ステージ装置及びプロセス装置
【課題】機能材料層の厚さ分布を高精度かつ短時間で制御可能な技術を提案する。
【解決手段】実施形態に係わるステージ装置は、被処理基板13の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニット12と、高さ制御ユニット12を制御する制御ユニット15とを備える。制御ユニット15は、被処理基板13の上面を複数のエリアに区分し、かつ、複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する。
【解決手段】実施形態に係わるステージ装置は、被処理基板13の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニット12と、高さ制御ユニット12を制御する制御ユニット15とを備える。制御ユニット15は、被処理基板13の上面を複数のエリアに区分し、かつ、複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ステージ装置及びプロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、有機デバイスや、無機デバイスなどの電子デバイスの製造において、機能材料層を形成する工程がある。機能材料層とは、基板(substrate)上に形成される特定機能を持つ材料層のことであり、半導体デバイスを構成する導電体層、絶縁体層及び半導体層、また、太陽電池デバイスを構成する半導体層、電荷輸送層及び電極層を含む。
【0003】
機能材料層は、一般的には、基板上に均一な厚さで形成するのが望ましい。しかし、太陽電池デバイス、発光ダイオード(LED)デバイスや、イメージセンサーのカラーフィルターなどを形成するときは、基板や、機能材料層上の材料及び特性などに応じて、機能材料層の厚さを基板面内で変化させ、機能材料層に厚さ分布を持たせる必要がある。
【0004】
コンベンショナルな技術では、この厚さ分布を、第一に、インクジェット技術やディスペンサー技術などを用いることにより、第二に、均一な厚さの機能材料層を形成した後にその機能材料層を部分的に切削又は研磨することにより、実現する。
【0005】
しかし、これらの方法は、機能材料層の厚さの制御性が悪く、処理時間が長い、という問題を抱える。また、後者の方法では、切削又は研磨により貴重な材料を多く消費してしまうため、材料コストが増加するなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−203075号公報
【特許文献2】特開2011−517090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、機能材料層の厚さ分布を高精度かつ短時間で制御可能な技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、ステージ装置は、被処理基板(a substrate which is to be processed)の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記高さ制御ユニットを制御する制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、かつ、前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する。
【0009】
実施形態によれば、プロセス装置は、前記ステージ装置と、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ステージ装置を示す図。
【図2】高さ制御ユニットを示す図。
【図3】高さ制御ユニットを示す図。
【図4】高さ制御ユニットを示す図。
【図5】高さ制御素子を示す図。
【図6】高さ制御素子を示す図。
【図7】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図8】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図9】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図10】キャリブレーションを示すフローチャート。
【図11】プロセス装置を示す図。
【図12】プロセス装置の動作を示す図。
【図13】プロセス装置の動作を示す図。
【図14】プロセス装置の動作を示す図。
【図15】プロセス装置の動作を示す図。
【図16】プロセス装置を示す図。
【図17】プロセス装置の動作を示す図。
【図18】プロセス装置の動作を示す図。
【図19】プロセス装置の動作を示す図。
【図20】プロセス装置の動作を示す図。
【図21】プロセス装置の動作を示す図。
【図22】プロセス装置の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
【0012】
1. ステージ装置
コンベンショナルな技術は、基板(被処理基板)の上面を平坦に保った状態で、基板の上面上に形成される機能材料層の上面に凹凸を設けることにより、機能材料層に厚さ分布を持たせる。これに対し、実施例は、基板の上面に凹凸を設けることが可能なステージ装置により、機能材料層の上面に凹凸を設けることなく、機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能な技術を提案する。
【0013】
即ち、ステージ装置は、基板の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを独立に制御する。複数のエリアのうちの1つの高さを、他の1つのエリアの高さに対して相対的に変化させることにより、基板上に形成される機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能になる。
【0014】
ここで、基板の種類については制限されない。例えば、基板は、単層/多層、絶縁体/導電体/半導体などを含み、また、基板は、機能素子を含んでいてもよい。
【0015】
基板の上面とは、基板の上面上に何も形成されない初期状態での上面のことを意味するものとする。基板の上面上にトランジスタなどの機能素子を形成したときは、その機能素子上に凹凸が形成される場合がある。しかし、そのような場合であっても、基板を平坦なステージ装置上に配置したときは、基板の上面は平坦になるものとする。
【0016】
以下、ステージ装置の例について説明する。
【0017】
図1は、ステージ装置を示している。
【0018】
ステージ11上には、高さ制御ユニット12が配置される。高さ制御ユニット12は、基板13の上面を複数のエリアに区分したときに、各エリアの高さを独立に制御する機能を有する。高さ制御ユニット12は、ステージ11と一体化していてもよいし、互いに分離可能であってもよい。また、ステージ11は、省略することもできる。
【0019】
高さ制御ユニット12は、例えば、図2に示すように、基板13の下面側に配置され、上下方向に独立に駆動される複数の高さ制御素子19を備える。
【0020】
ここで、複数の高さ制御素子19のレイアウトは、特に制限されない。本例では、複数の高さ制御素子19は、互いに接触した状態でアレイ状に配置されているが、これに代えて、複数の高さ制御素子19を互いに離してもよい。
【0021】
また、図3に示すように、複数の高さ制御素子19は、高さ制御ユニット12の中心に対して点対象となるように配置することも可能である。
【0022】
但し、複数の高さ制御素子19は、基板13の上面の各エリア内の高さを独立に制御するという機能を実現するために、一様に配置されているのが望ましい。
【0023】
また、図2及び図3において、複数の高さ制御素子19は、基板13の下面を吸着するチャック機能を有する。即ち、複数の高さ制御素子19の各々は、その中央部に基板13の下面を吸着するための吸引口20を有する。例えば、この吸引口20を真空ポンプに接続すれば、基板13を真空吸着により固定することができる。
【0024】
本例では、複数の高さ制御素子19の全てがチャック機能を有しているが、複数の高さ制御素子19の少なくとも1つがチャック機能を有していれば、基板13を吸着により固定するという目的を達成することができる。
【0025】
また、複数の高さ制御素子19は、チャック機能を有してなくてもよい。
【0026】
この場合、例えば、図4に示すように、高さ制御ユニット12は、基板13の下面を吸着する複数のチャック素子19aと、基板13の上面の各エリア内の高さを独立に制御するための高さ制御素子19bとを備える。複数のチャック素子19aは、複数の高さ制御素子19bの間に配置される。
【0027】
複数のチャック素子19aの各々は、その中央部に基板13の下面を吸着するための吸引口20を有する。複数の高さ制御素子19bの各々は、上下方向に独立に駆動されることにより、基板13の上面の高さをエリア毎に制御する。
