説明

ドップラーセンサおよび同ドップラセンサを用いたヘッドスピード計測装置

【課題】被検知体をスイングしたときのスイングスピードを計測するドップラーセンサおよびヘッドスピード計測装置を提供する
【解決手段】
送信波を発生する発振器と、送信波が前記被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナと、送信波と受信波の周波数の差分を抽出する検波器とを備え、被検知体の移動状態を外部に出力するドップラーセンサにおいて、アンテナは誘電体からなる基板と、基板の一方の表面、または内部の略全面に形成されグランドとして作用する接地電極と、接地電極と対向するよう基板の他方の表面に形成され送信波が直接、供給され励振する給電素子と、無給電素子とを備え、給電素子の端辺から所定の間隔を空けて無給電素子を配置し、給電素子に対し無給電素子の位相を変化させ、送信波の放射方向を基板面に対し鉛直方向から所定の方向φ1へと傾けるドップラーセンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知体をスイングしたときのスイングスピードの計測技術に関し、特に、ゴルフクラブをスイングしたときのヘッドスピードの計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被検知体(例えば、野球のバットやテニスのラケット、ボクシングならば人の拳等)の移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力できるドップラーセンサを使用すれば、非接触にて被検知体のスイングスピードを計測できることは容易に考えられる。
一方、ゴルフクラブをスイングしたときのヘッドスピードを計測し、外部に報知する機器として図29に示すヘッドスピード計測装置が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−314540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドップラーセンサは、電波ビームの放射方向に対して接近・離遠する被検知体の移動状態を検知できるセンサであり、ドップラーセンサの設置場所によってはドップラーセンサに向かって被検知体が接近・離遠しても、電波ビームの放射方向と異なれば被検知体の移動状態を検知することができない。従って、設置場所の制約等がある場合、電波ビームの放射面に対し略鉛直方向に電波ビームを放射するドップラーセンサでは被検知体のスイングスピードを計測できない場合がある。
一方、特許文献1に示す従来のヘッドスピード計測装置は、ヘッド44先端に取り付けた磁性体の被検知箔64の通過時間を検知する複数のセンサ素子61a、61bと、通過時間に基づいて算出されたヘッドスピードを外部に報知する表示部62とから構成され、複数のセンサ素子61a、61bと表示部62は1つの筐体63に収められ一体化している。そして、ゴルフクラブ63をスイングしたときゴルフクラブ63先端に取り付けられたヘッド64が移動するスイング経路から離れた位置に、スイング経路と並行するよう本計測装置を設置し、ヘッドスピードを計測することができる。
しかしながら、複数のセンサ素子61a、61bを所定の間隔を空けて配置し、被検知箔64がセンサ素子61aからセンサ素子61bとの間を通過する時間から算出されるヘッドスピードはセンサ素子61間における平均速度であり、ヘッドスピードの最高速度を検出することはできない。
【0005】
従って、本発明の目的は、被検知体をスイングしたときのスイングスピードを計測するドップラーセンサおよび同ドップラーセンサを用いたヘッドスピード計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、送信波を発生する発振器と、前記送信波を前方に放射して、被検知体をスイングしたとき、前記送信波が前記被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナと、前記送信波と前記受信波の周波数の差分を抽出する検波器とを備え、前記被検知体の移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサにおいて、前記アンテナは、誘電体からなる基板と、該基板の一方の表面、または内部の略全面に形成され、グランドとして作用する接地電極と、該接地電極と対向するよう前記基板の他方の表面に形成され前記送信波が直接、供給され励振する給電素子と、該給電素子から前記送信波が放射されることにより励起されて励振する無給電素子と、を備え、前記給電素子の端辺から所定の間隔を空けて前記無給電素子を配置し、前記給電素子に対し前記無給電素子の位相を変化させ、前記送信波の放射方向を前記基板面に対し鉛直方向から所定の方向へと傾けたことを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために請求項2記載の発明は、前記無給電素子を導波器として作用させたことを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために請求項3記載の発明は、前記給電素子の励振方向に対して直交する前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように前記無給電素子を配置したことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するために請求項4記載の発明は、前記給電素子の給電点から近い側の前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように前記無給電素子を配置したことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために請求項5記載の発明は、送信波を発生する発振器と、前記送信波を前方に放射して、被検知体をスイングしたとき、前記送信波が前記被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナと、前記送信波と前記受信波の周波数の差分を抽出する検波器とを備え、前記被検知体の移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサにおいて、前記アンテナは、誘電体からなる基板と、該基板の一方の表面、または内部の略全面に形成され、グランドとして作用する接地電極と、該接地電極と対向するよう前記基板の他方の表面に形成され前記送信波が直接、供給され励振する給電素子と、該給電素子から前記送信波が放射されることにより励起されて励振する複数の無給電素子と、
を備え、前記給電素子の端辺から所定の間隔を空けて、且つ前記給電素子を中心として対称となるように複数の前記無給電素子を各々配置し、前記給電素子に対し複数の前記無給電素子の各位相を変化させ、前記送信波の放射方向を前記基板面に対し鉛直方向から所定の方向へと傾けたことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために請求項6記載の発明は、複数の前記無給電素子のうち、少なくとも1つは導波器として、それ以外は反射器として作用させたことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために請求項7記載の発明は、前記給電素子の励振方向に対して直交する前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように複数の前記無給電素子を各々、配置したことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために請求項8記載の発明は、前記給電素子の給電点から近い側の前記無給電素子は導波器、前記給電素子の給電点から遠い側の前記無給電素子は反射器として作用させたことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために請求項9記載の発明は、複数の前記無給電素子に高周波信号を通過または遮断する複数のスイッチを各々、接続し、所定のタイミングにて複数の前記スイッチを切り替えたとき、複数の前記無給電素子のうち、少なくとも1つは導波器として、それ以外は反射器として作用させたことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために請求項10記載の発明は、前記検知信号を