説明

シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー

本発明は、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーであって、チタニアドメインサイズが約5ナノメートル未満であるポリマーに関する。このようなポリマーは、例えばマイクロ電子デバイスの製造において、反射防止コーティングを形成するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ電子製造産業における反射防止コーティングを形成するのに有用なシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ電子製造産業は、より低い電力およびより速い速度を可能にするために、そのデバイスにおいてより小さい幾何学形状の方へ向かっている。導体線はより細く、そしてより緊密に充填されるようになってきているので、半導体デバイスの製造には、より多くの課題が導入される。これらの製造プロセスのうちの最も重要なものの1つは、フォトリソグラフィーである。
【0003】
フォトリソグラフィーによって生成されたパターンの線幅の変動は、半導体デバイス中の下部層に反射する光からの光学干渉の結果生じ得る。下部層のトポグラフィーによるフォトレジスト厚さにおける変動もまた、線幅の変動を誘発し得る。フォトレジスト層の下に加えられるボトム反射防止コーティング(BARC, bottom anti-reflective coatings)が、照射ビームの反射からの干渉を防止するために用いられてきた。これに加えて、平坦化反射防止コーティングが選択されるならば、表面トポグラフィーは、BARCフィルムの適用によって減少させることができ、これによってフォトレジスト均一性を改良し、これはまた、改良された(減少した)線幅の変動を結果として生じる。
【0004】
いくつかのリソグラフィープロセスのために、特に、線幅が一層小さくなりさえする、より細かい統合ノード(integration node)において、フォトレジストはもはや、このレジストの下へのこの層の効果的なパターン転写を可能にするのに十分なエッチング抵抗を与えることはできない。多くの例では(例えば非常に薄いフォトレジスト層が必要とされる場合、下部層材料が非常に厚い場合、ディープエッチングが必要とされる場合、またはフォトレジストおよびBARCおよび/または下部層材料の組成が、化学的性質において非常に類似している場合)、ハードマスク層が、パターン化されることになるレジスト、BARC(用いられるならば)、および下部層(すなわち誘電層、シリコン、ポリシリコンなど)間の中間層として使用されてもよい。ハードマスク層は、パターン化されたレジストからパターンを受け取り、このパターンを下部層へ転写するのに必要とされるエッチングプロセスに耐え得る。最も望ましい場合において、ハードマスク層およびBARC層は、統合プロセスを単純化するため、および製造コストを低下させるために、1つに組み合わせることができる。
【0005】
二重ダマスク統合スキーム(Dual damascene integration schemes)もまた、製造ラインの終末過程(BEOL, back end of the line)における製造コストを低減するために今では用いられている。二重ダマスク統合のために必要とされるリソグラフィープロセスは、フォトリソグラフィーへもうひとつの複雑度を加える。バイア(vias)のパターン化のみを必要とする従来の(単一ダマスク)プロセスとは異なって、二重ダマスク構造の製造方法はまた、誘電体の比較的厚い透明層中にエッチングされるトレンチのための線/スペースの組み合わせのパターン化も要求する。例えば銅(または代替金属)酸化を防ぐため、またはエッチングストップとしての機能を果たすために用いられるバリヤー層が、誘電性エッチングの間に、透明にエッチング(etched clear)されないことを保証するため、バリヤー層(すなわち窒化ケイ素)と誘電性材料(すなわち二酸化ケイ素)との間に十分な選択性が必要とされる。残念ながら、エッチング選択性の必要条件は、質の悪いエッチングプロフィール、および/またはバイアスおよびトレンチ中のポリマー蓄積を結果として生じることが多い。
【0006】
この問題を軽減する1つの方法は、トレンチパターン化およびエッチングに先立って、エッチング抵抗性材料で、エッチングされたバイア(via)を充填する方法である。このことは、バリヤー層材料が誘電性トレンチエッチングの間、エッチングガスへ暴露されるのを防ぐ。有機填隙材料、例えばフォトレジストまたは有機BARCを、この用途に用いることができる。しかしながら、無機誘電性材料が用いられる時、エッチング欠陥が、有機充填材料と無機誘電体との間のエッチング速度の差によって、結果として生じることがある。バリヤー層の損傷をともなわないこれらの欠陥の排除は、難しいことがある。
【0007】
多くのハードマスク、反射防止コーティング、および填隙材料は、文献および先行技術に記載されている。しかしながらこれらの材料のどれも、先端技術のリソグラフィープロセスの間に直面する問題への完全な解決法を提供しない。最悪の場合では、単一溶液材料が用いられ、その結果、製造の複雑さおよびコストの増加を生じる。二重または多重機能を与える先行技術の材料の多くは、基体への適用が難しい。例えばこれらは、化学的または物理的蒸着を用いて適用されなければならず、および/または蒸着後に高温ベーキングを必要とし、これはフォトレジスト加工処理と不適合である。これらの材料の多くはまた、反射制御を与えないか、または反射光の相殺的干渉を通して反射を制御するだけである。この結果として、フィルムに対する厳しい厚さおよび均一性の制御を生じる。したがって、製造可能性の観点から、マスキングおよび真の反射防止特性の両方を与える(すなわち、単に干渉によるよりもむしろ、吸収および干渉を通して)、反射防止コーティング/ハードマスク組成物を有することが望ましい。これらのコーティングが、典型的なフォトレジストプロセスと適合性があるスピンコーティングおよび熱処理技術を用いて適用されることがさらに望まれる。さらには材料は、上にあるフォトレジストに関して、十分なエッチング選択性を有すべきである。二重ダマスク統合スキームの場合、コーティングはまた、バイアを充填し得るものであるべきであり、あらゆる金属バリヤー層に対して選択的でありつつ、トレンチ誘電性材料と同様なエッチング特徴を有すべきである。
【0008】
反射防止コーティングは、吸収および/または相殺的干渉によって、フォトリソグラフィープロセスの間に反射された非画像化光の量を最小限にするために、フォトレジスト層の上(TARC)または直接その下(BARC)で用いることができる。非画像化光反射の最小化は、線幅変動の改良(最小化)、および画像化されたフォトレジストのラインエッジの粗さ(LER, line edge roughness)の減少を結果として生じ、これによって臨界寸法(CD, critical dimension)制御を改良する。
【0009】
反射防止コーティング層、および電子デバイス中へのこれらの組み込みのための技術が、次の文献に開示されている。「Materials evaluation of anti-reflective coatings for single layer 193 nm lithography」, Kunz, R.R. et al, SPIE (1994) 2195, 447-460;「Anti-reflective coatings, a Story of Interfaces」, Semiconductor International, (1999), 55-60; Lin et al.,「Dual layer Inorganic SiON Bottom ARC for 0.25um DUV Hard Mask Applications」, SPIE(2000), 246;「Anti-reflective coatings; Theory and Practice」, SPIE(2004), 118。
【0010】
シルセスキオキサン樹脂は、マイクロ電子分野において周知である。例えば米国特許第6,891,237号、第3,615,272号、および第5,973,095号参照。しかしながら、これらの樹脂から生成されたポリマーフィルムは一般に、例えば248nmおよび193nm画像化波長においてBARC用途に必要とされる反射防止特性を示さない。BARC機能を与えるために、染料と呼ばれることが多い発色団種が、この系へ添加されなければならない。この染料は、フォトリソグラフィーの間に用いられる画像化波長全体で適切な吸収を与えるために選択される。一般にこれらの染料相は、ポリマー主鎖中へ直接組み込まれない。むしろこれらは、最終BARC配合物への添加剤として添加され、ポリマー構造中の側鎖へ結合されず、および/またはポリマーネットワークへ共有結合されない。このような染色ハイブリッドBARC系の例は、米国特許第6,420,088号および米国公開公報第2002/0128388号に記載されている。
【0011】
248nmにおける適切な吸収は、例えば米国特許第6,268,457号に記載されているように、種、例えばアントラセンまたはナフタレンをポリマーマトリックス中に組み込むことによって得ることができる。これらの種は、反射性の制御を助けるために248nm吸収の所望レベルを加えるが、これらは、最終フィルムの無機含量を減少し得る。これは、ハードマスク特性、例えばエッチング選択性にマイナスの影響を与えることがある。これに加えて、これらの種は、ポリマーネットワーク中へ弱く結合されるだけであることが多く、このような系から生成されたフィルムの安定性の制御の難しさを結果として生じる。安定性の問題は、特にフィルムが周囲光および環境へ暴露された時、フィルムエージの関数として、特性ドリフト、例えばエッチング速度、および減衰係数として表われる。
