説明

ナノワイヤ及びナノワイヤを備える装置並びにその製造方法

【課題】新規なナノワイヤ構造を提供し、電子デバイスに応用する。
【解決方法】本発明のナノワイヤ101は、第1の材料から形成された結晶性半導体のナノワイヤ本体104と、前記半導体を構成する元素を一部に含む第2の材料から形成され、ナノワイヤ本体104の表面の少なくとも一部に位置する複数の微粒子103とを備え、ナノワイヤ本体104の表面が平滑である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤ本体の表面に微粒子が自己組織的に形成されたナノワイヤに関している。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(LSI)におけるトランジスタや、フラットパネルディスプレイにおける薄膜トランジスタ(TFT)を微細化するための研究開発が活発に進められている。シリコン半導体プロセスでは、フォトリソグラフィ工程における露光用光源の波長を短くすることにより、0.1μm以下の微細加工が実現されている。しかしながら、従来のリソグラフィー技術による微細化には限界があり、また微細化の進展に伴い、露光装置やマスク部材のコストが急増している。
【0003】
近年、カーボンナノチューブ(非特許文献1)や、半導体的性質を示す材料から形成されたナノワイヤ(特許文献1)が注目されている。カーボンナノチューブやナノワイヤは、直径が1nm〜1μm程度の微細構造体であり、自己組織的に形成することが可能である。このため、高度なフォトリソグラフィ技術やエッチング技術を用いなくても、ナノメーターサイズの高性能な電子デバイスを実現する可能性を有している。このような微細構造体は、複雑なプロセス技術を用いることなく、高性能デバイスを低コストで生産することを可能にする技術として期待されている。
【0004】
以下、図20を参照にしながら、従来のナノワイヤ構造を説明する。
【0005】
図20(a)は、ナノワイヤの模式構造図を示している。このナノワイヤの長さは、500nm〜1mm程度であり、応用目的に合わせて適宜設定することができる。
【0006】
図20(b)は、コア部202(内側)とシェル部203(外側)が異なる材料により構成されているナノワイヤ(以下、「コア・シェルナノワイヤ」と称する)201を示している(特許文献2)。
【0007】
図20(c)は、ナノワイヤの長さ方向に第1の半導体ナノワイヤ205と第2の半導体ナノワイヤ206とが配列されたナノワイヤ204(ヘテロナノワイヤ)を示している(特許文献2)。
【0008】
通常のエピタキシャル成長技術によるヘテロ成長技術では、欠陥や転移を低減するために、ヘテロ界面において格子定数を整合する必要があり、材料選択に制約があった。しかしながら、擬一次元構造を有するナノワイヤでは、格子定数不整合によるストレスを緩和できる可能性があるため、材料選択の自由度を向上させることができる。
【0009】
このように自己組織的に微細構造体や材料エンジニアリングを実現できるナノワイヤは、将来を期待されている。
【0010】
非特許文献2は、ボロンをシリコンナノワイヤにドープすることにより、ナノワイヤの外径が大きくなるとともに、その表面に凹凸と金リッチな微粒子(ナノ粒子)が生成されることを報告している。
【特許文献1】特表2004−535066明細書
【特許文献2】特表2004−532133明細書
【非特許文献1】R.Martel, et al., “Single−and multi−wall carbon nanotube field−effect transistors,” Appl. Phys. Lett. 73 pp.2447, 1998
【非特許文献2】L.Pan, et al., “Effect of diborane on the microstructure of boron−doped silicon nanowires” J. Cryst. Growth. 277 pp.428, 2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ナノワイヤは、種々の用途に用いることが期待され、活発に研究されているが、極めて微細な構造物であるため、ナノワイヤの表面に対して更に微細加工などの処理を施して機能性を高めることは、極めて困難である。
【0012】
非特許文献1は、ナノワイヤの成長時に不純物をドープすると、ナノワイヤの表面に不規則な凹凸が形成されることを開示しているが、その凹凸の形成は制御できず、電子デバイスに応用することは困難である。
【0013】
ナノワイヤの成長条件によってはナノワイヤの表面に多数の微粒子が形成されることが知られているが、そのような微粒子をナノワイヤの所望の領域に選択的に形成する技術は知られていない。ナノワイヤの表面における微粒子の形成および分布を制御することができれば、微粒子付のナノワイヤを種所の電子デバイスに応用することも可能になるが、残念ながら、そのような制御技術は開発されていないのが現状である。
【0014】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ナノワイヤ本体の表面に微粒子を自己組織的に形成したナノワイヤ及び当該ナノワイヤを備える装置、並びに、その製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のナノワイヤは、第1の材料から形成された結晶性半導体のナノワイヤ本体と、前記半導体を構成する元素を一部に含む第2の材料から形成され、前記ナノワイヤ本体の表面の少なくとも一部に位置する複数の微粒子とを備え、前記ナノワイヤ本体の表面が平滑である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤ本体の前記平滑な表面のうち、少なくとも前記複数の微粒子と接触している部分には、酸化膜が実質的に形成されていない。
【0017】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤの平均直径は1nm以上1μm以下である。
【0018】
好ましい実施形態において、前記複数の微粒子は、前記ナノワイヤ本体の表面の全体に分散している。
【0019】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤ本体の表面は、前記複数の微粒子が分散している第1領域と、前記複数の微粒子が形成されていない第2領域とに分かれている。
【0020】
好ましい実施形態において、前記複数の微粒子は、少なくとも一種類の金属元素を含有する。
【0021】
好ましい実施形態において、前記複数の微粒子は、金属、または金属と前記第1の材料との合金から形成されている。
【0022】
好ましい実施形態において、前記第2の材料は、金、銀、銅、及びイリジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含有している。
【0023】
好ましい実施形態において、前記複数の微粒子の平均粒径が20nm未満である。
【0024】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤ本体は単結晶である。
【0025】
好ましい実施形態において、前記第1の材料は、シリコン、ゲルマニウム、及び炭素からなる群から選択された少なくとも1種の材料から形成されている。
【0026】
本発明の電界効果型トランジスタは、上記いずれかのナノワイヤを備える電界効果トランジスタであって、前記ナノワイヤに形成されたチャネル領域と、前記ナノワイヤに接続され、ソース領域及びドレイン領域として機能する電極と、前記チャネル領域の少なくとも一部における導電性を制御するゲート電極と、前記ゲート電極を前記チャネル領域から電気的に絶縁するゲート絶縁膜とを備える。
【0027】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤの表面のうち、前記電極と接触する領域に前記複数の微粒子の少なくとも一部の微粒子が存在している。
【0028】
好ましい実施形態において、前記ナノワイヤのうち、前記電極と接触する部分に不純物がドープされている。
【0029】
好ましい実施形態において、前記微粒子に機能性分子が化学修飾されている。