【0028】
ここで、図2及び図3の複数の高さ制御素子19のうちの1つ、又は、図4の複数のチャック素子19aのうちの1つを、例えば、図5に示す。
【0029】
同図では、吸引口20は、高さ制御素子19の中央部又はチャック素子19aの中央部に配置されるが、これに代えて、例えば、図6に示すように、吸引口20を、高さ制御素子19の端部又はチャック素子19aの端部に配置することも可能である。
【0030】
尚、高さ制御素子19,19b及びチャック素子19aは、セラミックなどの絶縁材料から構成可能である。また、高さ制御素子19,19bは、ピエゾ素子などの圧電体、又は、サーボモーターや、マイクロメーターなどの駆動量により基板吸着面の高さを制御可能な機構により、駆動することができる。
【0031】
高さ制御ユニット12の上部には、計測ユニット14が配置される。
【0032】
計測ユニット14は、被処理基板13の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを計測する機能を有する。各エリアの高さは、特定の基準点を元にした絶対高さであってもよいし、複数のエリアのうちの1つの高さを基準とした相対高さであってもよい。
【0033】
また、計測ユニット14は、基板13の上面の各エリアの特性を計測する機能を有していてもよい。この場合、各エリアの高さを独立に制御する直前に、各エリアの特性に基づいて各エリアの高さの目標値を決定することができる。これについては、ステージ装置の動作の説明において詳述する。
【0034】
制御ユニット15は、高さ制御ユニット12及び計測ユニット14を制御する。
【0035】
制御ユニット15の基本動作は、以下の通りである。
まず、制御ユニット15は、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより、基板13の上面内の各エリアの高さを独立に設定する。
【0036】
尚、データ値は、例えば、他のユニットからのデータ転送又はユーザーによるデータ入力作業などにより制御ユニット15内のメモリに記憶される。
【0037】
また、上述のように、計測ユニット14が各エリアの特性を計測する機能を有しているときは、計測ユニット14による計測結果をデータ値として制御ユニット15内のメモリに記憶してもよい。
【0038】
次に、制御ユニット15は、計測ユニット14を用いて基板13の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定する。各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了する。
【0039】
図7は、ステージ装置の動作の第1の例を示している。
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0040】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、搬送ユニットにより行う。ステージ装置は、搬送ユニットを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0041】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0042】
この後、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0043】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、再び、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。
【0044】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0045】
図8は、ステージ装置の動作の第2の例を示している。
第2の例は、第1の例と比べると、基板上の各エリアの高さを許容範囲内に収めるための動作に特徴を有する。
【0046】
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0047】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、第1の例と同様に、搬送ユニットにより行う。
【0048】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0049】
この後、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0050】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、許容範囲外にあるエリアの高さをデータ値に基づき再設定する(ステップST7)。
【0051】
即ち、本例によれば、全エリアの高さを再設定するのではなく、許容範囲外にあるエリアのみについて高さの再設定を行うことにより、各エリアの高さの設定にかかる時間を短縮することができる。
【0052】
また、ステップST7からステップST5〜ST6へのルーチンにおいて、許容範囲内にあるエリアに対してはステップST5〜ST6を省略することも可能である。
【0053】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0054】
図9は、ステージ装置の動作の第3の例を示している。
第3の例は、第1の例と比べると、基板上の各エリアの高さを設定する直前に、各エリアの特性を計測する動作に特徴を有する。
【0055】
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0056】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、第1の例と同様に、搬送ユニットにより行う。
【0057】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0058】
この後、基板の上面内の各エリアの特性を計測する。また、各エリアの特性に基づいて各エリアの高さの目標値を決定する。この目標値は、データ値として制御ユニット内のメモリに記憶される(ステップST3’)。
【0059】
次に、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0060】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、再び、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。
【0061】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0062】
図10は、キャリブレーション動作を示している。
【0063】
キャリブレーションとは、データ値による高さ制御素子の駆動量(基板吸着面の高さの変化量)と、計測による基板の上面の各エリアの実際の高さ(各エリアの高さの変化量)との関係を求め、データ値による高さ制御素子の駆動量を補正する作業のことである。
【0064】
まず、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST1)。
【0065】
次に、各エリアの高さをデータ値に基づき変化させた後に、再び、各エリアの高さを計測する(ステップST2〜ST3)。
【0066】
そして、データ値と各エリアの実際の高さとの関係を求める(ステップST4)。
【0067】
例えば、特定エリアの特性に基づき、その特定エリアの高さの目標値をx(データ値)に決定した場合を検討する。
【0068】
この場合、まず、データ値xに基づき、高さ制御素子の駆動量をxに設定し、高さ制御素子を駆動する。この後、特定エリアの実際の高さを測定する。そして、特定エリアの実際の高さがx+Δであるとき、高さ制御素子の駆動量をx−Δに補正して、再び、高さ制御素子を駆動する。また、特定エリアの実際の高さがx−Δであるとき、高さ制御素子の駆動量をx+Δに補正して、再び、高さ制御素子を駆動する。
【0069】
本例では、データ値と実際の高さとの間に差分±Δが存在することが分かる。即ち、データ値と実際の高さとの関係を求めておくことが可能であるため、高さ制御素子の駆動量(データ値)を補正することができる。
【0070】
従って、同一製品を大量生産する場合などにおいては、この差分±Δを求めることにより、データ値を予めx±Δに設定しておくことが可能である。このようにすれば、基板の上面内の各エリアの高さを早い段階で許容範囲内に収めることができ、処理の高速化を図ることができる。
【0071】
また、異なる製品を製造する場合などにおいては、製品ごとに、この差分±Δを求め、キャリブレーションを実行してもよい。
