説明

シームレスベルト及び画像形成装置

【課題】中間抵抗域の転写ベルトの電気抵抗を容易に制御することができ、電気抵抗の変化やイオン導電剤のベルト表面へのブリードアウトもなく、押出し成形時の加工性を損なうことがないシームレスベルト及びこのシームレスベルトを転写ベルトとして用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置に用いられるシームレスベルト10であって、該シームレスベルトが、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含有し、前記熱可塑性樹脂が連続相を形成し、前記熱可塑性樹脂非相溶物が不連続相を形成しており、前記導電性フィラーが前記連続相中に分散しているシームレスベルト及びこのシームレスベルトを転写ベルト10として用いた画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式又は静電印刷方式にて画像形成を行う画像形成装置に用いられる、中間転写ベルト、搬送ベルト、転写ベルト、定着ベルト、現像ベルト等として好適な導電性のシームレスベルトに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で用いる転写ベルトは、中間抵抗領域(体積抵抗率で10〜1010(Ω・cm))のベルト材料で形成することが好ましい。転写ベルトの体積抵抗率を調整するため、ベルト材料を構成する樹脂中に抵抗制御剤を分散する。樹脂の電気抵抗を調整する手段としては、主に電子導電作用を利用する方法と、イオン導電作用を利用する方法が挙げられる。
電子導電作用を利用する方法では、抵抗制御剤として導電性フィラーを樹脂に添加し、電気抵抗の調整を行う。導電性フィラーとして、一般的には導電性のカーボンブラックを用いるが、添加量に対して、中抵抗域での体積抵抗率の変化幅が大きく抵抗調整が困難である。これはパーコレーションモデルとして説明される(図5参照)。このパーコレーションモデルにおけるスレッショルドの傾きの制御が必要である。
また、樹脂中に導電性フィラーを均一に分散させることは非常に困難であり、このような方法で抵抗調整を行った転写ベルトでは、ベルトの電気抵抗のばらつきによる転写抜けやリーク等の画像不良が発生する場合があった。さらに、酸化亜鉛などカーボンブラック以外の導電性フィラーを用いた場合には、中抵抗域の体積抵抗率に調整するため、多量のフィラーを添加する必要があり、添加量の増量により成形性が極端に悪化してしまうという課題があった(図6参照)。
一方、イオン導電作用を利用する方法では、表面抵抗の低下は見られるものの体積抵抗率は低下し難く、体積抵抗率を調整しようとすると界面活性剤の添加量が多くなり、ベルト表面にブリードアウトするという課題がある。また、通電し続けると、イオン導電剤量濃度が低下し、抵抗が変化するといった課題がある。さらに、抵抗値が温湿度環境に応じて大きく変化してしまうという問題も有している。
【0003】
これらの課題を解決する手段として、例えば以下のような技術が提案されているが、いずれも、本課題に対して本質的な解決方法とは言い難い。
連続相を形成する熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂に完全に相溶しない樹脂を混合させると、海島(ミクロ相分離)構造が形成される。この島構造の中にカーボンブラックを分散することで、抵抗調整の安定化を図る提案がなされている(特許文献1)。しかしながら、島中にカーボンブラックを分散しても、島領域の抵抗調整では図5に示した傾きが存在するため、島部分の抵抗調整が不安定になるという課題が存続する。
一方、結晶性高分子と非結晶性高分子のポリマーブレンド系において、連続相となる高分子に導電性のカーボンブラックを分散することが提案されている(特許文献2)。これらは、転写ベルトの機械特性の改善は見込めるもののベルト抵抗調整の安定性の向上は望めないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、中間抵抗域(体積抵抗率で10〜1010(Ω・cm))の転写ベルトの電気抵抗を容易に制御することができ、電気抵抗の変化やイオン導電剤のベルト表面へのブリードアウトもなく、押出し成形時の加工性を損なうことがないシームレスベルト及びこのシームレスベルトを転写ベルトとして用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明のシームレスベルトは、画像形成装置に用いられるシームレスベルトであって、該シームレスベルトが、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含有し、前記熱可塑性樹脂が連続相を形成し、前記熱可塑性樹脂非相溶物が不連続相を形成しており、前記導電性フィラーが前記連続相中に分散していることを特徴とする。
2.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記熱可塑性樹脂非相溶物が、絶縁性フィラー及び/又は樹脂であることを特徴とする。
3.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記連続相を形成する熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体樹脂(PVDF−ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる樹脂であることを特徴とする。
4.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記導電性フィラーが、体積抵抗率が10〜10(Ω・cm)の範囲にある、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン及び酸化インジウムから選ばれる少なくとも一種の化合物であることを特徴とする。
5.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記連続相を形成する熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂と相溶しない樹脂との融点の差が20℃以上であることを特徴とする。
6.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記絶縁性フィラーが、体積抵抗率が1010(Ω・cm)以上の、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種の化合物であり、前記絶縁性フィラーの体積平均粒子径が、前記導電性フィラーの体積平均粒子径よりも大きいことを特徴とする。
