説明

ストロークセンサ、アクチュエータ及び車両用ヘッドライト装置

【課題】移動体の移動位置を線形に検出でき、しかも、強度的に強い構成にできるとともに成形が容易で安価に製造できるストロークセンサ、アクチュエータ及び車両用ヘッドライト装置を提供する。
【解決手段】センサマグネットMGは、ホールIC52の検出面52aと相対向する対向面が、前後方向に同一曲率半径の円弧状の円弧面S1に形成されている。円弧面S1は、センサマグネットMGの長手方向の中間位置P0を垂直に通過する直線L上であって、ホールIC52と反対側の線上に、該円弧面S1の曲率半径rの中心点Oが存在する円弧面である。ホールIC52は、検出面52aに対して垂直方向の成分の磁束密度を検出し、検出面52aに対して平行の磁束は検出しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストロークセンサ、アクチュエータ及び車両用ヘッドライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動部材の移動位置を検出するストロークセンサは、種々の機器で利用されている。例えば、モータの駆動力にて出力ロッドを往復動させるアクチュエータにおいて、該出力ロッドのその時々の移動位置をストロークセンサにて検出し、該出力ロッドの位置をフィードバック制御する場合に使用される。一般に、ストロークセンサは、磁石と該磁石の磁気を検出する磁気センサから構成されているものが多い。この種のストロークセンサは、移動部材に永久磁石を取着し、移動部材が往復移動する際に該磁石が移動通過する位置に磁気センサを配置固定する。そして、移動部材が往復移動する際の永久磁石と磁気センサの相対位置に応じて変化する磁気センサの磁気検出量に基づいて、移動部材の移動位置を検出する。
【0003】
ところで、磁気センサは、永久磁石(移動部材)との相対位置に対して磁気検出量が線形に変化することが、検出精度を上げるうえで好ましい。そこで、永久磁石との相対位置に対して磁気検出量が線形に変化するストロークセンサが種々提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、永久磁石の磁気センサ側の面を台形状に凹設する。さらに、永久磁石において台形状に凹設された面と、台形状に凹設された面の反対側の面とで、着磁する際の磁極(N極とS極)を、移動方向の両側において逆に着磁させる。これによって、磁気センサの検出量が永久磁石との相対位置に対して線形となる。
【特許文献1】特開平11−160010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ストロークセンサに使用される永久磁石は、台形状に凹設された面と、台形状に凹設された面の反対側の面とで、着磁する際の磁極(N極とS極)を移動方向の両側において逆に着磁させるため、その着磁方法が非常に手間を有しコスト高となっていた。また、永久磁石の磁気センサ側の面を台形状に凹設したため、強度的に弱くなるとともに、強度的に弱いことから成形する上でも時間をかけて注意を払って製造する必要があり製造効率が悪かった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、移動体の移動位置を線形に検出でき、しかも、強度的に強い構成にできるとともに成形が容易で安価に製造できるストロークセンサ、アクチュエータ及び車両用ヘッドライト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、一方向に往復移動する移動体に取着され、前記移動体とともに往復移動する永久磁石と、前記永久磁石が往復移動する移動経路の近接位置に該永久磁石が相対向して通過するように配置固定され、前記移動方向に対して直交する方向の磁束を検知し、前記永久磁石の移動通過を検出する磁気センサとを備え、前記永久磁石と磁気センサとの相対位置に応じて変化する磁気センサの磁気検出値に基づいて前記移動体の移動位置を検出するストロークセンサであって、前記永久磁石は、前記磁気センサによる磁気検出値が前記永久磁石との相対位置に対して線形となるように、前記永久磁石の移動方向の両端部を、それぞれ異なる磁極に着磁するとともに、前記永久磁石の一側面であって前記磁気センサが通過する際の前記磁気センサと対向する側の面を、前記磁気センサに向かって膨出する円弧面に形成する。