【0030】
好ましい実施形態において、前記機能性分子は、前記微粒子との結合部位に−SH基を含んでいる。
【0031】
好ましい実施形態において、前記機能性分子は、X−(Cnm)−SH(n、mは自然数)且つX:−NH2、−COOH、−Cxy、−Cab(x、y、a、bは自然数)である。
【0032】
本発明のセンサーは、センシング部として機能する上記いずれかのナノワイヤと、前記ナノワイヤに接続された第1の電極及び第2の電極とを備える。
【0033】
本発明の電子装置は、前記微粒子に機能性分子が化学修飾されている上記いずれかのナノワイヤと、前記機能性分子を介して前記ナノワイヤと化学的に結合した部材とを備える。
【0034】
本発明の電子装置は、上記いずれかのナノワイヤを備えている。
【0035】
好ましい実施形態において、前記電子装置は、前記ナノワイヤにおける前記複数の微粒子と接触する電極を更に備えている。
【0036】
本発明によるナノワイヤの製造方法は、表面に触媒金属粒子が配置された基板を用意する工程(A)と、前記基板上に第1の材料から形成されたナノワイヤ本体を成長させる工程(B)とを含むナノワイヤの製造方法であって、前記工程(B)において、第2の材料から形成された複数の微粒子を前記ナノワイヤ本体の表面の少なくとも一部に成長させる。
【発明の効果】
【0037】
本発明のナノワイヤは、ナノワイヤ本体の表面に位置する複数の微粒子を備えているため、この微粒子を利用した多様なデバイスを実現することが可能になる。本発明では、ナノワイヤ本体の表面に自己組織的に金属粒子を形成することができ、その製造が容易であるため、トランジスタ及びメモリなどの電子デバイス、並びに、これらの電子デバイスを用いた電子機器への応用が期待できる。
【0038】
このようなナノワイヤを従来技術により製造するためには、ナノワイヤ本体の表面に別途作製した金属粒子を付着させる必要がある。このような方法で形成すると、金属粒子とナノワイヤの結合力を強くすることや金属粒子の密度や粒子径を正確に制御することが困難となる。
【0039】
また、ナノワイヤの成長中に金の微粒子を形成し得ることが報告されているが、ナノワイヤ本体の表面に不規則な凹凸が形成されている。半導体からなるナノワイヤ本体の表面に不規則な凹凸が生じると、表面における結晶欠陥や準位が増大し、半導体特性を劣化させる。本発明によれば、ナノワイヤ本体の表面が平滑に維持されるため、優れた特性を発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
まず、図1を参照しながら、本発明によるナノワイヤを説明する。図1(a)は、本発明によるナノワイヤの斜視図、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
【0041】
図示されているナノワイヤは、複数の微粒子がナノワイヤ本体の表面に形成されたナノワイヤ(以下、「微粒子コートナノワイヤ」を称する。)である。図1に示す微粒子コートナノワイヤ101は、ナノワイヤ本体の一端に触媒金属102を有し、ナノワイヤ本体104の表面に複数の微粒子103が配置された構造を有している。触媒金属102と微粒子103には同一金属が含有されている。触媒金属102は、ナノワイヤの形成後に除去することが可能であり、最終的な微粒子コートナノワイヤは触媒金属102を有している必要は無い。簡単のため、図1以外の図面では、触媒金属102の図示を省略している。
【0042】
ナノワイヤ本体104は、表面が平滑な結晶性の半導体(第1の材料)からなり、例えば、Si、Ge、SiGeなどのIV族半導体、GaAs、InP、InAsなどのIII−V族半導体、またはZnS、ZnSe、CdSなどのII―VI族半導体から形成され得る。ここで、「結晶性の半導体」とは、好ましくは単結晶であるが、一部に欠陥などを含んでいても良いし、多結晶であってもよい。
【0043】
触媒金属102及び微粒子103は、例えば、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、鉄、チタンなどの金属原子、または、これらの金属原子とナノワイヤ本体104を構成する材料との合金若しくは複合材料から形成され得る。
【0044】
微粒子103は、ナノワイヤ本体104の半導体を構成する元素を一部に含む第2の材料から形成されている。微粒子103の平均粒径は、1nmから50nm程度であり、典型的には20nm以下である。微粒子の断面は、典型的には円または楕円に近い形状を有しているが、多角形を含む様々な形状を有していてもよい。微粒子コートナノワイヤ101の長さは、例えば1μm〜100μm程度であり、その直径は例えば2nm〜1μm程度である。
【0045】
なお、好ましい実施形態において、ナノワイヤ本体104の平滑な表面のうち、少なくとも複数の微粒子103と接触している部分には、酸化膜が実質的に形成されていない。後述するように、複数の微粒子103が含有する金属は、触媒金属102に由来するものであり、複数の微粒子103の分布は、ナノワイヤ本体104の平滑な表面を微粒子103が移動すること(マイグレーション)によって広がっている。本発明者の実験によると、このマイグレーションは、ナノワイヤ本体104の表面が酸化されている場合には生じにくい。このため、ナノワイヤ本体104の表面が酸化されにいく状況で複数の微粒子103の形成およびマイグレーションを引き起こすことが好ましい。その結果、ナノワイヤ本体104の平滑な表面のうち、少なくとも複数の微粒子103と接触している部分には、酸化膜が実質的に形成されていない構成が実現する。このようなマイグレーションが完了した後、複数の微粒子103と接触していない部分が事後的に酸化されたり、あるいは酸化膜に被覆されていてもよい。
【0046】
次に、図2(a)から(c)を参照しながら、本発明による微粒子コートナノワイヤの製造方法の一例を説明する。図2(a)から(c)は、本発明のナノワイヤの製造方法を示す工程図である。ナノワイヤの成長は公知の方法である気層−液層−固層(VLS)成長機構によって成長することができる。
【0047】
まず、図2(a)に示すように、触媒金属102を任意の基板105上に配置する。配置する方法としては、例えば、金属コロイド溶液をスピンコート法によって塗布する方法や金属薄膜をスパッタ法や蒸着法で堆積させ粒子化する方法で基板105上に配置することができる。
【0048】
次に、この触媒金属102を配置した基板105をCVD装置などのチャンバに導入する。図2(b)に示すように、ナノワイヤを構成する元素を含む原料ガス106をチャンバ内に導入し、所定の圧力に保つ。この基板105は、ランプやヒーターなどで加熱し任意の温度(但し、原料ガス106が基板105上で分解する温度よりも低い温度である)に基板を保つ。このような状況において、原料ガス106は、触媒金属102の近傍においてのみ選択的に分解する。触媒金属102は、この分解した原料ガスと反応することにより、触媒金属とナノワイヤを構成する元素との合金102aを形成する。
【0049】
次に、図2(c)に示すように、原料ガス106が分解することにより生成したナノワイヤを構成する元素は、触媒金属とナノワイヤを構成する元素との合金102aに溶解し、過飽和状態となる。この過飽和状態となった触媒金属とナノワイヤを構成する元素との合金102aからナノワイヤを構成する元素が析出し、析出した元素が凝集することにより結晶半導体(ナノワイヤ本体)が成長する。
【0050】
本発明では、ナノワイヤの成長中または成長後の熱処理時に微粒子が自己組織的にナノワイヤ表面上に形成される。このような微粒子を形成するには、ナノワイヤ成長雰囲気を制御すればよく、例えば低圧下(例えば、雰囲気ガス圧力:10-3Torr以下)でナノワイヤを成長させることにより、ボロンなどの不純物を高濃度にドープさせなくとも、微粒子コートナノワイヤを形成することができる。詳細な成長条件については、後述する。
【0051】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0052】
(実施形態1)
まず、図3から図6を参照しながら、本発明によるナノワイヤの第1の実施形態を説明する。本実施形態のナノワイヤは、金粒子(金ドット)がSiナノワイヤ本体上に形成されたナノワイヤであるため、以下、「金ドットコートSiナノワイヤ」と称する。
