説明

スクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法

【課題】基板とマスクプレートを撮像対象とする2つの撮像光軸を備えた撮像部を水平移動させる構成において、生産開始前の点検時にて基板位置合わせ精度の良否を簡便に確認することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】基板およびマスクの位置合わせのために認識マークの位置検出を目的として実行されるマーク撮像工程に先立って、撮像光軸間の水平方向相対位置を検出する光軸キャリブレーション処理工程と、撮像部の移動に起因して生じる撮像光軸の局地的な位置ずれを検出する面補正データ作成処理工程とを実行し、生産開始前に検証用基板、マスクを用いて基板位置合わせ精度を評価するために生産開始前精度評価工程を、生産開始後に実生産用の基板、マスクを用いて、生産開始後の基板位置合わせ精度を評価する生産開始後精度評価工程を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にクリーム半田などのペーストを印刷するスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に電子部品を実装する部品実装ラインにおいて、基板上にクリーム半田などの部品接合用のペーストを供給する方法として、スクリーン印刷が用いられている。このスクリーン印刷では、ペーストの印刷部位に対応してパターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させ、マスクプレート上にペーストを供給してスキージを摺動させるスキージング動作を行うことにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷する。このスクリーン印刷においてペーストを正しく印刷するためには、基板をマスクプレートに対して正しく位置合わせする必要がある。
【0003】
この基板位置合わせは、一般に基板およびマスクプレートにそれぞれ設けられた認識マークをカメラによって撮像して位置認識することにより行われる。このとき、基板を撮像する際の座標系とマスクプレートを撮像する際の座標系とは位置基準が異なるため、これらの座標系間の位置関係を特定する位置基準データを求める必要がある。このため従来より、基板とマスクプレートを撮像して座標系間の位置基準データを求めるキャリブレーション処理機能を備えたスクリーン印刷装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献例に示す先行技術では、マスクプレートおよび基板を単一の撮像手段によって撮像する構成において、基板位置決め手段の座標系と撮像手段を移動させる移動手段の座標系との位置ずれ量を、撮像手段で取得した画像データに基づいて求める例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4364333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の基板とマスクプレートとを位置認識のために撮像する撮像部の構成として、マスクプレートの下面を撮像面とする上向きの撮像光軸と、基板の上面を撮像面とする下向きの撮像光軸との2つの撮像光軸を備えた構成が用いられるようになっている。この構成によれば、単一の移動手段によって撮像部を移動させて、基板およびマスクプレートの双方を撮像できるという利点がある。しかしながら、このような構成の撮像部によって基板とマスクプレートの位置認識を行うに際しては、上述構成に起因して、高い印刷位置精度が求められる基板を対象とする場合において以下に述べるような不都合がある。
【0006】
まず、上方向と下方向を撮像対象とする2つの撮像光軸を備えた構成においては、撮像部を構成する光学系を装着する過程での誤差により撮像光軸の指向位置に幾らかの偏差が生じることが避けがたい。このため、撮像部を移動させて上下2方向を撮像する撮像動作において、上方のマスクプレートの撮像面と下方の基板の撮像面とを撮像対象とする場合に、2つの撮像光軸の水平位置には誤差が生じ、正しい位置認識結果が得られない場合が生じる。さらには、撮像部を基板とマスクプレートに対して水平移動させる移動機構に用いられるボールねじなどは局部的な位置誤差を有しており、制御指令よって示される移動目標位置と実際に撮像部が移動する移動完了位置との間には、移動対象位置に応じて固有の位置ずれが存在する。
【0007】
このため、同一装置によって形状やサイズが異なる複数品種の基板を作業対象とする場合には、当該基板における認識マークが形成されている位置によって位置認識結果に誤差を生じる。またマスクプレートにおいても、認識マークは基板の認識マークの位置に対応していることから、位置認識結果において同様の誤差を生じる。そして位置認識結果にこのような誤差が生じたまま基板とマスクプレートとの位置合わせを行うと、パターン孔が基板の印刷部位に正しく一致せず、印刷位置ずれなどの印刷不具合を生じる結果となる。
【0008】
さらに、基板とマスクプレートとの位置合わせ精度の確認のための較正処理にはマシンパラメータの調整などの複雑な操作・処理が必要なことから、従来はこのような基板位置合わせ精度の確認は、装置メーカにおける出荷検査時にのみ行われるのが通例となっていた。このため、生産開始前の点検時にて印刷品質管理上の要請から装置ユーザが基板位置合わせ精度の良否を確認する必要が生じた場合にあっても、基板位置合わせ精度を簡便な方法で確認することが難しく、適切な対処策が望まれていた。
【0009】
そこで上述の従来技術における諸課題に対応するため本発明は、基板とマスクプレートを撮像対象とする2つの撮像光軸を備えた撮像部を水平移動させる構成において、生産開始前の点検時にて基板位置合わせ精度の良否を簡便に確認することができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のスクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向の2つの撮像光軸を有し、前記基板およびマスクプレートにそれぞれ形成された基板認識マークおよびマスク認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、前記撮像部を前記基板およびマスクプレートに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構と、前記マーク撮像動作における撮像結果を認識処理することにより、前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置を検出するマーク認識処理を行う認識処理部と、前記2つの撮像光軸のそれぞれの撮像面である前記マスク下面および基板上面における各撮像光軸の相対位置を、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを前記撮像部によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データとして出力する光軸キャリブレーション処理部と、前記撮像部移動機構による撮像部の移動に起因して前記撮像面において生じる前記撮像光軸の水平方向の位置誤差を、前記基板が保持される基板エリアおよびマスクプレートが装着されるマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に固有の水平方向の位置ずれ量として求め、前記基板エリアおよびマスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する面補正データ作成処理部と、前記撮像部、撮像部移動機構および認識処理部を制御することにより前記マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行させ、さらに前記光軸間相対位置データ、面補正データおよび前記マーク認識処理の結果に基づき前記基板位置決め部を制御して、前記基板と前記マスクプレートとを位置合わせする基板位置合わせ動作を実行させる基板位置合わせ制御部と、前記基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価する精度評価部とを備え、前記精度評価部は、前記基板とマスクプレートとの位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板および検証用のマスクを対象として、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像動作、マーク認識処理および前記基板位置合わせ動作を実行させ、さらに前記基板位置合わせ動作後に、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて前記位置合わせ精度を評価する。
【0011】
