説明

スイッチング素子の駆動回路

【課題】スイッチング素子S*#のオン状態への切り替えによってこれを流れる電流が急激に大きくなると、ツェナーダイオード40およびクランプ用スイッチング素子42を備えて構成されるクランプ回路による対処が間に合わなくなるおそれがあること。
【解決手段】スイッチング素子S*#のオン操作指令に伴い、まず制限用電圧VLを端子電圧とする直流電圧源25を電源とし、定電流用スイッチング素子27を用いてスイッチング素子S*#のゲート充電処理を行う。そして、所定時間が経過することで、定常用電圧VH(>VL)を端子電圧とする直流電圧源22を電源とし、定電圧用スイッチング素子23を用いてスイッチング素子S*#のゲート充電処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧制御形のスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とするスイッチング素子の駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子の駆動回路としては、たとえば下記特許文献1に見られるように、定電流回路を用いて駆動対象となるスイッチング素子(IGBT)のゲートに電荷を充電するものも提案されている。詳しくは、この定電流回路は、十分に大きい端子電圧を有する直流電圧源を電源として構成されるものであり、これにより、定電流制御の制御性を高く維持することを狙っている。上記回路では、定電流回路によって上昇させうるゲート電圧の上限値が過度に大きくなることでIGBTのゲート酸化膜の低下を招くおそれを回避すべく、IGBTのゲート電圧に応じて上記直流電圧源よりも低い定電圧をゲートに印加するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−11049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、たとえば駆動対象となる上記IGBTが高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を構成する場合であってこれらに貫通電流が流れうる異常時においては、IGBTのオン状態への切り替えによってIGBTを流れる電流が急激に大きくなる。このため、IGBTのゲート電圧も急激に大きくなり、ひいては上記定電圧への切り替えに先立ってIGBTに信頼性の低下を招くほど過度に大きい電流が流れるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、電圧制御形のスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とする新たなスイッチング素子の駆動回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
【0007】
請求項1記載の発明は、電圧制御形のスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とするスイッチング素子の駆動回路において、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に該駆動対象スイッチング素子をオン状態に切り替えるための電荷を充電する第1充電手段と、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記第1充電手段による前記電荷の充電後に前記電荷をさらに充電するための第2充電手段とを備え、前記第1充電手段は、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記電荷を定電流制御にて充電する定電流制御手段であり、該定電流制御手段による前記電荷の充電による前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子がオン状態となる際の閾値電圧である第1電圧および前記駆動対象スイッチング素子の許容電流の上限値を飽和電流とする第2電圧の一対の電圧によって定まる電圧領域内の値に設定し、前記第2充電手段による前記電荷の充電による前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記上限値よりも大きい電流を流しうる値に設定したことを特徴とする。
【0008】
上記発明では、第1充電手段による充電期間においては駆動対象スイッチング素子を流れる電流を許容電流の上限値以下に制限することができる。このため、駆動対象スイッチング素子のオン状態への切り替えに際し駆動対象スイッチング素子に急激に過度に大きい電流が流れる事態を好適に回避することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子の通常駆動時における最大電流よりも大きい電流を飽和電流とする前記開閉制御端子の電圧に設定したことを特徴とする。
【0010】
定電流制御手段による定電流制御の制御性は、上記収束値付近で低下する傾向がある。この点、この収束値を上記最大電流よりも大きい電流を飽和電流とする電圧値に設定することで、通常駆動時においてはミラー期間を過ぎるまで定電流制御の制御性を維持することが容易となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子の通常駆動時において想定される電流を飽和電流とする前記開閉制御端子の電圧である第3電圧まで該開閉制御端子を充電する際に前記定電流制御手段の制御性が低下しないと想定される値に設定したことを特徴とする。
