キャリアガス及び液体混合物を導入、注入または供給するための装置並びに上記装置を使用するための方法
本発明は、キャリアガス(2)と液体複合物(3)または溶液とを蒸発チャンバ(4)に導入するための装置(1)に関し、当該装置(1)は、少なくとも−上記複合物または上記溶液(3)の吸入のための第1注入口(8)と、−キャリアガス(2)の吸入のための第2注入口(9)と、注入器(14)の注入口に接続される排出口(13)と、を備え、キャリアガスと上記複合物または上記溶液の液滴との混合物が単一の注入器の排出口(14)を介して蒸発チャンバ(4)に周期的に注入される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアガスと溶解された液体、固体もしくは気体の混合物を含む液体混合物または溶液とを例えば蒸発チャンバに導入、注入または噴霧するための装置であって、上記混合物または上記溶液の吸入のための注入口と、任意で上記蒸発チャンバにおける上記混合物または上記溶液の第1注入器による注入、導入または噴霧を制御する制御手段と、を備える装置に関する。
【0002】
また、本発明は、蒸気装置を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学気相成長(CVD)の分野において、気相において堆積される混合物または要素または混合物の前駆体は、一般的に基板上に液状で注入することによって筐体内に導入される。そして、微細な液滴の噴霧は、注入された液体の噴霧化によって形成される。堆積される混合物または前駆体は、これらが液状であると純粋となりえ、またはこれらは、これらが液状、固体状または気体状であると溶解されうる。そして、液滴は、直接堆積チャンバを形成するまたは堆積チャンバと連結された中間にある蒸発チャンバを形成する筐体内で蒸発される。いずれの場合においても、筐体は、混合粒の蒸発及び任意で基板上での堆積反応を可能とする所定の圧力及び温度を維持する。また、筐体内におおける気相の混合物の移送を可能とするため、不活性または反応キャリアガスは、筐体に向けて独立して導入されうる。
【0004】
このため、特許文献1において、前駆体をCVD筐体または堆積チャンバに導入するための装置は、液状または溶液の前駆体を収容するタンクを備える。タンクは、注入器に接続され、装置は、タンクを筐体の圧力よりも高圧力で維持する手段を備える。前駆体の導入は、液滴の非連続的な注入によって実行され、注入は、所定サイズを有する前駆体の液滴が周期的に堆積チャンバに注入されることを可能とする制御回路によって制御される。また、基板に向けて注入された前駆体の運動を可能とするキャリアガスは、注入器の近傍にあって筐体内へ導く導管によって別々に導入される。
【0005】
特許文献2において、CVD装置の蒸発の注入ヘッドは、液状または溶液の前駆体の注入のための注入口を有する少なくとも1つの注入器を備える。キャリアガスの加熱及び注入回路は、蒸発チャンバに直接導入されるキャリアガスが注入器の近傍に向けられるように配置されている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0730671号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1098015号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような導入装置において、蒸発される液体の流量は、液体注入器の静的流量(static flow)に依存する。しかし、商業的に入手可能な液体注入器は、所望の用途のための十分に低い流量を得ることが常にできるわけではない。この場合、注入器の制御または注入頻度であって2つの連続した注入間で蒸発される液体の一部の圧力において十分な変動をもたらす頻度を著しく低減することは、必要である。
【0007】
さらに、注入器が開放すると、蒸発される液体のための供給ラインは、蒸発チャンバ(または堆積チャンバ)に直接接続され、これにより注入器内で液体の早過ぎる蒸発は、発生する危険性がある。そして、この早過ぎる蒸発は、特に注入頻度、注入器を開放するための時間、液体を駆動する圧力のような注入器を制御するためのパラメータが一定のままであるときに、注入された流量における不安定を引き起こす。また、蒸発される液体が溶液中に溶解される固体の混合物からなる場合、注入器は、使用中に塞がれ、注入器の一定の制御パラメータについて、注入される流量の一定の減少を引き起こす。
【0008】
また、このような装置を用いて、特に蒸発される液体が高い粘性を有しかつ低減された蒸気圧を有すると、蒸発チャンバの加熱された壁部と接触可能とすることなく液体の噴霧及び蒸発を達成することは難しくなりうる。さらに、所定の注入制御状態(液体の圧力、開放継続期間及び注入器の頻度)について、噴霧された液体の流量は、蒸発チャンバ内の圧力に大きく依存する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キャリアガス及び液体混合物を例えば蒸発チャンバに導入、注入または噴霧するための装置であって、従来技術の欠点を克服する装置、より具体的には、液体混合物の噴霧及び蒸発を改良可能な装置に関する。
【0010】
本発明において、この目的は、上記複合物または上記溶液のための注入口がキャリアガスの吸入のための少なくとも1つの第2注入口及び注入器の注入口に接続される排出口を備える少なくとも1つの混合チャンバの第1注入口を構成し、上記周期的な注入が注入器の同一の排出口によるキャリアガスと上記複合物または上記溶液の液滴との混合物の注入によって達成される事実によって達成される。
【0011】
制御手段は、少なくとも1つの混合チャンバの上流においてガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0012】
他の実施形態において、制御手段は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための手段、例えば測定された流量を流量設定値と比較するための手段などを備える。
【0013】
また、キャリアガスの流量を調節するための手段は、例えば測定された流量を流量設定値または制御値と比較するための手段を備える手段などに設けられてもよい。
【0014】
注入器または噴霧手段は、少なくとも1つの混合チャンバの少なくとも1つの第1注入口の上流に配置され、少なくとも1つの上記複合物または少なくとも1つの上記溶液の上記混合チャンバに周期的に注入してもよい。
【0015】
少なくとも1つの混合チャンバは、複数の注入口と複数の注入器または噴霧手段とを備え、上記注入器または噴霧手段それぞれは、複数の注入口の1つの上記注入口の上流に配置されてもよい。また、制御手段は、上記混合チャンバの注入口の上流に配置された注入器または噴霧手段を制御してもよい。
【0016】
本発明における装置は、複数の混合チャンバと、1以上の液体もしくは1以上の溶液または1以上のキャリアガスのための1以上の注入口と、を備えてもよい。
【0017】
また、本発明における装置は、キャリアガス及び液滴の混合物の上記注入器による周期的な注入を制御する制御手段を備えてもよい。また、装置は、例えば混合チャンバの少なくとも1つの上流に配置された1以上の注入器を制御することによって、少なくとも1つの混合チャンバの上流におけるガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0018】
本発明によれば、装置は、少なくとも1つの混合チャンバの第1注入口の上流に配置された少なくとも1つの注入器を備え、上記混合物または上記溶液を混合チャンバに周期的に注入してもよい。
【0019】
代替法によれば、本発明における装置は、少なくとも1つの混合チャンバの上流において上記混合物または上記溶液を上記混合チャンバに連続的に導入するための手段を備える。
【0020】
他の形態において、装置は、混合チャンバの第2注入口の上流に配置された他の注入器を備える。
【0021】
本発明の代替の発展において、混合チャンバは、少なくとも1つの追加の注入口を備え、追加の液体を混合チャンバに導入してもよい。
【0022】
キャリアガスは、直接的にまたは1以上の注入器であってすでに述べられた制御手段により制御される注入器によって混合チャンバに導入されてもよい。また、キャリアガスの一部は、蒸発チャンバに直接導入することができる。
【0023】
また、本発明における装置は、
− 液体混合物または溶液、例えば水溶液または有機溶媒に溶解された有機金属生成物などを加圧するため及び/または圧力を調節するための手段、
− 及び/またはキャリアガスの圧力を調節するための手段、
− 及び/または温度制御手段、
− 及び/または少なくとも1つの事前混合チャンバを濯ぐための手段、
を備えてもよい。
【0024】
また、本発明は、蒸発装置に関し、蒸発装置は、
− 蒸発チャンバと、
− キャリアガスと少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体混合物を含む少なくとも1つの液体とを後述するような本発明における蒸気蒸発チャンバに導入または注入するための装置と、
を備える。
【0025】
また、このような装置は、キャリアガスを直接蒸発チャンバに導入するための装置を備えてもよい。
【0026】
さらに、装置は、蒸発チャンバから出る蒸気濃度を測定するための手段と、測定された濃度及び設定値にしたがう注入パラメータを制御するための手段と、を備えることができる。
【0027】
また、本発明は、エアゾール生成装置に関し、エアゾール生成装置は、キャリアガスと上述した少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体混合物を含む少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液とを噴霧するための装置を備える。また、このような装置は、少なくとも1つのエアゾール複合物の濃度を測定するため及びこの濃度を上記濃度の設定値と比較するための手段と、混合チャンバの注入口における複合物または上記溶液の流量を制御するための手段と、を備えてもよい。
【0028】
また、本発明は、キャリアガスと溶解された液体、固体または液体複合物を含む少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液とを注入または噴霧するための装置に関し、装置は、上記複合物または上記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、注入手段によって上記液体複合物または上記溶液の注入または噴霧を制御する制御手段と、を備え、装置は、
− 上記複合物または上記溶液の吸入のための注入口が、キャリアガスの吸入のための少なくとも1つの第2注入口と前記注入または噴霧手段の注入口に接続される排出口とを備える少なくとも1つの混合チャンバの少なくとも1つの第1注入口を構成し、上記注入または噴霧が、キャリアガスと上記複合物または上記溶液の液滴との混合物を上記注入または噴霧手段の単一の排出口を介して注入または噴霧することによって実行され、
− 制御手段が、上記キャリアガスの流量を測定するための手段を備えることを特徴とする。
【0029】
注入または噴霧手段は、例えば比例バルブを備える。
【0030】
制御手段は、ガス流量計を備えてもよい。
【0031】
このような装置において、注入手段は、混合チャンバの上流に配置される。
【0032】
また、このような装置は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量にしたがって注入手段を調節するための手段を備えてもよい。
【0033】
また、本発明は、導入、注入または噴霧するためのこのような装置であって従来技術の欠点を克服してより具体的には液体複合物の噴霧を改良できる装置を実施するための方法に関する。
【0034】
本発明によれば、この目的は、実施方法が蒸発チャンバにおける液体複合物または上記溶液と関連する少なくとも1つの注入器における注入頻度及び/または開放継続期間の選択的な制御を少なくとも備えるという事実によって達成される。
【0035】
本発明の改良において、少なくとも1つの注入器の開放継続期間は、蒸気注入器の2つの連続する開放間に混合チャンバに導入された液体複合物または溶液の全量が蒸発チャンバに移送されるように制御されている。
【0036】
例えば、上記注入器における開放頻度及び/または継続期間は、上記注入器の2つの連続する開放間に混合チャンバに導入された液体複合物または溶液の全量がエアゾール状で放出されるように一連の注入パルスにおいて制御されている。
【0037】
上記液体複合物または上記溶液を上記混合チャンバに周期的に注入するための混合チャンバの第1注入口の上流に配置された少なくとも1つの注入器の開放頻度及び/または継続期間は、液体複合物または溶液が上記混合チャンバに一連の注入パルスで導入されるように制御されていてもよい。
【0038】
好ましくは、注入装置の排出口に配置された蒸発チャンバの圧力は、混合チャンバの圧力よりも低く維持されており、混合チャンバの圧力は、混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入前において液体複合物または溶液の圧力よりも低い圧力で維持されている。
【0039】
また、キャリアガスと液体複合物または溶液との間の圧力の差を混合チャンバへのそれぞれの導入前において制御することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
他の利点及び特徴は、非限定的な例を用いて得られかつ添付の図面において現される本発明の具体的な実施形態の以下の説明から明確になるだろう。
【0041】
図1に示される具体的な実施形態において、蒸発装置は、キャリアガス2及び液体3を導入するための装置1であって液体3の蒸発を可能にすることを目的とするチャンバ4の上側部分に接続される装置1を備える。液体の用語は、1以上の液体混合物または1以上の溶解された固体、液体または気体の混合物を含む溶液を示す。
【0042】
蒸発装置は、化学気相成長(CVD)装置、原子層堆積(ALD)装置、分子気相成長(MVD)装置、気相化学反応(vapour-phase chemical reaction)装置、基板上への気相再凝結(vapour recondensation)のための装置または混合物もしくは前駆体の液体の蒸発に起因する気相を用いる任意の他の処理チャンバの蒸発装置であってもよい。このため、液体3は、蒸発される要素の前駆体または上記要素のいずれであり、これは、溶液中で純粋でありまたは溶媒に溶解される。また、蒸発チャンバ4は、サーモスタット制御された筐体であって単に液体3の蒸発を対象とした筐体であり、その下側部分によって処理または堆積チャンバに接続されている。蒸発チャンバ4は、上記処理チャンバである。蒸発チャンバの構造は、任意の既知のタイプからなり、液滴の蒸発を可能とする加熱手段及び加圧手段を備える。
【0043】
導入装置1は、それぞれが液体3及びキャリアガス2を収容するタンク5及び6であってそれぞれ導管または供給ライン7a及び7bによって混合チャンバ10の第1及び第2注入口8及び9に接続されているタンク5及び6を備える。液体3のタンク5は、同様に駆動ガスと称される加圧ガス12のタンク11に接続されており、タンク5の上側部分を介した加圧ガス12の導入を可能とする。加圧ガス12は、タンク5内で高圧P1、より具体的には混合チャンバ10の圧力よりも高い圧力をタンク5内で維持可能とする。加圧手段は、部分的に図1の加圧手段と全く一致している参照符号を使用する図20A及び図20Bに示すように、液体駆動圧力の非常に精密な制御を可能とする。
【0044】
図20Aのダイアグラムにおいて、調節手段120は、液体3を駆動する圧力の調節のためのアルゴリズムを実行するための計算手段121であって測定圧力Pmmes及び圧力設定値または制御値Pcに基づく計算手段121を備える。これら手段121は、タンク11及びタンク5の間の経路に配置された比例バルブ122の開放を調節する。バルブ123は、例えば真空ポンプ(図示略)に接続された漏洩ライン125に配置されている。圧力検出手段124は、手段121に2つのタンク11及び5間を接続するラインで測定された圧力値Pmmesを供給する。
【0045】
図20Bのダイアグラムにおいて、調節手段130は、液体3を駆動する圧力の調節のためのアルゴリズムを実行する計算手段131であって測定圧力Pmmes及び圧力設定値Pcに基づく計算手段131を備える。これら手段131は、例えば真空ポンプ(図示略)及びタンク11及び5間に配置されたメインラインに接続されるライン129に配置された比例バルブ126の開放を調節する。漏洩バルブ128は、例えば手動で制御可能であり、これと同一のメインラインに配置されている。圧力検出手段127は、手段131にバルブ126とライン129及びメインラインの間の接続点との間のライン129で測定圧力値Pmmesを供給する。この圧力Pmmesは、このためメインラインの圧力と等しい。
【0046】
また、混合チャンバ10は、単一の排出口を介した混合チャンバ10の内容物の周期的な注入を目的とした注入器14の注入口に接続された排出口13を備える。このため、混合チャンバ10がキャリアガス2及び液体3の双方を収容すると、注入器14は、蒸発チャンバ4に向けてキャリアガス2及び液体3の液滴を注入する。したがって、注入器14は、混合物注入器と称される。しかしながら、混合チャンバ10がキャリアガスのみを収容する場合、キャリアガスのみが、蒸発チャンバ4に注入される。
【0047】
液体3混合チャンバ10への導入は、任意のタイプの手段を用いて行われる。より具体的には、液体3は、同様に液体注入器と称されて混合チャンバ10の第1注入口8の上流に配置された注入器15aを用いて混合チャンバ10内に周期的に導入される。
【0048】
別の手段において、液体3は、例えば「質量流量制御器(Mass Flow Controller)」または液体の質量流量を調節するための装置151であって噴霧ノズル150と関連付けられた装置151を用いて混合チャンバ10に連続的に導入されてもよい(図21A)。この装置151は、バルブ(図21Aで示されていない)を備えている。この場合、液体流量を変化させることは、Cv(「流動係数(flow coefficient)」)及びバルブの下流における液体の圧力を変更する上記バルブの状態を変更することを意味している。噴霧ノズル150の幾何形状の特徴は、好ましくは装置のための所望の液体流量の範囲において、バルブによって構成された絞り部の下流における液体の圧力が混合チャンバ10の圧力よりも高くなるように構成されている。このような装置は、非常に精密な圧力調節を必要としない。
【0049】
さらに別の代替法において、液体は、同様に液体のための「質量流量計(Mass Flow Meter)」または質量流量を測定するための装置161であって制御可能なバルブを有さず流量測定Qmmesを形成して噴霧ノズル160と関連付けられた装置161を用いて連続して導入される(図21B)。この場合、液体の流量を変化させることは、それに付与される駆動圧力を変更することを意味する。その上、この場合、噴霧ノズルの直径は、所望の液体流量範囲に準じて構成されている。調節手段は、液体3の流量の調節のためのアルゴリズムを実行する計算手段であって測定された流量Qmmes及び流量設定値または制御値Qmcに基づく計算手段を備える。これら手段170は、タンク11及びタンク5の間の経路に配置された比例バルブ172の開放を調節する。バルブ173は、例えば真空ポンプ(図示略)に接続される漏洩ライン175に配置されている。液体の流量の調節は、比例バルブ172を制御することひいては液体の加圧によって実行される。
