説明

ガラス割れ検出装置

【課題】ガラス割れの検出精度を好適に確保することができるガラス割れ検出装置を提供する。
【解決手段】ガラス割れ検出装置は、窓枠12に設けられると共にウィンドウガラス13の側縁部へ向けて光を投射する複数の発光素子17と、窓枠12に配設されると共にウィンドウガラス13の内部を伝播してきた光を検出する複数の受光素子20とを備えてなる。当該装置は、受光素子20の受光面20aを覆うように設けられると共にウィンドウガラス13が全閉位置にあるときにウィンドウガラス13の上端縁に密接するウィンドウガラス13よりも屈折率の大きな保護膜21を備えてなる。当該装置は、ウィンドウガラス13の内部を全反射しながら伝播する光が保護膜21を介して受光素子20により検出された場合にはウィンドウガラス13に割れがない旨判断すると共に同じく光が検出されない場合にはウィンドウガラス13に割れがある旨判断する制御装置を備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両及び建築物等のウィンドウガラスの割れを検出するガラス割れ検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物及びショーケース等のガラスに圧電振動子を貼り付けて、ガラスに衝撃が加えられた時に発生する振動成分の強度に基づいてガラスが破損したかどうかを判定するガラス割れ検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、車両の窓ガラスの破壊時に発生する衝撃音を、車内に設けたマイクロフォンを通じて検出することにより、ガラス割れを検出するガラス割れ検出装置もある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特公昭57−57970号公報
【特許文献2】特開平8−30874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、特許文献1,2に示されるような従来のガラス割れ検出装置には、次のような問題があった。すなわち、特許文献1のガラス割れ検出装置においては、圧電振動子により、ガラスの破壊時に発生する振動だけではなく、建築物等の近くを車両が走行することにより発生するガラス割れ以外の要因により発生するいわゆる環境振動に基づきガラス割れを誤検出するおそれがあった。また、特許文献2のガラス割れ検出装置においては、マイクロフォンにより、窓ガラスの破壊音だけではなく、接近した他車のクラクション(登録商標)音等のガラス割れ以外の要因により発生するいわゆる環境騒音に基づきガラス割れを誤検出するおそれがあった。このため、前述した環境振動及び環境騒音の影響を受けにくく、ガラス割れの誤検出を抑制することができるガラス割れ検出装置が望まれていた。
【0004】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ガラス割れの検出精度を好適に確保することができるガラス割れ検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、窓枠に取り付けられた透光性を有するガラスの割れの有無を検出するガラス割れ検出装置において、前記窓枠に設けられるとともに前記ガラスの側縁部へ向けて光を投射する単数又は複数の発光素子と、前記窓枠に設けられるとともに前記ガラスの側縁部のうち前記発光素子からの光の入射面となる部位と異なる部位に対応する単数又は複数の受光素子と、前記受光素子の受光面に前記ガラスの側縁部と密接するよう設けられるとともに前記ガラスよりも屈折率が大きく設定された透光性を有する保護部材と、前記ガラスと空気との屈折率の差に基づき前記ガラスの内部を全反射しながら伝播する光が前記ガラスと前記保護部材との屈折率の差に基づき屈折して前記受光素子により検出された場合には前記ガラスに割れがない旨判断するとともに、光が前記受光素子により検出されない場合には前記ガラスに割れがある旨判断する制御装置と、を備えてなることをその要旨とする。
【0006】
光は屈折率が大きい物質から小さい物質へ移動する場合に、臨界角以上の入射角となったときに全反射が起こる。本発明は、このいわゆるスネルの法則を利用して、ガラスの割れの有無を検出する。すなわち、ガラスに割れがないときには、ガラスは自身よりも屈折率が大きい保護部材に接触していることから、ガラス中を伝播する光はガラスと保護部材との境界において全反射することなく屈折し、保護部材を介して受光素子の受光面に至る。このため、受光素子により光が検出されたことをもってガラス割れ無しの旨判断することができる。一方、ガラスに割れがあるときには、ガラスは保護部材に接触していないことから、ガラス中を伝播する光はガラスと空気との境界において全反射することにより受光素子の受光面に至ることはない。このため、受光素子により光が検出されないことをもってガラス割れ有りの旨判断することができる。
【0007】
