説明

エポキシ末端エステルを含む網状ポリマー

【課題】少なくとも2つの末端エポキシ基を有するエステルを含む組成物を硬化させることにより得られる網状ポリマーを提供する。
【解決手段】網状ポリマーに好ましいエステルは、式(1)によって表されるエステルを含む。


式中、それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そしてnは2以上の整数を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端エポキシ基を含有するエステルを含む硬化性組成物および網状ポリマーに関する。本発明の別の態様は、熱硬化性樹脂用途、たとえば塗料、接着剤および複合材料におけるこれらのポリマーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
側鎖に沿ってエポキシ基を有するエステル、たとえば或る特定のエポキシ化植物油が知られている。たとえば米国特許第5,973,082号明細書を参照されたい。しかし、これらの従来のエポキシ化エステルの反応性は比較的低い。これは、エポキシ基が内部にあるという事実、すなわち、エポキシ基がトリアシルグリセリドの側鎖に沿って存在していて、鎖の末端には存在していないという事実に起因する。このような低反応性はこれらのエステルを、種々多様な用途にとって好ましくないもの、または適さないものにさえしてしまう。
【0003】
従って、末端エポキシ基を有するエステルを調製しようと努力が為されている。たとえば、国際公開第00/18751号パンフレットで論議されているエポキシは、先ずトリメチロールプロパンと10,11−ウンデセノイン酸とを反応させ、次いで、こうして得られたエステルの不飽和基を酸化剤を使用してエポキシ化することにより得られる。このパンフレットの実施例5において、例示されたエポキシエステルと、イソフォロンジアミンと、かなり大量のビスフェノールAジグリシジルエーテルとを含む組成物が硬化される。国際公開第00/18751号パンフレットに例示されたエポキシエステルは、内部エポキシ基を有するエステルと比較して、反応性を改善することができるものの、これらのエステルを含む混合物の反応性のさらなる改善が今なお求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の態様は、エポキシ末端エステルを含む混合物の硬化速度を改善することを含む。他の態様は、エポキシ末端エステルを含む混合物を硬化することにより形成された網状ポリマーであって、比較的高いガラス転移温度、優れたUV安定性、改善された靭性、および/または改善された接着性を有する網状ポリマーを提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(i) 2以上の末端エポキシ基を有するエステルと;
(ii) 硬化剤と
を含む組成物を硬化することにより得られる網状ポリマーであって、
該組成物が脂肪族アミン硬化剤を含む場合には、の該組成物はさらに重合促進剤を含む、網状ポリマーを提供する。
【0006】
本発明の網状ポリマーを調製するための好ましいエステルは、下記式(1)によって表されるエステルを含む。
【0007】
【化1】

