説明

セラミック多層基板

【課題】チタン酸バリウム系の高誘電率セラミック層と低誘電率セラミック層との積層体を、低温焼成によってデラミネーションやクラックを抑制しつつ接合することである。
【解決手段】低誘電率の絶縁体からなる低誘電率層と高誘電率の誘電体からなる高誘電率層との共焼結によって得られるセラミック多層基板を提供する。低誘電率層は、xBaO−yTiO−zZnO(x、y、zは、それぞれ、モル比率を示し、x+y+z=1;0.09≦x≦0.20;0.49≦y≦0.61;0.19≦z≦0.42)の組成を有する低誘電率セラミック成分と、この低誘電率セラミック成分100重量部に対して1.0重量部以上、5.0重量部以下添加されている酸化ホウ素含有ガラス成分と含む。高誘電率層が、CuOおよびBiが添加されたチタン酸バリウム系誘電体からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセラミック多層基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セラミック基板表面に実装されていたキャパシタやインダクタ等の受動部品をセラミック多層基板に内蔵することで電子機器の小型化および高密度化が図られている。このようなセラミック多層基板を作製するにはドクターブレード法によって誘電体磁器組成物と有機溶剤の混合スラリーによってグリーンシートを作製し、乾燥させた後、そのシートの上面に配線導体を印刷する。そして、前記と同様の誘電体磁器組成物のグリーンシートを積み重ね、積層物とし、同時焼成する。
【0003】
このようなセラミック多層基板は高速で高性能な信号処理を行うため、比抵抗の小さいAgやCuを配線導体として使用している。そのため、Agの融点である962℃およびCu融点である1084℃より低い温度で、これらと同時焼成できる種々のセラミックス材料が開発されている。
【0004】
ところで、上記セラミック多層基板は浮遊容量や配線間の結合容量などを抑制するために一般に誘電率が10以下のものが好適に用いられるが、一方、セラミック多層基板内部にコンデンサを形成する場合、コンデンサを構成するセラミックスの誘電率は高いことが好ましい。
【0005】
チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物は、一般に誘電率が高く、セラミック多層基板内部に高容量のコンデンサを形成させることが可能である。しかしながら、焼結温度が高く、1150〜1200℃以上が必要であるため、同時焼成される配線導体としてAgやCuを用いることができない。このため1000℃以下の温度で焼結可能であり、実用的な誘電率を有するチタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物が必要である。
【0006】
チタン酸バリウム系の誘電体磁器組成物については種々の先行文献が知られている。特許文献1においては、鉛添加系において、酸化銅と酸化ビスマスとを添加することが記載されている。
【特許文献1】特開昭54−53300
【0007】
また、特許文献2、3には、無鉛系で低温焼成可能なチタン酸バリウム系誘電体が記載されている。
【特許文献2】特開2006−93484
【特許文献3】特開平5−325641
【0008】
さらに、非特許文献1には、チタン酸バリウム誘電体に対して、ガラスを添加せず、CuBiを焼結助剤として添加することを開示した。これによって、チタン酸バリウム誘電体が920°Cで焼結可能であること、良好な比誘電率の温度特性が得られることを確認した。特に、約1900の比誘電率と約0.6%の誘電損失とが得られることを開示した。
【非特許文献1】「JapaneseJournal of Applied physics」, Vol. 45. No. 9B, 2006, pp 7360-7364 「DielectricProperties and Microstructures of Low-Temperature-Sintered BaTiO3-BasedCeramics with CuBi2O4 sintering Aid」
【0009】
また、セラミック多層基板用途において、低誘電率のセラミックは多数知られている(特許文献4、5、6)。
【特許文献4】特開平9−301768
【特許文献5】特開2000−264722
【特許文献6】特開2000−264723
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
