説明

クラスタ源を使用する荷電粒子ビーム処理

【課題】加工物表面を損傷することなく荷電粒子で加工物を照射し処理する方法を提供する。
【解決手段】クラスタイオンビーム108を生成するクラスタイオン源102を使用して加工物112を処理する。クラスタイオンは同じ電荷をもつ単一のイオンと同じエネルギーを有するが、クラスタを形成する原子または分子は粒子当たりのエネルギーが低いので加工物の表面の数ナノメートル内に損傷を限定する。クラスタイオンはフラーレン、ビスマス、金、またはXeをを含む。クラスタイオンビームはガス注入システム104から供給されるガスを分解して堆積させ、またはガスを活性化させてエッチングすることもできる。好ましくは別の荷電粒子ビームを生成するカラム(電子ビームカラム106または集束イオンビームカラム)を備え、画像化、エッチング、堆積等の処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加工物を荷電粒子のビームで処理する方法に関し、その方法は、
加工物を真空チャンバ内で位置決めするステップと、
加工物を処理するために加工物の表面を荷電粒子の集束ビームで照射するステップとを含む。本発明は、さらにその方法を実行するために装備された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は集束イオン・ビーム・マシン(FIB)で実行されることが知られている。荷電粒子ビームは非常に小さいスポットを形成することができるので、イオン・ビームや電子ビームなどの荷電粒子ビームがナノテクノロジで加工物を処理するために使用される。例えば、集束イオン・ビーム・システムはサブミクロン精度で画像化、ミル加工、堆積、分析を行うことができる。集束イオン・ビーム・システムは、例えば、本出願の譲受人である、オレゴン州、ヒルズバロのFEI Companyから市販されている。イオンを使用して加工物から材料をスパッタする、すなわち物理的に放出して、加工物にトレンチなどのフィーチャ(features)を生成することができる。イオン・ビームを使用して、エッチング・ガスを活性化しスパッタリングを増強し、または前駆物質ガスを分解しビーム衝突ポイントの近くで材料を堆積させることもできる。イオン・ビームを使用して、イオン・ビームの衝突によって放出された二次粒子を集めることにより加工物の画像を形成することもできる。表面上の各ポイントから放出された二次粒子の数を使用して、画像の対応するポイントの画像の明るさが決定される。
【0003】
集束イオン・ビームはしばしば半導体産業で使用される。一用途では、例えば、集束イオン・ビームを使用して集積回路内に小さいトレンチが掘られ、イオン・ビームまたは電子ビームを使用する観察または測定のための垂直構造の断面が露出される。
【0004】
FIBの別の使用法は、透過電子顕微鏡(TEM)または走査型透過電子顕微鏡(STEM)用のサンプルとしても知られている加工物の準備である。TEMでは、広幅の電子ビームがサンプルに衝突し、サンプルを通過した電子が集束されてサンプルの画像を形成する。STEMでは、一次電子ビームが微細なスポットに集束され、そのスポットはサンプル表面にわたって走査される。TEMまたはSTEMでは、サンプルを通過した電子がサンプルの反対側の電子検出器によって集められる。TEMまたはSTEM用のサンプルは、一次電子ビーム中の電子の多くがサンプルを通り抜け反対側に出ることができるように十分に薄くなければならない。サンプルは一般に100nm未満の厚さまで薄くされる。サンプルを準備する一方法は、加工物から薄いサンプルを切り取るために集束イオン・ビームを使用し、次に、そのサンプルを薄くするためにイオン・ビームを使用することを含む。
【0005】
既知の方法の欠点は、荷電粒子ビームが表面に衝突するとき表面を損傷するかまたは変質する可能性があることである。変質は、例えば、荷電粒子ビームを形成するイオンの加工物への注入、寸法変化、または結晶加工物の場合の相変化の形をとる。集束イオン・ビーム・システムは、一般に、液体の金属ガリウム・イオン源からのガリウム・イオンを使用する。ガリウム・イオンは比較的重く、一般的な30000ボルトで加速されたガリウム・イオンは必然的に加工物表面を変質させることになる。「Magnetically Enhanced,Inductively Coupled,Plasma Source for a Focused Ion Beam System」についてのKeller等の国際公開第2005/081940号パンフレットに説明されているものなどのプラズマ・イオン・システムはより軽いイオンを使用することができ、それにより損傷は少なくなるが、依然としてイオンは一般に加工物表面を変質させることになる。電子はイオンよりもはるかに軽いが、加工物表面を変質させることもある。ユーザがナノメートル精度で加工物を測定したい場合、荷電粒子の衝突によって引き起こされる加工物の変化は、特にフォトレジストのような柔らかい材料、およびポリフェニレン材料のような低誘電率および超低誘電率誘電体材料では顕著になることがある。
【0006】
ユーザが、例えば、「Method for Separating Specimen and Method for Analyzing the Specimen Separated by the Specimen Separating Method」についてのOhnishi等への米国特許第5270552号明細書に説明されているように、TEMでサンプルを画像化するためにそれを抽出するのにイオン・ビームを使用したい場合、ユーザは一般に注目する領域を探し当てるために集束イオン・ビームを画像化モードで走査する。走査は表面に損傷をもたらす。注目する領域が探し当てられて、ビームがトレンチをミル加工し始める場合、ビームの端部が完全には鋭くないので加工物に損傷を加える。すなわち、ビームは一般にガウス型に形成され、ガウス分布の末端のイオンがトレンチの端部で加工物を損傷することになる。損傷は脆弱な材料だけでなく比較的固い材料上でも見つかっている。