本発明のスクリーン印刷方法は、パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、上流側から搬入された基板を基板位置決め部によって保持する基板保持工程と、前記基板に形成された基板認識マークおよびスクリーン印刷部に装着された前記マスクプレートに形成されたマスク認識マークを、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向の2つの撮像光軸を有し、撮像部移動機構によって前記基板およびマスクプレートに対して水平方向に移動する撮像部によって撮像するマーク撮像工程と、前記マーク撮像工程における撮像結果を認識処理部によって認識処理することにより前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置を検出するマーク認識処理工程と、前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置検出結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記基板を前記マスクプレートに位置合わせする基板位置合わせ工程と、パターン孔が設けられペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して前記基板にペーストを印刷するスクリーン印刷工程とを含み、前記マーク撮像工程に先立って、前記2つの撮像光軸のそれぞれの撮像面である前記マスク下面および基板上面における前記撮像光軸の水平方向相対位置を、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを前記撮像部によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データとして出力する光軸キャリブレーション処理工程と、前記撮像部移動機構による前記撮像部の移動に起因して、前記撮像面において生じる前記撮像光軸の水平方向の位置誤差を、前記基板が保持される基板エリアおよびマスクプレートが装着されるマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に水平方向の位置ずれ量として求め、前記基板エリア、マスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する面補正データ作成処理工程とを実行し、さらに前記基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価するために実行される精度評価工程において、前記基板とマスクプレートとの位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板および検証用のマスクを対象として、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像工程、マーク認識処理工程および前記基板位置合わせ工程を実行し、さらに前記基板位置合わせ工程後に前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像工程およびマーク認識処理工程を実行し、このマーク認識処理工程における認識結果に基づいて前記位置合わせ精度を評価する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板に形成された基板認識マークおよびマスクプレートに形成されたマスク認識マークを2つの撮像光軸を備えた撮像部によって撮像するマーク撮像に先立って、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを撮像部によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データとして出力する光軸キャリブレーション処理工程と、撮像部の移動に起因して撮像面において生じる撮像光軸の水平方向の位置誤差を基板エリアおよびマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に固有の水平方向の位置ずれ量として求めて基板エリアおよびマスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する面補正データ作成処理工程とを実行することにより、マーク撮像工程において撮像光軸の水平方向相対位置の誤差を補正するとともに、基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価するために検証用の基板およびマスクを対象として精度評価工程を実行することにより、生産開始前の点検時にて基板位置合わせ精度の良否を簡便に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の側面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の動作説明図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置における基板とマスクプレートの位置合わせの説明図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を示すブロック図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における作業処理を示すフロー図
【図8】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における光軸キャリブレーション処理を示すフロー図
【図9】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における面補正データ作成処理を示すフロー図
【図10】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における生産開始前精度評価処理を示すフロー図
【図11】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における生産開始後精度評価処理を示すフロー図
【図12】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における光軸キャリブレーション処理の工程説明図
【図13】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における光軸キャリブレーション処理の工程説明図
【図14】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における面補正データ作成処理に用いられるキャリブレーション用のガラス基板および治具マスクを示す図
【図15】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における面補正データ作成処理の工程説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1、図2、図3を参照して、スクリーン印刷装置の構造を説明する。図1において、スクリーン印刷装置は、基板位置決め部1の上方にスクリーン印刷部11を配設して構成されている。基板位置決め部1は、上流側から搬入された基板を保持して水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする機能を有し、Y軸テーブル2、X軸テーブル3およびθ軸テーブル4を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル5、第2のZ軸テーブル6を組み合わせて構成されている。
【0015】
第1のZ軸テーブル5の構成を説明する。θ軸テーブル4の上面に設けられた水平なベースプレート4aの上面側には、同様に水平なベースプレート5aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート5aは、複数の送りねじ5cをモータ5bによってベルト5dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。
【0016】
ベースプレート5aには垂直フレーム5eが立設されており、垂直フレーム5eの上端部には基板搬送機構8が保持されている。基板搬送機構8は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設された2条の搬送レールを備えており、これらの搬送レールによって印刷対象の基板10の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル5を駆動することにより、基板搬送機構8によって保持された状態の基板10を、基板搬送機構8とともに後述するスクリーン印刷部に対して昇降させることができる。図2、図3に示すように、基板搬送機構8は上流側(図2、図3において左側)および下流側に延出し、上流側から搬入された基板10は基板搬送機構8によって搬送され、さらに基板位置決め部1によって位置決めされる。そして後述するスクリーン印刷部11によって印刷が行われた後の基板10は、基板搬送機構8によって下流側に搬出される。
【0017】
第2のZ軸テーブル6の構成を説明する。基板搬送機構8とベースプレート5aの中間には、水平なベースプレート6aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート6aは、複数の送りねじ6cをモータ6bによってベルト6dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート6aの上面には、上面に基板10を保持する下受け面が設けられた基板下受け部7が配設されている。
【0018】
