説明

シャフトおよび支持装置

【課題】表面温度の熱均一性の低下を低減できるシャフトを提供する。
【解決手段】シャフト100は、ヒータープレートと接合する面において、導体を挿通するための複数の第1貫通孔110と、ヒータープレートとシャフト100とを機械的に固定する固定部材を挿通するための複数の第2貫通孔120とを有する。第1貫通孔110は、ヒータープレートと接合する面の中央を中心とする第1円環上に間隔を存して配置され、第2貫通孔120は、第1円環と同心の第2円環上に間隔を存して配置される。第1貫通孔110のそれぞれと、第2貫通孔120のそれぞれとは、第1円環及び第2円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ場合に、第1貫通孔110の中心と第2貫通孔120の中心とが直線上に並ばないように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェハ等の被処理体を支持するシャフトおよび支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウェハ等の被処理体を支持する支持装置として、ヒーターと高周波電極とが埋設されたヒータープレートとこれを支持するシャフトとを備え、このヒータープレートとシャフトとが、ネジで固定されるように構成されている支持装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
前記ヒータープレートでは、半導体ウェハに対するプロセス時には、ヒーターや高周波電極により半導体ウェハを載置する面が高温状態になる。この場合、前記ヒータープレートは、前記シャフトが接触していることから、当該シャフトを伝わって熱が逃げるという熱損失が生じることになり、この結果、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度は、反対の面にシャフトが取り付けられている範囲においてなだらかに温度が下がった温度分布になる。前記半導体ウェハに対するプロセス時には、当該温度分布は高低が少ないことが好ましいが、熱損失があっても前記のように温度分布がなだらかであればその熱損失分を予め計算して、公知の修正を施すことにより均一性の高い処理をすることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−153706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記シャフトのヒータープレートと対向する面には、前記ヒーターや高周波電極へ電力を供給する端子に接続する導体を挿通するための複数の貫通孔及び前記ネジを挿通するための複数の貫通孔が、それぞれ円環上に一定の間隔を存して設けられている。
【0006】
そのため、ヒータープレートにシャフトが接触している範囲であっても、前記貫通孔が存在する範囲は、前記熱損失が少ない。したがって、前記複数の貫通孔の配置によって
は、熱損失の多い部分と少ない部分との間の温度差が大きくなり、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度の熱均一性が低下するという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度の熱均一性の低下を低減することができるシャフトおよび支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明のシャフトは発熱抵抗体を有するヒータープレートのウェハを載置する面と対向する面において、前記ヒータープレートと接合するシャフトであって、前記接合する面において、少なくとも前記発熱抵抗体に電力を供給する端子に接続される導体を挿通するための複数の第1貫通孔と、前記ヒータープレートと前記シャフトとを機械的に固定する固定部材を挿通するための複数の第2貫通孔とを有し、前記複数の第1貫通孔は、前記接合する面の中央を中心とする第1円環上に間隔を存して配置され、前記複数の第2貫通孔は、前記第1円環と同心であって当該第1円環より小径または大径の第2円環上に間隔を存して配置され、前記複数の第1貫通孔のそれぞれと、前記複数の第2貫通孔のそれぞれとは、前記第1円環及び前記第2円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ場合に、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心とが直線上に並ばないように配置されることを特徴とする。
【0009】
本発明の支持装置では、前記シャフトは、前記ヒータープレートと対向する面において、前記端子に接続される導体を挿通するための前記複数の第1貫通孔が第1円環上に間隔を存して配置され、前記固定部材を挿通するための複数の第2貫通孔が第2円環上に間隔を存して配置され、第2円環は、第1円環と同心であって、かつ、当該第1円環より小径または大径になるように配置されている。