分離しその位相関係により接近または離遠を識別するための複数の検波器を備えたことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために請求項11記載の発明は、請求項1乃至10何れか1項記載のドップラーセンサと、前記検知信号の周波数に基づいてヘッドスピードを算出する速度算出制御手段とを備え、ゴルフクラブをスイングしたときヘッドの移動状態からヘッドスピードを計測することを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために請求項12記載の発明は、前記速度算出制御手段は、複数の前記スイッチを所定の順序、タイミングにて切り替える電波方向切替手段を備えたことを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために請求項13記載の発明は、前記速度算出制御手段は、前記検知信号の周波数に基づいて半周期毎の時間を抽出し最短時間を算出する第1演算部と、該第1演算部の演算結果に基づいて最高速度を算出する第2演算部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために請求項14記載の発明は、使用者にヘッドスピードを知らせる速度報知手段を備え、前記第2演算部にて算出された最高速度が所定値より速いとき、前記速度報知手段にてヘッドスピードを報知することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するために請求項15記載の発明は、ゴルフボールを所定の位置に固定するための固定面を片端に備え、水平面(地面)に設置されたゴルフボール固定手段に向かい前記ゴルフクラブをスイングしたとき、前記ゴルフクラブ先端のヘッドが移動する経路をスイング経路、前記ヘッドが前記ゴルフボール固定手段に向かい接近する方向をヘッド接近方向とすると、
前記ドップラーセンサから放射される電波ビームの放射方向の少なくとも1つが前記ドップラーセンサの電波ビームを放射する放射面に対し鉛直方向から所定方向1に傾く前記ドップラーセンサを、前記放射面を略天頂方向に向けて前記ゴルフボール固定手段の近傍に設置したとき、前記所定方向と、前記ヘッド接近方向とが略同一であることを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するために請求項16記載の発明は、前記スイング経路の直下に相当する前記水平面よりも下方側に、前記ドップラーセンサを設置したことを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するために請求項17記載の発明は、前記ゴルフクラブをスイングしたとき前記ゴルフボール固定手段を基準として前記ヘッドが離遠する方向側に、前記ドップラーセンサを設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、被検知体をスイングしたときのスイングスピードを計測するドップラーセンサおよび同ドップラーセンサを用いたヘッドスピード計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明におけるヘッドスピード計測装置について説明する。
尚、以下実施例における図面の基板の厚みやパターン寸法は説明の都合上、実際の形状とは異なる。
図1は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第1実施形態を示す、ブロック図である。
【0025】
図1に示すヘッドスピード計測装置51は、ゴルフクラブをスイングしたとき、ゴルフクラブ先端のヘッドの移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサ11と、ドップラーセンサ11から出力された検知信号の周波数に基づいてヘッドスピードの最高速度を算出する速度算出制御手段21と、計測したヘッドスピードを使用者へ知らせる速度報知手段31とから構成されている。
ドップラーセンサ11には、送信波を発生する発振器12と、送信波を前方に放射してゴルフクラブをスイングしたとき、送信波がゴルフクラブ先端のヘッドに衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナ13と、送信波と受信波の周波数の差分を抽出する検波器14とを備えている。
速度算出制御手段21には、ドップラーセンサ11から出力された検知信号の電圧値レベルを速度算出制御手段21に印加する電源電圧範囲内にて電圧ピーク値が顕在化する電圧値レベルまで検知信号を増幅する信号増幅部22と、信号増幅部22にて増幅された検知信号の電圧値または周波数が所定値よりも高くなったとき後述する第1演算部25における演算処理を開始する測定開始判定部23と、検知信号の周波数に基づいて半周期毎の時間を抽出し最短時間を算出する第1演算部25と、検知信号の電圧値または周波数が所定値よりも低くなったとき第1演算部25における演算処理を終了する測定終了判定部24と、第1演算部25の演算結果に基づいてその最短時間から最高速度を算出する第2演算部26と、第2演算部26にて算出された最高速度が所定値よりも速いとき後述する速度報知手段31に速度情報を出力する信号出力判定部27とを備えている。
速度報知手段31には、使用者にゴルフクラブをスイングするタイミングを知らせるための計測可否表示部(図中、『READY』と表示された下部のライトが点灯時は計測可能、『WAIT』と表示された下部のライトが点灯時は計測不可能)と、信号出力判定部27から出力された速度情報に基づいてヘッドスピードを小数点1桁まで表示が可能な速度表示部とを備えている。
【0026】
本発明におけるヘッドスピード計測装置51は、電波ビームを放射するドップラーセンサ11の放射面(アンテナ13形成面)に向かって、ゴルフクラブ先端のヘッドが接近・離遠する位置に、少なくともドップラーセンサ11を配置する必要がある。例えば、図30のように電波ビームをアンテナ13形成面に対し鉛直方向に放射するドップラーセンサ11を、ゴルフボール固定手段の近傍、且つゴルフクラブをスイングしたときにゴルフクラブ先端のヘッドが移動するスイング経路の直下に相当する水平面(以下、地面)よりも下方に、電波ビームの放射面を天頂方向に仰向けにした状態でヘッドスピード計測装置51を設置した場合、電波ビームの放射方向φ1は地面に対し鉛直方向となり、ゴルフクラブをスイングしたときドップラーセンサから見たヘッドの移動状態は接近する距離が極端に短いのに対し時間は長くなるため、ドップラーセンサから出力される検知信号の周波数は極端に低くなる。従って、高精度にてヘッドスピードを計測することができない。また、図29に示したセンサ素子61と表示部62が一体となって筐体63に収納されている従来のヘッドスピード計測装置とは異なり、少なくとも速度報知手段31は別体として使用者から計測可否表示部や速度表示部が視認しやすい場所に設置することが望ましい。速度算出制御手段21と速度報知手段31との情報のやりとりは無線または有線にて行えば良い。
また、以下実施例において速度算出制御手段21に信号増幅部22を備えているが、必ずしも信号増幅部22を速度算出制御手段21に備える必要はなく、ドップラーセンサ11側に備えても良いし、ドップラーセンサ11と速度算出制御手段21の両方に備えても良い。ドップラーセンサ11側に信号増幅部22を備えれば外部からのノイズ耐性が向上するため取り扱いが容易になり、ドップラーセンサ11のみをヘッドスピードの計測に適した場所、狭いスペースにもに設置することができる。そして、速度算出制御手段21と速度報知手段31とを1つの筐体に収納して使用者から測定可否表示部や速度表示部が視認しやすい場所に設置すれば、速度算出制御手段21が多少、複雑になり大型化しても使用上、特に問題は無い。
他の部位についても同様であり、説明の都合上、ヘッドスピード計測装置51してドップラーセンサ11と速度算出制御手段21と速度報知手段31に大別しているだけで、設置環境に応じて、速度算出制御手段21として記載した部位をドップラーセンサ11側や速度報知手段31側に備えることができる。
また、使用者にヘッドスピードを知らせる速度報知手段31として視認性を重視した速度表示部を備えているが音声でヘッドスピードを報知しても良いし、計測されたヘッドスピードのデータを紙にて出力する、携帯端末へ出力する等の機能を速度報知手段31に備え、使用者にヘッドスピードを報知しても良い。
【0027】
