説明

スピンコーティング方法および圧力センサを有するスピンコーティング装置

【課題】処理溶液の圧力を測定するための圧力センサを含むスピンコーティングシステム、特にその装置を提供する。
【解決手段】基板上に処理溶液をスピンコーティング処理するのに有効な方法及び装置を開示する。この方法及び装置は、処理溶液の圧力、即ち、分配器から処理溶液の開始または終了に関係した圧力を検出するための圧力センサ218を含む。好ましい方法及び装置は、分配ライン215におけるフォトレジスト、現像液、水、溶媒、または洗浄剤の圧力を測定する。また、この方法及び装置は、割り込み動作を含むパラレル制御方法を含む処理制御システムを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子用のウエハまたは他のマイクロエレクトロニクスデバイス等の基板上に処理溶液等の材料を付加するための制御システムを含むスピンコーティング方法及びその装置に関する。この方法及び装置は、スピンコーティング処理の監視及び制御ステップのために、さらに誤動作を検出するために用いられる圧力センサを含んでいる。
【背景技術】
【0002】
ある製造工程では、薄いフィルム材料を商業的に重要な種々の基板上に被覆することが要求される。材料を基板上に付加するために商業的に用いられてきた1つの方法は、スピンコーティング処理、すなわち、スピンコーター(spin-coater)を用いるスピン被覆法である。スピンコーターは、一定量の材料を基板上に配置可能であり、また1つ又は一連の回転速度でその中心軸回りに基板を回転させることができる。遠心力の作用により、回転する基板の表面上に材料が広がり、薄い、均一なフィルムが形成される。
【0003】
更に、一般的に、商業的に重要な種々の基板、即ち、マイクロエレクトロニクスデバイスを含む半導体ウエハ及び集積回路では、基板表面の限定された領域にいくつかの処理ステップを制限して行う必要がある。たとえば、マイクロエレクトロニクスデバイスの処理において、回路設計を構成するために異なる材料を半導体ウエハ上に正確に配置することが良い。
【0004】
このような処理の1つのステップは、基板の異なる領域の境界を正確に定めることであり、適切でない材料の作用及び処理ステップに対して処理されるまたは保護されるかのいずれかを選択しなければならない。このような基板の共通の処理方法は、フォトリソグラフィー(写真平版技術)及びスピンコーティングを含んでいる。
【0005】
フォトリソグラフィーは、マイクロエレクトロニクスデバイス等の基板の領域を選択的に保護又は露光するのに用いられる。感光性のフォトレジスト材料のコーティングは、素子上に薄い膜としてスピンコートされる。溶媒等の他の処理溶液は、被膜された基板と同様に選択的に付加することができる。このフォトレジスト層は、パターン化されたフォトマスクを介して電磁エネルギーに晒されて、露光されたフォトレジスト材料の化学的反応を引き起し、マスクされた領域(即ち、電磁エネルギーに晒されない)の材料以外では化学的反応が起こらない。
【0006】
その後、現像溶液が、フォトレジスト材料全体にスピンコーティングされるかまたは塗布される。この現像溶液により、フォトレジストの露光された領域と、されない領域がともに現像溶液に浸かり、そして、現像されたフォトレジストと現像されないフォトレジスト部分が除去される。
【0007】
フォトレジストが、いわゆるネガティブタイプである場合、コーティングの露光されない領域は、現像されて除去される。一方、フォトレジストがいわゆるポジティブタイプである場合、フォトレジストコーティングの露光された領域が現像されて除去される。フォトリソグラフィーの両方のタイプは、残留フォトレジストが保護層を形成し、フォトマスクのポジティブ又はネガティブのいずれにおいても、更に露光された領域を処理することができるとともに、フォトレジストにより覆われた領域を保護することができる。
【0008】
フォトレジスト層(ちょうど露光される前の)の厚さは、マイクロエレクトロニクスデバイスの最終製品の品質、性能、及び製造コストの1つまたはそれ以上に対して重要な影響を与えることができる。露光されたかつ現像されたフォトレジスト層は、フォトレジスト層を用いる基板上に構成される特徴部分の大きさ及び解像度に影響を与える。より薄い層は、特徴部分の有効なアスペクト比(即ち、高さ対幅)の範囲に基づく、特性および解像度がよりきめ細かになる。さらに、単色光を用いてフォトレジストを露光する時、この光は、層を通過して反射され、これにより、生産的または破壊的な干渉が生じる。望ましいフィルム厚さは、薄いフィルムの干渉/スイングカーブの最大値または最小値で作動するように設計されている。
【0009】
均一な形式において小さい形状を得るために、フォトレジスト層の均一性は、また重要なことであり、単一基板上におけるフォトレジストフィルムの厚さの均一性(イントラーウエハの均一性)と、異なる基板に付加される異なるコーティング間の(平均)厚さの(インターウエハの均一性)の両方を意味している。イントラーウエハ(intra-wafer)の均一性は、たとえば、所定のデバイス上に配置される構成部品の形状の大きさを与えることから重要である。インターウエハ(inter-wafer)の均一性は、たとえば、予想可能な均一厚さを有するコーティングを製造することが、均一でかつ一定の品質を有するデバイスの生産を可能にするので、重要である。
【0010】
説明したように、現像されたフォトレジスト層は、マルチ−ステップ処理の生産物であり、この処理は、フォトレジスト溶液をコーティングし、現像溶液をコーティング(フォトレジストを露光した後)する各ステップを含んでいる。両方の処理ステップとこれに関係した材料は、均一でかつ予想可能な厚さ、及び均一な形状寸法を有する、現像されたフォトレジスト層を製造する場合の鍵となり得る。
【0011】
スピン処理方法は、スピンコーティング処理ステップを均一かつ繰り返し可能な形式で実行させるために、処理状態、材料、及び個々の処理指令を密接に監視および/または制御することにより、コーティングの均一性を与えることを試みる。これは、予めプログラムされた一組の事象に従って、反復的で、予測された、タイミング及び状態を有する個々の処理ステップを均一に実行させるために、一般的に、コンピュータ化した処理制御システムをプログラムすることにより達成される。
【0012】
さらに、非常に小さい寸法および包含される許容寸法範囲によると、重要ではないと見なされる上記プロセスを取巻く要因が、スピンコートされた材料の変動および非均一性を生じさせ、真に失敗をもたらす結果を引き起こす場合がある。
【0013】
これらの要因には、処理溶液の粘性及び温度、スピン速度と加速度、処理のタイミング遅れ、コーティング装置におけるエアの動き及び速度、周囲の湿度、周囲温度、周囲気圧、化学的な計量分配システムパラメータ、タイミングにおける小さな変動、付加された処理溶液の機械的衝撃等が含まれる。ある方法では、スピンコートされた材料の厚さにおける影響を減少させるために、これらの要因に対する監視と補正が必要となる。
【0014】
一般的に、スピンコーティングは、コンピュータ化された処理制御システムを用いて、処理条件を制御する。スピンコーティング処理を制御するために使用される1つのシステムは、シリアル処理制御、たとえば、ラウンド−ロビン(round robin)型の制御処理を含んでいる。シリアル型の制御処理において、電子的又はコンピュータ化されたユニットが、シーケンス的すなわちシリアル的な方法論を用いるスピンコーティング装置の種々の要素を監視しかつ制御する。この処理制御システムは、一般的に、連続したシリアル(例えば、回路的な)パスに従って、変化しない(図3を参照)予め決められた順番で装置の識別された構成要素を順次アドレスを指定して作動する。
【0015】
実際には、コンピュータ又は中央処理ユニット(CPU)がプログラムにより順次アドレスを指定して1つのサブルーチンを一度に処理できる。図3において、サブルーチンは、CPUによって従うパスから発生する光線によって表される。このCPUは、サブルーチンをアドレス指定し、条件またはパラメータをチェックすることによりサブルーチンの指令を実行して、指令された動作を行う。そして、このような動作が完了した後、次のサブルーチンに移動する。図3は、サブルーチンを表わす多数の射線(ray)を示す。いくつかの射線は、典型的なサブルーチンを識別するためにラベル付けされ、また他のいくつかは、ラベル付けされていない。
【0016】
処理制御の方法、及び外部条件に対する監視、制御または補正を行う方法を用いるスピンコーティングでは、達成可能なコーティングの均一性のレベルに制限が伴う。このことは、特に、マイクロエレクトロニクスデバイスが小さくなるほど、また、形状寸法における変動の許容寸法範囲がより要求されるほど、真実である。より新しくなればなるほど、スピンコーティング処理の測定、タイミング、および制御の正確な方法が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、処理溶液の圧力を測定するための圧力センサを含むスピンコーティングシステム、特にその装置を提供することである。この処理溶液は、(有機触媒として水を含む)触媒、フォトレジスト、現像溶液等のマイクロエレクトロニクス処理に用いられる多数の溶液のいずれかである。圧力センサは、ここで記載するように、単独に又は好ましくは選択された処理制御システムと組み合わせてスピンコーティングシステム及び方法論に組み込まれる。スピンコーティングシステム及びその処理の制御を改善し、かつ不具合又は他の誤動作を認知することによってスピンコーティングシステムの適切な機能を監視する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この圧力センサは、例えば、分配ステップに関連して同時に分配するラインにおいて、処理溶液の圧力に関する情報を与えるために用いることができる。この情報は、全体の分配処理の全体にわたり検出及び監視動作を可能にしており、この分配処理は、圧力センサによって測定された圧力に基づく処理溶液の分配の最初または最後に監視することを含んでいる。
【0019】
他の有益な情報(分配に最初と最後以外の)は、同じ圧力信号から、例えば、分配ステップにおける特定の繰り返し点での圧力読取値から導くことができる。このような情報は、分配処理における繰り返し点、例えば、分配ステップ中、またはその前後の点での分配ライン内の圧力の量の変化が緩やかなドリフトまたは急激な変化を検出するのに有効となる。
これは、スピンコーティングシステムにおける、副のまたは主のラインにおける障害、リーク、或いはそれ以外のタイプの設備の誤動作等の緩慢なまたは急な不規則性又は誤動作を示す。
【0020】
また、本発明は、圧力センサ等を包含するスピンコーティング処理及び処理制御システムに関する。
本発明の好ましい実施形態では、スピンコーティングは、コンピュータ化された処理制御システムを用いて制御される装置及び方法、特に、処理指令をパラレル処理で実行するようにシリアル処理制御に割り込ませる「パラレル」処理制御システムに関する。これにより、シリアル処理制御に関連するタイミングの変動を減少または取り除く。
【0021】
このような実施形態において、圧力センサからの信号又は測定値は、処理システムに組み込まれる。例えば、分配ステップ中またはその前後に同時に圧力センサからの信号から導かれる情報は、処理溶液の分配の開始または終了を示すことができ、また、その指示は、処理における後工程のタイミングを正確に制御するための参照点とすることができる。このような処理は、他の処理制御方法、特に、処理制御及び分配ステップに続いて起こるプロセスステップのタイミングを制御する際の改良を提供できる。
【0022】
従来のコンピュータ処理制御システムは、スピンコーティング処理の中にタイミング変動を導く。これらの変動は、基板に被覆されるフォトレジスト溶液のインターウエハ及びイントラウエハの厚さに顕著な変化を生じさせる。1つの例では、タイミング変動は、スピンコートされたフォトレジストのライン幅の反復性に変動を導く。これは、スピンコートされたフォトレジスト溶液の厚さに変動を生じさせ、また、現像溶液がスピンコーティングされ、それがフォトレジスト液上に残ること、即ち、フォトレジスト溶液の厚さの変動と、フォトレジスト溶液上に現像溶液を塗布し、かつフォトレジスト溶液から現像溶液を取り除くタイミングの変動が組み合わされることによる変化が生じる。
【0023】
スピンコーティング処理の制御において、この処理の一連のステップまたは事象を作り上げる正確なタイミング事象を備えた最高精度を達成することができる。正確な処理は、各ステップ、事象、又は条件等を測定することによって達成することができ、この処理は、最高の正確さ及び精度を与える技術及び機器を用いる工程を有する。この点に関して、本発明の実施形態では、処理溶液が分配されるとき(実際の分配の僅かに前後する時点を含む。)、処理溶液の圧力を測定するために圧力センサを用い、そして、例えば、処理溶液の分配の始めと終わりを検出するために、この処理制御システムの中にこの圧力測定を組み込んでいる。
【0024】
従来の処理制御技術では、処理溶液を分配するのに用いるシステムに固有の変動により比較的不正確となる種々の手段によって分配の終わりを測定する。このような変動を生じることは、処理制御システムにおける遅れ時間と処理制御システムとスピンコーティングシステムとの間の遅れ時間、及び、ポンプ、分配ライン、及び弁装置等のスピンコーティングシステムの構成部品における物理的及び機械的変動及び不正確さを含んでいる。
【0025】
本明細書で記載されるように、あまり重要ではないと思われる、分単位の小さなタイミング差でさえも、スピンコートされた処理溶液の厚さまたは均一性に影響を与える。それゆえ、分配システムの機械的要因によって生じる変動を取り除くことによって与えられるタイミングにおける小さな改善でさえも、コーティングの均一性に顕著な改善をもたらす。
【0026】
本発明の実施形態によれば、処理溶液の分配ラインに設けた圧力センサは、処理制御システム内に組み込むことができる。たとえば、一連の処理ステップの工程中またはその間にタイミングの変化性を減少させる。分配ラインに圧力センサを用いることにより、スピンコーティング装置の分配または制御要素、例えば、ポンプあるいはバルブの作動または停止に関連する事象を検出する代わりに、処理流体の流れを実際に直接流すことを監視することができる。この流体応答(圧力)を直接測定することは、タイミング変動を減少させまたは取り除くことができ、そうでなければ、間接的に流体の分配を測定することは固有のことである。