【0010】
そして、前記複数の第1貫通孔のそれぞれと、前記複数の第2貫通孔のそれぞれとは、前記第1円環及び前記第2円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ際に、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心とが直線上に並ばないように配置されている。
【0011】
したがって、本発明の支持装置によれば、前記第1円環及び前記第2円環の中心から径方向への前記半導体ウェハを載置する面の温度分布測定した場合において、前記中心から全方位を臨んだときに、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心とが直線上にならぶことにより、シャフトが接している範囲においても熱損失が相対的に非常に少ない部分が発生し、前記温度分布の均一性が大きく低下する事態を回避することができる。
【0012】
この結果、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度の熱均一性の低下を低減することができる。
【0013】
本発明のシャフトにおいて、前記複数の第1貫通孔および前記複数の第2貫通孔は、前記第1円環及び第2円環の中心に対して回転対称性を有するように配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成を備えるシャフトによれば、前記第1円環及び前記第2円環の中心から径方向への前記半導体ウェハを載置する面の温度分布測定した場合において、前記中心から全方位を臨んだときに、熱損失が相対的に非常に少ない部分が一定の方位に集中することにより前記温度分布の均一性が害される事態を回避することができる。
【0015】
本発明のシャフトにおいて、前記複数の第1貫通孔および前記複数の第2貫通孔は、前記第1円環の中心を始点とする前記第1貫通孔の一対の接線と当該一対の接線の間に挟まれるシャフトの外側の円弧とにより画定される当該第1貫通孔を囲う第1扇形領域と前記第2円環の中心を始点とする前記第2貫通孔の一対の接線と当該一対の接線の間に挟まれるシャフトの外側の円弧とにより画定される当該第2貫通孔を囲う第2扇形領域とが重複することがないように配置されることが好ましい。
【0016】
この構成を備えるシャフトによれば、前記第1円環及び前記第2円環の中心から径方向への前記半導体ウェハを載置する面の温度分布測定した場合において、前記中心から全方位を臨んだときに、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが直線上にならぶことがなくなるため、いずれの方位においても熱損失が複数個所で発生する事態を回避することができ、この結果、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度の熱均一性の低下をより低減することができる。
【0017】
本発明のシャフトは、前記接合する面において、当該接合する面にパージガスを供給する通路を構成する複数の第3貫通孔を有し、前記複数の第3貫通孔は、前記第1円環と同心であって当該第1円環または前記第2円環より小径または大径の第3円環上に間隔を存して配置され、前記複数の第3貫通孔のそれぞれは、前記第3円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ場合に、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心と前記第3貫通孔とが直線上に並ばないように配置されてもよい。
【0018】
この構成を備えるシャフトによれば、当該接合する面にパージガスを供給する通路として複数の第3貫通孔を設けた場合にも、前記第3円環の中心から径方向への前記半導体ウェハを載置する面の温度分布測定した場合において、前記中心から全方位を臨んだときに、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心と前記第3貫通孔の中心とが直線上にならぶことにより、シャフトが接している範囲においても熱損失が相対的に非常に少ない部分が発生し、前記温度分布の均一性が大きく低下する事態を回避することができる。
【0019】
この結果、前記半導体ウェハを載置する面の表面温度の熱均一性の低下を低減することができる。
【0020】
本発明の支持装置は、前記本発明のシャフトと、前記ヒータープレートと、当該シャフトと当該ヒータープレートとを機械的に固定する前記固定部材とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態のシャフトを示す平面図。