新しい有用なセラミック多層基板の開発に際しては、コンデンサないしキャパシタなどを構成する高誘電率セラミック層と、低誘電率のセラミック層とを積層し、一体化することが必要である。また、上記の理由から、高誘電率セラミック層と低誘電率セラミック層とを1000℃以下の低温領域で緻密に焼成可能であることが必要であり,かつ両者をデラミネーションやクラックなしで接合することが必要である。しかも、高誘電率セラミック層と低誘電率セラミック層との間では、共焼結時に成分拡散が生じ、この結果として誘電特性が劣化する傾向がある。これらの問題点を解決したセラミック積層体は未だ知られていない。
【0011】
本発明者は、特許文献7において、低温焼成可能で、誘電損失の小さい高誘電率チタン酸バリウム系誘電体を開示した。しかし、これを低誘電率セラミック層と共焼結したときに、両者を強固に接合し、デラミネーションやクラックなしで接合することが必要であるが、そのような技術は提供されていない。
【特許文献7】特願2006−235529
【0012】
本発明の課題は、チタン酸バリウム系の高誘電率層と低誘電率層との積層体を、低温焼成によってデラミネーションやクラックを抑制しつつ接合することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、低誘電率層と高誘電率層との共焼結によって得られるセラミック多層基板を提供する。低誘電率層は、xBaO−yTiO−zZnO(x、y、zは、それぞれ、モル比率を示し、x+y+z=1; 0.09≦x≦0.20 ; 0.49≦y≦0.61 ; 0.19≦z≦0.42)の組成を有する低誘電率セラミック成分と、この低誘電率セラミック成分100重量部に対して1.0重量部以上、5.0重量部以下添加されている酸化ホウ素含有ガラス成分を含む。高誘電率層が、CuOおよびBiが添加されたチタン酸バリウム系誘電体である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、チタン酸バリウム系誘電体に対して、CuOおよびBiを添加することによって、チタン酸バリウム誘電体の最適焼成温度を低くすることができ、特には1000℃以下とすることができる。その上で、上述した特定組成のBaO−TiO−ZnO系の低誘電率セラミックスを、上記の低温焼成可能なチタン酸バリウム系誘電体と共焼結すると、接合強度が高く、接合面におけるラミネーションやクラックを抑制でき、また接合界面における成分拡散も抑制されることを見いだし、本発明に到達した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のチタン酸バリウム系誘電体の誘電率は特に限定するものではない。しかし、誘電体コンデンサのように高い誘電率を必要とする用途においては、誘電率を例えば1000 以上とすることが好ましい。
【0016】
チタン酸バリウム系誘電体は、チタン酸バリウムを主成分とする誘電体を指す。具体的には、原料段階では、チタン酸バリウムの仮焼物であってよく、あるいは、焼結後にチタン酸バリウムを生成する酸化チタンと酸化バリウムとの混合物であってよい。また、チタン酸バリウム系誘電体全体を100モル%とすると、100モル%の全体がチタン酸バリウムからなっていてよい。あるいは、誘電体のバリウム部位のうち、30モル%以下は、ストロンチウム、カルシウム、マグネシウムによって置換することができる。また、誘電体のチタン部位のうち、30モル%以下は、ジルコニウムによって置換することができる。
【0017】
本発明においては、チタン酸バリウム系誘電体に対してCuOおよびBiを添加する。これによって、チタン酸バリウム系誘電体の焼成温度を低くすることができる。
【0018】
添加の方法は例えば以下のとおりである。
(1) CuOおよびBiを別々の酸化物の形で添加する。
(2) CuOとBiとの複合酸化物を添加する。
(3) (1)の複数種類の酸化物と、(2)の複合酸化物とを両方とも添加する。
【0019】
(2)(3)の複合酸化物は、仮焼によって生成させることができる。また、複合酸化物としては、CuBiを例示できる。
【0020】
本発明の観点からは、チタン酸バリウム系誘電体100重量部に対して、0.5重量部以上、4.0重量部以下のCuOおよび4.0重量部以上、9.0重量部以下のBiを添加することが好ましい。
【0021】
チタン酸バリウム系誘電体100重量部に対するCuOの添加量を0.5重量部以上とすること、およびBiの添加量を4.0重量部以上とすることによって、1000℃以下で焼成したときの磁器の緻密性および誘電率を向上させることができ、接合性も向上させることが可能になる。この観点からは、CuOの添加量を0.85重量部以上とすることが更に好ましく、また、Biの添加量を5.0重量部以上とすることが更に好ましい。
