説明

シリコーンエラストマー球状粒子、その水性ディスパージョン及びそれらの製造方法

【課題】 化粧料に配合した場合に、化粧料を白く着色することがなく、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与し、かつ、良好な紫外線遮蔽効果を付与するシリコーンエラストマー球状粒子、その水性ディスパージョン及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンは、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られる、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の添加剤として好適なシリコーンエラストマー球状粒子、その水性ディスパージョン及びそれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料、塗料等の添加剤として使用されるシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンについて、多数の技術が提案されている。それらの製造方法としては、例えば、ビニル基含有オルガノポリシロキサンとケイ素に結合した水素原子含有オルガノポリシロキサンを界面活性剤及び水を使って乳化してエマルジョンを作製した後、白金系触媒を添加し硬化させる方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、硬化性オルガノポリシロキサンを噴霧状態で加熱硬化させる方法(特許文献4参照)、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素に結合した水素原子含有オルガノポリシロキサン及び白金系触媒を0〜25℃の水中に乳化させた後、25℃以上の水中に分散させて硬化する方法(特許文献5、特許文献6参照)、ケイ素に結合したオレフィン性不飽和基含有オルガノポリシロキサンとメルカプトアルキル基含有ハイドロジェンポリシロキサンを水に分散させた後、紫外線照射によって硬化させる方法(特許文献7参照)、アミノ基含有オルガノシロキサンとアクリル官能性ラジカル含有オルガノポリシロキサンを液体に分散させた後、硬化させる方法(特許文献8参照)、ケイ素原子結合ヒドロキシル基含有ジオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子含有オルガノハイドロジェン及び硬化触媒を水中に分散させた後、温度の高い液体又は気体に接触させて硬化する方法(特許文献9参照)、アクリロキシ基、メタアクリロキシ基又はアクリルアミド基含有オルガノポリシロキサンを液体に分散した後、紫外線照射によって硬化させる方法(特許文献10参照)、シラン化合物及びポリシロキサンから選ばれる混合物を含窒素芳香族炭素環化合物を主成分とする溶媒中で縮合触媒下に縮合させて硬化する方法(特許文献11参照)、シラン化合物及びポリシロキサンから選ばれる混合物をアミン、アミド又はニトリルを主成分とする溶媒中で縮合触媒下に縮合させて硬化する方法(特許文献12参照)、ケイ素に結合した脂肪族不飽和基とメルカプト基含有のオルガノポリシロキサンをエマルジョンとした後、光増感剤の存在下において紫外線を照射して硬化させる方法(特許文献13参照)、ビニル基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサンのエマルジョンを25℃以上の気体又は非相溶性液体中で硬化させる方法(特許文献14参照)、ケイ素原子結合ヒドロキシ基含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子含有オルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン及び縮合反応用触媒からなる硬化性液状シリコーン組成物を水中に分散させた状態で硬化させる方法(特許文献15参照)が提案されている。
これらの従来技術に記載されたシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンは、化粧料に配合した場合に、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与する効果はあるが、十分な紫外線遮蔽効果が得られないという問題がある。
【0003】
一方、種々の材料を含んだシリコーンエラストマー粒子も提案されている。例えば、カーボンブラックのような導電性材料を含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献16参照)が提案されている。
しかし、このシリコーンエラストマー粒子は、紫外線遮蔽性能を有するものの、黒く着色しているので、黒色以外の化粧品に用いるのは不適当である。
また、不飽和炭化水素基含有エポキシ化合物を含むシリコーンエラストマー粒子(特許文献17参照)、エポキシ基、アルケニル基又はアミノ基含有アルコキシシランを含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献18参照)、シリコーンオイルを含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献19参照)、脂肪族不飽和結合を有する有機化合物、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン、ケイ素原子結合水素原子を有する含ケイ素有機化合物及び触媒からなる液状組成物をヒドロシリル化反応により架橋してなるシリコーン硬化物粒子(特許文献20参照)、脂肪族不飽和結合を有する有機化合物、ケイ素原子結合水素原子を有する含ケイ素有機化合物及び触媒からなる液状組成物をヒドロシリル化反応により架橋してなる有機架橋粒子(特許文献21参照)、熱可塑性樹脂粒子を含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献22参照)、熱分解法シリカ又は沈降シリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献23参照)、オルガノポリシロキサンを処理した湿式シリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献24参照)、コロイダルシリカを含んだシリコーンエラストマー粒子(特許文献25、特許文献26参照)が提案されている。また、シリコーンエラストマー粒子を金属酸化物粒子で被覆した粒子(特許文献27参照)、シリコーンエラストマー粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子(特許文献28参照)が提案されている。
しかし、これらの粒子は、通常のシリコーンエラストマー粒子と同様に、十分な紫外線遮蔽効果が得られないという問題がある。
