説明

ガスタービンエンジンのベーンの間のノズル流路面積を測定する方法

【課題】新品もしくは修復したガスタービンエンジンのベーンにおけるノズルの流路面積の正確な測定方法を提供する。
【解決手段】ノズル50の流路面積を測定するために、第1のベーン114の凸面38及び凹面40が走査され、ポイントクラウド196、296として保存される。両者が結合ポイントクラウド396としてまとめられ、基準となる座標系98に変換される。第2のベーン214を示す公称ポイントクラウド496が、結合ポイントクラウド396に隣接して配置される。入口形状56が、燃焼ガス18の流れと垂直な入口平面58とポイントクラウド396、496との交差部から抜粋(抽出)される。ノズル50の流路面積は、積分法を用いて入口形状56から算出される。第1のベーン114の反対の面も同様に測定される。これによって、ノズル50の流路面積が正確に算出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特にエンジン内部のベーンの間のノズル流路面積を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な軸流ガスタービンエンジンは、1つ或いは複数の前方の圧縮機において外気を圧縮し、中央の燃焼器において燃料を噴射して混合気を燃焼させ、1つ或いは複数の後方のタービンを通して燃焼生成物を案内することによって作動する。圧縮機及びタービンの各々は、1つ或いは複数のそれぞれ回転するスプール及び固定したケースの周囲に円周方向に配置されたロータブレード及びステータベーンの交互の段からなる。共通の低圧スプールによって、前側の圧縮機及び後側のタービンが同時に回転し、その一方で共通の高圧スプールによって、後側の圧縮機及び前側のタービンが同時に回転する。タービンによって、燃焼ガスに保存された運動エネルギが、前方の圧縮機を動かす機械エネルギに変換される。共通のスプールが圧縮機及びタービンに接続しているので、タービンの動作が、圧縮機の動作に直接影響を及ぼす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
隣接するステータベーンの間に位置する複数の個々に独立した半環状のノズルの領域を通って燃焼生成物が、エンジンの後方に流れる。半環状のノズルの領域は、よく流路面積(flow area)と呼ばれる。タービン及び圧縮機が最適な効率で作動するように、各タービンの段におけるノズル流路面積全体を適切な大きさにすることが重要である。また、燃焼ガスの脈動による後続のブレード段の高サイクル疲労を低減するために、個々のノズルの流路面積を円周方向に均一に分散させることが重要である。
【0004】
エンジン部品の当初の製造上の公差、長時間のエンジンの運転、及びその後の修復工程によって、個々のノズルの面積が変化する。ノズルの全体の流路面積及び個々のノズルの流路面積の分布がエンジンの仕様範囲内に収まるように、個々のノズルの流路面積を、タービンの組立に先立って測定する必要がある。新品もしくは修復されたベーンは、通常、機械式のゲージに取り付けられ、一連の機械式の探針が、ベーンの面の数ヶ所に接触する。ベーンの形状の選択した位置と公称寸法である隣接するベーンとの間の距離が、このゲージによって測定される。それから、個々のノズルの流路面積が、通常、台形の面積を計算するのに使用されるシンプソンの公式を用いて算出される。所定の値の範囲内に収まるノズルの流路面積を有するベーンに、ある等級番号がつけられる。アルゴリズムによって、特定のエンジン基準を基にして、タービンの段における全てのベーンの円周方向の配置が最適化される。その後、ベーンは、隣接するベーンの間の等級番号の違いが1つを越えないように、タービンの段に円周方向に組み立てられる。
【0005】
上述のシンプソンの公式を用いて新品のベーンのノズルの流路面積を算出することは可能であるが、この計算方法は、極僅かの測定点を用いて実際のノズルの流路面積に近似させるのに過ぎない。修復されたベーンにおいては、シンプソンの公式を用いてノズルの流路面積に近似させるために、克服しなければならない更なる障害が存在する。修復されたベーンは、タービンの高温の環境において長時間作動している間に若干曲がる可能性があり、またベーンの修復過程によって、このベーンの基準線の位置が変わることや、ブレンディングによってノズル壁が薄くなる可能性がある。繰り返し可能な方法で機械式ゲージに修復されたベーンを適切に取り付けることは、困難であるとともに、極僅かな測定点の位置が、ノズル壁の形状における微妙な変化を正確に表さない可能性がある。結果として等級番号は、ノズルの流路面積の範囲を示すものの、修復されたベーンの実際のノズルの流路面積を正確に示さない。
【0006】