7.本発明のシームレスベルトは、さらに、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含むベルト材料を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、該溶融混練物を押出し成形して成形物を得る工程とを含む工程により製造されることを特徴とする。
8.本発明のシームレスベルトは、さらに、前記溶融混練物の押出し成形後に、溶融状態の成形物に電子線を照射する工程を含むことを特徴とする。
9.本発明の画像形成装置は、少なくとも、像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、像担持体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する一次転写手段と、中間転写ベルト上のトナー像を被記録媒体上に転写する二次転写手段と、被記録媒体上のトナー像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置に使用する中間転写ベルトであって、該中間転写ベルトが、前記シームレスベルトを用いた中間転写ベルトであることを特徴とする。
10.本発明の画像形成装置は、少なくとも、像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、像担持体上のトナー像を被記録媒体上に転写するために該被記録媒体を搬送する転写ベルトと、像担持体上のトナー像を被記録媒体上に転写する転写手段と、被記録媒体上のトナー像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置に使用する転写ベルトであって、該転写ベルトが、前記シームレスベルトを用いた転写ベルトであることを特徴とする。
11.本発明のシームレスベルトの製造方法は、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含むベルト材料を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、該溶融混練物を押出し成形して成形物を得る工程と、該成形物に電子線を照射する工程とを含むことを特徴とする。
12.本発明のシームレスベルトの製造方法は、さらに、前記溶融混練物の押出し成形後に、溶融状態の成形物に電子線を照射する工程を含むことを特徴とする。
13.本発明のシームレスベルトの製造方法は、さらに、前記ベルト材料が架橋剤を含み、該架橋剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする。
14.本発明のシームレスベルトの製造方法は、さらに、前記電子線の照射線量が10〜500kGyであることを特徴とする。
15.本発明のシームレスベルトの製造方法は、さらに、前記電子線を照射する工程において、前記連続相を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で電子線を照射することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、中間抵抗域(体積抵抗率で10〜1010(Ω・cm))の転写ベルトの電気抵抗を容易に制御することができ、電気抵抗の変化やイオン導電剤のベルト表面へのブリードアウトもなく、押出し成形時の加工性を損なうことがないシームレスベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略断面図である。
【図2】感光体を配設する作像形成部の構成を示す概略断面図である。
【図3】現像装置の構成を示す概略断面図である。
【図4】プロセスカートリッジの構成を示す概略断面図である。
【図5】導電性フィラーの添加量と体積抵抗率との関係を示すグラフである。
【図6】導電性フィラーの添加量と体積抵抗率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
本発明の概要は下記のとおりである。
(1)海島型のミクロ相分離構造において、連続相を形成する海の領域のみに導電性フィラーを分散することで、従来よりも少ない添加量で所望の抵抗率への調整が可能となる。
(2)本発明では、連続相を形成する熱可塑性樹脂として、押出し形成でシート化可能な熱可塑性樹脂であればいかなるものも使用することができるが、ポリフッ化ビニリデン樹脂及びポリエチレン−テトラフルオロエチレン樹脂を用いることが好ましい。近年、環境付加低減の要求が高まっており、これらフッ素系熱可塑性樹脂は、低温での押出し成形性や難燃性に優れる。このことから転写ベルトなどの成形物は使用後、再度溶融混錬、再利用が容易にできるといった特徴がある。
(3)島構造を構成する材料としては、連続相を形成する熱可塑性樹脂と完全に相溶しない樹脂あるいは、絶縁性フィラーを用いることが好ましい。このとき、島を形成するミクロドメインのサイズとしては、導電性フィラーのサイズより十分に大きいことが好ましい。メカニズムを把握しているわけではないがおよそ0.2〜20μmのドメインサイズであることが好ましい。サイズが小さいと、海島構造の効果が小さくなる。一方、サイズが大きくなるとシート表面にミクロドメインのサイズ起因の表面凹凸が現れる現象が発生するなどの問題がある。
(4)島を構成する材料が樹脂の場合は、連続相を形成する樹脂材料と完全に非相溶であることが好ましい。このため、連続相を形成するフッ素系樹脂材料のSP値と島を構成する樹脂材料のSP値が離れていることが好ましい。島を構成する樹脂のSP値が9.5以上であれば、フッ素系樹脂(SP値7)と完全に相溶せず、海島構造を形成させることができる。
(5)海島構造を形成させる方法としては、予め連続相を形成する熱可塑性樹脂(海)中に導電性フィラーを溶融混連して分散しておき、シートを押出し成形する際に、島の構成成分を押出し機のサイドから投入する方法を取る。このとき、連続相を形成する熱可塑性樹脂の融点が、島の構成成分の樹脂の融点より低い、あるいは、連続相を形成する熱可塑性樹脂の溶融粘度が、島の構成成分の樹脂の溶融粘度より低いと海島構造のシートを容易に成形することができる。
(6)これら、連続相を形成する熱可塑性樹脂と完全に相溶しない樹脂あるいは絶縁性フィラーは、絶縁性であることが好ましく、具体的には体積抵抗率で1010(Ω・cm)以上であることが好ましい。体積抵抗率が1010(Ω・cm)未満であると、ミクロ相分離による本発明の効果が十分に発現されないおそれがある。
(7)連続相に分散する導電性フィラーは、体積抵抗率が10〜10(Ω・cm)の範囲にあるものを用いることが好ましい。この範囲の抵抗よりも低いとフィラー添加量の減量は達成できるものの、目的とする抵抗へ安定的に調整することが困難になるおそれがある。一方、10(Ω・cm)より高いと中抵抗域への抵抗調整がやはり困難になるおそれがある。