【0008】
式(1)中、
それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、
Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そして
nは2以上の整数を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基
ホモ脂肪族基とは、本質的に炭素原子および水素原子からなる脂肪族基であって、2つの遊離一価を含有するものを言い、式(1)に示すように、これらの一価のうちの一方の一価はカルボキシル炭素との結合に関与し、他方の一価はエポキシ基との結合に関与する。ホモ脂肪族基は、メチレン;および少なくとも2個の炭素原子を含有する脂肪族基であって、それらの炭素原子のうちの2つのそれぞれが単一の遊離一価を有するもの、から選択される。
【0010】
ヘテロ脂肪族基とは、上記に定義したホモ脂肪族基がさらに他の原子を含んだものを言い、他の原子は主鎖または主環内に存在してもよいし、置換基としてまたは置換基の一部として存在してもよいし、その両方に存在してもよいさらに。このような他の原子としては、たとえば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、他の原子は、主鎖または環に結合した置換基としてまたは置換基の一部として存在する。好ましくは、ヘテロ脂肪族基の少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、そしてさらにより好ましくは少なくとも90質量%が炭素原子と水素原子とからなる。ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基は、環状構造(たとえばモノ−、ビ−およびトリ−脂環式基など)であってもよいし、および/または環状構造を含んでいてもよいし、および/または不飽和結合を、たとえばアルケン基および/またはアルキン基として含有していてもよい(そしてヘテロ脂肪族基の場合には、ヘテロアルケン基、たとえばシアノ基、および/またはヘテロアルキン基を含有してよい)。好ましくは、ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基は飽和基である。
【0011】
ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基における好ましい置換基の例としては、アルキル基およびアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。)、ならびにアリール基が挙げられる。ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基における特に好ましいアルキル基およびアルケニル基置換基としては、ホモ:オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ホモ脂肪族基およびヘテロ脂肪族基における特に好ましいアルキル基置換基としては、プロピル、エチルおよびメチル基が挙げられる。
【0012】
ヘテロ脂肪族基における好ましい置換基の例としては、さらに、ヒドロキシル、ニトロおよびシアノ基;ハロゲン;ヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。);ならびにヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロ脂肪族基における特に好ましいヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基置換基の例としては、ヘテロの、オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ヘテロ脂肪族基における特に好ましいヘテロアルキル基置換基としては、ヘテロプロピル、ヘテロエチルおよびヘテロメチル基が挙げられる。
【0013】
式(1)において定義された、所与のエステル分子中の各R基は、その分子中の他のR基のうちの1つまたは2つ以上と異なる構造であってよい。好ましい態様においては、所与のエステル分子中のRはすべて同一の基を表す。
【0014】
ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメント
ホモアルキレン・セグメントは、本質的に炭素原子および水素原子からなる脂肪族基であって、少なくとも2個の炭素原子を含有し、「n」個の遊離一価(「n」は下記に定義する。)を含有する脂肪族基を意味する。好ましくはホモアルキレン・セグメントは、約200個までの炭素原子、より好ましくは約100個までの炭素原子、さらにより好ましくは約50個までの炭素原子、さらにより好ましくは約40個までの炭素原子、さらにより好ましくは約30個までの炭素原子、さらにより好ましくは約20個までの炭素原子、さらにより好ましくは約10個までの炭素原子を含む。好ましい態様においては、ホモアルキレン・セグメントは、2〜12個の炭素原子、より好ましくは2〜10個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜8個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜6個の炭素原子、さらにより好ましくは2〜4個の炭素原子を含む(すべての範囲は両端の数値を含む。)。特に好ましい態様においては、ホモアルキレン・セグメントは3個の炭素原子を含むであろう。ホモアルキレン・セグメントの遊離一価は、異なる炭素原子にあってもよいし、同一の炭素原子にあってもよいし、それらの組み合わせでもよい。但しこの場合、(末端炭素原子上のアルキリジン、アルケニリジン、およびアルキニリジン官能価に関して)3つを超える一価を含む単一の炭素原子がないことを条件とする。好ましくは、単一の炭素原子は、(アルキリデン、アルケニリデン、およびアルキニリデン官能価に関して)2つを超える遊離一価を含まない。より好ましくは、単一の炭素原子は、(アルキル、アルケニル、およびアルキニル官能価に関して)1つを超える遊離一価を含まない。このように、ホモアルキレン・セグメントとしては、脂肪族ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−イル基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。ホモアルキレン・セグメントの「n」個の遊離一価のうちのそれぞれ1つは、式(1)に示す「n」個の基のうちの1つの基のカルボキシル酸素との結合に関与するであろう。
【0015】
好ましいホモアルキレン・セグメントの例としては、炭素原子数が2以上の脂肪族ジ−イル基、炭素原子数が3以上の脂肪族トリ−イル基、炭素原子数が4以上の脂肪族テトラ−イル基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。ホモアルキレン・セグメントの好ましい例としては、エチレン;プロパン−1,2−ジイル;プロパン−1,3−ジイル;プロパン−1,2,3−トリイル;ブタン−ジ−、トリ−およびテトラ−イル;ペンタン−ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ−イル;ヘキサン−ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−およびヘキサ−イル;ヘプタン−ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−およびヘプタ−イル;ならびにオクタン−ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−およびオクタ−イルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。より好ましいのは、エチレン;プロパン−1,2−ジイル;プロパン−1,3−ジイル;プロパン−1,2,3−トリイル;ならびにブタン−ジ−、トリ−およびテトラ−イルである。特に好ましいのは、エチレン;プロパン−1,2−ジイル;プロパン−1,3−ジイル;およびプロパン−1,2,3−トリイルである。
【0016】
ヘテロアルキレン・セグメントとは、上記に定義したホモアルキレン・セグメントがさらに他の原子を含んだものを言い、他の原子は主鎖および/または環内に存在してもよいし、置換基としてまたは置換基の一部として存在してもよいし、その両方に存在してもよいさらに。このような他の原子としては、たとえば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、このような他の原子は、主鎖および/または環に結合された置換基としてまたは置換基の一部として存在する。好ましくは、ヘテロアルキレン基の少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、そしてさらにより好ましくは少なくとも90質量%が炭素原子と水素原子とからなる。ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメントは、環状構造(たとえばモノ−、ビ−およびトリ−脂環式基など)であってもよし、および/または環状構造を含んでいてもよいし、および/または不飽和結合を、たとえばアルケン基および/またはアルキン基として、含んでいてもよい(そしてヘテロアルキレン・セグメントの場合には、ヘテロアルケン基、たとえばシアノ基および/またはヘテロアルキン基を含有していてもよい)。好ましくは、ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメントは飽和のものである。
【0017】
ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメントにおける好ましい置換基の例としては、アルキル基およびアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。)、ならびにアリール基が挙げられる。ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメントにおける特に好ましいアルキル基およびアルケニル基置換基としては、ホモ−:オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ホモアルキレン・セグメントおよびヘテロアルキレン・セグメントにおける特に好ましいアルキル基置換基としては、プロピル、エチルおよびメチル基が挙げられる。
【0018】
ヘテロアルキレン・セグメントにおける好ましい置換基の例としては、さらに、ヒドロキシル、ニトロおよびシアノ基;ハロゲン;ヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。)、ならびにヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアルキレン・セグメントにおける特に好ましいヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基置換基としては、ヘテロ−:オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ヘテロアルキレン・セグメントにおける特に好ましいヘテロアルキル基置換基としては、ヘテロプロピル、ヘテロエチルおよびヘテロメチル基が挙げられる。
【0019】
アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメント
アリーレン・セグメントとは、「n」個の遊離一価(「n」は下記に定義する)を有するアリール基またはアルキアリール基であって、その環内に複数の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素原子が単一の遊離一価を有し、好ましくは2つの炭素原子がそれぞれ単一の遊離一価を有するものを言う。好ましくは、アリーレン・セグメントは、少なくとも6個の炭素原子数を含む。好ましくは、アリーレン・セグメントは約200個までの炭素原子を含み、より好ましくは約100個までの炭素原子、さらにより好ましくは約50個までの炭素原子、さらにより好ましくは約40個までの炭素原子、さらにより好ましくは約30個までの炭素原子、さらにより好ましくは約20個までの炭素原子を含む。好ましい態様においては、アリーレン・セグメントは約10個までの炭素原子を含む。好ましい態様においては、アリーレン・セグメントは6〜25個の炭素原子、より好ましくは6〜20個の炭素原子、さらにより好ましくは6〜18個の炭素原子、さらにより好ましくは6〜15個の炭素原子を含み;特に好ましい態様においては、アリーレン・セグメントは、6〜12個の炭素原子を含む(すべての範囲は両端の数値を含む。)。アリーレン・セグメントの遊離一価は、異なる炭素原子にあってもよいし、同一の炭素原子にあってもよいし、それらの組み合わせでもよい。但しこの場合、(アルカリール(alkaryl)基の脂肪族部分の末端炭素上のアルキリジン、アルケニリジン、およびアルキニリジン官能価に関して)3つを超える一価を含む単一の炭素原子がないことを条件とする。好ましくは、単一の炭素原子は、(アリーリデン、アルキリデン、アルケニリデンおよびアルキニリデン官能価に関して)2つを超える遊離一価を含まず、より好ましくは、単一の炭素原子は、(アリール、アルキル、アルケニル、およびアルキニル官能価に関して)1つを超える遊離一価を含まない。このように、アリーレン・セグメントとしては:アリールおよびアルカリール−ジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタ−、オクタ−イル基などが挙げられるが、それらに限定されるものではない。アリーレン・セグメントの「n」個の遊離一価のうちのそれぞれ1つは、式(1)に示す「n」個の基のうちの1つの基のカルボキシル酸素との結合に関与するであろう。(「アルカリール」という用語は、少なくとも1つの脂肪族基が結合した少なくとも1つ以上の芳香族環を含む構造を意味する。)
【0020】
ヘテロアリーレン・セグメントとは、上記に定義したアリーレン・セグメントがさらに他の原子をさらに含んだものを言い、他の原子は主環および/または主鎖内に存在してもよいし、置換基としてまたは置換基の一部として存在してもよいし、その両方に存在してもよいさらに。このような他の原子としては、たとえば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子およびハロゲン原子が挙げられる。好ましくは、このような他の原子は、主環および/または主鎖に結合した置換基としてまたは置換基の一部として存在する。好ましくは、ヘテロアリーレン・セグメントの少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも60質量%、さらにより好ましくは少なくとも80質量%、そしてさらにより好ましくは少なくとも90質量%が炭素原子と水素原子とからなる。アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメントに存在するアルキル基は、環状構造(たとえば、モノ−、ビ−およびトリ−脂環式基など)であってもよいし、および/または環状構造を含んでいてもよいし、および/または、不飽和結合を、たとえばアルケン基および/またはアルキン基として、含んでいてもよい(そしてヘテロアリーレン・セグメントの場合には、ヘテロアルケン基、たとえばシアノ基および/またはヘテロアルキン基を含んでいてもよい)。好ましくは、アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメントに存在するいずれの脂肪族基も飽和のものである。
【0021】
アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメントにおける好ましい置換基の例としては、環状構造であるか、或いは環式構造を含有してよいアルキルおよびアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。)、ならびにアリール基が挙げられる。アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメントにおける特に好ましいアルキルおよびアルケニル基置換基としては、ホモ−:オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。アリーレン・セグメントおよびヘテロアリーレン・セグメントにおける特に好ましいアルキル基置換基としては、プロピル、エチルおよびメチル基が挙げられる。
【0022】
ヘテロアリーレン・セグメントにおける好ましい置換基の例としては、さらに、ヒドロキシル、ニトロおよびシアノ基;ハロゲン;ヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基(それらは環状構造であってもよいし環状構造を含んでいてもよい。)、ならびにヘテロアリール基が挙げられる。ヘテロアリーレン・セグメントにおける特に好ましいヘテロアルキルおよびヘテロアルケニル基置換基としては、ヘテロ−:オクテニルおよびオクチル基;ヘプテニルおよびヘプチル基;ヘキセニルおよびヘキシル基;ペンテニルおよびペンチル基;ブテニルおよびブチル基;プロペニルおよびプロピル基;エテニルおよびエチル基;ならびにメチル基が挙げられるが、それらに限定されるものではない。ヘテロアリーレン・セグメントにおける特に好ましいヘテロアルキル基置換基としては、ヘテロプロピル、ヘテロエチルおよびヘテロメチル基が挙げられる。
【0023】
「n」の値
nの値は2以上の整数である。好ましい態様では、nは約50以下であり;好ましい態様では、nは約40以下であり;好ましい態様では、nは約30以下であり;好ましい態様では、nは約25以下であり;好ましい態様では、nは約20以下であり;好ましい態様では、nは約18以下であり;好ましい態様では、nは約15以下であり;好ましい態様では、nは約12以下であり;好ましい態様では、nは約10以下であり;好ましい態様では、nは9以下であり;好ましい態様では、nは8以下であり;好ましい態様では、nは7以下であり;好ましい態様では、nは6以下であり;好ましい態様では、nは5以下であり;好ましい態様では、nは4以下であり;好ましい態様では、nは3以下である。好ましくはnは2〜約20であり;より好ましくはnは2〜約10であり;さらにより好ましくはnは2〜8であり;さらにより好ましくはnは2〜6であり;さらにより好ましくはnは2〜5であり;さらにより好ましくはnは2〜4であり;さらにより好ましくはnは2または3である(すべての範囲は両端の数値を含む)。特に好ましい態様では、nは3である。
【0024】
本発明は、少なくとも、
(i)少なくとも2つの末端エポキシ基を有するエステル、および
(ii)硬化剤
を含む組成物およびその組成物を硬化させることにより得られる網状ポリマーを提供する。
【0025】
(i)2つ以上の末端エポキシ基を有するエステル
本発明のポリマーを調製するのに適したエポキシ末端エステルの例としては、下記式(1)によって表されるエステルが挙げられる。
【0026】
【化2】