【0050】
したがって、代替の実施形態において、液体3は、チャンバに導入される液体3の流量が例えば混合チャンバ10の第1注入口の上流に配置された比例バルブまたは流量を調節するための装置を用いて調節されながら、混合チャンバ10に連続的に導入されてもよい。
【0051】
混合チャンバ10へのキャリアガス2の導入は、同様に任意のタイプの手段によって実行される。より具体的には、キャリアガス2は、タンク6及び混合チャンバ10の第2注入口9の間に配置された圧力調節器16を用いて混合チャンバ10に連続して導入される。圧力調節器16は、好ましくは混合チャンバの第2注入口の上流においてキャリアガスを蒸発チャンバ4の圧力よりも高い圧力Pgで維持することを目的としている。
【0052】
また、キャリアガスの主流量及び/または瞬間的な排出速度を測定するための手段とキャリアガスをあらかじめ加熱するための手段とは、第2注入口9の上流に配置される。しかしながら、ガス供給ラインにおける圧力の突然の変化は、混合物注入器14が開放しているときに現れる。圧力調節器16単独では、常にこれを満足に克服することができるわけではなく、その結果キャリアガスの流量の測定が同時に実行されると問題を提示する。実際には、「質量流量計」または「質量流量制御器」のような流量測定手段は、圧力が十分に安定されていないと、流量の不正確な測定をもたらしうる。この現象を避けるためまたは少なくとも制限するため、流量計の下流において混合チャンバ10の容量よりも非常に大きいバッファ容量であって混合物注入器14の開放に起因する圧力の変化を制限することを目的としたバッファ容量を用いることができる。
【0053】
また、混合チャンバ10内に収容されているガス容量は、混合チャンバ10内に収容されている液体3の容量よりも非常に大きいことが好ましい。
【0054】
制御ユニット17は、それぞれが注入器14及び15aの開放及び閉塞を制御することを目的とした制御信号A0及びAaを提供する。制御信号は、二値論理制御信号であることが好ましい。
【0055】
蒸発チャンバ4に導入されるキャリアガス2の流量は、注入される混合物の配合、特に混合チャンバ内にある液体の量、混合チャンバ10及び蒸発チャンバ4の圧力状態下における混合物注入器14の静的流量、制御期間中における注入器14の開放の合計継続期間及び注入器14の注入頻度に依存する。
【0056】
また、導入装置の温度は、水もしくは熱伝達流体の循環によってまたは装置の構成要素、特に混合チャンバ及び注入器の周囲に空気を吹き付けることによって制御されうる。このような導入手段の温度を制御するための手段は、蒸発チャンバ4の上側部分、特に混合物注入器14のノズルとの接続点の近傍における温度を蒸発チャンバ4の温度にできるだけ近い値で維持することを可能とし、例えば混合物注入器のコイルなど混合物注入器及び混合チャンバ10の効果的な冷却を実行する間、気化した生成物の再凝集を防止する。空気を用いた冷却は、注入器及び混合チャンバにわたって吹き付けるファンを用いて実行され、注入器及び混合チャンバは、2つの半殻セクション(half-shell sections)からなるラジエータであって注入器及び混合チャンバを収容して例えばアルミニウムのような熱伝導材料で形成されたラジエータ内に収容されている。
【0057】
これにより、キャリアガス及び液体の混合物の同時かつ注入器14の同一の排出開口を介した蒸発チャンバ4への導入によって、液体と共に同時に注入されたキャリアガスが分散突風(dispersing blast)効果を液体にもたらすため、非常に微細な液滴が得られる。これらの平均直径は、従来技術における導入装置の手段によって注入された液滴の直径よりも非常に小さく、キャリアガス及び液体は、蒸発チャンバに分離して導入される。また、液滴のサイズの分布は、従来技術の導入装置によって得られる液滴のサイズの分布よりも狭い。このため、本発明における導入装置は、液的の注入を改良することを可能とする一方、混合チャンバ内の圧力がこれら装置で一般に実行される液体駆動圧力に相当すると同時に混合物注入器の排出口における液滴の平均速度は、従来技術における装置によって注入された液滴のために観測される液滴の平均速度に相当する。このため、蒸発運動は、著しく改善され、未だ蒸発されていない液滴及び蒸発チャンバの加熱された壁部の間の接触の危険性は、十分に低減される。したがって、従来技術における導入装置とは異なって、本発明における導入装置によれば、蒸発チャンバの臨界サイズを低減することが可能となる。臨界サイズなる用語は、注入された液滴が蒸発チャンバの壁部に達する前に完全に蒸発するために必要な最小サイズを示す。そして、液滴の蒸発は、蒸発チャンバの壁部との接触なく制限された容積の中で実行され、微粒子の変形及び蒸発チャンバへの付着の危険性は、制限されたままとなる。
【0058】
さらに、導入装置は、キャリアガス2を直接蒸発チャンバ4にかつ好ましくは注入器14の近傍に導入するための追加の手段を備えてもよい。このため、図22に示されるように、それは、蒸発チャンバ4に直接接続されたキャリアガスを注入するための第2ライン7b1を備える。蒸発チャンバへのキャリアガスの直接的な導入は、例えばガスの流量を調節する流量制御器などキャリアガスの流量を制御するための手段70によって質量流量が制御されながら、連続的となる。また、専用のラインによる蒸発チャンバへのキャリアガスの導入は、蒸発チャンバ4への所定またはそうでない量のキャリアガス2の周期的に注入することを目的とした注入器14’を用いて実行される。双方の場合において、キャリアガスの直接注入のための手段は、流量を測定するための手段及び/または蒸気流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0059】
また、本発明における装置は、上述した注入ヘッドのような複数の注入「ヘッド」を備えてもよく、ヘッドそれぞれは、混合チャンバ10、混合物注入器14及び液体注入器15aを備え、他の注入「ヘッド」は、単一の蒸発チャンバ4に配置されている。このような構成は、図23に示されており、2つの混合物注入器14a、14bそれぞれは、混合チャンバ10a、10bと関連付けられ、それぞれ液体注入器15a、15bによって液体が供給される。チャンバ10a、10bの少なくとも一方は、図2から図4のように複数の注入器によって、または図24のように注入器及びバルブの組み合わせによって供給されてもよい。回路または制御手段17’は、さまざまな注入器15a、15b、14a、14bの開放を制御する。図20Aから図21Bを参照した上述の特徴は、液体供給ラインそれぞれに適用されうる。
【0060】
導入装置は、すでに述べた実施形態、特に蒸発チャンバへの単一の液体または複数の液体の導入に限定されない。このため、図2において、導入装置1は、混合チャンバ10へそして蒸発チャンバ4へ導入されることを目的とした追加の液体19を収容するタンク18をさらに備える。追加のタンク18は、導管20によって混合チャンバ10の追加の注入口に接続され、追加の注入器15bは、混合チャンバ10の追加の注入口の上流に配置されている。注入器15bによって、混合チャンバ10への追加の液体19の例えば周期的な注入が可能となる。追加の液体19は、例えば混合チャンバ10及び注入器14を洗い流すまたは液体3を希釈することを目的とした溶媒であってもよい。第2液体19を用いてチャンバ10及び注入器14を濯ぐ場合において、注入器15bは、連続的に操作することが好ましい。他の可能性のある応用、すなわち液体3を希釈する場合において、注入器15bのパルス操作は、実行される。
【0061】
1以上の追加の液体を用いた他の可能性のある応用は、チャンバ4において異なる材料の層の交互堆積(多層)または複数要素の材料の堆積である。また、この応用は、特に図23またはその代わりの手段の1つにおいて上述したように、同一の蒸発チャンバの2つの異なる注入ヘッドによって可能となる。
【0062】
また、バルブ22aを備える追加の導管21は、タンク18とタンク5から混合チャンバ10に液体3を移送することを目的とした導管7aとの間に配置されており、上記導管及び注入器15aを洗い流す。導管7aには、導管7a及び21の接続点とタンク5との間に配置されたバルブ22bが設けられている。このため、バルブ22bによって、洗い流し操作にタンク5を隔離することが可能となる。また、タンク5と同様に、追加の液体19を収容しているタンク18は、加圧ガスタンク23に接続されており、制御回路17は、注入器15bの開放及び閉塞を制御する好ましくは二値理論信号である制御信号Abを供給する。
【0063】
また、混合チャンバ10及び注入器14を濯ぐことは、本発明の他の実施形態である図24の装置のような装置を用いて実行される。この図において、参照符号V1からV3は、「オンオフ」バルブを示している。バルブV1は、前駆体液供給ラインに配置され、バルブV3は、濯ぎ溶媒供給ライン7a1にある。このライン7a1は、チャンバ10に至る。濯ぎ段階において、前駆体液供給バルブV1は、まず閉塞され、バルブV2は、開放され、バルブV2は、2つのライン7a及び7a1を接続するラインに配置され、濯ぎ溶媒は、前駆体液専用のライン7aと連絡する。液体及び混合物の注入器は、前駆体液ライン7aの濯ぎを完了することを確実にすることに十分に長い時間パルスモードで操作する。そして、バルブV2は、閉塞される。前駆体液及び混合物の注入器15a、14は、前駆体液ライン7aに溶媒がなくなるまでパルスモードで操作し続ける。そして、バルブV1は、開放し、前駆体液ライン7aを再準備する。この段階において、液体注入器15aは、もはや作動されていない。液体注入器15aは、閉塞状態を保つ。そして、バルブV3は、開放され、混合チャンバ10を洗浄し、そして閉塞される。混合物注入器14は、混合チャンバ10に導入された溶媒が完全に排出されるまでパルスモードで動作し続ける。
【0064】
図3に示す他の特定の実施形態において、導入装置には、混合チャンバ10の上流に配置された3つの注入器15a、15b及び15cが設けられている。3つの注入器15aから15cは、同様に液体注入器と称され、3つの異なる液体の混合チャンバ10への周期的な注入を可能とする。また、導入装置1は、同様に混合物注入器と称されて混合チャンバの排出口に配置された注入器14を備える。注入器14によって、混合チャンバ10の内容物、より具体的にはキャリアガスと1以上の液体の液滴との混合物の蒸発チャンバ4への周期的な導入が可能となる。制御回路17は、注入器15a、15b、15c及び14の開放及び閉塞を制御する制御信号Aa、Ab、Ac及びA0それぞれを供給する。
【0065】
キャリアガス2は、例えば同様にキャリアガス注入器と称されて混合チャンバ10の第2注入口9の上流に配置された追加の注入器24を用いて混合チャンバ10に周期的に導入される。追加の注入器24の注入口は、導管7bの排出口に接続されている。また、制御回路17は、上記注入器24の開放及び閉塞を制御する制御信号Agを供給する。この注入器は、図3を参照して説明される。また、これは、図1、図2や以降の装置において使用されうる。
【0066】
このような装置を実行する適用例は、以下のとおりである。図25Aから図25Dに示されるようなさまざまな注入器の一連の制御によって、(液体の導入時における液体及び混合チャンバの間の圧力差がより大きい)混合チャンバに前駆体をより細かく噴霧すること及び二相の混合物を混合チャンバ10から蒸発チャンバ4に移送した後にチャンバ10を乾燥することが可能となる。そして、混合チャンバ内における前駆体液の蓄積の危険性は、キャリアガスの流量を増大させることなく低減される。図25A、図25B及び図25Cには、注入器14、15及び24を開放するための制御A0、Aa及びAgが示されている。シーケンスは、液体注入器15の開放から始まる。この注入器が閉塞されると、ガス注入器24は開放する。ガス注入器24の動作中において、混合物注入器14は、開放して混合物をチャンバ4に漸次導入する。そして、この注入器14は、注入器24が先立って閉塞している間に閉塞される。図25Dは、事前混合チャンバ10内の圧力を示しており、この圧力は、さまざまな段階にしたがってチャンバ10の初期圧力P0から変化する。第1段階Iは、液体をチャンバに導入する(注入器15の開放継続期間と一致する)段階であり、第1段階Iは、二相の混合物を形成する(注入器24の開放から開始する)段階IIであって混合チャンバの加圧に相当する段階IIと、2相の混合物をチャンバ4に移送する(注入器14の開放を注入器24の閉塞まで延長する)段階IIIと、混合チャンバを乾燥する(注入器14の閉塞と一致する)段階IVと、に続かれる。チャンバ10の最大圧力PGは、ガス注入器24の開放のすぐ後に段階IIで到達され、キャリアガスの圧力と同等となる。
【0067】
同様の制御シーケンスは、図2または図3のような複数の液体注入器15a、15b、15cを備える混合チャンバの場合において適用されうる。この場合、さまざまな液体の注入(制御Aa、Ab、Ac)は、注入器14(A0)または24(Ag)の開放と同時に実行されない。
【0068】
図4に示す代替の実施形態において、混合チャンバ10へのキャリアガスの導入は、それぞれ2つのキャリアガス導入器27及び28の注入口に接続される2つのキャリアガス導管、すなわちライン25及び26を用いて実行される。そして、注入器27及び28それぞれの排出口それぞれは、混合チャンバ10の注入口9と対応する排出口の単一の導管7bに接続される。また、導管25及び26には、それぞれ対応する注入器の上流に配置された圧力調節器29及び30が設けられている。
【0069】
混合チャンバにキャリアガスを導入するためのこのようなシステムによって、特に混合チャンバ10の上流においてキャリアガスを2つの異なる所定圧力で保持することが可能となる。例えば、キャリアガスは、導管25内において、蒸発チャンバ4の圧力よりも高く注入器15a、15b及び15cによって注入されかつそれらそれぞれのタンク内に収容されることを目的とした液体の圧力P1よりも低い圧力Pg1で保持されている。導管26において、キャリアガスの圧力Pg2は、キャリアガスの圧力Pg1を越えて任意で液体の圧力P1の中で最高のもので維持される。このため、初期の液体の圧力P1が5barに等しいので、キャリアガスは、導管25内で3barに等しい圧力Pg1で、導管26内で8barに等しい圧力Pg2で維持される。
【0070】
図23を参照した上述の構成は、注入された液体と事前に混合するためのチャンバを備え、図2から図4を参照して上述された構成(事前チャンバ10、混合物注入器14及びこの事前チャンバ10にある2または3つの液体注入器15a、15b、15cなど)を超えて、2つの異なる液体前駆体を少なくとも凝縮相においてこれらの間で化学反応の危険性なく使用することが可能となるという有利点をもたらす。前駆体間の化学反応の危険性が存在しない場合、または逆に前駆体液間の化学反応が望ましい場合、チャンバ、混合物注入器及び同一チャンバにある2または3つの液体注入器を有する構成は、適しておりかつ経済的に好ましい解決法である。
【0071】
また、制御回路17は、それぞれが図4の注入器14、15a、15b、15c、27及び28の開放及び閉塞を制御することを目的とした制御信号A0、Aa、Ab、Ac、Ag1及びAg2を供給する。制御信号は、二値論理制御信号であることが好ましい。例えば、図5から図8は、制御信号A0、Ag1、Ag2及びAaを時間の関数として変化させるための特定のモードであって注入器15b及び15cが非作動とみなされこれにより表されている全期間中閉塞している特定のモードを示す。初めに、注入器27は、開放している(図6)一方、他の注入器28(図1)、15a(図8)及び14(図5)は、閉塞している。そして、混合チャンバ10の圧力は、キャリアガスPg1の圧力と一致する。このため、注入器27は、液体の全量が注入器15aによって混合チャンバ10に導入される期間T1の間中、開放されたままとなる(図8)。そして、液体は、期間T1の終了前にT1よりも短い期間T2の間において混合チャンバに導入される一方、他の注入器14及び28は、閉塞されたままである。注入器27を閉塞した後、混合チャンバ10は、期間T3の間中に注入器28の開放によって加圧される。注入器28が開放した後、混合チャンバ10内の圧力は、好ましくは液体の圧力Pg1及び圧力P1よりも高い圧力Pg2と等しい。そして、混合チャンバに収容されたキャリアガス及び液体の混合物は、注入器14を開放すること(図5)及びほとんど同時に注入器28を閉塞すること(図7)によってそして注入器27を開放することによって(図6)蒸発チャンバに注入される。液体注入器の開放の後かつ注入器の次の解放前に複数の注入器14の開放を行うことは、液体注入器の2つの開放間で注入器14を開放することの全継続期間が例えば5msなど1ms以上であれば、可能となる。そして、蒸発チャンバへの混合物の注入は、注入器14を閉塞する一方、注入器27を開放したままとすることによって停止される。得られた例は、注入器15a、15b、15cなどによってこの方針を注入器それぞれに適用することで注入された複数の液体に一般化される。例えば、制約を課し、それによって2つの注入器が同時に開放しないことが可能となる。
【0072】
このようにさまざまなキャリアガスの圧力Pg1及びPg2並びに液体の圧力P1の入念な選択と関連された制御シーケンスによって、蒸発チャンバ内の二相の混合物の噴霧をさらに改善する一方、適度なキャリアガスの流量を維持することが可能となる。
【0073】
他の特定の実施形態において、混合物注入器14の制御信号A0は、所定の継続期間を有するパルスであってもよく、液体の全量が第1注入器14の2つの連続した開放間で導入されて蒸発チャンバに移送されることを可能とする。図9及び図10に示す一例として、混合チャンバ10へあらかじめ導入された100mgの液体は、キャリアガスと共にパルスにおいて蒸発チャンバ4に注入される。混合物の注入は、混合チャンバ10の排出口に接続される混合物注入器14を用いて実行される。注入器14の瞬間的な排出量を測定するための手段によって、それぞれ瞬間的な排出量に対する蒸発チャンバ4へ注入される混合物に含まれる流動部分の蓄積量を表す曲線A及びBが主として得られる。注入器14(図10)の制御パルスを表す曲線A及びB(図9)並びに曲線Cは、注入器14の開放継続期間tinj(A0)が注入器14の解放前に混合チャンバへ導入されるすべての液体の蒸発チャンバへの移送を確実にするのに十分長いことを示している。実際には、t=5msにおいて、すべての液体は、蒸発チャンバへ移送される一方、注入器14の開放継続期間は、6.5msのオーダーである。
【0074】
注入器14の開放継続期間のこの状態ないと、混合チャンバ内の液体量は、次第に増加し、噴霧の品質は、そこから劣化する。また、この場合において、混合チャンバへ導入される液体の流量は、実際に蒸発チャンバに導入される流量ともはや一致しない。そして、混合チャンバの下流における液体の流量を測定または制御することによって蒸発装置を制御することは、困難である。
【0075】
さらに、使用される注入器は、開ループまたは閉ループ内で制御されうる。複数の液体及び混合物の注入器が使用されると、上記注入器は、決して同時に開放しないように制御される。また、装置は、注入器それぞれから出る液体の流量を測定するための手段を備える。異なる注入器が開ループ内で制御される場合、すなわちパルス制御の周期的な繰り返しがある場合、キャリアガスの圧力並びに混合チャンバに導入される液体の駆動圧力及び混合チャンバ10の温度は、蒸発チャンバ内及びその構成において作り出される蒸気量の再現性を確実にするように制御される。また、注目は、液体が混合チャンバに移送されることを可能とする導管の準備的なガス抜きの品質に集まる。
【0076】
