説明

ジアミン化合物、ポリアミド酸及び可溶性ポリイミド、並びにこれらから得られる濡れ性変化膜及び電極

【課題】エネルギー線を照射し、膜の表面自由エネルギーを変化させ、該変化した部分に銀ナノインクを塗布し、焼成して、電極用ラインを形成する時、少ない照射エネルギーの照射線で膜の表面自由エネルギーを変化させることが可能な有機半導体材料の原料となるポリアミド酸の提供。
【解決手段】1,3−ジアミノ−ベンゼン−5−カルボン酸置換基含有フェノールエステルで、該置換基が、2,3,4−トリアルコキシフェニレンを含有することを特徴とするジアミン化合物と酸二無水物との共重合体であるポリアミド酸。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアミン化合物、ポリアミド酸、可溶性ポリイミド及びこれらの組成物、及びこれらから得られる濡れ性変化膜及び電極、並びに濡れ性変化膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、有機半導体材料を用いた有機薄膜トランジスタが精力的に研究されている。トランジスタに有機半導体材料を用いる利点として、フレキシビリティ、大面積化、単純層構成によるプロセスの単純化などが挙げられている。また、製造方法として印刷法等を用いることにより、従来のシリコン系半導体製造装置よりも桁違いに安価に製造可能である。さらに、薄膜や回路の形成を印刷法、スピンコート法、浸漬法等の手段を用いることにより簡便にすることが可能である。
【0003】
このような有機薄膜トランジスタの特性を示すパラメータの一つに、電流のオンオフ比(Ion/Ioff)がある。有機薄膜トランジスタにおいて、飽和領域でのソース・ドレイン電極間に流れる電流(Ids)は、次式(1)で示される。
【0004】
【数1】