それ故に、ガスタービンエンジンにおいて、ベーンの間のノズルの流路面積を測定するより正確な方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
タービンのベーンのノズルの流路面積を測定する方法においては、第1のベーンの凸面及び凹面が、レーザ走査装置を用いて走査される。レーザ走査装置は、レーザスポット投射器と、レーザスポットセンサと、多軸制御装置と、コンピュータと、を備える。一連の走査された点が、ポイントクラウド(点群)としてこの装置に保存される。これらのポイントクラウドは、結合ポイントクラウドとしてまとめられるとともに、基準となる座標系に変換される。公称寸法を有するベーンを示すポイントクラウドが、結合ポイントクラウドの1つの面に隣接して配置される。入口形状(profile)が、燃焼ガスの流れの方向に対し垂直なノズルの入口平面と各ポイントクラウドの前縁との交差部から抜粋(抽出)される。その後、ノズルの流路面積が、積分法を用いて入口形状から正確に算出される。この処理は、ベーンの逆の面を測定するために繰り返される。
【0008】
タービンのベーンのノズルの流路面積を測定する他の方法においては、第1のベーンの圧力面側のノズル壁と負圧面側のノズル壁の双方が、レーザ走査装置を用いて走査され、かつ第1のポイントクラウドとして保存される。それから、第2のベーンの圧力面側のノズル壁と負圧面側のノズル壁の双方が、レーザ走査装置を用いて走査され、かつ第2のポイントクラウドとして保存される。その後、ノズルの流路面積は、積分法を用いて各々隣接するポイントクラウドの間で測定される。走査及びデータ保存のステップは、タービンの段における各々のベーンを測定するために繰り返される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一般的な軸流ガスタービンエンジンにおいては、1つ或いは複数のタービンの段10が、図1に示されるように、エンジンの中心に取り付けられた燃焼器12の下流側に配置される。固定されたベーン14及び回転するブレード16が交互に段になっていることによって、高温のガスである燃焼生成物18が後方に案内され、かつブレード16に接線方向の力が伝達される。
【0010】
個々のベーン14は、タービンの段10の周囲に円周方向に配置され、また各々のベーン14は、内径のシュラウド20と、外径のシュラウド22と、これらのシュラウド20、22の間に半径方向に拡がっているエアフォイル24と、を備える。ベーン14は、外側のシュラウド22によって、タービンの段10を囲む外側のケース26から内側に片持ち式になっている。支持部28及びねじ込みファスナ30の組み合わせによって、外側のシュラウド22が、多数の外側のフランジ32の半径方向下方でケース26に固定される。さらに、内側のシュラウド20を内側支持部34に固定してもよく、或いはこのシュラウド20によってステージ間シール36が支持されてもよい。
【0011】
図2を参照すると、各エアフォイル24は、前方の前縁42と後方の後縁44との間に軸方向に延びている凸面38及び反対側の凹面40(図示せず)を備える。凸面38及び凹面40は、外径端部壁46と内径端部壁48との間に半径方向に延びている。隣接するベーン14の凸面38、凹面40、外径端部壁46及び内径端部壁48によって、燃焼ガス18を後方に案内するノズル50が形成される。薄型の金属片52が、ノズル50からの燃焼ガス18が半径方向内側及び外側に漏れないように、対応するスロット54に配置される。
【0012】
ノズル50の流路断面積は、タービンの段10において隣接する第1のベーン114と隣接する第2のベーン214との間で測定される。入口の形状(profile)56は、燃焼ガス18の流れのベクトルの平均方向に対し垂直に位置した平面58と、隣接するベーン114、214の各前縁42及び端部壁46、48との交差部によって抜粋(抽出)される。
【0013】
ノズル50の流路面積を測定するレーザ走査装置60が、図3に示されている。タービンの段10の第1のベーン114は、1つ或いは複数の既存のベーン基準線(datum)64に従って固定具62に配置され、エアフォイル24及び端部壁46、48が、レーザ走査装置60に対して覆われることなく最大限さらされるように方向付けられる。面積は、1つ或いは複数のベーン基準線64に関連して測定、算出かつ保存されるので、正確な固定具62の使用が極めて重要である。第1のベーン114がレーザ走査装置60によって走査されるときに、このベーン114の位置決めを支援するために、1つ或いは複数の球体66を、ベーン基準線64に関連して配置してもよい。例示的な方法においては、3つの球状の工具が、ホットメルト接着剤または別の除去可能な手段によってベーン114の端部壁46、48に固定される。通常、3つの球状工具で十分ではあるものの、画像照合に使用可能な少なくとも3つの球面が抱える掩蔽の問題を解決するために、より多くの球状工具を配置する必要があり得る。これらの球状工具は、第1のベーン114をどちらか一方の面から走査するときにこれらの工具がレーザに対して見える位置に存在し、かつこれらの工具がノズル50の流路面積やベーン基準線64を遮らない限りは、どの場所に取り付けてもよい。これらの球状工具の中心は、2つの異なる走査が示す別々に走査された凹面40及び凸面38を照合即ち記録するための位置決め点として機能する。なお、基準となる球体66を用いることなくレーザによる走査によって照合させることが可能であるが、処理時間が大幅に増加してしまう。