【0012】
定電流制御手段による定電流制御の制御性は、上記収束値付近で低下する傾向がある。上記発明では、この点に鑑み、上記設定とした。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記定電流制御手段は、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記電荷を充電するための第1充電経路と、前記電荷を供給する第1直流電圧源と、前記第1充電経路に設けられた定電流用スイッチング素子および抵抗体の直列接続体と、前記抵抗体の電圧降下量を規定値に制御すべく前記定電流用スイッチング素子の開閉制御端子に操作信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
上記発明では、第1直流電圧源の出力電圧が前記収束値となる。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記第2充電手段は、第2直流電圧源および第2充電経路を備えて且つ、前記第2充電手段による充電の開始時から前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記第2充電経路を介して定電圧を印加する手段であることを特徴とする。
【0016】
上記発明では、第2充電手段を簡素な構成とすることも容易となる。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えは、前記駆動対象スイッチング素子のオフ操作指令からオン操作指令への切り替えタイミング以降の規定のタイミングからの経過時間が規定時間以上となることを条件に行われることを特徴とする。
【0018】
駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子の電圧の変化は、駆動対象スイッチング素子を流れる電流に応じて変化する。この点、上記発明では、経過時間に着目することで、駆動対象スイッチング素子を流れる電流に依存することなく切り替え条件を適切に設定することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えは、前記駆動対象スイッチング素子のオフ操作指令からオン操作指令への切り替えタイミング以降の規定のタイミングからの経過時間が規定時間以上となる旨の条件と、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子の電圧が規定電圧に到達するとの条件との論理積が真となることを条件に行われることを特徴とする。
【0020】
上記発明では、切り替え条件を複数の条件によって構成することで、単一の条件によって構成する場合と比較して、切替条件の成立判断のノイズに対する耐性を高めることができる。
【0021】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明において、前記駆動対象スイッチング素子を流れる電流が、前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値に対応する飽和電流以下の電流に設定される過電流閾値以上となるか否かを判断する判断手段と、前記第1充電手段による充電期間において前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えを禁止する禁止手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0022】
上記発明では、異常時において第2充電手段による充電処理への切り替えを禁止するために、駆動対象スイッチング素子に過度に大きい電流が流れる事態を好適に回避することができる。
【0023】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記駆動対象スイッチング素子を強制的にオフ操作する強制オフ操作手段を備えることを特徴とする。
【0024】
上記発明では、過電流閾値以上の電流が流れる事態を速やかに解消することができる。
【0025】
請求項10記載の発明は、請求項8記載の発明において、前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記駆動対象スイッチング素子を流れる電流を制限するように該駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子の電圧を制限する制限手段をさらに備えることを特徴とする。
【0026】
上記発明では、異常時において駆動対象スイッチング素子を流れる電流を、第1充電手段による充電処理において流れうる最大電流に対して制限することができる。
【0027】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の発明において、前記制限手段は、前記駆動対象スイッチング素子の電流の流通経路の一対の端部のいずれかと前記開閉制御端子との間に設けられたツェナーダイオードを備えて構成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態にかかるシステム構成図。
