説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置および地図表示方法

【課題】端末装置に送信する3次元表示のためのポリゴン、テクスチャーのデータ量を抑制することができるナビゲーションシステムを提供する。
【解決手段】ナビゲーションシステム10は、面ごとのポリゴンデータと各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャー画像を蓄積した3次元表示用データベース318、ポリゴン選択手段319、テクスチャー処理手段321を備える。ポリゴン選択手段319が視点位置から見えるオブジェクトの面を選択し、テクスチャー処理手段321は、ポリゴン選択手段319が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、代表テクスチャーを画像データで、他の共通テクスチャーは識別符号に置き換え、ポリゴンとともに端末装置20に配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信型のナビゲーションシステムや地図表示システムなどにおける3次元地図表示データに用いられるテクスチャーデータのダウンロード方式に関するものであり、特に、経路探索サーバが地図表示装置の現在位置や移動方向に基づいて、現在位置から見える面を判別してそのポリゴンデータを地図表示装置に送信する際に、当該ポリゴンの面に配置する各テクスチャーデータを、識別符号を付してグルーピングし、繰り返しパターンとなるテクスチャーデータは識別符号で表現して地図表示装置に送信し、テクスチャーデータの通信量を抑制するようにしたナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、見知らぬ土地において目的地となる場所を訪れる場合、地図帳等を頼りに当該地図に描かれた交通機関、道路やランドマーク及び住所を確認しながら到達していた。また、カーナビゲーションシステム(以後単にカーナビと言う)を搭載した自動車においては、該カーナビを起動して目的地を入力することによりナビゲーションシステムからモニタ画面に表示される案内や音声出力される案内(ナビゲーション情報)を得ながら目的地に到達していた。
【0003】
上記カーナビは、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用したものであり、地球上を周回している複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナで受信し、該GPS信号に含まれる衛星位置や時計情報等を解析して位置の特定を行うものである。該複数のGPS衛星の個数は少なくとも4個以上必要である。GPSの単独測位精度は一般的に10m強であるが、DGPS(Differential GPS:ディファレンシャルGPS)を採用することにより5m以下に向上する。特に、現在は一部の携帯電話にしか搭載されていないGPS受信機が、第三世代と称される携帯電話では全ての機種に搭載されるようになってきている。
【0004】
このような測位機能を有する携帯端末の利用技術としては、種々の分野の技術が提案されており、例えば、自動車用のナビゲーション装置(カーナビ)を発展させ、携帯電話を端末として地図・経路情報を情報配信サーバ(経路探索サーバ)から配信する歩行者用の通信型ナビゲーションシステムが提案されている。
【0005】
近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、ユーザに対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。ナビゲーションサービスもその1つであり、自動車の運転者のみならず携帯電話ユーザに対して現在位置から目的地までの経路案内を提供する通信ナビゲーションシステムが実用化されている。
【0006】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0007】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0008】
一般的に通信型のナビゲーションシステムにおいて、端末装置が表示する地図情報は、ネットワークを介して接続される経路探索サーバなどのサーバ装置からダウンロードする。例えば、下記の特許文献2(特開2003−247833号公報)や特許文献3(特開2003−232644号公報)には、このような通信型のカーナビゲーション装置、地図データのダウンロード方式の発明が開示されている。
【0009】
上記特許文献2に開示されたナビゲーション装置は、車両に走行中にサーバからの地図情報のダウンロードを許可するか否かを、ユーザが選択設定できるようにしたものであり、次のように構成される。端末側が次の地図を必要とするとき、これがメモリカードにダウンロードされているときには、これを用いて地図表示をする。次の地図情報がダウンロードされておらず、地図情報のダウンロードが許可されている場合には、サーバからこれをダウンロードし、メモリカードに書き込んで使用できる状態とする。しかし、ダウンロードが許可されていないときには、もともとメモリカードに格納されている広域地図を用い、その縮尺率を縮小することにより、拡大して表示するようにする。
【0010】
また、上記特許文献3に開示された地図データのダウンロード方式は、一般道路か、高速道路か、インターチェンジ付近か又は高速走行中か低速走行中か等の、自動車の走行状態に応じて、ダウンロードセンターから送信される地図データ、すなわちダウンロードする地図データを選択してダウンロードするように構成したものである。これによりユーザが必ずしも必要としない多量の地図データがダウンロードセンター側から送信されることを抑制したものである。
【0011】
ところで、経路探索サーバなどの情報配信サーバから案内経路の配信を受けた端末装置は液晶表示装置などの表示手段を備えており、表示手段に地図および案内経路を表示するとともに歩行者や自動車の現在位置(端末装置の現在位置)を案内経路上に表示して歩行者や自動車を目的地まで案内する。一般的に表示手段に表示する地図は平面図、すなわち、2次元図形の表示であるが、表示画像に遠近感をもたせた平面鳥瞰図やランドマークや建物の様子を視認し易くするため建物を擬似的に3次元的表現した鳥瞰図を表示する方法や、道路や建物をZバッファ法により3次元ポリゴン画像として表示する方法も提案されている。
【0012】
例えば、下記の特許文献4(特開2001−27535号公報)には、建物や道路を立体的に表示するようにした地図表示装置が開示されている。この特許文献4に開示された地図表示装置においては、3次元地図表示を行う際に、道路に経路案内線に影をつけて立体的に表示するように構成している。また、経路案内線が建物に隠れる位置関係となる場合、その経路案内線の重複部分について重複しない部分と色を変えて表示する。特に、VRAM(ビデオRAM)上で経路案内線の表示色と建物の表示色とを画素単位に互い違いに設定する半透過の手法で描画し、経路案内線と建物との相対的な位置関係を明確にして経路案内線の視認性を向上するようにしている。
【0013】
上記のような表示を行うため、特許文献4に開示された地図表示装置において、地図データには、建物の形状データと高さ情報が記憶され、また、立体交差なども道路の形状データが記憶されている。この地図データに基づいて、建物や道路の立体交差部を描画部に3次元的に描画し、車両が進行し経路案内すべき位置に来ると描画部に所望の画像を描画した、音声出力部に所定の音声を発声させて、使用者を目的地へ案内するように構成している。
【0014】
一般に、ポリゴンデータを用いた地図の3次元的な表示は次のように行われる。すなわち地図に表示するそれぞれの建物を構成する各面をポリゴンデータで準備しておき、地図データとともに建物のポリゴンデータを地図表示装置に送る。地図表示装は地図を表示するとともにその地図上に位置する各建物を、ポリゴンデータを使用して3次元的に表示するものである。この時、建物をよりリアルに表示するため、建物の各面に更にテクスチャーを張り付けて表示する。テクスチャーは建物の面の模様を示すデータであり、建物の窓の形状や、壁面の模様などである。