ここで、μは電界効果移動度、Cinはゲート絶縁膜の単位面積あたりのキャパシタンス(Cin=εε/d、ここでεはゲート絶縁膜の比誘電率、εは真空の誘電率、dはゲート絶縁膜の厚さ)、Wはチャネル幅、Lはチャネル長、Vはゲート電圧、VTHは閾値電圧である。
【0005】
この式は、オン電流を大きくするためには、(1)電界効果移動度μを向上させる、(2)チャネル長Lを短くする、(3)チャネル幅Wを大きくする、ことなどが有効であることを示している。電界効果移動度μは材料特性によるところが大きく、電界効果移動度μ向上のための材料開発が種々行なわれている。一方、チャネル長Lは素子構成に由来するので、素子構成の工夫によりオン電流を向上させる試みが行われてきた。一般的に、チャネル長Lを短くする方法は、ソース・ドレイン電極間距離を小さくすることである。有機半導体材料はもともと電界効果移動度μが大きくないため、チャネル長Lは少なくとも10μm以下、できれば5μm以下とすることが求められている。
【0006】
短いソース・ドレイン電極間距離が小さく、正確な有機薄膜トランジスタを作りこむ方法の一つにシリコンプロセスで用いられるフォトリソグラフィ法があり、この方法は以下の工程により行われる。
(1)基板上に積層した薄膜層上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する(レジスト塗布工程)
(2)加熱によりフォトレジスト層の溶剤を除去する(プリベーク工程)
(3)溶剤を除去したフォトレジスト層にパターンデータに従ってレーザー或いは電子線を用いて描画されたハードマスクを通して紫外光を照射する(露光工程)
(4)紫外光を照射したフォトレジスト層をアルカリ溶液で処理して露光部のレジストを除去する(現像工程)
(5)加熱により未露光部(パターン部)のレジストを硬化させる(ポストベーク工程)
(6)エッチング液に浸漬又はエッチングガスに暴露し、レジストの除去された部分の薄膜層を除去する(エッチング工程)
(7)アルカリ溶液又は酸素ラジカルでレジストを除去する(レジスト剥離工程)
所定の各薄膜層を形成後、上記の(1)〜(7)の各工程を繰返すことによって能動素子が完成するが、高価な設備と工程の長さがコストを上昇させる原因となっている。
【0007】
そこで、有機薄膜トランジスタの製造コストを低減するためにインクジェット法などを利用した印刷法による電極パターン形成が試みられている。インクジェット印刷は、電極パターンを直接描画できるため、材料使用効率が高く、製造プロセスの簡略化、低コスト化を実現できる可能性がある。しかしながら、インクジェット印刷は吐出量の少量化が困難であり、機械的な誤差等により着弾精度を考慮すると30μm以下のパターンは形成が難しく、5μmの電極間隔を作りこむことは不可能である。これはインクジェット装置のみでは高精細なデバイスを作ることは困難であることを意味する。そのために、高精細化のために何らかの工夫が必要となり、その一つとして、インクを着弾させる表面に細工を施すことが考えられている。
【0008】
例えば、紫外線などのエネルギーの付与により臨界表面張力(表面自由エネルギーともいう。)が変化する材料から作製されたゲート絶縁膜を利用する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、マスクを利用して電極作製部位にのみ紫外線を照射し、絶縁膜表面上に高表面自由エネルギー部位を作製するものである。ここに水溶性インクからなる電極材料をインクジェット塗布すると、高エネルギー部位にのみ電極が形成され、ゲート絶縁膜上に高精細な電極パターンの形成が可能となる。この方法を用いると、高表面自由エネルギーと低表面自由エネルギーの境界ライン上にインク滴が着弾しても、表面自由エネルギーの差により、高表面自由エネルギー側にインク滴が移動し、結果として均一なラインを有するパターンを作製することができる。
【0009】
また、ゲート絶縁膜上に、紫外線により表面自由エネルギーが変化する材料からなる膜を積層してやる方法が提案されている(非特許文献1参照)。この積層膜上に特許文献1と同様の手法で紫外線照射により表面自由エネルギーの異なる部位を形成し、インクジェット法により高精細な電極パターンを作製している。
【特許文献1】特開2005−310962号公報
【非特許文献1】第52回応用物理学関係連合講演会 公演予稿集 1510頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の方法は、5μm以下の電極間隔が実現可能ということで優れているが、高表面エネルギー部位を形成するために用いる材料の光感度が低く、10J/cm以上の高エネルギーの紫外線、とりわけ300nm以下の短波長紫外線の照射を必要とする。これは高出力の紫外線ランプを用いても長い照射時間が必要であり、結果としてタクトタイムが長くなり、インクジェット法のような安価な印刷プロセスを用いながら、製造プロセスの簡略化や低コスト化が十分でないという問題がある。
【0011】
また、非特許文献1に記載の方法は、積層構造を形成するために製造プロセスの簡略化が十分には望めない。更に、特許文献1と同様、高表面エネルギー部位を形成するための材料の光感度が低く、非特許文献1によれば20J/cm以上の紫外線とりわけ300nm以下の短波長紫外線の照射を必要とする。これは高出力の紫外線ランプを用いてもさらに多くの照射時間が必要であり、結果としてタクトタイムが長くなり、インクジェット法のような安価な印刷プロセスを用いながら、製造プロセスの簡略化や低コスト化が望めないという問題がある。
【0012】
このように、ゲート絶縁膜上に表面自由エネルギーの高いところと低いところを紫外光や電子線により作製するという方法は、従来の印刷法で困難であった高精細で高密度の電極パターンを形成可能とするものである。しかしながら、紫外線により表面自由エネルギーが変化する材料の光感度が低く、高エネルギーの光を長時間照射する必要があるため、製造プロセスの簡略化や低コスト化が望めないという問題が生じており、照射エネルギーを低減化できる材料の提供が必要となっていた。
【0013】
したがって、高エネルギーの光を照射する時間を低減する、すなわち、より少ない照射エネルギーで膜の表面自由エネルギーを変化させることが可能な材料を提供することが望まれていた。そうすれば、短いタクトタイムで安価に電極層を形成することができ、このような電極層を用いた電子素子、電子素子アレイ及び表示装置を提供することが求められていた。
【0014】
本発明の目的は、上記課題を踏まえ、少ない照射エネルギーの照射線で膜の表面自由エネルギーを変化させることが可能な有機半導体材料としての基板原料となるポリアミド酸、可溶性ポリイミド及びこれらを含む組成物、並びにこれらの重合原料であるジアミン化合物を提供することである。また、本発明の目的は、前記有機半導体材料で形成された濡れ性変化膜及び前記濡れ性変化膜を備えた電極、並びに前記濡れ性変化膜の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため本発明者等は、デンドロン側鎖を持つジアミン化合物、及びこのジアミン化合物の共重合体を用いて製造される濡れ性変化材料に関する。より詳細には、本発明は、デンドロン側鎖をジアミン化合物に導入することにより、エネルギーの付与により容易に表面自由エネルギーを変化させることができるポリアミド及びポリイミドを提供する技術に関するものである。当該ポリアミド及びポリイミドにおいては、表面自由エネルギーの値の調整が容易であり、この薄膜を有機薄膜トランジスタ等の電極作製に用いることが可能であることを見いだし、以下の発明を完成した。
【0016】
本発明は、下式(1)で示されることを特徴とするジアミン化合物である。
【0017】
【化1】