【0027】
式中、
それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、
Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そして
nは2以上の整数を表す。
【0028】
本発明のポリマーを調製するのに適したエポキシ末端エステルのさらなるいくつかの具体例が、米国特許第4,540,657号明細書、国際公開第00/18571号パンフレット、および特開昭62−075450号公報に記載されている。これらの文献全体を参考のため本明細書中に引用する。
【0029】
好ましいエステルは、下記式(2)によって表されるような、3つの側鎖のそれぞれに末端エポキシド基を含むトリアシルグリセリドである。
【0030】
【化3】

【0031】
式中、
それぞれのRは、独立して、置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、そして
Aは、下記式(3)によって表される。
【0032】
【化4】

【0033】
3つの側鎖のそれぞれに末端エポキシド基を含むトリアシルグリセリドの具体例としては、10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド、9,10−エポキシデセノイルトリグリセリドおよび4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリドが挙げられる。
【0034】
好ましくは、それぞれのRは、独立して、下記式(4)または式(5)によって表される部分からなる群から選択することができる:
【0035】
【化5】

【0036】
式中、
は1〜40、好ましくは1〜20、より好ましくは5〜15、最も好ましくは8〜15の整数を表し、
xは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは3〜15、最も好ましくは5〜15の整数を表し、
yは0〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは3〜15、最も好ましくは5〜15の整数を表し、
x+yは0〜40、好ましくは2〜30、より好ましくは5〜25、最も好ましくは10〜25の整数であり、
zは1〜4、好ましくは1〜2の整数を表し、より好ましくはzは1であり、そして
Bは硫黄、酸素、カルボキシラート、窒素、アミド、または、下記式(6)によって表されるエポキシを表す。
【0037】
【化6】

【0038】
式中、RおよびRは、独立して、水素または下記式(7)によって表される部分を表す。
【0039】
【化7】

【0040】
式中、pは0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5の整数を表す。
好ましくは、Bは式(6)によって表される。
好ましくは、すべてのR基が式(4)によって表されるか、またはすべてのR基が式(5)によって表される。より好ましくは、すべてのR基が式(4)によって表される。さらにより好ましくは、すべてのR基が同一である。
【0041】
末端エポキシド基を含む別の好ましいエステルは、下記式(8)によって表されるエステルを含む。
【0042】
【化8】

【0043】
式中、Rは上記に定義されたものであり、そして
Aは、エチレン、プロピレン、ブチレン、または下記式(9)によって表される。
【0044】
【化9】

【0045】
末端エポキシド基を含むさらに別の好ましいエステルは、下記式(10)によって表される。
【0046】
【化10】

【0047】
式中、Rは上記に定義されたものであり、そして
Aは下記式(11)によって表される。
【0048】
【化11】

【0049】
本発明において使用されるエポキシ末端エステルは、容易に重合され、ホモポリマーを形成するのに使用することができるが、それらは他の成分と共重合することもできる。このエステルの利点は、適切な重合触媒および促進剤を用いたときに、末端エポキシ基が、改善された反応性を提供することである。
【0050】
好ましくは、本発明による硬化性組成物は、その組成物中に存在するエポキシ官能性成分の総質量に対して、少なくとも40質量%のエポキシ末端エステルを含み、より好ましくは少なくとも50質量%、さらにより好ましくは少なくとも65質量%、最も好ましくは少なくとも80質量%のエポキシ末端エステルを含む。
【0051】
(ii)硬化剤、および(iii)重合促進剤
本発明の組成物は、好適な脂肪族アミンまたは非脂肪族アミン硬化剤を含む。
【0052】
好適な脂肪族アミン硬化剤としては、たとえば、1,2−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、エタノールアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、アミノエチルエタノールアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジアミン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、3−アミノ−1−シクロヘキシルアミノプロパン、ポリエタノールアミン、ポリプロパノールアミン、ポリエチレンイミン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
脂肪族アミン硬化剤が使用される場合、組成物は好適な重合促進剤も含む。好適な重合促進剤の例としては、たとえば多官能価アクリル酸エステル(acrylate)モノマー、フェノール類(phenolics)、一官能価酸、ノボラックおよびビスフェノールが挙げられる。
【0054】
好適なフェノール類としては、たとえば、4−tert−ブチルフェノール、カテコール、2−クロロフェノール、4−ニトロフェノール、2,4−ジメチルフェノールおよびノニルフェノールが挙げられる。
【0055】
好適な多官能価アクリル酸エステルとしては、たとえば、トリプロピレングリコールジアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0056】
好適な一官能価酸としては、たとえば、サリチル酸、5−クロロサリチル酸、2,4−ジクロロ安息香酸および吉草酸が挙げられる。
【0057】
好適なビスフェノールとしては、たとえば、ビスフェノールA(4,4’−イソプロピリデンジフェノール)、ビスフェノールF[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン]および2,2’−ビスフェノールが挙げられる。
【0058】
好適な非脂肪族アミン硬化剤の例としては、たとえば、芳香族アミン、イソシアネート、ビスフェノール、酸無水物、多官能価酸、イミダゾール、多官能価メルカプタン、三ハロゲン化ホウ素錯体、ジシアナミド、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0059】
好適な芳香族アミン硬化剤としては、たとえば、ジアミノベンゼン、メチレンジアニリン、オキシジアニリン、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルスルホン、2,4−ビス−(p−アミノベンジル)アニリン、ジアミノトルエン、ケチミン、アミドアミン、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0060】
好適な酸無水物としては、たとえば、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、クロレンド酸無水物、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、無水マレイン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、エンディック酸無水物、無水フタル酸、ポリアジピン酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ピロメリット酸無水物、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0061】
好適な多官能価酸としては、たとえば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0062】
好適なイミダゾールとしては、たとえば、2−メチルイミダゾール、2−ヒドロキシプロピルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0063】
好適な三ハロゲン化ホウ素錯体としては、たとえば、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯化合物が挙げられる。
【0064】
ヨードニウム塩(たとえばジアリールヨードニウム塩)、およびスルホニウム塩(たとえばトリアリールスルホニウム塩)を硬化剤として使用することもできる。好ましいジアリールヨードニウム塩はヘキサフルオロアンチモン酸ジアリールヨードニウムである。ヨードニウム塩およびスルホニウム塩を含有する組成物は、たとえばアントラセン、ピレン、ペリレンおよびこれらの混合物のような、任意の好適な光増感剤、を含むこともできる。
【0065】
非脂肪族アミン硬化剤が組成物中に存在するときは、組成物は好ましくはさらに重合触媒を含む。
【0066】
(iv) 重合触媒
組成物は所望により好適な重合触媒を含んでもよい。好適な重合触媒の例としては、たとえば、第三アミン、ルイス酸およびオニウム塩が挙げられる。
【0067】
好適な第三アミンとしては、たとえば、ベンジルジメチルアミン、2−ジメチルアミノメチルフェノール、および2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールが挙げられる。
【0068】
好適なルイス酸としては、たとえば、オクタン酸錫、およびジラウリン酸ジブチル錫が挙げられる。
【0069】
触媒として使用することができる好適なオニウム塩としては、たとえば、アンモニウム塩(たとえば、臭化テトラブチルアンモニウム)が挙げられる。
【0070】
(v) さらなる反応性成分
本発明の組成物は、1または2種以上のエポキシ末端エステル以外に、たとえば、その他のエポキシ官能性成分、ヒドロキシ官能性成分、ならびにこれらの混合物のような、任意のさらなる好適な反応性成分を含んでもよい。好ましくは組成物は、エポキシ末端エステル以外に、少なくとも1種のさらなるエポキシ官能性成分、たとえばビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む。エポキシ末端エステルを添加することによりビスフェノールAのジグリシジルエーテルを主成分とする網状ポリマーに付与することができる改善された特性は、靭性、可撓性、ならびに紫外線および湿分に対する抵抗性の分野にある。ビスフェノールAの好ましいジグリシジルエーテルとしては、下記式(12)によって表されるものが挙げられる。
【0071】
【化12】