【0014】
機械加工、測定及び他の作業における正確な位置決めのために各種業界全体で一般的に使用される多軸制御装置68によって、固定具62及び第1のベーン114が動かされる。制御装置68は、コンピュータ78からの指示に従ってX軸74及びY軸76のそれぞれに沿って横送り台72を線形に駆動するサーボ70を備える。横送り台72がX−Y平面内のみで線形に移動するので、Z軸80内での移動は一定に維持される。制御装置68は、第1のベーン114を固定具62から取り外す必要なくエアフォイル24及び端部壁46、48へのアクセスを可能にする。
【0015】
レーザスポット投射器82及びレーザスポットセンサ84が、互いに隣接して横送り台72の1つに取り付けられる。典型的に直径50ミクロン以下である小径のレーザ光線86が、スポット投射器82から第1のベーン114に向かって投射され、またセンサ84が第1のベーン114から反射する反射光88を受光する。どこで反射光88がセンサ84と接触するかを測定することによって、第1のベーン114からスポット投射器82までのZ軸80の距離が、三角測量により計算される。Z軸80の距離は、第1のベーン114の形状(topology)の変化に応じて変化する。例示的な装置60においては、キーエンス(Keyence)社のLVシリーズのレーザスポット投射器82及びスポットセンサ84が使用された。
【0016】
コンピュータ78は、メモリ装置90と、プロセッサ92と、を備え、ケーブルもしくは無線接続によって制御装置68に接続されている。コンピュータ78は、サーボ70によって横送り台72をX−Y平面に沿って位置決めするように制御装置68に指示する。投射器82及びセンサ84が横送り台72の1つに取り付けられるので、横送り台72が指示に従って横切っていくに従い、レーザ光線86が第1のベーン114を走査する。走査線密度つまりX軸74及びY軸76の一定の走査位置(もしくは走査線)の間の距離は、走査時の所望の解像度を得るために増加または減少することができる。プロセッサ92は、C++または他の適切なプログラミング言語を用いてプログラミングできる。
【0017】
第1のベーン114の走査時に、センサ84は、較正されたZ軸80の距離をメモリ装置90へアナログ電圧として出力する。対応する瞬間的なX軸74及びY軸76の距離は、横送り台72を駆動するサーボ70によって生成される。これらの3つのデータ供給源、即ちサーボ70からのX軸74及びY軸76の距離ならびに、スポットセンサ84からの較正されたZ軸80の距離は、高速PCデータバスを用いて連続的に捕捉され、かつ一連のデジタル座標としてメモリ装置90に保存される。
【0018】
図4は、上述のレーザ走査装置60を用いて第1のベーン114のノズル50の流路面積を測定する一連の方法のステップ300を示している。
【0019】
第1の実施例のノズル50の流路面積を測定する方法300においては、公称寸法を有しかつ、公称位置に位置した第2のベーン214に関連して、第1のベーン114のノズル50が測定される。第2のベーン214は、コンピュータ支援設計システム(CAD)を用いて作成されるとともに、公称設計寸法に従って寸法が決められる。
【0020】
第1のベーン114は、ステップ301において、図3に示すように固定具62に配置される。通常、3つの球体66が、ベーン114に取り付けられ、後のステップにおいて使用するためのゲージ基準点として機能する。第1のベーン114は、凸面38または凹面40からなる第1の面が、覆われることなくレーザスポット投射器82に直面し、また第1の面38、40からの距離が、投射器82からの適切な走査時の深さの範囲内に収まるように、固定具62に配置される。凸面38もしくは凹面40のどちらを先に走査しても構わない。走査時の深さは、投射器82から第1のベーン114までの較正された距離であり、最も正確な走査データとなる。例示的な装置60においては、約2.5インチ(6.35cm)の走査時の深さが用いられた。高度に捻られたベーン14が走査されるときには、走査をより深くできる装置が必要となり得る。
【0021】