【0012】
マイクロ電子製造産業において反射防止コーティングを形成するために有用なシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの合成は公知である。例えば、参照により本明細書に完全に組み込まれているChen et al., 「Materials Chemistry and Physics」, 83(2004)71-77参照。このような配合物は、無機内容物が、発色団種の添加によって危うくされないという点で、有機発色団を利用するものよりも有利である。しかしながら、先行技術のシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのチタニアドメインサイズは比較的大きく、このようなポリマーが、マイクロ電子製造産業において新型統合ノード(180nm以下の形状(feature size))中に反射防止コーティングを形成する有用性を制限する。ほかのシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー系が米国特許第5,100,503号に記載されているが、これらのポリマー中のチタニア種は、ポリマーネットワーク中に結合されず、発色団相が、標準的加工処理の間に容易に濾過されることを可能にし、これによって所望の248nm吸着性種を大幅に減少させるか、または排除しさえする。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、上記問題への解決法を提供する。1つの実施形態において、本発明は、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーである。別の実施形態において、本発明は、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含むコーティングでコーティングされた基体である。別の実施形態において、本発明は、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む自立構造フィルム(free-standing film)である。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液と、非プロトン性溶液中のシルセスキオキサンポリマーの溶液とを組み合わせる工程であって、これらの溶液の1つが、他方の溶液へ添加されて、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成する工程であるが、ただし、オルガノ−チタネート溶液が、シルセスキオキサンポリマー溶液へ添加される時、このシルセスキオキサンポリマーは、1,100グラム未満の重量平均分子量を有する工程;および水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程を含む方法である。このようにして、1つの好ましい実施形態において、本方法は、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液を、非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成する工程であって、このシルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり1,100グラム未満の重量平均分子量を有する工程;および水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程を含む。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含むコーティングである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含むマイクロ電子デバイスまたは発生期の(nascent) マイクロ電子デバイス(すなわち、その製造プロセスの途中にあるマイクロ電子デバイス)である。
【0015】
別の実施形態において、本発明は、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液を、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成する工程;および水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程を含む方法である。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含むコーティングである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む発生期のマイクロ電子デバイスである。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、オルガノ−チタネート、1またはそれ以上のオルガノ−シラン、水、および酸を混合して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程であって、このオルガノ−チタネートが、式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有し、この1またはそれ以上のオルガノ−シランが、式XaSiZ4-a(式中、aは1または2または3であるが、ただし、このオルガノ−シランの少なくともいくつかにおいて、aは1であるという条件があり;Xは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、またはアルカリール基であり;そしてZは、ヒドロキシまたは加水分解性基であり、かつオルガノ−シラン化合物上での各々の発生において同一または異なっていてもよい)を有する工程を含む方法である。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含むコーティングである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーである。別の実施形態において、本発明は、このパラグラフの方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む発生期のマイクロ電子デバイスである。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための改良フォトリソグラフィープロセスであって、誘電性コーティングされたシリコンウエファーを、反射防止コーティングでコーティングする工程;この反射防止コーティング上にフォトレジスト材料の1パターンを形成し、これによって、反射防止コーティングの一部分を暴露されたままにする工程;暴露された反射防止コーティングをエッチングする工程を含む方法であって、この改良が、本発明の方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む反射防止コーティングを含む方法である。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための改良フォトリソグラフィープロセスであって、誘電性コーティングされたシリコンウエファーを、反射防止コーティングでコーティングする工程;この反射防止コーティング上にフォトレジスト材料の1パターンを形成し、これによって、反射防止コーティングの一部分を暴露されたままにする工程;暴露された反射防止コーティングをエッチングする工程を含む方法であって、この改良が、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む反射防止コーティングを含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は1つの実施形態において、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーである。本発明は別の実施形態において、基体、例えば約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーでコーティングされた発生期のマイクロ電子デバイスである。本発明はさらに別の実施形態において、約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む自立構造フィルムである。
【0020】