【0072】
2. プロセス装置
プロセス装置とは、半導体デバイス、有機デバイス、無機デバイスなどの電子デバイスの製造プロセスの一工程に使用される装置のことである。プロセス装置は、例えば、塗布装置、露光装置、エッチング装置、成膜装置、イオン注入装置などを含む。
【0073】
図11は、図1のステージ装置を用いたプロセス装置の例を示している。
【0074】
ステージ11、高さ制御ユニット12及び計測ユニット14は、それぞれ、図1のステージ装置の構成要素の1つである。これらについては、既に、ステージ装置の説明で詳述したため、ここでの説明は省略する。
【0075】
高さ制御ユニット12上には、基板(被処理基板)13が配置される。
【0076】
高さ制御ユニット12の上部には、基板13の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニット16が配置される。
【0077】
制御ユニット15は、基板13の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、各エリアの高さが許容範囲内にあることを条件に、材料供給ユニット16を用いて基板13の上面上に機能材料層を形成する。
【0078】
平坦化ユニット17は、基板13上に形成された機能材料層の上面を平坦化することを目的に配置される。平坦化ユニットの種類は、特に制限されない。平坦化ユニット17は、例えば、平坦面(下面)を有する平坦化板であってもよいし、スキージのような部材を用いて機能材料層の上面を平坦化する機構であってもよい。
【0079】
尚、平坦化ユニット17は、省略することもできる。なぜなら、平坦化ユニットを用いなくても、機能材料層の上面が十分に平坦化される場合もあるからである。
【0080】
例えば、スピン塗布、スプレイ塗布、バーコーティング、メニスカス塗布、キャピラリー塗布、インクジェット、ディスペンサーなどの技術を用いれば、機能材料層の上面を平坦化することが可能である。
【0081】
また、これらの技術を用いなくても、機能材料層が流動性を有する場合には、機能材料層を形成した後に、その流動性を利用することにより、機能材料層の上面を平坦化することもできる。
【0082】
尚、上述の技術又は方法を組み合わせて、機能材料層の上面を平坦化してもよい。
【0083】
例えば、インクジェット法により機能材料層を形成した後に、平坦化板を機能材料層の上面に押し付けることにより、機能材料層の上面を平坦化してもよい。
【0084】
また、機能材料層がフォトレジスト層であるときは、石英などの平坦化板を用いてフォトレジスト層の上面の平坦化を行うのが望ましい。なぜなら、平坦化板として、石英などの紫外線を透過する材料を採用すれば、フォトレジスト層の上面の平坦化と同時に、フォトレジスト層の露光/硬化を行なうことができるからである。
【0085】
平坦化板を用いて機能材料層の上面の平坦化を行うときは、さらに、機能材料層を熱硬化型とすれば、平坦化板を加熱することにより、機能材料層の上面の平坦化と硬化とを同時に行うことができる。
【0086】
駆動ユニット18は、例えば、制御ユニット15による制御の下で、平坦化ユニット17を上下方向に駆動する。
【0087】
そして、これらステージ11、高さ制御ユニット12、計測ユニット14、材料供給ユニット16及び平坦化ユニット17は、チャンバー10内に配置される。
【0088】
以下、図11のプロセス装置を用いて、基板上に、厚さ分布を持つ機能材料層を形成するプロセスの例について説明する。
【0089】
図12乃至図15は、機能材料層を形成するプロセスを示している。
【0090】
まず、図12に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さ(例えば、基板吸着面の高さ)を基準値に合わせる。即ち、基板13の上面内における複数のエリアA1〜A10の高さを等しくする。
【0091】
次に、図13に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを制御することにより、基板13の上面内における複数のエリアA1〜A10の高さを独立に設定する。
【0092】
次に、図14に示すように、基板13上に機能材料層21を形成する。また、機能材料層21の上面は、平坦化ユニット(例えば、石英やシリコンなどの平坦化板)により、平坦化される。機能材料層21の上面は、例えば、図15に示すように、スキージ22により平坦化してもよい。
【0093】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0094】
このように、機能材料層の上面に凹凸を設けるのではなく、基板上の各エリアの高さを相対的に変化させ、かつ、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能になる。即ち、機能材料層の厚さの制御に余分な時間を費やすことがないため、処理プロセスの短縮を図ることができる。
【0095】
また、機能材料層の厚さ分布を高精度に制御可能であるため、この機能材料層により実現される電子デバイスの性能を向上させることも可能になる。また、処理プロセスの短縮により電子デバイスの製造期間も短縮できる。
【0096】
従って、多様な電子デバイスを歩留りよく製造することができると共に、製造コストの低下及び出荷時期を早めることが可能になる。
【0097】
図16は、プロセス装置の他の例を示している。
【0098】
このプロセス装置は、図1のステージ装置を用いたものではなく、図1のステージ装置を応用したものである。このプロセス装置の特徴は、高さ制御ユニット12が、基板(被処理基板)の下側ではなく、その上側に配置されている点にある。
【0099】
ステージ11上には、チャックユニット23が配置される。チャックユニット23は、基板13の下面を吸着により固定する機能を有する。
【0100】
高さ制御ユニット12は、基板13の上面側に配置され、上下方向に独立に駆動される複数の高さ制御素子を備える。高さ制御ユニット12は、駆動ユニット18により、全体として上下方向に駆動される。また、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子の各々は、駆動ユニット18により上下方向に独立に駆動される。
【0101】
材料供給ユニット16は、基板13の上面上に機能材料層を形成することを目的に設けられる。例えば、材料供給ユニット16は、基板13の上面上に機能材料を塗布する。
【0102】
計測ユニット14は、基板13の上面の各エリアの特性を計測する機能を有する。
【0103】
即ち、本例では、計測ユニット14は、複数の高さ制御素子の高さを独立に設定する直前に、各エリアの特性に基づいて各エリアの機能材料層の高さ(厚さ)の目標値を決定することを目的に設けられる。
【0104】
このため、各エリアの特性を他の手段により予め取得しておくときは、計測ユニット14を省略してもよい。この場合、各エリアの機能材料層の高さの目標値は、他のユニットからのデータ転送又はユーザーによるデータ入力作業などにより、制御ユニット15内のメモリにデータ値として記憶される。
【0105】
尚、計測ユニット14は、基板13上の各エリアにおける機能材料層の高さを計測する機能を有していてもよい。
【0106】
制御ユニット15は、チャックユニット23、高さ制御ユニット12の駆動ユニット18、計測ユニット14及び材料供給ユニット16を制御する。
【0107】
制御ユニット15は、基板13の上面を複数のエリアに区分したときに、基板13上に形成される機能材料層の上面の高さをエリア毎に制御する。即ち、複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御し、かつ、複数の高さ制御素子を機能材料層の上面に押し当てることにより、機能材料層の上面に凹凸を付加する。
【0108】
高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子は、例えば、図2乃至図6に示すような構造を有する。複数の高さ制御素子については、既に、図2乃至図6において説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0109】
本例の高さ制御ユニット12は、例えば、図11のプロセス装置における高さ制御ユニット12と比べたとき、上下方向における向きが互いに逆向きになっている点に特徴を有する。
【0110】
尚、複数の高さ制御素子は、保護層により覆われていてもよい。この場合、複数の高さ制御素子は、保護層を介して基板13上の機能材料層の上面に押し当てられる。これについては、機能材料層を形成するプロセスの例として詳しく述べる。
【0111】
以下、図16のプロセス装置を用いて、基板上に、厚さ分布を持つ機能材料層を形成するプロセスの例について説明する。