【0027】
本発明の方法は、これにより、実際の分配ステップの正確なタイミングの測定を与え、かつスピンコーティング処理の正確な制御とタイミングを可能にする。
【0028】
スピンコーティング処理(スピンコートシステムの機械的及び物理的な構成要素によって生じる固有の変動を超える)のタイミングの付加的な変動は、ある処理制御システムによって引き起こされる。シリアル形式、例えば、ラウンド・ロビン形式では、処理パラメータが所定の、固定形式で一連のサブルーチンを介して順次アドレス指定されるので、処理制御システムがタイミング変動を起こす。各サブルーチンでは、複数の条件が監視され、かつデータが集計されて記録される。そして、(プログラムされた指令によって要求される場合)動作が実行され、更新されたデータは、次のサブルーチンに移行する。単純なラウンド−ロビン・アルゴリズムの一例が図3に示されている。この処理制御システムは、1つのサブルーチンから次のサブルーチンへのパス(円形として示された)を介して作動する。
【0029】
各サブルーチンは、スピンコーティング装置の1つまたはそれ以上の異なるパラメータ(センサを介して、又はハードウエアをアドレス指定することによって)、例えば、チャックの温度、溶液の温度、または周囲温度等の種々の温度をアドレス指定する。また、処理ステップが開始したかまたは完了したかどうか、例えば、分配器の開始または終了、化学的な温度制御の処理;タイマー、スピンモータ(速度又は加速のための点検)、ポンプ、分配ライン、分配アーム(位置)、及びスピンコーティング装置の内部条件をアドレス指定する。
【0030】
このシリアル制御システムを用いる制御されたシステムにおいて、固有のタイミング変動の例を示すために、処理制御システムは、分配アームから処理溶液の分配の終了時にターンテーブルをスピンニングさせる処理を考慮する。分配の終了が起こる正確な時点が予測できない場合、コンピュータは、ターンテーブルまたは分配アームに関係しない他のサブルーチンのいずれかをアドレス指定する。
【0031】
図3において、サブルーチン1aは、分配が終了したかをチェックし、もしそうであれば、ターンテーブルの回転を開始する。分配が完了した場合、例えば、CPUは、分配アームに関係するサブルーチン1fをアドレス指定し、残りのサブルーチンがアドレス指定されるまで分配情報の終了を伝達しない。これは、(例えば、ミネソタ州、チャスカのFSIインターナショナル社から市販されているスピンコーティング装置「登録商標POLARIS」では)10ミリ秒単位の範囲、例えば、30または50ミリ秒までの時間がかかる。さらに、特定の機械、処理制御システム、異なる割り込みサブルーチンの長さ、及びサブルーチンの数によれば、それ以上の時間が必要とされる。その場合、CPUは、ターンテーブルサブルーチンに与える分配の実際の終了後、このような情報によって動作する。
【0032】
ミリ秒の範囲の時間遅れは、最初は重要とはならない。しかし、マイクロエレクトロニクスデバイスを処理するのに用いられる最新のスピンコートされた材料に関係した微小寸法及び許容公差を取り扱うとき、ミリ秒であっても重要となる。これらの範囲におけるタイミングの遅れは、スピンコートされた処理溶液の厚さ及び均一性において検出可能な変動を生じる。また、被膜され、塗布され、あるいは他のスピンコーティング技術を用いて処理した処理溶液のライン幅の反復性に対しても変動を生じる。たとえば、フォトレジスト材料をスピンコーティングする場合、このミリ秒の範囲におけるタイミング変動により、スピンコートされたフォトレジスト層における厚さの変動、また、露光前の測定光に変動を生じ、10ミリ秒の遅れにつき1.3オングストローム程度の厚さの変動が生じることが見出される。
【0033】
スピンコーティング方法を用いる現像溶液を塗布するとき、ミリ秒単位のタイミング変動により、パターン化されたフォトレジスト層におけるライン幅の反復性の変動を生じることが見出され、この変動は、10ミリ秒遅れにつき概略1オングストローム程度である。
【0034】
シリアル形式、例えば、ラウンド−ロビン型の処理制御システムを用いた場合の更なる重要な問題は、スピンコーティング処理の単一ステップの実行またはスピンコーティング処理の作動におけるタイミング変動を導くばかりでなく、累積変動を許しながら、続いて起こるステップに対する変動も伴う。
【0035】
図9は、シリアル処理において、早い処理ステップにおけるタイミングの変動また事象が、下流のステップに運ばれて、次に続くステップに影響を与えることから、この変動が、1つのプロセスを介してどのように累積されるかを示している(図4及び図5に基本的な処理ステップが示されている。)。シリアル形式において、1つのステップの開始は、より早いステップまたは事象の終了に基づいている。これは、スピンコーティング処理の一連のステップにわたってしばしば起こることである。
【0036】
図9において、例示的なスピンコーティング処理は、ステップ1(たとえば分配)、ステップ2(たとえば、スピンの加速)、ステップ3(たとえば、分配器の移動)(図4は、さらに特定したこれらのステップを示す。)を含む複数のステップを介して進行する。図9のX軸は、一連のステップのタイミングを示す。各ステップの開始(ステップ2での開始)は、前のステップの終了によって促進される。このように、ステップ1の終了時、コンピュータは、このステップの終了を認識し、そしてステップ2の指令を開始する。同様に、ステップ2の終了時に、コンピュータは、このステップの終了を認識し、ステップ3の指令を開始する。これは、連続した一連のプログラムされた処理ステップを介して続けられる。
【0037】
図9に示すように、続いて起こるステップを介してプログラムが順次進行するので、各処理ステップのタイミングの変動が累積される。特に、ステップ1の終了の発生は、この終了が実際に起きた後、50ミリ秒(0.050秒)以内の時間で検出されて動作するであろう。この事象が、実際にタイマーが作動した後、正確に1.00秒で起こる場合、このシステムは、1.00〜1.05秒の時間の範囲内の時間でその情報を検出して使用する。ステップ2は、ステップ1の終了が検出されると、開始される。ステップ2は、それ自体50ミリ秒(0.050秒)程度のタイミング変動を導く。そして、ステップ2が2.00秒の時間でプログラムを完了する場合、2.00〜2.10秒の範囲の時間で完了しかつ検出されるであろう。ステップ2の終了から開始したステップ3の終了は、最初の2つに加えられた別の変動、たとえば、0.15秒までの変動を含むであろう。要するに、続いて起こる事象のタイミングまたはスピンコーティング処理の指令が先行する事象のタイミングに関係する時、標準のシリアル型の処理制御システムにおいて、連続するステップを通して処理が進行する時、各ステップのタイミングの変動が累積する。
【0038】
これらの変動の結果、特に、一連のステップを通じて複合されると、スピンコーティングによって塗布される材料のイントラウエハ及びインターウエハの各特性において変動を生じる。たとえば、シリアル又はラウンドロビン型の制御プログラムを用いてフォトレジストを基板にスピンコートさせると、ソフトベイクの後及び露光前に測定したとき、±25オングストローム(3シグマ)までのフォトレジストフィルムの厚さ変動を有する。スピンコーティング技術を用いて現像溶液を塗布する場合、これらの範囲内のタイミングにおける変動は、約8nmのインターウエハ及び約10mmのイントラウエハ(3標準偏差)において、現像されたフォトレジストフィルムのライン幅の反復性における変動を生じる。
【0039】
パラレル制御を用いる処理制御システムは、シリアル処理制御におけるステップ間の遅れ時間を取り除きながら、分配のタイミング及びそれ続く処理事象、フィルム被膜の厚さ、およびライン幅の反復性における変動を減少させることができる。パラレル制御は、ある事象が(即ち、トリガ事象)が起こるときの時刻と、その事象が検出され、そして、次に続く処理指令を開始するのに用いる際の時刻との間で起こる処理の遅れをなくすことができる。この代わりに、複数の処理ステップが独立して計時され、かつ並列に、たとえば、個別に、個々の継続時間を測定するための個別のタイマーを用いて、実行することができる。
【0040】
このことは、パラレル制御を用いる処理制御システムが、早い処理ステップまたは事象に従って次に起こる一連の処理ステップを制御することによって生じたタイミング変動の累積を避けることができることを意味する。例えば、パラレル制御は、独立して、単一のスピンコート処理事象から測定された多数の持続時間のタイミングを制御し、次に続くシリアル制御に割り込み、そして、1つ以上の処理指令を開始する。例えば、第1の割り込みルーチン(ISR)を受け取った時、パラレル処理制御システムは、2つまたはそれ以上のタイマーに対する命令を含む割り込みサービスルーチン(ISR)を実行でき、タイマーは、時間ゼロで同時に作動し、ISRは、測定された各継続時間に対して個別のタイミングデバイスとして用いる。
【0041】
各タイマーの継続時間が終了に達すると、処理制御は、所定の処理指令を実行するために、再び割り込みがなされ、そして、その後、シリアル処理制御が再開される。第2の継続時間が終了するとき、制御は再び割り込みがなされ、第2の処理指令が、順次実行される。多くのタイマーと処理指令が、割り込みワービスルーチンには含まれる。有利なことに、各処理指令は、独立して、タイマーの正確さの範囲内の時間で実行するように制御される。複数の継続時間は、直列でなく並列して測定され、そのため変動が累積されない。
【0042】
要するに、シリアル処理制御システムは、たとえば、ある事象が発生した時間からその発生が検出されかつ動作するまでの、一連の処理指令における各ステップごとに30〜50ミリ秒(0.030〜0.050秒)の遅れを生じさせる。この変動は、スピンコートされた材料の均一性に影響を与えることができ、より後のステップの開始により累積する変動が、前のステップの各終了時に基づくのでより重要となる。
【0043】
パラレルに割り込み駆動される処理制御方法は、遅かれ早かれある順序における1つのステップにおいて、わずかに5ミリ秒の変動しかない。その結果、個々の処理ステップのタイミングにおける変動を取り除くことができる。さらに、一連の処理ステップは、1つ以上の処理の継続時間における並列タイミングでもって、一連の処理ステップを通じて減少した変動の累積が取り除かれる。
【0044】
本発明のスピンコーティングシステム及び方法において圧力センサを用いることにより、ラウンドロビン型のシリアル処理制御、または(好ましくは)パラレル処理制御等の処理制御システムのいずれかの形式を用いるスピンコーティング処理のタイミング及び正確さを改良することができる。
【0045】
本発明に従う圧力センサを含むスピンコーティングシステム及び処理制御システムは、パラレル処理制御を用いて作動させることが望ましく、この処理制御システムは、トリガ事象に割り込みが可能となるようにプログラムされていて、この割り込み時、システムは、次の処理指令を、即ち、シリアル処理の介入サブルーチンをアドレス指定することによって遅れを生じることなく、促進して実行する。この処理指令は、好ましくはスピンコートされた材料の均一性に影響を与えるタイミングを指令することができる。スピンコートされた材料の塗布による均一性が改善される。これは、処理指令の割り込み及び処理の促進によって、シリアル型の処理制御に関連する遅れを避けることができるからである。
【0046】
この処理指令は、スピンコーティング材料の品質、即ち、均一性に影響を与えるタイミング命令であることが好ましい。処理指令の割り込み及び迅速な実行は、シリアル形式の処理制御に関連する遅れを避けることができるので、スピンコートされる材料への塗布の均一性が改良される。トリガ事象は、処理溶液の分配ラインに配置される圧力センサによって測定された処理溶液の分配の開始または終了時に、ここで説明するような圧力センサを用いて測定される処理溶液の圧力に関係するが、必ずしも必要なものではない。
【0047】
本発明の処理制御方法は、基板上に処理溶液をスピンコーティングする工程中に用いることができ、このような処理としては、スピンコート用フォトレジスト溶液、及び基板上の選択的な溶媒溶液を包含する処理、基板上にスピンコート用現像溶液の処理、選択的に、基板上に脱イオン水を基板上にスピンコートする処理、また、これらの2つまたはそれ以上を含む処理、例えば、第1に、フォトレジスト溶液を基板上にスピンコートし、次に、現像溶液をフォトレジスト上に被膜させる処理を含んでいる。基板、フォトレジスト、及び現像溶液は、別の望ましい処理を行うこともできる。以上記載した処理は、基板上にスピンコートされる処理溶液の被膜の均一性、タイミング、および基板への衝撃を改善させる。そして、この処理は、現像されてパターン化されたフォトレジスト層の厚さを特に均一にさせる。
【0048】
このような方法で、現像溶液がスピンコートされたフォトレジスト材料上に塗布されると、そして、各スピンコーティング処理が本明細書で説明したように、割り込みされたタイミング方法を用いて、 (ソフトベイク後及び露光前に測定されたときの)フォトレジスト層の均一性が、15オングストローム(3シグマ)ほど小さくまたはそれ以下、好ましくは5オングストローム(3シグマ)以下の厚さ(イントラウエハ及びインターウエハの両方に対して)にすることができる。この処理は、また、ハードベイク後に測定して、イントラウエハで9ナノメータ(3シグマ)、インターウエハで6ナノメータ(3シグマ)のライン幅を有するフォトレジストコーティングを作ることができる。
【0049】
これらの値は、ここで説明する、例えば、分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定する圧力センサが、フォトレジスト溶液、現像溶液、またはこのスピンコーティング処理において使用される他の処理溶液の分配の開始または終了の時点を測定するのに用いられるとき、および圧力からの情報が、パラレル形式の処理制御システムに用いられる。
【0050】