(8)(6)で示した連続相に分散する導電性フィラーに合わせて、さらに導電性の低い10(Ω・cm)以下のフィラーやイオン導電材料を抵抗調整の補助剤として使用することができる。抵抗調整補助剤の添加量は、(6)の導電性フィラー100質量部に対して、0.5〜50質量部程度が好ましい。
(9)本発明で用いるフッ素系熱可塑性樹脂は、弾性率、伸長率など機械物性が十分でない。そこで、押出し成形した後に電子線を照射することで、樹脂を架橋させた架橋構造とすることで弾性率や伸長率を改善することができる。
(10)電子線を照射すると高分子鎖にラジカル電子が発生する。このラジカル電子を起点として、架橋反応が進行する。電子線の照射量が少ないと、十分な架橋が起こらない。また、照射量が多いと、樹脂の架橋反応よりも高分子鎖の切断が律速になり、熱可塑性樹脂の劣化が進む。そこで、電子線照射量を10〜1000kGy(kGyは電子線照射の単位:1Gy=1J/kg)とする(加速電圧は100〜1000kV)ことで、熱可塑性樹脂にラジカルが発生し、ラジカル反応により架橋構造を取る。
(11)熱可塑性樹脂の種類によっては、架橋反応が進行し難いものがある。このため、架橋反応を補完するために架橋剤をベルト材料に添加する。架橋剤は、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートから選ばれる少なくとも一種を用いるのが好ましい。
【0010】
本発明のシームレスベルトの製造に用いるベルト材料において、連続相に用いられる熱可塑性樹脂としては、難燃性の観点から熱可塑性フッ素樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性フッ素樹脂としては、特に限定するものではないが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体〔以下「Poly(VdF−TFE)」と略す〕、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。この中で、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体樹脂が好ましい。
【0011】
本発明に係るベルト材料において、ミクロ相分離構造における島を形成させる樹脂としては、体積抵抗率が1010(Ω・cm)以上であって、連続相に完全に相溶しないものであればよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び無機フィラー(絶縁性フィラー)などを用いることができる。絶縁性フィラーとしては、体積平均径が0.2〜20μmのものを用いることが好ましい。
島を形成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、熱可塑性ポリアミド(PA)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、熱可塑性ポリアセタール(POM)樹脂、熱可塑性ポリアリレート(PAR)樹脂、熱可塑性ポリカーボネート(PC)樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリブチレンナフタレート(PBN)樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂及びポリエステル系樹脂を主成分とするポリマーブレンド等を好適に用いることができる。
【0012】
ポリアルキレンテレフタレート樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、グリコール変性PET(PETG)樹脂及びポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を好適に用いることができる。また、ポリエステル系樹脂を主成分とするポリマーブレンドとしては、上記ポリアルキレンナフタレート樹脂及びポリアルキレンテレフタレート樹脂のうちいずれか二種以上のポリマーブレンドや、これらのうちのいずれか一種以上と、ポリエステル系エラストマー、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリシクロヘキシレン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)樹脂及びグリコール変性PCT(PCTG)樹脂等から選ばれる樹脂とのポリマーブレンドなどを好適に用いることができる。上記ポリエステル系エラストマーとしては、ハードセグメント及びソフトセグメントにポリエステルを用いたポリエステル−ポリエステル型のもの、並びにハードセグメント及びソフトセグメントにポリエーテルを用いたポリエステル−ポリエーテル型のものの双方を好適に用いることができる。
【0013】
熱硬化性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。
絶縁性フィラーとしては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素及び窒化アルミニウム等が挙げられる。
これら島を形成する材料は、一種を単独で用いても二種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0014】
転写ベルトの電気特性のひとつとして、体積抵抗率及び表面抵抗率を半導電性領域に制御する必要がある。本発明のシームレスベルトを転写ベルトとして用いる場合、体積抵抗率は、好ましくは10〜1010(Ω・cm)、より好ましくは10〜10(Ω・cm)の範囲にあり、表面抵抗率が10〜1011(Ω/□)の範囲にあることが好ましい。また、体積抵抗率≦表面抵抗率の関係にあることが好ましい。
体積抵抗率及び表面抵抗率が下限値を超えると、トナーとの静電的な付着力が向上し、二次転写効率を下げることになる。また、上限値を超えると、印加した転写バイアスによりベルトに誘起された電荷が除電されず、画像メモリなど画像品質に影響を与える。さらに体積抵抗率>表面抵抗率の関係になると、画像エッジが滲んだようになりシャープな画質が得られないおそれがある。
【0015】
樹脂ベルトの体積・表面の抵抗率を調整するには、電子導電性フィラーを添加する必要があり、中間転写ベルト材料では、耐久性や使用環境での安定性を考慮して、10〜10(Ω・cm)の範囲にある電子導電性のフィラーを用いることが好ましい。
電子導電性のフィラーとしては、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン及び酸化インジウムから選ばれる金属酸化物微粒子又はこれらの混合体などが挙げられる。これらは、必要に応じて導電処理することが可能である。これら導電性フィラーは、導電性を向上させるため、例えばアルミニウムなどをドープして使用することもできる。
【0016】
