説明

ドラム駆動ユニットおよびそのユニットを有するタンデム型画像形成装置

【課題】振動を低減して、画像形成装置で得られる画像の質を向上させることができるドラム駆動ユニットを提供する。
【解決手段】このドラム駆動ユニット3は、筐体10と、この筐体10に備えられたドラム駆動用モータ13と、ギヤ機構20とを有する。ギヤ機構20は、筐体10に備えられ、隣接して配置される一の筐体10から与えられる駆動力を受け入れるための第1および第2入力ギヤ25,30と、第1および第2入力ギヤ25,30から受け入れられた駆動力を隣接して配置される他の筐体10へと伝達するための第1および第2伝達ギヤ26,29と、第1および第2入力ギヤ25,30から受け入れられた駆動力を、それぞれ、現像装置46およびクリーニングユニット47の駆動力として出力するための現像装置駆動シャフト33およびクリーニングユニット駆動シャフト32とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フルカラーの画像形成装置など、複数の感光体ドラムを備えたタンデム型画像形成装置、およびその感光体ドラムを駆動するドラム駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラーの画像形成装置では、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像が用紙に転写されてフルカラーの画像が形成される。各色のトナー像は、それぞれ専用の感光体ドラムの周面に形成された静電潜像に、所定の色のトナーが転写されて得られる。各色用の感光体ドラムは、対応する専用のモータを備えたドラム駆動ユニットにより、回転駆動される。
【0003】
図6は、従来のフルカラーの画像形成装置に備えられたドラム駆動ユニットの構造を示す斜視図である。
この駆動ユニット51は、平板状のベース52と、ベース52上に一列に取り付けられた4つのモータ53,54,55,56とを備えている。これらのモータ53,54,55,56は、同様の構造を有しており、それぞれ、駆動シャフト60を有している。
【0004】
駆動ユニット51は、たとえば、画像形成装置の本体フレーム(たとえば、側板)に取り付けられており、各駆動シャフト60が、それぞれ図示しない感光体ドラムに結合される。これにより、モータ53,54,55,56の駆動力が、対応する感光体ドラムに伝えられて、各感光体ドラムが回転する。
【特許文献1】特開2002−40738号公報
【特許文献2】特開平9−230662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように共通のベース52の上に4つのモータ53,54,55,56が取り付けられて、全体が1つのユニットとして構成されていると、個々のモータ53,54,55,56の振動が画像形成装置本体に容易に伝わり、形成される画像が劣化するという問題があった。
また、画像形成装置の感光体ドラムは位置決め部を有しており、この位置決め部により本体フレームに対して位置決めされており、駆動ユニット51は、たとえば、左右2箇所でピンにより、画像形成装置の本体フレームに位置決めされて固定される。このため、感光体ドラムに対する駆動シャフト60の位置精度は、本体フレームに対する感光体ドラム(ドラムユニット)の位置精度(位置決め部材の寸法公差等)と、本体フレームに対する駆動ユニット51の位置精度とが累積されたものとなる。
【0006】
しかも、4つのモータ53,54,55,56の画像形成装置本体に対する位置は、同時に決まってしまうので、駆動ユニット51における各モータ53,54,55,56の位置精度も、感光体ドラムに対する駆動シャフト60の位置精度に累積される。
このため、位置精度が悪いと、駆動ユニット51による感光体ドラムの駆動ムラや騒音が発生することがあった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、振動を低減して、得られる画像の質を向上させることができる画像形成装置、およびそれに用いるドラム駆動ユニットを提供することである。
この発明の他の目的は、感光体ドラムのドラム駆動ユニットに対する位置精度が向上された画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、筐体と、この筐体に備えられたドラム駆動用モータと、上記筐体に備えられ、隣接して配置される一の筐体から与えられる駆動力を受け入れるための入力ギヤ、この入力ギヤから受け入れられた駆動力を隣接して配置される他の筐体へと伝達するための伝達ギヤ、および上記入力ギヤから受け入れられた駆動力を、上記ドラム駆動用モータの駆動力とは別に、予め定める装置用の駆動力として出力するための出力手段を含むギヤ機構と、を有することを特徴とするドラム駆動ユニットである。