混合物注入器14の開放継続期間が十分な場合、混合チャンバ10の上流に配置された注入器の閉ループ制御は、混合チャンバ10ひいては蒸発チャンバに導入される液体の流量を制御することによってこれら困難を克服することが可能となる。一例として、図11に示すように、例えば図1に示されるような液体注入器15aは、閉ループで制御され、注入器15aの排出口における平均流量を実質的に一定に維持する。したがって、制御回路17は、調節される流量を示す信号Qmmes(Aa)及び設定値信号Qmc(Aa)それぞれの制御のための2つの注入口31、32を備える。注入口31は、例えば注入される液体のための導管に配置された流量計の排出口(図示略)に接続されている。設定値Qmc(Aa)及び測定された流量値は、例えばPID(比例−積分−微分)訂正器、より具体的には少なくとも以下のパラメータ、すなわち注入頻度Finj(Aa)及び開放継続期間tinj(Aa)を計算するRST訂正器などを有する訂正ユニット33によって処理される。そして、これら制御パラメータは、注入器15aの制御電圧(制御信号Aa)を発生する注入制御ユニット34によって管理され、平均測定流量Qmmes(Aa)は、流量設定値Qmc(Aa)に収束する。これにより、平均注入流量は、流量Qmmes(Aa)の測定に基づいた所定設定値に調節される。
【0077】
一般に、所定の注入頻度Finj(Aa)、Finj(Ab)、…Finj(Ai)を用いた1以上の注入器15a、15b、…15iによって混合チャンバ10に注入される液体の流量の調節は、注入器15a、15b、…15iの開放継続期間tinj(Aa)、tinj(Ab)、…tinj(Ai)を調節することによって行われうる。
【0078】
単純な構成において、注入器14は、開ループ内で制御される。
【0079】
一例として、図12から図14それぞれは、混合チャンバ10の上流に配置された2つの注入器15a及び15bと混合チャンバ10の排出口に配置された混合物注入器14とを備える導入装置における時間の関数としての注入器14、15a及び15bの制御信号A0、Aa及びAbの変化を示している。
【0080】
図12から図14は、使用される記録を示している。すべての注入器14、15a及び15bに共通する開始時間は、開始時間が最初に開放される注入器の最初の開放に常に先行するように選択されている。そして、タイムラグdt(A0)、dt(Aa)及びdt(Ab)それぞれは、上記開始時間と関連する注入器の最初の開放との間で経過する時間として規定されている。図12から図14において、記録1/Finj(A0)、1/Finj(Aa)及び1/Finj(Ab)は、制御信号A0、Aa及びAbの期間である一方、tinj(A0)、tinj(Aa)及びtinj(Ab)は、これら制御の期間それぞれの間における注入器14、15a及び15bの開放継続期間を示す。
【0081】
したがって、図12から図14は、注入器15aまたは15bの少なくとも1つがすでに開放していない場合、注入器が開放しない特定の形態を示す。
【0082】
注入頻度のバルブの特定の状態なく、それぞれの注入器14、15a、15b、…15iのラグタイム及び開放継続期間は、混合チャンバ10の上流に配置された注入器15a、15b、…15iの少なくとも1つが開放すると開放する危険がある。また、液体の流量が所定の開放継続期間で調節される場合、測定された流量及び流量設定値の間の偏差を最小にするために注入頻度が調節されるようなことがあってもよい。
【0083】
注入器の制御方法は、必要に応じて、例えば液体注入器15hが他の液体注入器15kと同時にまたは混合物注入器14と同時に開放することを避けるように改良されてもよい。そして、2つの注入器15h及び15kを制御するためのパラメータの追加の制約は、必要とされる。以下の表は、注入器15hまたは15kの一方の制御期間が注入器15kまたは15hの他方の多様な制御期間である2つの注入器15h及び15kについてのこの一例を提供している。
【0084】
【表1】
【0085】
Eは、フロア関数(floor(x)は、x以下の最大の整数)である。
【0086】
一般的な場合、注入器制御期間に関連する状態は、より制限されていない。好ましくは、制御期間それぞれは、多様な同一期間T、すなわち1/Finj(Ah)=mTであり1/Finj(Ak)=nTである。しかしながら、この場合において、確認されなければならずかつラグ時間、開放継続期間及び制御期間と関連する複数の状態は、n及びmに依存する。この状態の数は、一般に非常に多くなる。
【0087】
これら状態は、制限されておらず、所望の制御方法にしたがう他の制約によって補完されてもよい。例えば、注入器15aまたは15bの少なくとも一方がすでに開放しているときに注入器14が決して開放しないように、注入器14は、注入器15a及び注入器14が注入器15bのように同時に開放されないように、同時に開放しない。したがって、上で示された表と同様の2つの状態の表であって注入器14及び15aの間と注入器14及び15bの間との2つの状態の表は、照合される。
【0088】
他の実施形態において、注入器14を開放するためのパルスA0は、一続きまたは一連のパルスによって置換されてもよく、パルス列の頻度及び/またはパルス列の期間に対する注入器14の全開放継続期間は、2つの連続する注入器14の開放間に混合チャンバ10に導入される液体の全量が蒸発チャンバ4に移送されるように制御されうる。このため、一連のパルスに対する注入器14の累積された開放継続期間は、常に注入器14の開放前において混合チャンバに導入される全液体の蒸発筐体4への移送を可能とするのに十分である。
【0089】
図15及び図16に示される一例として、事前に混合チャンバ10に導入された100mgの液体は、混合チャンバ10の排出口に接続された注入器14を用いて、一連の3つのパルスでキャリアガスと共に蒸発チャンバ4に導入される。注入器14の瞬間的な排出量を測定するための手段は、主としてそれぞれ瞬間的な排出量及び蒸発チャンバ4に注入される混合物に含まれる液体部分の累積量を表す曲線D及びEを得ることを可能とする。曲線D及びE(図15)並びに注入器14の制御のための一連のパルスを表す曲線F(図16)は、注入器14の開放継続期間tinj1(A0)、tinj2(A0)及びtinj3(A0)が注入器14の開放よりも前に混合チャンバに導入される液体のすべてが蒸発チャンバに移送されることを可能とするのに十分長いことを示している。実際には、t=6msにおいて、全液体は、連続する量Δm1、Δm2及びΔm3で蒸発チャンバ4に移送される。このため、液体の蒸発チャンバへの導入に寄与される注入器14のパルスそれぞれは、開放継続期間の特定の選択の場合を除いて、独立してかつ一般的に異なって、すなわち蒸発チャンバに導入される液体量が異なる(Δm1≠Δm2≠Δm3)。これにより、液体量の一部が蒸発され、その吸入を改善することが可能となる。混合物注入器の開放にわたって液体/ガス比は、減少し、これによって液体の噴霧は、混合物注入器の開放それぞれにおけるキャリアガスの吹き込みの積極的な影響に関連して次第に最適化される。
【0090】
図17において、キャリアガス及び液滴の混合物を注入することを目的とした注入器14は、一連の4つのパルス(制御信号A0)によって制御される一方、図18及び図19それぞれは、混合チャンバの上流に配置された2つの注入器15a及び15bの制御信号Aa及びAbの変化を時間の関数として示す。
【0091】
このため、注入器14の一連のパルスは、頻度F(A0)及びラグタイムdt(A0)で規定される。1/F(A0)は、2つの一連の連続するパルスの2つの立上り最前部(front)間のタイムインターバルと対応する一方、dt(A0)は、すべての注入器に共通する開始時間と最初の一連のパルスの最前部との間のインターバルに対応する。また、注入器14の開放継続期間は、それぞれ連続する4つのパルス、すなわちtinj1(A0)、tinj2(A0)、tinj3(A0)及びtinj4(A0)の間である一連のパルス内において、一連の2つの連続するパルスの立下り最前部及び立上り最前部の間のラグタイム、すなわちδ(A0、1)、δ(A0、2)及びδ(A0、3)のように、規定されている。
【0092】
制御信号Aa及びAbそれぞれは、注入器15a及び15bそれぞれの注入頻度Finj(Aa)及びFinj(Ab)によって、開放継続期間tinj(Aa)及びtinj(Ab)によって、及びラグタイムdt(Aa)及びdt(Ab)によって、規定される。注入器15a及び15bそれぞれのラグタイムdt(Aa)及びdt(Ab)それぞれは、すべての注入器に共通する開始時間と注入器15a及び15bの最初のパルスの立上り最前部との間のインターバルに対応する。
【0093】
上述のように、複数の代替法の制御は、可能である。混合チャンバの上流に配置された注入器は、開ループまたは閉ループ内で制御され、開放継続期間または頻度は、調節制御である。注入器14は、開ループで制御されもしくは混合チャンバ10の上流に配置された注入器15a、15b、15cの1つの前方における制御と同期され、または閉ループで制御されており、キャリアガスの流量を精密に調節する。
【0094】
他の調節モードは、可能である。このため、液体の流量及びキャリアガスの流量を液体注入器及び混合物注入器の特定の制御によって同時に制御することを可能とする閉ループ調節システムを実施することが可能となる。図26は、このタイプの装置を示しており、装置は、訂正のための手段すなわちユニット33、混合物注入器を制御するための手段すなわちユニット34a及び液体注入器15aを制御するための手段すなわちユニット34bを備える。マイクロプロセッサ手段35は、制御方法を記録している。手段33は、質量流量Qm情報、注入された液体の流量の測定の情報(Qmmes(A0)、Qmmes(AA))またはこれら流入された液体流量についての設定値(Qmc(A0)、Qmc(AA))を受ける。この情報及び手段35の制御方法情報に基づいて、これら手段33は、手段34a及び34bのための制御を作成する。主として、これら制御は、注入頻度関数Finj(A0)、Finj(Aa)と、開放継続期間tinj(A0)及びtinj(Aa)と、ラグタイムパラメータdt(A0)、dt(Aa)であって後者のパラメータがすべての注入器に共通な上記開始時間から経過した時間として規定されるラグタイムパラメータdt(A0)、dt(Aa)とを含む。
【0095】
一般的な場合において、流体の流量それぞれの調節は、独立していない。訂正手段33は、液体注入器の制御アプリケーションがキャリアガスの流量を有する影響及び、相互に混合物注入器の制御アプリケーションが前駆体液の流量を有する影響を考慮する。
【0096】
さらに、訂正手段33は、手段35によってもたらされる注入器のためのさまざまな制御方法を統合することができる。例えば、液体注入器の1つがすでに開放している場合に混合物注入器が開放することまたは他の液体注入器の少なくとも1つが開放している場合に液体注入器が開放していないことは、望ましくない。また、例えば強制的な注入頻度または注入器の開放継続期間で機能することは、望ましい。そして、手段33は、所定の関係を留意しながらさまざまなパラメータを矯正するまたは相互に関連付けるシステムの閉ループ調節を可能とする注入器の制御パラメータを算出する。
【0097】
さらに、例えばユーザによるガス及び液体流量の所望の設定値を制限する限定的な状態は、考慮される。一般に流体の物理化学的性質及び注入器ヘッドの特性に依存するこれら状態は、例えば混合チャンバが前駆体液で次第に充填される状況を防止する傾向があり、その結果流量の設定値は、キャリアガスの流量の設定値に対して非常に大きくなる。
【0098】
1つの液体注入器15aのみを有する導入装置からなる特定の場合において、この液体注入器の前で制御されている混合物注入器14の同期化は、混合物注入器が液体注入器と同時に開放しないことを確実にする限り、液体流量の閉ループ制御のための制御として注入頻度を用いることを可能とする。
【0099】
また、制御方法は、例えば、
− 混合チャンバ(15a及び15b)の上流に配置された注入器の少なくとも1つが開放すると、注入器14は、決して開放しないこと、
− 注入器14、15a及び15bは、同時に開放しないこと、
− 注入器14のパルス列は、注入器15aまたは15bの開放に常に続くこと、
− 注入器14のパルス列の少なくとも1つは、混合チャンバが液体を収容していないときに周期的に実行され、その結果蒸発チャンバで生成された一部のガス及び蒸気の圧力を調節するための正確な手段を構成すること、
で絞り込まれる。
【0100】
従来技術とは異なり、一連のパルスにおける多相混合物、すなわちキャリアガス及び1以上の液体の導入により、注入器14の開放及び閉塞それぞれについて、混合チャンバの上流に配置された注入器の静的流量(mg/パルス)よりも少量の液体を蒸発チャンバに導入することが可能となる。実際には、混合チャンバの上流に配置された注入器の静的流量の測定の制限は、3barオーダーの圧力差、0.5msのオーダーの開放継続期間及びオクタンの粘度と同等の粘度を有する流体について、一般に約0.2mg/パルスである。
【0101】
液体の注入が蒸発チャンバに直接実行される従来技術における導入装置を用いて、液体駆動圧力を十分に低くし、注入器の静的流量を低減することが可能となる。しかしながら、非常に迅速に、液体は、もはや蒸発チャンバにランダムに向けて霧状にされて液滴ごとに落下しない。したがって、調節されうる唯一の残りのパラメータは、非常に低い平均液滴流量を達成するため、液体注入器の制御期間である。しかしながら、この頻度は、閉ループ制御を困難とする1秒を越え、蒸発チャンバにおける蒸気の部分的な圧力の著しい変動に耐えることを可能としない。調節された制御方法を有する本発明における導入装置によれば、非常に低い平均液体流量に対して、蒸発チャンバにおける部分的な圧力変動を制限することが可能となる。
【0102】
本発明は、上述した実施形態に制限されない。例えば、混合チャンバ10の第1注入口8の上流に配置された少なくとも1つの液体注入器15aの開放頻度及び/または継続期間は、液体が混合チャンバ10に一連または一続きの注入パルスにおいて導入されるように制御されてもよい。また、蒸発チャンバ4の圧力は、好ましくは混合チャンバ10の圧力よりも低く維持されており、混合チャンバ10の圧力は、例えば混合チャンバ10への液体の導入前において液体の圧力よりも低い。最後に、液体それぞれの混合チャンバ10への導入前において、液体の圧力は、一様にキャリアガスの圧力と独立して調節される。しかしながら、導入装置は、例えば差圧センサを用いることによって液体の混合チャンバへの導入前における液体とキャリアガスとの間の圧力差を制御するための手段を備えうる。
【0103】
同一または同様の要素を示す前述の図の実施形態と全く一致して参照する図27から図30の実施形態は、さまざまな(混合物、ガス、液体の)流量の制御のための比例バルブまたは注入器を組み合わせることによって蒸発チャンバ4にガス/液体の混合物を注入することを可能とする。比例バルブ140(図28から図30)または注入器14(図27)は、混合チャンバ10及び蒸発器4の間に配置されている。
【0104】
図27及び図28の実施形態において、二相混合物は、注入器14及び比例バルブ140それぞれを用いて蒸発器4に注入される。注入器14は、パルスモードで動作する。参照符号10’は、チャンバ10に噴霧するための(任意の)手段を示す。バルブ140または注入器14を開放するための制御221は、液体流量計220を起源とする。制御221は、注入器14またはバルブ140の制御回路と例えばPIDまたはRSTアルゴリズムを用いて一体化している。制御回路は、例えばマイクロプロセッサを用いて、バルブ140または注入器14の制御221を算出し、バルブ140または注入器14の上流かつ液体及びキャリアガスが混合される地点(この混合点はチャンバ10である)の上流で測定される液体流量d1は、操作者によって選択された液体流量設定値Cdと同等となる。
【0105】
ガスの注入を制御するための手段は、キャリアガスの流量を制御するための手段160を備えてもよい。特定の実施形態によれば、キャリアガスの流量dgは、流量設定値Cgに基づいた調節流量計160によって制御されうる。この流量計は、例えばそれ自身の比例バルブ160’及び制御回路を備え、液体及びキャリアガスが混合される地点の上流に位置する。停止バルブ162は、キャリアガスの経路に配置されうる。緩衝容積163は、両者の場合において、ガスの経路に設けられている。参照符号211は、流量計からチャンバ10への経路にある(任意の)停止バルブである。
【0106】
これら図27及び図28の2つの実施形態において、溶液または液体複合物の注入のためのシステムを制御するための手段は、測定手段220及び制御221によって実現される。これら図27及び図28の実施形態は、例えば図20A、図20Bの構造と(キャリアガスが蒸発器4に直接注入される)図22の構造と図23及び図24の構造のうちの1つ及び/または他のものと適合する。
【0107】
比例バルブ140を用いる他の実施形態(図29及び図30)によれば、二相混合物は、蒸発器4に注入される。このバルブを開放するための制御161は、PIDまたはRSTアルゴリズム(マイクロプロセッサは流量計に実装されている)を用いてバルブ140の制御を算出するガス流量計160を起源とし、バルブの上流かつ液体及びキャリアガスが混合される地点(この混合地点はチャンバ10である)の上流で測定されたガスの流量dgは、操作者によって選択されたガスの流量設定値Cgと同等である。液体流量は、調節流量計220であってそれ自体の内部の比例バルブ220’及び制御回路を備える調節流量計220によって、それとも液体及びキャリアガスが混合される地点の上流にある液体流量計及び液体注入器の組み合わせによってのいずれかによって制御される。
【0108】
図30において、混合チャンバ10の上流に位置する注入器15aは、調節流量計220によって上で説明したようにCd及びdlの関数として構築される制御221’を用いて制御される一方、バルブ140は、上述のように制御される。
【0109】
これら図29及び図30の実施形態は、例えば図2、図3、図4、図20A、図20B、図22、図23及び図24の構造のうちの1つ及び/または他のものと適合する。
【0110】
これら図28、図29及び図30の実施形態は、蒸発器への連続的な注入のモードで操作する。
【0111】
これらは、二相混合物が蒸発器に連続的に注入されることを可能とする。
【0112】
本発明のために選択された実施形態にかかわらず、蒸発器4に導入されるキャリアガスの流量は、測定されうる。本発明のさらに他の実施形態によれば、(例えば超音波カウンタまたは気相クロマトグラフィで用いられる熱状態を測定するためのセルを用いて)蒸発器4の下流において排出される気体混合物における液体の蒸発に由来する蒸気濃度を測定することが可能となる。この測定は、操作者によって選択される設定値と比較されうる。この比較は、アルゴリズム(PIDまたはRST)が注入もしくは制御パラメータまたは混合チャンバ10に導入される液体の流量をリアルタイムで算出することを可能とし、濃度の読み取りは、設定値と同等となる。
【0113】