本発明のシームレスベルトにおいて、導電性フィラーの配合量は、樹脂成分100質量部に対して、通常100質量部以下、好ましくは1〜100質量部、より好ましくは1〜50質量部、更に好ましくは10〜30質量部である。
導電性フィラーの一次粒子の体積平均粒子径は、10〜500nmの範囲にあることが好ましい。この体積平均粒子径が10nm未満であると樹脂に添加した際に導電性を発現することが難しくなる。また、体積平均粒子径が500nmを超える大きさであると、厚みが100〜300μmのシート(フィルムを含む)に加工した際に、厚み方向での電子導通路の偏りが大きくなり、異常放電が発生するおそれがある。
【0017】
本発明においては、導電性フィラーに抵抗調整補助剤を併用することができる。抵抗調整補助剤としては、電子導電剤及びイオン導電剤の何れも用いることができ、電子導電剤としては、ケッチェンブラック及びアセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT及びMT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したカラーインク用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト等、銅、銅合金、銀、ニッケルから選ばれる金属微粒子等の金属及び金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマー、カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカー等が挙げられる。
また、イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などのアンモニウム塩、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩及びスルホン酸塩等が挙げられる。
これら抵抗調整補助剤は、一種を単独で用いても二種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、例えば、電子導電剤とイオン導電剤とを組み合わせて用いることもでき、この場合、印加される電圧の変動や環境の変化に対しても安定して導電性を発現させることができる。
【0018】
架橋剤としては、電子線の照射により架橋反応を発現させうるものであれば特に制限されるものではないが、好適には、アリル系多官能モノマーを用いる。かかるアリル系多官能モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(DA−MGIC)などが挙げられ、中でもDA−MGICは、少量で架橋効果が発現するため好適である。また、他の架橋剤としては、多官能(メタ)アクリル系モノマーとして、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート及びこれらの混合物を用いることもできる。
これらは所望に応じ、一種を単独で使用しても二種以上の混合物として使用してもよく、その好適配合量としては、樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.5〜15質量部、より好ましくは2〜10質量部である。配合量が多すぎると、外観不良や強度低下に繋がるおそれがある。
【0019】
本発明では、熱可塑性樹脂と導電性フィラーを加熱しながら混錬することで導電性フィラーを熱可塑性樹脂中に分散させる。導電性フィラーを分散させる際の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)以上が好ましく、熱可塑性樹脂がより溶融状態になる温度で混錬することがより好ましい。一般に、熱可塑性樹脂に導電性フィラーを溶融混練する場合、凝集した導電性フィラーに高剪断力を加えて導電性フィラーを破壊し、微細化して、溶融した熱可塑性樹脂中へ導電性フィラーを均一に分散させる。高剪断力を発生させる混練機としては、石臼機構を利用したものや、同方向二軸押出機でスクリューエレメント中に高剪断力のかかるニーディングディスクを導入したものが数多く使用されている。均一な分散を図るためには、ニーディングディスクを使用しない同方向二軸押出機で剪断力を低減させたり、加圧ニーダーのような、高剪断力がかからなくて、時間を掛けて分散が達成できるものや、単軸押出機において特殊なミキシングエレメントを使用することが望ましい。
【0020】
本発明において、海島構造を形成させる方法としては公知の混練分散方法を採用することができる。連続相である海となる熱可塑性樹脂と導電性フィラー、あるいはこれらを予め予備混連したものを押出機のメインホッパーから投入し、島を形成する熱可塑性樹脂非相溶物をサイドフィードすることが好ましい。このとき、メインホッパーから投入する熱可塑性樹脂の融点が、島を形成する樹脂の融点より20℃以上低いか、あるいはメインホッパーから投入する熱可塑性樹脂の溶融粘度が、島を形成する樹脂の溶融粘度より低いと海島構造のシートを容易に成形することができる。
さらに、海を形成する熱可塑性樹脂とサイドフィードする島を形成する樹脂の溶解度パラメータ(SP値)の値が異なる場合、サイドフィードされる樹脂中に導電性フィラーが分散されず、連続相に導電性フィラーが偏在した状態で、ベルトが押出し成形される。反対に、近いと混連押出し成形時に樹脂が相溶してしまい。導電性フィラーを連続相に偏在させることができなくなるおそれがある。
【0021】
本発明のシームレスシートは、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含むベルト材料を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、この溶融混練物を押出し成形して成形物を得る工程とにより製造され、さらに、前記成形物に電子線を照射することが好ましい。
成形法としては、射出成形、射出圧縮成形、射出プレス成形、射出モールド成形、圧縮成形及びトランスファ成形が好ましく、生産性に優れた射出プレス成形及び射出モールド成形のような射出成形法がより好ましく、フラッシュフロー圧縮成形がさらに好ましい。
電子線照射は、押出し成形後に行うことが好ましい。溶融押出し成形の直後、溶融状態の成形物に電子線の照射を行う。電子線の照射量は、10〜500kGyの範囲が好ましい。
【0022】
本発明の実施形態に係る画像形成装置(プリンター)の基本的な構成について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略断面図である。ここでは、電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について説明する。画像形成装置は、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、複数の潜像担持体を備え、この複数の潜像担持体を表面移動部材の移動方向に並列させる画像形成装置(「タンデム型画像形成装置」)の基本的な構成について説明する。