このように、受光素子の受光状態に基づきガラスの割れの有無を判断することにより、ガラス割れの検出精度が高められる。例えば、ガラスに衝撃が加えられた時に発生する振動成分の強度、及びガラスの破壊時に発生する衝撃音に基づいてガラスの破損を判定することも考えられる。しかし、これら場合には、ガラスの破壊に伴って発生する振動及び衝撃音だけでなく、ガラス割れ以外の要因により発生するいわゆる環境振動及び環境騒音に基づきガラス割れを誤検出するおそれがある。これに対して、本発明のガラス割れ検出装置によれば、前述した環境振動及び環境騒音の影響を受けにくく、ガラス割れの誤検出を抑制することができる。したがって、ガラス割れの検出精度を好適に確保することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガラス割れ検出装置において、前記ガラスは、外部からの駆動指令に基づきアクチュエータが動作することにより、その側縁部が前記保護部材に密接する全閉位置と同じく側縁部が前記保護部材に対して離間する全開位置との間を変位可能に設け、前記制御装置は、前記アクチュエータの動作情報を取得する情報取得手段を通じて取得された前記アクチュエータの動作情報に基づき前記ガラスの位置を求めるとともに、当該求められたガラスの位置情報を加味して前記ガラスの割れの有無を判断することをその要旨とする。
【0009】
本発明によれば、外部からの駆動指令に基づきアクチュエータが動作することにより、ガラスはその側縁部が保護部材に密接する全閉位置と同じく側縁部が保護部材に対して離間する全開位置との間で変位する。そして、制御装置は、アクチュエータの動作情報に基づき求めたガラスの位置情報を加味してガラスの割れの有無を判断する。すなわち、制御装置は、ガラスが全閉位置である旨検出されているにもかかわらず受光素子により光が検出されないときには、ガラスが割れている旨判断する。また、制御装置は、ガラスが全開位置である旨、又は全閉位置と全開位置との中間位置にある旨、又は全閉位置と全開位置との間を変位途中である旨検出されている場合には、受光素子により光が検出されなくても、ガラスの割れが有る旨判断することはない。このように、全閉位置と全開位置との間を変位するガラスについても好適に割れの有無が判断される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のガラス割れ検出装置において、前記制御装置は、前記情報取得手段を通じて取得された前記アクチュエータの動作情報に基づき前記ガラスが全閉位置へ向けて変位している最中である旨検出される場合にもかかわらず、前記受光素子により光が検出されたときには、前記ガラスと前記窓枠との間に異物が介在している旨判断し、前記ガラスの全閉位置への変位を停止させるべく又は前記ガラスを全開位置へ向けて変位させるべく前記アクチュエータを制御することをその要旨とする。
【0011】
本発明によれば、制御装置は、情報取得手段を通じて取得されたアクチュエータの動作情報に基づきガラスが全閉位置へ向けて変位している最中である旨検出される場合にもかかわらず、受光素子により光が検出されたときには、窓枠とガラスとの間に異物が介在している旨判断する。すなわち、ガラスが全閉位置へ向けて変位している旨判断される場合に、ガラスと窓枠との間に異物が介在されたときには、発光素子から投射された光は異物により反射し、この光が受光素子により検出される。このため、制御装置はガラスの位置と受光素子による光の検出の有無との組合せに基づき、異物の介在の有無を判定することが可能となる。この場合、異物がガラスと窓枠との間に挟み込まれる前に、ガラスと窓枠との間に何らかの異物が介在していることを検出可能となる。そして、制御装置は、ガラスと窓枠との間に何らかの異物が介在している旨判断した場合には、ガラスの全閉位置への変位が停止される又はガラスは全開位置へ向けて変位される。したがって、ガラスと窓枠との間に異物が挟み込まれてから当該事象を検出するようにした場合と異なり、挟み込みの防止効果が高められる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のガラス割れ検出装置において、前記制御装置は、規定周期で前記発光素子を発光制御することにより光を所定の周波数で変調して投射するとともに、前記受光素子は、変調された光の周波数成分を取り出すフィルタ回路を備えてなることをその要旨とする。
【0013】
本発明によれば、制御装置による点灯制御を通じて、所定周波数に変調された光がガラスの側縁部に投射される。ガラスの内部を全反射しながら伝播する光が受光素子により受光された場合には、当該受光された光はフィルタ回路により直流成分が除去されて出力される。すなわち、外乱光は直流成分であることから、これがフィルタにより除去されることになる。したがって、変調された光の周波数成分が取り出されることにより、外乱光の影響を抑制することができ、ひいてはガラス割れの検出精度が高められる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、環境信号及び環境騒音の影響を受けにくくなることにより、ガラス割れの検出精度を好適に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を、車両のウィンドウガラスの割れの有無を検出するガラス割れ検出装置に具体化した一実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、本実施の形態のガラス割れ検出装置は、ウィンドウガラスの開閉を自動的に行うパワーウィンドウ装置を利用してなされている。
【0016】