本発明における装置を用いた液体の噴霧のための優れた性能は、図31に示すように、本発明における液体注入器、少なくとも1つの混合チャンバ10及び混合物注入器14を備える組立体であって組立体が噴霧発生装置300を形成する組立体を形成する。このような装置は、「パイロソル(pyrosol)」または「噴霧熱分解(spray pyrolysis)」工程であって薄膜かそれとも微粒子を生成するためにエアロゾルを熱分解する工程からなる工程を実行する装置において使用されうる。図31において、参照符号は、大部分について図1の参照符号と全く一致しており、これにより同一または同様の対象を示している。本発明におけるエアロゾル発生装置は、これら上で説明された構成の任意の他の構成から作り出されてもよく、すなわち、チャンバ4は、削除されるが、他のすべての上述の構成、特に注入手段15a、14の開放を調節するための手段に関する構成が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図2】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図3】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図4】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図5】図4に示す異なる注入器のさまざまな制御信号であってそれぞれA0、Ag1、Ag2及びAaである制御信号についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図6】図4に示す異なる注入器の制御信号Ag1についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図7】図4に示す異なる注入器の制御信号Ag2についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図8】図4に示す異なる注入器の制御信号Aaについての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図9】蒸発チャンバに注入される瞬間的な排出量及び混合物の液体部分の累積量を時間の関数として示す図であって、図10に示す制御パルスA0及び以前の混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入後に続く図である。
【図10】制御パルスを示す図である。
【図11】本発明における装置の注入器を制御するための手段を示すダイアグラムである。
【図12】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図13】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図14】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図15】蒸発チャンバに注入される瞬間的な排出量及び混合物の液体部分の累積量を時間の関数として示す図であって、図16に示す制御パルスA0及び以前の混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入後に続く図である。
【図16】制御パルスを示す図である。
【図17】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図18】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図19】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図20A】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図20B】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図21A】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図21B】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図22】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図23】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図24】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図25A】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25B】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25C】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25D】制御信号を変化させるためのモードにしたがって混合チャンバの圧力の時間にわたる変化を示す図である。
【図26】閉ループ制御を実行するための装置を示す図である。
【図27】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図28】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図29】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図30】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図31】本発明における他の装置とその適用の1つとを示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1 導入装置,装置、2 キャリアガス、3 液体複合物,溶液,液体,複合物、4 蒸発チャンバ,蒸発器,蒸発筐体、7a1,V1〜V3 溶媒供給ライン,ライン(濯ぐための手段)、7b1 導管,ライン(直接導入するための手段)、8 第1注入口,注入口、9 第2注入口,注入口、10,10a,10b 混合チャンバ,事前チャンバ,チャンバ、13 排出口、14,14a,14b,15,15a〜15c,24,27,28 注入器,注入手段,噴霧手段、14’ 注入器(直接導入するための手段)、17 制御回路,制御ユニット,制御手段、19 液体(追加の液体)、70 流量制御器(直接導入するための手段)、120,130 調節手段(溶液の駆動圧力を調節するための手段)、150 噴霧ノズル、151 装置(溶液の質量流量を調節するための手段)、160’ キャリアガスの流量を調節するための手段、160 比例バルブ,ガス流量計,噴霧ノズル(キャリアガスの流量を調節するための手段)、161 溶液の質量流量を測定するための手段、220 溶液の流量を測定するための手段、221’ 調節するための手段、Cd 流量設定値、dl,dg 流量
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアガスと溶解された液体、固体もしくは気体の混合物を含む液体混合物または溶液とを例えば蒸発チャンバに導入、注入または噴霧するための装置であって、上記混合物または上記溶液の吸入のための注入口と、任意で上記蒸発チャンバにおける上記混合物または上記溶液の第1注入器による注入、導入または噴霧を制御する制御手段と、を備える装置に関する。
【0002】
また、本発明は、蒸気装置を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化学気相成長(CVD)の分野において、気相において堆積される混合物または要素または混合物の前駆体は、一般的に基板上に液状で注入することによって筐体内に導入される。そして、微細な液滴の噴霧は、注入された液体の噴霧化によって形成される。堆積される混合物または前駆体は、これらが液状であると純粋となりえ、またはこれらは、これらが液状、固体状または気体状であると溶解されうる。そして、液滴は、直接堆積チャンバを形成するまたは堆積チャンバと連結された中間にある蒸発チャンバを形成する筐体内で蒸発される。いずれの場合においても、筐体は、混合粒の蒸発及び任意で基板上での堆積反応を可能とする所定の圧力及び温度を維持する。また、筐体内におおける気相の混合物の移送を可能とするため、不活性または反応キャリアガスは、筐体に向けて独立して導入されうる。
【0004】
このため、特許文献1において、前駆体をCVD筐体または堆積チャンバに導入するための装置は、液状または溶液の前駆体を収容するタンクを備える。タンクは、注入器に接続され、装置は、タンクを筐体の圧力よりも高圧力で維持する手段を備える。前駆体の導入は、液滴の非連続的な注入によって実行され、注入は、所定サイズを有する前駆体の液滴が周期的に堆積チャンバに注入されることを可能とする制御回路によって制御される。また、基板に向けて注入された前駆体の運動を可能とするキャリアガスは、注入器の近傍にあって筐体内へ導く導管によって別々に導入される。
【0005】
特許文献2において、CVD装置の蒸発の注入ヘッドは、液状または溶液の前駆体の注入のための注入口を有する少なくとも1つの注入器を備える。キャリアガスの加熱及び注入回路は、蒸発チャンバに直接導入されるキャリアガスが注入器の近傍に向けられるように配置されている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0730671号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1098015号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような導入装置において、蒸発される液体の流量は、液体注入器の静的流量(static flow)に依存する。しかし、商業的に入手可能な液体注入器は、所望の用途のための十分に低い流量を得ることが常にできるわけではない。この場合、注入器の制御または注入頻度であって2つの連続した注入間で蒸発される液体の一部の圧力において十分な変動をもたらす頻度を著しく低減することは、必要である。
【0007】
さらに、注入器が開放すると、蒸発される液体のための供給ラインは、蒸発チャンバ(または堆積チャンバ)に直接接続され、これにより注入器内で液体の早過ぎる蒸発は、発生する危険性がある。そして、この早過ぎる蒸発は、特に注入頻度、注入器を開放するための時間、液体を駆動する圧力のような注入器を制御するためのパラメータが一定のままであるときに、注入された流量における不安定を引き起こす。また、蒸発される液体が溶液中に溶解される固体の混合物からなる場合、注入器は、使用中に塞がれ、注入器の一定の制御パラメータについて、注入される流量の一定の減少を引き起こす。
【0008】
また、このような装置を用いて、特に蒸発される液体が高い粘性を有しかつ低減された蒸気圧を有すると、蒸発チャンバの加熱された壁部と接触可能とすることなく液体の噴霧及び蒸発を達成することは難しくなりうる。さらに、所定の注入制御状態(液体の圧力、開放継続期間及び注入器の頻度)について、噴霧された液体の流量は、蒸発チャンバ内の圧力に大きく依存する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、キャリアガス及び液体混合物を例えば蒸発チャンバに導入、注入または噴霧するための装置であって、従来技術の欠点を克服する装置、より具体的には、液体混合物の噴霧及び蒸発を改良可能な装置に関する。
【0010】
本発明において、この目的は、上記複合物または上記溶液のための注入口がキャリアガスの吸入のための少なくとも1つの第2注入口及び注入器の注入口に接続される排出口を備える少なくとも1つの混合チャンバの第1注入口を構成し、上記周期的な注入が注入器の同一の排出口によるキャリアガスと上記複合物または上記溶液の液滴との混合物の注入によって達成される事実によって達成される。
【0011】
制御手段は、少なくとも1つの混合チャンバの上流においてガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0012】
他の実施形態において、制御手段は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための手段、例えば測定された流量を流量設定値と比較するための手段などを備える。
【0013】
また、キャリアガスの流量を調節するための手段は、例えば測定された流量を流量設定値または制御値と比較するための手段を備える手段などに設けられてもよい。
【0014】
注入器または噴霧手段は、少なくとも1つの混合チャンバの少なくとも1つの第1注入口の上流に配置され、少なくとも1つの上記複合物または少なくとも1つの上記溶液の上記混合チャンバに周期的に注入してもよい。
【0015】
少なくとも1つの混合チャンバは、複数の注入口と複数の注入器または噴霧手段とを備え、上記注入器または噴霧手段それぞれは、複数の注入口の1つの上記注入口の上流に配置されてもよい。また、制御手段は、上記混合チャンバの注入口の上流に配置された注入器または噴霧手段を制御してもよい。
【0016】
本発明における装置は、複数の混合チャンバと、1以上の液体もしくは1以上の溶液または1以上のキャリアガスのための1以上の注入口と、を備えてもよい。
【0017】
また、本発明における装置は、キャリアガス及び液滴の混合物の上記注入器による周期的な注入を制御する制御手段を備えてもよい。また、装置は、例えば混合チャンバの少なくとも1つの上流に配置された1以上の注入器を制御することによって、少なくとも1つの混合チャンバの上流におけるガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0018】
本発明によれば、装置は、少なくとも1つの混合チャンバの第1注入口の上流に配置された少なくとも1つの注入器を備え、上記混合物または上記溶液を混合チャンバに周期的に注入してもよい。
【0019】
代替法によれば、本発明における装置は、少なくとも1つの混合チャンバの上流において上記混合物または上記溶液を上記混合チャンバに連続的に導入するための手段を備える。
【0020】
他の形態において、装置は、混合チャンバの第2注入口の上流に配置された他の注入器を備える。
【0021】
本発明の代替の発展において、混合チャンバは、少なくとも1つの追加の注入口を備え、追加の液体を混合チャンバに導入してもよい。
【0022】
キャリアガスは、直接的にまたは1以上の注入器であってすでに述べられた制御手段により制御される注入器によって混合チャンバに導入されてもよい。また、キャリアガスの一部は、蒸発チャンバに直接導入することができる。
【0023】
また、本発明における装置は、
− 液体混合物または溶液、例えば水溶液または有機溶媒に溶解された有機金属生成物などを加圧するため及び/または圧力を調節するための手段、
− 及び/またはキャリアガスの圧力を調節するための手段、
− 及び/または温度制御手段、
− 及び/または少なくとも1つの事前混合チャンバを濯ぐための手段、
を備えてもよい。
【0024】
また、本発明は、蒸発装置に関し、蒸発装置は、
− 蒸発チャンバと、
− キャリアガスと少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体混合物を含む少なくとも1つの液体とを後述するような本発明における蒸気蒸発チャンバに導入または注入するための装置と、
を備える。
【0025】
また、このような装置は、キャリアガスを直接蒸発チャンバに導入するための装置を備えてもよい。
【0026】
さらに、装置は、蒸発チャンバから出る蒸気濃度を測定するための手段と、測定された濃度及び設定値にしたがう注入パラメータを制御するための手段と、を備えることができる。
【0027】
また、本発明は、エアゾール生成装置に関し、エアゾール生成装置は、キャリアガスと上述した少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体混合物を含む少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液とを噴霧するための装置を備える。また、このような装置は、少なくとも1つのエアゾール複合物の濃度を測定するため及びこの濃度を上記濃度の設定値と比較するための手段と、混合チャンバの注入口における複合物または上記溶液の流量を制御するための手段と、を備えてもよい。
【0028】
また、本発明は、キャリアガスと溶解された液体、固体または液体複合物を含む少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液とを注入または噴霧するための装置に関し、装置は、上記複合物または上記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、注入手段によって上記液体複合物または上記溶液の注入または噴霧を制御する制御手段と、を備え、装置は、
− 上記複合物または上記溶液の吸入のための注入口が、キャリアガスの吸入のための少なくとも1つの第2注入口と前記注入または噴霧手段の注入口に接続される排出口とを備える少なくとも1つの混合チャンバの少なくとも1つの第1注入口を構成し、上記注入または噴霧が、キャリアガスと上記複合物または上記溶液の液滴との混合物を上記注入または噴霧手段の単一の排出口を介して注入または噴霧することによって実行され、
− 制御手段が、上記キャリアガスの流量を測定するための手段を備えることを特徴とする。
【0029】
注入または噴霧手段は、例えば比例バルブを備える。
【0030】
制御手段は、ガス流量計を備えてもよい。
【0031】
このような装置において、注入手段は、混合チャンバの上流に配置される。
【0032】
また、このような装置は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量にしたがって注入手段を調節するための手段を備えてもよい。
【0033】
また、本発明は、導入、注入または噴霧するためのこのような装置であって従来技術の欠点を克服してより具体的には液体複合物の噴霧を改良できる装置を実施するための方法に関する。
【0034】
本発明によれば、この目的は、実施方法が蒸発チャンバにおける液体複合物または上記溶液と関連する少なくとも1つの注入器における注入頻度及び/または開放継続期間の選択的な制御を少なくとも備えるという事実によって達成される。
【0035】
本発明の改良において、少なくとも1つの注入器の開放継続期間は、蒸気注入器の2つの連続する開放間に混合チャンバに導入された液体複合物または溶液の全量が蒸発チャンバに移送されるように制御されている。
【0036】
例えば、上記注入器における開放頻度及び/または継続期間は、上記注入器の2つの連続する開放間に混合チャンバに導入された液体複合物または溶液の全量がエアゾール状で放出されるように一連の注入パルスにおいて制御されている。
【0037】
上記液体複合物または上記溶液を上記混合チャンバに周期的に注入するための混合チャンバの第1注入口の上流に配置された少なくとも1つの注入器の開放頻度及び/または継続期間は、液体複合物または溶液が上記混合チャンバに一連の注入パルスで導入されるように制御されていてもよい。
【0038】
好ましくは、注入装置の排出口に配置された蒸発チャンバの圧力は、混合チャンバの圧力よりも低く維持されており、混合チャンバの圧力は、混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入前において液体複合物または溶液の圧力よりも低い圧力で維持されている。
【0039】
また、キャリアガスと液体複合物または溶液との間の圧力の差を混合チャンバへのそれぞれの導入前において制御することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
他の利点及び特徴は、非限定的な例を用いて得られかつ添付の図面において現される本発明の具体的な実施形態の以下の説明から明確になるだろう。
【0041】
図1に示される具体的な実施形態において、蒸発装置は、キャリアガス2及び液体3を導入するための装置1であって液体3の蒸発を可能にすることを目的とするチャンバ4の上側部分に接続される装置1を備える。液体の用語は、1以上の液体混合物または1以上の溶解された固体、液体または気体の混合物を含む溶液を示す。