【0007】
請求項1に記載のストロークセンサによれば、永久磁石の移動方向の両端部をそれぞれ異なる磁極に着磁するとともに、永久磁石の磁気センサと対向する側の面を、磁気センサに向かって膨出する円弧面にしたので、磁気センサは、永久磁石と磁気センサの相対位置に対して線形で検出でき、しかも、永久磁石を強度的に強い構成にできるとともに、成形及び着磁が容易となる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のストロークセンサにおいて、円弧面は、永久磁石の長手方向の中間位置を垂直に通過する直線上であって、磁気センサと反対側の線上に、曲率半径の中心点が存在する円弧面である。
【0009】
請求項2に記載のストロークセンサによれば、永久磁石は中間位置を垂直に通過する直線を基準に前後を対称形状なので、成形が容易となる。
請求項3に記載の発明は、モータと、前記モータの回転軸と螺合するとともに回転不能且つ軸線方向に移動可能に支持され、前記回転軸の正逆転に基づいて、軸線方向に往復移動する出力軸と、前記出力軸に取着され、出力軸とともに軸線方向に往復移動する移動体とを備えたアクチュエータであって、前記移動体に取着され、前記移動体とともに往復移動する永久磁石と、前記永久磁石が往復移動する移動経路の近接位置に該永久磁石が相対向して通過するように配置固定され、前記移動方向に対して直交する方向の磁束を検知し、前記該永久磁石の移動通過を検出する磁気センサとを有し、前記永久磁石と磁気センサとの相対位置に応じて変化する磁気センサの磁気検出値に基づいて前記移動体の移動位置を検出するストロークセンサを備え、前記永久磁石は、前記磁気センサによる磁気検出値が前記永久磁石との相対位置に対して線形となるように、前記永久磁石の移動方向の両端部を、それぞれ異なる磁極に着磁するとともに、前記永久磁石の一側面であって前記磁気センサが通過する際の前記磁気センサと対向する側の面を、前記磁気センサに向かって膨出する円弧面に形成した。
【0010】
請求項3に記載のアクチェータによれば、ストロークセンサの磁気センサは、永久磁石と磁気センサの相対位置に対して線形で検出できることから、移動体の移動量を高精度に検出できる。また、ストロークセンサの永久磁石は成形及び着磁が容易なので安価に製造できことから、アクチュエータのコストダウンを図ることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のアクチェータにおいて、前記円弧面は、永久磁石の長手方向の中間位置を垂直に通過する直線上であって、磁気センサと反対側の線上に、曲率半径の中心点が存在する円弧面である。
【0012】
請求項4に記載のアクチェータによれば、アクチェータに備えたストロークセンサの永久磁石は、中間位置を垂直に通過する直線を基準に前後を対称形状なので、成形が容易となる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載したアクチュエータにより光源バルブを傾斜又は回動させることを特徴とする車両用ヘッドライト装置である。
請求項5に記載の車両用ヘッドライト装置によれば、光源バルブの傾斜又は回動を精度良く、そして、安価な車両用ヘッドライト装置を提供できる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、光源バルブを内側に配置した椀状の反射鏡の一側を回動可能に支持するとともに、前記反射鏡の他側に連結されたアクチュエータにて前記一側を回動中心に回動させて前記光源バルブの光軸の傾斜角度を調整できるようにした車両用ヘッドライト装置であって、前記アクチュエータを、請求項3又は4に記載したアクチュエータで構成した。
【0015】
請求項6に記載の車両用ヘッドライト装置によれば、アクチェータに備えたストロークセンサが光源バルブの光軸の傾斜角度を高精度に検出できるので、光源バルブのライトビームの角度を精度よく制御できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体の移動位置を線形に検出でき、しかも、強度的に強い構成にできるとともに成形が容易で安価に製造できる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、車両用ヘッドライト装置の断面図である。図1において、車両用ヘッドライト装置1は、透明樹脂からなるフロントカバー2aと金属製のエンドカバー2bとからなる筺体2を備え、エンドカバー2bには支持部材3及びアクチュエータ10が前方(フロントカバー2a側)に向かって支持固定されている。
