングされることになる。
【0024】
エッチングセンサ3から得られた周波数信号は、周波数検出部23にてその発振周波数が検出され、当該発振周波数を示す信号が制御部4に送られる。制御部4は、CPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、周波数検出部23から取得したエッチングセンサ3の発振周波数の変化に基づき、処理槽11内の水晶片9のエッチング量を算出することができる。
【0025】
エッチングセンサ3により水晶片9のエッチング量を算出する原理について説明すると、ATカットの水晶片31の厚さをh[mm]としたとき、エッチングセンサ3の厚みすべり振動の基本波の発振周波数f[MHz]は、「f=1.67/h」で表される。但し、実際のエッチングセンサ3の発振周波数は、水晶片31、32の質量を増加させることや、エッチングセンサ3の周囲の雰囲気を液相(エッチング溶液)雰囲気とすることによって低下する。この場合、上記式に係数a(a<1)を乗じて「f=1.67a/h」で表すことができる。
【0026】
例えば図5、図6に示すように、水晶片31の厚さがh0[mm]のエッチングセンサ3を処理槽11内に浸漬し、水晶片31の露出領域をエッチングすることにより、当該領域の厚さがh[mm]となったとする(図6)。このとき、エッチングセンサ3を大気雰囲気においたときに発振回路22から取得される発振周波数f0[MHz]は、f[MHz]に変化し、発振周波数の変化幅Δf(=f−f0)は、下記(1)式で表すことができる。
Δf={(1.67a/h)−(1.67/h0)} …(1)
【0027】
ここでエッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬する前の周波数f0に対する周波数偏差Dfを「Df=(Δf/f0)×106[ppm]」とし、(1)式の両辺を「f0=1.67/h0」で割って整理すると、エッチング量Δh(=h0−h)と周波数偏差Dfとの関係は下記(2)式で表される。
Δh=h0{(1−a)+Df×10−6}/(1+Df×10−6) …(2)
【0028】
エッチングセンサ3の水晶片31及び処理対象の水晶片9は、いずれもATカットの水晶であり、これらを共通のエッチング溶液でエッチングした場合には、水晶片31の露出領域と保持容器12内の各水晶片9とはほぼ同じエッチング速度でエッチングされる。したがって、エッチングセンサ3の発振周波数の変化は水晶片9のエッチング量に対応しており、エッチングセンサ3の発振周波数の変化を検出することによって(2)式に基づき水晶片9のエッチング量を把握することができる。
【0029】
このような原理に基づき、制御部4は、発振回路22から取得した発振周波数の変化から水晶片9のエッチング量を算出する機能を備えている。この観点において、制御部4は本発明の演算部に相当している。
また図1に示すように制御部4は、ヒータ151の電源部152に対してエッチング溶液の温度調節の目標温度を設定したり、昇降機構14に対して保持容器12の昇降動作の開始タイミングを指示したりする機能を備えている。
【0030】
以上に説明した構成を備えたエッチング装置1の作用について説明する。例えばエッチング溶液を満たしていない処理槽11にエッチングセンサ3を配置して発振回路22を作動させた場合には、周囲の温度が一定であれば周波数偏差Dfは0のまま一定となる。ここで処理槽11にエッチング溶液を入れ、エッチングセンサ3をエッチング溶液中に浸漬させ、エッチングセンサ3の周囲の雰囲気を液相にすると、図7に示すように周波数偏差Df(発振周波数f)が低下する。
【0031】
そしてエッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬した状態を継続すると、水晶片31の露出領域がエッチングされはじめ、エッチングの進行と共にその発振周波数(図7の周波数偏差)が上昇していく。図7において、エッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬した直後に見られる周波数偏差の比較的大きな変動は、水晶片31表面の凹凸などがエッチングされて平坦になるまでの発振周波数の乱れと考えられる。
【0032】
エッチングセンサ3をエッチング溶液に浸漬してしばらく時間が経過し、周波数偏差の変動幅が小さくなったら、水晶片9を収容した状態で待機していた保持容器12を降下させ、エッチング溶液内に浸漬して水晶片9のエッチングを開始する。例えば図7に示すように、発振周波数の計測を開始してから時間t1が経過したタイミングにて水晶片9のエッチングを開始し、このときのエッチングセンサ3のエッチング量をΔh1とする。また、処理対象の水晶片9の目標エッチング量をΔhTとする。
【0033】
このとき、処理対象の水晶片9とエッチングセンサ3の水晶片31とのエッチング速度が同じとすると、エッチングセンサ3のエッチング量がΔh2=Δh1+ΔhTとなるタイミングにて水晶片9のエッチングを停止すればよい。そこで、前記Δh2に対応する周波数偏差DfTの値を(2)式から逆算しておき、エッチングセンサ3の発振周波数fを監視して、周波数偏差がDf=DfTとなったタイミングで保持容器12をエッチング溶液から引き上げる。その後、洗浄水などにより水晶片9に付着したエッチング溶液を洗浄してエッチングを停止することにより、目標量ΔhTだけエッチング処理がなされた水晶片9を得ることができる。