【0009】
この発明によれば、1つの筐体につき1つのモータが備えられている。すなわち、各モータは共通のベースに直接取り付けられているのではない。したがって、このようなドラム駆動ユニットを、画像形成装置の本体フレームに固定することにより、各ドラム駆動ユニットのモータから、画像形成装置本体に伝わる振動を低減することができ、得られる画像の質を向上させることができる。
【0010】
画像形成装置において、複数のドラム駆動ユニットを、第1のドラム駆動ユニットの筐体に備えられた伝達ギヤと、第2のドラム駆動ユニットの筐体に備えられた入力ギヤとが噛み合うように、隣接配置して使用することができる。これにより、第1のドラム駆動ユニット(筐体)の伝達ギヤから、隣接して配置される第2のドラム駆動ユニット(筐体)の入力ギヤに、駆動力を伝達することができ、この駆動力は、各筐体に備えられた出力手段を介して、予め定める装置用の駆動力として出力することができる。
【0011】
第1のドラム駆動ユニットの入力ギヤには、第1および第2のドラム駆動ユニットの筐体の外部に配置された共通の駆動源からの駆動力が入力されるように構成されてもよい。この場合、当該共通の駆動源からの駆動力を、各筐体に備えられた出力手段から出力し、予め定める装置を駆動させることができる。すなわち、1つの駆動源で、複数のドラム駆動ユニットのそれぞれに対応付けられた予め定める装置を駆動することができる。
【0012】
同様にして、3つ以上のドラム駆動ユニットを隣接配置して、共通の駆動源からの駆動力を、各ドラム駆動ユニットの筐体に備えられた出力手段から出力し、各ドラム駆動ユニットに対応付けられた予め定める装置を駆動することができる。
請求項2記載のように、上記ギヤ機構は、2つ備えられていてもよく、この場合、一方は、上記出力手段がクリーニングローラ用の駆動力を出力するものであってもよく、他方は、上記出力手段が現像ローラ用の駆動力を出力するものであってもよい。
【0013】
すなわち、各ドラム駆動ユニットの出力手段により、感光体ドラムの周面をクリーニングするクリーニングユニットに備えられたクリーニングローラや、感光体ドラムの周面に各色のトナーを供給する現像ユニットに備えられた現像ローラを駆動することができる。
上記筐体は、請求項3記載のように、樹脂で形成されていてもよい。樹脂で形成された筐体により、ドラム駆動用モータで生じた振動を、たとえば、筐体が金属で形成されている場合と比べて、より多く吸収し、画像形成装置本体に伝わる振動を大幅に低減することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のドラム駆動ユニットが4つ並列に配置されたドラム駆動源を具備することを特徴とするタンデム型画像形成装置である。
この発明により、請求項1ないし3に記載の発明と同様の効果を奏することができる。
請求項5記載の発明は、請求項2記載のドラム駆動ユニットが4つ並列に配置されたドラム駆動源を具備し、上記一方の出力手段が、ユニバーサルジョイントを介して上記クリーニングユニットに結合されており、上記他方の出力手段が、ユニバーサルジョイントを介して上記現像ローラに結合されていることを特徴とするタンデム型画像形成装置である。
【0015】
この発明によれば、ドラム駆動ユニットの一方および他方の出力手段は、ユニバーサルジョイントを介して、それぞれクリーニングローラおよび現像ローラに結合されている。これにより、感光体ドラムの駆動が、クリーニングローラの駆動や現像ローラの駆動による外乱により影響されにくくなっており、感光体ドラムの回転ムラが抑えられる。
請求項6記載の発明は、上記ドラム駆動用モータが、感光体ドラムを回転駆動するドラム駆動用シャフトを備え、上記ドラム駆動ユニットが、上記ドラム駆動用シャフトが内部を挿通された筒部材をさらに有し、上記ドラム駆動ユニットは、上記筒部材により当該画像形成装置の本体フレームに対して位置決めされており、上記感光体ドラムは、上記ドラム駆動用シャフトに対して位置決めされていることを特徴とする請求項4または5記載のタンデム型画像形成装置である。
【0016】