【0007】
加工物表面を保護するために、荷電粒子ビーム処理の前に保護層を用いることが一般的である。保護層を適用する一方法は、荷電粒子ビーム堆積、すなわち、ガスを分解して表面に材料を堆積させるためのエネルギーを供給するのに荷電粒子ビームを使用することである。保護層は切削の周りの区域を保護し、画像化および計測されるべきフィーチャの特性を保存する。一般に使用される堆積ガスは、タングステン、白金、金、および炭素を堆積させるために分解する前駆化合物を含む。例えば、タングステンヘキサカルボニルを使用してタングステンを堆積させることができ、メチルシクロペンタジエニルトリメチル白金を使用して白金を堆積させることができ、およびスチレンを使用して炭素を堆積させることができる。多くのさまざまな材料を堆積させる前駆物質ガスが当技術分野で知られている。保護層として堆積させる好ましい材料は、下にあるターゲット表面の組成を含む適合性、および保護層材料とターゲット表面との間の相互作用に依存する。
【0008】
荷電粒子ビーム・アシスト堆積は、層が必要とされる正確な位置にその層を局所的に適用することができる。この方法の欠点は、それが比較的遅く、処理によっては全処理時間の60パーセントまでが保護層の堆積で消費されることである。別の欠点は、材料を堆積させるためにイオン・ビームがターゲット表面で最初に走査されるとき、イオン・ビームから表面を保護するのに十分な量の堆積材料が蓄積するまでの間に、材料はビームによって表面からスパッタ除去されている。たとえそれが短い間だとしても、かなりの量の材料が除去されるほど長いことがあり、それにより断面分析の精度が損なわれる。さらに別の欠点は、加工物に荷電粒子ビームのイオン注入が生じる可能性があることである。
【0009】
電子およびレーザ・ビームを使用して二次電子を生成し、それにより前駆物質ガスを分解して保護層を堆積させる。この方法の欠点は、特にそれらのビームが好適な処理時間を達成するために十分なエネルギーおよび/または電流密度レベルである場合、それらのビームが下にある表面を損傷する可能性もあることである。下にある表面を損なわないためにビームが十分に「弱い」場合、堆積が非常に遅くなるので、そのようなビームを使用することは一般に実用的でない。
【0010】
用途によっては物理蒸着(「PVD」)スパッタ法を使用して保護層を堆積させることができるが、そのような方法はウェハ表面のターゲット部分に堆積層を局所的に適用するのに使用することができないので、それらは、通常、ウェハ製作設備の生産制御用途に利用できない。本発明の譲受人に譲渡される米国特許仮出願第60/773396号は、局所的な層を与えることができるPVDの方法を説明している。荷電粒子ビームを使用してターゲットからの材料が表面上にスパッタされる。荷電粒子ビームは表面自体に導かれず、損傷が避けられる。この方法の欠点は、それが多くの時間を必要とすることである。
【0011】
保護被覆を適用する別の方法が、「Proximity Deposition」についてのArjavec等への米国特許第6926935号明細書に説明されている。この方法では、荷電粒子ビームは注目する区域に導かれるのではなく、注目する区域の外側の領域に導かれる。二次電子が、注目する区域上の前駆物質ガスを分解して保護層を与える。保護層が、注目する領域の端部の周りに生成されているので、荷電粒子ビームは内側に向けて移動することができる。この方法の欠点は、時間がかかることである。
【0012】
ブラシで塗布されたコロイド銀が走査電子顕微鏡の導電性保護層を生成するために長く使用されている。この方法の欠点は、使用される銀粒子が比較的大きいということである。別の欠点は、層を塗布するためにブラシを使用すると基板を損傷することがあり、局所的な層を実現できないことである。
【0013】
保護被覆を塗布する別の方法は、Rubbermaid CorporationのSanford部門からのSharpieブランドのペンなどのフェルトペンを使用することである。Sharpieペンからのインクは真空チャンバで使用するのに適するが、理由は、それが完全に乾燥し、真空チャンバ内でほとんどガス放出しないからである。この方法の欠点は、注目する領域にペンを接触させると表面を変質させることになり、したがって、インクは注目する領域の近くに塗布され、次にそのインクが注目する領域上に滲出することである。インク中の化合物が表面を保護する。この方法の別の欠点は、フェルトペンによって影響を受ける区域が、最近の集積回路のサブミクロンのフィーチャと比較して非常に大きく、インクの位置決め精度が不十分であることである。
【特許文献1】国際公開第2005/081940号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5270552号明細書
【特許文献3】米国特許仮出願第60/773396号
【特許文献4】米国特許第6926935号明細書
【特許文献5】米国特許第6743481号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2002/0031615号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0183667号明細書
【特許文献8】米国特許第5851413号明細書
【特許文献9】米国特許第5435850号明細書
【特許文献10】米国特許仮出願第60/830978号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