【図2】同実施形態にかかるドライブユニットの回路構成を示す回路図。
【図3】同実施形態にかかる電源電圧の設定手法を示す図。
【図4】同実施形態にかかるオン操作処理の手順を示す流れ図。
【図5】同実施形態にかかるオン動作処理態様を示すタイムチャート。
【図6】第2の実施形態にかかるオン操作処理の手順を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかるスイッチング素子の駆動回路を車載主機としての回転機に接続される電力変換回路の駆動回路に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0030】
図1に、本実施形態にかかる制御システムの全体構成を示す。モータジェネレータ10は、車載主機であり、図示しない駆動輪に機械的に連結されている。モータジェネレータ10は、インバータINVおよび昇圧コンバータCNVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。ここで、昇圧コンバータCNVは、コンデンサCと、コンデンサCに並列接続された一対のスイッチング素子Scp,Scnと、一対のスイッチング素子Scp,Scnの接続点と高電圧バッテリ12の正極とを接続するリアクトルLとを備えている。そして、スイッチング素子Scp,Scnのオン・オフによって、高電圧バッテリ12の電圧(例えば百V以上)を所定の電圧(例えば「666V」)を上限として昇圧するものである。一方、インバータINVは、スイッチング素子Sup,Sunの直列接続体と、スイッチング素子Svp,Svnの直列接続体と、スイッチング素子Swp,Swnの直列接続体とを備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S*#(*=u,v,w,c;#=p,n)として、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD*#が逆並列に接続されている。
【0031】
制御装置18は、低電圧バッテリ16を電源とする制御装置である。制御装置18は、モータジェネレータ10を制御対象とし、その制御量を所望に制御すべく、インバータINVや昇圧コンバータCNVを操作する。詳しくは、昇圧コンバータCNVのスイッチング素子Scp,Scnを操作すべく、操作信号gcp、gcnをドライブユニットDUに出力する。また、インバータINVのスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを操作すべく、操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnをドライブユニットDUに出力する。ここで、高電位側の操作信号g*pと、対応する低電位側の操作信号g*nとは、互いに相補的な信号となっている。換言すれば、高電位側のスイッチング素子S*pと、対応する低電位側のスイッチング素子S*nとは、交互にオン状態とされる。
【0032】
ここで、高電圧バッテリ12を備える高電圧システムと低電圧バッテリ16を備える低電圧システムとは、互いに絶縁されており、これらの間の信号の授受は、例えばフォトカプラ等の絶縁素子を備えるインターフェース14を介して行われる。
【0033】
図2に、上記ドライブユニットDUの構成を示す。
【0034】
図示されるように、ドライブユニットDUは、1チップ化された半導体集積回路であるドライブIC20を備えている。ドライブIC20は、定常用電圧VHを端子電圧とする直流電圧源22を備え、直流電圧源22の端子は、定電圧用スイッチング素子23、端子T1および定電圧用抵抗体24を介してスイッチング素子S*#の開閉制御端子(ゲート)に接続されている。
【0035】
ドライブIC20は、さらに制限用電圧VL(<VH)を端子電圧とする直流電圧源25を備え、直流電圧源25の端子は、端子T2,定電流用抵抗体26、端子T3、定電流用スイッチング素子27、および端子T4を介してスイッチング素子S*#のゲートに接続されている。
【0036】
一方、スイッチング素子S*#のゲートは、放電用抵抗体30を介してドライブIC20の端子T5に接続されており、端子T5は、放電用スイッチング素子32を介して端子T6に接続されている。そして、端子T6は、スイッチング素子S*#の出力端子(エミッタ)に接続されている。
【0037】
上記定電圧用スイッチング素子23、定電流用スイッチング素子27および放電用スイッチング素子32は、ドライブIC20内の駆動制御部70によって操作される。すなわち、駆動制御部70では、端子T8を介して入力される上記操作信号g*#に基づき、定電圧用スイッチング素子23および定電流用スイッチング素子27と放電用スイッチング素子32とを交互にオン・オフすることでスイッチング素子S*#を駆動する。詳しくは、操作信号g*#がオン操作指令となることで、放電用スイッチング素子32をオフして且つ定電流用スイッチング素子27をオンした後、定電流用スイッチング素子27をオフして且つ定電圧用スイッチング素子23をオンとする。一方、操作信号g*#がオフ操作指令となることで、定電圧用スイッチング素子23をオフして且つ放電用スイッチング素子32をオンする。
【0038】