【0022】
また、チタン酸バリウム系誘電体100重量部に対するCuOの添加量を5.0重量部以下とすること、およびBiの添加量を9.0重量部以下とすることによって、1000℃以下で焼成したときの磁器の緻密性および誘電率を向上させることができ、接合性も向上させることが可能になる。この観点からは、CuOの添加量を3.0重量部以下とすることが更に好ましく、また、Biの添加量を8.0重量部以下とすることが更に好ましい。
【0023】
本発明のセラミック多層基板の共焼結は、900〜1000℃で行うことが好ましい。共焼結温度が900℃未満では、焼結が困難である。また焼結温度を1000℃以下とすることによって、広範囲な用途展開が可能となり、産業上の利点が大きい。焼結温度は980℃以下が更に好ましい。また、導体としてAgなどを使うときは、焼結温度を950℃以下とすることが好ましい。
【0024】
Pbの酸化物は、本発明のチタン酸バリウム系誘電体中に実質的に含有していないことが好ましい。ただし微量の不可避的不純物は除く。
【0025】
本発明のチタン酸バリウム系誘電体中には実質的にガラス成分は含有されていない。また、各金属成分の原料としては、各金属の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩を例示できる。
【0026】
本発明の低誘電率層は、低誘電率セラミック成分、およびこの低誘電率セラミック成分に添加されている酸化ホウ素含有ガラス成分からなる。ここで、低誘電率層とは、比誘電率が30以下の層を意味する。
【0027】
前記低誘電率セラミック成分は、xBaO−yTiO−zZnO(x、y、zは、それぞれ、モル比率を示し、x+y+z=1;0.09≦x≦0.20;0.49≦y≦0.61;0.19≦z≦0.42)の組成を有する磁器である。この範囲内の組成によって、共焼結時に、高誘電率セラミック層との接合性が良く、また比誘電率を低くし、低温で緻密な磁器を得ることが可能である。
【0028】
本発明の観点からは、前記低誘電率セラミック成分中でのBaOの比率xは、0.11以上とすることが更に好ましく、また、0.15以下とすることが更に好ましい。また,前記低誘電率セラミック成分中でのTiOの比率yは、0.5以上とすることが更に好ましく、また0.6以下とすることが更に好ましい。また,前記低誘電率セラミック成分中でのZnOの比率zは、0.3以上とすることが更に好ましく、また0.4以下とすることが更に好ましい。
【0029】
前記低誘電率セラミック成分100重量部に対して、1.0重量部以上、5.0重量部以下の酸化ホウ素含有ガラス成分を添加することによって、低誘電率層の焼結温度を効果的に低下させることが可能となる。
【0030】
この酸化ホウ素含有ガラス成分とは、少なくとも酸化ホウ素を含有するガラス成分を意味する。このガラス成分は、酸化ホウ素のみであってよいが、酸化ホウ素以外の金属酸化物を含有していることが好ましい。酸化ホウ素以外の金属酸化物成分としては、BaO、Al2O3、ZnO、SiO2およびアルカリ金属酸化物を例示できる。
【0031】
好適な実施形態においては、前記セラミック多層基板が、BaO−Al−SiO系セラミックを含んでおり、低誘電率セラミック層が、このBaO−Al−SiO系セラミックと共焼結により接合されている。
【0032】
BaO−Al−SiO系セラミックは、セラミック多層基板内に比抵抗の小さなAg、Cu、Ag-Pd等の低融点金属を配線導体として同時焼結することができ、高周波特性に優れたセラミック多層基板の形成が可能である。また、前述の低誘電率層のガラス成分とほぼ同組成であるので、接合強度が強く、共焼結による基板特性の変動も少ない。
【0033】
BaO−Al−SiO系セラミックは、好ましくは以下の組成を有する。
必須成分
BaO:40〜65重量部
Al2O3:0.1〜20重量部
SiO2:25〜46重量部
任意成分
ZnO:0.5〜20重量部
必要に応じて前述した酸化ホウ素含有ガラス成分のいずれかを0.3〜5.0重量部添加してもよい。
【0034】
本発明において、前記した各金属酸化物成分の比率は、原料混合物における各金属の酸化物への換算値である。原料混合物における各金属の酸化物への換算値は、各金属原料の混合比率によって定まる。本発明においては、各金属原料の混合比率を精密天秤によって秤量し、この秤量値に基づいて前記換算値を算出する。
【0035】