【0015】
例えは、下記の特許文献5(特開2000−259861号公報)には、ポリゴンデータにテクスチャーを貼り付けて描画するようにしたテクスチャーマッピング装置の発明が開示されている。この特許文献5に開示された発明は、ポリゴンにテクスチャーを正確かつ効率良く貼り付け、その後の編集を容易にするものであ。このテクスチャーマッピング装置は、ワイヤフレーム上のM行N列に配列された四角形のポリゴンP1〜P4とそれに貼り付けるテクスチャーを指定する。指定された複数のポリゴンP1〜P4の辺の長さLp1〜Lp12の比に応じて、貼り付け対象のテクスチャーを分割する。分割されたテクスチャーを、対応するポリゴンに、ポリゴンの向きを考慮して貼り付けるように構成したものである。
【0016】
このようにポリゴンのデータとテクスチャーのデータを用いて建物を3次元表示する場合、建物の各面を示すポリゴンデータと、この面に張り付けるべきテクスチャーデータは1対1に対応するデータであり、ポリゴンデータとともにテクスチャーデータも予めサーバのデータベースに蓄積され、所定の範囲の地図データとともに、その地図上に表示すべき建物のポリゴンデータ、テクスチャーデータが地図表示装置に送信される。
【0017】
ところで、大きなビルなどの建物の壁面(各面のポリゴン)に張り付けるテクスチャーは、繰り返し模様になる場合が多い。例えば、規則正しく配置された窓やバルコニーなどが多数、繰り返し配置されているテクスチャーの場合、テクスチャーの画像データを削減するために、繰り返し配置される窓やバルコニーの1つを代表テクスチャーとして用意することが行われる。この場合、代表テクスチャーの繰り返しになる全てのテクスチャーをテクスチャーグループとし、テクスチャーグループにはユニークな識別符号を付与して繰り返し配置するポリゴン上の位置のデータをデータベースに蓄積することが行われている。
【0018】
通信型の地図表示システムやナビゲーションシステムにおいて、端末装置である地図表示装置に上記のような建物を3次元表示する場合、地図データや案内経路データを提供する経路探索サーバと端末装置間のデータ転送負荷が問題になる。クライアントである端末装置の数が多くなると、ネットワーク負荷が増大して、1端末あたりのサービス間隔が長くなり不都合が生ずる。
【0019】
本願の出願人は、このような不都合を解消することを目的として、特願2006−078669号(以下、先願1と称する)の発明を既に出願している。この先願1の発明にかかる3次元地図表示方法は、3次元表示する建物のポリゴンデータのうち、端末装置の位置および進行方向の情報に基づき、端末装置から見える面のポリゴンデータのみを経路探索サーバから端末装置に配信するように構成したものである。これにより経路探索サーバから端末装置に送信する建物のポリゴンデータのデータ量を抑制することができる。
【0020】
図8は、先願1の3次元地図表示方法の概念を説明するため模式図である。建物のポリゴンは、図8に示すように建物を構成する面の図形データから構成されている。図8において、建物Aは面SA1、SA2、SA3などの面の図形データから構成され、各面の向きを示す法線ベクトルを有している。例えば、建物Aの面SA1は法線ベクトルA1を有している。また、図8では建物の裏側の面は見えていないが裏側の各面SA4、SA5、SA6のポリゴンデータが同じように用意されている。例えば、面SA1の裏側の面は面SA4であり、面SA1の法線ベクトルA1とは逆向きの法線ベクトルA4を有している。なお、この図8は空間の位置関係を説明するために作図したもので、端末装置20に表示される画像ではない。
【0021】
建物Bについても同様であり、面SB1〜SB6の面の図形データから構成され、各面の向きを示す法線ベクトルを有している。これらのポリゴン図形を表示するには、視点位置から各建物の面を見た場合、視点位置から注目する面を見込むベクトルとその面ポリゴンデータに含まれる法線ベクトルから、当該面が視点位置から見えている面か否かと、面の向いている方向を知ることができ、これに基づいてポリゴンを表示することができる。
【0022】
例えば、図8の視点位置Pから注目する面が建物Aの面SA1であるとすると、視点位置Pから面SA1を見込むベクトルVA1をとる。このベクトルVA1と法線ベクトルA1の成す角度θA1(両ベクトルの内積をとればよい)が直角未満であれば、この面の表面は視点方向に向いていることが分かる。従って、この面は表示手段に表示される面であることがわかる。ベクトルVB1と法線ベクトルB1のように両ベクトルの成す角度が直角以上ならば、視点位置からは見えていない面であり、この面を表示手段に表示されないことがわかる。図8においてEは視点位置の高さであり、歩行者が端末装置を使用している場合は、平均的な目の高さ(約1.5m)である。
【0023】
このように、端末装置20が3次元の表示を行う場合、ポリゴンデータの全てが必要なわけではなく、視点位置から見えている面のポリゴンデータのみあれば足りるのである。そこで、先願1においては、端末装置が3次元表示を行う場合、端末装置から現在位置を含む視点情報を経路探索サーバに送信し、経路探索サーバが当該視点情報に基づいて表示に必要な面のポリゴンデータを選択して端末装置に配信するように構成している。端末装置においては、受信した面のポリゴンデータを基に、周知のZバッファ法などを用いて、実際に視点から見える画像を描画していく。
【0024】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2003−247833号公報(図1、図6)
【特許文献3】特開2003−232644号公報(図1)
【特許文献4】特開2001−27535号公報(図1、図4、段落[0054])
【特許文献5】特開2000−259861号公報(図2、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
先に述べたようにリアルな3次元表示は、特許文献5のように建物などの面を実際の形状を模したポリゴン(面のデータ)で表現するだけでなく、実際のイメージに近いテクスチャー(面の模様や細部の形状など)をポリゴン上に貼り付けることによって行う。このためには3次元表示用のデータベースに用意されることが必要である。テクスチャーは写真などを用いた実写によるイメージデータで用意することも考えられるが、実物と1対1に対応したデータではデータ量が多くなりすぎ、現実的ではない。
【0026】
たとえば、マンションやオフィスビルに見られるような均一な繰り返しパターンのある画像は、それぞれ小さなテクスチャーを並べて用意されている。通信型のナビゲーションシステムや地図表示システムにおいて、端末装置で3次元表示を行う際には、このテクスチャーのデータが経路探索サーバや地図サーバなどのサーバから端末装置に送信されて、グラフィックエンジンが表示手段の所定の位置に3次元描画を行う。
【0027】
サーバから端末装置に全ての3次元表示のためのデータ(ポリゴンデータ、テクスチャーデータ)を送信するのは通信負荷が増大するので好ましくない。ポリゴンデータについては、先願1に開示されたように、端末装置の現在位置、視点位置、進行方向を経路探索サーバに送信することにより、端末装置から見える建物の面を特定して、その面のポリゴンデータのみを端末装置に送信することで、経路探索サーバが端末装置に送信するデータ量を抑制することができる。
【0028】
ポリゴンと同様に、サーバから端末装置に全てのテクスチャーを送信するのは無駄であり、同じイメージ(繰り返し使用される)であるテクスチャーはグループにして代表イメージにユニークなナンバーを付けて送信し、あとはそのナンバーを参照するようにすれば、データの重複送信をしなくて済む。
【0029】
ところで、テクスチャーデータを蓄積するデータベース上で、代表イメージ(繰り返し使用されるテクスチャーの画像データ)にユニークなナンバーを付けることは容易なようで、実は大変な困難を伴う。
【0030】