第2のZ軸テーブル6を駆動することにより、基板下受け部7は基板搬送機構8に保持された状態の基板10に対して昇降する。そして基板下受け部7の下受け面が基板10の下面に当接することにより、基板下受け部7は基板10を下面側から支持する。基板搬送機構8の上面にはクランプ機構9が配設されている。クランプ機構9は、左右対向して配置された2つのクランプ部材9aを備えており、一方側のクランプ部材9aを駆動機構9bによって進退させることにより、基板10を両側からクランプして固定する。
【0019】
次に基板位置決め部1の上方に配設されたスクリーン印刷部11について説明する。スクリーン印刷部11は、ペーストが供給されたマスクプレート上でスキージを摺動させることにより、パターン孔を介して基板にペーストを印刷する機能を有している。図1,図2において、マスク枠12aにはマスクプレート12が展張されており、マスクプレート12には基板10において印刷対象となる電極10aの形状・位置(図3参照)に対応して、パターン孔12bが設けられている。マスクプレート12上にはスキージヘッド13が配設されており、スキージヘッド13は、水平なプレート14にスキージ16を昇降させるスキージ昇降機構15を配設した構成となっている。スキージ昇降機構15を駆動することによりスキージ16は昇降して、マスクプレート12の上面に当接する。
【0020】
図2に示すように、縦フレーム25上に配置されたブラケット26上にはガイドレール27がY方向に配設されており、ガイドレール27にスライド自在に嵌合したスライダ28は、プレート14の両端に結合されている。これにより、スキージヘッド13はY方向にスライド自在となっている。プレート14は、ナット30、送りねじ29および送りねじ29を回転駆動するスキージ移動用モータ(図示省略)より成るスキージ移動手段によりY方向に水平移動する。縦フレーム25上にはガイドレール31がY方向に配設されており、ガイドレール31にスライド自在に嵌合したスライダ32は、ヘッドX軸テーブル19にブラケット19aを介して結合されている。これにより、ヘッドX軸テーブル19はY方向にスライド自在となっている。
【0021】
図3に示すように、ヘッドX軸テーブル19には、基板10、マスクプレート12を撮像する撮像部17およびマスクプレート12の下面をクリーニングするクリーニング機構18が結合されている。図1に示すように、撮像部17は基板10を撮像する基板認識カメラ17aとマスクプレート12を撮像するマスク認識カメラ17bとを一体に備えた構成となっている。また図3に示すように、クリーニング機構18は水平なユニットベース18aに未使用のクリーニングペーパを巻回したペーパロール18bと、使用済みのクリーニングペーパを巻回したペーパロール18cおよびクリーニングペーパをマスクプレート12の下面に押し付けるクリーニングヘッド18dを配設した構成となっており、ペーパロール18bから引き出されたクリーニングペーパは、クリーニングヘッド18dを経由してペーパロール18cに回収される。
【0022】
ヘッドX軸テーブル19は、ナット34、送りねじ33および送りねじ33を回転駆動するヘッド移動用モータ(図示省略)より成るヘッドY軸移動機構20によりY方向に水平移動する。ヘッドX軸テーブル19,ヘッドY軸移動機構20を駆動することにより、撮像部17、クリーニング機構18はX方向、Y方向へ水平移動し、これにより基板10、マスクプレート12の任意位置の撮像およびマスクプレート12の下面の全範囲をクリーニングすることができる。ヘッドX軸テーブル19およびヘッドY軸移動機構20は、撮像部17を基板10およびマスクプレート12に対して水平方向に移動させる撮像部移動機構21を構成する。
【0023】
次にスクリーン印刷部11による印刷動作について説明する。まず基板搬送機構8によって基板10が印刷位置に搬入されると、第2のZ軸テーブル6を駆動して基板下受け部7を上昇させ、基板10の下面を下受けする。そしてこの状態で基板位置決め部1を駆動して基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする。この後、第1のZ軸テーブル5を駆動して基板10を基板搬送機構8とともに上昇させてマスクプレート12の下面に当接させ、次いで基板10をクランプ機構9によってクランプする。これにより、スキージヘッド13によるスキージングにおいて、基板10の水平位置が固定される。そしてこの状態で、ペーストであるクリーム半田が供給されたマスクプレート12上でスキージ16を摺動させることにより、パターン孔12bを介して基板10にはクリーム半田が印刷される。
【0024】
次に図4を参照して、撮像部17の構成および機能について説明する。図4(a)(イ)に示すように、ヘッドX軸テーブル19に結合された撮像部17は、上方向の撮像光軸a2を有するマスク認識カメラ17bと下方向の撮像光軸a1を有する基板認識カメラ17aとを、平面視してY方向に並列にヘッドX軸テーブル19に沿って配置した構成となっている。撮像光軸a1,a2の方向からそれぞれ入射する撮像孔は、光学系17cによって導かれて、それぞれ基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bに入射する。これにより、基板10に形成された基板認識マークおよびマスクプレート12に形成されたマスク認識マークを撮像する。そしてこれらの撮像結果を認識処理して取得された基板認識マーク、マスク認識マークの位置検出結果に基づいて、基板10とマスクプレート12との相対位置を正しく合わせる位置合わせ動作が実行される。
【0025】
すなわち、撮像部17は撮像部移動機構21によって移動して、撮像方向がそれぞれ下方向および上方向の2つの撮像光軸a1,a2を有し、基板10およびマスクプレート12にそれぞれ形成された基板認識マークおよびマスク認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う。そして本実施の形態においては、撮像部17は撮像面を上下逆方向に向けた姿勢の2つの撮像カメラ、すなわち基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bを平面視して並列に配置して構成されている。なお、撮像部17としては必ずしも2つの撮像カメラを備える必要はなく、図4(a)(ロ)に示すように、撮像方向がそれぞれ下方向および上方向の2つの撮像光軸a1,a2を有する単一の撮像カメラ17dを備えた構成でもよい。
【0026】
撮像部17によるマーク撮像動作においては、図4(b)に示すように、撮像部17とクリーニング機構18とを一体的に、基板位置決め部1に保持された基板10とマスクプレート12との間に進出させる(矢印b)。そしてこの状態で、基板認識カメラ17aによって下方の基板10の撮像を、マスク認識カメラ17bによって上方のマスクプレート12の撮像を行う。前述の基板10とマスクプレート12との位置合わせを目的とした基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによる撮像においては、2つの撮像カメラの光学座標系の相対位置関係、換言すればそれぞれの撮像面における撮像光軸の相対距離が、予め設計寸法上で示される規定寸法であることが求められる。
【0027】
しかしながら、撮像光軸a1、a2はいずれも正確に垂直方向に指向されているとは限らず、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17b固有の光軸誤差や基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの装着姿勢の誤差などに起因して、図4(c)に示すように、正確な垂直線方向からわずかに傾いている場合がある。このような要因により、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの2つの撮像光軸a1,a2のそれぞれの撮像面における相対距離は、設計寸法上で示される規定寸法Dとは異なる相対距離D*となる。すなわち、撮像光軸a1の基板10上面における位置を示す撮像点P1と撮像光軸a2のマスクプレート12下面における位置を示す撮像点P2との間の相対距離D*が、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bそれぞれの光学座標系の相対位置関係を示す光軸間相対位置データとなる。本実施の形態においては、基板10とマスクプレート12との位置合わせを高精度で行うことができるよう、後述する方法によって、光軸間相対位置データを実測によって求めるようにしている。
【0028】
次に図5を参照して、マスクプレート12と基板10の位置合わせについて説明する。図5(a)に示すように、印刷対象の基板10には、対角に位置して1対の認識マーク10m(基板認識マーク)が形成されておりマスク枠12aに展張されたマスクプレート12において基板10に対応する基板領域12dには、同様に対角に位置して1対の認識マーク12m(マスク認識マーク)が形成されている。基板位置決め部1を駆動して基板10をマスクプレート12に対して位置合わせする際には、2つの認識マーク10mの中点である基板中心点10cと、2つの認識マーク12mの中点であるマスク中心点12cを一致させるとともに、2つの認識マーク10mを結ぶ対角線と2つの認識マーク12mを結ぶ対角線の方向が一致するように、基板10の位置を調整する。
【0029】