一般的に、本発明は、スピンコーティング方法、さらに、この発明の処理制御方法を作動させることができるスピンコーティング装置を企図しており、この処理制御方法は、圧力センサの使用を含み、また、必ずしも包含する必要はないが、パラレル処理制御を含むことが望ましい。
【0051】
1つの実施形態では、スピンコーティング処理及び装置は、分配中及び分配時間の近くの分配ラインにおいて、処理溶液の圧力を測定するための圧力センサを包含することができる。また、処理溶液の分配の開始点と終了点を検出することが望ましい。さらに、割り込み処理制御は、分配に続くスピンコーティング処理の少なくとも一部分を制御するのに用いることができる。さらに、好ましくは、並列に配置された多数のタイマーを用いる。
【0052】
最も好ましくは、ハードウエアの割り込みにより、処理制御システムが、割り込みサービスルーチンに入るようにさせ、そして、システムが割り込まれたタイミング制御を用いるように命令し、並列したタイマーを用いて、1つまたはそれ以上の時間感応指令を実行する。
【0053】
この割り込みサービルルーチンは、トリガ事象の時間に一緒におそらく開始する継続時間内の割り込みサービルルーチン中に同時に作動する2つ以上のタイマーを設定するステップを含む。異なる処理指令(この指令があろうがなかろうが、好ましくは、時間感応処理指令であるが)各継続時間の終わりに実行される。
【0054】
一つの実施形態では、割り込みサービスルーチンは、圧力センサからの信号によってトリガすることができ、例えば、フォトレジスト溶液をスピンコートする際に、トリガ事象は、フォトレジストのスピンコート処理に用いられる処理溶液の分配の終わり、フォトレジスト溶液の分配の終わり、または溶媒の分配の終わりとすることができる。スピンコーティングする現像溶液におけるトリガ事象は、現像溶液の分配の開始、または脱イオン水の分配の開始等の、現像溶液を被膜するのに用いられる処理溶液の分配の開始とすることができる。
【0055】
本発明の他の構成は、スピンコーティング装置に関係し、この装置は、分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、分配ラインにある処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含んでいる。この圧力センサは、処理溶液の圧力を測定できる他のデバイスとすることもでき、また、好ましくは、圧力変換器を含むものとすることができる。
【0056】
本発明によれば、この圧力センサは、分配ラインにある処理溶液の圧力を、処理溶液を分配するステップに関連して同時に測定することができ、例えば、分配器によって、スピンコート処理ステップに続いてタイミングを制御するために、基板上に分配される処理溶液の開始時または終了時に検出することができる。
【0057】
本発明の他の構成は、スピンコーティング装置に関係し、この装置は、基板を支持しかつ回転させるためのターンテーブル、分配位置及び非分配位置の間で移動可能な分配器、分配ラインを介して前記分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源、分配ラインにある処理溶液の圧力を測定する圧力センサ、および基板への処理溶液の塗布を制御する処理制御システムとを含んでいる。圧力センサは、例えば、必ずしも必要ではないが、処理溶液を分配するステップに関連して同時に、分配器から分配される処理溶液の開始時または終了時に検出する。また、処理制御システムは、処理指令を実行するためにシリアル制御に割り込むようにプログラムされている。
【0058】
また、本発明の別の構成は、スピンコーティング装置を制御するための制御システムに関係する。この制御システムは、例えば、分配ラインにおいて、処理溶液の圧力に基づいて処理溶液の分配に開始時または終了時に、処理流体の圧力を測定する。圧力の読取値は、次の処理ステップを制御するのに用いられる。
【0059】
また、本発明の別の構成は、マイクロエレクトロニクスデバイス及び集積回路を含む半導体ウエハ等の基板上に、処理溶液をスピンコーティングする方法に関する。この方法は、分配器と流体連通する、処理溶液の供給源を含むスピンコーティングシステムを設け、分配器を介して基板に処理溶液を分配し、そして、分配器で処理溶液の分配の開始または終了を検出するために処理溶液の圧力を測定する各ステップを含んでいる。
【0060】
さらに、本発明の別の構成は、半導体ウエハ上にフォトレジストをスピンコーティングする方法に関する。この方法は、半導体ウエハの表面上にフォトレジスト溶液をスピンコーティングし、このフォトレジスト材料上に現像溶液をスピンコーティングするステップを含み、さらに、フォトレジスト溶液の分配の開始または終了、あるいは現像溶液の分配の開始または終了の1つまたはそれ以上を測定する圧力センサを用いることを特徴としている。
【0061】
また、本発明の別の構成は、スピンコーティングシステムを用いて、基板上に処理溶液を塗布するためのスピンコーティング処理を制御するための方法に関する。このスピンコーティングシステムは、分配ラインを介して分配器に流体連通状態になる処理溶液の供給源と、後に続くスピンコーティング処理ステップのタイミングを制御するために、処理溶液を分配するステップに関係して同時に、分配ラインにおいて、処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含んでいる。
【0062】
この方法は、シリアル処理制御を用いる処理を制御することからなり、この処理は、一連のサブルーチンを順次実行することによって制御され、かつある処理指令を実行するための割り込み信号を用いてシリアル処理制御に割り込ませることを特徴としている。好ましい実施形態では、割り込み信号は、分配ラインにある処理溶液の圧力によって測定される、分配器の処理溶液の分配の開始または終了に関係する。
【0063】
また、本発明の他の構成は、スピンコーティングシステムを用いて基板上にフォトレジストを形成するための方法である。このスピンコーティングシステムは、フォトレジスト分配ラインを介してフォトレジスト溶液の分配器と流体連通状態にあるフォトレジスト溶液の供給源と、現像溶液の分配ラインを介して現像溶液の分配器と流体連通状態にある現像溶液の供給源と、フォトレジスト溶液の分配ラインにおいて、フォトレジスト溶液の圧力を測定するフォトレジスト溶液用の圧力センサと、現像溶液の分配ラインにおいて、現像溶液の圧力を測定する現像溶液用の圧力センサと、を集合的に含む1つ以上のスピンコーティング装置からなっている。
【0064】
この方法は、基板にフォトレジスト溶液をスピンコーティングすることからなり、このスピンコーティング処理は、以下の方法により制御される。即ち、この方法は、一連のサブルーチンを順次実行するシリアル処理制御を用いてスピンコーティング処理を制御し、処理指令を実行するための割り込み信号を用いてシリアル処理制御に割り込み、フォトレジストに現像溶液をスピンコーティングすることからなる。ここで、スピンコーティング処理は、一連のサブルーチンを順次実行するシリアル処理制御を用いてスピンコーティング処理を制御し、処理指令を実行するための割り込み信号を用いてシリアル処理制御に割り込みことを含む方法によって制御される。
【0065】
さらに、本発明の別の構成は、スピンコーティングシステムを用いてスピンコーティングを制御する方法に関係する。このシステムは、分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定する圧力センサを含む。この方法は、割り込みサービスルーチンでプログラムされる処理制御システムを用いることからなる。トリガ事象時に、処理溶液の分配の開始または終了を、圧力センサを用いて測定する場合に、ハードウエアの割り込みが処理制御システムに送られ、そして、このハードウエア割り込みを受け取った時、処理制御システムは、割り込みサービスルーチンを実行する。
【0066】
本発明の他の構成は、スピンコーティングシステムに関する。このシステムは、分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、装置における誤動作(例えば、小さなまたは大きな不具合、異常、または装置あるいは状態のブレークダウンを検出するために、処理溶液の圧力を測定する圧力センサを含む。
【0067】
さらに、本発明の別の構成は、スピンコーティング装置における誤動作(不具合)を検出する方法に関する。この方法は、処理流体の圧力を測定することを含む。測定された圧力は、予想圧力値または別の通常圧力と比較され、予想圧力と測定圧力との間の差を識別し、誤動作(例えば、異常、または不具合)の指示を出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
スピンコーティングまたはスピン処理方法は、処理溶液を基板上に加えて均一なフィルムまたはコーティングを形成する方法である。
スピンコーティング技術を用いて種々の基板を処理することができる。これらの中には、集積半導体回路(たとえば、マイクロエレクトロニクスデバイスを含む半導体ウエハ)等のマイクロエレクトロニクスデバイス、液晶からなるディスプレイスクリーン、合成材料(回路基板)の基板上の電子回路、及び商業的に重要な材料及び製品を含む。
【0069】
処理溶液は、スピンコーティング技術及び装置を用いて基板上に有効に加えられ、または塗布される公知のいかなる材料であってもよい。例としては、以下で説明するように、写真平版技術を用いたフォトレジスト材料、及び現像溶液を含む。本発明は、また、スピンコーティング方法を用いて、例えば、スピンオンされる誘電体、ガラス、ドーパント、または低k誘電体等の他の材料を付加または被覆することが考えられる。このような処理溶液は、次に現像溶液が付加される。
【0070】
例としては、本発明の方法では、写真技術的にスピンオンされるポリイミド等の誘電体材料に、その後に続く現像溶液を塗布するために用いることができる。その結果、この処理は、半導体ウエハ及びフォトリソグラフィー、特に、フォトレジスト溶液をスピンコーティングし、さらに、この後に続いて、現像溶液がスピンコーティングによって付加されることについて記載されているが、本発明は、このような特定の利用に限定されるものではない。フォトレジストまたは現像溶液等の異なる材料だけ、または被膜の一部分のいずれかにスピンコーティングするのに用いることができる他の処理溶液の例として、有機溶媒、クリーナー、及び水(例えば、脱イオン水)等の溶剤を含む。
【0071】
半導体ウエハは、スピンコーティングを含む1つまたはそれ以上のステップを用いて、例えば、写真平版技術及び材料と組み合わせて、スピン処理することができる。例示的なステップは、パターン化されたフォトレジスト材料を基板上に配置するステップ、これは1回またはそれ以上の表面の洗浄または下塗りを含んでいる。さらに、加熱または冷却ステップ(より大きな処理において、一連のステップを介して1回または多数回)、フォトレジスト溶液を基板上に加えるステップ、マスクと光放射を用いてフォトレジスト材料を露光するステップ、更に付加的な加熱及び冷却ステップ等のスピンコーティング技術を用いる現像溶液の塗布、さらに、この現像溶液とフォトレジスト領域を取り除く水洗し、パターン化されたフォトレジストを残す各ステップ、更に、必要であれば、最終の加熱及び冷却ステップを含んでいる。このようなステップの一連の例示的な変化が以下に提供される。
【0072】
フォトレジストのスピンコーティングス工程中、1つまたは複数の異なる処理溶液を基板に塗布することができる。マイクロエレクトロニクスの処理作業においてよく知られるいる例では、溶媒とともに、フォトレジスト溶液自体を含んでいる。フォトレジストコーティング工程において上部及び底部のエッジビード除去、上部側の基板の状態、及びフォトレジストストリップのために、溶媒が用いられる。フォトレジスト溶液をスピンコーティングする処理において分配される溶媒の特定の量、タイミング、及び組成は、溶媒の形式及び目的、基板の形式、及び用いられるフォトレジスト溶液等のファクターによる。
【0073】
エッジビードの除去、調整、ストリップ用の溶媒の例としては、PGMEA(プロピレングリコール モノメチル エーテルアセテート)PGME(プロピレン グリコール モノメチル エーテル)及びEL(乳酸エチル)を含む。スピンコーティング装置を清浄するための他の溶媒、たとえば、ボウル洗浄溶液及び排出リンス溶液等が異なる理由によって用いることができる(クリーニング溶媒等の時間感応処理ステップ中に用いられない溶液に対して、ここに記載した圧力センサは、処理制御情報のためでなく、誤動作監視及び流量の検出器として用いることができる。)。
【0074】
本発明によれば、これらの処理溶液の1つまたはそれ以上の圧力を、ここに記載したような圧力センサを用いて監視することができ、好ましくは、分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定することによって監視することができる。選択的に、これらの処理溶液の1つ以上のいずれかの測定された圧力からの情報を、ここで記載したように、(個別にまたは組み合わせて)用いて、装置(例えば、誤動作の検出)を監視したり、あるいは処理制御に対して、用いることができる。例えば、処理溶液の分配ラインにおける圧力は、誤動作を検出するために、または処理溶液の分配ステップの開始または終了を識別するために用いることができる。処理溶液の分配の開始または終了に関する情報は、処理制御システムによって、例えば、1つ以上の次に起こる処理事象のタイミングを制御するために、パラレル制御形式のシステムにおけるトリガ事象として用いることができる。
【0075】
スピンコーティングのシーケンスは、表面に感光性のフォトレジストを蒸着させるために基板を準備することによって始まる。この準備行程は、洗浄、及び高温度かつ低圧での水分除去、及び基板表面とフォトレジスト材料との間の接着を促進する材料、例えば、ヘキサメチルジシラサン[hexamethyl-disilazane](HMDS)を表面に下塗りすることを含んでいる。
【0076】
次のステップは、通常の方法及び冷却プレート等の設備を用いて、ウエハを冷却することによって、ウエハの温度を周囲温度に近づけることを含んでいる。
【0077】