次に、ステップ302及び図5A、図5Bで示された例を参照すると、第1の面38、40及び3つの球体66の形状(topography)が、個々のデジタル座標点94(点描された陰影として図に示されている)を得るように走査される。これらの座標点94は、レーザ光線86の迷光の反射やレーザ走査装置60のノイズによって発生する範囲外及び無関係の点を全て除去するようにフィルタにかけられる。その後、これらの座標点94は、第1のポイントクラウド(点群)196にまとめられ、メモリ装置90に保存されてプロセッサ92によってさらに処理される。
【0022】
第1の面38、40を示す第1のポイントクラウド96が保存されると、ベーン基準線64の面が、ステップ303において抜粋(抽出)されるとともに、これらの基準線64の面を参照する座標系98が構成される。それから、第1のポイントクラウド196における全ての座標点94が、基準となる座標系98に変換される。
【0023】
第1のベーン114は、ステップ304において、固定具62から取り外され、反対側の面38、40がレーザ走査装置60に直面するように裏返しにされる。ベーン114に取り付けられた3つの球体66は、後のステップにおいて2つの走査を整合させ、かつ記録するために用いられるので、これらの球体66は、2回目の走査時において動かされることなく同じ位置に留まる必要がある。第1のベーン114は、第2の面となる凸面38または凹面40が覆われることなくレーザスポット投射器82によって視認でき、かつ投射器82からの走査時の深さが適切な範囲内に収まるように、固定具62に配置される。
【0024】
次に、ステップ305において第2の面38、40の形状が、デジタル座標点94(陰影として示されている)を得るように走査される。これらの座標点94は、レーザ光線86の迷光の反射やレーザ走査装置60のノイズによって発生する範囲外及び無関係の点94を全て除去するようにフィルタにかけられる。これらの座標点94は、第2のポイントクラウド296にまとめられ、メモリ装置90に保存されてプロセッサ92によってさらに処理される。
【0025】
第2の面38、40における第2のポイントクラウド296が保存されると、その後、ステップ306において第2のポイントクラウド296における全ての座標点94が、ステップ303で作成された基準となる座標系98に変換される。3つの球状工具の中心は、次のステップにおいて、2つの走査を1つの走査に一致(照合)させるためのゲージ基準点として機能する。このようにして、第1の面及び第2の面38、40の双方が、ポイントクラウド196、296としてメモリ装置90に保存され、かつプロセッサ92によって処理される。
【0026】
第1の面及び第2の面38、40を示すポイントクラウド196、296は、ステップ307において、基準として整列した3つの球体66によるゲージ基準点を用いて結合され、結合ポイントクラウド396(図6)としてまとめられる。第1のベーン114を示す結合ポイントクラウド396は、更なる処理のためにメモリ装置90に保存される。
【0027】
公称寸法を有しかつ、公称位置に向けられた第2のベーン214を示す公称ポイントクラウド496が、ステップ308において、結合ポイントクラウド396の第1の面に隣接して位置づけられる。公称ポイントクラウド496を位置決めすることによって、第1のベーン114を示す結合ポイントクラウド396からの適切なピッチ距離及び角度方向(angular orientation)が得られる。ピッチ距離は、隣接するエアフォイル24の間の距離であり、また角度方向は、ガスタービンエンジンの軸方向及び半径方向の面に対して測定される。
【0028】
入口平面58が、ステップ309において、ノズル50の入口における燃焼ガス18の流れのベクトルの方向に対し垂直に配置される。そして、入口形状(profile)56が、この入口平面58と、前縁42、外径端部壁46及び内径端部壁48における結合ポイントクラウド396との交差部から抜粋(抽出)される。
【0029】
次に第2の公称ベーン214の入口形状(profile)100が、ステップ310において抜粋(抽出)される。入口形状100は、入口平面58と、前縁42、外径端部壁46及び内径端部壁48における公称ポイントクラウド496との交差部から抜粋(抽出)される。
【0030】
ノズル50の流路面積は、ステップ311において、結合ポイントクラウド396ならびに公称ポイントクラウド496から抜粋(抽出)された入口形状56の面積から算出される。入口形状56によって囲まれた面積は、1つ或いは複数の公知の数値積分法を用いて算出される。第1のベーン114の第2の面におけるノズル50の流路面積は、ステップ312において、公称ポイントクラウド496が結合ポイントクラウド396の第2の面に隣接して位置づけられた状態で、ステップ308〜ステップ311を繰り返すことによって算出される。