本発明は別の実施形態において、2つの工程を含む、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法である。第一工程は、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液を、非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成する工程であって、このシルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり1,100グラム未満の重量平均分子量を有する工程である。第二工程は、水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程である。好ましくはこのシルセスキオキサンポリマーは、アルケニル(例えばビニル)およびアリール(例えばフェニル)基を含む。オルガノ−チタネートの例は、次のものを含む。テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソオクチルチタネート、テトライソステアロイルチタネート、テトラオクチレングリコールチタネート、エトキシビス(ペンタン−2,4−ジオナート−0,0’)(プロパン−2−オラート)チタン、およびチタンテトラブタノレートポリマー。好ましいオルガノチタネートは、テトラ−n−ブチルチタネートである。非プロトン性溶媒の例は、次のものを含む。エーテル、例えばテトラヒドロフラン(THF)、エチレングリコールジメチルエーテル;ケトン、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン;およびエステル、例えばブチルアセテート、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)。好ましい非プロトン性溶媒は、THF、エチレングリコールジメチルエーテルであり、最も好ましくはPGMEAである。典型的にはこのオルガノチタネート溶液は、シルセスキオキサンポリマー溶液へ、ある時間にわたって、温度60〜100℃、好ましくは70℃でゆっくりと添加される。典型的には水も、中間体へ、ある時間にわたって、温度60〜100℃、好ましくは70℃でゆっくりと添加される。場合により非プロトン性溶媒のいくつかは、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液から蒸留されてもよい。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液は次いで、典型的には濾過され、発生期のデバイス上へ、このデバイスのフォトリソグラフィー加工処理のために反射防止コーティングとしてコーティングされる。典型的にはこのコーティングプロセスは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、またはスキャンコーティングであり、最も好ましくはスピンコーティングであり、次いでPGMEAの蒸発が行なわれ、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの固体コーティングをこのデバイス上へ残す。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーコーティングは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて見られた時、典型的には約5ナノメートル未満の平均直径を有するチタニアドメインを示す。約5ナノメートル未満のチタニアドメインを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、マイクロ電子デバイスの製造において反射防止コーティングとして用いられた時、向上したUV光吸収特徴および加工処理特性を有する。この小さいチタニアドメインサイズは、線間隔が≦0.25umである時、欠陥を最小限にするため、およびフィルム均一性およびコーティング品質を改良するために、最新式統合ノードにおいて特に好ましい。様々な型および様々な分子量範囲のシルセスキオキサンポリマーは、商業的に入手可能であるか、または下記に概略が示された手順を含む周知手順によって調製することができる。このシルセスキオキサンポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定される。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、2つの工程を含む、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法である。第一工程は、非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液を、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成する工程である。第二工程は、水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程である。好ましいオルガノ−チタネートは、テトラ−n−ブチルチタネートである。好ましい非プロトン性溶媒は、PGMEAである。典型的には、シルセスキオキサンポリマー溶液は、オルガノチタネート溶液へ、ある時間にわたって、温度60〜100℃、好ましくは70℃でゆっくりと添加される。典型的には水も、この中間体へ、ある時間にわたって、温度60〜100℃、好ましくは70℃でゆっくりと添加される。場合により非プロトン性溶媒のいくつかは、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液から蒸留されてもよい。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液は次いで、典型的には濾過され、発生期のマイクロ電子デバイス上へ、このデバイスのフォトリソグラフィー加工処理のために反射防止コーティングとしてコーティングされる。典型的にはこのコーティングプロセスは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、またはスキャンコーティングであり、最も好ましくはスピンコーティングであり、次いでPGMEAの蒸発が行なわれ、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの固体コーティングをこのデバイス上へ残す。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーコーティングは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて見られた時、典型的には約5ナノメートル未満の平均直径を有するチタニアドメインを示す。約5ナノメートル未満のチタニアドメインを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、マイクロ電子デバイスの製造において反射防止コーティングとして用いられた時、向上した光度測定特性および加工処理特性を有する。この小さいチタニアドメインサイズは、線間隔が≦0.25μmである時、欠陥を最小限にするため、およびフィルム均一性およびコーティング品質を改良するために、最新式統合ノードにおいて特に好ましい。様々な型および様々な分子量範囲のシルセスキオキサンポリマーは、商業的に入手可能であるか、または下に概略が示された手順を含む周知手順によって調製することができる。このシルセスキオキサンポリマーの分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(Size Exclusion Chromatography)によって決定される。好ましくはこのシルセスキオキサンポリマーは、1モルあたり1,000グラム超の重量平均分子量を有する。好ましくはこのシルセスキオキサンポリマーは、1モルあたり30,000グラム未満の重量平均分子量を有する。最も好ましくはこのシルセスキオキサンポリマーは、1モルあたり1,700〜12,000グラムの範囲の重量平均分子量を有する。
【0022】
本発明において用いるためのシルセスキオキサンポリマーは、式XaSiZ4-a(式中、aは、1または2または3であるが、ただし、このオルガノ−シランの少なくともいくつかにおいて、aは1であるという条件があり;Xは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、またはアルカリール基であり;そしてZは、ヒドロキシまたは加水分解性基であり、オルガノ−シラン化合物上の各々の発生において同一または異なっていてもよい)を有する、1またはそれ以上のオルガノ−シランの加水分解および重合によって調製することができる。加水分解および重合は、残留加水分解性基がほとんどまたは全くケイ素へ結合されたままにならないように、シランを適切に加水分解するのに十分な量の酸性化水へ、これらのシランの混合物をゆっくりと添加することによって、または残留加水分解性基がほとんどまたは全くケイ素へ結合されたままにならないように、これらのシランを適切に加水分解するのに十分な量の酸性化水をゆっくりと添加することによって実施することができる。
【0023】
加水分解されたオルガノシラン組成物の製造は、所望の特性、例えば分子量の制御および/またはポリマー構造(例えばブロックコポリマーおよびランダムコポリマー)を与えるように調節することができる。オルガノシランの組み合わせが用いられ、これらのオルガノシランの1つが、他方よりも有意に反応性がある時、加水分解反応の間、より反応性の高い種を連続的に添加することが好ましい。このことは、両方の型のシランの残留物が、結果として生じるオリゴマーまたはポリマー全体に、より均一に分散されることを保証する。添加速度は、結果として生じるポリマーにおいてこれらのシランの残留物の所望の混合物を提供するように調節される。本明細書において用いられているように、「連続的に添加する」とは、反応性シランの装入物が全部一度に添加されるのではなく、少なくともいくつかのほぼ均一な部分として添加されるか、またはより好ましくは、反応全体において均一に添加されることを意味する。
【0024】