次に、フォトレジスト材料が、好ましくは薄い、均一なフィルムで基板上に付加される。このフォトレジストは、公知のいかなるかつ有効な技術を用いて塗布することができる。これらは、ラミネート、押し出し技術、スプレーコーティング技術、化学蒸着法、または、その他の方法を含んでいる。好ましくは、本発明の1つの実施において、フォトレジストは、基板上にスピンコーティングされており、分配ラインに設けた圧力センサを包含する装置を用いている。
【0078】
特に分配の開始と終了を検出するために、さらに好ましくは、フォトレジスト溶液にフォトレジスト溶液の分配の終了を検出する。溶媒等の他の処理溶液は、フォトレジスト溶液をスピンコーティングする過程で基板に塗布される。溶媒または他の処理溶液の分配圧力は、付加的に、または交互に圧力センサを用いて測定することができる。これらの処理溶液の1つ以上の分配の開始と終了を検出して、その情報を用いて1つ以上の次に続く処理事象を制御する。本装置及び方法は、パラレル処理制御方法を包含させることが最も望ましい。
【0079】
スピン被膜されたフォトレジスト層は、基板に設計されるデバイスの必要性に基づいて選択された所望の厚さを有するように被覆することができる。一般的には、この層は、かなり薄くすることができ、例えば、その厚さは、50ミクロン〜0.5ミクロンまたはそれ以下の範囲である。本発明に従う処理制御を用いる範囲において、フォトレジスト溶液のスピンコーティング処理の詳細に関するさらなる情報が以下に提供される。
【0080】
スピンコーティングされた層の形で、フォトレジスト溶液を塗布後、一般的に、次のステップは、たとえば、ベイキングにより、フォトレジスト溶液からの溶媒を打ち込むことである。このステップは、時々、「ソフトベイク(soft bake)」又は「ポストアプライ・べイク(post-apply bake)」と呼ばれる。露光時間及び温度は、フォトレジスト溶液の外から溶媒を打ち込むのに有効なものにすることができる。
ポストアプライ・ベイクに続いて、基板の温度が、例えば、周囲温度に低下させられ、選択的に冷却プレートを用いることもできる。
【0081】
溶媒を用いて効果的に取り除かれるフォトレジスト材料は、シリコンウエハ処理の技術で知られるように、マスクを介して選択的にエネルギー源に晒され、フォトレジストの一部が反応させられる。マスクは、選択された基板、フォトレジスト、及び処理に対して有益であると知られているいかなるタイプのものでもよい。マスク、マスク技術及び設備は、公知のタイプであればどのようなものでも役に立つ。放射は、どのような形式の波長の放射でもよく、または、フォトレジスト溶液の化学的かつ設計によって選択される。好ましい放射は、単一波長、即ち、単色のものであり、多くの好ましいフォトレジスト材料は、単色的にキュアできる。
【0082】
放射露光の後、一般的に、次のステップでは、基板と露光されたフォトレジストの温度を再び上昇させることができる。この時間的な加熱は、露光された領域と露光されない領域に対する拡散機構を用いて、立ち上がり波形現象をアドレス指定すること、および/またはフォトレジスト材料、例えば、化学的に増幅されたフォトレジストに対する化学的反応を完了させること等の理由により実行することができる。これは、一般的に、露光後の焼付け(post-exposure bake)により達成でき、続いて、選択的に冷却プレートを用いて基板を周囲温度に戻す。
【0083】
現像溶液は、スピンコーティングによってフォトレジスト被膜された基板表面に付加的に加えられる。本発明によれば、このステップは、分配中に現像溶液の圧力を監視するために分配ラインの現像溶液に設けた圧力センサを含む装置及び方法を用いて達成することができる。圧力センサは、例えば、現像溶液の分配の開始または終了を検出し、最も好ましくは、分配の開始を検出する。選択的に、現像溶液のスピンコーティング中に、脱イオン水が、現像溶液を有する基板に塗布される。現像溶液の圧力を測定することに加えて、またはその代わりに、脱イオン水の分配圧力が、ここに記載したように監視される。例えば、分配の開始または終了を検出し、関連した情報が、次に続く処理制御のために利用される。また、好ましくは、この処理は、ここで記載するように、割り込み駆動、パラレル制御方法を含む処理制御を包含できる。この制御方法は、圧力センサからの情報を利用し、例えば、現像溶液または脱イオン水の圧力を測定する。
【0084】
現像溶液の現像は、フォトレジスト材料の露光または未露光部分のいずれかを、例えば、反応、破壊、又は溶解する。露光、または未露光のフォトレジスト材料のいずれか一方を洗浄すべきかを可能にし、フォトレジストを現像するとき、パターン化したフォトレジスト層を残して、フォトレジストのある領域を選択的に取り除くことができる。
現像溶液は、良く知られており、本発明によれば、基板に予め加えられる材料、例えば、フォトレジストを効率的でかつ選択的に反応、破壊、または溶解する種々の合成物として構成できる。フォトレジスト溶液を現像するとき、パターン化したフォトレジスト層を残して、フォトレジストのある領域を選択的に取り除くことができる。
【0085】
このような現像溶液は、半導体ウエハ処理技術において知られている。いくつかの現像溶液は、フォトレジスト材料のあるタイプに対して特に有効と見なされ、かつこれらのフォトレジストとの使用に適合することができる。現像溶液の有効なタイプの例としては、水ベースの材料、例えば、水性水酸化テトラメチルアンモニウム(aqueous tetra-methyl ammonium hydroxide)等の水性アルカリ合成物(aqueous caustic composition)[TMAH]を含んでいる。他の現像合成物は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液、例えば、水性水酸化ナトリウムまたは水性水酸化カリウムである。現像溶液は、フォトレジストの現像または除去を容易にするために他の材料、例えば、界面活性剤を含んでもよい。
【0086】
現像溶液の塗布後、基板は、選択的に焼付け(ハード焼付け)をし、そしてもう一度冷却される。
一般的に、スピンコーティング処理を実行するのに有効な設備は、フォトリソグラフィー及び半導体またはマイクロエレクトロニクス処理の技術分野では知られており、この設備には、スピンコーティング装置、冷却プレート、ホットプレート、オーブン等を含む。このようなタイプの設備は、商業的に利用可能で、かつ市販されており、また異なる部品の設備間で複数のステップを効率的に処理するための「クラスター(cluster)」において一緒に用いることができる。フォトレジストおよび/または現像溶液を被膜するための、好ましいスピンコーティング装置は、登録商標「POLARIS」−「マイクロリソグラフィークラスター」として、ミネソタ州 チャスカに在所するFISインターナショナル社によって市販されているタイプのものである。
【0087】
本発明によれば、スピンコーティングシステムに処理溶液を塗布するためのシステムは、分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定する圧力センサを含むことができる。この圧力測定は、スピンコーティング処理中に用いられる。例えば、処理流体を分配するステップに関係した情報を識別すること、処理溶液の分配の開始または終了を監視し、検出し、または識別すること、あるいは、一般的な分配装置及びスピンコーティング装置の他の機能を検出しかつ監視することを行う。
【0088】
スピンコーティング処理において、処理溶液を分配するステップの終了のタイミングを実際的に最大の正確さで識別することは、スピンコーティングの個々のステップの正確さを改善するために利用される。これにより、全体の処理の正確さが改善される。特に分配の開始で処理溶液を分配することは、分配器および分配器を導く分配ラインにおいて、処理溶液の圧力の増加を伴う。分配ステップの終わりでは、分配ラインにおける処理溶液の圧力の減少を伴う。従って、分配ステップの開始と終了は、処理溶液の分配のために、分配器またはこの分配器から上流の構成部品、例えば、分配ラインにおける圧力に関連して検出または識別される。
【0089】
図10は、処理溶液の分配事象をどのように処理流体の分配ラインにおいて圧力センサを用いて測定することができるかを示している。ラインZは、分配ラインにおける処理溶液の測定された基準圧力(圧力センサによって生じた生の電圧として、約0.008である。当業者には、この電圧は、ここに記載するように用いられるかまたは他の単位、例えば、圧力の工学単位に変換できることが理解できるであろう。)を示す。これは、分配事象が生じていないときの分配器またはその構成部品における概略の圧力、例えば、静的圧力である。
【0090】
参考として、ラインCは、光学センサによって生じた信号を示し、このセンサは、分配器における分配時点での分配ステップの開始及び終了を視覚的に検出するためにプログラムされている。
【0091】
図10のラインAにおける矩形波は、分配器からの信号に基づいて分配事象の理論的開始及び終了を示す。(この図において、ラインAは、分配の開始及び終了が生じたと思われるときを示す、分配器からの電気信号を表わす。この信号は、デジタル信号で、通常、約0〜5ボルトの間である。この図に適合させるために、電圧が図面に目盛られている。分配事象の開始(SOD)が、図中左側のY軸上で、時間ゼロにおいて、0.26近くから約0.96の間を移動するSOD信号によって示されている。この分配は、約2秒間にわたって発生し、その後、分配信号(EOD)の終了時にはローレベルに戻る。
【0092】
図10のラインBは、分配を介して分配の開始またはその前から圧力が変化するとき、及び、分配の終了時及びその僅かに後で圧力が変化するときの、処理溶液の分配ラインにおける処理溶液の圧力を示す。時間ゼロの後まもなく、分配の理論的な開始があり、その圧力は、ゼロ基準値から(測定されたまたは実際の)分配圧力(生の電圧として測定された約0.025〜0.030)まで増加する(この増加は、ラインBのプロファイルIとして言及される。)。
【0093】
時間ゼロから初期圧力増加までのタイムラグは、スピンコーティング装置における変数によるもので、好ましくは最小にできる。ゼロ基準値から分配圧力までの圧力増加は、プロファイル(I)を生じ、この情報は、処理制御に用いることができる。分配圧力の増加の開始後、分配中、この圧力は、分配圧力範囲をうろつく(このプラトーの周期的な隆起部は、分配ポンプの制御システムによって生じる。)。分配の理論的な終了に続いて、(EOD)が約2秒後に発生し、この圧力は、プロファイル(II)を介してゼロ圧力基準値に戻る。分配の終了におけるゼロ圧力基準値に戻るプロファイル(II)は、分配圧力増加の開始よりも幾分なだらかである。その理由は、分配の終了時、制御弁がゼロ圧力基準値に戻るように用いられるからである。
【0094】
圧力プロファイル(I),(II)における増加と減少の実際の形状は、特に重要ではない。その代わり、本発明に従って、各圧力プロファイルを監視かつ測定できることが重要であり、この能力は、処理制御におけるトリガ事象として作用するために、いずれかのプロファイルの時点で測定される圧力を利用することである。特に、増加及び減少のプロファイルの各々は、分配の開始及び終了に用いられるメカニズムに関係する。プロファイルI及びIIの一方または両方におけるポイントは、分配の開始または終了にそれぞれ検出するように選択することができる。例えば、0.014,0.020の測定圧力またはプロファイルI(「圧力センサ応答」)に沿う他の任意の圧力を、分配が開始が生じたことを示すために選択することができる。
【0095】
この情報は、例えば、分配の終了、分配アームの動き、或いは基板の処理加速度の開始または終了等の1つまたはその後の多数の処理事象を、制御するために用いる処理制御システムに送ることができる。同様に、分配プロファイル(II)の終了ポイントは、分配事象の終了、例えば、0.015,0.020、或いは0.000ボルト(測定される電圧)を示すために選択することができる。別の可能性として、ゼロ圧力基準値に戻る発振ポイント、例えば、プロファイルIIIは、分配の終了に示すために用いることができる。
【0096】
測定された処理溶液の分配圧力プロファイルは、一般的に、異なるスピンコーティング装置及び処理流体に対する同様なパターンに割り当てられる。異なるプロファイルは、ゼロ基準値から分配圧力までの分配増加の開始と、分配圧力からゼロ基準値(ゼロ基準値の回りで選択的に発振する)までの分配圧力減少の終了と、分配中の相対レベルの分配圧力とを有する。
【0097】
他方、特定の圧力プロファイルは、分配増加の開始中に起こり、分配の減少または発振の終了、或いは、分配部分は、スピンコーティングシステム、分配システム、及び処理流体に関係するファクターにより相対的に変化することができる。
【0098】
再び、これらのプロファイルの実際の形状は、プロファイルにおけるポイントに関する限り、特に重要ではないが、処理溶液の分配の開始または終了の検出のために選択することができる。ラインBのプロファイルは、一貫してかつ繰り返して起こり、プロファイルI,II、III(使用するならば)、さらに分配プロファイルIVを含んでいる。このような一貫性がありかつ繰り返されるプロファイルに基づいて、他のデータポイントが、処理制御システムにおける情報として用いることができ、例えば、1つまたはその後のいくつかの処理ステップを制御するための基礎となる。現像溶液を分配する1つの好ましい実施形態では、処理制御システムは、分配事象、例えば、トリガ事象の開始を示すものとして、分配プロファイルの開始中に起こる測定された圧力を用いることができる。スピンコーテイング処理におけるフォトレジスト溶液を分配する別の実施形態において、処理制御システムは、分配事象、例えば、トリガ事象の終了を示すものとして、分配プロファイルIIの終了、またはプロファイルIIIの発振の間に起こる測定された圧力を用いることができる。
【0099】
図10は、分配の開始(SOD)と分配の終了(EOD)の各信号が、分配の実際の開始(または分配プロファイルIの開始の終わり)と分配の終了(または分配プロファイルIIの終了の終わり)の前にそれぞれ発生する。このSODとEODの信号および分配の実際の開始または終了との間の時間的遅れは、ここで説明するシステムでは改良されているが、遅れは、制御システムの遅れ(繰り返すと考えられる)と、作動するポンプ及び流量を制御するのに用いられる弁による遅れによって生じる。