第1には、データベース全体を見渡して、同じテクスチャー(あるいは極めて類似なテクスチャー)のグルーピングを行うことができない。テクスチャー1つに注目しても、既存の代表イメージに等しいか、あるいは他に同じテクスチャーがあって、自らが代表イメージになるべきかを調べるには膨大な処理を伴う。ポリゴンやテクスチャーによる3次元表示データも逐次更新されるので、その都度この処理を行うことは不可能である。
【0031】
またテクスチャーのテーブルを別に作ったとしても、必ずしも使うとは限らないテクスチャーを含めて端末装置にダウンロードすることになり効率的でない。さらに、3次元データを更新する際に、削除したいテクスチャーが他に使われているかどうかも調べないとテーブルから削除できず、テクスチャーデータのメンテナンスにかかる負荷が非常に大きくなる。これらの処理を所定の大きさに区切られた地図メッシュ(単位地図)の範囲に区切って行うようにしても解決されない問題である。
【0032】
第2には、先願1のように必要な面のポリゴンのみを端末装置に送信する方法を取った場合、端末装置から見えない面(陰面という)のデータは端末装置に送信しいなので、3次元データベース上、陰面になるポリゴンに対応したテクスチャーの中にグルーピングしたテクスチャーにおける代表イメージとなるデータがあると、その代表テクスチャーは端末装置に送信されず、送信されるポリゴンに対応したテクスチャーはグルーピングしたテクスチャーグループに割り当てたナンバーのみが送信される。このため、代表となるテクスチャーの実体(画像データ)が端末装置に送信されていないので表示できなくなるという問題点が生じる。
【0033】
どの面のポリゴンが陰面になるかは、端末装置の位置や進行方向によって異なるので特定することができず、予め面を選んで代表テクスチャーを配置することもできない。
【0034】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、現在ではデータベースを構成する記憶装置は、それ程高価でなく十分な記憶容量を準備できることから、全ての繰り返し使用される同じ画像データのテクスチャーも含め、全てのテクスチャーデータをデータベースに蓄積しておき、経路探索サーバが地図表示装置の現在位置や移動方向に基づいて、現在位置から見える面を判別してそのポリゴンデータを地図表示装置に送信する際に、当該ポリゴンの面に配置する各テクスチャーデータを、識別符号を付してグルーピングし、繰り返しパターンとなるテクスチャーデータは識別符号で表現して地図表示装置に送信するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0035】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、端末装置に送信する3次元表示のためのポリゴン、テクスチャーのデータ量を抑制することができるナビゲーションシステム、経路探索サーバ、端末装置および地図表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0036】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
3次元の地図を表示する表示手段を有する端末装置と、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備えた経路探索サーバとを備えたナビゲーションシステムであって、
前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0037】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段は、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【0038】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記ポリゴン選択手段は、前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択することを特徴とする。
【0039】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、
前記ナビゲーションシステムは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段は、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とし、前記ポリゴン選択手段は、該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択することを特徴とする。
【0040】
また、本願の請求項5にかかる発明は、
経路探索サーバから配信されるポリゴンデータとテクスチャーデータに基づいて3次元の地図を表示する表示手段を有する端末装置とネットワークを介して接続される経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備え、
前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記端末装置に配信することを特徴とする。
【0041】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段は、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする請求項5に記載の経路探索サーバ。
【0042】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項5にかかる経路探索サーバにおいて、
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記ポリゴン選択手段は、前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択することを特徴とする。
【0043】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項5にかかる経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段は、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とし、前記ポリゴン選択手段は、該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択することを特徴とする。
【0044】
また、本願の請求項9にかかる発明は、
3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備え、前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから受信したポリゴンデータとテクスチャーデータに基づいて地図を3次元表示する表示手段を備え、
前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする。
【0045】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる端末装置において、
前記端末装置は、更に、視点位置を検出する視点位置検出手段を備え、前記視点位置検出手段が検出した視点位置情報を前記経路探索サーバに送信することを特徴とする。
【0046】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
3次元の地図を表示する表示手段と、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備えたナビゲーションシステムにおける地図表示方法であって、
前記ポリゴン選択手段が視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する第1のステップと、
前記テクスチャー処理手段が、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとする第2のステップと、
