テンプレートパルス発生回路、通信装置、および通信方法
【課題】パルス通信における省電力化に適したテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、この通信方法を提供する。
【解決手段】システムコントローラ830からの制御信号CTLによって、受信パルスの検波に際して同期捕捉(823)を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路820がテンプレートパルスを連続的に出力し、同期捕捉が略確立して以降の同期追従モード時にはテンプレートパルスを断続的に出力するようにテンプレートパルスの発生態様を切換えて、パルス通信の開始当初に連続的なテンプレートパルスを利用して短時間で同期捕捉を確立させ、これ以降はテンプレートパルスを断続的に出力するようにして省電力化を図る。
【解決手段】システムコントローラ830からの制御信号CTLによって、受信パルスの検波に際して同期捕捉(823)を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路820がテンプレートパルスを連続的に出力し、同期捕捉が略確立して以降の同期追従モード時にはテンプレートパルスを断続的に出力するようにテンプレートパルスの発生態様を切換えて、パルス通信の開始当初に連続的なテンプレートパルスを利用して短時間で同期捕捉を確立させ、これ以降はテンプレートパルスを断続的に出力するようにして省電力化を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUWB(Ultra Wide Band)通信に良く適合するテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法に関し、特に、受信系における省電力化が図られるようにしたテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UWB通信の中で非常に短時間のパルスを利用した非常に広帯域の通信方法はUWBインパルスラジオ(UWB−IR)方式の通信とも呼ばれている。UWB−IR方式では従来の変調によらない時間軸操作のみで変復調が可能であり回路の簡略化や低消費電力化が期待できるとされている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。
また、パルス信号列からなる伝送信号を受信する受信装置において、パルス生成手段により送信パルスと略同一の発生間隔のテンプレートパルスを発生させ、そのテンプレートパルスの発生位置を位相シフト手段によって所定の間隔で位相シフトし、相関手段によって該位相シフトされた各テンプレートパルスと受信パルスとの相関をとり、この相関結果に基づいて受信信号に対する同期捕捉を行うことが提案されている(特許文献3)。
【0003】
更に、テンプレートパルスの発生位置を制御しつつ、受信パルスが到来しない期間は受信回路を停止させることにより消費電力の抑制を図ろうとする提案もなされている(特許文献4)。
【特許文献1】特表2004−528776号公報(段落0035〜段落0040、図5)
【特許文献2】特表2005−517355号公報(段落0015〜段落0020、図2)
【特許文献3】特開2004−241927号公報(段落0025〜段落0028、図1)
【特許文献4】特開2005−217899号公報(段落0023〜段落0026、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにUWB通信では、その特質から電力消費の少ない通信が実現されるが、上掲の特許文献1〜3所載の提案では、この通信方法を適用したことによる通常の程度を超えて消費電力を抑制するというような技術課題の認識や、ひいてはそのような技術課題の解決手段については別段の提案はなされていない。
また、特許文献4には、消費電力の抑制を図ろうとする提案が開示されているが、この文献所載の技術では、到来パルスのタイミングが不明な状態からパルスの存在そのものを探索して同期捕捉するための過程での省電力化を図ることはできない。
【0005】
即ち、パルスの存在そのものを探索して同期捕捉する過程では、受信側で発生させるテンプレートパルスの位相を順次ずらしながら到来パルスのタイミングを探索するため、同期捕捉に時間が掛かり、その時間に相応して消費電力も増大してしまうという技術課題が、特許文献4でも残されている。
本発明は叙上のような状況に鑑みてなされたものであり、パルス通信における省電力化に適したテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)パルス通信における受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを生成するテンプレートパルス発生回路であって、
供給された制御信号に応じて連続的に前記テンプレートパルスを出力する連続出力モードと、断続的に前記テンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによって前記テンプレートパルスを発生させるように出力モードを切換える出力モード切換え回路を備えていることを特徴とするテンプレートパルス発生回路。
【0007】
上記(1)のテンプレートパルス発生回路では、例えば通信装置に備えられたシステムコントローラ等から制御信号を供給されて出力モード切換え回路によって連続的にテンプレートパルスを出力する連続出力モードと断続的にテンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによってテンプレートパルスを出力するように出力モードを切換えることができるため、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0008】
(2)前記テンプレートパルスを連続的に発生させる連続パルス発生回路と、
前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続パルス発生回路と、を備え、
前記出力モード切換え回路は前記連続パルス発生回路および前記断続パルス発生回路の何れか一方のパルス発生回路の出力を選択することによって前記出力モードを切換えることを特徴とする(1)のテンプレートパルス発生回路。
【0009】
上記(2)のテンプレートパルス発生回路では、(1)のテンプレートパルス発生回路において特に、テンプレートパルスを、連続的に出力する連続パルス発生回路と断続的に出力する断続パルス発生回路とが設けられ、これらの何れかの出力が出力モード切換え回路によって切換えられて出力されるため、極めて簡単な構成の出力モード切換え回路によって、テンプレートパルスの連続出力モードと断続出力モードとが切換えられる。
【0010】
(3)モード制御信号入力端に供給された発振モード切換信号に応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを発生させるモード可変パルス発生回路を備え、前記出力モード切換え回路は前記発振モード切換信号を前記モード可変パルス発生回路の前記モード制御信号入力端に供給することを特徴とする(1)のテンプレートパルス発生回路。
【0011】
上記(3)のテンプレートパルス発生回路では、(1)のテンプレートパルス発生回路において特に、モード可変パルス発生回路の動作モードが出力モード切換え回路からの発振モード切換信号によって切換えられるため、連続出力モードと断続出力モードとにそれぞれ対応した別系統の回路を持たない小規模な回路によってこれらテンプレートパルスの出力モードが切換えられる。
【0012】
(4)前記モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、前記多段インバータ回路部の前記インバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み、前記複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に接続することによって前記インバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号である前記テンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、
前記多段インバータ回路部は前記モード制御信号入力端に供給される前記発振モード切換信号に応じて所定の複数段部分における最終段の前記インバータの出力を前記複数段部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成する帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、
前記パルス発生論理回路部は、前記帰還ループ回路の断続の切換えに応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを生成すること
を特徴とする(3)のテンプレートパルス発生回路。
【0013】
上記(4)のテンプレートパルス発生回路では、(3)のテンプレートパルス発生回路において特に、モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、この多段インバータ回路部の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号であるテンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、このパルス発生論理回路部からクロックパルス信号よりも周波数の高いテンプレートパルスを出力することができる。
【0014】
また、多段インバータ回路部はモード制御信号入力端に供給される発振モード切換信号に応じて所定の複数段の部分の最終段のインバータの出力を該部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成するための帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、該帰還ループ回路の断続の切換えに応じて前記パルス発生論理回路部は連続的または断続的にテンプレートパルスを生成するように構成されている。このため、小規模な回路によって、上述のような周波数の高いテンプレートパルスを連続出力モードまたは断続出力モードを選択して出力することができる。
更に、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0015】
(5)前記多段インバータ回路部は、複数の差動インバータ回路の縦続接続によって構成されていることを特徴とする(4)のテンプレートパルス発生回路。
上記(5)のテンプレートパルス発生回路では、(4)のテンプレートパルス発生回路において特に、上述の連続出力モードまたは断続出力モードの何れでも極性が逆の関係にある2系統の(差動の)テンプレートパルスを同時に得ることができる。
【0016】
(6)前記リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタを備え、
前記出力モード切換え回路は、前記カウンタの計数値に応じて前記断続出力モードにおける前記テンプレートパルスの持続時間を規定するように構成されていること
を特徴とする(4)〜(5)の何れか一のテンプレートパルス発生回路。
上記(6)のテンプレートパルス発生回路では、上記(4)〜(5)の何れか一のテンプレートパルス発生回路において特に、リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタによる計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによって高精度に制御される。
更に、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0017】
(7)前記多段インバータ回路部は、偶数段目の前記インバータの出力により対応するI相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記I相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からI相の前記テンプレートパルスを生成し、奇数段目の前記インバータの出力により対応するQ相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記Q相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からQ相の前記テンプレートパルスを生成するように構成されていることを特徴とする(6)に記載のテンプレートパルス発生回路。
【0018】
上記(7)のテンプレートパルス発生回路では、(6)のテンプレートパルス発生回路において特に、多段インバータ回路部を構成する各段のインバータのうちの偶数段目の各インバータの出力により駆動されるI相の系統のパルス発生論理回路部から連続出力モードまたは断続出力モードのテンプレートパルスが得られ、このI相の系統のテンプレートパルスを受信信号のI相の系統に対する検波に適用することができ、同時に、多段インバータ回路部を構成する各段のインバータのうちの奇数段目の各インバータの出力により駆動されるQ相の系統のパルス発生論理回路部から連続出力モードまたは断続出力モードのテンプレートパルスが得られ、このQ相の系統のテンプレートパルスをQ相の系統に対する検波に適用することができる。
【0019】
(8)前記リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節され得るように構成されていることを特徴とする(6)のテンプレートパルス発生回路。
上記(8)のテンプレートパルス発生回路では、上記(6)のテンプレートパルス発生回路において特に、リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節されるため、同期検波方式に適合したテンプレートパルス発生回路が実現される。
【0020】
(9)上記(1)〜(8)の何れか一のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路の出力パルスと受信パルスとの相関に基づいて検波を行う検波回路と、
前記受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、を備えていることを特徴とする通信装置。
【0021】
上記(9)の通信装置では、システムコントローラからの制御信号によって、受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路が連続出力モードで動作し、且つ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路が断続出力モードで動作するため、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0022】
(10)上記(7)〜(8)の何れか一のテンプレートパルス発生回路と、前記テンプレートパルス発生回路のI相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するI相パルス乗算器と、
前記テンプレートパルス発生回路のQ相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するQ相パルス乗算器と、
前記I相パルス乗算器の出力であるI相乗算出力パルスを包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路と、
前記Q相パルス乗算器の出力であるQ相乗算出力パルスを包絡線検出処理するQ相包絡線検出処理回路と、
前記I相包絡線検出処理回路の出力であるI相包絡線信号および前記Q相包絡線検出処理回路の出力であるQ相包絡線信号を加算合成する包絡線信号加算回路と、
前記包絡線信号加算回路の出力である合成包絡線信号に基づいて同期捕捉を行う同期捕捉処理部と、
前記合成包絡線信号に基づいてパルス位置追従処理を行うパルス位置追従処理部と、
前記同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【0023】
上記(10)の通信装置では、テンプレートパルス発生回路のI相のテンプレートパルスおよびQ相のテンプレートパルスを各別にI相パルス乗算器およびQ相パルス乗算器で受信パルスと乗算して得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にI相包絡線検出処理回路およびQ相包絡線検出処理回路で包絡線検出処理してI相包絡線信号およびQ相包絡線信号を得、これらI相包絡線信号およびQ相包絡線信号を包絡線信号加算回路で加算合成して合成包絡線信号を得る。
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0024】
この場合、システムコントローラの制御下で、同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路を連続出力モードで動作させ同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0025】
(11)前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを自乗するI相パルス自乗回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを自乗するQ相パルス自乗回路を含んで構成されていること
を特徴とする(10)の通信装置。
上記(11)通信装置では、(10)の通信装置において特に、I相パルス自乗回路およびQ相パルス自乗回路によって得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスの各自乗値、即ち、I相およびQ相のパルスの包絡線検波に相応する値の合成値に基づいて同期捕捉とパルス位置追従処理が行われる。
【0026】
(12)前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを整流するI相パルス整流回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを整流するQ相パルス整流回路を含んで構成されていること
を特徴とする(10)の通信装置。
上記(12)通信装置では、(10)の通信装置において特に、I相パルス整流回路およびQ相パルス整流回路によって得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスの各整流値、即ち、I相およびQ相のパルスの包絡線検波に相応する値の合成値に基づいて同期捕捉とパルス位置追従処理が行われる。
【0027】
(13)前記パルス位置追従処理部は、位相を進める進相処理を行う進相DLL回路の積分値と、位相を遅らせる遅相処理を行う遅相DLL回路の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理を行い、位相を保つ同相処理を行う同相DLL回路の出力に基づいて復調出力を得るように構成されていることを特徴とする(10)〜(12)の何れか一の通信装置。
上記(13)通信装置では、(10)〜(12)の通信装置において特に、パルス位置追従処理部の進相DLL回路、同相DLL回路、および、遅相DLL回路の出力のうち進相DLL回路および遅相DLL回路の各出力の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理が行われ、同相DLL回路の出力に基づいて復調出力が得られる。
【0028】
(14)前記同期捕捉処理部は、前記テンプレートパルスと前記受信パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理を行う同期検波機能部を含んで構成されていることを特徴とする(10)〜(13)の何れか一の通信装置。
上記(14)通信装置では、(10)〜(13)の通信装置において特に、同期捕捉処理部の同期検波機能部においてテンプレートパルスと前記入力パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理が行われ、精度の高い検波処理結果が得られる。
