説明

カラー電子写真画像形成装置

【課題】本発明の目的は、現像装置を装置本体に装着した状態で梱包輸送する形態において、装置本体の初期設置時における操作性を低下させることなく、輸送時の振動及び衝撃による現像装置の破損等を抑制する。
【解決手段】感光体ドラム2に形成された静電潜像を現像するための複数の現像装置18a〜18dと、回転することによって着脱可能に支持した複数の現像装置のいずれかを感光体ドラムと対向する現像位置18Xに順次移動させるロータリー120と、装置本体90に取り外し可能に装着し、ロータリーのスラスト方向の移動を規制する規制部材132と、を有し、ロータリー120を、スラスト方向に独立して移動可能な左ディスク102L、右ディスク102Rで構成するとともに、装置本体90に装着した規制部材132により、複数の現像装置18a〜18dを装着した状態のロータリー120をスラスト方向に移動させてスラスト方向の隙間Aを減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の現像装置を支持して、回転可能な回転支持体(ロータリー)を用いるカラー電子写真画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の現像装置を支持し、回転可能な回転支持体(ロータリー)を用いるカラー電子写真画像形成装置が知られている。
【0003】
また、近年、電子写真画像形成装置の装置本体の初期設置時における操作性を向上させるために、着脱可能な現像装置を装置本体に装着した状態で、梱包、輸送することが一般的となっている。その際、輸送時の振動及び衝撃による回転支持体や現像装置近傍の変形・破損等を防ぐ必要がある。これを実現した従来例として、特許文献1の構成が知られている。
【0004】
この特許文献1では、取り外し可能な規制部材により、出荷・輸送時に回転支持体が装置本体に対して揺動する方向の隙間を規制し、現像装置近傍の変形・破損等を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、輸送時の装置本体の姿勢は様々な方向に設置されるため、振動及び衝撃の方向も多様である。例えば、回転支持体の揺動方向と交差するスラスト方向に対する振動及び衝撃によって、現像装置近傍の変形・破損等も発生し得る。そのため、回転支持体のスラスト方向に対しても規制をすることが重要である。ただし、回転支持体のスラスト方向の移動を規制する規制部材を追加すると、取り外す必要のある規制部材の数が増えてしまい、装置本体の初期設置時における操作性が低下してしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、現像装置を装置本体に装着した状態で梱包輸送する形態において、装置本体の初期設置時における操作性を低下させることなく、輸送時の振動及び衝撃による現像装置の破損等を抑制できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置において、電子写真感光体と、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための複数の現像装置と、前記複数の現像装置を着脱可能に支持し、回転することによって前記複数の現像装置のいずれかを前記電子写真感光体と対向する現像位置に順次移動させる回転支持体と、カラー電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着し、前記回転支持体のスラスト方向の移動を規制する規制部材と、を有し、前記回転支持体を、前記スラスト方向に独立して移動可能な複数の回転体で構成するとともに、前記装置本体に装着した前記規制部材により、前記複数の現像装置を装着した状態の前記回転支持体を前記スラスト方向に移動させて前記スラスト方向の隙間を減少させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像装置を装置本体に装着した状態で梱包輸送するに形態において、装置本体の初期設置時における操作性を低下させることなく、輸送時の振動及び衝撃による現像装置の破損等を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】4つの現像装置を着脱可能に支持するロータリーを備えたカラー電子写真画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】第1実施形態に係る通常使用時のロータリー構成の斜視図
【図3】第1実施形態に係る通常使用時のロータリー構成の断面図
【図4】第1実施形態に係る出荷・輸送時のロータリー構成の斜視図
【図5】第1実施形態に係る出荷・輸送時のロータリー構成の断面図