【0112】
図17乃至図19は、機能材料層を形成するプロセスの例を示している。
【0113】
まず、図17に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さを基準値に合わせる。即ち、基板13上の複数のエリアA1〜A10に対応する複数の高さ制御素子19の高さを等しくする。
【0114】
また、基板13をチャックユニット23により固定した状態で、基板13上に機能材料層21を形成する。
【0115】
次に、図18に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを独立に制御する。この後、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面に押し当てる。この状態で、機能材料層21を硬化させる。
【0116】
そして、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離すと、図19に示すように、複数のエリアA1〜A10ごとに、独立に、厚さが設定された機能材料層21が形成される。
【0117】
尚、機能材料層21の流動性が低い場合は、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離した後に、機能材料層21を硬化させてもよい。
【0118】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0119】
図20乃至図22は、機能材料層を形成するプロセスの他の例を示している。
【0120】
この例は、複数の高さ制御素子19が保護層(例えば、保護フィルム)24により覆われているときのプロセスに関する。複数の高さ制御素子19は、機能材料層21に直接接触するのが望ましくない場合がある。
【0121】
そこで、複数の高さ制御素子19が機能材料層21に接触しないように保護層24を設ける。保護層24は、例えば、フッ素樹脂、セラミック材料などにより構成される。保護層24は、複数の高さ制御素子19の上下方向の動作により破断することがないように、柔軟性と十分な強度とを有しているものとする。
【0122】
また、保護層24を設けると、機能材料層21の上面の凹凸が滑らかに変化する効果が付随的に得られる。
【0123】
まず、図20に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さを基準値に合わせる。即ち、基板13上の複数のエリアA1〜A10に対応する複数の高さ制御素子19の高さを等しくする。
【0124】
また、基板13をチャックユニット23により固定した状態で、基板13上に機能材料層21を形成する。
【0125】
次に、図21に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを独立に制御する。この時、保護層24は、複数の高さ制御素子19の高さの変化に追従して変形する。この後、複数の高さ制御素子19を、保護層24を介して、機能材料層21の上面に押し当てる。この状態で、機能材料層21を硬化させる。
【0126】
そして、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離すと、図22に示すように、複数のエリアA1〜A10ごとに、独立に、厚さが設定された機能材料層21が形成される。
【0127】
尚、機能材料層21の流動性が低い場合は、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離した後に、機能材料層21を硬化させてもよい。
【0128】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0129】
3. その他
上述の実施例において、計測ユニットは、基板上の各エリアの特性や高さなどを計測する機能を有するが、さらに、各エリアの計測する特性とは、作製する電子デバイスの機能に応じて、以下を計測する機能を有していてもよい。
【0130】
・ 機能材料層の厚さ、密度などの物理量
・ 所定の波長の光に対する機能材料層の透過率、反射率、屈折率など
・ 発光デバイスにおいては、発生する光の波長などの光学特性量
・ 機能材料層の電気伝導度、抵抗値、静電容量、磁化率などの電気/磁気特性量
4. むすび
実施形態によれば、機能材料層の厚さ分布を高精度かつ短時間で制御できる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10: チャンバー、 11: ステージ、 12: 高さ制御ユニット、 13: 基板、 14: 計測ユニット、 15: 制御ユニット、 16: 材料供給ユニット、 17: 平坦化ユニット、 18: 駆動ユニット、 19,19b: 高さ制御素子、 19a: チャック素子、 20: 吸引口、 21: 機能材料層、 22: スキージ、 23: チャックユニット。
【技術分野】
【0001】
実施形態は、ステージ装置及びプロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、有機デバイスや、無機デバイスなどの電子デバイスの製造において、機能材料層を形成する工程がある。機能材料層とは、基板(substrate)上に形成される特定機能を持つ材料層のことであり、半導体デバイスを構成する導電体層、絶縁体層及び半導体層、また、太陽電池デバイスを構成する半導体層、電荷輸送層及び電極層を含む。
【0003】
機能材料層は、一般的には、基板上に均一な厚さで形成するのが望ましい。しかし、太陽電池デバイス、発光ダイオード(LED)デバイスや、イメージセンサーのカラーフィルターなどを形成するときは、基板や、機能材料層上の材料及び特性などに応じて、機能材料層の厚さを基板面内で変化させ、機能材料層に厚さ分布を持たせる必要がある。
【0004】
コンベンショナルな技術では、この厚さ分布を、第一に、インクジェット技術やディスペンサー技術などを用いることにより、第二に、均一な厚さの機能材料層を形成した後にその機能材料層を部分的に切削又は研磨することにより、実現する。
【0005】
しかし、これらの方法は、機能材料層の厚さの制御性が悪く、処理時間が長い、という問題を抱える。また、後者の方法では、切削又は研磨により貴重な材料を多く消費してしまうため、材料コストが増加するなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−203075号公報
【特許文献2】特開2011−517090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
実施形態は、機能材料層の厚さ分布を高精度かつ短時間で制御可能な技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態によれば、ステージ装置は、被処理基板(a substrate which is to be processed)の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記高さ制御ユニットを制御する制御ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、かつ、前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する。
【0009】
実施形態によれば、プロセス装置は、前記ステージ装置と、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットとを備え、前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ステージ装置を示す図。
【図2】高さ制御ユニットを示す図。
【図3】高さ制御ユニットを示す図。
【図4】高さ制御ユニットを示す図。
【図5】高さ制御素子を示す図。
【図6】高さ制御素子を示す図。
【図7】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図8】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図9】ステージ装置の動作を示すフローチャート。
【図10】キャリブレーションを示すフローチャート。
【図11】プロセス装置を示す図。
【図12】プロセス装置の動作を示す図。
【図13】プロセス装置の動作を示す図。
【図14】プロセス装置の動作を示す図。
【図15】プロセス装置の動作を示す図。
【図16】プロセス装置を示す図。
【図17】プロセス装置の動作を示す図。
【図18】プロセス装置の動作を示す図。
【図19】プロセス装置の動作を示す図。
【図20】プロセス装置の動作を示す図。
【図21】プロセス装置の動作を示す図。