【0053】
図3は、本実施形態における金ドットコートSiナノワイヤ110の透過電子顕微鏡(TEM)像の一例を示す写真である。図4(a)は、図3のPOINT1領域、図4(b)は図3のPOINT2領域の元素分析結果を示すグラフである。図5(a)は、この金ドットコートSiナノワイヤの長さ方向に対して垂直な面の断面TEM像、図5(b)は、図5(a)のB部拡大図を示す図である。図6(a)は、図5(b)のPOINT3領域、図6(b)は図5(b)のPOINT4領域の元素分析結果を示す図である。
【0054】
図3に示す金ドットコートSiナノワイヤ110は、Siナノワイヤ本体111の表面に複数の金属粒子112が配置された構造を備えている。図4に示す元素分析の結果から、図3に示される粒子状の黒点部は、金及びシリコン元素から構成され、その他の領域はシリコン元素から構成されていることが分かる。従って、この金ドットコートSiナノワイヤ110には、粒径2nm〜5nm程度の金およびシリコン元素によって構成された粒子が、自己組織的に複数個形成された構造を有している。
【0055】
金ドットコートSiナノワイヤ110の断面形状は、図5に示すように典型的には六角形であり、Siナノワイヤ本体111の外側に2nmから3nm程度のシリコン酸化膜113に覆われた形状を有している。シリコン酸化膜113は、通常のバルクSi基板等においても大気中の酸素と反応して形成される自然酸化膜である。このシリコン酸化膜113の形成は、金属粒子112がSiナノワイヤ本体111の表面に形成された後に行われたものであり、少なくとも金属粒子112が形成された時点において、金属粒子112はSiナノワイヤ本体111の半導体に接触していたものである。
【0056】
図6(a)及び(b)に示す元素分析結果から、図5(b)のPOINT3領域は、金またはシリコン元素から構成されているのに対し、POINT4領域は、シリコン元素から構成されていることが分かる。従って、図3に示される金属粒子112は、Siナノワイヤ本体111の表面に存在することが分かる。
【0057】
2nmから10nm程度の微細な微粒子が自己組織的にナノワイヤ本体の表面に形成された金ドットコートSiナノワイヤは、トランジスタ、メモリ、センサー等の電子デバイスへ広い応用が期待される。
【0058】
次に、図7(a)から(c)を参照しながら、本実施形態におけるナノワイヤの製造方法の一例を説明する。
【0059】
まず、図7(a)に示すように、成長用基板として機能するシリコン基板115を用意し、シリコン基板115上に触媒金属粒子114を形成する。成長用基板は、ナノワイヤ成長中の熱処理温度に対する耐熱性があればよく、他の半導体材料、絶縁材料、または高融点金属材料などからなる基板上に、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などが堆積されたものであってもよい。成長用基板の面方位や抵抗率は任意に設定してよい。
【0060】
本実施形態では、触媒金属粒子114として金を用いる。触媒金属粒子114は、原料ガスの分解促進に優れ、ナノワイヤを構成する元素と共晶状態を形成し、ナノワイヤの成長を促進させるために用いられる。触媒金属粒子114の大きさは、ナノワイヤの直径とほぼ等しい大きさになるため、所望の直径のナノワイヤが得られるように設定される。通常、触媒金属粒子114の直径は1nmから10000nmであり、好ましくは5nmから100nmの範囲内にある。
【0061】
触媒金属粒子114をシリコン基板115上に形成する方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、シリコン基板115の表面に触媒金属の薄膜をスパッタ法や蒸着法などの公知の薄膜形成装置を用いて形成する。その後、この触媒金属薄膜を熱処理することにより、触媒金属薄膜を自己凝集させてもよい。
【0062】
金粒子を形成する方法としては、例えば、EB蒸着法を用いて、0.5nmから10nm程度の金薄膜を堆積し、500℃で30分から3時間程度熱処理を行なうとよい。金粒子の直径は金薄膜の膜厚と熱処理条件に依存するため、所望の金粒子直径になるように金薄膜の膜厚を調整する。本実施形態では、金薄膜を約2nm堆積し、真空中、500℃で10分熱処理を行なっている。
【0063】
次に、触媒金属粒子114が形成されたシリコン基板115をCVD装置などのチャンバ内に挿入する。そして、図7(b)に示すようにシリコン元素を含む原料ガス106をチャンバに導入し、所定の圧力に保ち、シリコン基板115は原料ガス106が分解する温度よりも低い温度で加熱する。これにより、シリコン基板115上において、触媒金属粒子114表面で分解された原料ガス106中のナノワイヤを構成する元素と触媒金属粒子114が反応し、これらの合金を形成する。
【0064】
シリコンナノワイヤを形成するための原料ガス106としては、SiH4、Si26、Si38、SiH2Cl2、SiCl4などを用いることができる。本実施形態での成長条件の一例としては、CVD装置として超高真空CVD装置を用い、基板温度として350℃から500℃の間で設定し、原料ガスとしてSi26ガスを用い、チャンバ内圧力が10-5Torrから10-2Torrになるように、Si26ガス流量を10から150sccmの範囲で調節している。例えば、上記条件を用いると、50nm/min〜300nm/minの速度で成長することができる。
【0065】
次に、図7(c)に示すように、原料ガス106の分解によりナノワイヤを構成する元素であるシリコンが析出し、析出したシリコンが凝集し結晶半導体層が成長していき、Siナノワイヤ本体111が形成される。成長工程中、触媒金属粒子114は、Siを含有する共晶状態にある。金とSiの共晶状態は、約360℃以上で実現するため、金ドットコートナノワイヤ110の成長は、360℃よりも高い温度で実行される。
【0066】
本実施形態の金ドットコートSiナノワイヤ110では、例えば上述したナノワイヤ成長中に、自己組織的にSiナノワイヤ本体111の表面上に金粒子(金属粒子112)が形成される。金または金とシリコンの合金からなる金属粒子112をSiナノワイヤ本体111の表面に成長させるには、ナノワイヤ成長雰囲気を制御すればよく、低圧下(例えば、10-3Torr以下、好ましくは10-4Torr以下)で成長を行えばよい。
【0067】
なお、非特許文献2は、シリコンナノワイヤにボロンを高濃度にドープすると、シリコンナノワイヤに金のナノ粒子が形成されることを報告している。しかし、非特許文献2に開示されているナノワイヤ本体の表面には、不規則な凹凸が形成され、平滑性が失われている。また、金のナノ粒子が形成されている部分では、ナノワイヤ本体の直径が他の部分よりも増大している。
【0068】
本実施形態の製造方法によれば、不純物を高濃度にドープしない場合でも、金属粒子112を自己組織的に生成することができ、また、Siナノワイヤ本体111の表面が平滑であるため、結晶欠陥などが形成されにくく、半導体の特性が向上する。なお、本明細書における「平滑」とは、表面に形成される微粒子の平均粒径よりも充分に小さな凹凸しか存在しないことを意味し、ナノワイヤ本体の表面に5nmを超える凹凸段差が形成されていないことが好ましい。
【0069】
例えばナノワイヤ成長雰囲気を調整することにより、金属粒子112の密度を制御することも可能である。例えば、ナノワイヤ成長中のチャンバ内圧力を低下させるほど、金属粒子112の密度を増加させることができる。
【0070】
以下、金属粒子112の形成メカニズムをより詳しく説明する。
【0071】
まず、図21A〜図22Bを参照する。図21Aおよび図21Bは、雰囲気ガス圧力0.2Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示す写真であり、図22Aおよび図22Bは、雰囲気ガス圧力0.01Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示す写真である。多数のナノワイヤが示されている図21Aおよび図22AはSEMによる写真であり、1本のナノワイヤを拡大した撮影された図21Bおよび図22BはTEMによる写真である。
【0072】
図21Bでは、ナノワイヤ本体の表面には微粒子が観察されず、図22Bでは、多数の微粒子がナノワイヤ本体の表面に分布していることがわかる。