【0029】
(15)前記同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報を記憶する記憶機能部を更に有することを特徴とする(9)〜(14)の何れか一の通信装置。
上記(15)通信装置では、(9)〜(14)の通信装置において特に、同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報が記憶機能部に保持されるため、該記憶機能部に保持されたパルス位置情報によるタイミングに同期するようにテンプレートパルス発生回路にクロックパルスを供給し、このようにして位相が適切に調整されたテンプレートパルスを用いて受信パルスに対する検波処理が行われ得る。
【0030】
(16)前記システムコントローラは、前記記憶機能部に記憶されたパルス位置情報に合わせて前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるのに用いるクロックパルスを前記テンプレートパルス発生回路に供給するように構成されていることを特徴とする(15)の通信装置。
上記(16)の通信装置では、(15)の通信装置において特に、システムコントローラは、記憶機能部に保持されたパルス位置情報によるタイミングに同期するようにテンプレートパルス発生回路にクロックパルスを供給する。従って、位相が適切に調整されたテンプレートパルスを用いて受信パルスに対する検波処理が行われ得る。
【0031】
(17)作動用電源の供給を制御する電源制御部を備え、
前記システムコントローラは、前記電源制御部に対し、前記受信パルスの未到来期間では給電を部分的に停止するように制御を行うことを特徴とする(9)〜(16)の何れか一の通信装置。
上記(17)の通信装置では、(9)〜(16)の何れか一の通信装置において特に、受信パルスの未到来期間において当該通信装置の作動用電源の供給を部分的に停止することによって、不要な待機電力の消費を極小化することができる。
【0032】
(18)パルス通信における同期捕捉を行う期間は受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、前記同期捕捉が確立して以降の期間は前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法。
上記(18)の通信方法では、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下に参照する図においては、便宜上、説明の主題となる要部は適宜誇張し、要部以外については適宜簡略化し乃至省略されている。
図1は、本発明の通信方法に適用する本発明の実施の形態としてのパルス発生回路の特徴的作用を表す出力信号(テンプレートパルス)の波形図である。本発明では、図示のように、パルス通信の開始当初においてパルス位置探索動作を行う同期捕捉モード時にはパルス発生回路の連続出力モードによって継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立する。
同期捕捉が略確立して以降、パルス位置追従動作(精密なパルス位置調整)を行う同期追従モードに移行して、パルス発生回路の断続出力モードによって断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0034】
図2は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図2(a)は、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路の概要を表すブロック図であり、図2(b)は図2(a)のブロック図のより詳細な構成例を表す回路図である。
図2(a)に表されたように、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路は、パルスを、連続的に出力する連続パルス発生回路210と断続的に出力する断続パルス発生回路220とが設けられ、これらの何れかの出力が、供給された制御信号CTLに応じて切換え動作を行う出力モード切換え回路230によって切換えられてテンプレートパルスP0として出力される。
【0035】
このため、極めて簡単な構成の出力モード切換え回路230によって、テンプレートパルスの連続出力モードと断続出力モードとが切換えられる。
尚、連続パルス発生回路210は、例えば、リング発振回路によって構成される自走式の回路であり、断続パルス発生回路220には、外部からクロックパルスCTLが供給されて作動する回路であるが、詳細については次の図2(b)を参照して説明する。
【0036】
図2(b)において、連続パルス発生回路210は、インバータ211、212、および、213の3段の縦続接続を有し、最終段のインバータ213の出力が初段のインバータ211の入力に供給されるようにしてリング発振回路が構成されている。
この連続パルス発生回路210のパルス出力端2110には、図1に連続出力モード(この回路を適用した通信装置の動作においては同期捕捉モード)として示すような連続的なテンプレートパルスP0が生成される。
【0037】
また、断続パルス発生回路220は、インバータ221〜229の9段の縦続接続で構成された多段インバータ回路部2210と、この多段インバータ回路部2210の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側V1または負極側V2に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルスCLKよりも周波数の高いパルス信号であるテンプレートパルスP0を得るパルス発生論理回路部2220と、を含んで構成される。
【0038】
パルス発生論理回路部2220は、スイッチング素子としてのPチャネルMOSトランジスタ230、231、234、235、238、239、242、243、246、および、NチャネルMOSトランジスタ232、233、236、237、240、241、244、245が図示のように接続され、更に、図示のように正極側電源V1および負極側電源V2が接続されている。
多段インバータ回路部2210の初段のインバータ221の入力端に供給されたパルスD0は、インバータの一段毎に時間tdずつ遅れてかつロジックが反転されながら順次のインバータを伝播し各段から遅延信号が出力される。
【0039】
即ち、初段のインバータ221の入力端に印加される信号CLK(クロックパルスD0)を正論理とし、多段インバータ回路部2210のi段目には:
kを整数とし、信号の否定論理を信号名にXを前置して表記すると、
i=2k−1のとき XD2k-1
i=2kのとき D2k
が出力される。
【0040】
NチャネルMOSトランジスタ233および232はそれぞれ初段のインバータ221の出力XD1と2段目のインバータの出力D2が高いときに導通してパルス出力端2230を正極側の電源の電位レベルV1に接続する。
次に、PチャネルMOSトランジスタ230および231はそれぞれ2段目のインバータの出力D2と3段目のインバータの出力XD3が低い(すなわちD2の否定論理とD3の両方が高い)ときに導通してパルス出力端子2230を負極側の電源の電位レベルV2に接続する。
【0041】
同様にNチャネルMOSトランジスタ236、237、240、241、244および245はそれぞれ2k−1段目のインバータの出力XD2k-1と2k段目のインバータの出力D2kが高いとき、すなわちXD2k-1とD2kの論理積が真のときに導通してパルス出力端2230を正極側の電源の電位レベルV1に接続する。
次に、PチャネルMOSトランジスタ234、235、238、239、242および243はそれぞれ2k段目のインバータの出力D2kと2k+1段目のインバータの出力XD2k+1が低いとき、すなわちD2kの否定論理であるXD2kとXD2k+1の否定論理であるD2k+1の論理積が真のとき、に導通してパルス出力端2230を負極側の電源の電位レベルV2に接続する。
【0042】
以上のような動作によってパルス発生論理回路部2220のパルス出力端2230に図1に断続出力モード(この回路を適用した通信装置の動作においては同期追従モード)として示すような断続的なテンプレートパルスP0を生成することができる。
上述の連続パルス発生回路210のパルス出力端2110に現れる連続的なテンプレートパルスまたはパルス発生論理回路部2220のパルス出力端2230に現れる断続的なテンプレートパルスが、制御信号CTLに応動する出力モード切換え回路230によって切換えられて、連続出力モードまたは断続出力モードでのテンプレートパルスP0として出力される。
【0043】
図3は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図3(a)は、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路の概要を表すブロック図であり、図3(b)は図3(a)のブロック図のより詳細な構成例を表す回路図であり、図3(c)は図3(b)の回路各部の信号のタイミングチャートである。
【0044】
図3(a)のテンプレートパルス発生回路は、自己のモード制御信号入力端301に供給された発振モード切換信号としての制御信号CTLに応じて連続的または断続的にテンプレートパルスP0を生成するモード可変発振回路300を備え、出力モード切換え回路302が発振モード切換信号CTLをモード可変発振回路300のモード制御信号入力端301に供給するように構成されている。
【0045】
モード可変発振回路300の詳細は、図3(b)に示される通り、インバータ321、322、および、一方の入力端に正の電圧が印加されているときにインバータとして機能するNAND回路323、ならびに、9段のインバータ(乃至インバータとしての機能部)324〜329の縦続接続で構成された多段インバータ回路部3210と、この多段インバータ回路部3210の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側V1または負極側V2に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルスCLKよりも周波数の高いパルス信号であるテンプレートパルスを得るパルス発生論理回路部3220と、を含んで構成される。
【0046】
パルス発生論理回路部3220は、スイッチング素子としてのPチャネルMOSトランジスタ330、331、334、335、338、339、342、343、346、および、NチャネルMOSトランジスタ332、333、336、337、340、341、344、345が図示のように接続され、更に、図示のように正極側電源V1および負極側電源V2が接続されている。
【0047】
このパルス発生論理回路部3220自体は、図2(b)を参照して説明したパルス発生論理回路部2220と全く同様の構成を有し、多段インバータ回路部3210の各段のインバータからの出力が供給されて、図2(b)のものと同様に断続的なテンプレートパルスP0を生成する。
一方、多段インバータ回路部3210は、一方の入力端に正の電圧が印加されているときにインバータとして機能するNAND回路323、その後段に続くインバータ324および325、ならびに、インバータ325の出力をNAND回路323の他方の入力端に帰還させる閉ループを結ぶように帰還ループ回路351が設けられて実質的にインバータ3段のリング発振回路350が構成されている。
帰還ループ回路351には、発振モード切換信号としての制御信号CTLに応動して帰還ループ回路351の断続を切換える切換え回路352が介挿されている。
【0048】
図3(b)の回路各部の信号のタイミングチャートである図3(c)を適宜参照して図3(b)のテンプレートパルス発生回路の動作を以下に説明する。
上述のように実質的にインバータ3段のリング発振回路350は、発振モード切換信号CTLに応動して切換え回路352が接点b側に接続され帰還ループ回路351が閉じられているときに、クロックパルスCLKをハイレベルに固定するためD2点のNAND回路323の入力端はハイレベルに保持され、NAND回路323はインバータとして機能し、リング発振回路350は発振動作を行う。
【0049】
リング発振回路350の出力波形の周期は、各段のインバータの遅延をTdとすると、6×Tdとなる。リング発振回路350は、上述のように実質的に9段のインバータの縦続接続で構成される多段インバータ回路部3210の途中にNAND回路323およびその後段に続くインバータ324および325が帰還ループ回路351によって構成され、帰還ループ回路351が閉じられると、リング発振回路として機能する。
【0050】
このため、リング発振回路350は3サイクルのパルス波形を出力して停止する。しかし丁度3発目のパルスで次のインバータの出力が帰還ループ回路351を通して帰還されるため、パルス波形は途切れることなく次のパルスを出力してこれを繰り返す。
即ち、切換え回路352が接点b側に接続され帰還ループ回路351が閉じ、且つ、クロックパルスCLKをハイレベルに固定すると、モード可変発振回路300は連続出力モードで作動する。
【0051】
一方、発振モード切換信号CTLに応じて切換え回路352が接点a側に接続されるとNAND回路323の一方の入力端がハイレベルに固定され、この場合もNAND回路323はインバータとして機能する。これによってクロックパルスCLKの立ち上がりエッジのタイミングでパルスが出力される。
図3(b)のテンプレートパルス発生回路は図3(a)の回路に比べて、連続発振と断続的なパルス発振とで同じインバータを使うため、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できるという利点がある。
【0052】
図4は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図4のパルス発生回路400が既述のものと相違する点は、一対の差動出力として位相が相互に反転したテンプレートパルスが出力されるように構成されている点である。
即ち、クロックパルスCLKを受ける初段の回路として差動信号形成回路401が設けられ、この差動信号形成回路401の非反転出力端にNAND回路402の図中上側の入力端子が接続され、一方、反転出力端にはNOR回路403の図中上側の入力端子が接続されている。これらNAND回路402およびNOR回路403は、既述の例と同様に、クロックパルスCLKをハイレベルに固定したときに、何れもインバータとして機能する。
【0053】
NAND回路402およびNOR回路403の出力側には、これらNAND回路402およびNOR回路303の各出力を一方および他方の入力とする差動インバータ404が、設けられ、差動インバータ404の出力側には、この差動インバータ404の一対の出力を入力とする差動インバータ405が縦続接続され、これ以降同様に、差動インバータ406、407、408、409、410、411が上述の順に縦続接続されている。
【0054】
これら差動インバータの縦続接続のうち、差動インバータ406の他方の出力が帰還ループ451を通してNAND回路402の他方の入力端に帰還されるようにして閉ループが結ばれ、NAND回路402、差動インバータ404、405、406の縦続接続によるリング発振回路461が構成されている。帰還ループ451には帰還ループ451の断続を切換える切換え回路452が介挿されている。
【0055】
また、差動インバータ406の一方の出力が帰還ループ453を通してNOR回路403の他方の入力端に帰還されるようにして閉ループが結ばれ、NOR回路403、差動インバータ404、405、406の縦続接続によるリング発振回路462が構成されている。帰還ループ452には帰還ループ452の断続を切換える切換え回路454が介挿されている。
【0056】
初段の差動インバータとして機能するNAND回路402およびNOR回路403を含む差動インバータの縦続接続の各段のインバータの出力は、該出力によって該当するスイッチング素子を駆動して差動出力パルスの一方の系統からテンプレートパルスP01を得るための第1のパルス発生論理回路部4221、および、差動出力パルスの他方の系統からテンプレートパルスP02を得るための第2のパルス発生論理回路部4222に供給され、これら第1のパルス発生論理回路部4221および第2のパルス発生論理回路部4222はそれぞれ、図3を参照して説明したところと略同様に機能する。
即ち、連続的にテンプレートパルスを出力する連続出力モード時は、2つの切換え回路452および453をb側にしてCLKをハイレベルに固定することでNAND回路402およびNOR回路403はそれぞれインバータとして機能し、波形周期8*Tdのリング発振器が構成される。
【0057】
第1のパルス発生論理回路部4221、および、第2のパルス発生論理回路部4222からは4サイクルの変調波形を有する出力するので、結果として途切れのない連続出力モードでのテンプレートパルスP01およびP02を発生し続ける。
他方、2つの切換え回路452および453をa側に接続することにより、第1のパルス発生論理回路部4221、および、第2のパルス発生論理回路部4222からはクロックパルスCLKの立ち上がりエッジのタイミングで断続出力モードの各テンプレートパルスP01およびP02を出力する。
【0058】
図5は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路500を表す図である。差動インバータ501と差動インバータ502が縦続接続され、後段の差動インバータ502の他方の出力を前段の差動インバータ501の一方の入力端に帰還させる帰還ループ551および差動インバータ502の一方の出力を前段の差動インバータ501の他方の入力端に帰還させる帰還ループ552が設けられて、各リング発振回路561およびリング発振回路562が構成されている。
【0059】
差動インバータ501および差動インバータ502の各出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にテンプレートパルスを得る第1のパルス発生論理回路部5221と第2のパルス発生論理回路部5222とが設けられている。
【0060】
リング発振回路561およびリング発振回路562の各出力がカウンタ510に供給されて計数されるように構成され、且つ、リング発振回路561およびリング発振回路562の発振動作およびカウンタ510の計数動作は、制御信号CTLに応動してクロックパルスCLKの供給の態様とカウンタ510の計数に応じた出力モード切換え動作を行う出力モード切換え回路520から制御される。
【0061】
即ち、出力モード切換え回路520は、制御信号CTLによって連続出力モードが設定されているときには、カウンタ510の計数状態に依拠することなくリング発振回路561およびリング発振回路562に連続的に発振動作を行わせる。この連続的な発振動作に応じて第1のパルス発生論理回路部5221および第2のパルス発生論理回路部5222から連続出力モードでのテンプレートパルスP01およびP02が得られる。
【0062】
制御信号CTLによって断続出力モードが設定されているときには、クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されるまでの間カウンタ510をリセット状態に保ち、リング発振回路561およびリング発振回路562も停止させる。
クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されると、カウンタ510のリセットを解除し同時にリング発振回路561およびリング発振回路562を動作させる。
【0063】
カウンタ510は、リング発振回路561およびリング発振回路562の出力パルスを所定の数だけ計数すると、出力モード切換え回路520にその結果を通知し、該通知を受けた出力モード切換え回路520はリング発振回路561およびリング発振回路562を停止させカウンタ510をリセットする。
上述のようなカウンタ510によるリング発振回路561およびリング発振回路562の出力パルスの計数とリセットとの繰り返しによって、第1のパルス発生論理回路部5221および第2のパルス発生論理回路部5222から断続出力モードの各テンプレートパルスP01およびP02が得られる。
【0064】
この場合、カウンタ510による計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによってテンプレートパルスの毎回の持続時間および位相が高精度に制御される。