本発明のセラミック多層基板は、Ag、CuおよびAg−Pd合金からなる群より選ばれた材質からなる導電膜を備えていることが好ましい。
【0036】
また、本発明のセラミック多層基板は、一対の電極層を備えており、これら一対の電極層間に前記高誘電率セラミック層が配置されており、この一対の電極層によって所定の静電容量が引き出されていることが好ましい。
【0037】
本発明のセラミック多層基板を製造する際には、好ましくは、所望の組成となるように各酸化物粉末を秤量し、湿式混合して、チタン酸バリウム系誘電体および低誘電率誘電体の双方について、各混合粉末を得る。その後、低誘電率材は900℃〜1300℃の範囲(好ましくは1050℃以上)および高誘電率材は900〜1200℃の範囲(好ましくは1000〜1100℃)で仮焼する。仮焼体を粉砕し、各セラミック粉末を得る。そして、好ましくは、各セラミック粉末と有機バインダ、可塑剤、分散剤および有機溶剤とを混合し、ドクターブレード法によってシート成形し、これを積層して積層体を得る。この積層体を900〜1000℃で焼成し、セラミック多層基板を得る。
【0038】
図1は、本発明を適用したセラミック多層基板の一例を示す。本図面はLC内蔵多層配線基板を模式的に示す断面図である。多層配線基板10上に、外装電極3、ハンダバンプ2を介して集積回路1が搭載されている。多層配線基板10は、例えば前記したような低誘電率層4と高誘電率層5、6からなっている。適切な設計にしたがって、内層電極7およびビア導体8が縦横に形成されており、多層配線を構成している。多層基板10においては、C1、C2、C3はいずれもコンデンサを形成しており、L1はインダクタを形成しており、それぞれ所定の用途に利用できる。また、低誘電率層4のうち、例えばL1を形成する層においては、BaO-Al2O3-SiO2系セラミックとしてもよい。
【実施例】
【0039】
(実験A)
(誘電体原料の作製)
所望の組成となるように各酸化物粉末を秤量し、湿式混合して、チタン酸バリウム系誘電体および低誘電率誘電体の双方について、各混合粉末を得る。その後、低誘電率材は1050−1300℃で仮焼し、高誘電率材は1000〜1100℃で仮焼した。その後粉砕して各セラミック原料粉末を得た。
【0040】
(ガラス作製)
表1に示す各ガラス種A、B、Cを作製した。各ガラス成分を構成する各酸化物を秤量し、乾式混合によって混合物を得た。その後、白金ルツボ中で溶融させ、溶融物を水中で急速冷却して塊状のガラスを得た。このガラスを湿式粉砕して、各低融点ガラス粉末を得た。
【表1】

【0041】
(低誘電率材の調製)
得られた仮焼物とガラス、必要に応じて所定量のCuOを添加し、粉砕して低誘電率セラミック原料粉末を得た。表2〜5に記載の低誘電率材組成の誘電率は、すべて20〜30、Q値(3GHz)は3000以上である。
【0042】
(高誘電率材の調製)
チタン酸バリウム系誘電体仮焼物に対して所定量のCuOおよびBiを添加し、粉砕して、表2〜5記載の各高誘電率セラミック原料を得た。
【0043】
(テープ成形)
調整した各原料粉末に有機バインダ、可塑剤、分散剤および有機溶剤を加え、ボールミルにて混合し、スラリーを得た。このスラリーを用いてドクターブレード装置によって厚さ0.02〜0.1mmのグリーンシートを成形した。
【0044】
(接合性、抗折強度試験)
低誘電率セラミックグリーンシートを焼成後厚みが2mm程度になるように積層し、その中間に高誘電率セラミックグリーンシートを挿入して焼成し、約3mm×30mm×2mmの試験片を取り出して3点曲げ試験を行った。接合性は同様の構造物に対し、鏡面研磨を行って接合界面部のクラック、空隙、相互拡散を電子顕微鏡で観察した。この結果を表2、3、4、5に示す。
【0045】
(誘電率測定)
低誘電率セラミックグリーンシートの中間に高誘電率セラミックグリーンシートを挿入した構造物に対し、あらかじめ高誘電率層の一部が容量層となるようにスクリーン印刷によって電極パターン(電極の重なりの面積は焼成後2mm2)を形成し、ビアで電極を引き出す。その後適当な大きさにカットして容量を測定し、誘電率を算定した。この結果を表2、3、4、5に示す。
【0046】
【表2】

【0047】
ここで、「接合性」の項目は、拡散、微小クラック、デラミネーションがなく、抗折強度が200MPa以上である場合は「○」とした。拡散、または微小クラックが見られた場合には、「△」とし、拡散成分が多く、あるいはデラミネーションやクラックが見られる場合には「×」とした。
【0048】