この発明によれば、ドラム駆動ユニットは、内部をドラム駆動用シャフトが挿通された筒部材により、本体フレームに対して位置決めされている。これにより、本体フレームに対するドラム駆動用シャフトの位置精度が高くされている。
さらに、感光体ドラムは、画像形成装置本体ではなく、ドラム駆動ユニットのドラム駆動用シャフトに対して直接位置決めされている。したがって、この画像形成装置は、感光体ドラムのドラム駆動ユニットに対する位置精度が向上されている。
【0017】
これにより、感光体ドラムは、筒部材の内部に配置されたドラム駆動用シャフトに対して、各ドラム駆動ユニットごとに個別に、高い精度で位置合わせされる。このため、駆動ムラを低減し、感光体ドラムを、安定して、かつ騒音を低減して駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す斜視図である。
この画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を用紙に転写してフルカラーの画像を形成することができる。画像を形成するときは、予め一様に帯電された4本の感光体ドラム(図示せず)の周面に静電潜像が形成され、感光体ドラムの周面に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナーが供給されることにより、静電潜像が各色のトナー像に現像される。そして、これらのトナー像が用紙に順次転写されて、フルカラーの画像が形成される。
【0019】
この画像形成装置1は、本体フレームとしての本体側板2Aと、本体側板2Aにほぼ平行に取り付けられた高圧基板2Bと、4本の感光体ドラムを駆動するためのドラム駆動源9とを備えている。ドラム駆動源9は、水平方向に沿って本体側板2Aに順に取り付けられた4つのドラム駆動ユニット3,4,5,6を含む。すなわち、画像形成装置1は、並列に配置された4つのドラム駆動ユニット3,4,5,6を具備するタンデム型画像形成装置である。各ドラム駆動ユニット3,4,5,6は、それぞれ、筐体10を備えて、独立したユニットとして構成されている。
【0020】
また、各ドラム駆動ユニット3,4,5,6は、ドラム駆動用モータ13,14,15,16を有している。各色のトナー像を形成するための感光体ドラムは、本体側板2Aに対してドラム駆動ユニット3,4,5,6と反対側に配置されている。これらの感光体ドラムは、それぞれ、ドラム駆動ユニット3,4,5,6のドラム駆動用モータ13,14,15,16により、その軸まわりに回転駆動される。
【0021】
また、ドラム駆動ユニット3に対してドラム駆動ユニット4と反対側には、ドラム駆動ユニット3隣接して、現像用モータ7が設けられている。さらに、ドラム駆動ユニット6に対してドラム駆動ユニット5と反対側で、かつドラム駆動ユニット3,4,5,6より低い位置には、クリーニング用モータ8が設けられている。現像用モータ7およびクリーニング用モータ8は、それぞれ、専用の取り付け板7P,8Pを介して、本体側板2Aに取り付けられている。
【0022】
ドラム駆動ユニット3,4,5は、同様の構造を有している。以下、ドラム駆動ユニット3で代表して、その構造を説明する。
図2Aおよび図2Bは、ドラム駆動ユニット3の構造を示す斜視図であり、図2Cおよび図2Dは、筐体10の構造を示す斜視図である。また、図2Eは、ドラム駆動ユニット3に備えられたドラム駆動用モータ13の斜視図である。
【0023】
筐体10は、矩形で平板状の取り付けベース部11と、取り付けベース部11の周囲から立設され、4枚の板状部を含む側壁部12とを有している。筐体10は、樹脂からなり、取り付けベース部11と側壁部12とは、一体に形成されている。
ドラム駆動用モータ13は、感光体ドラムに結合されて当該感光体ドラムを回転駆動するドラム駆動シャフト17を有している。ドラム駆動シャフト17は、ドラム駆動シャフト17とほぼ同軸のボス(円筒部材)18の内部を挿通されている。ドラム駆動用モータ13は、取り付けベース部11の一方表面に取り付けられており、ドラム駆動シャフト17およびボス18は、取り付けベース部11の他方表面側に突出している。
【0024】
ドラム駆動シャフト17には、モータ本体側から先端側に向かって、枠体によりリング状に形成された2つのベアリング17B1,17B2および駆動力伝達部材17Tが、順に嵌められている(図2E参照)。ドラム駆動シャフト17は、ベアリング17B1,17B2を介してボス18に回転可能に嵌められている。駆動力伝達部材17Tは、ドラム駆動シャフト17の先端側に突出した凸条17Pを有している。
【0025】