【0073】
図21Aおよび図21Bにおけるナノワイヤの成長レートは、約1μm/分であったが、図22Aおよび図22Bにおけるナノワイヤの成長レートは、約0.2μm/分であった。このように、成長工程時における雰囲気ガスの圧力に依存して成長レートは大きく変化し、雰囲気ガス圧力が低いほど、ナノワイヤの成長レートは低下する。
【0074】
雰囲気ガスは、所定の分圧(例えば10-3〜10-6Torr)で原料ガスを含有しており、雰囲気ガス圧力の差異は、キャリアガス(典型的にはH2)の圧力によって依存している。キャリアガスの圧力が増加することにより雰囲気ガス圧力が増加すると、原料ガス分子の平均自由工程が短くなり、単位時間内に原料ガス分子が共晶状態の触媒金属に衝突する頻度が高くなる。このため、原料ガスの分圧が一定であれば、雰囲気ガス圧力(キャリアガス圧力)が高いほど、ナノワイヤの成長レートが高くなる。
【0075】
雰囲気ガス圧力が低い場合において、ナノワイヤ本体の表面に微粒子が形成される理由は、ナノワイヤ成長工程中の共晶状態にある触媒金属に供給されるSiの量が低下するためと考えられる。このため触媒金属ではSi濃度が低下し、金が過剰になる。過剰な金は触媒金属を離れてナノワイヤ本体の表面をマイグレートしてゆくと考えられる。
【0076】
このようにナノワイヤ成長工程時における雰囲気ガス圧力を調整することにより、微粒子の形成を制御できる。例えば雰囲気ガス圧力を0.1Torr以下にすると、微粒子の生成を促進させることができるが、0.1Torrを超えて高くしてゆくと、微粒子の形成を抑制し、微粒子を形成しないようにすることもできる。また、ナノワイヤの成長工程の途中で雰囲気ガス圧力を変化させると、1本のナノワイヤの特定部分に選択的に微粒子を形成することも可能になる。すなわち、微粒子が表面に形成された部分と、微粒子が表面に形成されていない部分とが接続されたヘテロ構造のナノワイヤを得ることができる。
【0077】
図21Bに示すように成長直後において微粒子が形成されなかったナノワイヤに対し、その後に熱処理を行った結果を図23A〜図24Bに示す。図23Aおよび図23Bは、高真空(UHV)のもとで450℃、10分の熱処理(Anneal)を行ったサンプルのTEM写真(暗視野像)である。一方、図24Aおよび図24Bは、低真空(0.3Torr)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(暗視野像)である。
【0078】
図23Bおよび図24Bに示されるように、熱処理時の雰囲気ガスの圧力差により、微粒子のマイグレーション距離が異なっている。すなわち、熱処理時の雰囲気ガス圧力が高いほど、微粒子のマイグレーション距離は長くなり、ナノワイヤ本体の表面における広い範囲にわたって微粒子が分布することができる。
【0079】
なお、上記の熱処理は、成長後のナノワイヤ本体を大気に暴露することなく、成長装置内で成長工程と連続して行っている。成長後のナノワイヤ本体を大気に暴露すると、その表面に自然酸化膜が形成されるため、熱処理によって微粒子をマイグレートさせることは困難になる。図25Aおよび図25Bは、大気暴露後に大気圧(窒素雰囲気)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(暗視野像)である。図25Aおよび図25Bからわかるように、大気暴露後に熱処理を行っても、微粒子の分布は広がらず、図25Aに示す触媒金属の近傍に僅かに存在するだけである。
【0080】
このため、ナノワイヤ成長時ではなく成長後に微粒子を形成する場合は、ナノワイヤ本体の表面が酸化されないように留意することが好ましい。
【0081】
ナノワイヤ成長後に事後的に微粒子を形成するための熱処理は、ナノワイヤ本体を構成する半導体と触媒金属とが共晶となる温度以上の温度で実行する必要がある。金ドットコートナノワイヤの場合、360〜750℃の温度で熱処理を行うことが好ましい。熱処理温度の上限を750℃に設定する理由は、理温度が750℃を超えて高くなると、金の蒸発が始まるからである。
【0082】
本実施形態では、金からなる金属粒子112がシリコンからなるSiナノワイヤ本体111の表面に形成されているが、金以外の金属粒子112をSiナノワイヤ本体111の表面に形成してもよい。Siナノワイヤ本体111の表面に形成したい金属粒子112の材料と同一の材料からなる触媒金属を用いることにより、所望の金属粒子112を形成することが可能になる。
【0083】
原料ガスを変更することにより、ナノワイヤ本体を構成する材料を変えることができる。例えばゲルマニウムのナノワイヤを成長する場合は、原料ガスとして、ゲルマンガスを用いるとよい。
【0084】
このように、ナノワイヤ本体の表面に付着した粒子は、特別な製造工程を追加することなく、従来のナノワイヤ形成中に形成することが可能であり、また、ナノワイヤの成長条件を変化させることにより、粒子密度を制御することができる。公知のナノワイヤ成長装置を用いて、微細な金属粒子をナノワイヤ本体の表面に形成でき、しかも、密度制御も可能であるため、トランジスタやメモリのような電子デバイスへの応用が期待される。
【0085】
(実施形態2)
次に、図8から図10を参照しながら、本発明によるナノワイヤの第2の実施形態を説明する。本実施形態のナノワイヤは、ヘテロ金属粒子コートナノワイヤである。
【0086】
図8(a)は、ヘテロ金属粒子コートナノワイヤ構造を示す斜視図、図8(b)は、両端部に金属粒子の存在するヘテロ金属粒子コートナノワイヤ構造を示す斜視図、図8(c)は、両端部に金属粒子の存在しないヘテロ金属粒子コートナノワイヤ構造を示す斜視図である。図9(a)はヘテロ金粒子コートSiナノワイヤTEM像、図9(b)は図9(a)のX部拡大TEM像、図9(c)は図9(a)のY部拡大TEM像である。図10(a)は図9のPOINT1領域、図10(b)は図9のPOINT2領域、図10(c)は図9のPOINT3領域の元素分析結果を示す図である。
【0087】
本実施形態のヘテロ金属粒子コートナノワイヤは、図8(a)に示すように、ナノワイヤ本体104の表面に金属粒子112が存在する領域120と、金属粒子112が存在しない領域121とに分かれている。金属粒子の存在しない領域121は従来のナノワイヤと同様の構造を有している。
【0088】
図8(b)に示すヘテロ金属粒子コートナノワイヤは、ナノワイヤ本体104の両端部に金属粒子112の存在する領域120を有している点で、図8(a)のナノワイヤと異なっているが、他の点では同一である。
【0089】
図8(c)に示すヘテロ金属粒子コートナノワイヤは、ナノワイヤ本体104の両端部に金属粒子112の存在しない領域121を有している点で、図8(a)のナノワイヤと異なっている。
【0090】
図9(a)から(c)は、シリコンのナノワイヤ本体の表面に金粒子が形成されたヘテロ金コートSiナノワイヤのTEM像を示す。図9から、ヘテロ金コートSiナノワイヤは、金触媒122付近のY部に金ドットの存在する領域123を有し、X部が従来のナノワイヤ構造を有していることがわかる。
【0091】
図10(a)から(c)の元素分析結果から、POINT1領域(金触媒122)は金、POINT2領域(金属粒子112)は金及びシリコン、POINT3領域(Siナノワイヤ本体111)はシリコン元素から構成されていることがわかる。金粒子の大きさは、2nm〜10nm程度である。
【0092】
このように、一本のナノワイヤ本体に2nmから10nm程度の微細な金属粒子が自己組織的に形成される領域と、金属粒子が形成されない領域とを配列することができる。このようなナノワイヤも、トランジスタ、メモリ、センサー等の電子デバイスへ広い応用が期待される。
【0093】
次に、本実施形態のナノワイヤの製造方法を説明する。
【0094】
本実施形態のナノワイヤを製造する方法は、実施形態1について説明した金ドットコートSiナノワイヤの製造工程を利用する。以下に、本実施形態の製造方法を説明する。
【0095】
まず、シリコン基板上に金粒子を形成する。形成方法としては、実施形態1と同様の方法を用いることができる。次に、この成長用基板をCVD装置のチャンバ内に挿入する。シリコン元素を含む原料ガスとしてSi26ガスをチャンバに導入し、10-4Torr程度の圧力に保ち、基板を450℃で加熱することにより、金ドットコートSiナノワイヤを成長することができる。成長時間を調整することにより所望の長さまで成長する。例えば、上記の条件を用いると、成長速度は50nm/min〜300nm/minの成長速度を実現することが可能となる。