図1に示すように、車両の運転席側、助手席側、リヤ右側席側及びリヤ左側席側の各ドア11(図1では、1つのドアのみ図示する。)の窓枠12には、透光性を有するウィンドウガラス13が昇降可能に設けられている。ウィンドウガラス13は、同図に一点鎖線で示される全閉位置と同じく全開位置との間を変位する。これら全閉位置及び全開位置は、ウィンドウガラス13の上端縁の位置を示す。また、各ドア11の内部には、同図に破線で示されるように、ウィンドウガラス13を昇降させるモータユニット14が配設されている。このモータユニット14は、パワーウィンドウ装置の構成要素である。当該モータユニット14には、ウィンドウガラス13を昇降させる際に操作するウィンドウスイッチ15が接続されている。
【0017】
ウィンドウスイッチ15としては、例えば2段クリック式の揺動型スイッチが採用されるとともに、ドア11の内面等に配設される。ウィンドウスイッチ15の一端側(下降側)を1段クリックしたときには、クリック操作されている間においてウィンドウガラス13が下降し、当該一端側を2段クリックしたときには作動モードがオート下降状態となり、再びスイッチ操作されるまでウィンドウガラス13が連続して下降する。なお、ウィンドウスイッチ15を他端側(上昇側)へ操作したときも同様の動作を行う。
【0018】
各ドア11の窓枠12の内周面(正確には、その前側の内側面、内頂面及び後側の内側面)には、ウィンドウガラス13の昇降時にウィンドウガラス13を案内するガラスガイド溝16が窓枠12に沿うように連続して形成されている。ガラスガイド溝16の内底面において、ウィンドウガラス13の変位する方向(車両の上下方向)に対して直交する方向(車両の前後方向)に対応する部位、すなわちウィンドウガラス13の後端縁に対応する部位には、複数個(本例では、4個)の発光素子17が上下方向において所定間隔毎に配設されている。発光素子17としては、例えば赤外線発光ダイオードが採用可能である。発光素子17は、ガラスガイド溝16の内部にはみ出さないように設けられている。また、全閉位置にあるウィンドウガラス13の上端縁に対する発光素子17から投射される光の入射角が臨界角以上となるように、発光素子17は設けられている。
【0019】
また、ガラスガイド溝16の内底面において、ウィンドウガラス13の変位する方向に対応する部位、すなわちウィンドウガラス13の上端縁に対応する部位には、複数個(本例では、5個)の受光センサ18が車両の前後方向において所定間隔毎に配設されている。なお、受光センサ18は、ウィンドウガラス13の側縁部のうち、発光素子17からの光の入射面となる部位、すなわちウィンドウガラス13の後端縁と異なる側縁部であれば、適宜配置を変更することも可能である。
【0020】
図3(a)に示されるように、受光センサ18は、基板19、当該基板19の表面に設けられた受光素子20及びその図示しない信号処理回路、並びに基板19の受光素子20が設けられた面を覆う保護膜21が一体的に設けられてなる。保護膜21の基板19と反対側の側面は、ガラスガイド溝16の内底面の形状に対応して設けられている。そして、受光センサ18は、保護膜21の表面がガラスガイド溝16の内底面と面一になるように、窓枠12に設けられている。
【0021】
受光素子20としては、フォトトランジスタ、フォトダイオード及びCdS(カドミウムセル)等が採用可能である。また、保護膜21は、透光性を有するとともに、ウィンドウガラス13よりも大きな値の屈折率を有する高屈折率材料により形成されている。高屈折率材料としては、例えばフルオレン系モノマー及びポリメチルフェニルシラン等の高屈折率ポリマー、並びに透光性セラミックスが採用可能である。なお、空気(0℃、1気圧)、光学ガラス、高屈折率ポリマー及び透光性セラミックスの屈折率は、それぞれ「1.00」、「1.43〜1.74」、「1.62〜1.71」、「2.08」程度の値となる。
【0022】
なお、本実施の形態において、発光素子17、受光センサ18及び制御装置31は、本発明のガラス割れ検出装置を構成する。
<電気的構成>
次に、ガラス割れ検出装置の電気的な構成を説明する。
【0023】
図2に示すように、モータユニット14は、ウィンドウガラス13の昇降制御を行う制御装置31、ウィンドウガラス13を昇降させる際の駆動源となるモータ32、及びモータ32の回転数を検出するパルスセンサ33を備えるとともに、モータ32及びパルスセンサ33はそれぞれ制御装置31に接続されてなる。パルスセンサ33は、モータ32の回転数に応じたパルス信号Spaをモータの動作情報として出力する。パルスセンサ33としては、例えばホールセンサが採用可能である。また、パルスセンサ33は、モータ32に内蔵してもよいし、モータ32とは別に設けてもよい。モータ32の図示しない出力軸には、当該モータ32の駆動力(回転力)をウィンドウガラス13の上下方向への直線運動力に変換するレギュレータ34が作動連結されている。
【0024】
制御装置31は、モータユニット14を統括的に制御するCPU35(中央処理装置)を備えてなる。CPU35の入力側には、制御装置31を構成するスイッチ回路36を介してウィンドウスイッチ15が接続されている。また、CPU35の入力側には、各受光センサ18がそれらの図示しない信号処理回路を介して接続されている。さらに、CPU35の入力側には、制御装置31を構成するパルス入力回路37を介してパルスセンサ33が接続されている。
【0025】
CPU35の出力側には、図示しない点灯回路を介して発光素子17が接続されている。また、CPU35の出力側には、制御装置31を構成するモータ駆動回路38を介してモータ32が接続されている。さらに、CPU35の出力側には、予め想定した異常状態(後述するガラス割れ)が検出されたときにその旨報知する報知装置39が図示しないインターフェイスを介して接続されている。報知装置39としては、車両に搭載される警笛装置(クラクション(登録商標))及び前照灯等を兼用可能である。また、報知装置39として、CPU35からの指令に基づき異常状態が検出された旨を、ユーザ及び予め契約された警備会社等の定められた連絡先に無線通信を通じて報知する通信装置を採用することも可能である。