【図6】第1実施形態に係るロータリー構成の左側面図
【図7】第2実施形態に係る通常使用時のロータリー構成の斜視図
【図8】第2実施形態に係る通常使用時のロータリー構成の断面図
【図9】第2実施形態に係る出荷・輸送時のロータリー構成の斜視図
【図10】第2実施形態に係る出荷・輸送時のロータリー構成の断面図
【図11】第2実施形態に係る給電構成の断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0012】
〔第1実施形態〕
〔カラー電子写真画像形成装置〕
第1実施形態に係るカラー電子写真画像形成装置について説明する。ここでは、複数の現像装置を備えたカラー電子写真画像形成装置として、4つの現像装置を備えたカラーレーザビームプリンタを例示している。図1はカラーレーザービームプリンタの断面図である。
【0013】
まず、このカラーレーザービームプリンタの概略構成及び画像形成動作について説明する。
【0014】
図1に示すように、画像形成装置Aは、ドラム形状の電子写真感光体(以下、感光体ドラムという)2を有している。感光体ドラム2の周囲には、帯電ローラ3、露光器4、4個の現像装置18a〜18d、クリーニング装置6が配置されている。帯電ローラ3は、感光体ドラム2を一様に帯電するための帯電手段である。露光器4は、感光体ドラム2に画像情報に応じたレーザー光を照射する露光手段である。帯電後の感光体ドラム2に前記レーザー光を照射することによって、感光体ドラム2に静電潜像を形成する。現像装置18a〜18dは、感光体ドラム2に形成された前記潜像を対応する色の現像剤で現像して顕像化する現像手段である。クリーニング装置6は感光体ドラム2の表面に残留する現像剤を除去するクリーニング手段である。
【0015】
現像装置18aは、イエロー現像剤を収容しており、静電潜像をイエロー現像剤で現像するイエロー現像装置である。また、現像装置18bは、マゼンタ現像剤を収容しており、静電潜像をマゼンタ現像剤で現像するマゼンタ現像装置である。現像装置18cは、シアン現像剤を収容しており、静電潜像をシアン現像剤で現像するシアン現像装置である。現像装置18dは、ブラック現像剤を収容しており、静電潜像をブラック現像剤で現像するブラック現像装置である。即ち、現像装置18a〜18dは、感光体ドラム2に形成された静電潜像を現像する。4つの現像装置18a〜18dは、回転可能な回転支持体であるロータリー102に着脱可能に支持される。尚、後述するが、ロータリー102は、画像形成装置Aの装置本体90に回転可能に支持されている。
【0016】
まず、感光体ドラム2を、中間転写ベルト(中間転写体)7の回転と同期させて、図1の矢印方向(反時計回り)に回転させる。そして、この感光体ドラム2の表面を帯電ローラ3によって均一に帯電する。また、これとともに、露光器4によってイエロー画像の光照射を行い、感光体ドラム2にイエローの静電潜像を形成する。
【0017】
この静電潜像の形成と同時に、回転可能な回転支持体であるロータリー102を不図示の駆動伝達機構により回転して、イエロー現像装置18aを感光体ドラム2と対向する現像位置18Xに停止させる。現像位置18Xにおいて、現像装置18aが有する現像ローラ182aが感光体ドラム2と接触している。そして、感光体ドラム2上の静電潜像にイエロー現像剤が付着するように、感光体ドラム2の帯電極性と同極性でほぼ同電位の電圧を現像ローラ182aに印加する。これによって、静電潜像をイエロー現像剤で現像する。即ち、ロータリー102は、現像装置18a〜18dを複数個支持して矢印r1方向に回転することによって、支持している複数個の現像装置を一つずつ感光体ドラム2と対向する現像位置18Xへ順次移動させる。現像位置18Xに位置した現像装置は、収容している現像剤の色に応じて、感光体ドラム2に形成された静電潜像を現像する。
【0018】
ここで、本実施形態では、各現像装置の現像ローラ182a〜182dとして、金属製の軸の周りにゴムが被覆されている弾性ローラを用いている。尚、本実施形態では、現像位置18Xにおいて、各現像ローラ182a〜182dは、感光体ドラム2と接触している(接触現像方式)。各現像ローラ182a〜182dは、感光体ドラム2と接触した状態で、静電潜像の現像を行う。しかしながら、この構成に限定されるものではない。現像位置18Xにおいて、現像ローラ182a〜182dのいずれかと感光体ドラム2とが接触せずに、近接した状態で、潜像の現像を行うような構成にも適用できる。このような構成であっても、後述する効果を得ることができる。
【0019】
前述のようにして静電潜像を現像した後、中間転写ベルト7の内側に配置された一次転写ローラ81に現像剤と逆極性の電圧を印加する。これによって、感光体ドラム2に形成されたイエローの現像剤像を中間転写ベルト7に一次転写する。