式中、基A及び基Bは、それぞれ、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、基Cは、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、基Dは、それぞれ独立して、少なくとも一個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(2)で示される官能基であり、
【0018】
【化2】

式中、置換基C'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(3)で示される官能基であり、
【0019】
【化3】

式中、置換基C"は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(4)で示される官能基であり、
【0020】
【化4】

式中、置換基C"'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。
【0021】
好ましい本発明は、前記ジアミン化合物として、下式(5)又は(6)で示される化合物であることを特徴とする。
【0022】
【化5】

【0023】
【化6】

【0024】
本発明は、前記ジアミン化合物と、脂環式酸二無水物及び/又は芳香環式酸二無水物との共重合体であることを特徴とするポリアミド酸である。
【0025】
好ましい本発明は、芳香環式ジアミン及び/又はジアミノシロキサンを共重合単位として含むことを特徴とする前記ポリアミド酸である。
【0026】
好ましい本発明は、ジアミンモノマー単位の総量を基準として、前記本発明のジアミン化合物単位の量が0.1〜100モル%であり、前記芳香環式ジアミン単位及び/又はジアミノシロキサン単位の量が0〜99.9モル%であることを特徴とする前記ポリアミド酸である。
【0027】
好ましい本発明は、前記脂環式酸二無水物単位及び芳香環式酸二無水物単位の総量を基準として、芳香環式酸二無水物単位の量が10〜95モル%であり、脂環式酸二無水物単位の量が5〜90モル%であることを特徴とする前記ポリアミド酸である。
【0028】
好ましい本発明は、数平均分子量が10,000〜500,000であることを特徴とする前記ポリアミド酸である。
【0029】
本発明は、前記本発明のポリアミド酸のアミド基の一部又は全部をイミド化したことを特徴とする可溶性ポリイミドである。
【0030】
本発明は、前記本発明のポリアミド酸と、前記本発明の可溶性ポリイミドとを含むことを特徴とする組成物である。
【0031】
本発明は、前記本発明の可溶性ポリイミド又は前記本発明の組成物が基板上に形成されたことを特徴とする濡れ性変化膜である。
【0032】
本発明は、前記濡れ性変化膜を備えたことを特徴とする電極である。
【0033】
本発明は、前記本発明のポリアミド酸、本発明の可溶性ポリイミド又は本発明の組成物を溶媒中に溶解し、この溶液を基板上にコーティングし、コーティングされた溶液の一部又は全部をイミド化することを特徴とする濡れ性変化膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、少ない照射エネルギーの照射線で膜の表面自由エネルギーを変化させることが可能な有機半導体材料としての基板原料となるポリアミド酸、可溶性ポリイミド及びこれらを含む組成物、並びにこれらの重合原料であるジアミン化合物を提供することができる。また、本発明によれば、前記有機半導体材料で形成された濡れ性変化膜及び前記濡れ性変化膜を備えた電極、並びに前記濡れ性変化膜の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明を実施するための最良の形態を必要に応じて図面を参照にして説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明の好ましい形態における例及び実施例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0036】
本発明の第1の実施形態によれば、下式1で示されるジアミン化合物がある。
【0037】
【化7】

式中、基A及び基Bは、それぞれ、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、基Cは、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、基Dは、それぞれ独立して、少なくとも一個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(2)で示される官能基であり、
【0038】
【化8】

式中、置換基C'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(3)で示される官能基であり、
【0039】
【化9】

式中、置換基C"は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(4)で示される官能基であり、
【0040】
【化10】

式中、置換基C"'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。
【0041】
これらのジアミン化合物はデンドロン側鎖を有しており、その好適な具体例には、例えば下式(5)及び(6)で示される化合物が含まれる。なお、下式(5)及び(6)で示される化合物は説明のために記載したに過ぎず、本発明のジアミン化合物の構造がこれらに限定されるというものではない。
【0042】
【化11】