そこで、かかる問題を解決するため、酸化チタン微粒子を含有したシリコーンエラストマー粒子(特許文献29参照)が提案されているが、紫外線遮蔽性はあるものの、化粧料に配合した場合に化粧料を白く着色するという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−36546号公報
【特許文献2】特開昭62−257939号公報
【特許文献3】特開平3−93834号公報
【特許文献4】特開昭59−68333号公報
【特許文献5】特開昭62−243621号公報
【特許文献6】特開昭63−77942号公報
【特許文献7】特開昭63−65692号公報
【特許文献8】特開昭63−128075号公報
【特許文献9】特開昭63−202658号公報
【特許文献10】特開昭63−258639号公報
【特許文献11】特開昭63−312324号公報
【特許文献12】特開昭63−312325号公報
【特許文献13】特開平3−95268号公報
【特許文献14】特開平4−72358号公報
【特許文献15】特開平10−36674号公報
【特許文献16】特開昭63−251464号公報
【特許文献17】特開昭64−56735号公報
【特許文献18】特開昭64−70558号公報
【特許文献19】特開平1−81856号公報
【特許文献20】特開2001−40097号公報
【特許文献21】特開2001−40214号公報
【特許文献22】特開平2−218710号公報
【特許文献23】特開平2−232263号公報
【特許文献24】特開平4−168117号公報
【特許文献25】特開平3−281536号公報
【特許文献26】特開平10−36675号公報
【特許文献27】特開平4−348143号公報
【特許文献28】特開平7−196815号公報
【特許文献29】特開2001−354776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような状況に鑑み、本発明は、化粧料に配合した場合に、化粧料を白く着色することがなく、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与し、かつ、良好な紫外線遮蔽効果を付与するシリコーンエラストマー球状粒子、その水性ディスパージョン及びそれらの製造方法を提供しようしてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の問題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、所定の製造方法により得られたシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンが、上記問題を解決できることを知見して、本発明に至った。
すなわち、本発明は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンである。
また、他の本発明は、上記水性ディスパージョンの水分を除去して得られることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子である。
さらに、他の本発明は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることを特徴とする上記水性ディスパージョンの製造方法、及び(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させ、水分を除去することを特徴とする上記シリコーンエラストマー球状粒子の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンは、化粧料に配合した場合に、化粧料を白く着色することがなく、さらさら感、なめらかさ等の使用感及び伸展性を付与することができ、かつ、良好な紫外線遮蔽効果を付与することができるので、特にUVケア化粧料の添加剤として好適である。また、本発明の製造方法によれば、上記特性を有し、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンを効率よく製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のシリコーンエラストマー球状粒子、その水性ディスパージョン、及びそれらの製造方法について詳細に説明する。
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の平均粒径は、0.1〜60μmであり、好ましくは0.5〜40μmである。この平均粒径が0.1μm未満であると、化粧料に配合した場合に表面平滑性が付与されず、60μmより大きいと、表面平滑性が低下し、また、ざらつき感がでるためである。なお、シリコーンエラストマー球状粒子の平均粒径は、例えば、粒径測定装置マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製、商品名)にて測定して求めればよい。
【0009】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンを得るには、まず、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する液状の硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解させる。この場合、有機系紫外線吸収剤を溶解させるために加熱してもよい。
該硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性のオルガノポリシロキサンを含んでいることが必要であり、これにより有機系紫外線吸収剤を溶解することが可能となる。該硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解させるためには、(C6H5)2SiO2/2単位を含有するオルガノポリシロキサンを構成する全てのシロキサン単位中、(C6H5)2SiO2/2単位量が5モル%以上であることが好ましい。なお、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサンのみからなる場合のほか、非硬化性のシリコーンオイル、シラン、無機粉末、有機粉末等を含んでいてもよい。
【0010】
(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、特に(a)(C6H5)2SiO2/2単位を含有し、1分子中にオレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなるオルガノポリシロキサン組成物であることが好ましい。上記(b)成分のケイ素原子に結合した水素原子は、触媒作用により、(a)成分のオレフィン性不飽和基と付加反応する。(a)成分のオルガノポリシロキサンと、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、後述するように、白金系触媒の存在下、付加反応により硬化させるのが、反応性の点から好ましい。