ドラム駆動ユニット3は、さらに、ギヤ機構20を備えている。ギヤ機構20は、第1ギヤ列21と第2ギヤ列22とを含んでいる。第1ギヤ列21および第2ギヤ列22は、取り付けベース部11の上記他方表面側(ドラム駆動シャフト17側)に設けられており、第1ギヤ列21は、第2ギヤ列22より取り付けベース部11に近い側に配置されている。
【0026】
第1ギヤ列21は、第1入力ギヤ25と、第1入力ギヤ25に噛み合った第1伝達ギヤ26と、第1入力ギヤ25に噛み合った駆動ギヤ37とを備えている。駆動ギヤ37には、その中心軸に沿うように、現像装置を駆動するための現像装置駆動シャフト33が取り付けられている。現像装置駆動シャフト33は、駆動ギヤ37と一体に回転する。
第2ギヤ列22は、中間伝達ギヤ27と、中間伝達ギヤ27に噛み合った中間伝達ギヤ28と、中間伝達ギヤ28に噛み合った第2伝達ギヤ29とを備えている。第2伝達ギヤ29は、現像装置駆動シャフト33の回りに回転自在に取り付けられている。第2ギヤ列22は、さらに、中間伝達ギヤ27に噛み合った第2入力ギヤ30、および第2入力ギヤ30に噛み合った駆動ギヤ31を備えている。
【0027】
したがって、第2入力ギヤ30に入力された回転駆動力は、中間伝達ギヤ27,28を介して、第2伝達ギヤ29に伝えられる。
駆動ギヤ31には、その中心軸に沿うように、クリーニングユニットを駆動するクリーニングユニット駆動シャフト32が取り付けられている。クリーニングユニット駆動シャフト32は、駆動ギヤ31と一体に回転する。
【0028】
現像装置駆動シャフト33およびクリーニングユニット駆動シャフト32は、筐体10の取り付けベース部11に対して、ドラム駆動シャフト17と同じ方向に突出している。また、取り付けベース部11の一対の対角部からは、ドラム駆動ユニット3を本体側板2Aに締結するビスを挿通するためのビスガイド35,36が突出している。
第1伝達ギヤ26と中間伝達ギヤ27とは、共通の支軸34の回りに、互いに独立に回転可能に取り付けられている。第1伝達ギヤ26および中間伝達ギヤ27は、ほぼ同じ半径を有しており、それらの周縁部が、側壁部12の同じ板状部からわずかに突出している。この板状部からは、第2入力ギヤ30の周縁部も、わずかに突出している。
【0029】
第1入力ギヤ25および第2伝達ギヤ29は、それらの周縁部が、側壁部12の板状部(第1伝達ギヤ26および中間伝達ギヤ27が突出している板状部に対向する板状部)からわずかに突出している。
図3は、画像形成装置1の本体側板2A付近を示す平面図である。図3では、筐体10、ボス18およびビスガイド35,36は、図示を省略している。
【0030】
各ドラム駆動ユニット3,4,5,6は、ビスガイド35,36を挿通されたビスにより、本体側板2Aに固定されている。これにより、各ドラム駆動ユニット3,4,5,6の筐体10と本体側板2Aとは、所定間隔が保たれている。この状態で、第1ギヤ列21および第2ギヤ列22は、筐体10の取り付けベース部11と本体側板2Aとの間にあり、ドラム駆動シャフト17、クリーニングユニット駆動シャフト32、および現像装置駆動シャフト33の先端は、本体側板2Aに対してドラム駆動ユニット3,4,5,6と反対側に突出している。
【0031】
ドラム駆動シャフト17の先端には、感光体ドラム45が結合されており、感光体ドラム45の側方には、感光体ドラム45の周面に形成された静電潜像をトナー像に現像するための現像装置46、および感光体ドラム45の周面をクリーニングするクリーニングユニット47が配置されている(図3では、ドラム駆動ユニット4,5,6に対応する感光体ドラム45、現像装置46およびクリーニングユニット47は、図示を省略している。)。
【0032】
現像装置46およびクリーニングユニット47は、感光体ドラム45の長手方向沿って延びており、感光体ドラム45の周面に対向するように配置されている。
現像装置46には、感光体ドラム45の周面に各色のトナーを供給するための現像ローラ48が備えられている。現像装置駆動シャフト33の先端には、ユニバーサルジョイント33Uを介して、現像ローラ48が結合されており、現像装置駆動シャフト33が回転すると現像ローラ48が一体に回転される。
【0033】
クリーニングユニット47は、クリーニングローラ49を備えており、クリーニングユニット駆動シャフト32の先端には、ユニバーサルジョイント32Uを介してクリーニングローラ49が結合されており、クリーニングユニット駆動シャフト32が回転するとクリーニングローラ49が一体に回転される。