【0042】
蒸発装置は、化学気相成長(CVD)装置、原子層堆積(ALD)装置、分子気相成長(MVD)装置、気相化学反応(vapour-phase chemical reaction)装置、基板上への気相再凝結(vapour recondensation)のための装置または混合物もしくは前駆体の液体の蒸発に起因する気相を用いる任意の他の処理チャンバの蒸発装置であってもよい。このため、液体3は、蒸発される要素の前駆体または上記要素のいずれであり、これは、溶液中で純粋でありまたは溶媒に溶解される。また、蒸発チャンバ4は、サーモスタット制御された筐体であって単に液体3の蒸発を対象とした筐体であり、その下側部分によって処理または堆積チャンバに接続されている。蒸発チャンバ4は、上記処理チャンバである。蒸発チャンバの構造は、任意の既知のタイプからなり、液滴の蒸発を可能とする加熱手段及び加圧手段を備える。
【0043】
導入装置1は、それぞれが液体3及びキャリアガス2を収容するタンク5及び6であってそれぞれ導管または供給ライン7a及び7bによって混合チャンバ10の第1及び第2注入口8及び9に接続されているタンク5及び6を備える。液体3のタンク5は、同様に駆動ガスと称される加圧ガス12のタンク11に接続されており、タンク5の上側部分を介した加圧ガス12の導入を可能とする。加圧ガス12は、タンク5内で高圧P1、より具体的には混合チャンバ10の圧力よりも高い圧力をタンク5内で維持可能とする。加圧手段は、部分的に図1の加圧手段と全く一致している参照符号を使用する図20A及び図20Bに示すように、液体駆動圧力の非常に精密な制御を可能とする。
【0044】
図20Aのダイアグラムにおいて、調節手段120は、液体3を駆動する圧力の調節のためのアルゴリズムを実行するための計算手段121であって測定圧力Pmmes及び圧力設定値または制御値Pcに基づく計算手段121を備える。これら手段121は、タンク11及びタンク5の間の経路に配置された比例バルブ122の開放を調節する。バルブ123は、例えば真空ポンプ(図示略)に接続された漏洩ライン125に配置されている。圧力検出手段124は、手段121に2つのタンク11及び5間を接続するラインで測定された圧力値Pmmesを供給する。
【0045】
図20Bのダイアグラムにおいて、調節手段130は、液体3を駆動する圧力の調節のためのアルゴリズムを実行する計算手段131であって測定圧力Pmmes及び圧力設定値Pcに基づく計算手段131を備える。これら手段131は、例えば真空ポンプ(図示略)及びタンク11及び5間に配置されたメインラインに接続されるライン129に配置された比例バルブ126の開放を調節する。漏洩バルブ128は、例えば手動で制御可能であり、これと同一のメインラインに配置されている。圧力検出手段127は、手段131にバルブ126とライン129及びメインラインの間の接続点との間のライン129で測定圧力値Pmmesを供給する。この圧力Pmmesは、このためメインラインの圧力と等しい。
【0046】
また、混合チャンバ10は、単一の排出口を介した混合チャンバ10の内容物の周期的な注入を目的とした注入器14の注入口に接続された排出口13を備える。このため、混合チャンバ10がキャリアガス2及び液体3の双方を収容すると、注入器14は、蒸発チャンバ4に向けてキャリアガス2及び液体3の液滴を注入する。したがって、注入器14は、混合物注入器と称される。しかしながら、混合チャンバ10がキャリアガスのみを収容する場合、キャリアガスのみが、蒸発チャンバ4に注入される。
【0047】
液体3混合チャンバ10への導入は、任意のタイプの手段を用いて行われる。より具体的には、液体3は、同様に液体注入器と称されて混合チャンバ10の第1注入口8の上流に配置された注入器15aを用いて混合チャンバ10内に周期的に導入される。
【0048】
別の手段において、液体3は、例えば「質量流量制御器(Mass Flow Controller)」または液体の質量流量を調節するための装置151であって噴霧ノズル150と関連付けられた装置151を用いて混合チャンバ10に連続的に導入されてもよい(図21A)。この装置151は、バルブ(図21Aで示されていない)を備えている。この場合、液体流量を変化させることは、Cv(「流動係数(flow coefficient)」)及びバルブの下流における液体の圧力を変更する上記バルブの状態を変更することを意味している。噴霧ノズル150の幾何形状の特徴は、好ましくは装置のための所望の液体流量の範囲において、バルブによって構成された絞り部の下流における液体の圧力が混合チャンバ10の圧力よりも高くなるように構成されている。このような装置は、非常に精密な圧力調節を必要としない。
【0049】
さらに別の代替法において、液体は、同様に液体のための「質量流量計(Mass Flow Meter)」または質量流量を測定するための装置161であって制御可能なバルブを有さず流量測定Qmmesを形成して噴霧ノズル160と関連付けられた装置161を用いて連続して導入される(図21B)。この場合、液体の流量を変化させることは、それに付与される駆動圧力を変更することを意味する。その上、この場合、噴霧ノズルの直径は、所望の液体流量範囲に準じて構成されている。調節手段は、液体3の流量の調節のためのアルゴリズムを実行する計算手段であって測定された流量Qmmes及び流量設定値または制御値Qmcに基づく計算手段を備える。これら手段170は、タンク11及びタンク5の間の経路に配置された比例バルブ172の開放を調節する。バルブ173は、例えば真空ポンプ(図示略)に接続される漏洩ライン175に配置されている。液体の流量の調節は、比例バルブ172を制御することひいては液体の加圧によって実行される。
【0050】
したがって、代替の実施形態において、液体3は、チャンバに導入される液体3の流量が例えば混合チャンバ10の第1注入口の上流に配置された比例バルブまたは流量を調節するための装置を用いて調節されながら、混合チャンバ10に連続的に導入されてもよい。
【0051】
混合チャンバ10へのキャリアガス2の導入は、同様に任意のタイプの手段によって実行される。より具体的には、キャリアガス2は、タンク6及び混合チャンバ10の第2注入口9の間に配置された圧力調節器16を用いて混合チャンバ10に連続して導入される。圧力調節器16は、好ましくは混合チャンバの第2注入口の上流においてキャリアガスを蒸発チャンバ4の圧力よりも高い圧力Pgで維持することを目的としている。
【0052】
また、キャリアガスの主流量及び/または瞬間的な排出速度を測定するための手段とキャリアガスをあらかじめ加熱するための手段とは、第2注入口9の上流に配置される。しかしながら、ガス供給ラインにおける圧力の突然の変化は、混合物注入器14が開放しているときに現れる。圧力調節器16単独では、常にこれを満足に克服することができるわけではなく、その結果キャリアガスの流量の測定が同時に実行されると問題を提示する。実際には、「質量流量計」または「質量流量制御器」のような流量測定手段は、圧力が十分に安定されていないと、流量の不正確な測定をもたらしうる。この現象を避けるためまたは少なくとも制限するため、流量計の下流において混合チャンバ10の容量よりも非常に大きいバッファ容量であって混合物注入器14の開放に起因する圧力の変化を制限することを目的としたバッファ容量を用いることができる。
【0053】
また、混合チャンバ10内に収容されているガス容量は、混合チャンバ10内に収容されている液体3の容量よりも非常に大きいことが好ましい。
【0054】
制御ユニット17は、それぞれが注入器14及び15aの開放及び閉塞を制御することを目的とした制御信号A0及びAaを提供する。制御信号は、二値論理制御信号であることが好ましい。
【0055】
蒸発チャンバ4に導入されるキャリアガス2の流量は、注入される混合物の配合、特に混合チャンバ内にある液体の量、混合チャンバ10及び蒸発チャンバ4の圧力状態下における混合物注入器14の静的流量、制御期間中における注入器14の開放の合計継続期間及び注入器14の注入頻度に依存する。
【0056】
また、導入装置の温度は、水もしくは熱伝達流体の循環によってまたは装置の構成要素、特に混合チャンバ及び注入器の周囲に空気を吹き付けることによって制御されうる。このような導入手段の温度を制御するための手段は、蒸発チャンバ4の上側部分、特に混合物注入器14のノズルとの接続点の近傍における温度を蒸発チャンバ4の温度にできるだけ近い値で維持することを可能とし、例えば混合物注入器のコイルなど混合物注入器及び混合チャンバ10の効果的な冷却を実行する間、気化した生成物の再凝集を防止する。空気を用いた冷却は、注入器及び混合チャンバにわたって吹き付けるファンを用いて実行され、注入器及び混合チャンバは、2つの半殻セクション(half-shell sections)からなるラジエータであって注入器及び混合チャンバを収容して例えばアルミニウムのような熱伝導材料で形成されたラジエータ内に収容されている。
【0057】
これにより、キャリアガス及び液体の混合物の同時かつ注入器14の同一の排出開口を介した蒸発チャンバ4への導入によって、液体と共に同時に注入されたキャリアガスが分散突風(dispersing blast)効果を液体にもたらすため、非常に微細な液滴が得られる。これらの平均直径は、従来技術における導入装置の手段によって注入された液滴の直径よりも非常に小さく、キャリアガス及び液体は、蒸発チャンバに分離して導入される。また、液滴のサイズの分布は、従来技術の導入装置によって得られる液滴のサイズの分布よりも狭い。このため、本発明における導入装置は、液的の注入を改良することを可能とする一方、混合チャンバ内の圧力がこれら装置で一般に実行される液体駆動圧力に相当すると同時に混合物注入器の排出口における液滴の平均速度は、従来技術における装置によって注入された液滴のために観測される液滴の平均速度に相当する。このため、蒸発運動は、著しく改善され、未だ蒸発されていない液滴及び蒸発チャンバの加熱された壁部の間の接触の危険性は、十分に低減される。したがって、従来技術における導入装置とは異なって、本発明における導入装置によれば、蒸発チャンバの臨界サイズを低減することが可能となる。臨界サイズなる用語は、注入された液滴が蒸発チャンバの壁部に達する前に完全に蒸発するために必要な最小サイズを示す。そして、液滴の蒸発は、蒸発チャンバの壁部との接触なく制限された容積の中で実行され、微粒子の変形及び蒸発チャンバへの付着の危険性は、制限されたままとなる。
【0058】
さらに、導入装置は、キャリアガス2を直接蒸発チャンバ4にかつ好ましくは注入器14の近傍に導入するための追加の手段を備えてもよい。このため、図22に示されるように、それは、蒸発チャンバ4に直接接続されたキャリアガスを注入するための第2ライン7b1を備える。蒸発チャンバへのキャリアガスの直接的な導入は、例えばガスの流量を調節する流量制御器などキャリアガスの流量を制御するための手段70によって質量流量が制御されながら、連続的となる。また、専用のラインによる蒸発チャンバへのキャリアガスの導入は、蒸発チャンバ4への所定またはそうでない量のキャリアガス2の周期的に注入することを目的とした注入器14’を用いて実行される。双方の場合において、キャリアガスの直接注入のための手段は、流量を測定するための手段及び/または蒸気流量を調節するための手段を備えてもよい。
【0059】
また、本発明における装置は、上述した注入ヘッドのような複数の注入「ヘッド」を備えてもよく、ヘッドそれぞれは、混合チャンバ10、混合物注入器14及び液体注入器15aを備え、他の注入「ヘッド」は、単一の蒸発チャンバ4に配置されている。このような構成は、図23に示されており、2つの混合物注入器14a、14bそれぞれは、混合チャンバ10a、10bと関連付けられ、それぞれ液体注入器15a、15bによって液体が供給される。チャンバ10a、10bの少なくとも一方は、図2から図4のように複数の注入器によって、または図24のように注入器及びバルブの組み合わせによって供給されてもよい。回路または制御手段17’は、さまざまな注入器15a、15b、14a、14bの開放を制御する。図20Aから図21Bを参照した上述の特徴は、液体供給ラインそれぞれに適用されうる。
【0060】
導入装置は、すでに述べた実施形態、特に蒸発チャンバへの単一の液体または複数の液体の導入に限定されない。このため、図2において、導入装置1は、混合チャンバ10へそして蒸発チャンバ4へ導入されることを目的とした追加の液体19を収容するタンク18をさらに備える。追加のタンク18は、導管20によって混合チャンバ10の追加の注入口に接続され、追加の注入器15bは、混合チャンバ10の追加の注入口の上流に配置されている。注入器15bによって、混合チャンバ10への追加の液体19の例えば周期的な注入が可能となる。追加の液体19は、例えば混合チャンバ10及び注入器14を洗い流すまたは液体3を希釈することを目的とした溶媒であってもよい。第2液体19を用いてチャンバ10及び注入器14を濯ぐ場合において、注入器15bは、連続的に操作することが好ましい。他の可能性のある応用、すなわち液体3を希釈する場合において、注入器15bのパルス操作は、実行される。
【0061】
1以上の追加の液体を用いた他の可能性のある応用は、チャンバ4において異なる材料の層の交互堆積(多層)または複数要素の材料の堆積である。また、この応用は、特に図23またはその代わりの手段の1つにおいて上述したように、同一の蒸発チャンバの2つの異なる注入ヘッドによって可能となる。
【0062】
また、バルブ22aを備える追加の導管21は、タンク18とタンク5から混合チャンバ10に液体3を移送することを目的とした導管7aとの間に配置されており、上記導管及び注入器15aを洗い流す。導管7aには、導管7a及び21の接続点とタンク5との間に配置されたバルブ22bが設けられている。このため、バルブ22bによって、洗い流し操作にタンク5を隔離することが可能となる。また、タンク5と同様に、追加の液体19を収容しているタンク18は、加圧ガスタンク23に接続されており、制御回路17は、注入器15bの開放及び閉塞を制御する好ましくは二値理論信号である制御信号Abを供給する。
【0063】
また、混合チャンバ10及び注入器14を濯ぐことは、本発明の他の実施形態である図24の装置のような装置を用いて実行される。この図において、参照符号V1からV3は、「オンオフ」バルブを示している。バルブV1は、前駆体液供給ラインに配置され、バルブV3は、濯ぎ溶媒供給ライン7a1にある。このライン7a1は、チャンバ10に至る。濯ぎ段階において、前駆体液供給バルブV1は、まず閉塞され、バルブV2は、開放され、バルブV2は、2つのライン7a及び7a1を接続するラインに配置され、濯ぎ溶媒は、前駆体液専用のライン7aと連絡する。液体及び混合物の注入器は、前駆体液ライン7aの濯ぎを完了することを確実にすることに十分に長い時間パルスモードで操作する。そして、バルブV2は、閉塞される。前駆体液及び混合物の注入器15a、14は、前駆体液ライン7aに溶媒がなくなるまでパルスモードで操作し続ける。そして、バルブV1は、開放し、前駆体液ライン7aを再準備する。この段階において、液体注入器15aは、もはや作動されていない。液体注入器15aは、閉塞状態を保つ。そして、バルブV3は、開放され、混合チャンバ10を洗浄し、そして閉塞される。混合物注入器14は、混合チャンバ10に導入された溶媒が完全に排出されるまでパルスモードで動作し続ける。
【0064】
図3に示す他の特定の実施形態において、導入装置には、混合チャンバ10の上流に配置された3つの注入器15a、15b及び15cが設けられている。3つの注入器15aから15cは、同様に液体注入器と称され、3つの異なる液体の混合チャンバ10への周期的な注入を可能とする。また、導入装置1は、同様に混合物注入器と称されて混合チャンバの排出口に配置された注入器14を備える。注入器14によって、混合チャンバ10の内容物、より具体的にはキャリアガスと1以上の液体の液滴との混合物の蒸発チャンバ4への周期的な導入が可能となる。制御回路17は、注入器15a、15b、15c及び14の開放及び閉塞を制御する制御信号Aa、Ab、Ac及びA0それぞれを供給する。
【0065】
キャリアガス2は、例えば同様にキャリアガス注入器と称されて混合チャンバ10の第2注入口9の上流に配置された追加の注入器24を用いて混合チャンバ10に周期的に導入される。追加の注入器24の注入口は、導管7bの排出口に接続されている。また、制御回路17は、上記注入器24の開放及び閉塞を制御する制御信号Agを供給する。この注入器は、図3を参照して説明される。また、これは、図1、図2や以降の装置において使用されうる。
【0066】
このような装置を実行する適用例は、以下のとおりである。図25Aから図25Dに示されるようなさまざまな注入器の一連の制御によって、(液体の導入時における液体及び混合チャンバの間の圧力差がより大きい)混合チャンバに前駆体をより細かく噴霧すること及び二相の混合物を混合チャンバ10から蒸発チャンバ4に移送した後にチャンバ10を乾燥することが可能となる。そして、混合チャンバ内における前駆体液の蓄積の危険性は、キャリアガスの流量を増大させることなく低減される。図25A、図25B及び図25Cには、注入器14、15及び24を開放するための制御A0、Aa及びAgが示されている。シーケンスは、液体注入器15の開放から始まる。この注入器が閉塞されると、ガス注入器24は開放する。ガス注入器24の動作中において、混合物注入器14は、開放して混合物をチャンバ4に漸次導入する。そして、この注入器14は、注入器24が先立って閉塞している間に閉塞される。図25Dは、事前混合チャンバ10内の圧力を示しており、この圧力は、さまざまな段階にしたがってチャンバ10の初期圧力P0から変化する。第1段階Iは、液体をチャンバに導入する(注入器15の開放継続期間と一致する)段階であり、第1段階Iは、二相の混合物を形成する(注入器24の開放から開始する)段階IIであって混合チャンバの加圧に相当する段階IIと、2相の混合物をチャンバ4に移送する(注入器14の開放を注入器24の閉塞まで延長する)段階IIIと、混合チャンバを乾燥する(注入器14の閉塞と一致する)段階IVと、に続かれる。チャンバ10の最大圧力PGは、ガス注入器24の開放のすぐ後に段階IIで到達され、キャリアガスの圧力と同等となる。
【0067】
同様の制御シーケンスは、図2または図3のような複数の液体注入器15a、15b、15cを備える混合チャンバの場合において適用されうる。この場合、さまざまな液体の注入(制御Aa、Ab、Ac)は、注入器14(A0)または24(Ag)の開放と同時に実行されない。
【0068】
図4に示す代替の実施形態において、混合チャンバ10へのキャリアガスの導入は、それぞれ2つのキャリアガス導入器27及び28の注入口に接続される2つのキャリアガス導管、すなわちライン25及び26を用いて実行される。そして、注入器27及び28それぞれの排出口それぞれは、混合チャンバ10の注入口9と対応する排出口の単一の導管7bに接続される。また、導管25及び26には、それぞれ対応する注入器の上流に配置された圧力調節器29及び30が設けられている。
【0069】
混合チャンバにキャリアガスを導入するためのこのようなシステムによって、特に混合チャンバ10の上流においてキャリアガスを2つの異なる所定圧力で保持することが可能となる。例えば、キャリアガスは、導管25内において、蒸発チャンバ4の圧力よりも高く注入器15a、15b及び15cによって注入されかつそれらそれぞれのタンク内に収容されることを目的とした液体の圧力P1よりも低い圧力Pg1で保持されている。導管26において、キャリアガスの圧力Pg2は、キャリアガスの圧力Pg1を越えて任意で液体の圧力P1の中で最高のもので維持される。このため、初期の液体の圧力P1が5barに等しいので、キャリアガスは、導管25内で3barに等しい圧力Pg1で、導管26内で8barに等しい圧力Pg2で維持される。