図2は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第1実施形態を示す(a)正面図および(b)側面図である。図3は、同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
図2に示すヘッドスピード計測装置51はドップラーセンサ11と速度算出制御手段21が一体化している。
ドップラーセンサ11は、誘電体からなる基板1aの内部にグランドとして作用する接地電極4が略全面に形成され、基板1aの一方の表面にはアンテナ13として作用する複数の給電素子2a〜2dが形成されている。一般的なマイクロストリップアンテナ構造(接地電極4との電磁界結合を利用し給電素子2a〜2dの正面方向に効率よく電波を放射する)をなし、給電素子2a〜2dは使用周波数の約半波長(λg/2:λg…基板1を伝搬する高周波信号の波長である。また、真空中における高周波信号、電波の波長をλ、基板1の誘電率をεrとすると、λ=εr1/2・λgである。)の長さLを少なくとも一辺にもつ矩形状の薄膜電極である。複数の給電素子2a〜2dを互いに電力均等分配回路となる伝送線路6で接続することでアンテナ有効面積が増加し、基板1aの他方の表面に形成された発振器12にて生成された送信波が給電孔5、伝送線路6を介し給電素子2a〜2dに直接、供給され、給電素子2a〜2dが同位相にて励振することにより基板1a面に対し鉛直方向に向かい指向性が比較的鋭い電波ビームを放射する。
ゴルフクラブをスイングしたときにゴルフクラブ先端のヘッドが移動する経路をスイング経路とし、ゴルフボール41を所定の位置に固定するための固定面を片端に備え、地面から突出し設置されたゴルフボール固定手段42に向かいヘッドが接近する方向をヘッド接近方向としたとき、図3に示すドップラーセンサ11から鉛直方向に向かい放射される電波ビームの放射方向φ1とヘッド接近方向とが略同一となり、スイング経路からは比較的遠く離れた位置に、ドップラーセンサ11から放射される電波ビームの放射面が地面に対して垂直となる状態でヘッドスピード計測装置51を設置すると、ゴルフクラブをスイングしたときに、基板1aの発振器12と同一面に形成された検波器14を介し、ヘッドの移動状態を周波数に換算した検知信号をドップラーセンサ11から速度算出制御手段21に出力することができる。本実施例のドップラーセンサ11にはアンテナ13として作用する給電素子2を4つ配置したが、給電素子4の数や素子間距離は検知範囲に応じて適宜、選択すれば良い。尚、スイング経路は説明の都合上、図中点線で記載しているがヘッドの大きさを考慮すると、スイング経路の幅方向の長さは最大20cmとなる。以下、実施例においても同様である。
【0028】
図4は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第1実施形態を示す、速度算出制御手段のタイミングチャートである。
基板1bには速度算出制御手段21が配置され、ドップラーセンサ11から出力された検知信号を増幅する少なくとも1つのオペアンプから構成される増幅回路を信号増幅部22として備え、増幅した検知信号を図示しないCPU(中央演算処理装置)のアナログ電圧をデジタル電圧に変換する機能を有したAD変換機能ポートに入力される。図示しないCPUには、測定介開始判定部23、測定終了判定部24、第1演算部25、第2演算部26、信号出力判定部27の機能を有し、AD変換機能ポートに入力された検知信号に基づきヘッドスピードを算出し速度報知手段31に速度情報を出力する。
図中、最上段に示す検知信号の電圧波形は、ドップラーセンサ11から出力された検知信号を速度算出制御手段21に備えた信号増幅部22により増幅した後の検知信号を示し、速度算出制御手段21に印加する電源電圧範囲内にて電圧ピーク値が顕在化している。信号増幅部22を構成するオペアンプ等の増幅回路の増幅率を大きくし過ぎると検知信号の電圧ピーク値が電源電圧範囲内にて振り切れ、検知信号がサイン波から矩形波に変化してしまう。そうすると、検知信号にサイン波と矩形波が混在する不具合が生じ、精度良く最高速度を算出することができなくなる。本発明によれば、検知信号がサイン波から矩形波に変化することを防止し精度良く最高速度を算出することができる。
【0029】
また、ドップラーセンサ11から出力される検知信号は必ずしも電圧のプラス方向側とマイナス方向側に対称的なサイン波形として出力される訳ではない。従って、検知信号の電圧値レベルは、速度算出制御手段21に印加する電源電圧範囲内にてピーク値が顕在化する電圧値レベルまで信号増幅部にて増幅し、その増幅された検知信号を直接、速度算出制御手段21に備えた図示しないAD変換機能部に入力し、第1演算部25にて検知信号のピーク値をもとに半周期毎(ピーク→ボトム、ボトム→ピーク、…)の時間を抽出し最短時間を算出することが望ましい。
【0030】
速度算出制御手段21には増幅された検知信号に対し、プラス側とマイナス側に各々、電圧上限値と電圧下限値を予め設定し、検知信号の電圧値がこの電圧範囲よりも高くなったとき第1演算部25にて検知信号のピーク値をもとに半周期毎の時間(図中、t1、t2、t3、…)を抽出し最短時間(図中、t3)の算出を開始する測定開始判定部23と、検知信号の電圧値が予め設定した電圧範囲よりも低くなり所定時間が経過した時に第1演算部25における演算処理をを終了する測定終了判定部24を備えている。そして、第1演算部25の演算結果に基づいてその最短時間(図中、t3)からヘッドスピードの最高速度(図中、Vmax)を第2演算部26で算出する。本発明によれば、ヘッドスピードの最高速度を効率良く算出できるため、速度算出制御手段21を構成する制御回路の簡素化・低消費電力化を図れる。
【0031】
図5(a)は、ゴルフクラブをスイングしたときのヘッドの移動速度に対してドップラーセンサから出力される検知信号の周期および周波数を表したグラフである。
ドップラーセンサ11から出力される検知信号の周期(周波数)は、ドップラーセンサ11に使用する送信周波数(本実施例では10.50GHz〜10.55GHz)とドップラーセンサ11に接近する被検知体の移動速度とから決定されるが、ゴルフクラブをスイングしたときのヘッドの移動状態は加速性が高くドップラーセンサ11から出力される検知信号の周波数は瞬間的に変動する。そのため、1周期毎の時間を抽出しその最短時間からヘッドスピードの最高速度を算出した場合、ヘッドスピードが速くなるほど計測結果もばらつきが大きくなる。本発明によれば、第1演算部25にて検知信号の周波数に基づいて半周期毎の時間を抽出し最短時間を算出した後、第2演算部26にてその最短時間から最高速度を算出するため、ヘッドスピードが速くなっても計測結果のばらつきを小さく抑えることができる。また、半周期毎にヘッドスピードまで算出しその結果から最高速度を抽出しようとすると演算処理を行うマイクロコンピュータ(CPU:中央演算処理装置)に高速性が要求されるが、ヘッドスピード計測の場合、ゴルフスイング終了直後にヘッドスピードを速度報知手段31により即報知する必要性はなく、報知するまでの時間として数秒は許容される。従って、本発明のように第1演算部25と第2演算部26で演算処理を分けることが可能となり、ヘッドスピードの最高速度をより正確に計測することができる。尚、ヘッドがゴルフボール固定手段42に接近する方向や角度に応じて、第2演算部26にて算出されたヘッドスピードを補正しても良い。また、速度算出制御手段21にフィルタ機能を備え、計測したいヘッドスピードの検知範囲に応じて、フィルタ回路を構成しても良い。例えば、ヘッドスピードを10〜60m/秒の範囲で計測したい場合、ドップラーセンサ11の使用周波数が10.5GHzとすると、0.8〜4.2kHzの検知信号だけを通過させるフィルタ回路を第1演算部25より前段に備えると良い。
【0032】
図5(b)は、人が歩行しているときの移動速度に対してドップラーセンサから出力される検知信号の周期および周波数を表したグラフである。
速度算出制御手段21には、第2演算部26にて算出された最高速度が所定値よりも速いとき速度報知手段31に速度情報を出力する信号出力判定部27を備えている。例えば、信号出力判定部27における出力可否の閾値(図中、Vs)を10m/秒とした場合、第2演算部26にて算出された最高速度(図中、Vmax)がこの閾値(図中、Vs)を超えた時だけ速度報知手段31へ速度情報を出力することになる。本発明によれば、ヘッドスピードとは無関係な人の動き等を誤って報知することを防止できる。
【0033】