前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーデータを前記端末装置に配信するステップと、を有することを特徴とする。
【0047】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項11にかかる地図表示方法において、
前記ナビゲーションシステムは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記第1のステップは、前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段が、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する処理を含み、前記表示手段が、前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示するステップを有することを特徴とする。
【0048】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項11にかかる地図表示方法において、
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記第1のステップは、前記ポリゴン選択手段が前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択する処理を含むことを特徴とする。
【0049】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項11にかかる地図表示方法において、
前記ナビゲーションシステムは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段が、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とするステップを有し、前記第1のステップは、前記ポリゴン選択手段が該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0050】
請求項1にかかる発明においては、各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースを備え、ポリゴン選択手段が視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、テクスチャー処理手段が、ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに端末装置に配信する。
【0051】
このような構成によれば、経路探索サーバから端末装置に送信される3次元表示用のデータは、端末装置から見える面のポリゴン、当該ポリゴンに貼り付けられるテクスチャーのみであり、テクスチャーのデータは、同一のテクスチャーデータについてはグルーピングされ、グルーピングされたテクスチャーにおいては、代表テクスチャーのデータのみが画像データで送信されるから、送信データ量を大幅に軽減することができるようになる。
【0052】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーションシステムは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、ポリゴン選択手段は、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示する。
【0053】
このような構成によれば、ナビゲーションシステムは視点位置(例えば、端末装置の位置)から見える面のポリゴンのみを選択することができるようになり、端末装置は、端末装置から見える面のポリゴン、当該ポリゴンに貼り付けられるテクスチャーのみによって地図を3次元表示することができるようになる。
【0054】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記ポリゴン選択手段は、前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択する。
【0055】
このような構成によれば、ナビゲーションシステムは端末装置から見える面のポリゴンのみを選択することができるようになる。
【0056】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、ナビゲーションシステムは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段は、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とし、前記ポリゴン選択手段は、該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する。
【0057】
このような構成によれば、ナビゲーションシステムは端末装置の要求に基づいて経路探索して端末装置に送信した案内経路上の視点位置に基づいて端末装置から見える面のポリゴンを選択することができるようになる。
【0058】
請求項5ないし請求項8にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項4にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになり、請求項9、請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項2にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができるようになる。また、請求項11ないし請求項14にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項4にかかるナビゲーションシステムを実現する地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【0060】
また、以下の実施例においては、経路探索機能を有するナビゲーションシステムを例として本発明を詳細に説明するが、経路探索機能は必須の機能ではなく、本発明において、ナビゲーションシステムは少なくとも端末装置の位置に基づいて地図情報を配信する地図表示システムとしての機能を有していればよい。従って、本発明において、ナビゲーションシステムは地図表示システムを含む広義のナビゲーションシステムを指し、経路探索サーバは地図提供サーバを含む広義のサーバを指す。
【実施例1】
【0061】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。ナビゲーションシステム10は、図1に示すようにインターネットなどのネットワーク12を介して接続される端末装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。経路探索サーバ30は、経路探索手段316、探索用ネットワークデータ317、地図データを蓄積した地図データベース315、道路や建物の3次元ポリゴンおよびテクスチャーなどのデータを蓄積した3次元表示用データベース318、テクスチャー処理手段321を備えている。
【0062】
3次元表示用データベース318に蓄積される建物のデータは建物の各面を構成するポリゴンと、各面のポリゴンに貼り付けられるテクスチャーとが対応付けられて蓄積されており、テクスチャーは、繰り返し使用される画像を含め全てのテクスチャーが画像データとして蓄積されている。テクスチャー処理手段321は、端末装置20に送信するポリゴンが特定されると、同一の画像データからなるテクスチャーをグループ分けして識別番号を付し、グループの代表テクスチャーを決定し、グループ分けされた他のテクスチャーは識別符号に置き換えて表現し、画像データそのものは代表テクスチャーのみ端末装置に送信するようにされる。この処理の詳細は後で詳述する。
【0063】