マイクロ電子産業における用途のために、最終ポリマーが、微粒子汚染物質および無機(金属)汚染物質の両方に関して、確実に本質的に高純度になるようにすることがベストである。したがって、微粒子相の形成を結果として生じず、合成の間、生成物の最小量の処理を要求する合成方法を使用することが有利である。適切な無機純度を保証するために、合成の間に用いられる原料は、最終生成物に必要とされるレベル未満のレベルまで予精製することができるか、または最終ポリマーは、合成後に精製することができる。本明細書に記載された合成方法は、単離工程またはプロセス、例えば相互汚染を結果として生じ得る、樹脂床を通る溶媒交換を含まないので、最終生成物の後精製よりも、予精製された原料を用いることが有利である。用いることができる原料精製方法は、蒸留、クロマトグラフィー、溶媒抽出、または膜分離を含み得るが、これらに限定されるわけではない。
【0025】
加水分解は、約0℃〜40℃、好ましくは約15℃〜約40℃、より好ましくは約25℃までの範囲の温度で実施される。水を酸性化するのに適した酸の例は、ブレンステッド酸、例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸、クエン酸、塩酸、硫酸、およびリン酸を含む。好ましくは酢酸または塩酸が、水を酸性化するために用いられる。重合は、加水分解混合物の温度を、所望の反応時間内に重合を引起こすのに十分な温度へ上げることによって実施される。この温度は、好ましくは60℃より高い、より好ましくは70℃〜150℃、最も好ましくは90℃〜110℃である。
【0026】
重合樹脂の形成は、加水分解副生物、例えばエタノール、メタノール、イソプロパノール、および水の生成を結果として生じる。これらの副生物は有利には除去されるが、一方、重合は、熱または真空またはこれらの組み合わせによって、好ましくは溶媒の補助をともなって行なわれる。溶媒は、本明細書において用いられているように、1またはそれ以上の溶媒である。このような溶媒の例は、C5-12線状、分岐、または環状アルカン、例えばヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサン;エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、およびエチレングリコールジメチルエーテル;ケトン、例えばメチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノン;エステル、例えばブチルアセテート、エチルラクテート、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート;ハロゲン化溶媒、例えばトリクロロエタン、ブロモベンゼン、およびクロロベンゼン;およびシリコン溶媒、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、およびデカメチルシクロペンタシロキサン;およびこれらの組み合わせを含む。好ましい溶媒は、最高の沸騰加水分解副生物の沸点と少なくとも同程度に高い沸点を有する;好ましくはこの溶媒系は、100℃以上の沸点を有する溶媒を含有する。より好ましい溶媒は、グリコールエーテルエステル、例えば本明細書において「PGMEA」とも呼ばれる、DOWANOL(商標)PMAプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(The Dow Chemical Companyの商標)である。溶媒中のポリマーの濃度は、用途依存性であるが、ポリマーおよび溶媒の重量を基準にして、一般に約1〜約75重量%の範囲内にある。
【0027】
加水分解性基Zの例は、ハロゲン、例えばCl、F、Br、I;アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシなど;アルケニルオキシ、例えばアリルオキシ;シクロアルコキシ、例えばシクロペントキシもしくはシクロヘキシルオキシ;アリールオキシ、例えばフェノキシ;シクロアルケニルオキシ、例えばシクロペンテニルオキシ;およびアシルオキシ(例えばアセトキシ)を含む。好ましい加水分解性基は、アルコキシもしくはアシルオキシ;より好ましくはアルコキシ基である。適切なオルガノ−シランの具体例は、非限定的に、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、o−(ビニルオキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロピル)ウレタン、アリルトリアセトキシシラン、アリルメチルジアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルオキシウンデシルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリアセトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルメチルジアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルエチルトリアセトキシシラン、フェニルエチルトリメトキシシラン、フェノキシプロピルトリメトキシシラン、フェノキシプロピルメチルジメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルブチルトリメトキシシラン、N−1フェニルエチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェニルプロピルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、ナフチルメチルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、トリルメチルジメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、クロロプロピルトリメトキシシラン、クロロエチルトリメトキシシラン、およびウレイドプロピルトリメトキシシランを含む。本明細書において非常に好ましいのは、ビニルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとの混合物である。
【0028】
最終生成物の純度を改良するために、これらの原料は、蒸留、クロマトグラフィー、溶媒抽出、膜分離、または当業者に周知のほかの技術によって精製され得る。これらの原料の予精製が用いられないならば、例えば膜分離または溶媒沈殿などの技術を用いた、最終ポリマーの後精製が使用されてもよい。
【0029】
別の実施形態において、本発明は、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、オルガノ−チタネート、1またはそれ以上のオルガノ−シラン(非常に好ましいのは、ビニルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとの混合物である)、水、および酸を混合して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程であって、このオルガノ−チタネート(非常に好ましいのは、テトラn−ブチルチタネートである)が、式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有し、この1またはそれ以上のオルガノ−シランが、式XaSiZ4-a(上記に詳細に記載されている)(式中、aは、1または2または3であるが、ただし、このオルガノ−シランの少なくともいくつかにおいて、aは1であるという条件があり;Xは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、アルケニル、またはアルカリール基であり;そしてZは、ヒドロキシまたは加水分解性基であり、オルガノ−シラン化合物上の各々の発生において同一または異なっていてもよい)を有する工程を含む方法である。好ましくはこの反応は、PGMEAの溶媒中で実施される。好ましい酸は酢酸である。これらの成分が最初に混合された後、これらは好ましくは約100℃に加熱され、反応を完了し、より低沸点の材料を留去する。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液は次いで、典型的には濾過され、発生期のマイクロ電子デバイス上へ、このデバイスのフォトリソグラフィー加工処理のために反射防止コーティングとしてコーティングされる。典型的にはこのコーティングプロセスは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、またはスキャンコーティングであり、最も好ましくはスピンコーティングであり、次いでPGMEAの蒸発が行なわれ、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの固体コーティングをこのデバイス上へ残す。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーコーティングは、透過電子顕微鏡(TEM)を用いて見られた時、典型的には約5ナノメートル未満の平均直径を有するチタニアドメインを示す。約5ナノメートル未満のチタニアドメインを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、マイクロ電子デバイスの製造において反射防止コーティングとして用いられた時、向上した光度測定特性および加工処理特性を有する。この小さいチタニアドメインサイズは、線間隔が≦0.25μmである時、欠陥を最小限にするため、およびフィルム均一性およびコーティング品質を改良するために、最新式統合ノードにおいて特に好ましい。
【0030】