【0070】
図23を参照した上述の構成は、注入された液体と事前に混合するためのチャンバを備え、図2から図4を参照して上述された構成(事前チャンバ10、混合物注入器14及びこの事前チャンバ10にある2または3つの液体注入器15a、15b、15cなど)を超えて、2つの異なる液体前駆体を少なくとも凝縮相においてこれらの間で化学反応の危険性なく使用することが可能となるという有利点をもたらす。前駆体間の化学反応の危険性が存在しない場合、または逆に前駆体液間の化学反応が望ましい場合、チャンバ、混合物注入器及び同一チャンバにある2または3つの液体注入器を有する構成は、適しておりかつ経済的に好ましい解決法である。
【0071】
また、制御回路17は、それぞれが図4の注入器14、15a、15b、15c、27及び28の開放及び閉塞を制御することを目的とした制御信号A0、Aa、Ab、Ac、Ag1及びAg2を供給する。制御信号は、二値論理制御信号であることが好ましい。例えば、図5から図8は、制御信号A0、Ag1、Ag2及びAaを時間の関数として変化させるための特定のモードであって注入器15b及び15cが非作動とみなされこれにより表されている全期間中閉塞している特定のモードを示す。初めに、注入器27は、開放している(図6)一方、他の注入器28(図1)、15a(図8)及び14(図5)は、閉塞している。そして、混合チャンバ10の圧力は、キャリアガスPg1の圧力と一致する。このため、注入器27は、液体の全量が注入器15aによって混合チャンバ10に導入される期間T1の間中、開放されたままとなる(図8)。そして、液体は、期間T1の終了前にT1よりも短い期間T2の間において混合チャンバに導入される一方、他の注入器14及び28は、閉塞されたままである。注入器27を閉塞した後、混合チャンバ10は、期間T3の間中に注入器28の開放によって加圧される。注入器28が開放した後、混合チャンバ10内の圧力は、好ましくは液体の圧力Pg1及び圧力P1よりも高い圧力Pg2と等しい。そして、混合チャンバに収容されたキャリアガス及び液体の混合物は、注入器14を開放すること(図5)及びほとんど同時に注入器28を閉塞すること(図7)によってそして注入器27を開放することによって(図6)蒸発チャンバに注入される。液体注入器の開放の後かつ注入器の次の解放前に複数の注入器14の開放を行うことは、液体注入器の2つの開放間で注入器14を開放することの全継続期間が例えば5msなど1ms以上であれば、可能となる。そして、蒸発チャンバへの混合物の注入は、注入器14を閉塞する一方、注入器27を開放したままとすることによって停止される。得られた例は、注入器15a、15b、15cなどによってこの方針を注入器それぞれに適用することで注入された複数の液体に一般化される。例えば、制約を課し、それによって2つの注入器が同時に開放しないことが可能となる。
【0072】
このようにさまざまなキャリアガスの圧力Pg1及びPg2並びに液体の圧力P1の入念な選択と関連された制御シーケンスによって、蒸発チャンバ内の二相の混合物の噴霧をさらに改善する一方、適度なキャリアガスの流量を維持することが可能となる。
【0073】
他の特定の実施形態において、混合物注入器14の制御信号A0は、所定の継続期間を有するパルスであってもよく、液体の全量が第1注入器14の2つの連続した開放間で導入されて蒸発チャンバに移送されることを可能とする。図9及び図10に示す一例として、混合チャンバ10へあらかじめ導入された100mgの液体は、キャリアガスと共にパルスにおいて蒸発チャンバ4に注入される。混合物の注入は、混合チャンバ10の排出口に接続される混合物注入器14を用いて実行される。注入器14の瞬間的な排出量を測定するための手段によって、それぞれ瞬間的な排出量に対する蒸発チャンバ4へ注入される混合物に含まれる流動部分の蓄積量を表す曲線A及びBが主として得られる。注入器14(図10)の制御パルスを表す曲線A及びB(図9)並びに曲線Cは、注入器14の開放継続期間tinj(A0)が注入器14の解放前に混合チャンバへ導入されるすべての液体の蒸発チャンバへの移送を確実にするのに十分長いことを示している。実際には、t=5msにおいて、すべての液体は、蒸発チャンバへ移送される一方、注入器14の開放継続期間は、6.5msのオーダーである。
【0074】
注入器14の開放継続期間のこの状態ないと、混合チャンバ内の液体量は、次第に増加し、噴霧の品質は、そこから劣化する。また、この場合において、混合チャンバへ導入される液体の流量は、実際に蒸発チャンバに導入される流量ともはや一致しない。そして、混合チャンバの下流における液体の流量を測定または制御することによって蒸発装置を制御することは、困難である。
【0075】
さらに、使用される注入器は、開ループまたは閉ループ内で制御されうる。複数の液体及び混合物の注入器が使用されると、上記注入器は、決して同時に開放しないように制御される。また、装置は、注入器それぞれから出る液体の流量を測定するための手段を備える。異なる注入器が開ループ内で制御される場合、すなわちパルス制御の周期的な繰り返しがある場合、キャリアガスの圧力並びに混合チャンバに導入される液体の駆動圧力及び混合チャンバ10の温度は、蒸発チャンバ内及びその構成において作り出される蒸気量の再現性を確実にするように制御される。また、注目は、液体が混合チャンバに移送されることを可能とする導管の準備的なガス抜きの品質に集まる。
【0076】
混合物注入器14の開放継続期間が十分な場合、混合チャンバ10の上流に配置された注入器の閉ループ制御は、混合チャンバ10ひいては蒸発チャンバに導入される液体の流量を制御することによってこれら困難を克服することが可能となる。一例として、図11に示すように、例えば図1に示されるような液体注入器15aは、閉ループで制御され、注入器15aの排出口における平均流量を実質的に一定に維持する。したがって、制御回路17は、調節される流量を示す信号Qmmes(Aa)及び設定値信号Qmc(Aa)それぞれの制御のための2つの注入口31、32を備える。注入口31は、例えば注入される液体のための導管に配置された流量計の排出口(図示略)に接続されている。設定値Qmc(Aa)及び測定された流量値は、例えばPID(比例−積分−微分)訂正器、より具体的には少なくとも以下のパラメータ、すなわち注入頻度Finj(Aa)及び開放継続期間tinj(Aa)を計算するRST訂正器などを有する訂正ユニット33によって処理される。そして、これら制御パラメータは、注入器15aの制御電圧(制御信号Aa)を発生する注入制御ユニット34によって管理され、平均測定流量Qmmes(Aa)は、流量設定値Qmc(Aa)に収束する。これにより、平均注入流量は、流量Qmmes(Aa)の測定に基づいた所定設定値に調節される。
【0077】
一般に、所定の注入頻度Finj(Aa)、Finj(Ab)、…Finj(Ai)を用いた1以上の注入器15a、15b、…15iによって混合チャンバ10に注入される液体の流量の調節は、注入器15a、15b、…15iの開放継続期間tinj(Aa)、tinj(Ab)、…tinj(Ai)を調節することによって行われうる。
【0078】
単純な構成において、注入器14は、開ループ内で制御される。
【0079】
一例として、図12から図14それぞれは、混合チャンバ10の上流に配置された2つの注入器15a及び15bと混合チャンバ10の排出口に配置された混合物注入器14とを備える導入装置における時間の関数としての注入器14、15a及び15bの制御信号A0、Aa及びAbの変化を示している。
【0080】
図12から図14は、使用される記録を示している。すべての注入器14、15a及び15bに共通する開始時間は、開始時間が最初に開放される注入器の最初の開放に常に先行するように選択されている。そして、タイムラグdt(A0)、dt(Aa)及びdt(Ab)それぞれは、上記開始時間と関連する注入器の最初の開放との間で経過する時間として規定されている。図12から図14において、記録1/Finj(A0)、1/Finj(Aa)及び1/Finj(Ab)は、制御信号A0、Aa及びAbの期間である一方、tinj(A0)、tinj(Aa)及びtinj(Ab)は、これら制御の期間それぞれの間における注入器14、15a及び15bの開放継続期間を示す。
【0081】
したがって、図12から図14は、注入器15aまたは15bの少なくとも1つがすでに開放していない場合、注入器が開放しない特定の形態を示す。
【0082】
注入頻度のバルブの特定の状態なく、それぞれの注入器14、15a、15b、…15iのラグタイム及び開放継続期間は、混合チャンバ10の上流に配置された注入器15a、15b、…15iの少なくとも1つが開放すると開放する危険がある。また、液体の流量が所定の開放継続期間で調節される場合、測定された流量及び流量設定値の間の偏差を最小にするために注入頻度が調節されるようなことがあってもよい。
【0083】
注入器の制御方法は、必要に応じて、例えば液体注入器15hが他の液体注入器15kと同時にまたは混合物注入器14と同時に開放することを避けるように改良されてもよい。そして、2つの注入器15h及び15kを制御するためのパラメータの追加の制約は、必要とされる。以下の表は、注入器15hまたは15kの一方の制御期間が注入器15kまたは15hの他方の多様な制御期間である2つの注入器15h及び15kについてのこの一例を提供している。
【0084】
【表1】
【0085】
Eは、フロア関数(floor(x)は、x以下の最大の整数)である。
【0086】
一般的な場合、注入器制御期間に関連する状態は、より制限されていない。好ましくは、制御期間それぞれは、多様な同一期間T、すなわち1/Finj(Ah)=mTであり1/Finj(Ak)=nTである。しかしながら、この場合において、確認されなければならずかつラグ時間、開放継続期間及び制御期間と関連する複数の状態は、n及びmに依存する。この状態の数は、一般に非常に多くなる。
【0087】
これら状態は、制限されておらず、所望の制御方法にしたがう他の制約によって補完されてもよい。例えば、注入器15aまたは15bの少なくとも一方がすでに開放しているときに注入器14が決して開放しないように、注入器14は、注入器15a及び注入器14が注入器15bのように同時に開放されないように、同時に開放しない。したがって、上で示された表と同様の2つの状態の表であって注入器14及び15aの間と注入器14及び15bの間との2つの状態の表は、照合される。
【0088】
他の実施形態において、注入器14を開放するためのパルスA0は、一続きまたは一連のパルスによって置換されてもよく、パルス列の頻度及び/またはパルス列の期間に対する注入器14の全開放継続期間は、2つの連続する注入器14の開放間に混合チャンバ10に導入される液体の全量が蒸発チャンバ4に移送されるように制御されうる。このため、一連のパルスに対する注入器14の累積された開放継続期間は、常に注入器14の開放前において混合チャンバに導入される全液体の蒸発筐体4への移送を可能とするのに十分である。
【0089】
図15及び図16に示される一例として、事前に混合チャンバ10に導入された100mgの液体は、混合チャンバ10の排出口に接続された注入器14を用いて、一連の3つのパルスでキャリアガスと共に蒸発チャンバ4に導入される。注入器14の瞬間的な排出量を測定するための手段は、主としてそれぞれ瞬間的な排出量及び蒸発チャンバ4に注入される混合物に含まれる液体部分の累積量を表す曲線D及びEを得ることを可能とする。曲線D及びE(図15)並びに注入器14の制御のための一連のパルスを表す曲線F(図16)は、注入器14の開放継続期間tinj1(A0)、tinj2(A0)及びtinj3(A0)が注入器14の開放よりも前に混合チャンバに導入される液体のすべてが蒸発チャンバに移送されることを可能とするのに十分長いことを示している。実際には、t=6msにおいて、全液体は、連続する量Δm1、Δm2及びΔm3で蒸発チャンバ4に移送される。このため、液体の蒸発チャンバへの導入に寄与される注入器14のパルスそれぞれは、開放継続期間の特定の選択の場合を除いて、独立してかつ一般的に異なって、すなわち蒸発チャンバに導入される液体量が異なる(Δm1≠Δm2≠Δm3)。これにより、液体量の一部が蒸発され、その吸入を改善することが可能となる。混合物注入器の開放にわたって液体/ガス比は、減少し、これによって液体の噴霧は、混合物注入器の開放それぞれにおけるキャリアガスの吹き込みの積極的な影響に関連して次第に最適化される。
【0090】
図17において、キャリアガス及び液滴の混合物を注入することを目的とした注入器14は、一連の4つのパルス(制御信号A0)によって制御される一方、図18及び図19それぞれは、混合チャンバの上流に配置された2つの注入器15a及び15bの制御信号Aa及びAbの変化を時間の関数として示す。
【0091】
このため、注入器14の一連のパルスは、頻度F(A0)及びラグタイムdt(A0)で規定される。1/F(A0)は、2つの一連の連続するパルスの2つの立上り最前部(front)間のタイムインターバルと対応する一方、dt(A0)は、すべての注入器に共通する開始時間と最初の一連のパルスの最前部との間のインターバルに対応する。また、注入器14の開放継続期間は、それぞれ連続する4つのパルス、すなわちtinj1(A0)、tinj2(A0)、tinj3(A0)及びtinj4(A0)の間である一連のパルス内において、一連の2つの連続するパルスの立下り最前部及び立上り最前部の間のラグタイム、すなわちδ(A0、1)、δ(A0、2)及びδ(A0、3)のように、規定されている。
【0092】
制御信号Aa及びAbそれぞれは、注入器15a及び15bそれぞれの注入頻度Finj(Aa)及びFinj(Ab)によって、開放継続期間tinj(Aa)及びtinj(Ab)によって、及びラグタイムdt(Aa)及びdt(Ab)によって、規定される。注入器15a及び15bそれぞれのラグタイムdt(Aa)及びdt(Ab)それぞれは、すべての注入器に共通する開始時間と注入器15a及び15bの最初のパルスの立上り最前部との間のインターバルに対応する。
【0093】
上述のように、複数の代替法の制御は、可能である。混合チャンバの上流に配置された注入器は、開ループまたは閉ループ内で制御され、開放継続期間または頻度は、調節制御である。注入器14は、開ループで制御されもしくは混合チャンバ10の上流に配置された注入器15a、15b、15cの1つの前方における制御と同期され、または閉ループで制御されており、キャリアガスの流量を精密に調節する。
【0094】
他の調節モードは、可能である。このため、液体の流量及びキャリアガスの流量を液体注入器及び混合物注入器の特定の制御によって同時に制御することを可能とする閉ループ調節システムを実施することが可能となる。図26は、このタイプの装置を示しており、装置は、訂正のための手段すなわちユニット33、混合物注入器を制御するための手段すなわちユニット34a及び液体注入器15aを制御するための手段すなわちユニット34bを備える。マイクロプロセッサ手段35は、制御方法を記録している。手段33は、質量流量Qm情報、注入された液体の流量の測定の情報(Qmmes(A0)、Qmmes(AA))またはこれら流入された液体流量についての設定値(Qmc(A0)、Qmc(AA))を受ける。この情報及び手段35の制御方法情報に基づいて、これら手段33は、手段34a及び34bのための制御を作成する。主として、これら制御は、注入頻度関数Finj(A0)、Finj(Aa)と、開放継続期間tinj(A0)及びtinj(Aa)と、ラグタイムパラメータdt(A0)、dt(Aa)であって後者のパラメータがすべての注入器に共通な上記開始時間から経過した時間として規定されるラグタイムパラメータdt(A0)、dt(Aa)とを含む。
【0095】
一般的な場合において、流体の流量それぞれの調節は、独立していない。訂正手段33は、液体注入器の制御アプリケーションがキャリアガスの流量を有する影響及び、相互に混合物注入器の制御アプリケーションが前駆体液の流量を有する影響を考慮する。
【0096】
さらに、訂正手段33は、手段35によってもたらされる注入器のためのさまざまな制御方法を統合することができる。例えば、液体注入器の1つがすでに開放している場合に混合物注入器が開放することまたは他の液体注入器の少なくとも1つが開放している場合に液体注入器が開放していないことは、望ましくない。また、例えば強制的な注入頻度または注入器の開放継続期間で機能することは、望ましい。そして、手段33は、所定の関係を留意しながらさまざまなパラメータを矯正するまたは相互に関連付けるシステムの閉ループ調節を可能とする注入器の制御パラメータを算出する。
【0097】
さらに、例えばユーザによるガス及び液体流量の所望の設定値を制限する限定的な状態は、考慮される。一般に流体の物理化学的性質及び注入器ヘッドの特性に依存するこれら状態は、例えば混合チャンバが前駆体液で次第に充填される状況を防止する傾向があり、その結果流量の設定値は、キャリアガスの流量の設定値に対して非常に大きくなる。
【0098】
1つの液体注入器15aのみを有する導入装置からなる特定の場合において、この液体注入器の前で制御されている混合物注入器14の同期化は、混合物注入器が液体注入器と同時に開放しないことを確実にする限り、液体流量の閉ループ制御のための制御として注入頻度を用いることを可能とする。
【0099】
また、制御方法は、例えば、
− 混合チャンバ(15a及び15b)の上流に配置された注入器の少なくとも1つが開放すると、注入器14は、決して開放しないこと、
− 注入器14、15a及び15bは、同時に開放しないこと、
− 注入器14のパルス列は、注入器15aまたは15bの開放に常に続くこと、
− 注入器14のパルス列の少なくとも1つは、混合チャンバが液体を収容していないときに周期的に実行され、その結果蒸発チャンバで生成された一部のガス及び蒸気の圧力を調節するための正確な手段を構成すること、
で絞り込まれる。
【0100】
従来技術とは異なり、一連のパルスにおける多相混合物、すなわちキャリアガス及び1以上の液体の導入により、注入器14の開放及び閉塞それぞれについて、混合チャンバの上流に配置された注入器の静的流量(mg/パルス)よりも少量の液体を蒸発チャンバに導入することが可能となる。実際には、混合チャンバの上流に配置された注入器の静的流量の測定の制限は、3barオーダーの圧力差、0.5msのオーダーの開放継続期間及びオクタンの粘度と同等の粘度を有する流体について、一般に約0.2mg/パルスである。
【0101】
液体の注入が蒸発チャンバに直接実行される従来技術における導入装置を用いて、液体駆動圧力を十分に低くし、注入器の静的流量を低減することが可能となる。しかしながら、非常に迅速に、液体は、もはや蒸発チャンバにランダムに向けて霧状にされて液滴ごとに落下しない。したがって、調節されうる唯一の残りのパラメータは、非常に低い平均液滴流量を達成するため、液体注入器の制御期間である。しかしながら、この頻度は、閉ループ制御を困難とする1秒を越え、蒸発チャンバにおける蒸気の部分的な圧力の著しい変動に耐えることを可能としない。調節された制御方法を有する本発明における導入装置によれば、非常に低い平均液体流量に対して、蒸発チャンバにおける部分的な圧力変動を制限することが可能となる。
【0102】