【0072】
式中、nは0〜10の整数を表す。
【0073】
(vi) 添加剤
本発明の組成物は任意の好適な添加剤を含んでもよい。たとえば、組成物を着色するために顔料を添加することができる。添加可能なその他の好適な添加物としては、たとえば、安定剤(たとえば、酸化防止剤)、レオロジー制御剤、難燃剤、光安定剤、流れ調整剤、色安定剤、および不活性充填剤が挙げられる。不活性充填剤は、無機(たとえば、ガラスビーズ、タルク、シリカ粒子、または粘土)であっても、有機(たとえば多糖、改質多糖または天然型の粒子状充填剤)であってもよい。
【0074】
(vii) 水および有機溶剤
組成物は、たとえば組成物を支持体に噴霧するのを容易にするために、さらに、水および/または有機溶剤を含んでもよい。
【0075】
硬化および特性
任意の好適な手段、たとえば、熱および/または、紫外線(UV)または電磁輻射線のような輻射線によって、本発明の組成物の硬化を開始させることができる。本発明のエポキシ末端エステルは少なくとも2つのエポキシ基を含むので、本発明の組成物は硬化すると、一般に架橋網状構造を形成する。この架橋網状構造は、「網状ポリマー」とも呼ばれる。
【0076】
本発明の組成物は、硬化後、ガラス転移温度が、好ましくは−25℃以上、より好ましくは0℃以上、さらにより好ましくは20℃以上、最も好ましくは30℃以上を示す。本発明の組成物は、硬化後、ASTM3359に従って測定して、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、最も好ましくは5のクロスハッチ付着性等級を有する。
【0077】
用途
エポキシ末端エステルから得られたポリマーは、多種多様な用途において有用である。たとえば、そのポリマーは、塗料、複合材料(たとえば、ガラス繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、炭素繊維、または天然型繊維、たとえば木材、ジュート、ラミー、亜麻、竹またはサイザル麻繊維で強化された複合材料)のためのマトリックス材料、接着剤および成形部品に有用である。エポキシ末端エステル・モノマーは、ブレンド、たとえば熱可塑性ポリマー(たとえばポリ塩化ビニルまたはポリ塩化ビニリデン)を含むブレンド中に使用することもできる。エポキシ末端エステル・モノマーは、熱可塑性ポリマーのための可塑剤として作用することができる。
【0078】
本発明の組成物は、支持体、たとえば木材、金属またはプラスチック支持体に塗布するのに使用することができる。その組成物は、固体または液体として塗布することができる。好ましくは、その組成物は、液体として、支持体上に組成物を噴霧することにより塗布される。
【実施例】
【0079】
本発明の具体的な態様として下記の実施例を提供し、これらの実施例の実施および利点を実証する。云うまでもなく、これらの実施例は例示のために提供するものであり、本明細書または添付の特許請求の範囲を限定しようとするものでは決してない。
【0080】
合成1: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドの調製
32質量(重量)%の過酢酸溶液23.16gと、酢酸ナトリウム0.69gと、塩化メチレン30.4mlとからなる混合物を、137mlのメチレン中16.00gの10−ウンデセノイルトリグリセリドの撹拌溶液に液滴状に添加した。この添加が完了した後、こうして得られた混合物を還流下で41℃まで加熱し、15時間にわたってその温度に維持した。次いでこの混合物を室温まで冷やしておき、有機層を10%水性亜硫酸水素ナトリウム101.4gで一回洗浄し、次いで、重炭酸ナトリウムの飽和溶液158.4gで二回洗浄した。次いでこの有機層を水100mlで三回洗浄し、そして無水硫酸マグネシウムを添加することにより乾燥させ、次いでこの無水硫酸マグネシウムを濾過により除去した。混合物中の溶剤を真空中(10ミリバール(mbar)圧)で約62℃で除去することにより、15.44gの10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドを産出した。
【0081】
【化13】