さらに別の実施形態において、本発明は、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための改良フォトリソグラフィープロセスである。この点に関して、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための周知のフォトリソグラフィープロセスの具体的な説明のために、米国特許公報第2005/0112383号(参照により完全に本明細書に組み込まれる)が参照される。ここでこの第2005/0112383号の図1を参照すると、1aはシリコンであり、1bは誘電層であり、層2は反射防止層であり、層4は、フォトレジストパターンであって、この反射防止コーティングの暴露部分が、この明細書に記載されているようにエッチングされているパターンである。本発明の改良は、約5ナノメートル未満のチタニアドメインを有するシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む反射防止コーティングに関する。関連実施形態において、本発明は、上記改良プロセスにしたがって製造されたマイクロ電子デバイスである。
【0031】
もう1つの実施形態において、本発明は、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための改良フォトリソグラフィープロセスである。この点に関して、マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための周知のフォトリソグラフィープロセスの具体的な説明のために、米国特許出願公報第2005/0112383号が再び参照される。ここでこの第2005/0112383号の図1を参照すると、1aはシリコンであり、1bは誘電層であり、層2は反射防止層であり、層4は、フォトレジストパターンであって、この反射防止コーティングの暴露部分が、本明細書に記載されているようにエッチングされているパターンである。本発明の改良は、本発明の教示にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む反射防止コーティングに関する。関連実施形態において、本発明は、上記改良プロセスにしたがって製造されたマイクロ電子デバイスである。
【実施例1】
【0032】
3.46gのビニルトリメトキシシラン(VTMS)および1.98gのフェニルトリメトキシシラン(PTMS)が、9.5gのPGMEAが入っているフラスコへ装入された。水(1.03g)、THF(5.13g)、および濃HCl(0.26g)が、シランの混合物へ35分にわたって添加された。添加後、フラスコが、水浴中で、60℃において3時間加熱された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、SECによって、1モルあたり約1,050gであると決定された。次いで11.35gのテトラブチルチタネート(TBT)(0.03338モル)と41.34gのTHFとの混合物が、フラスコへ65分にわたって添加された(フラスコは60℃に保持された)。次いで8.75gのTHF中に混合された0.1gの水が、1時間にわたって60℃で添加された。次いで10gのPGMEAが添加され、ディーン−スタークトラップが、60℃で45分間留去されたTHFを収集するために取り付けられた。フラスコは80℃へ加熱され、さらに多くのTHFを除去するために15分間保持された。次いでフラスコが冷却され、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液が、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。
【0033】
理論的RSiO3/2固体は3.14gであり、理論的TiO2固体は2.67gであった。これは、45.96%TiO2/54.04%RSiO3/2に等しい。
【0034】
シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液が、PGMEA中5.8%固体へ希釈された。3mlのこの溶液が、0.2μmシリンジフィルタを通して、従来のスピンコーターを用いて500rpmでスピンしている4”シリコンテストウエファー上へ分配された。スピン速度は次いで、3,000rpmへ加速され、フィルムは30秒間スピン乾燥された。乾燥されたフィルムは次いで、200℃で2分間、空気環境中で熱板ベーキングされた。結果として生じたフィルムのコーティング品質は、相分離の兆候をともなわずに良好であった。フィルム厚さは、798オングストロームであった。光学石英(optical quartz)の公称1インチ×1インチ片もまた、この溶液でコーティングされ、上記手順を用いて熱板ベーキングされた。ベーキング後、フィルムの吸光度スペクトルが、UV/Vis分光計を用いて測定される。減衰係数が、フィルムの吸光度および厚さから計算され、248ナノメートルにおいて0.32であると決定された。
【実施例2】
【0035】
6.96gのVTMSおよび3.97gのPTMSが、フラスコへ19gのPGMEAとともに装入された。水(2.06g)、THF(10.26g)、および濃HCl(0.52g)が、シランへ30分にわたって添加された。添加後、フラスコが加熱され、3時間60℃に保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、SECによって、1モルあたり約1,050gであると決定された。次いで45.4gのテトラブチルチタネート(0.1335モル)および165.4gのTHFが混合され、フラスコへ1時間にわたって添加された(フラスコは60℃に保持された)。次いで35gのTHFと混合された0.4gの水が、1時間にわたって60℃で添加された。添加後、ディーン−スタークトラップが取り付けられ、フラスコが、THFを収集するために80℃へ加熱された。約160gのTHFが収集された。PGMEAが、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ添加され、17.8%の固体含量を生じた。理論的RSiO3/2固体は6.27gであり、理論的TiO2固体は10.68gであった。これは、63%TiO2/37%RSiO3/2に等しい。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液の一部分は濾過され(2.7μm)、一部分は濾過されなかった。
【0036】
グラフト化コポリマー系が得られつつあること、およびTiOx沈殿物が、反応の間に形成されないことを検証するのを補助するための濾過調査を行なうために、未濾過材料のサンプルが用いられた。未濾過材料の約20mlアリコートが、一連のシリンジフィルタを通して濾過された。これらの濾過サンプルは次いで、ケイ素およびチタン含量を決定するために、X線蛍光分析(XRF)に付された。これに加えて、2.7μm濾過材料のサンプルが、酸化物組成物中のなんらかの変化が、より細かい濾過工程の結果として生じるかどうかを決定するために、0.02ミクロンフィルタを通して濾過された。次の表に示されているように、すべてのサンプルの酸化物含量は、統計的に同等であり、このことは、TiOx沈殿物がないことを示している。
【表1】

【0037】
濾過されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液のサンプルが、PGMEAで6%固体へ希釈された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。フィルム品質は良好であり、フィルムの厚さは563オングストロームであった。光学石英の一片も、実施例1に記載されているようにコーティングされた。厚さは473オングストロームであった。減衰係数は、248ナノメートルにおいて0.53であると決定され、このことは、これらのSiOx−TiOxコポリマーから形成されたフィルムの減衰係数が、コポリマー溶液中のTiOxフラクションを調節することによって調整することができることを示している。この減衰係数は、1週間後に248ナノメートルにおいて0.52であると決定され、このことは、このコーティングの光学的性質が経時的に安定であることを示している。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーコーティングの屈折率は、248ナノメートルにおいて1.91であり、633ナノメートルにおいて1.67であると決定された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーコーティングのチタニアドメインサイズは、TEMによって約2ナノメートルであると決定された。
【実施例3】
【0038】
6.96gのVTMSおよび3.97gのPTMSが、フラスコへ19gのPGMEAとともに装入された。水(2.06g)、メタノール(10g)、および濃HCl(0.53g)が、30分にわたって添加された。次いでフラスコが加熱され、3時間70℃に保持された。次いでディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられた。フラスコが、100℃へ加熱され、あらゆるアルコールを収集するために10分間保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、1モルあたり約1,100グラム未満であった。26.8gのテトラn−ブチルチタネートと26.8gのPGMEAとが混合され、フラスコへ1時間にわたって添加された(添加の間、フラスコは100℃から70℃へ冷めた)。添加後、0.23gの水と20gのPGMEAとが混合され、1時間にわたって添加された(フラスコは依然として70℃にある)。結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、冷却のためにPGMEAで希釈され、次いで2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。理論的RSiO3/2固体は6.31gであり、理論的TiO2固体は6.31gであった。これは、50%TiO2/50%RSiO3/2に等しい。TEMは、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの酸化チタン(例えばこのハイブリッドポリマーのTiOxまたはTiO2部分)ドメインの粒子サイズが、2〜4nmであることを示している。