クリーニングユニット駆動シャフト32および現像装置駆動シャフト33が、ユニバーサルジョイント32U,33Uを介して、それぞれクリーニングローラ49および現像ローラ48に結合されることにより、感光体ドラム45の駆動が、クリーニングローラ49の駆動や現像ローラ48の駆動による外乱により影響されにくくなり、感光体ドラム45の回転ムラが抑えられる。
【0034】
ドラム駆動ユニット3の第1入力ギヤ25には、複数のギヤ38を介して、現像用モータ7の回転駆動力が入力されるようになっている。
ドラム駆動ユニット3の第1伝達ギヤ26とドラム駆動ユニット4の第1入力ギヤ25とは噛み合っており、ドラム駆動ユニット3の第2入力ギヤ30とドラム駆動ユニット4の第2伝達ギヤ29とは噛み合っている。
【0035】
ドラム駆動ユニット4の第1伝達ギヤ26とドラム駆動ユニット5の第1入力ギヤ25とは噛み合っており、ドラム駆動ユニット4の第2入力ギヤ30とドラム駆動ユニット5の第2伝達ギヤ29とは噛み合っている。
ドラム駆動ユニット6は、ドラム駆動ユニット3,4,5とほぼ同じ構造を有するが、第1入力ギヤ25は設けられていない。このため、隣接するドラム駆動ユニット5の第1伝達ギヤ26からは、ドラム駆動ユニット6へ回転駆動力が入力されない。一方、ドラム駆動ユニット6の中間伝達ギヤ27には、複数のギヤ40を介して、クリーニング用モータ8からの回転駆動力が伝えられるようになっている。また、ドラム駆動ユニット6には、中間伝達ギヤ28の回転駆動力を駆動ギヤ37に伝える中間伝達ギヤ39が設けられている。
【0036】
図2A、図2Bおよび図3を参照して、現像用モータ7から複数のギヤ38を介して、ドラム駆動ユニット3の第1入力ギヤ25に受け入れられた回転駆動力は、第1伝達ギヤ26により、隣接して配置されるドラム駆動ユニット4の筐体10に備えられた第1入力ギヤ25へと伝達される。この回転駆動力は、さらに、ドラム駆動ユニット4の第1伝達ギヤ26により、隣接して配置されるドラム駆動ユニット5の筐体10に備えられた第1入力ギヤ25へと伝達される。
【0037】
各ドラム駆動ユニット3,4,5において、第1入力ギヤ25に伝えられた回転駆動力は、駆動ギヤ37を介して現像装置駆動シャフト33に伝えられる。この回転駆動力により、現像装置駆動シャフト33に結合された現像装置46(現像ローラ48)が駆動される。すなわち、現像用モータ7により、ドラム駆動ユニット3,4,5によってそれぞれ駆動される感光体ドラム45のための現像装置46が同時に駆動される。
【0038】
一方、クリーニング用モータ8から複数のギヤ40を介して、ドラム駆動ユニット6の中間伝達ギヤ27に受け入れられた回転駆動力は、第2伝達ギヤ29により、隣接して配置されるドラム駆動ユニット5の筐体10に備えられた第2入力ギヤ30へと伝達される。この回転駆動力は、さらに、ドラム駆動ユニット5の第2伝達ギヤ29により、隣接して配置されるドラム駆動ユニット4の筐体10に備えられた第2入力ギヤ30へと伝達される。この回転駆動力は、さらに、ドラム駆動ユニット4の第2伝達ギヤ29により、隣接して配置されるドラム駆動ユニット3の筐体10に備えられた第2入力ギヤ30へと伝達される。
【0039】
各ドラム駆動ユニット6,5,4,3において、中間伝達ギヤ27に伝えられた回転駆動力は、第2入力ギヤ30および駆動ギヤ31を介して、クリーニングユニット駆動シャフト32に伝えられる。この回転駆動力により、クリーニングユニット駆動シャフト32に結合されたクリーニングユニット47(クリーニングローラ49)が駆動される。
さらに、ドラム駆動ユニット6においては、中間伝達ギヤ27に伝えられた回転駆動力は、中間伝達ギヤ39および駆動ギヤ37を介して、現像装置駆動シャフト33に伝えられる。この回転駆動力により、現像装置駆動シャフト33に結合された現像装置46(現像ローラ48)が駆動される。
【0040】
すなわち、クリーニング用モータ8により、ドラム駆動ユニット6,5,4,3によってそれぞれ駆動される感光体ドラム45のためのクリーニングユニット47が同時に駆動されるとともに、ドラム駆動ユニット6によって駆動される感光体ドラム45のため現像装置46が同時に駆動される。これにより、ドラム駆動ユニット3,4,5,6にそれぞれ対応する現像装置46のうち、ドラム駆動ユニット6に対応する現像装置46を単独で駆動することができる。
【0041】