【図22】プロセス装置の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。
【0012】
1. ステージ装置
コンベンショナルな技術は、基板(被処理基板)の上面を平坦に保った状態で、基板の上面上に形成される機能材料層の上面に凹凸を設けることにより、機能材料層に厚さ分布を持たせる。これに対し、実施例は、基板の上面に凹凸を設けることが可能なステージ装置により、機能材料層の上面に凹凸を設けることなく、機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能な技術を提案する。
【0013】
即ち、ステージ装置は、基板の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを独立に制御する。複数のエリアのうちの1つの高さを、他の1つのエリアの高さに対して相対的に変化させることにより、基板上に形成される機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能になる。
【0014】
ここで、基板の種類については制限されない。例えば、基板は、単層/多層、絶縁体/導電体/半導体などを含み、また、基板は、機能素子を含んでいてもよい。
【0015】
基板の上面とは、基板の上面上に何も形成されない初期状態での上面のことを意味するものとする。基板の上面上にトランジスタなどの機能素子を形成したときは、その機能素子上に凹凸が形成される場合がある。しかし、そのような場合であっても、基板を平坦なステージ装置上に配置したときは、基板の上面は平坦になるものとする。
【0016】
以下、ステージ装置の例について説明する。
【0017】
図1は、ステージ装置を示している。
【0018】
ステージ11上には、高さ制御ユニット12が配置される。高さ制御ユニット12は、基板13の上面を複数のエリアに区分したときに、各エリアの高さを独立に制御する機能を有する。高さ制御ユニット12は、ステージ11と一体化していてもよいし、互いに分離可能であってもよい。また、ステージ11は、省略することもできる。
【0019】
高さ制御ユニット12は、例えば、図2に示すように、基板13の下面側に配置され、上下方向に独立に駆動される複数の高さ制御素子19を備える。
【0020】
ここで、複数の高さ制御素子19のレイアウトは、特に制限されない。本例では、複数の高さ制御素子19は、互いに接触した状態でアレイ状に配置されているが、これに代えて、複数の高さ制御素子19を互いに離してもよい。
【0021】
また、図3に示すように、複数の高さ制御素子19は、高さ制御ユニット12の中心に対して点対象となるように配置することも可能である。
【0022】
但し、複数の高さ制御素子19は、基板13の上面の各エリア内の高さを独立に制御するという機能を実現するために、一様に配置されているのが望ましい。
【0023】
また、図2及び図3において、複数の高さ制御素子19は、基板13の下面を吸着するチャック機能を有する。即ち、複数の高さ制御素子19の各々は、その中央部に基板13の下面を吸着するための吸引口20を有する。例えば、この吸引口20を真空ポンプに接続すれば、基板13を真空吸着により固定することができる。
【0024】
本例では、複数の高さ制御素子19の全てがチャック機能を有しているが、複数の高さ制御素子19の少なくとも1つがチャック機能を有していれば、基板13を吸着により固定するという目的を達成することができる。
【0025】
また、複数の高さ制御素子19は、チャック機能を有してなくてもよい。
【0026】
この場合、例えば、図4に示すように、高さ制御ユニット12は、基板13の下面を吸着する複数のチャック素子19aと、基板13の上面の各エリア内の高さを独立に制御するための高さ制御素子19bとを備える。複数のチャック素子19aは、複数の高さ制御素子19bの間に配置される。
【0027】
複数のチャック素子19aの各々は、その中央部に基板13の下面を吸着するための吸引口20を有する。複数の高さ制御素子19bの各々は、上下方向に独立に駆動されることにより、基板13の上面の高さをエリア毎に制御する。
【0028】
ここで、図2及び図3の複数の高さ制御素子19のうちの1つ、又は、図4の複数のチャック素子19aのうちの1つを、例えば、図5に示す。
【0029】
同図では、吸引口20は、高さ制御素子19の中央部又はチャック素子19aの中央部に配置されるが、これに代えて、例えば、図6に示すように、吸引口20を、高さ制御素子19の端部又はチャック素子19aの端部に配置することも可能である。
【0030】
尚、高さ制御素子19,19b及びチャック素子19aは、セラミックなどの絶縁材料から構成可能である。また、高さ制御素子19,19bは、ピエゾ素子などの圧電体、又は、サーボモーターや、マイクロメーターなどの駆動量により基板吸着面の高さを制御可能な機構により、駆動することができる。
【0031】
高さ制御ユニット12の上部には、計測ユニット14が配置される。
【0032】
計測ユニット14は、被処理基板13の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを計測する機能を有する。各エリアの高さは、特定の基準点を元にした絶対高さであってもよいし、複数のエリアのうちの1つの高さを基準とした相対高さであってもよい。
【0033】
また、計測ユニット14は、基板13の上面の各エリアの特性を計測する機能を有していてもよい。この場合、各エリアの高さを独立に制御する直前に、各エリアの特性に基づいて各エリアの高さの目標値を決定することができる。これについては、ステージ装置の動作の説明において詳述する。
【0034】
制御ユニット15は、高さ制御ユニット12及び計測ユニット14を制御する。
【0035】
制御ユニット15の基本動作は、以下の通りである。
まず、制御ユニット15は、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより、基板13の上面内の各エリアの高さを独立に設定する。
【0036】
尚、データ値は、例えば、他のユニットからのデータ転送又はユーザーによるデータ入力作業などにより制御ユニット15内のメモリに記憶される。
【0037】
また、上述のように、計測ユニット14が各エリアの特性を計測する機能を有しているときは、計測ユニット14による計測結果をデータ値として制御ユニット15内のメモリに記憶してもよい。
【0038】
次に、制御ユニット15は、計測ユニット14を用いて基板13の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定する。各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了する。
【0039】
図7は、ステージ装置の動作の第1の例を示している。
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0040】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、搬送ユニットにより行う。ステージ装置は、搬送ユニットを備えていてもよいし、備えていなくてもよい。
【0041】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0042】
この後、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0043】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、再び、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。
【0044】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0045】
図8は、ステージ装置の動作の第2の例を示している。
第2の例は、第1の例と比べると、基板上の各エリアの高さを許容範囲内に収めるための動作に特徴を有する。
【0046】
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0047】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、第1の例と同様に、搬送ユニットにより行う。
【0048】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0049】
この後、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0050】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、許容範囲外にあるエリアの高さをデータ値に基づき再設定する(ステップST7)。