図6は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第2実施形態を示す、ブロック図である。図7は、同、速度算出制御手段のタイミングチャート1である。
以下、前述した実施例と重複する部分の記載については説明を省略する。
図6に示すヘッドスピード計測装置51に備えたドップラーセンサ11は第1実施形態と同様である。速度算出制御手段21には、ドップラーセンサ11から出力された検知信号の数値データを一時的に格納する記憶手段28を備えている。例えば、高速動作でデータの読み書きを電気的に行なうことができるRAM(Random Access Memory)を記憶手段28として使用することができる。信号増幅部22にて増幅された検知信号の電圧値が所定値よりも高くなったとき、CPU(中央処理装置)に内蔵しているRAMもしくはCPUとは別に配置したRAMに検知信号の数値データを継続して格納し、所定時間(図中、Tn)が経過した後、図7に示すように第1演算部25、第2演算部26の順に演算処理を行い、ヘッドスピードを計測して使用者に報知できる。ヘッドスピードを考慮すると検知信号の数値データを継続して格納する時間は最大100mSあれば十分である。記憶手段28を備えることにより、速度算出制御手段21に備えた図示しないAD変換機能部に検知信号の数値データを短時間で取り込み、検知信号の状態をより詳細に解析できるため、ヘッドスピードが比較的速くなっても精度良く最高速度を算出できる。
【0034】
図8は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第2実施形態を示す、制御手段のタイミングチャート2である。
測定開始判定部23は、検知信号の周波数に基づいて数値データを記憶手段28に格納を開始する判定機能を有する。従って、ドップラーセンサ11から出力された検知信号の周波数が所定値(図中、Fn)よりも高くなった時のみ検知信号の数値データを記憶手段28に格納できる。図5に示したグラフによると、人の移動速度とヘッドスピードとではドップラーセンサ11から検知信号として出力される周波数が大きく異なるため、測定開始判定部23に入力される検知信号の周波数が低くければ、後段に接続された第1演算部25、第2演算部26にて演算処理を行わない。本発明によれば、ヘッドスピードとは無関係な人の動き等を誤って報知することを防止でき、使用者がゴルフクラブをスイングするまで効率良く測定待機状態を維持できる。
【0035】
図9は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第2実施形態を示す、(a)ドップラーセンサの変形例を示すブロック図、(b)ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図である。
一般的にゴルフクラブをスイングするときゴルフボール固定手段42の近傍に一旦、ヘッドを合わせバックスイングした後にフルスイングする。このバックスイングの速度は使用者により様々だが10m/sを超える場合もあり、フルスイングしたヘッドスピードとして誤って計測される可能性がある。前述した信号出力判定部27にて20m/S以上のヘッドスピードについて外部に出力する設定にしておけば、バックスイングによる誤計測を防止することができる。しかしながら、ゴルフクラブの多様性(飛距離によるゴルフクラブ選択)を考慮すると、図9に示す検知信号を分離しその位相関係によりヘッドがゴルフボール固定手段42に接近する、または離遠することを識別するための複数の検波器14a、14bをドップラーセンサ11に備えることが望ましい。本発明によれば、ゴルフクラブをバックスイングした時にヘッドがゴルフボール固定手段42から離遠する状態(図中、グラフ中の点線表示)と、ゴルフクラブをフルスイングした時にヘッドがゴルフボール固定手段42に接近する状態(図中、グラフ中の実線表示)とを識別できるため、ゴルフクラブをフルスイングした時のみ速度算出制御21にて演算処理を行い、ヘッドスピードの最高速度を計測することができる。
【0036】
図10は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第3実施形態を示す、ブロック図である。。
図10に示すヘッドスピード計測装置51のドップラーセンサ11には、アンテナ13として送信波が直接、供給され励振する給電素子2と、給電素子2から送信波が放射されることにより励起されて励振する無給電素子3とを備え、空間における電波ビームの結合を利用し、電波ビームの放射面(アンテナとして作用する薄膜電極が形成された基板面)に対し、鉛直方向から所定の方向Φ1へと電波ビームを傾けて放射する。従って、ゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に相当する地面よりも下方に、電波ビームの放射面を天頂方向に仰向けにした状態でヘッドスピード計測装置51を設置し、ヘッドスピードを計測することができる。そして、ドップラーセンサ11にヘッドやゴルフボール41が衝突し破損することを防止することができる。
【0037】
図11は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第3実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。図12は、同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
図11に示すヘッドスピード計測装置51はドップラーセンサ11と速度算出制御手段21が一体化している。
ドップラーセンサ11は、誘電体からなる基板1aの内部にグランドとして作用する接地電極4が略全面に形成されている。一方の基板1a表面には接地電極4との電磁結合を利用しアンテナ13として作用する薄膜矩形状の給電素子2と無給電素子3とが形成され、給電素子2の励振方向における1辺の長さLは使用周波数の約半波長である。それに対し無給電素子3の励振方向における1辺の長さは短い。従って、無給電素子3の共振周波数は使用周波数よりも高域側にシフトするため、無給電素子3は導波器(給電素子2よりも位相が遅れた状態)として作用する。他方の基板1a表面には発振器12と検波器14と検知信号を増幅する図示しない増幅器を配置し、金属ケース15によりシールドしている。発振器12(電界効果トランジスタと誘電体共振器を利用し送信波を生成)にて生成された送信波は給電孔5を介し給電素子2に供給される。給電孔5はインピーダンスが50Ωとなる給電素子2の内部(L1<L2)に設けられているため、給電素子2のみが基板1a表面に形成された場合、給電素子2から放射される電波ビームは基板1a面(電波ビームの放射面)に対し鉛直方向に放射され、電波ビームの放射形状は励振方向側に直径が長い楕円状となる。給電素子2と給電素子2の励振方向と平行する端辺から所定の間隔を空けて対向するよう図中、下側に配置された導波器として作用する無給電素子3により、基板1a面から放射される電波ビームは、空間で結合し基板1a面に対し鉛直方向から所定の方向φ1(図中、給電素子2から無給電素子3側に向かう下方向)へと、給電素子2の略中心部を基準としθ1だけ傾いて放射される。以下、図に記載したθ1とは電波ビームの最大放射強度方向を指し、θ2とは電波ビームの半値角を指す。電波ビームの放射特性を考慮すると、θ1が±5°の範囲は基板1a面に対し鉛直方向に電波ビームが放射されていると見なすことができる。
本発明のドップラーセンサ11を、ゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に電波ビームの放射面を略天頂方向に向けて配置すれば、地面に対し鉛直方向から所定の方向φ1に向けて電波ビームを放射することができる。
【0038】
図12に示すゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に相当する地面よりも下方の位置に、電波ビームの放射面を略天頂方向に向け、ドップラーセンサ11から放射される電波ビームの放射方向φ1とヘッド接近方向とが略同一となるよう、本発明のヘッドスピード計測装置51を設置すれば、ドップラーセンサ11にてヘッドの移動状態が検出できヘッドスピードを計測することができる。また、図28に示すように防水のためヘッドスピード計測装置51を樹脂ケース52に収納することも可能で、その場合、電波ビームの放射面に相当する樹脂ケース52の表面に電波ビームの放射方向や放射範囲(電波放射方向φ1における半値角)を樹脂ケース52と一体成型または別体で電波方向表示部53を設けて表示すれば、通常、電波ビームは視認できないが電波の放射方向を間違うことなく正常な位置に設置することができる。