【0011】
さらに詳述すると、(a)成分のオルガノポリシロキサンは、平均式(C6H5)aR1bR2cSiO(4-a-b-c)/2で表されるものである。ここでR1はフェニル基を除く置換又は非置換の炭素数1〜6の1価炭化水素基である。R2は炭素数2〜6の1価オレフィン性不飽和基である。a、b、cは、0<a<3、0≦b<3、0<c<3、0.1≦a+b+c≦3で示される正数である。R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;又は、これらの炭化水素基の炭素原子に結合する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基等で置換された炭化水素基、すなわち、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が示されるが、良好な表面平滑性を与えるという点から、メチル基が好ましい。また、R2は、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等の1価オレフィン性不飽和基であるが、ビニル基であることが好ましい。
【0012】
(a)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、1mm2/s未満であると、該オルガノポリシロキサンの硬化性が不充分となり、20,000mm2/sを超えると、粒度分布の狭いシリコーンエラストマー球状粒子を得ることができなくなり、その平均粒径を0.1〜60μmに調節することが困難となることから、1〜20,000mm2/sとするのが好ましく、特に好ましくは5〜10,000mm2/sである。
【0013】
また、(a)成分のオルガノポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
【0014】
一方、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、平均式(C6H5)dR1eHfSiO(4-d-e-f)/2で表されるものである。ここでR1は前出と同じであり、d、e、fは、0≦d<3、0≦e<3、0<f≦3、0.1≦d+e+f≦3で示される正数である。
【0015】
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの25℃における粘度は、1mm2/s未満であると、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンの硬化性が不充分となり、10,000mm2/sを超えると、粒度分布の狭いシリコーンエラストマー球状粒子を得ることができなくなることから、1〜10,000mm2/sが好ましく、より好ましくは5〜300mm2/sである。
【0016】
また、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれであってもよいが、直鎖状が好ましい。
【0017】
(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの使用量は、(a)成分のオルガノポリシロキサンのオレフィン性不飽和基1個に対し、(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜5個となる使用量が好ましい。水素原子が0.5個未満となる使用量では、良好な硬化性を得ることが困難となり、水素原子が5個を超える使用量では、硬化後に得られるシリコーンエラストマー球状粒子の物理的物性が低下する。
【0018】
(a)成分のオルガノポリシロキサンと(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用する場合は、まず、両成分の所定量を混合して、硬化性オルガノポリシロキサン組成物を調製し、次いで、これに有機系紫外線吸収剤を溶解させる。
【0019】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子に含有される有機系紫外線吸収剤、すなわち、本発明のシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンを得る場合に使用する有機系紫外線吸収剤は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に溶解するものであれば特に限定されない。そのような有機系紫外線吸収剤の例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸ナトリウム、パラメトキシ桂皮酸カリウム、ジパラメトキシ桂皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシ桂皮酸誘導体、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸誘導体、その他に4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル等が挙げられる。
【0020】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子に含有される有機系紫外線吸収剤の量は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物の0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.2〜5質量%である。有機系紫外線吸収剤の量が0.1質量%未満では、紫外線遮蔽効果が乏しくなり、10質量%より多いと、硬化性オルガノポリシロキサン組成物に溶解させることが困難となり、また、紫外線遮蔽効果の更なる向上も期待できなくなる。
【0021】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子及びその水性ディスパージョンを得るには、前記したように、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物に界面活性剤及び水を加え、プロペラ羽根、パドル翼、ホモミキサー、ディスパーミキサー等の撹拌装置又は高圧ホモジナイザー、コロイドミル、超音波乳化機等の乳化装置を用いて、上記溶解物を水中に乳化分散させて乳化分散液を調製する。