産業界は、加工物表面を損傷することなく荷電粒子で加工物を照射する方法を必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
その目的のために、本発明による方法は、原子または分子の荷電クラスタのビームが加工物に導かれるという点に特徴がある。
【0016】
(例えば、n kVの電位差によって引き起こされた)電界によって加速された原子または分子のクラスタは、それが加工物に衝突するとき、同じ電荷をもつ単一のイオンまたはイオン化された分子と同じトータルエネルギー(例えば、n keV)を有する。しかし、クラスタを形成する原子または分子の間の結合はかなり小さく、衝突において、クラスタは、粒子の各々が例えばn keVのオリジナル・エネルギーの一部だけを有する一群の粒子(原子または分子)によって最もよく説明することができる。粒子当たりのこの低いエネルギーのために、加工物への損傷は、例えばn keVのエネルギーを有するイオンに起因するものよりもはるかに低い。
【0017】
粒子当たりのエネルギーの低減の結果、注入深さが減少し、結晶材料の相変化は非常に浅い深さに限定され、寸法変化も非常に少ない。したがって、クラスタの使用は、一般に、個別イオンの使用と比較して加工物への損傷を低減する。
【0018】
損傷の同様の低減が非常に低減されたエネルギーをもつイオンを使用することによって達成することができることに留意されたい。しかし、当業者に知られているように、そのような低いエネルギーは、例えば加工物上でイオンを集束するのをより一層困難にし、その結果、加工物上の荷電粒子ビーム径が非常に大きくなり、したがって局所的な効果が少なくなる。これは、電流密度が非常に低いことを意味する。さらに、イオンについて電荷の単位当たりの粒子の量はクラスタを使用する場合よりも非常に低く、さらにm2当たりの粒子の数が減少し、そのためにエッチング速度または堆積速度が非常に低減する。
【0019】
コンピュータ・ディスク・ドライブ構成要素へのフラーレン分子の保護層の適用が、「Process for Production of Ultrathin Protective Overcoats」についてのHoehn等への米国特許第6743481号明細書および「Process for Production of Ultrathin Protective Overcoats」についてのDykes等の米国特許出願公開第2002/0031615号明細書に説明されている。フラーレンは、イオン・ビームまたは電子ビームの衝突によって供給源から放出され、フラーレンのいくつかはターゲットの方向に放出され、それを被覆する。この方法では、フラーレンの形態の炭素原子のクラスタはイオン化されず、保護膜で被覆されるべき加工物は加工物を処理するのに荷電粒子ビームで照射されない。
【0020】
本発明による方法の実施形態では、荷電クラスタのビームには、炭素、金、ビスマス、またはキセノンを含むクラスタが含まれる。
【0021】
これらの種類の各々はそれ自体の用途を有する。希ガスであるキセノンは加工物に化学的に結合せず、スパッタ・ガスとしてよく知られている。例えば、炭素は所望の種類の保護膜を形成することができる。
【0022】
本発明による方法のさらなる実施形態では、荷電クラスタのビームにはC60、C70、C80、C84、Au3、Bi3、またはXe40を含むクラスタが含まれる。
【0023】
本発明による方法のさらなる実施形態では、荷電クラスタはフラーレンを含む。
【0024】
フラーレンは、中空の球体、楕円体、または管の形態で(ほとんど)完全に炭素からできているクラスタである。さらに、希土類原子などの別の種類の原子が中空の球体、楕円体、または管に囲まれているフラーレンが知られている。
【0025】
本発明による方法の別の実施形態では、ガスが加工物に導かれ、そのガスが荷電クラスタのビームの存在下で活性化して材料を加工物上に堆積させるか、または材料を加工物から除去する。
【0026】
そのようなガスの使用がFIBで知られており、ガスがイオンによって活性化される場所で材料を加工物上に堆積させるか、または加工物をエッチングするのに使用される。実験は、荷電クラスタが、一般に使用されるガスを活性化することもできることを示している。
【0027】
本発明による方法のさらなる実施形態では、ガスは荷電クラスタの集束ビームの存在下で反応して加工物をエッチングする。
【0028】
この実施形態はエッチング増強ガスの使用を説明しており、クラスタのビームは、加工物をエッチングする化学反応を開始するためのエネルギーを供給し、エッチングされた区域の外側では、加工物の損傷は低減される。
【0029】
本発明による方法のさらなる実施形態では、ガスはXeF2、F2、Cl2、Br2、I2、過フッ化炭化水素、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、水、アンモニア、または酸素を含む。
【0030】
前述のガスはエッチング・ガスとして知られており、一般にガス注入システムをもつFIBで使用される。
【0031】
本発明による方法の別の実施形態では、ガスはシラン化合物または有機金属化合物を含む前駆物質ガスを含み、その前駆物質ガスは荷電クラスタのビームの存在下で分解し、それによって、分解されたガスが加工物上に堆積層を形成する。
【0032】
そのようなガスの使用は、層を堆積させるためにガス注入システムを備えたFIBで知られている。
【0033】
本発明による方法のさらなる実施形態では、ガスはテトラメチルオルトシラン(TMOS)、テトラエチルオルトシラン(TEOS)、テトラブトキシシラン(Si(OC49))、ジメチル金アセチルアセトネート、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、またはメチルシクロペンタジエニルトリメチル白金(C916Pt)を含む。