【0020】
前述のようにしてイエロー現像剤像の一次転写が終了する。そして、マゼンダ、シアン、そしてブラックの各色の現像装置18b〜18dがロータリー102の回転により順次回転移動されて、感光体ドラム2に対向する現像位置18Xに停止する。そして、イエローの場合と同様にして、マゼンダ、シアン、そしてブラックの各色について、静電潜像の形成、現像、一次転写が順次行われる。これによって、中間転写ベルト7に4色の現像剤像を重ね合わせる。
【0021】
この間、二次転写ローラ82は、中間転写ベルト7とは接触してはいない。またこの時、中間転写ベルト7上の残留トナーを除去するクリーニングユニット9も中間転写ベルト7とは接触してはいない。
【0022】
一方、記録媒体としてのシートSは、装置本体90の下部に設けられたカセット51に収納されている。尚、記録媒体は、現像剤画像を形成されるものであって、例えば、記録紙、OHPシート等である。シートSは、給送ローラ52によってカセット51から一枚ずつ分離給送され、レジストローラ対(搬送ローラ)53に給送される。レジストローラ対53は、給送されたシートSを中間転写ベルト7と二次転写ローラ82との間に送り出す。ここで、二次転写ローラ82と中間転写ベルト7とは、圧接された状態にある(図1に示す状態)。
【0023】
更に、二次転写ローラ82には現像剤と逆極性の電圧が印加されており、中間転写ベルト7上に重ね合わせた4色の現像剤像は、搬送されてきたシートSの表面に一括して転写(二次転写)される。
【0024】
現像剤像が転写されたシートSは、定着器(定着手段)54に送られる。定着器54においては、シートSが加熱及び加圧され、現像剤像がシートS上に定着される。これにより、シートS上にカラー画像が形成される。そして、このシートSは、定着器54から装置本体90の外部の上カバー55の排出部へ排出される。
【0025】
〔ロータリー周りの構成〕
ここで、図2及び図3を用いて、ロータリー102周りの構成について説明する。図2はロータリー102近傍要部を表した斜視図であり、図3は図2の断面図である。
【0026】
図2及び図3に示すように、回転支持体であるロータリー102は、スラスト方向に独立して移動可能に設けられた複数の回転体により構成されている。ここではロータリー102は、2つの回転体である左ディスク102L、右ディスク102Rにより構成される。左ディスク102Lと右ディスク102Rは、スラスト方向(図3の矢印t方向)に移動自在に嵌め合っている。
【0027】
装置本体90に回転自在に支持された駆動軸104に左アーム103L、右アーム103Rが回動自在に支持されている。この左アーム103Lに左ディスク102L、右アーム103Rに右ディスク102Rが回転自在に支持されている。すなわち、ロータリー102は、装置本体90に揺動可能に支持されている。また、左ディスク102Lと右ディスク102Rとの間には、現像装置18a〜18dが、ロータリー102の周方向に略均等な間隔で着脱可能に装着されている。ロータリー120が装置本体90の駆動軸104を中心に揺動することで、感光体ドラム2に対し現像装置(現像ローラ)が当接又は離間する方向に揺動することとなる。駆動軸104には、駆動軸104と一体となって回転する左駆動ギア105L、右駆動ギア105Rが取り付けられている。この左駆動ギア105Lは左ディスク102Lと噛み合い、右駆動ギア105Rは右ディスク102Rと噛み合う。よって、装置本体に設置された不図示の駆動源(例えばパルスモータ)の駆動力が駆動軸104に伝達されると、駆動軸104と一体となって左駆動ギア105L、右駆動ギア105Rが回転する。すると、左駆動ギア105Lと噛み合っている左ディスク102L、右駆動ギア105Rと噛み合っている右ディスク102Rが同期して回転し、ロータリー102が回転する。
【0028】
また、現像装置18a〜18dはそれぞれ入力ギア(不図示)を備えている。この入力ギアに駆動力が伝わると、それぞれの現像ローラ182a〜182dが回転する。各現像装置の入力ギアは、現像位置18Xにおいて、装置本体90に回転自在に支持された駆動伝達軸121より駆動力を供給される。よって、ロータリー102が回転し、各現像装置18a〜18dのいずれかが現像位置18Xに移動すると、現像位置18Xに移動した現像装置は、装置本体90から駆動力を受け、感光体ドラム2に形成された潜像を現像可能になる。
【0029】