更に、各差動インバータ501、502の回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
尚、この実施の形態では差動インバータを用いて差動パルスを発生させているが、シングルエンドの構成を採ることもできる。
【0065】
図6は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。図6のテンプレートパルス発生回路600の既述の図5のテンプレートパルス発生回路500との相違点は、図5の回路が一対の差動出力としてのテンプレートパルスを得る構成であったのに対し、図6の回路ではI相の系統のテンプレートパルスとQ相の系統のテンプレートパルスとを同時に得ることができるように構成されている点である。
【0066】
縦続接続された差動インバータ601〜604のうち奇数段目(初段および3段目)の差動インバータ601および603各一方の出力端の出力パルスによって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にQ相の正極側(+)のテンプレートパルスP01を得る第1のパルス発生論理回路部6221と、上述の差動インバータ601および603の各他方の出力端の出力パルスによって同様にスイッチング駆動され出力端にQ相の負極側(−)のテンプレートパルスP02を得る第2のパルス発生論理回路部6222とが設けられている。
【0067】
更に、縦続接続された差動インバータ601〜604のうち偶数段目(2段目および4段目)の差動インバータ602および604の各一方の出力端の出力パルスによって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にI相の正極側(+)のテンプレートパルスP03を得る第3のパルス発生論理回路部6223と、上述の差動インバータ602および604の各他方の出力端の出力パルスによって同様にスイッチング駆動され出力端にI相の負極側(−)のテンプレートパルスP04を得る第4のパルス発生論理回路部6224とが設けられている。
【0068】
リング発振回路661およびリング発振回路662の出各力がカウンタ610に供給されて計数されるように構成され、且つ、リング発振回路661およびリング発振回路662の発振動作およびカウンタ610の計数動作は、制御信号CTLに応動してクロックパルスCLKの供給の態様とカウンタ610の計数に応じた出力モード切換え動作を行う出力モード切換え回路620から制御される。
【0069】
即ち、出力モード切換え回路620は、制御信号CTLによって連続出力モードが設定されているときには、カウンタ610の計数状態に依拠することなくリング発振回路661およびリング発振回路662は連続的に発振動作を行う。
このリング発振回路の連続的な発振動作に応じて第1のパルス発生論理回路部6221および第2のパルス発生論理回路部6222から連続出力モードでの上述のQ相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP01およびP02が得られると共に、第3のパルス発生論理回路部6223および第4のパルス発生論理回路部6224から連続出力モードでの上述のI相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP03およびP04が得られる。
【0070】
制御信号CTLによって断続出力モードが設定されているときには、クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されるまでの間カウンタ610をリセット状態に保ち、リング発振回路661およびリング発振回路662も停止させる。
クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されると、カウンタ610のリセットを解除し同時にリング発振回路661およびリング発振回路662を動作させる。
カウンタ610は、リング発振回路661およびリング発振回路662の出力パルスを所定の数だけ計数すると、出力モード切換え回路620にその結果を通知し、該通知を受けた出力モード切換え回路620はリング発振回路661およびリング発振回路662を停止させカウンタ610をリセットする。
【0071】
上述のようなカウンタ610によるリング発振回路661およびリング発振回路662の出力パルスの計数とリセットとの繰り返しによって、第1のパルス発生論理回路部6221および第2のパルス発生論理回路部6222から断続出力モードでの上述のQ相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP01およびP02が得られると共に、第3のパルス発生論理回路部6223および第4のパルス発生論理回路部6224から断続出力モードでの上述のI相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP03およびP04が得られる。
【0072】
この場合、カウンタ610による計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによってテンプレートパルスの毎回の持続時間および位相が高精度に制御される。
更に、各差動インバータ601〜604の回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0073】
図7は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。図7のテンプレートパルス発生回路700の既述の図6のテンプレートパルス発生回路600との相違点は、図6におけるI相の系統のテンプレートパルスの一対の差動出力とQ相の系統のテンプレートパルスの一対の差動出力とを同時に得ることができる構成に加えて、更に、周波数調整信号としての制御信号CTL2に応じて周波数偏差を補正することが可能に構成されている点である。
【0074】
この実施の形態では特に、差動インバータ701〜704の縦続接続回路は、各段の差動インバータ701〜704が制御信号に応じて遅延時間が調節可能な可変遅延型の差動インバータとして構成され、これら差動インバータ701〜704に対して周波数調整信号としての制御信号CTL2がそれぞれ供給される。
従って、リング発振回路761およびリング発振回路762の発振周波数が制御信号CTL2によって調整可能となっている。
【0075】
図8は、本発明の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。既述の何れかのテンプレートパルス発生回路を備えて受信された被変調パルス信号に対する検波処理を行う受信装置(通信装置の受信機能部である場合を含む)810と、この受信装置810にパルス信号を送信する送信装置(通信装置の送信機能部である場合を含む)850とを含んで通信システムが構成される。
但し、図8のシステムは、受信機能部810と送信機能部850とを含んで構成される一体的な通信装置800を表すものであると観念して支障はない。
【0076】
送信機能部850は変調パルス発生回路860においてシステムコントローラ870から供給されるベースバンド信号としてのデータおよびクロックパルスCLKを用いて被変調パルスを形成し、アンテナ851から送信する。システムコントローラ870にはRAM871が接続されて、被送信データや信号処理過程にあるデータ等の一時的な記憶に用いられ、またROM872が接続されて、所定の通信プロトコルに関する情報、演算に用いるパラメータ等々が保持されている。
【0077】
受信機能部810では、送信されてくるパルス信号をアンテナ811で受信し、該受信された信号をBPF(バンドパスフィルタ)812を通してLNA(ローノイズアンプ)813で増幅し、乗算器821に供給する。
乗算器821には図1ないし図7を参照して説明した何れかのテンプレートパルス発生回路820からテンプレートパルスが供給されてLNA813で増幅された受信パルス信号と乗算される。
【0078】
該乗算された信号は、検波回路822で検波処理が施され、該検波回路822の出力に基づいて同期捕捉処理部823において同期捕捉処理が行なわれる。この結果、同期捕捉が略確立すると、検波回路822の出力に基づいてパルス位置追従処理部824によりパルス位置追従処理が行なわれる。
通信装置800(その受信機能部810)における通信のための各部の動作を管理するシステムコントローラ830が設けられ、このシステムコントローラ830によって、上述の同期捕捉処理部823における同期捕捉処理およびパルス位置追従処理部824におけるパルス位置追従処理の進捗状況の監視と処理タイミングの管理が実行される。
【0079】
即ち、システムコントローラ830は、受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路820を上述の連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路820を上述の断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号CTL、および、各部の動作のタイミングを図る基礎となるクロックパルスCLKをテンプレートパルス発生回路820に供給する。
【0080】
このため、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
また、システムコントローラ830には、RAM831が接続されて、復調されたデータや信号処理過程にあるデータ等の一時的な記憶に用いられ、またROM832が接続されて、所定の通信プロトコルに関する情報、演算に用いるパラメータ等々が保持されている。RAM831に一時記憶された復調データは、所要に応じた適宜の方法でユーザに音声或いは画像等の形で提供され得る。
【0081】
尚、受信機能部810の各部の作動用電源を制御する受信回路電源制御部833がシステムコントローラ830の管理下で動作するように設けられ、システムコントローラ830はこの受信回路電源制御部833を制御し、受信パルスの未到来期間において当該通信装置800(受信機能部810)の作動用電源の供給を部分的に停止させるため、不要な待機電力の極小化が図られる。
【0082】
図9は、本発明の他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
また、図10は、図9の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
アンテナ901で受信された信号はBPF(バンドパスフィルタ)902を通してLNA(ローノイズアンプ)903で増幅され(図10上段の「受信波形」)、I相の系統の乗算器910およびQ相の系統の乗算器920に供給される。
乗算器910および920には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路930からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA903で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0083】
I相の系統の乗算器(I相パルス乗算器)910およびQ相の系統の乗算器(Q相パルス乗算器)920で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路911およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路921に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路940で加算合成され、その結果として合成包絡線信号(図10下段の「I2+Q2波形」)が得られる。
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部941で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部942でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0084】
この場合、システムコントローラ950からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部941が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路930を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路930を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる(図10中段の「テンプレートパルス波形」)。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0085】
図11は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図11の実施の形態が図9の実施の形態と異なる点は、図9の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理を行う手段として、I相包絡線検出処理には自乗回路911を適用し、Q相包絡線検出処理には自乗回路921を適用して各別に自乗演算に付していたところ、この図11の実施の形態では、包絡線検出処理を行う手段としてI相包絡線検出処理およびQ相包絡線検出処理に整流回路1111および1121を適用している点である。
【0086】
アンテナ1101で受信された信号はBPF1102を通してLNA1103で増幅され、I相の系統の乗算器1110およびQ相の系統の乗算器1120に供給される。
乗算器1110および1120には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1130からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1103で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0087】
I相の系統の乗算器1110およびQ相の系統の乗算器1120で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての整流回路1111およびQ相包絡線検出処理回路としての整流回路1121に供給されて整流され(半波整流のように図示されるものであっても全波整流であってもよい)、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1140で加算合成され、その結果として合成包絡線信号が得られる。
【0088】
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1141で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部1142でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
この場合、システムコントローラ1150からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1141が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1130を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1130を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0089】
図12は、図9の通信装置と同様の通信装置についてそのパルス位置追従処理部の具体的構成例を伴って表した図である。
図12においては、各部の参照符号を改めて割り当てると共に、同期捕捉処理部とパルス位置追従処理部とのレイアウトについてそれらの上下の配置を逆転して表記してある。
アンテナ1201で受信された信号はBPF1202を通してLNA1203で増幅され、I相の系統の乗算器1210およびQ相の系統の乗算器1220に供給される。
乗算器1210および1220には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1230からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1203で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0090】
I相の系統の乗算器1210およびQ相の系統の乗算器1220で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路1211およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路1221に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1240で加算合成され、その結果として合成包絡線信号が得られる。
【0091】
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1241で同期捕捉を行ない、次いで、一点鎖線にて図示のパルス位置追従処理部1242でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
上述の構成において、パルス位置追従処理部1242は、入力信号を積分する積分処理部10と、積分処理部10の出力をサンプリングホールド処理するサンプリングホールド処理部20と、積分処理部10における積分時間をシステムコントローラ1250からの制御信号によって制御する積分時間制御部30とサンプリングホールド処理部20の複数系統の出力を加算合成してその出力をシステムコントローラ1250に供給する加算回路40とを含んでDLL(遅延ロックループ)として構成されている。
【0092】
即ち、パルス位置追従処理部1242は、入力の位相を進める進相処理(Early)と位相を保つ同相処理(Current)と位相を遅らせる遅相処理(Late)との各処理を各別に行うDLL回路である進相DLL回路(積分器11+サンプリングホールド回路21)、同相DLL回路(積分器12+サンプリングホールド回路22)、および、遅相DLL回路(積分器13+サンプリングホールド回路23)を備え、進相DLL回路および遅相DLL回路の各積分値の比較である加算回路40の出力に基づいてパルス位置追従処理を行い、同相DLL回路(積分器12+サンプリングホールド回路22)の出力に基づいて復調出力を得るように構成されている。
【0093】
この場合、システムコントローラ1250からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1241が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1230を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1230を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0094】
図13は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
また、図14は、図13の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
図13の実施の形態が図9(この詳細は図12)および図11等の実施の形態と異なる点は、図9および図11の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに対して包絡線検出処理を行っていたところ、この図13の実施の形態では、同期検波を行っている点である。
アンテナ1301で受信された信号はBPF1302を通してLNA1303で増幅され(図14「受信波形」)、I相の系統の乗算器1310およびQ相の系統の乗算器1320に供給される。
【0095】