【0096】
次に、金ドットコートSiナノワイヤを所望の長さまで成長した後、連続的に従来のSiナノワイヤを成長させる。ヘテロ成長させる方法としては、原料ガスであるSi26の流量を増加させたり、H2ガスなどをチャンバ内に導入させたりすることによりチャンバ内圧力を10-2Torr程度に保つことにより従来のSiナノワイヤを成長することができる。
【0097】
本実施形態では、成長法基板から金ドットコートSiナノワイヤを形成した後、引き続き、従来のSiナノワイヤを成長しているが、チャンバ内の圧力を制御することにより、この順序を変更することや、1本のナノワイヤ中に複数の金ドットコート領域を形成することも可能である。
【0098】
本実施形態では、ナノワイヤ材料としてシリコン、金属粒子材料として金を用いているが、ナノワイヤの原料ガス及び触媒金属を変更することにより、ナノワイヤや金属粒子の材料を変えることができる。
【0099】
このように、本実施形態によれば、2nmから10nm程度の微細な金属粒子が自己組織的にナノワイヤ本体の表面に形成された金属粒子コートナノワイヤと従来のナノワイヤとを一本のナノワイヤ中に、新たにプロセスを追加することなく成長することが可能となる。従って、従来のナノワイヤ成長プロセスを用いて、自己形成によりナノワイヤの任意の位置に微細な金属粒子を形成できることから、電子デバイスへの応用が期待される。
【0100】
(実施形態3)
次に、図11から図13を参照しながら、本発明による電界効果トランジスタの実施形態を説明する。このトランジスタは、電極と接触するコンタクト領域に不純物がドープされ、かつ金属粒子が形成されているナノワイヤ(以下、「コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ」と称する。)を備えている。
【0101】
図11(a)は、本実施形態におけるコンタクトドープヘテロ金属粒子コートナノワイヤ130を示す斜視図であり、図11(b)は、図11(a)のB−B線断面図である。図12は、このコンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130を用いたトランジスタ(以下、「ナノワイヤトランジスタ」と称する。)の斜視図である。図13(a)は、図12のナノワイヤトランジスタの上面図であり、図13(b)は、図13(a)のC−C線断面図である。
【0102】
図11に示すコンタクトドープヘテロ金属粒子コートナノワイヤ130は、図8(b)のヘテロ金属粒子コートナノワイヤと同様に、両端部が金属粒子でコートされている。図8(b)のヘテロ金属粒子コートナノワイヤと異なる点は、両端部(金属粒子コート領域131)に不純物がドープされ、コンタクト領域として機能しえる点にある。例えば、ナノワイヤがシリコンにから形成されている場合、金属粒子コート領域131は、ボロンなどのIII族元素や、リン、砒素などのようなV族元素が1×1018atoms/cm-3〜1×1020atoms/cm-3程度ドープされている。また、金属粒子コート領域131の金属粒子134は、ナノワイヤ材料と金属との合金から形成されていることが好ましい。例えばナノワイヤがシリコンから形成されている場合、金属粒子134は、ニッケルシリサイドやチタンシリサイドなどの合金から形成されていることが好ましい。
【0103】
図12及び図13は、コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130をチャネルに用いたトランジスタ140を示している。以下、このナノワイヤトランジスタ140の構造を説明する。
【0104】
ナノワイヤトランジスタ140は、上述のコンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130にそれぞれ接触するソース電極144及びドレイン電極145と、これらを支持する基板141とを備えている。ソース電極144及びドレイン電極145とコンタクトドープへテロ金属粒子ナノワイヤ130との間において良好な電気的なコンタクトを形成するために、不純物がドープされた金属粒子領域131を介して電気的なコンタクトが形成されている。
【0105】
基板141の主面上には、ゲート電極142と、このゲート電極142とコンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130との間を電気的に絶縁するゲート絶縁膜143とが形成されている。このように、本実施形態のトランジスタは、ゲート絶縁膜143上にコンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130が配置されたボトムゲート型のトランジスタ構造を有している。
【0106】
ゲート電極142に電圧を印加すると、ゲート絶縁膜143を介して、コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130のチャネル領域の導電性が制御される。
【0107】
基板141としては、ポリイミドや芳香族エステルのようなプラスティック基板、ガラス基板、サファイア基板などを用いるとよい。また、ゲート電極142、ソース電極144及びドレイン電極145の材料としては、チタン、金、アルミニウム、ニッケルのような金属、導電性ポリマー、ポリシリコン、チタンシリサイドのような半導体材料と金属との合金を用いるとよい。
【0108】
なお、本実施形態のトランジスタは、ボトムゲート型であるが、本発明のトランジスタは、トップゲート構造を有していても良い。
【0109】
本実施形態では、ソース・ドレイン電極とのコンタクト部に不純物がドープされているが、不純物がドープされていなくても、従来のナノワイヤを用いた場合に比べ、コンタクト抵抗が低減される。
【0110】
本実施形態のナノワイヤトランジスタでは、ナノワイヤとソース・ドレイン電極とのコンタクト部に金属又は金属とナノワイヤ材料との合金粒子が複数形成されているために、耐熱性の低い基板上でコンタクト抵抗を低減することができる。従って、一本のナノワイヤ中に2nmから10nm程度の微細な金属粒子が自己組織的に形成される領域と形成されない領域を設けることにより、デバイスに悪影響を与えることなく、電極と半導体層間でのコンタクト特性の改善された高電流駆動力を示すトランジスタを実現することができる。
【0111】
次に、本実施形態のナノワイヤ及びナノワイヤトランジスタの製造方法を説明する。
【0112】
図14(a)から図14(c)は、本実施形態におけるナノワイヤトランジスタの製造方法の一例を示す図である。
【0113】
本実施形態におけるナノワイヤの製造方法は、基本的な部分は、実施形態2における製造方法と同様である。ただし、本実施形態では、ナノワイヤ材料と金属との合金から金属粒子を形成している。合金粒子を形成するには、金属粒子コートナノワイヤを成長時にチャンバ内の圧力と触媒金属種の最適化するか、あるいは、金属粒子コートナノワイヤを成長した後、任意の雰囲気中で熱処理を行えばよい。
【0114】
ナノワイヤトランジスタは、金属粒子コートナノワイヤを用いる点を除けば、公知の方法により製造することが可能である。以下、本実施形態におけるナノワイヤトランジスタの製造方法を説明する。
【0115】
まず、図14(a)に示すように、基板141の主面上にゲート電極142及びゲート絶縁膜143を形成する。ゲート電極142は、例えば、スパッタ法や蒸着法などによる公知の成膜形成装置を用いてゲート金属を堆積させた後、フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、ゲート金属をパターニングして形成することができる。ゲート絶縁膜143は、例えばゲート絶縁膜材料前駆体を基板141の上にスピンコートした後、溶媒の除去及び熱処理をすることにより形成可能である。他に、CVD法、スパッタ法、蒸着法を用いてゲート絶縁膜143を堆積してもよい。
【0116】