すなわち、図5(b)に示すように、基板中心点10cとマスク中心点12cとの平面内での位置ずれ量を示すΔx、Δyおよび2つの対角線のなすずれ角度αを極力小さくするように、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによる認識マーク10m、12mの位置検出結果に基づいて行われる。なお、後述する光軸キャリブレーション処理に使用される治具マスク12Aおよびクランプ部材9aには、図5(a)に示すように、光軸間相対位置測定に用いられる認識孔12e、認識孔9eが、平面視して同一位置となる位置にそれぞれを貫通して設けられている。認識孔12e、認識孔9eは、上述の光軸間相対位置データを実測によって求める際の参照マークとして用いられる(図12、図13参照)。なお、実生産用のマスクプレート12に認識孔12eを形成することにより、治具マスク12Aとして用いてもよい。
【0030】
次に図6参照して、制御系の構成を説明する。図6において、演算処理部40はCPUであり、記憶部41のプログラム記憶部42に記憶された各種の動作・処理プログラムを、演算処理部40がデータ記憶部43に記憶された各種のデータに基づいて実行することにより、以下に説明する各部が制御される。これにより、スクリーン印刷部11によるスクリーン印刷作業や、印刷作業にともなって必要とされる各種の処理が実行される。
【0031】
これらの作業・処理においては、演算処理部40によって機構駆動部44を制御することにより、基板搬送機構8、基板位置決め部1、スクリーン印刷部11および撮像部移動機構21が駆動される。さらに、認識処理部45によって、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの撮像結果を認識処理することにより、以下に説明する各処理における基板10、マスクプレート12の認識マーク10m、12mの位置検出が行われ、さらに光軸キャリブレーション処理における参照マーク、面補正データ作成処理における参照点の位置検出が行われる。すなわち認識処理部45は、マーク撮像動作における撮像結果を認識処理することにより、認識マーク10m(基板認識マーク)および認識マーク12m(マスク認識マーク)の位置を検出するマーク認識処理を行う。
【0032】
操作・入力部47はキーボードやタッチパネルスイッチなどの入力手段であり、装置稼働のための操作コマンドや各種のデータ入力を行う。表示部48は液晶パネルなどの表示パネルであり、操作・入力部47による入力時の案内画面のほか、後述する各処理における教示画面、すなわち基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによって基板10、マスクプレート12を撮像した画面上で位置のティーチングを手動で行う際の操作画面を表示する。教示処理部46は操作・入力部47を介しての手動入力操作に基づき、上述のティーチングのためのデータ処理を行う。
【0033】
プログラム記憶部42にはスクリーン印刷実行プログラム42a、光軸キャリブレーション処理プログラム42b、面補正データ作成プログラム42c、基板位置合わせ制御処理プログラム42d、精度評価処理プログラム42eが記憶されている。またデータ記憶部43には光軸間相対位置データ43a、面補正データ43b、精度評価データ43cが記憶されている。演算処理部40がスクリーン印刷実行プログラム42aを実行することにより、スクリーン印刷部11によるスクリーン印刷作業が実行される。また演算処理部40が、光軸キャリブレーション処理プログラム42b、面補正データ作成プログラム42c、基板位置合わせ制御処理プログラム42d、精度評価処理プログラム42eの各プログラムをそれぞれ実行することにより実現される機能は、以下に説明する光軸キャリブレーション処理部、面補正データ作成処理部、基板位置合わせ制御部、精度評価部をそれぞれ構成する。
【0034】
以下これら各部の機能について説明する。まず光軸キャリブレーション処理部は、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの撮像光軸a1,a2のそれぞれの撮像面である基板10上面およびマスクプレート12下面における各撮像光軸a1,a2の相対位置(図4(c)に示す相対距離D*参照)を検出して、光軸間相対位置データとして出力する処理を行う。ここでは、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを撮像部17の基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによって個別に撮像することにより、撮像光軸a1,a2の相対位置を検出するようにしている。そしてこの相対位置の検出は、相対位置が関連づけられた2つの参照マーク(図5(a)に示す認識孔9e、認識孔12e)を個別に撮像した教示画面上において、2つの撮像光軸a1,a2を手動操作で認識孔9e、認識孔12eに個別に合わせる教示操作により行われる。出力されたデータは、データ記憶部43に光軸間相対位置データ43aとして記憶される。基板位置合わせ動作において、光軸間相対位置データ43aを用いて補正することにより、実際の光軸間相対位置が設計データ上の数値と異なることによる位置合わせ誤差が補正される。
【0035】
面補正データ作成処理部は、撮像部移動機構21による撮像部17の移動に起因して、撮像面において生じる撮像光軸a1,a2の水平方向の位置誤差を、基板10が保持される基板エリア(ここでは基板位置決め部1に面補正用に保持されるガラス基板10B)およびマスクプレート12が装着されるマスクエリア(ここではマスク枠12aに面補正用に装着される治具マスク12B)にそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に固有の水平方向の位置ずれ量として求め、基板エリアおよびマスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する処理を行う。出力されたデータは、データ記憶部43に面補正データ43bとして記憶される。基板位置合わせ動作において、面補正データ43bを用いて補正することにより、撮像部移動機構21の局地的な駆動誤差に起因して生じる撮像部17による位置検出誤差を補正することができる。
【0036】
上述の光軸キャリブレーション処理、面補正データ作成処理においては、治具マスク(図5に示す治具マスク12A)およびクランプ部材9aに形成された参照マーク(認識孔12e、認識孔9e)、キャリブレーション用の基板、キャリブレーション用のマスク(図14に示すガラス基板10B、治具マスク12B)に設定された参照点10r、12rを基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによって個別に撮像した画像を表示部48に教示画面上に表示し、撮像光軸a1,a2を手動操作でこれらの参照マークや参照点に個別に合わせる教示操作によって行われる。
【0037】
すなわち、表示部48に表示された表示画面上で、オペレータが操作・入力部47によってティーチング操作を行うことにより、教示処理部46によって上述の参照マークや参照点の位置が教示される。これにより、各参照点の当該光学座標系における原点からの位置、すなわち位置ずれ量が検出される。すなわち面補正データ作成処理部は、参照点を撮像した教示画面上において、2つの撮像光軸a1、a2をこれらの参照点に手動操作で個別に合わせる教示操作により、各参照点毎に位置ずれ量を検出する。
【0038】
基板位置合わせ制御部は、撮像部17、撮像部移動機構21および認識処理部45を制御することにより、基板10に形成された認識マーク10m、マスクプレート12に形成された認識マーク12mを撮像するマーク撮像動作およびこのマーク撮像動作における撮像結果を認識処理することにより、認識マーク10mおよび認識マーク12mの位置を検出するマーク認識処理を実行させ、さらにデータ記憶部43に記憶された光軸間相対位置データ43a、面補正データ43bおよびマーク認識処理の結果に基づき基板位置決め部1を制御して、基板10とマスクプレート12とを位置合わせする基板位置合わせ動作を実行させる。
【0039】
精度評価部は、基板位置合わせ動作における基板位置合わせ精度を評価するための処理を行う。本実施の形態においては、精度評価処理の態様として、生産開始に先立って、基板位置合わせ精度を評価する生産開始前精度評価処理、生産開始後に生産継続中の任意の時点において、基板位置合わせ精度を評価する生産開始後精度評価処理、これらの精度評価処理によって取得されたデータを統計的に処理して、当該装置の工程能力指数を求める統計演算処理の3種類の処理が含まれている。
【0040】
まず生産開始前精度評価処理では、当該スクリーン印刷装置による生産開始に先立って、基板10とマスクプレート12との基板位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板および検証用のマスクを対象として、前述のマーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行させる。ここで検証用の基板および検証用のマスクとしては、前述のガラス基板10B、治具マスク12Bと同様のものが用いられる。すなわち検証用の基板、検証用のマスクを対象として、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正して、前述のマーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行させ、次いで上述の基板位置合わせ動作後に、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正して再度マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて、生産開始前の状態における位置合わせ精度を評価する。そしてこの精度評価のための動作処理を反復実行することにより、繰り返し位置合わせ精度の確認が行えるようになっている。