【0100】
本発明による分配ラインにおける圧力を監視することは、分配の開始、または分配の終了が実際に起こるときの正確な測定を可能にする。分配事象のタイミングに関係するこの改良された情報は、スピンコーティング処理ステップの処理の繰り返しタイミング及び処理性能を改善するために使用することができる。
【0101】
本発明によれば、図10に見られる情報は、他の方法においても同様に用いることができる。例えば、圧力グラフ、即ち、図10で示された圧力トレースの情報は、誤動作、例えば、不規則性、異常、変化、または処理または装置の状態における他の誤動作などを検出するのに用いることができる。この誤動作は、処理工程または装置の状態における、種々の小さな、重大な、徐々に、または急に起こる変化に関係する。この誤動作は、実際の分配プロファイルと予想されるまたは歴史的なプロファイルとを比較(マニュアル的または電気的に)することによって識別または検出することができる。
【0102】
例として、図10のBラインの曲線の下側の領域は、分配される処理流体の全体量に関係し、即ち、比例するであろう。実際の分配プロファイルの領域が予想されるものでないならば、そのデータは、分配ポンプ上のクロスチェックとして利用でき、エラー信号または誤動作の警報を発生するのに用いることができる。
【0103】
このように検出できる誤動作の例は、分配ラインがゆっくりまたは急激に働き、圧力読取値(圧力プロフィルのポイントまたは部分)が分配中、変化または予想から離れたものとなる。誤動作の別の例では、圧力リーク、設備のブレークダウン等がある。分配中に処理溶液の圧力を監視することにより、本発明は、塞がれたラインまたは壊れた装置を、検出ではなく識別するのに用いることができる。分配ステップにおける特定点に関連した圧力値のタイミングにおいて、予想値、通常値、従来値、または分配の開始のタイミング、または分配ポンプからの分配信号の終了のタイミングと比較して、時間の経過における僅かな変化またはドリフトを、コーテイング装置の状態を監視するために同様に使用することができる。
【0104】
ドリフト状態または予想または通常とは異なる状態等の、分配中に起こる異常状態またはドリフト状態の圧力値を識別しかつ報告するために、処理制御システムのソフトウエアを用いて、境界が設定される。
【0105】
図10によって例示されたように、分配の時点(開始または終了)を正確に識別するために圧力を監視する本発明の方法は、後処理ステップのタイミング制御を開始する時点で自動的に補正し、さらに、後工程での事象のタイミングを制御するために、処理制御を補正し、または、開始ステップ(トリガステップ)のタイミングをおいて発生する他の変化を補正する。さらに、本発明は、分配ステップの正確さ及び反復性に直接または間接的に影響を与えるコーティング装置の構成要素を監視する方法を与える。また、本発明は、分配ステップが生じる前、この分配ステップの間、またはその少し後で、分配構成要素における処理溶液の圧力プロファイルを監視する方法を与える。
【0106】
圧力センサは、公知のまたは開発されたいずれの圧力センサであってもよく、この圧力センサは、処理溶液等の流体の圧力を感知できる。圧力センサの例としては、米国、マサチューセッツ州、アクトンにあるデータインストルメンツから市販されている型番ABHP等の圧力変換器を含む。この圧力センサは、スピンコーティングシステムにおけるいずれの位置に設けることもでき、処理溶液の分配ステップにおける開始または終了等の、分配ステップに関係する情報を検出または識別するために処理溶液の圧力を測定することが可能である。
【0107】
好ましい位置は、処理溶液の供給源に比較すると、分配器に比較的近くにある処理溶液の分配ラインまたは供給ラインである。このラインは、例えば、スピンコーティング装置のエンクロージャー或いは、このエンクロージャーの内か外のいずれかである。処理溶液の供給源及びこの処理溶液の分配を制御するための分配または供給ラインに設けた分配弁を含むシステムにおいて、圧力センサは、分配弁の下流、即ち、分配弁と分配器との間に配置されることが望ましい。
【0108】
分配器は、公知のまたは開発された分配器とすることができる。これらの分配器は、スピンコーティングおよびフォトリソグラフィーの分野でよく知られている。例としては、ノズルを備えた1つまたはそれ以上の分配アームを有する分配器を含み、この分配アームは、個別のノズル、または固定の分配ノズルを含んでいる。
【0109】
図1は、本発明の装置であるスピンコーティングシステムの実施形態を示し、このシステムは、スピンコーティング室204を含んでいる。室204は、分配器206、ターンテーブル208、コントローラ210を含み、さらに、スピンコーティング処理する材料及び環境を監視しかつ制御するために、他に必要な、或いは選択的な構成要素を含むこともできる。図1のシステムは、または制御システム212、処理溶液の供給源214、弁216、及び供給源214を室204及び分配器206に接続する供給(または分配)ライン215を含んでいる。
【0110】
本発明によれば、このシステムは、分配ライン215における処理溶液の圧力を測定するための圧力センサ218を含む。弁216及び圧力センサ218は、この実施形態において示すように、制御システム212に接続され、また、制御システムはコントローラ210と供給源214に接続されている。図示するように、圧力センサ218は、室204の外側に配置することができるが、選択的に室204の内側に配置することもできる。図1は、供給源214から弁216及び分配器206に処理溶液をくみ出すためのポンプを示していない。ポンプは、選択的に、種々の形で用いることができ、また、種々の制御器及び構成要素と共に用いることもできる。ポンプは、一般的に、装置から離れて配置され、一般的に、弁216の上流側で、供給源214の一部または近くに配置される。
【0111】
図2は、本発明に従うスピンコーティングシステムの別の実施形態を示すブロック図であり、例えば、登録商標「POLARIS」2500マイクロリソグラフィークラスターのスピンコーティング装置を含む。システム20は、1つ以上の処理溶液を基板上に被覆できるようになっている。このシステム20は、回転可能な支持体24を収納する室22を含んでいる。この支持体は、モータ28に連結されるチャック26を含んでいる。基板Sは、チャック26に真空サクションまたは同等物(図示略)によって取り付けられる。この基板Sとチャック26は、スピンコーティング処理中、モータ28によって回転する。
【0112】
システム20には、さらに、1つ以上の処理溶液(例えば、フォトレジスト、脱イオン水、現像溶液、エッジビード取り除き溶媒等)を基板S上に与えるための分配器30を含んでいる。分配器30は、処理溶液を基板S上に加えることができる設計であればどのようなものでもよい(一般的に、同一のスピンコーティング装置は、フォトレジスト及び現像溶液の両方を付加するために使用されない。)。選択的にかつ好ましくは、この分配器30は、例えば、マルチ型分配ノズルを有する分配アームにおいて、同一の分配器又は分配アームから2つまたはそれ以上の異なる処理溶液を計量分配することができる。
【0113】
分配器30は、処理溶液を基板S上に分配することを容易にするために異なる位置間で移動可能な1つの分配アーム又はマニュピレータ(図示略)を含むことができる。分配アームは、基板Sの表面上にいずれかに位置している分配位置と、分配アームが基板の外側にある非分配位置との間で移動可能である。
【0114】
別の例としては、特に、現像溶液を分配するとき、円形状またはスパイラルパターンで現像溶液を塗布させるために、分配アームは、分配中、回転する基板上方を移動することができる。他の実施形態では、分配器又は分配アームは、単一の処理溶液(例えば、現像溶液)のための分配点を有するマニホールドを含むことができ、そのため、円形状又はスパイラルパターンにおいて現像溶液を塗布するための動きを必要としない。
【0115】
分配器30は、処理溶液を塗布するための、少なくとも1つの供給システム32、好ましくは、本システムに用いられる各処理溶液用の1つの供給システム(供給ライン等を含む。)に連結される。図3の例では、単一の供給システム32を有する装置30を示しているが、2つまたはそれ以上の供給システムが、特に異なる処理溶液または他の必要とされる材料を供給するために用いることができる。分配器30と供給システム32は、通常の設計のものであり、従来の技術を使用でき、分配器30を介して基板S上に供給される状態に処理溶液が維持される。例えば、分配器30は、処理溶液の所望温度を維持するためのヒータ(図示略)に連結することもできる。
【0116】
図2に示すようなシステムに使用するための適当な分配器(分配器)および供給システムは、ミネソタ州 チャスカに在所するFSIインターナショナル社によって製造された登録商標「POLARIS」のマイクロリソグラフィー クラスターの中に見出すことができる。
【0117】
供給システム32等の供給システムは、ポンプ、ライン、温度監視制御機構、フィルタ、および温度センサ、容積測定の流量センサ等(図示略)のセンサを有する構成部品を含むことができる。また、供給システム32は、スピンコーティング処理全体の集中制御を備えるために、選択的に及び好ましくは、コントローラ及び処理制御システム36に接続することができる。好ましくは、供給システム32は、ポンプ(好ましくは)、または加圧されたコンテナー等の流体移動機の別の形を含むことができ、分配ラインにおける流体を加圧させ、所望の分配器30を介して流すために、選択的な制御弁48を配置する。
【0118】
この例示した本発明の実施形態によれば、図2のシステムは、供給ラインまたは分配ライン47を介して分配器30に流れる処理溶液の圧力を測定するための圧力センサ46を含んでいる。このシステムは、また、分配を制御するための制御弁48(選択的に)を含む。分配器30と同様に、これらのものは各々、集中制御するために制御システム36に接続されている。このような本発明の好ましい実施形態では、この分配器と圧力センサの間の距離は、および圧力センサと制御弁との距離が、有効な距離となるように選択することができる。圧力センサから分配器への有効な距離は、約1〜約4フィート(30〜120cm)である。
【0119】
図2は、処理制御システム36を示し、このシステムは、構成要素として、例えば、ハードウエア、ソフトウエア、またはこれらの両方の組み合わせ、即ち、センサ、モニター、コントローラとの組み合わせ、及びハードウエハの特徴、スピンコーティング装置を電子的に制御すること、及び本システムを用いて実行されるスピンコーティング処理等を含んでいる。
【0120】
室22は、制御システム36に信号を与えるセンサ38,40,42(この実施形態では3つ)を含む。これらのセンサ38,40,42のいずれか1つは、周囲の温度、湿度、または圧力等の処理条件または事象の信号、あるいは供給システム32から供給される処理溶液の性質の信号に関係する。3つ(図示のような)以上またはより少ないセンサを用いることもできる。
【0121】
装置20は、さらに、雰囲気ハンドラー44を含み、このハンドラーは、室22に連通し、室内の雰囲気を所望の温度及び湿度条件に設定して処理することができ、かつ基板上に所望の流れ(層状の)を維持するために室内に所望のエアの流れを選択的に与えることができる。雰囲気ハンドラー44は、室22内の温度、湿度、及びエアの流れを検出するために複数のセンサ(図示略)を含む。そして、室22の内側にエアを流し、或いは、多数のセンサを用いることができる(例えば、38,40,42が温度及び湿度を感知するのに用いられる。)。
【0122】
室22は、処理溶液を基板S上に塗布するために適切なスピンコーティング環境を作り出す。そして、室22は、維持されるおよび/または制御的に調整される。温度、湿度、及び室22内の他の雰囲気または環境条件を、特定のレベルの設定することができ、これにより、スピンコーティングにおいて生じる条件での変動を減少または除去する。室22は、微粒子及び他の汚染物質に対するバリアとして役立ち、かつ微粒子を取り除くことを容易にし、室内のエア流れを制御するのに使用される。室22及び装置20は、特に、回転可能な支持体24に関して、室22の内部にアクセスすることができ、その結果、基板Sは、チャック16に取り付けられかつチャック26から取り除くこともできる。
【0123】
室22内の適切な雰囲気は、コーティング処理の形式及び選択されたスピンコーティング処理において含まれる処理溶液に依存している。この雰囲気は、真空、エア、あるいはヘリウム、アルゴン、窒素または同等物等の不活性ガス、またはこれらの組み合わせである。選択的及び好ましくは、気圧センサが装置20、例えば、室22内に配置または近接して配置することができ、室22内の気圧を示すいくつかのパラメータを測定する。好ましくは、このような方法で測定されるパラメータは、基板Sの近くの気圧を示すことになる。例えば、登録商標「POLARIS」のマイクロリソグラフィー クラスターを用いる場合、最適な設置は、非乱流で、覆われた位置にある被覆モジュール内であり、これにより、センサ24上のエア流の影響が取り除かれる。
【0124】
好ましい実施形態では、気圧センサは、フィンランド国、ヘルシンキにあるバイイサラ オイ(Vaisala Oy)によって作られたPTB100シリーズのアナログ気圧計とすることができる。スピンコーティング処理において気圧センサを用いることは、上記譲受人に係る1999年9月16日に出願された米国出願番号第09/397,714号に記載されており、この開示内容は、本明細書に参考文献として包含される。
【0125】
処理制御システム36は、スピンコーティングシステム、例えば、センサ、コントローラ、ハードウエア要素、等の異なる構成部品からの信号を用いて、システム及びこのシステムに用いて実行されるスピンコーティング処理を制御する。処理制御システム36は、このような構成部品からの入力信号を受け入れ、この入力信号に基づく出力信号を発生する。出力信号は、スピンコーティング処理を指示して制御し、好ましくは、基板上への材料のスピンコーティング処理を所望の最適なものにさせる。この装置は、また、基板上へ処理溶液を均一な膜を蒸着させるのに有効な他の装置および方法を包含させることもできる。例えば、これらは、米国特許第4,932,353号、第5,066,616号、第5,127,362号、第5,532,192号に記載されている。