【0043】
【化12】

本発明の第2の実施形態として、前記本発明のジアミン化合物と、脂環式酸二無水物、芳香環式酸二無水物との共重合により得られるによるポリアミド酸がある。また、上記モノマーに芳香環式ジアミン及び/又はジアミノシロキサン加えた共重合体であるポリアミド酸がある。これらのポリアミド酸は、従来から知られている共重合方法を用いて酸二無水物およびジアミン化合物から調製される。これらの共重合方法は、ポリアミド酸の調製に使用可能である限り、特に限定されるものではない。
【0044】
本発明のジアミン化合物は、多数のアルキル基を同時に側鎖に導入したデンドロン構造を有しており、たとえ本発明のジアミン化合物が低含有量であっても撥水性の高い表面(表面自由エネルギーの低い表面)の有機材料とすることができる。
【0045】
一方で、本発明のジアミン化合物(官能性ジアミン化合物ともいう。)は、ジアミンノベンゼン基とデンドロン側鎖との間に、スペーサーとして作用するベンゼン環骨格が存在している。ベンゼン環骨格を挟んで存在するカルボニル基や孤立電子対を持つ原子によりπ電子共役の広がりが大きくなり、結果として、250から300nm程度の比較的長波長の紫外線波長域に吸収をもつ分子となっている。これにより、例えば250から300nmの波長域の紫外線を吸収すると、この部分で容易に分子が切れ易くなる。切れたあとの部分は、周囲の水分子や酸素分子との反応により−COOH基や−OH基となり、親水性(表面自由エネルギーの高い表面)を有するようになる。なお、ここではベンゼン骨格を例として挙げてあるが、π共役の広がりを助ける骨格、例えばベンゼン環二つのナフタレン、三つのアントラセンといった、縮合ベンゼン環化合物でも良い。
【0046】
このため本発明の官能性ジアミン化合物をモノマー単位として有するポリアミド酸で形成した膜は、形成した時点では撥水性の表面を有する膜となっていても、任意の箇所に紫外線やエキシマレーザーといった電磁波あるいは熱といったエネルギーを付与することで、その部分だけを分解、酸化して親水面にかえることが可能である。この方法を本発明のポリアミド酸で形成した表面に用いると、照射エネルギーを調整することで、任意の表面自由エネルギーをもった表面を作製することが可能である。
【0047】
本発明におけるポリアミド酸の調製に上記官能性ジアミン化合物以外にも使用できる好ましい芳香環式ジアミンの例には、パラ−フェニレンジアミン(p−PDA)、4,4−メチレンジアミン(MDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、メタ−ビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(m−BAPS)、パラ−ビスアミノフェノキシジフェニルスルホン(p−BAPS)、2,2−ビスアミノフェノキシフェニルプロパン(BAPP)及び2,2−ビスアミノフェノキシフェニルヘキサフルオロプロパン(HF−BAPP)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
本発明におけるポリアミド酸の調製には、ジアミノシロキサン、例えば下式(7)に示される構造を有するジアミノシロキサンを用いることができる。
【0049】
【化13】