次に、図14(b)に示すように、コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130を上述したゲート絶縁膜143上に配置する。具体的には、コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130を、その成長用基板(図14において不図示)から剥離させ、溶液に分散させる。ナノワイヤを成長用基板から剥離する方法は、例えば、成長用基板に超音波を照射して機械的に剥離する方法や、成長用基板の表面を薄くエッチングする方法を用いるとよい。
【0117】
分散液に用いる溶媒には、水溶液、有機溶媒、または、水と有機溶媒を混合したものがある。有機溶媒としては、例えば、エタノール、プロパノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコールなどのアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル、メチルエチルケトンなどのケトン類、ヘキサン、オクタンなどのアルカン、テトラヒドロフラン、クロロホルムのような溶媒を用いるとよい。水と有機溶媒の混合液体としては、水とアルコールの混合液、水とテトラヒドロフランの混合液などが使用可能である。
【0118】
次に、表面に所望形状を有する溝を有するモールドをゲート絶縁膜143の上面に密着させ、この溝に、上述した分散液をフローさせる(フロー法)。このようなフロー法を用いると、ナノワイヤの位置や形状は、モールドの溝によって制御することが可能であり、ナノワイヤ方向は液体の流れによってモールドの方法に配向することが可能となる。なお、フロー法以外の公知の方法、例えば転写法を用いても、コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ130を基板141上の所望の位置に配置することが可能である。
【0119】
次に、図14(c)に示すように、ソース電極144・ドレイン電極145を形成する。具体的には、金属膜を堆積した後、フォトリソグラフィ及びエッチング技術により、金属膜をパターニングしてもよい、リフトオフ法を用いてもよい。
【0120】
このように本実施形態によれば、2nmから10nm程度の微細な金属粒子が自己組織的にナノワイヤ表面に形成された金属粒子コートナノワイヤを用いることにより、コンタクト抵抗を低減できる。また、電極材料と半導体層材料とを熱処理し、合金化するプロセスが不要となるため、耐熱性の低い基板上に、高性能化且つバラツキを低減したトランジスタを実現することができる。
【0121】
上記のようにナノワイヤ本体の微粒子と接触する電極を備えることにより、コンタクト特性に優れた各種の電子装置を製造することができる。このような電子装置は、トランジスタに限定されず、センサー、発光素子、または受光素子であってもよい。
【0122】
(実施形態4)
以下、図15を参照しながら、本発明によるナノワイヤを用いたセンサー(以下、「ナノワイヤセンサー」と称する。)の実施形態を説明する。
【0123】
図15(a)は、金属粒子コートナノワイヤ表面が機能性分子により化学修飾されたナノワイヤ(以下、「化学修飾されたナノワイヤ」と称する。)150の表面構造の模式図であり、図15(b)は、このナノワイヤ150を用いたセンサーの構造を示す断面図である。図15(a)の化学修飾されたナノワイヤ150は、半導体ナノワイヤ本体153と、その表面に形成された複数の金属粒子152と、化学修飾に用いられた機能性分子151とを備えている。本実施形態における金属粒子152は、金から形成されているが、その他の金属(例えば銀、銅、イリジウムなどの貴金属)から形成されていても、同様の効果を期待できる。
【0124】
図15(a)に示すナノワイヤ150の特徴点は、半導体ナノワイヤ本体153の表面に位置する金属粒子152が機能性分子151によって化学修飾されている点にある。金属粒子152に化学修飾する機能性分子151としては、例えば、NH2(CH2nSH、COOH(CH)nSH、CF3(CF2n(C24mSH(但し、n、mは自然数)が挙げられる。
【0125】
図15(b)に示すナノワイヤセンサーは、化学修飾されたナノワイヤ150をセンシング部として用いるセンサーである。ナノワイヤセンサーの構造としては、実施形態3のナノワイヤトランジスタと同様の構造を備えている。本実施形態のナノワイヤセンサーはゲート電極142を具備しているが、ゲート電極142は具備しなくてもよい。
【0126】
本実施形態のナノワイヤセンサーは、pHセンサーとして機能する。化学修飾されたナノワイヤ150は、機能性分子としてNH2(C66)SHを化学修飾したものである場合、溶液中のpHが低くなると、ナノワイヤ150の表面の機能性分子151内のアミノ基が−NH3+に変化する。その結果、ソース電極144とドレイン電極145との間におけるコンダクタンスが変化するため、半導体ナノワイヤ本体153を流れるドレイン電流に応じて溶液のpHをセンシングすることができる。
【0127】
このナノワイヤセンサーは、実施形態3のナノワイヤトランジスタの製造方法と同様の方法で製造され得る。
【0128】
なお、本実施形態のセンサーは、pHセンサーとして機能しているが、機能性分子151を適宜選択することにより、他のセンサーとしても動作することが可能である。また、化学修飾されたナノワイヤは、センサー以外の電子素子にも利用可能である。例えば、機能性分子151を介して電荷を出し入れさせれば、メモリとして動作させることも可能である。
【0129】
本実施形態のナノワイヤセンサーでは、自己組織的に形成された金属粒子に機能性分子を化学修飾し、この機能性分子に検体物を吸着又は反応させることによりセンシングすることができる。本発明のナノワイヤを用いると、ナノワイヤの成長条件によって金属粒子の密度を制御できるため、高感度センサーを実現することができる。
【0130】
(実施形態5)
以下、図16を参照しながら、本発明の金属粒子に化学修飾したナノワイヤを用い、任意の基板または電極上の任意の位置にナノワイヤを配置した構造体の実施形態を説明する。
【0131】
図16(a)は、化学修飾されたナノワイヤ160と基板161を示す模式図であり、図16(b)は、ナノワイヤ160を基板161に設けられた電極164の任意の位置に配置した構造体を示す図である。本実施形態のナノワイヤ160の表面には金微粒子162が形成されている。
【0132】
図16(a)の化学修飾されたナノワイヤ160は、実施形態4の化学修飾されたナノワイヤ150と同様の構成を有している。本実施形態に特徴的な点は、化学修飾されたナノワイヤ160が、基板161上の官能基と化学的に結合している点にある。
【0133】
ナノワイヤ160と化学的に結合する機能性分子内の官能基Xは、例えば、以下のような組合せから選択することができる。
【0134】
基板161の表面が−OHの場合、Xは(CH3O)3Si−、(C253Si−、Cl3Si−、NCO−などであり、基板161の表面が−NH2、−NH−の場合、XはHOOC−、NCO−などである。
【0135】
実施形態2におけるヘテロ金属粒子コートナノワイヤを用いると、半導体ナノワイヤの特定部分に選択的に金属粒子を形成しているため、ナノワイヤ中の任意の位置に化学結合部位を形成することができる。
【0136】
図16(b)の例では、化学修飾したナノワイヤ160が基板161の表面との間で化学結合を形成するのではなく、電極164との間で化学結合を形成している。この場合のナノワイヤ160としては、図8(b)に示すように、両端部に金属粒子がコートされたナノワイヤを用いることが好ましい。
【0137】
ナノワイヤ160の配置位置を規定するため、電極164の任意の位置に、例えばHOOC−(CH2n−SHのような機能性分子を用いて化学修飾を施しておけばよい。ナノワイヤ160がNH2−(CH2n−SHのような機能性分子163で化学修飾されていれば、機能性分子間でアミド結合を形成するようにナノワイヤ160の位置が定まる。従って、電極164の任意の位置へナノワイヤ160を配置することができる。
【0138】
従来の化学修飾を用いてナノワイヤを配置させる方法では、ナノワイヤの成長に必要な触媒金属部を基板と結合させていたため、ナノワイヤの位置や方向を正確に制御することが困難であった。しかしながら、本実施形態では、ナノワイヤの軸方向の広い範囲に化学修飾を施すことができるため、基板や電極などの対象物に対する密着性が向上する。また、対象物の任意の部分を選択的に化学修飾することにより、化学修飾されたナノワイヤ160の位置や向きを対象物に対して自己整合的に規定することができる。