【0041】
そして生産開始後精度評価処理では、当該スクリーン印刷装置による生産開始後に、実生産用の基板10およびマスクプレート12を対象として、前述のマーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行させる。すなわち基板10、マスクプレート12を対象として、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正してマーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行させ、次いで基板位置合わせ動作後に、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正してマーク撮像動作およびマーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて、生産開始後の状態における位置合わせ精度を評価する。
【0042】
本実施の形態においては、上述の生産開始後精度評価処理において、予め設定された所定枚数の基板10を対象として、スクリーン印刷動作の前後にこの精度評価のための動作処理を反復実行するようにしている。これにより、繰り返し位置合わせ精度の確認に加えて、スクリーン印刷動作を実行することによる基板位置合わせ精度への影響を評価することができる。
【0043】
そして統計演算処理では、生産前精度評価処理、生産後精度評価処理のそれぞれにおいて位置ずれ計測を複数回反復実行して取得された複数の位置合わせ精度データ、すなわち図5(b)に示す複数組の位置ずれ量Δx、Δyおよびずれ角度αを統計処理することにより、当該装置の基板位置合わせにおける精度管理レベルを示す工程能力指数Cpkを演算する。これらの位置合わせ精度データおよび演算された工程能力指数Cpkは、データ記憶部43に精度評価データ43cとして記憶される。すなわち前述の精度評価部は、位置合わせ精度を示す評価データを複数回取得し、これら複数の評価データを統計処理することにより、当該スクリーン印刷装置における基板位置合わせ精度の工程能力指数Cpkを算出する統計演算処理部を有する形態となっている。これにより、当該スクリーン印刷装置の基板位置合わせにおける精度レベルを、常に定量的に把握することが可能となっている。
【0044】
次に、図7以下の各図を参照して、スクリーン印刷における作業処理について説明する。まず、図7を参照して、本実施の形態に示すスクリーン印刷装置によるスクリーン印刷作業処理の全体フローについて説明する。まず最初に、治具マスク12A(図5(a))を用いて面補正データ作成プログラム42cを実行することにより、光軸キャリブレーション処理を実行し、光軸間相対位置データ43aを取得してデータ記憶部43に記憶する(ST1)。次いで、ガラス基板10B、治具マスク12B(図14)を用いて面補正データ作成プログラム42cに基づいて面補正データ作成処理を実行し、面補正データ43bを取得してデータ記憶部43に記憶する(ST2)。これにより、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの撮像において、撮像光軸a1、a2の相対位置の誤差に起因する位置決め誤差、撮像部移動機構21の駆動誤差に起因する局所的な位置決め誤差を補正することが可能になる。
【0045】
次に、生産開始前精度評価処理が実行される(ST3)。この処理は、基板位置合わせ制御処理プログラム42dを用いて実行される基板位置合わせ動作において、光軸間相対位置データ43a、面補正データ43bを用いることにより、所期の繰り返し位置合わせ精度が確保されることを検証する目的で実行されるものであり、ユーザにて検証用の基板および検証用のマスク(ここではガラス基板10B、治具マスク12B)を使用して行われる。そして生産開始前精度評価処理にて、所期の繰り返し位置合わせ精度が確保されていることが検証されたならば、実生産用の基板10を対象としてマスクプレート12を用いたスクリーン印刷作業が開始される(ST4)。
【0046】
このスクリーン印刷作業においては、まず上流側から搬入された基板10を基板位置決め部1によって保持する(基板保持工程)。次いで基板10に形成された認識マーク10mおよびスクリーン印刷部11に装着されたマスクプレート12に形成された認識マーク12mを、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向の2つの撮像光軸a1,a2を有し、撮像部移動機構21によって基板10およびマスクプレート12に対して水平方向に移動する撮像部17によって撮像する(マーク撮像工程)。そしてマーク撮像工程における撮像結果を認識処理部45によって認識処理することにより、認識マーク10mおよび認識マーク12mの位置を検出する(マーク認識処理工程)。
【0047】
次いで認識マーク10mおよび認識マーク12mの位置検出結果に基づいて基板位置決め部1を制御することにより、基板10をマスクプレート12に位置合わせする(基板位置合わせ工程)。そしてパターン孔12bが設けられペーストが供給されたマスクプレート12上でスキージ16を摺動させることにより、パターン孔12bを介して基板10にペーストを印刷する(スクリーン印刷工程)。そしてこのスクリーン印刷作業は、複数の基板10を対象として反復して実行される。
【0048】
このようにスクリーン印刷作業を継続して実行する過程において、生産開始後精度評価処理を実行する(ST5)。この処理は、生産開始前精度評価処理にて検証された所期の繰り返し位置合わせ精度が、生産継続中においてもなお維持されていることを検証する目的で、実生産用の基板10およびマスクプレート12を用いて所定のインターバルで実行されるものである。そしてこの生産開始後精度評価処理において、所期の繰り返し位置合わせ精度が維持されていることが確認されたならば、スクリーン印刷作業が継続される(ST6)。
【0049】
次に、上述の全体フローにおいて実行される各処理の詳細について説明する。まず最初に、図7において(ST1)示す光軸キャリブレーション処理の詳細フローを、図8、図12、図13を参照して説明する。この処理は、上述のスクリーン印刷作業におけるマーク撮像工程に先立って実行されるものであり、ここでは、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの撮像光軸a1,a2のそれぞれの撮像面である基板上面およびマスク下面における撮像光軸a1,a2の水平方向相対位置を、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを撮像部17によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データ43aとして出力する(光軸キャリブレーション処理工程)。
【0050】
まず図12(a)に示すようにマスク枠12aにキャリブレーション用の治具マスク12Aを装着する(ST11)。治具マスク12Aには、図5(a)に示すように、クランプ部材9aに設けられた認識孔9eの位置に対応して認識孔12eが設けられている。次いで図12(b)に示すように、撮像部17を進出させて(矢印c)クランプ部材9aに設けられた認識孔9eを基板認識カメラ17aで撮像する(ST12)。この後、撮像部17を基板位置決め部1の上方から退避させた後、クランプ部材9aを基板下受け部7とともに上昇させて、マスクプレート12に密着させ(ST13)、この状態で、図12(c)に示すように、マスクプレート12に設けられた認識孔12eとクランプ部材9aに設けられた認識孔9eとを、これらにクランプピン35を挿通させることによって位置合わせする(ST14)。この後、図12(d)に示すように、マスククランプシリンダ36を作動させて(矢印d)、マスク枠12aを上方から押さえつけてマスクプレート12を固定する(ST15)。これにより、マスクプレート12に設けられた認識孔12eの位置も固定される。
【0051】
この後、クランプピン35を認識孔12e、認識孔9eから抜去した後、クランプ部材9aを基板下受け部7とともに下降させる(ST16)。そして図12(a)に示すように、撮像部17を進出させて認識孔12eをマスク認識カメラ17bで撮像する(ST17)。基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによる撮像結果は認識処理部45によって認識処理され、これにより認識孔9e、認識孔12eの位置が検出される。そして認識孔9eの位置検出結果と認識孔12eの位置検出結果に基づき、基板認識カメラ17aの撮像光軸a1とマスク認識カメラ17bの撮像光軸a2との相対位置関係を確認する(ST18)。
【0052】