【0082】
実施例1: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドのニート樹脂注型品(casting)の調製および硬化
【0083】
合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド10gをガラス瓶内で120℃まで加熱した。次いで無水フタル酸(6.83g)を添加し、結果として生じた混合物を撹拌して無水物を完全に溶解し、その後、こうして得られた溶液を110℃まで冷却し、0.34gの臭化テトラブチルアンモニウムを添加した。次いでこの混合物をガラス型(5×3×0.125インチ)内に注ぎ込み、対流式オーブン内で1時間にわたって120℃に維持した。次いでこの温度を130℃まで上げ、4時間にわたって保持した。その結果生じた透明注型品を次いで型から取り出し、2つのプレートの間に置き、1時間にわたって180℃まで後硬化させた。
【0084】
こうして得られた注型品試料を−100℃から250℃まで3℃/分の加熱速度で、周波数1Hzで、動的機械熱分析によって分析した。試料は65℃で貯蔵弾性率の損失の開始を示した。ASTM法 D790を用いて、注型品の曲げ特性を見極めた。この試験は、モジュラス293,695 psi[2.03 Gpa]、降伏強さ11,240 psi[77.5 Mpa]、および破断点強さ10,160 psi[70.1 Mpa]を示した。
【0085】
実施例2: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドを含む塗膜の調製および試験
【0086】
合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド7.00gと、等量の市販の脂環式ジアミン(アンカミン(ANCAMINE)2423(エアープロダクツアンドケミカル社(Air Products and Chemical, Inc).の登録商標)、3.8638g)とを合体させ、一緒に撹拌して均質な混合物を得た。この混合物に対して、25℃から250℃まで10℃/分の加熱速度で、示差走査分析を行った。この分析は硬化熱の開始を50℃で示し、そのピークを130℃で示した。この混合物を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて3枚の平滑な冷間圧延鋼プレートに塗布した。これらのプレートを60℃のオーブン内で6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。こうして得られた硬化塗膜は厚さ3ミル(±0.49ミル)であった。これらの塗膜に関して下記の特性が得られた:
【0087】
振子硬度(Pendulum Hardness)(ASTM法D 4366−95−方法A)=96
円錐曲げ(Conical Bend)(ASTM法D 522−93a)=合格
クロス・ハッチ付着性(Cross Hatch Adhesion)(ASTM法3359)=5等級(失格なし)
メチルエチルケトン二重摩擦(Methyl Ethyl Ketone Double Rubs)(ASTM法D 4752−87)=200+
10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド6.43gと、等量のANCAMINE 2423(3.55グラム)とを合体させ、これにより、付加的な試験材料を得た。次いでこの混合物を、ACTラボラトリーズ(ACT Laboratories)から入手した3枚のTru Aluminium(未研磨のコイル被覆白色パネル(3インチ×6インチ×0.038インチ))に塗布した。これらのパネルを60℃のオーブン内に7日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、ASTM法D−523に従って、光沢計を使用して塗膜の光沢を測定した。塗膜を有するこれらのパネルに関する角度60°および85°における光沢度(光反射率%)は、それぞれ90.9および95.1であった。次いで、ASTM法G−53に記載された装置内にこれらのパネルを置いた。この方法において、これらのパネルを、4時間にわたって60℃で紫外線に、そして4時間にわたって50℃で凝縮水に交互に暴露するというサイクルを反復した。この装置における紫外線は、波長340nmで作業するUV−A型ランプの列から放射された。光沢度に対するこれらの条件の効果を見極めるために、ほぼ100時間毎に装置から短時間これらのパネルを取り出し、測定を行った。3100時間にわたる試験中に、これらの塗布済パネルに関して、高レベルの光沢度保持が観察された。暴露から3100時間後、角度60°および85°における塗布済パネルの光沢度は、それぞれ88.4および93.1であった。1000時間後の光沢度データを表2に示す。
【0088】
実施例3: ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む塗膜の調製および試験
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 331エポキシ樹脂、ダウケミカル社(Dow Chemical Co.)の登録商標)5.75gと、等量の市販の脂環式ジアミン(アンカミン2423(エアープロダクツアンドケミカル社の登録商標)、3.70g)とを合体させ、一緒に撹拌して均質な混合物を得た。この混合物に対して、25℃から250℃まで10℃/分の加熱速度で、示差走査分析を行った。この分析は硬化熱の開始を44℃で示し、そのピークを98℃で示した。次いでこの混合物を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて3枚の平滑な冷間圧延鋼プレートに塗布した。これらのプレートを60℃のオーブン内で6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。こうして得られた硬化塗膜は厚さ3ミルであった。これらの塗膜に関して下記の特性が得られた:
【0089】
振子硬度(ASTM法D 4366−95−方法A)=131
円錐曲げ(Conical Bend)(ASTM法D 522−93a)=失格
クロス・ハッチ付着性(Cross Hatch Adhesion)(ASTM法3359)=0等級(失格)
メチルエチルケトン二重摩擦(Methyl Ethyl Ketone Double Rubs)(ASTM法D 4752−87)=200+
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル20.0gと、等量のアンカミン 2423(12.90グラム)とを合体させ、これにより、付加的な試験材料を得た。次いでこの混合物を、ACTラボラトリーズから入手した3枚のTru Aluminium(未研磨のコイル被覆白色パネル(3インチ×6インチ×0.038インチ))に塗布した。これらのパネルを60℃のオーブン内に7日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、ASTM法D−523に従って、光沢計を使用して塗膜の光沢を測定した。塗膜を有するこれらのパネルに関する角度60°および85°における光沢度(光反射率%)は、それぞれ100および97.0であった。次いで、ASTM法G−53に記載された装置内にこれらのパネルを置いた。この方法において、これらのパネルを、4時間にわたって60℃で紫外線に、そして4時間にわたって50℃で凝縮水に交互に暴露するというサイクルを反復した。この装置における紫外線は、波長340nmで作業するUV−A型ランプの列から放射された。光沢度に対するこれらの条件の効果を見極めるために、ほぼ100時間毎に装置から短時間これらのパネルを取り出し、測定を行った。100時間後、角度60°および85°における光沢度の有意な減少が発生し始めるのが観察された。暴露から400時間目には、角度60°および85°における塗布済パネルの光沢度は、それぞれ5.0および19.8に低減されていた。
【0090】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルと、アンカミン 2423とを含む混合物の一部を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて2枚の噴射仕上げ鋼プレート(4インチ×6インチ×0.125インチ)に塗布した。これらのプレートはKTA−Tator Inc.によって供給され、2ミルのプロフィールを有していた。次いでこれらのプレートを60℃のオーブン内に6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、厚さ8.3ミルを有する塗膜にASTM法D−1654に従って、けがきを施した。次いでこれらのプレートを、ASTM法B−177によって記載されているような作業塩霧装置内に置いた。この装置内で、塗膜を有するプレートを、1030時間にわたって35℃で塩水の連続噴霧に暴露した。1030時間後、プレートを塩噴霧装置から取り出し、ASTM法D−1654、D−610およびD−714に従って塗膜を評価した。1030時間後の塗布済プレートは、錆、膨れまたはけがき点からの付着性の損失を示すことはなかった。
【0091】
実施例4: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含む塗膜の調製および試験
【0092】
下記のものを合体させ、一緒に撹拌して均質な混合物を得た:合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド15.00g、市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 331エポキシ樹脂、ダウケミカル社の登録商標)15g、および、両エポキシを硬化させるための等量の市販の脂環式ジアミン(アンカミン 2423(エアープロダクツアンドケミカル社の登録商標)、17.91g)。この混合物に対して、25℃から250℃まで10℃/分の加熱速度で、示差走査分析を行った。この分析は硬化熱の開始を37℃で示し、そのピークを97℃で示した。次いでこの混合物の一部を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて3枚の平滑な冷間圧延鋼プレートに塗布し、そして6日間にわたって60℃で硬化させた。これらの塗膜に関して下記の特性が得られた:
【0093】
振子硬度(ASTM法D 4366−95−方法A)=130
円錐曲げ(ASTM法D 522−93a)=合格
クロス・ハッチ付着性(ASTM法3359)=5等級(失格なし)
メチルエチルケトン二重摩擦(ASTM法D 4752−87)=200+
10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドと、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルと、アンカミン 2423とを含む混合物の一部を、ACTラボラトリーズから入手した3枚のTru Aluminium(未研磨のコイル被覆白色パネル(3インチ×6インチ×0.038インチ))に塗布した。これらのパネルを60℃のオーブン内に6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、ASTM法D−523に従って、光沢計を使用して塗膜の光沢を測定した。塗膜を有するこれらのパネルに関する角度60°および85°における光沢度(光反射率%)は、それぞれ98.8および98.5であった。次いで、ASTM法G−53に記載された装置内にこれらのパネルを置いた。この方法において、これらのパネルを、4時間にわたって60℃で紫外線に、そして4時間にわたって50℃で凝縮水に交互に暴露するというサイクルを反復した。この装置における紫外線は、波長340nmで作業するUV−A型ランプの列から放射された。光沢度に対するこれらの条件の効果を見極めるために、ほぼ100時間毎に装置から短時間これらのパネルを取り出し、測定を行った。3000時間にわたる試験中に、これらの塗布済パネルに関して、良好な(60%を上回る)光沢度保持が観察された。暴露から3000時間後、角度60°および85°における塗布済パネルの光沢度は、それぞれ64.6および69.8であった。1000時間後の光沢度データを表2に示す。
【0094】
10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドと、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルと、アンカミン 2423とを含む混合物の一部を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて2枚の噴射仕上げ鋼プレート(4インチ×6インチ×0.125インチ)に塗布した。これらのプレートはKTA-Tator Inc.によって供給され、2ミルのプロフィールを有していた。次いでこれらのプレートを60℃のオーブン内に6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、厚さ6.3ミルを有する塗膜にASTM法D−1654に従って、けがきを施した。次いでこれらのプレートを、ASTM法B−177によって記載されているような作業塩霧装置内に置いた。この装置内で、塗膜を有するプレートを、1030時間にわたって35℃で塩水の連続噴霧に暴露した。1030時間後、プレートを塩噴霧装置から取り出し、ASTM法D−1654、D−610およびD−714に従って塗膜を評価した。1030時間後の塗布済プレートは、表面上の錆、またはけがき点からの付着性の損失を示すことはなかった。スラット噴霧暴露の結果として観察された唯1つの不都合な特徴は、いくつかの大きな膨れであった。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
実施例5: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとアクリル酸塩促進剤とを含む塗膜の調製および試験
【0098】
下記のものを合体させ、一緒に撹拌して均質な混合物を得た:合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド12.00g、市販のトリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Co.製のSR351)、および市販の脂環式ジアミン(アンカミン 1895(エアープロダクツアンドケミカル社の登録商標)、6.38g)。この混合物を4時間にわたって放置しておき、次いで再び撹拌した。この1時間の誘導時間後、この混合物の一部を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて2枚の平滑な冷間圧延鋼プレートに塗布し、そして6日間にわたって60℃で硬化させた。こうして得られた硬化塗膜の平均厚は5.67ミルであった。これらの塗膜に関して下記の特性が得られた:
【0099】
振子硬度(ASTM法D 4366−95−方法A)=89
円錐曲げ(ASTM法D 522−93a)=合格
クロス・ハッチ付着性(ASTM法3359)=5等級(失格なし)
メチルエチルケトン二重摩擦(ASTM法D 4752−87)=200+
10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドと、トリメチロールプロパントリアクリレートと、アンカミン 1895とを含む混合物の一部を、ACTラボラトリーズから入手した1枚のTru Aluminium(未研磨のコイル被覆白色パネル(3インチ×6インチ×0.038インチ))に塗布した。このパネルを60℃のオーブン内に6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、ASTM法D−523に従って、光沢計を使用して塗膜の光沢を測定した。塗膜を有するこのパネルに関する角度60°および85°における光沢度(光反射率%)は、それぞれ71.0および75.5であった。次いで、ASTM法G−53に記載された装置内にこのパネルを置いた。この方法において、このパネルを、4時間にわたって60℃で紫外線に、そして4時間にわたって50℃で凝縮水に交互に暴露するというサイクルを反復した。この装置における紫外線は、波長340nmで作業するUV−A型ランプの列から放射された。光沢度に対するこれらの条件の効果を見極めるために、ほぼ100時間毎に装置から短時間このパネルを取り出し、測定を行った。3000時間にわたる試験中に、この塗布済パネル光沢度の損失が観察された。
【0100】
10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド20.00gと、市販のトリメチロールプロパントリアクリレート5g、および10.66gのアンカミン 1895とを合体させ、一緒に撹拌させることにより、付加的な試験材料を得た。この混合物を1時間にわたって放置し、そして再び撹拌した。1時間の誘導時間後、この混合物を、10ミルのドロー・ダウン・バーを用いて2枚の噴射仕上げ鋼プレート(4インチ×6インチ×0.125インチ)に塗布した。これらのプレートはKTA-Tator Inc.によって供給され、2ミルのプロフィールを有していた。次いでこれらのプレートを60℃のオーブン内に6日間にわたって置き、これにより塗膜を硬化させた。硬化後、厚さ6.5ミルを有する塗膜にASTM法D−1654に従って、けがきを施した。次いでこれらのプレートを、ASTM法B−177によって記載されているような作業塩霧装置内に置いた。この装置内で、塗膜を有するプレートを、1030時間にわたって35℃で塩水の連続噴霧に暴露した。1030時間後、プレートを塩噴霧装置から取り出し、ASTM法D−1654、D−610およびD−714に従って塗膜を評価した。1030時間後のプレートは、表面上の錆または膨れを示すことはなかった。一方の塗布済プレートはけがき点における付着性の損失を示さなかったのに対し、他方のパネルは、けがきの一つの側に損失を示した。
【0101】
実施例6: ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含むフィルムの調製および試験
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)4gを、4,4’−メチレンジアニリン1.12g、テトラヒドロフラン6.6g、およびジメチルホルムアミド2.4gと、ガラス瓶内でブレンドし、撹拌しながら溶解させた。この溶液を0.45μmのフィルターを通して濾過した後、錫メッキ鋼シート上に調節可能なドロー・ダウン・バーでフィルムを流延させた。これらのフィルムを室温で30分間にわたって乾燥させておき、150℃で2時間、そして180℃で2時間にわたってオーブン内で硬化させた。これらのフィルムを、水銀で金属プレートから持ち上げた。フィルムを破断させるための総エネルギーを、単縁ノッチ薄膜破壊試験によって試験した。その結果を表3に示す。
【0102】
実施例7: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドを含むフィルムの調製および試験
【0103】
合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド4グラムを、4,4’−メチレンジアニリン0.91g、テトラヒドロフラン6.6g、ジメチルホルムアミド2.4g、およびオクタン酸錫0.11mlと、ガラス瓶内でブレンドし、撹拌しながら溶解させた。この溶液を0.45μmのフィルターを通して濾過した後、錫メッキ鋼シート上に調節可能なドロー・ダウン・バーでフィルムを流延させた。これらのフィルムを室温で30分間にわたって乾燥させておき、120℃で2時間、150℃で2時間、そして180℃で2時間にわたってオーブン内で硬化させた。これらのフィルムを、水銀で金属プレートから持ち上げた。フィルムを破断させるための総エネルギーを、単縁ノッチ薄膜破壊試験によって試験した。その結果を表3に示す。
【0104】
実施例8: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含むフィルムの調製および試験
【0105】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332エポキシ樹脂、ダウケミカル社の登録商標)3.6gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド0.4g、4,4’−メチレンジアニリン1.13g、テトラヒドロフラン6.6g、およびジメチルホルムアミド2.4gと、ガラス瓶内でブレンドし、撹拌しながら溶解させた。この溶液を0.45μmのフィルターを通して濾過した後、錫メッキ鋼シート上に調節可能なドロー・ダウン・バーでフィルムを流延させた。これらのフィルムを室温で30分間にわたって乾燥させておき、120℃で2時間、150℃で2時間、そして180℃で2時間にわたってオーブン内で硬化させた。これらのフィルムを、水銀で金属プレートから持ち上げた。フィルムを破断させるための総エネルギーを、単縁ノッチ薄膜破壊試験によって試験した。その結果を表3に示す。
【0106】
実施例9: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含むフィルムの調製および試験
【0107】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)3.2gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド0.8g、4,4’−メチレンジアニリン1.1g、テトラヒドロフラン6.6g、およびジメチルホルムアミド2.4gと、ガラス瓶内でブレンドし、撹拌しながら溶解させた。この溶液を0.45μmのフィルターを通して濾過した後、錫メッキ鋼シート上に調節可能なドロー・ダウン・バーでフィルムを流延させた。これらのフィルムを室温で30分間にわたって乾燥させておき、120℃で2時間、150℃で2時間、そして180℃で2時間にわたってオーブン内で硬化させた。これらのフィルムを、水銀で金属プレートから持ち上げた。フィルムを破断させるための総エネルギーを、単縁ノッチ薄膜破壊試験によって試験した。その結果を表3に示す。
【0108】
実施例10: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含むフィルムの調製および試験
【0109】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)2.8gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド1.2g、4,4’−メチレンジアニリン1.08g、テトラヒドロフラン6.6g、およびジメチルホルムアミド2.4gと、ガラス瓶内でブレンドし、撹拌しながら溶解させた。この溶液を0.45μmのフィルターを通して濾過した後、錫メッキ鋼シート上に調節可能なドロー・ダウン・バーでフィルムを流延させた。これらのフィルムを室温で30分間にわたって乾燥させておき、120℃で2時間、150℃で2時間、そして180℃で2時間にわたってオーブン内で硬化させた。これらのフィルムを、水銀で金属プレートから持ち上げた。フィルムを破断させるための総エネルギーを、単縁ノッチ薄膜破壊試験によって試験した。その結果を表3に示す。
【0110】
【表3】