ここで、定電流用スイッチング素子27をオン操作する期間においては、その開閉制御端子(ゲート)への印加電圧を定電流用抵抗体26の電圧降下量(端子T3の電圧Vc)を規定値に制御するために操作する。これにより、定電流用抵抗体26を流れる電流量を一定値とすることができ、ひいてはスイッチング素子S*#のゲート充電処理を定電流制御にて行うことができる。なお、定電流用スイッチング素子27を用いた定電流制御によれば、スイッチング素子S*#のゲート電圧は、制限用電圧VLに収束する。ゲート電圧が収束値へと近づくと、定電流制御の制御性が低下する。これは、ゲート電圧Vgeが制限用電圧VLから定電流用抵抗体26の電圧降下量と定電流用スイッチング素子27の電圧降下量の最小値とを減算した値以上となると、定電流用スイッチング素子27のゲート電圧の操作によっては、定電流用抵抗体26の電圧降下量を規定値に制御することができなくなるためである。
【0039】
上記端子T5は、また、ツェナーダイオード40およびクランプ用スイッチング素子42の直列接続体を介して端子T6に接続されている。ここで、ツェナーダイオード40のブレークダウン電圧は、スイッチング素子S*#に過度の電流が流れない程度にスイッチング素子S*#のゲート電圧を制限するものである。
【0040】
上記端子T5は、さらに、ソフト遮断用抵抗体44およびソフト遮断用スイッチング素子46を介して端子T6に接続されている。
【0041】
一方、上記スイッチング素子S*#は、その入力端子(コレクタ)および出力端子(エミッタ)間に流れる電流(コレクタ電流)と相関を有する微少電流を出力するセンス端子Stを備えている。そして、センス端子Stは、抵抗体48,50の直列接続体を介してエミッタに電気的に接続されている。これにより、センス端子Stから出力される電流によって抵抗体50に電圧降下が生じるため、抵抗体50による電圧降下量を、スイッチング素子S*#の入力端子および出力端子間を流れる電流と相関を有する電気的な状態量とすることができる。
【0042】
上記抵抗体50による電圧降下量(抵抗体48,50の接続点の電圧Vsd)は、端子T7を介して、コンパレータ52の非反転入力端子に取り込まれる。一方、コンパレータ52の反転入力端子には、基準電源54の基準電圧Vrefが印加されている。これにより、コレクタ電流が過電流閾値Ith以上となることで、コンパレータ52の出力信号が論理「L」から論理「H」に反転する。コンパレータ52の出力する論理「H」の信号は、クランプ用スイッチング素子42に印加されるとともに、ディレイ56に取り込まれる。ディレイ56は、入力信号が所定時間に渡って論理「H」となることで、フェール信号FLを出力する。フェール信号FLは、スイッチング素子S*#を強制的にオフ状態とすべく、ソフト遮断用スイッチング素子46をオン操作したり、定電圧用スイッチング素子23、定電流用スイッチング素子27および放電用スイッチング素子32の駆動を停止させるべく駆動制御部70に指令するものである。
【0043】
こうした構成によれば、スイッチング素子S*#を過電流が流れる場合には、まずクランプ用スイッチング素子42のオン操作に伴ってツェナーダイオード40がオン状態とされることで、スイッチング素子S*#のゲート電圧が低下する。これにより、スイッチング素子S*#を流れる電流を制限することができる。そしてその後、過電流が所定時間継続する場合には、ソフト遮断用スイッチング素子46がオン状態とされることから、スイッチング素子S*#が強制的にオフとされる。
【0044】
これにより、コレクタ電流が閾値以上となる状態が所定時間以上継続することで、ソフト遮断用スイッチング素子46がオンとされ、ソフト遮断用抵抗体44および放電用抵抗体30を介して、スイッチング素子S*#のゲートの電荷が放電される。ここで、ソフト遮断用抵抗体44は、放電経路の抵抗値を高抵抗とするためのものである。これは、コレクタ電流が過大である状況下にあっては、スイッチング素子S*#をオン状態からオフ状態へと切り替える速度、換言すればコレクタおよびエミッタ間の遮断速度を大きくすると、サージが過大となるおそれがあることに鑑みたものである。このため、コレクタ電流が過電流閾値Ith以上となると判断される状況下にあっては、放電用抵抗体30および放電用スイッチング素子32を備える放電経路よりも抵抗値の大きい経路によってスイッチング素子S*#のゲートを放電させる。
【0045】
なお、上記クランプ用スイッチング素子42およびツェナーダイオード40を備えるクランプ回路によるクランプ電圧を、本実施形態では、スイッチング素子S*#を流れる電流を過電流閾値Ith以下に制限する値に設定する。また、フェール信号FLは、端子T9を介して低電圧システム(制御装置18)に出力される。このフェール信号FLによって、先の図1に示すフェール処理部14aでは、インバータINVや昇圧コンバータCNVをシャットダウンする。ちなみに、フェール処理部14aの構成は、例えば特開2009−60358号公報の図3に記載のものとすればよい。
【0046】
図3に、制限用電圧VLおよび過電流閾値Ithの設定を示す。
【0047】
図示されるように、スイッチング素子S*#は、ゲートおよびエミッタ間の電圧(ゲート電圧Vge)が大きいほど、流しうる最大の電流値(飽和電流)が大きくなる。ここで本実施形態では、スイッチング素子S*#の信頼性の低下を招くことのない電流(許容電流)の上限値に制限用電圧VLを設定し、スイッチング素子S*#の通常駆動時に流れると想定される電流の最大値よりも大きくて且つ上記許容電流の上限値よりも小さい値に過電流閾値Ithを設定する。