図13は、上述の光軸キャリブレーション処理における光軸間相対位置データ43aの取得方法を説明するものである。すなわち、クランプピン35を抜去した後の状態を示す図12(e)においては、図13(a)に示すように、マスクプレート12の認識孔12eとクランプ部材9aの認識孔9eとは、それぞれの中心点C1,C2の平面位置が一致したアライメント状態(アライメント線AL参照)にある。
【0053】
そして図13(b)に示すように、基板認識カメラ17aの撮像光軸a1の撮像点P1を認識孔9eの中心点に一致させて位置を認識し、その後に図13(c)に示すように、それぞれの中心点C1,C2の平面位置が一致したアライメント状態において、マスク認識カメラ17bの撮像光軸a2の撮像点P2を認識孔12eの中心点に一致させて位置を認識することにより、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bのそれぞれの光学座標系の相対位置関係、すなわちそれぞれの撮像面における撮像光軸a1,a2の水平方向相対位置を検出することができる。これにより、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの2つの個別の光学座標系によって検出した位置認識結果を共通の座標系における位置として求めることができ、これら光学座標系間の位置関係の不良に起因する位置検出誤差を補正することが可能となっている。
【0054】
なお、本実施の形態に示す例では、2つの参照マークとしてクランプ部材9a、治具マスク12Aにそれぞれ設けられた認識孔9e、認識孔12eを用い、これらの相対位置を関連づける方法として、クランプピン35をこれらに挿通させる方法を用いているが、2つの参照マークの形態としては、これら2つの参照マークの相対関係が何らかの手段によって関連づけられていれば、本実施の形態に示す例以外の構成の参照マークを用いてもよい。
【0055】
次に、図7において(ST2)にて示す面補正データ作成処理の詳細フローを、図9、図14,図15を参照して説明する。この面補正データ作成処理は、上述のスクリーン印刷作業におけるマーク撮像工程に先立って実行されるものであり、ここでは撮像部移動機構21による撮像部17の移動に起因して撮像面において生じる撮像光軸a1,a2の水平方向の位置誤差を、基板が保持される基板エリアおよびマスクプレートが装着されるマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に固有の水平方向の位置ずれ量として求め、基板エリアおよびマスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する(面補正データ作成処理工程)。
【0056】
この面補正データ作成処理においては、図14に示すガラス基板10B、治具マスク12Bが用いられる。図14(a)に示すように、ガラス基板10Bは作業対象となる実生産用の基板10と同様の外径寸法を有しており、基板10と同様の認識マーク10mが設けられている。さらにガラス基板10Bには、基板エリア内を撮像部17が撮像部移動機構21によって移動する際に、撮像部移動機構21の局所的な駆動誤差に起因して生じる位置ずれを補正する面補正を行うための参照点10rが、ピッチpx、pyの格子線の各交点に設定されている。
【0057】
面補正データ作成においては、撮像部移動機構21によって基板認識カメラ17aを移動させながらこれらの参照点10rを撮像して位置を検出することにより、基板認識カメラ17aの光学座標系における位置と実際の位置とを補正する面補正データを求める。ここで、ガラス基板10Bの製作過程において不可避的に生じる参照点10rの位置誤差が面補正データの信頼度を低下させることを防止するため、本実施の形態においては、ガラス基板10Bの製作メーカにおいて、各参照点10rの正規位置である格子点Cijからの位置ずれ誤差を示すβij(x)、βij(y)を予め精密に測定した結果を、各ガラス基板10B固有のIDデータであるシリアル番号毎に較正データとして作成し、ガラス基板10Bに添付するようにしている。
【0058】
図14(b)は、マスクプレート12を認識するマスク認識カメラ17bの面補正データを作成するために用いられる治具マスク12Bを示している。治具マスク12Bにおいて、ガラス基板10Bに対応する範囲を示す基板領域12d内には、図14(a)に示すガラス基板10Bにおける認識マーク10m、参照点10rと同様に、認識マーク12mおよび参照点12rが設けられている。面補正データ作成においては、撮像部移動機構21によってマスク認識カメラ17bを移動させながらこれらの参照点12rを撮像して位置を検出することにより、マスク認識カメラ17bの光学座標系における位置と実際の位置とを補正する面補正データを求める。
【0059】
治具マスク12Bにも、ガラス基板10Bにおける参照点10rについての較正データと同様に、各治具マスク12B固有のIDデータであるシリアル番号毎に較正データが作成され、治具マスク12Bに添付される。そして基板エリア、マスクエリアを対象とした面補正データの作成に際しては、これらの較正データを加味することにより、ガラス基板10B、治具マスク12Bにおける参照点10r、12rの位置ずれ誤差による影響を排除するようにしている。すなわち、面補正データ作成処理工程においては、キャリブレーション用のガラス基板10Bおよびキャリブレーション用の治具マスク12Bのいずれかまたは双方について、各参照点10r、12rの正規位置からの位置ずれを予め測定した較正データを加味して、面補正データを作成するようにしている。
【0060】
図9において、まずキャリブレーション用のガラス基板10Bを基板位置決め部1に保持させるとともに、キャリブレーション用の治具マスク12Bを装着する(ST21)。すなわち、基板エリアには参照点が規則配列で形成されたキャリブレーション用のガラス基板10Bが保持され、マスクエリアには参照点が規則配列で形成されたキャリブレーション用の治具マスク12Bが装着される。次いでガラス基板10Bと治具マスク12Bの固有測定データすなわち当該ガラス基板10B、治具マスク12Bに添付されている較正データを当該ガラス基板10B、治具マスク12Bのシリアル番号に基づき選択する(ST22)。
【0061】
ここで、当該ガラス基板10Bと治具マスク12Bのシリアル番号は既に登録済みか否かを判断する(ST23)。ここで、まだ登録がなされていない場合には、当該ガラス基板10Bと治具マスク12Bの固有測定データである較正データを読み込み、当該ガラス基板10Bと治具マスク12Bのシリアル番号を登録する(ST24)。これにより、ガラス基板10B.治具マスク12Bを対象としたティーチ処理が可能な状態となる。
【0062】
まず最初に、基板側のティーチ処理を実行する(ST25)。すなわち、図15(a)に示すように、撮像部移動機構21によって基板認識カメラ17aをガラス基板10Bの上方で移動させ、基板正面10dを撮像する。このとき、図15(b)に示すように、参照点10rが形成された格子線に沿って基板認識カメラ17aの撮像視野Aを移動させ(矢印f)、これらの参照点10rを撮像した教示画面を表示部48(図6)に表示させる。これにより、図15(c)に示す教示画面が表示部48の表示パネル48aに表示される。このとき、制御データ上での当該参照点10rの位置に撮像光軸a1を移動させた状態で撮像した画面における参照点10rの位置と光学座標系の原点O(撮像光軸a1の位置に相当)とは、撮像部移動機構21の駆動誤差に起因して必ずしも一致せず、駆動誤差に相当する位置ずれ量δx、δyだけ位置ずれしている。
【0063】
このような位置ずれ量δx、δyを検出するため、オペレータは参照点10rの位置を教示するティーチング操作を行う。すなわち操作・入力部47を操作することにより、この教示画面上において光学座標系の原点Oを教示画面上の参照点10rに一致させるよう、撮像部移動機構21を微動させる。これにより、教示処理部46は撮像部移動機構21の微動量を位置ずれ量δx、δyとして検出する。そしてこのティーチング操作をガラス基板10Bの全ての参照点10rについて実行することにより、基板側のティーチ処理が完了する。次いで、同様に、マスク側のティーチ処理を実行する(ST26)。ここでは撮像部移動機構21によってマスク認識カメラ17bを治具マスク12Bの下方で移動させ、マスク下面を撮像することにより、上述説明と同様に、オペレータは治具マスク12Bに格子配列で設定された参照点12rの位置を教示するティーチング操作を行う。
【0064】
このようにして、基板側、マスク側のティーチ処理が完了したならば、ティーチ結果を表示部48に画面表示する(ST27)。そしてオペレータは、表示されたティーチ結果の数値の適否を確認する(ST28)。ここで(ST28)にてティーチ結果の数値が適当でないと判断された場合には、(ST25)以降の処理を(ST28)にて適と判断されるまで反復実行する。そして(ST28)にてティーチ結果が適と判断された場合には、ティーチ結果を基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの面補正データ43bとして出力し、データ記憶部43に記憶させて登録する(ST30)。この後、ガラス基板10Bおよび治具マスク12Bを取り外し(ST31)、面補正データ作成のためのティーチ処理を終了する(ST32)。
【0065】