この画像形成装置は、潜像担持体として4つの感光体1Y、1C、1M、1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ表面移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体1Y、1C、1M、1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、さらにその感光層の上に保護層を形成したものであり、また、感光層と保護層との間に中間層を設けてもよい。
【0023】
図2は、感光体を配設する作像部2の構成を示す概略断面図である。なお、作像部2Y、2C、2M、2Kにおける各感光体1Y、1C、1M、1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの作像部2についてのみ図示し、色分け用の符号Y、C、M、Kについては省略してある。感光体1の周りには、その表面移動方向に沿って、帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5、感光体1上のトナー像を記録媒体又は中間転写体10に転写する転写手段としての転写装置6、感光体1上の未転写トナーを除去するクリーニング装置7の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、帯電した感光体1の表面の画像データに基づいて露光し、静電潜像を書き込む露光手段としての露光装置4から発せられる光が感光体1まで通過できるようにスペースが確保されている。
【0024】
帯電装置3は、感光体1の表面を負極性に帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラを感光体1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラに負極性バイアスを印加することで、感光体1の表面を帯電する。感光体1の表面電位が−500Vとなるような直流の帯電バイアスを帯電ローラに印加している。
なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。また、帯電装置3には、帯電ローラの表面をクリーニングするクリーニングブラシを設けてもよい。なお、帯電装置3として、帯電ローラの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラの表面と感光体1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラ3aの表面と感光体1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体1の表面が帯電される。
このようにして帯電した感光体1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電荷像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体1に対して各色に対応した静電荷像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式であるが、LEDアレイと結像手段とからなる他の方式を採用することもできる。
【0025】
トナーボトル31Y、31C、31M、31Kから現像装置5内に補給されたトナーは、現像剤供給ローラ5bによって搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、感光体1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、感光体1と対向する領域(以下、「現像領域」と記す。)において感光体1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上のトナーが、感光体1の表面を摺擦しながら、トナーを感光体1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300Vの現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
【0026】
転写装置6における中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、ここでは転写チリの発生が少ない転写ローラ14を用いた構成を採用している。具体的には、各感光体1Y、1C、1M、1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写装置6としての一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kを配置している。ここでは、各一次転写ローラ14Y、14C、14M、14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体1Y、1C、1M、1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体1Y、1C、1M、1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
感光体1上に形成されたトナー像を中間転写ベルト10に転写させる場合、感光体1と中間転写ベルト10は、圧接していることが好ましい。このときの圧接力は、10〜60N/mの範囲にあることが好ましい。
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。 また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録部材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。 二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。 現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。また、ここでは、キャリアを含まない一成分現像剤を使用している。現像装置5は、図1に示したトナーボトル31Y、31C、31M、31Kから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y、31C、31M、31Kは、それぞれが単体で交換できるように、画像形成装置本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y、31C、31M、31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命に達していない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