【0051】
即ち、本例によれば、全エリアの高さを再設定するのではなく、許容範囲外にあるエリアのみについて高さの再設定を行うことにより、各エリアの高さの設定にかかる時間を短縮することができる。
【0052】
また、ステップST7からステップST5〜ST6へのルーチンにおいて、許容範囲内にあるエリアに対してはステップST5〜ST6を省略することも可能である。
【0053】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0054】
図9は、ステージ装置の動作の第3の例を示している。
第3の例は、第1の例と比べると、基板上の各エリアの高さを設定する直前に、各エリアの特性を計測する動作に特徴を有する。
【0055】
ステージ装置の動作は、制御ユニットにより制御される。
【0056】
基板が高さ制御ユニット上に搭載された後にステージ装置の動作が開始する。基板の搬送は、第1の例と同様に、搬送ユニットにより行う。
【0057】
まず、基板を、例えば、真空吸着により固定する(ステップST1)。次に、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST2)。基板の上面内の全エリアの高さが等しくないときは、基板の上面内の全エリアの高さを等しくする(ステップST3)。
【0058】
この後、基板の上面内の各エリアの特性を計測する。また、各エリアの特性に基づいて各エリアの高さの目標値を決定する。この目標値は、データ値として制御ユニット内のメモリに記憶される(ステップST3’)。
【0059】
次に、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。各エリアの高さを計測し、各エリアの高さが許容範囲内にあるかを決定する(ステップST5〜ST6)。
【0060】
各エリアの高さが許容範囲内にあるときは、ステージ装置の動作を終了し、各エリアの高さが許容範囲内にないときは、再び、基板の上面内の各エリアの高さをデータ値に基づき独立に設定する(ステップST4)。
【0061】
以上の動作により、基板の上面内の各エリアの高さを、高精度かつ短時間で制御することができる。従って、例えば、基板上に機能材料層を形成するときは、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることができる。
【0062】
図10は、キャリブレーション動作を示している。
【0063】
キャリブレーションとは、データ値による高さ制御素子の駆動量(基板吸着面の高さの変化量)と、計測による基板の上面の各エリアの実際の高さ(各エリアの高さの変化量)との関係を求め、データ値による高さ制御素子の駆動量を補正する作業のことである。
【0064】
まず、基板の上面内の各エリアの高さを計測する(ステップST1)。
【0065】
次に、各エリアの高さをデータ値に基づき変化させた後に、再び、各エリアの高さを計測する(ステップST2〜ST3)。
【0066】
そして、データ値と各エリアの実際の高さとの関係を求める(ステップST4)。
【0067】
例えば、特定エリアの特性に基づき、その特定エリアの高さの目標値をx(データ値)に決定した場合を検討する。
【0068】
この場合、まず、データ値xに基づき、高さ制御素子の駆動量をxに設定し、高さ制御素子を駆動する。この後、特定エリアの実際の高さを測定する。そして、特定エリアの実際の高さがx+Δであるとき、高さ制御素子の駆動量をx−Δに補正して、再び、高さ制御素子を駆動する。また、特定エリアの実際の高さがx−Δであるとき、高さ制御素子の駆動量をx+Δに補正して、再び、高さ制御素子を駆動する。
【0069】
本例では、データ値と実際の高さとの間に差分±Δが存在することが分かる。即ち、データ値と実際の高さとの関係を求めておくことが可能であるため、高さ制御素子の駆動量(データ値)を補正することができる。
【0070】
従って、同一製品を大量生産する場合などにおいては、この差分±Δを求めることにより、データ値を予めx±Δに設定しておくことが可能である。このようにすれば、基板の上面内の各エリアの高さを早い段階で許容範囲内に収めることができ、処理の高速化を図ることができる。
【0071】
また、異なる製品を製造する場合などにおいては、製品ごとに、この差分±Δを求め、キャリブレーションを実行してもよい。
【0072】
2. プロセス装置
プロセス装置とは、半導体デバイス、有機デバイス、無機デバイスなどの電子デバイスの製造プロセスの一工程に使用される装置のことである。プロセス装置は、例えば、塗布装置、露光装置、エッチング装置、成膜装置、イオン注入装置などを含む。
【0073】
図11は、図1のステージ装置を用いたプロセス装置の例を示している。
【0074】
ステージ11、高さ制御ユニット12及び計測ユニット14は、それぞれ、図1のステージ装置の構成要素の1つである。これらについては、既に、ステージ装置の説明で詳述したため、ここでの説明は省略する。
【0075】
高さ制御ユニット12上には、基板(被処理基板)13が配置される。
【0076】
高さ制御ユニット12の上部には、基板13の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニット16が配置される。
【0077】
制御ユニット15は、基板13の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、各エリアの高さが許容範囲内にあることを条件に、材料供給ユニット16を用いて基板13の上面上に機能材料層を形成する。
【0078】
平坦化ユニット17は、基板13上に形成された機能材料層の上面を平坦化することを目的に配置される。平坦化ユニットの種類は、特に制限されない。平坦化ユニット17は、例えば、平坦面(下面)を有する平坦化板であってもよいし、スキージのような部材を用いて機能材料層の上面を平坦化する機構であってもよい。
【0079】
尚、平坦化ユニット17は、省略することもできる。なぜなら、平坦化ユニットを用いなくても、機能材料層の上面が十分に平坦化される場合もあるからである。
【0080】
例えば、スピン塗布、スプレイ塗布、バーコーティング、メニスカス塗布、キャピラリー塗布、インクジェット、ディスペンサーなどの技術を用いれば、機能材料層の上面を平坦化することが可能である。
【0081】
また、これらの技術を用いなくても、機能材料層が流動性を有する場合には、機能材料層を形成した後に、その流動性を利用することにより、機能材料層の上面を平坦化することもできる。
【0082】
尚、上述の技術又は方法を組み合わせて、機能材料層の上面を平坦化してもよい。
【0083】
例えば、インクジェット法により機能材料層を形成した後に、平坦化板を機能材料層の上面に押し付けることにより、機能材料層の上面を平坦化してもよい。
【0084】
また、機能材料層がフォトレジスト層であるときは、石英などの平坦化板を用いてフォトレジスト層の上面の平坦化を行うのが望ましい。なぜなら、平坦化板として、石英などの紫外線を透過する材料を採用すれば、フォトレジスト層の上面の平坦化と同時に、フォトレジスト層の露光/硬化を行なうことができるからである。
【0085】
平坦化板を用いて機能材料層の上面の平坦化を行うときは、さらに、機能材料層を熱硬化型とすれば、平坦化板を加熱することにより、機能材料層の上面の平坦化と硬化とを同時に行うことができる。
【0086】
駆動ユニット18は、例えば、制御ユニット15による制御の下で、平坦化ユニット17を上下方向に駆動する。
【0087】
そして、これらステージ11、高さ制御ユニット12、計測ユニット14、材料供給ユニット16及び平坦化ユニット17は、チャンバー10内に配置される。
【0088】
以下、図11のプロセス装置を用いて、基板上に、厚さ分布を持つ機能材料層を形成するプロセスの例について説明する。
【0089】
図12乃至図15は、機能材料層を形成するプロセスを示している。
【0090】
まず、図12に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さ(例えば、基板吸着面の高さ)を基準値に合わせる。即ち、基板13の上面内における複数のエリアA1〜A10の高さを等しくする。
【0091】
次に、図13に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを制御することにより、基板13の上面内における複数のエリアA1〜A10の高さを独立に設定する。
【0092】
次に、図14に示すように、基板13上に機能材料層21を形成する。また、機能材料層21の上面は、平坦化ユニット(例えば、石英やシリコンなどの平坦化板)により、平坦化される。機能材料層21の上面は、例えば、図15に示すように、スキージ22により平坦化してもよい。