このように、光軸間相対位置データ43aを求めて記憶させることにより、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの装着位置ずれや、撮像光軸a1、撮像光軸a2の傾きなどに起因して生じる光軸間相対距離の誤差に起因する基板10とマスクプレート12との位置合わせ誤差を補正することができる。また面補正データ43bを求めて記憶させることにより、撮像部移動機構21を構成する直動機構の局部的な機構誤差に起因する基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bによる位置認識誤差を補正することができる。したがって、サイズの異なる基板10を対象とし、位置合わせの基準となる認識マークの位置が基板毎に異なる場合にあっても、常に認識マークの位置を高精度で検出することができ、基板10とマスクプレート12との位置合わせ精度を向上させることが可能となっている。
【0066】
次に図7において(ST3)示す生産開始前精度評価処理の詳細フローを、図10を参照して説明する。この生産開始前精度評価処理は、前述のスクリーン印刷作業の生産開始前に、基板位置合わせ動作における位置合わせ精度、特に同一動作を反復実行する際の繰り返し位置決め精度を評価するために実行されるものである。
【0067】
ここでは、基板とマスクプレートとの位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板としてのガラス基板10Bおよび検証用のマスクとしての治具マスク12Bを対象として、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正してマーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行させる。次いで基板位置合わせ動作後に、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて、撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正してマーク撮像動作、マーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて、生産開始前の状態における基板位置合わせ精度を評価する(生産開始前精度評価処理工程)。
【0068】
図10において、まず精度検証用のガラス基板10Bを基板位置決め部1に保持させるとともに、精度検証用の治具マスク12Bをマスク枠12aに装着する(ST41)。ここで、精度検証用には、面補正データ作成処理に用いたものと同様のガラス基板10B、治具マスク12Bが用いられ、当該ガラス基板10Bと治具マスク12Bの固有測定データ、すなわち当該ガラス基板10Bと治具マスク12Bに添付されている較正データを読み出す(ST42)
【0069】
次に撮像部17を進出させて、ガラス基板10Bの認識マーク10mおよび治具マスク12Bの認識マーク12mをそれぞれ撮像し、位置を検出する(ST43)。そして、この位置検出結果に、面補正データ43b、および当該ガラス基板10B、治具マスク12Bの固有測定データを加味した位置合わせ補正量に基づいて、ガラス基板10Bと治具マスク12Bとを位置合わせする基板位置合わせ動作を実行する(ST44)。これにより、図5(b)に示す位置ずれ量Δx、Δy、ずれ角度αが極力小さくなるよう、基板位置合わせが実行される。
【0070】
この後、基板位置合わせ結果を精度的に評価するための測定が行われる。すなわち、撮像部17を再度進出させて、ガラス基板10Bの認識マークおよび治具マスク12Bの認識マークをそれぞれ撮像し、基板位置合わせ精度を計測する(ST45)。ここで上述の基板位置合わせ動作および基板位置合わせ精度計測は、装置信頼性を確認するCpk値を取得することを目的として、あらかじめ設定された所定回数だけ反復して実行される。
【0071】
すなわち、(ST43)〜(ST45)の動作処理が反復実行され、(ST46)にて基板位置合わせ動作および基板位置合わせ精度計測を所定回数反復実行完了か否かを判断する。(ST46)にて実行完了と判断された場合には、計測結果を統計処理し、Cpk値を取得する(ST47)。ここでCpk値は、生産管理手法として一般に用いられる周知の指標値であり、図5(b)に示す位置合わせ精度データとしての位置ずれ量Δx、Δy、ずれ角度αのそれぞれを対象として算出され、それぞれについて予め設定された規格幅を、それぞれの計測データについて求められた6σ(σ:標準偏差)で除した値で定義される。
【0072】
ここで取得したCpk値の測定結果を画面表示して適否を確認し(ST48)、否と判断されたならば、再測定を実行する(ST49)。この場合には、(ST43)以下の動作処理を反復実行する。そして(ST48)にて適と判断された場合には、取得されたCpk値を出力し、登録する(ST50)。
【0073】
この後、ガラス基板および治具マスクを取り外し(ST51)、生産開始前精度評価処理を終了する(ST52)。
【0074】
次に図7において(ST5)にて示す生産開始後精度評価処理の詳細フローを図11を参照して説明する。この生産開始後精度評価処理は、前述のスクリーン印刷作業において生産開始後に位置合わせ精度、特に同一基板を対象として同一動作を反復実行する場合の繰り返し位置合わせ精度を評価するために実行されるものである。
【0075】
ここでは、実生産用の基板10およびマスクプレート12を対象として、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正して、マーク撮像動作、マーク認識処理および基板位置合わせ動作を実行する。次いで基板位置合わせ動作後に、光軸間相対位置データ43aおよび面補正データ43bに基づいて撮像部移動機構21による撮像部17の移動動作を補正してマーク撮像動作およびマーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて、生産開始後の状態における前記基板位置合わせ精度を評価する。
【0076】
図11において、まず精度評価の対象となる基板枚数を設定入力する(ST61)。この基板枚数は当該基板に求められる品質信頼性の程度に応じて、経験的に個別に設定される。次いで実生産用のマスクプレート12をマスク枠12aに装着する(ST62)。次いで当該基板を対象としてスクリーン印刷を実行するための印刷データを読み出す(ST63)。そして実生産用の基板10を当該装置に搬入して、基板位置決め部1に保持させる(ST64)。次いで撮像部17を進出させて、基板10の認識マーク10mおよびマスクプレート12の認識マーク12mをそれぞれ撮像し、位置を検出する(ST65)。
【0077】
そして、この位置検出結果に、光軸間相対位置データ43a、面補正データ43bを加味した位置合わせ補正量に基づいて、基板10とマスクプレート12とを位置合わせする基板位置合わせ動作を実行する(ST66)。この後、基板位置合わせ結果を精度的に評価するための測定が行われる。すなわち、撮像部17を再度進出させて基板10の認識マーク10mおよびマスクプレート12の認識マーク12mをそれぞれ撮像し、基板位置合わせ精度を計測する(ST67)。
【0078】
この後、スクリーン印刷動作が実行される。すなわち、基板10をマスクプレート12の下面に当接させ、スキージ16をマスクプレート12上で摺動させることにより、基板10にクリーム半田を印刷するスクリーン印刷動作を実行する(ST68)。次いで、基板10をマスクプレート12の下面から離隔させる版離れ動作を実行する(ST69)。これにより、1枚の基板10を対象としたスクリーン印刷動作が完了する。
【0079】
この後、スクリーン印刷動作実行後の基板位置合わせ結果を精度的に評価するための測定が行われる。すなわち、撮像部17を再度進出させて、基板10の認識マーク10mおよびマスクプレート12の認識マーク12mをそれぞれ撮像し、基板位置合わせ精度を計測する(ST70)。そしてスクリーン印刷後の基板10を基板位置決め部1から下流へ搬出する(ST71)。
【0080】
ここで、設定された枚数の基板について精度評価が完了したか否かを判断する(ST72)。ここで未完了の場合には(ST64)に戻って新たな基板10を搬入し、同様の動作処理を反復実行する。そして(ST72)にて精度評価完了が確認されたならば、計測結果を統計処理してCpk値を取得し、精度評価結果を表示部48に表示する(ST73)。ここで求められるCpk値は、生産前精度評価処理におけるものと同様である。そして表示された評価結果をオペレータによって良否を判断し(ST74)、良と判断された場合にはそのまま生産を継続する(ST75)。そして評価結果が不良の場合には、生産を中止し(ST76)、不良是正のための方策を実施する。
【0081】
すなわち、この生産開始後精度評価工程においては、評価対象となる一の基板10を対象とするスクリーン印刷工程の前および後に、マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行する様にしている。これにより、スクリーン印刷動作の実行が基板位置決め精度に及ぼす影響を実証的に評価することができる。
【0082】