本発明は、上述した実施形態に制限されない。例えば、混合チャンバ10の第1注入口8の上流に配置された少なくとも1つの液体注入器15aの開放頻度及び/または継続期間は、液体が混合チャンバ10に一連または一続きの注入パルスにおいて導入されるように制御されてもよい。また、蒸発チャンバ4の圧力は、好ましくは混合チャンバ10の圧力よりも低く維持されており、混合チャンバ10の圧力は、例えば混合チャンバ10への液体の導入前において液体の圧力よりも低い。最後に、液体それぞれの混合チャンバ10への導入前において、液体の圧力は、一様にキャリアガスの圧力と独立して調節される。しかしながら、導入装置は、例えば差圧センサを用いることによって液体の混合チャンバへの導入前における液体とキャリアガスとの間の圧力差を制御するための手段を備えうる。
【0103】
同一または同様の要素を示す前述の図の実施形態と全く一致して参照する図27から図30の実施形態は、さまざまな(混合物、ガス、液体の)流量の制御のための比例バルブまたは注入器を組み合わせることによって蒸発チャンバ4にガス/液体の混合物を注入することを可能とする。比例バルブ140(図28から図30)または注入器14(図27)は、混合チャンバ10及び蒸発器4の間に配置されている。
【0104】
図27及び図28の実施形態において、二相混合物は、注入器14及び比例バルブ140それぞれを用いて蒸発器4に注入される。注入器14は、パルスモードで動作する。参照符号10’は、チャンバ10に噴霧するための(任意の)手段を示す。バルブ140または注入器14を開放するための制御221は、液体流量計220を起源とする。制御221は、注入器14またはバルブ140の制御回路と例えばPIDまたはRSTアルゴリズムを用いて一体化している。制御回路は、例えばマイクロプロセッサを用いて、バルブ140または注入器14の制御221を算出し、バルブ140または注入器14の上流かつ液体及びキャリアガスが混合される地点(この混合点はチャンバ10である)の上流で測定される液体流量d1は、操作者によって選択された液体流量設定値Cdと同等となる。
【0105】
ガスの注入を制御するための手段は、キャリアガスの流量を制御するための手段160を備えてもよい。特定の実施形態によれば、キャリアガスの流量dgは、流量設定値Cgに基づいた調節流量計160によって制御されうる。この流量計は、例えばそれ自身の比例バルブ160’及び制御回路を備え、液体及びキャリアガスが混合される地点の上流に位置する。停止バルブ162は、キャリアガスの経路に配置されうる。緩衝容積163は、両者の場合において、ガスの経路に設けられている。参照符号211は、流量計からチャンバ10への経路にある(任意の)停止バルブである。
【0106】
これら図27及び図28の2つの実施形態において、溶液または液体複合物の注入のためのシステムを制御するための手段は、測定手段220及び制御221によって実現される。これら図27及び図28の実施形態は、例えば図20A、図20Bの構造と(キャリアガスが蒸発器4に直接注入される)図22の構造と図23及び図24の構造のうちの1つ及び/または他のものと適合する。
【0107】
比例バルブ140を用いる他の実施形態(図29及び図30)によれば、二相混合物は、蒸発器4に注入される。このバルブを開放するための制御161は、PIDまたはRSTアルゴリズム(マイクロプロセッサは流量計に実装されている)を用いてバルブ140の制御を算出するガス流量計160を起源とし、バルブの上流かつ液体及びキャリアガスが混合される地点(この混合地点はチャンバ10である)の上流で測定されたガスの流量dgは、操作者によって選択されたガスの流量設定値Cgと同等である。液体流量は、調節流量計220であってそれ自体の内部の比例バルブ220’及び制御回路を備える調節流量計220によって、それとも液体及びキャリアガスが混合される地点の上流にある液体流量計及び液体注入器の組み合わせによってのいずれかによって制御される。
【0108】
図30において、混合チャンバ10の上流に位置する注入器15aは、調節流量計220によって上で説明したようにCd及びdlの関数として構築される制御221’を用いて制御される一方、バルブ140は、上述のように制御される。
【0109】
これら図29及び図30の実施形態は、例えば図2、図3、図4、図20A、図20B、図22、図23及び図24の構造のうちの1つ及び/または他のものと適合する。
【0110】
これら図28、図29及び図30の実施形態は、蒸発器への連続的な注入のモードで操作する。
【0111】
これらは、二相混合物が蒸発器に連続的に注入されることを可能とする。
【0112】
本発明のために選択された実施形態にかかわらず、蒸発器4に導入されるキャリアガスの流量は、測定されうる。本発明のさらに他の実施形態によれば、(例えば超音波カウンタまたは気相クロマトグラフィで用いられる熱状態を測定するためのセルを用いて)蒸発器4の下流において排出される気体混合物における液体の蒸発に由来する蒸気濃度を測定することが可能となる。この測定は、操作者によって選択される設定値と比較されうる。この比較は、アルゴリズム(PIDまたはRST)が注入もしくは制御パラメータまたは混合チャンバ10に導入される液体の流量をリアルタイムで算出することを可能とし、濃度の読み取りは、設定値と同等となる。
【0113】
本発明における装置を用いた液体の噴霧のための優れた性能は、図31に示すように、本発明における液体注入器、少なくとも1つの混合チャンバ10及び混合物注入器14を備える組立体であって組立体が噴霧発生装置300を形成する組立体を形成する。このような装置は、「パイロソル(pyrosol)」または「噴霧熱分解(spray pyrolysis)」工程であって薄膜かそれとも微粒子を生成するためにエアロゾルを熱分解する工程からなる工程を実行する装置において使用されうる。図31において、参照符号は、大部分について図1の参照符号と全く一致しており、これにより同一または同様の対象を示している。本発明におけるエアロゾル発生装置は、これら上で説明された構成の任意の他の構成から作り出されてもよく、すなわち、チャンバ4は、削除されるが、他のすべての上述の構成、特に注入手段15a、14の開放を調節するための手段に関する構成が適用される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図2】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図3】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図4】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体化合物または溶液との混合物を導入するための装置の実施形態を示す図である。
【図5】図4に示す異なる注入器のさまざまな制御信号であってそれぞれA0、Ag1、Ag2及びAaである制御信号についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図6】図4に示す異なる注入器の制御信号Ag1についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図7】図4に示す異なる注入器の制御信号Ag2についての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図8】図4に示す異なる注入器の制御信号Aaについての特定の方法を時間の関数として示す図である。
【図9】蒸発チャンバに注入される瞬間的な排出量及び混合物の液体部分の累積量を時間の関数として示す図であって、図10に示す制御パルスA0及び以前の混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入後に続く図である。
【図10】制御パルスを示す図である。
【図11】本発明における装置の注入器を制御するための手段を示すダイアグラムである。
【図12】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図13】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図14】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図である。
【図15】蒸発チャンバに注入される瞬間的な排出量及び混合物の液体部分の累積量を時間の関数として示す図であって、図16に示す制御パルスA0及び以前の混合チャンバへの液体複合物または溶液の導入後に続く図である。
【図16】制御パルスを示す図である。
【図17】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図18】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図19】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための特定のモードを時間の関数として示す図であって、蒸発チャンバにキャリアガス及び液体の混合物を導入することを目的とする注入器の周期的な制御が4つの区別できるパルスからなるパルス列である図である。
【図20A】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図20B】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図21A】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図21B】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図22】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図23】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図24】本発明における蒸発チャンバにキャリアガスと液体複合物または溶液との混合物を導入するための装置の代替の実施形態を示す図である。
【図25A】本発明における装置の異なる注入器の制御信号A0を変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25B】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Aaを変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25C】本発明における装置の異なる注入器の制御信号Abを変化させるための他の特定のモードを示す図である。
【図25D】制御信号を変化させるためのモードにしたがって混合チャンバの圧力の時間にわたる変化を示す図である。
【図26】閉ループ制御を実行するための装置を示す図である。
【図27】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図28】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図29】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図30】本発明における装置の特定の実施形態を示す図である。
【図31】本発明における他の装置とその適用の1つとを示す図である。
【符号の説明】
【0115】
1 導入装置,装置、2 キャリアガス、3 液体複合物,溶液,液体,複合物、4 蒸発チャンバ,蒸発器,蒸発筐体、7a1,V1〜V3 溶媒供給ライン,ライン(濯ぐための手段)、7b1 導管,ライン(直接導入するための手段)、8 第1注入口,注入口、9 第2注入口,注入口、10,10a,10b 混合チャンバ,事前チャンバ,チャンバ、13 排出口、14,14a,14b,15,15a〜15c,24,27,28 注入器,注入手段,噴霧手段、14’ 注入器(直接導入するための手段)、17 制御回路,制御ユニット,制御手段、19 液体(追加の液体)、70 流量制御器(直接導入するための手段)、120,130 調節手段(溶液の駆動圧力を調節するための手段)、150 噴霧ノズル、151 装置(溶液の質量流量を調節するための手段)、160’ キャリアガスの流量を調節するための手段、160 比例バルブ,ガス流量計,噴霧ノズル(キャリアガスの流量を調節するための手段)、161 溶液の質量流量を測定するための手段、220 溶液の流量を測定するための手段、221’ 調節するための手段、Cd 流量設定値、dl,dg 流量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液との混合物を注入または噴霧するための装置であって、
当該装置は、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、
注入手段(14、14a、14b)を用いて前記液体複合物または前記溶液の注入または周期的な噴霧を制御する制御手段(17)と、
を備え、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための注入口は、前記キャリアガス(2)の吸入のための少なくとも1つの第2注入口(9)と前記注入または噴霧手段(14、14a、14b)の注入口に接続される排出口(13)とを備える少なくとも1つの混合チャンバ(10)の少なくとも1つの第1注入口(8)を構成し、
前記注入または周期的な噴霧は、前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)の液滴との混合物を注入または噴霧することによって、前記注入器または噴霧手段(14、14a、14b)の単一の排出口を介して行われることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の上流におけるガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための手段(220)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための前記手段(220)は、測定された流量(dl)を流量設定値(Cd)と比較するための手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
キャリアガスの流量を調節するための手段(160、160’)をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
キャリアガスの流量を調節するための前記手段(160、160’)は、測定された流量(dg)を流量設定値(Cg)と比較するための手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の少なくとも1つの前記第1注入口(8)の上流に配置された注入器または噴霧手段(15、15a、15b、10’)をさらに備え、
少なくとも1つの前記液体複合物または少なくとも1つの前記溶液(3)を前記混合チャンバ(10、10a、10b)に周期的に注入することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)は、複数の注入口と、複数の注入器または噴霧手段(15a、15b、15c、10’)と、を備え、
前記注入器または噴霧手段それぞれは、複数の前記注入口の1つの注入口の上流に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御手段(17)は、前記混合チャンバ(10)の前記注入口の上流に配置された前記注入器または噴霧手段を制御することを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
それぞれが少なくとも1つの前記第1注入口及び少なくとも前記第2注入口を有する複数の混合チャンバ(10a、10b)をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第1注入口(8)の上流において、前記混合チャンバ(10、10a、10b)に少なくとも1つの前記液体複合物または少なくとも1つの溶液(3)を連続的に導入するための手段(150、151、160、161)をさらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
連続的な導入の前記手段は、前記液体複合物または前記溶液の質量流量を調節するための手段(151)または測定するための手段(161)と、噴霧ノズル(150、160)と、をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流に配置された少なくとも1つの注入器(24)をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流に配置された少なくとも2つの注入器(27、28)をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流において前記キャリアガスを前記混合チャンバ(10、10a、10b)に連続的に導入するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の注入口を備える少なくとも1つの混合チャンバ(10、10a、10b)をさらに備え、
追加の液体(19)を前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
吸入の前記追加の注入口に接続される追加の注入器(15b)をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの前記注入手段(14、14a、14b、15、15a、15b、24、27、28)を開ループまたは閉ループで制御することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の駆動圧力を調節するための手段(120、130)をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
当該装置の温度を制御するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの事前混合チャンバ(10、10a、10b)を濯ぐための手段(V1からV3、7a1)をさらに備えることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
蒸発装置であって、
− 蒸発チャンバ(4)と、
− キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体もしくは気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液とを前記蒸発チャンバに注入するための装置と、
を備えることを特徴とする蒸発装置。
【請求項23】
前記キャリアガス(2)を前記蒸発チャンバ(4)に直接導入するための手段(7b1、70、14’)をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の蒸発装置。
【請求項24】
前記蒸発チャンバから出る蒸気濃度を測定するための手段と、
注入パラメータを測定された濃度及び設定値の関数として制御するための手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の蒸発装置。
【請求項25】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液を加圧するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液とを注入するための装置であって請求項1から21のいずれか1項に記載の装置を備えることを特徴とするエアゾール生成装置。