経路探索サーバ30は、端末装置20から現在位置、目的地、移動手段(自動車、徒歩、交通機関あるいは徒歩と交通機関併用など)などの経路探索条件を含む経路探索要求があると、探索用ネットワークデータ317を参照して経路探索条件に合致した最短の案内経路あるいは経路長順に複数の案内経路を探索する。探索の結果得られた案内経路のデータは、地図データベース315から選択した現在位置を含む複数の単位地図データ(緯度・経度で所定の大きさのエリアに区分された地図データ)や3次元表示用データベース318から選択した前記単位地図データ上の道路や建物の3次元表示用のポリゴン、テクスチャーのデータとともに端末装置20に配信される。
【0064】
探索用ネットワークデータ317は、道路ネットワークデータ317A、交通ネットワークデータ317Bを備えており、徒歩や自動車あるいは交通機関を利用した経路を探索することができる。道路ネットワークデータ317A、交通ネットワークデータ317Bは、ノードの高度情報を持たない通常の平面地図に基づくネットワークデータである。従って、経路探索手段316によって探索された案内経路のデータは平面的な経路のデータであって、高度情報を持たない。
【0065】
端末装置20は、経路探索サーバ30から目的地までの案内経路を受信すると、表示手段221に現在位置付近の地図を表示する。表示手段に表示される地図画像には、案内経路と現在位置を示す現在位置マークとが重ね合わせて表示される。一般的には現在位置マークを表示画面の中央にして、所定の大きさの単位地図が表示される。3次元の立体的な地図表示を行う場合は、経路探索サーバ30から現在位置周辺の道路、建物の3次元表示用のポリゴン、テクスチャーのデータを受信して表示する。
【0066】
建物のポリゴンのデータは、後述するように建物などのオブジェクトを構成する各面のデータからなる。本発明においては、端末装置20は視点位置検出手段214により端末装置20における視点位置、視線の方向などを含む視点位置情報を経路探索サーバ30に送信する。経路探索サーバ30は端末装置20から受信した視点位置情報に基づいて、後述する方法により、端末装置20から見える面に該当するポリゴンデータのみを選択して端末装置に配信する。
【0067】
端末装置20は経路探索サーバから受信したポリゴンデータに基づいて、3次元の地図、建物の画像を表示手段221に表示する。この結果、経路探索サーバ30と端末装置20との間で送受信されるポリゴンデータは、端末装置20の視点位置に従って、当該視点位置から見ることのできる面のポリゴンデータのみとなるので、必要最小限度のデータ量で済ませることができるようになる。また、各面に貼り付けられるテクスチャーのデータも繰り返しになる画像はグルーピング処理され、代表テクスチャーのみ画像データで、グルーピングされたテクスチャーはグループの識別番号で端末装置に送信されるので、必要最小限のデータ量に抑制することができる。
【0068】
経路探索サーバ30はまた、制御手段311、通信手段312、配信データ編集手段313、案内経路データ作成手段314、ポリゴン選択手段319、視点位置設定手段320を備えている。制御手段311は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段312は、ネットワーク12を介して端末装置20と通信するためのインターフェースである。案内経路データ作成手段314は前述のようにして探索された案内経路のデータや地図データ、ガイダンスポイント、ガイダンスポイントにおけるガイダンスのデータなどを作成し、配信データ編集手段313が案内経路などのデータを端末装置20に配信するためのデータに編集する。
【0069】
道路ネットワークデータ317Aは以下のように構成されている。例えば、道路が図2に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0070】
すなわち、図2において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図2では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0071】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図2において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0072】
図2ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0073】
交通ネットワークデータ317Bのデータも基本的には道路ネットワークデータと同様であるが、路線を運行する電車のそれぞれが各駅間のリンク(各駅がノード、駅間を結ぶリンク)を構成するものとしてネットワークデータが作成されている。従って案内経路はリンクである電車を特定したものとなる。このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定して案内経路が特定される。
【0074】
一方、端末装置20は、例えばGPS受信機などからなるGPS測位手段212を搭載した携帯電話機であり、制御手段211、GPS測位手段212、表示モード制御手段213、視点位置検出手段214、2次元表示制御手段215、3次元表示制御手段216、通信手段217、配信要求編集手段218、配信データ記憶手段219、VRAM220、表示手段221、操作・入力手段222などを備えて構成されている。利用者は、徒歩あるいは交通機関を移動手段として選択し、徒歩や交通機関を利用した経路案内を受けることができ、また、自動車の助手席に同乗した時には移動手段として自動車を選択して経路案内を受けることができる。
【0075】
制御手段211は、図示してはいないがRAM、ROMを有するマイクロプロセッサ(CPU)を備えて構成され、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。操作・入力手段222は、数字キーやアルファベットキー、その他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなる操作・入力手段ためのものであり、出力手段である表示手段221に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、キーを操作して種々の入力操作を行うものである。従って、表示手段221は操作・入力手段222の一部としても機能する。通信手段217は、ネットワーク12を介して経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースである。
【0076】
利用者が経路探索サーバ30に経路探索を依頼しようとする場合、端末装置20において操作・入力手段222を操作し、表示手段221に表示されるサービスメニューから経路探索を選択し、現在位置、目的地、移動手段(自動車、徒歩、交通機関あるいは徒歩と交通機関併用など)などの経路探索条件を入力する。経路探索条件は配信要求編集手段218で経路探索サーバ30への配信要求に編集され、通信手段217を介して経路探索サーバ30に送信される。
【0077】
経路探索サーバ30からの配信データは配信データ記憶手段219に一時記憶され、必要に応じて配信データ記憶手段219から読み出され、表示手段221に表示される。端末装置20は、配信データに含まれる地図、案内経路、建物画像などを2次元表示あるいは鳥瞰図表示する第1の表示モード(以下、2次元表示モードという)と、3次元表示する3次元表示する第2の表示モード(以下、3次元表示モードという)と、を有しており、表示モード制御手段213が2次元表示制御手段215、3次元表示制御手段216の何れかを選択的に動作させ表示手段221への表示を行う。利用者は操作・入力手段222を用いて所望の表示モードを指定する。
【0078】