【0018】
支持部材3は、その先端部が光源バルブLBを内側に配置した椀状の反射鏡Mの上部と回動可能に支持連結されている。アクチュエータ10は、前後方向に往復駆動する出力ロッドRを備え、その出力ロッドRの先端が前記反射鏡Mの下部と回動可能に支持連結されている。
【0019】
従って、アクチュエータ10の出力ロッドRが前後方向に往復動すると、光源バルブLBを内側に配置した反射鏡Mは、支持部材3の先端部の連結部を回動中心に上下方向に回動する。その結果、車両用ヘッドライト装置1は、アクチュエータ10の出力ロッドRが前後方向に往復動することで、反射鏡Mが上下方向に傾き光源バルブLBの光軸の傾斜角度が調整される。
【0020】
図2は、アクチュエータ10の断面図を示す。図2において、アクチュエータ10は、モータ部11と、出力部12と、ストロークセンサ13とを備えている。
モータ部11は、フロントハウジング21とエンドハウジング22とが連結固定されて構成されたモータハウジング20内に設けられている。フロントハウジング21は、合成樹脂製であって、円筒状の円筒ガイド部21aと、円筒ガイド部21aの後端部に延出形成されフランジ部21bとを有している。
【0021】
エンドハウジング22は、金属製であって、有底筒状の収容部22aを有し、その収容部22aの開口端が前記フロントハウジング21のフランジ部21bと連結固定されてモータ部11を収容する空間は形成される。
【0022】
エンドハウジング22の内周面には、円環状のステータ24が固定されている。ステータ24は、断面コ字状の凹部が円環状に形成された前後一対のステータコア25を備えている。前側のステータコア25の前側面は、ワッシャーWを介してフロントハウジング21のフランジ部21bに圧接されている。また、後側のステータコア25の後側面は、エンドハウジング22に圧接されている。
【0023】
前後一対のステータコア25の円環状に形成された凹部には、巻線26を巻回したコイルボビン27が配設されている。各巻線26は、エンドハウジング22の一側に設けられたコネクタハウジング28に設けた複数のオス型外部端子29とそれぞれ電気的に接続されている。そして、オス型外部端子29から制御された電流を巻線26に電流を流すことにより、ステータ24の内側に配置されたロータ30を回転させるための回転磁界が発生する。
【0024】
ロータ30は、回転軸31を有している。回転軸31は、その中心軸線C方向(前後方向)にガイド孔31aが貫通形成され、このガイド孔31aの前側内周面には、雌ねじ32が形成されている。
【0025】
回転軸31は、その前側部外周面がフロントハウジング21のフランジ部21bの中央開口部に取着した軸受けBを介してフロントハウジング21に対して回転可能に支持されている。また、回転軸31は、ガイド孔31aの後部開口端内周面がエンドハウジング22を凹設して形成した支持凸部22bに回動可能に嵌合支持されている。従って、回転軸31は、前端部を軸受けBで、後端部を支持凸部22bにてモータハウジング20に対して回転可能に支持されている。
【0026】
また、回転軸31の外周面には,公知の方法で着磁された複数のマグネット33が、該外周面に沿って配置固定されている。従って、ロータ30は、ステータ24の巻線26に電流を流して回転磁界を発生させてロータ30の回転軸31を正逆回転させる。この回転軸31の正逆回転によって、出力部12に設けた出力ロッドRが前後方向に移動される。
【0027】
出力ロッドRは、フロントハウジング21の円筒ガイド部21aに前後方向に移動可能に収容されている。出力ロッドRの基端一側にガイド突起40が形成されている。ガイド突起40は、円筒ガイド部21a内に中心軸線C方向(前後方向)に形成された摺動溝41に嵌合し、中心軸線Cを中心に回動されることなくその基端壁41aと先端壁41bの間の距離D1を摺動案内される。従って、出力ロッドRは、ガイド突起40と摺動溝41によって、中心軸線Cを中心に回動されることなく、図1実線で示す位置(以下、後退位置という)と2点鎖線で示す位置(以下、先頭位置という)の間のストローク距離(=D1−ガイド突起40の厚み)を往復移動できるようになっている。