【0027】
図3は、現像装置の構成を示す概略断面図である。 現像剤収納器中の現像剤(トナー)は、現像剤供給部材としての供給ローラ5bで攪拌されながら、感光体1に供給する前記現像剤を表面に担持する現像剤担持体としての現像ローラ5aのニップ部分に運ばれる。このとき供給ローラ5bと現像ローラ5aは、ニップ部で逆方向(カウンタ回転)に回転している。さらに、現像ローラ5aに当接するように設けられた現像剤層規制部材としての規制ブレード5cで現像ローラ5a上のトナー量が規制され、現像ローラ5a上にトナー薄層が形成される。また、トナーは、供給ローラ5bと現像ローラ5aのニップ部と規制ブレード5cと現像ローラ5aの間で摺擦され、適正な帯電量に制御される。
【0028】
図4はプロセスカートリッジの構成を示す概略断面図である。
本発明においては、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、現像手段、電潜像担持体等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成する。図4に示したプロセスカートリッジは、静電潜像担持体、静電潜像帯電手段、図3で説明した現像手段を備えている。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(導電性コンパウンド(1)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)70質量部を用い、これに導電性フィラーとして体積抵抗率100〜500(Ω・cm)のアルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック社製、23−K)30質量部を混合し、二軸混錬機で200℃の条件で混錬してペレット化し、導電性コンパウンド(1)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(1)100質量部を投入し、島を構成する樹脂として、ポリカーボネート(三菱化学社製、P−3000:融点220℃)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は8.0E+10(Ω/□)、体積抵抗率は7.0E+8(Ω・cm)であった。なお、7.0E+8等のaE+bは、a×10を示す。
【0030】
(実施例2)
(導電性コンパウンド(2)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)75質量部を用い、これに導電性フィラーとして体積抵抗率100〜500(Ω・cm)のアルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック社製、23−K)25質量部を混合し、二軸混錬押出機で200℃の条件で混錬してペレット化し、導電性コンパウンド(2)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(2)100質量部を投入し、島を構成する樹脂として、ポリカーボネート(三菱化学社製、P−3000:融点220℃)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率をハイレスタ(MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は2.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は、8.0E+9(Ω・cm)であった。
【0031】
(実施例3)
(導電性コンパウンド(3)作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)80質量部を用い、これに導電性フィラーとして体積抵抗率100〜500(Ω・cm)のアルミニウムドープ酸化亜鉛(ハクスイテック社製、23−K)20質量部を混合し、二軸混錬機で200℃の条件で混錬してペレット化し、導電性コンパウンド(3)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(3)100質量部を投入し、島を構成する樹脂として、ポリカーボネート(三菱化学社製、P−3000:融点220℃)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は9.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は4.0E+10(Ω・cm)であった。
【0032】
(実施例4)
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(1)100質量部を投入し、島を構成する絶縁性フィラーとして、窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP−40)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は9.2E+10(Ω/□)、体積抵抗率は8.3E+8(Ω・cm)であった。
【0033】
(実施例5)
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(2)100質量部を投入し、島を構成する絶縁性フィラーとして、窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP−40)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は2.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は8.0E+9(Ω・cm)であった。
【0034】
(実施例6)
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(3)100質量部を投入し、島を構成する絶縁性フィラーとして、窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP−40)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は9.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は4.0E+10(Ω・cm)であった。
【0035】
(実施例7)