2次元表示制御手段215は経路探索サーバ30から配信される地図、道路、案内経路、建物などの平面データを用いてそれらを2次元の画像(平面画像)として表示する制御を行う。鳥瞰図表示をする場合、2次元表示制御手段215は、2次元の地図や道路を所定の高度の視点位置から見た鳥瞰図の画像を作成して表示する制御を行う。3次元表示制御手段216は経路探索サーバ30から配信される地図、道路、建物などの3次元ポリゴンのデータを用いて3次元画像に処理して表示する制御を行う。2次元表示制御手段215、3次元表示制御手段216により作成された画像データは、描画手段であるVRAM220にドット単位で展開され、表示手段221に所望の表示モードの画像が表示される。
【0079】
GPS測位手段212は端末装置20の現在位置を周期的に測位し、現在位置(緯度・経度)を取得する。GPS測位手段212で測位したこの現在位置を示す現在位置マークが表示手段221に表示される地図や案内経路などの画像に重ね合わせられて表示される。
【0080】
次に、本発明における3次元表示のためのテクスチャーデータのグルーピング方法について説明するが、それに先立って、端末装置20に送信するポリゴンの選択処理を説明する。この選択処理は先願1の発明と同様である。すなわち、経路探索サーバ30において、ポリゴン選択手段319は、端末装置20から受信した視点位置情報または視点位置設定手段320が設定した所定の視点位置の情報に基づいて3次元表示用データベース318に蓄積された3次元ポリゴンデータから、端末装置20から見える面に該当するポリゴンデータのみを選択する。
【0081】
例えば、図3に示すように端末装置20がノードPn−1〜ノードPn〜ノードPn+1の案内経路にそって進んでおり、端末装置20がこの経路上を進んでいる時の視野範囲が円で示されているものとする。視野範囲Vnの建物A、B、Cが見える位置に端末装置20が到達した時、端末装置20から見える建物を面単位(面のポリゴン)で考慮すると、建物Aの面H0、建物Bの面H1、建物Cの面H2は端末装置20から見える面であり、建物Aの面H3は該建物Aの前側の面H0に隠れて端末装置20から見えない面である(この面を陰面という)。
【0082】
図4は、この様子を立体的に示した模式図である。端末装置20がノードPn−1からPnに向かって進んでいる時、端末装置20から建物Aの面H0、建物Bの面H1、建物Cの面H2を見ることになるが、建物Aの面H3は手前の面に隠れて見ることができない。なお、図4において参照符号hは、端末装置20の利用者の視点位置の高さを示している。例えば、端末装置20が携帯電話である場合、携帯電話を使用する利用者の目の高さである。この視点位置と、端末装置20の進行方向と、建物の各面のポリゴンの法線ベクトルから、端末装置20から見えるポリゴンを算出する。この算出方法は、図8を参照して説明した先願1と同様の方法である。
【0083】
すなわち、建物のポリゴンは図8を参照して説明したように、建物を、それを構成する面に分解して、それぞれの形状データ、各頂点の位置データ(位置座標)と、各面が持つ向きを示す法線ベクトルとで表すことができ、建物の各面がどちらの方位を向いているかを法線ベクトルによって知ることができる。従って、端末装置20の位置と視線方向がわかれば、端末装置20から見える面を特定することができる。
【0084】
このように、端末装置20が3次元表示を行う場合、端末装置20から視点情報を経路探索サーバ30に送信し、経路探索サーバ30が当該視点情報に基づいて表示に必要な面のポリゴンデータを選択して端末装置20に配信する。端末装置20においては、受信した面のポリゴンデータを基に、周知のZバッファ法などを用いて、実際に視点から見える画像を描画していく。
【0085】
このため、端末装置20は視点位置検出手段214によって視点位置、視線方向を検出して視点情報として経路探索サーバ30に送信する。視点位置は一般にはGPS測位手段212が測位した現在位置(緯度・経度)であり、視線方向は端末装置20の進行方向であるが、ナビゲーションシステムによる経路案内においては、案内経路上の移動方向である。
【0086】
一方、経路探索サーバ30はポリゴン選択手段319を備えており、経路探索サーバ30は端末装置20から視点情報を受信すると、視点位置周辺の所定範囲の3次元ポリゴンデータを3次元表示用データベース318から読み出し、ポリゴン選択手段319は、図8において説明したように、視点位置からオブジェクトである建物の各面を見込むベクトルを作成し、各面が持つ法線ベクトルとのなす角度を計算し、両ベクトルのなす角度が直角以下の面を選択し、その面のポリゴンデータを端末装置20に配信する。
【0087】
なお、ポリゴンデータが法線ベクトルを有していなくても、先に述べたように面の頂点の座標データが左周りに記録されているたりものとすれば、各頂点の座標から面が向いている方向を知ることができ、視点位置、視線方向との関係から、視点位置から見える面を選択することができる。
【0088】
端末装置20に送信されるポリゴンに対応するテクスチャーは、例えば、図5に示すように各面のポリゴンに対応するそれぞれのテクスチャーデータが用意され、3次元表示用データベース318に蓄積されている。すなわち、図5は、図4に対応する建物A〜Cのポリゴンとそのテクスチャーの一例を示すものである。図5では、代表的に建物Aの面H0に対応するテクスチャーTH0、建物Cの面H2に対応するテクスチャーTH2のみを図示している。
【0089】
このように3次元表示用データベース318に蓄積されるテクスチャーのデータは、テクスチャーの共通化など行わず、すべて独立した画像データで構成する。これによって、3次元表示用のデータの更新の自由度が確保され、修正したい部分を自由に修正することができる。もし、テクスチャーを共通化したデータを使いたい場合は、個別のテクスチャーデータ(画像データ)すべて展開しておく。これにより3次元表示用データベースのデータサイズが大きくなるが、これは経路探索サーバ30のデータベースに記憶されるデータなのでその記憶容量を十分に用意しておけば全く問題ない。
【0090】
テクスチャーTH0は、テクスチャーデータA1〜A4〜AP〜Anのように個々のテクスチャーデータが画像データとして3次元表示用データベース318に面のポリゴンデータと対応づけられて蓄積されている。端末装置20に面H0ポリゴンが送信される場合、テクスチャー処理手段321は、テクスチャーTH0に対して次のようなグルーピング処理を行い、繰り返しとなるテクスチャーデータがあれば、代表テクスチャーを決定して識別番号を付与し、そのグループに属するテクスチャーは該当する識別番号で表現したデータとする。
【0091】
例えば、建物Aの面H0のポリゴンデータが端末装置20に送信される場合、テクスチャー処理手段321はテクスチャーTH0のテクスチャーデータA1〜A4〜AP〜Anの先頭(図の斜め上方)から順に着目するテクスチャーデータを決め、他のテクスチャーデータと順次画像マッチングによる比較を行って同一の画像を持つテクスチャーデータがあるかを判定する。この比較は上段左から右に順次行う。画像比較におけるマッチング率に幅を持たせることによってほぼ類似の画像も同一画像として扱うことができる。
【0092】
着目したテクスチャーデータと同一のテクスチャーがなければ、そのテクスチャーデータは画像データとして端末装置20に配信される。同一のテクスチャーがあればそれらのテクスチャーデータはグルーピングされ、ユニークな識別番号を決定し、着目したテクスチャーデータ(画像データ)を代表データとし、その他同一のテクスチャーデータは識別番号に置き換えて端末装置20に送信される。個々のテクスチャーデータ自体は、例えば20ドット×20ドット程度のイメージデータ(画像データ)であり、テクスチャーデータA1〜Anを総当たりで画像マッチング処理してもテクスチャー処理手段321の処理負荷は問題になるほど大きくはない。
【0093】
図5の場合には、建物Aの面H0のテクスチャーTH0において、テクスチャーデータAPのみ異なる画像(例えば、ビルの看板)で、その他のテクスチャーデータは全て同一の窓の画像である。従って、テクスチャーデータAPは画像データのまま、テクスチャーデータAPを除く他のテクスチャーデータA1〜A4〜Anはグルーピングされ、そのグループにユニークな識別番号、例えば「TG01」が決定され、着目したテクスチャーデータA1が代表データ(画像データ)のまま、他のテクスチャーデータは画像データから識別番号「TG01」に変換され、端末装置20に送信される。