これらのドラム駆動ユニット3,4,5,6において、1つの筐体10につき1つのドラム駆動用モータ13,14,15,16が備えられている。すなわち、各ドラム駆動用モータ13,14,15,16は共通のベースに直接取り付けられているのではない。したがって、各ドラム駆動ユニット3,4,5,6のドラム駆動用モータ13,14,15,16から、画像形成装置1本体に伝わる振動を低減することができ、得られる画像の質を向上させることができる
また、筐体10が樹脂で形成されていることにより、ドラム駆動用モータ13,14,15,16で生じた振動を、たとえば、筐体10が金属で形成されている場合と比べて、より多く吸収し、画像形成装置1本体に伝わる振動を大幅に低減することができる。
【0042】
図4は、画像形成装置1の本体側板2Aおよびドラム駆動ユニット3を拡大して示す平面図である。本体側板2Aには、ボス18の外径にほぼ等しい内径を有する穴2Hが形成されており、ビスによりドラム駆動ユニット3が本体側板2Aに取り付けられた状態で、ボス18の先端は本体側板2Aの穴2Hに嵌め合わされている。これにより、ドラム駆動ユニット3は、本体側板2Aに対して位置決めされており、ドラム駆動シャフト17の本体側板2Aに対する位置精度が高くされている。
【0043】
クリーニングユニット駆動シャフト32の先端には、クリーニングローラ49の端部とともにユニバーサルジョイント32Uを構成するジョイント部材32Aが設けられている。ジョイント部材32Aは、クリーニングユニット駆動シャフト32と同軸の円板部材32Dと、円板部材32Dに設けられクリーニングローラ49の端部と係合する係合突起32Pとを含む。
【0044】
同様に、現像装置駆動シャフト33の先端には、現像ローラ48の端部とともにユニバーサルジョイント33Uを構成するジョイント部材33Aが設けられている。ジョイント部材33Aは、現像装置駆動シャフト33と同軸の円板部材33Dと、円板部材33Dに設けられ現像ローラ48の端部と係合する係合突起33Pとを含む。
図5Aは、感光体ドラム45およびクリーニングユニット47の構造を示す斜視図である。
【0045】
感光体ドラム45およびクリーニングユニット47は、1つのユニット(ドラムユニット)50として構成されており、現像装置46(図3参照)は、このドラムユニット50に対して取り付けられるようになっている。
ドラムユニット50は、感光体ドラム45に沿う長手形状を有しており、ドラム駆動ユニット3に結合される一方の端部において、感光体ドラム45と同軸の2つの円筒部材41B,45Bが突出している。円筒部材45Bは、円筒部材41Bの内側に配置されている。円筒部材45Bには、その軸方向に沿う2つのスリット45Sが形成されている。
【0046】
図5Bは、ドラムユニット50およびドラム駆動ユニット3の断面図であり、感光体ドラム45やドラム駆動シャフト17の軸方向に沿う断面を示している。
ドラムユニット50は、感光体ドラム45およびクリーニングローラ49(図5Bでは図示を省略)を収容するユニット枠体61を備えている。ユニット枠体61は、感光体ドラム45の長手方向に沿う長手形状を有するが、図5Bでは、長手方向に直交する壁部のみを示す。
【0047】
円筒部材41Bは、ユニット枠体61において、ドラム駆動ユニット3に係合される一方端(図5Bにおいて右側)の壁部に設けられており、ユニット枠体61と一体に形成されている。円筒部材41Bは、ユニット枠体61の外側(ドラム駆動ユニット3側)に突出している。ユニット枠体61には、円筒部材41Bの内壁と連続した内壁を有する穴が形成されている。
【0048】
感光体ドラム45の一端には、軸受け部材65Aが設けられている。感光体ドラム45は円筒形状を有しており、軸受け部材65Aは当該一端側で感光体ドラム45内に嵌められており、感光体ドラム45と一体に回転する。
円筒部材45Bは、軸受け部材65Aと一体に形成されており、感光体ドラム45の当該一端側に突出している。軸受け部材65Aには、感光体ドラム45と同軸で、円筒部材45Bの内壁を含む連続した壁面を有する円形のセンター穴45Aが形成されている。円筒部材45Bの周囲には、感光体ドラム45の軸方向に延びる2つの係合片(図示せず)が設けられている。
【0049】
円筒部材45Bの外径は、円筒部材41Bの内径よりわずかに小さい。円筒部材45Bは、円筒部材41Bに挿入されており、ユニット枠体61に対して完全に位置決めされない状態で取り付けられている。