乗算器1310および1320には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1330からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1303で増幅された受信パルスと各乗算される。
I相の系統の乗算器1310およびQ相の系統の乗算器1320で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にLPF(ローパスフィルタ)1311およびLPF1312を通して高周波成分を除去した上、各対応する整流回路1313および整流回路1314を通して(図14「I相整流検波波形」「Q相整流検波波形」)、同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341に供給される。
【0096】
同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341は既述のような同期捕捉処理に加えて、入力パルスとテンプレートパルスとの周波数偏差を検出し、その検出結果をシステムコントローラ1350に供給する。
システムコントローラ1350はこの周波数偏差に基づいて図7を参照して既述の周波数調整信号としての制御信号CTL2を生成し、この制御信号CTL2に応じてテンプレートパルス発生回路1330から出力されるテンプレートパルスに関する周波数偏差が補正される。
【0097】
同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部1342でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
この場合、システムコントローラ1350からの制御信号CTL1によって、同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1330を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1330を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため(図14「テンプレートパルス波形」)、消費電力が低減される。
【0098】
図15は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図15の実施の形態が図13の実施の形態と異なる点は、図13の実施の形態においては同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341を作動させて同期検波を行っていたところ、この図15の実施の形態では、コスタスループ1542(乗算器150+LPF151)を利用して同期検波を行っている点である。
【0099】
アンテナ1501で受信された信号はBPF1502を通してLNA1503で増幅され、I相の系統の乗算器1510およびQ相の系統の乗算器1520に供給される。
乗算器1510および1520には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1530からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1503で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0100】
I相の系統の乗算器1510およびQ相の系統の乗算器1520で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にLPF(ローパスフィルタ)1511およびLPF1512を通して高周波成分を除去した上、同期捕捉処理部1541およびコスタスループ1542に供給される。
【0101】
コスタスループ1542はLPF1511およびLPF1512の両出力を乗算する乗算器150と、この乗算器150の出力から高周波成分を除去するLPF151とを含んで構成されており、同期捕捉処理部1541によって同期捕捉が略確立した状態に到った際に、入力パルスとテンプレートパルスとの周波数偏差を検出し、その検出結果に基づいて周波数調整信号としての制御信号CTL2を生成し、この制御信号CTL2に応じてテンプレートパルス発生回路1530が出力するテンプレートパルスの周波数偏差が補正される。
【0102】
また、コスタスループ1542を通して得られた復調データがシステムコントローラ1550に供給され、システムコントローラ1550に接続されたRAM1551に復調データが格納される。
この場合、システムコントローラ1550からの制御信号CTL1によって、同期捕捉処理部1541が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1530を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1530を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0103】
図16は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図16の実施の形態が図9(この詳細は図12)および図11等の実施の形態と異なる点は、図9および図11の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに対して包絡線検出処理を行っていたところ、この図16の実施の形態では、同期検波を行っている点である。
【0104】
アンテナ1601で受信された信号はBPF1602を通してLNA(ローノイズアンプ)1603で増幅され、I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620に供給される。
乗算器1610および1620には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1630からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1603で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0105】
I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路1611およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路1621に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1640で加算合成され、その結果として合成包絡線信号(即ち、I2+Q2)が得られる。
【0106】
また一方、I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620の各出力であるI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらに各対応するLPF(ローパスフィルタ)1612およびLPF1622を通して高周波成分を除去した上、パルス位置追従処理部1642に供給される。
上述の合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1641で同期捕捉を行ない、次いで、I相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに基づいてパルス位置追従処理部1642でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0107】
この場合、システムコントローラ1650からの制御信号CTL1およびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1641が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1630を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1630を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
【0108】
また、パルス位置追従処理部1642の出力に基づいてシステムコントローラ1650から発せられる制御信号CTL2に基づいて、テンプレートパルス発生回路1630におけるテンプレートパルスの周波数が調整される。
この実施の形態では、上述のように、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0109】
以上に説明した本発明の技術思想は、パルス通信における同期捕捉を行う期間では受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、略同期捕捉が確立して以降の期間ではテンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法であると要約することができる。
この通信方法では、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の通信方法に適用する本発明の実施の形態としてのパルス発生回路の出力信号の波形図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図4】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図5】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図7】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図8】本発明の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図10】図9の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
【図11】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図12】図9の通信装置の詳細な構成例を示す図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図14】図13の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
【図15】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【符号の説明】
【0111】
200、400、500、600、700…テンプレートパルス発生回路 210…連続パルス発生回 220…断続パルス発生回路 230、520、620、720…出力モード切換え回路 300…モード可変発振回路 352、452、453…切換え回路 820、930、1130、1230、1330、1530、1630…テンプレートパルス発生回路 830、950、1150、1250、1350、1550、1650…システムコントローラ 823、941、1141、1241、1541、1641…同期捕捉処理部 824、942、1141、1242、1642…パルス位置追従処理部 833、953、1153、1253、1353、1553、1653…受信回路電源制御部
【技術分野】
【0001】
本発明はUWB(Ultra Wide Band)通信に良く適合するテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法に関し、特に、受信系における省電力化が図られるようにしたテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
UWB通信の中で非常に短時間のパルスを利用した非常に広帯域の通信方法はUWBインパルスラジオ(UWB−IR)方式の通信とも呼ばれている。UWB−IR方式では従来の変調によらない時間軸操作のみで変復調が可能であり回路の簡略化や低消費電力化が期待できるとされている(例えば、特許文献1、特許文献2等参照)。
また、パルス信号列からなる伝送信号を受信する受信装置において、パルス生成手段により送信パルスと略同一の発生間隔のテンプレートパルスを発生させ、そのテンプレートパルスの発生位置を位相シフト手段によって所定の間隔で位相シフトし、相関手段によって該位相シフトされた各テンプレートパルスと受信パルスとの相関をとり、この相関結果に基づいて受信信号に対する同期捕捉を行うことが提案されている(特許文献3)。
【0003】
更に、テンプレートパルスの発生位置を制御しつつ、受信パルスが到来しない期間は受信回路を停止させることにより消費電力の抑制を図ろうとする提案もなされている(特許文献4)。
【特許文献1】特表2004−528776号公報(段落0035〜段落0040、図5)
【特許文献2】特表2005−517355号公報(段落0015〜段落0020、図2)
【特許文献3】特開2004−241927号公報(段落0025〜段落0028、図1)
【特許文献4】特開2005−217899号公報(段落0023〜段落0026、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにUWB通信では、その特質から電力消費の少ない通信が実現されるが、上掲の特許文献1〜3所載の提案では、この通信方法を適用したことによる通常の程度を超えて消費電力を抑制するというような技術課題の認識や、ひいてはそのような技術課題の解決手段については別段の提案はなされていない。
また、特許文献4には、消費電力の抑制を図ろうとする提案が開示されているが、この文献所載の技術では、到来パルスのタイミングが不明な状態からパルスの存在そのものを探索して同期捕捉するための過程での省電力化を図ることはできない。
【0005】
即ち、パルスの存在そのものを探索して同期捕捉する過程では、受信側で発生させるテンプレートパルスの位相を順次ずらしながら到来パルスのタイミングを探索するため、同期捕捉に時間が掛かり、その時間に相応して消費電力も増大してしまうという技術課題が、特許文献4でも残されている。
本発明は叙上のような状況に鑑みてなされたものであり、パルス通信における省電力化に適したテンプレートパルス発生回路、通信装置、および、通信方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するべく、本願では次に列記するような技術を提案する。
(1)パルス通信における受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを生成するテンプレートパルス発生回路であって、
供給された制御信号に応じて連続的に前記テンプレートパルスを出力する連続出力モードと、断続的に前記テンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによって前記テンプレートパルスを発生させるように出力モードを切換える出力モード切換え回路を備えていることを特徴とするテンプレートパルス発生回路。
【0007】
上記(1)のテンプレートパルス発生回路では、例えば通信装置に備えられたシステムコントローラ等から制御信号を供給されて出力モード切換え回路によって連続的にテンプレートパルスを出力する連続出力モードと断続的にテンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによってテンプレートパルスを出力するように出力モードを切換えることができるため、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0008】
(2)前記テンプレートパルスを連続的に発生させる連続パルス発生回路と、
前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続パルス発生回路と、を備え、
前記出力モード切換え回路は前記連続パルス発生回路および前記断続パルス発生回路の何れか一方のパルス発生回路の出力を選択することによって前記出力モードを切換えることを特徴とする(1)のテンプレートパルス発生回路。
【0009】
上記(2)のテンプレートパルス発生回路では、(1)のテンプレートパルス発生回路において特に、テンプレートパルスを、連続的に出力する連続パルス発生回路と断続的に出力する断続パルス発生回路とが設けられ、これらの何れかの出力が出力モード切換え回路によって切換えられて出力されるため、極めて簡単な構成の出力モード切換え回路によって、テンプレートパルスの連続出力モードと断続出力モードとが切換えられる。
【0010】
(3)モード制御信号入力端に供給された発振モード切換信号に応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを発生させるモード可変パルス発生回路を備え、前記出力モード切換え回路は前記発振モード切換信号を前記モード可変パルス発生回路の前記モード制御信号入力端に供給することを特徴とする(1)のテンプレートパルス発生回路。
【0011】
上記(3)のテンプレートパルス発生回路では、(1)のテンプレートパルス発生回路において特に、モード可変パルス発生回路の動作モードが出力モード切換え回路からの発振モード切換信号によって切換えられるため、連続出力モードと断続出力モードとにそれぞれ対応した別系統の回路を持たない小規模な回路によってこれらテンプレートパルスの出力モードが切換えられる。
【0012】
(4)前記モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、前記多段インバータ回路部の前記インバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み、前記複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に接続することによって前記インバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号である前記テンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、
前記多段インバータ回路部は前記モード制御信号入力端に供給される前記発振モード切換信号に応じて所定の複数段部分における最終段の前記インバータの出力を前記複数段部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成する帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、
前記パルス発生論理回路部は、前記帰還ループ回路の断続の切換えに応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを生成すること
を特徴とする(3)のテンプレートパルス発生回路。
【0013】
上記(4)のテンプレートパルス発生回路では、(3)のテンプレートパルス発生回路において特に、モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、この多段インバータ回路部の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号であるテンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、このパルス発生論理回路部からクロックパルス信号よりも周波数の高いテンプレートパルスを出力することができる。
【0014】
また、多段インバータ回路部はモード制御信号入力端に供給される発振モード切換信号に応じて所定の複数段の部分の最終段のインバータの出力を該部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成するための帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、該帰還ループ回路の断続の切換えに応じて前記パルス発生論理回路部は連続的または断続的にテンプレートパルスを生成するように構成されている。このため、小規模な回路によって、上述のような周波数の高いテンプレートパルスを連続出力モードまたは断続出力モードを選択して出力することができる。
更に、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0015】