【実施例4】
【0039】
3.48gのVTMSおよび1.98gのPTMSが、フラスコへ10gのPGMEAとともに装入された。水(1.03g)、メタノール(5g)、および濃HCl(0.26g)が、シランへ30分にわたって添加された。添加後、フラスコが加熱され、190分間70℃に保持された。190分間70℃の保持後、ディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられた。フラスコが、100℃へ加熱され、あらゆるアルコールを収集するために10分間保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、1モルあたり約1,100グラム未満であった。24.7gのテトラオクチレンチタネート(TYZOR(登録商標)OGT)と24.7gのPGMEAとが混合され、1時間にわたってフラスコへ添加された(添加の間、フラスコは100℃から70℃へ冷めた)。0.11gの水と10gのPGMEAとが混合され、55分間にわたって添加された(フラスコは依然として70℃にある)。結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、冷却のためにPGMEAで希釈され、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。
【0040】
一滴の水が、濾過されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液の2ミリリットルアリコートへ添加された。この溶液は濁らず、このことは、最終生成物が水感受性でないことを示している。水が実施例3のポリマー溶液へ添加された時、水は、形成された沈殿物で濁った。改良は、TnBTを用いて製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーに対して、TYZOR(登録商標)OGTを用いて製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのより大きい加水分解安定性によるものであった。
【0041】
理論的RSiO3/2固体は3.15gであり、理論的TiO2固体は3.15gであり、これは、50%TiO2/50%RSiO3/2に等しい。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例5】
【0042】
6.96gのVTMSおよび3.97gのPTMSが、フラスコへ19gのPGMEAとともに装入された。水(2.06g)、メタノール(10g)、および濃HCl(0.53g)が、シランへ30分にわたって添加された。添加後、フラスコが加熱され、3時間70℃に保持された。ディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられた。フラスコが、100℃へ加熱され、あらゆるアルコールを収集するために5分間保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、1モルあたり約1,100g未満であった。32gのTYZOR(登録商標)AA−105(エトキシビス(ペンタン−2,4−ジオナート−0,0’)(プロパン−2−オレート)チタン)と32gのPGMEAとが混合され、フラスコへ1時間にわたって添加された(添加の間、フラスコは100℃から70℃へ冷めた)。0.3gの水と20gのPGMEAとが混合され、1時間にわたって添加された(フラスコは依然として70℃にある)。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、冷却のためにPGMEAで希釈され、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。理論的RSiO3/2固体は6.31gであり、理論的TiO2固体は6.31gであり、これは、50%TiO2/50%RSiO3/2に等しい。
【実施例6】
【0043】
実施例5に記載されているように製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液のサンプルが、PGMEAで公称23%固体へ希釈された。この溶液は、次いで公称1”×2”テフロン(登録商標)鋳型中にキャストされ、140℃で硬化されて、亀裂を含まない自立構造の透明フィルムを形成した。
【実施例7】
【0044】
6.96gのVTMSおよび3.97gのPTMSが、フラスコへ19gのPGMEAとともに装入された。水(2.06g)、メタノール(10g)、および濃HCl(0.53g)が、シランへ35分にわたって添加された。添加後、フラスコが加熱され、3時間70℃に保持された。ディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられた。フラスコが、100℃へ加熱され、あらゆるアルコールを収集するために10分間保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、SECによって1モルあたり約700gであると決定された。12.73gのTYZOR(登録商標)BTP(チタンテトラブタノレートポリマー)と15gのn−ブタノールとが混合され、フラスコへ1時間にわたって添加された(添加の間、フラスコは100℃から70℃へ冷めた)。0.23gの水と20gのPGMEAとが混合され、1時間にわたって添加された(フラスコは依然として70℃にある)。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーは、冷却のためにPGMEAで希釈され、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。理論的RSiO3/2固体は12.6gであり、理論的TiO2固体は12.6gであり、これは、50%TiO2/50%RSiO3/2に等しい。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、3nm未満の酸化チタンドメインサイズを示している。
【実施例8】
【0045】
フラスコにおいて、19.34gのPTMSが、38gのPGMEAと混合された。水(3g)、メタノール(20g)、および濃HCl(1.06g)が、予め混合され、フラスコへ約30分にわたって添加された。添加後、フラスコが加熱され、3時間70℃に保持された。3時間70℃に保持した後、ディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられ、フラスコが、100℃へ加熱され、ここで、メタノールが蒸留され、収集された。この材料の温度は、10分間100℃に保持された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、SECによって、1モルあたり約800gであると決定された。125.12gのテトラn−ブチルチタネート(TYZOR(登録商標)TnBT)、290gのエチレングリコールジメチルエーテル(EGDMEまたはグライム)、および150gのPGMEAが組み合わされ、フラスコへ約95分間にわたって添加されたが、一方、温度は70℃へ冷めるままにされた。チタネートおよび溶媒の添加後、80gのグライムと1.1gの脱イオン水とが予め混合され、フラスコへ約60分にわたって70℃で添加された。結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液は、100℃へ加熱されて、グライムが除去された。グライムが収集された後、30gのPGMEAが、冷却のためにシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ添加され、次いで2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例9】
【0046】
フラスコにおいて、23.53gのVTMSが、38gのPGMEAと混合された。水(4.9g)、メタノール(20g)、および濃HCl(1.06g)が、予め混合され、フラスコへ約30分にわたって添加された。添加後、ディーン−スタークトラップがフラスコへ取り付けられ、フラスコが、100℃へ加熱され、ここで、メタノールが蒸留され、収集された。結果として生じたシルセスキオキサンポリマーの重量平均分子量は、SECによって、1モルあたり約1,250グラムであると決定された。125.12gのテトラ−n−ブチルチタネート(TYZOR(登録商標)TnBT)、290gのエチレングリコールジメチルエーテル(EGDMEまたはグライム)、および150gのPGMEAが組み合わされ、フラスコへ約95分間にわたって添加されたが、一方、温度は70℃へ冷めるままにされた。チタネートおよび溶媒の添加後、80gのグライムと1.1gの脱イオン水とが予め混合され、フラスコへ約60分にわたって70℃で添加された。結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液は、100℃へ加熱されて、グライムが除去された。グライムが収集された後、30gのPGMEAが、冷却のためにシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ添加され、次いで2.7μmシリンジフィルタを通して濾過された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示している。