【0111】
実施例11: ビスフェノールAのジグリシジルエーテルを含む接着剤の調製および試験
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)14gを、キャボシル(Cabosil)TS 720ヒュームド・シリカ0.84gおよびキャタフォート(Cataphote)5Aミクロガラスビード0.42gと、ガラスビーカー内で室温でブレンドした。この混合物をオーブン内で120℃まで加熱した。混合物に4,4’−メチレンジアニリン3.92gを添加し、そしてアミンが溶解されるまで撹拌しながらビーカーを115℃に維持した。続いて混合物を室温まで冷却した。接着試験に際して、冷間鋼およびアルミニウムT2024支持体上に、0.5インチのオーバラップを有する重ね剪断試験片と、T型剥離試料とを準備した。集められた試料を150℃で2時間にわたって、そして180℃で2時間にわたって硬化させた。
接着の結果を表4および5に示す。
【0112】
実施例12: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドを含む接着剤の調製および試験
【0113】
合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド14gを、キャボシルTS 720ヒュームド・シリカ0.84gおよびキャタフォート5Aミクロガラスビード0.42gと、ガラスビーカー内で室温でブレンドした。この混合物をオーブン内で120℃まで加熱した。混合物に4,4’−メチレンジアニリン3.92gを添加し、そしてアミンが溶解されるまで撹拌しながらビーカーを115℃に維持した。混合物を100℃まで冷却し、そしてオクタン酸錫0.34mlを素早く混入した。続いてこの混合物を室温まで冷却した。接着試験に際して、冷間鋼およびアルミニウムT2024支持体上に、0.5インチのオーバラップを有する重ね剪断試験片と、T型剥離試料とを準備した。集められた試料を120℃で2時間にわたって、150℃で2時間にわたって、そして180℃で2時間にわたって硬化させた。
接着の結果を表4および5に示す。
【0114】
実施例13: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含む接着剤の調製および試験
【0115】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)12.6gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド1.4g、キャボシルTS 720ヒュームド・シリカ0.84gおよびキャタフォート5Aミクロガラスビード0.42gと、ガラスビーカー内で室温でブレンドした。この混合物をオーブン内で120℃まで加熱した。混合物に4,4’−メチレンジアニリン3.92gを添加し、そしてアミンが溶解されるまで撹拌しながらビーカーを115℃に維持した。続いて混合物を室温まで冷却した。接着試験に際して、冷間鋼およびアルミニウムT2024支持体上に、0.5インチのオーバラップを有する重ね剪断試験片と、T型剥離試料とを準備した。集められた試料を120℃で2時間にわたって、150℃で2時間にわたって、そして180℃で2時間にわたって硬化させた。
接着の結果を表4および5に示す。
【0116】
実施例14: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含む接着剤の調製および試験
【0117】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)11.2gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド2.8g、キャボシルTS 720ヒュームド・シリカ0.84gおよびキャタフォート5Aミクロガラスビード0.42gと、ガラスビーカー内で室温でブレンドした。この混合物をオーブン内で120℃まで加熱した。混合物に4,4’−メチレンジアニリン3.86gを添加し、そしてアミンが溶解されるまで撹拌しながらビーカーを115℃に維持した。続いて混合物を室温まで冷却した。接着試験に際して、冷間鋼およびアルミニウムT2024支持体上に、0.5インチのオーバラップを有する重ね剪断試験片と、T型剥離試料とを準備した。集められた試料を120℃で2時間にわたって、150℃で2時間にわたって、そして180℃で2時間にわたって硬化させた。
接着の結果を表4および5に示す。
【0118】
実施例15: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAのジグリシジルエーテルとのブレンドを含む接着剤の調製および試験
【0119】
市販の、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(D.E.R. 332、ダウケミカル社の登録商標)9.8gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド4.2g、キャボシルTS 720ヒュームド・シリカ0.84gおよびキャタフォート5Aミクロガラスビード0.42gとを、ガラスビーカー内で室温でブレンドした。この混合物をオーブン内で120℃まで加熱した。混合物に4,4’−メチレンジアニリン3.77gを添加し、そしてアミンが溶解されるまで撹拌しながらビーカーを115℃に維持した。続いて混合物を室温まで冷却した。接着試験に際して、冷間鋼およびアルミニウムT2024支持体上に、0.5インチのオーバラップを有する重ね剪断試験片と、T型剥離試料とを準備した。集められた試料を120℃で2時間にわたって、150℃で2時間にわたって、そして180℃で2時間にわたって硬化させた。接着の結果を表4および5に示す。
【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
合成2: 4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリドの調製
32質量(重量)%の過酢酸溶液27.38gと、酢酸ナトリウム0.81gと、塩化メチレン36.0mlとからなる混合物を、100mlのメチレン中10.00gの4−ペントイルトリグリセリドの撹拌溶液に液滴状に添加した。この添加が完了した後、こうして得られた混合物を還流下で41℃まで加熱し、15.5時間にわたってその温度に維持した。次いでこの混合物を室温まで冷やしておき、有機層を10%水性亜硫酸水素ナトリウム120.7gで一回洗浄し、次いで、重炭酸ナトリウムの飽和溶液187.5gで二回洗浄した。次いでこの有機層を水100mlで三回洗浄し、そして無水硫酸マグネシウムを添加することにより乾燥させ、次いでこの無水硫酸マグネシウムを濾過により除去した。混合物中の溶剤を真空中(10mbar)で約60℃で除去することにより、9.11gの4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリドを産出した。
【0123】
【化14】