(5)前記多段インバータ回路部は、複数の差動インバータ回路の縦続接続によって構成されていることを特徴とする(4)のテンプレートパルス発生回路。
上記(5)のテンプレートパルス発生回路では、(4)のテンプレートパルス発生回路において特に、上述の連続出力モードまたは断続出力モードの何れでも極性が逆の関係にある2系統の(差動の)テンプレートパルスを同時に得ることができる。
【0016】
(6)前記リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタを備え、
前記出力モード切換え回路は、前記カウンタの計数値に応じて前記断続出力モードにおける前記テンプレートパルスの持続時間を規定するように構成されていること
を特徴とする(4)〜(5)の何れか一のテンプレートパルス発生回路。
上記(6)のテンプレートパルス発生回路では、上記(4)〜(5)の何れか一のテンプレートパルス発生回路において特に、リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタによる計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによって高精度に制御される。
更に、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0017】
(7)前記多段インバータ回路部は、偶数段目の前記インバータの出力により対応するI相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記I相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からI相の前記テンプレートパルスを生成し、奇数段目の前記インバータの出力により対応するQ相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記Q相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からQ相の前記テンプレートパルスを生成するように構成されていることを特徴とする(6)に記載のテンプレートパルス発生回路。
【0018】
上記(7)のテンプレートパルス発生回路では、(6)のテンプレートパルス発生回路において特に、多段インバータ回路部を構成する各段のインバータのうちの偶数段目の各インバータの出力により駆動されるI相の系統のパルス発生論理回路部から連続出力モードまたは断続出力モードのテンプレートパルスが得られ、このI相の系統のテンプレートパルスを受信信号のI相の系統に対する検波に適用することができ、同時に、多段インバータ回路部を構成する各段のインバータのうちの奇数段目の各インバータの出力により駆動されるQ相の系統のパルス発生論理回路部から連続出力モードまたは断続出力モードのテンプレートパルスが得られ、このQ相の系統のテンプレートパルスをQ相の系統に対する検波に適用することができる。
【0019】
(8)前記リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節され得るように構成されていることを特徴とする(6)のテンプレートパルス発生回路。
上記(8)のテンプレートパルス発生回路では、上記(6)のテンプレートパルス発生回路において特に、リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節されるため、同期検波方式に適合したテンプレートパルス発生回路が実現される。
【0020】
(9)上記(1)〜(8)の何れか一のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路の出力パルスと受信パルスとの相関に基づいて検波を行う検波回路と、
前記受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、を備えていることを特徴とする通信装置。
【0021】
上記(9)の通信装置では、システムコントローラからの制御信号によって、受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路が連続出力モードで動作し、且つ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路が断続出力モードで動作するため、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0022】
(10)上記(7)〜(8)の何れか一のテンプレートパルス発生回路と、前記テンプレートパルス発生回路のI相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するI相パルス乗算器と、
前記テンプレートパルス発生回路のQ相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するQ相パルス乗算器と、
前記I相パルス乗算器の出力であるI相乗算出力パルスを包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路と、
前記Q相パルス乗算器の出力であるQ相乗算出力パルスを包絡線検出処理するQ相包絡線検出処理回路と、
前記I相包絡線検出処理回路の出力であるI相包絡線信号および前記Q相包絡線検出処理回路の出力であるQ相包絡線信号を加算合成する包絡線信号加算回路と、
前記包絡線信号加算回路の出力である合成包絡線信号に基づいて同期捕捉を行う同期捕捉処理部と、
前記合成包絡線信号に基づいてパルス位置追従処理を行うパルス位置追従処理部と、
前記同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【0023】
上記(10)の通信装置では、テンプレートパルス発生回路のI相のテンプレートパルスおよびQ相のテンプレートパルスを各別にI相パルス乗算器およびQ相パルス乗算器で受信パルスと乗算して得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にI相包絡線検出処理回路およびQ相包絡線検出処理回路で包絡線検出処理してI相包絡線信号およびQ相包絡線信号を得、これらI相包絡線信号およびQ相包絡線信号を包絡線信号加算回路で加算合成して合成包絡線信号を得る。
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0024】
この場合、システムコントローラの制御下で、同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路を連続出力モードで動作させ同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0025】
(11)前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを自乗するI相パルス自乗回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを自乗するQ相パルス自乗回路を含んで構成されていること
を特徴とする(10)の通信装置。
上記(11)通信装置では、(10)の通信装置において特に、I相パルス自乗回路およびQ相パルス自乗回路によって得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスの各自乗値、即ち、I相およびQ相のパルスの包絡線検波に相応する値の合成値に基づいて同期捕捉とパルス位置追従処理が行われる。
【0026】
(12)前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを整流するI相パルス整流回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを整流するQ相パルス整流回路を含んで構成されていること
を特徴とする(10)の通信装置。
上記(12)通信装置では、(10)の通信装置において特に、I相パルス整流回路およびQ相パルス整流回路によって得たI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスの各整流値、即ち、I相およびQ相のパルスの包絡線検波に相応する値の合成値に基づいて同期捕捉とパルス位置追従処理が行われる。
【0027】
(13)前記パルス位置追従処理部は、位相を進める進相処理を行う進相DLL回路の積分値と、位相を遅らせる遅相処理を行う遅相DLL回路の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理を行い、位相を保つ同相処理を行う同相DLL回路の出力に基づいて復調出力を得るように構成されていることを特徴とする(10)〜(12)の何れか一の通信装置。
上記(13)通信装置では、(10)〜(12)の通信装置において特に、パルス位置追従処理部の進相DLL回路、同相DLL回路、および、遅相DLL回路の出力のうち進相DLL回路および遅相DLL回路の各出力の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理が行われ、同相DLL回路の出力に基づいて復調出力が得られる。
【0028】
(14)前記同期捕捉処理部は、前記テンプレートパルスと前記受信パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理を行う同期検波機能部を含んで構成されていることを特徴とする(10)〜(13)の何れか一の通信装置。
上記(14)通信装置では、(10)〜(13)の通信装置において特に、同期捕捉処理部の同期検波機能部においてテンプレートパルスと前記入力パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理が行われ、精度の高い検波処理結果が得られる。
【0029】
(15)前記同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報を記憶する記憶機能部を更に有することを特徴とする(9)〜(14)の何れか一の通信装置。
上記(15)通信装置では、(9)〜(14)の通信装置において特に、同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報が記憶機能部に保持されるため、該記憶機能部に保持されたパルス位置情報によるタイミングに同期するようにテンプレートパルス発生回路にクロックパルスを供給し、このようにして位相が適切に調整されたテンプレートパルスを用いて受信パルスに対する検波処理が行われ得る。
【0030】
(16)前記システムコントローラは、前記記憶機能部に記憶されたパルス位置情報に合わせて前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるのに用いるクロックパルスを前記テンプレートパルス発生回路に供給するように構成されていることを特徴とする(15)の通信装置。
上記(16)の通信装置では、(15)の通信装置において特に、システムコントローラは、記憶機能部に保持されたパルス位置情報によるタイミングに同期するようにテンプレートパルス発生回路にクロックパルスを供給する。従って、位相が適切に調整されたテンプレートパルスを用いて受信パルスに対する検波処理が行われ得る。
【0031】
(17)作動用電源の供給を制御する電源制御部を備え、
前記システムコントローラは、前記電源制御部に対し、前記受信パルスの未到来期間では給電を部分的に停止するように制御を行うことを特徴とする(9)〜(16)の何れか一の通信装置。
上記(17)の通信装置では、(9)〜(16)の何れか一の通信装置において特に、受信パルスの未到来期間において当該通信装置の作動用電源の供給を部分的に停止することによって、不要な待機電力の消費を極小化することができる。
【0032】
(18)パルス通信における同期捕捉を行う期間は受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、前記同期捕捉が確立して以降の期間は前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法。
上記(18)の通信方法では、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。尚、以下に参照する図においては、便宜上、説明の主題となる要部は適宜誇張し、要部以外については適宜簡略化し乃至省略されている。
図1は、本発明の通信方法に適用する本発明の実施の形態としてのパルス発生回路の特徴的作用を表す出力信号(テンプレートパルス)の波形図である。本発明では、図示のように、パルス通信の開始当初においてパルス位置探索動作を行う同期捕捉モード時にはパルス発生回路の連続出力モードによって継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立する。
同期捕捉が略確立して以降、パルス位置追従動作(精密なパルス位置調整)を行う同期追従モードに移行して、パルス発生回路の断続出力モードによって断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【0034】
図2は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図2(a)は、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路の概要を表すブロック図であり、図2(b)は図2(a)のブロック図のより詳細な構成例を表す回路図である。
図2(a)に表されたように、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路は、パルスを、連続的に出力する連続パルス発生回路210と断続的に出力する断続パルス発生回路220とが設けられ、これらの何れかの出力が、供給された制御信号CTLに応じて切換え動作を行う出力モード切換え回路230によって切換えられてテンプレートパルスP0として出力される。
【0035】
このため、極めて簡単な構成の出力モード切換え回路230によって、テンプレートパルスの連続出力モードと断続出力モードとが切換えられる。
尚、連続パルス発生回路210は、例えば、リング発振回路によって構成される自走式の回路であり、断続パルス発生回路220には、外部からクロックパルスCTLが供給されて作動する回路であるが、詳細については次の図2(b)を参照して説明する。
【0036】
図2(b)において、連続パルス発生回路210は、インバータ211、212、および、213の3段の縦続接続を有し、最終段のインバータ213の出力が初段のインバータ211の入力に供給されるようにしてリング発振回路が構成されている。
この連続パルス発生回路210のパルス出力端2110には、図1に連続出力モード(この回路を適用した通信装置の動作においては同期捕捉モード)として示すような連続的なテンプレートパルスP0が生成される。
【0037】
また、断続パルス発生回路220は、インバータ221〜229の9段の縦続接続で構成された多段インバータ回路部2210と、この多段インバータ回路部2210の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側V1または負極側V2に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルスCLKよりも周波数の高いパルス信号であるテンプレートパルスP0を得るパルス発生論理回路部2220と、を含んで構成される。
【0038】
パルス発生論理回路部2220は、スイッチング素子としてのPチャネルMOSトランジスタ230、231、234、235、238、239、242、243、246、および、NチャネルMOSトランジスタ232、233、236、237、240、241、244、245が図示のように接続され、更に、図示のように正極側電源V1および負極側電源V2が接続されている。
多段インバータ回路部2210の初段のインバータ221の入力端に供給されたパルスD0は、インバータの一段毎に時間tdずつ遅れてかつロジックが反転されながら順次のインバータを伝播し各段から遅延信号が出力される。
【0039】
即ち、初段のインバータ221の入力端に印加される信号CLK(クロックパルスD0)を正論理とし、多段インバータ回路部2210のi段目には:
kを整数とし、信号の否定論理を信号名にXを前置して表記すると、
i=2k−1のとき XD2k-1
i=2kのとき D2k
が出力される。
【0040】
NチャネルMOSトランジスタ233および232はそれぞれ初段のインバータ221の出力XD1と2段目のインバータの出力D2が高いときに導通してパルス出力端2230を正極側の電源の電位レベルV1に接続する。
次に、PチャネルMOSトランジスタ230および231はそれぞれ2段目のインバータの出力D2と3段目のインバータの出力XD3が低い(すなわちD2の否定論理とD3の両方が高い)ときに導通してパルス出力端子2230を負極側の電源の電位レベルV2に接続する。
【0041】
同様にNチャネルMOSトランジスタ236、237、240、241、244および245はそれぞれ2k−1段目のインバータの出力XD2k-1と2k段目のインバータの出力D2kが高いとき、すなわちXD2k-1とD2kの論理積が真のときに導通してパルス出力端2230を正極側の電源の電位レベルV1に接続する。
次に、PチャネルMOSトランジスタ234、235、238、239、242および243はそれぞれ2k段目のインバータの出力D2kと2k+1段目のインバータの出力XD2k+1が低いとき、すなわちD2kの否定論理であるXD2kとXD2k+1の否定論理であるD2k+1の論理積が真のとき、に導通してパルス出力端2230を負極側の電源の電位レベルV2に接続する。
【0042】
以上のような動作によってパルス発生論理回路部2220のパルス出力端2230に図1に断続出力モード(この回路を適用した通信装置の動作においては同期追従モード)として示すような断続的なテンプレートパルスP0を生成することができる。
上述の連続パルス発生回路210のパルス出力端2110に現れる連続的なテンプレートパルスまたはパルス発生論理回路部2220のパルス出力端2230に現れる断続的なテンプレートパルスが、制御信号CTLに応動する出力モード切換え回路230によって切換えられて、連続出力モードまたは断続出力モードでのテンプレートパルスP0として出力される。
【0043】
図3は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図3(a)は、本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路の概要を表すブロック図であり、図3(b)は図3(a)のブロック図のより詳細な構成例を表す回路図であり、図3(c)は図3(b)の回路各部の信号のタイミングチャートである。
【0044】
図3(a)のテンプレートパルス発生回路は、自己のモード制御信号入力端301に供給された発振モード切換信号としての制御信号CTLに応じて連続的または断続的にテンプレートパルスP0を生成するモード可変発振回路300を備え、出力モード切換え回路302が発振モード切換信号CTLをモード可変発振回路300のモード制御信号入力端301に供給するように構成されている。
【0045】
モード可変発振回路300の詳細は、図3(b)に示される通り、インバータ321、322、および、一方の入力端に正の電圧が印加されているときにインバータとして機能するNAND回路323、ならびに、9段のインバータ(乃至インバータとしての機能部)324〜329の縦続接続で構成された多段インバータ回路部3210と、この多段インバータ回路部3210の各段のインバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側V1または負極側V2に順次選択的に接続することによって各段のインバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルスCLKよりも周波数の高いパルス信号であるテンプレートパルスを得るパルス発生論理回路部3220と、を含んで構成される。
【0046】
パルス発生論理回路部3220は、スイッチング素子としてのPチャネルMOSトランジスタ330、331、334、335、338、339、342、343、346、および、NチャネルMOSトランジスタ332、333、336、337、340、341、344、345が図示のように接続され、更に、図示のように正極側電源V1および負極側電源V2が接続されている。