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(2)100質量部を投入し、島を構成する樹脂として、ポリカーボネート(三菱化学社製、P−3000:融点220℃)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率をハイレスタ(MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は2.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は、8.0E+9(Ω・cm)であった。
作製した転写ベルトに、エリアビーム型電子線照射装置(NHVコーポレーション社製、EBC−300−60)を用いて、線量300kGyの条件下で電子線照射処理を行った。
【0036】
(実施例8)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(2)100質量部を投入し、島を構成する絶縁性フィラーとして、窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP−40)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率をハイレスタ(MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は2.0E+11(Ω/□)、体積抵抗率は、8.0E+9(Ω・cm)であった。
作製した転写ベルトに、エリアビーム型電子線照射装置(NHVコーポレーション社製、EBC−300−60)を用いて、線量300kGyの条件下で電子線照射処理を行った。
【0037】
(比較例1)
(導電性コンパウンド(4)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)85質量部を用い、これに導電性フィラーとしてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)15質量部を混合し、二軸混錬押出機で200℃の条件で混錬ペレット化し、導電性コンパウンド(4)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(4)を投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は8.0E+9(Ω/□)、体積抵抗率は6.0E+8(Ω・cm)であった。
【0038】
(比較例2)
(導電性コンパウンド(5)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)80質量部を用い、これに導電性フィラーとしてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)20質量部を混合し、二軸混錬押出機で200℃の条件で混錬ペレット化し、導電性コンパウンド(5)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(5)を投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率及び体積抵抗率ともにレンジオーバー(体積抵抗率1.0E+4(Ω・cm)以下)となった。
【0039】
(比較例3)
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(4)100質量部を投入し、絶縁性フィラーとして、窒化ホウ素(水島合金鉄社製、HP−40)25質量部をサイドフィードにて投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率及び体積抵抗率ともにレンジオーバー(体積抵抗率1.0E+4(Ω・cm)以下)となった。
【0040】
(比較例4)
(導電性コンパウンド(6)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)60質量部を用い、これに導電性フィラーとしてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)40質量部を混合し、二軸混錬押出機で200℃の条件で混錬ペレット化し、導電性コンパウンド(6)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(6)を投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出しすることにより、厚みが100μmのシームレスの転写ベルトを作製した。
作製した転写ベルトの抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ハイレスタUP
MCP−HT450型)で測定したところ、印加バイアス500V時の表面抵抗率は8.0E+12(Ω/□)、体積抵抗率は6.0E+11(Ω・cm)であった。
【0041】
(比較例5)
(導電性コンパウンド(7)の作製)
連続相を形成する樹脂としてPVDF(アルケマ社製、KYNAR741:融点170℃)50質量部を用い、これに導電性フィラーとしてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)50質量部を混合し、二軸混錬押出機で200℃の条件で混錬ペレット化し、導電性コンパウンド(7)を得た。
(シート加工)
二軸混錬押出機のメインホッパーから、導電性コンパウンド(7)を投入し、円形のダイスから樹脂を200℃で混錬押出したところ、シートへの加工は困難であった。
【0042】
(画像評価)
実施例1ないし8及び比較例1ないし4で作製した転写ベルトを市販のレーザープリンタ(リコー社製、IPSiO
SP C220)に装着し、温度/湿度が23℃/65%Rh、10℃/15%Rh、27℃/80%Rhの環境にて2,000枚の印字を行い、画像評価を行った。
その結果、実施例1〜実施例8の転写ベルトについては、すべての環境で初期から2,000枚まで画像品質に大きな差がなく、良好な画像が出力された。特に電子線照射処理を行った実施例7及び実施例8のシームレスベルトについては、27℃/80%Rhの環境に長時間放置しても、ベルトのローラ巻きぐせなどによる画像品位の低下を抑制することが確認できた。
比較例1の転写ベルトについては、上記すべての環境において、初期の画像品質は良好なものの、2,000枚目の出力画像では画像品質が劣化したことが認められた。
比較例2及び比較例3の転写ベルトでは、初期の出力画像から十分な画像品質が得られなかった。
比較例4の転写ベルトでは、10℃/15%Rhの環境において、初期の出力画像から十分な画像品質が得られなかった。
【符号の説明】
【0043】
1 感光体
2 作像部
3 帯電装置(帯電ローラ)
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 現像剤供給ローラ
5c 規制ブレード
6 転写装置
7 クリーニング装置
10 中間転写ベルト