【0034】
本実施の形態に係わるエッチング装置1によれば以下の効果がある。水晶片31の両面に、当該水晶片31を介して互いに対向するように励振電極32、33を設けた水晶振動子によりエッチングセンサ3が構成されているので、処理槽11内の水晶片9のエッチング量を正確に把握することができる。
【0035】
次に、エッチング溶液の温度変化の影響を除外してエッチング量を監視することが可能なエッチングセンサ3aについて説明する。エッチング溶液は液体であり比熱が大きいので、ヒータ151によってエッチング溶液の温度を調節していたとしても、ある程度の幅の温度変化が避けられない場合もある。そこで図8〜図10に示すエッチングセンサ3aは、共通の水晶片31に2つの振動子領域(第1の振動子領域30a、第2の振動子領域30b)が設けられたツインタイプのセンサとなっており、これらの振動子領域30a、30bの発振周波数の差に対応する値に基づいて、エッチング溶液の温度変化による発振周波数の変動の影響を除外することができる。なお、図8〜図9において、第1の実施の形態と同じ構成要素には、図1〜図4に付したものと同じ符号を付してある。
【0036】
図9、図10に示すように本例のエッチングセンサ3aは、共通の水晶片31の異なる領域に、各々対向するように励振電極32a、33a、32b、33bを設けることにより、第1の振動子領域30a、第2の振動子領域30bが形成されている。エッチングセンサ3aは、これらの振動子領域30a、30bに対応する位置に開口部214を設けたホルダ部材211と、各開口部214に対向する位置に凹部215が形成されたホルダ部材212とからなるホルダ21aによって上下から挟まれるように保持されている。また、両振動子領域30a、30bの間には、水晶片31を上下から挟むように絶縁部材216が設けられており、これら絶縁部材216によって振動子領域30a、30bは互いに弾性的に絶縁されている。
【0037】
またホルダ21aは、例えば図8に示すように処理槽11を構成する容器に取り付けられており、開口部214の設けられた面を処理槽11の内部に向けて配置されている。この結果、各振動子領域30a、30bは一面側のみにエッチング溶液が供給されて液相雰囲気となる一方、他面側はホルダ21aの凹部215囲まれた気相雰囲気となっている。このように、振動子領域30a、30bの一面側を気相雰囲気に保つことにより、両面が液相雰囲気となる場合に比べて、発振周波数の低下幅を小さくすることができる。
【0038】
また、図10〜図12に示すようにエッチングセンサ3aは、第1の振動子領域30aには、例えば開口部214側の励振電極32aの周囲に、水晶片31の表面を覆うように保護膜35が形成されている。保護膜35は、エッチング溶液に侵されないレジスト膜などから構成されており、エッチング溶液から第1の振動子領域30a側の水晶片31を保護する役割を果たす。また保護膜35は、ヒータ151を用いたエッチング溶液の温度調節に要する応答時間よりも十分に短い時間でエッチング溶液の温度を第1の振動子領域30aに伝えることが可能な程度の薄さに形成されている。さらに本例では、質量付加による発振周波数の低下幅を小さくするため、励振電極32a周囲の水晶片31上にのみ保護膜35を形成する構成としたが、保護膜35は励振電極32a及びその周囲の水晶片31の全面に亘って形成してもよい。
【0039】
図8に示すように、各振動子領域30a、30bは、発振回路22a、22bに接続されており、これらの発振回路22a、22bにて発振した周波数信号が周波数差検出部24に出力される。周波数差検出部24は両発振回路22a、22bから取得した周波数信号の発振周波数の差を取って、この差分の周波数が制御部4に出力される。
【0040】
このエッチングセンサ3aを処理槽11に配置してエッチング溶液を供給すると、図11に示すように開口部214を介して各振動子領域30a、30bの上面にエッチング溶液が供給される。その結果、図12に示すように第2の振動子領域30b側では励振電極32bで覆われていない水晶片31の露出領域がエッチングされて水晶片31がh0[mm]からh[mm]へと薄くなっていく。一方で、第1の振動子領域30a側の水晶片31の表面には保護膜35が設けられているので、水晶片31はエッチングされず、厚さはh0[mm]のままである。
【0041】
この結果、第2の振動子領域30b側では水晶片31のエッチングが進行するにつれて周波数偏差Df(発振周波数f)が上昇する。一方、第1の振動子領域30a側の水晶片31はエッチングされないので発振周波数の変化は発生しない。
【0042】
ここでATカットの水晶片31においては、水晶片31の厚さの違いに係わらず、周波数偏差の温度特性は3次関数を描き、常温付近で平坦になることが知られている。このため、処理槽11内のエッチング溶液の温度が変化した場合には、各振動子領域30a、30bの周波数偏差Dfは、同じ変化幅で変化する。