【0026】
CPU35は、ウィンドウスイッチ15が操作されたことを検出すると、モータ32を駆動させる。このモータ32の駆動力(回転力)は、レギュレータ34を通じてウィンドウガラス13の上下方向への直線運動力に変換されてウィンドウガラス13に伝達される。この結果、ウィンドウガラス13はモータ32の回転量に応じて昇降する。このとき、CPU35は、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spaのパルス数を計数することにより、ウィンドウガラス13の位置を判定する。
【0027】
また、CPU35は、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spaに基づきウィンドウガラス13による挟み込みの有無を検出する。すなわち、ウィンドウガラス13による挟み込みが発生した場合には、その時点からウィンドウガラス13の上昇が規制されることによりモータ32の回転数、ひいてはパルス信号Spaのパルス数が減少する。このため、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spaの単位時間当たりのパルス数の変化を見ることにより、ウィンドウガラス13による挟み込みの有無を判定可能となる(パルス信号検出方式)。
【0028】
さらに、CPU35は、定期的に発光素子17を点灯させるとともに、モータ32に動作の有無、及びそのときのウィンドウガラス13の位置、及び受光センサ18による受光の有無に基づいて、ウィンドウガラス13の割れの有無を判定する。CPU35は、ウィンドウガラス13に割れがある旨判断したときには、報知装置39に報知動作を行わせるべく異常信号を報知装置39へ出力する。なお、CPU35によるガラス割れ検出処理については、後に詳述する。
【0029】
<ガラス割れ検出装置の動作>
次に、前述のように構成したガラス割れ検出装置の動作について説明する。
まず、ウィンドウガラス13が全閉位置にある場合、及び全閉位置と全開位置との中間位置にある場合の光の伝播態様について説明する。
【0030】
図3(a)に示されるように、ウィンドウガラス13が全閉位置にある場合、ウィンドウガラス13の上端縁(側縁部)は、ガラスガイド溝16の内底面に当接した状態に保持される。このとき、ウィンドウガラス13の上端縁は、受光センサ18の保護膜21の表面に密接した状態に保たれる。ここで、前述したように、保護膜21の屈折率は、ウィンドウガラス13の屈折率よりも大きく設定されている。このため、ウィンドウガラス13の内部を伝播する光のうち、ウィンドウガラス13と保護膜21との境界への入射角が臨界角以上の光は、全反射することなく所定の屈折率で保護膜21の内部を伝播して受光素子20の受光面20aに至る。
【0031】
ここで、全反射とは、光が屈折率の大きな第1の物質から屈折率の小さな第2の物質に入射するとき、入射角が臨界角より大きいと、境界面で全部反射される現象をいう。臨界角は、スネルの法則(光の屈折現象に関する法則)に基づき次式(A)のように表される。
【0032】
sinθm=na/nb …式(A)
ここで、θmは臨界角(第1の物質から第2の物質への入射角)である。naは第2の物質の屈折率、nbは第1の物質の屈折率である。また、na<nbであるとともに、光は第2の物質から第2の物質へ向かうものとする。
【0033】
一方、図3(b)に示されるように、ウィンドウガラス13が窓枠12から離間した中間位置、すなわち、ウィンドウガラス13の上端縁が保護膜21から離間した位置にある場合、発光素子17からウィンドウガラス13に入射した光は、当該ウィンドウガラス13の内部に閉じ込められる。すなわち、ウィンドウガラス13の内部を伝播する光は、当該ウィンドウガラス13と空気との境界において全反射することにより、空気よりも屈折率の大きなウィンドウガラス13の内部に閉じ込められる。このため、受光センサ18により光が検出されることはない。そして、ウィンドウガラス13に割れが発生している場合も、ウィンドウガラス13が窓枠12から離間する中間位置にある場合と同様に考えることができる。そして、このことを利用して、ウィンドウガラス13の割れの検出が行われる。
【0034】
<ガラス割れ検出処理>
次に、CPU35によるガラス割れ検出処理について、図4に示されるフローチャートに従って説明する。このフローチャートは、CPU35の図示しないROM(読み取り専用メモリ)に格納されたガラス割れ検出プログラムに従って実行される。
【0035】
CPU35は、まず発光素子17を発光させる(ステップS101)。
次に、CPU35は、パルスセンサ33からのパルス信号Spaの有無に基づきモータ32が動作中であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0036】