11、12、13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
T トナー(現像剤)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特許第4298480号公報
【特許文献2】特開2001−031849号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられるシームレスベルトであって、
該シームレスベルトが、少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含有し、
前記熱可塑性樹脂が連続相を形成し、前記熱可塑性樹脂非相溶物が不連続相を形成しており、
前記導電性フィラーが前記連続相中に分散している
ことを特徴とするシームレスベルト。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂非相溶物が、絶縁性フィラー及び/又は樹脂である
ことを特徴とする請求項1に記載のシームレスベルト。
【請求項3】
前記連続相を形成する熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン樹脂(ETFE)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体樹脂(PVDF−ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)から選ばれる樹脂である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシームレスベルト。
【請求項4】
前記導電性フィラーが、体積抵抗率が10〜10(Ω・cm)の範囲にある、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン及び酸化インジウムから選ばれる少なくとも一種の化合物である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項5】
前記連続相を形成する熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂と相溶しない樹脂との融点の差が20℃以上である
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項6】
前記絶縁性フィラーが、体積抵抗率が1010(Ω・cm)以上の、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素及び窒化アルミニウムから選ばれる少なくとも一種の化合物であり、
前記絶縁性フィラーの体積平均粒子径が、前記導電性フィラーの体積平均粒子径よりも大きい
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項7】
少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含むベルト材料を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
該溶融混練物を押出し成形して成形物を得る工程とを含む工程により製造される
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のシームレスベルト。
【請求項8】
さらに、前記溶融混練物の押出し成形後に、溶融状態の成形物に電子線を照射する工程を含む
ことを特徴とする請求項7に記載のシームレスベルト。
【請求項9】
少なくとも、像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
像担持体上のトナー像を中間転写ベルト上に転写する一次転写手段と、
中間転写ベルト上のトナー像を被記録媒体上に転写する二次転写手段と、
被記録媒体上のトナー像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置に使用する中間転写ベルトであって、
該中間転写ベルトが、請求項1ないし8のいずれかに記載のシームレスベルトを用いた中間転写ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
少なくとも、像担持体上に静電潜像を形成するための静電潜像形成手段と、
像担持体上に形成された静電潜像にトナーを用いてトナー像とする現像手段と、
像担持体上のトナー像を被記録媒体上に転写するために該被記録媒体を搬送する転写ベルトと、
像担持体上のトナー像を被記録媒体上に転写する転写手段と、
被記録媒体上のトナー像を定着する定着手段とを備えた画像形成装置に使用する転写ベルトであって、
該転写ベルトが、請求項1ないし8のいずれかに記載のシームレスベルトを用いた転写ベルトである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
少なくとも導電性フィラー、熱可塑性樹脂及び該熱可塑性樹脂と相溶しない熱可塑性樹脂非相溶物を含むベルト材料を溶融混練して溶融混練物を得る工程と、
該溶融混練物を押出し成形して成形物を得る工程とを含む
ことを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
【請求項12】
さらに、前記溶融混練物の押出し成形後に、溶融状態の成形物に電子線を照射する工程を含む
ことを特徴とする請求項11に記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項13】
前記ベルト材料が架橋剤を含み、該架橋剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート及びジアリルモノグリシジルイソシアヌレートから選ばれる少なくとも一種である
ことを特徴とする請求項11又は12に記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項14】
前記電子線の照射線量が10〜500kGyである
ことを特徴とする請求項12又は13に記載のシームレスベルトの製造方法。
【請求項15】
前記電子線を照射する工程において、前記連続相を形成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で電子線を照射する
ことを特徴とする請求項11ないし14のいずれかに記載のシームレスベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−186035(P2011−186035A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48910(P2010−48910)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】