また、装置本体90を構成する左フレーム101Lと右フレーム101Rとの間には、左アーム103L、左ディスク102L、現像装置18a〜18d、右ディスク102R、右アーム103R、が配置されている。これらの部材は、動作上の安定性の観点から、スラスト方向に所定量の隙間Aが必要である。図3に示すように、左フレーム101Lと左アーム103Lとの隙間をA1、左アーム103Lと左ディスク102Lとの隙間をA2、左ディスク102Lと現像装置18a〜18dとの隙間をA3とする。また、現像装置18a〜18dと右ディスク102Rとの隙間をA4、右ディスク102Rと右アーム103Rとの隙間をA5、右アーム103Rと右フレーム101Rとの隙間をA6とする。すると、隙間Aは、A=A1+A2+A3+A4+A5+A6、の関係を保ちながら、A1からA6の位置に分配される。
【0030】
〔出荷・輸送時のロータリー形態〕
次に、図4及び図5を用いて、ロータリー102周りの出荷・輸送時の形態について説明する。図4は出荷・輸送時のロータリー102近傍の斜視図であり、図5は図4の断面図である。
【0031】
本実施形態では、出荷・輸送時に現像装置18a〜18dが装置本体90の内部のロータリー102に装着されている。輸送時に、振動及び衝撃により外力が加わった場合、前述のスラスト方向の隙間A(図3参照)があると、現像装置18a〜18dが装置本体90に対して相対的に移動可能となる。そのため、現像装置18a〜18dはロータリー102に衝突して大きな力が加えられてしまう。
【0032】
ここで、現像装置18a〜18dのスラスト方向の規制について説明する。本実施形態では、図4及び図5に示すように、出荷時に、取り外し可能な規制部材132を左フレーム101Lと左ディスク102Lの間に装着している。規制部材132のスラスト方向の幅Cは、左アーム103Lのスラスト方向の幅Dよりも大きく設定されている(C>D)。そのため、図3のA1からA6に示した隙間Aを減少させることができる。すなわち、装置本体90に取り外し可能に装着した規制部材132により、現像装置18a〜18dを装着した状態のロータリー120をスラスト方向に移動させてスラスト方向の隙間Aを減少させている。これにより、スラスト方向の振動及び衝撃によって現像装置18a〜18dへ加わる力を抑制することができ、輸送時の振動及び衝撃による現像装置の破損等を抑制できる。また、本実施形態では、左ディスク102Lと現像装置18a〜18dとの隙間A3と右ディスク102Rと現像装置18a〜18dとの隙間A4の和よりも、左ディスク102Lと右ディスク102Rとの隙間Bを大きく設定している(A3+A4<B)。そのため、前述の如く規制部材132を装置本体90に装着してスラスト方向の隙間Aを減少させた場合に、常に隙間Bが0より大きくなる。そのため、前述の如く規制部材132を装着してスラスト方向の隙間Aを減少させた場合でも、左ディスク102Lと右ディスク102Rが突き当たることはない。
【0033】
また、ロータリー102が左右一体の構成では、ロータリー102の内側(A3、A4)と、ロータリー102の外側(A1、A2、A5、A6)の少なくとも2ヶ所に規制部材を装着する必要がある。本実施形態では、ロータリー102を構成する左ディスク102Lと右ディスク102Rが、スラスト方向(軸方向)に対し独立に移動可能である。そのため、隙間A1から隙間A6のいずれか1ヶ所に規制部材132を装着することで、A1からA6の隙間を1つの規制部材で同時に減少させることができる。これにより、ユーザーが装置の初期使用時に規制部材132を取り外す際、1ヶ所のみにアクセスすればよく、装置本体の初期設置時における操作性を低下させることがなく、ユーザビリティが向上する。
【0034】
なお、本実施形態では、左フレーム101Lと左ディスク102Lとの間に規制部材132を取り付けているが、A1からA6等の他の位置(隙間)に取り付けても同等の効果が得られる。また、規制部材132または装置本体90側の部品に弾性を持たせ、スラスト方向に対して弾性的に支持しても構わない。弾性的に支持した場合は、隙間Aを0にすることも可能であり、輸送時において、現像装置18a〜18dが装置本体90に対して相対的に移動しない。
【0035】
次に、現像装置18a〜18dの揺動方向の規制について説明する。図6(a)は、通常使用状態におけるロータリー102近傍の側面図である。揺動方向とは、ロータリー102が、駆動軸104を中心に回動する方向を表す。揺動方向においても、スラスト方向と同様、動作上隙間が必要であるが、やはり輸送時の外力により、現像装置18a〜18dに大きな力が加わってしまう。図6(b)は、出荷・輸送時におけるロータリー102近傍の側面図である。図6(b)に示すように、規制部材132を取り付けることによって、ロータリー102が、装置本体90に固定された突き当て部材131側へ揺動方向に移動し、隙間Eを減少させる。
【0036】