【0031】
ステップ301〜ステップ312を、ステップ313において、新品もしくは修復されたタービンのベーンの段が備える全てのベーン14のノズルの流路面積を得るために繰り返してもよい。全てのノズル50の流路面積が、上述のステップに示すように算出されて保存されると、個々のノズル50の流路面積が、最小のものから最大のものへと並び替えられるとともに、ベーン14とこれに隣接するベーンとの間のノズル50の流路面積の差が極力小さくなるように、各ベーン14がベーン段周囲に分配される。ノズル50の流路面積が測定されれば、このような分配を実現する最適化の方法が多数知られている。
【0032】
ノズル50の流路面積を測定する方法300の代替の実施例においては、第1のベーン及び第2のベーン114、214の双方が、ステップ301〜ステップ307で示すように走査される。それから、ノズル50の流路面積が、第1のベーン及び第2のベーン114、214に関連して、また公称ベーンに関連することなく測定されて算出される。これによって、2つのベーン114、214の間の実際のノズル50の流路面積が、正確に測定される。
【0033】
特定の方法を、第1段の高圧タービンのベーンにおけるノズルの流路面積の正確な測定及び算出に関して説明したが、別の段、或いは低圧タービンのベーンや圧縮機のステータでも同様に有効であることが理解されよう。従って、本発明は、請求項の広い範囲に含まれる代替、改良、及び変更を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】軸流ガスタービンエンジンの一般的なタービン部分を示す部分断面図。
【図2】図1のタービン部分における第1段のベーンの一部分を示す部分斜視図。
【図3】図2のベーンを走査するために用いられるレーザ走査装置の簡略化した斜視図。
【図4】本発明の方法に従ってベーンのノズルの流路面積を測定する詳細な種々のステップを記述した説明図。
【図5A】図2の第1段のベーンの凸面を示すポイントクラウドを図示する斜視図。
【図5B】図2の第1段のベーンの凹面を示すポイントクラウドを図示する斜視図。
【図6】公称ベーンを示す走査されたポイントクラウドに隣接して配置された図2の第1段の第1のベーンを示す走査された結合ポイントクラウドを図示する斜視図。
【符号の説明】
【0035】
60…レーザ走査装置
62…固定具
64…ベーン基準線
66…球体
68…多軸制御装置
70…サーボ
72…横送り台
74…X軸
76…Y軸
78…コンピュータ
80…Z軸
82…レーザスポット投射器
84…レーザスポットセンサ
86…レーザ光線
88…反射光
90…メモリ装置
92…プロセッサ
114…ベーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法であって、
走査装置を備え、
一連のデジタル測定点を得るようにベーンを上記走査装置で走査するとともに、上記ベーンを示す結合ポイントクラウドとして上記の測定点を保存し、
上記結合ポイントクラウドの第1の面に隣接して公称ベーンを示す公称ポイントクラウドを位置決めし、
各ポイントクラウドの前縁と、流体の流れのベクトルの平均方向に対し垂直な平面との交差部において第1の入口形状を抜粋し、
上記第1の入口形状から第1の入口ノズルの流路面積を算出し、
上記結合ポイントクラウドの第2の面に隣接して公称ポイントクラウドを位置決めし、
各ポイントクラウドの前縁と流体の流れのベクトルの平均方向に対し垂直な平面との交差部において第2の入口形状を抜粋し、
上記第2の入口形状から第2の入口ノズルの流路面積を算出し、
上記第1のノズルの流路面積及び上記第2のノズルの流路面積から全体のノズルの流路面積を決定することを特徴とするベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項2】
ベーンを走査するステップは、
一連のデジタル測定点を得るように上記ベーンの第1の面を上記走査装置で走査するステップと、
第1のポイントクラウドとして上記の測定点を保存するステップと、
一連のデジタル測定点を得るように上記ベーンの第2の面を上記走査装置で走査するステップと、
第2のポイントクラウドとして上記の測定点を保存するステップと、を備え、
さらに、上記第1のポイントクラウド及び上記第2のポイントクラウドを結合ポイントクラウドにまとめるステップと、
上記ベーンを示す上記結合ポイントクラウドを保存するステップと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項3】
1つ或いは複数の球体が、上記ベーンの第1の面及び第2の面の各々とともに走査されることを特徴とする請求項2に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項4】