【0047】
このパルス発生論理回路部3220自体は、図2(b)を参照して説明したパルス発生論理回路部2220と全く同様の構成を有し、多段インバータ回路部3210の各段のインバータからの出力が供給されて、図2(b)のものと同様に断続的なテンプレートパルスP0を生成する。
一方、多段インバータ回路部3210は、一方の入力端に正の電圧が印加されているときにインバータとして機能するNAND回路323、その後段に続くインバータ324および325、ならびに、インバータ325の出力をNAND回路323の他方の入力端に帰還させる閉ループを結ぶように帰還ループ回路351が設けられて実質的にインバータ3段のリング発振回路350が構成されている。
帰還ループ回路351には、発振モード切換信号としての制御信号CTLに応動して帰還ループ回路351の断続を切換える切換え回路352が介挿されている。
【0048】
図3(b)の回路各部の信号のタイミングチャートである図3(c)を適宜参照して図3(b)のテンプレートパルス発生回路の動作を以下に説明する。
上述のように実質的にインバータ3段のリング発振回路350は、発振モード切換信号CTLに応動して切換え回路352が接点b側に接続され帰還ループ回路351が閉じられているときに、クロックパルスCLKをハイレベルに固定するためD2点のNAND回路323の入力端はハイレベルに保持され、NAND回路323はインバータとして機能し、リング発振回路350は発振動作を行う。
【0049】
リング発振回路350の出力波形の周期は、各段のインバータの遅延をTdとすると、6×Tdとなる。リング発振回路350は、上述のように実質的に9段のインバータの縦続接続で構成される多段インバータ回路部3210の途中にNAND回路323およびその後段に続くインバータ324および325が帰還ループ回路351によって構成され、帰還ループ回路351が閉じられると、リング発振回路として機能する。
【0050】
このため、リング発振回路350は3サイクルのパルス波形を出力して停止する。しかし丁度3発目のパルスで次のインバータの出力が帰還ループ回路351を通して帰還されるため、パルス波形は途切れることなく次のパルスを出力してこれを繰り返す。
即ち、切換え回路352が接点b側に接続され帰還ループ回路351が閉じ、且つ、クロックパルスCLKをハイレベルに固定すると、モード可変発振回路300は連続出力モードで作動する。
【0051】
一方、発振モード切換信号CTLに応じて切換え回路352が接点a側に接続されるとNAND回路323の一方の入力端がハイレベルに固定され、この場合もNAND回路323はインバータとして機能する。これによってクロックパルスCLKの立ち上がりエッジのタイミングでパルスが出力される。
図3(b)のテンプレートパルス発生回路は図3(a)の回路に比べて、連続発振と断続的なパルス発振とで同じインバータを使うため、各インバータの回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できるという利点がある。
【0052】
図4は、図1に示されたテンプレートパルスを発生する本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
図4のパルス発生回路400が既述のものと相違する点は、一対の差動出力として位相が相互に反転したテンプレートパルスが出力されるように構成されている点である。
即ち、クロックパルスCLKを受ける初段の回路として差動信号形成回路401が設けられ、この差動信号形成回路401の非反転出力端にNAND回路402の図中上側の入力端子が接続され、一方、反転出力端にはNOR回路403の図中上側の入力端子が接続されている。これらNAND回路402およびNOR回路403は、既述の例と同様に、クロックパルスCLKをハイレベルに固定したときに、何れもインバータとして機能する。
【0053】
NAND回路402およびNOR回路403の出力側には、これらNAND回路402およびNOR回路303の各出力を一方および他方の入力とする差動インバータ404が、設けられ、差動インバータ404の出力側には、この差動インバータ404の一対の出力を入力とする差動インバータ405が縦続接続され、これ以降同様に、差動インバータ406、407、408、409、410、411が上述の順に縦続接続されている。
【0054】
これら差動インバータの縦続接続のうち、差動インバータ406の他方の出力が帰還ループ451を通してNAND回路402の他方の入力端に帰還されるようにして閉ループが結ばれ、NAND回路402、差動インバータ404、405、406の縦続接続によるリング発振回路461が構成されている。帰還ループ451には帰還ループ451の断続を切換える切換え回路452が介挿されている。
【0055】
また、差動インバータ406の一方の出力が帰還ループ453を通してNOR回路403の他方の入力端に帰還されるようにして閉ループが結ばれ、NOR回路403、差動インバータ404、405、406の縦続接続によるリング発振回路462が構成されている。帰還ループ452には帰還ループ452の断続を切換える切換え回路454が介挿されている。
【0056】
初段の差動インバータとして機能するNAND回路402およびNOR回路403を含む差動インバータの縦続接続の各段のインバータの出力は、該出力によって該当するスイッチング素子を駆動して差動出力パルスの一方の系統からテンプレートパルスP01を得るための第1のパルス発生論理回路部4221、および、差動出力パルスの他方の系統からテンプレートパルスP02を得るための第2のパルス発生論理回路部4222に供給され、これら第1のパルス発生論理回路部4221および第2のパルス発生論理回路部4222はそれぞれ、図3を参照して説明したところと略同様に機能する。
即ち、連続的にテンプレートパルスを出力する連続出力モード時は、2つの切換え回路452および453をb側にしてCLKをハイレベルに固定することでNAND回路402およびNOR回路403はそれぞれインバータとして機能し、波形周期8*Tdのリング発振器が構成される。
【0057】
第1のパルス発生論理回路部4221、および、第2のパルス発生論理回路部4222からは4サイクルの変調波形を有する出力するので、結果として途切れのない連続出力モードでのテンプレートパルスP01およびP02を発生し続ける。
他方、2つの切換え回路452および453をa側に接続することにより、第1のパルス発生論理回路部4221、および、第2のパルス発生論理回路部4222からはクロックパルスCLKの立ち上がりエッジのタイミングで断続出力モードの各テンプレートパルスP01およびP02を出力する。
【0058】
図5は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路500を表す図である。差動インバータ501と差動インバータ502が縦続接続され、後段の差動インバータ502の他方の出力を前段の差動インバータ501の一方の入力端に帰還させる帰還ループ551および差動インバータ502の一方の出力を前段の差動インバータ501の他方の入力端に帰還させる帰還ループ552が設けられて、各リング発振回路561およびリング発振回路562が構成されている。
【0059】
差動インバータ501および差動インバータ502の各出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にテンプレートパルスを得る第1のパルス発生論理回路部5221と第2のパルス発生論理回路部5222とが設けられている。
【0060】
リング発振回路561およびリング発振回路562の各出力がカウンタ510に供給されて計数されるように構成され、且つ、リング発振回路561およびリング発振回路562の発振動作およびカウンタ510の計数動作は、制御信号CTLに応動してクロックパルスCLKの供給の態様とカウンタ510の計数に応じた出力モード切換え動作を行う出力モード切換え回路520から制御される。
【0061】
即ち、出力モード切換え回路520は、制御信号CTLによって連続出力モードが設定されているときには、カウンタ510の計数状態に依拠することなくリング発振回路561およびリング発振回路562に連続的に発振動作を行わせる。この連続的な発振動作に応じて第1のパルス発生論理回路部5221および第2のパルス発生論理回路部5222から連続出力モードでのテンプレートパルスP01およびP02が得られる。
【0062】
制御信号CTLによって断続出力モードが設定されているときには、クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されるまでの間カウンタ510をリセット状態に保ち、リング発振回路561およびリング発振回路562も停止させる。
クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されると、カウンタ510のリセットを解除し同時にリング発振回路561およびリング発振回路562を動作させる。
【0063】
カウンタ510は、リング発振回路561およびリング発振回路562の出力パルスを所定の数だけ計数すると、出力モード切換え回路520にその結果を通知し、該通知を受けた出力モード切換え回路520はリング発振回路561およびリング発振回路562を停止させカウンタ510をリセットする。
上述のようなカウンタ510によるリング発振回路561およびリング発振回路562の出力パルスの計数とリセットとの繰り返しによって、第1のパルス発生論理回路部5221および第2のパルス発生論理回路部5222から断続出力モードの各テンプレートパルスP01およびP02が得られる。
【0064】
この場合、カウンタ510による計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによってテンプレートパルスの毎回の持続時間および位相が高精度に制御される。
更に、各差動インバータ501、502の回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
尚、この実施の形態では差動インバータを用いて差動パルスを発生させているが、シングルエンドの構成を採ることもできる。
【0065】
図6は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。図6のテンプレートパルス発生回路600の既述の図5のテンプレートパルス発生回路500との相違点は、図5の回路が一対の差動出力としてのテンプレートパルスを得る構成であったのに対し、図6の回路ではI相の系統のテンプレートパルスとQ相の系統のテンプレートパルスとを同時に得ることができるように構成されている点である。
【0066】
縦続接続された差動インバータ601〜604のうち奇数段目(初段および3段目)の差動インバータ601および603各一方の出力端の出力パルスによって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にQ相の正極側(+)のテンプレートパルスP01を得る第1のパルス発生論理回路部6221と、上述の差動インバータ601および603の各他方の出力端の出力パルスによって同様にスイッチング駆動され出力端にQ相の負極側(−)のテンプレートパルスP02を得る第2のパルス発生論理回路部6222とが設けられている。
【0067】
更に、縦続接続された差動インバータ601〜604のうち偶数段目(2段目および4段目)の差動インバータ602および604の各一方の出力端の出力パルスによって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み該複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に順次選択的に接続することによって出力端にI相の正極側(+)のテンプレートパルスP03を得る第3のパルス発生論理回路部6223と、上述の差動インバータ602および604の各他方の出力端の出力パルスによって同様にスイッチング駆動され出力端にI相の負極側(−)のテンプレートパルスP04を得る第4のパルス発生論理回路部6224とが設けられている。
【0068】
リング発振回路661およびリング発振回路662の出各力がカウンタ610に供給されて計数されるように構成され、且つ、リング発振回路661およびリング発振回路662の発振動作およびカウンタ610の計数動作は、制御信号CTLに応動してクロックパルスCLKの供給の態様とカウンタ610の計数に応じた出力モード切換え動作を行う出力モード切換え回路620から制御される。
【0069】
即ち、出力モード切換え回路620は、制御信号CTLによって連続出力モードが設定されているときには、カウンタ610の計数状態に依拠することなくリング発振回路661およびリング発振回路662は連続的に発振動作を行う。
このリング発振回路の連続的な発振動作に応じて第1のパルス発生論理回路部6221および第2のパルス発生論理回路部6222から連続出力モードでの上述のQ相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP01およびP02が得られると共に、第3のパルス発生論理回路部6223および第4のパルス発生論理回路部6224から連続出力モードでの上述のI相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP03およびP04が得られる。
【0070】
制御信号CTLによって断続出力モードが設定されているときには、クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されるまでの間カウンタ610をリセット状態に保ち、リング発振回路661およびリング発振回路662も停止させる。
クロックパルスCLKの立ち上がりエッジが入力されると、カウンタ610のリセットを解除し同時にリング発振回路661およびリング発振回路662を動作させる。
カウンタ610は、リング発振回路661およびリング発振回路662の出力パルスを所定の数だけ計数すると、出力モード切換え回路620にその結果を通知し、該通知を受けた出力モード切換え回路620はリング発振回路661およびリング発振回路662を停止させカウンタ610をリセットする。
【0071】
上述のようなカウンタ610によるリング発振回路661およびリング発振回路662の出力パルスの計数とリセットとの繰り返しによって、第1のパルス発生論理回路部6221および第2のパルス発生論理回路部6222から断続出力モードでの上述のQ相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP01およびP02が得られると共に、第3のパルス発生論理回路部6223および第4のパルス発生論理回路部6224から断続出力モードでの上述のI相の差動パルス出力であるテンプレートパルスP03およびP04が得られる。
【0072】
この場合、カウンタ610による計数動作によって、断続出力モード時における間欠的なパルスの毎回の持続期間がパルスの数によって計られることによってテンプレートパルスの毎回の持続時間および位相が高精度に制御される。
更に、各差動インバータ601〜604の回路素子の特性のバラツキに起因する、連続出力モードでの発振と断続出力モードでの発振との双方間での位相ジッタの差や周波数偏差を低減できる。
【0073】
図7は、本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。図7のテンプレートパルス発生回路700の既述の図6のテンプレートパルス発生回路600との相違点は、図6におけるI相の系統のテンプレートパルスの一対の差動出力とQ相の系統のテンプレートパルスの一対の差動出力とを同時に得ることができる構成に加えて、更に、周波数調整信号としての制御信号CTL2に応じて周波数偏差を補正することが可能に構成されている点である。
【0074】
この実施の形態では特に、差動インバータ701〜704の縦続接続回路は、各段の差動インバータ701〜704が制御信号に応じて遅延時間が調節可能な可変遅延型の差動インバータとして構成され、これら差動インバータ701〜704に対して周波数調整信号としての制御信号CTL2がそれぞれ供給される。
従って、リング発振回路761およびリング発振回路762の発振周波数が制御信号CTL2によって調整可能となっている。
【0075】
図8は、本発明の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。既述の何れかのテンプレートパルス発生回路を備えて受信された被変調パルス信号に対する検波処理を行う受信装置(通信装置の受信機能部である場合を含む)810と、この受信装置810にパルス信号を送信する送信装置(通信装置の送信機能部である場合を含む)850とを含んで通信システムが構成される。
但し、図8のシステムは、受信機能部810と送信機能部850とを含んで構成される一体的な通信装置800を表すものであると観念して支障はない。
【0076】
送信機能部850は変調パルス発生回路860においてシステムコントローラ870から供給されるベースバンド信号としてのデータおよびクロックパルスCLKを用いて被変調パルスを形成し、アンテナ851から送信する。システムコントローラ870にはRAM871が接続されて、被送信データや信号処理過程にあるデータ等の一時的な記憶に用いられ、またROM872が接続されて、所定の通信プロトコルに関する情報、演算に用いるパラメータ等々が保持されている。
【0077】
受信機能部810では、送信されてくるパルス信号をアンテナ811で受信し、該受信された信号をBPF(バンドパスフィルタ)812を通してLNA(ローノイズアンプ)813で増幅し、乗算器821に供給する。
乗算器821には図1ないし図7を参照して説明した何れかのテンプレートパルス発生回路820からテンプレートパルスが供給されてLNA813で増幅された受信パルス信号と乗算される。
【0078】
該乗算された信号は、検波回路822で検波処理が施され、該検波回路822の出力に基づいて同期捕捉処理部823において同期捕捉処理が行なわれる。この結果、同期捕捉が略確立すると、検波回路822の出力に基づいてパルス位置追従処理部824によりパルス位置追従処理が行なわれる。
通信装置800(その受信機能部810)における通信のための各部の動作を管理するシステムコントローラ830が設けられ、このシステムコントローラ830によって、上述の同期捕捉処理部823における同期捕捉処理およびパルス位置追従処理部824におけるパルス位置追従処理の進捗状況の監視と処理タイミングの管理が実行される。
【0079】
即ち、システムコントローラ830は、受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路820を上述の連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路820を上述の断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号CTL、および、各部の動作のタイミングを図る基礎となるクロックパルスCLKをテンプレートパルス発生回路820に供給する。
【0080】
このため、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
また、システムコントローラ830には、RAM831が接続されて、復調されたデータや信号処理過程にあるデータ等の一時的な記憶に用いられ、またROM832が接続されて、所定の通信プロトコルに関する情報、演算に用いるパラメータ等々が保持されている。RAM831に一時記憶された復調データは、所要に応じた適宜の方法でユーザに音声或いは画像等の形で提供され得る。
【0081】
尚、受信機能部810の各部の作動用電源を制御する受信回路電源制御部833がシステムコントローラ830の管理下で動作するように設けられ、システムコントローラ830はこの受信回路電源制御部833を制御し、受信パルスの未到来期間において当該通信装置800(受信機能部810)の作動用電源の供給を部分的に停止させるため、不要な待機電力の極小化が図られる。
【0082】
図9は、本発明の他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