【0094】
このようにテクスチャーをグルーピングすれば、図6に示すように、建物Bの面H1のポリゴンに貼るテクスチャー、例えば、左上のテクスチャーデータTG01にナンバー(TG01)が与えられて、テクスチャーTG01の実体データ(画像データ)は1つだけ用意され、他はナンバー(TG01)に置き換え(実体データは削除され)て、端末装置20に送信される。端末装置20では、実体データのTG01を用い、その他はこれを参照(コピー)するだけでポリゴンにテクスチャーデータを貼り付けて表示する。
【0095】
これにより端末装置20に配信されるテクスチャーのデータ量は、従来より大幅に抑制される。端末装置20は受信した3次元表示データに従って、ポリゴン上にテクスチャーを貼り付けて表示を完成する。端末装置20は、ソフトウエア処理で描画を行うこともできるが、最近は携帯電話にも3D描画用のグラフィックエンジン(グラフィックチップ)が搭載されるようになり、ストレス無く表示できるようになっている。
【0096】
もしも、従来のように予めテクスチャーをグルーピングして3次元表示用データベースに蓄積していた場合、面H3のポリゴンに代表画像データを有するテクスチャーグループを他の面H1、や面H2のポリゴンでこの代表画像データを参照するようなデータ構造になっていたら、面H3のポリゴン、テクスチャーは陰面であるため端末装置20に送信されない。このため、面H1、面H2のテクスチャーデータグルーピングされた識別番号のみ端末装置20に送信され、代表画像データが送信されないので表示できなくなってしまう。
【0097】
このような不都合を解消するには、陰面も含め、ポリゴン、テクスチャーを端末装置20に送信すればよいが、それでは、端末装置20に送信するデータ量が増大してしまい、ネットワークの通信負荷を軽減、抑制することはできなくなる。また、予めデータベース上にテクスチャーをグルーピングして用意しておくことは前述したように極めて負荷の大きい処理が要求され、また、3次元表示用データの更新の度にこの処理が必要になり、メンテナンスが困難になるという問題があり、現実的でない。
【0098】
図7は、以上説明した本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10の経路探索サーバ30の処理手順を示すフローチャートである。経路探索サーバ30は端末装置20から、視点位置、視点方向に関するデータを条件として3次元表示用の表示データの要求を受信したものとする。
【0099】
先ず、経路探索サーバ30は、ステップS101の処理においてポリゴン選択手段319が端末装置20に配信するポリゴン、すなわち、端末装置20から見える建物の面を特定し、そのポリゴンを選択する。ポリゴンは視点位置からオブジェクトである建物の各面を見込むベクトルを作成し、各面が持つ法線ベクトルとのなす角度を計算し、両ベクトルのなす角度が直角以下の面を特定することによって選択される(図8およびその説明を参照)。次いで、ステップS102の処理において、選択されたポリゴンデータを端末装置20に配信するデータとする。
【0100】
次に、ステップS103の処理において、テクスチャー処理手段321は選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを選択する(例えば、図5のテクスチャーTH0等)。そして、ステップS104の処理において、テクスチャーのグルーピングを行う。この処理は次のように行う。例えば、図5のテクスチャーTH0のテクスチャーデータA1〜A4〜AP〜Anを、先頭(図の斜め上方)から順に着目するテクスチャーデータを決め、他のテクスチャーデータと順次画像マッチングによる比較を行って同一の画像を持つテクスチャーデータがあるかを判定する。
【0101】
着目したテクスチャーデータと同一のテクスチャーがなければ、そのテクスチャーデータは画像データとして端末装置20に配信するデータとする。同一のテクスチャーがあればそれらのテクスチャーデータはグルーピングされ、ユニークな識別番号を決定し、着目したテクスチャーデータ(画像データ)を代表データとし、その他同一のテクスチャーデータは識別番号に置き換えて端末装置20に送信するデータとする。
【0102】
次いでテクスチャー処理手段321はステップS105の処理において、全てのテクスチャーデータのグルーピング処理が終了したかを判定し、処理が終了していなければステップS104のグルーピング処理を繰り返す。グルーピング処理が終了したら、ステップS106の処理に進み、グルーピング処理したテクスチャーの配信データを準備する。
【0103】
次に、ステップS107の処理において、配信データ編集手段313は、ポリゴン選択手段319が選択したポリゴンの配信データおよびテクスチャー処理手段321がグルーピングしたテクスチャーの配信データを編集して端末装置20に送信(配信)する。端末装置20は、経路探索サーバ30から送信されたポリゴンおよびテクスチャーのデータを受信し3次元表示を行う。
【0104】
この処理によって、経路探索サーバ30から端末装置20に送信される3次元表示用のデータは、端末装置20から見える面のポリゴン、当該ポリゴンに貼り付けられるテクスチャーのみであり、テクスチャーのデータは、同一のテクスチャーデータについてはグルーピングされ、グルーピングされたテクスチャーにおいては、代表テクスチャーのデータのみが画像データで送信されるから、送信データ量を大幅に軽減することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明において端末装置は移動体端末装置に限ることなく、インターネットなどのネットワークを介してサーバに接続されるパーソナルコンピュータなどの端末装置であっても適用することができる。この場合、端末装置から視点位置と視点方向をサーバに送信して3次元用表示データを要求できるようにすれば、サーバから3次元表示のためのデータを送信して地図や建物を表示する場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】経路探索のための道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【図3】端末装置の視点と端末装置から見ることのできる建物の面の関係を説明するための説明図である。
【図4】図3に示す建物と視点位置の位置関係を立体的に示す模式図である。
【図5】建物の面のポリゴンに対応するテクスチャーのデータの構成、グルーピング処理の概念を示す模式図である。
【図6】グルーピングしたテクスチャーと建物の面との関係を説明するための模式図である。
【図7】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムにおける経路探索サーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】先願1の3次元地図表示におけるポリゴンデータの送信方法の概念を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0107】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
211・・・制御手段
212・・・GPS測位手段
213・・・表示モード制御手段
214・・・視点位置検出手段
215・・・2次元表示制御手段
216・・・3次元表示制御手段
217・・・通信手段
218・・・配信要求編集手段
219・・・配信データ記憶手段
220・・・VRAM
221・・・表示手段
222・・・操作・入力手段
30・・・・経路探索サーバ
311・・・制御手段
312・・・通信手段
313・・・配信データ編集手段
314・・・案内経路データ作成手段
315・・・地図データベース
316・・・経路探索手段
317・・・探索用ネットワークデータ
317A・・・道路ネットワークデータ
317B・・・交通ネットワークデータ
318・・・3次元表示用データベース
319・・・ポリゴン選択手段
320・・・視点位置設定手段