【請求項27】
少なくとも1つのエアゾール成分の濃度を測定してこの濃度を蒸気濃度設定値と比較するための手段と、
前記混合チャンバ(10)における前記液体複合物または前記溶液の流量を制御するための手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項26に記載のエアゾール生成装置。
【請求項28】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液との混合物を注入または噴霧するための装置であって、
当該装置は、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、
注入手段(140)を用いて前記液体複合物または前記溶液の注入または周期的な噴霧を制御する制御手段(17)と、を備え、
− 前記液体複合物または前記溶液の吸入のための注入口は、前記キャリアガス(2)の吸入のための少なくとも1つの第2注入口(9)と前記注入または噴霧手段(140)の注入口に接続される排出口(13)とを備える少なくとも1つの混合チャンバ(10)の少なくとも1つの第1注入口(8)を構成し、前記注入または周期的な噴霧は、前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)の液滴との混合物を注入または噴霧することによって、前記注入器または噴霧手段(14、14a、14b)の単一の排出口を介して行われ、
− 前記制御手段(18)は、前記キャリアガス(2)の流量を測定するための手段(160、160’)を備えることを特徴とする装置。
【請求項29】
前記注入または噴霧手段(140)は、比例バルブを備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記制御手段(17)は、ガス流量計(160)を備えることを特徴とする請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記混合チャンバ(10)の上流において注入手段(15a)をさらに備えることを特徴とする請求項28から30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記注入器(15a)を少なくとも1つの複合物または少なくとも1つの溶液の流量の関数として調節するための手段(221’)をさらに備えることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
請求項1から27のいずれか1項に記載の装置を使用するための方法であって、
前記液体複合物もしくは前記溶液の少なくとも1つの注入器(14、14a、14b)の注入頻度及び/または開放継続期間を選択的に制御することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記注入器(14、14a、14b)の前記開放継続期間は、前記注入器(14、14a、14b)の2つの連続した開放間における前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入される液体複合物または溶液(3)の全量が蒸発チャンバ(4)に向けて注入されまたはエアゾール状で排出されるように制御されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記注入器(14、14a、14b)の前記注入頻度及び/または前記開放継続期間は、前記注入器(14、14a、14b)の2つの連続した開放間における前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入される液体複合物または溶液(3)の全量が一連の注入パルスの状態で蒸発チャンバ(4)に向けて注入されまたはエアゾール形態で排出されるように制御されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記混合チャンバ(10、10a、10b)に前記液体複合物または前記溶液(3)を周期的に注入するための前記混合チャンバ(10)の上流に配置された少なくとも1つの前記注入器(15、15a、15b、15c)の前記注入頻度及び/または前記開放継続期間は、前記液体複合物または前記溶液(3)が一連の注入パルスの状態で前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入されるように制御されることを特徴とする請求項33から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
注入装置の前記排出口に配置された蒸発チャンバ(4)の圧力は、混合チャンバ(10)の圧力よりも低く維持され、
この混合チャンバ(10)の圧力は、この混合チャンバ(10)への前記液体複合物または前記溶液(3)導入前において前記液体複合物または前記溶液(3)の圧力よりも低い圧力で維持されることを特徴とする請求項33から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)との間の圧力の差を前記混合チャンバ(10)への前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)とのそれぞれの導入前において制御することを特徴とする請求項33から37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項1】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液との混合物を注入または噴霧するための装置であって、
当該装置は、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、
注入手段(14、14a、14b)を用いて前記液体複合物または前記溶液の注入または周期的な噴霧を制御する制御手段(17)と、
を備え、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための注入口は、前記キャリアガス(2)の吸入のための少なくとも1つの第2注入口(9)と前記注入または噴霧手段(14、14a、14b)の注入口に接続される排出口(13)とを備える少なくとも1つの混合チャンバ(10)の少なくとも1つの第1注入口(8)を構成し、
前記注入または周期的な噴霧は、前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)の液滴との混合物を注入または噴霧することによって、前記注入器または噴霧手段(14、14a、14b)の単一の排出口を介して行われることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の上流におけるガス及び/または液体の流量を調節するための手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための手段(220)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の流量を測定するための前記手段(220)は、測定された流量(dl)を流量設定値(Cd)と比較するための手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
キャリアガスの流量を調節するための手段(160、160’)をさらに備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
キャリアガスの流量を調節するための前記手段(160、160’)は、測定された流量(dg)を流量設定値(Cg)と比較するための手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の少なくとも1つの前記第1注入口(8)の上流に配置された注入器または噴霧手段(15、15a、15b、10’)をさらに備え、
少なくとも1つの前記液体複合物または少なくとも1つの前記溶液(3)を前記混合チャンバ(10、10a、10b)に周期的に注入することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)は、複数の注入口と、複数の注入器または噴霧手段(15a、15b、15c、10’)と、を備え、
前記注入器または噴霧手段それぞれは、複数の前記注入口の1つの注入口の上流に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記制御手段(17)は、前記混合チャンバ(10)の前記注入口の上流に配置された前記注入器または噴霧手段を制御することを特徴とする請求項7または8に記載の装置。
【請求項10】
それぞれが少なくとも1つの前記第1注入口及び少なくとも前記第2注入口を有する複数の混合チャンバ(10a、10b)をさらに備えることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第1注入口(8)の上流において、前記混合チャンバ(10、10a、10b)に少なくとも1つの前記液体複合物または少なくとも1つの溶液(3)を連続的に導入するための手段(150、151、160、161)をさらに備えることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
連続的な導入の前記手段は、前記液体複合物または前記溶液の質量流量を調節するための手段(151)または測定するための手段(161)と、噴霧ノズル(150、160)と、をさらに備えることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流に配置された少なくとも1つの注入器(24)をさらに備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流に配置された少なくとも2つの注入器(27、28)をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの前記混合チャンバ(10、10a、10b)の前記第2注入口(9)の上流において前記キャリアガスを前記混合チャンバ(10、10a、10b)に連続的に導入するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の注入口を備える少なくとも1つの混合チャンバ(10、10a、10b)をさらに備え、
追加の液体(19)を前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入することを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
吸入の前記追加の注入口に接続される追加の注入器(15b)をさらに備えることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記制御手段(17)は、少なくとも1つの前記注入手段(14、14a、14b、15、15a、15b、24、27、28)を開ループまたは閉ループで制御することを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液の駆動圧力を調節するための手段(120、130)をさらに備えることを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
当該装置の温度を制御するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの事前混合チャンバ(10、10a、10b)を濯ぐための手段(V1からV3、7a1)をさらに備えることを特徴とする請求項1から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
蒸発装置であって、
− 蒸発チャンバ(4)と、
− キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体もしくは気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液とを前記蒸発チャンバに注入するための装置と、
を備えることを特徴とする蒸発装置。
【請求項23】
前記キャリアガス(2)を前記蒸発チャンバ(4)に直接導入するための手段(7b1、70、14’)をさらに備えることを特徴とする請求項22に記載の蒸発装置。
【請求項24】
前記蒸発チャンバから出る蒸気濃度を測定するための手段と、
注入パラメータを測定された濃度及び設定値の関数として制御するための手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の蒸発装置。
【請求項25】
少なくとも1つの液体複合物または少なくとも1つの溶液を加圧するための手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液とを注入するための装置であって請求項1から21のいずれか1項に記載の装置を備えることを特徴とするエアゾール生成装置。
【請求項27】
少なくとも1つのエアゾール成分の濃度を測定してこの濃度を蒸気濃度設定値と比較するための手段と、
前記混合チャンバ(10)における前記液体複合物または前記溶液の流量を制御するための手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項26に記載のエアゾール生成装置。
【請求項28】
キャリアガス(2)と少なくとも1つの溶解された液体、固体または気体の複合物を含む少なくとも1つの液体複合物(3)または少なくとも1つの溶液との混合物を注入または噴霧するための装置であって、
当該装置は、
前記液体複合物または前記溶液の吸入のための少なくとも1つの注入口と、
注入手段(140)を用いて前記液体複合物または前記溶液の注入または周期的な噴霧を制御する制御手段(17)と、を備え、
− 前記液体複合物または前記溶液の吸入のための注入口は、前記キャリアガス(2)の吸入のための少なくとも1つの第2注入口(9)と前記注入または噴霧手段(140)の注入口に接続される排出口(13)とを備える少なくとも1つの混合チャンバ(10)の少なくとも1つの第1注入口(8)を構成し、前記注入または周期的な噴霧は、前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)の液滴との混合物を注入または噴霧することによって、前記注入器または噴霧手段(14、14a、14b)の単一の排出口を介して行われ、
− 前記制御手段(18)は、前記キャリアガス(2)の流量を測定するための手段(160、160’)を備えることを特徴とする装置。
【請求項29】
前記注入または噴霧手段(140)は、比例バルブを備えることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記制御手段(17)は、ガス流量計(160)を備えることを特徴とする請求項28または29に記載の装置。
【請求項31】
前記混合チャンバ(10)の上流において注入手段(15a)をさらに備えることを特徴とする請求項28から30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
前記注入器(15a)を少なくとも1つの複合物または少なくとも1つの溶液の流量の関数として調節するための手段(221’)をさらに備えることを特徴とする請求項31に記載の装置。
【請求項33】
請求項1から27のいずれか1項に記載の装置を使用するための方法であって、
前記液体複合物もしくは前記溶液の少なくとも1つの注入器(14、14a、14b)の注入頻度及び/または開放継続期間を選択的に制御することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記注入器(14、14a、14b)の前記開放継続期間は、前記注入器(14、14a、14b)の2つの連続した開放間における前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入される液体複合物または溶液(3)の全量が蒸発チャンバ(4)に向けて注入されまたはエアゾール状で排出されるように制御されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記注入器(14、14a、14b)の前記注入頻度及び/または前記開放継続期間は、前記注入器(14、14a、14b)の2つの連続した開放間における前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入される液体複合物または溶液(3)の全量が一連の注入パルスの状態で蒸発チャンバ(4)に向けて注入されまたはエアゾール形態で排出されるように制御されることを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記混合チャンバ(10、10a、10b)に前記液体複合物または前記溶液(3)を周期的に注入するための前記混合チャンバ(10)の上流に配置された少なくとも1つの前記注入器(15、15a、15b、15c)の前記注入頻度及び/または前記開放継続期間は、前記液体複合物または前記溶液(3)が一連の注入パルスの状態で前記混合チャンバ(10、10a、10b)に導入されるように制御されることを特徴とする請求項33から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
注入装置の前記排出口に配置された蒸発チャンバ(4)の圧力は、混合チャンバ(10)の圧力よりも低く維持され、
この混合チャンバ(10)の圧力は、この混合チャンバ(10)への前記液体複合物または前記溶液(3)導入前において前記液体複合物または前記溶液(3)の圧力よりも低い圧力で維持されることを特徴とする請求項33から35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)との間の圧力の差を前記混合チャンバ(10)への前記キャリアガス(2)と前記液体複合物または前記溶液(3)とのそれぞれの導入前において制御することを特徴とする請求項33から37のいずれか1項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図18】
【図19】
【図20A】
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【図21A】
【図21B】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【図25C】
【図25D】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公表番号】特表2009−534528(P2009−534528A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505885(P2009−505885)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053805
【国際公開番号】WO2007/118898
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508306901)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053805
【国際公開番号】WO2007/118898
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(508306901)
【Fターム(参考)】
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