また、図10は、図9の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
アンテナ901で受信された信号はBPF(バンドパスフィルタ)902を通してLNA(ローノイズアンプ)903で増幅され(図10上段の「受信波形」)、I相の系統の乗算器910およびQ相の系統の乗算器920に供給される。
乗算器910および920には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路930からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA903で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0083】
I相の系統の乗算器(I相パルス乗算器)910およびQ相の系統の乗算器(Q相パルス乗算器)920で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路911およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路921に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路940で加算合成され、その結果として合成包絡線信号(図10下段の「I2+Q2波形」)が得られる。
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部941で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部942でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0084】
この場合、システムコントローラ950からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部941が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路930を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路930を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる(図10中段の「テンプレートパルス波形」)。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0085】
図11は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図11の実施の形態が図9の実施の形態と異なる点は、図9の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理を行う手段として、I相包絡線検出処理には自乗回路911を適用し、Q相包絡線検出処理には自乗回路921を適用して各別に自乗演算に付していたところ、この図11の実施の形態では、包絡線検出処理を行う手段としてI相包絡線検出処理およびQ相包絡線検出処理に整流回路1111および1121を適用している点である。
【0086】
アンテナ1101で受信された信号はBPF1102を通してLNA1103で増幅され、I相の系統の乗算器1110およびQ相の系統の乗算器1120に供給される。
乗算器1110および1120には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1130からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1103で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0087】
I相の系統の乗算器1110およびQ相の系統の乗算器1120で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての整流回路1111およびQ相包絡線検出処理回路としての整流回路1121に供給されて整流され(半波整流のように図示されるものであっても全波整流であってもよい)、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1140で加算合成され、その結果として合成包絡線信号が得られる。
【0088】
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1141で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部1142でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
この場合、システムコントローラ1150からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1141が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1130を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1130を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0089】
図12は、図9の通信装置と同様の通信装置についてそのパルス位置追従処理部の具体的構成例を伴って表した図である。
図12においては、各部の参照符号を改めて割り当てると共に、同期捕捉処理部とパルス位置追従処理部とのレイアウトについてそれらの上下の配置を逆転して表記してある。
アンテナ1201で受信された信号はBPF1202を通してLNA1203で増幅され、I相の系統の乗算器1210およびQ相の系統の乗算器1220に供給される。
乗算器1210および1220には、図6または図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1230からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1203で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0090】
I相の系統の乗算器1210およびQ相の系統の乗算器1220で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路1211およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路1221に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1240で加算合成され、その結果として合成包絡線信号が得られる。
【0091】
この合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1241で同期捕捉を行ない、次いで、一点鎖線にて図示のパルス位置追従処理部1242でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
上述の構成において、パルス位置追従処理部1242は、入力信号を積分する積分処理部10と、積分処理部10の出力をサンプリングホールド処理するサンプリングホールド処理部20と、積分処理部10における積分時間をシステムコントローラ1250からの制御信号によって制御する積分時間制御部30とサンプリングホールド処理部20の複数系統の出力を加算合成してその出力をシステムコントローラ1250に供給する加算回路40とを含んでDLL(遅延ロックループ)として構成されている。
【0092】
即ち、パルス位置追従処理部1242は、入力の位相を進める進相処理(Early)と位相を保つ同相処理(Current)と位相を遅らせる遅相処理(Late)との各処理を各別に行うDLL回路である進相DLL回路(積分器11+サンプリングホールド回路21)、同相DLL回路(積分器12+サンプリングホールド回路22)、および、遅相DLL回路(積分器13+サンプリングホールド回路23)を備え、進相DLL回路および遅相DLL回路の各積分値の比較である加算回路40の出力に基づいてパルス位置追従処理を行い、同相DLL回路(積分器12+サンプリングホールド回路22)の出力に基づいて復調出力を得るように構成されている。
【0093】
この場合、システムコントローラ1250からの制御信号CTLおよびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1241が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1230を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1230を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0094】
図13は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
また、図14は、図13の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
図13の実施の形態が図9(この詳細は図12)および図11等の実施の形態と異なる点は、図9および図11の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに対して包絡線検出処理を行っていたところ、この図13の実施の形態では、同期検波を行っている点である。
アンテナ1301で受信された信号はBPF1302を通してLNA1303で増幅され(図14「受信波形」)、I相の系統の乗算器1310およびQ相の系統の乗算器1320に供給される。
【0095】
乗算器1310および1320には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1330からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1303で増幅された受信パルスと各乗算される。
I相の系統の乗算器1310およびQ相の系統の乗算器1320で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にLPF(ローパスフィルタ)1311およびLPF1312を通して高周波成分を除去した上、各対応する整流回路1313および整流回路1314を通して(図14「I相整流検波波形」「Q相整流検波波形」)、同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341に供給される。
【0096】
同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341は既述のような同期捕捉処理に加えて、入力パルスとテンプレートパルスとの周波数偏差を検出し、その検出結果をシステムコントローラ1350に供給する。
システムコントローラ1350はこの周波数偏差に基づいて図7を参照して既述の周波数調整信号としての制御信号CTL2を生成し、この制御信号CTL2に応じてテンプレートパルス発生回路1330から出力されるテンプレートパルスに関する周波数偏差が補正される。
【0097】
同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341で同期捕捉を行ない、次いで、パルス位置追従処理部1342でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
この場合、システムコントローラ1350からの制御信号CTL1によって、同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1330を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1330を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため(図14「テンプレートパルス波形」)、消費電力が低減される。
【0098】
図15は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図15の実施の形態が図13の実施の形態と異なる点は、図13の実施の形態においては同期捕捉処理および周波数偏差検出部1341を作動させて同期検波を行っていたところ、この図15の実施の形態では、コスタスループ1542(乗算器150+LPF151)を利用して同期検波を行っている点である。
【0099】
アンテナ1501で受信された信号はBPF1502を通してLNA1503で増幅され、I相の系統の乗算器1510およびQ相の系統の乗算器1520に供給される。
乗算器1510および1520には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1530からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1503で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0100】
I相の系統の乗算器1510およびQ相の系統の乗算器1520で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別にLPF(ローパスフィルタ)1511およびLPF1512を通して高周波成分を除去した上、同期捕捉処理部1541およびコスタスループ1542に供給される。
【0101】
コスタスループ1542はLPF1511およびLPF1512の両出力を乗算する乗算器150と、この乗算器150の出力から高周波成分を除去するLPF151とを含んで構成されており、同期捕捉処理部1541によって同期捕捉が略確立した状態に到った際に、入力パルスとテンプレートパルスとの周波数偏差を検出し、その検出結果に基づいて周波数調整信号としての制御信号CTL2を生成し、この制御信号CTL2に応じてテンプレートパルス発生回路1530が出力するテンプレートパルスの周波数偏差が補正される。
【0102】
また、コスタスループ1542を通して得られた復調データがシステムコントローラ1550に供給され、システムコントローラ1550に接続されたRAM1551に復調データが格納される。
この場合、システムコントローラ1550からの制御信号CTL1によって、同期捕捉処理部1541が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1530を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1530を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
従って、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0103】
図16は、本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
図16の実施の形態が図9(この詳細は図12)および図11等の実施の形態と異なる点は、図9および図11の実施の形態においてはI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに対して包絡線検出処理を行っていたところ、この図16の実施の形態では、同期検波を行っている点である。
【0104】
アンテナ1601で受信された信号はBPF1602を通してLNA(ローノイズアンプ)1603で増幅され、I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620に供給される。
乗算器1610および1620には、図7を参照して説明したようなI相およびQ相の二相のテンプレートパルスを出力するテンプレートパルス発生回路1630からのI相およびQ相の各テンプレートパルスがそれぞれ供給されて、LNA1603で増幅された受信パルスと各乗算される。
【0105】
I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620で上述のように各乗算された結果としてのI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスを各別に包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路としての自乗回路1611およびQ相包絡線検出処理回路としての自乗回路1621に供給されて自乗演算に付され、それらのパルスの包絡線に相応する値が求められ、次いで、該求められた双方の値が包絡線信号加算回路1640で加算合成され、その結果として合成包絡線信号(即ち、I2+Q2)が得られる。
【0106】
また一方、I相の系統の乗算器1610およびQ相の系統の乗算器1620の各出力であるI相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスは、これらに各対応するLPF(ローパスフィルタ)1612およびLPF1622を通して高周波成分を除去した上、パルス位置追従処理部1642に供給される。
上述の合成包絡線信号に基づいて、同期捕捉処理部1641で同期捕捉を行ない、次いで、I相乗算出力パルスおよびQ相乗算出力パルスに基づいてパルス位置追従処理部1642でパルス位置追従処理を行って受信パルス信号に関する検波出力であるベースバンドの信号(データ)を得る。
【0107】
この場合、システムコントローラ1650からの制御信号CTL1およびクロックパルスCLKによって、同期捕捉処理部1641が同期捕捉を行う同期捕捉モード時にはテンプレートパルス発生回路1630を連続出力モードで動作させ、同期捕捉が略確立したときにはテンプレートパルス発生回路1630を断続出力モードで動作させるように動作モードが切換えられる。
【0108】
また、パルス位置追従処理部1642の出力に基づいてシステムコントローラ1650から発せられる制御信号CTL2に基づいて、テンプレートパルス発生回路1630におけるテンプレートパルスの周波数が調整される。
この実施の形態では、上述のように、パルス通信の開始当初にテンプレートパルスを連続的に発生させて短時間で同期捕捉を確立させることができ、これ以降はテンプレートパルス発生回路が断続出力モードに切換えられるため、消費電力が低減される。
【0109】
以上に説明した本発明の技術思想は、パルス通信における同期捕捉を行う期間では受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、略同期捕捉が確立して以降の期間ではテンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法であると要約することができる。
この通信方法では、パルス通信の開始当初における同期捕捉モード時には継続的なテンプレートパルスを用いて速やかに同期捕捉を確立し、その後、断続的にテンプレートパルスを出力するようにして、全体的な消費電力の大幅な削減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の通信方法に適用する本発明の実施の形態としてのパルス発生回路の出力信号の波形図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図3】本発明の他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図4】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図5】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図6】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図7】本発明の更に他の実施の形態としてのパルス発生回路を表す図である。
【図8】本発明の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図10】図9の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