上記説明したように、本実施の形態に示すスクリーン印刷では、基板10およびマスクプレート12の位置合わせにおいて認識マーク10m、認識マーク12mの位置を検出するために実行されるマーク撮像工程に先立って、基板認識カメラ17a、マスク認識カメラ17bの撮像光軸a1,a2水平方向相対位置を検出して光軸間相対位置データ43aとして出力する光軸キャリブレーション処理工程と、撮像部移動機構21による撮像部17の移動に起因して生じる撮像光軸a1,a2の局地的な位置ずれを検出して面補正データ43bとして出力する面補正データ作成処理工程とを実行する。そして生産開始前に検証用の基板および検証用のマスクを用いて、基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価するために生産開始前精度評価工程を実行し、さらに生産開始後に実生産用の基板10、マスクプレート12を用いて、生産開始後の状態における基板位置合わせ精度を評価する生産開始後精度評価工程を実行するようにしている。
【0083】
これにより、基板10とマスクプレート12を撮像対象とする2つの撮像光軸a1,a2を備えた撮像部17を水平移動させる構成において、撮像光軸a1,a2の相対位置の誤差や撮像部17の異同における駆動誤差に起因して局部的に生じる位置誤差を適正に補正して、基板位置合わせ精度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法は、基板とマスクプレートを撮像対象とする2つの撮像光軸を備えた撮像部を水平移動させる構成において、撮像光軸の相対位置の誤差や撮像部の移動に起因して生じる位置誤差を適正に補正して基板位置合わせ精度を向上させることができるという特徴を有し、基板にクリーム半田や導電性ペーストなどのペーストを印刷するスクリーン印刷の分野に有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 基板位置決め部
7 基板下受け部
8 基板搬送機構
9a クランプ部材
9e 認識孔
10 基板
10B ガラス基板
10r 参照点
10m 認識マーク
11 スクリーン印刷部
12 マスクプレート
12A、12B 治具マスク
12b パターン孔
12e 認識孔
12r 参照点
12m 認識マーク
13 スキージヘッド
16 スキージ
17 撮像部
17a 基板認識カメラ
17b マスク認識カメラ
21 撮像部移動機構
a1,a2 撮像光軸
D* 相対距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
上流側から搬入された基板を保持して相対的に水平方向および上下方向に移動させることにより所定位置に位置決めする基板位置決め部と、
ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより前記パターン孔を介して基板にペーストを印刷するスクリーン印刷部と、
撮像方向がそれぞれ上方向および下方向の2つの撮像光軸を有し、前記基板およびマスクプレートにそれぞれ形成された基板認識マークおよびマスク認識マークを撮像するマーク撮像動作を行う撮像部と、
前記撮像部を前記基板およびマスクプレートに対して水平方向に移動させる撮像部移動機構と、
前記マーク撮像動作における撮像結果を認識処理することにより、前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置を検出するマーク認識処理を行う認識処理部と、
前記2つの撮像光軸のそれぞれの撮像面である前記マスク下面および基板上面における各撮像光軸の相対位置を、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを前記撮像部によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データとして出力する光軸キャリブレーション処理部と、
前記撮像部移動機構による撮像部の移動に起因して前記撮像面において生じる前記撮像光軸の水平方向の位置誤差を、前記基板が保持される基板エリアおよびマスクプレートが装着されるマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に固有の水平方向の位置ずれ量として求め、前記基板エリアおよびマスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する面補正データ作成処理部と、
前記撮像部、撮像部移動機構および認識処理部を制御することにより前記マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行させ、さらに前記光軸間相対位置データ、面補正データおよび前記マーク認識処理の結果に基づき前記基板位置決め部を制御して、前記基板と前記マスクプレートとを位置合わせする基板位置合わせ動作を実行させる基板位置合わせ制御部と、
前記基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価する精度評価部とを備え、
前記精度評価部は、前記基板とマスクプレートとの位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板および検証用のマスクを対象として、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像動作、マーク認識処理および前記基板位置合わせ動作を実行させ、
さらに前記基板位置合わせ動作後に、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像動作およびマーク認識処理を実行し、このマーク認識処理における認識結果に基づいて前記位置合わせ精度を評価することを特徴とするスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記精度評価部は、前記位置合わせ精度を示す評価データを複数回取得し、これら複数の評価データを統計処理することにより当該スクリーン印刷装置における位置合わせ精度の工程能力指数を算出する統計演算処理部を有することを特徴とする請求項1記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
パターン孔が設けられたマスクプレートに基板を当接させてペーストを印刷するスクリーン印刷方法であって、
上流側から搬入された基板を基板位置決め部によって保持する基板保持工程と、
前記基板に形成された基板認識マークおよびスクリーン印刷部に装着された前記マスクプレートに形成されたマスク認識マークを、撮像方向がそれぞれ上方向および下方向の2つの撮像光軸を有し、撮像部移動機構によって前記基板およびマスクプレートに対して水平方向に移動する撮像部によって撮像するマーク撮像工程と、
前記マーク撮像工程における撮像結果を認識処理部によって認識処理することにより前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置を検出するマーク認識処理工程と、
前記基板認識マークおよびマスク認識マークの位置検出結果に基づいて前記基板位置決め部を制御することにより、前記基板を前記マスクプレートに位置合わせする基板位置合わせ工程と、
パターン孔が設けられペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させることにより、前記パターン孔を介して前記基板にペーストを印刷するスクリーン印刷工程とを含み、
前記マーク撮像工程に先立って、前記2つの撮像光軸のそれぞれの撮像面である前記マスク下面および基板上面における前記撮像光軸の水平方向相対位置を、相対位置が関連づけられた2つの参照マークを前記撮像部によって個別に撮像することにより検出して、光軸間相対位置データとして出力する光軸キャリブレーション処理工程と、
前記撮像部移動機構による前記撮像部の移動に起因して、前記撮像面において生じる前記撮像光軸の水平方向の位置誤差を、前記基板が保持される基板エリアおよびマスクプレートが装着されるマスクエリアにそれぞれ規則配列で設定された参照点毎に水平方向の位置ずれ量として求め、前記基板エリア、マスクエリアのそれぞれの面内における局地的な位置ずれ状態を示す面補正データとして出力する面補正データ作成処理工程とを実行し、
さらに前記基板位置合わせ動作における位置合わせ精度を評価するために実行される精度評価工程において、前記基板とマスクプレートとの位置合わせ精度を検証するために予め製作され、それぞれ参照点が規則配列で設定された検証用の基板および検証用のマスクを対象として、前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像工程、マーク認識処理工程および前記基板位置合わせ工程を実行し、
さらに前記基板位置合わせ工程後に前記光軸間相対位置データおよび面補正データに基づいて前記撮像部移動機構による撮像部の移動動作を補正して前記マーク撮像工程およびマーク認識処理工程を実行し、このマーク認識処理工程における認識結果に基づいて前記位置合わせ精度を評価することを特徴とするスクリーン印刷方法。
【請求項4】
前記精度評価工程において、前記位置合わせ精度を示す評価データを複数回取得し、これら複数の評価データを統計処理することにより当該スクリーン印刷装置における位置合わせ精度の工程能力指数を算出することを特徴とする請求項3記載のスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−86430(P2012−86430A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234322(P2010−234322)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】