【0126】
制御システム36は、スピンコーティングシステムに関係するシステム、処理、条件、またはコンポーネント等を監視かつ制御するために有効な電子的にプログラム可能な処理制御システムとすることができる。処理制御システム36は、好ましくは、インターロック機能を含む中央処理ユニット(CPU)又はプログラマブルロジックコントローラ(PLC)または同等物等の電子的にコンピュータ化したプロセッサを含むことができる。ランダムアクセスメモリ(RAM)は、好ましくは本発明に従う指令を含むソフトウエアプログラムを保存するために用いられる。1つまたはそれ以上のタイマーがRAM内にプログラムされ、プロセッサの内部タイマーを参照して継続時間を測定する。フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、CDROM又は同等の外部記憶装置が、選択的にプロセッサに接続され、1つ以上の方向に情報を伝送する。この処理制御システムは、電子的にスピンコーティング装置、例えば、ハードウエア又はそのコントローラに接続されている。
【0127】
処理制御方法は、いくつかの同期装置を含んでおり、これらは、例えば、本出願人の継続中の2000年5月31日に出願され、発明の名称が「コーティングのための被膜方法及び装置」と名付けられた米国特許出願番号第09/583,629号の明細書に記載されている。例示的なスピンコーティング処理方法は、「ラウンドロビン」方法、及び「シリアル」方法に関連したものを含んでいる。
【0128】
図4は、スピンコーティングにおけるフォトレジスト溶液を基板上に包含させる一般的なステップを示している。ライン60は、処理中のスピンモータの回転速度を表す。ライン62は、分配アームの位置を表す。ライン66は、基板上に処理溶液を分配することを表す。クロスライン68は、時間感応部分を識別し、1つ以上の時間感応ステップを含み、この部分のタイミングは、スピン被膜されたフォトレジストの厚さおよび/または均一性の測定可能な効果を示すことがわかる。
【0129】
この処理は、以下のように進行する。一旦基板が装置内に配置されると、スピンコーティングするフォトレジストは、一般的に3つの部分を含む。それらは、所定量のフォトレジストを基板上に分配すること、(分配する部分−A−)(分配する部分−A−の初期部分は、時々、プレ分配器と呼ばれる。)フォトレジストを均一なフィルムに形成するようにキャスティング(casting)すること(−B−)、及びエッジビード/バックサイドのリンスによりフォトレジストを除去すること(−C−)である(これらの部分は、一般的に定められ、それらの境界は正確ではない。)。
【0130】
分配部分−A−では、フォトレジスト溶液が基板の表面に加えられる。この処理の初期には、ターンテーブルが、プラトー61で示された分配速度に加速することによって、スピンニングを開始することが示されている。この分配スピン速度は、いかなる速度にすることもでき、フォトレジスト溶液を基板上に分配することができ、効果的な時間で基板全体表面上にフィルム又は層を形成する。ターンテーブルの速度は、ウエハの寸法等のファクタに依存するが、一般的な分配スピン速度は、200mmの直径ウエハに対して、約1000〜約2000回転/分の範囲にあり、例えば、約1500回転/分となる。
【0131】
フォトレジスト溶液は、どのような形式でも塗布することができ、均一なフィルムにキャスティングすることができる。塗布されるフォトレジスト溶液の量は、均一なフォトレジストフィルムを与えるのに重要である。(少なくとも最低量が、基板の全面積上にフィルムを形成するのに必要とされる。)このように、分配は、好ましくは、分配される実際の量又は分配するタイミングを考慮して、分配される材料の量に基づいて監視することができる。
【0132】
本発明の好ましい実施形態によれば、分配ラインにおけるフォトレジスト溶液の圧力は、フォトレジスト溶液の分配の終了を表わす点を検出する位置にある、フォトレジスト溶液の分配ラインで圧力センサによって監視することができる。本発明の実施形態によれば、分配の終了ポイントは、図10から選択されたポイントに選択することができ、これは、分配の終了、たとえば、図10のラインBの圧力プロファイルIIまたはIIIにおける任意点、例えば、分配ラインにおける圧力がゼロ基準値に戻る点に相当する。
【0133】
図4において、この点は、ポイント57を示す。この方法は、分配処理における繰り返し可能な時点を識別する正確な方法を与え、この時点でフォトレジスト溶液が分配が完了したと見なされる。このポイントは、好ましい処理制御システム、例えば、トリガ事象として作動するために、次に続く処理ステップが計時されかつ実行されたときに用いることができる。
【0134】
好ましくは、(図示するように)本発明の全ての実施形態において、必ずしも必要ではないが、基板表面上にフォトレジスト溶液を分配することは、基板のスピンニングとともに起こる。好ましい実施形態では、フォトレジスト溶液は、分配速度で基板が回転する間、基板表面の全領域を湿らせるのに十分な量、即ち、基板の全領域上にフォトレジスト溶液の完全な層を作りだすのに少なくとも十分な量で、基板上に分配される。十分なフォトレジスト溶液が基板の表面を覆うように加えられたとき、これは、フォトレジスト溶液の分配を停止し、さらにキャスティングまたは最終のスピン速度に加速するのに良い時期である(以下で説明するように、好ましくは、分配アームを最初に基板上方の位置から移動することができる。)。
【0135】
分配ステップは、一般的に、実際の分配前、分配中、及び分配後に、分配アームの移動を含んでいる。特に、分配部分−A−のステップ中では、分配アームは、非分配位置から分配位置に、プラトー64で示すように移動することが示されている。ターンテーブルが、分配速度でスピンし、かつ分配アームが分配位置にある間、フォトレジスト溶液は、基板に付加され、プラトー69、ポイント59で終わるように示されている。ポイント59は、分配装置、例えば、分配ポンプまたは分配器が、分配の終了(EOD信号)が発生したと認められる点にあると見なすことができる。その後の短い時間で、図10に詳細に示すように、分配は実際停止される(例えば、プロファイルが圧力センサによって測定されたゼロ基準値または他の任意値と交差するときに、分配の測定された終了が、プロファイルIIまたはIIIの選択点となると考えられる。)。
【0136】
図4は、圧力センサによってポイント57で測定される分配の実際の終了時を示している。このポイントは、図10のポイントに対応しており、処理制御のための分配の終了に相当するものとして選択され、例えば、このポイントは、圧力センサからの読取値がゼロ圧力基準値に交差する点である。
【0137】
フォトレジスト溶液の分配の終わりは、重要な時点となりうる。それは、多くの時間感応指令又は処理ステップに先行するからである。さらに、分配の終了時は、より早いステップのタイミング又は、例えば、ポンプ、流体の動作、又はフィルタの詰まり等の分配に関係する処理の不完全さを含む理由により変化する。こうして、必ずしも必要ではないが、他のトリガ事象を用いることができ、フォトレジスト溶液の分配終了時、フォトレジストのスピンコーティング処理(以下を参照)に対する、特に便利なトリガ事象となり得る。
【0138】
フォトレジスト溶液の分配終了時に、分配アームは、非分配位置の外側及び後方に移動する。図4は、(キャスティング速度に加速を促進させるために)、最も短い時間でフォトレジスト溶液の終了時から最終スピン速度に如何にして移動できるようにするかを示している。
【0139】
分配アームが、キャスティングのスピン速度に基板を加速するために、例えば、基板のエッジに向かわせるために、最初基板の外から十分に移動される。その時、基板は、できるだけ早く最終スピン速度で加速される。(ラインセグメント65は、分配速度からキャスティング速度にスピンモータの加速を示している。)加速および/または最終のスピン速度を達成した後、分配アームは、十分に非分配位置(ラインセグメント67)に移動される(分配アームのこの移動は、時間感応ステップとすることができる。)。
【0140】
所望量のフォトレジスト溶液を基板上に付加するとき、基板は、最終又はキャスティングスピン速度に加速される。(部分−B−を参照、ラインセグメント65を含む。)このステップのタイミングは、スピン被膜されたフォトレジストの最終厚さに重要な影響を与える。公知のように、分配速度からターンテーブルの加速の始めと終わりは、両方とも割り込み制御方法で好ましくは実行される。
【0141】
最終速度とキャスティング速度セグメントの継続時間は、所望のフィルム厚さに記するように設計されるべきである。一般的に、約50ミクロンまでの厚さで、5ミクロン、1ミクロン、または0.5ミクロン以下の厚さに下げることが望ましい。この被膜は、望ましくは、厚さおよび均一な厚さに関して、非常に狭い許容公差で被覆されるべきである。また、ここで説明した処理制御とともに、処理指令の実行に対する割り込みタイミング制御を用いて、15オングストローム(3シグマ)以下、好ましくは5オングストローム(3シグマ)の均一性が、イントラウエハ及びインターウエハの両方に対して達成することができる。これらの値は、ソフトベイキングの後で、かつフォトレジストのマスキング及び露光の前に、被膜として測定される。
【0142】
選択的に、マルチプルスピンコーティング装置またはボウル(bowls)は、一群の処理設備に用いることができ、この設備には、現像溶液を塗布するためのスピンコーティング、ホットプレート、及び冷却プレート等の他のクラスター設備内に含まれる。スピンコーティングフォトレジスト用のマルチプルボウルの各々は、それ自体の特徴を示しており、この特徴は、設定されかつ同時に制御される全てのパラメータと複数の条件とともに、クラスターの他のボウルに対する被膜厚さ(平均の)における変動を含んでいる。
【0143】
これらの厚さの変動は、基板が、最終ステップまたはカーストスピン(cast spin)ステップ(図4におけるプラトー60)において、回転する時間を長くしたりまたは短くしたりすることによって修正することができる。好ましくは、これは、わずかに早く、または、わずかに遅いのいずれかの速度でカーストスピンするために加速を開始することによって実行できる(図4のポイント73は、わずかに早くまたはわずかに遅く実行することができる。)。
【0144】
キャスティング部分−B−がエッジビードの除去及びバックサイドの洗浄部分であり、部分−C−と区別される。これは、分配速度と同様な速度で回転することを含んでいる。図示するように、分配アームを基板のエッジに移動させ、そして、エッジビードの除去基板のエッジ上にビードアップされたフォトレジスト材料を取り除くために、基板のエッジ上に分配アームから溶媒を取り除いたエッジビードに分配する(ライン58で示される)。これが生じると、たとえば、溶媒を取り除くエッジビードの流れを用いて、基板のバックサイドがリンスされる。
【0145】
基板は、一般的にマスクを介した放射線にフォトレジスト層を晒すことによって更に、処理することができる。(焼付けおよび/または冷却ステップ等の1つ又はそれ以上のステップが可能である。
【0146】
現像溶液は、基板に対して露光したフォトレジスト上に付加することができる。スピンコーティングを用いて現像溶液を付加するいくつかステップは、図5に示されている。これらは、現像溶液が基板の表面に加えられる第1部分を含んでいる(「分配」または「パドル形成」部分−D−)。これは、「パドル時間」部分に続く。
【0147】
−E−は、現像溶液をフォトレジスト領域と反応させ、そしてこの領域を溶解することができる。パドル時間部分の後に、リンスおよびスピン乾燥部分−F−が続く。リンス部分の間、脱イオン水又は現像溶液等の付加的な処理溶液が、基板上に分配され、溶解したフォトレジストを運び去る。最終の乾燥は、必要とされる場合、高い温度、求心力エネルギー、および/または減圧力を用いて行われる。
【0148】
本発明によれば、現像溶液をスピンコーティングする処理は、分配中、特に、分配に開始または終了、例えば、現像溶液の開始を検出するために、現像溶液または他の処理溶液の圧力を監視するための圧力センサを含む装置及び方法を用いて達成することができる。また、好ましくは、この処理は、割り込みタイミング方法を用いて制御される少なくとも一部分を含むことができる。割り込み制御を用いるための好ましい部分は、現像溶液の分配に関係する部分−D−である。
【0149】
現像溶液は、どのような方法でも基板の表面に加えることができ、現像されたフォトレジストの領域と効果的に反応し、そしてこの領域を取り除くことができる。現像溶液は、一般的にある方法で、フォトレジスト層に加えられ、その場合、現像溶液は、フォトレジスト材料の層と公平に相互作用して現像を行う。フォトレジスト材料は、溶解するために露光領域又は非露光領域のいずれかを生じさせ、その部分を洗浄して、マスクのポジティブパターンまたはネガティブパターンを残す。
【0150】
現像溶液は、好ましくは機械的な衝撃を最小限にするように加えられ、この衝撃が基板表面上に均一に加わるようにし、そして、フォトレジスト表面が現像溶液に接触する時間の間、できるだけ均一になるようにする。理想的には、現像溶液は、フォトレジスト表面の全ての領域に均等に加えられかつ接触させる。等しい時間の間、フォトレジストの均一な現像を生じさせる。スピンコーティング方法では、これは、現像溶液を円形パターン又は螺旋パターンで加えることによって均一に近づける。たとえば、基板を回転させることにより、また分配器の動きが、螺旋パターンを形成するように、あるいは、分配器のマニホールド点を用いて複数の円形パターンを形成する。
【0151】
現像溶液を(好ましくは)均一に被膜されたフォトレジスト上に均一かつ一致した塗布させる度合いは、均一性を考慮して測定することができる。この均一性を有して、フォトレジストが現像され、たとえば、現像後に残る特徴とフォトレジストの除去部分の、大きさ(一般的に幅)と均一性を考慮することによって測定することができる。
【0152】
この値の測定は、基板の焼付け後に続く、フォトレジストの現像及びその領域の除去した後に行われる。一般的に、これは、ライン幅の反復性と呼ばれるテストを用いて残存する特徴部分のライン幅を考慮することを意味する。本発明の方法を用いることにより、フォトレジスト層を製造することができ、このフロートレジスト層は、9ナノメータ(3シグマ)のイントラウエハ、及び6ナノメータ(3シグマ)のインターウエハのライン幅の反復性を有する。