【0043】
そこで図13に示すように、第1の振動子領域30a及び第2の振動子領域30bの周波数偏差がエッチング溶液の温度変化の影響を受けて変動した場合には、両振動子領域30a、30bの発振周波数の差分を取ることにより、温度変化の影響を除外した補正後の周波数偏差(図13中に一点鎖線で示してある)を再現することが可能となる。なお図13では、保護膜35を設けた質量付加効果により、第1の振動子領域30aの周波数偏差(発振周波数)が小さくなっている。
【0044】
補正の手法は種々考え得るが、例えば各発振回路22a、22bから第1の振動子領域30aの発振周波数fa及び第2の振動子領域30bの発振周波数fbを取得した周波数差検出部24は、これらの差分の周波数fa−bを計算して制御部4に出力する。制御部4には、基準温度(例えば20℃)における第1の振動子領域30aの発振周波数fsが記憶されており、fa−b+fs[MHz]の値が第2の振動子領域30bの温度補正後の周波数f’aとなる。
【0045】
このf’aに基づいて周波数偏差D’fを計算すれば、図7及び(2)式を用いて説明した関係から、第2の振動子領域30bのエッチング量Δhを求めることができる。ここで第2の振動子領域30bは片面のみがエッチングされているので、両面からエッチングされている水晶片9の1/2の速度でエッチングが進む。したがって、水晶片9のエッチングは、第2の振動子領域30bにおいて目標エッチング量ΔhTの1/2の量のエッチングが行われるタイミングにて保持容器12をエッチング溶液から引き上げることにより管理できる。このように、第2の振動子領域30bのエッチング速度が水晶片9のエッチング速度の1/2となっていることにより、高濃度のエッチング溶液を使用してエッチングを行っても、分解能の高い監視を行うことができる。
【0046】
また例えば、弾性的に絶縁された振動子領域30a、30bに設ける励振電極32a、33a、32b、33bの面積や厚さを異ならせたり、エッチング開始前の両振動子領域30a、30bの厚さを異ならせたりしておくことによって、双方の振動子領域30a、30bをエッチングしたときの発振周波数の変化率に相違が発生する場合には、この変化率の相違を利用して温度変化の影響を除外する補正を行ってもよい。この場合には、保護膜35を設けずに、双方の振動子領域30a、30bをエッチング溶液に接触させた状態で補正を行うことができる。
【0047】
以上に説明した各実施の形態では、単一の振動子領域を備えるエッチングセンサ3について、エッチングセンサ3の表裏両面からエッチングを行う一方、2つの振動子領域30a、30bを備えたエッチングセンサ3aでは、一面側のみをエッチングする例について説明した。しかし、エッチングセンサ3、3aの構成とエッチングが行われる面との組み合わせはこれらの例に限られない。例えばエッチングセンサ3の片面のみをエッチングしてエッチング量の監視を行ってもよいし、2つの振動子領域30a、30を備えるエッチングセンサ3aを両面からエッチングしてもよいことは勿論である。
【0048】
また、図14に示すエッチングセンサ3bのように、被処理体である水晶片91が形成された水晶ウエハ92の一部の領域に励振電極32、33を設けて振動子領域を形成することにより、他の水晶片91のエッチング量を監視してもよい。図14に示した水晶ウエハ92では、水晶ウエハ92の本体との接続部を残しつつ、水晶片91の輪郭の周辺領域が露出するようにレジスト膜を塗布、パターニングし、当該周辺領域をエッチングすることにより多数の水晶片91が同時に形成されている。このような水晶片91の周波数調整にあたり、例えば素子形成領域93の外側にエッチングセンサ3bが形成されており、当該エッチングセンサ3bは発振回路22や周波数検出部23に接続されている。本エッチングセンサ3bを備えた水晶ウエハ92をエッチング溶液に浸漬すると、共通の水晶ウエハ92上に形成された水晶片91とエッチングセンサ3bとが同時にエッチングされるので、エッチングセンサ3bの発振周波数の変化により水晶片91のエッチング量を監視することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a エッチング装置
22、22a、22b
発振回路
23 周波数検出部
24 周波数差検出部
3、3a、3b
エッチングセンサ
30a、30b
振動子領域
31 水晶片
34 エッチング溝
4 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行うための処理槽と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設け、この露出領域の水晶がエッチング溶液によってエッチングされるように前記処理槽に配置されたエッチングセンサと、
このエッチングセンサの励振電極に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得るための発振回路と、
この発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出するための演算部と、を備えたことを特徴とするエッチング装置。