【図2】本実施形態における支持装置を示す断面図。
【図3】本実施形態のシャフトの変形例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(本実施形態の全体構成)
図1に示すように、シャフト100は、後述するヒータープレート200との接合面において、後述する2つのヒーター端子212とRF端子222と熱電対端子(図示せず)とを挿通するための第1貫通孔110と、後述するネジ230を挿通するための第2貫通孔120と、パージガス通路を形成する第3貫通孔130と、略環状の溝部140とを有する。
【0023】
次に、図2を用いて本発明の支持装置1の全体像を説明する。なお、シャフト100を挿通される電極とヒータープレート200の内部との接続関係を明確にするため、シャフト100は、図1の折れ曲がりを有するA1−A6線で断面を取っている。
【0024】
ここで、図1を用いてA1−A6線の折れ曲がり方を説明する。
【0025】
まず、A4は平面視円形のシャフト100の中心点である。次に、特定の第2貫通孔120をA2とし、前記A4から当該A2を通じた延長線とシャフト100の外周の交点をA1とする。次に、前記A2にもっとも近接している第1貫通孔110を、A3とする。また、第3貫通孔130のうち、前記A3から離れている方をA5とする。さらに、前記A4から当該A5を通じた延長線とシャフト100の外周の交点をA6とする。
【0026】
以上のA1、A2、A3、A4、A5、A6へ順に引いた折れ線が、A1−A6線である。
【0027】
図2に示すように、本実施形態の支持装置1は、シャフト100とヒータープレート200とを備えており、ウェハ400をヒータープレート200上に保持する。支持装置1は、プロセスチャンバー(図示せず)の中に入れられ、ウェハ400を保持した状態でフッ素ガス等の各プロセスに応じたプロセスガス雰囲気に置かれる。プロセスガスは、供給経路(図示せず)を通してチャンバー内部に所定の圧力で供給される。
【0028】
ヒータープレート200は、AlN、SiC、MgAl、Al等を原料としたセラミックによって略円盤状に形成される。なお、ヒータープレート200の形状は、三角板状、四角板状等であってもよい。原料の中でAlNは、セラミックのなかでは熱伝導性が高いため均熱性に優れている点で好ましく、さらに、Yを添加することより均熱性を向上させることができる。
【0029】
ヒータープレート200には、ヒータープレート200のシャフト100との接合する面(以下、単に接合面という)に近い位置にヒーター210が埋設されている。また、電極220が、それと対向するウェハ400を保持する面に近い位置に埋設されている。
【0030】
ヒーター210は、発熱抵抗体であり、例えば螺旋状に巻き回されており、電流を流すことによってジュール熱を発生する。ヒーター210の両端部には、略有底筒状のヒーター端子212が、ヒータープレート200の接合面のほぼ中央部において、例えば、ロウ付けによりそれぞれ接続固定されている。そして、ヒーター端子212の筒状の穴には、第1貫通孔110を通じて、棒状のNiロッド電極214がロウ付けによりそれぞれ接続固定されている。一対のNiロッド電極214は、それぞれヒーター電源(図示せず)に接続されており、これを作動させることにより、ヒーター210を発熱させることができる。なお、Niロッド電極214は、端子間の放電を防止するため、その周囲を円筒状の絶縁スリーブ(アルミナスリーブ)で覆われている。
【0031】
ヒーター210は、耐熱性に優れ、熱膨張係数の小さい金属、または、熱膨張係数がヒータープレート200を形成するセラミックの熱膨張係数に近い金属(例えば、Mo、W等)を原料として製造されることが好ましい。また、ヒーター端子212は、コバール、Mo、Niを原料として製造されることが好ましい。
【0032】
電極220は、プラズマ処理をウェハ400に施すときに使用するRF電極である。電極220は、ヒーター210に用いられる前述のヒーター端子212と同様に、RF端子222が固定されており、RF端子222の筒状の穴には、第1貫通孔110を通じてNiロッド電極224に接続固定されている。なお、Niロッド電極224も、端子間の放電を防止するため、その周囲を円筒状の絶縁スリーブ(アルミナスリーブ)で覆われている。
【0033】
また、ヒーター210には、ウェハ400の温度を測定するために、第1貫通孔110を通じて熱電対(図示せず)を挿入する挿入孔が設けられており、前記熱電対が接続固定されている。
【0034】
なお、ヒータープレート200は、他にESC電極を内蔵していてもよい。
【0035】
シャフト100は、AlN、SiC、MgAl、Al等を原料としたセラミックによって略円筒状に形成される。
【0036】