【0153】
一般的に、約30〜50ミリリッター、好ましくは約40ミリリッター(たとえば、基板の直径が200mmの場合)の現像溶液の量が加えられて、フォトレジストの全表面にわたりほぼ均等かつ均一な層が形成される。もちろん、道理に合えば、現像溶液を多くしたり少なくしたりすることはできる。選択的に、別の処理溶液、たとえば、脱イオン水を、現像溶液の前に、あるいは、フォトレジスト溶液と組み合わせて分配することができ、基板を予め湿らせ、被膜されたフォトレジストと現像溶液との間の相互作用を改善することができる。
【0154】
図5は、現像溶液をフォトレジストの露光された層を覆う基板表面に加える方法に使用される例示的なステップを示している(フォトレジストは、好ましくは、スピンコーティング法を用いて加えることは必ずしも必要ではない。)。ライン80は、スピンモータの速度を表す。光線ライン82は、現像溶液の分配を表す。ライン84は、脱イオン水の分配を表す。ライン86は、分配アームの位置を表す。更にライン88は、現像溶液の分配処理のための時間感応部分を識別する。
【0155】
図5において、ターンテーブルのスピン速度は、現像溶液を分配するための第1速度、即ちプラトー85まで最初加速される。分配アームは、基板の中心にある分配位置に移動する。そして、ライン84で示すように、基板表面を脱イオン水の分配によって予め湿らせる。現像溶液をポイント110で分配を開始し、プラトー90の間続ける。そして、分配アームが基板の中央から基板のエッジに移動する(ラインセグメント83)。さらに、分配アームを基板上でわずかに休止させて、現像溶液の分配が続けられる。この時点において、ターンテーブルの速度が減じられる(ラインセグメント102)。(注:脱イオン水が点103までターンオフされる)。
【0156】
そして、分配アームは基板の中央(点111)に戻り(ライン104)、ここで、ターンテーブルの速度が再び減じられる。(ラインセグメント106)また、基板エッジ(ラインセグメント108)に戻る。この点の回りで、現像溶液の分配が終了する(点115)。現像溶液が分配された後、基板は、その上部に現像溶液の溜まりを有し、部分−E−の間に位置している。現像溶液の溜まりの底部において、現像溶液フォトレジスト被膜がフィルムから選択的に取り除かれる。約40秒後(部分−F−の開始)、分配アームは、基板の中心に移動し、ターンテーブルは回転を開始する。これにより、現像溶液の多くが排出される。その後まもなく、脱イオン水の分配が開始され、基板はより早く回転する。適当なリンス工程の後、分配アームが基板を「ホーム位置」に移動させ、そして、脱イオン水の分配が停止される。次に、基板は、乾燥するためにより早く回転される。
【0157】
現像溶液の分配の開始は、ポイント110で、この処理の瞬間は重要である。なぜなら、上述したように、分配アームの動きが開始されるからである。このため、分配の開始は、現像溶液をスピンコーティングする工程の次に続く処理事象のタイミングを制御するための良いトリガ事象となり得る。本発明によれば、現像溶液の分配の開始は、圧力センサを用いて識別される。本発明では、次に続く処理事象は、分配の開始、すなわちポイント110でのタイミングに基づいて制御することができる。代わりに、図5に示された処理に基づいて、またはフォトレジスト上に現像溶液をスピンコーティングするための異なるレシピまたはプログラムに基づいて、異なる処理溶液、例えば、脱イオン水の分配の開始(または終了)とすることができ、また、トリガ事象が異なる処理溶液をスピンコーティングする間に分配される。
【0158】
厳密に「ラウンド−ロビン」シリアル制御に対応するパラレル処理制御を用いて、本発明弐従って記載されたように、スピンコーティング処理は、割り込み処理制御システムを用いて制御することができる。ここで、スピンコーティング処理のシリアル制御は、割り込み信号によって割り込まれる。そして、処理制御システムがプレプログラムされた処理指令を実行するか、または一連の指令(例えば、割り込みサービスルーチンの形式で)を開始する。そしてその後、シリアル制御に戻る。この割り込み信号は、外部または内部からとすることができる(処理制御システムから、ソフトウエア割り込みの形式で)。例えば、割り込み信号は、プログラムされた時間で、またはソフトウエアプログラム内で検出された事象の発生により、送られるように、処理制御システム内のプログラムされたソフトウエア信号とすることができる。あるいは、割り込み信号は、センサ、コントローラ、ポンプ、分配器、ターンテーブル、タイマー等のスピンコーティングシステムの構成要素からのディスクリート信号等のハードウエア割り込みとすることもできる。ハードウエア割り込みは、一個のハードウエアからの割り込み信号であり、好ましくは、ハードワイヤ接続を介してCPUに直接送られるディスクリート信号である。
【0159】
シリアル制御の割り込み時に実行される処理指令は、スピンコート処理の一部であるどのような指令も可能である。この方法は、特に、時間感応指令のタイミングを制御するのに特に役立つ。時間感応指令は、処理ステップのタイミングに関する処理指令であり、たとえば、ミリ秒の範囲の大きさであり、被膜されたまたは加えられた処理材料の均一性を測定可能な影響を有する。特に、フォトレジストの厚さ又はライン幅の反復性のいずれかに影響を与える指令を含んでいる。時間感応指令の例としては、ターンテーブルの動き(たとえば、加速又は減速)、分配器の動き、分配器から分配される溶液の開始または終了、等のハードウエア部品の動きを含む。ターンテーブルの動きのタイミングは、特にスピンコートされたフィルムの厚さにとって重要であり、その理由は、処理溶液(特にフォトレジスト溶液)を分配して均一な薄いフィルムにするためにターンテーブルの速度、継続時間、加速が、製造されるフィルムの最終厚さ及び均一性に影響を与えるからである。
【0160】
ターンテーブルの動きと共に分配アームの動きのタイミング及び処理溶液の分配は、現像溶液の分配に特に重要であり、かつ現像後に残る特性の大きさ(一般的には幅)及び均一性に影響する。
【0161】
割り込み信号は、CPUに送られ、処理事象(またトリガ事象とも呼ばれる。)が発生する。「処理事象」及び「トリガ事象」は、スピンコーティング処理において発生するようにプログラムされている事象に関係して用いられ、また、処理制御システムにおいて、CPUによって検出又は認識される。トリガ事象は、好ましくは、時間感応指令をすぐに進行させる事象、又は、時間感応期間(1つまたはそれ以上の時間感応指令を含む処理期間)をすぐに進行させるか又は開始するかのいずれかの事象に関係する。
【0162】
好ましいトリガ事象は、処理の異なる形式、たとえば、現像溶液を利用する処理に対するフォトレジストのスピンコーティング処理に関して異なっている。フォトレジストのスピンコーティング処理は、溶液分配の終了後、時間感応指令を含み、また所定量の溶液に対する分配の終了が変化するので、フォトレジストのスピンコーティング処理に対する適切なトリガ事象は、特に、圧力センサを用いて測定するとき、フォトレジスト溶液の分配の終了時となる。現像溶液のスピンコーティング処理に対して、現像溶液の分配の開始に続いて起こるいくつかのステップは、現像溶液の塗布のための適切なトリガ事象が現像溶液の分配の開始時に生じるので、時間感応的であり、また、このトリガ事象は、好ましくは、本明細書で記載するように、圧力センサを用いて測定される。
【0163】
割り込み信号を受け取ると、CPUは、割り込み信号を受け取った時に実行するように、予めプログラムされた一組の命令に従う、たとえば、割り込みサービスルーチン(ISR)を実行することにより、1つまたはそれ以上の処理指令を実行する。この割り込みサービスルーチンは、単一の処理指令のみを実行するための命令を含み、あるいは、複数の処理指令を実行するための命令を含むこともできる。いずれの場合も、単一の処理指令又は1つまたはそれ以上の複数の処理指令のいずれかの指令が、トリガ事象から遅延して行われ、又はこのトリガ事象が起こる時に実行することができる。
【0164】
1つまたはそれ以上の遅れの継続時間(duration)は、処理制御システムにおいて、1つまたはそれ以上のタイマーによって測定することができる。各継続時間の終了時には、ISRが処理制御システムによって認識される別の割り込み信号を出力し、処理制御システムは、ISRに従って遅延した処理指令を実行することになる。
【0165】
1つの実施形態において、トリガ事象では、処理制御システムが多数個の遅れ継続時間を測定するための多数のタイマーを含む割り込みサービスルーチンを実行させる。この割り込みサービスルーチンが、各々の遅れの間動作する1つのタイマーを開始させ、各遅れの終了時なると、割り込みサービスルーチンが別の割り込み信号をプロセッサに送り、この割り込み信号を認識して、かつ対応する(予めプログラムされた)処理指令を実行する。この処理指令が実行された後、処理制御システムは、別のタイマーが測定された継続時間の終わりに到達したとき、又はハードウエアの割り込み等別の割り込み信号を入力したときに送られる別の割り込み信号によって再び割り込まれるまでシリアル制御に戻る。
【0166】
同一の開始点、たとえば、トリガ事象又は割り込み信号からの各継続時間を測定することは、有意義なことであるが、ISRの異なる継続時間が同一の開始点から全て測定されることは必要ではない。この割り込みは、CPUが、約10〜100ミリ秒の時間の間、一般的な制御モードから離れることになり、この処理制御システムは、別の割り込み信号を受け取るまでシリアル制御に戻る。
【0167】
処理制御システムは、(たとえば、ISRを含むプログラムを、スピンコーティングシステムを実行する前に処理制御システム内でプレスキャンニングまたはプレプログラミングすることによって)プログラムされるかまたは前もってプログラムされ、1つまたはそれ以上の異なる割り込み信号を認識する。このプレスキャンニングは、また異なる割り込み信号の各々に対応するISRをプログラミングすることを含むことができる。各割り込み信号が入力すると、処理制御システムは、入力された特定の割り込み信号に相当するISRを実行することにより応答することになる。
【0168】
図6は、割り込みタイミング制御と、単一のトリガ事象からの継続時間をタイム処理する並列のタイマーとを用いて制御される、図4のスピンコート処理の一部分を示す。図6は、例示するフォトレジスト溶液のスピンコーティング処理中に起こるトリガ事象を示す。好ましくは、このトリガ事象は、フォトレジスト溶液の分配の終了時に選択することができ、そして、記載したように、たとえば、フォトレジスト溶液の分配ラインにおいて、圧力センサを用いて識別する。
【0169】
分配の終了が検出されたとき、トリガ事象として、ディスクリート信号がCPUに送られる。このトリガ事象は、図6のt=0で表された垂直線で示されている。1つまたはそれ以上のタイマー(図でT1およびT2)が可動し始め、各々は、時間ゼロからのプリセット時間の間及びトリガ事象において動作する。
【0170】
本発明のこの実施形態に従って、1つの処理指令が各継続時間の終了時に実行される。最も早い処理指令は、最も短い継続時間(図6の継続時間D1)の後、実行される。継続時間の終わりに到達すると、割り込みサービスルーチンは、別の割り込み信号を中央処理ユニットに送る(継続時間D1の終了を知らせる)。このCPUは、継続時間D1に関係する信号を入力した時に作動するようにプログラムされて動作する。そして、適当な処理指令を実行することになる。
【0171】
ここで、たとえば、この処理指令は、分配アームを基板の中央からエッジ(図4のラインセグメント95)に上方から移動させることができる。処理指令が実行された後、シリアル制御が再開される。継続時間D2の終わりに到達すると、別の割り込み信号が出力され、シリアル制御に割り込み、別の処理指令を実行する。この例の場合、第2処理指令は、ターンテーブルの加速を開始させ、キャスティング速度(ポイント73、図4)にすることができる。
【0172】
図7は、割り込みタイミング制御と、単一のトリガ事象からの継続時間をタイム処理する並列のタイマーとを用いて制御される、図5のスピンコート処理の一部分を示す。図7は、現像溶液のスピンコーティングの塗布中に起こるトリガ事象に続く事象を示す。この実施形態に示されるように、このトリガ事象は、圧力センサを用いて、例えば、現像溶液の分配ラインにおいて、識別されるように、現像溶液の分配に開始時に選択される(図5のポイント110)。このトリガ事象は、時間感応指令が分配開始のすぐ後に続き、分配の開始から現像溶液の分配の開始から時間が計測される。
【0173】
分配の開始が検出されると、ディスクリート信号がCPUに送られる(たとえば、供給システム32が、制御システム36にディスクリート信号を送る(図2を参照)。トリガ事象は、t=0を表す垂直線として、図7に表されており、タイマー(図において、T4、T5、T6、T7、T8及びT9)が動作し始め、各々は、時間ゼロからプリセットされた継続時間の間、作動する。
【0174】
継続時間D4の終わりに(図5のポイント101)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、基板の中心位置上方からエッジ位置上方に分配アームを移動する指令を実行する(図5のラインセグメント83)。
【0175】
継続時間D5の終わりに(図5のポイント103)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、ターンテーブルを一定の速度で減速させ、減少した速度にする指令を実行する(図5のラインセグメント102)。
【0176】
継続時間D6の終わりに(図5のポイント105)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、基板のエッジ位置上方から中心位置上方に分配アームを移動する指令を実行する(図5のラインセグメント104)。
【0177】
継続時間D7の終わりに(図5のポイント107)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、ターンテーブルを一定の速度で減速させ、減少した速度にする指令を実行する(図5のラインセグメント106)。