CPU35は、モータ32が動作中ではない旨判断した場合(ステップS102でNO)には、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spa、正確にはそのパルス数に基づきウィンドウガラス13が全閉位置にあるか否かを判断する(ステップS103)。CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置にない旨判断した場合(ステップS103でNO)には、処理を終了する。また、CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置にある旨判断した場合(ステップS103でYES)には、ステップS105へ処理を移行して、受光センサ18からの光の検出信号の有無を判断する。
【0037】
なお、当該ステップS103は、次のような理由により設けられている。すなわち、モータ32が停止している場合には、ウィンドウガラス13の上端縁が受光センサ18の保護膜21に当接する全閉位置にあるときと、同じく上端縁が受光センサ18の保護膜21に対して離間しているときとの2つの状態が考えられるからである。そして、当該ステップS103により、モータ32の停止状態において、ウィンドウガラス13が全閉位置にないことが明らかなときに、ガラス割れ検出処理が継続されるといったことが回避される。したがって、無駄な処理を行うことなく、CPU35の演算負荷が軽減される。
【0038】
一方、CPU35は、モータ32が動作中である旨判断した場合(ステップS102でYES)には、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spa、正確にはそのパルス数に基づきウィンドウガラス13が全閉位置に達したか否かを判断する(ステップS104)。CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置に達していない旨判断した場合(ステップS104でNO)には、ステップS102へ処理を移行する。また、CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置に達した旨判断した場合(ステップS104でYES)には、ステップS105へ処理を移行して、受光センサ18からの光の検出信号の有無を判断する。
【0039】
CPU35は、受光センサ18からの検出信号がある旨判断した場合(ステップS105でYES)には、ウィンドウガラス13に異常のない通常状態である旨判断して処理を終了する。すなわち、ウィンドウガラス13が全閉位置にある場合、ウィンドウガラス13の上端縁は受光センサ18の保護膜21に密接している。そして、保護膜21の屈折率はウィンドウガラス13の屈折率よりも大きな値とされていることから、ウィンドウガラス13中を伝播する光はウィンドウガラス13と保護膜21との境界において全反射することなく屈折し、保護膜21を介して受光素子20の受光面20aに至る。このため、ウィンドウガラス13が全閉位置にある状態で、受光センサ18により光が検出されたことをもってガラス割れが無い旨判断することができる。
【0040】
また、CPU35は、受光センサ18からの検出信号がない旨判断した場合(ステップS105でNO)には、ウィンドウガラス13が割れているおそれがある異常状態である旨判断して、異常信号Sabを報知装置39へ出力して処理を終了する。例えば、ウィンドウガラス13が全面にわたって割れている場合には、ウィンドウガラス13の上端縁は受光センサ18の保護膜21に接触することがないことから、ウィンドウガラス13の内部を伝播する光はウィンドウガラス13と空気との境界において全反射する。このため、光が受光素子20の受光面20aに至ることはない。したがって、ウィンドウガラス13が全閉位置にある状態で、受光センサ18により光が検出されないことをもってウィンドウガラス13が割れている旨判断することができる。
【0041】
報知装置39は、CPU35からの異常信号を受けて所定の報知動作を行うことにより異常発生の旨ユーザ等に報知する。以上でガラス割れ検出処理は完了となる。以後、CPU35は、所定の制御周期で前述の処理を実行する。
【0042】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)光は屈折率が大きい物質から小さい物質へ移動する場合に、臨界角以上の入射角となったときに全反射が起こる、いわゆるスネルの法則を利用して、ウィンドウガラス13の割れの有無を検出するようにした。すなわち、ウィンドウガラス13が全閉位置にある場合、ウィンドウガラス13が割れていないときには、ウィンドウガラス13は自身よりも屈折率が大きい保護膜21に接触していることから、ウィンドウガラス13の内部を伝播する光は、ウィンドウガラス13と保護膜21との境界において全反射することなく屈折し、保護膜21を介して受光素子20の受光面20aに至る。このため、受光素子20により光が検出されたことをもってウィンドウガラス13の割れがない旨判断することができる。一方、ウィンドウガラス13に割れがある場合には、ウィンドウガラス13は保護膜21に接触しないことから、ウィンドウガラス13の内部を伝播する光は、ウィンドウガラス13と空気との境界において全反射し、受光素子20の受光面20aに至ることはない。このため、受光素子20により光が検出されないことをもってウィンドウガラス13に割れがある旨判断することができる。
【0043】