【0039】
図13は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第3実施形態を示す、ドップラーセンサの変形例1を示す(a)正面図および(b)A−A’断面図である。図14は、同、ドップラーセンサの変形例2を示す正面図である。
図11に示しすドップラーセンサの無給電素子3は励振方向における1辺の長さが給電素子2よりも短く形成されていたが、図13に示すドップラーセンサ11の無給電素子3は給電素子2と励振方向における1辺の長さが同じである。但し、無給電素子3の励振方向と直交する端辺に周波数を調整する伝送線路6の片端を接続し、伝送線路6の他端は導通孔7を介し接地電極4に接続されている。この伝送線路6の長さを所定の長さに設定することにより無給電素子3を導波器として作用させることができる。従って、図13に示したドップラーセンサ11は図11に示したドップラーセンサ11と同様の電波ビームの放射特性を得ることができる。
本変形例1では、無給電素子3の励振方向と直交する端辺に伝送線路6を接続したが無給電素子3の面内、例えばインピーダンスが50Ωとなる地点に伝送線路6を接続する、伝送線路6の他端を接地電極4に接続せずに開放状態にするといった実施形態でも、無給電素子3を導波器として作用させることができる。
【0040】
図14に示すドップラーセンサ11のアンテナ13は、基板1表面に給電素子2の励振方向と平行する端辺の両側に、励振方向における1辺の長さがLよりも短く設定された複数の無給電素子3a、3bを対称な位置、且つ給電素子2と各無給電素子3a、3bの隣接する辺の一部が対向するように配置している。複数の無給電素子3a、3bは図11に示したドップラーセンサ11の無給電素子3と同形状を成し導波器として作用するため、基板面1から放射される電波ビームは、空間で結合し基板1a面に対し鉛直方向から所定の方向φ1(図中、下方向)へと放射される。本実施例のように、給電素子2と給電素子2の周囲に配置する複数の無給電素子3a、3bの位置関係によっては、複数の無給電素子3a、3bを導波器として作用させると、電波ビームの放射方向は無給電素子3aと無給電素子3bが配置された各々の方向に向かいスプリットするように放射される訳ではなく統合された電波ビームとして、無給電素子3aと無給電素子3bとが隣接する空間の略中央部に向かい放射される。
【0041】
図15は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第3実施形態を示す、ドップラーセンサの変形例3を示す(a)正面図および(b)B−B’断面図である。
図15に示すドップラーセンサ11は、図11で示したドップラーセンサ11に対し無給電素子3の配置だけが異なる。給電素子2にて励起される無給電素子3を給電素子2の励振方向と直交し、且つ給電素子2の給電孔5から遠い側に相当する端辺と対向する位置に所定の間隔を空けて形成している。無給電素子3は図11に示した無給電素子3と同形状を成し導波器として作用するため、基板1面から放射される電波ビームは、空間で結合し基板1面に対し鉛直方向から所定の方向φ1(図中、上方向)へと、給電素子2の略中心部を基準としθ1だけ傾いて放射される。給電素子2単体から放射される電波ビームの放射パターンは励振方向側に直径が長い楕円形状であるため、無給電素子3を形成する位置により電波ビームの放射形態が変化する。図11に示したドップラーセンサ11と比較すると、最大放射強度方向を指すθ1の角度は更に鈍角となり、半値角は広くなる。従って、電波ビームを鉛直方向から更に基板面に対し水平方向へと傾け、局在的に広範囲へ電波ビームを放射することができる。
【0042】
図16は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第4実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。図17は、同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
図16に示すヘッドスピード計測装置51はドップラーセンサ11と速度算出制御手段21が一体化している。
図16に示すドップラーセンサ11は、図15で示したドップラーセンサ11に対し無給電素子3の配置だけが異なる。給電素子2にて励起される無給電素子3を給電素子2の励振方向と直交し、且つ給電素子2の給電孔5から近い側に相当する端辺と対向する位置に所定の間隔を空けて形成している。無給電素子3は図15に示した無給電素子3と同形状を成し導波器として作用するため、基板1a面から放射される電波ビームは、空間で結合し基板1a面に対し鉛直方向から所定の方向φ1(図中、下方向)へと、給電素子2の略中心部を基準としθ1だけ傾いて放射される。図11に示したドップラーセンサ11と比較すると、最大放射強度方向を指すθ1の角度は更に鈍角となり、半値角は広くなる。そして放射される電波ビームのアンテナゲインが向上する。従って、電波ビームを鉛直方向から更に基板面に対し水平方向へと傾け、局在的に広範囲へ高利得の電波ビームを放射することができる。
本発明のドップラーセンサ11を、ゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に電波ビームの放射面を略天頂方向に向けて配置すれば、地面に対し鉛直方向から所定の方向φ1に向けて局在的に広範囲へ高利得の電波ビームを放射することができる。
【0043】
図17に示すゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に相当する地面よりも下方の位置に、電波ビームの放射面を略天頂方向に向け、ドップラーセンサ11から放射される電波ビームの放射方向φ1とヘッド接近方向とが略同一となるよう、本発明のヘッドスピード計測装置51を設置すれば、ドップラーセンサ11にてヘッドの移動状態が検出できヘッドスピードを計測することができる。また、図11に示したヘッドスピード計測装置51に比べて地面と略平行にドップラーセンサを配置できるため、設置や施工が容易となる。
【0044】
図18は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第5実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。図19は、同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図、(c)上面図である。
図18に示すヘッドスピード計測装置51はドップラーセンサ11と速度算出制御手段21が一体化している。
図18に示すドップラーセンサ11は、図16で示したドップラーセンサ11に対し無給電素子3の数と配置が異なる。給電素子2にて励起され導波器として作用する無給電素子3aを給電素子2の励振方向と直交し、且つ給電素子2の給電孔5から近い側に相当する端辺と対向する位置に、給電素子2にて励起され反射器として作用する無給電素子3bを給電素子2の励振方向と直交し、且つ給電素子2の給電孔5から遠い側に相当する端辺と対向する位置に、各々所定の間隔を空けて形成している。無給電素子3aの励振方向における1辺の長さは給電素子2の励振方向における1辺の長さLより短いため、図16で示したドップラーセンサ11と同様、無給電素子3aは導波器として作用する。それに対し、無給電素子3bの励振方向における1辺の長さは給電素子2の励振方向における1辺の長さLと同じで、無給電素子3bの共振周波数は給電素子2の使用周波数と同じである。そして、給電素子2と無給電素子3bとの位置関係から給電素子2と無給電素子3bの位相状態を略同一となり反射器として作用する。仮に、無給電素子3bの励振方向における1辺の長さが給電素子2の励振方向における1辺の長さLより長い場合、無給電素子3bの共振周波数は給電素子2の使用周波数よりも低域側にシフトするため、無給電素子3bは反射器(給電素子2よりも位相が進んだ状態)として作用する。以下、実施例では給電素子2の位相に対して0〜180degree位相が進んだ無給電素子3bの状態を反射器として定義する。このように、給電素子2を中心として対称に配置した無給電素子3aを導波器、無給電素子3bを反射器として作用させることにより、基板1a面から放射される電波ビームは、空間で結合し基板1a面に対し鉛直方向から所定の方向φ1(図中、下方向)へと、給電素子2の略中心部を基準としθ1だけ傾いて放射される。図16に示したドップラーセンサ11と比較すると、最大放射強度方向を指すθ1の角度はより更に鈍角となり、逆に半値角は狭くなる。従って、電波ビームを鉛直方向からより更に基板面に対し水平方向へと傾け、局在的に電波ビームを絞って放射することができる。