【0034】
前述のガスは、イオンによって照射されたとき堆積を生じさせるガスとして知られており、一般にガス注入システムをもつFIBで使用される。
【0035】
本発明による方法の別の実施形態では、加工物は堆積層を形成するように荷電クラスタのビームで照射され、そのように形成された堆積層はさらなる荷電粒子のビームで照射される。
【0036】
この実施形態では、クラスタ・ビームを使用して、例えば損傷を生じさせることなく加工物上に保護層を設け、従来のイオン・ビームまたは電子ビームなどの別の荷電粒子ビームを使用して加工物を処理する。保護膜が製作された後、さらなるビームによる照射を行うことができるが、保護層が付加されている間、さらなるビームによる照射を行うこともできることに留意されたい。
【0037】
本発明による方法のさらなる実施形態では、さらなる荷電粒子のビームはイオンまたは電子の集束ビームである。
【0038】
本発明による方法の別の実施形態では、荷電クラスタのビームを加工物に導くステップは、プラズマ・イオン源からの荷電クラスタのビームを加工物に導くステップを含む。
【0039】
プラズマ・イオン源がクラスタを生成することが知られている。
【0040】
本発明による方法のさらなる実施形態では、プラズマ・イオン源は誘導結合プラズマ・イオン源である。
【0041】
本発明のこの好ましい実施では、例えば「Magnetically Enhanced,Inductively Coupled Plasma Source for a Focused Ion Beam System」についての米国特許出願公開第2005/0183667号明細書に説明されるようなプラズマ源が使用される。そのようなイオン源は非常に低い色収差を有するビームを供給し、比較的高いビーム電流で比較的小さいスポットに集束することができ、それによりそのようなイオン源は精密な微細加工および堆積に適するものになる。そのような供給源は、クラスタのビーム、ならびに荷電粒子ビーム処理用の個々の原子および分子のビームを供給することができる。例えば、クラスタ・ビームを使用して保護膜を堆積させ、次に、アルゴン・ビームを二フッ化キセノンと共に使用して加工物のフィーチャを微細加工することができる。
【0042】
本発明による方法の別の実施形態では、荷電クラスタのビームを加工物に導くステップは、蒸発クラスタ源からの荷電クラスタのビームを加工物に導くステップを含む。
【0043】
本発明による方法のさらに別の実施形態では、堆積層は、荷電クラスタが形成される材料を含む。
【0044】
材料を堆積させるときクラスタ自体の材料も構成材料として使用することができる。これは堆積速度に著しく寄与することができる。クラスタからの材料の堆積をガスからの材料の堆積と共に行うことができるが、それを堆積の唯一の構成材料とすることもできることに留意されたい。
【0045】
本発明による方法のさらなる実施形態では、堆積層はガスなしで形成される。
【0046】
本発明による方法の別の実施形態では、荷電クラスタのビームを形成するクラスタは0.1未満の原子当たりの電荷比を有する。
【0047】
Ga+などの一般的なイオンでは原子当たりの電荷比は1である。Ga2+などの多電荷イオンではこの比は1よりもずっと大きい。クラスタの原子当たりの電荷比は1よりもずっと低くすることができる。0.1未満の原子当たりの電荷比をもつクラスタを使用することによって、先に説明されたように、そのようなクラスタの衝突に起因する損傷は制限される。
【0048】
本発明による方法のさらなる実施形態では、原子当たりの電荷比は0.02未満である。
【0049】
本実施形態では引き起こされる損傷はさらにより少ない。50個よりも多くの原子をもつ大きいクラスタを使用する場合、そのような原子当たりの電荷比を達成することができる。これは広く使用されるフラーレンのいくつかを含む。
【0050】
本発明の態様では、加工物を処理するための荷電粒子装置は、
真空チャンバと、
前記真空チャンバ内で加工物を加工物位置に支持するための加工物支持体と、
荷電粒子のビームを生成するための荷電粒子源と、
前記荷電粒子のビームを加工物位置に集束するための少なくとも1つの集束レンズと
を含む装置であり、
この装置が荷電クラスタのビームを加工物位置に導くように備えられることを
特徴とする。
【0051】
この態様は前述の方法を実行するために備えられた装置を説明する。荷電クラスタをただ1つの荷電粒子ビームとすることができるが、別の荷電粒子ビームを使用することもできる。
【0052】
本発明による装置の実施形態では、荷電クラスタのビームは荷電粒子源によって生成され、この装置はガスを加工物位置に導くためのガス注入システムをさらに含む。
【0053】
本実施形態は、荷電クラスタのビームが加工物に集束され、ガスのジェットが加工物に導かれる装置を説明する。これによって、ジェットからのガスは局所的に活性化することができ、その結果、微細フィーチャ処理(finely featured processing)(エッチングまたは堆積)を行うことができる。
【0054】
本発明による装置の別の実施形態では、荷電粒子源は荷電クラスタを生成しない。
【0055】
ここで、この装置は、例えば加工物を処理するためのさらなる荷電粒子ビームを備える。
【0056】
本発明による装置のさらに別の実施形態では、荷電クラスタはプラズマ・イオン源を含むクラスタ・イオン源によって生成される。
【0057】
本発明による装置のさらなる実施形態では、プラズマ・イオン源は誘導結合プラズマ・イオン源である。
【0058】