【実施例10】
【0047】
45.4グラムのTYZOR(登録商標)TnBTおよび116グラムのエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)が、0.5リットルフラスコへ装入された。フラスコが70℃へ加熱され、4,800g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからの41.51グラムのENSEMBLE(商標)(PGMEA中15.25%固体)シルセスキオキサンポリマーが、60分にわたって添加された。30グラムのEGDMEが、0.4グラムの脱イオン水と予め混合され、フラスコへ60分にわたって添加された。反応混合物が100℃へ加熱されて、EGDMEが除去された。EGDMEを除去した後、加熱が中断され、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液がひとたび70℃未満へ冷却されたら、これは、合成中に導入されたあらゆる異質(環境)粒子を除去するために、2.7μmフィルタを通して濾過された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液の最終固体含量は、37%であった。このポリマー溶液のアリコートが、PGMEAで、5%の公称固体負荷へさらに希釈された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例11】
【0048】
45.4グラムのTYZOR(登録商標)TnBTおよび116グラムのエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)が、0.5リットルフラスコへ装入された。フラスコが70℃へ加熱され、2,500g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからの42.2グラムのENSEMBLE(商標)(PGMEA中15%固体)シルセスキオキサンポリマーが、60分にわたって添加された。30gのEGDMEが、0.4グラムの脱イオン水と予め混合され、フラスコへ60分にわたって添加された。反応混合物が100℃へ加熱されて、EGDMEが除去された。EGDMEを除去した後、加熱が中断され、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液がひとたび70℃未満へ冷却されたら、これは、合成中に導入されたあらゆる異質(環境)粒子を除去するために、2.7μmフィルタを通して濾過された。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液の最終固体含量は、34%であった。このポリマー溶液のアリコートが、PGMEAで、5%の公称固体含量へさらに希釈された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示している。
【実施例12】
【0049】
45.4グラムのTYZOR(登録商標)TnBTおよび116グラムのエチレングリコールジメチルエーテル(EGDME)が、0.5リットルフラスコへ装入された。フラスコが70℃へ加熱され、14,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーからの18グラムのENSEMBLE(商標)(PGMEA中35%固体)シルセスキオキサンポリマーが、60分にわたって添加された。30gのEGDMEが、0.4グラムの脱イオン水と予め混合され、フラスコへ60分にわたって添加された。反応混合物が100℃へ加熱されて、EGDMEが除去された。EGDMEを除去した後、加熱が中断され、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液がひとたび70℃未満へ冷却されたら、これは、合成中に導入されたあらゆる異質(環境)粒子を除去するために、2.7μmフィルタを通して濾過された。シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液の最終固体含量は、36%であった。このポリマー溶液のアリコートが、PGMEAで、公称5%固体へさらに希釈された。シリコンテストウエファーが、このポリマー溶液でコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例13】
【0050】
27.8gのVTMSおよび15.9gのPTMS、100gのPGMEA、および107.2gのTYZOR(登録商標)TnBTが、1リットルフラスコへ装入された。7gの3N酢酸が、1時間にわたって添加された。添加後、ディーン−スタークトラップが取り付けられ、材料が100℃へ加熱された。材料は、4時間アルコールを収集しつつ100℃に保持された。次いで材料は125℃へ加熱され、2時間保持された(依然としてアルコールを収集しながら)。加熱が中断され、30gのPGMEAが、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ、冷却のために添加された。このポリマー溶液のアリコートが次いで、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過され、PGMEAで、公称5%固体までさらに希釈された。シリコンテストウエファーがコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例14】
【0051】
27.8gのVTMSおよび15.9gのPTMS、250gのPGMEA、および107.2gのTYZOR(登録商標)TnBTが、1リットルフラスコへ装入された。21gの3N酢酸が、1時間にわたって添加された。添加後、ディーン−スタークトラップが取り付けられ、材料が125℃へ加熱された。材料は、5時間アルコールを収集しつつ125℃に保持された。125℃での5時間後、加熱が中断され、40gのPGMEAが、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ、冷却のために添加された。このポリマー溶液のアリコートが次いで、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過され、PGMEAで、公称5%固体までさらに希釈された。シリコンテストウエファーがコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例15】
【0052】
27.8gのVTMSおよび15.9gのPTMS、250gのPGMEA、および107.2gのTYZOR(登録商標)TnBTが、1リットルフラスコへ装入された。26.25gの3N酢酸が、1時間にわたって添加された。添加後、ディーン−スタークトラップが取り付けられ、材料が125℃へ加熱された。材料は、5時間アルコールを収集しつつ125℃に保持された。125℃での5時間後、加熱が中断され、40gのPGMEAが、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ、冷却のために添加された。このポリマー溶液のアリコートが次いで、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過され、PGMEAで、公称5%固体までさらに希釈された。シリコンテストウエファーがコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、2〜4nmの酸化チタンドメインサイズを示した。
【実施例16】
【0053】
13.9gのVTMSおよび7.95gのPTMSが、1リットルフラスコへ装入された。26.5gのTYZOR(登録商標)TnBT、25gのn−ブタノール、および100gのPGMEAが混合され、フラスコへ添加された。8.25gの3N酢酸が、1時間にわたって添加された。添加後、ディーン−スタークトラップが取り付けられ、材料が125℃へ加熱された。材料は、4.5時間アルコールを収集しつつ125℃に保持された。加熱が中断され、20gのPGMEAが、結果として生じたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー溶液へ、冷却のために添加された。このポリマー溶液のアリコートが次いで、2.7μmシリンジフィルタを通して濾過され、PGMEAで、公称5%固体までさらに希釈された。シリコンテストウエファーがコーティングされ、実施例1に記載されているように硬化された。このシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのコーティングのTEM分析は、3nm未満の酸化チタンドメインサイズを示した。理論的RSiO3/2固体は12.6gであり、理論的TiO2固体は12.6gであり、これは、50%TiO2/50%RSiO3/2に等しい。
【実施例17】
【0054】
実施例2において製造された配合物がPGMEAで希釈されると、公称900A厚さのキャストフィルムを生じた。この溶液は次いで、4インチ直径導電性ウエファー上に一連のサンプルをスピンコーティングするために用いられ、これらは、200、300、325、350、375、および400℃で2分間窒素中での硬化に付された。結果として生じたフィルムの誘電定数(k)がテストされ、それぞれ6.2、9.2、10.5、11.5、および12.3であると決定された。このようにして誘電定数は、これらのフィルムの硬化温度を調節することによって調整することができる。