本発明のドップラーセンサ11を、ゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に電波ビームの放射面を略天頂方向に向けて配置すれば、地面に対し鉛直方向から所定の方向φ1に向けて局在的に指向性が高い高利得の電波ビームを放射することができる。
【0045】
図19に示すゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に相当する地面よりも下方の位置、且つゴルフクラブをスイングしたときゴルフボール固定手段42を基準としてヘッドが離遠する方向側に、電波ビームの放射面を天頂方向に向け、ドップラーセンサ11から放射される電波ビームの放射方向φ1とヘッド接近方向とが略同一となるよう、本発明のヘッドスピード計測装置51を設置すれば、ドップラーセンサ11にてヘッドの移動状態が検出できヘッドスピードを計測することができる。また、図16に示したヘッドスピード計測装置51に比べて地面と更に略平行にヘッドスピード計測装置51を配置できるため、天頂方向に余裕が無い狭スペースな場所に設置できる。また、ゴルフクラブをフルスイングしたときにヘッドが上昇していくスイング経路直下の水平面より下方に設置しているため、ドップラーセンサ11にヘッドが衝突し破損することを防止できる。
【0046】
また、図19(c)に示すスイング経路を軸として左右対称な位置に本発明のヘッドスピード計測装置51a、51bを並行して複数配置すれば、各ドップラーセンサ11a、11bから出力された検知信号の電圧値、周波数からヘッドの進入方向を推定することもできる。ドップラーセンサ11aから出力される検知信号の周波数をFa、ドップラーセンサ11bから出力される検知信号の周波数をFbとすると、例えば、ヘッドがヘッドスピード計測装置51a、51bの間からゴルフボール固定手段42に接近してきた場合はFa≒Fb、ヘッドがヘッドスピード計測装置51a側から偏ってゴルフボール固定手段42に接近してきた場合はFa>Fb、ヘッドがヘッドスピード計測装置51b側から偏ってゴルフボール固定手段42に接近してきた場合はFa<Fbとなり、進入方向を推定することができる。
【0047】
図20は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第5実施形態を示す、ドップラーセンサの変形例1を示す正面図である。
図18に示したドップラーセンサ11の無給電素子3bは、励振方向における1辺の長さが給電素子2と同じであったのに対し、図20に示す無給電素子3bは励振方向における1辺の長さが給電素子2よりも短い。このように無給電素子3bの形状が異なる場合でも、給電素子2と無給電素子3bの間隔を調整する(ここでは、間隔を広げる)ことで、無給電素子3bを反射器として作用させることができる。従って、図20に示したドップラーセンサ11は図18に示したドップラーセンサ11とほぼ同様の電波ビームの放射特性を得ることができる。
【0048】
図21は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第6実施形態を示す、ブロック図である。
図21に示すヘッドスピード計測装置51のドップラーセンサ11には、給電素子2から送信波が放射されることにより励起されて励振する複数の無給電素子3a、3bと、高周波信号を通過または遮断する複数のスイッチ8a、8bとを備え、速度算出制御手段21には電波ビームを複数の方向へ所定の順序、タイミングにて切り替えるための電波方向切替手段29を備えている。そして、複数の無給電素子3a、3bにスイッチ8a、8bを各々、接続し、所定のタイミングにてスイッチ8a、8bを切り替え、複数の無給電素子3a、bのうち、少なくとも1つは導波器として、それ以外は反射器として作用させることにより、電波ビームの放射面に対し、鉛直方向から複数の方向へ電波ビームを傾けて放射できる。
【0049】
図22は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第6実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。図23は、同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
図22に示すヘッドスピード計測装置51のドップラーセンサ11には、基板1aの片表面に高周波信号が直接、供給される給電素子2と、給電素子2にて励起される給電素子2と略同一形状の複数の無給電素子3a、3bが給電素子2の励振方向と直交する端辺と対向する位置に各々、所定の間隔を空けて形成され、各無給電素子3a、3bの励振方向と直交し、且つ給電素子2と隣接しない端辺の略中央部には薄膜の伝送線路6a、6bの片端が各々、接続されている。そして、伝送線路6a、6bの他端には、速度算出制御手段21に備えた図示しない電波方向切替手段29から制御線9a、9bに所定の電圧を印加することにより高周波信号を通過または遮断するスイッチ8a、8bの入力端が各々、独立して接続されている。スイッチ8a、8bの出力端は、基板1a内部の略全面に形成された高周波信号のグランドとして作用する接地電極4に導通孔7a〜7cを介し各々、接続されている。スイッチ8a、8bは、使用周波数において高周波信号を通過または遮断できる機能を保有していれば良く、ダイオードや電界効果トランジスタやバイポーラトランジスタ、トランジスタ等を複合し高機能化した高周波スイッチ(MMIC)、MEMSスイッチ等を使用できる。例えば、スイッチ8a、8bに電界効果トランジスタを用いた場合、各ドレイン端子を入力端とし所定の長さに設定された伝送線路6a、6bの片端に、各ソース端子を出力端として接地電極4に各々接続し、各ゲート端子を制御線9a、9bに接続する。そして、速度算出制御手段21に備えた図示しない電波方向切替手段29からリード線16を介し制御線9a、9bに一定の直流電圧を印加すれば、各スイッチ8a、8bの入力端から出力端へ高周波信号を通過または遮断し、スイッチ8a、8bが一方の状態のときは各無給電素子3a、3bを導波器として、スイッチ8a、8bが他方の状態のときは各無給電素子3a、3bを反射器として各々、独立して作用させることができる。従って、無給電素子3a、3bは給電素子と略同形状ではあるが、伝送線路の長さを所定の長さに設定しスイッチ8a、8bを適宜、切り替えることにより無給電素子3a、3bの何れか一方を導波器、他方を反射器として作用させることができ、基板1a面から放射される電波ビームを基板1a面に対し、鉛直方向から所定の方向φ1(図中、下方向)と、所定の方向φ2(図中、上方向)に切り替えて放射することができる。給電素子2の略中心部を基準とし傾いて放射される電波ビームの放射方向φ1におけるθ1とθ2は、図18に示したドップラーセンサの放射特性とほぼ同じとなり、放射方向φ2におけるθ1’とθ2’はθ1’=(−1)×θ1、θ2’=(−1)×θ2となる。本実施例では、導波器として作用させるときの無給電素子3a、3bの位相は90〜120degree、反射器として作用させるときの位相は0〜マイナス90degreeとしている。
ヘッドスピード計測装置51は、ドップラーセンサ11と電波方向切替手段29を備えた速度算出制御手段21とを一体化して備えているため、電源電圧および通信系以外の余計な配線(例えば、スイッチを切り替える配線)を外部に引き出す必要が無く取り扱いが容易となる。
【0050】
図23に示すゴルフボール固定手段42の近傍、且つスイング経路の直下に相当する地面よりも下方の位置、且つゴルフクラブをスイングしたときゴルフボール固定手段42を基準としてヘッドが離遠する方向側に、電波ビームの放射面を略天頂方向に向け、ドップラーセンサ11から放射される電波ビームの放射方向φ1とヘッド接近方向とが略同一となるよう、本発明のヘッドスピード計測装置51を設置すれば、ドップラーセンサ11にてヘッドの移動状態が検出できヘッドスピードを計測することができる。図19に示したヘッドスピード計測装置51の設置例と同様の効果が得られるとともに、ドップラーセンサ11に複数の検波器14を備えずとも、電波ビームの放射方向φ1と放射方向φ2における検知信号からヘッドの移動状態を検出することができるため、使用者がゴルフクラブをフルスイングしたことを確実に認識できる。