この場合に使用する界面活性剤は、特に限定はされず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、N−アシルタウリン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、カルボン酸高分子、スチレンオキシアルキレン酸無水物共重合体等のアニオン性界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルジメチルアンモニウム塩、ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム塩、トリポリオキシエチレンアルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、モノアルキルアミン塩、モノアルキルアミドアミン塩、カチオン化セルロース等のカチオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルジメチルカルボキシベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルカルボキシベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等の両イオン性界面活性剤が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を併用することができるが、アニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤とを併用することはできない。
【0022】
また、所定の水溶性ポリマーも界面活性剤として使用することが可能であり、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子等の天然の水溶性高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子等の半合成の水溶性高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール1500、4000、6000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等の共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等の合成の水溶性高分子が挙げられる。
【0023】
前記乳化分散液中における(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物と有機系紫外線吸収剤の混合溶解物の配合量は、10質量%未満であると不経済であり、70質量%を超えると、水性ディスパージョンの粘度が高くなり、取り扱いが不便となるため、10〜70質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは30〜60質量%である。
【0024】
また、前記乳化分散液中における界面活性剤の配合量は、0.01質量%未満では、十分に乳化分散することができず、30質量%を超えると、乳化が困難となるため、0.01〜30質量%の範囲とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%である。
【0025】
前記したように、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物と有機系紫外線吸収剤の混合溶解物の乳化分散液を作製した後、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させる。これにより本発明の水性ディスパージョンが得られる。(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化するには、付加反応、縮合反応、紫外線による反応、放射線による反応等の方法で行えばよいが、特に白金系触媒を用いた付加反応による硬化が、迅速である点で好ましい。
付加反応により硬化させる場合には、付加反応触媒を加えて硬化させればよく、この付加反応触媒としては、特に限定されるものではなく、各種の白金系触媒、パラジウム系触媒等が使用できる。特には、上記したように白金系触媒が好ましく、白金黒、白金担持カーボン、白金担持シリカ、白金担持アルミナ、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−アルコール変性体錯体等の各種白金化合物が挙げられる。
【0026】
白金系触媒の添加量は、(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に対して、白金系触媒中の白金原子が質量単位で1〜100ppmとなる量であることが好ましい。1ppm未満では付加反応速度が遅くなり、100ppmを超えると不経済である。なお、付加反応促進又は付加反応を完結させるために、付加反応触媒添加後、分散液を100℃未満で加熱してもよい。
【0027】
本発明のシリコーンエラストマー球状粒子を得るには、さらに、上記水性ディスパージョンの濃縮、乾燥等の操作を行うことによって水分を除去すればよい。例えば、上記水性ディスパージョン中の水100質量部に対して、1〜30質量部の無機塩類を加えた後、濾過、乾燥することにより、本発明のシリコーンエラストマー球状粒子を容易かつ高い回収率で得ることができる。無機塩類の例としては、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸亜鉛、硝酸カルシウム等が挙げられる。
気流乾燥装置、噴霧乾燥装置(スプレードライヤ)等の液状物から水分を気化蒸発させて固形製品を得る装置を用いて、水性ディスパージョンから、本発明のシリコーンエラストマー球状粒子を得ることもできる。
【0028】
また、シリコーンエラストマー球状粒子の分散性を向上させるため、シリコーンエラストマー球状粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆した粒子とすることができる。シリコーンエラストマー球状粒子をポリオルガノシルセスキオキサンで被覆するには、例えば、本発明のシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンにアルカリ性物質又はアルカリ性水溶液とアルキルトリアルコキシシランを添加し、加水分解、縮合反応させる方法を使用すればよい。
【0029】