【0055】
一連のサンプルはまた、実施例2に記載されているようにも調製された。ただし、グライムが、溶媒として合成中に用いられ、TnBT対シルセスキオキサン比が、公称30%、50%、および70%TiO2固体を有するサンプルを生成するように調節された。合成後、これらのサンプルは、PGMEAで、公称12%固体へ希釈された。これらの溶液は、上記のようにスピンコーティングされた。ただし、これらは、200℃で2分間空気中で硬化された。結果として生じたフィルムの誘電定数(k)は、それぞれ4.6、6.8、および13.4であると決定された。このようにして誘電定数は、TiO2含量の関数として制御することによって管理することができる。
【0056】
比較例
TiO2含有ポリオルガノシリケート溶液が、米国特許第5,100,503号の実施例1に記載されているように調製された。1週間のエージング後、材料が濁った。わずかな部分が、2.7μmフィルタを通して濾過された。この材料は、非常に濾過しにくかったが、濾過物は透明であった。未濾過材料および2.7ミクロン濾過材料の両方のサンプルが、SiおよびTi分析に付された。表3に示されているようにTi相のほぼ75%が、2.7μmフィルタによって除去され、このことは、ゲル様粒子を含有する2相系が形成されたことを示している。酸化チタン相が、より高い波長において吸収性相であるので、より高い(例えば238nm)波長における吸光度は、この材料から形成されたフィルムにおいて低いと予想された。
【表2】

【0057】
結論
本発明は、その好ましい実施形態にしたがって記載されているが、これは、本開示の精神および範囲内で修正することができる。本出願はしたがって、本明細書に開示された一般原則を用いて、本発明のあらゆる変形例、用途、または適応をカバーすることが意図されている。さらには本出願は、本発明が属し、かつ特許請求の範囲の制限内にある、公知または慣例的な実施の範囲内に入る、本開示からのこのような逸脱をカバーすることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、(a)オルガノ−チタネートとシルセスキオキサンポリマーとを組み合わせる工程であって、(i)非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液を、非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成し、このシルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり1,100グラム未満の重量平均分子量を有することによるか、または(ii)非プロトン性溶媒中のシルセスキオキサンポリマーの溶液を、非プロトン性溶媒中のオルガノ−チタネートの溶液へ添加して、中間体、すなわち式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有するオルガノ−チタネートを形成することのどちらかによる工程;および水をこの中間体へ添加して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記シルセスキオキサンポリマーが、アルケニルおよびアリール基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記シルセスキオキサンポリマーのアルケニル基がビニルである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シルセスキオキサンポリマーのアリール基がフェニルである、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーの生成方法であって、オルガノ−チタネート、1またはそれ以上のオルガノ−シラン、水、および酸を混合して、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを形成する工程であって、このオルガノ−チタネートが、式(RO)4Ti(式中、Rは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アリール、またはアルカリール基である)を有し、この1またはそれ以上のオルガノ−シランが、式XaSiZ4-a(式中、aは1または2または3であるが、ただし、このオルガノ−シランの少なくともいくつかにおいて、aは1であるという条件があり;Xは、1〜20炭素を有し、かつ場合により1またはそれ以上のヘテロ原子を含有するアルキル、アルケニル、アリール、またはアルカリール基であり;そしてZは、ヒドロキシまたは加水分解性基であり、かつオルガノ−シラン化合物上での各々の発生において同一または異なっていてもよい)を有する工程を含む、方法。
【請求項6】
前記シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーが、アルケニルおよびアリール基を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのアルケニル基がビニルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのアリール基がフェニルである、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
Rがn−ブチルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
シルセスキオキサンポリマーの溶液が、オルガノ−チタネートの溶液へ添加される、請求項1から4または9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記シルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり1,000グラム超の重量平均分子量を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記シルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり30,000グラム未満の重量平均分子量を有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記シルセスキオキサンポリマーが、1モルあたり1,700〜12,000グラムの範囲の重量平均分子量を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の方法にしたがって製造されたシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む、コーティング。
【請求項15】
シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーのチタニアドメインサイズは、約5ナノメートル未満である、請求項14に記載のコーティング。
【請求項16】
約5ナノメートル未満のチタニアドメインサイズを有する、シルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー。
【請求項17】
請求項1から13のいずれかに記載の方法によって製造された、請求項16に記載のシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマー。
【請求項18】
請求項16に記載のシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーでコーティングされた、基体。
【請求項19】
前記基体が、半仕上げマイクロ電子デバイスである、請求項18に記載の基体。
【請求項20】
請求項16に記載のシルセスキオキサン−チタニアハイブリッドポリマーを含む、自立構造フィルム。
【請求項21】
マイクロ電子デバイス用ワイヤリングパターンを形成するための改良フォトリソグラフィープロセスであって、誘電性コーティングされたシリコンウエファーを、反射防止コーティングでコーティングする工程;この反射防止コーティング上にフォトレジスト材料の1パターンを形成し、これによって、反射防止コーティングの一部分を暴露されたままにする工程;暴露された反射防止コーティングをエッチングする工程を含む方法であって、この改良が、請求項16に記載のポリマー、または請求項1から13のいずれかにしたがって製造されたポリマーを含む反射防止コーティングを含む、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の改良方法にしたがって製造されたマイクロ電子デバイス。
【請求項23】
前記ポリマーの誘電定数は、この基体を、制御された温度へ加熱することによって制御される、請求項18または19のいずれかに記載の基体。
【請求項24】
前記ポリマーの誘電定数は、このポリマーのチタニア含量を制御することによって管理される、請求項18または19のいずれかに記載の基体。

【公表番号】特表2009−513788(P2009−513788A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537915(P2008−537915)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/041662
【国際公開番号】WO2007/053396
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】