【0178】
継続時間D8の終わりに(図5のポイント111)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、基板の中心位置上方からエッジ位置上方に分配アームを移動する指令を実行する(図5のラインセグメント108)。
【0179】
継続時間D9の終わりに(図5のポイント115)、割り込みサービスルーチンは、シリアル処理に割り込むために信号をCPUに送り、そして、現像溶液の分配を停止する指令を実行する。
【0180】
スピンコーティング処理の全てのステップを通じて、処理制御システムは、予めプログラムされた命令、たとえば、ソフトウエア命令に従って動作する。これは、シリアル制御、ソフトウエア割り込み信号、割り込みサービスルーチン等に関係する命令を含む。この制御処理システムは、優先順位に基づいて命令を実行するようにプログラムされている。そして、このシステムは、比較的より低い優先順位の指令(たとえば、シリアル制御サブルーチン)を実行中に、より高い優先順位の指令(たとえば、割り込みサービスルーチンからの指令)を実行するように割り込ませることができる。
【0181】
この処理制御システムは、割り込み信号等の信号を認識するためにプログラムされまたは予めプログラムされており、そして、ISR等の適当な指令を実行することによって応答する。
【0182】
好ましくは、割り込み駆動された、パラレル処理制御システムが、処理溶液の分配を監視するために本発明の圧力センサと組み合わせて、処理溶液の分配の開始または終了を監視する他の処理制御方法及び他の方法を用いることによって、本発明の処理制御は、存在するタイミングの変動を減少または削除する。圧力センサを用いて、分配の開始または終了を検出するために、後の処理ステップのタイミングを基準として分配の繰り返し可能なポイントを直接識別する方法を与える。これは、例えば、ポンプ、または分配器からの信号等の他の処理事象に基づいて、分配の開始または終了の間接的な測定での正確さを改善する。
【0183】
割り込み駆動され、パラレルタイミング制御、例えば、圧力センサを用いて測定された分配の開始または終了に基づく後の処理事象のタイミングを制御するために、スピンコーティング処理全体にわたる付加的な改善が起こる。割り込み駆動されるパラレルタイミングにより、実行すべき処理指令が可能になり、かつ遅延継続時間が、継続時間を測定するタイミング装置の正確さの範囲内で測定することができる。最新のコンピュータでは、約5ミリ秒の範囲内で測定され、又は1ミリ秒またはそれ以下の正確さで測定することができる。さらに、処理指令は、独立して、即ち並列して測定することができ、より早い指令の実行タイミングにおいて現れる変動を増大しないで、順次続く処理指令のタイミングに累積されないようにする。
【0184】
図8は、本発明の一般的な構成を示し、割り込まれた、好ましくは本発明に従うパラレルタイミングで制御される1つまたは複数のステップに現れる変動を示している。図8の第1ステップでは、1.000〜1.005秒の範囲の時間で割り込みが実行される。第2ステップは、1つの並列タイマーで計測された、2.000〜2.005秒の範囲の時間で実行される。また、第3ステップは、3.000〜3.005秒の範囲の時間で実行される。図9において、パラレル制御に関係した変動が、シリアル制御と関連した変動とが比較されている。分配ステップの開始または終了を測定するために圧力センサを用いて、より正確な方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0185】
【図1】図1は、圧力センサを含むスピン処理装置の実施形態を示す図である。
【図2】図2は、圧力センサを含むスピン処理装置の実施形態を示す図である。
【図3】図3は、例示的なラウンド−ロビン型の制御アルゴリズムを示す図である。
【図4】図4は、スピンコーティングシステムを用いて、フォトレジスト溶液を基板上にスピンコーティングするステップの図である。
【図5】図5は、スピンコーティングシステムを用いて、現像溶液を基板上に加えるための処理ステップを示す図である。
【図6】図6は、図4のステップの一部における割り込み制御を説明する図である。
【図7】図7は、図5のステップの都部における割り込み制御を説明する図である。
【図8】図8は、割り込まれるタイミング、特に、異なる継続時間を並列に制御するマルチプルタイマーを用いて、特定の割り込みタイミングで、制御された処理ステップのタイムスケジュールを示す図である。
【図9】図9は、シリアル処理制御を用いて制御されるスピンコーティングステップのシーケンスに従ってタイミングが変化することを示す図である。
【図10】図10は、他のもの、即ち、処理流体の分配の開始と終了との間で、分配ラインにおける流体圧力のプロット点を示す図である。
【符号の説明】
【0186】
20 システム
22、204 室
24 支持体
26 チャック
28 モータ
30,206 分配器
32 供給システム
36 処理制御システム
38,40,42,18 圧力センサ
48 制御弁
47,215 分配ライン
212 制御システム
214 供給源



【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、前記処理溶液を分配するステップに関連して同時に、前記分配ラインにおいて前記処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含み、
次に続くスピンコーティング処理ステップのタイミングを制御することを特徴とするスピンコーティングシステム。
【請求項2】
前記圧力センサーは、圧力変換器からなることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
処理溶液の前記供給源と分配器との間に分配弁を含み、前記圧力センサが、前記分配弁と分配器との間にあることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記圧力センサは、前記分配器から分配される処理溶液の開始または終了を検出することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
スピンコーティング処理を制御するための制御システムをさらに含み、前記圧力センサは、前記分配器から処理溶液の分配の開始または終了を検出し、かつ前記処理溶液の分配の検出した開始点または終了点で前記制御システムに信号を送ることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記処理溶液は、フォトレジスト溶液であり、前記圧力センサは、フォトレジスト溶液の分配の検出終了点で前記制御システムに信号を送ることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記処理溶液は、現像溶液であり、前記圧力センサは、前記現像溶液の分配の検出開始点で制御システムをに信号を送ることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項8】
前記処理溶液は、フォトレジスト、現像液、溶媒、及び脱イオン水からなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
基板を支持しかつ回転させるターンテーブルと、
分配位置及び非分配位置の間で移動可能な分配器と、
分配ラインを介して前記分配器と流体連通状態にある、処理溶液の供給源と、
前記基板に前記処理溶液の塗布を制御する処理制御システムとを含み、
前記処理制御システムが、処理指令を実行するためにシリアル制御に割り込むようにプログラムされていることを特徴とするスピンコーティングシステム。
【請求項10】
前記スピンコーティングシステムが、前記処理溶液の供給源と分配器との間に分配弁を含み、
前記圧力センサが、前記分配弁と分配器との間にあって、前記分配ラインにおいて処理溶液の圧力を測定することを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記処理溶液は、フォトレジスト溶液と現像溶液からなる群から選択されることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記圧力センサは、前記処理溶液の分配の開始または終了において前記制御システムに信号を送り、そして、前記処理制御システムが、前記シリアル処理の制御に割り込むことを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記処理溶液は、フォトレジスト溶液であり、前記圧力センサは、フォトレジスト溶液の分配の終了において前記処理制御システムに信号を送ることを特徴とする請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記処理溶液は、現像溶液であり、前記圧力センサは、現像溶液の分配の開始において前記処理制御システムに信号を送ることを特徴とする請求項12記載のシステム。
【請求項15】
前記処理溶液は、フォトレジスト、現像液、脱イオン水、および溶媒からなる群から選択されることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項16】
基板上に処理溶液をスピンコーティングする方法であって、
分配器と流体連通状態にある、処理溶液の供給源を含むスピンコーティングシステムを設け、
前記分配器を介して基板上に前記処理溶液を分配し、
前記分配器によって前記処理溶液の分配の開始または終了を検出するために前記処理溶液の圧力を測定する、各ステップを含むことを特徴とするスピンコーティング方法。
【請求項17】
前記スピンコーティングシステムは、分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、前記分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記スピンコーティングシステムは、処理溶液の前記供給源と前記分配器の間の分配ラインと、この分配ラインに設けた弁と、前記弁と分配器との間の分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定するための圧力センサとを含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記圧力センサを用いて測定された処理溶液の分配の開始と終了に基づいてその後の処理ステップを開始することを含んでいる請求項16記載の方法。
【請求項20】
半導体ウエハ上にフォトレジストをスピンコーティングする方法であって、
前記半導体ウエハの表面上にフォトレジスト溶液をスピンコーティングし、
前記フォトレジストの材料上に現像溶液をスピンコーティングする、各ステップを有し、
前記方法は、前記フォトレジスト溶液の分配の開始と終了または前記現像溶液の分配の開始または終了の1つまたはそれ以上の時点を測定するための圧力センサを用いることを
特徴とするスピンコーティング方法。
【請求項21】
現像溶液の分配に開始を測定するために1つの圧力センサを、またフォトレジスト溶液の分配の終了を測定するために1つの圧力センサを用いることを特徴とする請求項20記載の方法。
【請求項22】
分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、前記分配ラインにおいて前記処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含むスピンコーティングシステムを用いてスピンコーティング処理を制御する方法であって、
割り込みサービスルーチンを有するプログラム化された処理制御システムを用いて、
前記圧力センサを用いて測定された処理溶液の分配に関係した信号に関連するトリガ事象の時に、ハードウエア割り込みが前記処理制御システムに送られ、
このハードウエア割り込みを受け取った時、前記処理制御システムは、割り込みサービスルーチンを実行することを特徴とする方法。
【請求項23】
前記割り込みサービスルーチンは、継続時間に対して並列に処理を行う2つ以上のタイマーを設定し、前記処理制御システムを割り込ませ、そして処理指令を実行するために、各タイマーの継続時間の終了においてソフトウエア割り込み信号を送ることを特徴とする請求項22記載の方法。
【請求項24】
分配ラインを介して分配器と流体連通状態にある処理溶液の供給源と、装置内の誤動作を検出するために、前記処理溶液の圧力を測定する圧力センサとを含むことを特徴とするスピンコーティングシステム。
【請求項25】
前記誤動作は、設備の誤動作であることを特徴とする請求項24記載のシステム。
【請求項26】
スピンコーティングシステムは、処理溶液の分配中に分配ラインにおける処理溶液の圧力を測定することによって誤動作を検出することを特徴とする請求項24記載のシステム。
【請求項27】
処理溶液は、フォトレジスト、現像液、溶媒、脱イオン水、およびクリーナーからなる群から選択されることを特徴とする請求項26記載のシステム。
【請求項28】
処理流体の圧力を測定することからなるスピンコーティング装置における誤動作を検出することを特徴とする方法。
【請求項29】
前記圧力は、分配ステップ中に分配ラインにおいて測定されることを特徴とする請求項28記載の方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−503433(P2006−503433A)
【公表日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544755(P2004−544755)
【出願日】平成15年9月10日(2003.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2003/029168
【国際公開番号】WO2004/036629
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(503450771)エフエスアイ インターナショナル インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】