【0093】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0094】
このように、機能材料層の上面に凹凸を設けるのではなく、基板上の各エリアの高さを相対的に変化させ、かつ、機能材料層の上面を平坦化することにより、機能材料層に厚さ分布を持たせることが可能になる。即ち、機能材料層の厚さの制御に余分な時間を費やすことがないため、処理プロセスの短縮を図ることができる。
【0095】
また、機能材料層の厚さ分布を高精度に制御可能であるため、この機能材料層により実現される電子デバイスの性能を向上させることも可能になる。また、処理プロセスの短縮により電子デバイスの製造期間も短縮できる。
【0096】
従って、多様な電子デバイスを歩留りよく製造することができると共に、製造コストの低下及び出荷時期を早めることが可能になる。
【0097】
図16は、プロセス装置の他の例を示している。
【0098】
このプロセス装置は、図1のステージ装置を用いたものではなく、図1のステージ装置を応用したものである。このプロセス装置の特徴は、高さ制御ユニット12が、基板(被処理基板)の下側ではなく、その上側に配置されている点にある。
【0099】
ステージ11上には、チャックユニット23が配置される。チャックユニット23は、基板13の下面を吸着により固定する機能を有する。
【0100】
高さ制御ユニット12は、基板13の上面側に配置され、上下方向に独立に駆動される複数の高さ制御素子を備える。高さ制御ユニット12は、駆動ユニット18により、全体として上下方向に駆動される。また、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子の各々は、駆動ユニット18により上下方向に独立に駆動される。
【0101】
材料供給ユニット16は、基板13の上面上に機能材料層を形成することを目的に設けられる。例えば、材料供給ユニット16は、基板13の上面上に機能材料を塗布する。
【0102】
計測ユニット14は、基板13の上面の各エリアの特性を計測する機能を有する。
【0103】
即ち、本例では、計測ユニット14は、複数の高さ制御素子の高さを独立に設定する直前に、各エリアの特性に基づいて各エリアの機能材料層の高さ(厚さ)の目標値を決定することを目的に設けられる。
【0104】
このため、各エリアの特性を他の手段により予め取得しておくときは、計測ユニット14を省略してもよい。この場合、各エリアの機能材料層の高さの目標値は、他のユニットからのデータ転送又はユーザーによるデータ入力作業などにより、制御ユニット15内のメモリにデータ値として記憶される。
【0105】
尚、計測ユニット14は、基板13上の各エリアにおける機能材料層の高さを計測する機能を有していてもよい。
【0106】
制御ユニット15は、チャックユニット23、高さ制御ユニット12の駆動ユニット18、計測ユニット14及び材料供給ユニット16を制御する。
【0107】
制御ユニット15は、基板13の上面を複数のエリアに区分したときに、基板13上に形成される機能材料層の上面の高さをエリア毎に制御する。即ち、複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御し、かつ、複数の高さ制御素子を機能材料層の上面に押し当てることにより、機能材料層の上面に凹凸を付加する。
【0108】
高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子は、例えば、図2乃至図6に示すような構造を有する。複数の高さ制御素子については、既に、図2乃至図6において説明したので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0109】
本例の高さ制御ユニット12は、例えば、図11のプロセス装置における高さ制御ユニット12と比べたとき、上下方向における向きが互いに逆向きになっている点に特徴を有する。
【0110】
尚、複数の高さ制御素子は、保護層により覆われていてもよい。この場合、複数の高さ制御素子は、保護層を介して基板13上の機能材料層の上面に押し当てられる。これについては、機能材料層を形成するプロセスの例として詳しく述べる。
【0111】
以下、図16のプロセス装置を用いて、基板上に、厚さ分布を持つ機能材料層を形成するプロセスの例について説明する。
【0112】
図17乃至図19は、機能材料層を形成するプロセスの例を示している。
【0113】
まず、図17に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さを基準値に合わせる。即ち、基板13上の複数のエリアA1〜A10に対応する複数の高さ制御素子19の高さを等しくする。
【0114】
また、基板13をチャックユニット23により固定した状態で、基板13上に機能材料層21を形成する。
【0115】
次に、図18に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを独立に制御する。この後、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面に押し当てる。この状態で、機能材料層21を硬化させる。
【0116】
そして、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離すと、図19に示すように、複数のエリアA1〜A10ごとに、独立に、厚さが設定された機能材料層21が形成される。
【0117】
尚、機能材料層21の流動性が低い場合は、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離した後に、機能材料層21を硬化させてもよい。
【0118】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0119】
図20乃至図22は、機能材料層を形成するプロセスの他の例を示している。
【0120】
この例は、複数の高さ制御素子19が保護層(例えば、保護フィルム)24により覆われているときのプロセスに関する。複数の高さ制御素子19は、機能材料層21に直接接触するのが望ましくない場合がある。
【0121】
そこで、複数の高さ制御素子19が機能材料層21に接触しないように保護層24を設ける。保護層24は、例えば、フッ素樹脂、セラミック材料などにより構成される。保護層24は、複数の高さ制御素子19の上下方向の動作により破断することがないように、柔軟性と十分な強度とを有しているものとする。
【0122】
また、保護層24を設けると、機能材料層21の上面の凹凸が滑らかに変化する効果が付随的に得られる。
【0123】
まず、図20に示すように、高さ制御ユニット12内の複数の高さ制御素子19の高さを基準値に合わせる。即ち、基板13上の複数のエリアA1〜A10に対応する複数の高さ制御素子19の高さを等しくする。
【0124】
また、基板13をチャックユニット23により固定した状態で、基板13上に機能材料層21を形成する。
【0125】
次に、図21に示すように、データ値に基づいて、複数の高さ制御素子19の各々の高さを独立に制御する。この時、保護層24は、複数の高さ制御素子19の高さの変化に追従して変形する。この後、複数の高さ制御素子19を、保護層24を介して、機能材料層21の上面に押し当てる。この状態で、機能材料層21を硬化させる。
【0126】
そして、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離すと、図22に示すように、複数のエリアA1〜A10ごとに、独立に、厚さが設定された機能材料層21が形成される。
【0127】
尚、機能材料層21の流動性が低い場合は、複数の高さ制御素子19を機能材料層21の上面から引き離した後に、機能材料層21を硬化させてもよい。
【0128】
以上のプロセスにより、基板13上に、厚さ分布を有する機能材料層21を形成することができる。
【0129】
3. その他
上述の実施例において、計測ユニットは、基板上の各エリアの特性や高さなどを計測する機能を有するが、さらに、各エリアの計測する特性とは、作製する電子デバイスの機能に応じて、以下を計測する機能を有していてもよい。
【0130】
・ 機能材料層の厚さ、密度などの物理量
・ 所定の波長の光に対する機能材料層の透過率、反射率、屈折率など
・ 発光デバイスにおいては、発生する光の波長などの光学特性量
・ 機能材料層の電気伝導度、抵抗値、静電容量、磁化率などの電気/磁気特性量
4. むすび