【0124】
実施例16: 4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリドのニート樹脂注型品の調製および硬化
【0125】
合成2に従って調製された4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリド16.66gをガラス瓶内で120℃まで加熱した。次いで当量の4,4’−メチレンジアニリン(6.24g)を添加し、結果として生じた混合物を撹拌しながら110℃まで再加熱し、これにより4,4’−メチレンジアニリンを完全に溶解させた。この混合物を真空ガラス鐘(10ミリバール)内に置き、これにより、取り込まれた空気を除去し、その後この混合物をガラス型(5×3×0.125インチ)内に注ぎ込んだ。このガラス型を対流式オーブン内で24時間にわたって120℃に維持した。次いで透明注型品を型から取り出した。
【0126】
こうして得られた注型品試料を−100℃から250℃まで3℃/分の加熱速度で、周波数1Hzで、動的機械熱分析によって分析した。試料は112℃で貯蔵弾性率の損失の開始を示した。ASTM法 D790を用いて、注型品の曲げ特性を見極めた。この試験は、モジュラス457,110 psi[3.16 Gpa]、および破断点強さ17,275 psi[119.2 Mpa]を示した。
【0127】
実施例17: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドを基剤とする樹脂組成物の調製および室温硬化
【0128】
ビスフェノールA(0.003803当量)0.4340gを、合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド(0.007605当量)1.6590gに添加した。ガラス瓶内に含有されたこの混合物を140℃まで加熱することにより、ビスフェノールAを溶解させた。ビスフェノールの溶解後、小型アルミニウム・パン内に混合物を注ぎ込み、室温に冷却した。アルミニウム・パン内に注ぎ込まれた10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリド(1.5409g)を基準として、当量の1−(2−アミノエチル)ピペラジン(0.3042グラム)を添加した。この組成物を撹拌し、そしてDSC分析のためにサンプリングした。このDSC分析を20℃から300℃まで10℃/分で実施した。このDSC分析は硬化熱の開始を35℃の温度で示し、そのピークを104℃の温度で示した。DSCのためのサンプリングに続いて、組成物を室温(約24℃)で放置した。12時間目には、ASTM法D1640に基づく、組成物の指触乾燥状態(Dry−To−Touch)および取扱い乾燥状態(Dry−To−Handle)が観察された。24時間目に付加的な試料をDSC分析のために採取した。測定された初期硬化エネルギーを基準として、24時間目の組成物のDSC分析は、90%の硬化が発生したことを示した。
【0129】
実施例18−23: 10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの混合物を基剤とする樹脂組成物の調製および室温硬化
【0130】
合成1に従って調製された10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドをビスフェノールAジグリシジルエーテル(D.E.R. 331エポキシ樹脂)と、表6に示す質量(重量)比で混合することにより、樹脂組成物を調製した。ビスフェノールA促進剤をエポキシ混合物に任意に添加し、これにより、実施例17に記載した方法を使用して溶解した。これらの混合物をアルミニウム・パン内に注ぎ込み、存在するエポキシドにイソフォロンジアミンを当量で添加した。これらの混合物をDSC分析のためにサンプリングし、DSC分析を20℃から300℃まで10℃/分で実施し、次いでこれらの混合物を室温で放置した。付加的なDSC試料を24時間目および7日目に採取し、これにより硬化の程度を見極めた。これらのDSC分析は−50℃から300℃まで10℃/分で実施した。7日目のDSC分析からガラス転移温度も見極めた。またこれらの組成物を12時間ごとに試験することにより、ASTM法D1640に基づく概算の指触乾燥時間および取扱い乾燥時間を見極めた。これらのデータを表6において報告する。
【0131】
【表6】

【0132】
合成3: エポキシ化10−ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステルの調製
【0133】
10−ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステル(0.142モル、90g)およびクロロホルム(360g)を、1リットルのジャケット付き丸底フラスコに添加した。このフラスコは、底部の排水路と、温度計と、125mLの添加漏斗と、グリコール冷却式凝縮器と、電気撹拌器と、テフロン(登録商標)・パドルを備えたガラス撹拌ロッドとを備えていた。絶えず撹拌しながら、32質量(重量)%の過酢酸(0.469モル、111.5g)と酢酸ナトリウム(0.040モル、3.32g)との混合物を添加漏斗を介して液滴状に添加した。過酢酸を所定の速度で添加し、これにより20℃未満の反応温度を維持した。反応物を10時間にわたって室温(〜24℃)で流動させておいた。HPLC分析によって測定して反応が完了すると、フラスコの内容物を20℃未満まで冷却し、亜硫酸ナトリウムの10質量(重量)%水溶液で洗浄した。相分離後、水性層を廃棄し、有機層を重炭酸ナトリウムの飽和溶液で洗浄した。ここでもまた、相分離後、水性層を廃棄し、そして有機層を、これが中性pHを有するまで脱イオン水で多数回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空濾過し、そして回転蒸発器を用いて、60〜65℃で減圧下で溶剤を除去した。結果として生じた10−エポキシ化ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステル(91.7g)は、エポキシド当量254(理論上EEW=227)の澄んだ褐色の油であった。
【0134】
【化15】