本発明による装置の別の実施形態では、荷電クラスタは蒸発クラスタ・イオン源を含むクラスタ・イオン源によって生成される。
【0059】
本発明による装置のさらに別の実施形態では、荷電クラスタは、フラーレン、ビスマス、金、またはキセノンを含むクラスタを生成するために備えられたクラスタ・イオン源によって生成される。
【0060】
本発明およびその利点をすべてにわたって理解するために、次に添付図面と併せて以下の説明が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
下記は添付図面に示された本発明の例示的実施形態の詳細な説明である。例示的実施形態は本発明を明確に伝えるように詳細である。しかし、提示された詳細の趣旨は実施形態の予想される変形を制限することを意図せず、それどころか、その意図は、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の趣旨および範囲の中にあるすべての変更、等価物、および代替物を含むことである。以下の詳細な説明はそのような実施形態を当業者に対して明白にすることを意図する。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態では、クラスタ・ビームは、加工物表面への損傷を最小にしながら、前駆物質ガスを分解して層を堆積させるためのエネルギーを供給する。クラスタ・ビームは加工物表面をエッチングするのに随意にエッチング増強ガスと共に使用することもできる。他の実施形態では、クラスタ・ビームは荷電粒子ビーム処理用の保護層を直接堆積させ、好ましくは、保護層堆積および荷電粒子ビーム処理が同じ真空チャンバ内で行われる。
【0063】
図1は、クラスタ・イオン源102、ガス注入システム104、および好ましくは別の荷電粒子ビーム107を生成する電子ビーム・カラム106を含む荷電粒子ビーム・システム100を含む本発明の実施形態の簡単な図を示す。ガス注入システムは、例えば、本発明の譲受人に譲渡された「Gas Delivery Systems for Particle Beam Processing」についてのCasella等への米国特許第5851413号明細書に説明されている。別のガス送出システムが、さらに本発明の譲受人に譲渡された「Gas Injection System」についてのRasmussenへの米国特許第5435850号明細書に説明されている。クラスタ源102は、真空チャンバ114内で、好ましくは少なくとも2つの方向に移動することができるステージ116上に配置される加工物112上の注目する領域110に導かれる原子または分子のクラスタのビーム108を供給する。カラム106は、例えばエッチングまたはミリング用のイオンの集束ビーム107を生成する集束イオン・ビーム・カラムとすることもできる。
【0064】
図2は本発明による好ましいプロセスを示す。ステップ210で、加工物は真空チャンバ114に挿入される。ステップ212で、加工物112の一部は、加工物表面上のマーキングを探し当てステージ116の座標系を加工物112の座標系と位置合わせするために電子ビーム・カラム106を使用して画像化され、その結果、ステージ116は、クラスタ・ビームを導くことができる区域内に注目する領域110を位置決めするように移動されることができる。ステップ214で、前駆物質ガスのジェットは、注目する領域110近傍の加工物112に向けて導かれる。テトラメチルオルトシラン(TMOS)、テトラエチルオルトシラン(TEOS)、テトラブトキシシランSi(OC49)、ジメチル金アセチルアセトネート、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)などの有機金属化合物、およびメチルシクロペンタジエニルトリメチル白金(C916Pt)を含めて多くの堆積前駆物質ガスが知られている。
【0065】
ステップ216で、クラスタのビームは、加工物表面に導かれて前駆物質ガスを分解し、保護層を堆積させるエネルギーを供給する。異なるタイプの原子または分子のクラスタを本発明で使用することができる。「クラスタ」という用語は多数の分子または原子の群を含む。例えば、フラーレン(例えば、C60、C70、C80、またはC84)の形態の炭素、金(Au3)、ビスマス(Bi3)、キセノン(Xe40)、および他のクラスタが堆積またはエッチングに有用である。「クラスタ」という用語は、多数のフラーレンの群だけでなく炭素原子のクラスタと見なされる単一のフラーレン分子も含む。各クラスタは1つだけまたは少数の不平衡電荷を有するので、クラスタの電荷対質量比は、荷電粒子ビームで使用される個々の原子または分子の電荷対質量比よりもかなり少ない可能性がある。全クラスタのエネルギーは比較的大きく、例えば数百から数千電子ボルトであるが、構成要素当たりのエネルギーは低い。
【0066】
一般的な保護層は、好ましくは0.05μm厚と1μm厚との間、より好ましくは0.1μm厚と0.8μm厚との間、最も好ましくは約0.2μm厚である。好ましい保護層は加工物上への荷電粒子ビームの衝突によって生成されたいかなる電荷も消散させるのに十分な導電性を有することである。好ましい保護層は「真空にやさしい」ものであり、すなわちそれは、荷電粒子ビームに障害を与えるかまたは加工物を汚染するような、真空チャンバ内で「ガス放出」しないかまたは蒸発し続けないものである。好ましい保護層は加工物の構造を安定させる。好ましい保護層は加工物上の構造と相互作用せずまたはそれを変質させず、構造の寸法が荷電粒子ビームの衝突下でほとんど変わらないかまたは全く変わらないように機械的強度を与える。堆積は、クラスタ・ビームの衝突ポイントの近くの区域に限定される。
【0067】