また、感光体ドラム45の他方端(図5Bにおいて左側)には、軸受け部材65Bが設けられている。軸受け部材65Bは、感光体ドラム45内に嵌められている。軸受け部材65Bには、感光体ドラム45と同軸で、円形のセンター穴45Cが形成されている。センター穴45Cには、センター穴45Cの径とほぼ同じ外径を有する位置決めピン62の一端が挿入されており、位置決めピン62の他端は、ユニット枠体61に位置決めされて、ビスなどの締結手段で固定されている。軸受け部材65B(感光体ドラム45)は、位置決めピン62により回転可能に支持されている。
【0050】
ドラム駆動ユニット3において、ベアリング17B1,17B2(ベアリング17B1(図2E参照)は、図5Bでは、図示を省略している。)は、ドラム駆動シャフト17に回転自在に嵌められている。ベアリング17B1,17B2の外径は、ボス18の対応部における内径にほぼ等しく、ベアリング17B1,17B2はボス18に内接して支持されている。また、ベアリング17B1,17B2は、ドラム駆動シャフト17の長手方向の位置が固定されている。
【0051】
一方、駆動力伝達部材17Tは、ドラム駆動シャフト17と一体に回転するが、ドラム駆動シャフト17の長手方向に関しては、自由に移動することができる。ベアリング17B2と駆動力伝達部材17Tとの間には、バネ17Cが介在しており、駆動力伝達部材17Tをベアリング17B2から離れる方向に付勢できるようになっている。
ユニット枠体61の円筒部材41Bの外径は、駆動ユニット3のボス18の内径にほぼ等しい。ドラムユニット50を、ドラム駆動ユニット3と結合して、画像形成装置本体に装着する際、円筒部材41Bは、本体側板2Aから突出したボス18の内側に嵌められて、ドラム駆動ユニット3に対して位置決めされる。
【0052】
このとき、ドラム駆動ユニット3のドラム駆動シャフト17がセンター穴45Aに挿入されて、ドラム駆動シャフト17と円筒部材45B(感光体ドラム45)とが同軸に位置決めされる。また、ドラム駆動シャフト17に嵌められた駆動力伝達部材17Tの凸条17Pは、円筒部材41Aのスリット45S(図5A参照)に嵌り、ドラム駆動シャフト17からの回転駆動力が円筒部材41Aを介して感光体ドラム45に伝えられるようになる。
【0053】
上記の構成により、感光体ドラム45は、本体側板2Aに対して位置決めされるのではなく、ドラム駆動ユニット3のドラム駆動シャフト17に対して同軸に位置決めされている。このため、この画像形成装置1は、感光体ドラム45のドラム駆動ユニット3に対する位置精度が向上されている。これにより、感光体ドラム45を安定して、かつ騒音を低減して駆動することができる。
【0054】
ドラム駆動ユニット4,5,6も、同様にして本体側板2Aに取り付けられ、対応するドラムユニット50(感光体ドラム45)は、ドラム駆動ユニット4,5,6のドラム駆動シャフト17に対して位置合わせされる。これにより、位置精度を高くし、各感光体ドラム45を安定して、かつ騒音を低減して駆動することができる。
図5Cは、感光体ドラム45、クリーニングローラ49および現像ローラ48の軸に垂直な断面図である。
【0055】
クリーニングローラ49は、その軸の両端部で、バネ63により、感光体ドラム45の中心軸方向に付勢されている。これにより、クリーニングローラ49の周面と感光体ドラム45の周面とは接触している。また、クリーニングローラ49は、感光体ドラム45の中心軸方向へ一定の距離以上移動しないように規制された状態で、ユニット枠体61(図5Aおよび図5B参照)に保持されている。
【0056】
現像ローラ48の両端部には、現像ローラ48より径の大きな円板状のスペースコロ(図示せず)が、感光体ドラム45と同軸に取り付けられている。現像ローラ48の軸には、付勢機構が設けられており、現像装置46がドラムユニット50に取り付けられた状態では、現像ローラ48は、感光体ドラム45の中心軸方向に付勢されて、スペースコロの外周面と感光体ドラム45の周面とが接触するようになっている。
【0057】
このような構成により、ドラム駆動ユニット3に対するクリーニングローラ49および現像ローラ48の位置精度も向上され、感光体ドラム45を安定して、かつ騒音を低減して駆動することができる。
以上は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、ドラム駆動ユニット6も、ドラム駆動ユニット3,4,5と同様に、第1入力ギヤ25を有し、かつ、中間伝達ギヤ39を有していなくてもよい。この場合、ドラム駆動ユニット5の第1伝達ギヤ26とドラム駆動ユニット6の第1入力ギヤ25とが噛み合わせられていると、現像用モータ7からの回転駆動力は、すべてのドラム駆動ユニット3,4,5,6の現像装置駆動シャフト33に伝えられる。このため、ドラム駆動ユニット6の現像装置駆動シャフト33だけを単独で駆動することはできないが、ドラム駆動ユニット3,4,5とドラム駆動ユニット6とを作り分ける必要がないため、量産性を高くし、コストダウンを図ることができる。