【0135】
実施例24−29: エポキシ化10−ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステルとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの混合物を基剤とする樹脂組成物の調製および室温硬化
【0136】
合成3に従って調製されたエポキシ化10−ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステルを、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(D.E.R. 331エポキシ樹脂)と、表7に示す質量(重量)比で混合することにより、樹脂組成物を調製した。ビスフェノールA促進剤をエポキシ混合物に任意に添加し、これにより、実施例17に記載した方法を使用して溶解した。これらの混合物をアルミニウム・パン内に注ぎ込み、存在するエポキシドにイソフォロンジアミン(99+%、アルドリッチ(Aldrich)から入手)を当量で添加した。これらの混合物をDSC分析のためにサンプリングし、DSC分析を20℃から300℃まで10℃/分で実施し、次いでこれらの混合物を室温で放置した。付加的なDSC試料を24時間目および7日目に採取し、これにより硬化の程度を見極めた。これらのDSC分析は−50℃から300℃まで10℃/分で実施した。7日目のDSC分析からガラス転移温度も見極めた。またこれらの組成物を12時間ごとに試験することにより、ASTM法D1640に基づく概算の指触乾燥時間および取扱い乾燥時間を見極めた。これらのデータを表7において報告する。
【0137】
【表7】

【0138】
実施例30−32: エポキシ化10−ウンデセノイン酸/トリメチロールプロパン・エステルとビスフェノールAジグリシジルエーテルとの混合物を基剤とする樹脂組成物の調製および室温硬化
【0139】
実施例24,46および28を繰り返した。但し実施例30−32の場合、Aldrich製の99+%イソフォロンジアミンの代わりに、ヴァンティコ社(Vantico Limited)から入手した市販のイソフォロンジアミン硬化剤ハーデナー(Hardener)HY−5083を使用した。結果を表8に示す。
【0140】
【表8】

【0141】
本発明の具体的な実施例を説明してきたが、云うまでもなくこれらの多くの変更形が当業者には明らかであり、従って本発明は、添付の特許請求の範囲の思想および範囲によってのみ制限されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)下記式(1)によって表されるエステル、ならびに
(II)(A)促進剤とともに、1または2種以上の脂肪族アミン硬化剤、および
(B)所望により触媒とともに、1または2種以上の非脂肪族アミン硬化剤
からなる群から選択される硬化成分
を含む組成物を硬化することにより生じる網状ポリマー。
【化1】

式中、それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、
Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そして
nは2以上の整数を表す。
【請求項2】
n=3であり、かつAが下記式(3)によって表される、請求項1に記載の網状ポリマー。
【化2】

【請求項3】
n=2であり、かつAがエチレン、プロピレン、ブチレンまたは下記式(9)によって表される、請求項1に記載の網状ポリマー。
【化3】

【請求項4】
n=4であり、かつAが下記式(11)によって表される、請求項1に記載の網状ポリマー。
【化4】

【請求項5】
が独立して下記式(4)または(5)によって表される部分からなる群から選択される、請求項1に記載の網状ポリマー。
【化5】

式中、
は1〜約30の整数を表し、
xは0〜約20の整数を表し、
yは0〜約20の整数を表し、
zは1〜約4の整数を表し、そして
Bは硫黄、酸素、カルボキシラート、窒素、アミド、または、下記式(6)によって表されるエポキシを表す。
【化6】

式中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または下記式(7)によって表される部分を表す。
【化7】

式中、pは0〜約20の整数を表す。
【請求項6】
組成物が、式(1)によって表されないさらなるエポキシ成分を含む、請求項1に記載の網状ポリマー。
【請求項7】
さらなるエポキシ成分が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルである、請求項6に記載の網状ポリマー。
【請求項8】
ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが、下記式(12)によって表される、請求項7に記載の網状ポリマー。
【化8】

式中、n=0〜10。
【請求項9】
組成物が、組成物中のエポキシ成分の総質量に対して、少なくとも40質量%の前記エステルを含む、請求項6に記載の網状ポリマー。
【請求項10】
組成物が、多官能価アクリル酸エステル、フェノール類、一官能価酸、ノボラックおよびビスフェノールからなる群から選択される促進剤を含む、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項11】
組成物が、芳香族アミン、イソシアネート、ビスフェノール、酸無水物、多官能価酸、イミダゾール、多官能価メルカプタン、三ハロゲン化ホウ素錯体、およびジシアナミドからなる群から選択される非脂肪族アミン硬化剤を含む、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項12】
組成物が、第三アミン、ルイス酸およびオニウム塩からなる群から選択される触媒を含む、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項13】
組成物が、ジアリールヨードニウム塩またはトリアリールスルホニウム塩を含む、請求項11に記載の網状ポリマー。
【請求項14】
網状ポリマーが、熱または電磁輻射線を加えることによって組成物を硬化させることにより形成される、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項15】
前記エステルが、10,11−エポキシウンデセノイルトリグリセリドおよび9,10−エポキシデセノイルトリグリセリドからなる群から選択される、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項16】
前記エステルが、4,5−エポキシペンテノイルトリグリセリドである、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項17】
組成物が、さらに、酸化防止剤、難燃剤、顔料、流れ調整剤、色安定剤、または不活性充填剤を含む、請求項1または6に記載の網状ポリマー。
【請求項18】
請求項1または6に記載の網状ポリマーを含む樹脂注型品。
【請求項19】
請求項1または6に記載の網状ポリマーを含むフィルム。
【請求項20】
請求項1または6に記載の網状ポリマーを含む、塗布を施された支持体。
【請求項21】
支持体が金属、プラスチックまたは木材を含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
請求項20に記載の物品を形成する方法であって、前記方法が、前記組成物を支持体上に噴霧し、続いて、前記組成物を硬化させ、それによって網状ポリマーを形成することを含む、方法。
【請求項23】
組成物が水または有機溶剤を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
請求項20に記載の物品を形成する方法であって、前記方法が、前記組成物を固体として支持体上に被着させ、続いて前記組成物を硬化させることを含む、方法。
【請求項25】
請求項1または6に記載の網状ポリマーを含む、接着剤層または接着剤。
【請求項26】
(i)請求項1または6に記載の網状ポリマーおよび(ii)強化材を含む複合材料。
【請求項27】
強化材が繊維を含む、請求項26に記載の複合材料。
【請求項28】
繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、またはポリエステル繊維である、請求項27に記載の複合材料。
【請求項29】
繊維が天然型である、請求項27に記載の複合材料。
【請求項30】
繊維が、木材、ジュート、ラミー、亜麻またはサイザル麻である、請求項29に記載の複合材料。
【請求項31】
強化材が非繊維充填材を含む、請求項26に記載の複合材料。
【請求項32】
非繊維充填材が、炭素、ガラス、多糖、改質多糖または天然型の粒子状物質である、請求項31に記載の複合材料。
【請求項33】
(i)下記式(1)によって表されるエステル、および
(ii)熱可塑性ポリマー
を含む、ポリマーブレンド。
【化9】

式中、
それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、
Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そして
nは2以上の整数を表す。
【請求項34】
ブレンドが、ポリ塩化ビニルおよびポリ塩化ビニリデンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物を含む、請求項33に記載のブレンド。
【請求項35】
硬化すると網状ポリマーを生じる硬化性組成物であって、該硬化性組成物が
(I)下記式(1)によって表されるエステル、ならびに
(II)(A)促進剤とともに1または2種以上の脂肪族アミン硬化剤、および
(B)所望により触媒とともに1または2種以上の非脂肪族アミン硬化剤
からなる群から選択される硬化成分
を含む、硬化性組成物。
【化10】

式中、
それぞれのRは独立して置換されたまたは無置換のホモ脂肪族基またはヘテロ脂肪族基を表し、
Aは置換されたまたは無置換のホモアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレンまたはヘテロアリーレン・セグメントを表し、そして
nは2以上の整数を表す。
【請求項36】
組成物が、さらに、式(1)によって表されないさらなるエポキシ成分を含む、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
すべてのRが同一である、請求項1に記載の網状ポリマー。
【請求項38】
すべてのRが同一である、請求項33に記載のポリマーブレンド。
【請求項39】
すべてのRが同一である、請求項35に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2008−101199(P2008−101199A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−235862(P2007−235862)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【分割の表示】特願2003−526975(P2003−526975)の分割
【原出願日】平成14年4月11日(2002.4.11)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】