このように、ウィンドウガラス13の位置及び受光素子20の受光状態等に基づきウィンドウガラス13の割れの有無を判断することにより、ウィンドウガラス13の割れの有無に対する検出精度が確保される。例えば、ウィンドウガラス13に衝撃が加えられた時に発生する振動成分の強度、及びウィンドウガラス13の破壊時に発生する衝撃音に基づいてウィンドウガラス13の破損を判定することも考えられる。しかし、これら場合には、ウィンドウガラス13の破壊に伴って発生する振動及び衝撃音だけでなく、ガラス割れ以外の要因により発生するいわゆる環境振動及び環境騒音に基づきガラス割れを誤検出するおそれがある。これに対して、本実施の形態のガラス割れ検出装置によれば、前述した環境振動及び環境騒音の影響を受けにくく、ガラス割れの誤検出を抑制することができる。したがって、ガラス割れの検出精度を好適に確保することができる。
【0044】
(2)モータ32の動作情報である回転数情報を取得してパルス信号Spaとして出力するパルスセンサ33を設けた。そして、制御装置31は、パルスセンサ33から出力されるパルス信号Spaに基づきウィンドウガラス13の位置を求めるとともに、当該求められたウィンドウガラス13の位置情報を加味してウィンドウガラス13の割れの有無を判断するようにした。
【0045】
制御装置31からの指令に基づきモータ32が動作することにより、ウィンドウガラス13はその上端縁が保護膜21に密接する全閉位置と、同じく上端縁が保護膜21に対して離間する全開位置との間で変位する。そして、制御装置31は、ウィンドウガラス13が全閉位置である旨検出されているにもかかわらず受光素子20により光が検出されないときには、ウィンドウガラス13が割れている旨判断する。一方、制御装置31は、ウィンドウガラス13が全開位置にある旨、又は全閉位置と全開位置との間にある旨、又は全閉位置と全開位置との間を変位途中である旨検出した場合には、受光素子20により光が検出されなくても、ウィンドウガラス13に割れがある旨判断することはない。このように、全閉位置と全開位置との間を変位するウィンドウガラス13についても好適に割れの有無を検出することができる。
【0046】
(3)制御装置31は、ウィンドウガラス13の割れを検出した場合には、報知装置39を通じてユーザ等に報知するようにした。ウィンドウガラス13が割れているということは、車両への進入を試みようとした者が存在する蓋然性が高い。このため、ウィンドウガラス13の割れの発生を報知することにより、車両の防犯性が好適に高められる。
【0047】
(4)制御装置31は、ウィンドウガラス13が全閉位置にある場合に、発光素子17から投射した光がウィンドウガラス13を介して受光センサ18により検出されるか否かの判断結果に基づき、ウィンドウガラス13の割れの有無を判定するようにした。発光素子17及び受光センサ18を設けるだけでよいことから、構成を複雑にすることなくガラス割れ検出装置を構築することができる。
【0048】
(5)ウィンドウガラス13、ひいてはモータ32の駆動力によりウィンドウガラス13の開閉を自動的に行うパワーウィンドウ装置を好適に利用して当該ウィンドウガラス13の割れの有無を検出するようにした。このため、ウィンドウガラス13、ひいてはパワーウィンドウ装置に付加価値が生まれる。近年では、依然として車両の多機能化及び高機能化の傾向にあり、いわゆる高級車においては、特にそうした多機能化又は高機能化への要望があるところ、本実施の形態によれば、こうした要望にも好適に応えることができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。ウィンドウガラス13の割れの有無の検出に際して、発光素子17から投射された光が太陽光等の外乱光の影響を受ける場合が想定される。本実施の形態は、発光素子17の点灯制御を通じて外乱光の影響を好適に抑制する点で前記第1の実施の形態と異なる。したがって、前記第1の実施の形態と同一の部材構成については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施の形態において、制御装置31は、規定周期で発光素子17を点灯制御することにより光を所定の周波数で変調して投射する。すなわち、図5に示すように、発光素子(発光ダイオード)17のアノード(陽極)は図示しない電源に接続されるとともに、カソード(陰極)は、抵抗41を介してトランジスタ(バイポーラトランジスタ)42のコレクタ端子に接続されている。トランジスタ42のベース端子はCPU35に、また、トランジスタ42のエミッタ端子は接地されている。トランジスタ42は、CPU35からベース端子へ出力される発光パルス信号Spulに基づきスイッチング動作を行う。この結果、発光素子17は規定周期的に点灯し、所定の周波数に変調された変調光(パルス光)として投射される。
【0051】
一方、受光センサ18は、変調された光の周波数成分を取り出すフィルタ回路43を備えてなる。すなわち、図5に示されるように、受光素子(フォトトランジスタ)20のコレクタ端子は図示しない電源に、また、同じくエミッタ端子は抵抗44を介して接地されている。そして、受光素子20のエミッタ端子と抵抗44との間の接続点Pは、フィルタ回路43を介してCPU35に接続されている。
【0052】
次に、フィルタ回路43の作用を説明する。前述したように、ウィンドウガラス13の割れの有無の検出に際して、発光素子17から投射された光が太陽光等の外乱光の影響を受ける場合が想定される。この場合において、フィルタ回路43を通過する前の受光素子20の出力は、図6(a)に示されるように、受光したパルス光成分が外乱光成分(直流成分)により持ち上がった波形をなす。この受光素子20からの出力がフィルタ回路43を通過することにより外乱光成分が除去され、図6(b)に示されるように、パルス光成分のみが残る。すなわち、発光素子17からの光のみ検出することができる。なお、図6(a),(b)に示されるグラフにおいて、横軸は時間t、縦軸は受光素子20の出力電圧である。