321・・・テクスチャー処理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元の地図を表示する表示手段を有する端末装置と、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備えた経路探索サーバとを備えたナビゲーションシステムであって、
前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記端末装置に配信することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記ナビゲーションシステムは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段は、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記ポリゴン選択手段は、前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーションシステムは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段は、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とし、前記ポリゴン選択手段は、該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
経路探索サーバから配信されるポリゴンデータとテクスチャーデータに基づいて3次元の地図を表示する表示手段を有する端末装置とネットワークを介して接続される経路探索サーバであって、
前記経路探索サーバは、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備え、
前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記端末装置に配信することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項6】
前記経路探索サーバは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段は、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択し、前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする請求項5に記載の経路探索サーバ。
【請求項7】
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記ポリゴン選択手段は、前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択することを特徴とする請求項5に記載の経路探索サーバ。
【請求項8】
前記経路探索サーバは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段は、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とし、前記ポリゴン選択手段は、該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択することを特徴とする請求項5に記載の経路探索サーバ。
【請求項9】
3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備え、前記テクスチャー処理手段は、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとし、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに配信する経路探索サーバにネットワークを介して接続される端末装置であって、
前記端末装置は前記経路探索サーバから受信したポリゴンデータとテクスチャーデータに基づいて地図を3次元表示する表示手段を備え、
前記表示手段は前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示することを特徴とする端末装置。
【請求項10】
前記端末装置は、更に、視点位置を検出する視点位置検出手段を備え、前記視点位置検出手段が検出した視点位置情報を前記経路探索サーバに送信することを特徴とする請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
3次元の地図を表示する表示手段と、3次元表示のために各オブジェクトを、当該オブジェクトを構成する面ごとのポリゴンデータとして蓄積し、各ポリゴンに貼り付ける複数のテクスチャーの画像データをポリゴンごとに蓄積した3次元表示用データベースと、視点位置から見える各オブジェクトの面を選択するポリゴン選択手段と、選択されたポリゴンに対応するテクスチャーをグルーピングするテクスチャー処理手段と、を備えたナビゲーションシステムにおける地図表示方法であって、
前記ポリゴン選択手段が視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する第1のステップと、
前記テクスチャー処理手段が、前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンに対応するテクスチャーから共通する画像データであるテクスチャーをテクスチャーグループとして抽出し、前記抽出したテクスチャーグループにユニークな識別符号を決定し、そのうちの1つのテクスチャーの画像データを配信データとし、他の共通のテクスチャーは前記識別符号を配信データとし、共通する画像データがないテクスチャーは画像データのまま配信データとする第2のステップと、
前記ポリゴン選択手段が選択したポリゴンとともに、前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーデータを前記端末装置に配信するステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項12】
前記ナビゲーションシステムは、更に、視点位置を設定する視点位置設定手段を備え、
前記第1のステップは、前記視点位置設定手段が設定した視点位置に基づいて、前記ポリゴン選択手段が、当該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する処理を含み、前記表示手段が、前記ポリゴン選択手段が選択した面のポリゴンと前記テクスチャー処理手段が配信データとしたテクスチャーに基づいて、前記選択されたポリゴンに対応するテクスチャーを貼り付けて地図を3次元表示するステップを有することを特徴とする請求項11に記載の地図表示方法。
【請求項13】
前記面ごとのポリゴンデータは、それぞれその表面方向を示す法線ベクトルを含み、前記第1のステップは、前記ポリゴン選択手段が前記視点位置から前記オブジェクトの各面を見込むベクトルを生成し、当該ベクトルと前記法線ベクトルとがなす角度を算出し、算出した角度が90°以下の面を選択する処理を含むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示方法。
【請求項14】
前記ナビゲーションシステムは、更に、経路探索のための探索用ネットワークデータと、経路探索手段と、を備え、前記視点位置設定手段が、前記経路探索手段が探索した案内経路の所定の位置を視点位置とするステップを有し、前記第1のステップは、前記ポリゴン選択手段が該視点位置から所定の範囲内のポリゴンデータを対象に当該視点位置から見える各オブジェクトの面を選択する処理を含むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−328270(P2007−328270A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161119(P2006−161119)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】