【0048】
これにより、スイッチング素子S*#のゲートに定常用電圧VHが印加されている際にスイッチング素子S*#を流れる電流が過電流閾値Ithを超える事態には、上記クランプ用回路やソフト遮断用スイッチング素子46のオン操作によって対処することができる。また、制限用電圧VLの利用によって、オフ状態からオン状態への切り替えに際し、スイッチング素子S*#に直列接続された逆アームの素子がオン状態にあることで短絡電流が流れる場合であっても、急激な電流の上昇によってスイッチング素子S*#に一旦過度に大きい電流が流れる事態を回避する。すなわち、上記短絡電流の上昇速度が非常に大きいために、電圧Vsdに応じて上記クランプ用スイッチング素子42がオン操作されるに先立ってスイッチング素子S*#を流れる電流は許容電流を超えうるのであるが、制限用電圧VLを用いることでこうした事態を回避する。
【0049】
なお、直流電圧源25を用いたゲート充電処理を定電流制御によって行うのは、スイッチング損失を低減するためである。すなわち、定電圧制御を用いる場合、充電速度は、直流電圧源25の出力電圧とゲート電圧との差圧に比例するため、ゲート電圧が上昇するほど小さくなる。このため、ミラー期間における充電速度が低下しやすく、ひいてはスイッチング損失を十分に低減することが困難となる。
【0050】
また、本実施形態では、制限用電圧VLから定電流用抵抗体26の電圧降下量の目標値と定電流用スイッチング素子27のオン抵抗の最小値とを減算した値が、スイッチング素子S*#の通常駆動時において流れる電流の最大値を飽和電流とするゲート電圧以上になっている。
【0051】
図4に、スイッチング素子S*#のオン状態への切替処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部70によって実行される。
【0052】
この一連の処理では、まずステップS10において、スイッチング素子S*#のオフ操作指令からオン操作指令への切り替えタイミングであるか否かを判断する。そして、ステップS10において肯定判断される場合、ステップS12において、定電流用スイッチング素子27をオン操作する。続くステップS14においては、オン操作指令への切り替えタイミングからの経過時間を計時するカウンタCの計時動作を開始する。続くステップS16では、カウンタCが閾値Cth以上であるか否かを判断する。この処理は、定電圧制御への切り替えタイミングを判断するためのものである。ここで閾値Cthは、スイッチング素子S*#の通常駆動時においてスイッチング素子S*#のゲート電圧が制限用電圧VLに収束するのに要する時間以上の時間に設定される。なお、閾値Cthは、電圧Vsdに応じてクランプ用スイッチング素子42がオン操作されるのに要する時間以上の時間ともなっている。上記ステップS16において否定判断される場合には、ステップS14に戻る。
【0053】
一方、ステップS16において肯定判断される場合、ステップS18において、フェール信号FLが出力されたか否かを判断する。この処理は、定電圧制御への切り替えをすべきでない状況であるか否かを判断するためのものである。ステップS18において否定判断される場合、ステップS20において定電流用スイッチング素子27をオフ操作するとともに定電圧用スイッチング素子23をオン操作し、カウンタCを初期化する。
【0054】
なお、上記ステップS20の処理が完了する場合や、ステップS10において否定判断される場合、さらにはステップS18において肯定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
【0055】
図5に、本実施形態にかかるスイッチング素子S*#のオン操作処理を示す。詳しくは、図5(a1)および図5(a2)に、スイッチング素子S*#のゲート電圧Vgeの推移を示し、図5(b1)および図5(b2)に、抵抗体50による電圧降下量(電圧Vsd)の推移を示し、図5(c1)および図5(c2)に、定電流用スイッチング素子27の操作状態の推移を示す。また、図5(d1)および図5(d2)に、定電圧用スイッチング素子23の操作状態の推移を示し、図5(e1)および図5(e2)に、放電用スイッチング素子32の操作状態の推移を示し、図5(f1)および図5(f2)に、クランプ用スイッチング素子42の操作状態の推移を示し、図5(g1)および図5(g2)に、ソフト遮断用スイッチング素子46の操作状態の推移を示す。なお、図5(a1)〜図5(g1)は、スイッチング素子S*#の通常駆動時の処理であり、図5(a2)〜図5(g2)は、スイッチング素子S*#に短絡電流が流れる場合の処理である。
【0056】
図5(a1)〜図5(g1)に示されるように、定電流用スイッチング素子27がオン操作されることで、スイッチング素子S*#のゲート電圧が上昇し、ミラー期間において停滞した後再度上昇することで制限用電圧VLに到達する。その後、閾値Cthに対応する時間が経過することで、定電流用スイッチング素子27がオフされるとともに定電圧用スイッチング素子23がオンされる。これにより、スイッチング素子S*#のゲート電圧Vgeは、定常用電圧VHまで上昇する。
【0057】