【0053】
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
・制御装置31による発光素子17の点灯制御を通じて、規定周波数に変調された光がウィンドウガラス13の側縁部に投射される。ウィンドウガラス13の内部を全反射しながら伝播する光が受光素子20により受光された場合、当該受光された光はフィルタ回路43により直流成分が除去されて出力される。すなわち、外乱光は直流成分であるところ、これがフィルタ回路43により除去されることになる。したがって、変調された光の周波数成分が好適に取り出されることにより、発光素子17と受光センサ18との間の外乱光の影響を好適に抑制することができる。ひいては、ガラス割れの検出精度が高められる。
【0054】
<第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。本実施の形態は、ガラス割れ検出装置に挟み込み検出機能を付加した点で前記第1の実施の形態と異なる。なお、本実施の形態は、前記第2の実施の形態に適用することも可能である。
【0055】
制御装置31は、パルスセンサ33からのパルス信号Spaに基づきウィンドウガラス13が全閉位置へ向けて上昇している最中である旨検出される場合にもかかわらず、受光センサ18により光が検出されたときには、窓枠12とウィンドウガラス13との間に異物が介在している旨判断する。すなわち、図7に示されるように、ウィンドウガラス13が全閉位置への変位途中である旨判断される場合に、窓枠12とウィンドウガラス13との間に異物が介在されたときには、発光素子17から投射された光は異物により反射して、この反射された光が受光センサ18により検出される。このため、CPU35は、ウィンドウガラス13の位置と受光センサ18による光の検出の有無との組合せに基づき、異物の介在の有無を判定することが可能となる。
【0056】
そして、CPU35は、窓枠12とウィンドウガラス13との間に異物が介在している旨判断した場合には、ウィンドウガラス13の全閉位置へ向けた変位を停止させる、又は全開位置へ向けて変位させるべくモータ32を制御する。このように、本実施の形態によれば、異物が窓枠12とウィンドウガラス13との間に挟み込まれる前に、窓枠12とウィンドウガラス13との間に何らかの異物が介在していることを早期に検出可能となる。そして、窓枠12とウィンドウガラス13との間に何らかの異物が介在している旨判断された場合には、ウィンドウガラス13の上昇が停止される又は下降される。したがって、窓枠12とウィンドウガラス13との間に異物が挟み込まれることをもってのみ当該事象を検出するようにした場合と異なり、挟み込みの防止効果が高められる。
【0057】
<他の実施の形態>
なお、第1〜第3の実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・第1〜第3の実施の形態において、発光素子17及び受光センサ18の個数は、ウィンドウガラス13の大きさ等に合わせて任意に変更してもよい。また、検出対象であるガラスの大きさ等によっては、発光素子17及び受光センサ18を単数だけ設けることも可能である。
【0058】
・第1〜第3の実施の形態では、発光素子17は窓枠12においてウィンドウガラス13の後端縁に対応する部位に配設するようにしたが、同じく前端縁に対応する部位に配設することも可能である。
【0059】
・第1〜第3の実施の形態においては、モータ32の駆動制御及びガラス割れの検出を同一の制御装置31により行うようにしたが、モータ32の駆動制御及びガラス割れの検出をそれぞれに対応する別の制御装置により行うようにしてもよい。
【0060】
・第1〜第3の実施の形態では、ウィンドウガラス13が全面にわたって割れている場合を想定して説明したが、図8(a),(b)に示されるように、ウィンドウガラス13の一部のみが割れている場合であれ検出することは可能である。この場合、CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置にある旨検出しているときに、複数個の受光センサ18のうち1つでも光を検出しないものがあればガラス割れがある旨判断するように構成することが好ましい。これは、ウィンドウガラス13の一部のみが割られた場合には、複数個の受光センサ18のうちのいずれかにより光が検出されるおそれがあるからである。換言すれば、ウィンドウガラス13の一部のみが割られた場合には、少なくとも1つの受光センサ18が非検出状態となる蓋然性が高いからである。
【0061】
なお、第1〜第3の実施の形態のように、ウィンドウガラス13が全面にわたって割れていると想定する場合には、CPU35は、ウィンドウガラス13が全閉位置にある旨検出しているにもかかわらず、複数個の受光センサ18のすべてが光を検出しないときにガラス割れがある旨判断してもよいし、複数個の受光センサ18のうち1つでも光を検出しないものがあればガラス割れがある旨判断してもよい。いずれの場合であれ、ガラス割れを好適に検出可能である。
【0062】