クラスタは一般的な先行技術の方法のガリウム・イオンよりも大きい質量を有するので、加工物への損傷はガリウム・イオンのビームに起因する損傷層よりも薄い表面層に制限される。使用されるクラスタの組成、モフォロジ(morphology)、およびサイズ、ならびに加速電圧に応じて、基板への損傷は上層部20nm、上層部10nm、上層部5nm、または上層部2nm以内に制限することができる。例えば、C60、Au3、またはBi3の(単独に荷電される)クラスタ用に15kVの加速電圧を使用すると、一般に加工物の上層部5nmまでの損傷に制限されることになる。それに比べると、一般的なガリウム・イオン・ビームは約30nmから50nmの深さまで表面を損傷する。好ましい加速電圧はクラスタのタイプおよび加工物の材料によって変更することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、保護層はフラーレンから堆積された炭素層などのクラスタからの材料で構成することができ、そのような実施形態では、堆積前駆物質ガスは必要でない。すなわち、クラスタは加工物上に直接堆積する。他の実施形態では、保護層は前駆物質ガスからの分解生成物で構成される。他の実施形態では、クラスタ・ビームの材料および前駆物質ガスの分解生成物の組合せが堆積される。
【0069】
ステップ218で、保護層によって保護された注目する領域が荷電粒子ビームによって処理される。例えば、注目する領域は走査電子顕微鏡を使用して観察することができ、またはその領域をエッチングすることができ、またはイオン・ビームを使用して追加の材料を堆積させることができる。クラスタ・ビームの供給源として多源システムが使用される場合、注目する領域に導かれているエッチング増強ガスまたは前駆物質ガスがあるかどうかにかかわらず、クラスタの供給源であったプラズマ材料をプラズマ・チャンバから除去して、そのプラズマ・チャンバに、材料除去プロセスまたは材料堆積プロセスを行うための異なるガスを充満させることができる。多源システムの例が、本発明の譲受人に譲渡される「A Multi−Source Plasma Focused Ion Beam System」についての2006年7月14日に出願された米国特許仮出願第60/830978号に説明されている。
【0070】
他の実施形態では、エッチング増強ガスを使用することができ、クラスタのビームは、加工物をエッチングする化学反応を開始するエネルギーを供給し、エッチングされる区域の外側では加工物の損傷は低減される。エッチング増強ガスは、XeF2、F2、Cl2、Br2、I2、トリフルオロアセトアミドやトリフルオロ酢酸やトリクロロ酢酸などの過フッ化炭化水素、水、アンモニア、ならびに酸素を含む。
【0071】
本発明の好ましい実施では、「Magnetically Enhanced,Inductively Coupled Plasma Source for a Focused Ion Beam System」についての米国特許出願公開第2005/0183667号明細書に説明されるようなプラズマ源が使用される。そのようなイオン源は非常に低い色収差を有するビームを供給し、比較的高いビーム電流で比較的小さいスポットに集束することができ、それによりそのようなイオン源は精密な微細加工および堆積に適するものになる。そのような供給源は、クラスタのビーム、ならびに荷電粒子ビーム処理用の個々の原子および分子のビームを供給することができる。例えば、クラスタ・ビームを使用して保護層を堆積させ、次に、アルゴン・ビームを二フッ化キセノンと共に使用して加工物のフィーチャを微細加工することができる。
【0072】
図3は好ましいRF励起型プラズマ・イオン源301の簡単化された概略図を示す。セラミック・プラズマ・イオン・チャンバ300はコイル302によって巻きつけられている。コイルはRF源(図示せず)によって励起される。セラミック・プラズマ・イオン・チャンバ300は一端に開口電極304をもつシリンダである。開口電極はセラミック・プラズマ・イオン・チャンバ300のシリンダ軸に中心をもつ開口を示す。イオン・ビームは、電極304の開口を通ってセラミック・プラズマ・イオン・チャンバ300を出て、イオン・ビーム集束カラム306を通過し、偏向可能な集束イオン・ビーム308が生成される。
【0073】
セラミック・プラズマ・イオン・チャンバ300は、バルブ309を通して複数の供給源310、312、314のうちの1つまたは複数からのガスを受け取る。供給源は、前述のものなどのクラスタ・ガス、キセノン(Xe)またはヘリウム(He)などの不活性ガス、酸素(O2)などの反応性ガス、または前述のような前駆物質ガスもしくはエッチング増強ガスを含むことができる。バルブ309は供給源からの複数の異なるガスの各々を順に選択するために備えることができる。したがって、ミリングまたはエッチング用にあるイオン種を選択し、堆積用に第2の異なるイオン種を選択することができる。
【0074】
この供給源は、保護層を設けるためにクラスタのビームを生成するプラズマ源に、ある材料を供給することができ、次に、加工物のさらなる処理のためにプラズマ源に第2の材料を供給することができる点で好都合である。例えば、前駆物質ガスを分解して保護層を堆積させためのC60を含むガスを導入し、次に、スパッタリングのためのXeなどのガスを導入することができる。
【0075】
図4はクラスタ源400の代替の実施形態の概略図を示す。クラスタ源400はそれ独自の真空チャンバ内に備えることができ、あるいは集束イオン・ビーム・カラム、例えば液体金属もしくはプラズマ源カラム、または電子ビーム・カラムなどの1つまたは複数の追加の荷電粒子ビーム・カラムを含む真空チャンバ内にあってもよい。非クラスタ源は、例えば、保護層がクラスタ源を使用して施された後、加工物を処理するために使用することができる。真空チャンバは、堆積前駆物質ガスまたはエッチング増強ガスを加工物に導くためにガス注入システムを含むことができる。