これに対し、図5(a2)〜図5(g2)に示されるように、スイッチング素子S*#に貫通電流が流れる場合には、定電流用スイッチング素子27のオン操作とともに、スイッチング素子S*#に大電流が流れることから、ゲート電圧Vgeは、制限用電圧VLまで一気に上昇する。このため、電圧Vsdは、基準電圧Vrefを上回るものの、クランプ用スイッチング素子42がオン操作されるまでには応答遅れが生じる。しかしこの場合であっても、スイッチング素子S*#を流れる電流は、制限用電圧VLに対応する飽和電流に制限される。そして、クランプ用スイッチング素子42がオン操作された後所定時間経過することでソフト遮断用スイッチング素子46がオン操作されることで、スイッチング素子S*#が強制的にオフ操作される。
【0058】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0059】
(1)定電流制御用の直流電圧源25の出力電圧を制限用電圧VLに制限した。これにより、スイッチング素子S*#のオン状態への切り替えに際しスイッチング素子S*#に急激に過度に大きい電流が流れる事態を好適に回避することができる。
【0060】
(2)制限用電圧VLを、スイッチング素子S*#を流れる許容電流の上限値とした。これにより、スイッチング素子S*#の通常駆動時におけるミラー期間のゲート電圧Vgeまでは定電流制御の制御性を低下させない設定が容易となる。
【0061】
(3)スイッチング素子S*#のゲートを制限用電圧VLから定常用電圧VHまで充電するに際し、定電圧制御を行なった。これにより、ミラー期間が経過した後の充電処理を行う手段を簡素化することが容易となる。
【0062】
(4)定電流制御から定電圧制御への切り替えタイミングを、スイッチング素子S*#のオン操作指令への切り替えタイミングからの経過時間によって設定した。これにより、スイッチング素子S*#を流れる電流に依存することなく切り替え条件を適切に設定することができる。
【0063】
(5)定電流制御期間においてスイッチング素子S*#を流れる電流が過電流閾値Ith以上となると判断される場合、定電流制御から定電圧制御への切り替えを禁止した。これにより、スイッチング素子S*#に過度に大きい電流が流れる事態を好適に回避することができる。
【0064】
(6)スイッチング素子S*#に流れる電流が過電流閾値Ith以上となると判断される場合、スイッチング素子S*#を強制的にオフ操作した。これにより、過電流閾値Ith以上の電流が流れる事態を速やかに解消することができる。
【0065】
(7)スイッチング素子S*#に流れる電流が過電流閾値Ith以上となると判断される場合、スイッチング素子S*#を流れる電流を制限すべく、スイッチング素子S*#のゲート電圧Vgeを制限するクランプ回路(クランプ用スイッチング素子42およびツェナーダイオード40)を備えた。これにより、異常時においてスイッチング素子S*#を流れる電流を、制限用電圧VLに対応する飽和電流よりも小さい電流に制限することができる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
【0066】
図6に、本実施形態にかかるスイッチング素子S*#のオン状態への切替処理の手順を示す。この処理は、駆動制御部70によって実行される。なお、図6において、先の図4に示した処理に対応する処理については、便宜上同一のステップ番号を付している。
【0067】
この一連の処理では、ステップS12の処理が完了する場合、ステップS22において、ゲート電圧Vgeが規定電圧V0以上であるか否かを判断する。この処理は、カウンタCの計時動作を開始するための規定のタイミングとなったか否かを判断するためのものである。すなわち、本実施形態では、ゲート電圧Vgeが規定電圧V0以上となることが、カウンタCの計時動作を開始するための第2の条件となっている。このように、カウンタCの計時動作の開始条件を、オン操作指令への切り替えに加えて、ゲート電圧Vgeが規定電圧V0となったとの条件とすることで、計時動作の開始判断に際してのノイズの耐性を高めることができる。なお、規定電圧V0は、スイッチング素子S*#がオン状態となる閾値電圧Vth以下とすることが望ましい。
【0068】
そしてステップS22において肯定判断される場合、ステップS14に移行する。そして、ステップS14の処理が完了する場合、ステップS16aにおいて、カウンタCが閾値Cth以上であることと、ゲート電圧Vgeが制限用電圧VL以上であることと、の論理積が真であるか否かを判断する。この処理は、定電流制御から定電圧制御への切り替えタイミングを判断するためのものである。ここで、制限用電圧VL以上である旨の条件を切替条件に加えたのは、切り替えタイミングの判断に際してノイズに対する耐性を高めるためである。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0069】
「制限用電圧VLの設定について」
制限用電圧VLの設定としては、スイッチング素子S*#の許容電流の上限値を飽和電流とするゲート電圧Vgeに限らない。たとえば、過電流閾値Ithを飽和電流とするゲート電圧Vgeであってもよい。またたとえば、過電流閾値Ithよりも小さい電流であって且つ通常駆動時における最大電流よりも大きい電流を飽和電流とするゲート電圧Vgeであってもよい。さらに、最大電流よりも大きい電流を飽和電流とするゲート電圧Vgeにも限らず、都度想定される電流よりも大きい電流を飽和電流とするゲート電圧Vgeであってもよい。この場合であっても、想定される電流よりも大きい電流が流れている場合には定常用電圧VHへの切り替えを行なわないことで、過度の電流が流れる事態を好適に回避することができる。