前記規制部材132は、現像装置18a〜18dを装着した状態のロータリー120を、感光体ドラム2から現像装置を離間させた状態で、ロータリー120の前記揺動方向の移動も規制する。すなわち、規制部材132は、1つの部品でロータリー102の揺動方向及びスラスト方向の移動を規制している。そのため、装置の使用時にはユーザーが規制部材132のみを取り外せばよい。なお、規制部材132は取り付け後、装置本体90に固定されている(不図示)。また、本実施形態では、規制部材132で左ディスク102Lを支持しているが、駆動軸104を中心に揺動するアーム103等の他の位置でも同等の効果が得られる。また、規制部材132または装置本体90側の部品に弾性を持たせ、揺動方向に対して弾性的に支持しても構わない。弾性的に支持した場合は、隙間Eを0にすることも可能であり、輸送時において、現像装置18a〜18dが装置本体90に対して相対的に移動しない。
【0037】
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るカラー電子写真画像形成装置について、図7から図11を用いて説明する。図7及び図8に本実施形態に係る画像形成装置の構成を示す。以下これらの図面に基づいて説明を行うが、画像形成の手順は第1実施形態と同様であり、構成・作用が重複するものは同一の番号を付し説明は略す。図7は第1実施形態における図2と対比する図である。図8は第1実施形態における図3と対比する図である。
【0038】
本実施形態は、装置本体90側に給電部としての給電棒122が設置されており、左ディスク102Lには、現像装置18a〜18dのそれぞれに対応する位置に給電接触部としての接点106a〜106dを備えている。給電部の構成については後述する。
【0039】
また、ロータリー120を構成する左ディスク102Lと右ディスク102Rの間には押圧手段としての圧縮バネ107が設置されている。この圧縮バネ107は、左ディスク102Lを装置本体90に設置された左フレーム101L側へ、右ディスク102Rを装置本体90に設置された右フレーム101R側へと押圧する力を発している。すなわち、圧縮バネ109は、左ディスク102Lと右ディスク102Rを各々スラスト方向の一方側と他方側(逆方向)に押圧している。これにより、図8に示すように、左ディスク102Lと左アーム103Lは左フレーム101L側へ隙間なく詰まっており、右ディスク102Rと右アーム103Rは右フレーム101R側へ隙間なく詰まっている状態となる(F1=F2=F5=F6=0)。
【0040】
また、ロータリー120は、装着された現像装置18a〜18dをスラスト方向に対して移動不可に支持する支持部Gを有している。ここでは、支持部Gは他方側の回転体である右ディスク102Rに設けられている。これにより、ロータリー120に装着された現像装置18a〜18dは、右ディスク102Rの支持部Gでスラスト方向に対して移動不可に支持されている(F4=0)。
【0041】
つまり、上記構成により、本実施形態では、通常使用時における左アーム103L、左ディスク102L、現像装置18a〜18d、右アーム103R、右ディスク102Rのスラスト方向の位置が保持されている。
【0042】
しかし、輸送時には、設置面の方向や振動及び衝撃の外力の影響により、各部品の自重方向や加速度が変化し、圧縮バネ107の押圧だけでは各部品の移動を防ぐことは難しい。そのため、輸送時には、ロータリー102周りの移動を規制する必要がある。
【0043】
〔出荷・輸送時のロータリー形態〕
次に、図9及び図10を用いて、ロータリー102周りの出荷・輸送時の形態について説明する。図9は出荷・輸送時のロータリー102近傍の斜視図であり、図10は図9の断面図である。
【0044】
ここで、現像装置18a〜18dのスラスト方向の規制について説明する。本実施形態では、図9及び図10に示すように、出荷時に、取り外し可能な規制部材132Lを左フレーム101Lと左ディスク102Lの間に装着している。規制部材132Lのスラスト方向の幅Iは、左アーム103Lのスラスト方向の幅Jよりも大きく設定されている(I>J)。そのため、図8の隙間F3を減少させることができる。すなわち、装置本体90に取り外し可能に装着した規制部材132Lにより、現像装置18a〜18dを装着した状態のロータリー120をスラスト方向に移動させてスラスト方向の隙間F3を減少させている。これにより、スラスト方向の振動及び衝撃によって現像装置18a〜18dへ加わる力を抑制することができ、輸送時の振動及び衝撃による現像装置の破損等を抑制できる。また、本実施形態では、左ディスク102Lと現像装置18a〜18dとの隙間F3よりも、左ディスク102Lと右ディスク102Rとの隙間Hを大きく設定している(F3<H)。そのため、前述の如く規制部材132Lを装着してスラスト方向の隙間F3を減少させた場合に、常に隙間Hが0より大きくなる。そのため、前述の如く規制部材132Lを装着してスラスト方向の隙間F3を減少させた場合でも、左ディスク102Lと右ディスク102Rが突き当たることはない。