【0051】
図24は、図23の設置例においてゴルフクラブをスイング経路に沿ってスイングしたとき、ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図である。図25は、図23の設置例においてゴルフクラブをスイング経路に対し斜め方向から横切るようにスイングしたとき、ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図である。
ゴルフクラブをスイングしたときにヘッドがほぼ直線的に移動する距離dはゴルフボール固定手段近傍の10〜20cm程度である。例えば、ヘッドスピードが40m/Sだとすると、距離d間を2.5〜5.0ミリ秒の時間で通過することになる。従って、電波ビームを複数の方向へ切り替える場合、取得したい最大ヘッドスピードから通過時間を算出し、通過時間をスキャン方向数で割った時間をもとに、電波ビームの放射方向を切り替えるタイミング(電波ビームをある1方向に固定する時間)を決定することが望ましい。
この設定方法を図22に示したヘッドスピード計測装置51から放射される電波ビームの放射方向を切り替えるタイミングに適用すると、ゴルフクラブをスイング経路に沿ってスイングしたときは図24に示すような電波ビームの放射方向φ1と放射方向φ2において連続的な状態(図中、t(n)1、t(n)2)でドップラーセンサ11から検知信号が出力され、ゴルフクラブをスイング経路に対し斜め方向から横切るようにスイングしたときは図25に示すような電波ビームの放射方向φ1と放射方向φ2において断続的な状態(図中、t(n)1、t(n)2、t(n+1)1、t(n+1)2)でドップラーセンサ11から検知信号が出力される。従って、ヘッドスピードのほかにゴルフクラブをスイングしたときのヘッドの進入方向を推測することができる。
【0052】
図26は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第6実施形態を示す、ドップラーセンサの変形例1を示す(a)正面図および(b)C−C’断面図である。
図26に示すドップラーセンサ11は、図22で示したヘッドスピード計測装置51とはドップラーセンサ11に備えた複数のスイッチ8a、8bの配置が異なる。複数のスイッチ8a、8bは接地電極4と同一面に配置され、無給電素子3aは伝送線路6aおよび導通孔7aを介しスイッチ8aの入力端に、無給電素子3bは伝送線路6bおよび導通孔7bを介しスイッチ8bの入力端に各々、接続されている。スイッチ8a、8bを接地電極4と同一面に配置しても、図22に示したヘッドスピード計測装置51のドップラーセンサ11とほぼ同様の電波ビームの放射特性を得ることができる。発振器12や検波器14の省スペース化もしくは小型モジュール化を図り、スイッチ8a、8bを接地電極4と同一面に配置すれば、スイッチ8a、8bがアンテナ13形成面に立体的に突出することがなくアンテナ13形成面をフラットにできるため、製造時の取扱いが容易となり、スイッチの破損や静電気破壊を防止できる。
【0053】
本実施例のドップラーセンサ11は、基板1内部に接地電極4を形成した積層基板1の片方の表面にアンテナ13として作用する薄膜電極と、他方の表面に発振器12および検波器14を配置しているが、アンテナ13として作用する基板1と、発振器12および検波器14を配置する基板1とを別体にしても良い。そうすれば、アンテナ13の基板1を取り替えるだけで容易に検知範囲を変更することができる。
【0054】
図27は、本発明におけるヘッドスピード計測装置の第6実施形態を示す、ドップラーセンサの変形例2を示す正面図である。
図27に示すドップラーセンサ11は、給電素子2を中心として斜め方向に対称な位置に4つの無給電素子3a〜3dを配置している。そして、各無給電素子3a〜3dの励振方向と直交し、且つ給電素子2よりも遠い側の端辺の略中央部近傍にスイッチ8a〜8dの入力端が直接、接続され、各無給電素子3a〜3dの端辺の一部はスイッチ8a〜8dの制御端子と接触しないよう切り欠かれている。図22で示したヘッドスピード計測装置51のドップラーセンサ11においては各無給電素子3a、3bに接続された伝送線路6a、6bの長さを調節し、スイッチ8a、8bの状態を適宜、切り替えたときに各無給電素子3a、3bが独立して導波器または反射器として作用する構造だったのに対し、図27に示すアンテナでは、伝送線路は使用せずに各無給電素子3a〜3dの形状を調整しスイッチ8a〜8dの状態を適宜、切り替えたときに各無給電素子3a〜3dが独立して導波器または反射器として作用する構造となっている。従って、複数の無給電素子3a〜3dの位相状態を切り替えるときに伝送線路6を必要としないためアンテナ13配置スペースを削減できドップラーセンサ11の小型化が図れる。また、適宜、スイッチ8a〜8dを選択することにより電波ビームの放射方向を多方向(図中φ1〜φ6)に切り替えることができるため、このドップラーセンサ11を備えたヘッドスピード計測装置51は、ヘッドスピードやヘッドの進入・離遠方向を詳細に計測することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は本発明の説明のための例示にすぎず、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第1実施形態を示す、ブロック図である。
【図2】同、(a)正面図および(b)側面図である。
【図3】同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
【図4】同、速度算出制御手段のタイミングチャートである。
【図5】(a)ヘッドの移動速度とドップラーセンサから出力される検知信号の状態、(b)人の歩行速度とドップラーセンサから出力される検知信号の状態、を示すグラフである。
【図6】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第2実施形態を示す、ブロック図である。
【図7】同、速度算出制御手段のタイミングチャート1である。
【図8】同、速度算出制御手段のタイミングチャート2である。
【図9】同、(a)ドップラーセンサの変形例を示すブロック図、(b)ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図である。
【図10】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第3実施形態を示す、ブロック図である。
【図11】同、(a)正面図および(b)側面図である。
【図12】同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
【図13】同、ドップラーセンサの変形例1を示す(a)正面図および(b)A−A’断面図である。
【図14】同、ドップラーセンサの変形例2を示す正面図である。
【図15】同、ドップラーセンサの変形例3を示す(a)正面図および(b)B−B’断面図である。
【図16】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第4実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。
【図17】同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
【図18】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第5実施形態を示す、(a)正面図および(b)側面図である。
【図19】同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図、(c)上面図である。
【図20】同、ドップラーセンサの変形例1を示す正面図である。
【図21】本発明におけるヘッドスピード計測装置の第6実施形態を示す、ブロック図である。
【図22】同、(a)正面図および(b)側面図である。
【図23】同、設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
【図24】同、ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図1である。