3つの球体が、上記ベーンの第1の面及び第2の面の各々とともに走査されることを特徴とする請求項3に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項5】
1つ或いは複数の走査された上記球体は、上記第1のポイントクラウド及び上記第2のポイントクラウドを結合させるときに位置合わせのために用いられることを特徴とする請求項4に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項6】
上記公称ポイントクラウドを、第2のベーンを示すポイントクラウドに置き換えることを特徴とする請求項1に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項7】
ノズルの流路面積を算出するステップは、上記入口形状に対し数値積分法を実行することを特徴とする請求項1に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項8】
ベーンを位置決めするステップは、公称円周ピッチ及び軸方向の寸法において実行されることを特徴とする請求項1に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項9】
ベーンを走査するステップは、上記結合ポイントクラウドを基準となる座標系に変換することを特徴とする請求項1に記載のベーンの全体のノズルの流路面積を決定する方法。
【請求項10】
少なくとも1つの既存のベーン基準線を有するベーンのノズルの流路面積を算出する方法であって、
固定具と、多軸制御装置と、レーザスポット投射器と、レーザスポットセンサと、メモリ装置と、プロセッサと、を備える走査装置を提供し、
第1の面を上記走査装置に向けた状態で上記ベーンを上記固定具に配置し、
1つ或いは複数の球体及び上記ベーンに関連して、上記レーザスポット投射器及び上記レーザスポットセンサを上記多軸制御装置により動かしつつ、上記レーザスポット投射器からレーザ光線を投射するとともに、上記スポットセンサがレーザ光線の反射光を受光することによって上記ベーンの第1の面を走査し、
少なくとも1つのベーン基準線に関連して画定された少なくとも1つの基準となる上記球体及び上記ベーンの第1の面を示す第1のポイントクラウドとして、デジタル測定点を上記メモリ装置に保存し、
第2の面を上記走査装置に向けた状態で上記ベーンを上記固定具に再配置し、
1つ或いは複数の球体及び上記ベーンに関連して、上記レーザスポット投射器及び上記レーザスポットセンサを上記多軸制御装置により動かしつつ、上記レーザスポット投射器からレーザ光線を投射するとともに、上記レーザスポットセンサがレーザ光線の反射光を受光することによって基準となる上記球体及び上記ベーンの第2の面を走査し、
少なくとも1つのベーン基準線に関連して測定された基準となる上記球体及び上記ベーンの第2の面を示す第2のポイントクラウドとして、デジタル測定点を上記メモリ装置に保存し、
上記ポイントクラウドを基準となる座標系に変換し、
結合ポイントクラウドを生み出すために上記第1のポイントクラウドを上記第2のポイントクラウドと結合し、
上記ベーンの第1の面に隣接して公称ベーンを示す公称ポイントクラウドを配置し、
上記ポイントクラウドの前縁において、流体の流れのベクトルの方向に垂直な入口平面を位置決めし、
上記入口ノズルの周囲を示す入口形状を、上記入口平面と上記ポイントクラウドとの交差部から抜粋し、
第1のノズルの流路面積を数学的方法を用いて上記入口形状から算出し、
上記ベーンの第2の面について、上記の公称ポイントクラウドを配置するステップ、入口平面を位置決めするステップ、入口形状を抜粋するステップ、及びノズルの流路面積を算出するステップを繰り返し、
上記第1のノズルの流路面積及び上記第2のノズルの流路面積から全体のノズルの流路面積を算出することを特徴とするベーンのノズルの流路面積を算出する方法。
【請求項11】
ベーンを走査するステップは、少なくとも1つの基準となる球体も走査することを特徴とする請求項10に記載のベーンのノズルの流路面積を算出する方法。
【請求項12】
ベーンを走査するステップは、3つの基準となる球体も走査することを特徴とする請求項11に記載のベーンのノズルの流路面積を算出する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−64218(P2007−64218A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228520(P2006−228520)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】