特に、AlNは、セラミックとしては熱伝導性が高いため均熱性に優れている点で好ましい。すなわち、図1に示すように、円盤状のヒータープレート200の中心に給電端子を設けると中心部に熱を持ちやすく、温度分布も中心部が高く周辺に行くほど低くなる場合がある。これに対し、シャフト100の原料をAINとすることで、中心部に溜まった熱をシャフト100が逃がすことができるので、ウェハ400の表面の温度分布を平均化しやすい。
【0037】
シャフト100は、軸方向に沿ってパージガス通路を形成する第3貫通孔130に、パージガスを供給するパージガス供給手段(図示せず)が接合面の反対側に備えられている。
【0038】
シャフト100は、パージガス供給手段によって、第3貫通孔130を通じてヒータープレート200の接合面に対して、N2等のパージガスが充填される。
【0039】
なお、パージガスの種類としては、プロセスに影響を与えないものであればAr、He等であってもよい。
【0040】
また、ヒータープレート200の接合面からウェハ400を保持する面まで、第3貫通孔130と連通する貫通孔132を設け、シャフト100の接合面の反対側から第3貫通孔130を介して真空引きすることで、ウェハ400を吸引固定することもできる。
【0041】
なお、第3貫通孔130は、途中で分岐し、接合面側の先端で溝部140と連通し、溝部140にパージガスを供給するように構成されていてもよい。
【0042】
シャフト100とヒータープレート200とは、第2貫通孔120をザグリとしてネジ(固定部材)230とヒータープレートの設けられたネジ孔232とにより締結される。
【0043】
固定部材としては、ネジ以外にも、クランプ等、機械的にヒータープレート200とシャフト100とを固定しうる機構であってもよい。
【0044】
ネジ230は、金属またはセラミックによって製造される。金属ネジの場合は耐熱性、膨張係数を考慮し、インコネル、Ni、Tiを主成分とするものが使用される。ネジを締結する際のトルクは、呼び径がM5の六角穴つきボルトで6Nm程度が望ましく、10Nm以上ではネジ部の破損の可能性がある。
【0045】
また、この締結がなされる、ヒータープレート200の接合面とシャフト100の接合面とは、表面粗さRa0.2μm以下、平面度2μmになるまでラップ等の表面研磨加工を行うことが好ましい。
【0046】
さらに、ヒータープレート200の接合面とシャフト100の接合面との間には、金属製のO−リング500が挟み込まれている。O−リング500は、耐熱性のあるステンレスやインコネルが好ましい。さらにO―リング500の表面には金またはニッケルが20μm以上コーティングされているものが望ましい。O−リング500は、溝部140の断面より大きい断面となるように設計され、最低50μmつぶすように前記ネジによる締結を行うことが好ましい。
【0047】
また、エアリークを制御する方法としては、金属箔、ロウ材、接着剤等を用いてもよい。また、金属箔の厚さは、1μm未満では製造し難く、10μm以上では変形させるのに多大な締結力が必要となりネジ部の破損等の可能性があるので、1μm以上10μm未満が好ましい。この金属箔は、ネジ22の締結トルクにより、それぞれの接合面の表面のわずかな凹凸に沿って弾性変形及び塑性変形するので、ヒータープレート200とシャフト100との密着度は極めて高いものとすることができる。
【0048】
(本実施形態の特徴的構成)
図1を用いて、本実施形態における特徴的構成について説明する。
【0049】
図1に示すように、シャフト100は、ヒータープレート200との接合面において、ヒーター端子212とRF端子222と熱電対端子(図示せず)とを挿通するための第1貫通孔110と、ネジ230を挿通するための第2貫通孔120と、パージガス通路を形成する第3貫通孔130とを有する。
【0050】
第1貫通孔110は、ヒータープレート200との接合面の4箇所に設けられており、その4つの第1貫通孔110は、前記接合面で形成される円と同心の第1の円環上に、回転対称性をもって等間隔に配置されている。
【0051】
また、第2貫通孔120は、ヒータープレート200との接合面の6箇所に設けられており、その6つの第2貫通孔120は、前記第1の円環を囲む同心の第2の円環上に、回転対称性をもって等間隔に配置されている。
【0052】
さらに、第3貫通孔130は、ヒータープレート200との接合面の2箇所に設けられており、その2つの第3貫通孔130は、前記第2の円環を囲む同心の第3の円環上に、回転対称性をもって等間隔に配置されている。
【0053】
すなわち、第1の円環、第2の円環、第3の円環、および、前記接合面で形成される円は、同心円である。また、本実施形態では、第1の円環、第2の円環、第3の円環、および、前記接合面で形成される円の順で大径となっているが、第1の円環、第2の円環、第3の円環の径の大きさは、どのような順序であっても良い。
【0054】