式中、nは1〜10の整数である。
【0050】
ポリアミド酸中における上記式(1)に示す官能性ジアミン化合物単位の含有量は、ジアミンモノマー単位の総量に対し0.1〜100モル%、好ましくは0.5モル%〜30モル%であり、より好ましくは1モル%〜30モル%の範囲である。
【0051】
ポリアミド酸中に使用される芳香環式ジアミン及び/又はジアミノシロキサンの量は、ジアミンモノマーの総量に対して0〜99.9モル%、好ましくは70〜99.5モル%、さらに好ましくは70〜99モル%の範囲である。
【0052】
本発明のポリアミド酸の調製に用いられる芳香環式酸二無水物は、ジアミン化合物と共重合させることにより、電磁波や熱エネルギーへの耐性や、あるいは、化学物質への耐性を有するように、厚さ1μm以下の耐性フィルムを生じることができる。
【0053】
このような芳香環式酸二無水物の例には、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、ビフタル酸二無水物(BPDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)及びヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物(6−FDA)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
好ましい芳香環式酸二無水物の含有量は、酸二無水物モノマーの総量に対して10モル%〜95モル%、好ましくは50モル%〜90モル%の範囲である。使用される芳香環式酸二無水物が10モル%未満の場合には、製造される濡れ性変化膜における機械的特性および耐熱性が乏しい。一方、使用される芳香環式酸二無水物が80モル%を超える場合には、電気的特性、が悪化(例えば表面リークが増加)する。
【0055】
本発明によるポリアミド酸の調製に使用される脂環式酸二無水物は、例えば、一般的な有機溶媒中における不溶性、電荷移動錯体の形成に起因する可視領域の低透過性、高い極性に起因する電気工学特性の乏しさといった、ポリアミド酸等の分子構造により発生する問題を解決するものである。
【0056】
脂環式酸二無水物の例には、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)、ビシクロオクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)及び1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(CHDA)などが含まれるが、これらに限定されるものではない。脂環式酸二無水物の含有量は、酸二無水物モノマーの総量に対して5モル%〜90モル%、好ましくは10モル%〜50モル%の範囲とすることが望ましい。
【0057】
本発明のポリアミド酸は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、及びテトラヒドロフラン(THF)等の、一般的な非プロトン性の極性溶媒における溶解性に優れている。脂環式酸二無水物の導入、ならびに3個以上のベンゼン環の間における大きな立体障害に起因している三次元構造中の官能性ジアミンの立体効果に対して、これらの非プロトン性の極性溶媒のポリアミド酸に対する優れた溶解性が多大に貢献していると考えられている。良好な溶解性は基板上にポリアミド酸薄膜を形成する際の印刷適性に対してプラスの作用を有する。
【0058】
本発明のポリアミド酸は、好ましくは数平均分子量が10,000〜500,000である。ポリアミド酸がイミド化された場合、イミド化率またはポリアミド酸の構造に依存して200〜350℃のガラス転移温度を有する。
【0059】
本発明の第3の実施形態は、上述の本発明のポリアミド酸を加熱処理等によりイミド化したポリイミドである。このポリイミドは、本発明のポリアミド酸のアミド基の一部又は全部がイミド化したものを含む。但し、溶媒、特に上記非プロトン性の極性溶媒に可溶なポリイミドが好ましい。このポリイミドは、本発明のポリアミド酸をイミド化したものであり、そのモノマー単位の組成や分子量はほとんど本発明のポリアミドと同じである。
【0060】
さらに、本発明の第4の実施形態は、上記ポリイミドと上記ポリアミド酸を含む混合物である組成物である。これらの第3及び第4の実施形態のポリイミドや組成物は、第1、第2の実施形態のポリアミドと同じように、紫外線照射等により容易に表面自由エネルギーを調整でき上記ポリアミドと同じような用途に使用できる。
【0061】
本発明の第5の実施形態は、上記本発明のポリアミド酸を溶媒中に溶解し、基板上に溶液をコーティングし、コーティングされた溶液を全体的または部分的にイミド化した膜である濡れ性変化膜である。この濡れ性変化膜は本発明のポリイミド又は組成物を直接基板上にコーティングしても製造される。
【0062】
濡れ性変化膜は、親水面・撥水面の均質性ならびに、実施例にて後述する電極材料として、接触角0°から40°の範囲内における接触角の調整が容易な材料である。
【0063】
本発明によると、デンドロン側鎖を有する官能性ジアミン化合物は、エネルギーの付与により表面自由エネルギーの改変が容易であり、その結果、少ないエネルギーで有機薄膜トランジスタ等の電極作製に用いられる膜表面を提供することができる。図1に高絶縁膜層に濡れ性変化膜層が積層されている有機トランジスタの構成図を示す。ここでは、高絶縁膜層と濡れ性変化膜層が積層されており、ゲート絶縁膜としても機能している。ソースならびにドレイン電極は、濡れ性変化膜の表面自由エネルギー変化を利用して作製されたものである。基板とゲート電極の間に濡れ性変化膜を作製し、これの表面自由エネルギー変化を利用してゲート電極が作製可能なことも容易に想到できる(図示せず)。
【0064】
図2には、図1に示した有機トランジスタを用いた電子素子アレイの一例を示す。図2(a)は断面図、図2(b)は電極等の配置関係の平面図である。本発明の材料から作製される濡れ性変化膜を用いて、電子素子アレイの電極配線の取り出し部分も作製可能であることは、容易に想到できる(図示せず)。
【0065】
図3は、図2に示した電子素子アレイを用いた表示装置を示す断面図である。ここでは、オイルブルーで着色したアイソパーと酸化チタン粒子をカプセルで包んだ電気泳動型表示装置が示されている。表示装置は電気泳動型でなくても、例えばポリマー分散型液晶でも良い。また、表示色材料はどのような色でも良い。
【0066】
図4は、図3に示した表示装置を表示媒体として用いたデジタルペーパーの模式図である。また図5に示したように、ポケットPCのようなコンピューター等に表示媒体を実装して用いることも可能である。なお、図4ならびに図5は、画像表示装置の一例を説明するための模式図であり、例えば複写機の表示媒体に用いたり、自動車や飛行機などの移動交通媒体のシート部やフロントガラス面などに埋め込み、表示媒体として用いたり、スーパーなどで価格を表示するタグとして用いることも可能である。
【0067】
一方で、本発明であるデンドロン側鎖を有する官能性ジアミン化合物を用いて合成されたポリイミド膜は、撥水性の側鎖(炭化水素鎖あるいはハロゲン鎖)が主鎖から出ていることから、側鎖を空気中に向けた(膜面内ではない方向)構造を容易にとることが推測される。よって、ラビングなどの手法により、この膜上に接する液晶分子を容易に配向させられること、それも垂直配向させられると想像できる。すなわち、液晶配向膜(垂直配向膜)としても高い潜在能力を持っていると考えら得る。また、本発明によると、デンドロン側鎖を有する官能性ジアミン化合物は、エネルギーの付与により表面自由エネルギーの改変が可能な膜表面を提供することができる。よって、例えば、有機電界発光素子(有機EL素子)などのポリイミドバンクとして用いることも可能である。
【0068】
(実施例)
本発明を、以下の実施例により、さらに詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は説明のために示されるものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
(1)酸クロリド(12)の調製
下記の反応式に従って酸クロリド(12)を調整した。
【0069】
【化14】