【0028】
出力ロッドRには、出力軸42が固着されている。出力軸42は埋設部42aと雄ねじ部42bを有し、埋設部42aが中心軸線Cに沿って出力ロッドRに埋設固定され、出力ロッドRの基端から後方に突出した雄ねじ部42bが突出形成されている。出力軸42の雄ねじ部42bは、ロータ30の回転軸31に形成されたガイド孔31aに配置される。出力軸42の雄ねじ部42bは、ガイド孔31aに形成した雌ねじ32と螺合された状態でガイド孔31a内に配置されている。
【0029】
従って、ロータ30(回転軸31)が正逆回転すると、雌ねじ32と雄ねじ部42bが螺合しているため、出力軸42(出力ロッドR)は前後方向に後退位置と先頭位置との間を往復移動することになる。
【0030】
次に、前記出力ロッドRのストローク量(前後方向の移動量)を検出するストロークセンサ13について説明する。
フロントハウジング21の円筒ガイド部21aの一側に開口部を形成され、その開口部に回路基板51が固設されている。回路基板51の出力ロッドR側の面には、ホールIC52は実装されている。ホールIC52が、図2において中心軸線Cに平行且つ紙面に垂直な検出面52aを有し、出力ロッドRに取着され該出力ロッドRとともに移動するセンサマグネットMGから出す磁束密度を検知する。このホールIC52は、検出面52aに対して垂直方向の成分の磁束密度を検出し、検出面52aに対して平行の磁束は検出しない。
【0031】
出力ロッドRは、フロントハウジング21の円筒ガイド部21a内において中心軸線C方向(前後方向)に長い収容凹部53が凹設され、その収容凹部53に永久磁石としてのセンサマグネットMGが固設されている。センサマグネットMGは、図3に示すように、中心軸線C方向(前後方向)に長い一側が円弧状の矩形体をなし、その前後方向(長手方向)の両端部にN極とS極の磁極を有するように着磁されている(長手方向に向けて着磁されている)。
【0032】
センサマグネットMGは、長手方向の長さD2(図4参照)が前記した基端壁41aと先端壁41b間の距離D1より長く形成されている。そして、出力ロッドRに対してホールIC52は、出力ロッドRが先頭位置と後退位置の中間位置に位置している時、センサマグネットMGの長手方向の中間位置P0がホールIC52の検出面52aの中心位置と一致するように、位置決め固定されている。
【0033】
従って、出力ロッドRが先頭位置にある時、センサマグネットMGの後端位置P1は、ホールIC52の検出面52aから外れることはない。また、出力ロッドRが後退位置にある時、センサマグネットMGの前端位置P2は、ホールIC52の検出面52aから外れることはない。
【0034】
さらに、センサマグネットMGは、ホールIC52の水平な検出面52aと相対向する側の面(対向面S)が、中心軸線C方向に同一曲率半径の円弧状の円弧面S1に形成されている。円弧面S1は、図4に示すように、センサマグネットMGの長手方向の中間位置P0を垂直に通過する直線L上であって、ホールIC52と反対側の線上に、該円弧面S1の曲率半径rの中心点Oが存在する円弧面である。従って、円弧面S1は、中間位置P0が最もホールIC52の検出面52a側に高く、センサマグネットMGの中心軸線C方向(前後方向)の後端位置P1及び前端位置P2が最もホールIC52の検出面52a側に低い円弧面である。
【0035】
詳述すると、センサマグネットMGは、図5に示すように、対向面Sを円弧面S1にしたので、該円弧面S1から磁束が漏れるようにしている。そして、円弧面S1側の磁束は、センサマグネットMGの中間位置P0を通過する直線L上は、検出面52aと平行となる。また、直線Lを境に前側は、ホールIC52側に向く磁束密度が前側に行くほど線形的に大きくなり、直線Lを境に後側は、センサマグネットMG側に向く磁束密度が前側に行くほど線形的に大きくなる。
【0036】
従って、ホールIC52は、検出面52aに対して垂直方向の成分の磁束を検出することから、センサマグネットMGが前後方向に移動して、センサマグネットMGの後端位置P1、中間位置P0、前端位置P2が、対向配置されたホールIC52の中間位置Pzを通過するとき、図6の特性線L1に示すように、ホールIC52の検出結果は、線形となるように形成されている。その結果、ホールIC52は、センサマグネットMGとの相対位置に対する磁気検出値を線形で出力するので、検出精度の高い位置検出ができる。