上記ポリオルガノシルセスキオキサンは、一般式R1SiO3/2 で示されるものであり、この式中のR1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル、トリル基等のアリール基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、β−フェニルエチル基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基、クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の1価ハロゲン化炭化水素基、さらにはエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基等の反応性基を有する有機基から選択される1種又は2種以上からなる炭素数1〜20よりなる1価の有機基であるオルガノシルセスキオキサン単位を構成単位とする樹脂状の重合物である。なお、上記したR1SiO3/2単位の他に、その被覆性を損なわない範囲で、少量のR12SiO2/2単位、 R13SiO1/2単位、SiO2単位が含有されていてもよい。
【0030】
ポリオルガノシルセスキオキサンは、シリコーンエラストマー球状粒子の表面全面に均一に被覆していてもよいし、表面の一部を被覆していてもよい。このポリオルガノシルセスキオキサンの量は、シリコーンエラストマー球状粒子100質量部に対し、1質量部未満では、被覆による分散性向上効果があまり認められず、500質量部より多くなると、シリコーンエラストマー球状粒子の特性が十分に発揮されなくなるので、1〜 500質量部とすることが好ましく、より好ましくは5〜100質量部である。
【実施例】
【0031】
次に実施例を示して、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによってのみ限定されるものではない。なお、実施例中における粘度は25℃における測定値である。
【0032】
(実施例1)
下記式[化1]で示され、粘度が1,300mm2/sのメチルフェニルビニルポリシロキサン(全シロキサン単位中の(C6H5)2SiO2/2単位量=30モル%)470g、下記式[化2]で示され、粘度が8mm2/sのメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン30g([該メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンのSi-H/上記メチルフェニルビニルポリシロキサンのビニル基]モル比=1.08)、及び有機系紫外線吸収剤として、4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタン5gを平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに仕込み、80℃で4時間撹拌し、溶解させた。
次いで、得られた溶解物350g、ポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル2.1g及び水70gをガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油(O/W)型エマルジョンの状態になり、さらに6,000rpmで10分間撹拌を行い、その後、回転数を2,000rpmとし、水273gを加えて乳化物を得た。
次いで、得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5質量%)1.1gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.7gの混合溶解物及びポリオキシエチレン(付加モル数4)ラウリルエーテル2.5gを添加し、35℃で24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタンを含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得た。
この4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタンを含有したシリコーンエラストマー粒子の平均粒径を粒径測定装置マルチサイザーII(ベックマン・コールター社製、商品名)で測定したところ、5.3μmであった。
また、上記水性ディスパージョンを約1g採取し105℃の乾燥機で乾燥させたところ、弾性のある白色粉末が得られた。この白色粉末を光学顕微鏡で観察したところ、球状の粒子であった。
さらに、上記水性ディスパージョン0.4gを水20gで希釈し、分光光度計U−3310(日立製作所製、商品名)で光の透過率を測定したところ、波長300〜390nmでの透過率=0%であり、良好な紫外線遮蔽効果を示した。
【0033】
【化1】

【化2】

【0034】
(実施例2)
下記式[化3]で示され、粘度が2,600mm2/sのメチルフェニルビニルポリシロキサン(シロキサン単位中の(C6H5)2SiO2/2単位量=10モル)487g、下記式[化4]で示され、粘度が25mm2/sのメチルハイドロジェンポリシロキサン13g([該メチルハイドロジェンポリシロキサンのSi-H/上記メチルフェニルビニルポリシロキサンのビニル基]モル比=1.07)、及び有機系紫外線吸収剤として、パラメトキシ桂皮酸オクチル5gを平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに仕込み、80℃で4時間撹拌し、溶解させた。
次いで、得られた溶解物350g、ポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル2.1g及び水70gをガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油(O/W)型エマルジョンの状態になり、さらに6,000rpmで10分間撹拌を行い、その後、回転数を2,000rpmとし、水273gを加えて乳化物を得た。
次いで、得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)1.1gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.7gの混合溶解物及びポリオキシエチレン(付加モル数4)ラウリルエーテル2.5gを添加し、35℃で24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、パラメトキシ桂皮酸オクチルを含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得た。
このパラメトキシ桂皮酸オクチルを含有したシリコーンエラストマー粒子の平均粒径を粒径測定装置マルチサイザーII(前出)で測定したところ、7.7μmであった。
また、上記水性ディスパージョンを約1g採取し105℃の乾燥機で乾燥させたところ、弾性のある白色粉末が得られた。この白色粉末を光学顕微鏡で観察したところ、球状の粒子であった。
さらに、上記水性ディスパージョン0.4gを水20gで希釈し、分光光度計U−3310(前出)で光の透過率を測定したところ、波長300〜390nmでの透過率=0%であり、良好な紫外線遮蔽効果を示した。
【0035】