そして、第1貫通孔110と第2貫通孔120と第3貫通孔130とは、同心円の中心(図1のA4)を始点として前記接合面の外側に向かう方位線を考えた場合に、2以上の貫通孔の中心部を通過する方位線が発生しないように配置されている。すなわち、同心円の中心(図1のA4)を通るシャフトの軸方向に並行な断面を考えた場合に、どの角度で断面を取ったとしても、同種の貫通孔以外の貫通孔の中心部が断面に現れないように配置されている。
【0055】
例えば、図1に示すように、同心円の中心(図1のA4)から、特定の第1貫通孔110の中心部(例えば、図1のA3)を通過する断面を考えた場合には、2つの第1貫通孔110が前記同心円の中心から等間隔で断面に現れるが、第2貫通孔120及び第3貫通孔130の中心部は当該断面に現れない。
【0056】
同様に、同心円の中心(図1のA4)から、特定の第2貫通孔120の中心部(例えば、図1のA2)を通過する断面を考えた場合には、2つの第2貫通孔120の中心部が前記同心円の中心から等間隔で断面に現れるが、第1貫通孔110及び第3貫通孔130の中心部は当該断面に現れない。また、同心円の中心(図1のA4)から、特定の第3貫通孔130の中心部(例えば、図1のA5)を通過する断面を考えた場合には、2つの第3貫通孔130の中心部が前記同心円の中心から等間隔で断面に現れることになるが、第1貫通孔110及び第2貫通孔120の中心部は当該断面に現れない。
【0057】
なお、本発明のより好ましい変形例としては、第1貫通孔110と第2貫通孔120と第3貫通孔130とは、同心円の中心(図1のA4)を始点として前記接合面の径方向外側に向かう方位線を考えた場合に、2以上の貫通孔を通過する方位線が発生しないように配置されている。
【0058】
具体的には、図3に示すように、同心円の中心(図1のA4)を始点として特定の第1貫通孔110(例えば、図1のA3を中心とする第1貫通孔)を挟み込むような一対の接線とその間にある前記接合面の円弧で画定される当該第1貫通孔110を囲う第1扇形領域B1を考えた場合、第2貫通孔120及び第3貫通孔130は当該領域と重複して存在しないように配置されている。
【0059】
同様に、同心円の中心(図1のA4)を始点として特定の第2貫通孔120(図1のA2を中心とする第2貫通孔)を挟み込むような一対の接線とその間にある前記接合面の円弧で画定される当該第2貫通孔120を囲う第2扇形領域B2を考えた場合、第1貫通孔110及び第3貫通孔130は当該領域B2と重複して存在しないように配置されている。また、同心円の中心(図1のA4)を始点として特定の第3貫通孔130(図1のA5を中心とする第2貫通孔)を挟み込むような一対の接線とその間にある前記接合面の円弧で画定される当該第3貫通孔130を囲う第3扇形領域B3を考えた場合、第1貫通孔110及び第2貫通孔120は当該領域B3と重複して存在しないように配置されている。
【0060】
すなわち、同心円の中心(図1のA4)を通るシャフトの軸方向に並行な断面を考えた場合には、どの角度で断面を取ったとしても、同種の貫通孔以外の貫通孔が断面に現れないように配置されている。
【0061】
(本実施形態の効果)
以上の構成を備える支持装置1では、シャフト100は、ヒータープレート200と接合面において、複数の第1貫通孔110が第1の円環上に間隔を存して回転対称性を有するように配置され、複数の第2貫通孔120が第1の円環より大径の第2の円環上に間隔を存して回転対称性を有するように配置され、複数の第3貫通孔130が第2の円環より大径の第3の円環上に間隔を存して回転対称性を有するように配置されている。
【0062】
したがって、ヒータープレート200の表面の温度分布を測定した場合、まず、中心部に給電端子が設けられているため、中心部に熱を持ちやすくなり、温度分布も中心部が高く周辺に行くほど低くなる。これに対し、シャフト100がヒータープレート200の前記中心部の裏面に接触しているため、中心部に溜まった熱をシャフト100が逃がすことができるので、ヒータープレート200の表面の温度分布を平均化しやすい。
【0063】
そして、第1貫通孔110と第2貫通孔120と第3貫通孔130とは、同心円の中心(図1のA4)を始点として前記接合面の径方向外側に向かう方位線を考えた場合に、2以上の貫通孔の中心部を通過する方位線が発生しないように配置されている。
【0064】
したがって、支持装置1によれば、ヒータープレート200の表面の温度分布を測定した場合において、当該表面の中心から全方位を臨んだときに、第1貫通孔110の中心と第2貫通孔120の中心と第3貫通孔130の中心とが直線上にならぶことにより、シャフト100とヒータープレートの接触面において熱損失が相対的に少ない部分が局所的に発生することを防止でき、前記温度分布の均一性が大きく低下する事態を回避することができる。
【0065】
この結果、本実施形態の支持装置1によれば、ヒータープレート200の表面のウェハ400を載置する面の表面温度の熱均一性の低下を低減することができる。