【図25】同、ドップラーセンサから出力される検知信号の模式図2である。
【図26】同、ドップラーセンサの変形例1を示す(a)正面図および(b)C−C’断面図である。
【図27】同、ドップラーセンサの変形例2を示す正面図である。
【図28】本発明におけるヘッドスピード計測装置を示す、(a)上面図および(b)側面図である。
【図29】背景技術記載のヘッドスピード計測装置の斜視図である。
【図30】ヘッドスピード計測装置の設置例を示す(a)正面図および(b)上面図である。
【符号の説明】
【0057】
1、1a、1b 基板
2、2a、2b、2c、2d 給電素子
3、3a、3b、3c、3d 無給電素子
4 接地電極
5 給電孔
6、6a、6b 伝送線路
7、7a、7b、7c、7d 導通孔
8、8a、8b、8c、8d スイッチ
9、9a、9b、9c、9d 制御線
11、11a、11b ドップラーセンサ
12 発振器
13 アンテナ
14、14a、14b 検波器
15 金属ケース
16 リード線
21 速度算出制御手段
22 信号増幅部
23 測定開始判定部
24 測定終了判定部
25 第1演算部
26 第2演算部
27 信号出力判定部
28 記憶手段
29 電波方向切替手段
31 速度報知手段
41 ゴルフボール
42 ゴルフボール固定手段
43 ゴルフクラブ
44 ヘッド
51 ヘッドスピード計測装置
52 樹脂ケース
53 電波方向表示部
61、61a、61b センサ素子
62 表示部
63 筐体
64 被検知箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信波を発生する発振器と、
前記送信波を前方に放射して、被検知体をスイングしたとき、前記送信波が前記被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記送信波と前記受信波の周波数の差分を抽出する検波器と、
を備え、前記被検知体の移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサにおいて、
前記アンテナは、誘電体からなる基板と、
該基板の一方の表面、または内部の略全面に形成され、グランドとして作用する接地電極と、
該接地電極と対向するよう前記基板の他方の表面に形成され前記送信波が直接、供給され励振する給電素子と、
該給電素子から前記送信波が放射されることにより励起されて励振する無給電素子と、
を備え、前記給電素子の端辺から所定の間隔を空けて前記無給電素子を配置し、前記給電素子に対し前記無給電素子の位相を変化させ、前記送信波の放射方向を前記基板面に対し鉛直方向から所定の方向へと傾けたことを特徴とするドップラーセンサ。
【請求項2】
前記無給電素子を導波器として作用させたことを特徴とする請求項1記載のドップラーセンサ。
【請求項3】
前記給電素子の励振方向に対して直交する前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように前記無給電素子を配置したことを特徴とする請求項1乃至2何れか1項記載のドップラーセンサ。
【請求項4】
前記給電素子の給電点から近い側の前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように前記無給電素子を配置したことを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載ドップラーセンサ。
【請求項5】
送信波を発生する発振器と、
前記送信波を前方に放射して、被検知体をスイングしたとき、前記送信波が前記被検知体に衝突し反射して戻ってきた反射波を受信波として受信するアンテナと、
前記送信波と前記受信波の周波数の差分を抽出する検波器と、
を備え、前記被検知体の移動状態を周波数に換算し、検知信号として外部に出力するドップラーセンサにおいて、
前記アンテナは、誘電体からなる基板と、
該基板の一方の表面、または内部の略全面に形成され、グランドとして作用する接地電極と、
該接地電極と対向するよう前記基板の他方の表面に形成され前記送信波が直接、供給され励振する給電素子と、
該給電素子から前記送信波が放射されることにより励起されて励振する複数の無給電素子と、
を備え、前記給電素子の端辺から所定の間隔を空けて、且つ前記給電素子を中心として対称となるように複数の前記無給電素子を各々配置し、前記給電素子に対し複数の前記無給電素子の各位相を変化させ、前記送信波の放射方向を前記基板面に対し鉛直方向から所定の方向へと傾けたことを特徴とするドップラーセンサ。
【請求項6】
複数の前記無給電素子のうち、少なくとも1つは導波器として、それ以外は反射器として作用させたことを特徴とする請求項5記載のドップラーセンサ。
【請求項7】
前記給電素子の励振方向に対して直交する前記給電素子の端辺と、前記無給電素子の端辺とが対向するように複数の前記無給電素子を各々、配置したことを特徴とする請求項5乃至6何れか1項記載のドップラーセンサ。
【請求項8】
前記給電素子の給電点から近い側の前記無給電素子は導波器、前記給電素子の給電点から遠い側の前記無給電素子は反射器として作用させたことを特徴とする請求項5乃至7何れか1項記載のドップラーセンサ。
【請求項9】
複数の前記無給電素子に高周波信号を通過または遮断する複数のスイッチを各々、接続し、所定のタイミングにて複数の前記スイッチを切り替えたとき、複数の前記無給電素子のうち、少なくとも1つは導波器として、それ以外は反射器として作用させたことを特徴とする請求項5乃至8何れか1項記載のドップラーセンサ。
【請求項10】
前記検知信号を分離しその位相関係により接近または離遠を識別するための複数の検波器を備えたことを特徴とする請求項1乃至9何れか1項記載のドップラーセンサ。
【請求項11】
請求項1乃至10何れか1項記載のドップラーセンサと、
前記検知信号の周波数に基づいてヘッドスピードを算出する速度算出制御手段とを備え、ゴルフクラブをスイングしたときヘッドの移動状態からヘッドスピードを計測することを特徴とするヘッドスピード計測装置。
【請求項12】
前記速度算出制御手段は、複数の前記スイッチを所定の順序、タイミングにて切り替える電波方向切替手段を備えたことを特徴とする請求項11記載のヘッドスピード計測装置。
【請求項13】
前記速度算出制御手段は、前記検知信号の周波数に基づいて半周期毎の時間を抽出し最短時間を算出する第1演算部と、該第1演算部の演算結果に基づいて最高速度を算出する第2演算部とを備えたことを特徴とする請求項11乃至12何れか1項記載のヘッドスピード計測装置。
【請求項14】
使用者にヘッドスピードを知らせる速度報知手段を備え、前記第2演算部にて算出された最高速度が所定値より速いとき、前記速度報知手段にてヘッドスピードを報知することを特徴とする請求項11乃至13何れか1項記載のヘッドスピード計測装置。
【請求項15】
ゴルフボールを所定の位置に固定するための固定面を片端に備え、水平面(地面)に設置されたゴルフボール固定手段に向かい前記ゴルフクラブをスイングしたとき、前記ゴルフクラブ先端のヘッドが移動する経路をスイング経路、前記ヘッドが前記ゴルフボール固定手段に向かい接近する方向をヘッド接近方向とすると、
前記ドップラーセンサから放射される電波ビームの放射方向の少なくとも1つが前記ドップラーセンサの電波ビームを放射する放射面に対し鉛直方向から所定方向に傾く前記ドップラーセンサを、前記放射面を略天頂方向に向けて前記ゴルフボール固定手段の近傍に設置したとき、前記所定方向と、前記ヘッド接近方向とが略同一であることを特徴とする請求項11乃至14何れか1項記載のヘッドスピード計測装置。
【請求項16】
前記スイング経路の直下に相当する前記水平面よりも下方側に、前記ドップラーセンサを設置したことを特徴とする請求項11乃至15何れか1項記載のヘッドスピード計測装置。
【請求項17】
前記ゴルフクラブをスイングしたとき前記ゴルフボール固定手段を基準として前記ヘッドが離遠する方向側に、前記ドップラーセンサを設置したことを特徴とする請求項11乃至16何れか1項記載のヘッドスピード計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2009−109194(P2009−109194A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−278348(P2007−278348)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】