【請求項2】
前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、前記演算部は、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づいて、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記エッチングセンサは、エッチング処理が行われる被処理体の一部の領域を前記水晶片とし、この水晶片の両面に励振電極を設けて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のエッチング装置。
【請求項4】
ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行う工程と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設けたエッチングセンサを、前記被処理体が浸漬されたエッチング溶液と接触させて、この露出領域の水晶をエッチングする工程と、
前記エッチングセンサの励振電極に接続された発振回路から、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得る工程と、
前記発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記エッチング溶液による被処理体のエッチング量を算出する工程と、を含むことを特徴とするエッチング方法。
【請求項5】
前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、エッチング量を算出する工程では、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づき、被処理体のエッチング量を算出することを特徴とする請求項4に記載のエッチング方法。
【請求項1】
ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行うための処理槽と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設け、この露出領域の水晶がエッチング溶液によってエッチングされるように前記処理槽に配置されたエッチングセンサと、
このエッチングセンサの励振電極に接続され、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得るための発振回路と、
この発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出するための演算部と、を備えたことを特徴とするエッチング装置。
【請求項2】
前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、前記演算部は、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づいて、前記処理槽内の被処理体のエッチング量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエッチング装置。
【請求項3】
前記エッチングセンサは、エッチング処理が行われる被処理体の一部の領域を前記水晶片とし、この水晶片の両面に励振電極を設けて構成されることを特徴とする請求項1または2に記載のエッチング装置。
【請求項4】
ATカットの水晶からなる被処理体をエッチング溶液と接触させて、この被処理体に対するエッチング処理を行う工程と、
ATカットの水晶片の両面に、当該水晶片を介して互いに対向するように励振電極を設けると共に、これらの面の少なくとも一部に励振電極で覆われていない露出領域を設けたエッチングセンサを、前記被処理体が浸漬されたエッチング溶液と接触させて、この露出領域の水晶をエッチングする工程と、
前記エッチングセンサの励振電極に接続された発振回路から、前記露出領域の水晶片の厚さに対応する周波数信号を得る工程と、
前記発振回路から取得した周波数信号の周波数の変化に基づき、前記エッチング溶液による被処理体のエッチング量を算出する工程と、を含むことを特徴とするエッチング方法。
【請求項5】
前記エッチングセンサには、共通の水晶片の両面に2組の励振電極が設けられ、エッチング量を算出する工程では、各組の励振電極に接続された発振回路から取得した周波数信号の周波数の差に対応する値に基づき、被処理体のエッチング量を算出することを特徴とする請求項4に記載のエッチング方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−178716(P2012−178716A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40561(P2011−40561)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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