【0058】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構造を示す斜視図である。
【図2A】ドラム駆動ユニットの構造を示す斜視図である。
【図2B】ドラム駆動ユニットの構造を示す斜視図である。
【図2C】筐体の構造を示す斜視図である。
【図2D】筐体の構造を示す斜視図である。
【図2E】ドラム駆動用モータの斜視図である。
【図3】画像形成装置の本体側板付近を示す平面図である。
【図4】画像形成装置の本体側板およびドラム駆動ユニットを拡大して示す平面図である。
【図5A】感光体ドラムおよびクリーニングユニットの構造を示す斜視図である。
【図5B】ドラムユニットおよびドラム駆動ユニットの断面図である。
【図5C】感光体ドラム、クリーニングローラおよび現像ローラの軸に垂直な断面図である。
【図6】従来のフルカラーの画像形成装置に備えられたドラム駆動ユニットの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 画像形成装置
3,4,5,6 ドラム駆動ユニット
9 ドラム駆動源
10 筐体
13,14,15,16 ドラム駆動用モータ
17 ドラム駆動シャフト
18 ボス(円筒部材)
20 ギヤ機構
25 第1入力ギヤ
26 第1伝達ギヤ
27 第2入力ギヤ
29 第2伝達ギヤ
32 クリーニングユニット駆動シャフト
32U,33U ユニバーサルジョイント
33 現像装置駆動シャフト
45 感光体ドラム
46 現像装置
47 クリーニングユニット
48 現像ローラ
49 クリーニングローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
この筐体に備えられたドラム駆動用モータと、
上記筐体に備えられ、隣接して配置される一の筐体から与えられる駆動力を受け入れるための入力ギヤ、この入力ギヤから受け入れられた駆動力を隣接して配置される他の筐体へと伝達するための伝達ギヤ、および上記入力ギヤから受け入れられた駆動力を、上記ドラム駆動用モータの駆動力とは別に、予め定める装置用の駆動力として出力するための出力手段を含むギヤ機構と、を有することを特徴とするドラム駆動ユニット。
【請求項2】
上記ギヤ機構は、2つ備えられ、
一方は、上記出力手段がクリーニングローラ用の駆動力を出力するものであり、
他方は、上記出力手段が現像ローラ用の駆動力を出力するものであることを特徴とする請求項1記載のドラム駆動ユニット。
【請求項3】
上記筐体は樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のドラム駆動ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のドラム駆動ユニットが4つ並列に配置されたドラム駆動源を具備することを特徴とするタンデム型画像形成装置。
【請求項5】
請求項2記載のドラム駆動ユニットが4つ並列に配置されたドラム駆動源を具備し、
上記一方の出力手段が、ユニバーサルジョイントを介して上記クリーニングローラに結合されており、
上記他方の出力手段が、ユニバーサルジョイントを介して上記現像ローラに結合されていることを特徴とするタンデム型画像形成装置。
【請求項6】
上記ドラム駆動用モータが、感光体ドラムを回転駆動するドラム駆動用シャフトを備え、
上記ドラム駆動ユニットが、上記ドラム駆動用シャフトが内部を挿通された筒部材をさらに有し、
上記ドラム駆動ユニットは、上記筒部材により当該画像形成装置の本体フレームに対して位置決めされており、
上記感光体ドラムは、上記ドラム駆動用シャフトに対して位置決めされていることを特徴とする請求項4または5記載のタンデム型画像形成装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−171411(P2006−171411A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364315(P2004−364315)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】