【0037】
ちなみに、図6の特性線L1は、センサマグネットMGの長手方向の長さD2が20mm、中間位置P0の厚さD3が4mm、両端位置P1,P2の厚さD4が2.8mm、曲率半径rが42.27mmであって、先頭位置と後退位置の間のストローク距離(17mm)を移動したときに得られた特性線である。
【0038】
なお、図6の特性線L2は、円弧面S1を有さない矩形体のセンサマグネットの場合の特性を示し、線形にはならず、非線形になっていることがわかる。
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
【0039】
(1)上記実施形態によれば、ストロークセンサ13についてセンサマグネットMGの前後方向の両端部をそれぞれ異なる磁極に着磁したので(長手方向に向けて着磁したのみであるので)、着磁が容易となる。また、センサマグネットMGの対向面Sを、円弧面S1にしたので(円弧面S1とすることにより長手方向両端ほどホールIC52から遠ざけた結果、線形性を損なう長手方向両端側の過剰な磁気がホールIC52を横切ることを抑制したので)、ホールIC52は、センサマグネットMGとホールIC52の相対位置に対して線形で検出でき、しかも、センサマグネットMGを強度的に強い構成を容易に成形できる。
【0040】
また、センサマグネットMGは中間位置P0を垂直に通過する直線Lを基準に前後を対称形状なので、成形が容易となる。
(2)上記実施形態によれば、アクチェータ10に備えたストロークセンサのホールIC52を、センサマグネットMGとホールIC52の相対位置に対して線形で検出できるようにしたので、出力ロッドRの移動量を高精度に検出できる。また、ストロークセンサのセンサマグネットMGの成形及び着磁を容易したので、センサマグネットMGを安価に製造でき、アクチュエータ10のコストダウンを図ることができる。
【0041】
(3)上記実施形態によれば、アクチュエータ10に備えたストロークセンサが光源バルブLBの光軸の傾斜角度を高精度に検出できるので、光源バルブLBのライトビームの角度を精度よく制御できる。
【0042】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ストロークセンサ13を、モータ部11を正逆回転に基づいて出力軸42(出力ロッドR)を往復動させるアクチュエータ10に具体化したが、これに限定されるもではなく、例えば、電磁ソレノイドによって、出力ロッドRを往復動させるアクチュエータに応用してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、ストロークセンサ13を備えたアクチュエータ10を、光源バルブLBを垂直方向に傾斜させて光軸の垂直方向の角度を調整するレベリング用の車両用ヘッドライト装置1に具体化したが、これに限定されるものではなく、例えば、光源バルブLBを水平方向に回動させて光軸の水平方向の角度を調整するスイブル用の車両用ヘッドライト装置に応用してもよい。また、アクチュエータ10を、例えば、ドアロック装置、車両用サイドミラー装置等に使用されるアクチュエータに応用してもよい。
【0044】
・上記実施形態では、永久磁石としてのセンサマグネットMGは、焼結磁石、ボンド磁石、その他の方法で製造した永久磁石であってもよい。
・上記実施形態では、磁気センサとしてホールIC52を使用したが、これを、例えばホール素子、半導体磁気抵抗素子等を使用して実施してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、移動部材の出力ロッドRは、一端(先端)が駆動連結部とし、他の部材と連結し他の部材を作動させた。これを、出力ロッドは、両端部に駆動連結部を有し、その出力ロッドの両端部に、それぞれ他の部材を連結し、両他の部材を作動させるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】車両用ヘッドライト装置の断面図。
【図2】アクチュエータの断面図。
【図3】センサマグネットの全体斜視図。
【図4】センサマグネットの円弧面を説明するための説明図。
【図5】センサマグネットの磁束を説明するための説明図。