【図11】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図12】図9の通信装置の詳細な構成例を示す図である。
【図13】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図14】図13の通信装置の各部の信号に関するタイミングチャートである。
【図15】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態としての通信装置の構成を表す図である。
【符号の説明】
【0111】
200、400、500、600、700…テンプレートパルス発生回路 210…連続パルス発生回 220…断続パルス発生回路 230、520、620、720…出力モード切換え回路 300…モード可変発振回路 352、452、453…切換え回路 820、930、1130、1230、1330、1530、1630…テンプレートパルス発生回路 830、950、1150、1250、1350、1550、1650…システムコントローラ 823、941、1141、1241、1541、1641…同期捕捉処理部 824、942、1141、1242、1642…パルス位置追従処理部 833、953、1153、1253、1353、1553、1653…受信回路電源制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス通信における受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを生成するテンプレートパルス発生回路であって、
供給された制御信号に応じて連続的に前記テンプレートパルスを出力する連続出力モードと、断続的に前記テンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによって前記テンプレートパルスを発生させるように出力モードを切換える出力モード切換え回路
を備えていることを特徴とするテンプレートパルス発生回路。
【請求項2】
前記テンプレートパルスを連続的に発生させる連続パルス発生回路と、
前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続パルス発生回路と、を備え、
前記出力モード切換え回路は前記連続パルス発生回路および前記断続パルス発生回路の何れか一方のパルス発生回路の出力を選択することによって前記出力モードを切換える
ことを特徴とする請求項1に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項3】
モード制御信号入力端に供給された発振モード切換信号に応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを発生させるモード可変パルス発生回路を備え、
前記出力モード切換え回路は前記発振モード切換信号を前記モード可変パルス発生回路の前記モード制御信号入力端に供給すること
を特徴とする請求項1に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項4】
前記モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、前記多段インバータ回路部の前記インバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み、前記複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に接続することによって前記インバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号である前記テンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、
前記多段インバータ回路部は前記モード制御信号入力端に供給される前記発振モード切換信号に応じて所定の複数段部分における最終段の前記インバータの出力を前記複数段部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成する帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、
前記パルス発生論理回路部は、前記帰還ループ回路の断続の切換えに応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを生成すること
を特徴とする請求項3に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項5】
前記多段インバータ回路部は、複数の差動インバータ回路の縦続接続によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項6】
前記リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタを備え、
前記出力モード切換え回路は、前記カウンタの計数値に応じて前記断続出力モードにおける前記テンプレートパルスの持続時間を規定するように構成されていること
を特徴とする請求項4〜5の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項7】
前記多段インバータ回路部は、偶数段目の前記インバータの出力により対応するI相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記I相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からI相の前記テンプレートパルスを生成し、奇数段目の前記インバータの出力により対応するQ相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記Q相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からQ相の前記テンプレートパルスを生成するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項8】
前記リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節され得るように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路の出力パルスと受信パルスとの相関に基づいて検波を行う検波回路と、
前記受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項7〜8の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路のI相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するI相パルス乗算器と、
前記テンプレートパルス発生回路のQ相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するQ相パルス乗算器と、
前記I相パルス乗算器の出力であるI相乗算出力パルスを包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路と、
前記Q相パルス乗算器の出力であるQ相乗算出力パルスを包絡線検出処理するQ相包絡線検出処理回路と、
前記I相包絡線検出処理回路の出力であるI相包絡線信号および前記Q相包絡線検出処理回路の出力であるQ相包絡線信号を加算合成する包絡線信号加算回路と、
前記包絡線信号加算回路の出力である合成包絡線信号に基づいて同期捕捉を行う同期捕捉処理部と、
前記合成包絡線信号に基づいてパルス位置追従処理を行うパルス位置追従処理部と、
前記同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項11】
前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを自乗するI相パルス自乗回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを自乗するQ相パルス自乗回路を含んで構成されていること
を特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを整流するI相パルス整流回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを整流するQ相パルス整流回路を含んで構成されていること
を特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
前記パルス位置追従処理部は、位相を進める進相処理を行う進相DLL回路の積分値と、位相を遅らせる遅相処理を行う遅相DLL回路の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理を行い、位相を保つ同相処理を行う同相DLL回路の出力に基づいて復調出力を得るように構成されていることを特徴とする請求項10〜12の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記同期捕捉処理部は、前記テンプレートパルスと前記受信パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理を行う同期検波機能部を含んで構成されていることを特徴とする請求項10〜13の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報を記憶する記憶機能部を更に有することを特徴とする請求項9〜14の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項16】
前記システムコントローラは、前記記憶機能部に記憶されたパルス位置情報に合わせて前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるのに用いるクロックパルスを前記テンプレートパルス発生回路に供給するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
作動用電源の供給を制御する電源制御部を備え、
前記システムコントローラは、前記電源制御部に対し、前記受信パルスの未到来期間では給電を部分的に停止するように制御を行うことを特徴とする請求項9〜16の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項18】
パルス通信における同期捕捉を行う期間は受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、前記同期捕捉が確立して以降の期間は前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法。
【請求項1】
パルス通信における受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを生成するテンプレートパルス発生回路であって、
供給された制御信号に応じて連続的に前記テンプレートパルスを出力する連続出力モードと、断続的に前記テンプレートパルスを出力する断続出力モードとの何れかの出力モードによって前記テンプレートパルスを発生させるように出力モードを切換える出力モード切換え回路
を備えていることを特徴とするテンプレートパルス発生回路。
【請求項2】
前記テンプレートパルスを連続的に発生させる連続パルス発生回路と、
前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続パルス発生回路と、を備え、
前記出力モード切換え回路は前記連続パルス発生回路および前記断続パルス発生回路の何れか一方のパルス発生回路の出力を選択することによって前記出力モードを切換える
ことを特徴とする請求項1に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項3】
モード制御信号入力端に供給された発振モード切換信号に応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを発生させるモード可変パルス発生回路を備え、
前記出力モード切換え回路は前記発振モード切換信号を前記モード可変パルス発生回路の前記モード制御信号入力端に供給すること
を特徴とする請求項1に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項4】
前記モード可変パルス発生回路は、複数のインバータの縦続接続を含んで構成される多段インバータ回路部と、前記多段インバータ回路部の前記インバータの出力によって開閉が制御される複数のスイッチング素子を含み、前記複数のスイッチング素子の開閉に応じて所定の出力端を電源の正極側または負極側に接続することによって前記インバータのうちの初段のインバータの入力端に供給されるクロックパルス信号よりも周波数の高い断続的なパルス信号である前記テンプレートパルスを生成し得るパルス発生論理回路部と、を含んで構成され、
前記多段インバータ回路部は前記モード制御信号入力端に供給される前記発振モード切換信号に応じて所定の複数段部分における最終段の前記インバータの出力を前記複数段部分の初段の入力端に帰還させる閉ループを結んでリング発振回路を構成する帰還ループ回路の断続が切換えられるように構成され、
前記パルス発生論理回路部は、前記帰還ループ回路の断続の切換えに応じて連続的または断続的に前記テンプレートパルスを生成すること
を特徴とする請求項3に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項5】
前記多段インバータ回路部は、複数の差動インバータ回路の縦続接続によって構成されていることを特徴とする請求項4に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項6】
前記リング発振回路による発振パルスを計数するカウンタを備え、
前記出力モード切換え回路は、前記カウンタの計数値に応じて前記断続出力モードにおける前記テンプレートパルスの持続時間を規定するように構成されていること
を特徴とする請求項4〜5の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項7】
前記多段インバータ回路部は、偶数段目の前記インバータの出力により対応するI相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記I相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からI相の前記テンプレートパルスを生成し、奇数段目の前記インバータの出力により対応するQ相の系統のパルス発生論理回路部の該当する前記スイッチング素子を開閉させることによって前記Q相の系統のパルス発生論理回路部の出力端からQ相の前記テンプレートパルスを生成するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項8】
前記リング発振回路は、供給される周波数制御信号に応じて発振周波数が調節され得るように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のテンプレートパルス発生回路。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路の出力パルスと受信パルスとの相関に基づいて検波を行う検波回路と、
前記受信パルスの検波に際して同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項10】
請求項7〜8の何れか一項に記載のテンプレートパルス発生回路と、
前記テンプレートパルス発生回路のI相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するI相パルス乗算器と、
前記テンプレートパルス発生回路のQ相の前記テンプレートパルスを前記受信パルスと乗算するQ相パルス乗算器と、
前記I相パルス乗算器の出力であるI相乗算出力パルスを包絡線検出処理するI相包絡線検出処理回路と、
前記Q相パルス乗算器の出力であるQ相乗算出力パルスを包絡線検出処理するQ相包絡線検出処理回路と、
前記I相包絡線検出処理回路の出力であるI相包絡線信号および前記Q相包絡線検出処理回路の出力であるQ相包絡線信号を加算合成する包絡線信号加算回路と、
前記包絡線信号加算回路の出力である合成包絡線信号に基づいて同期捕捉を行う同期捕捉処理部と、
前記合成包絡線信号に基づいてパルス位置追従処理を行うパルス位置追従処理部と、
前記同期捕捉処理部が同期捕捉を行う同期捕捉モード時には前記テンプレートパルス発生回路を前記連続出力モードで動作させ、前記同期捕捉が確立したときには前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるように動作モードを切換える制御信号を前記テンプレートパルス発生回路に供給するシステムコントローラと、
を備えていることを特徴とする通信装置。
【請求項11】
前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを自乗するI相パルス自乗回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを自乗するQ相パルス自乗回路を含んで構成されていること
を特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項12】
前記I相包絡線検出処理回路は、前記I相乗算出力パルスを整流するI相パルス整流回路を含んで構成され、
前記Q相包絡線検出処理回路は、前記Q相乗算出力パルスを整流するQ相パルス整流回路を含んで構成されていること
を特徴とする請求項10に記載の通信装置。
【請求項13】
前記パルス位置追従処理部は、位相を進める進相処理を行う進相DLL回路の積分値と、位相を遅らせる遅相処理を行う遅相DLL回路の積分値の比較に基づいてパルス位置追従処理を行い、位相を保つ同相処理を行う同相DLL回路の出力に基づいて復調出力を得るように構成されていることを特徴とする請求項10〜12の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記同期捕捉処理部は、前記テンプレートパルスと前記受信パルスとの位相同期処理と共に周波数の整合をとる周波数調整処理を行う同期検波機能部を含んで構成されていることを特徴とする請求項10〜13の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項15】
前記同期捕捉が確立したときに取得されるパルス位置情報を記憶する記憶機能部を更に有することを特徴とする請求項9〜14の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項16】
前記システムコントローラは、前記記憶機能部に記憶されたパルス位置情報に合わせて前記テンプレートパルス発生回路を前記断続出力モードで動作させるのに用いるクロックパルスを前記テンプレートパルス発生回路に供給するように構成されていることを特徴とする請求項15に記載の通信装置。
【請求項17】
作動用電源の供給を制御する電源制御部を備え、
前記システムコントローラは、前記電源制御部に対し、前記受信パルスの未到来期間では給電を部分的に停止するように制御を行うことを特徴とする請求項9〜16の何れか一項に記載の通信装置。
【請求項18】
パルス通信における同期捕捉を行う期間は受信パルスの検波に用いるテンプレートパルスを連続的に発生させる連続出力モードを選択し、前記同期捕捉が確立して以降の期間は前記テンプレートパルスを断続的に発生させる断続出力モードに切換えることを特徴とする通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−245257(P2008−245257A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30387(P2008−30387)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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