【0045】
また、本実施形態においても、ロータリー102を構成する左ディスク102L、右ディスク102Rが左右独立してスラスト方向(軸方向)に移動可能である。そのため、F1からF6のいずれか1ヶ所に規制部材132Lを装着することで、F1からF6の隙間を同時に減少させることができ、規制部材132Lを取り外す際のユーザビリティが向上する。
【0046】
次に、本実施形態における現像装置18a〜18dの揺動方向の規制について説明する。スラスト方向において、左突き当て部材131Lと対向する位置に右突き当て部材(不図示)を備えている。また、左突き当て部材131Lは、左フレーム101Lと左ディスク102Lとの間に、現像装置18a〜18dのスラスト方向の規制を行う形状を有している。ただし、通常使用時においては、左突き当て部材131Lと左ディスク102Lは離間されており、スラスト方向の規制は行わない。そして、規制部材132Lを取り付けてロータリー102を揺動方向に移動した場合のみ、左突き当て部材131Lと左ディスク102Lが接触し、スラスト方向の規制を行う。そのため、規制部材132Lを装着時のみ、複数の位置でスラスト方向の隙間を減少させることができ、現像装置18a〜18dに加わる力をより確実に抑制することができる。
【0047】
次に、図11を用いて、現像装置への給電構成について説明する。図11(a)は通常使用状態における図8に示す矢印K方向の断面図である。図11(b)は出荷・輸送時における図10に示す矢印L方向の断面図である。
【0048】
一方側の回転体である左ディスク102Lは、装置本体90に設置された給電棒122と接触可能な給電接触部としての接点106a〜106dを備えている。現像装置18a〜18dは、左ディスク102Lに設けられた接点106a〜106dと接触可能な給電受け取り部としての現像接点183a〜183dを備えている。各現像装置の現像接点183a〜183dは、現像装置をロータリーに装着することにより、それぞれ接点106a〜106dと圧接し、導通している。給電棒122は給電バネ123によりスラスト方向一方側から他方側に向けて押圧され、給電棒ガイド124によってスラスト方向に対して移動可能にガイドされている。装置本体90に設置された給電棒122は、現像位置18Xにおいて、接点106a〜106dのいずれかと圧接し、現像接点183a〜183dを介して各現像ローラ182a〜182dに給電する。しかし、輸送時に給電圧接部(給電棒122、接点106a〜106d、現像接点183a〜183d)が接触していると、輸送時の振動及び衝撃によって、摺擦傷の発生、故障等につながる可能性がある。
【0049】
ここで、出荷・輸送時の給電構成について図11(b)を用いて説明する。出荷・輸送時において、左ディスク102Lは、左規制部材132L及び左突き当て部材131Lによってスラスト方向に規制され、装置本体90の内側に移動する。すなわち、前記一方側の回転体である左ディスク102Lは、左ディスク102Lに設けた接点106a〜106dが給電棒122から離れる方向(前記スラスト方向の他方側)に向けて移動される。一方、現像装置18a〜18dは、他方側の回転体である右ディスク102Rの支持部Gに支持され、圧縮バネ107により右フレーム101R側へ突き当たっているため、移動しない。そのため、接点106a〜106dと現像接点183a〜183dが離間される。また、このとき給電棒122は、左ディスク102Lと共に内側に移動するが、給電棒ガイド124と突き当たるとそれ以上は移動せず、給電棒122と接点106a〜106dが離間される。そのため、輸送時の振動及び衝撃による給電圧接部の摺擦傷の発生、故障等を防ぐことができる。なお、本実施形態では、輸送時に給電圧接部を離間させているが、給電バネ123の作動長を広げて接触圧を減少させることでも、摺擦傷の発生、故障等を抑制することができる。
【0050】
規制部材132Lにより、左ディスク102Lを前記スラスト方向の他方側に向けて移動させてスラスト方向に規制することで、接点106a〜106dを給電棒122から離間させる方向に移動させて接触圧を減少(あるいは離間)させる。これにより、輸送時の振動及び衝撃による給電圧接部の摺擦傷の発生、故障等を防ぐことができる。
【0051】
更に、規制部材132Lにより、左ディスク102Lを前記スラスト方向の他方側に向けて移動させて、右ディスク102Rの支持部Gに支持されている現像装置との隙間F3を減少させるとともに、現像接点183a〜183dと接点106a〜106dを離間させる。これにより、輸送時の振動及び衝撃による給電圧接部の摺擦傷の発生、故障等を、より確実に防止することができる。