【図6】ホールICの中間位置に対するセンサマグネットの各位置におけるホールICが検出する磁束密度の関係を説明するための説明図。
【符号の説明】
【0047】
1…車両用ヘッドライト装置、10…アクチュエータ、11…モータ部、12…出力部、13…ストロークセンサ、24…ステータ、30…ロータ、31…回転軸、32…雌ねじ、33…マグネット、40…ガイド突起、41…摺動溝、42…出力軸、42b…雄ねじ部、51…回路基板、52…ホールIC、52a…検出面、L…直線、O…中心点、R…出力ロッド、r…曲率半径、S…対向面、S1…円弧面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に往復移動する移動体に取着され、前記移動体とともに往復移動する永久磁石と、
前記永久磁石が往復移動する移動経路の近接位置に該永久磁石が相対向して通過するように配置固定され、前記移動方向に対して直交する方向の磁束を検知し、前記永久磁石の移動通過を検出する磁気センサと
を備え、前記永久磁石と磁気センサとの相対位置に応じて変化する磁気センサの磁気検出値に基づいて前記移動体の移動位置を検出するストロークセンサであって、
前記永久磁石は、前記磁気センサによる磁気検出値が前記永久磁石との相対位置に対して線形となるように、前記永久磁石の移動方向の両端部を、それぞれ異なる磁極に着磁するとともに、前記永久磁石の一側面であって前記磁気センサが通過する際の前記磁気センサと対向する側の面を、前記磁気センサに向かって膨出する円弧面に形成することを特徴とするストロークセンサ。
【請求項2】
請求項1に記載のストロークセンサにおいて、
円弧面は、永久磁石の長手方向の中間位置を垂直に通過する直線上であって、磁気センサと反対側の線上に、曲率半径の中心点が存在する円弧面であることを特徴とするストロークセンサ。
【請求項3】
モータと、
前記モータの回転軸と螺合するとともに回転不能且つ軸線方向に移動可能に支持され、前記回転軸の正逆転に基づいて、軸線方向に往復移動する出力軸と、
前記出力軸に取着され、前記出力軸とともに軸線方向に往復移動する移動体とを備えたアクチュエータであって、
前記移動体に取着され、前記移動体とともに往復移動する永久磁石と、
前記永久磁石が往復移動する移動経路の近接位置に該永久磁石が相対向して通過するように配置固定され、前記移動方向に対して直交する方向の磁束を検知し、前記該永久磁石の移動通過を検出する磁気センサとを有し、前記永久磁石と磁気センサとの相対位置に応じて変化する磁気センサの磁気検出値に基づいて前記移動体の移動位置を検出するストロークセンサを備え、
前記永久磁石は、前記磁気センサによる磁気検出値が前記永久磁石との相対位置に対して線形となるように、前記永久磁石の移動方向の両端部を、それぞれ異なる磁極に着磁するとともに、前記永久磁石の一側面であって前記磁気センサが通過する際の前記磁気センサと対向する側の面を、前記磁気センサに向かって膨出する円弧面に形成したことを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項3に記載のアクチェータにおいて、
前記円弧面は、永久磁石の長手方向の中間位置を垂直に通過する直線上であって、磁気センサと反対側の線上に、曲率半径の中心点が存在する円弧面であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項3又は4に記載したアクチュエータにより光源バルブを傾斜又は回動させることを特徴とする車両用ヘッドライト装置。
【請求項6】
光源バルブを内側に配置した椀状の反射鏡の一側を回動可能に支持するとともに、前記反射鏡の他側に連結されたアクチュエータにて前記一側を回動中心に回動させて前記光源バルブの光軸の傾斜角度を調整できるようにした車両用ヘッドライト装置であって、
前記アクチュエータを、請求項3又は4に記載したアクチュエータで構成したことを特徴とする車両用ヘッドライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−276230(P2009−276230A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−128490(P2008−128490)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】