【0070】
コンデンサを取り付けた丸底フラスコ中で、1モルの置換安息香酸エステル(1)と、炭酸カリウム8.97モルとを溶媒ジメチルホルムアミド(DMF)中に加え十分に攪拌した。この溶液に3モルの臭化ドデカン(9)を加えた後、少しずつフラスコの反応温度を上げて70℃とした。その後、反応混合物を70℃に保ちながら反応を24時間続けた。反応完了後、温度を室温へと下げた。反応溶液を純水に注いで沈殿物を形成した。この沈殿物をろ過し、洗浄を繰り返してドデカン付加物(10)を得た。得られたドデカン付加物(10)をエタノールに溶解した後、水酸化カリウムをこれに加えた。エタノール溶液を4時間還流して酸誘導体(11)を得た。この酸誘導体(11)を塩化チオニルとジクロロメタンと共に4時間還流することにより塩素化して酸クロリド(12)を得た。
【0071】
(2)ジアミン(17)の調製
下記の反応式に従ってジアミン(17)を調整した。
【0072】
【化15】

【0073】
十分に乾燥させた丸底フラスコ中に、1モルのヒドロキノン(13)と触媒であるトリエチルアミンをTHFに溶解させた。この溶液に調整しておいた酸クロリド(12)1モルをゆっくり滴下し、アイスバスで冷却しながら3時間攪拌し、中間体(14)を得た。中間体(14)をTHF中に溶解し、触媒としてトリエチルアミンをこれに加えた。この溶液に3,5−ジニトロベンゾイルクロリド(15)1モルを加えた。得られた混合物を室温にて3時間反応させてジニトロ化合物(16)を得た。次に、十分に洗浄して乾燥させた丸底フラスコの内部に存在する水分と酸素を真空除去し、代わりに不活性ガスとしてアルゴン(Ar)をフラスコに充填した。ジニトロ化合物(16)をフラスコに投入した後、エタノールとTHFの混合溶媒を加えてジニトロ化合物(16)を溶解した。触媒としてパラジウムカーボンを加え、0.3MPa、室温にて5時間接触水素還元を行った。反応完了後、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により反応生成物を精製し、最終製品であるジアミン(17)を得た。
【0074】
得られたジアミン(17)の構造をH−NMRスペクトル並びにFT−IRスペクトルを用いて確認し、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて熱的特性を評価した。この結果をそれぞれ図6、図7及び図8に示す。
【0075】
(実施例1)
撹拌器、サーモスタット、窒素注入装置およびコンデンサを取り付けた四ツ首フラスコに、窒素を通過させながら0.95モルの4,4'−メチレンジアニリン(18)および調整しておいた0.05モルのジアミン(17)を投入した。次にN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液をこれに加え、得られた混合物を十分に溶解した。この溶液に、固体状態の0.5モルの5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸二無水物(DOCDA)(19)および0.5モルのピロメリット酸二無水物(PMDA)(20)を加えた。得られた混合物を強力に撹拌した。この時点で固体含有率は15重量%であった。温度を25℃未満に保持しながら、反応混合物を24時間反応させてポリアミド酸溶液を調製した。
【0076】
【化16】