実施形態によれば、機能材料層の厚さ分布を高精度かつ短時間で制御できる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10: チャンバー、 11: ステージ、 12: 高さ制御ユニット、 13: 基板、 14: 計測ユニット、 15: 制御ユニット、 16: 材料供給ユニット、 17: 平坦化ユニット、 18: 駆動ユニット、 19,19b: 高さ制御素子、 19a: チャック素子、 20: 吸引口、 21: 機能材料層、 22: スキージ、 23: チャックユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを計測する計測ユニットと、前記高さ制御ユニット及び前記計測ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定し、
前記計測ユニットを用いて前記被処理基板の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定し、かつ、
前記許容範囲外にあるエリアの高さを前記複数の高さ制御素子により再設定する
ステージ装置。
【請求項2】
被処理基板の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記高さ制御ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、かつ、前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する
ステージ装置。
【請求項3】
前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを計測する計測ユニットをさらに具備し、
前記制御ユニットは、前記計測ユニットを用いて前記被処理基板の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記許容範囲外にあるエリアの高さを前記複数の高さ制御素子により再設定する請求項3に記載のステージ装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の全エリアの高さを等しくした後に、各エリアの高さを設定する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを設定する前に、各エリアの特性を前記計測ユニットで計測することにより、各エリアの高さの目標値を前記データ値として予め記憶する請求項3に記載のステージ装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記データ値と、各エリアの実際の高さの変化量との関係を求めることにより、前記複数の高さ制御素子の各々の高さの変化量を補正する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項8】
前記複数の高さ制御素子の少なくとも1つは、前記被処理基板の下面を吸着するチャック機能を有する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項9】
前記高さ制御ユニットは、前記被処理基板の下面を吸着する複数のチャック素子をさらに備え、前記複数のチャック素子は、前記複数の高さ制御素子の間に配置される請求項2に記載のステージ装置。
【請求項10】
請求項2に記載のステージ装置と、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成する
プロセス装置。
【請求項11】
被処理基板の下面を吸着するチャックユニットと、前記被処理基板の上面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットと、前記チャックユニット、前記高さ制御ユニット及び前記材料供給ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成し、
前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御し、かつ、
前記複数の高さ制御素子を前記機能材料層の上面に押し当てる
プロセス装置。
【請求項12】
前記複数の高さ制御素子は、保護層により覆われ、前記保護層を介して前記機能材料層の上面に押し当てられる請求項11に記載のプロセス装置。
【請求項1】
被処理基板の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、各エリアの高さを計測する計測ユニットと、前記高さ制御ユニット及び前記計測ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定し、
前記計測ユニットを用いて前記被処理基板の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定し、かつ、
前記許容範囲外にあるエリアの高さを前記複数の高さ制御素子により再設定する
ステージ装置。
【請求項2】
被処理基板の下面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記高さ制御ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面を複数のエリアに区分し、かつ、前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御することにより各エリアの高さを独立に設定する
ステージ装置。
【請求項3】
前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを計測する計測ユニットをさらに具備し、
前記制御ユニットは、前記計測ユニットを用いて前記被処理基板の上面内の各エリアの高さが許容範囲内にあるかを判定する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記制御ユニットは、前記許容範囲外にあるエリアの高さを前記複数の高さ制御素子により再設定する請求項3に記載のステージ装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の全エリアの高さを等しくした後に、各エリアの高さを設定する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項6】
前記制御ユニットは、前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを設定する前に、各エリアの特性を前記計測ユニットで計測することにより、各エリアの高さの目標値を前記データ値として予め記憶する請求項3に記載のステージ装置。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記データ値と、各エリアの実際の高さの変化量との関係を求めることにより、前記複数の高さ制御素子の各々の高さの変化量を補正する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項8】
前記複数の高さ制御素子の少なくとも1つは、前記被処理基板の下面を吸着するチャック機能を有する請求項2に記載のステージ装置。
【請求項9】
前記高さ制御ユニットは、前記被処理基板の下面を吸着する複数のチャック素子をさらに備え、前記複数のチャック素子は、前記複数の高さ制御素子の間に配置される請求項2に記載のステージ装置。
【請求項10】
請求項2に記載のステージ装置と、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記被処理基板の上面内の各エリアの高さを独立に設定した後、前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成する
プロセス装置。
【請求項11】
被処理基板の下面を吸着するチャックユニットと、前記被処理基板の上面側に配置され、上下方向に駆動される複数の高さ制御素子を備える高さ制御ユニットと、前記被処理基板の上面上に機能材料層を形成するための材料供給ユニットと、前記チャックユニット、前記高さ制御ユニット及び前記材料供給ユニットを制御する制御ユニットとを具備し、
前記制御ユニットは、
前記材料供給ユニットを用いて前記被処理基板の上面上に前記機能材料層を形成し、
前記複数の高さ制御素子の各々の高さをデータ値に基づいて制御し、かつ、
前記複数の高さ制御素子を前記機能材料層の上面に押し当てる
プロセス装置。
【請求項12】
前記複数の高さ制御素子は、保護層により覆われ、前記保護層を介して前記機能材料層の上面に押し当てられる請求項11に記載のプロセス装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−26233(P2013−26233A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156005(P2011−156005)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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