【0076】
クラスタ源400は供給源材料404を収容するるつぼ402を含む。電源408は加熱コイル410を加熱して供給源材料404を蒸発させるエネルギーを供給する。一般に構成要素と呼ばれる供給源材料404の蒸発した原子または分子はノズル420によって拡がり、それにより原子または分子がクラスタ422に凝縮する。クラスタは、好ましくは、原子または分子の緩く束縛された群である。構成要素は、好ましくは、クラスタ中で結晶構造を形成せず、液体状態に似ているアモルファス(amorphous)である。構成要素はレーザまたは電子もしくはイオンのビームによって蒸発することもできる。
【0077】
クラスタ422は、例えば、電極436の方に電子434を加速するための電気ポテンシャルを有する電子源432を含むことができるイオナイザ430中で荷電される。電子434はクラスタ422と衝突し、構成要素のいくつかをイオン化する。一般に、1つまたは2つなどの少数の構成要素だけがイオン化され、その結果、各クラスタの電荷は小さい。任意のクラスタがマス・フィルタ440を通過するよう、マス・フィルタは静電界、磁界、および開口の組合せとすることができ、その結果、所望の範囲の質量を有するクラスタのビーム442がマス・フィルタ440を通過して、加工物450に導かれる。図4で説明されたクラスタ源は単純化され、多くの変形および改良が知られており、使用されることを当業者は認識されよう。
【0078】
そのようなクラスタ源は、例えば、光学構成要素にコーティングを施すのに使用されている。図4の供給源からの一般的なクラスタは2個と10000個との間の原子または分子を含む。フラーレン中の炭素原子などのいくつかのクラスタの構成要素はより強く束縛されるが、クラスタの構成要素は互いに緩く束縛されてもよい。効率的なクラスタ源は、結合していない構成要素または生成される望ましくない大きさのクラスタの数と比べて、比較的多数の所望の大きさのクラスタを生成する。クラスタは荷電され、一般に、静電力によってターゲットに導かれる。構成要素をクラスタ中で緩く束縛することができるので、クラスタのエネルギーによりそれは衝突時に解体し、構成要素が表面上で比較的薄い一様な層に広がることができる。
【0079】
60を使用するものを含むクラスタ・イオン源は、加工物の表面から材料を放出するために二次イオン質量分析(secondary mass ion spectroscopy)で使用されている。構成要素当たりの低いエネルギーにより、加工物中の個々の原子または分子に運動量がほとんど移行されず、加工物材料の混合がほとんど生じないことが確実になる。
【0080】
本明細書で使用されるような荷電粒子ビーム「処理」という用語は、画像化、ならびにスパッタリング、エッチング、および堆積を含むことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】原子の荷電クラスタを生成し、そのクラスタをサンプルに導くことができるプラズマ源を含む本発明のシステムの好ましい実施形態を示す図である。
【図2】本発明による好ましい方法を示す図である。
【図3】好ましいプラズマ・クラスタ源を示す図である。
【図4】代替のクラスタ源を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
100 荷電粒子ビーム・システム
102 クラスタ・イオン源
104 ガス注入システム
106 電子ビーム・カラム
107 荷電粒子ビーム
108 クラスタのビーム
110 注目する領域
112 加工物
114 真空チャンバ
116 ステージ
300 セラミック・プラズマ・イオン・チャンバ
301 RF励起型プラズマ・イオン源
302 コイル
304 開口電極
306 イオン・ビーム集束カラム
308 集束イオン・ビーム
309 バルブ
310、312、314 供給源
400 クラスタ源
402 るつぼ
404 供給源材料
408 電源
410 加熱コイル
420 ノズル
422 クラスタ
430 イオナイザ
432 電子源
434 電子
436 電極
440 マス・フィルタ
442 クラスタのビーム
450 加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(112)を荷電粒子のビームで処理する方法であって、
前記加工物(112)を真空チャンバ(114)内で位置決めするステップと、
前記加工物を処理するために前記加工物の表面を荷電粒子の集束ビームで照射するステップと、
を含み、
原子または分子の荷電クラスタのビーム(108)が前記加工物に導かれることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記荷電クラスタが、炭素、金、ビスマス、またはキセノンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記荷電クラスタのビーム(108)が、C60、C70、C80、C84、Au3、Bi3、またはXe40を含むクラスタを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記荷電クラスタのビーム(108)がフラーレンを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ガスが前記加工物(112)に導かれ、前記ガスが前記荷電クラスタのビーム(108)の存在下で活性化して材料を前記加工物上に堆積させるかまたは材料を前記加工物から除去する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