【0066】
また、支持装置1の変形例によれば、第1貫通孔110と第2貫通孔120と第3貫通孔130とは、同心円の中心(図1のA4)を始点して前記接合面の径方向外側に向かう方位線を考えた場合に、2以上の貫通孔を通過する方位線が発生しないように配置されている。
【0067】
したがって、変形例の支持装置1によれば、ヒータープレート200の表面の温度分布を測定した場合において、当該表面の中心から全方位を臨んだときに、第1貫通孔110と第2貫通孔120と第3貫通孔130とが同心円の中心からみて直線上にならぶことがないため、シャフト100とヒータープレートの接触面において熱損失が相対的に少ない部分が複数箇所で発生することをどの方位においても防止でき、前記温度分布の均一性が大きく低下する事態をさらに回避することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…支持装置、 100…シャフト、110…第1貫通孔、120…第2貫通孔、200…ヒータープレート、210…ヒーター、212…ヒーター端子、214…Niロッド電極、230…ネジ、400…ウェハ、B1…第1扇形領域、B2…第2扇形領域、B3…第3扇形領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱抵抗体を有するヒータープレートのウェハを載置する面と対向する面において、前記ヒータープレートと接合するシャフトであって、
前記接合する面において、少なくとも前記発熱抵抗体に電力を供給する端子に接続される導体を挿通するための複数の第1貫通孔と、前記ヒータープレートと前記シャフトとを機械的に固定する固定部材を挿通するための複数の第2貫通孔とを有し、
前記複数の第1貫通孔は、前記接合する面の中央を中心とする第1円環上に間隔を存して配置され、
前記複数の第2貫通孔は、前記第1円環と同心であって当該第1円環より小径または大径の第2円環上に間隔を存して配置され、
前記複数の第1貫通孔のそれぞれと、前記複数の第2貫通孔のそれぞれとは、前記第1円環及び前記第2円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ場合に、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心とが直線上に並ばないように配置されることを特徴とするシャフト。
【請求項2】
請求項1記載のシャフトにおいて、
前記複数の第1貫通孔および前記複数の第2貫通孔は、前記第1円環及び第2円環の中心に対して回転対称性を有するように配置されていることを特徴とするシャフト。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシャフトにおいて、
前記複数の第1貫通孔および前記複数の第2貫通孔は、
前記第1円環の中心を始点とする前記第1貫通孔の一対の接線と当該一対の接線の間に挟まれるシャフトの外側の円弧とにより画定される当該第1貫通孔を囲う第1扇形領域と
前記第2円環の中心を始点とする前記第2貫通孔の一対の接線と当該一対の接線の間に挟まれるシャフトの外側の円弧とにより画定される当該第2貫通孔を囲う第2扇形領域とが重複することがないように配置されることを特徴とするシャフト。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャフトであって、
前記接合する面において、当該接合する面にパージガスを供給する通路を構成する複数の第3貫通孔を有し、
前記複数の第3貫通孔は、前記第1円環と同心であって当該第1円環または前記第2円環より小径または大径の第3円環上に間隔を存して配置され、
前記複数の第3貫通孔のそれぞれは、前記第3円環の中心から前記シャフトの外側を臨んだ場合に、前記第1貫通孔の中心と前記第2貫通孔の中心と前記第3貫通孔とが直線上に並ばないように配置されることを特徴とするシャフト。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のシャフトと、
前記ヒータープレートと、
当該シャフトと当該ヒータープレートとを機械的に固定する前記固定部材とを備えることを特徴とする支持装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−59837(P2012−59837A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200154(P2010−200154)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(391005824)株式会社日本セラテック (200)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【Fターム(参考)】