表2に示すように、試料1では、BaOの比率xが本発明外であり、拡散、微小クラックが見られた。試料2、3では良好な接合性が得られる。試料4では、低誘電率層へのガラス添加量が0.5重量部と本発明外であり、高誘電率層との接合性が低い。試料5、6、7、8では良好な接合性が得られた。試料9では、低誘電率層へのガラス添加量が6.0重量部と本発明外であり、拡散、微小クラックが見られる。
【0049】
【表3】

【0050】
表3に示すように、試料10、11では良好な接合性が得られる。試料12、13では、BaOの比率xが0.22、0.25と本発明外であり、接合性が低下している。試料14、15では、TiOの比率yが本発明外であり、接合性が低下している。試料16、17では、TiOの比率yとZnOの比率zが本発明外であり、接合性が低下している。試料18、19では良好な接合性が得られている。
【0051】
【表4】

【0052】
表4に示すように、低誘電率層にCuOを添加することによって、共焼結された高誘電率層の誘電率が一層向上するという作用効果が得られる。この比率は、低誘電率セラミック成分100重量部に対して20重量部以下、更には2〜20重量部が特に好ましい。
【0053】
【表5】

【0054】
表5に示すように、試料27〜37では良好な抗折強度と誘電率とが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のセラミック多層基板の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 集積回路 3 外装電極 4 低誘電率の誘電体磁器組成物 5.6 本発明の誘電体磁器組成物 7 内装電極 8 ビア導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低誘電率層と高誘電率層との共焼結によって得られるセラミック多層基板であって、
前記低誘電率層が、xBaO−yTiO−zZnO(x、y、zは、それぞれ、モル比率を示し、x+y+z=1; 0.09≦x≦0.20 ; 0.49≦y≦0.61 ; 0.19≦z≦0.42)の組成を有するセラミック成分と、このセラミック成分100重量部に対して1.0重量部以上、5.0重量部以下添加されている酸化ホウ素含有ガラス成分を含んでおり、前記高誘電率層が、CuOおよびBiが添加されたチタン酸バリウム系誘電体であることを特徴とする、セラミック多層基板。
【請求項2】
前記高誘電率層において、前記チタン酸バリウム系誘電体100重量部に対して、0.5重量部以上、4.0重量部以下のCuOおよび4.0重量部以上、9.0重量部以下のBiが添加されていることを特徴とする、請求項1記載のセラミック多層基板。
【請求項3】
前記低誘電率層において、前記セラミック成分100重量部に対して20重量部以下のCuOが添加されていることを特徴とする、請求項1または2記載のセラミック多層基板。
【請求項4】
前記セラミック多層基板が、BaO−Al−SiO系セラミックを含んでおり、前記低誘電率層が、このBaO−Al−SiO系セラミックと共焼結により接合されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載のセラミック多層基板。
【請求項5】
前記共焼結の温度が1000℃以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載のセラミック多層基板。
【請求項6】
Ag、CuおよびAg−Pd合金からなる群より選ばれた材質からなる導電膜を備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載のセラミック多層基板。
【請求項7】
一対の電極層を備えており、これら一対の電極層間に前記高誘電率層が配置されており、この一対の電極層によって所定の静電容量が引き出されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載のセラミック多層基板。

【図1】
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【公開番号】特開2009−88089(P2009−88089A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253528(P2007−253528)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000201777)双信電機株式会社 (54)
【出願人】(000004064)日本碍子株式会社 (2,325)
【Fターム(参考)】