【0070】
「定電流制御手段について」
定電流用スイッチング素子としては、MOS電界効果トランジスタに限らず、たとえばバイポーラトランジスタ等であってもよい。
【0071】
また、スイッチング素子に直列接続された抵抗体の電圧降下量を一定値とすべく開閉制御端子(ゲート、ベース)に操作信号を出力することで定電流制御を行うものに限らず、たとえば直流電圧源に接続される定電流ダイオードであってもよい。
【0072】
「第2充電手段について」
上記実施形態において例示したものに限らず、たとえば直流電圧源22を電源とする定電流制御回路であってもよい。
【0073】
「第1充電手段について」
第1充電手段の備える直流電圧源としては、その出力電圧が固定値であるものに限らず、たとえば段階的または連続的に変化するものであってもよい。ただしこの場合、大きい方の電圧を制限用電圧VLとする。
【0074】
「計時動作の開始タイミング(規定のタイミング)について」
オン操作指令に同期したタイミングとしては、オン操作指令への切り替えタイミングに代えて、たとえば定電流用スイッチング素子27のゲートに電圧が印加されるタイミングや、定電流用スイッチング素子27のドレインから電流が出力されるタイミングであってもよい。
【0075】
「強制オフ操作手段について」
ソフト遮断用スイッチング素子46を備えることなく、放電用スイッチング素子32を用いて強制的なオフ操作を行なってもよい。
【0076】
なお、強制オフ操作手段を備えることなく、操作信号g*#によるオフ操作指令に応じてスイッチング素子S*#をオフ操作するようにしてもよい。
【0077】
「クランプ回路について」
ツェナーダイオード40およびクランプ用スイッチング素子42を備えるクランプ回路としては、制限用電圧VLに対応する飽和電流よりも小さい電流を飽和電流とする電圧をクランプ電圧とするものに限らない。たとえば、過電流閾値Ithを飽和電流とするゲート電圧を制限用電圧VLおよびクランプ電圧と一致させてもよい。また、過電流閾値Ithを飽和電流とするゲート電圧をクランプ電圧として且つ、これよりも制限用電圧VLを小さくしてもよい。
【0078】
なお、クランプ回路を設けなくてもよい。
【0079】
「駆動対象スイッチング素子について」
駆動対象スイッチング素子としては、IGBTに限らず、たとえばパワーMOS電界効果トランジスタ等であってもよい。この際、Nチャネルにも限らず、Pチャネルであってもよい。ただしこの場合、ソース電位に対してゲート電位を低下させることでオン状態となるため、ゲートに「負」の電荷を充電することで駆動対象スイッチング素子がオン状態となる。
【0080】
「直流電圧源について」
第1充電手段の第1直流電圧源と第2充電手段の第2直流電圧源としては、互いに相違する端子電圧を有する各別の直流電圧源に限らない。たとえばDCDCコンバータのように、その出力電圧を可変とする単一の電圧源であってもよい。
【0081】
「電力変換回路について」
電力変換回路としては、回転機の端子を直流電源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続する高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子を備える直流交流変換回路(インバータINV)や、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子を備えるコンバータCNVに限らない。たとえば、高電圧バッテリ12の電圧を降圧して低電圧バッテリ16に印加する降圧コンバータであってもよい。ただし、この場合であっても、高電位側のスイッチング素子および低電位側のスイッチング素子の直列接続体を備えることが望ましい。
【0082】
「そのほか」
・モータジェネレータ10としては、車載主機に限らず、たとえばシリーズハイブリッド車に搭載される発電機であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
22,27…直流電圧源、23…定電圧用スイッチング素子、26…定電流用抵抗体、27…定電流用スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧制御形のスイッチング素子を駆動対象スイッチング素子とするスイッチング素子の駆動回路において、
前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に該駆動対象スイッチング素子をオン状態に切り替えるための電荷を充電する第1充電手段と、
前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記第1充電手段による前記電荷の充電後に前記電荷をさらに充電するための第2充電手段とを備え、
前記第1充電手段は、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記電荷を定電流制御にて充電する定電流制御手段であり、
該定電流制御手段による前記電荷の充電による前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子がオン状態となる際の閾値電圧である第1電圧および前記駆動対象スイッチング素子の許容電流の上限値を飽和電流とする第2電圧の一対の電圧によって定まる電圧領域内の値に設定し、