【0052】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、回転支持体に対して着脱可能の現像装置を4つ使用しているが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。
【0053】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であっても良い。或いは、記録媒体担持体を使用し、該記録媒体担持体に担持された記録媒体に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。複数の現像装置を着脱可能に支持する回転支持体を備えた画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
A …画像形成装置
G …支持部
S …シート
2 …感光体ドラム
18X …現像位置
18a〜18d …現像装置
90 …装置本体
101L …左フレーム
101R …右フレーム
102 …ロータリー
102L …左ディスク
102R …右ディスク
103L …左アーム
103R …右アーム
104 …駆動軸
105L …左駆動ギア
105R …右駆動ギア
106a〜106d …接点
107 …圧縮バネ
121 …駆動伝達軸
122 …給電棒
131L …左突き当て部材
132 …規制部材
132L …左規制部材
182a〜182d …現像ローラ
183a〜183d …現像接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成するカラー電子写真画像形成装置において、
電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像するための複数の現像装置と、
前記複数の現像装置を着脱可能に支持し、回転することによって前記複数の現像装置のいずれかを前記電子写真感光体と対向する現像位置に順次移動させる回転支持体と、
カラー電子写真画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着し、前記回転支持体のスラスト方向の移動を規制する規制部材と、
を有し、
前記回転支持体を、前記スラスト方向に独立して移動可能な複数の回転体で構成するとともに、
前記装置本体に装着した前記規制部材により、前記複数の現像装置を装着した状態の前記回転支持体を前記スラスト方向に移動させて前記スラスト方向の隙間を減少させることを特徴とするカラー電子写真画像形成装置。
【請求項2】
前記回転支持体は、前記電子写真感光体に対し前記現像装置が当接又は離間する方向に揺動するように前記装置本体に揺動可能に支持されており、前記規制部材は、前記複数の現像装置を装着した状態の前記回転支持体を、前記電子写真感光体から前記現像装置を離間させた状態で、前記回転支持体の前記当接又は離間する方向の移動も規制することを特徴とする請求項1に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項3】
前記現像装置のスラスト方向の一方側に設けられた給電受け取り部と、
前記回転支持体のスラスト方向の一方側の回転体に設けられ、前記給電受け取り部と接触可能な給電接触部と、
前記装置本体に設けられ、前記給電接触部と接触して、前記給電受け取り部を介して前記現像装置へ給電する給電部と、
を有し、
前記規制部材により、前記一方側の回転体を前記スラスト方向の他方側に向けて移動させて、前記給電接触部を前記給電部から離間させる方向に移動させて接触圧を減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカラー電子写真画像形成装置。
【請求項4】
更に、前記回転支持体のスラスト方向の他方側の回転体に設けられ、前記現像装置をスラスト方向に移動不可に支持する支持部を有し、
前記規制部材により、前記一方側の回転体を前記スラスト方向の他方側に向けて移動させて、前記他方側の回転体の支持部に支持されている現像装置との隙間を減少させるとともに、前記給電受け取り部と前記給電接触部を離間させることを特徴とする請求項3に記載のカラー電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−42625(P2012−42625A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182586(P2010−182586)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】