【0139】
(実施形態6)
以下、図17を参照しながら、本発明の本発明の金属粒子を絶縁膜中に埋め込んだメモリ(以下、「ナノワイヤメモリ」と称する。)の実施形態を説明する。
【0140】
図17(a)は、絶縁膜中に金属粒子を埋め込んだナノワイヤ170の断面構造を示し、図17(b)は、ナノワイヤ170を用いて形成したナノワイヤメモリの断面構成例を示している。
【0141】
図17(a)に示すナノワイヤ170は、絶縁膜173に被覆されたナノワイヤ171を有しており、絶縁膜178中に金属粒子172が埋め込まれている。絶縁膜173は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ハフニウム酸化物などから好適に形成される。
【0142】
ナノワイヤ170は、例えば、前述した金属粒子コートナノワイヤの周囲にスパッタ法やレーザーアブレーション法により絶縁膜173を形成した後、熱処理を行い、金属粒子172を絶縁膜173中に拡散させることにより製造することができる。
【0143】
金ドットコートSiナノワイヤを用いる場合は、酸素雰囲気中でナノワイヤを酸化させることにより、シリコン酸化膜中に金粒子を埋め込んだナノワイヤを形成することができる。
【0144】
図17(b)に示すナノワイヤメモリは、絶縁膜173中に金属粒子172を埋め込んだナノワイヤ170を含んでいるが、基本的には、実施形態3のナノワイヤトランジスタの構造と同様の構造を有している。メモリ動作は、ゲート電極142にバイアス電圧を印加することにより、ナノワイヤ171から金属粒子172に電荷を注入する。一方、ゲート電極142に逆バイアス電圧を印加することにより、金属粒子172からナノワイヤ171に電荷を注入することができる。
【0145】
図17(b)のナノワイヤメモリも、実施形態3のナノワイヤトランジスタの製造方法と同様にして製造することができる。
【0146】
本実施形態のナノワイヤメモリでは、本発明の自己組織的に形成された金属粒子172を絶縁膜173中に埋め込んだナノワイヤをメモリに応用することにより、高精度のメモリを形成することができる。また、本発明のナノワイヤを用いると、金属粒子172の密度を成長条件によって制御できるため、粒子密度のバラツキを低減でき、精度を向上したメモリを実現することができる。
【0147】
(実施形態7)
次に、図18及び図19を参照して、本発明による電子装置の実施形態を説明する。本実施形態の電子装置は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備えるディスプレイである。
【0148】
図18は、ディスプレイの構成を模式的に示す。図18のディスプレイでは、基板180上に、複数の画素185がマトリクス状に配置されている。各画素185には、有機EL素子が配置されており、その有機EL素子は、その近傍に配置されたTFTを含む回路で制御される。基板180上には、TFTを制御するためのX走査電極183、Y走査電極184、Xドライバ181、及びYドライバ182が形成されている。
【0149】
図19は、画素近傍の回路図を示す。画素185はスイッチ用トランジスタ190とドライバ用トランジスタ191とによって制御される。これらのトランジスタ190、191は、本発明によるナノワイヤを備えるトランジスタである。
【0150】
Yドライバ182からY走査電極184を介してスイッチ用トランジスタ190のソース電極に電圧が印加される。スイッチ用トランジスタ190のドレイン電極とドライバ用トランジスタ191のゲート電極とは電気的に接続されている。ドライバ用トランジスタ191のドレイン電極は、画素の下部に配置された画素電極(図示せず)に電気的に接続されている。また、ドライバ用トランジスタ191のソース電極には、画素を発光させるための電圧が印加される。
【0151】
一方、スイッチ用トランジスタ190のゲート電極には、Xドライバ181からX走査電極183を介して画像信号電圧が印加される。画像信号の電圧が印加されたスイッチ用トランジスタから、ドライバ用トランジスタ191のゲート電極に電圧が加えられる。これによって、ドライバ用トランジスタから画素電極に電圧が加えられる。図示はしていないが、画素上には透明電極が配置されている。画素電極と透明電極との間に電圧が加わることによって、画素部分が発光する。
【0152】
本発明による電子装置は、上記のディスプレイに限定されず、液晶表示装置や他の電子装置であってもよい。本発明によるナノワイヤは、各種の電子装置に使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明によるナノワイヤは、簡便な製造プロセスにより製造することができ、トランジスタやメモリなどの電子デバイスやマイクロデバイス等へ応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】(a)は、本発明のナノワイヤを示す側面図であり、(b)は、そのA−A線断面図である。
【図2】(a)から(c)は、本発明のナノワイヤの製造方法を示す工程図である。
【図3】実施形態1のナノワイヤTEM像を示す写真である。
【図4】(a)及び(b)は、実施形態1のナノワイヤ元素分析結果を示すグラフである。
【図5】(a)は、実施形態1のナノワイヤ断面TEM像を示す写真であり、(b)は、その一部を拡大した写真である。
【図6】(a)及び(b)は、実施形態1のナノワイヤ元素分析結果を示すグラフである。
【図7】(a)から(c)は、実施形態1のナノワイヤの製造方法を示す工程図である。
【図8】(a)から(c)は、実施形態2のナノワイヤの構造模式図である。
【図9】(a)から(c)は、実施形態2のナノワイヤTEM像を示す写真である。
【図10】(a)から(c)は、実施形態2のナノワイヤ元素分析結果を示す図である。
【図11】(a)は、実施形態3のナノワイヤ構造模式図であり、(b)は、そのB−B線断面図である。
【図12】実施形態3のナノワイヤトランジスタ構造斜視図である。
【図13】(a)は、実施形態3のナノワイヤトランジスタの上面図であり、(b)は、そのC−C線断面図である。
【図14】(a)から(c)は、実施形態3のナノワイヤトランジスタの製造方法を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は、実施形態4のナノワイヤセンサー構造図である。
【図16】(a)は、化学修飾されたナノワイヤを示す図であり、(b)は、基板の任意の位置に配置された実施形態5のナノワイヤを示す図である。
【図17】(a)は、実施形態6のナノワイヤの断面図であり、(b)は、当該ナノワイヤを備えるメモリ素子の断面図である。
【図18】実施形態7の有機ELディスプレイ模式図である。
【図19】実施形態7の画素駆動用トランジスタの回路図である。
【図20】(a)から(c)は、従来のナノワイヤ構造模式図である。
【図21A】雰囲気ガス圧力0.2Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示すSEM写真である。
【図21B】雰囲気ガス圧力0.2Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示す断面TEM写真である。
【図22A】雰囲気ガス圧力0.01Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示すSEM写真である。
【図22B】雰囲気ガス圧力0.01Torrで成長させたシリコンナノワイヤを示す断面TEM写真である。
【図23A】高真空(UHV)のもとで450℃、10分の熱処理(Anneal)を行ったサンプルのTEM写真(高倍率)である。
【図23B】高真空(UHV)のもとで450℃、10分の熱処理(Anneal)を行ったサンプルのTEM写真(低倍率)である。
【図24A】低真空(0.3Torr)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(高倍率)である。