・第1〜第3の実施の形態では、上下に変位するウィンドウガラス13の割れを検出するようにしたが、例えば自動ガラス扉のように左右に変位するもの、又は車両のサンルーフガラスのように前後に変位するもの割れの検出にも適用可能である。これらの場合、ガラスの変位する方向に対して直交する方向に発光素子17を配設するとともに、ガラスの変位する方向に受光センサ18を配設することが好ましい。発光素子17及び受光センサ18の配置は、ガラスの変位方向及び窓枠に対する取付態様等に応じて適宜変更すればよい。
【0063】
・第1〜第3の実施の形態では、ガラス割れ検出装置を、パワーウィンドウ装置が搭載された車両に適用した場合について説明したが、住宅等の建築物の窓ガラスに適用することも可能である。窓ガラスとしては、例えば窓枠に変位不能に固定される固定タイプ、及び手動でスライドさせることにより開閉されるスライドタイプ等が考えられるが、いずれのタイプにも適用可能である。この場合、制御装置31は発光素子17を定期的に発光させるとともに、当該光が窓ガラスを介して受光センサ18により検出されたときには窓ガラスは割れていない旨判定し、同じく検出されないときには窓ガラスが割れている旨判定する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施の形態における車両のドアの正面図。
【図2】同じくガラス割れ検出装置の概略構成を示すブロック図。
【図3】(a)は、同じくウィンドウガラスの上端縁と受光センサの保護膜とが接触した状態を示すドアの要部正断面図、(b)は、同じくウィンドウガラスの上端縁と受光センサの保護膜とが離間した状態を示すドアの要部正断面図。
【図4】同じくCPUによるガラス割れ検出処理を示すフローチャート。
【図5】第2の実施の形態における発光素子及び受光センサの回路構成を示す回路図。
【図6】(a)は、同じくフィルタ回路を通過する前の受光センサの出力波形図、(b)は、同じくフィルタ回路を通過した後の受光センサの出力波形図。
【図7】第3の実施の形態における窓枠と上昇中のウィンドウガラスとの間に異物が介在された状態を示すドアの要部断面図。
【図8】(a),(b)は、他の実施の形態におけるウィンドウガラスの一部が割れた状態を示すウィンドウガラスの正面図。
【符号の説明】
【0065】
12…窓枠、13…ウィンドウガラス、17…発光素子、20…受光素子、20a…受光面、21…保護膜(保護部材)、31…制御装置、32…モータ(アクチュエータ)、33…パルスセンサ(情報取得手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓枠に取り付けられた透光性を有するガラスの割れの有無を検出するガラス割れ検出装置において、
前記窓枠に設けられるとともに前記ガラスの側縁部へ向けて光を投射する単数又は複数の発光素子と、
前記窓枠に設けられるとともに前記ガラスの側縁部のうち前記発光素子からの光の入射面となる部位と異なる部位に対応する単数又は複数の受光素子と、
前記受光素子の受光面に前記ガラスの側縁部と密接するよう設けられるとともに前記ガラスよりも屈折率が大きく設定された透光性を有する保護部材と、
前記ガラスと空気との屈折率の差に基づき前記ガラスの内部を全反射しながら伝播する光が前記ガラスと前記保護部材との屈折率の差に基づき屈折して前記受光素子により検出された場合には前記ガラスに割れがない旨判断するとともに、光が前記受光素子により検出されない場合には前記ガラスに割れがある旨判断する制御装置と、を備えてなるガラス割れ検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガラス割れ検出装置において、
前記ガラスは、外部からの駆動指令に基づきアクチュエータが動作することにより、その側縁部が前記保護部材に密接する全閉位置と同じく側縁部が前記保護部材に対して離間する全開位置との間を変位可能に設け、
前記制御装置は、前記アクチュエータの動作情報を取得する情報取得手段を通じて取得された前記アクチュエータの動作情報に基づき前記ガラスの位置を求めるとともに、当該求められたガラスの位置情報を加味して前記ガラスの割れの有無を判断するガラス割れ検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のガラス割れ検出装置において、
前記制御装置は、前記情報取得手段を通じて取得された前記アクチュエータの動作情報に基づき前記ガラスが全閉位置へ向けて変位している最中である旨検出される場合にもかかわらず、前記受光素子により光が検出されたときには、前記ガラスと前記窓枠との間に異物が介在している旨判断し、前記ガラスの全閉位置への変位を停止させるべく又は前記ガラスを全開位置へ向けて変位させるべく前記アクチュエータを制御するガラス割れ検出装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のガラス割れ検出装置において、
前記制御装置は、規定周期で前記発光素子を発光制御することにより光を所定の周波数で変調して投射するとともに、前記受光素子は、変調された光の周波数成分を取り出すフィルタ回路を備えてなるガラス割れ検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−185531(P2008−185531A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21027(P2007−21027)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】