ガスが荷電クラスタの集束ビーム(108)の存在下で反応して前記加工物(112)をエッチングする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ガスが、XeF2、F2、Cl2、Br2、I2、過フッ化炭化水素、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、水、アンモニア、または酸素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガスが、シラン化合物または有機金属化合物を含む前駆物質ガスを含み、前記前駆物質ガスが前記荷電クラスタのビーム(108)の存在下で分解し、それによって、前記分解されたガスが前記加工物(112)上に堆積層を形成する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ガスが、テトラメチルオルトシラン(TMOS)、テトラエチルオルトシラン(TEOS)、テトラブトキシシラン(Si(OC49))、ジメチル金アセチルアセトネート、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、またはメチルシクロペンタジエニルトリメチル白金(C916Pt)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記加工物(112)が、堆積層を形成するように荷電クラスタのビーム(108)で照射され、形成された前記堆積層がさらなる荷電粒子のビーム(107)で照射される、請求項5、8、および9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記さらなる荷電粒子のビーム(107)がイオンまたは電子の集束ビームである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
荷電クラスタのビーム(108)を前記加工物に導くステップが、プラズマ・イオン源(301)からの荷電クラスタのビームを前記加工物(112)に導くステップを含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマ・イオン源(301)が誘導結合プラズマ・イオン源である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
荷電クラスタのビーム(108)を前記加工物(112)に導くステップが、蒸発クラスタ源(400)からの荷電クラスタのビームを前記加工物に導くステップを含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記堆積層が、前記荷電クラスタが形成される材料を含む、請求項5から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記堆積層がガスなしで形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記荷電クラスタのビーム(108)を形成するクラスタが0.1未満の原子当たりの電荷比を有する、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記原子当たりの電荷比が0.01未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
加工物(112)を処理するための荷電粒子装置であって、
真空チャンバ(114)と、
前記真空チャンバ内で前記加工物を加工物位置(110)に支持するための加工物支持体(116)と、
荷電粒子のビームを生成するための荷電粒子源と、
前記荷電粒子のビームを前記加工物位置上に集束するための少なくとも1つの集束レンズと、
を備え、
荷電クラスタのビーム(108)を前記加工物位置に導くように備えられることを
特徴とする装置。
【請求項20】
前記荷電クラスタのビーム(108)が前記荷電粒子源によって生成され、ガスを前記加工物位置(110)に導くためのガス注入システム(104)をさらに備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記荷電粒子源が荷電クラスタを生成しない、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記荷電クラスタがプラズマ・イオン源(301)を含むクラスタ・イオン源によって生成される、請求項19から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記プラズマ・イオン源が誘導結合プラズマ・イオン源(301)である、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記荷電クラスタが蒸発クラスタ・イオン源(400)を含むクラスタ・イオン源によって生成される、請求項19から21のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
前記荷電クラスタが、フラーレン、ビスマス、金、またはキセノンを含むクラスタを生成するために備えられたクラスタ・イオン源(301、400)によって生成される、請求項19から24のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−177154(P2008−177154A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−280016(P2007−280016)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】