【図24B】低真空(0.3Torr)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(低倍率)である。
【図25A】大気暴露後に大気圧(窒素雰囲気)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(高倍率)である。
【図25B】大気暴露後に大気圧(窒素雰囲気)のもとで450℃、10分の熱処理を行ったサンプルのTEM写真(低倍率)である。
【符号の説明】
【0155】
101 微粒子コートナノワイヤ
102 触媒金属
103 微粒子
102a 触媒金属と半導体材料の合金
104 ナノワイヤ本体
105 基板
106 原料ガス
110 金ドットコートSiナノワイヤ
111 Siナノワイヤ本体
112 金属粒子
113 シリコン酸化膜(自然酸化膜)
114 触媒金属粒子
115 シリコン基板
116 ジシランガス
120 金属粒子の存在する領域
121 金属粒子の存在しない領域
122 金触媒
123 金ドットの存在する領域
124 金ドットの存在しない領域
130 コンタクトドープへテロ金属粒子コートナノワイヤ
131 不純物がドープされた金属粒子コート領域
132 半導体ナノワイヤ
133 不純物がドープされた領域
134 半導体と金属の合金粒子
140 ナノワイヤトランジスタ
141 基板
142 ゲート電極
143 ゲート絶縁膜
144 ソース電極
145 ドレイン電極
150 化学修飾されたナノワイヤ
151 機能性分子
152 金属粒子
153 半導体ナノワイヤ本体
160 化学修飾されたナノワイヤ
161 基板
162 金属粒子
163 機能性分子
164 電極
165 化学結合
170 絶縁膜中に金属粒子の埋め込まれたナノワイヤ
171 ナノワイヤ
172 金属粒子
173 絶縁膜
180 フレキシブル基板
181 Xドライバ
182 Yドライバ
183 X走査電極
184 Y走査電極
185 画素
190 スイッチ用トランジスタ
191 ドライバ用トランジスタ
200 半導体ナノワイヤ
201 コア・シェルナノワイヤ
202 コア部
203 シェル部
204 ヘテロナノワイヤ
205 第1の半導体ナノワイヤ
206 第2の半導体ナノワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材料から形成された結晶性半導体のナノワイヤ本体と、
前記半導体を構成する元素を一部に含む第2の材料から形成され、前記ナノワイヤ本体の表面の少なくとも一部に位置する複数の微粒子と、
を備え、
前記ナノワイヤ本体の表面が平滑である、ナノワイヤ。
【請求項2】
前記ナノワイヤ本体の前記平滑な表面のうち、少なくとも前記複数の微粒子と接触している部分には、酸化膜が実質的に形成されていない請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項3】
前記ナノワイヤの平均直径は1nm以上1μm以下である請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項4】
前記複数の微粒子は、前記ナノワイヤ本体の表面の全体に分散している請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項5】
前記ナノワイヤ本体の表面は、前記複数の微粒子が分散している第1領域と、前記複数の微粒子が形成されていない第2領域とに分かれている請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項6】
前記複数の微粒子は、少なくとも一種類の金属元素を含有する請求項1から5のいずれかに記載のナノワイヤ。
【請求項7】
前記複数の微粒子は、金属、または金属と前記第1の材料との合金から形成されている請求項6に記載のナノワイヤ。
【請求項8】
前記第2の材料は、金、銀、銅、及びイリジウムからなる群から選択された少なくとも1種の金属を含有している請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項9】
前記複数の微粒子の平均粒径が20nm未満である請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項10】
前記ナノワイヤ本体は単結晶である請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項11】
前記第1の材料は、シリコン、ゲルマニウム、及び炭素からなる群から選択された少なくとも1種の材料から形成されている請求項1に記載のナノワイヤ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載のナノワイヤを備える電界効果トランジスタであって、
前記ナノワイヤに形成されたチャネル領域と、
前記ナノワイヤに接続され、ソース領域及びドレイン領域として機能する電極と、
前記チャネル領域の少なくとも一部における導電性を制御するゲート電極と、
前記ゲート電極を前記チャネル領域から電気的に絶縁するゲート絶縁膜と、
を備える電界効果型トランジスタ。
【請求項13】
前記ナノワイヤの表面のうち、前記電極と接触する領域に前記複数の微粒子の少なくとも一部の微粒子が存在している請求項12に記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項14】
前記ナノワイヤのうち、前記電極と接触する部分に不純物がドープされている請求項13に記載の電界効果型トランジスタ。
【請求項15】
前記微粒子に機能性分子が化学修飾されている請求項1から11のいずれかに記載のナノワイヤ。
【請求項16】
前記機能性分子は、前記微粒子との結合部位に−SH基を含んでいる請求項15に記載のナノワイヤ。
【請求項17】
前記機能性分子は、X−(Cnm)−SH(n、mは自然数)且つX:−NH2、−COOH、−Cxy、−Cab(x、y、a、bは自然数)である請求項16に記載のナノワイヤ。
【請求項18】
センシング部として機能する請求項1から9のいずれかに記載のナノワイヤと、
前記ナノワイヤに接続された第1の電極及び第2の電極と、
を備えるセンサー。
【請求項19】
請求項15から17のいずれかに記載のナノワイヤと、
前記機能性分子を介して前記ナノワイヤと化学的に結合した部材と、
を備える電子装置。
【請求項20】
請求項1から9のいずれかに記載のナノワイヤを備える電子装置。
【請求項21】
前記ナノワイヤにおける前記複数の微粒子と接触する電極を備える請求項20に記載の電子装置。
【請求項22】
表面に触媒金属粒子が配置された基板を用意する工程(A)と、
前記基板上に第1の材料から形成されたナノワイヤ本体を成長させる工程(B)と、
を含む、ナノワイヤの製造方法であって、
前記工程(B)において、第2の材料から形成された複数の微粒子を前記ナノワイヤ本体の表面の少なくとも一部に成長させる、ナノワイヤの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図3】
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【図5】
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【図9】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24A】
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【図24B】
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【図25A】
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【図25B】
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【公開番号】特開2008−28373(P2008−28373A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151882(P2007−151882)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】