前記第2充電手段による前記電荷の充電による前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記上限値よりも大きい電流を流しうる値に設定したことを特徴とするスイッチング素子の駆動回路。
【請求項2】
前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子の通常駆動時における最大電流よりも大きい電流を飽和電流とする前記開閉制御端子の電圧に設定したことを特徴とする請求項1記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項3】
前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値を、前記駆動対象スイッチング素子の通常駆動時において想定される電流を飽和電流とする前記開閉制御端子の電圧である第3電圧まで該開閉制御端子を充電する際に前記定電流制御手段の制御性が低下しないと想定される値に設定したことを特徴とする請求項1または2記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項4】
前記定電流制御手段は、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記電荷を充電するための第1充電経路と、前記電荷を供給する第1直流電圧源と、前記第1充電経路に設けられた定電流用スイッチング素子および抵抗体の直列接続体と、前記抵抗体の電圧降下量を規定値に制御すべく前記定電流用スイッチング素子の開閉制御端子に操作信号を出力する出力手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項5】
前記第2充電手段は、第2直流電圧源および第2充電経路を備えて且つ、前記第2充電手段による充電の開始時から前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子に前記第2充電経路を介して定電圧を印加する手段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項6】
前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えは、前記駆動対象スイッチング素子のオフ操作指令からオン操作指令への切り替えタイミング以降の規定のタイミングからの経過時間が規定時間以上となることを条件に行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項7】
前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えは、前記駆動対象スイッチング素子のオフ操作指令からオン操作指令への切り替えタイミング以降の規定のタイミングからの経過時間が規定時間以上となる旨の条件と、前記駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子の電圧が規定電圧に到達するとの条件との論理積が真となることを条件に行われることを特徴とする請求項6記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項8】
前記駆動対象スイッチング素子を流れる電流が、前記定電流制御手段によって前記電荷を充電する際における前記開閉制御端子の電圧の収束値に対応する飽和電流以下の電流に設定される過電流閾値以上となるか否かを判断する判断手段と、
前記第1充電手段による充電期間において前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記第1充電手段による充電処理から前記第2充電手段による充電処理への切り替えを禁止する禁止手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項9】
前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記駆動対象スイッチング素子を強制的にオフ操作する強制オフ操作手段を備えることを特徴とする請求項8記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項10】
前記判断手段によって前記過電流閾値以上となると判断される場合、前記駆動対象スイッチング素子を流れる電流を制限するように該駆動対象スイッチング素子の開閉制御端子の電圧を制限する制限手段をさらに備えることを特徴とする請求項8記載のスイッチング素子の駆動回路。
【請求項11】
前記制限手段は、前記駆動対象スイッチング素子の電流の流通経路の一対の端部のいずれかと前記開閉制御端子との間に設けられたツェナーダイオードを備えて構成されることを特徴とする請求項10記載のスイッチング素子の駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−147624(P2012−147624A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5609(P2011−5609)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】