【0077】
【化17】

【0078】
【化18】

ガラス基板(10cm×10cm)上にポリアミド酸溶液を厚さが100nmとなるようにスピンコートし、80℃ならびに210℃にて硬化し濡れ性変化薄膜(A)を作製した。この濡れ性変化薄膜(A)に、紫外線(高圧水銀ランプ)を照射した。照射時間に対する電極材料を含む溶液(ここでは、銀ナノ粒子を水系の溶液に分散したものを用いた。以下、銀ナノインクと呼ぶ。)の接触角変化を、液滴法により求めた。電極材料を含む溶液の接触角変化の結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
(比較例1)
0.95モルの4,4'−メチレンジアニリン(18)及び0.05モルのジアミン(17)に代えて、0.80モルの4,4'−メチレンジアニリン(18)及び0.20モルの2,4−ジアミノフェノキシヘキサデカン(21)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でポリアミド酸を調製した。実施例1に記載の手順に従って濡れ性変化薄膜(B)を作製し、同様に電極材料の接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0081】
【化19】

【0082】
(比較例2)
0.95モルの4,4'−メチレンジアニリン(18)及び0.05モルのジアミン(17)に代えて、0.95モルの4,4−メチレンジアニリン(18)および0.05モルのジアミン化合物(22)を使用したことを除き、実施例1と同様の方法でポリアミド酸を調製した。実施例1に記載の手順に従って濡れ性変化薄膜(C)を作製し、同様に電極材料の接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0083】
【化20】

【0084】
(実施例2)
続いて、電極パターニング性を比較した。実施例1で作製した濡れ性変化薄膜(A)に対して、ライン形状のフォトマスク越しに紫外線(高圧水銀ランプ)を照度1から15J/cmとなるように照射し、薄膜上に表面自由エネルギーの大きい部位を形成した。形成した表面自由エネルギーの大きい部位にインクジェット法を用いてナノ銀の電極材料インクを吐出した。210℃のオーブンで焼成した後、5μm間隔のラインが形成できているか金属顕微鏡観察により確認した。結果を表1に示す。
【0085】
表1に示す電極パターニング性において、×は一つも5μm間隔のラインが形成できていなかったもの、△は何個かできていたもの、○は何個かできていないものがあったもの、◎は全てできているものを示す。
【0086】
(比較例3)
比較例1で作製した濡れ性変化薄膜(B)上に、実施例2と同様にして紫外線を照射し、インクジェット法によりナノ銀インクを吐出した。焼成後、5μm間隔のラインが形成できているか金属顕微鏡観察により確認した。結果を表1に示す。
【0087】
(比較例4)
比較例2で作製した濡れ性変化薄膜(C)上に、実施例2と同様にして紫外線を照射し、インクジェット法によりナノ銀インクを吐出した。焼成後、5μm間隔のラインが形成できているか金属顕微鏡観察により確認した。結果を表1に示す
これらの結果は、実施例1で得られた紫外線照射量と電極材料の接触角の結果に良好に対応している。すなわち、本発明の一例であるジアミン(17)から形成した濡れ性変化薄膜(A)では、紫外線照射量がたかだか2J/cmから表面自由エネルギーの高い面が形成されるので、ここに親水性(表面自由エネルギーの高い)の電極材料をインクジェット塗布すると、表面自由エネルギーの高い面と低い面の境界ラインが鮮明に形成できる。表面自由エネルギーの高い面以外にはインクは濡れ拡がらず5μm間隔のラインが形成可能となる。一方、ジアミン(21)から形成した濡れ性変化薄膜(B)では、実験を行った15J/cmまででは紫外線による接触角変化が5°程度と小さく、5μm間隔のラインを形成できなかった。
ところで、ジアミン(17)から形成した濡れ性変化薄膜(A)と同様に側鎖にデンドロン構造を有するジアミン(22)から形成した濡れ性変化薄膜(C)では、5J/cm以上照射しないとエネルギーの高い面が形成されず、部分的に5μm間隔のラインが形成されていないところがある。ジアミン(17)から形成した濡れ性変化薄膜(A)よりも紫外線照射量が必要となるのは、π共役の拡がりが小さいためと考えられる。
【0088】
このように、側鎖にデンドロン構造を有し、且つ、長波長の紫外線の吸収部位が複数含まれる構造体では、より少ない紫外線照射量で、電極が形成できることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】高絶縁膜層に濡れ性変化膜層が積層されている有機トランジスタの構成図。
【図2】電子素子アレイの一例を示し、(a)は断面図、(b)は電極等の配置関係の平面図である。
【図3】図2の電子素子アレイを用いた表示装置を示す断面図である。
【図4】図3の表示装置を表示媒体に用いたデジタルペーパーの模式図である。
【図5】図3の表示装置をポケットPCのような表示媒体に実装した装置図である。
【図6】本発明の調製例1により調製されたジアミン(17)のH−NMRスペクトルである。
【図7】本発明の調製例1により調製されたジアミン(17)のFT−IRスペクトルである。
【図8】本発明の調製例1により調製されたジアミン(17)の示差走査熱量測定法(DSC)のサーモグラム図である。
【符号の説明】
【0090】
1 高絶縁層
2 濡れ性変化層
3 臨界表面張力の大きな高表面エネルギー部
4 臨界表面張力の小さな低表面エネルギー部
5 導電層
5a ソース電極層
5b ドレイン電極層
6 半導体層
7 基板
41 電子素子
42 ゲート電極
51 電子素子アレイ
61 表示装置
62 透明電極
63 ポリエチレンナフタレート基板
65 酸化チタン粒子
66 オイルブルーで着色したアイソパー
67 マイクロカプセル
68 PVAバインダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で示されることを特徴とするジアミン化合物。
【化1】