【化3】

【化4】

【0036】
(実施例3)
水2,200g、実施例1と同様にして得られた4−tert−ブチル−4′−メトキシジベンゾイルメタンを含有したシリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを660g、及びアンモニア水(濃度25%)65gを3リットルのガラスフラスコに仕込み、水温10℃とし、翼回転数200rpmの条件で錨型撹拌翼により撹拌を行った。
次いで、この撹拌した液にメチルトリメトキシシラン75gを20分かけて滴下し、この間、液温を5〜15℃に保ち、さらに1時間反応を行った後、55〜60℃まで加熱し、引き続き1時間撹拌を行い、加圧濾過器を用いて、含水率約50%のケーキ状物とした。
次いで、このケーキ状物を熱風循環乾燥機中で105℃の温度で乾燥し、乾燥物をジェットミルで解砕して、シリコーン粉末を得た。得られたシリコーン粉末を光学顕微鏡で観察したところ、球状の粒子であった。
また、この粉末を、界面活性剤を用いて水に分散させて、その平均粒径を粒径測定装置マルチサイザーII(前出)を用いて測定したところ、5.5μmであった。
また、このシリコーン粉末は、重量分析により、シリコーンゴム球状微粒子100重量部の表面に、ポリオルガノシルセスキオキサン10重量部が被覆されたものであることがわかった。
さらに、上記シリコーン粉末0.2gにポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル0.3gを添加し混合した後、水20gを加え、シリコーン粉末の水分散液としたものについて、分光光度計U−3310(前出)で光の透過率を測定したところ、波長300〜390nmでの透過率=0%であり、良好な紫外線遮蔽効果を示した。
【0037】
(比較例1)
前記式[化1]で示され、粘度が1,300mm2/sのメチルフェニルビニルポリシロキサン(全シロキサン単位中の(C6H5)2SiO2/2単位量=30モル%)470g、及び前記式[化2]で示され、粘度が8mm2/sのメチルフェニルハイドロジェンポリシロキサン30g([該メチルフェニルハイドロジェンポリシロキサンのSi-H/上記メチルフェニルビニルポリシロキサンのビニル基]モル比=1.08)を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに仕込み、室温で10分撹拌し、溶解させた。
次いで、得られた溶解物350g、ポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル2.1g及び水70gをガラスビーカーに仕込み、ホモミキサーを用いて6,000rpmで撹拌したところ、水中油(O/W)型エマルジョンの状態になり、さらに6,000rpmで10分間撹拌を行い、その後、回転数を2,000rpmとし、水273gを加えて乳化物を得た。
次いで、得られた乳化物を平板撹拌装置の付いたガラスフラスコに移し、室温で撹拌下に、塩化白金酸−オレフィン錯体のトルエン溶液(塩化白金酸含有量0.5重量%)1.1gとポリオキシエチレン(付加モル数9)ラウリルエーテル1.7gの混合溶解物及びポリオキシエチレン(付加モル数4)ラウリルエーテル2.5gを添加し、35℃で24時間反応させ、200メッシュ金網に通し、シリコーンエラストマー粒子の水性ディスパージョンを得た。
このシリコーンエラストマー粒子の平均粒径を粒径測定装置マルチサイザーII(前出)で測定したところ、5.2μmであった。
また、上記水性ディスパージョンを約1g採取し105℃の乾燥機で乾燥させたところ、弾性のある白色粉末が得られた。この白色粉末を光学顕微鏡で観察したところ、球状の粒子であった。
さらに、上記水性ディスパージョン0.4gを水20gで希釈し、分光光度計U−3310(前出)で光の透過率を測定したところ、透過率=0%となる波長はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることにより得られることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。
【請求項2】
(a)(C6H5)2SiO2/2単位を5モル%以上含有し、1分子中にオレフィン性不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンと、(b)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンからなり、上記(a)成分のオルガノポリシロキサンが有するオレフィン性不飽和基1個に対し、上記(b)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するケイ素原子に結合した水素原子が0.5〜5個となる組成の硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、白金系触媒の存在下で硬化させることにより得られることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョン。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水性ディスパージョンの水分を除去して得られることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子。
【請求項4】
請求項3に記載のシリコーンエラストマー球状粒子にポリオルガノシルセスキオキサンを被覆してなることを特徴とするシリコーンエラストマー球状粒子。
【請求項5】
(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させることを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の水性ディスパージョンの製造方法。
【請求項6】
(C6H5)2SiO2/2単位を含有する硬化性オルガノポリシロキサン組成物に有機系紫外線吸収剤を溶解し、次いで、得られた溶解物を、界面活性剤を用いて水に乳化分散し、その後、該硬化性オルガノポリシロキサン組成物を硬化させ、水分を除去することを特徴とする、有機系紫外線吸収剤を含有した平均粒径0.1〜60μmのシリコーンエラストマー球状粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の水性ディスパージョン、又は請求項3又は4に記載のシリコーンエラストマー球状粒子を配合した化粧料。

【公開番号】特開2006−335978(P2006−335978A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165438(P2005−165438)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】