式中、基A及び基Bは、それぞれ、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、基Cは、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、基Dは、それぞれ独立して、少なくとも一個のハロゲン原子により置換されていてもよいC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(2)で示される官能基であり、
【化2】

式中、置換基C'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(3)で示される官能基であり、
【化3】

式中、置換基C"は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、又は下式(4)で示される官能基であり、
【化4】

式中、置換基C"'は、それぞれ独立して、−O−、−COO−、−CONH−、又は−OCO−であり、且つ、置換基D"'は、それぞれ独立してC1〜20の直鎖、分岐又は環状アルキル基である。
【請求項2】
下式(5)又は(6)で示される化合物であることを特徴とするジアミン化合物。
【化5】

【化6】

【請求項3】
請求項1又は2に記載のジアミン化合物と、脂環式酸二無水物及び/又は芳香環式酸二無水物との共重合体であることを特徴とするポリアミド酸。
【請求項4】
芳香環式ジアミン及び/又はジアミノシロキサンを共重合単位として含むことを特徴とする請求項3に記載のポリアミド酸。
【請求項5】
ジアミンモノマー単位の総量を基準として、請求項1又は2に記載のジアミンモノマー単位の量が0.1〜100モル%であり、芳香環式ジアミン及び/又はジアミノシロキサンモノマー単位の量が0〜99.9モル%であることを特徴とする請求項4に記載のポリアミド酸。
【請求項6】
前記脂環式酸二無水物モノマー単位及び芳香環式酸二無水物モノマー単位の総量を基準として、芳香環式酸二無水物モノマー単位の量が10〜95モル%であり、脂環式酸二無水物モノマー単位の量が5〜90モル%であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のポリアミド酸。
【請求項7】
数平均分子量が10,000〜500,000であるあることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のポリアミド酸。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか一項に記載のポリアミド酸のアミド基の一部又は全部をイミド化したことを特徴とする可溶性ポリイミド。
【請求項9】
請求項3〜7のいずれか一項に記載のポリアミド酸と、請求項8に記載の可溶性ポリイミドとを含むことを特徴とする組成物。
【請求項10】
請求項8に記載の可溶性ポリイミド又は請求項9に記載の組成物が基板上に形成されたことを特徴とする濡れ性変化膜。
【請求項11】
請求項10に記載の濡れ性変化膜を備えたことを特徴とする電極。
【請求項12】
請求項3〜7のいずれか一項に記載のポリアミド酸、請求項8に記載の可溶性ポリイミド又は請求項9に記載の組成物を溶媒中に溶解し、この溶液を基板上にコーティングし、コーティングされた溶液の一部又は全部をイミド化することを特徴とする濡れ性変化膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−13342(P2009−13342A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178703(P2007−178703)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】